P「アイドルの胸を後ろから鷲掴みしたい」 (424)
こう、ギュとさ
P「……ふー、今日の仕事終わりっと。
最近みんな軌道に乗って来れたから一気に忙しくなりましたねぇ、音無さ……
……って、そうだ、音無さんは今日は定時に帰ったんだったか」
ガラッ
P「お、月が明るいな。
今日か昨日が十五夜だったかって、貴音が言ってた気がする。
夜風も涼しくなってきたし、もうすっかり秋だなぁ……」
サァァァァ……サラサラ……
P「……」
……カラカラカラ、パタン。
P「だめだ、ひとりで居るのが急に寂しくなってきたぞ。
考えてみれば、もう、随分長い間、誰かに抱きついたり抱き締められたりしてない。
普段はそれでも、音無さんと喋ったり仕事が忙しかったりでそんなこと思わないが、
……寂しい。ソファで横になって、アイドルに後ろから抱き締めたい。
それでゆっくり胸を触って落ち着きたい。柔らかい、あったかいものに触りたい……」
その時、事務所の扉が開いた。忘れ物を取りに来たのは……>>15
ゆきほ
P「って、そんなことできるわけないか……はぁぁ……」
ガチャッ、
P「……ん? あれ、雪歩じゃないか。どうしたんだ?」
雪歩「明日使う台本をテーブルに忘れちゃって……」
P「おお、そうか。
良かったなら、俺ももうすぐ帰るところだったぞ」
雪歩「す、すみません、こんな大事なものを忘れるなんて、
プロデューサーがせっかく取ってきてくれたお仕事なのに、……」シュン
P(雪歩……雪歩は、貴音やあずささん、美希ほど胸が目立つわけではないが、
それでも、何というか「抱き締めたい」と言う一点においては事務所随一だ。
手頃な大きさ、軽さ、そして申し分のなさそうな柔らかさ……)
雪歩「……あ、あの、ぷ、プロデューサー……おこって、ますよね……?」
P「……え? あ、あぁいやいや! そんなことはないよ。
ただ、雪歩も成長したなぁって、そう思ってたんだ、うん」
雪歩「成長、ですか……?」
P「あぁ、そうだ。
最初はあんなに怖がってた俺とも、
こうやって二人でちゃんと話せるようになったじゃないか。
それに、他の男の人とも、しっかり仕事出来るようになってきた。
ある意味、事務所の中では一番成長したのが雪歩だよ」
雪歩「で、でも、こんな風に忘れ物したりして、どんくさいし、ダメダメで……」
P「次から気を付けたら良いさ。
俺だって忘れ物をするときぐらいあるし、……それが大事なものなら、
今の雪歩みたいに、それを取りに戻ったりするよ」
雪歩「プロデューサーもですか……?」
P「ああ、さすがにそんなにしょっちゅう忘れ物ばっかりしてられないけど、
音無さんに助けられることも沢山あるよ。
俺も成長しないとなぁ」
雪歩「プロデューサー……」
P「さぁ、もう遅くなってきたし、帰ろう。
家まで送るよ」
雪歩「あ、あの! プロデューサー……」
P「ん?」
雪歩「さっき、えっと……勘違いだったら、ごめんなさい。
プロデューサー、おっきなため息、ついてたから、疲れてるのかな、って……」
P(あぁ……さっきの聞かれてたのか。
……え、ちょっと待てよ、ペラペラ独り言言ってたけど、どこから聞かれてたんだ!?)
雪歩「プロデューサーは、お仕事、大変ですか……?」
P「えっ、あ、仕事? まぁ、そりゃあ、な。
うん、忙しいこともあるよ、それが仕事だからな、うん」
雪歩「そう、ですよね……」
P(おお……聞かれたのはため息だけか……よかったぁぁぁ……)
雪歩「……私、プロデューサーが頑張ってくれてるのを知ってます。
私達のために、必死にお仕事してくれてるのを……
だから、せめてなにかお返しできないかと思って、お茶をいれさせてもらったり、
してるんですけど……やっぱり、だからって、仕事が楽になるわけじゃないですよね……」
P「い、いやいやいや、雪歩、それは違うぞ。
俺や音無さんが、どれだけ雪歩に助けられてると思う?
雪歩のお茶や、春香のお菓子、やよいが事務所の掃除をしてくれるのも、
みんな『仕事頑張ろう』って思わせてくれるんだ。
すごくありがたいし、おかげで俺もいっちょ前にプロデューサーが出来るってもんだよ」
雪歩「……でも、疲れてる、んですよね?
プロデューサー、目の下に、クマが出来てます」
P「え、あれ、そうかな
」
雪歩「あんまり、眠れてないんですか?」
P「ま、まぁ、……最近はちょっと遅くなったり、朝早かったりしたけど」
雪歩「……プロデューサーが、頑張ってくれてるのは、すごく嬉しいです。
私も、プロデューサーがいるから、頑張れてるんです。
でも、プロデューサー、いつもみんなに言ってますよね?
『無理はしたらダメだ』って」
P「う……そりゃ、そうだけど」
雪歩「わかってます、プロデューサーは大人だし、
無理をしなきゃいけないことがあるのは。
……でも、嫌なんです。もし、それでプロデューサーが体を壊して、
事務所で会えなくなったらって思うと……寂しいです」
P「雪歩……」
雪歩「……」
雪歩「……正直に、言いますね。
私、プロデューサーに……こっそり、甘えたり、してるんです」
P「え?」
雪歩「撮影やレッスンの帰りに、迎えに来てくれたプロデューサーの車で眠ると、
プロデューサーは事務所とか家に着いたときに、
私を優しく起こしてくれますよね。
……でも、……ほんとは、もう起きてるのに、プロデューサーに迷惑掛けちゃダメなのに、
まだ寝ぼけてるふりをして、プロデューサーに、……ぎゅって、起こされるのを、待ってるんですよ……?」
P「……!」
雪歩「ごめんなさい、こんなことして……でも、そうすると、疲れててもふわってなって、
元気になれて、次の日も頑張れるんです。
プロデューサーのおかげで、疲れても、ちゃんと元気になれるんです」
P「……」
雪歩「でも、もう、そんなことはしません。
どんなに疲れてても、ちゃんと自分で起きます」
P「え……ど、どうしてだ?」
雪歩「プロデューサーが、プロデューサーだけ、無理してるからです」
P「……」
雪歩「私、……そんなの、嫌です。
わがまま言ってごめんなさい、プロデューサー。
でも、やっぱり、そんなの……寂しいですよ、私……」
P「ゆ、きほ……」
雪歩「……プロデューサー」
P「な、なんだ?」
雪歩「プロデューサーも……疲れてたら、甘えてください」
P「甘えるって……雪歩に、か?」
雪歩「私でも、……私でダメなら、他の子でもいいです。
プロデューサーも、無理をしないように、甘えて見せてください。
ときどき、……今日だって、私が帰って、事務所にプロデューサーだけになるとき、
プロデューサー、ちょっとだけ寂しそうに、でも、それを隠して『お疲れさま』って言ってました。
私でも、そのくらい、わかります」
P(ま、マジか……)
雪歩「誰かと一緒にいたら、安心できる、っていうのは、すごくよくわかります。
だって、私にそれを教えてくれたのはプロデューサーだから。
プロデューサーが隣にいてくれたら、……私、どこでも頑張れるし、どこでも休めますよ。
……だから、プロデューサー、もしプロデューサーが疲れたら、
もしプロデューサーが良かったら、……私が、そばにいます。
一緒に、頑張るんだから、一緒に休みたいです……ダメ、ですか……?」
P「……ほんとに、いいのか?
たぶん、その、何というか……みっともないぞ?
雪歩だって、嫌かも知れないし、面倒だし……」
雪歩「私は、プロデューサーを信じてます。
プロデューサーも、私を信じてください。
そしたら、きっと……もっと、頑張れると思うんです」
P(も、……もうどうなっても知らないからな……)
P「じゃあ、……俺も正直に言うよ。
こんなこと言ったら変かも知れないけどさ。
……雪歩の言うとおり、寂しいんだ。
事務所は普段あんなに賑やかで、ずっとバタバタしてる。
でも、急に一人になると、明日になればまたここに来るのに、
なんか……寂しくなるんだ。自分は今、一人なんだなぁって。
誰かに、いて欲しいなぁってさ。
こんな大の大人が言うことじゃないけどな……ははは」
雪歩「……」
P「いよいよ、情けない話になるんだが……
……雪歩も含めて、最近、みんなすごく調子がいい。
自分がプロデュースしたアイドルが次々、評価されてきてる。
しかも、みんな仲がよくて、おまけに俺のことまで気遣ってくれて……
でも、一人になると、ふと思うんだよ。思わないようにしても、どうしても。
『これは実は夢の世界で、ゲームみたいなもんで、本当は自分はここにいないんじゃないか』
……いや、『本当は自分しかここにいないんじゃないか』って」
P「そしたらさ、……なんか、急に怖くなっちゃってさ。
こんなことって、こんな上手く行くことがほんとにあるのか?って。
……急に、消えてなくなるんじゃないか、って。
いや、だって、当たり前だけど、俺はなるべく、
アイドル達には行き過ぎたスキンシップはしないように心掛けてる。
まぁ、それこそ……雪歩を起こすときに、ちょっと腕を回すぐらいが限度だ。
でも、ずっとそうしてると、不思議なもんで、だんだん皆がそこにいるのが、
幻みたいに思えてきて、例えば、抱き締めようとしたら、煙みたいに消えるんじゃないかって
……ああ、もう、何言ってるんだろうな、俺」
雪歩「抱きしめてください。
私を、思いっきり、たくさん、抱きしめてください、プロデューサー」
P「……」
雪歩「私は、ここにいます。
ちゃんと、プロデューサーと一緒にいますよ。
抱きしめて、確かめてください」
P「……こっちに、来てくれるか?」
雪歩「……はい、プロデューサー」
P「……ここに、俺の方に背中を向けて、横になってくれ」
雪歩「わかりました……」
……ギシッ……
P「雪歩……抱きしめても、いいか?」
雪歩「もちろんです」
P「い、嫌だったりしたら、すぐに……」
雪歩「早くしてください、プロデューサー。
耳元で声が聞こえて、……心臓が、爆発しちゃいそうです」
P「……雪歩!」
ギュウッ!
雪歩「ふぁっ……ぷ、プロデューサ、ぁ……!」
P「雪歩……雪歩……」ギュッ、ギュッ、…
雪歩「あっ、あうぅ、うれし……嬉しいです、私、ここに、ちゃんといます……っ」
P「あったかい、柔らかいよ、雪歩……」ギュゥゥゥ……
雪歩「あ、ふ、ぅああぁ……とけ、とけちゃいそうですぅ……」
P「ダメだ、とけないで、ここにいてくれ……抱きしめさせてくれ……」ギュゥ、ギュゥゥゥ…
雪歩「ぁ、っ……はぁ、い、ちゃんと、ここに、ぅんっ……います、
ぜったい、どこにも、いきません……!」
P「もっと、もっと抱きしめてもいいか……?」
雪歩「はなさないで……ください……っ」
P「雪歩ぉ……!」ギュゥゥゥッ!
雪歩「ぁあああ……ん……ぁ……あぁ……も、もっと、もっとぉ……」
P「雪歩、痛くないか……? しんどくないか……?」
雪歩「へいき、ですぅ……から、気にしないで、もっと、
プロデューサーの好きなように……ひあぁっ!」ビクンッ!
P「あっ……ご、ごめんな、変なところ触っちゃって……」
雪歩「い、……いやじゃ、ないです……さわってください、プロデューサー……」
P「え、し、しかし」
雪歩「ちゃんと、さわって、確かめてください……!」キュッ
P「……」モミ
雪歩「ぅやぁっ……! はっ……はっ……」
P「や、……やわらかい……」モミモミ
雪歩「あっ、や、あんっ、そ、それ、ふぅ、ふあ、ああ……」
P「……」ギュッ、ギュッ、モミモミ
雪歩「あっ! うあっ! そ、んな、だ、だきしめながら、さわられたらぁ……!」
P「……直接、触ってもいいか?」
雪歩「さわってください……はやく、いっぱいさわってくださぃい……!」
P「じゃあ……服の下から、触るよ」ゴソゴソ
雪歩「ひぃいっ……」ゾクゾク
予想外に来てたうえに素晴らしい
P「ブラ、ちょっとずらすな……」ゴソ
雪歩「は、ん、はいぃ……」モジモジ
P「よ、……っと」
スリッ
雪歩「きゃぅうんっ!」ビクンッ
P「いまの……雪歩の、ここ……」クリクリ
雪歩「ああっ! あああっ! うああっ!」
P「かたくなって、熱い……」モミモミモミ
雪歩「う、うそっ、うぁ、ふ、きゃあっ、やぁああっ!」ビクンビクン
P「嘘じゃない……ほら、こっちもだ」クリクリモミモミ
雪歩「ぷろっ、ぷろでゅ、あんっ、うきゅ、
うあぁ、ひぁあ!」ギュゥゥッ
P「雪歩……」ボソッ
雪歩「ー……っ! ー……っ!!」
P「……あったかい、雪歩はほんとに、あったかいな……」ギュ……
雪歩「はぁ……んっ……はぁ……はぁ……」
P「雪歩……雪歩……」
雪歩「……は、ぃ、ちゃんと、……ここに、います……プロデューサー……」
P「ありがとう、雪歩、ありがとう……」ギュッ……
雪歩「どういたしまして、です、ぅ……」キュッ
P「嫌じゃ、なかったか……?」
雪歩「無理しない、って、プロデューサーと、約束ですから……」
P「……また、抱きしめてもいいか?」
雪歩「いつでも……二人でいるときなら……いいですよ」
P「……雪歩は優しいな……」
雪歩「プロデューサーだから、ですよ……勘違い、しないでくださいね?」
P「……」ギュッ
雪歩「あんっ……えへへ……」
P「すっかり遅くなっちゃったな……ごめんな、雪歩」
雪歩「いいんですよ。
プロデューサーはもっと遅くまでお仕事してることもあるんですよね?」
P「それはまぁ、そうなんだけど」
雪歩「甘えたくなったら、いつでも呼んでくださいね、プロデューサー」
P「……」
雪歩「プロデューサー?」
P「なんか、いまさら急に恥ずかしくなってきた」
雪歩「……っ」ボッ
その後、ときどき雪歩はPの抱き枕として活躍しているが、
それは雪歩の大ブレイクのきっかけになった寝具メーカーのタイアップが取れたこととは、
たぶん、そんなに関係はない。
おわり
P「……最近、雪歩はすっかり忙しくなってしまって、
そうそう抱き枕を頼むことも出来なくなってしまった。
さりとて、まさか他のアイドルにあんなこと頼めるわけがないし、
そもそも雪歩としてることだって完全にアウトオブアウトオブアウトだしな……」
ガラッ、
P「あれから一段と秋も深まって、また……いっそう人肌恋しくなる。
あぁ、こんなときこそ、雪歩を抱き締めたい。
雪歩の胸の柔らかさを鷲掴みして確認したいなぁ……」
サァアアアア……
P「……寂しい。
情け無いが、すっかり雪歩に甘えてしまうようになったらしいな……
いいのかなぁこれ……いや、ダメなんだけど……」
そんなとき、実は事務所の扉の前でひっそりと佇んでいたアイドルが居た。
それは……>>83
いおり
ガチャッ、
伊織「あら、あんただけなの?」
P「うおおっ!!……い、伊織か……びっくりした……」
伊織「何そんなに慌ててんのよ……」
P「いや、なんでもないぞ、いきなり扉が開いたからな、うん」
伊織「なんか変ね……まぁいいわ。
律子に、明日必要な衣装の確認だけするように言われたんだけど、
どこにあるかわかるかしら?」
P「ん? あぁ、明日のやつなら、そこの段ボールだな。
マジックで日付が書いてあるだろう?」
伊織「これね」ガサゴソ」
P「……伊織はしっかりしてるなぁ」
伊織「な、なによいきなり。バカにしてるの?」
P「いやいや、そうじゃなくてさ。
最近、竜宮小町もずっと出突っ張りだし、
かなり忙しいと思うけど、伊織はちゃんとリーダーをやってるわけだろ。
プロデューサーは律子だが、それと同じくらいの仕事量はあると思うぞ」
伊織「まぁ、確かに仕事が多いのはわかるけど、律子ほどじゃないでしょ。
よく携帯2つで電話しつつ書類読んでパソコン打ち込んでご飯食べながら
迷子のあずさを探してるけど、さすがにあれは私でも無理よ」
P「す、凄まじいな……」
伊織「でも、律子も私も、頑張れるのはやっぱりやりがいがあるからかしらね。
今はやった分だけ成果が出てるから、立ち止まってる暇なんか無いのよ」
P「なるほどな」
伊織「あんたがプロデュースしてる雪歩だってそうでしょ?
雪歩だけじゃなくて、皆確実に伸びてきてるじゃない」
P「……なんか、律子に言われてるみたいだな。
似てきたんじゃないか?」
伊織「そ、そうかしら」
P「まぁ、律子はあれで……ちょっと寂しがり屋なところもあるけどな。
伊織はそこのところどうなんだ?」
伊織「なななっ、なによ、どういう意味よ!」ガタッ
P「お、おっと、」ガシッ…
伊織「あう」ポフッ
P「おいおい、気を付けろよ。
今怪我なんかしたら、それこそ大変だぞ?」
伊織「わっ、わ、わかったから早く放しなさいよ!!」バッ
P「おう、す、すまん」
伊織「う……う、うぅん、まぁ、とっさに受け止めてくれたことには、感謝してるわよ……」プイッ
P「いや、なんかその、すまん」
伊織「あ、謝らなくて良いわよ!
……それで、あんたこそ、どうなのよ」
P「どう、というと?」
伊織「律子が、たまにだけど、あずさに愚痴ってたり、慰められたりしてて、
そんなに一人で孤独に仕事出来るってわけじゃないのは、私もわかるわよ。
で、あんたは? そんなことないの?」
P「そりゃ、俺だって音無さんや律子を頼ったりすることもあるさ」
伊織「ふぅん……」
P「な、なんだよ」
伊織「雪歩は?」
P「……え?」
伊織「雪歩を後ろから抱きしめたり、撫でたりするのは……あんたが雪歩を頼ってるんじゃないの?」
P「な、何を言って……」サァァ
伊織「私、一回見ちゃったのよ。
今日みたいに、事務所に衣装の確認に来たときに、たまたまね」
P「ま、……マジですか……」
伊織「それで、雪歩をとっちめたんだけど、……まぁ、事情を聞いたら、
怒るに怒れなくはなっちゃったわね。良い悪いはともかくとして」
P「いや、良い悪いで言えば、完全に悪いんだが……」
伊織「あら、自覚はあるのね」
P「……」
伊織「……」
P「……はぁぁぁ……やっぱ、プロデューサー失格だよなぁ、俺……」ズーン
伊織「まぁ、どっちかというと、失格ね」
P「……辞めた方がいいかな? プロデューサー……」
伊織「バカ言うんじゃないの。
じゃあ雪歩は何のために頑張ってんのよ」
P「ううっ……」
伊織「……別に、寂しくならない人間なんて居ないわよ。
私だって、……」
P「……伊織?」
伊織「ねぇ、ちょっと、話聞いてもらえるかしら」
P「え? あ、あぁ、そりゃもちろんだ」
伊織「そう。じゃあ、こっち」ポフポフ
P「……ソファに座ればいいのか?」
伊織「好きにすれば。
私は座るけど」
P「……」ギシッ…
伊織「……」
P「……?」
伊織「ま、良いわよ、そこまで大袈裟に隙間空けて座られるとは思わなかったけど」
P「えっ、あ、いや……」
伊織「こないだね。
やよいの家でお泊まりしたのよ。
今までも何回か行ってたけど、結構ひさしぶりだったかしら?
多分、私がかなり忙しそうに見えて、やよいなりに気を遣ってくれたのね」
P「……」
伊織「それで、いつもみたいにやよいと兄弟と、みんなで机を囲んで、
ご飯を食べて、テレビつけたら雪歩が映ってて……すごく楽しかった。
……でも、なんだか、急に、自分が違う世界に迷い込んじゃったみたいな気持ちになって、
すごく楽しいはずなのに、安心できたはずなのに、……
ちゃんと、心から笑えてるはずなのに、やよいには余計な心配かけちゃったわ」
P「伊織……」
伊織「ちょうど、その次の日よ。あんたと雪歩を見たのは。
それで、ユキホノ話を聞いて私は気付いたの。
何であのとき、あんな気持ちになったのか」
P「……なんで、なんだ?」
伊織「自分は人に甘えられない、甘えちゃいけないって、どこかで思ってたから。
それは、そんなのは、この事務所じゃ自分だけだって。
……でも、違った。あんたもそうだったのね」
P「……」
伊織「私は、竜宮小町のリーダーとして、皆を引っ張らなきゃって思ってた。
それが出来ると思ってたし、今でも思ってる。
でも、この事務所を出て、やよいの家に泊まったときの私は……
ただの、水瀬伊織で、竜宮小町のリーダーでも、アイドルでもない。
なのに、甘え方っていうのかしら、そう言うのを、忘れちゃってたのね」
P「甘え方……」
伊織「あんたもよ、プロデューサー。
あんただって、別にプロデューサーとして生まれたプロデュース人間じゃないんだから、
寂しくなったり、甘えたくなったり、誰かを抱きしめたくなったりすることだって……」
P「……」
伊織「……」
P「……伊織は、……伊織は、誰かに甘えたいのか?」
伊織「……」
P「アイドルじゃない、伊織は」
伊織「……うん」
P「それは、俺でもいいのか?」
伊織「……、……うん」
P「わかった……ほら、おいで」
伊織「……」
トサッ……
P「伊織は、ちっちゃいな」
伊織「そりゃ、美希なんかと比べたら……」
P「よく、頑張ったな」ギュッ…
伊織「……あんただって」キュッ
P「……伊織、最近ちゃんと食べてるか?」
伊織「気を付けては、いるわよ……」
P「そうか……なら、いいんだ」ギュウッ
伊織「んっ……」
P「嫌じゃ、ないか?」
伊織「……もっと」
P「ん」ギュウウウッ
伊織「っは、あ、ぁ……あぁ……」
P「伊織……」
伊織「んぅっ……甘え、られるのも……悪くないわね……」
P「伊織……伊織……っ」ギュウッ、ギュウゥッ、……
伊織「ふ、う、……ん、ぬいぐるみに、なったみたい、ぁ……」
P「ぬいぐるみは、こんなにあったかくないぞ……」ナデナデ
伊織「んくっ……ちょ、ちょっと、あんた、……そこは……」
P「……甘えるといったら……ここだし」スリスリ
伊織「んっ、く、んんーっ……! あ、ぁ……で、でも、私、そんなに……
ちいさぃ、し……楽しく、なっ」ビクッビクッ
P「伊織が嫌なら、辞めるけど……」
伊織「……うぅー……」フルフル
P「じゃあ……触るからな……」ゴソ…
伊織「……っ!!」ゾクゾクッ!
P「ブラ、外すぞ? ……よっ、と」スッ
伊織「……は……はぁ……」
P「……伊織、大丈夫か?」ボソッ
伊織「みっ、耳元で、ぇ、声出すなぁ……!」
P「……ごめんな」サワッ
伊織「ひっ……ぅ……っ……」
P「……やっぱり、思ってたより、ずっと柔らかいぞ」モミモミ
伊織「そ、んなっ……!」ビクッ
P「先っぽも、……」クリッ
伊織「……っ……」ビクビク
P「……」モミモミッ
伊織「ぃ、た、……ぁううっ……」
P「あ、ご、ごめん、ちょっと力入れすぎたな」
伊織「……もう……」
P「す、すまない」
伊織「……やさしくしてよ、今ぐらい」
P「! ……あぁ、やさしく、な」モミモミ……
伊織「んっ、う、ふ……そ、れ、……」
P「伊織……」ギュウッ……
伊織「……く、ぅ……」キュウ
伊織「……変態」
P「うっ」
伊織「ド変態」
P「ううっ」
伊織「変態大人」
P「うわああああ」
伊織「まさか雪歩にもこんな感じだったんじゃないでしょうね?」
P「……こんな、感じでした……」
伊織「呆れた……抱きしめるだけかと思ったら、話が違うじゃない……」
P「すまん……ほんとに……」
伊織「……そんなに、触りたかったの?」
P「え、あ、あぁ……正直、我慢できなかった……」
伊織「ふぅん……」ジーッ
P「あ、あの、伊織さん……?」
伊織「……まぁ、揉むと大きくなるって言うしね……」ボソッ
P「え? なんだって?」
伊織「何でもないわよ、変態プロデューサー。
……雪歩が忙しいときは、私にも甘えなさいよね。
私も、甘えたいから」
その後、伊織は単独でとある牛乳のイメージキャラクターに起用され、
更に竜宮小町と765プロを勢い付ける起爆剤となるのだが、
牛乳を飲んだことによるサイズの変化は、プロデューサーその人のみぞ知るとか知らないとか……
おわり
P「……事務所は危ないから、場所を今度から変えようという話をしたつもりが、
うっかり伊織のことまで雪歩に話してしまった……
ずいぶんショックを受けてたのもあるが、
なんかいつもよりたくさん揉まされたような……
ぼそっと『伊織ちゃんに抜かれちゃう』とかいってた気がするけど、なんの話なんだろうか?
……さて、仕事は終わったが、そろそろ車を回して迎えに行かないとな。
この時間からだと、直帰になるか?」
Pが今日迎えに行くアイドルとは……>>154
ちょっとラーメン食ってくる。
しかし小鳥
P「しかし、この車で音無さん拾うってのも珍しいな。
本人はずいぶん遠慮してたみたいだけど、
遅い時間の営業なんだし、別に気にしないでいいのにな。
……しかし、音無さんの接待か……
なんか、うん。すごそう。
いや、別に、うん」
ブロロロ……
P「……しかし、今からでも音無さんアイドルいけるんじゃないかなぁ。
確か、最近すごい勢いで伸びてる新興事務所には、下は一桁から上は20後半まで、
一線級のアイドルがデビューしてるっていうし……
……まぁ、今の状態で事務員が居なくなったら、うちの事務所終わるけどな」
小鳥「プロデューサーさん、わざわざありがとうございます」
P「いえいえ、音無さんこそお疲れさまでした。
でも、音無さんが営業なんて珍しいですね」
小鳥「プロデューサーさんがうちの事務所に来る前には割と多かったんですけどね。
今回は、そのプロデューサーさんが来る前に少しお付き合いのあった所の一つでしたから」
P「なるほど、そう言うわけですか……
ちなみに、感触はどうでしたか?」
小鳥「うぅーん……まぁ、そこそこって感じ、ですかね?」
P「ふぅん……?」
ブロロロ……
小鳥「最近、みんなどんどん活躍してきてて、プロデューサーさんも大変ですね」
P「嬉しい悲鳴ってやつですが……まぁ、それも音無さんのフォローあってのことですよ。
いつも、俺の取りこぼした仕事までやっていただいてありがとうございます」
小鳥「いえ、そんな!
プロデューサーさんも、アイドルのみんなも頑張ってるのを見たら、
自分も頑張らなきゃーって思って……それで、お付き合いさせてもらってるだけですよ!」
P「みんな、音無さんに感謝してますよ。
事務所に戻って誰かがいる、って言うのは、それだけでありがたいですからねー」
小鳥「まぁ、美希ちゃんなんかは『えー! ハニーは? 小鳥しかいないの?』って言いますけどねぇ」
P「あいつ……しばらくおにぎり禁止だな」
小鳥「あはは」
P「俺も最近は結構遅くまで一人で仕事することが増えたんですけどね、
そこで音無さんのありがたさってのを再認識してるわけなんですよ」
小鳥「え? どういうことですか?」
P「いやー、ほら、……夜一人でいると、なんか寂しいじゃないですか」
小鳥「あ、あぁー……わかりますわかります、独り言とか増えますよね」
P「えぇえぇ、もうその通りです。
だから、どうせ残業するなら音無さんがいるときに、と思ってるんですけどね」
小鳥「あ、あはは、な、なんかくすぐったいですね……」
P「で、音無さんはどこで降りるのが良いですか?
俺もこのまま帰るんで、自宅まででも全然構わないんですけど」
小鳥「……えと、じゃあ、家まで送ってもらっても、いいですか……?」
P「もちろんですよ」
小鳥「すみません、甘えてしまって……」
P「いや、いつもはこちらが助けてもらってますからね。
このくらいはお茶の子さいさいですよ」
小鳥「ぷっ、なんか古いですよそれ」
P「あれ、そうですか?」
小鳥「でも、ほんとに、プロデューサーさんが来てから、
事務所の様子ががらっと変わりましたよね」
P「ん? そうですか?」
小鳥「はい。単純にみんなお仕事が増えて忙しくなったっていうのもありますが、
何というか……前より、もっとみんな仲良くなった気がします」
P「はぁ……まぁ、俺は自分が入社してからのことしか知らないから、
何とも言えませんけど……」
小鳥「ふふ、前は私が一番事務所によくいる年長者でしたから、
結構みんなのお姉さん、って感じだったんですよ?
お仕事が無いときに、宿題を手伝ってあげたり、ゲームしたりして」
P「あぁ、なるほど、確かに音無さんはお姉さんっぽいですね」
小鳥「やよいちゃんと一緒に掃除したり、お腹だして寝てる美希ちゃんに毛布掛けたり、
迷ったあずささんを拾いに行ったり、春香ちゃんとお菓子作ったり……」
P「微笑ましいですねぇ」
小鳥「でも、最近はみんなちゃんとアイドルとしての自覚が出てきて、
前ほどお仕事以外で一緒に居ることは少なくなりました。
その分、事務所で会える少しの時間でも大切にするようになって、
それがかえってよかったんだと思います。
まぁ、私がお姉さんぶる機会もめっきり減っちゃったんですけどね。
……あ、別にその、変な意味じゃないですよ?
ただ、あの……なんて言うか、ちょっとだけ、その、ね」
P「寂しくなった、ですか?」
小鳥「……はい。ちょっと、だけ」
P「……」
小鳥「いえ、わかってるんですよ?
私は裏方ですし、裏方には裏方の仕事があって、
それがあの子達の活動の助けになるなら、
それはもう、ずっとそばでお仕事を手伝ってるのと同じだと、私は思ってます。
こんなに嬉しいことはないって、ほんとにそう思ってます。
……ただ、どうしても、誰もいない事務所に一人で居て、
みんなの予定表を書いてると……なんか、ちょっと、
自分が場違いな存在なんじゃないかってですね、
あの、いや、違うなこれ、えーと、えーっと、……」
P「……ダッシュボードに、テッシュありますよ」
小鳥「す、すみません急に、なんか最近涙もろくなっちゃって、歳かな?なんて……」
P「音無さんは、場違いなんかじゃないですよ。
俺から見れば、音無さんだってアイドルの一人です」
小鳥「……ありがとう、ございます」
P「さて、この辺でしたっけ?」
小鳥「あ、はい、そこを右に曲がって……次の交差点の手前のマンションです」
P「了解です」
小鳥「……あ、あの、プロデューサーさん」
P「なんですか?」
小鳥「もしよかったら、あの……お茶ぐらい、飲んでいきませんか?
今日の、お礼と言うことで……その……」
P「え? えっと、俺は構いませんけど、いいんですか?」
小鳥「な、なんかみっともないところだけ見られて帰るのも、やじゃないですか!」
P「いやいや、みっともないなんて……音無さんは優しい人だと思っただけですよ」
小鳥「う、うぅ……と、とにかく!
ちょっと寄っていってくださいよ!」
P「は、はい」
小鳥「あー、掃除しておいてよかった……」
P「良い部屋ですね。
散らかりっぱなしのうちとはえらい違いだ」
小鳥「普段はもっとだらしないんですけど、こないだ両親が来まして……」
P「あぁ、なるほど、それで掃除したと」
小鳥「と言うか、ほとんど母が……」
P「あはは、何歳になっても親子は親子ですからね」
小鳥「ほんとに……それで、勝手に掃除して男の人と写ってる写真の一つもないって、
勝手にがっかりしていかれたんですよ」
P「あれ、音無さん、今誰かとお付き合いされてないんですか?」
小鳥「なななななななに言ってるんですか!
そんなことあるわけ……い、いや、無い方がおかしいですよね……」ズーン
P「いや、違う意味でびっくりしてますよ。
毎日綺麗にして出て来られてますし、てっきり誰か男性の方がいるのかと」
小鳥「……モテないんですよ、私」
P「えぇー、そんなバカな……」
小鳥「うぅ……だ、だって……」
P「わざわざコーヒー淹れていただいて、ありがとうございます。
音無さんは……今飲んだら、寝付きが悪くなっちゃいますね」
小鳥「あ、あの、実は空けかけのワインがあって、……」
P「あぁ、どうぞどうぞ、お構いなく。
飲んじゃってください」
小鳥「なんかすみません、私だけ」
P「いえいえ、今度また居酒屋でも行きましょうよ」
小鳥「はい、是非……お願いします」
キュポンッ、
トクトクトクトク……
P「美味しいですね、このコーヒー」ズズッ
小鳥「あ、一応、豆から挽いてるやつなので……お口に合ったならよかったです」
P「カップもおしゃれだし、やっぱり音無さんは女子力高いなぁ」
小鳥「もう、女子なんて言う歳じゃないですよ……
親も、見合い見合いって言うようになってきましたし」
P「お見合い、ですか」
小鳥「このままじゃダメだって言うのは、わかってるんですけどね……」ゴクゴク
P「でも、いま音無さんにいなくなられたら、
765プロは間違いなく機能停止ですからね……
個人的には、そりゃ良い人が居るなら応援したいところですけど」
小鳥「……」
P「……音無さん?」
小鳥「……ちょっとだけ、愚痴を聞いてもらってもいいですか?」ゴク……
P「あ、あぁ、俺に聞けることなら、遠慮なくどうぞ」
小鳥「今日の営業先なんですけどね……担当の方が、急に来られなくなって、
先方の代理の方が来られたんですよ……初めてお会いする方でした」
P「ほうほう」
小鳥「ただ、代理と言っても、担当の方の上司の上司に当たる方で……
つまり、事実上の企画の決定権を持っている立場の方なんですね」
P「えっ、じゃあ、ほとんど向こうの社長さんと話したようなもんじゃないですか」
小鳥「はい……それで、すっかり緊張してしまって……
まぁ、そんなこんなで、営業自体はスムーズにまとまったんですが、
その方が、こう言うんですよ、『君が、彼の言っていた噂の事務員さんか』って」
P「彼、と言うと、元々の担当の?」
小鳥「はい、多分。
それで、噂、って言うのは……なんだか、恥ずかしいんですけど、
その……ちょっと美人だ、とかなんとか……」
P「あぁー、なるほど、それでわざわざ上の方が来た、と。
さすが音無さんですね」
小鳥「それが、その……普段の担当の方は、とても良い方なんですけど、……
……こう、どうも、変な勘違いをされたというか、何というか……」
P「ん? どういうことですか?」
小鳥「あの……そのですね、えと……わ、私がですね、その、
担当の方と、個人的に……と言うか、接待というか……」
P「……あ、……あぁー……なるほど……」
小鳥「そ、そんなこと、絶対ないですよ!?」ガタッ
P「わ、わかってますよ!」
小鳥「あ……ごめんなさい……」
P「い、いえ、……そ、それで?」
小鳥「ただ、その……そう言うことは、前の営業の時にも、他の会社でも、
その……無かったことではないので、やんわりお断りしたんですが……」
P「……」
小鳥「帰り際に、……ちょっと、髪の毛と、お、お尻を……触られ、て……」
ポタッ……ポタタッ……
小鳥「そ、それが、すご、すごく、ショックで、……
……い、いままで、そんなの、だ、誰にもされたこと無かったのに……
あぁ、こんな風に、あの、されちゃうんだ、って、
自分、今までな、何やってたんだろって、なんか、バカみたいになっちゃっ、て」
P「……音無さん、無理に話さなくても……」
小鳥「す、すみません、なんか泣いてばっかりで……め、めんどくさいですよね、ごめんなさい、私……」グスッ
P「いえ、そんなことは無いです。
音無さんは、そんなことがあっても、絶対普段だったら見せないじゃないですか。
それって、すごいことだと思うし、尊敬しますよ。
俺なんて……やっぱり、どこかで甘えが出たり、それを仕事に持ち込んでしまったりも、しますし」
小鳥「い、いえ……プロデューサーさんは、立派な方です、
アイドルのみんなに信頼されて、みんなプロデューサーさんのことは大好きで……、
でも、私、やっぱり、ほら、こんなこともあって、
アイドルのみ、みんなとは、違うんだって……」
P「音無さんは、確かに……表舞台に立つアイドルでは無いです。
けど、俺や社長の代わりに事務所で応接したり、
みんなの事務所を守ったり、やっぱり、裏方のアイドルですよ。
俺は……すみません、こんなことを言ったら、余計に傷つけてしまうのかもしれませんが、
音無さんはかっこいいし、立派な、事務所の一員で、裏方のアイドルだと思ってます」
小鳥「ぷ、……プロデューサー、さん……あり、ありがとう、ござ、います、
わ、私、…嬉しいです、なんか、認めてもらえたみたいで……」
P「みんな音無さんのことを、仲間だと思ってますよ。
……それに、たまには、こうやって愚痴をこぼすのも、良いじゃないですか。
俺でよかったら喜んで付き合いますよ」
小鳥「……っ!」プイッ
P「……あ、あれ、なんでそっぽ向かれたんだろ……
す、すみません、やっぱり気に障りましたか?」
小鳥「ちがっ……だから、……なれてないんです!
そんなこと、いわれるの……」
P「そんなこと、って」
小鳥「だから、その……よ、よろこんで、つ、付き合うとか……
プロデューサーさんは、平気で言いますけど……」モジモジ
P「えっ、あっ、ええっ!
そ、そこですか?」
小鳥「ど、どうせ私は万年干物女ですよ!
モテない女、略して喪女ですよ!」
P「い、いや……」
小鳥「なんですか! なんなんですか!
酔っ払いめんどくさくてすみませんね!」
P「じゃなくて……か、可愛いなぁと」
小鳥「……」
P「……」
小鳥「……」
P「……」
小鳥「はぁ……プロデューサーさん、そんなこと、
アイドルの子達にしか言っちゃいけないんですよ?
今をときめく安眠系アイドル萩原雪歩、成長系アイドル水瀬伊織、
そのほか金銀宝石がきらきら光るうちのアイドルを差し置いて、
私が、わ、わたしなんかが、か、かかっ、かわい、かわいいだなんて、
あの子達にしちゅ、失礼ですよ!」
P「……」
小鳥「……」
P「……」
小鳥「……ええ、噛みましたよ! 認めますよ!
素直に認めますよ、はい噛みました!」
P「可愛い」
小鳥「なっ」
P「……」
小鳥「……なんなんですかぁ……もう……」プイッ
P「何なんですかも何も、だって、
俺普段から音無さんもアイドルやればいいって思ってるぐらいですし……」
小鳥「な、なっ、何言ってるんですか!
無理ですよそんなの!」
P「って言ってた雪歩だって、今やあの安眠系アイドルですよ?」
小鳥「で、でもっ、わ、わたしは、そんな……」
P「それに俺が来るまで、雪歩がアイドルを諦めなかったのも音無さんのお陰でしょう?
まぁ、もちろん急にアイドルをやれなんて言えませんが……」
小鳥「……わっ、わたし、水くんできますっ」フラッ
P「あ、酔ってるのにそんな急に立ったら!」
ドンガラガッシャーン
P「いつつ……大丈夫ですか、音無さん」
小鳥「ぅう……す、すみま、せ……」
ギュッ
P「……」
小鳥「……あ、あの、プロデューサーさん……」
P「はい」
小鳥「な、なんか、あの、こ、後頭部に、鼻息が……」
P「……良い香りがします」
小鳥「ーーーーっ!?」ジタバタ
P「ん」ギュウッ
小鳥「うあっ!……ぷ、ぷ、プロデューサー、さん、あの、はな、離して……」
P「もうちょっと、このままで……ダメですか?」
小鳥「……ダメ、ですよ」
P「どうして?」
小鳥「か……勘違い、しちゃうじゃ、ないですか……」
P「勘違いって?」
小鳥「こんな、こんなことされたら……わけわかんないですよぉ……」
P「……可愛い」ボソッ
小鳥「うひゃあっ! も、もうっ、からかってるでしょ!」
P「……」ギュゥゥゥ
小鳥「はうっ……は、あの、あの、プロデューサーさん、ほんとに、その……」
P「……ダメ、ですか?」
小鳥「……」
P「……」
小鳥「ダメじゃ……ない、です……」
P「よかった」ギュウッ…
小鳥「し、知りませんから、私、知りませんからね、もう……」キュ…
P「音無さん、柔らかい……」サワサワ
小鳥「なっ、ど、どこさわってるんですか!」
P「どこって……すでに色々、当たってますし」ムニムニ
小鳥「……っ」カァッ
P「やっぱり、音無さんがモテないはず無いですよ、こんなに綺麗で可愛いのに」
小鳥「も、モテないものはモテないんですよ!」
P「おかしいなぁ……まぁ、この際、それはどうでも良いですけど」サワサワ
小鳥「ぃ、う、あ、はんっ……ちょ、ちょ、ちょっと、プロデューサー、さん……」
P「なんですか?」ゴソゴソ
小鳥「……あ、あの、ぅ、うぅ、そ、そのですね、せ、せめて、ベットで……」
P「……もうちょっとしてからで」モミモミ
小鳥「きゃ、ぁうっ、あ、あぁ、は、え、ええっ?」
P「……でかい」
小鳥「も、もうっ、おこりますよ!」
P「だって、ほら、手のひらに収まりきりませんよ」モミモミ
小鳥「や、やはぁっ……プロデューサー、さん、手付きが、やらし……」
P「すみません、つい」モミモミ
小鳥「はぁん! や、やぁっ! つ、ついってなんですかぁ!」
P「これは触らずにはいられないですよ」クリッ
小鳥「あ……っ……!」ビクビクッ
P「……痛かったら、ごめんなさい」グワシ
小鳥「え……?」
P「……」モミモミモミモミ
小鳥「あっ、や、やぁ、あんっ、あぅ、はう、は、や、やぁっ!」
P「音無さん……あったかいですよ……」モミモミクリクリ
小鳥「も、だ、ダメ、だめですってばぁ……!」ビクッビクッ
トサッ
ギシッ…
P「音無さん……初めて、なんですよね?」
小鳥「ぁ……あの……はぃ……」
P「……いいですか?」
小鳥「……えと、……その……」
P「俺もそんなに慣れてるわけじゃないですが……精一杯、優しくしますから……」ギュッ
小鳥「あ、ぁう、あの、プロデューサーさ、ん……私、……ダメ、です……」
P「……」
小鳥「ご、ごめ、んなさい、プロデューサーさん、
ダメなんです、……ほんとに……」
P「まさか、ここまで来てお預けくらうとは……」
小鳥「す、すみません、昨日始まっちゃって……」
P「……まぁ、それなら今日のところは、上の方を堪能させてもらいますよ」
小鳥「え、ええっ?」
P「こんなの目の前で揺らされて、我慢できるわけ無いでしょうが」モミッ
小鳥「はうっ」ピクッ
P「……ほんとに可愛いな、しかし」ツンツン
小鳥「も、もう! やっぱりからかってるでしょ!」
その後に企画・撮影された765プロ密着ドキュメンタリーで、
事務所の撮影カメラに写り込むのを頑なに拒んでいた小鳥だったが、
うっかり給湯室で見切れてしまったが最後、
『765プロの新人アイドル』として実況板を始めネット各所で騒ぎになることを、
このとき二人はまだ知らない。
おわり
あ、小鳥さんはPにはコーヒーを出して、ワインは自分だけで飲んでたんだよ。
Pが車だから気を遣ったんだよ。
出来る女だからね。
やよい「あれ? 響さん、こんにちわですー!」ガルーン
響「おお、やよい!
こんなところで会うなんて、奇遇だな」
やよい「そうですねー! 響さんはお買い物ですか?」
響「いや、買い物はもう終わって、今は散歩してるところだぞ。
やよいはどうしたんだ?」
やよい「私は、長介のお弁当袋が古くなって来たから、
新しいのを買おうと思って探してたところですよー」
響「へぇー、何か良いのは見つかったか?」
やよい「それが……最近、長介もおっきくなってきたから、
あんまりどう言うのが良いのかわからなくて……」
響「あぁ、そっか、難しいもんなー。
……よーし、じゃあ私も一緒に探すの手伝うぞ! 二人なら何か良いのが買えるかもだし!」
やよい「ほんとですかっ? ありがとうございますー!」
カァ、カァカァ……
響「結局、良いのが決まらなかったぞー……」
やよい「うぅ……せっかく着いてきて貰ったのに、ごめんなさい、響さん……」
響「えっ、いや、やよいが謝ること無いぞ!
自分のセンスが……その、無いだけで……」ズーン
やよい「ああっ、ちっ、違います!
私が自分の家族のことなのに、よくわかってないから……」ズーン
響「……」
やよい「……」
響「……他の誰かに、聞いてみるか?」
やよい「そ、そうですね!」
響「うーん、誰が良いかな?」
やよい「あっ、真さんだったらかっこいいの選べそうかなーって!」
響「真……真かぁ」
\キャピピーン/
響「……いや、真に聞くのはやめとこう、うん」
やよい「? そうですか?」
響「うーん、こう言うのは、結局プロデューサーに聞くのが一番良いんじゃないか? 男だし」
やよい「あっ、そうですねー!
プロデューサー、うちでも弟たちから好かれてるし、
きっと良いのが選べると思います!」
響「そうと決まれば、早速電話だぞ!」
prrrr...prrrr...
P「はぁ……半日とは言え、久しぶりの休日だったな、今日は。
でも、朝も事務所に来てたのは音無さんだけだったし、
みんなが事務所に来る前に上がったから、
アイドルと一人も会わなかったことになるのか……なんか変な感じだな。
いつもいつも、あんな賑やかなもんだから、急に休みってなるとな……
……いかん。いかんぞ。
最近、色々あってなんか感覚が緩んできてるが、
すぐ雪歩や伊織に甘えるのは、やっぱり良くない。
ただでさえ、自分が出したぼろなのに、これ以上状況が悪化しないか気が気でないのに……
たまたま伊織だったからよかったものの、万一、他のアイドルにも知れたら、
事務所クビだって充分ありうるし……
……でも、やよいは甘やかすの上手そうだし、響は柔らかそうだし……いや、しかし……」
prrrr...prrrr...
響「プロデューサー、今から来てくれるんだってさ」
やよい「えーっ! ほんとですか?」
響「なんかよくわかんないけど、謝られたぞ。
あと、やよいにも謝っといてくれって?」
やよい「?? どうしてですか?」
響「さぁ。自分にはなんのことだかわかんなかったぞ」
やよい「なんなんだろ……プロデューサーが私たちに謝ることなんて、
ぱっと思い付かないですけどねー」
響「まぁな。自分はよくからかわれるけど、そんな、嫌なわけじゃないし」
やよい「……響さんって、プロデューサーに似てるお兄さんがいるんですよね?」
響「ん? あぁ、そうだぞ。
かなり似てて、自分もびっくりしたさー」
やよい「お兄さん、って、どんな感じですか?
私、弟と妹しか居ないから……」
響「うーん、どんな感じ、って言われてもなぁ。
基本的には、会ったらからかってくるし、
こっちが本気で怒ってもはいはいって流されるし、
やたら頭なでてくるし……まぁ、プロデューサーとそんなに変わらないな」
やよい「そうなんですか?」
響「考えれば考えるほど、似てる気がしてきたぞ」
やよい「じゃあ、お兄さんは、頼りになります?」
響「そりゃー、やっぱり年上だし、力持ちだし、いざってときは頼りになるぞ!」
やよい「……プロデューサーも、頼りになりますもんねー」ニコッ
響「うがっ……ま、まぁ、プロデューサーも、そこそこ、やるんじゃないか? 知らないけど」プイッ
P「おー、遅くなってすまんな」
やよい「うっうー! プロデューサー、こんばんわです!」
響「呼び出しといて言うのもだけど、せっかく休みだったのに、来てよかったの?」
P「ん? そんなこと気にするなよ。
どうせ家に一人でいたって、飯食って寝るしかやることないんだ。
響もやよいも、家族がたくさん居るからそんなことは無いだろうけどな」
響「ふーん、そうなのか?」
やよい「プロデューサー、なんか可哀想です……」
P「ま、だから俺にとっては事務所が家でアイドルが家族みたいなもんだ。
やよいは……娘か、妹かな?」
やよい「! それなら、妹がいいですーっ!」
P「そうかそうか、じゃあ響はペットだな」
響「うがーっ! なんでそうなるんだー!」
P「よしよしどうどう」ナデナデ
響「ううー……!」
やよい「えへへ」
P「それで、なんだったか、弁当袋だっけ?」
やよい「はい、そうなんですー」
響「二人で色々探したんだけど、良いのが見つからなくて……」
P「ふむ。ちょっと、その店を教えてくれないか?」
やよい「あ、すぐそこのお店ですよ」
響「もう一回、行ってみるかー」
ガヤガヤ、ガヤガヤ……
P「あー、なるほどな。この中から選ぼうとしたわけだ」
やよい「でも、長介だったらどれが良いのかわからなくて……」
響「いくら男の子向けでも、さすがに乗り物柄は嫌だろうしなー」
P「だな、ちょっと子供っぽすぎる。
買うなら……あっちの方がいいな」
やよい・響「?」
P「これなんか、かっこいいだろ。
別に、袋じゃなくても良いんだろう?」
響「渋いけど、かっこいいぞー!」
やよい「ランチクロス、ですか?」
P「ああ。これなら、中学生になっても使えるしな。
青とか緑の、暗い色のチェック柄なら外れはないだろう」
やよい「でもでも、なんだか、ちょっと長介にはまだ早いかなーって……」
P「あはは、まぁそう思うのもわかるけどな。
やよい、長介君ぐらいの年の男の子は、みんな早く大人になりたいんだよ。
だから、やよいがこれをプレゼントしたら、
長介君はちょっと大人になれた気分になる。
そしたら、家の中でも、ちょっと大人としてものを考えられるようになるかもしれない。
これは、やよいから長介君へ、頼りにしてる、ってメッセージになるんだよ」
響「おお! なるほどだぞ!」
やよい「……私、これにします!」
P「よしきた、じゃあレジで包んで貰ってこようか」
やよい「はいっ!」
やよい「あの、プロデューサー、お金を……」
P「良いって良いって。そのくらいは出させてくれよ。
何もない休みに、せっかく誘って貰ったお礼だよ」
やよい「で、でも……」
響「……あ、そうだ」
P「ん? どうした、響」
響「やよいは、にぃに……兄ちゃんが欲しいんだよな?」
やよい「え? えっと……いたら、どんな感じなのかなーって」
響「じゃあ、プロデューサーになってもらえば良いんじゃないか?」
P「な、なんな話だ?」
響「良いから良いから、せっかくだし、今日はプロデューサーににぃにになってもらおう!」
やよい「……じゃ、じゃあ、お願いしても、いいですか?」
P「なぁ、話が見えないんだけど」
アリガトウゴザイマシター
P「まぁ、言ってることはわかったが……それで、なんで俺んちで飯を食うってことになるんだ?
しかも、やよいが作るとかなんとか。」
響「家族は一緒にご飯食べるもんだろ!」
P「そりゃまぁ、そうだが……やよい、家の方は大丈夫なのか?」
やよい「あ、はい、今日はお母さんがいるので……
長介のランチクロスのこと言ったら、ちゃんとお礼してきなさい、って」
P「それならまぁ、俺は構わないが……散らかってるぞ?」
響「へ、変な本とか無いだろうなー?」
やよい「う? へんなほん?」
P「おいやめろバカ」
飯。
落ちてなかったら続き書く。
P「ふぅ、食った食った」
響「御馳走様だぞ、やよい!」
やよい「おそまつさまですー」
P「いや、やよいはともかく、何でナチュラルに響までいるんだよ」
響「なんだー? 自分だけ仲間外れか?」
やよい「仲間外れはダメですよ、プロデューサー! めっ!」
P「めっ、て言われてもな……まぁ良いけど」
響「それにしても、やっと涼しくなったと思ったら、今日はまた暑かったなー。
結構汗かいちゃったぞ」
やよい「う、私もです……」
P「……わかったよ、着替えはないけど、シャワーぐらい使って行け」
響「やよい、見て見て、この洗濯機」
やよい「はわ! これって洗濯機なんですか?」
響「ドラム式ってやつだぞ。すっごいしっかり洗えて、すっごい乾くの早いやつだ」
やよい「えー、うちにあったら便利かも……」
P「わかったわかった、わかったよ、もう。
ジャージ出してやるから、脱衣場のカゴにまとめて服入れとけ、まったく」
響「うししー」ハイタッチ
やよい「えへへー」ハイターッチ
P「やれやれ、今日だけだからな」
「やよい、洗いっこするぞー!」
「きゃあっ、く、くすぐったいですよ響さん!」
P「無心無心、心頭滅却……げ、あいつら下着までカゴにいれてたのかよ。
着替え無いって言ってるのに、もう洗濯始めちまったぞ……
乾燥で傷まなきゃいいんだが……って、違う違う。
あいつら……下着無しで待つ気なのか……?」
「あれ? やよい、ひょっとして、千早よりも……」
「ふぇ? なんですか?」
「いや、うーむ……千早、哀れだぞ」
P「全くだ。無心無心」
チャプン……
やよい「気持ちいいですねー」
響「プロデューサー、結構良いとこに住んでるんだなぁ……」
やよい「……」
響「? やよい、どうしたんだ? のぼせたのか?」
やよい「ひょっとして、響さんは、プロデューサーのこと好きなのかなーって……」
バッシャーン!!
P「おーい、あんまり暴れるなよー」
やよい「だって、結構強引にプロデューサー呼び出して、家まで来ちゃってましたし」
響「ううううぅ……まさか、やよいにバレてるなんて……」ブクブクブク
やよい「プロデューサーのこと、にぃに、って呼びたいんですか?」
響「やっ、……やよいが、やよいが貴音みたいにエスパーになっちゃったぞ……!」
やよい「……私も、プロデューサーのこと、お兄ちゃんって呼んでみたいなー」
響「……やよいも、プロデューサーのこと、好きなのか?」
やよい「まだ、よく、わからないです。
でも、もしプロデューサーと家族だったら、って思うと、
身体がポカポカしてきて、胸がきゅーってなります」
響「……自分も、そんな感じだぞ。
からかわれるのも、頭なでられるのも……もっとしてほしいなって、思うんだ」
やよい「……私たちも、なんだか姉妹みたいですねー」
響「あ、それ自分も思ってたぞ」
やよい「響お姉ちゃん……響……響かな?」
響「あれっ。自分、妹なのか?!」
やよい「だって、響さん、私より甘えたさんですし」
響「ううっ……や、やよいねぇね……」ブクブク…
P「お、やっと上がったか。
ちゃんと髪乾かせよー、ドライヤーそこにあるから」
響「はーい」
やよい「お風呂、ありがとうございました、プロデューサー」
P「ん」
P(湯上がり響に、湯上がりやよい……朱の差した頬に、濡れて下ろした髪……
二人とも、俺のスウェットを着てて、袖が余ってるし、腰回りもぶかぶかだ。
……その下は……い、いかん。いかんぞ。
これはけしからん、いかん。なんてことだ。
早く服を着せて帰らせねば……)
響「プロデューサー、扇風機使って良いか?」
P「あ、あぁ、いいぞ」
やよい「あっ、テレビに伊織ちゃんが映ってますー!」
P「ちゃんと髪乾かしてから見ろよ」
響「あれ? コンセント抜けてるぞ。これかな?」
P「おい、それは湯沸かし器のコンセントで……」
バチンッ!
ヒューゥゥン……
響「うわっ、ななっ、なんだ? 真っ暗になったぞ!」
やよい「こ、こわいです……」
P「マジかよ……ブレイカーってどこにあったっけ……」
P「管理人さんに電話繋がらないな……外出中か?」
響「ご、ごめんなさい、自分が変なことしちゃったから……」シュン
やよい「私がドライヤー使いすぎたから……」シュン
P「あー、いや、俺がちゃんと把握してなかったのが悪い。
洗濯機のことをすっかり忘れてたからな」
響「……」ズーン
やよい「……」シューン
P「だ、だから、二人が悪いってわけじゃなくて……あー、もう……」
グイッ
響「わっ」
やよい「ふあっ」
P「ほら、二人ともこっちこい、兄ちゃんはそんなことで一々怒らないぞ」
響「……にぃに……」
やよい「おにい、ちゃん……」
P(……しまった、あまりに二人がしょげてたから、つい勢いでやってしまった。
なんか暗くて、どういう状況なのかがいまいちわからないが……
これ、右が響で左がやよいだよな?
ソファから落ちないようにしないと……って、なんか、え?
これ、俺の腕、これ、どっちのどこに当たってるんだこれ)
やよい「……おにいちゃん」ギュッ…
響「にぃに……」ギュウッ…
P(おおおおおちつけ落ち着け、まずは状況確認だ……
これは……俺がソファの中央に深く座ってて、
そこに、右から響が寄りかかってて、左からやよいがもたれかかってて、
二人とも背中を俺に預けて、俺が肩から回した腕を、前で抱きしめてる、と)
……ムニ
P(落ち着いてられるかっ!!)
響「にぃに、……にぃにの腕、あったかいな」
やよい「すごく、安心します……おにいちゃん……」
P(は、……鼻血でてないな? たぶん……)
響「……にぃに、甘えてもいい? いまだけでいいから……」ギュッ
やよい「私も……いまだけ、お姉ちゃんじゃなくなっても、いいですか……?」キュウッ…
P「……あぁ、いいぞ。
今は、好きなだけ甘えたらいい」
響「にぃに、にぃに……」スリスリ
やよい「おにいちゃん……」サワサワ
P(妹に邪な気持ちは抱かない妹に邪な気持ちは抱かない妹に邪な)
P(しかし、……この二人は、特にずっと頑張ってきたんだよな。
響は遠い所からたった一人で、やよいは家族を支えるために。
……普通だったら、自分が誰かに甘えたいこともあるだろうに、
特に二人ともそれがしにくい環境だ。
せめて、二人のすぐ近くに、年上の兄弟でもいればよかったんだが……
……そんな、無い物ねだりもせずに、我慢してたんだな、きっと)
ギュッ
響「あぅ……」
やよい「んっ……」
P「……二人とも、よく頑張ったな」
響「にぃに……ぎゅってして……」
やよい「私も……」
ギュウッ…
響「ぅあ、に、にぃに……にぃにぃ……」ムニムニッ
やよい「ん、はふ、おに、ちゃ……」ムニニ
P(……さっきから、やわらいやらなんやらが、腕に当たってるんだが)
響「……ん、あ、ぅ……」スリスリ
やよい「ぁ、ふ、あ、うぅ……」モゾモゾ
P(……)
モミッ
響「ぁあっ!」ビクッ
やよい「ふゃんっ!」ビクンッ
響「に、ぃに……?」
やよい「おにいちゃん……」
P「……」
モミモミ
響「やっ、あ、あう、あんっ、は、ぁや……」ビクビクッ
やよい「んっ、んぅ、ふ、くぅ、……あっ……」ビクンビクン
P「……嫌だったら、そう言ってくれ」
響「……」フルフル
やよい「……」フルフル
P「そうか……」モゾモゾ
ピトッ…
響「あ、ったかい……ぞ」ピクッ
やよい「どきどき、します……」ピクン
P(……いやいやいや、ダメだろこれ完全にダメなやつだ。
雪歩や伊織でもダメだったけど、これはなんかもっと根本的にダメなやつだ。
でも、このスウェット一枚下に、響の柔らかさや、やよいのあたたかさがあって、
それや触らずにスルーすることができるか?
それを出来なきゃ、兄貴には、家族にはなれないのか?)
響「にぃに、……もっと……おねがい……」モジモジ
やよい「おにいちゃん……はやく……」モゾモゾ
P(俺は悪くない。うん。
俺が悪いけど、俺は悪くない)モミモミ
響「きゃ、きゃぅ!」
やよい「あぅ、く、ぅう……っ」
バサッ
やよい「……結局、泊まることになっちゃいましたね」
響「洗濯、やり直しだったしな」
P「と言うか、三人だと狭いだろ、さすがに」
やよい「それがいいんですよ」
響「あったかいしな」
P「暑くなったら、あっちの布団に移れよ」
やよい「やです」
響「やだぞ」
P「……あぁもう、わかったよ」ギュウッ
やよい「えへへ」
響「うしし」
P「えらい妹が出来てしまった……」
やよい「ねぇ、おにいちゃん」
P「ん?」
やよい「おにいちゃんも、私達に甘えて、いいんですよ?」
響「そうだぞ。
いっつも、にぃにばっかり大変なことやって、結局休まないんだから」
P「……今日とかな」
やよい「……私達、いない方がいいですか?」
響「めいわく、だった?」
P「ごめん。
ほんとは休みなのに、お前たちと会えなくてすごい寂しかった。
二人が来てくれてよかったよ。すごく、その、安心した」
やよい「……おにいちゃんの役に立てたなら、、よかったです」
響「にぃにが寂しかったら、自分もさみしいぞ」
P「……ほんとに、ありがとうな。
また、三人でご飯食べような」
やよい「はい!」
響「うん!」
その後、生すかの新コーナーとして企画された『体験!妹がアイドル』は、
響・やよいタッグの回において、瞬間最大視聴率の年間一位を獲得したが、
その演出、脚本をすべて手がけていたのが他ならぬPであることを、
その二人以外は知る由もなかったのだった。
おわり
テイストを変えたが、蛇足だったかな。
後はデレ伊織に嫉妬する美希とか、響を取られて淋しそうな貴音とか、
女の子らしい雪歩にコンプレックス感じる真とか、
思い付きはするけど文章にする気力がないのでお開きで。
また機会があったら乗っ取りでもする。
保守支援感謝。
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