少年「だーれだ」少女「だれでもいいよ」 (46)

少年「うっそだー」

少女「ほんと」

少年「うっそだー」

少女「うそじゃない」

少年「うー。今日は特に寒いよね。ホワイトクリスマスも近いかな」

少女「はぐらかさないで」

少年「あ、よく見ると可愛い顔してるね」

少女「……」

少年「照れた!」

少女「……」ペチッ

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少年「可愛らしい音が鳴りましたね」

少女「だれなの」

少年「ひどいなー。クラスメートじゃん。昨日落としもの拾ってあげたじゃん」

少女「そのことは忘れて」

少年「無理だよ」

少女「人のノートをかってに見るなんて」

少年「名前が書いてなかったからさ」

少女「だったらほっといてよ」

少年「だってさ。読みたくなるでしょ。あんなの」

少女「ならない」

少年「俺はなったの。そして君のことが知りたくなった」

少女「わたしにかまわないで」

少年「ひとりで寂しくないの?」

少女「ない」

少年「ふーん」

少年「でもさ。俺、分かっちゃったんだよね」


少年「君が嘘つきだってこと」

『初恋』


少年「だーれだ」

少女「だれでもいいよ」

少年「うっそだー」

少女「うるさい」

少年「毎日ここに来てるの?」

少女「……」

少年「ごめんね。俺は友達に誘われたりするからさ、たまにしか来れないんだ」

少女「こなくていい」

少年「誰かと話すことは大切だよ?」

少女「わたしはいい」

少年「君は特別なんだ?」

少女「……」

少年「あ、俺の初恋の話でもしようか」

少女「いらない」

少年「初恋は中学生のとき。斜め前に座る女の子のことが好きだった」

少女「……」

少年「本当に好きで、大好きで。俺は授業中にずっとラブレターを書いてた」

少年「大学ノートの一番後ろのページ。誰も俺を振り返らないよう、音を立てずに紙を破って……」

少年「今日は雨だね、とか。そんな彼女も知ってること。何でもないことを書いたりしてさ」

少年「そしてその紙は、チャイムと同時に俺のポケットの中へ」

少女「……」

少年「それを何回繰り返したかな。紙を破った跡を見ては、彼女のことを想って、また破ってた」

少年「そしてある日、彼女が島崎藤村の『初恋』っていう詩の本読みを当てられてさ」

少年「有り触れた表現で言うと、鈴みたいな真っ直ぐな声でさ。詩を読むわけだ。んで、ふと思った」

少年「この声が、俺の名前を呼ぶことはないんだなあ……って」

少女「なんで」

少年「勘だよ。でも、 不確かなものじゃない。彼女は読み終えてから、窓際の方を見たんだ」

少年「俺は彼女の後ろ姿を見て、彼女は窓の外をずーっと眺めている男子の後ろ姿を見てた」

少年「彼女と俺は同じだったんだ」

少年「好きな人と一緒に、りんごの木の下に立つことはできない」

少女「なんでそう決めつけたの」

少年「決めつけかー。そうだね。俺はラブレターを彼女に見せるのが怖かっただけだ」

少年「君だって、そうでしょ?」

少女「……」

少年「ただ、ポケットが膨らんでいくだけ。それが俺の初恋でした」

少女「ばかみたい」


少年「それ、自分に言ってるの?」

『石投げ』


少年「だーれだ」

少女「だれでもいいよ」

少年「うっそだー」

少女「ほんと」

少年「何してたの?」

少女「とくに何も」

少年「うっそだー」

少女「うそじゃない」

少年「へえ。俺はてっきり川の近くで遊んでる子供達を見てるのかと」

少女「……」

少年「あいつら、可愛いね」

少年「俺も石投げしてたなあ」

少年「『どこまで遠くへ飛ばせるか』なんて。競い合ったのはいつだったっけ」

少年「君も、したことある?」

少女「……」

少年「一緒に遊んでもらえなかったの?」

少女「…… 」

少年「違うよね。君がひとりになったんだよね」

少女「わたしの何がわかるの」

少年「分かるよ。ノート、読んだからね」

少年「『誰も私を見ていない』。『私は皆の邪魔』。『小説の中で生きたい』」

少年「『出席簿に私の名前は書いてあるの?』。『おはようって言われて嬉しかった』。『おはようって言いたかった』」

少年「『本当は……』」

少女「……」

少年「泣かないでよ。意地悪してごめん」

少年「俺さ、自分勝手なんだ」

少女「しってる」

少年「お節介かもしれないけどさ。言うね?」

少年「皆は、君が距離を置くから離れて行くんだよ」

少女「……」

少年「君が皆と少し違うことなんて、大したことじゃないよ」

少年「君は、君みたいな人が皆ひとりで過ごしてると思ってるの?」

少女「……」

少年「君がどうしてもひとりでいたいなら、何も言わない」

少女「じゃあほっといて」

少年「……って言いたいところだけど。俺は離れないよ。君はどうせまた、嘘をつくだろうから」

少女「……」


少年「また明日。覚悟しててね?」

『出席簿』


少年「だーれだ」

少女「……」

少年「あれ。『だれでもいいよ』っていう台詞、使い回さないの?」

少女「……」

少年「あー。完全に怒ってる。目くらい合わせてよー。……って、いっつも君は俺の方見てくれてないよね」

少年「俺の作戦、駄目だった?」

少年「朝礼のときに担任から出席簿うばって、俺が君の名前叫ぶの」

少女「……」

少年「みんな君に大注目だったね。あの後、担任にはうんと怒られたけど」

少年「あ、俺さ。出席簿の名前を指差してたんだけど、君の席からでも見えてた?」

少女「……」

少年「君の名前、あったよ」

少年「確かに君は普通とはちょっと違う。だからずっと席は一番後ろだし、授業で当てられることもない」

少年「でもさ、君はちゃんといるんだよ」

少年「君があの空間にいたい、と思えばね」

少年「人はさ、自分に優しい人には優しくするし」

少年「自分に楽しく接してくれる人には、楽しく話すんだよ」

少年「君は誰かに優しくしたいと思わない?」

少女「……」

少年「俺は知ってるけどね。ノート見たから」

少年「君がすっごく優しいことは」

少年「君が今、そうしてる理由は知らない。書いてなかったからね」

少年「でも、君が嘘をついてることは分かるよ。今、悲しいことは分かるよ」

少女「わたしが好きになれば、みんなわたしを好きになってくれるの?」

少年「そうだね。皆じゃないし、絶対じゃないけど」

少女「じゃあ、どうしてあなたは好きだって言わなかったの」

少年「おっとー。ちょっぴりグサっときたー」

少年「いや、でもさ。むしろ説得力あるでしょ? 俺の初恋は、ラブレターを渡さなかったから叶わなかったのかもしれない」

少年「君はそんな俺を見習って、このノートを皆に見せればいい」

少年「そうすれば、君のことを見てくれる人がきっと現れるよ」

少女「……」

少年「随分、怯えた目をしてるね」

少年「胸、ちょっと触ってもいい?」

少女「……」ビクッ


少年「ここ、さらけだしちゃいなよ」

『ポケット』


少年「だーれだ」

少女「だれでもいいよ」

少年「うっそだー」

少女「しつこい」

少年「俺以外だったらがっかりするくせに」

少女「しない」

少年「ふーん。……あっ。やべ。ポケットに穴空いちゃった」

少女「見えない」

少年「いやー。これどんどん大きくなっていくんだよ」

少年「あーあ。人差し指がこんにちはしちゃった」

少女「そうやって触るから」

少年「ははっ。ついね」

少年「俺さあ。ポケットに手つっこんで歩くの癖なんだよね」

少年「楽……というか、落ち着くから」

少年「んでさ、ふと思ったの」

少年「そういえば、走って転ぶことも無くなったなあって」

少年「君はある?」

少女「……」

少年「走らなくなるとさ、手の役割ってあんまり無くてさ」

少年「気づいたらずーっとポケットに手つっこんで歩いてた」

少年「そしたらいつの間にか、ポケットの底に小さな綻びができてたんだ」

少年「俺さあ。思うんだ」

少年「その綻びから落ちていったのは……一体、何なんだろうなあって」

少年「君は、分かる?」

少女「人それぞれ、ちがうんじゃない」

少年「そうだね」

少女「わたしは、おとしてない」

少年「そっか」

少女「ポケットに穴なんて、あいたことないから」

少年「そうだろうね」

少女「あなたのように、ころぶこともない」

少女「わたしは、しあわせもの」

少年「そっかー。いいなあ」

少年「落とすのも、転ぶのも、本当に辛いよ」

少女「……」

少年「走っても転ばない人になりたいなって、思ってたよ」

少年「あの頃に戻りたいなって。落としものを拾いに行きたいなって。思ってたよ」

少年「今でも思う」

少年「君みたいに無くしたり転んだりしないのは、羨ましいよ」

少女「……」

少年「どうして泣くの? 君が言ったことでしょ?」

少女「いじわる」

少年「君は嘘つき」

少年「……だよね?」

少女「かえる」

少年「うん。また明日」


少年「嘘が随分と下手な嘘つきさんだ」

『歌』


少年「だーれだっ。だれだ。だーれだっ」

少女「だれでもいいよ」

少年「ノリ悪いなー。俺の渾身の歌が台無し」

少女「へたくそ」

少年「あ。結構傷付いたよ、今」

少女「知らない」

少年「俺結構カラオケ行ったらモテるんだよ? リクエストとかされまくり!」

少女「よく行くの?」

少年「うん。歌うの好きだからね」

少女「いいな」

少年「……歌いたい?」

少女「べつに」

少年「君は歌詞を書いてるよね」

少女「……」

少年「睨まないでよ。ノートを落とした君が悪いって」

少年「んで、感想なんだけどさ」

少年「好きだよ。君の詞」

少女「……」

少年「べったべたなラブソングなんて聞き飽きてたんだよね」

少年「君のは、君にしか書けないって感じの詞だった」

少女「わたしはわたしの好きな詞を書いてるだけ」

少女「たくさんの人が共感するような詞なんて、かんたんに書ける」

少女「ベタな言葉を感動的に並べればいいだけだから」

少女「わたしはそんな詞を書きたいとは思わない」

少女「『共感してもらいたい』なんて下心で書いた詞に、おもわくどおり共感されたって、むなしいだけ」

少年「うん」

少女「わたしらしく書いて、大半の人にいみが分からないって言われても」

少女「たったひとりでいい」

少女「わたしが心から好きな詞を、好きになってくれる人がいたら」

少女「それでいいの」

少年「……すっごく、生き生きしてるね」

少女「……」

少年「俺、君の詞に曲をつけて歌いたいなー」

少女「だれも聴かない」

少年「どうして?」

少女「どうしても」

少年「誰かに読んでもらおうとしないと、そのひとりすら見つからないよ?」

少年「ま、俺が君のファン第一号だけどね」

少女「ばか」

少年「素直に喜べ」

少女「かえる」

少年「ん、また明日ね」


少年「少しだけ、君の本当が見られたかな」

『サンタ』


少年「だーれだ」

少女「だれでもいいよ」

少年「うっそだー。かーらーの! メリークリスマス!」

少年「……あれ? 無視? 俺、すっごく寒いんだけど」

少女「雪がふってるから」

少年「あー。そうだね。俺の予言通り。ホワイトクリスマスだ」

少女「ひとりぼっちのクリスマス?」

少年「何言ってんの。君がいるじゃん」

少女「わたしはいないよ」

少年「いつから?」

少女「わすれた」

少年「大丈夫。俺は君のこと忘れないよ」

少女「……」

少年「そういえば、サンタさんに何かお願いした?」

少女「した」

少年「あら意外」

少女「うるさい」

少年「可愛いとこあるんだねー。何が欲しいって言ったの?」

少女「ひみつ」

少年「だと思った」

少女「あなたは?」

少年「あー。俺はね、小さい頃からサンタにお願いはしなかったんだ」

少年「『お前にサンタは必要ない』って、言われてたから」

少年「父さんにね。プレゼントを用意するのが面倒だったのかな。ははっ」

少年「そういえば、流れ星も必要ないって言ってた」

少年「なんでだと思う?」

少女「……」

少年「『何か欲しいものがあるんなら、自分から手を伸ばせ』だってさ」

少年「当時小学生だった俺にはかなり酷だったよ。実際、すっごく泣いたしね」

少年「でも、父さんの言葉は大人になってからよく分かったよ」

少年「サンタはただ赤い服を着てるだけだし、流れ星はただ綺麗なだけ」

少年「自分が本当に欲しいものを叶えてくれるような、大それたものじゃなかったんだよ」

少女「サンタはおもちゃをくれるでしょ」

少年「君が欲しいと願ったのは、おもちゃなの?」

少女「……」

少年「もうお願いしちゃった後で悪いけど、俺も君に言いたいんだ」


少年「君にサンタは必要ないよ」

雰囲気いいな

>>26

ありがとうございます!

雰囲気を大切にしたかったので、嬉しいです。

『傘』


少年「だーれだ」

少女「だれでもいいよ」

少年「土曜日なのに雨だね」

少女「そうだね」

少年「傘のスタンドって、こんなところに付いてるんだ」

少年「雨の角度によっては、随分と濡れちゃうね」

少女「車いすをすっぽりつつむ傘もある」

少年「それの方がいいんじゃない?」

少女「いや」

少年「なんで?」

少女「おしえない」

少年「秘密、多いよね」

少女「……」

少女「なんで傘さしてないの」

少年「さあ。なんででしょう?」

少女「かぜひく」

少年「おっと。俺のこと心配? 嬉しいなあ」

少女「……」

少年「だんまり。得意技だね」

少女「人として心配するのは当たり前」

少年「ははっ。ありがとう」

少年「……理由、聞く?」

少女「いい」クルッ

少年「おいおい! 帰らないでよ!」

少年「君のお気に入りの! その可愛い傘を貸してくださーい!」

少女「……」

少年「俺は女の子じゃないけど、分かるよ」

少年「その傘買ったとき、雨の日がすっごく待ち遠しかったでしょ?」

少女「……」

少年「うん。似合うね。すっごく」

少女「ばか」

少年「そんな馬鹿な俺に、傘を貸してくれない?」

少年「俺もずっと雨が待ち遠しかった」


少年「君と相合傘をするために、今日は来たんだ」

『嘘』


少年「だーれだ」

少女「だれでもいいよ」

少年「嘘」

少女「本当」

少女「わたしは本当に、ひとりでいいの」

少年「どうして?」

少女「歩けないし、話せないから」

少年「歩かないし、話さないんでしょ?」

少女「うるさい。本当にうるさい」

少年「言ったでしょ。俺は自分勝手だって。言いたいこと、全部言っちゃうんだよ」

少女「それがだれかをきずつけるって気づかないの」

少年「何も言わない方が、ずるいよ」

少女「……」

少年「俺は皆にこうしてるわけじ
ゃないよ。あえて誰かを傷つけるような発言はしない方がいいに決まってる」

少年「君は特別」

少女「めいわく」

少年「だって俺、嘘つきは嫌いだからさ」

少年「嫌いだから、傷つけるんだ」

少年「ちょっと期待してた?」

少年「俺が君のこと好きなんじゃないかって」

少年「嫌いだよ。嘘つきな君のこと」

少女「うそ」

少年「本当」

少女「うそ」フルフル

少年「本当だってば」

少女「わからない」

少年「ん?」

少女「なにがうそで。なにが本当なのか」

少年「君が本当だと信じたいものを、本当だと思えばいいよ」

少女「……」

少年「君はきっと歩けるし、話せるんだ」

少年「君は、自分に嘘をつき過ぎたね」

少年「辛かっただろうね。自分に嘘をつくことは、全てを欺くことだから」

少年「作り笑いも、嘘泣きも。楽しい振りも、怒った振りも」

少年「最後に『あれは嘘でした』って言わなきゃ、本当になっちゃうんだよ」

少女「……」

少年「君は嘘泣きなんてできないだろうね」

少年「だから、その涙の理由を大切にしてよ」

少年「そしていつか、それを聞かせて」

少年「じゃあ、また明日ね」

少年「……って。大事なこと言い忘れてた」

少女「……」


少年「君のことが嫌いだってのは、嘘でした」

『また明日』


少年「だーれだ」

少女「だれでもいいよ」

少女「ねえ。けいたいでんわって、持ってる?」

少年「おっ。君から話題を出してくるなんて珍しいね」

少女「……」

少年「うーん。残念ながら。俺はそんなに金持ちじゃない」

少女「そっか」

少女「でもいつか、けいたいでんわか、それに似た何かを持つようになると思うよ」

少年「おっ。やっぱり俺、金持ちになると思う?」

少女「ううん。いつかみんなが持つようになると思う」

少年「えー。そうかな」

少女「きっとね」

少年「便利になるな」

少女「わたしはいらない」

少年「どうして?」

少女「だれかとつながるツールがふえるぶん、不安もふえていくんじゃないかな」

少年「不安?」

少女「たとえば、毎日でんわをしていたのに、それが急に途絶えたらどう思う?」

少年「何かあったのかなって思うな」

少女「でも実際は、めんどくさくなっただけなんだと思うよ」

少女「簡単なものは、何かをきっかけにめんどくさくなるものなんだよ」

少女「ふっきんだってそう。大したことじゃないから、今日はいいかなって思っちゃうの」

少年「君が腹筋の話をするなんて、ちょっとおかしいね」

少女「たたいてもいい?」

少年「いいよ。多分、痛くないから」

少女「……」ポカポカ

少年「ははっ。やっぱり痛くない」

少年「ごめんごめん。拗ねないでよ」

少年「じゃあさ、君はさ。もし携帯電話を持つことになったら、誰と繋がりたい?」

少女「……」

少年「教えてよ」

少女「おしえないし、いらない」

少年「そっか。そうだね」

少年「俺が直接、君に会いに行くから。会って、話すから。いらない! いらない!」

少女「……」

少年「じゃあ、また明日」


少年「俺たちには、こんな約束だけで十分だ」

『ばいばい』


少年「だーれだ」

少女「うそつき」

少年「ええっ!?」

少女「……」

少年「……」

少女「『また明日』っていつも言うのに」

少女「毎回『ひさしぶり』なかんじ」

少年「言わなかったっけ? 俺は誘われていっつも忙しいから、毎日は来れないって」

少女「しってる。受験勉強でしょ」

少年「……うん」

少女「じゃあ『また明日』なんていわないでよ」

少女「むりしてこんなところに来ないでよ」

少年「ねえ。俺たち、毎日ちゃんと会ってるでしょ?」

少女「……」

少年「同じ学校。同じクラスなんだから」

少年「そういう意味での『また明日』だったんだけど」

少年「俺、待ってたんだよ」

少年「君が学校で話しかけてくれるのを」

少女「……」

少年「でも、そうなることはなくて。君と話せないのが寂しくなってさ」

少年「家に帰らなきゃって思いつつも、気付いたらここに来てた」

少年「明日からは自由登校だし。君の姿すら見れなくなる」

少年「たぶんまた、ここに来ちゃうんだろうなあ」

少年「ははっ。君のせいだよ? 志望校に落ちたら」

少女「なんで」

少年「ん?」

少女「なんでわたしなんかに」

少年「君が嘘つきだから」

少年「……っていうのは、今はもう嘘になっちゃうかな」

少年「君に会いたいと思うからだよ」

少年「単純にね」

少女「……」

少年「君と話すの、楽しいよ」

少女「……」

少年「いつかさ、美味しい食事をしながら笑い合いたいなって思う」

少年「変わってるかもしれないかど、大喧嘩とかもしたいなって」

少女「むりだよ」

少年「無理じゃないよ」

少女「むり」

少年「絶対に、無理じゃない」

少女「ばか」

少年「ばかです」

少女「ばか」

少年「ごめんね」

少年「いっぱい泣かせちゃって」

少女「ばか」

少年「うん」

少女「ばか」

少年「うん」

少女「ありがとう」

少年「……うん」

少女「もう、来なくていいから」

少女「おねがい。がんばって」

少年「うん」

少女「ばいばい」


少年「……ばいばい」

最後がまだきっちりと決まっていないので、今日はここでおしまいです。

おそらく明日の更新で完結になります。

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