妹「兄さんが家出した・・・・・・」(738)

妹「・・・・・・」

母「ほおっておきなさい」

妹「で、でも・・・・・・」

母「そもそも家の子じゃないんだし」

母「働く気もないなら尚更よ、何処へでもって感じよ」

母「あぁ、妹ちゃん、私また少し家を空けるからね」

妹「し、仕事ですか?」

母「うんうん、そうそう」

ピーッピーッ

母「あ、もしもし?やだー久しぶりー超久しぶりじゃん」

母「え?あ、明日?う、うんそうねーハハ」

妹「・・・・・・」

母「なによ」

妹「な、なんでもない・・・・・・です」

妹(兄さんも居なければお母さんもしばらく居なくなるのか)

妹(これからどうしよう・・・)

母「あ、お金は銀行に毎月振り込んでおくから」

妹「そんなに長期なんですか?」

母「うんうん、めっちゃ時間かかる」

妹「わ、わかりました」

母「んじゃねー、お留守番よろしくー」

ガタンッ

妹「・・・・・・兄さん」

妹「私どうすれば・・・・・・」

妹「・・・・・・」



兄「くそっ・・・・・・あのババァ」

兄「・・・・・・」

兄「あーあー、深夜アニメ見れなくなっちまうなー」

兄「・・・・・・ヘックション!!」

兄「・・・・・・さみぃ」

兄「・・・・・・金、いくら残ってんだっけ」

兄「・・・・・・オイオイ、冗談かよ」

兄「今夜は野宿かな・・・・・・公園に行こうか」



妹「・・・・・・すぐ帰ってくるよね、兄さん」

妹「そうだ、ご飯がまだだった」

妹「きっと兄さんお腹空かしてるんだろうなー」

妹「今日は沢山作ってあげよっと」



妹「よし完成!!後は兄さんの帰りを待つだけ!!」

妹「早く帰ってこないかな・・・・・・お腹減ってきたよ」



兄「・・・・・・暖房つけてーなぁー」

兄「今週のマジカル☆聖華ちゃん見逃しちまったなー」

兄「ってか、ベンチ寒いな・・・・・・」

兄「ホームレスってすげぇなぁ・・・・・・」

兄「・・・・・・帰ろうかな・・・・・・」

兄「どうせ帰ったってろくな事ねぇし」

兄「・・・・・・寝れば空腹も収まるよな」



妹「遅いな・・・・・兄さん」

妹「もう11時だよ・・・・・・」

妹「・・・・・・」



兄「・・・・・・ちっとも寝れねえ」

兄「・・・・・・腹減ったな」

兄「コンビニ行くか」


兄「・・・・・・これからどうすっかな」

ドスンッ

DQN「んぁ!?んだテメェ行き成り何しやがんだ!?」

兄「え、あ、ちょ、な」

DQN「あぁ!?」

兄「す、すみませ・・・・・・ん」

DQN2「ん、お前金持ってるのか」

兄「あ、いや・・・・・・これは」

DQN「ちゃんと詫びてくれるよなぁ!?あぁ!?」

兄「・・・・・・ははは」

ドスッドスッ

DQN「今日はこれで許してやるよ」

DQN2「んだよ、これっぽっちか」

「ハハハ」


兄「ま、まさかDQNに遭遇するとは・・・・・・」

兄「良く考えたらもう結構な時間なんだよな、・・・・・・ヘックション!!」

兄「・・・・・・あーくそー、なんて運がねぇんだ」

兄「金もねぇ・・・・・・公園に戻ろう」




兄「・・・・・・ホント、誰もいねーなー」

兄「あぁさみぃ」ブルブルッ

兄「・・・・・・全部あのババァが悪いんだ」

兄「こっちは養子で肩身が狭いってのによ」

兄「けっ、男と遊んでたら出来ちゃいましたーとか」

兄「ねーよwwwマジ氏ねwww」

兄「・・・・・・ちゃんと良い高校にも行ったじゃねぇか」

兄「マジ氏ねよ・・・・・・あのババァ・・・・・・」

兄「・・・・・・」

兄「・・・・・・今日に限ってこんなに寒いなんて」

兄「・・・・・・あーあー」

兄「・・・・・・ヘ、ヘックション!!」

兄「・・・・・・」


妹「に、兄さん?」

兄「・・・・・・今日はホントついてねぇなぁ」

妹「もう、すっごい遅い時間だよ?家に戻ろうよ」

妹「お母さんだっt・・・・・・あ・・・・・・」

兄「ん・・・・・・ババァがどうかしたのか?」

妹「・・・・・・お母さん、また仕事だって」

兄「・・・・・・お前、本当にアイツが仕事だと思ってんのか」

妹「・・・・・・うん」

兄「・・・・・・けっ、家にババァいねぇなら帰るよ」

妹「・・・・・・」

兄「・・・・・・」

兄「なぁ」

妹「な、なに」

兄「ムカツクならそう言ってくれよ」

妹「え?」

兄「お前、俺が居ると迷惑だろ?学校にいかねぇ、仕事もしねぇ」

兄「毎日怒鳴り散らして、てめーの大好きなババァと喧嘩して」

兄「物ぶっ壊して、叫び散らして」

兄「俺、自分の金全部引き出して出てくからよ」

妹「そ、そんな事・・・・・・ない、よ」

兄「ご機嫌伺いはいい、もう出てってやるから」

妹「ち、違うもん、別に兄さんの事嫌いじゃない」

兄「・・・・・・嘘だろ、絶対」

妹「嘘じゃないもん、私に勉強教えたり色々してくれた」

兄「・・・・・・あー、それな、それ」

兄「今だから言っておくけど、それ、俺が回りに良く見えるようにしてやってただけだから」

妹「べ、別にそれでもいいよ・・・・・・私、楽しかったし」

兄「・・・・・・」

妹「ほ、ほら着いたよ、風邪引いちゃうから、ね?」

兄「・・・・・・けっ」

兄「・・・・・・」

妹「ほら、ご飯ももう出来てるよ」

兄「おめぇ、自分は食べたのか?」

妹「えへへ、兄さんが居ないと」

兄「・・・・・・先に食っちまってれば良かったじゃねぇか」

妹「ほらほら、手洗って、うがいして」

兄「んなことしなくたって――」

妹「ダメ!今新型・・・・・・えーっと」

兄「インフルエンザ」

妹「そうそう!になっちゃうよ!?」

兄「俺、殆ど外に出てねーけど」

妹「・・・・・・風邪引くよ」

兄「はいはい分かりましたよ」

妹「それじゃいただきまーす」

兄「・・・・・・」

兄「・・・・・・お前、料理上手かったのな」

妹「兄さんいつもカップ麺とコーラしか飲んでないから」

妹「どうですか、妹の料理は」

兄「調子に乗ってん・・・・・・じゃねぇ」

妹「食べながら喋るのは汚いよっ」

兄「るせーな、黙って・・・・・・食え」

妹「えへへ、美味しいでしょー」

妹「私家庭科得意なんだー」

兄「・・・・・・食った」

妹「お粗末様でした」

兄「・・・・・・寝る」

妹「・・・・・・そっか、おやすみ」


兄「・・・・・・ふん」

兄「・・・・・・PC」


ウィィィ......

兄「・・・・・・」

検索ワード:引きこもり 脱出

カチッ

兄「・・・・・・」

検索ワード:引きこもり 就職

カチッ

兄「・・・・・・」


兄「・・・・・・寝る」

妹「兄さんもう寝ちゃったかな」

妹「お皿は洗い終わったし、洗濯物を畳もう」


妹「・・・・・・お風呂はいろ」


妹「・・・・・・お母さん、いつ帰ってくるのかな」

妹「・・・・・・兄さん居るし、寂しくないけど・・・・・・」

妹「・・・・・・お母さん」


母「ごっめーんチョー遅くなっちゃったぁ~」

「ハハッ、まぁいいさ、行こうか」

「そういえば、子供はどうすんだ?」

母「えぇ~?毎月金振り込むから何も無問題~♪」

「それじゃ行こうか」

母「いえ~いッ」

ピピピッピピピッ

兄「・・・・・・ハッ」

バサッ

兄「・・・・・・午前6:50分、よし」

兄「・・・・・・制服、制服どこにしまったっけ」

ガサゴソ......

兄「おぉ~あった、あった」

兄「・・・・・・よし、サイズも無問題」


妹「・・・・・・え?」

兄「・・・・・・朝飯」

妹「に、兄さんいつもより早いんだね」

兄「・・・・・・あぁ」

妹(兄さんなんで制服なんだろう)

兄「・・・・・・そんなに変か?」

妹「へ?え、え、と」

兄「・・・・・・今日、学校に行くから」

妹「え!?」

兄「っせーな、俺が学校行く事になんか疑問でもある・・・・・・よな」

妹「・・・・・・と、とりあえずはい、ご飯」

兄「・・・・・・おう」

兄「・・・・・・」

妹「に、兄さん?」

兄「・・・・・・いい加減、暇な生活に飽き飽きしてたんだ」

兄「それに、ババァが居なくなったし俺が引き篭もる理由もねぇ」

兄「・・・・・・あいつは多分、当分の間帰ってこなくなる」

妹「へ?」

兄「・・・・・・それにきっと金の金額もどんどん下がって来る筈だ」

妹「・・・・・・」

兄「お前、まだババァの事好きなのか」

妹「・・・・・・お母さんだし」

兄「ケッ、そうかよ」

兄「・・・・・・食った、行ってくる」

妹「い、行ってらっしゃい」



兄「・・・・・・確かこの線でいいんだよな」

まもなく発射致します――

兄「・・・・・・なんかすっげぇ忘れてんなー俺」

兄(・・・・・・学校の反応は覚悟しておかないとな)



妹「・・・・・・行ってきます!」

ガチャン

妹「・・・・・・兄さん」

妹「ふふっ、いってきまーす」



「おはよー、あれ妹ちゃんなんか良い事あった?」

妹「え?」

「だぁって、すっごくニヨニヨしてるよー?」

妹「・・・・・・そ、そうだったんだ、へへ」

「ふふー、好きな人でも出来た?」

妹「ううん、違うよ」

「それじゃ、なんなの?」

妹「・・・・・・秘密」

「何それー」

「ホラ席に着けーっ!!」

妹「・・・・・・えへへ」



兄「・・・・・・こうして改めて見るとすげぇ所だよなぁ」

兄「・・・・・・ゴクリ、覚悟は決めたんだ、やってやるさ」

兄「・・・・・・」

兄(・・・・・・行くぞ)

ガラガラッ

兄「・・・・・・」

「ねぇねぇ、あの人誰?」

「えーっと確か・・・・・・あ、不登校の兄君?」

「えぇ!?不登校じゃないの!?なんで学校に来てるの!?」

兄「・・・・・・俺がきちゃ悪ぃのかよ、クソが」

「イヤー、なんかブツブツ喋ってるよー?」
「キモーいwwwキャハハwww」

兄「・・・・・・」

兄(想像はしてたけどこれ程胸に刺さるもんか)

兄(・・・・・・めげんぞ、俺は日本男子なんだ)

兄「・・・・・・」ブツブツ......

男「おぉ、ようやく学校に来たか」

兄「・・・・・・」

兄「・・・・・・」

男「どうした、何かあったのか?」

兄「別に・・・・・・来ちゃ悪ぃかよ」

男「んな事ねーよ、元々俺がお前を引張りだそうとしてたんだから」

友「おーい男ー!!!って、アンタ誰?」

兄「チッ・・・・・・」

友「ふぇっ!?」

男「おいおい友、コイツは俺が前から言ってた奴だよ、兄ってんの」

友「へ・・・・・・?あ、あぁ・・・・・・アンタがか」

兄「・・・・・・」

友「す、すまねぇ、よろしくな!!!」

兄「・・・・・・」

友「・・・・・・な、なぁ、俺ってそんなに印象悪いのかな」

男「まぁ、気にすんな」

男「んじゃな、兄」

「お、ようやく来たか」

「出席とるぞー」

ブツブツ......ブツブツ......

「ヤダー、なんか暗いんですけどー」
「ってか髪長すぎwwwキモwww」
「ああいうのは正直クラスの雰囲気壊すと思うんだけど」
「ねー、ほんとそうだよね、やめて欲しいよね」
「視界に入らないで欲しいwww」
「止めてwww腹痛いwww」

「そこ!!五月蝿いぞ!!!」

男「・・・・・・チッ」

友「・・・・・・だ、大丈夫かなアイツ」

兄(・・・・・・む、胸が苦しい)

兄(どういう事だ・・・脳内シュミレートは完璧だった筈・・・・・・)

兄「ハァ......ハァ......」

「ねぇなんかハァハァとか言ってるwww」
「キモwwwキモすぎwww腹痛いwww」
「うわぁ・・・・・・マジ簡便」

兄「・・・・・・く、くそ・・・」

キーンコーンカーンコーン

男「・・・・・・おい、大丈夫か?」

兄「・・・・・・ハァ、ハァ・・・」

友「お、おい汗かいてるぜ!?」

兄「う、うるせぇ・・・・・・」

男「・・・・・・収まったか?」

兄「・・・・・・」

男「あんまし無理すんなよな」

兄「・・・・・・チッ」

友「・・・・・・じゃ、じゃぁ俺らはこれで・・・・・・」

兄(・・・・・・これから卒業するまでこれか)

兄(・・・・・・耐えろ、耐えるんだ・・・・・・直ぐに慣れる)


「なぁお前、おいお前だよお前」

兄「・・・・・・」

「お前なんなの?今まで不登校だったクセにさ」
「慣れ慣れしく男君達と馴れ合わないで欲しいんだけど?」

「そうよね、今まで甘えで学校に来なかったくせに」
「チョー生意気なんですけどー?ウザッ超ウザッ」

兄「・・・・・・るっせぇッ!!!」

「・・・な、何よ、キモ」
「いこ」
「うん、キモいよねー」

兄「・・・・・・ハァ、ハァ、ハァ......」

兄「・・・・・・くそったれ」

先生「あー、兄」

兄「?」

先生「お前、委員会に入ってないだろ?人数足りない場所に籍をおかせるからな」

兄「はい」

兄「あの先生」

先生「なんだ」

兄「俺、卒業できるでしょうか」

先生「・・・・・・そうだな、お前の頑張り次第だな」

先生「でも、今のお前なら卒業くらいは出来るだろう」

兄「え?」

先生「目だよ目、前のお前とは違う目つきだからな」

先生「卒業後はどうしたい?」

兄「はい、就職しようかなと」

先生「そうか、んじゃ先生も手伝うからな、後、クラスの連中の事は気にするな」

先生「あれはあれだ、自然と無くなるだろう、今のお前なら十分平気だろう」

兄「・・・・・・」

先生「動揺する事も無くなる」

兄「わかりました有難うございます」

先生「頑張るんだぞ」

先生「因みにお前の委員会は図書だ」

先生「明日から図書室に行くように、大きいから迷うなよ」

兄「はい」


兄「・・・・・・」

男「よぉ、一緒に昼食おうぜ」

友「早くしねーと全部パン売り切れちまうぜ!?」

兄「・・・・・・ぁ、あぁ」



友「うおおおお!!!どけどけどけどけ!!!」

兄「・・・・・・マジかよ」

男「あいつはヒョロンとしてるが案外ガチガチの運動マンだからな」

友「ぜぇ……ぜぇ……」

男「ご苦労さん、ほい礼の紅茶だ」

友「あぁサンキュ」

兄「・・・・・・」

友「・・・・・・はい、えぇと、兄君?」

兄「兄でいい」

男「無言でパンの受け渡しなんてすんなよな」

兄「・・・・・・」

男「まぁいい、男三人で寂しく昼飯だ」

兄「・・・・・・」

友「い、言うなよな・・・・・・」

男「はは、まぁいいじゃねぇか青春っぽいし」

兄「・・・・・・お前彼女居ないのかよ」

男「え?あぁ?あぁまぁな」

友「そうなんだよなーコイツ女たらしのクセに彼女できねーのwww」

三点リーダー使いにくい

男「別に俺はホモじゃないぞ」

兄「あぁ、それは知ってる」

友「あーあー彼女欲しーなー」

男「なら作ればいい」

兄「……だな」

友「出来ねーから嘆いてるんだよぉぉぉ!!!」

友「いいよなー男は黙ってれば女が寄ってくるし」

男「殆どチャラい連中だけだけどな」

友「え、でも委員長とか清純っぽいじゃん」

男「アイツは俺以外にも話しかけてるよ、色んな男に」

兄「・・・・・・ビッチか」

友「え?びっち?なんぞそれ」

男「ようはヤリマンという事だ」

友「マジかよ!?」

男「ニュアンスは微妙に違うがな」

男「少なくとも男食いのは確かだろうよ」

兄「……」モグモグ

友「カーッさすが博識な男さんすね」

友「それに兄も色んな言葉知ってんのなー」

兄「……ネット用語だけどな」ボソ

友「何か言ったか?」

兄「いや」

男「……ようやく溶け込んできたな」

兄「……」モグモグ

友「おっと、時間が」

男「んじゃ行くか」

兄「……あぁ」ゴクリ

―――放課後

友「んじゃ俺バイトあるからお先に」

兄「……ん」

男「じゃぁな」

男「あぁそうだ兄、一緒に帰ろうぜ」

兄「……周りが五月蝿くなると思うが」

男「気にすんなよ、行くぞ」

兄「……おう」



男「俺、帰宅方面お前ん家と同じなんだぜ」

兄「そうだったのか」

男「あぁ、そうそう、先生から預かり物があってな」

男「それで今日は帰りに誘ったんだ」

兄「……バイト」

男「そうだ、お前の家、大変らしいしな」

兄「……先生が」

男「お前がバイト探してそうな顔をしていたから、だそうだ」

兄「……すまん」

男「ま、頑張れよ」

兄「お前電車の中で小説なんて読んで酔わないのか」

男「まぁな、これでも文学やってるんでね」

兄「……そうか」

男「おっと俺はここで、じゃぁな」

兄「あぁ」



兄「……バイト、やるか」

兄(……良い奴だったな)


兄「……た、ただいま」

妹「あ、お帰り」

妹「……兄さん」

兄「……んだよ」

妹「良い事あった?」

兄「何が」

妹「笑ってるよ」

兄「……ッ」

妹「えへへ」

ドタドタ......

兄「……頑張ろう」

キャラも悪くない

ところで、妹は義理なのか?
俺にはかなり重要な問題なんだ

兄「……」


妹「……あ、兄さん、今ご飯作るからね」

兄「……何か手伝おうか」

妹「え!?」

兄「……早く、手伝わねーぞ」

妹「え、えっと、それじゃお肉切って欲しいな」

兄「……」



妹「……じょ、上手だね……兄さん」

兄「お前が生まれる前はな、こうやって家事をしていた事がある」

妹「小学生なのに?」

兄「あのババァは子供にも面倒だから手伝わんだよ」

妹「……そうなんだ」

妹「……♪」

兄「んだよ」

>>54義理で御座います

妹「……おぉ、こんなにも早く出来上がるなんて」

兄「殆どお前がやってたけどな」

妹「そんな事ないよ、兄さんが手伝ってくれたからだよ」

兄「……」

妹「は、早く食べよっ」


妹「兄さんテレビ見る?」

兄「見ん、見たきゃ見ろ」

妹「今日は私の好きなアーティストさんが出てくるんだー」

兄「ちゃんと中学生らしい事してるのな」

妹「え?」

兄「なんでもない」

妹「やっぱり良い歌だなぁ~サンボマスターかっこいいなぁ」

兄「……意外だな」

妹「何が?」

兄「サンボマスターなんて泥臭いだけだろう」

妹「そんな事ないよ、一生懸命歌ってる所かっこいいと思うけどなぁ」

妹「私、一生懸命になってる人基本的に好きだし」

兄「歌詞も直球すぎて」

妹「それがいいんだよッ」グワッ

兄「……」

妹「ご、ごめんなさい」

兄「いや、別に」

妹「に、兄さん何か聴くの?」

兄「アニソン」

妹「あ、アニソン」

兄「……そうだよ、悪いか」

妹「べ、別にいいんじゃないかな!?私カードキャプターさくら好きだったし!!」

兄「……さくらたn、ゲフンゲフン」

妹「?」

妹「兄さんアニソンの他に何か聴くの?」

兄「……TRIX」

妹「とりっくす?」

兄「フュージョン、聞いてもわからないだろうが」

妹「そ、そっか」

兄「イメージ的にはジャズに近い」

妹「そっか、えへへ」

兄「……」

妹「こんなに楽しいご飯久しぶりだなぁ」

妹「えへへ」

兄「笑いすぎ」

妹「笑うと健康に良いんだよ?」

兄「知らん」

兄「……おかわり」

妹「うん」

兄「……俺、バイトするから」

妹「え?」

妹「お金、足りてるよ?」

兄「……何れ必要になってくる時が来る」

妹「そうなの?」

兄「あぁ、今のお前には分からんだろうが」

兄「帰りが遅くなるから、飯はラップにでもして置いておいてくれ」

妹「そんなに遅くなるの?」

兄「行く場所が少し遠くてな」

妹「そっか……」

兄「なんだ」

妹「う、ううん、なんでもないよ……」

妹「で、でも兄さん凄い変わりようだね」

兄「……今までがおかしかっただけだ」

妹「そっか……」

妹「あ、それと髪の毛切って置いた方がいいよ?」

兄「……面倒」

妹「そんな事言って、お仕事するなら髪は整えないと!」

妹「私が切ってあげるよ!」

兄「……」

妹「な、何」

兄「本当に出来るのか?」

妹「むっ!私これでも手先器用だよっ」

兄「そうか、それじゃ後でな」

妹「うん!!」

妹「……ふぅぅ」

兄「何故深呼吸する」

妹「……行きます」

兄「……やっぱり止めよう」

妹「えぇ?」

兄「……もう一度聞くが大丈夫なんだろうな」

妹「だ、大丈夫だよ……」

兄「そうか」

妹「……よ、よし気を取り直して」

チョキッチョキッチョキッ

兄「……」

兄「器用なもんだな」

妹「……よ、よし」

兄「……俺、こんなに髪長かったのか」

妹「凄いよ、切れば切るほど髪の毛どっさり」

チョキチョキチョキチョキッ

妹「……ど、どう」

兄「……いいんじゃないか」

妹「え、へへ……あ、あと兄さん」

兄「……?」

妹「その死んだ魚見たいな目は止めておいた方が良いよ?」

妹「兄さんどんなバイトするの?」

兄「ただのコンビニだ」

妹「でもお客さんと顔合わせるなら少しは明るい方がいいんじゃない?」

兄「俺が暗いみたいな言い方だな」

妹「ご、ごめんなさい」

兄「俺は元々死んだ魚のような目なんだよ、悪かったな」

兄「まぁ、ありがとうな」

妹「えっ?」

兄「……予想以上に、しっくりくる」

妹「へ、変じゃないって事?」

兄「あぁ、寧ろ上手いくらいだ」

妹「そ、そっか……にひひ」

兄「……皿洗いは俺がやっておく」

妹「え?私がやるよ?」

兄「良い、俺だけがだらだらしてるわけにもいかない」

妹「じゃ、じゃぁ私洗濯物とお風呂やってくるね!!」

兄「……これが兄妹ってもんなのかな」

兄「……遅れた勉強も取り戻さないとな」

妹「……」

妹(兄さん……やっぱり優しいな)

妹(……嫌われてるのかなって思ってたけど)

妹「……」



兄「……これで皿洗いは終わりか」

兄「……」

妹「……ぐすっ、ぐすっ」

兄「何泣いてんだ」

妹「え!?に、兄さん!?」

兄「……何か俺やったか」

妹「そ、そうじゃないよ」

兄「じゃなんだよ」

妹「嬉泣き」

兄「……なんだよそれ」

妹「……やっぱり兄さん優しいなぁって」

兄「……」

妹「……なんかごめんね」

兄「妹」

妹「……ぇ」

兄「出かけるぞ」

妹「……え」

兄「買い物に行くついでだ、来るか」

妹「う、うんっ!!!」

兄「……忘れるなよ」

妹「わかった!!!絶対行くよ!!!!」

妹「♪」

兄「……」

―――翌日

兄「行って来る」

妹「行ってらっしゃい」

ガタン

妹「さぁって、私も早く準備しなきゃ~」ニヨニヨ



兄「……」

男「おう、随分表情がまともになってきたな」

兄「……あぁ」

男「暗いのは相変わらずか」

兄「るせぇ」

男「そうだ、バイト、よかったな」

兄「あぁ、サンキュー」

男「いいさ、それよりも髪切ったのか」

兄「……まぁ、な」

男「ほう、随分と男前になったもんだ」

男「目は死んでいるが」

兄「妹にも言われたな」

男「なんだ妹が居るのか」

兄「あぁ、義理だが」

友「そ、それって禁断の兄妹愛って奴か!?」

男「お前はいつもどこからともなく沸いてくるな」

友「テレポーターなんだぜ」

男「うそこけ」

兄「……エロゲかよ」ボソッ

友「ん?なんだ?」

兄「別に」

友「それよりさぁ、今週の奴見た?あれやっべぇーのwww」

男「……はいはい」

兄「……」

友「ふ、二人してクールに気取っちゃってよ!!」

男「お前が騒がしいだけだ」

兄「それも長所だと思うんだけど」

男「そうだな」

友「ほらー、兄だけは俺の気持ちを理解しているんだぜ」

兄「……」

男「着いたぞ」

友「キターッ、今日も一日寝るぞー!!」

男「勉強しろよ」

友「寝る子は育つ!!」

兄「……」

「では席につけーっ」

ヒソヒソ......

兄「……」

兄(もう慣れた、気にするな俺)

「えー、起立!気をつけ!礼!!」

―――昼

友「でさー、そいつが行き成り」

「ウホッ、良い男」

友「とか言い出すんだよwww」

兄「……なんという」ボソ

友「んにゃ?」

男「コーヒー牛乳うめぇ」

兄「焼き蕎麦パンうめぇ」

友「メロンパンうめぇ」

―――放課後

友「んじゃなー、兄ー、男ー」

兄「ん」

男「おう、きぃつけろ」

男「んじゃ帰っか」

兄「あぁ」


男「今日からバイトか、行き成りだろうが頑張れよ」

兄「あぁ……本変わったな」

男「……あぁ、キャッチャーインザトイレットだ」

兄「面白いのか?」

男「まぁな、実に面白いぞ」

男「おっと、じゃぁな、バイト頑張れ」

兄「あぁ」

兄「……」

―――バイト先

店長「おぉ、君か」

兄「よろしくお願いします」

店長「なぁーに、君の事は先生から聞いてるよ」

店長「不登校とは言え、過去の成績は良いらしいからな」

店長「あとはやる気だ、まぁ、サボれたり出来るから気楽にな」

兄「はい」


兄(先生にはちゃんと礼をしないとな)

兄「今日から宜しくお願いします」

女「え、あぁ、よろしく」

兄「……」

女「私と同い年か、よろしく」

兄「はい」


女(すっごいやり辛い……)

女「……ありがとうございましたー」

兄「……」

女(……なんだろうこの雰囲気)

女(い、居辛いな……)

兄「……あの」

女「な、何!?」

兄「あぁ、いえ、この箱何処に置くんでしょうか」

女「あぁ、そこ」

兄「はい」

女(ちゃんと受け答えしてくれるけど)

女(なんていうのかなー、機械っぽいというか)

兄「……終わりました」

女「アハハ、ハハ、う、うん」

兄(……案外暇な職なんだな)

兄(……だり)

女(……なんという空気)

女(私この先大丈夫なんだろうか)

DQN「つーかwwwいやマジでwww」

DQN2「いやいやそりゃねーよwww」

兄「!?」

女「ど、どうしたの!?」

兄「い、いえ……」

兄(な ぜ 来 た し ……)

DQN「……あれぇ、お前小銭あるぅ?」

DQN2「おkおk、任せな」

兄(……冷静になれ、無我になれ)

DQN「ん

↑ミス

DQN「ん?お前見たことある……顔?」

兄「……」

DQN2「んなわけねーだろ、ほれ」

DQN「あぁ、すまん」

兄「ありがとうございました」

兄「……」

女(……す、凄い怖い顔してる)

兄「……」

女「ヒッ!?」

兄「……俺、これで今日上がります」

女「あぁ、今日は早いんだね」

兄「はい」

女「そ、それじゃね!」

兄「はい」

女(……)



兄「……」

兄「8時か、早いような短いような」

兄「……ただいま」

妹「お帰り、お疲れ様兄さん」

兄「……今日は早めに帰ってきた」

妹「そうなの?」

兄「あぁ、明日は用事があるしな」

妹「えへへ、そうだね」

兄「……何を手伝えばいい」

妹「そだね、それじゃ――」


―――翌日

兄「……」

妹「えへへ、久しぶりに頑張って選んだけどどうかな」

兄「いいんじゃないか、似合ってると思う」

妹「そっか!えへへ」

兄「んじゃ行くぞ」

妹「うん!!!」


妹「えへへー」

兄「終始笑ってるな」

妹「兄さんとお出かけなんて久しぶりだもん」

兄「そうか」

妹「うん」

兄「……ほら着いたぞ、降りるぞ」

妹「うん」


妹「うわー、凄い一杯人が居るなー」

兄「まぁ、都心だしな」

兄「……?」

妹「手、繋いでないとはぐれちゃいそうな勢いだから」

兄「そうか、それじゃ確り握っておいてやる」

妹「うんッ!」

兄「……そうだな、どっか行きたいところあるか?」

妹「兄さん、服が見たいであります」

兄「そうか」



妹「兄さん、どうですか?」

兄「……お前は何着てもしっかり型にはまるんだな」

妹「さっきから同じような事ばっかりなんだけどな」

兄「それだけ似合うって事」

妹「褒めてるの?」

兄「そりゃもう」

妹「じゃぁこれ」

兄「それだけでいいのか?」

妹「うん」

兄「もっと買ってもいいんだぞ」

妹「これだけでいいよ」

兄「そうか」



兄「……」

妹「……えへへ、買っちゃった」

兄「よかったな」

妹「うん!」

兄「……む」

兄「妹、ちょっとここで待っててくれ」

妹「うん」


兄「……これは、数少ない生産量の超鬼神ヴォリアックの限定版使用の……」

兄「買うべきか買わざるべきか」

友「お?兄じゃん」

兄「?」



妹「兄さん遅いな……」

妹「えへへ、全部型にはまるだって」

妹「……えへへ」

母「あれ?妹ちゃんじゃない?」

妹「え……?」

友「でさー、おっと、お前妹ちゃん待たせんのな」

兄「あぁ」

友「まったく、お前に妹がいるなんてな」

友「今度俺に紹介してくれ」

兄「断る」

友「き、厳しいですなぁ……んじゃな」

兄「あぁ」


兄「……少し時間を食っちまったな」


母「そうなの……兄がねぇ」

妹「う、うん」

母「なら心配する必要はないわね!!!」

妹「え?」

母「お母さんね、もうちょっと時間が掛かりそうなのよ~」

妹「……」

妹「……掛かるって、どれくら、い、なのかな」

母「はぁ?そりゃぁすっごく掛かっちゃうわよ」

妹「そ、そっか……」

兄「どうせ帰ってこないんだろ」

母「!?」

妹「に、兄さん?」

兄「そうやってテメェはいつも男と遊んでるんだ」

兄「妹が生まれたときもそうだった、俺の事をほおっておいて」

兄「……そして終いには妹すら面倒を見なくなった」

母「はぁ!?あんたみたいな滑り込んで来た餓鬼の面倒見れるわけないでしょ」

母「それにね、アンタと違ってこの子はすっごく出来る子なのよ」

兄「……そうかよ」

妹「あ、に、兄さん……お、お母さん……」

母「だからほおっておいても平気よね?妹ちゃん」

妹「え……」

母「だってぇ、いつも大丈夫、大丈夫って」

母「アンタと違って、この子は出来る子なのよ!」

兄「……チッ」

妹「……」

母「……何よ」

兄「別に、もうアンタとは口を利きたくないだけだ」

母「はん、今まで飯を食わせてやっているのは私って事、忘れないでよね」

母「さっさと成人してどっかにいって欲しいもんだわ、ねぇ妹ちゃん」

妹「……う」

母「それじゃぁね、お金はちゃんと振り込むから」

母「頑張るのよ、妹ちゃん」



妹「……に、兄さん?」

兄「別に、それよりも他に行きたい所はあるか?」

妹「……ううん、帰ろ」

兄「……」

妹「ね、兄さん、手繋いでもいい?」

兄「いいぞ」

妹「……私ね、兄さんの事嫌いじゃないよ」

兄「……今まで散々暴れてたのは俺だ」

兄「そうやって、ババァに怖いって言うのは自然だと思う」

妹「……」

兄「すまん、今まで兄らしい事一つもしてやれてなかったな」

兄「……ちゃんと、今度はちゃんとするからな」

妹「……うん」

兄「……どうした」

妹「え、う、ううん、なんでもないよ!」

妹「兄さんの手ホッカイロみたいだね」

兄「手が暖かい人は心が冷たいんだよ」

妹「そんなことないよ」

妹「……げほっ、げほっ」

兄「ん、どうした?」

妹「な、なんでもないよ、げほっ」

兄「風邪引いたか?早めに帰るか」

妹「う、うん」



兄「……これは、37℃あるな」

妹「うぅ……」

兄「……熱、インフルでないといいが」

兄「高熱が続くようなら病院に行くからな?」

妹「ごめんなさい……」

兄「謝る必要なんてない、寧ろ俺の不注意のせいだからな」

兄「部屋でおとなしく寝ているんだ」

妹「あ、あの兄さん?」

兄「ん」

妹「……あ、あの」

兄「?」

妹「……寝付くまで、一緒に居てくれないかな~なんて」

兄「いいぞ」

妹「ふぇっ?」

兄「家事は俺も出来るから、心配するな」

兄「お粥作ってくるからな」

妹「……」



兄「さて、一通りテキパキと済ませようか」

ガチャガチャ......

―――妹部屋

ガチャリッ......

「入るぞー」

兄「……」

妹「ど、どうしたの?」

兄「いや、そういや妹の部屋に入るのは初めてだったなと」

妹「何も無いけどね」

兄「ほら、口空けろ」

妹「え、じ、自分で食べれるよ」

兄「いいから、兄の言う事は聞きなさい」

妹「う、うん」

兄「……はい」

妹「……もぐもぐ」

兄「一応、レシピ見て作ったんだが」

妹「美味しいよ、すっごく」

兄「取り合えず明日は学校休みだな」

妹「うん」

兄「熱の度合によっては俺も休むからな」

妹「え、いいよ」

兄「よくない」

妹「に、兄さん……」

兄「……ほら、あーん」

妹「……もぐもぐ」

兄「……今日は冷えるからな、ちゃんと布団被れよ」

妹「うん、うん」

兄「どうした」

妹「なんでもないっ」

兄「……それじゃ、片付けてくるからな」

妹「うん」

兄「風呂上がったら、また来てやるよ」

妹「うん」ゴソッ

兄「んじゃ」

ガチャンッ

妹「……」

妹「……あーん、だって……えへへ」

妹「うぅ、ぐらぐらする」

妹「ぬぉぉ……」



兄(……兄らしい事出来ているだろうか)

兄(……)


というわけでリアル風呂行ってきます。

風呂はいいが最後まで投下してくれよ
保守で何日もまたぐのは飽き飽きだ!
支援

>>141

今日一日で終わらせるのはちょっと出来ないかもです。


兄「……」

兄「……ふ」


妹「……まだかな、兄さん」

妹「……」

ガチャッ......

兄「寝たか?」

妹「まだ」

兄「そうか」

兄「……で、俺はここに居ればいいのか?」

妹「……で、で、で、出来ればだよ?」

兄「うむ」

妹「い、一緒に、寝てくれないかな……とか」

兄「それだけか?」

妹「……」コクリ

兄「そうか、だが俺にも熱がうつりそうだな」

妹「あ、そっか……」

兄「けどま、昔から病気に強いし」

兄「いいけど、ちゃんと寝るんだぞ」

妹「う、うん」



ゴソゴソ

妹「二の字寝」

兄「だな」

妹「えへへー、兄さん暖かいなー」

妹「それに良い匂いがするなー」

兄「こら、あんまりくっ付くと熱がうつる」

妹「うつしちゃえ」

兄「……」

妹「……暖かいなぁ」

妹「結構一人で寝るのって寂しいんだよ」

兄「あぁ、ごめんな」

妹「……ねぇ兄さん」

兄「ん」

妹「昔みたいに、頭撫でて」

兄「お前なぁ……」

妹「じゃないと寝れないかも」

兄「……はいはい」

妹「……なんだか寝るのが勿体無いなぁ」

兄「ちゃんと寝ろ、熱なんだから」ナデナデ

妹「……むむ」

兄「ちゃんと着いててやるから」

妹「……うん」

兄「……」

兄「……」

妹「……」

兄「寝たか」

兄「……今までキツく当たってすまなかったな」

兄「……」

兄「このまま寝てしまおうか」

兄「……」

兄「……スー、スー」

妹「……」

妹「……はぁ」

妹「……兄さんにとって私は妹なんだよなぁ」

妹「……」

妹「……なんなんだか」

妹「今は、兄さんに甘えさせてもらいますか」

ゴソゴソ......

妹「えへへ、完全密着」

兄「……スー、スー」

妹「兄さんって結構華奢なんだなぁ」

妹「……それに、なんか、懐かしい感じが……」

妹「スー、スー」

兄「スー、スー」

―――翌日

兄「……ぬ」

兄「……足が絡まって動かないぞ……」

兄「おい、妹、起きろ」

妹「……ぇ」

兄「え?じゃない、足、足」

妹「……あ!?ごめんなさい!?」

兄「こら、大声出さない、今熱測るからな」

ペト

妹「兄さん手冷たいね」

兄「熱、……下がって無さそうだな」

兄「ちょっと体温計持ってくるからな、待ってろ」

妹「うん」

ゴソゴソ......

ガチャッ

―――

兄「37.9℃か」

妹「……」

兄「とりあえずインフルの心配は無さそうだ」

兄「だけど、一応学校は休んでおくよ」

妹「……ごめんなさい」

兄「だから謝るなって」


兄「もしもし、あ、先生」

兄「はい、はい、良く分かりましたね」

兄「そうです、はい、ウチに俺しかいないので」

兄「まだ怪しいんで、はい」

兄「よろしくお願いします、はい」

ピッ

兄「んじゃ、今日は付きっ切りで看病してやるからな」

妹「……えへへ、うん」

皆さんここまで……バイト行かなきゃいけませぬ。

残ってたら書きます。落ちてたら、後はご想像にお任せしまする。

脱衣所

妹「はい、ばんざーい」

兄「ばんじゃーい」スルスル

妹「パンツ脱がすねー」スルスル

兄「あ…」

妹「わっ、なんでもうちょっと大きくなってるのよ」

兄「いや、つい…」

妹「お兄ちゃんのエッチ。あたしも脱ぐから先に入ってて」

兄「へいへい」

すまん誤爆

おお、生きてた。保守有難うございます。

兄「家の事は俺に任せな」

妹「うん、ありがと」

兄「昼になったら起こしにくるからな?」

妹「はぁい」


―――

コンコン...

「起きてるかー」

妹「うん」

ガチャッ...

兄「寝てたか?」

妹「うん」

兄「そうか、はいお粥」

妹「あーん」

兄「うまいか」

妹「うんっ」

兄「そうか、大人しくしてろよ?」


―――


妹「……すー」

兄「寝たか」

兄「ん、もう6時か」

ピンポーン

兄「はーい」


友「よう!!!」

男「先生に頼まれてな、様子を見に来た」

兄「……まぁ上がれよ」

友「おぉ、兄の家は始めてだぜ」

兄「妹が寝てるんで、静かにしてくれよ」

友「わぁってるよっ」

友「すげー、綺麗じゃん」

兄「そりゃ掃除してるからな」

男「……妹さんは大丈夫か?」

兄「あぁ、寝てるよ」

男「はいよ、今日配られた紙」

兄「あぁ、すまん」

兄「……どうした」

友「え?あぁ、なんでもねぇよ」

友「なんか……殺風景というか」

男「こら友」

友「すまん、でも、本当なーんもねーなぁと」

兄「……まぁ、必要の無い物は買ってないからな」

男「大変なんだな」

友「すまん……」

兄「別にいいさ、何か作るよ」

―――

兄「軽いけどさ」

友「おぉ~、炒飯か」

男「頂きます」


友「うめぇ、すげぇな」

兄「サンキュ」

男「あぁ、これは旨い」

男「……それにしても」

兄「ん」

男「これから、どうする気だ?」

兄「そうだな、引きこもってた分、家族の為に頑張るよ」

友「かっけぇ」

男「……妹の為か?」

兄「まぁな」

友「かっけぇ!!!」

男「お前は『かっけぇ』しか言えないのか?」

友「だってさ、かっこよくね?」

友「俺なんかさ、毎日バイトしてくるくらいだし」

友「成績もとっくに兄に抜かれちまったし」

兄「人の頑張りって人それぞれなんじゃないか?」

兄「今友が必死になってやってる事があるなら、それはお前が頑張ってる証拠さ」

兄「頑張りってのは、誰かと比べる物じゃないと思うけどな」

男「確かに、生活環境なんて人それぞれだもんな」

友「……う、うぅ……兄ぃ」

友「うわああああああ!!!」

兄「おい、静かに……って、妹」

妹「……ご、ごめんなさい」

男「あぁ、君が、男です」

友「……ぉぉ」

男「おい友」

お前らwwww


友「あ、あ、と、友です!!」

妹「あ、はは、妹って言います……」

兄「熱は下がったのか?」

妹「も、もう気分悪くないよ」

男「それじゃ俺達はこれで」

友「え、もう少し……う、時間が」

兄「今日はありがとうな」

男「あぁ、明日また」

友「んじゃーなー」


妹「優しそうな人達だったね」

兄「あぁ、良い奴らだよ、ほら熱測るぞ」

妹「うん」


兄「……どうやら下がったみたいだな」

妹「兄さんのおかげだよ」

兄「違うと思うがな、妹の免疫が強かったからだろう」

妹「違うよ、兄さんが一緒に居てくれたからだよっ」

兄「そうなのか」

妹「そうだよ、そうに決まってるよ」

兄「そうか」

兄「食欲はあるか?」

妹「うん」

兄「それじゃ何か作ろうか」

妹「私、手伝うよ?」

兄「熱は下がり始めが一番安静にしておくべき」

妹「わかった、うん」



兄「……」

兄(……妹が来てから、もう15年になるのか)

俺は、2才の頃孤児院からこのババァの家に引取られた。

両親は既に死んでおり、親戚達も面倒がって俺を合法的に放置していた。

当時の俺には何も分からず、ただババァと生活しているウチに、

ババァを母親と認識するようになった。

だけど、ババァは影で男遊びをしていた。

妹は、ババァの生半可な気持ちからこの世に生を受けた子だ。

そして、小さい妹の世話に忙しいババァは俺を放置。

当時の俺にはキツいったらありゃしなかった。

自分が本当の子供じゃない事は知っていたが、甘えたい気持ちもあった。

だから必死に頑張った。振り向いてもらう為に。

そしてこの高校に入学したんだ。だけど、ババァの態度がその頃から酷くなっていった。

実の子の妹にすら、何もする事が無い。だから俺は家出した。

俺は別に妹を嫌っていなかった。ただ、接し方が分からなかっただけで。

確かに小さい時は羨ましいとも感じたが、妹は小さい時から出来た子だった。

だから特に不快感は感じなかった。

妹「どうしたの兄さん?」

兄「ん、昔の事を思い返してた」

妹「昔?」

兄「あぁ昔」

妹「昔かー、兄さんに助けられてばっかりだったなー」

兄「あの頃は俺も必死だったんでな」

兄「ちゃんと、もっと遊んでやれればよかったんだが」

妹「いいもん、今が一番」

兄「そうか」

妹「うん」

兄「ほら出来たぞ」

妹「おぉ、これは見事なシチューですな」

兄「頑張ったからな」

妹「でも時間掛かってないよね」

兄「それが俺の腕だ」

妹「なんだか私自身無くしそう……」

兄「そんな風になるな、どの道お前にはこれから世話を掛ける」

妹「そっか」

兄「あぁ、今日は特別だ」

妹「うん、特別だったね……」

兄「?」

妹「さ、食べよ」


妹「でさ、あの頃の私何にも知らなかったから」

兄「そうだったな、いじめっ子から逃げる方法を伝授するとか言ってたな」

妹「今思い出すと馬鹿みたいだよねっ」

兄「でも馬鹿やってた時が一番良かったのかもな」

妹「そうだよね、今じゃ勉強とか色々あるし」

兄「あの頃は、色々なものが鮮明だったよ」

妹「兄さん親父くさい」

兄「それは酷い言い草だ」

妹「褒めてるんだよ、大人びてるって」

兄「嘘吐け」

妹「ほんとだよぉ」

兄「ま、そういう事にしておいてやるよ」

妹「何それ」

兄「なんでも」

妹「ぶーぶー」

兄「黙って食べなさい」

妹「自分だって喋ってるじゃないのさ」

兄「俺は良いんだよ俺は」

兄「……なぁ妹」

妹「なに?」

兄「お前は今幸せか?」

妹「うん、幸せかな」

妹「欲はあるけど」

兄「欲?なんだ?欲しいものでもあるのか」

妹「あるけど、一生手に入らないものだからいいんだ」

兄「諦めるのか、諦めたらそこで終わりだぞ?」

妹「ううん、私がそれを手に入れようとしたら」

妹「きっと誰かが傷つくよ」

兄「……そんなものなのか」

妹「……うん」

兄「そうか、掘り下げてすまなかったな」

妹「いいよ、兄さん、食べよ?」

兄「あぁ」

―――

兄「ご馳走様」

妹「ごちそーさま」

兄「今日は早めに寝ると良い」

兄「明日は俺が早めに起きて朝食作っておくよ」

妹「うん、ごめんね」

兄「だから謝るなって」

妹「えへへ

―――妹部屋

妹「……」

妹「……兄さんは、今頑張ってるから」

妹「あんなに変わったんだもん、良い事なんだよ」

妹「……そうだよ」

妹「……」

妹「すー、すー」

―――兄部屋

ウィィィィ

兄「……」

カチッカチッ

検索ワード:手に入らないもの


……。

兄「……わからん」

兄「……」

検索ワード:

兄「……」

検索ワード:妹 気持ち

兄「……」

兄「ふ、寝るか」

ドサッ

兄「……手に入らないもの、か」

―――次の日

ピーッピーッピー......

兄「……5:30」

兄「うう……眠い」

兄「良く考えたら、妹、いつもこんな早起きなのか」

兄「いかん、早く飯と支度をしなきゃ」

―――

妹「……おはよ」

兄「起きてきたか」

兄「飯、出来てるぞ」

妹「うん」


妹「美味しい」

兄「そうか、朝はちゃんと食べてけよ」

妹「それは兄さんもだよ」

兄「そうだな」

―――

兄「それじゃ、行ってきます」

兄「気をつけろよ」

妹「それは兄さんでしょ、もう」

兄「そうだな、あぁ、気をつけるよ」

ガチャン......

妹「……」

妹「さって、私も行く準備しないと!!!」

―――

「おはよー、妹ちゃん」

妹「おはよー」

「大丈夫だった?熱」

妹「うん、全然大丈夫だよこのとおり!!」

「あはは、元気なら良かったよ!」

妹「うん!」

「そういえば、もうすぐクリスマスだよね」

妹「あ、そうだっけ」

「そうだよ~、ね、それでさ」

妹「うん?」

「妹ちゃん、誰かとクリスマス過すんじゃないの?」

妹「え?う~ん、まぁ家でクリスマス過すけど」

「えぇ~?妹ちゃん誰とも過さないの?」

妹「兄さんに心配かけたくないから」

「そっかー、妹ちゃん美人なのになー」
「ね、ほんとに、好きな人いないの?」

妹「……まぁ、居ないことも無い、かな?」

「えー?誰ー?」

妹「えへへ、秘密」

「何よそれー」

妹「……それに、無理だと思うから」

「えぇ?よくわかんないよ」

さる規制が……

妹「……」

「どうしたの?でも何事も“無理”で片付けちゃうのはダメだと思うよ?」

妹「うん、そうだよね……」

―――

ヒソヒソ......

「あいつまた来たよ」
「あのまままた不登校になればよかったのにね」
「最近生意気だよね、あいつ」
「キモー」

兄「……」

友「おい……」

男「やめとけ」

友「だけどよ……」

兄「もう慣れてる、気にしたら負けだ」

友「お、おう」

―――昼

兄「んじゃ、俺飯買いに行ってくるよ」

男「おう」

友「おーう」



兄「……いつみても凄いな」

兄「……?」

女「うーッ、取れないーッ」

兄「あの……何やってるんですか?」

女「何って、昼ごはんを――!?」

兄「どもです」


―――

女「へぇそうなんだ、別の科だったからわかんなかったよ」

女「あ、ありがとうね、さっきの」

兄「いえ、俺も買うからついでにってだけですから」

兄「……んじゃ俺人待たせてるんで」

女「へぇ、彼女さん?」

兄「友達です」

女「あぁ、そうなんだ」

兄「んじゃ」


男「遅かったな」

友「ホントだぜ」

兄「すまん」

兄「女さんっていうバイト先の先輩にあってな」

友「えぇ!?女!?」

男「女か」

兄「何だ知ってるのか」

男「まぁ、幼馴染だからな」

友「そうそう、可愛いだろ~」

兄「……」

―――放課後

女「お~い男~」

男「ん、なんだ」

女「今日一緒に帰ろうよ」

友「かぁ~、モテる奴は違うねぇ~」

女「ち、違う!ちょっと買い物に付き合ってもらうだけだし」

女「っというか、友なんかよりも男の方がよっぽど博識だし~」

友「なぁにぃ~!?」

兄「んじゃな」

友「あ、じゃな」

女「大変なんだね」

男「あぁ、あいつはな」

―――

「さよなら~」

妹「おわったー」

「ねぇ妹ちゃん、今日一緒に帰ろ?」

妹「ごめんね、私、今日用事があって」

「そっか、じゃぁね~」

妹「うん、ごめんね~」

妹「よし」

―――

妹「……兄さんって、クリスマスに何貰ったら嬉しいんだろうな」

妹「うーん……」

男「ん、妹さんじゃないか」

女「え?」

妹「あ、こ、こんばんわ」ペコリ

男「……その様子だと、兄にプレゼントか?」

女「え?そうなの?」

妹「え、は、はい……恥ずかしいですけど」

女「そんな恥ずかしがる事ないよ、良い子ね~」

―――

女「そっかー、本当のお兄ちゃんじゃないんだね」

妹「はい、でもとても優しくしてくれて」

男「……少し用が出来た、女は待っていてくれ」

女「うん」


女「うふふ、ねぇもしかして……」

女「お兄ちゃんの事好きなの?」

妹「ッ!?な、な、何を……」

女「だって、お兄ちゃんの話をしている時の妹ちゃん」

女「乙女だよ……?にやにや」

妹「ば、まさか、兄ですよ兄!?」

女「でも血は繋がってないんでしょ?」

妹「ですけど、兄さんにとって私は妹ですから……」

女「ほらやっぱり、好きなんじゃない」

妹「……///」

女「私別にいいと思うけどなー」

妹「……でも、兄さんに迷惑掛けたくないです」

女「そうやって思うのも分かるけど」

女「人生って、一度きりよ?何起きるか分かんない」

女「まだ私も妹ちゃんも若いけど、若い若いって言ってたら」

女「いつの間にかおばーちゃんになってましたーってなっちゃうよ」

妹「……そうなんですか」

女「そうよ、だから私は今を精一杯生きるのよ」

女「これから先、何が起きるか分からなくて」

女「自分が手放したくないものも手放さなきゃならなくなっちゃうかもしれないしね」

女「そんな筈か無いって思ってると、案外そうなっちゃうもんなのよ」

妹「……」

男「すまんな、待たせて」

女「いいよ、妹ちゃんと面白い話できたから」

女「バイバイ、妹ちゃん、頑張ってね」

男「?」

女「なんでもなーい、いこ」

男「あ、あぁ」


妹「……今を……」

妹「……うん、兄さんに何あげようかな」

妹「クリスマスプレゼント」


―――

兄「……」

兄「……わからない」

兄「妹、何あげれば喜ぶだろうか」

兄「……うぐ」

兄「調べておけばよかった」

友「おぉ!?最近はよく会うなぁ!!!」

兄「ちょうど良い所に来たな」

友「え?妹ちゃんが喜ぶプレゼント?」

兄「あぁ、何をあげればいいか」

友「……そーだな、……服とか?」

兄「それは在り来りすぎないか?」

友「んじゃ何やれば……って、俺にだから聞いたんだよな」

兄「あぁ」

友「んんん……」

友「ネックレス、とか?」

兄「アクセサリーか……それも考えたんだがどんなのが良いのか」

友「まぁ、見てみようぜ」

兄「すまん」

―――

友「なぁ......」

兄「なんだ」

友「お前さ、妹ちゃんの事どー思ってるわけよ」

兄「何を行き成り」

友「今までお前見てて思ったことがあるんだが」

友「どう考えてもお前と妹ちゃんはそういう関係にしか思えねーなぁ」

兄「兄妹だぞ」

友「血は繋がってませーん!そう考えるとふつーのカップルにしか見えない」

兄「俺にとっては妹だ」

友「マジで?」

兄「本当だ」

友「んじゃ、妹が熱だして一緒に寝て欲しいって言われて少なからず興奮したろ」

兄「……お前」

友「何?」

兄「いやなんでも」

友「ともかく、案外お前らみたいなのってすれ違いが多いと思うのだぜ」

兄「何故?」

友「感だよ、感」

これはwwwwwwいい流れwwwww フッ… l!
  |l| i|li
  ハ,,ハ ,      __ _   ニ_ハ,,ハ
 l( ゚ω゚ ) :l. __ ̄ ̄ ̄    / ゚ω゚ )
  !i   ;li    ̄ ̄ ̄    キ     三
  i!| |i      ̄ ̄  ̄  =`'ー-三‐ ―

              /  ;  / ;  ;       ハ,,ハ
          ;  ,ハ,,ハ/  / ヒュンッ       ( ゚ω゚ )  いいぞもっとやれ

            / ゚ω゚ )/            /    \
            |  /  i/         ((⊂  )   ノ\つ))
           //ー--/´             (_⌒ヽ

         : /                   ヽ ヘ }
         /  /;            ε≡Ξ ノノ `J
    ニ ハ,,ハ,_
    / ゚ω゚ `ヽ  ニ≡            ; .: ダッ
    キ    三    三          人/!  ,  ;
   =`'ー-三‐     ―_____从ノ  レ,  、

感じるなwww勘じろwww

兄「そうか」

友「そうそう、あ、これなんか良いんじゃね?」

兄「……高いな」

友「でもまぁ綺麗だし、羽型のネックレスなんて珍しいじゃん」

兄「……これにするか」

友「よぉーし頑張れよぉー」


兄「今日はすまなかったなつき合わせて」

友「良いって良いって」

友「いいけど、しっかり態度はハッキリさせろよな」

兄「?」

友「んじゃーなー!!!」


兄「……」

兄「これで、喜んでくれるだろうか」

兄「……帰ろう」

―――

兄「ただいま」

妹「お帰りなさい、兄さん」


兄「……明日はクリスマスだな」

妹「そうだね……」

兄「どうした?」

妹「に、兄さんこそ」

兄「……」

妹「……」

―――

妹「そ、それじゃおやすみなさい兄さん」

兄「あぁ」


妹「……あ、明日はクリスマスだ」

妹「……えへへ」

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―――クリスマス当日

「へへ、俺今日彼女と一緒にクリスマスだぜ」
「いいなー」
「私、今日彼氏に呼ばれちゃった」
「うっそーうらやましー」

友「……く、くそ、皆して恋愛しやがって」

男「……友」

友「い、いいもん!俺は家で家族と仲良くクリスマスだもんね!」

兄「俺も家族とクリスマスだ」

友「お前は違うだろ!微妙に!!」

男「……」

友「……お前まさか、女とクリスマス一緒に過すのか!?」

男「……」

友「……く、くそ、くそったれえええええ」

兄「あ、おい」

男「……いや、なんともいえない」

兄「……」

―――

妹「えへへ」

「今日は一段と機嫌がいいね!」

妹「うん」

妹(……早く帰りたいなぁ)

「あー、妹君は居るかね」

妹「あ、はい……」

「ちょっと来なさい」

妹「はい」

―――

先生「というわけで、親御さんからの連絡は以上だ」

妹「……」

先生「嫌かい?」

妹「はい……でも、お母さんに迷惑は掛けられないし」

妹「……わかりました」

「……ねぇ、妹ちゃん?」

「先生に何か嫌な事言われたの?」

「えー、どうしたの妹ちゃん?」

妹「あはは、ごめんねみんな、なんでもないんだ」

妹「……」

―――

兄「……」

友「……ちくしょう」

男「友……」

友「いや、俺が悪かったよ」

友「しかし、いつの間に出来てたんだ?男」

男「出来てって……まだ付き合ってもいないぞ」

友「んじゃ告白するのか」

男「まぁ……」

兄「青春してるのな」

男「……兄」

兄「なんだ」

男「いや、今日は妹さんと仲良くしてやれよ」

兄「いつもしている」

男「そうか」

友「ん?どうかしたのか?」

男「なんでもない」

兄「……」

友「しっかし今日に限って突き抜けるような快晴だぜーちくしょー」

男「寒いな」

兄「……あぁ、寒いな」

―――放課後

男「帰ろうぜ、兄」

兄「あぁ」

友「んじゃーなー」

―――電車内

男「……」

兄「……また本が変わったな」

男「あぁ、秒速5センチメートルって言う小説さ」

兄「長い題名だな」

男「だが、内容はとても面白いぞ」

男「まぁ、終わり方が、ハッピーエンド主義の俺にはキツかったかな」

兄「お前、そんな拘りがあるのか」

男「まあな」

男「あぁ、兄」

兄「ん」

男「……自分の気持ちに素直になる事だ」

兄「俺はいつも素直だが」

男「そうか、それじゃあな」


兄「あぁ……

>>303ミス。すいません。


兄「……」

―――

兄「……ただいま、メリークリスマス」

妹「えへへ、メリークリスマス」

妹「お帰りなさい、準備できてるよ」

兄「ありがとうな」

兄「す、凄いな」

妹「えへへ、頑張ったよ」

兄「……今日は腹が膨れるな」

妹「さ、早く食べよ」


―――

兄「……旨いなぁ」

妹「えへへ、ありがと」

兄「……そうだ、これ」

妹「プレゼント?やったぁ!」

妹「……うわぁ、綺麗」

兄「どうだ」

妹「すっごく気に入った!!!」

兄「そうか、気に入ってくれたなら」

妹「あ、えっとね、私もプレゼント、あるんだ」

兄「それは楽しみだ」

妹「えっとね、兄さんと同じような奴なんだけど」

兄「おぉ、これは綺麗なネックレス」

兄「ありがとう」

妹「安物なんだけどね……えへへ」

兄「値段なんて関係ないさ、大切にするからな」

妹「うん、どう?似合う?」

兄「あぁ、とても似合ってる」

妹「えへへ、兄さんも付けてみてよ」

兄「……どうだ」

妹「おぉ、似合ってる」

兄「……」

妹「……」

兄「ははははッ」

妹「あはははッ」

兄「兄妹そろって同じ事言うんだな」

妹「兄妹……」

兄「……ん?どうした」

妹「なんでもないよ、えへへ」

妹「さ、早く食べよ、冷めちゃうよ」

兄「そうだな、残さず全部平らげてやるぞ」

妹「私も負けないぞー、って、太っちゃうかな」

兄「平気だろ」

妹「そうだね」

―――

兄「……もう食えない」

妹「わ、私も……」

兄「しかし、全部食えたな」

妹「……やったぜ、兄貴……」

兄「大丈夫か」

妹「ぜんぜん平気であります」

妹「……美味しかったね」

兄「あぁ、旨かった」

妹「プレゼントも貰えて」

兄「……幸せか?」

妹「うん」

兄「本当に?」

妹「……うん」

兄「お前、嘘吐いてるだろ」

妹「え」

兄「目を見れば分かる、さっきから泳ぎまくりだ」

妹「……」

兄「何かあったのか?言ってみ」

妹「……か」

兄「か?」

妹「お、お母さんがね……」

兄「……」

妹「と、遠くに行くから……」

妹「一緒に来なさいって……」

兄「……そうか」

妹「お、怒らないの?」

兄「あぁ」

妹「どうして?なんで?」

兄「妹、お前はババァが、いや、お母さんが好きか?」

妹「う、うん……」

兄「そうか、なら行くと良い」

妹「え?」

兄「……きっと俺と一緒に居ても生活が辛くなるだけだろうしな」

妹「に、兄さん……兄さんも一緒に……」

兄「それは出来ない」

妹「なんでよ……」

兄「俺が妹と一緒にお母さんの所に行けば」

兄「お母さんに迷惑がかかるしな」

兄「それに、俺が行けばまた喧嘩が耐えない家庭になる」

兄「お前はまだ小さいからな、しっかり教養を取らないと」

妹「……」

兄「俺は、これから先社会に出て行く」

兄「お前はまだまだ道を選択する時期だからな」

妹「で、でも」

兄「……それに、俺はアイツが嫌いだ」

妹「……」

兄「……ありがとうな、こんな馬鹿兄貴の事、慕ってくれて」

妹「……兄さん」

兄「俺な、今まで散々自分勝手に生きてきたから」

兄「今度は、ちゃんとお前の為に頑張ろうってな」

兄「……だから、これが最善なんだ」

兄「認めたくないが、アイツがくっ付いてる男は」

兄「金持ちだからな、きっと仕事か何かの都合でお前を呼んだんだろう」

妹「に、兄さんは、兄さんは私と離れて寂しくないんですか?」

兄「そうだな、これから一人暮らしになるからな……」

妹「そ、そうじゃなくて!!!」

妹「に、兄さんは、わ、私をどう思ってるんですか……!」

兄「どうって……それは好きだよ、妹だし」

妹「ッ――」

妹「そ、そうですか、わかりました」

兄「……?」

妹「もう直ぐお母さんと約束の時間だから」

兄「あ、あぁ……」

妹「……兄さん」

兄「な、なんだ?」

妹「……何か言いたい事、ないの」

兄「……頑張れよ」

妹「ッ――!!!」

妹「さようならッ!!!」

兄「あ……」

その時、妹は泣いていた。
俺は何で泣いてるのか、よく分からなくて。
でも、飛び出していったあいつを見ていると――

追いかけなきゃと思った。

兄「……わかんねぇ」

兄「検索してもわかんねぇ、なんだってんだよ」

兄「俺は本当にあいつの事心配して、そんでババァの所に行けば幸せになれるって」

兄「そうじゃねぇかよ、合理的に考えて……」

兄「くそ、こんなに走ったのは久しぶりだっての……」

妹残るんだ!!!
読者を裏切るようなことは
 フッ… l!
  |l| i|li
  ハ,,ハ ,      __ _   ニ_ハ,,ハ
 l( ゚ω゚ ) :l. __ ̄ ̄ ̄    / ゚ω゚ )
  !i   ;li    ̄ ̄ ̄    キ     三
  i!| |i      ̄ ̄  ̄  =`'ー-三‐ ―

              /  ;  / ;  ;       ハ,,ハ
          ;  ,ハ,,ハ/  / ヒュンッ       ( ゚ω゚ )  お断りします

            / ゚ω゚ )/            /    \
            |  /  i/         ((⊂  )   ノ\つ))
           //ー--/´             (_⌒ヽ

         : /                   ヽ ヘ }
         /  /;            ε≡Ξ ノノ `J
    ニ ハ,,ハ,_
    / ゚ω゚ `ヽ  ニ≡            ; .: ダッ
    キ    三    三          人/!  ,  ;
   =`'ー-三‐     ―_____从ノ  レ,  、

俺が夢中になっていると、携帯が鳴った。
……男だった。

兄「も、もしもし」

男『……よ』

兄「……すまん今急いでるんだが――」

男『あぁ、知っている』

兄「……じゃなんだよ」

男『お前な、妹さんの気持ち分かってないだろ』

兄「は?」

男『あの子はな、お前の事を一人の男として見てるんだよ』

兄「……んなゲームみたいな……」

男『俺は嘘は吐かない、そう前に言ったんだがな』

兄「……俺にどうしろと」

男『ちゃんと答えてやれ、お前、薄々気づいてたろ』

男『それに自分で気づこうとしなかったんだろ』

兄「……」

兄「俺が、なんであそこまで変われたか分かるか」

男『……』

兄「それは、あいつの為だったからだよ」

兄「よく考えたら、俺が自分であいつと壁を作ってた」

兄「昔はな、すっげぇ仲が良かったんだ」

兄「……でも、俺が甘ったれて、妹に迷惑かけて」

兄「……それを糧にして立ち上がってる最中に」

兄「妹がそんな風に……って、回らねえよ……」

男『言いたい事はそれだけか』

兄「……あぁ」

男『……妹さんな、海外に行くそうだ』

兄「!?」

男『お母さんの都合らしい』

男『これで分かったろ?俺が何言いたいのか』

兄「……あいつそんな事言ってなかったぞ」

男『……後悔するぞ』

兄「……だがもう、時間が……」

男『ぐちゃぐちゃ言ってないで、行ってきたらどうだ』

兄「……すまん」

男『いや、俺も言い方が悪かったな』

男『……しっかりな』


俺は携帯がきれた瞬間に駆け出していた。
ちょうど、住んでいる所が田舎なおかげだったんだろうか。
こんな寒さの上に雪が降ってきた。ご苦労な事だ。
所々転びそうになりながらも、俺は駅目掛けて走っていた。

兄「……はぁ、はぁ、くそっ、間に合えッ」

兄「……」


妹「……兄さん」

兄「……お前、行く所ぐらい教えてくれよ」

妹「ごめんなさい……」

兄「謝るな」

妹「……」

兄「……なぁ」

妹「……な、何」

兄「プレゼント貰った時嬉しかったか?」

妹「うん……兄さんは」

兄「そりゃ、嬉しかった」

妹「……兄さん、そっち反対側だよ?」

兄「うるせ」

兄「……お前、俺の事、好き……なのか」

妹「……うん」

兄「……そっか、いや、びっくりした」

妹「……うん、うん」

兄「……俺な、正直お前が好きかって話になると」

兄「まだ分からない」

兄「だけどな、大切なのは確かだ」

いもうとおおおおおおおおおお!!!!
           ,ァ''''冖-,、                 ,,,

    ._、.,,,、    .|`    ,゚'r,       .,ll“'*r,、    ,,,#ll|e,~ly       .,,,
   : /: _,,,゚'・x,,,,: : :|      'q.lli、    ./''l゙: ,、 'll〟 ,,,,〃|_.,| ,ト|!゙i,     ,,l|゙,,l'
  .pー“゛.゙゙'l; `.,ト │ ,i、 i、゙ド'┓   .゙l_|,,√.,ト、l, .lニrーッ!┨,| ,l|, 'l:  .,,lli,,,f゙゙,゙゙'y
  .゙l..・-,v-rl,,,ill:  ゚t,: | │゙l, ゙l .゙l、   .゙!l,llill゙.,,ド,l″  ,l゙.,".,ト,l゙.l`]  llle,,ll,l",,: 】
   '|, v,,,,,,,,,,."'《、  ゚r|,、ヽ.'l,ト  ゙L   .リ.゚'lダ!l°  ,√.'・"'廴~’  廴.,li,r゙゙_ill,
   ゚L.,,,,_ .,ァ.‐.゙レ,、 .゚゙[゚''゙'″ 丶 ゙'lq,、 │  : .〔  ,iケ   ..ll,   .,,l”゚゙/゙!ll゙_,ll
    .'トミllll】-'.,r~}.゙ヘ,,,, ∥ : _   ! . , ll     :゚t,..,l°    ゙lト  ,,l″ .゙l
   ,ぃ,,,,,,,。∪'"./:    .゙|'”゙゚'[`|   ゙' r, i : .    .'lll,      .,ll,,,rぐ  .,,,ll゙
  .゚k--ry   .|  .,iil,“゚'か'",l          ゙'ln; .゙℡   .,,rlll゙°   ,l
   _,vー゚`   'l,  .'l,,,゙N┘.,l.,    ___      ゙l| .,,r・".,√   .,ll
  . lu--コ    ゙k 'l,"゚゙l゜,,lヴi  ./    \      『,,√ : ″  ..,ll  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   .,,r'',,r| .,,   ゙゚ti,゙゙|,,,i,´    | ^   ^ |     |,l°      .,√ | あれほど言ったはずだ
   .'ur“: .lyl廴   `゚'!c.廴    | .>ノ(、_, )ヽ、.|    l°      ,,,l  < 
: ._    .'!l,,l,,,,,_   ゙|l      ! ! -=ニ=- ノ!_   l|   .,,i*jlilllタw,,、 .,r-=-r____
'゙~``:''ヽ,,,,√   .~゚'、, .l,,gllc/ ̄\`ニニ´/ ̄\i、 ,,r"     ,レ'″   .li
、    .'《゙N,,,、    .゚'ll゙゙mr----   ̄ ̄ =`゙ニ-r/"     ,r'°     'l
゙l,、    l  `'私            ゙゙゚''l*゙^            ,rl゙゙゙゙≒,,,,,,,,,,,wll'
: ゙゚'━'#'┷x,_ .゙私,              l               ,il_,yー'''''''ー_、 |
   ,l′  ゚リh,,,,|l,               l゙              ,lll゙°      ゙''ll
ヽ-rf°      ,,゙゙%、             ,l、            ,,ll!e,、     ._,,,r
   ``':i、__,,,,,广  '゙l,,,,、     ._,,,wllll|,llli,,,,,,,,,,,     ._,,,llll″ .゚ラiぁwr='“`
      ` ̄ .゚l,、    ゙゚''*mii,,x'll゙″  ..ll"   `゙lllii,l,illllケ″   .,lヽ,,、
   ll|゙゙"゙゙'l,,,,,,,,lll,、     ,ll゙" 'l,,,,,,,,,,,,,illwrre,,,_,l°゙l、     ,!″ `゚''=x,,

   ゙ll,,|ト ゙|,、 `┓    確 : 'll"   .:ll    'l,r` .:l:     ,,l″: .___ ,,i´ ゙'l!
  .,,l゚ `   `゚X .゙|y    .喜.l,,l′   .l]  :  ,lr~:li、  .,r''゚゚゙'lザ ゚゚̄'リ: .i、ll
 √゙,ll,、   ,,il!广,l゙'N,,_  .ll,トi,゙゙|__、 ._l,l,,__,,,l,,,,r ┃ ,r'°  .゚|,  : .,l゙.,,l、゙l
 ゙',l“.,,ll・,,i、,,n″  .|   ゙゙℡, ll ,,,゚ト ̄ ̄] ` ゙̄]゙` l',,it,、    l   :!!゚,i'l゛..》
  .゙'''l,,,,とill″   ,,i´   ゚!illl| `゚゙l    l゙    j|" .l゙゜ .゚゙l,,    .2    ,}゙|rll

兄「……母さん、やっぱり好きか?」

妹「うん、お母さん好き」

兄「……迷惑を掛けたくない?」

妹「うん……」

兄「だから俺に着いてきて欲しい?」

妹「うん」

兄「……妹、お前がこっちに帰ってきた時」

兄「そん時、もしもまだ俺の事が好きなら」

兄「……ずっと一緒に居てやる、その頃には俺も気持ちの整理がついてる筈だから」

妹「……に、兄さん」

兄「泣くな、これはお前の為だ」

兄「どれくらい向こうに居るんだ?」

妹「3年……くらいだったかな」

兄「そうか」

兄「俺は、妹とそういう関係になるなら中途半端は嫌なんだ」

兄「だから……」

兄「お前は行け、妹」

妹「……に、兄さん……ひっく」

兄「……俺はお前を絶対に忘れない」

兄「だから、お前も俺を忘れるな」

兄「そうだな、お前、手紙でもメールでも」

兄「あ、メールは無理か、なら手紙だな」

妹「う……ひっく」

兄「手紙をくれ、そしたら俺も返してやる」

兄「それなら忘れないだろ」

兄「金が無いからな、携帯もそんな使えないし」

妹「……兄さん、本当に?」

兄「ん?」

妹「本当に、次にここに来たら兄さんは居る?」

兄「勿論」

妹「兄さん、私の事好きになってる?」

兄「……あぁ、勿論!」

妹「そ、そっか……えへへ」

兄「すまんな、本当に」

妹「……いいよ、それを聞けるだけで」

妹「……もうすぐ新幹線が来るね」

兄「……気を付けろよ」

妹「家の事大丈夫?」

兄「あぁ、寧ろお前が心配だ」

妹「兄さんの馬鹿……」

兄「……」

妹「……ごめんね」

兄「だから謝るなって」

妹「兄さ――」


その時、電車が妹の言葉をかき消した。

三年後までkskじゃああああ

妹「――!」

妹が鏡越しに何か言っているが良く分からない。
ただ、俺の視界はぐちゃぐちゃで良く分からなかった。
多分、泣いてたんだと思う。

兄「……くそ」

本当はあいつに着いていけばよかったのかも知れない。
数年後まで、あいつの事を想う事が出来るかと言えば、
またそれも分からない。ただ。
それでも、何かがあったから。
だから俺はあいつを押してやった。

兄「……帰るか」

これから暫く一人寂しい生活が始まる。
金も途絶え、自分で稼がなきゃいけなくなる。
そう、あいつを残していれば、
俺はあいつに満足のいく学生生活を送らす事が出来なかった。
これが妹にとって最良の選択なんだ。


男『……そうか』

兄「あぁ」

男『お前が後悔していないならそれで良い』

兄「しかし、お前どこで知ったんだ?」

男『女がな、妹の事を知っていた』

男『んで、頼まれた』

兄「そうか」

男『……なぁ、これからどうするんだ?』

兄「……約束を守らなきゃ兄じゃないからな」

兄「まずは、バイトの数を増やす」

兄「んで、良い学校に行く」

兄「……妹と再び会う時には立派になってないとな」

男『そうか、良い事だ』

男『まぁ、俺も色々と手助けしてやるよ』

兄「……サンキュ」

男『あぁ、んじゃ』

兄「おう」


……空から降ってくる雪が妙に冷たく感じた。
くそ、今日は晴れてたのに。
まだ視界が歪んで来た。早く家に帰ろう。

―――次の日

兄「……」

そりゃもう殺風景だった。
妹が居ないだけでこんなに音が無いのか。

妹『兄さん、朝ご飯出来たよー』

兄「……そうだ、飯」


兄「ご馳走様、さて行くか」

―――

男「おう」

兄「あぁ」

男「……どうだ?」

兄「何が」

男「調子」

兄「普通かな」

男「そうか」

この後、俺は我武者羅にバイトし、勉強した。
季節はどんどんと廻りに廻っていった。
男は女と付き合い始め、友は相変わらずだった。

俺は……

―――夏

兄「……あ、あちぃ」

友「だよなークソあちぃ」

男「あぁ、熱い」

友「くそーまさかマジで付き合いはじめるなんてよー」

男「……」

友「くそったれーうわあああん」

兄「……」

兄「太陽が眩しいな」

男「あぁ」

友「……妹ちゃん、今頃何してんだろうな」

あれ・・・?2chのSSってこんなに泣けるもんなの?やべーここ数年で一番素晴らしいものに出会ったわ・・・















>>1お前短編集出版しろ
買う

兄「上手く、やっているだろう」

男「あぁ、あの子ならな」

友「なー、それよりも俺にも彼女できねーかなー」

男「お前、そんな事より大学はどうするんだ」

友「うわあああそれを言わないでええええ」

兄「……元気だな」

男「兄、お前はどうする気だ?」

兄「取り合えず、難関校を受けるつもり」

兄「お前は?」

男「俺は女と同じ大学に行くよ」

友「くっそおおおお勉強する気でねええええ」

兄「なら俺が教えてやろうか?」

友「マジで!?」

兄「あぁ」

友「助かるよおおお!!!」

ハードカバーおまけもりもりで2000円以内でおねがいね>>1

まずこのスレがノベライズして
コミカライズして、
同時にアニメ化とゲーム化













高校3年、最後の夏休みだった。
親友と過した高校生活は、案外楽しいものだった。
勿論、妹とは時々手紙のやり取りをしていた。
どうやら良い学校で頑張っているそうだ。

兄「……夏、終わっちまうな」

友「あぁ……そうだよなぁ」

男「……夏の終わり程虚しい物は無いってか」

友「上手いな」

兄「あぁ」


―――そして季節は廻って―――

俺は男や友に話していた通りに難関校と呼ばれる、
良い所に受かる事に成功した。勉強を確りしていたおかげだ。
幸い友も何とか受かったらしく、日々クラブに精を出しているらしい。
男は女と今でもラブラブだそうだ。一方俺は……

「ねぇ兄君、ここ教えて欲しいんだけど」

兄「あぁ、これね、これがこうなって―――」

いつしか、妹との文通は途絶えていた。
いつ頃からだっただろうか。よく覚えていない。
俺はバイトや勉強に時間を費やし、毎日を必死に生きていた。

文通が途絶えた・・・だと・・・?

男「お前、また死んだ魚の目になってるな」

兄「……え?」

友「そういやそうだな、最近無理しすぎなんじゃないか?」

兄「……別に無理はしてないけど」

男「バイトに、勉強に、たまには生き抜きしたらどうだ?」

兄「……あぁ、すまない」

友「おいおい、大丈夫かよ?」

兄「あぁ、大丈夫だ」

……死んだ魚の目か。
そういえば妹にも良く言われていた。
なんだったっけか。良く覚えていない。

男「……」

友「ダメだこりゃ」

男「なぁ兄」

兄「なんだ?」

男「お前、息抜きに一人旅でもしてきたらどうだ?」

あとどれくらいー?

兄「一人……旅?」

友「お、いいんじゃないかそれ」

男「お前もう直ぐ長期休暇だろ?」

兄「そういえば……でもバイト……」

男「お前もう十分稼いでるよ」

兄「そうだったっけか」

友「おいおい、お前まさか自分が何やってるのかちゃんと把握できてねーのかよ?」

兄「……あー、よくわからん」

友「ダメだこりゃ!!」

男「ちょうどな、俺、くじ引きで当てたんだよ」

男「一週間田舎へ旅行しよう!とかいう奴なんだけど」

男「人数が一名だけでな、ちょうど良いと思ったんだ」

兄「……しかし」

友「いいよ、行けって!」

男「あぁ、息抜きにな」

号泣しえn

という事で、俺は今、旅行中である。
妹の事は殆ど覚えていない。
形として残っているのは、このネックレスだけだ。

兄「……」

兄「……死んだ魚の目、か」

俺は不意に携帯を取り出し、月日を見た。
それはちょうど……あの頃から三回目の春だった。

―――

プシュ......

ゴクッゴクッ

兄「……」

兄「着いたな……しかし何も無いな」

着いた先は、本当に田舎。
何も無く駅の近くに少し大きめの銀行が立っているくらいで、
後は緑がずっと続く畑や田圃だけだった。

兄「……さて、旅館を探さないと」

兄「……地図の見方が分からん」

兄「……どうする」

兄「……あのー」

爺「あいあい」

兄「この旅館を探しているんですけど……」

爺「あー……どこじゃったかのー」

爺「ばーさんやー、ばーさんやー」

婆「はいはい」

爺「この若いのが、この旅館を探しとるんだと」

婆「あら良い男!この先をまっすぐ行って」

婆「駅にそって行けば着くわよ」

兄「ありがとうございます、はは」

切ないなぁ・・・

高校からの三年で人を忘れ去るのはあり得なくないか…

俺は親切な老夫婦に頭を下げてから、
その言われたとおりの道を歩いていった。
空は快晴。雲一つ無い過しやすい気温だった。

兄「……すげぇ……」

そういえばこの辺りは桜並木で有名な所だった。
どうにも勉強していないと覚えている知識が出てこない。
>>414妹は覚えてるけど、何してたかを忘れてしまっている黒似のお兄さん。

どこまでも続く桜を見上げながら歩いていると、
団体の旅行者だろうか、複数人が一人の案内人に案内されている。

案内「えー、ここが日本で有名なー」

旅行者の殆どが外人。
アメリカの人達だろうか。
「おー、サクラー」とか言っている。

兄「……」

確かにサクラーと叫ぶ理由も分からないでもない。
本当に目に鮮やかな光景だった。

しばらく歩いていると、旅館が見えてきた。

兄「……でかい」

正直男に悪いと思うくらい立派な所だった。
俺は驚きつつも旅館に入る事にした。

>>418 ミスった。すいません。

―――

俺は荷物なんかを降ろして、
自分の部屋でボーッとしていた。

妹『……』

あれから三年。
良くも悪くも俺は何とか生きていた。
妹を好きになるという約束も守れそうにも無かった。
分からなかった。そもそも会えるのだろうか。
それに会うとしても何処へ?

今俺が住んでいる場所も変わっている。
携帯も変えて、色々変わった。

兄「……」

兄「……」

妹の顔もぼんやりとしか覚えていない。
妹の感覚も、匂いも、手の感触すら。

よく考えてみれば今に至るまで必死だった。
バイトをやればやる程体が悲鳴をあげて寝込んだ日もあった。
その上勉強を両立しなければならなくなり、
日々を忙しなく生きていた。その間は、妹の事なんて……

兄「……暇だ、散歩にでも行こうか」

不意に俺は旅館から出る事にした。
理由は無い。あるとすればこの辺りを把握しておきたかった。

今度は財布と携帯だけ。
二度目だが、相変わらず目に鮮やかな桜が視界に入る。

兄「……」

ピーッピーッ

兄「もしもし」

友『おお、兄?どうよ旅行は』

兄「あぁ、楽しませて貰ってるよ」

友『へへ、そうかよ、何か羨ましいぜ』

妹も不敏だけどそれ以上に兄が不敏でならない

支援

友『……なぁ』

兄「ん」

友『お前、妹ちゃんの事まだ覚えてるか?』

兄「あぁ……覚えてるよ」

友『そっか、今年じゃなかったか?』

兄「あぁ……だけど生活環境が変わった」

友『……そうか』

友『って、オイ!オイ男!』

男『よう、楽しんでるか?』

兄『……男か』

男『あぁ、友の携帯を拝借している』

友『ダーッ!返せこのイケメンがああああ!!』

男『うるさい、少し借りる』

女『ほらほら、友、大人しくしてなさい』

友『うがああああ』

田舎で感動の再会か
やるな男

>>426
言うな













黙れ

男『……どうだ、調子は』

兄「ん?あぁ、疲れが取れそうなくらい楽しんでるよ」

男『そうか、そんなお前に更なる朗報だ』

女『きっとびっくりするぞー』

兄「?」

男『妹さんがな、そっちに行くそうだ』

兄「!?」

兄「突然何を……」

男『俺は嘘は吐かない』

兄「そうだが……」

女『この前、男とのデート中に偶然あってね』

男『どうやら出かけに行くそうだ』

男『ただ、何処に行くかは分からない』

兄「……そ、そうか」

男『一応、伝えておこうと思ってな』

男『因みに相手も知らない』

男『ここ三年で、随分な成長振りをしていた』

男『きっとお前も分からないと思うが』 

男『どうする、一週間掛けて探すか?』

兄「……お、俺は」

女『もう!いつまで妹ちゃん待たせるのよ!!』

友『そうだぜ!!探して、感動の再開って奴をしてこいよ!!』

男『……どうする?前にも言った筈だ』

男『……後悔するぞ?』

兄「……」

兄「……やってみる」

男『そうか、その返事を聞けてよかった』

女『がんばってねー』

友『うわっ、俺にも喋らせろって!!』

友『頑張れよ兄――』ブチッ

電話が……切れた。

兄「……」

兄(……探すのはいいが、宛が無い)

兄「どうしたもんか」

俺はとりあえず適当にぶらぶら歩き始めた。
……その間に必死になって昔の事を思い出してみた。
すると、散り散りだが確かに覚えていた。

兄「……まだ、覚えていたんだな」

兄「……確か、学校がどうのって……」

俺は取り合えず、駅員に話を聞いてみる事にした。

駅員「え?そうですね、うーん」

兄「知り合いが居て、場所を知りたいんですけど――」

駅員「そうだなーうーん」

駅員「あ、そういえば、結構有名な学校のうーん、なんだっけな」

駅員「あ、そうそう美術部が、団体でこっちに来てるって」

兄「美術部……か」

駅員「確か絵の練習の為がどうのとか」

駅員「何?恋人でも居るの?」

兄「え、あ、いや」

駅員「いやー、いいねー」

駅員「俺も若いときに恋愛しとけばよかったよーハハ」

兄「あはは、すみません有難うございました」

駅員「いやいや、じゃ」


兄(……美術部か、妹が絵をやってるのか)

兄(……うーんわからん、情報不足だ)

兄(とりあえず旅館に戻ろう)


男『ん?美術部?』

兄「あぁ、何か、言ってなかったか?」

男『そうは言ってもな、本当に少ししか会話してなくて』

男『たまたま行く場所が同じだったってだけだしな』

男『それよりも凄かったぞ』

兄「何が」

男『成長ぶりだよ、とんでもなく美人になってる』

女『そうそう、すっごかった』

兄「居たのか」

女『私は男と殆ど一緒だからねー』

男『まぁそれくらいだな、頑張れ』

兄「……おう」


兄「……容姿も変わってるのか」

兄「……まぁ、虱潰しにやっていくか」

そうやって、この辺の人達に色々と話を聞いた。
旅館の人にも話を聞いたが、良く分からないらしい。

「え?あぁ、まぁ、確かにそれっぽい団体は見たけど」
「もう帰っちゃったんじゃない?」

「うーん、わからんのぉ」

兄「そうですか、ありがとうございました」


俺は地道に聞き込みをしていたが、
特に変わった情報も得られず、
遂に、最終日が来てしまった。

兄「……結局見つからなかった」

男『そうか、だが、まぁ、会えるんじゃないか』

兄「……そうだろうか」

男『まだ気になるか?なら満足いくまで探すと良い』

男『やるだけやってみるんだ』

兄「……あぁ」


俺は、荷物を片付けて旅館を出た。
ちょうど昼で、晴れだった。

兄「……居ないか」

爺「ん?いつぞやの若いのか」

婆「いつみても良い男ね~」

兄「あ、ども」

爺「探してる人は見つかったかい?」

兄「いえ……」

爺「そうかい」

婆「しっかし最近の若い子は綺麗なのが多いね~」

爺「そうじゃのう、さっきの子も別嬪さんじゃったからのう」

兄「……あの、その人って、どれくらいの年に見えました?」

爺「ん?そうじゃなー」

婆「高校生くらいじゃないかしらねぇ」

兄「はぁ……」

爺「なんじゃ?探してる人なのかい?」

兄「いえ……わかりません」

追いついた…だと?
支援
ちなみに老夫婦いわく兄もイケメンだそうだが男と兄はどっちのがイケメンなんだ?

兄「あの、どっちに行ったか分かります?」

爺「ん?おまいさんが歩いてきた方にむかってったが」

婆「ありゃ桜並木を見に行ったね」

爺「確かに、絵描きっぽかったからのう」

兄「……そうですか、ありがとうございます」

爺「おうおう、げんきでなー」

婆「やっぱり良い男ね~」


絵描きで、美人で、高校生……。
まさか……とは思うが、とりあえず旅館の方へ戻ってみる事にした。

兄「……」

―――

兄「……」

歩いても歩いても、誰も居ない。
昼だというのに……

それに何故か今日は日差しが強かった。

兄(疲れたな……あのベンチに座るか)

>>456 男はインテリ風の正統派イケメン。
     兄は、死んだ魚の目のちょっと暗い感じ。

カシャッ......

ゴクッゴクッ......

兄「……ん?」

向こう側にも、ベンチが設置されていた。
そこに座っていたのはスラリとした髪の長い女の子だった。

兄「……」

一目、美人だった。
白いワンピースに白い肌を覗かせている。
胸元にキラリと光るネックレスが……

兄(……どこかで見たような)

ボーッとその美人の辺りに視線を泳がせていると、
不意に目が合った。

兄「……」

「隣、いいですか?」

兄「え……あ、はい……」

どうしたんだか分からないが、
その美人さんは俺の隣に座ってきた。

「……ここ綺麗ですよね」

兄「そ、そうですね」

「あ、綺麗なネックレスですね」

兄「あ、はい」

「誰かからのプレゼントですか?」

兄「そうですね、昔妹に……」


……妹?
俺は何故かネックレスを見る度に妹が脳裏に……

「……実は、私もこのネックレス、貰い物なんです」

兄「そうなんですか……」

「えぇ、とても優しい兄からの……」

兄「!?」

きいいいいたあああああああああああ!!!!!!

「……」

兄「え、え、あ、あ」

「ふふっ」

兄「い、妹?」

「久しぶり、兄さん」

兄「……ぁ……」

瞬間、頭の中が真っ白になった。
その次に、忘れてた物がこみ上げてくる。

兄「……す、凄い変わりようだな」

妹「褒めてるの?それ」

兄「い、いや……なんというか」

兄「いや、元気にしてたか?」

妹「うんっ」

兄「そ、そっか……そっか」

俺はへらりとベンチに座り込んでしまった。

妹「ちょ、兄さん大丈夫?」

兄「……そうか、こんなに成長してたか」

兄「男から話には聞いてたけど、凄いな」

妹「えへへ、ありがと」

兄「でも喋ってみると変わってないな」

妹「なんだか嬉しいような嬉しくないような」

妹「兄さん、なんか老けた?」

兄「なッ」

妹「冗談冗談、でも髪の毛切ったほうが良いよ」

兄「……面倒」

妹「ダメだよ、印象悪いよ?」

兄「……」

妹「そうだ、髪切ってあげようか?」

兄「なんか前にも同じような事言われたな」

あbw?間会がんwねない・!・・・あでが・・~m

妹「ふふっ」

兄「……母さんは」

妹「抜け出してきちゃった」

兄「え?」

妹「母さんに頼んでね、日本に私だけ帰ってきたの」

妹「行く宛あるの?って言われたけど」

妹「中学時代の知り合いがね、泊めてくれて」

兄「そうか……」

妹「ちゃんとこっちの学校の入学手続きとかも済ませてから来たよ?」

兄「そうか……」

妹「約束どおり兄さんに会いに来たよ?」

兄「あぁ……」

妹「兄さん泣いてる?」

兄「泣いてない」

妹「うっそだぁ」

その後、俺と妹は今までの事を二人で話していた。

妹「へぇ、凄いなぁ兄さん」

兄「まぁ……我武者羅だったからな」

妹「でもダメだよ、無理しちゃこれからは」

兄「?」

妹「私がさせません」

兄「……ハハ、参ったな」

兄「一応バイトで一杯なんだが……」

妹「それも必要最低限に」

兄「……はい」

兄「……楽しかったか?」

妹「もう大変、言葉通じないし、勉強難しいし」

妹「それに……兄さん、手紙来なくなっちゃったし」

兄「……すまなかった」

妹「いいよ、いいよ、今こうやって会えてるもん!」

兄「そうか」

妹「うふふ、また兄さんと一緒に暮せるんだぁ」

兄「嬉しいのか?」

妹「そりゃもう、この日の為にありとあらゆる努力をしてきましたから」

兄「……へぇ」

妹「そりゃ兄の為にここまで綺麗になりましたよ」

妹「次に会う時に変だったらアレだし」

兄「……すまんな、髪ボーボーで」

妹「いいよ、また切ってあげる」

妹「それでさ、兄さん」

兄「なんだ?」

妹「返事……返事は?」

兄「……」

妹「まったんだよ?ずっとずっと、今日まで」

妹「……どう、なの?」

兄「……きちんと約束は守るさ

兄「なんていうか、うん、好き……だなうん」

妹「ハッキリしてない、もう一回」

兄「好きです愛してます」

妹「本当に?」

兄「おう」

妹「ホント?」

兄「おう」

妹「んじゃ、証明してください」

兄「……どうやって?」

妹「それを女の子に言わせるのでありますか?」

兄「……わかったわかった、やるよ、やればいいんだろ!」

俺は、勢いだけで妹にキスをした。
しかも短い。凄く短いキスを。
けれどキスをした瞬間に忘れていた妹の感触が、
湧き上がってきた。

兄「……」

兄「……」

妹「何か喋ってよ、兄さん」

兄「……お前、これが俺にとっての人生初のキスだぞ?」

妹「えぇぇぇぇ!?」

兄「そんな驚く事か?」

妹「てっきり経験済みなのかと」

妹「ほら、兄さんかっこいいし……優しいから」

兄「俺はお前の事だけしか考えてなかったよ」

妹「……」

兄「どうした?」

妹「……な、なんでもない」

妹「それより、着けててくれたんだね、ネックレス」

兄「俺にとって大切な物だからな、お前も着けてるじゃないか」

妹「そりゃ私にとって大切な物ですから」

兄「……そうか、そうだよな」

妹「……ねぇ兄さん」

兄「なんだ」

妹「その、私達ってどういう関係なのかな」

兄「そりゃ、所謂恋人って奴だろうな」

妹「もう一回言って」

兄「何が?」

妹「もう一回言って」

兄「……恋人だろうな」

妹「……えへへ」

兄「……だよ、調子狂うなぁ」

妹「兄さん、これからお世話になります」

兄「唐突だな」

妹「そりゃこれからまた一緒に暮らすもんですから」

兄「あぁ、んじゃお前の部屋も作らないとな」

妹「えぇ、私兄さんと一緒でいいのに」

兄「色々まずいだろ」

妹「うーん、残念ですな」

兄「……いかん、話込んでたら時間が」

妹「帰る?」

兄「あぁ、新しいお前の家にな」

妹「わーい、兄さん手繋いで~」

兄「いい年して何を言ってるんですか」

妹「いいじゃない、減るもんじゃないし」

兄「はいはい」

ギュッ......

妹「はい、これで兄さんとは離れません」

兄「おう」

妹「迷子にもなりません!」

兄「……行くぞ」

妹「うんッ」

―――新幹線内

妹「……すー、すー」

兄「あぁ、寝顔も昔のまんまだよ」

友『ぞうかぁ……遂にあえだがぁ…ひっく』

女『イヤッ、ちょっと鼻水垂らさないでよ!!』

男『よかったな、兄』

兄「あぁ、みんなには迷惑かけたな」

男『いいさ、それよりも妹さんとこれから仲良くしていけよ』

兄「あぁ」

友『……これで恋人居ないの俺だけか』

女『そういえば何で友って彼女出来ないんだろ』

男『確かに、今風のイケメンなのにな』

友『……ふっ、俺は高いのさ』

女『そういう事言ってるから出来ないのよ』

男『だな』

男『なにはともあれ、よかったな』

兄「あぁ」

男『心無しか、声も明るくなってるな』

兄「あぁ」

友『へへ、まぁ、よかったぜ本当に』

兄「あぁ……」

男『お前と会うのが楽しみだよ、そんじゃな』

兄「おう」

友『へへ、んじゃな!!』

女『ばいばーい』


兄「……」

いつもより、窓の外の景色が済んでいた。
夕焼けが無駄に眩しい。俺は目を細めた。

妹「あれ、寝ちゃってたのか」

兄「おはよう」

妹「……どうしたの?」

兄「何が」

妹「……泣いてる」

兄「……そうだな泣いてるな」

兄「……まぁ、今までを思い出すと泣けるものさ」

ここまで、この時間になるまで、
俺はロボットのように毎日を生きていた。
それが動き出した瞬間、どんどん溢れて来て。
視界が明るくなったように見えて。

妹「兄さん、もう死んだ魚の目じゃないね」

兄「……そうか?」

妹「うん、綺麗な色の目」

妹「……」

妹は、そのまま近づいてきて。
そのままキスをされた。

兄「……」

妹「兄さんばっかり浸っててずるいよ」

兄「……ごめんな」

妹「いいよ、私眠いから寝ちゃうね」

兄「あぁ、着いたら起こすよ……」


俺と妹はこれからも一緒に居るつもりだ。
きっとババァが障害になるだろうが。
そんな事はどうでも良い。どうにでもなる。
きっと俺は今まで以上に頑張ってしまうだろう。
そして妹に怒られるだろう。それもいい。
だって、次の頑張りは、彼女に向けたものなのだから。





妹「兄さんが家出した……」
 
                     「おわり」

乙!最高だった!むやみにエロをいれなかったアンタに畏敬の念を

>>595
連れ子だぞ
性的虐待を受けてたに決まってんだろ

>>600

処女で、初キスです。

何はともあれありがとうございました。
また次の機会に。

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