両津「許さんぞ!倍返しだ!」 (24)
立てば書く
両津「うーむ」
中川「なにやってるんです、先輩」
両津「しっ!大きな声を出すんじゃない!」
中川「はい?」
両津「わしがここにいることがバレるだろうが、商店街の連中に」
麗子「両ちゃん、今月もツケだらけなんですって」
両津「今日は給料日だからな。奴らに捕まったら月初から文無しになってしまう」
中川「いや、しかし、借りた物は返さないと」
両津「人聞きの悪いことを言うな!わしがいつ返さないと言った!永久に借りておくだけだ!」
麗子「そういうのを返さない、って言うのよ!非常識よ両ちゃん!」
中川「先輩の場合、社会常識や法律よりもお金の方が優先順位が上だから」
麗子「あきれた」
両津「お前ら!さっきから黙って聞いてれば人のこと好き勝手いいやがって!女だからって容赦しねえぞ!」
麗子「きゃあ!」
商店街の人A「あ!派出所内にて対象を発見しました!どうぞ!」
中川「あっ」
『勤務交代の時間が過ぎても隠れていたな!どうぞ!』
『こちら町会長、両津発見ご苦労!全員ただちに公園前派出所へ急げ!どうぞ!』
『神田班了解しました!』
『ニコニコ寮地区班了解しました!』
『亀有駅前班了解しました!』
両津「ちくしょー!いっちょ前に改造無線なんか使いやがって!早く逃げんとまずい!」
中川「一体何人体制で先輩を捜索していたんだろう……」
麗子「指名手配犯並ね」
両津「くそっ!絶対に給料は渡さんからな!」ガララ
商店街の人B「裏の窓から逃げようったってそうはいかんぞ!」
両津「うわっ!」
商店街の人C「正面入り口も封鎖したぞ!観念するんだな両さん!」
両津「やかましい!お前らに払う金など持ち合わせておらん!あばよ!」ダッ
中川「詰め所の畳の裏に逃走用の地下道なんか掘っていたのか……」
麗子「まるで大脱走ね」
商店街の人A「なんてこった、両さんを取り逃がしました。どうぞ」
商店街の人B「相変わらず逃げ足が早いな、まったく」
『こちら町会長。対象の逃走に伴い、第二作戦を開始する』
商店街の人A「了解、帰投します」
商店街の人B「ああ、結局例の方法か」
商店街の人C「両さん、怒るだろうな」
中川「あれ、今回はもう終わりなんですか」
商店街の人A「作戦会議で、押し入れの裏に隠れたゴキブリを探し回るのは割りに合わないとの結論が出たんだよ」
中川「ご、ゴキブリ……」
商店街の人B「だから今回は、別の方法で債権回収をすることにしたんです」
麗子「別の方法?」
商店街の人C「うちの商店街全体の経営を両さん一人で圧迫してるもんだから。ウチらに融資してくれてる銀行がカンカンなんだよ」
中川「もしかして、銀行の口座の凍結ですか!?」
麗子「まさか、個人レベルでそんなこと、聞いたこと無いわよ」
中川「先輩ならありえる……」
商店街の人A「それは先月からやってます」
中川「えっ」
商店街の人B「でも、急に先月から現金支給に切り替えたみたいで、効果なかったんですよ」
麗子「野生の勘ね……」
中川「でも、じゃあ一体どんな手を使うつもりなんだろう」
~東京中央銀行 亀有支店~
半沢「そうですか、わかりました。」
半沢「ええ、仕方ありません。今から私も向かいます……ええ、それでは」
半沢「部長、少し外出してきます」
支店長「半沢君、頼むぞ」
半沢「はい。このままでは亀有商店街は融資打ち切りになってしまいますから」
半沢「それもたったひとりの非常識な男が原因で」
半沢「自分の借金を町におしつけて、市民の暮らしを圧迫するなんてあってはならない」
半沢「絶対に許さない!倍返しだ!」
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