唯「へえ、あずにゃんのお兄さん?」(223)

梓「はい、今度の日曜は兄とでかけるんで、買い物には付き合えません」

唯「とか言って、彼氏じゃないの?」

梓「ち、違います!」

日曜日

律「へえ、梓に兄ちゃんがいたのか」

唯「そうなんだよぉ」

律「もしかして、クリスマスのときも家族と過ごすって言ってたけど」

唯「お兄さんと一緒だったんだよ!」

澪「でもべつに二人っきりで過ごしたってじゃないだろ」

律「わかってねえなぁ、澪は」

澪「?」

律「唯がしつこく梓の用事の内容聞くまで全然兄ちゃんのこと今まで話さなかったんだぜ?
律「兄ちゃんを私らの誰かに盗られるって心配してたんだよ」

澪「はあ?話が飛びすぎ」

律「だからクリスマスのときも兄ちゃんと二人っきりだったんだよ、きっと」

唯「おお、禁断の愛だね!」

澪「お前ら……」

紬「それはそれとして、あそこにいるの梓ちゃんじゃない?」

律「え?」

唯「ほんとだ、あずにゃ……」

澪「ばか、よく見ろ」

唯「むぐっ……あ、男の人と一緒だ」

律「あれが梓の兄ちゃん……かな」

唯「へえ、かっこいいね」

律「背も高いし」

紬「なんだか優しそうな方ね」

澪「そ、そうだな」

律「おお?澪ちゃん興味津々じゃないですかぁ」

澪「ば、ばか!みんなだって!」

律「そりゃあみんな男っ気ないもんなぁ。花の女子高生だし、興味ないほうがおかしいよ」

澪「そ、そうだよな」

律「まあ、澪は今までろくに男と話したことないから、意外って思っただけさ」

澪「わ、私だって男の人と話したことぐらいあるよ!」

律「それって用事頼まれたりとかの義務的なものだろ?ラブレターもらったときも恥ずかしがって待ち合わせ場所に行かなかったもんな?」

唯「えー、それって失礼だよぉ」

澪「だ、だって……」

律「やれやれ」

紬「あのぉ、梓ちゃんたち見失っちゃうけどいいの?」

律「いけね!こんな面白そうなこと手放す手はない!追跡だ!」

唯「ブ・ラジャ!!」

律「うーん、普通にウインドウショッピングしてるだけだな」

唯「あずにゃん楽しそう……私にだってあんなはしゃいでる姿見せてくれたことないよぉ」

律「お前は梓のなんなんだ」

唯「えへへー」

紬「あら……腕を組み始めて……」

律「あれじゃあ恋人だよ。あいつ本当は梓の兄じゃなくて彼氏なんじゃないか?」

唯「えー、あずにゃんが嘘ついたってこと?」

律「だってさすがにあれはねえよ。私も弟いるけど、外であんなベタベタしないもん」

唯「家では?」

律「しょっちゅう一緒に寝てる」

唯「!?」

紬「!?」

澪「!?」

律「え……?あ……うそうそ冗談!」

唯「ま、まあ私もよく憂と一緒に寝るし……」

紬「な、仲がいいきょうだいね」

澪「律、お前まさか聡と……」

律「だから冗談だって!ほら、梓たちもうどっか行きそうだぞ!」

澪「お、おい!」

唯「普通のデートだね、やっぱり」

律「途中でいくつか店入って、買うときもあれば何も買わないときもある」

紬「服の試着であんなに嬉しそうにする梓ちゃん可愛かったわ」

澪「で、お昼時だから今レストランにいるわけだ」

唯「なに話てるんだろ……ここからじゃよく見えないし聞こえないよぉ」

律「とりあえずただの兄妹なのか、恋人同士なのか確かめたいな」

唯「でもあずにゃんがお兄さんって言ってたもん」

律「それを真に受けることができないくらい、ラブラブに見えるから問題なんだよ!」

澪「……律、後輩に彼氏がいると思ったら気まずいのか?」

律「う……」

澪「やっぱりな。大雑把に見えて、こういうの結構気にするもんな」

律「う、うるせえ!だって羨ましいじゃん!悔しいじゃん!」

紬(りっちゃん可愛い……)

唯「あ、食べ終わったみたいだよ」

律「よ、よし、私らも行くぞ」

澪「ま、待てよ。私まだ食べ終わってないよ」

律「がー!ドンくさいやつだな!!」

澪「むっ……そんな言い方しなくてもいいだろ。だいたい今日はみんなで買い物する予定だったのに」

律「梓を追いかけながらでもできるだろ」

澪「私はもっとゆっくりしたいんだ!」

律「なんだよ、さっきまでノリノリだったくせに!」

澪「律に付き合ってやってただけだ!」

律「べつに頼んでねえよ!」

澪「はあ!?」

唯「ちょ、ちょっと二人とも」

紬「お店の中だから、ね?」

唯「あー、行っちゃった……」

紬「……」

律「だいたい澪はいっつもあとから文句ばかり言って……」

澪「それはお前だろ!!」

紬「今日はもうお開きね」

唯「だね」

夕方

律「ちくしょー!澪のやつ言いたい放題……」
律「なんだよ、私が悪いのかよ……!」
律「あー!腹立つ!!」

律は近くにあった空き缶を思いっきり蹴った。

「あた!!」

律「げっ!やば……」

「いてて……きみ、危ないじゃないか」

律「す、すみません!!」

「まあ、こんなところに空き缶捨てる奴も悪いんだけどな」

律「ほ、ほんとうにすみません!け、怪我は」

「ああ、大丈夫だよ」

律「よ、よかった……って、あんた梓の……!」

「ん?梓を知ってるのかい?」

あずにゃんのお兄さんいっぱいだなww




むぎの許嫁は俺だけど

律「え、ええと」

「あ、わかった、そのカチューシャはもしかして軽音部の部長さん?」

律「ど、どうしてそれを」

「梓から話を聞いてるからね。面白い人だって」

律「へ、へえ」

「でも、よく僕が梓の兄だってわかったね」

律「あ、ま、街で一緒に歩いてるところ見たから……」
律(やっぱり兄ちゃんだったのか)

「そっか、妹は先に帰ったんだ。もしよかったら、缶を当てられたお詫びでもしてもらおうかな」

律「え……い、いやでも……」

「じゃないと、僕は君を許せないよ」

律「うう……」

律「こ、こんな高そうな店……」

兄「ま、入ってよ」

店員「いらっしゃいませ」

兄「いらっしゃいましたよ」

店員「って、中野さんじゃないですか、久しぶりです」

兄「敬語はやめてくれよ、そっちのほうが年上だろ」

店員「やだな、中野さんのほうがずっと精神年齢は上ですよ」

兄「そうかな」

店員「とにかく、店長呼んできますよ」

律(な、なんだよいったい)

「ぐげげげげげげげええええ」

律「ひいいいいい」

「ずぼるすあああああさじょじょじょおろろろ」

『波ァ!』

あずにゃん
カサカサカサカサ

第一話「りっちゃんのはじめて」

Tさん「助かったな!アイツは悪質な妖怪だったのさ」

「じょぼぎゃああらえれつううあああ」

Tさん「そう褒めるなよ」

じょあかめるちょぱっぱっぱふららふぁふぉくぉおおお
(訳:寺生まれって凄い!改めてそう思った)

店長「中野、久しぶりじゃないか。またここでバイトしないか?」

兄「機会があればお願いします」

店長「お前みたいな腕のいい料理人はなかなかいないのに、もったいないな」
店長「で、そちらのお嬢さんは?妹さんじゃないよな」

兄「妹の部活の先輩なんです。今日は彼女にここの料理を食べさせたくて」

店長「そういうことならまかしといてくれ。お嬢さんに常連になってもらえるよう腕によりをかける」

律「あ、あの、これはどういうことなんでしょ……」

兄「ああ、ごめんごめん。驚かしちゃったかな。べつにもう怒ってるわけじゃないよ」
兄「ただ、僕がここの料理を君に教えたかっただけなんだ」

律「は、はあ……」
律(どういうつもりなんだろ……)

店長「うおおおおおおおおおお!!!美少女の毛ええええええ!!!」

兄「うおおおおおおおおおお!!!美少女の角質うううううううう!!!」

店長・兄「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

りっちゃんを料理するんだね
初めての味を教えてあげなきゃ
ハマると常連になっちゃうよ

律「うわ!からっ!」

兄「ここはエスニック料理の専門店だからね」
兄「店は結構高級そうなイメージがあるけど、値段もそこそこ安い」

律「辛いけど美味しい……」

兄「僕は以前ここでアルバイトしててね、人手が足りないときは料理も作らせてもらってたんだ」

律「そ、そうなんですか」

兄「まあ、お近づきのしるしってことで。他の部活の人にもここを紹介してやってほしい」
兄「お世辞にも流行ってるとは言えないからね」

店長「うるせえ、お前が辞めたせいだってのを忘れるなよ」

兄「そんな、過大評価しすぎですよ」

店長「じゃあお前がいたときと今とで客の出入りが全然違うのはどういうわけなんだ?」
店長「ってわけで部活の帰りにでも是非寄っててくださいよ、お嬢さん」

律「は、はあ」

唯や律は美少女
澪は美人
紬は俺の嫁
あずにゃんは昆虫

ゴキブリは飲食店に禁物だからな

律「あの、ご馳走様でした」

兄「あれくらいいいって。もう空き缶蹴るなよ」

律「い、いつも蹴ってるわけじゃないですよ」

兄「それならいいんだけど」

律「ったく」

兄「……やっとようやく元に戻ったって感じかな」

律「え?」

兄「梓に話を聞いてたのとイメージが違ったからさ。なにかあったのかなって」

律(もしかして、慰めてくれるために私を店に……)

兄「余計なお世話かもしれないけど、これからも妹をよろしく頼みます」

律「い、いえ!こちらこそ!」
律「じゃ、じゃあさよなら!」

兄「あ……送ろうと思ったけど、足速いな……」

第二話 「りっちゃんは処女だったゾ」

秋山家

澪(律のやつ、むこうから謝るまで許してやんないんだから)

そのとき澪の携帯に着信が入った。
サブディスプレイには「律」という文字。

澪(!律から……)
澪「……もしもし」

律『もしもし、澪……あの、昼間はごめん。私が言いすぎた』

澪「え……」

律『せっかくみんなで買い物に来てたのに、尾行なんて真似して台無しにしちゃったかなって』

澪「い、いや、べつにいいんだよ、私も面白がってたし」
澪「私こそ、いろいろ言っちゃってごめん」

律『許してくれるのか?』

澪「私が何年律と友だちやってると思ってるんだ」

律『へへ、そうだよな、ありがとう』

翌日

唯「あずにゃーん、昨日はお兄さんとのデート楽しかった?」

梓「え、え?」

唯「実は昨日見ちゃったんだよぉ」

梓「ま、まさか先輩方もあそこに?」

紬「休日となると行くところも限られてくるから」

梓「……っ」

唯「あずにゃん顔真っ赤」

梓「あ、兄を見たんですか?」

唯「見た見た。かっこよかったよね」

紬「ええ、素敵な男性だったわ」

唯「もっと早く教えてくれればよかったのに」

梓「だから言いたくなかったのに」ぼそっ

唯「え?」

梓「……なんでもないです」

唯「あずにゃん……」

部活終了

律「な、なあ、ちょっと腹減らないか?」

澪「そういえば、そうだな」

唯「もうぺこぺこ~」

律「この前ちょっといいカンジの店見つけたんだ。これからみんなで行かない?」

梓「でも夕飯がありますし」

律「たまには外で食うのもいいじゃんかよぉ」

紬「わぁ、楽しそう!」

唯「私はいいよー、憂に連絡しておくね」

澪「私も平気だぞ」

梓「うー、仕方ないですね」

律「よし、じゃあ行こうぜ!」

紬も連休中にデートに連れてってやらないと
寂しがってるからな

店員「いらっしゃいませ」

律「ここだここ」

店員「あ、たしか中野さんと一緒に来てた」

律「はい、田井中です」

店員「ご贔屓ありがとうございます」

律「店長と約束しましたし」

梓(中野って、もしかして……)

店長「いらっしゃい、お嬢さん方」

律「あ、どうも」

店長「いやぁ、嬉しいね。若いお嬢さんが店にきてくれるなんて」
店長「部活帰りって青春の思い出にこの店を加えてってください」

律「はい」

唯「うわぁ、りっちゃんこの店の常連さん?」

律「ちがうちがう、昨日ある人に教えてもらったんだよ」

澪「え?あのあと家に帰ったんじゃないのか?」

律「ちょっとそのへんぶらぶらしてたんだよ」
律「そのとき偶然会った人に、ここの店教えてもらったんだ」ちらっ

梓(律先輩、私のこと見てる……お兄ちゃんと会ったんだ……)

澪「そ、それってナンパじゃないのか!?」

律「うーん、どっちかって言うと私から誘ったみたいな」

唯「ええ!?りっちゃんオトナ~」

律「まあね」

梓(うそ、お兄ちゃんは律先輩のことなんか何も言ってなかった)
梓(律先輩が嘘ついてるだけ……)

律「ちょっと私トイレ」

梓「あ、私も……」




梓「律先輩、どういうつもりですか?」

律「なんのことだ」

梓「おにい……兄にこの店教えてもらったとか嘘ついて」

律「嘘じゃないよ、昨日たまたま梓の兄ちゃんと知り合って、教えてもらったんだ!」

梓「そんなの嘘です!」

律「嘘じゃないって、ここでバイトしてたから、って誘われたんだよ」

梓「え?ここでお兄ちゃんがバイト?」

律「知らなかったのか?」

梓「お兄ちゃんがアルバイトしてたのは知ってたけど、でも……」

律「ぷっ、なんだそれ。いまどき『お兄ちゃんのことは私がなんでも一番知ってる~』ってか?」

梓「!」

律「恋人気取りもいい加減にしとけよ」

律「単刀直入に言うと、私梓の兄ちゃんに惚れた」

梓「え……」

律「だから梓が兄ちゃんに特別な感情持ってるなら諦めて欲しいし、諦めないなら邪魔もする」

梓「そ、そんなこと」

律「じゃあ梓は兄ちゃんのことべつに好きじゃないんだな?」

梓「それは……」

律「……昨日、お前と兄ちゃんが歩いてるところ見てたんだけど」

梓「はい、唯先輩も言ってました」

律「あれ、明らかに兄に対する態度じゃないだろ」

梓「……そう、見えましたか?」

律「ああ、あれを見てたから、私の恋の最大の障害は梓だって思ったんだ」

しょうがないだろ
お兄さんと律は肌を重ねた仲だよ
お兄さんは遊びだけど、律ちゃんは本気なんだ

梓「そうですか、じゃあこれから律先輩はどんどん私の兄に近づいてくるわけですね」

律「そういうことだ。悪いけどお前を利用させてもらう」

梓「ふふ、妹の部活の先輩という立場を利用するわけですね」

律「むこうの連絡先もまだ知らないしな」

梓「そんなこと、みすみす私が許すとでも?」

律「思わないけど、べつにお前に直接協力してもらうわけじゃないから」

梓「……」

梓「ご飯奢ってもらったくらいで、兄のよさがわかるわけないと思いますけど。律先輩ってやっぱり単純ですね」

律「それだけじゃないけど、逆に少し一緒にいるだけで好きになってしまう人徳だと思う」

梓「そんなのわからないですよ!!お兄ちゃんのこと何にも知らないくせに!!」

律「これから知るよ。梓の知らないことも、既に知っていただろ」

梓「う……」

律「所詮梓は妹だよ。あの人の結ばれることはない」

その日食べた料理の味を私は何も覚えていない。
先輩たちは辛い辛い言っていたけど。
律先輩はいつもと変わらないように振舞っていた。

梓(お兄ちゃん……やっぱり先輩たちに盗られちゃうんだ)

先輩たちは私から見てもみんな可愛いし、美人だと思う。
そんな先輩たちにお兄ちゃんのことを教えてもし会ってしまったら、誰かと付き合いだすかもしれない。
そう思うと、私は今までどんなにお兄ちゃんのことを自慢したいときでも黙っていた。
それが、あの日はお兄ちゃんと久しぶりにお出かけするのが嬉しくて、つい唯先輩に話してしまった。

律「なあ、唯。梓の家ってどこだっけ」

唯「ええ、梓ちゃんの家に行くの?私も行きたーい」

梓「ちょ、ちょっと、勝手になに話進めてるんですか」

律「梓の兄ちゃんにお礼言いたくてな」

梓「お礼なら私が伝えておきますから」

律「直接会って言いたいんだよ」

梓「でも」

唯「私もお兄さんの会いたいな」

梓「な……!」

紬「あら、じゃあ私も」

澪「わ、私も……」

梓「くっ……」

律「……」ニヤニヤ

梓「でもいきなりは無理なんで」

唯「じゃあ今度の日曜日に!」

梓「う、でも……」

唯「いいでしょ?」

梓「あ、兄がいるかわからないんでなんとも」

唯「べつにお兄さんはいなくてもいいけど、とにかくあずにゃんの家に遊びにいきたい!」

梓「わ、わかりました」

用事で抜けるわ

今からおもちゃ売りに行くんだ

律とGはいいから
紬は守ってくれ
俺の大切な人なんだ

財布じゃねぇーよ
らき☆すたのピンクと同じにするな
むぎが一文無しでも俺は結婚するよ

唯「あずにゃんのおっぱい柔らかい~」

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