響 「寄生獣?」 (166)
寄生獣読んだので。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1379431159
―それはある暑い日の夜に起きた―
―空から飛来した[それ]は毛の生えたテニスボールの様な形をしていた―
―そして[それ]は地に落ち、そこから蛭とも蚯蚓ともとれない奇っ怪な[生き物]が出てきた―
―奇っ怪な生き物は鎌首を構えた蛇の様な動きをした後、自ずと、誰かに導かれるわけでもなく、移動を始めた―
とある民家にて奇妙な動きをしながらその生き物は寝ている男の顔に近寄った。
素早く耳に入り込み、たちまち頭から上を[入れ替えた]。
謎の生き物が飛来して数刻後…
響は自分の家で床に寝っ転がって音楽を聴いていた。
響は音楽を聴きつつ、考え事に耽っていた。
(最近、自分の仕事が無くなってきてるさー…どうすれば仕事増やせるだろ…?)
その時、謎の生き物は着実に響の家に近付いていた。
「…それにしても暑いさー。窓でも開けて換気でもしてみるぞ…」
響がそう独りごちながら窓を開けた瞬間!!
[そいつ]は獲物を見付けた蛇の如く響に躍りかかった!!
「うっ、うわわ!なんだこれ…うぎゃっ!!」
何とか顔につくのを防いだがしつこく[そいつ]は襲ってくる。
「うっ、うぎゃーーー!!!!」
遂に左腕に取り付かれてしまった。
しかも[そいつ]はそのまま体を腕に潜らせていく。
(このままじゃまずい!)
響は咄嗟にイヤホンを掴み自分の左腕をキツく縛った。
中にいるであろう[生き物]がくねくねと蠢く。
「ふんぬぬぬぬっ!!」
自分の腕を此れでもかとばかりに強く締め上げる。
腕が白くなり、中に入っている生き物の蠢きもだんだん小さくなってくる。
完全に腕の中の動きがなくなり、安堵感から響はベッドに倒れ込んだ。
「ふーっ、危なかったさー。」
そしてそのままどっと疲れが出て響は眠ってしまった。
(しまった!何て事だ…乗っ取り失敗か…)
眠りにつく寸前にそんな声が聞こえた気がしたが気のせいだと思い、そのまま睡魔のなすがままになってしまった…。
とりあえず今どんな状態よ…
響の皮膚の中に寄生獣が入ったって事?
で、皮膚の中で寄生獣がダメージうけて弱る
これでOK?
「ん…はっ!!」
どうやら昨日はあのまま寝入ってしまったらしい。
「そ、そうだ!腕は、腕が!!…なんくるないぞ?」
慌ててベッドから起き上がって左腕を確認するが何も起きていない。
「夢だったのかなぁ?」
自分の腕をまじまじと見つめそう呟く。
しかし、腕に残ったイヤホンで締め付けた跡が昨日の事が夢ではない事を語っている。
「う~ん…悩んでも仕方ないさー!!」
元来、彼女は物事を深く考えない性質である。
もし、この時彼女が用心深く自分の左腕を調べていたら間違いなくパニックを起こしただろう。
「いぬ美ー朝の散歩だぞー」
しかし響が自分の家族に向かって動いた時変化が表れた。
人間ならなかなか気付かない変貌でも他の生き物には多少は「なにがいるか」分かるようだ。
>>4
そんな感じ
「い、いぬ美?どうしたんだ?」
いぬ美は低く唸りながら後ずさった。
臨戦の印だ。
「い、いぬ美!自分だぞ!分からないのか、いぬ―」
言いかけた所で言葉を切った。
何故ならいぬ美の視線は我那覇響本人ではなく、我那覇響の左腕に向いていたからだ。
(やっぱり…昨日のは夢じゃない!自分の腕には何かがいる!!)
ここまで考えた瞬間だった。
突如いぬ美が体勢を低くして吠えながら飛びかかってきた。
やべ、学校忘れてた
すまん、寝る。
帰ってきたらまた続き書くわ
すまん
乙!
質問だけど寄生獣の大きさはどれ位?
響の腕の細さでミミズ位の大きさならすぐ気づくだろって思ったからさ
>>9
寄生獣達には基本的に大きさは関係無かった気がする。
まあ取り敢えずミギーと同じ位の大きさだと脳内補完してほしいです。
!щ(゜▽゜щ)
跳びかかってきたいぬ美に驚き、咄嗟に響は両手を掲げて身を守ろうとした。
次の瞬間、ぱぁんというビンタの様な音が聞こえいぬ美は部屋の奥の方に弾かれた。
「…へ?」
自分は今手を掲げただけの筈…そう思って顔を上げるとゴムのように伸びた左腕が見えた。
「ええっ!?」
見間違いではなく確かに左腕が伸びている。
と、確認した目の前で左腕はするすると縮んでいった。
「…こ、こんな…そ、そう、コレは夢!夢に決まっているさー!!」
無理矢理自分に言い聞かせて響は自分の頬を思い切りつねった。
「うぎゃー!!!!痛いぞー!!!」
学校ついた。
また後で。
「うぎゃー!!!!痛いぞー!!!」
どうやら夢ではなさそうだ。
自分の左腕を繁々と眺めながら恐る恐る触ってみるが、別に腕がゴムのような触感になっている、ということはないようだ。
「はっ、いぬ美!?大丈夫か!?」
いぬ美はただ、気絶しているようだ。
「良かった…あ、もうこんな時間!?プロデューサーに連絡しないと!」
響は電話機を手に取り電話をかけようとして、少し考えた。
(左腕が気になる…左腕に何が起きているか調べてから事務所に行ってもいいか。今日も自分、仕事なかったし。)
そう考えて響は電話機を取り直した。
Prrrr…
「はい、どうした?響?」
「あ、自分今日ちょっと気分悪いから遅れていくさー。」
「分かった。小鳥さんに伝えておく。無理しなくてもいいんだぞ。体は大切にしなくちゃな。」
「うん、ありがとう。プロデューサー。じゃあまた後で。」
「おう、御大事に。」
ピッ
電話を切り電話機を机に置く。
「さ~て。腕を調べるさー。」
そう独りごちて響は左腕を調べ始めた。
手を握ったり、広げたり、振り回したり、ストレッチ等もある程度やってみた…
だが一向に変化は起きない。
「う~ん、やっぱり気のせいかなあ…」
ここまでして響は唐突にさっきの事を思い出した。
(そう言えば…さっきいぬ美は左腕に向かって攻撃をしようとしていた。でもいぬ美が跳びかかった瞬間いぬ美が弾き飛ばされていた…もしかして左腕はいぬ美から身を守るために動いた?)
視界の隅に果物ナイフが映る。
「…やってみるぞ。」
響は左腕をまな板の上に置き、ナイフを持った。
大丈夫。左手ギリギリの所を刺すだけだから。
当たっても大したことはない。大丈夫、大丈夫。
そう言い聞かせて響は深呼吸をした。
「…えいやっ!!」
ナイフは左手に吸い込まれるように向かい―
ドスッと―
刺さらなかった。
左手にナイフは突き立てられている様に見えるがそうではない。
[表面]で[止まっている]のだ。
「へ…?」
そして[左手]はぐにゅぐにゅと本人の意思とは関係無く動き始めた。
人差し指と中指の先が丸くなって膨らみ、眼球になった。
親指からは小さな手の様な物が生え、その小さな手の先からはまた更に小さな手が生えてきた。
手のひらに違和感が出来、ナイフを少し上げ恐る恐る手を裏返す。
そこには人間に似た見事な口が形成されていた。
そしてその口は覚束無いたどたどしい日本語を喋りだした。
「ふ うむ… ざ ん ね ん…わた し ひ だり て しっぱ い か…」
響は目の前で起きていることが自分の常識を越えすぎている為、言葉をなくしていた。
その状態の中やっとの思いで口を突いて出てきた言葉はテンパったあまりの支離滅裂な言葉ではなく、自分でも驚くほどの冷静さを添えかねた[質問]だった。
「じ、自分のて、左手は…?」
指先の目玉がきょろり、と動き此方を見る。
無機質な光のない目に思わず体がすくむ。
「オ マ エ の 手なら 喰 っ ち まった よ」
そう言い終えるとソイツは指先から伸びる腕を器用に使い、ナイフの先をぽきりと折った。
このSSまとめへのコメント
これまだ続いてたorz
終わったとばかり…