苗木「……何だろ、これ。どうやったらこんな大きいのがカプセルに入るんだ?」
苗木「随分と使い古された感じがするな。御札みたいなのも貼ってあるけど……ネタバレ注意? 何の事だろう……」
苗木「…………よっと」スチャ
苗木「大きさの割に結構軽いな。えーと、ここ鏡とかなかったかな」キョロキョロ
苗木「……まぁいいや、もう一度メダル入れて、と」ガチャガチャ
苗木「あ、今度はマントかな? 青縞柄の日本風……三度笠とピッタリ合うな。何だっけ、風来坊って言うんだっけ。この格好」バサッ
苗木「……あ、もうメダルないや。部屋に戻ろうかな」
苗木「格好は……うん、このままでいいか。何か不思議としっくりくるし、これ見て欲しい人がいればあげれば良いよね」
苗木「さて……今日も何事も無ければいいなぁ」ガチャ
~ 希望ヶ峰学園 1F ~
ピョーレッペッペッペッペッペッペッペ ペーレリペーレリペーレリペーレッペー
苗木「」
苗木「……あ、あれ? 何か、廊下の構造が変わってるような……?」
苗木「あんな所に曲がり角なんて……あれ?」
苗木「気の所為……じゃないよね。モノクマが何かしたのかな……」
苗木「…………」
苗木「……何時までもここに居る訳にもいかないし、進んでみよう……かな」
スタスタスタ
苗木(一歩一歩、慎重に……)
苗木「やっぱりおかしい……廊下が変に曲がりくねってるし、扉が一つもない。前と全然違う」
苗木「それに何か、階層自体が大きくなったような……」
苗木「……! あれは教室の扉だ!」ダッ
ガラッ
苗木「みんな大変だよ! 廊下っていうか、建物がおかしくなって……!」
シーン……
苗木「……誰も居ない。みんな何処に行っちゃったんだよ……ここが何処かも分からないし、これから一体どうしたら……」
苗木「……ん? 部屋の端に何か落ちてるな。何だろう」
▼ マコトは風魔鉄の剣を拾った。
苗木「刀……!? 何でこんな物騒なものが……」
ガタン!
苗木「! 誰か居るの!?」バッ
モノクマ「…………」ピョコン
苗木「モ、モノクマ? いつの間に……」
苗木「いやそんな事よりモノクマ、一体何を企んでいるんだ!? こんな訳の分からない状況にして、一体何が狙いで……」
モノクマ「ぴきー」ピョコッ
苗木「痛っ」
苗木「な、何するんだよ! そんな体当たり……」
モノクマ「ぴきー」ピョコッ
苗木「うぐっ、痛い! 痛っ、痛いって! 止めっ……!」
モノクマ「ぴきー」ピョコッ
苗木「い、痛いってば! やめてよ!!」
ブン!
モノクマ「ぴぎゃー」ザクゥッ
苗木「あっ」
苗木「や、ヤバイ、切っちゃった!! モノクマ! 大丈夫!?」
モノクマ「」プスプス
苗木「……どうしよう、完全に壊れてる。真っ二つだよ」
苗木「確か学園長に危害加えたらオシオキ……なんだっけ。まずいなぁ、正当防衛でなんとか……」
ガタガタッ
モノクマ「ぴきー」ピョコン
モノクマ「ぴきー」ピョコン
モノクマ「ぴきー」ピョコン
モノクマ「ぴきー」ピョコン
モノクマ「ちんたらー」ピョコン
苗木「」
苗木「ど、どうしよう、幾ら刀持ってたって囲まれたら袋叩きだ……!」
モノクマ「ぴきー!」ピョコッ
モノクマ「まむるしねー!」ピョンッ
苗木「う、うわあああああああああ!?」
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
モノクマ「」プスプス
苗木「い、意外と、何とかなったぞ……。 この刀、凄い切れ味だ……」ゼェゼェ
苗木「結局アナウンスも何もないし、本当に何が起きてるん……」
ヨッ ドドドン ドドドン ドドドン ドン ハッ!
苗木「!?」ビクッ
▼ マコトはレベル2に上がった。
苗木「な、何、今のファン……ファ、ファンファーレ……?」
苗木「……あれ、また何か落ちてる」
▼ マコトは背中の壺(4)を拾った。
苗木「……壺?」
苗木「何だろう、モノクマのハチミツ壺かな……」ヒョイッ
▼ 『背中の壺(4)』
・せなか
・せなか
・せなか
・せなか
苗木「なんじゃこりゃ」
苗木「肌色……いや、人の背中? そんな馬鹿な、意味が分から……」
苗木「……待てよ? 壺の中に、背中…………背中、ツボ…………」
苗木「……………………」
苗木「……よっ」グイッ
ビキッ
苗木「あいっ!? 何で僕の背中が――――」
▼ マコトは背中の壺を押した。マコトのHPが回復した。
封印状態がとけた。
苗木「!?」
苗木「……あ、お、思い出した……! 僕達は本当はクラスメイトだったじゃないか!」
苗木「それに学校に閉じ込められたのだって、絶望から身を守るために自分から……」
苗木「何でこんな大切な事を、僕は……!」
苗木「…………」
苗木「…………皆を探さないと。そして、絶対全員で生き残るんだ!」
苗木「そうだ、誰も死なせたりするもんか……!」
テンテレテレリン デデデン デン デン ギョワーン
苗木「この妙なファンファーレも全然気にならないぞ!」
▼ マコトは覚醒状態になった。
倍速状態になった。
苗木「凄い、なんだか体が軽い……!」タタタタ
モノクマ「ぴ……」ザクッ
苗木「モノクマも一瞬で四分割だ、これならどうにでも出来る!」タタタ
苗木「おーい! 舞園さーん!? 桑田くーん!? いたら返事してよ!」
……ピキー ピキー ピキー ピキー……
苗木「……! あっちの方から物音が聞こえる。誰か居るのかもしれない!」ダダッ
バターン!
苗木「ねぇ! 誰か居る……」
モノクマ「ぴきー!」ピョコッ
モノクマ「ぴきー!」ピョコッ
モノクマ「かいわれー!」ダイコンッ!
江ノ島?「」
苗木「……江ノ島さんが集団リンチされてる……」
苗木「って惚けている場合じゃない! 江ノ島さん、大丈夫!?」
モノクマ「ぴぎっ」ズンバラリン
江ノ島「……う、じゅん……な、何で……」
苗木「酷いケガだ、これじゃもう……、あ! そうだ、この壺!」
苗木「江ノ島さん、しっかりして! ほら、これに指入れて!」グイグイ
江ノ島「まっ……手、折れて…………」
▼ ジュンコ?は背中の壺を押した。HPが回復した。
身代わり状態がとけた。
苗木「よし、これで……! 大丈夫、江ノ島さ……ん、じゃない! い、戦刃さん!?」
戦刃「……うう、どうして、どうして……」グスグス
…………
苗木(憔悴した戦刃さんを宥めすかす最中、どさくさに紛れて色々な事を聞き出してみた)
苗木(すると、どうやらこんなコロシアイ学園なんて物騒な物を計画したのは、本物の江ノ島さんだった事が分かった)
苗木(戦刃さんはそんな江ノ島さんに協力して僕たちの中に入り込み、指示を受けて動く手筈だったそうだけど……)
戦刃「盾子ちゃん、私の事捨てたのかな……」ズーン
苗木(突然凶暴化したモノクマに襲いかかられ、壊していいのかどうかも分からずタコ殴りにされ続けていたみたいだ)
苗木「あ、あの、戦刃さん? ほら、元気出して……」
戦刃「それに変装もバレちゃったし、苗木くん殺さなきゃ……嫌だな……でもやらなきゃ……」
苗木(あ、ヤバイ殺られる)
苗木「ま、待ってよ! まだ色々と決めるのは早いんじゃないかな!? うん、色々と!」
戦刃「……で、でも苗木くん、記憶戻ってるみたいだし……」
苗木「いやほら! まだ江ノ島さんと連絡できないままなんでしょ!? ならちゃんとした指示を受けるまでは保留にしといたほうが良いんじゃないかな!」
戦刃「……そう、なのかな……?」
苗木「そうなんだよ! それにほら、僕もこれから皆を探しに行くし、その、そう、一緒に江ノ島さんを探そうよ!」
戦刃「え……でも【私、絶望側の人間だし……】」
苗木「! そ、それは違うよ!!」
苗木「だって戦刃さん、江ノ島さんに見捨てられて(強調)、ボロ雑巾みたいにされて(強調)、殺されそうになって(強調)、絶望してた時(小声)、凄く辛そうだったじゃないか!(強調)」
戦刃「……盾子ちゃん……」グスッ
苗木「本当に絶望側の人間なら、それすらも喜んで受け入れる筈じゃないかそうに違いないきっとそうなんだ! だからそれが出来ない君はまだ僕たちの側に居るんだよ!」
戦刃「え、あ、う……うぅ?」
苗木「さぁ戦刃さん、一緒に行こう! そして江ノ島さんを探し出して、もうこんな事は止めさせるんだ! さぁ!」
戦刃「な、苗木くん……! う、うん、良く分からないけど、分かった。私、苗木くんと一緒に……!」
テンテケテンテンテケテケテンテン デンデン デンデン
▼ ムクロが旅仲間に加わった。
苗木(よし!)
苗木「じゃあこの刀は戦刃さんにあげるよ、女の子が素手じゃ危ないし」
戦刃「大丈夫、私解体ナイフ持ってるし……ほら」ギラリ
苗木「そ、そうなんだ……格好、いいと思うよ……」
苗木(寒気が止まらない)
戦刃「……ねぇ、苗木くん。今更だけど、その格好似合ってるね」
苗木「え、そ、そうかな?」
戦刃「うん、凄く格好いいよ……!」キラキラ
苗木(……ずっと付けてようかな)
…………
モノクマ「ぴきー!」ピョコッ
苗木「おっと」ザクッ
モノクマ「ちんたらー!」ピョコン!
戦刃「ふっ!」ドガッ
苗木「……流石超高校級の軍人だね、機械をナイフだけで壊せるなんて」
戦刃「うん、普通のモノクマより数段脆いみたいだから、ちゃんと戦えば何とか……」
苗木「やっぱりこのモノクマって普通のとは違うのか……部屋に落ちてる道具といい、変な事だらけだね」
戦刃「……盾子ちゃん、どうしてこんな事したんだろう」
苗木(戦刃さんにも分からないみたいだな……)
苗木「……おっと、また何か落ちてる」
▼ マコトはトラの絵の巻物を拾った。
戦刃「巻物と……あそこのは壺、かな」
苗木「今度はどんな壺かな……って、重っ!? これじゃ持てないよ!」
タスケテクダサレー タスケテクダサレー
戦刃「……? 苗木くん、この中から何か声が聞こえるような……」
苗木「え? 生き物でも入ってるのかな」ヒョイッ
▼ 『やりすごしの壺(0)』
・山田一二三「助けてくだされー!」ミッチリ
苗木「――ッうおおおおおおおおッあ!?」ガシャーン!
戦刃「ナイスキック……!」
…………
山田「いやー、危うく窒息死する所でした! 苗木誠殿、助かりまし……何やらけったいな格好をしていますな、コスプレ?」
苗木「……い、いやまぁ、それはともかく……何であんな壺に詰まってたの?」ズキズキ
山田「おお、それがですね。学校がダンジョンになった時、僕はセレス殿と居たせいか別れずに済みまして。二人で行動していたのですよ」
山田「幸い襲って来るモノクマも何とか対処できるレベルだったので意気揚々と進んでいたのですが……とある教室である物を見つけまして」
苗木「ある物?」
山田「ふっふっふ……そう、実はなんと! その教室の中に解放されている2階への階段を見つけたのでっす!」
戦刃「!?」
山田「そして試しに2階に上がって探索していたら、うっかり落とし穴に落ちてしまいまして。彷徨っていたら壺を発見したので覗いてみたのですが……」
苗木「逆に吸い込まれちゃった、と」
山田「Exactly!」
苗木「……でも、そっか。階段が解放されてたっていうのは嬉しいね、落とし穴とかの罠が気になるけど」
苗木「2階にいるっていうセレスさんの事も心配だし、階段まで案内してくれないかな、山田くん」
山田「それはもう構わないのですが……」チラッ
戦刃「…………」
山田「あの、あそこのソバカスがチャーミングなペッタン娘はどちら様で?」
苗木「あー……」
…………
▼ ヒフミは背中の壺を押した。HPが回復した。
封印状態がとけた。
▼ ヒフミが旅仲間に加わった。
…………
山田「……おや? おやおやおやぁ!?」
苗木「ど、どうしたの?」
山田「いえ、それが僕達が探索していた時と廊下の道筋が異なっていまして……ハッ、もしや天狗の仕業ッ!」
苗木「道筋が変わってる? そんな、それじゃ階段は……」
山田「まぁ、きっとどこかの教室にはあるはずですたい! 多分! きっと! おそらく!」
苗木「頼りないなぁ……」
戦刃「…………」
山田「おや、どうなされましたかな? 何か気になることでも?」
戦刃「う、うん。私の事、何も言わないのかなって」
山田「……まぁ、思う所が無い訳では無いですが、とりあえずは江ノ島盾子殿を見つけ出すまで保留にという事にいたしましょう」
山田「それよりも今は協力してダンジョンを攻略し、みんなと合流する事を優先すべきかと。なんたって僕達は良きクラスメイトで仲間ですからな!」
戦刃「山田くん……」
山田「そういえば苗木誠殿、先程拾ったという巻物の鑑定はお済みですかな?」
苗木「このトラの巻物の事? まだ開けてないけど……」
山田「どうやら落ちている巻物には不思議な力があるようでして。僕たちが拾ったものは、真空波が出たり安広多恵子殿の爪がメッキされたり不思議な事が続々と」
山田「早めに鑑定しておけば、後々便利やもしれませんなぁ」
苗木「へぇ、そうなんだ。じゃあちょっと開けてみようかな」シュルシュル
戦刃「……あの、それは退路のある所で読んだ方が……」
▼ マコトはトラの絵の巻物を読んだ。
苗木「えーと、なにな――」パシュン
山田「苗木誠殿!? どちらに――」パシュン
戦刃「みんな消え――」パシュン
▼ なんと! トラの絵の巻物はモンスターハウスの巻物だった!
~ どこかの教室 ~
苗木「え?」シューン
山田「ほ?」シューン
▼ 斑井ハウスだ!!
斑井一~八式「「「「「「「「キェェェエエエッ!!」」」」」」」
戦刃「……………………」シューン
ドガッ ゴスッ バキッ グシャッ……
ヨッ ドドドン ドドドン ドドドン ドン ハッ!
▼ マコトはレベル5に上がった。
ムクロはレベル12に上がった。
戦刃「……じゃあ、行こっか」
苗木「あ、あの、戦刃さん……? 今の人達、何か見覚えが」
戦刃「行こっか」
苗木「何か僕、前にあの人達に殺されかけたような」
戦刃「行こっか」
苗木「うん」
山田「おお、道具が一杯! それに階段も発見伝! ……その代わり罠もわんさかあるようですが」
戦刃「一歩一歩、慎重に進んだ方がいいかも」
苗木「うん」
▼ マコトは背中の壺(5)を拾った。
マコトはただの棒を拾った。
マコトはおにぎりを拾った。
マコトは……
~ 希望ヶ峰学園 2F ~
セレス「やっと上がってきやがったなこのクソデブ! 私を待たせるなんて飛んだ……」
セレス「あら、苗木くんも一緒でしたのね……妙な格好をしていますが。それと彼女は……どちら様でしょう? 見覚えがありませんが……」
苗木「…………」スッ
山田「…………」スッ
セレス「? 何ですか、この壺は。こんなもので私の機嫌が治るとでも」
苗木「…………」グイグイ
山田「…………」グイグイ
セレス「ちょっ、無言で押し付けないでくださ……やめ、止めて……止めろっつんだろダボカスがッ!!」
セレス「指をっ! 私の人差し指を掴んで壷に突っ込むのを止めろッ! 中身は肌色の……何ですかこれは!? や、やぁっ! や……!」
セレス「ひ……ひッ――――――――!!」
▼ タエコは背中の壺を刺した。2のダメージを受けた。
封印状態がとけた。
▼ マコトは23のダメージを受けた。
ヒフミは49のダメージを受けた。
▼ タエコが旅仲間に加わった。
苗木(こうしてセレスさんを仲間に加えた僕たちは、順調にダンジョンの攻略を進めていった)
苗木(僕の刀、戦刃さんの力、山田くんの肉、セレスさんの知能。苦戦する方が難しいのかもしれない)
苗木(途中、餓死しかけた十神くんと腐川さんを見つけた)
苗木(一歩も動けないというので背中の壺を使ってみたけど、どうやら空腹は回復しないようだった。しょうがないのでおにぎりをあげた)
十神「……いつか殺すぞ、苗木ぃ……! それと何なんだその格好は……」モグモグ
腐川「白夜様ぁ……その白魚の様な指先のお米は私が……うへ、うへへへ……」
苗木(そして、3階に上がった所で舞園さん、桑田くん、大和田くん、不二咲さん、石丸くんの五人と合流する事ができた)
苗木(どうやら僕達と同じく旅仲間を組んでダンジョンを攻略していたようだった)
舞園「見てください苗木くん! この杖凄いんですよ、振れば身代わりができるん……どうしたんですか、その格好?」
舞園(大和田)「おお!? てめぇ舞園俺を実験台にすんな馬鹿ヤロウ!!」
桑田「な、なぁそれ俺にも振ってくんね? ここまで一番モノクマ倒してきたの矢と石投げてた俺じゃん? な? 褒美だと思ってさ。な?」
舞園「絶対嫌なので遠慮しますね。でも……な、苗木くんなら……」
石丸(成長状態)「うおおおおおおおおおおお!! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
不二咲「い、石丸くんが覚醒したまま元に戻らないよ、どうしよう……」
苗木(これで後見つけていないのは、霧切さん、朝日奈さん、大神さん、葉隠くんの四人だ)
苗木(……けれど捜索の甲斐無く、3階では見つける事が出来なかった。僕たちは少しの焦燥感を抱いたまま、江ノ島さんが居るという4階への階段を上がる……)
~ 希望ヶ峰学園 4F ~
苗木「霧切さん達どこ行ったんだろう、この階に居れば良いんだけど……」
戦刃「私たちみたいに旅仲間組んでたら安心なんだけどね」
十神「フン、あの自分勝手な女の事だ、どうせ先に進んでいるんだろうよ。奴の推理力と大神の力、ついでに葉隠の占いがあれば、こんなダンジョン楽勝だろうからな」
大和田「どの口で自分勝手なんて言えんだテメェはよぉ……」
桑田「とりあえず進もうぜ、動かない事には始まらねーだろ」
不二咲「うん、マッピングなら任せて!」
苗木「……よし、じゃあ行こう!」
…………
▼ キヨタカは影縫いのワナを踏んだ。
ビスビスッ
石丸(会心状態)「うおおおおおお!? 動けねぇぞおおおおおお!!」ググググ
大和田「大丈夫か兄弟!?」
苗木「……怪我はないみたいだけど、だんだん変な罠も増えてきたね」
山田「うむ、これはより一層の警戒が必要ですなぁ」
腐川「じゃ、じゃあ一歩毎に武器でも振って進む?」
十神「そんな面倒な事をしていられるかアホが、お前は口を閉じていろ」
舞園「それにしても、全然霧切さん達の姿が見えませんね……もしかして罠に引っかかっているとか」
苗木「霧切さんの事だからそれは無い……と信じたいけど、うーん……」
戦刃「……あ! あれ!」
苗木「え? あれは……情報処理室の扉だ!」
桑田「じゃああそこに江ノ島の奴が居るってこったな!? よっしゃあ!!」ダタッ
不二咲「桑田くん!?」
桑田「ヘヘッ、もっと活躍して舞園から……!」カチッ
▼ レオンは召喚スイッチのワナを踏んだ。
モノクマ「げいずー!」ボフン
モノクマ「げいずー!」ボフン
モノクマ「げいずー!」ボフン
モノクマ「げいずー!」ボフン
桑田「……アポ?」
山田「ぴぃやああああ!? あれはモノクマの中でも一番厄介だった奴!?」
舞園「ど、どうしましょう。桑田くんが触手プレイを……」
苗木「そんな事言ってる場合じゃないよ! 何か道具は……!」
戦刃「……!!」ダッ
モノクマ「げー……いー……」ギラギラ
桑田「ま、まてよ、オイ。こんなの冗談じゃ……!」
モノクマ「ずーっ!!」シュルルル
桑田「う、うわあああああああああ!?」
苗木「桑田くん!!」
大神「――ぬぅんッ!」
モノクマ「ゲイッ!?」バキャァァ
桑田「……へ?」
大神「怪我は無いか、桑田よ」ブン
モノクマ「イズッ!!」バキッ
桑田「お、おう……お陰さまで……」
苗木「大神さん!? 無事だったんだね!?」
大神「うむ、我は霧切達と共に……どうした苗木よ、その珍妙な格好は」バキッ
苗木「やっぱり霧切さん達と一緒だったんだね! よかったぁ……」
戦刃(……格好いいと思うんだけどなぁ、三度笠の苗木くん……)ズブッ
モノクマ「ズゲッ!?」ブシュー
…………
~ 4F 情報処理の間 ~
霧切「……どうやら皆無事だったみたいね」
朝日奈「良かったー……ずっと心配してたんだよ!」
葉隠「おー、安心したべー」モグモグ
苗木「霧切さん、朝比奈さんや葉隠くんも……!」
十神「だから言っただろう、こういう奴なんだよ、こいつは」
大和田「お前は黙ってろかませ眼鏡」
戦刃「…………」
霧切「……貴方が居るって事は、苗木君達も背中の壺を押したのね」
苗木「あ、えっと、その……戦刃さんは……」
霧切「別に非難するつもりはないわ。貴方達が納得しているのなら、私は何も言わない」
霧切「……私も、クラスメイトの一員だったのだし」
戦刃「霧切さん……」
大和田「にしても江ノ島の奴はどこいったんだ? 戦刃の話じゃあここに居るはずなんだろ?」
セレス「見た所貴女方だけの様ですが……どういう事でしょうか」
葉隠「あ? ここに江ノ島っちがいるんだべか?」モグモグ
朝比奈「私たちも今さっき来た所だったけど、誰もいなかったよね?」
大神「うむ……ここにあったのは良く分からない罠位だ」
セレス「……奥の扉はどうでしょう? どうやら開いているようですが……」
霧切「あの先にも誰もいなかったわ、こんな物は落ちていたけれど」スッ
苗木「これは……スイッチ?」
戦刃「あ、これ……脱出スイッチ……」
十神「脱出? では何か、これを押せば外への扉が開くとでもいうのか?」
戦刃「う、うん……前に盾子ちゃんがそう言ってた」
霧切「……少なくとも、ここに彼女が居たのは間違いなさそうね」
苗木「でも、じゃあどこに行ったんだろう……?」
不二咲「……この罠を踏んで何処かに飛んでいったとか?」
苗木「あ……そういえば、この罠って何なんだろう」
戦刃「見た所片方は地雷みたい、もう片方は……赤いどら焼き?」
霧切「私にも分からないけど、迂闊に触らない方が良いでしょうね。どこかに飛んでいくだけなら良いけど、どんな危険があるか分からないから」
桑田「んだよ結局手詰まり……」
石丸(二回攻撃状態)「うおおおおおおおお!! うおおおおおおおおおおおお!!」ブンブン
桑田「うるっせぇよアホ!!」
戦刃「…………」
苗木「戦刃さん……その、何て言ったらいいのか」
戦刃「……これで良かったのかも」
苗木「え?」
戦刃「私、盾子ちゃんに会って答え聞くの怖かったし。盾子ちゃんの事、捕まえたくなかったし」
戦刃「……殺せ、って命令も、されたくなかったし」
苗木「……うん」
戦刃「盾子ちゃんが見つからないなら……どれも、無いから」
苗木「…………」
苗木(よしッ!)
戦刃「……苗木くん、もし、良かったらこれからも……」
苗木「うん、僕達と一緒に行こう」
苗木「確かに戦刃さんは大変な事をしちゃったけど、きっと挽回していける。そう信じてる」
戦刃「苗木くん……」
苗木「それに戦刃さんが居てくれればとても心強いし、僕も嬉しいよ」
苗木「だからさ――これからもよろしくね、戦刃さん!」
戦刃「…………」
戦刃「――うんっ」
…………
腐川「と、ところで葉隠。あんたさっきから何食べてんのよ……」
葉隠「んあ? ここに落っこちてた焼きおにぎりだべ。やらんぞ」モグモグ
腐川「いらないわよ、そんな不味そうな食べかけなんか」
葉隠「いやー、割かし美味かったべ? とりあえずごちそーさん!!」ゴックン
▼ ヤスヒロはHPが回復した。
…………
デン デン デンデンデンデンデン……
~ 風来番付 ~
▼ 希望ヶ峰学園 4F
マコトは脱出スイッチを手に入れ、学園を開放した。
・LV 9 HP 75 ちから 6
モノクマメダル 324 経験値 年相応
・武器 『いい風魔鉄の剣』
・盾 『ムクロハァハァ』
・腕輪 『なし』
…………
苗木(あれから学校を出た僕達だったけど、やはり外は酷いものだった)
苗木(空気は汚染され、食べる物も録に無い、絶望的な環境)
苗木(一度は途方に暮れた僕たちだったけれど――皮肉な事に、希望ヶ峰学園のお陰で希望を繋ぐ事ができた)
苗木(そう、一度クリアしたからかなのかどうかは分からないけど、学園のダンジョンがより深く、複雑なものになっていたんだ)
苗木(それに伴い、より多くの物資が手に入るようなった。食料、武器、巻物、壺、草……)
苗木(勿論危険もあるけれど……学園の中の空気は汚染されていないし、むしろ外よりは安全なのかもしれない)
苗木(生き残った人々が、それらを求め学園に挑むようになっていくのにそう時間はかからなかった)
苗木(……ちなみに、まだ江ノ島さんは見つかっていない。どうして彼女が学園をこんな形にしたのか、本当に彼女の所為なのか。誰も知らないまま、疑問は尽きる事は無い……)
苗木(僕達もあれからそれぞれの道を歩いている)
苗木(舞園さんは、桑田くんや朝比奈さん達と一緒にダンジョンの中でお店を始めたらしい。桑田くんは裏方で、舞園さんと朝比奈さんという可愛い子が店員を務めるお店として大繁盛しているそうだ)
苗木(石丸くん(倍速状態)と大神さんもそのお店を手伝っている。大神さんは店番兼店長として、石丸くん(倍速状態)は盗賊番として。それぞれ泥棒を土に還しているとの事)
苗木(大和田くん、不二咲さんはダンジョン内で籠屋を始めたようだ。宅急便も兼ねているらしく、不二咲さんの作るマップを元に日々ダンジョン内にバイク音を轟かせているらしい)
苗木(十神くんと腐川さんは銀行を始めた。こんな環境じゃお金なんて集まらないと思っていたけど、意外と利用者は多いみたい)
苗木(セレスさんと山田くんは学園に挑み続けている。何でもセレスさんが変化の壺という物にハマっているそうで、山田くんは毎日それを必死になって集めているそうだ)
苗木(葉隠くんは昔と変わらず占いをして生計を立てている。大吉が出ればレアな道具が出るとの事で、かなり繁盛しているようだ)
苗木(意外だったのが霧切さんだ。なんと彼女は何を思ったのか、自分でダンジョンを作ってしまった。一問一答の『キリギリの問題』という店名で大人気らしい)
苗木(……そして、僕は……)
苗木「……よし、準備完了。戦刃さんは?」
戦刃「私も出来てる。何時でも平気」
苗木(……僕と戦刃さんは、ダンジョンに潜る人々――風来人として、様々なダンジョンを渡り歩くつもりだ)
苗木(学園を開放した影響なのかは分からないけど、世界中にダンジョン化が広がっているんだ。ある国に、ある島に、果ては月にまで)
苗木(誰が呼んだか不思議のダンジョン。まさにぴったりな名前だ)
戦刃「確かジャバウォック島に行くんだよね? どうやって行こう……」
苗木「十神くんが余った自家用船を貸してくれるって言ってたけど……」
戦刃「あ、それなら私運転できるよ」
苗木(正直その日暮らしもいいところだけど、不思議と充実はしている)
苗木(それはダンジョンに希望を見出したのか、それとも……)
苗木「…………」
戦刃「……どうしたの?
苗木「いや、何でもないよ」
苗木(ともあれ、これから僕は風来人として、不思議のダンジョンに挑み続けるのだろう)
苗木(何かおかしい気もするが、これはこれで幸せなのではないだろうか)
苗木「――じゃあ出発しよう、新しいダンジョンに!」
戦刃「うん!」
苗木(三度笠と青縞島合羽を身にまとい、僕たちの風来の旅が始まるのである――――)
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