GTO×コードギアス 反逆のルルーシュ (18)
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いつも通りの朝……。
妻である冬月先生……いや、鬼塚あずさの作った朝食がテーブルに並ぶ。
意外と結婚前のカップラーメン生活が懐かしい気もするが、それは贅沢だ。
あずさが作ってくれた朝食を頬張る。
あずさの朝食で今日もエネルギーは満タン、今日もグレートな一日になると勝手に予想する。
そして出勤……。
あずさも教師を続けているので車で出勤し一方、鬼塚はバイクで同じ時間に家を出る。
見慣れた街並み、景色に朝の爽やかな風を浴びながら鬼塚はバイクをとばす。
今日はいつもよりも、早起きしたので学校が始まる時間まで余裕があるのでたまには、いつもと違う道を通ってみようと鬼塚は思い、若干遠回りになるものの、人通りが少なく気が覆い茂った細い一本道に進む。
信号機がある街中を通るより何も考えず走れるこの道の方が楽だと思い、明日からこの道を通って通勤しようかと思ったりする。
そして鬼塚はふと時間を見た。
少しゆっくりしすぎただろうか……間に合うか微妙な時間になってきた。
鬼塚がバイクで颯爽と進むと小さなトンネルがあるではないか。
鬼塚はその、トンネルに違和感をおぼえた。
ここを通るのは初めてではなく一度だけだが通ったことがあるがその時にはトンネルはなかったのだ。
だが、今は学校に間に合うか間に合わないかの瀬戸際……トンネルがあろうがなかろうが関係ない。
鬼塚はトンネルに突入するとバイクのギアを上げた。
暗いトンネルの奥から一筋の光が差し込む。
出口に向かってさらに、バイクのギアを上げる。
トンネルを出た鬼塚を待っていたのは見たこともない景色だった。
おかしい……ここを通れば再びいつも通勤する道に戻れるはずだが……。
しかも、まるで戦争でもあったかのように建物は壊れている。
不吉な予感がしてトンネルの方を振り返ってみるとそこには通ったはずのトンネルがないではないか。
あるのはボロボロの廃墟だけだ。
「おい……ウソだろ……」
さすがの鬼塚も言葉を失う。
一旦、バイクを降りるとその廃墟の中に入って探索するがもちろん、帰り道はなかった。
慌てて携帯電話を取り出し友人たちに電話をかけるも繋がらない。
その時、鬼塚の首筋を弾丸がかすった。
「へっ?……」
有りえない光景が鬼塚の目の前に広がる……。
どこかの軍隊のような奴らとレジスタンスのような恰好をした人間が銃撃戦をしている。
これは喧嘩なんかではない……戦争と言っても過言ではない。
鬼塚は逃げるように再びバイクを走らせる。
「てか、ここはどこだよ?!何で銃撃戦なんか始まってんの?!」
バイクをとばし、何とか逃げ切ったと安堵した鬼塚だったがそれは束の間だった。
「しまったぁぁぁぁー!」
訳もわからず逃げてきたので帰りの道も覚えておらずここがどこかもわからない。
とりあえず、感じの良さそうな、おばちゃんに声をかけてみる。
「ちょっといいっスカ?」
「はい?」
「ここ……どこ?」
おばちゃんは不思議そうに首を捻りながら答える。
「どこって、トウキョウ租界じゃないの。変なの……」
まさかの答え、東京……。
絶対、有りえない、だって東京だったらあんな銃撃戦が起こるわけがない。
落ち着いて考えようと公園のベンチに座る。
しかし、「ソカイ」ってどう言う意味だ?。
考える程、頭が混乱しイライラしてくる。
「どうなってんだ……」
日も暮れ、鬼塚の腹がなる。
変な場所に来て帰れなくなった以上、空腹の場合どうすればいいか……どこかの店で食べるしかない。
鬼塚は財布を見ると1000円あったので少しホッとして街中のとあるレストランに入ると従業員に一言。
「これで食えるもん全部持ってきて」
しかし、その1000円を丁寧に返されると従業員は深々と頭を下げた。
「お客様、申し訳ございません……この紙幣はブリタニア帝国の紙幣でないため当店ではお使いになることができません」
「ブリ、ブリ、ブリタニア?……」
「さようでございます……お立ち退きください」
摘み出されるようにレストランから出る鬼塚は1000円札を投げ捨て、頭を抱えその場に座り込む鬼塚……常人なら絶望と不安しかないだろうがこの男にはわかのわからい場所に来たことと家に帰れない事のイライラ感の方が強いのだ。
「どうなってんだよ!」
冷静になろうと煙草を吸いかけたとき悲鳴が聞こえた。
「ほら、お姉ちゃん、俺たちと遊ぼうぜ!」
「離してよ!」
目の前でブロンドのロングヘアーの少女が数人の男たちに絡まれていて、しかも、その少女は制服を着ており雰囲気で判断するに女子高生で間違いないだろう。
鬼塚はそれを見て教え子たちの姿を思い浮かべていた。
「おい!そこのお前ら、そんなに遊びたいんなら俺が遊んでやるよ」
男たちは顔を見合わせると鬼塚に敵を向ける。
「何だお前は?」
「鬼塚英吉、これでも教師やってま〜す」
「その先生が何の用ですか?」
「いや、お前らがさぁ、くだらねぇことしてるからさ」
「お前誰に向かって口聞いてんだよ?あっ?」
男のリーダー格の男が鬼塚の胸ぐらを掴む。
しかし、鬼塚は脅えるどころかどころかふざけて態度をとる。
元暴走族だった鬼塚にとってはこんな展開は慣れているのである。
「わかりましぇ〜ん」
「望み通り殺して……グホッ?!」
鬼塚の顔面を殴ろうとした男の拳よりも先に鬼塚の拳が男のみぞおちに激痛を与える。
男はうつ伏せに倒れたまま、あまりの激痛に意識を失ってしまった。
元不良の鬼塚にとってはこのリーダー格の男が倒れた事が何を意味するかわかっている。
「さぁ、ここで問題です。次のうち殺されるのはどっちでしょう?1、今日、色々あってストレスが溜まっているボクちゃん、2、そんなボクちゃんを集団でボコろうとしているおバカな雑魚くんたち、あっ!雑魚ってのは君たちの事ね!」
「お前……覚えてろよ!ただで済むと思うな!」
「いつでも相手になってやるよ、ただしな、こいつに指一本触れてみろ……俺が、お前ら[ピーーー]!」
リーダー格が倒されたとあってはいくら数が多かろうと烏合の衆だった。
男たちは倒されたリーダーの男を抱えてすぐさま逃げ出した。
「おととい来やがれってんだ!ヴァァァカ!」
ストレスが発散できたのか満足そうな鬼塚に助けられた少女が頭を下げる。
「危ないところをありがとう」
「お前、高校生がなこんな夜遅くに歩いてるからだぞ」
「ところで、あなたどこの学校の教師やってるの?」
「どこのって……言われてもねぇ」
いくら頭の悪い鬼塚でも自身が置かれた立場くらいわかっていた。
今まで心の中では否定してきたがやはり、ここは自分がいた世界とは似て非なる世界。
実際に勤めている学校を言ったところでわかってはもらえないだろう。
「フリーってとこかな?」
「ちょうど良かった!私、ミレイ・アッシュフォードって言うの。うちの学校に来ない?」
鬼塚が渡された名刺にはアッシュフォード学園理事長の孫とある。
「さっき見たわよ?レストランから追い出されるところ。お金ないんでしょ?学校に来てくれたら寮があるから生活には困らないわよ?」
「マジ?」
鬼塚の顔から笑みがこぼれる。
まさか、異世界でこんなに早く就職先が見つかるとは予想外……。
「じゃあ、ついて来て。案内するから」
「いえいえ、後ろに乗ってくださいまし」
鬼塚は自慢のバイクの後ろに乗せると夜の道を走り出した。
これは、新たな鬼塚の伝説が始まることを意味していた。
目覚まし時計の音が鬼塚の部屋に響く。
これも、教師使用の体になってきたのか最近はすんなり起きれるようになった気がする。
自分が学生の頃は朝、起きるのがかったるくて学校に行くのが嫌だった記憶しかない。
逆に今日からアッシュフォード学園の臨時教員として働くことが楽しみで仕方がないのだ。
「あぁぁぁぁぁぁぁっ?!」
時計を見るとタイマーの時間が8時ではなく9時になっている。
これは非常にマズイ事態である。
いきなり、新任の教師が遅刻するのは洒落にならない。
朝風呂しようかと思ったがそんな暇はなく急いで着替えると猛ダッシュで学園に向かう。
職員室の教員たちには、後ほど挨拶するとしてミレイに指定されたクラスの教室へと向かう。
教室のドアの前で、呼吸を整える為に深呼吸をする。
何回、経験しても初めて入る教室は緊張するものだ。
ドアを勢いよく開けて教室に入ると黒板に自分の名前を書き込む。
「みんな。おはよう!今日から、てめぇらの担任になる鬼塚英吉だ。趣味はパソコン、コスプレ、特技は空手とゲーム。夜露死苦!で、何か文句ある奴はいるか?」
手を挙げない生徒たちを見て二度、頷く。
何て良い子たちなんだろうと鬼塚は心の中で思ったりもしたがまだ、油断はできないので気を引き締める。
「じゃあ、出席を採るから呼ばれた奴は大きな声で返事するように」
この呼名こそ、教師の醍醐味だ。
次々と呼名していく中であることに気付いた。
外国人の名前が非常に多い。
ここでは自分のいた世界の常識は通用しない事くらい、わかっているので気にしないことにする。
そうだ、逆にカタカナの方が読みやすくて都合がいい。
そして、呼名はあるところで止まる。
カレン・シュタットフェルト……カレン・シュタットフェルト……あれ?カレンは休みか?」
更にまたもある人物のところで呼名が止まってしまう。
「ルルーシュ・ランペルージ……ルールシュってのも休みか?何だ二人も休みなのか……じゃあ、仕方ない。今日の授業は自習!」
教室内から驚きの声があがる。
いきなり、来て出席を採ったと思ったらいきなり自習なんて言われたら誰でも驚くだろうが、いや、やる気があるのか?とさえ疑ってしまいかねないのだが、鬼塚は全くそんな事は気にしないで教室を出ると生徒会室に入る。
特別、何か用がある訳ではない。
この前、ミレイに案内されたのだが何となくこの生徒会室の雰囲気が気に入ったからだ。
それに、朝飯を食べずに来たので腹が減って元気が出ない。
生徒会室にはこの前、見たところパンやお菓子などがあったはずだ。
生徒会室に入るとすぐさまパンを発見し頬張りながら、あずさの存在のありがたみを痛感していた。
あずさがいれば遅刻もしなかっただろうしまともな朝食もとれていたはずだ。
と言うか自分は一生、元の世界には戻れないのだろうか……。
そんなことを考えているとミレイが生徒会室にやってくる。
「こんな所で、何やってるんですか?」
「見りゃ、わかんだろ?パン食ってんだよ」
それはそうだが、ミレイが聞きたいことはそんなことではない。
「いきなり、あれはマズイんじゃないの?」
「何で?自習は立派な授業だぞ?」
「あなた本当に教師なの?」
ミレイがそう思うのも無理はない。
生徒が二人、休んだからと言う理由で自習にするのはあまりにも無茶苦茶である。
「当たり前だろ。グレート・ティーチャー・オニヅカなんでヨロシク」
ミレイの呆れたような表情を浮かべても全く気にもせず黙々とパンを食べ続ける。
これが鬼塚の良いところなのか悪いところなのか判断しかねるが一つ、言えるのはこれが鬼塚英吉と言う教師なのである。
そんな所に生徒会室のドアが開く。
入ってきたのは黒髪と紫の瞳を持つ美青年。
鬼塚は生徒名簿の名前と写真を確認する。
「あっ!確か君がルルーシュ・ランペルージだな!遅刻だぞ!」
自分が遅刻したことをもう忘れているのかルルーシュの方を指さして偉そうにしている。
そんな鬼塚の態度に不快感を持ったのかルルーシュは眉間に皺を寄せる。
「会長、誰です?この人」
ミレイに今日から自分のクラスの担任になった教師だと聞かされると最初は納得いかなそうな顔をしていたが、ミレイが襲われていた自分を助けてくれたとミレイに聞かされると少しだけだが表情を緩ませる。
まぁ、悪い人ではないと言う事は伝わったのだろう。
「そうでしたか。ルルーシュ・ランペルージです。よろしく、鬼塚先生」
「あっ!ルル来てたんだ」
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