と、声を掛けてきたのは、中性的な顔立ちの…いや、女顔と言っても過言ではないほどの、"男"だった。
まぁ、ちまたで噂の男の娘って奴だ。という事で、以後コイツの名前は男の娘とする。

男の娘「おはよーっ！！ 目にクマができてるけど、大丈夫!?」

男「大丈夫、ちょっと寝てないだけだから…。」

男の娘「何か、悩み事でもあるの？ 男くん。聞いてあげよっか？」

と、男の娘は上目遣いで俺に問いかける。
正直、ここ最近まったく眠れていないのには訳があった。
帰り道、視線を感じるのは当たり前、家に変な手紙が送りつけられるのは日常茶飯事。
最近は、深夜にふとコンビニに行こうと外にでても視線を感じる様になった。もしかしたら家に居ても監視されてるかも…。
つまり、訳と言うのはストーカーの事だった。

男の娘「なんだっ！そんな事っ？ ふふっ、男くんって案外恐がりなんだね。」

男「なんだとはなんだ！ 俺からしたら怖くてたまらないんだぞ！ あの帰り道の恐怖と言ったらとんでもないぞ!?」

男の娘「そんなに怖がる事ないよ、男くん。…正体は、案外身近な人かよ？」

そう言うと、男の娘は微笑んだ。