顔以外「糞」 (31)

イケメンだと周りに良く言われてた
中3まではリア充グループにいたんだ
けどある事がきっかけで俺の人生はどん底。

中3の運動会の打ち上げでいろいろあり初彼女ができた。
毎日メールして一緒に登下校して…
付き合い初めて3週間たった辺りでそろそろチュウしたいなぁと、
一緒に登校中に
俺「ねえ、チュウしてもいい?」
彼女「いいよ」
ディープとかじゃなく普通にソフトな感じで。
一時間目終わった辺りから異変に気づいた

じゃあちょっと経緯書くわ


俺は今、中学3年の15歳です

2ちゃんねるを見るのが好きなのだが、特になんJのまとめブログが好きだった。

だからなんJ用語をバンバン学校でも使ってたんだ

特に俺が好きなのが『○○ンゴwwwwwwww』というネタだ

最初は失敗した奴に『片岡ンゴwwwww』とか『田中ンゴwwwwwwww』って感じで言いまくってた

でも、俺は知らなかったんです


それが、悪口だということを。

褒めるときも『吉村ンゴwwwww』ってやってた

まとめブログしか見てなかったから、なんJ自体を見たことはなかった

でも、周りになんJを知ってる人はいなかったから、最初はバレなかった


でも、俺の友達軍団が『○○ンゴwwwww』について調べてしまった

でも、なんJまで辿りつけないと、俺は思った

でも、あっさりとたどり着き、俺はにわか野郎の汚名を挽回した

でも、俺はにわか野郎の汚名を返上するためにがんばった




まず、ここを見出した

野球ネタだけじゃなくて、アニメにも精通してるなんJラーは、俺のヒーローでした

やっぱりなんJは(おもしれーわ)と思わず新しい用語を学校でも使っていました




友達軍団も、少しずつ俺を認め出しました。




でも、事件が起きたんです。




中谷カレー事件、自分が起こした事件は今ではそう呼ばれているんだ。

中谷カレー事件


思い出したくもない

給食の時間、給食係だった俺はカレーを運んでいた

一人だと重いから、クラスメイトの金本(結構可愛い♪)と一緒に運んでいた


俺「かーちゃん良い匂いするンゴ~wwwwwww」

金「ちょwwwやめてよwww」


こんな感じで運んでたら、なんとなくだが

なんとなくだが、ンゴンゴダンスを踊ってみたくなったんだ

ンゴンゴダンスとは

崖の上のポニョの音楽とリズムで「ンーゴンーゴンゴなんJ民♪」って踊りまくるダンスのことだ

俺はこれでクラスから『なんJの王(キング)』と呼ばれていた


金本さんの前でそれをやったことがなかったので、一度やってみたかった


・・・手が震えた

汗もかいた

それでも、一度やってみたかったんだ


だから、俺は踊った。全力で踊った。

カレーがぶちまけられていることにも気が付かずに、ンゴンゴダンスを10秒ほど踊った

なんか女子からの視線が痛い。
(あれ?俺なにかしたっけ?)
彼女に話しかけてもなんか素っ気ない感じ
彼女ができて初めてほとんど話さなかった日は初めて。
今日は初めてプリクラを撮ろうと言う約束をしてたんだがなんか言いにくい。
放課後彼女から「今日のプリクラの約束また今度でいい?なんか気分悪くなってきて…」
俺「わかった。気をつけてな」
夜いつものメールが来ない。
俺やっぱなんかしたのかな。
その日はもやもやしたまま寝た。

10秒しか踊れなかったのは、金本さんの悲鳴のせいだ

俺は一瞬、歓喜の声かと思ったが普通に違った


金本さんの悲鳴で教室から何人も人が出てくる

ンゴンゴダンスを止めても、体操服をジャミラ状態にしている俺は変わらない


目の前が真っ白になった


俺は教師に呼び出され、そのまま職員室の給湯室に連れ込まれた


どうやら、俺が金本さんにいやらしいことをしたように思われているようだった

先生にもンゴンゴダンスは何度も見せてたから、事情はすぐにわかってくれてすぐに解放された。
俺はなんJの王として、新たな武勇伝を手にいれたと思った。
だから、まったく悪びれず、俺を見る生徒を睨みつけながら教室に戻った。
教室の視線が俺に集中する。
誰も、なにも言わない。
これはおもしれーわと思った俺は『ン~ゴ~(お~は~の要領で)』とおちゃらけた。
誰もなにも言わない。次の瞬間、クラスで一番いきがってる栗原の怒鳴り声が響いた。

栗原「カレーどうしてくれるんだよ! おい! おおい! おおおおおい!!!!!!」

金本さんは泣いていた。俺は栗原を睨みつけた。

なんJの王として、舐められるわけにはいかない。
全力でいく、俺は心の中で殴ることも辞さない覚悟をした。
栗原は俺の胸ぐらをつかむ。先生は、まだ来ていない。そこは生徒だけの世界だった。
俺は栗原を睨みつけた。睨みすぎて多分、白目を剥いていたと思う。
クラスの王といきがってるガキのにらみ合い。クラスの緊張は頂点に達した。

俺「カレーくらいどうでもいいだろ!!!」
栗原「みんな楽しみにしてたんだぞ!!!!!!!」

怒鳴り合いの中、俺は渾身の力を込めて言った。

俺「栗原ンゴゴゴゴゴゴゴゴwwwwwwww金本さんンゴゴゴゴゴゴゴゴwwwwwwwwwwwww」と

・・・それからすぐ、先生がとんできて、俺と栗原はキレられた。

栗原「だってこいつがよ・・・」
先生「先に手を出したのはお前だろ」

俺「ン~ゴ~」
先生「お前もふざけるのもいい加減にしろ。おまえ、はっきりいってクラスで浮いてるぞ」

まるで大松のような先生だと思った。
でも、地獄はこの先からだったんだ。

教室に戻って、俺は開口一番『楽勝! ンゴってやったぜ!』と叫んだ。
いつもなら、クラスは俺に注目して俺から話を聞こうと集まっていた。
特に、俺の友達軍団は俺になんJ用語を教えてもらおうと必死だった。

でも、誰も俺に反応しない。
誰も俺を見ない。
栗原は一言「きめえんだよ」とつぶやいた。
クラスのお調子者集団は栗原に集まっていった。
俺は、一人だった。
金本さんと仲のいい古川さんが俺に近づいてきた。
古川「きもいんだけど。かねちゃんはもうおまえと話したくないって」

古川は以前から俺に舐めた口を聞いていた。
俺のことを影で批判していることも知っていた。
ようするに、古川にンゴりはわからないのだ。
だから、俺は古川の言葉を信じなかった。

俺は金本さんに話しかけまくった。
でも、金本さんは答えてくれない。

――俺はキレた。

俺「ンゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオwwwwwwwwwwwwwwww」

教室に響く、俺の咆哮に視線は集中した。
俺は髪を逆立て、金本さんに詰め寄った。
俺「なんで無視するだよ!」
金本さん「・・・・」
無視は継続している。
俺は何度も詰め寄った。そうしていると、クラス委員の神戸が先生を呼んできたんです。

先生に職員室に連れ込まれる
もう俺をかばってくれなかった

そこからのことは覚えていない。
金本さんの親が家に来て、親戚のおばさんは謝った。
俺も、頭を下げた。
それから、親戚のおばさんは俺を睨みつけるようになった。
怖い。

それから今日まで、俺は教室に行っていない。

保健室登校を始めて、俺は色んな事がわかった。
むやみにンゴってはいけないこと。
ンゴりとは、悪口に似た行為ということ。
女子にンゴりは絶対禁止ということ。

でもな、それに気づいたのも遅い。
俺は中3だ。もうすぐ卒業だ。
昨日も、卒業式の練習があった。
クラスの中心人物だった俺は、もうそこには行けない。

友達が、完全にいなくなった。311の、あの時と一緒だった

卒業式まで、僕は教室には行きませんでした。
カレー事件のこともあったし、なにより学校に行ってもくだらないと思ったのです
理由は一つ。ネットだ。
なんJにのめり込んでから、中学生の奴らがガキに見えて仕方なかったんです
ンゴりまくった結果、友達がいなくなったけど、でもそれでも後悔はありませんでした
毎日部屋にこもってなんJをするだけで心の傷が治った気がしたんです

でも、時間は有限ではなく、限られています。
とうとう、卒業式の日が近づいていたのです

親戚のおばさんも、卒業式の一週間前には僕に話しかけていた

「卒業式DELLの?」と

でも、僕は出る気なんて等々ありませんでした。
なぜなら、出る必要を感じなかったからだ
おばさんは残念そうな顔をして、おじさんと相談していました
高校を落ちて、これからどうするのか。それを僕に聞かれてもわかりません
とにかく、僕はこれからもなんJができると、むしろワクワクしていました

一日中なんJをして、オナニーして、飯を食う。こんな夢のような生活がここにはあった
今頃、学校の連中はどうしているだろうと考えるだけで、ンゴりが抑えられませんでした。
家でも当然ンゴンゴダンスはしていました。誰も見ていなくても、やりたい衝動を抑える必要がなかったからだ

そうしているうちに、卒業式が間近になった
おばさんが俺に言った
「お父さんとお母さん、妹の写真が見つかったよ」と
親戚の家に、数枚あった写真を見て、俺は泣いた

幸せだった日々
それを砕いた311の地震と津波、そして火事
俺は手を震わせた。
それを見たおばさんは「制服に写真入れておくから、卒業式出た方がお父さんたち喜ぶよ」と言った。
こっちに来て、ずっと僕を軽蔑していたおばさんがかけてくれた言葉。それに俺はさらに泣いた


「――――――ああ」

固めはしたけど、不安が大きかった
なんJに相談スレを何度も立てていたのは、その表れだった

でも、俺はもう負けない、そう誓った。

ボサボサだった髪を切り、卒業式の返事の練習もした
先生も、俺が卒業式に出ることを喜んでくれたように思えた。最後の歌の楽譜を、俺にくれたのだ
こうなっては燃えるしかない
俺はラスト卒業式に、全てをかけるつもりで、卒業式までの時間を過ごした

そして、卒業式の日がやってきた――――――

おばさんもおじさんも仕事のため、卒業式に出席することはできなかった。
でも、俺のポケットには、両親と妹の写真が入っている。これほどまでに心強いものはなかった。
もう怖くはなかったんです
最後に、壇上か教室でンゴンゴダンスを求める中谷コールが来るかもしれない。
そう思うと、顔がほころんだ。

その時、俺のケータイが鳴った。
――――金本さんだった

電話ではない。メールだった。
俺は金本さんからのメールに、テンションが急上昇した。

文面は「今日卒業式来るの?」と短い文だった

俺は「行くじぇい!w久しぶりに会えるンゴ~」と返信した。
俺はニコ動の実況者であるせんとすが好きだった。

しばらくして、メールが来る。
金本さんだけじゃない、クラスの多くのメイトからメールが来た。
俺は、うるっときた。

「来ないでほしい」
「卒業式来るのやめてくれ」
「お前が来ると雰囲気悪くなる」

俺は凍りついた。
みんなは、俺を歓迎してはいなかったんです
むしろ、来るなと願っていたんだ
ケータイを落として、そのままベッドに横たわった。
現実を忘れようと、俺は眠りに落ちた。
起きた頃には、もう夕方だった。

確かに、俺はンゴった。
それでも、ここまでされるいわれはなかったんです
だから、俺は起きてすぐに何か行動しようとした

でも、俺はそんなに強くない。
ハートは、限界だった。
311で一人になった俺、絆と言いながら被災地に募金を募っていた学校のメンツが、被災者を馬鹿にした。
綺麗な自分を作るため、彼らは被災地に向けて行動はしていた。
でも、身近な被災者を排除しようとしていたんだ
それが悲しくて、俺はもう、彼らと決別しようと決めて、メールとアドレス帳を消去した―――

そして今、俺は中卒ニートの生活を満喫している。

バイトはまだ早い。なにせ俺はまだ15歳だ。
おばさんもおじさんも何も言わない。被災したことによる保護か手当が支給されているからだ。
俺は生きているだけで、金を生むというわけですよ
友達なんていらない。
俺はなんJの王として、これからも被災した人たちの悲しみを伝えていく


終わりじゃきね

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