『魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』ネタバレ速報 (33)

神名あすみ「ネタバレだと思った? 残念! あすみちゃんでしたっ!」


魔法少女あすみ☆マギカ[新編]女神への叛逆の物語』
第一話「もう何があっても、挫けない」


釣りを装ったまどマギ小説。
釣りキャラ「神名あすみ」を主人公にしたまどマギクロスオーバー小説です。
参加(参考)作品は、「まどか✩マギカ」のTV版・漫画版・ハノカゲスピンオフ版・PSP版、「おりこ✩マギカ」、「かずみ✩マギカ」を予定してます。

「あすみ」はニコニコ大百科などの資料を参考に、拡大解釈させていただきます。
また、「まどか✩マギカ」原作で語られなかったことなどを、拡大解釈させていただいています。

また、「あすみ」の他に、オリキャラ「マツキ」を投入します。   

こんなんで良かったら、どうぞ読んでください。

Twitterでも連載中です。
https://twitter.com/Asumi_Magica)   
pixivにも載せてます。
http://www.pixiv.net/series.php?id=223512

うp主本人による転載ですが、転載作品を投稿してはダメでしたらごめんなさい。m(_ _)m

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1363697442


すみません。そろそろあげます。
あと、一般的なSSの形式じゃなくて、普通の小説っぽくなると思います。
序盤は、三人称で書きます。
三人称単視点にしたかったのですが、どうしても神視点っぽくなってるところがあります。
なってないところもあると思うので、ご容赦ください。m(_ _)m

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『魔法少女あすみ☆マギカ[新編]女神への叛逆の物語』
(第一話「もう何があっても、挫けない」)
 キャプチャー1

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ——世界全土を電子ネットワークが覆いつくし、サイバネティック技術が普遍化した未来。
 宇宙殖民など稚気じみた夢——とおもいきや、謎の地球外生命体『インキュベーター』が、第二次

性徴期を迎えた少女たちを食い物にしている。

 人々は白色の未来都市に棲み、朝と夕方には広めの公園で犬と共に散歩する。
 国連よりも力を持つ銀河連合群が、地球を背後から操作する。
 ここは見滝原。新自由主義体制を敷くG県の中心地だ——

 ——見滝原小学校、六年二組の教室——
 ……キーンコーンカーンコーン! 授業終了のベルが鳴り、昼休みが始まる。
 生徒たちは昼食の時間にこころ躍らせ、賑やかに会話を交わしている。

 学校運営についても合理化・効率化が求められた見滝原の小学校では、給食は存在しない。
 そのかわり生徒たちは、購買部や学食で食事を買い求め、あるいはお手製のお弁当を用意して、好きな場所で食べていいことになっていた。

 空気が綺麗で自然も豊かな見滝原では、弁当を持参して校庭の芝生の上で食べる生徒も多く、こうした制度は人々に概ね好意的に受け止められていた。

 ——ただ、この制度によって、日本の新自由主義政策が生み出した貧富の格差拡大の影響は、学校生活において如実に示されることになった。

「返してー! 返してくださいー!」
 緑色の長い髪の少女が、泣きじゃくりながら声を上げる。

 少女はその長い髪とは不釣り合いに、背が小さかった。
 このクラスで一番背が低く、小学校低学年の生徒でも、彼女より背の高い生徒は大勢いた。
 栄養不足の影響なのか、発育が遅れているのだった。

 少女はその小さな体で何度もジャンプし、男子生徒が右手に掴んで掲げる風呂敷に手を伸ばす。
 けれど、届かない。

「パフパフパフ」——小学校高学年が履くには恥ずかしい、少女の音の鳴る靴が、彼女が跳ぶたびに気の抜けた音を発する。

 また、彼女の長い髪は、上方の髪を両側面から後頭部にかけてまとめ、赤いリボンで綺麗に留めてあった。
 その赤いリボンも、彼女の跳躍に合わせてピョコピョコと動く。

 そうした様を見て、周りの生徒はクスクスと笑うのだった。

「返してやるよ……そらっ!」
 男子生徒は、掲げた風呂敷をあさっての方向に放り投げる。
「わーっ!」
 少女はそれを、泣いて追いかける。
 が、既に、風呂敷の落下点には、もうひとりの男子生徒が待ち構えていた。
「そらよっ!」
 男子生徒は難なく風呂敷をキャッチする。

「さぁ! 今日の貧乏松(びんぼうまつ)のお弁当は何かなぁ?」
 男子生徒は嬉々として風呂敷の結び目を解いていく。
 貧乏松——それが少女のあだ名だ。ひどく、差別的なあだ名。

 男子生徒が風呂敷を広げ、弁当のフタを開けた。
 しばらくポカンとしたあと、男子生徒は腹をかかえて笑う。
「……ハハハ! 見ろよ! 貧乏松の弁当! 野イチゴしか入ってねえぜ!」

 男子生徒の大声に反応して、ほかの生徒もゾロゾロと集まる。
 そして、少女の弁当を見ると、みなゲラゲラと笑い出すのだった。

「野イチゴなんて弁当とは言えねえよなぁ?」
「全くだ! 全く!」 
 生徒たちの笑い声がけたたましく少女の耳に突き刺さり、彼女の涙腺はますます緩んでく。

 そんな時だった。

 少女の弁当を持つ男子生徒の肩を、誰かがポンとたたく。

 男子生徒は背後に振り向く。
 背後にいたのは、銀髪ボブカットの少女だった。

「それ、返してやりなよ」
 サラサラとした前髪の下から、鋭い眼光がのぞける。

「……ちっ、分かったよ」
 男子生徒は、銀髪の少女に気圧された。
 すごすごと緑髪の少女のとこまで歩いていき、弁当を返してやる。

「悪かったな……」
 男子生徒はその場しのぎの平謝りをして、自分の席に戻る。

 その様子を見て、銀髪の少女は教室から出て行く。

 銀髪の少女が教室から出ていく様子を、周りの生徒は、無言のまま見つめるだけだった。

 彼女のやったことは正しかったのに、誰もそのことを賞賛する人はいなかった。
 ——なぜなら、彼女は普段、あまりにも人あたりが悪かったからだ。

×××××××××

 銀髪の少女は、スタスタと渡り廊下を歩いていく。

 見滝原中学校と同じように、この小学校の渡り廊下も全面ガラス張りだ。
 歩く人たちに、まるで空の上を歩いているかのような印象を与える。

 銀髪の少女は、フーッと、一回ため息をつく。そしてまた、元の無表情で歩き続ける。

 すると、「……パフパフパフ!」——銀髪の少女の背後から、気の抜けた音を立てて、誰かが近づいてくる。

 その音のうるささが気に障り、銀髪の少女は後ろに振り向いた。
 先ほどいじめられていた、緑髪の少女だった。

「待って! 神名さん!」
 緑髪の少女は銀髪の少女に追いつくと、息を切らしたのかその場でうずくまる。
「さ、さっきはありがとう」
 身をかがめたまま、その小さな体で銀髪の少女を見上げる。

「別に……そんなつもりでやったんじゃないわ……」
 銀髪の少女はすました顔で答える。

 銀髪の少女の表情を、緑髪の少女はまじまじと見上げる。
 視線が重なり、銀髪の少女は戸惑う。

「な、なによ……分かったら、私にあまり関わらないで」
「……」
「な、なにか言いたいことでもあんの?」

 しばしの沈黙のあと、緑髪の少女は口を開く。
「イエス…」
「は?」
「イエス、アスミス!」
「パフ!」——緑髪の少女は勢いよく飛び上がり、銀髪の少女に抱きつく。

「な……なにすんのよ!」
 銀髪の少女はうろたえる。
「照れちゃってそんなこと言うんでしょう? アスミス可愛い!」
「そんなつもりじゃないわよ!」
 取り敢えず銀髪の少女は、緑髪の少女を引き剥がす。

「……別に、自分を見ているようで嫌だっただけで」
 銀髪の少女は、緑髪の少女に聞き取れない声で、ボソリと呟いた。
「え?」
 緑髪の少女は聞き返す。
「なんでもない!
 別にアンタに懐かれるために、アンタのことを助けたわけじゃないってこと!
 それより、なによその『イエス、アスミス!』って!」

 緑髪の少女は、しばらくキョトンとしてから、ニッコリ笑ってこう言った。
「だって、神名さんの名前って『あすみ』って言うんでしょ? だから『アスミス』! あすみさんのあだ名だよ!」

「わけがわからないわ」
 銀髪の少女——神名あすみは即、拒絶した。

「ええー! そんなことないよ。ほら、イエス! アスミス!」
 緑髪の少女はめげずに、腕をあげてポーズまでとって、呪文のような言葉を唱える。
「ノーよ! 全くもってノー! 変な言葉を流行らせようとしないで」
 あすみは首を横に振って、緑髪の少女から視線を逸らす。

「全く……あだ名つけてくれるなら、『あすみん』とか、もっと可愛い名前が良かったのに」
 あすみは、また緑髪の少女に聞き取れないように、ボソリと呟いた。
「え? なに?」
「なんでもない! それより、アンタが私に変な名前付けるなら、こっちも考えるわ!」

 あすみは腕組みをして、数秒考える。
「……『マツキ』!」
 あすみは緑髪の少女を指差し、そう高らかに宣言した。

「マツ、キ?」
 緑髪の少女は首をかしげた。

「そう、マツキ! アンタの名前『松美ユキ』って言うんでしょ?
 でも『マツミ』ってなんだか言いにくいし、『ユキ』って言うほどアンタとは親しくない。
 だから、『マツキ』!
 アンタなんか『マツキ』で十分ってことよ!
 じゃあね、『マツキ』」
 あすみはそう言い残し、その場を立ち去ろうとする。

「あ、待ってよ、アスミース!」
 パフパフパフ。気の抜けた音を立てて、『マツキ』はあすみを追いかける。
「お昼、一緒に食べない? アスミス?」
 マツキはさっきの弁当箱を見せて、笑顔で話しかける。

「ううん、遠慮するわ。マツキ」
 あくまであすみはマツキを拒絶する。

 そんなあすみに対しても、マツキはへこたれないで、話しかける。
「これからどこに行くの? そっち学生食堂じゃないよね?」 

「ええそうよ」
 あすみはマツキに振り返りもせずそう返した。
 あすみが進む先には、校舎の出口、そして、校門がある。
「私、これから帰るの。毎週そうしてるでしょ? 今まで気づかなかったの?」
 相変わらず、あすみは素っ気ない。マツキに合わせて歩を緩める気もない。

 身長で頭一個分くらい小さいマツキだったが、あすみの早歩きに、一生懸命ついていく。
「家のご用事があるの?」

 マツキの質問に、あすみの眉がピクリと動く。

 ——そして、あすみは言葉を選ぶかのように、少し間を置いてから口を開く。
「……違うわ。単純に体育の授業が嫌なだけ。
 いつも欠席してるでしょ?
 今日の時間割は五時間目の体育の授業でおしまいだから、もう帰るの。
 ちゃんと欠席届も出したわ」

「アスミス、体育嫌いなんだ。……なんか意外だね」

 マツキのその言葉に、あすみはハッとした表情を浮かべる。
 そして、ピタリとその場に立ち止まる。
「意外ってなによ?」
 あすみはマツキに突っかかる。

 あすみの苛立った表情を見つめても、マツキは物怖じせずに、ニッコリと笑って答える。
「だってアスミス……男子生徒が怖がるくらいケンカも強いし、運動神経も良さそうだし
 ——あたし、アスミスが体育で活躍しているとこ、見たいな。きっとアスミス、クラスのヒーローになるよ!」

 あすみは、マツキのその能天気な笑顔に腹が立ち、声を荒げる。
「体育なんて大嫌いよ! 体操着に着替えるだけでも、嫌なんだから!」
「え? 着替えるのが嫌なの? どうして?」
 マツキに嫌なところを突かれたのか、あすみはグッと歯を食いしばる。

 間を少し置いてから、あすみはまたマツキを怒鳴りつける。
「嫌いなものは嫌いよ! ……アンタこそ、よく学校なんか来たいと思うわね!」

「え?」
 あすみの言葉にマツキは戸惑う。

「貧乏だって馬鹿にされて、体育の授業でその赤ん坊が履くみたいな古い靴をもっと汚さなくちゃいけなくて、恥ずかしくなったり、学校行くの嫌いにならないの?」

 マツキはそう言われて、自分の靴を見つめる。
 あすみの指摘のとおり、マツキの靴はひどくくたびれていた。

 見滝原小学校では、見滝原中学校と同じく、校内は上履きに履き替えないで入っていいことになっていた。
 だから、校内でマツキがその靴をパフパフ言わせても、それ自体は悪いことではなかった。
 けれども、体育の授業では、ほとんどの女子生徒が運動靴に履き替えていた。
 普段生活で使うお洒落な靴と、運動で汚れてもいい靴と、使い分けていた。

 けれど、マツキ——松美ユキの家には、そんな替えの靴を用意するほどのお金もなかった。
 今着ている服だって、お姉さんのお古だった。

 今履いている音の鳴る靴は小学校低学年の頃に買ってもらった靴だが、未だに小さく感じないから、大事に使っている。

 本当のところ、マツキは買ってもらった時でも、少し恥ずかしかった。幼稚園児じゃあるまいし。

 でも、誕生日のプレゼントとして父が内緒で買ってくれた靴に、マツキは文句をつけたくなかった。
 その頃から、マツキは家の生活の苦しさは理解していたのだ。
 だから今も、父のプレゼントである靴を大事にしている——前以上に、恥ずかしさを感じながら。

 いろいろ考えてから、マツキは面を上げ、あすみと視線を合わせる。
 マツキの瞳には、全く悲しみが映っていない。さっきまでの笑顔を携えて、あすみに答える。
「嫌いじゃないよ。学校、大好きだよ」

 その言葉に、今度はあすみがうろたえる。
「なっ……なんでよ? アンタ、いじめられてるでしょう? 貧乏松だって」

 マツキはまぶたを閉じて、ゆっくりと首を横に振る。
「確かに——いじめられるのは辛いよ。お弁当取られたり、教科書を捨てられたりして、探すのが大変だもん」
 マツキはゆっくりとした、優しい口調で続ける。
「でもね、勉強した分だけ、自分の頭が良くなっていると分かるのが楽しいの。先生に褒められるのが楽しいの。
 一生懸命勉強すれば、特待生制度とか使って、お金がなくてもいい学校に入れるんでしょ?」

 あすみは、マツキの話に唖然としている。

 マツキは気にせず続ける。
「——そしたら、たっくさん勉強して、いい勤め先見つけて、お父さんたちの生活を助けられるかもしれないでしょ?
 そう考えるのが、すっごい楽しいの。だから学校、大好きだよ」

 あすみはしばしポカンとしてから、慌てて言葉を返す。
「でも、貧乏な家に生まれなきゃ良かったとか、思わないの?
 みんな、家のお金で欲しいものを買って、可愛い服着て、色んなことして遊んで——羨ましいとか、思わないの?」

「羨ましいよ。でもあたし、貧乏でも幸せだよ」

「? どうして?」
 あすみは、理解に苦しむ表情を見せた。

 それを見てマツキは、微笑みながら話す。
「確かにお父さんの仕事がなかなか見つからなくて、今日のごはんもどうしようか困るくらいなんだけどね」
 マツキは、テへへッと手を額に当てて笑う。

「——でもね、家族みんなで山菜採りに出かけるとか、結構楽しいよ。
 見滝原とか風見野ってやっぱり自然がいっぱいあってね、食べられるものもいっぱいあるんだよ!
 弟は山で遊んでちっとも手伝ってくれないけど、みんなでいるとやっぱり楽しいの」
 
 こんなことを気負いもなく話すマツキに、あすみは返す言葉がない。
 ただ、マツキの顔を見つめながら、話に耳を傾ける。

「貧乏もイジメも嫌だけど……人はね、誰だって、いつだって、幸せになれると思うの。だからあたし、辛いことがあっても、頑張るの」

 最後まで言い切ったマツキの笑顔が眩しくて、あすみは見ていられなかった。
「アンタは幸せなのね……羨ましいわ」
 そう呟くと、あすみはマツキに背を向けて、また渡り廊下の上を歩き始めた。

「待って! アスミス!」
 マツキが呼び止めても、あすみは止まらない。

 けれどあすみは、後ろにいるマツキに向かって、こう言った。
「やっぱり私帰る。どうしても外せない用事なんだ……ごめんね。マツキ、また明日ね」

 その言葉を聞いて、マツキは少し嬉しくなった。
 あすみと友達になれた、と感じたからだ。

「じゃあね、アスミス! また明日ね!」
 マツキは大きく手を振って、あすみを見送る。

 そのマツキの様子をチラッと振り向いて見たあすみは、軽く手を上げ、それに応えた。

 それを見てマツキは、パフパフと音を立てて飛び上がり、喜んだ。

 あすみは静かに、渡り廊下から姿を消した。

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『魔法少女あすみ☆マギカ[新編]女神への叛逆の物語』
(第一話「もう何があっても、挫けない」
キャプチャー1「あすみとマツキ」 了)
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とりあえず今日はここまでにします。
続きは渋の方に載ってます。良かったらご覧下さい。
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1953874
ただ、こっちでは加筆修正して掲載していきたいと思います。

重ね重ね申し上げて恐縮ですが、掲示板の雰囲気を悪くして、誠に申し訳ありませんでした。m(_ _)m

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