タラヲ「梓ちゃんはぼくのお嫁さんになるで~す」(283)

梓「そ、そんな・・・」

紬「ま、待ってタラちゃん。梓ちゃんはまだ・・・」

タラヲ「そんなの関係ないで~す」

マスオ「そうだよ~。タラちゃんがそう言ってるんだからちゃんと従って欲しいですね」

唯「あずにゃん・・・」

カツオ「それじゃあぼく達はこれで」

タラヲ「明日お迎えの人を送るですから、ちゃんとユイノーの仕度をしておいてくださ~い」

マスオ「はいタラちゃん、籠だよ~」

タラヲ「はいパパ~」

 磯野一家は籠に乗って帰っていった。

澪「ど、どうしよう・・・このままじゃ梓がタラヲのお嫁さんにされちゃう」

唯「あずにゃ~ん、え~ん」

梓「・・・」

紬「梓ちゃん、私達が必ず貴女のことを」

梓「いいです」

紬「え?」

梓「私、磯野家の人間になります」

律「お、おい梓お前・・・」

梓「皆さんにこれ以上迷惑をかけるわけにはいきませんから」

~翌日~

ノリスケ「すみませ~ん」

タイ子「梓ちゃんをお迎えに上がりました~」

紬「」

ノリスケ「あ、ムギちゃん」

タイ子「梓ちゃんを連れてきてくだいませんか?」

紬「断ります! 私達は梓ちゃんを貴方達には渡しません!」

タイ子「あの、それで本当によろしいんですか?」

律「当たり前だ!」

ノリスケ「おやおや? 暖簾の奥からみんな出てきて。何のつもり?」

澪「か、帰れ! この金の亡者!」

唯「もう来ないで下さい!」

タイ子「あらあら」

ノリスケ「どうする? タイ子?」

タイ子「梓ちゃんを連れて行かなきゃタラちゃんに申し訳ないわ。だってもう式の準備をしてるんですもの」

ノリスケ「そうだよねぇ」

澪「そんなのそっちの都合だろ? こっちにはそんなこと・・・」

タイ子「関係ないっておっしゃるの?」

律「そ、そうだ!」

ノリスケ「だあっーーー!!」

澪「ひっ・・・!」ビクッ

ノリスケ「ぼく達にだってね、君たちの都合なんか関係ないんだよ」

タイ子「うふふ」

ノリスケ「君たちがそういう態度をとるんならこっちにも考えがあるんだからね」

紬「な、何をするつもりですか!?」

タイ子「こうするのよ!」

梓「きゃっ!」

 タイ子は梓を抱きかかえると、彼女を肩の上に乗せて屋敷の外に飛び出した。

律「あ!!」

ノリスケ「じゃあね、琴吹屋のみなさん」

 ノリスケもタイ子の後を追って屋敷を出た。

律「まずいぞ! あいつらを追うんだ!」

唯「うん! 絶対あずにゃんを取り返すもん!」

 四人は波野一家を追いかけた。

タイ子「はぁはぁ」

ノリスケ「大丈夫かい?」

タイ子「ええ。少し重いけど運べない重さじゃないわ」

唯「まてぇ~~~!」

ノリスケ「あの子達まだ追ってくるよ」

タイ子「どうします?」

ノリスケ「よ~し、ぼくがあいつらを引き止めておくからタイ子は早くタラちゃんの屋敷へ」

タイ子「わかったわ。ノリスケさん」

 タイ子はノリスケにウインクをすると、磯野家に向かって韋駄天走りに走った。

律「あ、梓を返せ~~!」

ノリスケ「うるさい!」バキッ

 Uターンして引き返してきたノリスケが律の額を殴りつける。

律「うわ!」

澪「律!」

 すると、倒れた律に気を取られた澪をノリスケが両手で持ち上げた。

ノリスケ「はは、やっぱり女の子は軽いなぁ」

澪「う、うわああああ!」

八兵衛「あれ? なんだありゃ」

光圀「ん・・・あれは・・・助さん、格さん」

助格「はっ!」

 偶然道を通りかかった旅の一行が、四人の少女相手に大暴れする角刈りの男を発見した。

ノリスケ「わはははは! このまま真っ逆さまに落としてやる!」

澪「や、やだあああ!! 下ろしてえええ!」

唯「澪ちゃあああん! 誰か助けてえええ!」

助さん「止めろ!」

ノリスケ「え?・・・あふっ!」

澪「きゃっ!」ボトッ

格さん「おっと」パシッ

唯「ほっ」

ノリスケ「な、なんなんだお前達は!」

ノリスケ「ぼくは磯野一家の人間だぞ!」

助さん「それがどうした」

ノリスケ「生意気な!」

 ノリスケは脇差を懐から取り出し、助さんに飛び掛った。
 しかし、あっという間に刃物を取り上げられ、顔面に拳を食らわされてしまった。

ノリスケ「は、歯が・・・」ボロッ

格さん「まだやるか」

ノリスケ「お、覚えてろよ! 磯野一家に刃向かったらどうなるかとっくりと叩き込んでやるからな!」

~その後~

光圀「なるほど」

助さん「紬さんの家に奉公に来ていた娘さんを磯野一家とかいう輩にかどわかされてしまったわけですね」

紬「はい」

八兵衛「そいつぁ酷い話だ」

律「私達はみんな貧しい村の出なんだけど、そんな私達をムギが雇ってくれたんだ」

唯「あずにゃんもその一人だったんだよ~」

光圀「ふむ」

格さん「それにしてもその磯野一家という奴らはどんな奴らなんでしょうか、ご隠居」

光圀「少し探りを入れてみますかな」

~磯野家~

波平「ばっかもん!!」

ノリスケ「ひ!」

タイ子「すいません、おじ様!」

波平「折角タラちゃんが晴れ着まで来て待っておったのに! 嫁を連れてこないとはどういうことだ!」

ノリスケ「は、はいそれが・・・急な邪魔が入りまして」

タイ子「わ、私も風車を持った変な人に梓ちゃんを連れていかれて・・・」

波平「言い訳などいらんわ!」

ノリスケ「ご、ごめんなさひぃい!」

 ノリスケ達が地面に額をこすりながら土下座をする。

フネ「まぁ過ぎたことは仕方がありません」

 襖の奥から女性の影が現れる。

フネ「問題はどうけじめをつけるかです。ね、お父さん」

波平「そうじゃ」

~琴吹屋~

光圀「ほぉ・・・ここが紬さんのお店ですか」

紬「はい。しがない海鮮問屋です」

八兵衛「確かにばっちぃ所ですね」

助さん「八!」

律「まぁほんとのことだしな」

格さん「しかし、その割には屋敷自体は結構な大きさで」

助さん「外から見えた蔵も立派なものだったようだし」

唯「それには訳があるんです・・・」

八兵衛「わけ?」

光圀「磯野一家の事ですな?」

澪「ど、どうしてそれを?」

光圀「まぁまぁ。どれ、一つわしらに話をしてみなされ。もしかしたら力になれることがあるかもしれん」

八兵衛「そうですよ。うちのご隠居はそれはそれは有名な・・・」

格さん「八!」

紬「・・・元々うちは藩の商を一手に受ける大問屋だったんです」

光圀「ふむ」

紬「ですが、やくざものだった磯野一家が海鮮問屋を開いてからはそちらが藩の御用達になってしまいました」

助さん「それはおかしな話ですね」

格さん「やくざが始めた店がいきなり御用達だなんて。ご隠居」

光圀「確かにこれは裏があるようじゃな」

~川原~

ノリスケ「た、たすけてくれへぇえ!!」

タイ子「いやああ! 死にたくないいい!」

イクラ「ちゃあああん!」

 そこには簀巻きにされた波野一家と、カツオとその取り巻きたちが居た。
 (簀巻き→ぐるぐる巻きにして身動きをとれなくする)

カツオ「ごめんねノリスケさん。これもタラちゃんの希望だからさ」

ノリスケ「ぼ、ぼく達親戚だろう!?」

タイ子「なんとかタラちゃんを説得して! お願いカツオちゃん!」

カツオ「う~~~ん」

中島「おい磯野。あんまり迷ってるとお前もやばいんじゃないのか?」

橋本「そうだぜ磯野。ちゃっちゃと沈めて野球でもしようぜ」

カツオ「よ~し・・・それじゃ投げ込むぞ~」

中島「へい」

ノリスケ「う、うわあああ!」

タイ子「イクラだけは! お願い! イクラだけは助けて! あの子は何にもしてないの!」

カツオ「そんなの知らないよっ!」

橋本「投げるぞ~! 1・2の3!」ポイッ

中島「えい!」ポイッ

カツオ「えぇ~い!」ポイッ

ノリスケ「うあたすげぷごぽぽぽぽ・・・」

 筵(藁で編んだ敷物)で体をぐるぐる巻きにされた波野一家はぶくぶくと音を立てながら沈んでいった
 水を吸った藁が三人の体に絡みつく
 三人に残された道は二つのみ
 このまま溺死するか、
 あるい流れに流れ、息が切れる前に水中の岩に衝突して激突死するかだった

~琴吹屋~

弥七「ここがおめぇさんの奉公先かい」

梓「はい」

唯「あ! あずにゃんだ!」

梓「唯先輩!」

唯「心配したんだよ~、無事だったんだね~」

光圀「弥七か」

弥七「これは・・・ご隠居」

律「ん・・・この人爺さんの知り合いなんか?」

~磯野家~

タラヲ「いやです~、ぼくは今日梓ちゃんと結婚したいんです~」

波平「おぉ・・・タラちゃんや・・・そんなに泣かんでおくれ」

タラヲ「うわ~~~ん!」

マスオ「お父さん、ぼくが行ってきましょうか?」

フネ「わざわざ本家の人間が出向くというのもよくありませんよ」

サザエ「そうよマスオさん。そんなんじゃお嫁さんが調子に乗っちゃうわ」

マスオ「そ、そうかなぁ・・・」

波平「女は男に従うもの。夫の家族が嫁の送り迎えなんぞできるか!!」

サザエ「でもそれだと困るのよねぇ・・・」

 すると、戸をピシャリと開き一人の少年が現れた。

カツオ「みんな。この件はぼくに任せてよ」

波平「なにぃ?」

フネ「出すぎたことを言うんじゃありません」

カツオ「でもそれだといつまで経っても梓ちゃんはうちに来ないよ」

タラヲ「え~~ん! 梓ちゃんに会いたいです~~」

サザエ「・・・どうするつもりよ」

カツオ「梓ちゃんに自分から来てもらうんだよ。うちにね」

マスオ「えぇ!? そ、そんなことができるのかぃカツオ君!」

カツオ「まあね」

タラヲ「カツオにいちゃんにお願いするです」

波平「タラちゃん!?」

タラヲ「カツオにいちゃんにぜ~んぶ任せるです」

カツオ「そうこなくっちゃ!」

~その晩~
 闇夜に忍ぶ人影が数人。

中島「あれが梓ちゃんのいる家?」

カツオ「そうだよ中島」

橋本「ほんとに大丈夫なのか、磯野?」

カツオ「え?」

橋本「あの家燃やしちゃったら、梓って子も死んじゃうんじゃね」

カツオ「そんなのお前の心配することじゃないだろ?」ギロ

橋本「ごめん」

カツオ「あいつらが店じまいをしたら矢を放つんだ」

 カツオは矢を一本手に取ると、その先端に油を塗った

カツオ「火をつけてからね」

~琴吹屋~

紬「今日はもうお客さんは来ないわね」

律「よ~し、それじゃ片付けっか」

助さん「私達も何か手伝いましょうか?」

紬「あ・・・それじゃぁ外に出てる籠を」

格さん「わかりました」

 二人が店の外に出た。

助さん「それにしてもこの店はべっぴん揃いだ」

格さん「まったくお前という奴は」

助さん「お前もそう思うだろう?」

格さん「まぁ否定はせんが・・・」

助さん「やっぱりそう・・・ん?」

格さん「どうした?」

助さん「油の臭いだ」

格さん「!!」

~物陰~

カツオ「よ~しみんな、弓を引け!」

手下「へい!」

 カツオ達が一斉に矢を取り、琴吹屋に狙いを定める。

カツオ「撃て!」

中島「いやぁーっ!」バシュッ

 数人の少年達が放った火の屋が屋敷目掛けて飛び出した。

助さん「らぁ!」ズバ

格さん「か!」ズバ

 しかし、カツオ達の死角から現れた助さん格さん達が、
 次々と刀で火の矢を切り落としてしまった

カツオ「な、なんだあいつらは!」

助さん「あっちから声が聞こえたぞ!」

格さん「おう!」

 二人はカツオ達が隠れている方へ走ってきた。

助さん「矢を撃ってきたのはお前達か!」

中島「ひぃ! い、磯野!」

カツオ「数で勝ってるのはぼく達だ! 撃て! 矢を撃て!」

橋本「く、くらえ!」

 橋本は火をつけずにすぐさま矢を撃った
 しかし、その矢はいとも容易く格さんに掴まれてしまった

中島「す、素手で矢を・・・」

カツオ「何びびってんだよ! 情けないぞ中島!」

中島「で、でも・・・」

手下「ぎゃああ!」

 助さんに殴られた少年が中島に向かって飛んできた

中島「うわ! か、勝てないよ・・・大人相手に子供が・・・」

カツオ「えぇい!」

カツオ「もういいよ! お前らなんか絶交だ!」

中島「い、磯野・・・!?」

 カツオは一言言うと、ポケットから取り出した玉を地面に投げつけた
 すると玉が火花を飛び散らせながら炸裂し、緑色の煙を噴出させた

助さん「うわ! これは・・・」

格さん「たまらん!」

 二人はすぐさまその場を離れ、琴吹屋に戻った
 その時、二人は家々の屋根の上を掛けるカツオを見かけた。

助さん「あ、あいつ!」

格さん「おのれ、自分だけはその場を逃れていたのか!」

弥七「あの坊主はあっしに任せてください」

助さん「弥七!」

 どこからともなく姿を現した弥七がカツオを追った

~磯野家の前~

カツオ「はぁはぁ・・・」

 疲れきったカツオがその場に倒れた

カツオ「ここまでくればなんとか・・・」

弥七「おぅ坊主!」

カツオ「!? な、なんだお前は・・・」

弥七「わりぃがちょいと来て貰うぜ」

カツオ「あ・・・やめろ! ぼくをどこへ・・・」

 その時、一発の銃声が鳴り響いた

弥七「!?」

カツオ「」グッタリ

弥七「死んでやがる・・・ちっ!」

 弥七はすぐに引き返した

~その後・琴吹屋~

助さん「手下を毒殺するなんてとんでもない悪ガキだ」

光圀「この子らを生かしておいたら立派な生き証人になってしまうからな」

格さん「弥七がちゃんとあいつを捕らえてこれればいいが・・・」

澪「うう・・・」

唯「怖いよ~、まさか家を放火しようとしてただなんて・・・」

梓「すみまさん・・・私のせいで」

紬「梓ちゃんのせいじゃないわよ」

弥七「申し訳ありません、ご隠居」

八兵衛「あ、親分」

弥七「すんでのところで証人を消されちまいやした」

光圀「そうか・・・」

紬「わ、私達はどうすれば・・・」

光圀「ここももう安全とはいえんでしょうからな」

唯「えぐっ・・・ぐすん」

光圀「ここは一つ勝負に出てみますかな」

澪「勝負?」

光圀「はい」

紬「あの、ご隠居様は一体・・・」

光圀「ただのお節介好きな旅の隠居ですよ」

~磯野家~

波平「カ、カツオが!」

サザエ「ええ、父さん! う、うちの前に死体が・・・」

フネ「なんてこと」

マスオ「まさかノリスケ君の言ってた奴らが?」

波平「うちの嫁をかっさらっていった馬鹿共のことか!」

サザエ「くぅぅ!! 許せないわ!」

マスオ「どうしましょうお父さん・・・」

波平「決まっとろう。ここまでされて黙っておる訳にはいくまい・・・討ち入りじゃ!!」

~磯野家前~

タラヲ「これから梓ちゃんを迎えにいくですね」

マスオ「そうだよ、タラちゃん」

タラヲ「ぼくは梓ちゃんにしか好きじゃないです~」

波平「そうかそうか。タラちゃん、じゃあ他の奴らは殺してもいいね」

タラヲ「一味です」

フネ「さぁ、みんな籠に乗って」

サザエ「カツオの仇、必ず討ってやるわ!!」

 磯野一家が子分たちを率いて、行進を始めた

~磯野家と琴吹屋の間~

波平「どうした! 何を止まっておる!」

子分「へい! 道の途中に邪魔な岩が・・・」

フネ「岩ですって」

サザエ「父さん、それってまさか・・・」

 突如磯野一家を乗せた籠の前に立ちふさがる岩が爆発した

マスオ「うわあああ!」

 籠ごと吹き飛ばされた磯野一家は全員籠から放り出された

サザエ「いたたたた・・・」

フネ「前に誰かいるわ」

波平「何者じゃー!」

光圀「はーっはっはっはっはっはっは」

サザエ「なんなのこの笑い声! きもちわるい!」

光圀「お前さん達が磯野一家じゃな」

 爆風で舞い上げられた煙の中から数人の男達が現れる

マスオ「な、なんなんだい君たちは!」

光圀「世の中に蔓延る悪党共を許せない、ただの隠居です」

波平「な、なにを無礼な!」

フネ「お下がりなさい! 私達を誰だと思っているんですか」

弥七「そんなこと知るめぇ!」

サザエ「え~い! 話なんかする必要ないわ! やりなさい! 先手必勝よ!」

子分「へい!」

光圀「仕方ありませんな・・・助さん、格さん、存分に暴れてやりなさい」

助格「はっ!」

マスオ「びゃああああ!!」

 助さんに飛び掛ったマスオの顔に助さんの裏拳がヒットした

サザエ「マスオさん! ・・・おのれぇ!」

格さん「わ!」

 サザエの長刀が格さんを襲う

フネ「いきなさい」

子分「へい!」

光圀「むぅん!」

 フネの指示で十数人の子分達がご老公一向に向かう
 しかし、ろくな格闘経験も無いゴロツキ共は瞬く間にのされていった

波平「こいつらやりおるわぃ」

マスオ「い、痛い・・・」

波平「母さん、刀を」

フネ「はい、どうぞあなた」

波平「とりゃああ!」

 波平が光圀に斬りかかる

光圀「世迷い者!」

波平「あわわ!」

 しかし、光圀は杖で波平の刀をなぎ払った
 そして、波平の禿頭に杖の先端を叩きつけた

波平「くぁ!」

光圀「懲りましたかな」

フネ「ここで退いたら男の恥ですよ」

波平「・・・さよう。たりゃああ!」

助さん「ふん!」

波平「あ・・・」

 助さんの峰打ちを喰らい、波平はその場にうずくまった

サザエ「きゃあああ!」

 格さんの柔によってサザエが絶命する

フネ「く・・・」

光圀「どれ、もうこのくらいでよかろう」

助さん「静まれー! 静まれー!」

格さん「この紋所が目に入らぬか!」

 格さんが印籠を取り出した

フネ「葵の御紋!!」

格さん「こちらにおわすお方をどなたと心得る! 畏れ多くも先の副将軍、水戸光圀公にあらせられるぞ!」

波平「み、水戸のご老公!?」

マスオ「ああ・・・ぼく達もうお仕舞いだ・・・」

格さん「ええい、頭が高い! 控えおろう!!」

磯野一家「へへ~~~!」

磯野一家「へへ~~~w!」

磯野一家「そんな事知らんもんねww」

~その時・琴吹屋~

八兵衛「大丈夫ですよ。ご隠居がなんとかしてくれますから」

紬「・・・」

唯「ほんとに?」

八兵衛「そりゃもう」

??「そうはいかないです」

律「誰だ!?」

 突然、幼い少年の声が室内にこだました

タラヲ「ばきゅ~んです」ドバン

紬「け、拳銃!?」

 戸を開けて現れたタラヲが天井に向けて発砲した

タラヲ「梓ちゃん、迎えに来たですよ~」

梓「あ・・・あぅ」

唯「あずにゃんどうしたの!?」

タラヲ「あのときのこと思い出してるですね~」

澪「あのときのこと!?」

タラヲ「そうで~す」

紬「梓ちゃん、一体何をされ・・・」

タラヲ「梓ちゃんとエッチしたで~す」

八兵衛「な、なんだってぇ!?」

澪「嘘・・・」

タラヲ「梓ちゃんわんわん泣いてかわいかったで~す」

梓「う・・・うぅ」グスン

タラヲ「だけどぼくまだちっちゃいからセーエキでなかったんですけどね~」

律「!?」

タラヲ「でもきもちいのに変わりはないですから、それでもOKで~す」

唯「やめてよぉ・・・」

タラヲ「これから梓ちゃんはず~っとぼくのものです」

タラヲ「ぼくが大きくなったら梓ちゃんはぼくの赤ちゃんを産むです」

タラヲ「そうしたらこんどはその子をぼくの新しいお嫁さんにするんです」

唯「そんなこと言わないで・・・」

タラヲ「いやです~もっと言うです~」

律「てめぇ・・・」

タラヲ「梓ちゃんも梓ちゃんの娘も、その娘もみんなぼくのもので~す」

タラヲ「ぼくのものになればず~っと不自由なしですよ?」

梓「・・・やだ」

タラヲ「え?」

梓「嫌! もう嫌ぁあ! 私、タラちゃんなんかと結婚したくない!!」

八兵衛「よく言った! 梓ちゃん!」

タラヲ「むぅぅ~~~」

 タラヲが銃を唯に向けた

タラヲ「ぼくのいうこと聞かないと友達殺すですよ」

唯「あ、あずにゃん・・・」

梓「唯先輩!」

タラヲ「後悔先に立たずです」

梓「やめてぇぇえ!! 唯先輩を殺さないでえええ!!」

タラヲ「一味です」

 タラヲが銃に掛けた指に力をこめた

バキュン!

 鈍い銃声が響き渡る

唯「あ・・・あ・・・」チョロチョロ

 唯は恐怖のあまり小便を漏らしていた

タラヲ「ぐ・・・い、痛いです」

八兵衛「親分!」

 タラヲの小さな手には風車が突き刺さっていた
 弥七がタラヲの銃撃を逸らしたのだ

タラヲ「うぅ・・・」

 タラヲが床に落ちた銃を拾おうとする
 すると、天井裏から弥七が回転しながら飛び降りて来た
 そしてそのままタラヲの肩に飛び蹴りを喰らわせた

タラヲ「うわーん!」

 タラヲはふすまを突き破りながら店の外に飛んでいった


タラヲ「く・・・許さないです」

弥七「ふてぇガキだ。まだ息がありやがる」

八兵衛「親分! あんなガキぶっとばしてやってください!」

弥七「おぅよ」

 弥七が風車の手裏剣を投げた

タラヲ「うく!」

 タラヲの両肩に手裏剣が突き刺さった

弥七「とどめだ!」

 弥七は匕首を逆手に持つと、タラヲの首に深くそれを突き刺した

タラヲ「うわあああああ!!」

 弥七は刺した刃をくるりと回して傷口を抉る

タラヲ「こふ・・・」

 タラヲは白目を剥き、汚い舌とよだれを垂らしながら地面に横たわった

紬「これが磯野一家頭首の最期・・・」

梓「うぅ・・・えぇ~ん! え~ん!」

 梓は安心のあまり泣き出した

律「よかったな・・・梓」

唯「私達、もう磯野一家に怯えなくていいんだよね」

八兵衛「あったりめぇよぉ」

~翌日~

紬「ありがとうございました。ご老公様」

光圀「ほっほ」

助さん「どうやらあのタラヲとかいう子供が代官や奉行の弱みを握っていたようですね」

格さん「そのせいで磯野一家が御用達の海鮮問屋になれたわけか」

唯「でも、磯野一家がいなくなったから、これからはうちがまた御用達のお店になるんだよね」

紬「そうね」

光圀「これにて一件落着じゃ。はーっはっはっはっはっは」

 そうしてご老公一行は次の町へ向かっていった

しかも梓はやられてなかったのだ!

梓「あのときタラオは小さすぎてフニャチンで入りませんでした」

澪「きゃあああ!!」

光圀「な、なんですか!?」

 突如、港の方から澪の悲鳴が聞こえてきた
 琴吹屋は海に面した店で、店のすぐ傍に港がある

梓「み、澪先輩の声・・・」

光圀「助さん、格さん!」

助格「はっ!」

 一同は悲鳴のする方へ走った

まだワカメがいる

澪「い、いやぁ! 離して!」

ウソップ「ふへへへへ! 何いってやがんだよぉ、姉ちゃんよ~」

澪「いやああ!! 降ろして! 降ろしてぇえ!」

助さん「あ! なんだあの船は!」

紬「あ!」

弥七「何か心当たりが!?」

紬「もしかして・・・最近漁師さん達を襲っているという海賊・・・」

八兵衛「か、海賊だって!?」

格さん「いかん! 船が出港するぞ!」

律「み、澪~~~!!」

澪「み、みんな・・・」

ウソップ「ほら! とっとと歩け!」

 ウソップは澪を船の奥に連れて行った

光圀「わしらがいながらなんという・・・」

梓「澪先輩・・・」

梓「ご、ご老公様! 澪先輩を助けてあげてください! このままじゃ澪先輩、私みたいに汚されて・・・」

光圀「よい。それ以上言わなくとも・・・」

格さん「私達に任せてください」

助さん「必ず澪さんを助けてきます」

~サウザンドサニー号~

ルフィ「サンジ~、肉~~! 肉喰いてぇwwww」

サンジ「おぅ・・・ちょっと待ってろ。おい、マリモ」

ゾロ「あ?」

サンジ「肉の用意しろ・・・」

ゾロ「わーった」

 ゾロは船内の牢屋部屋へと向かった

ゾロ「え~っと? 番号札が一番古い奴は?」

 ゾロは牢屋の中に居る女達に呼びかけた

かがみ「あ・・・わ、私です」

ゾロ「よし、じゃ、外でろ。鍵あけるから」

かがみ「はい・・・」

ゾロ「よし、背中向けてそこ座れ」

かがみ「はい・・・」

 ゾロは刀を三本構えた

つかさ「お、おねちゃ~ん!」

こなた「かがみぃぃぃん!!」

つかさ「や、やめて~! お、おねえちゃんを斬らないでよぉ~~~!」

ゾロ「はぁ・・・」
ゾロ(気が滅入るぜ・・・なんで俺がこんなこと)

こなた「かがみを殺さないで! ほ、ほら! かがみんおいしくなさそうでしょ!」

ゾロ「・・・」

つかさ「なんでおねえちゃんなの!? 他の子を選んでよ!!」

かがみ「つかさ・・・こなた・・・」

ゾロ「そうかよ」

 ゾロはむくりと立ち上がると、牢の中に入った

>>あずにゃんは処女:タラヲの一物が小さすぎて膜までとどいてなかった

ゾロ「そんじゃーお前が今晩の飯な」

つかさ「え・・・」

かがみ「だめぇ! お願い! つかさはまだ番号が新しいでしょ!」

かがみ「番号が古い私を殺して! つかさは殺さないで!!」

ゾロ「たく・・・めんでぇな」
ゾロ(どうせ数日もしたらお前ら全員ルフィの腹ん中なのによ)

こなた「うぅ・・・」

~サニー号甲板~

ブルック「ヨホホ? なにやら小船がこっちに・・・」バタッ

フランキー「ガイコツ? おわ! なんだこりゃ!」

 ブルックの額には風車が刺さっていた

フランキー「おーーい! 敵襲だーー! 敵襲ーー!! 全員戦闘の構えとれやぁぁ!!」

 サニー号に男達の叫び声がこだました

~小船~

光圀「急がねばなりませんな」

助さん「弥七、いけるか?」

弥七「へい。この距離なら」

 弥七が船を蹴ってジャンプした
 そして数十メートル離れた海賊船の後部に着地した

弥七「それ!」

 弥七が鎖鎌を投げた
 そしてそれを頼りに小船を引き寄せていった

~サニー号~

ルフィ「肉はwww」

ナミ「ちょっとルフィ、今はそれどころじゃないでしょ」

ロビン「クルーが一人殺されてるのよ」

ルフィ「あん? なんのことだ?」

フランキー「ガイコツが何者かに殺られた」

ルフィ「なんだ、骨か。喰えねぇからいいよwww」

ウソップ「ま、とにかく全員集まって、相手を迎え撃つってこった」

急につまらなくなった

ゾロ「お~い」

チョッパー「あ、ゾロ」

かがみ「い、痛い・・・」

つかさ「いやぁぁ離してぇ!」

こなた「うぅ~」

ゾロ「斬る暇ねぇからそのまま持ってきたわ」

 ゾロは三人の少女の髪を右手にまとめて掴んでいた
 背の低い少女達は小動物のように引きずられていた

こなた「この! 離せ! この!」

 こなたはゾロの足を何度も蹴り付けた
 しかしゾロは全く痛がる様子もなく、
 逆にこなた達の髪を掴む指の力がどんどん増していった

つかさ「いたいぃぃ!!」

かがみ「ああああああん!!」

ゾロ「うっせぇなぁ・・・」

サンジ(・・・かわいそうに)

ルフィ「おっほ~~~wwwうんっまそ~~~~wwww」

ルフィ「サンジ! 肉! 早く調理しろ!!」

サンジ「いや・・・」
サンジ(俺は屠殺だけはやりたくねぇんだよ)

ルフィ「肉ぅぅぅぅぅうううう!!!」

ウソップ「お、おいサンジ・・・あんまりルフィを怒らせるなよ」

ゾロ「早いとこ料理しろ」

サンジ「・・・怨まいでくださいね、お嬢さん方」

つかさ「やだぁぁ! 私まだ死にたくないよ! もっといろんなこと・・・」

ゾロ「黙っとけ」グイッ

つかさ「いたぁぁぁい!」

サンジ「いくぞ、ムートン・・・」

光圀「お待ちなさい」

ゾロ「ん? 誰だお前ら」

 光圀は三人の少女を見た

光圀「むぅ・・・助さん、格さん! 早くあの子達を助けてあげなさい」

助格「はっ!」

フランキー「お! なんだあいつら! こっち来るぞ!」

ウソップ「任せとけ! 必殺アトラス・・・」

弥七「」シュッ

ウソップ「あ・・・」

 ウソップの鼻の中心に風車が突き刺さった

フランキー「野郎・・・」

フランキー「くらえ! ストロングライト!!」

 フランキーの腕が射出され、光圀に向かって飛んだ

光圀「ほ!」

 しかしその右ストとレートは容易く弾かれた

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