リヴァイ「………」
エルヴィン「リヴァイか」
リヴァイ「今日はエルヴィンの誕生日だったな」
エルヴィン「よく知っていたな」
リヴァイ「これを受け取れ」
エルヴィン「?」
エルヴィン「育毛剤?」
リヴァイ「気に入らなかったか?」
エルヴィン「いや」
エルヴィン(ピクシス司令に差し上げたら喜ばれそうだ)
エルヴィン「ありがとう。もらっておこう」ニコ
リヴァイ「!」
エルヴィン「どうした?」
リヴァイ「なんでもない。じゃあな」ダッ
エルヴィン「? …ああ」
ー旧調査兵団本部ー
ぺトラ「リヴァイ兵長、やはり団長は……」
リヴァイ「可能性は限りなく高い」
ぺトラ「ヅラ……なんですかね」
オルオ「実際に見た奴は誰もいないんだろ?団長がハゲだと断定するのはまだ早」ガチッ
オルオ「〜〜〜〜〜〜!!」
ぺトラ「ほらほら、慌てて喋ったら駄目でしょ。すぐに舌噛むんだから」
グンタ「でも、オルオの言う通り誰も見たわけではないからな」
エルド「そうだそうだ。それに団長の髪を気にしている場合か?俺達は特別作戦班としての任務を全うするのが役目だろう?」
リヴァイ「お前らさっきからごちゃごちゃと言いたい放題だがな、これは俺達の班どころか、調査兵団存続の危機に関わることなんだぞ」
全員「!!?」
ぺトラ「調査兵団存続の」
オルオ「危機……?」ゴクリ
グンタ「どういうことです兵長?」
エルド「詳しく聞かせてください」
リヴァイ「第一にお前らは今、エルヴィンの髪のことで頭がいっぱいになっている」
オルオ「ああ…」
エルド「確かに」
ぺトラ「そうかも…」
グンタ「否定は出来ない」
リヴァイ「実際に、俺達以外の調査兵団の連中にも被害は広がっている」
リヴァイ「そんな調子でエレンの見張りや壁外調査に専念出来ると思うのか?」
グンタ「……っ!」
エルド「その時になったら、集中して頭を切り替えてなんとか…」
リヴァイ「集中して頭を切り替えても、視界にエルヴィンの髪が入ってきたらどうする」
エルド「……くっ」
グンタ「じゃあどうすればいいって言うんです?」
リヴァイ「調査兵団本部に行き、エルヴィンの髪が地毛かどうか、真相を確かめるしかない」
オルオ「そ、そんなことって」
エルド「出来るわけがない!」
ぺトラ「無茶です!兵長!」
バンッ!(机を叩く音)
全員「!」
リヴァイ「俺を誰だと思っていやがる……」
リヴァイ「いいか?俺に出来ないことはない。てめぇらは黙って俺に従えばいい」
全員(やばい、顔がマジギレ寸前だ)
オルオ『どうする?』ヒソヒソ
グンタ『どうするって言ったって、従うしかないだろう』
エルド『兵長が機嫌を損ねたら面倒臭いことになるぞ』
ぺトラ『エレンはどうするの?』
グンタ『エレンについてはきっとなにか考えがあってのことだろう。兵長を信じるしかない』
リヴァイ「おい、てめぇら……返事はまだか」
全員「」ビクッ!
グンタ「兵長についていきます!」
エルド「俺も!」
オルオ「俺も!」
ぺトラ「私も!」
リヴァイ「それでいい」
リヴァイ「そうと決まったら早速作戦会議を始める」
リヴァイ「明日は一日、クソメガネにエレンの子守を任せ、俺達はその日のうちに迅速にエルヴィンの髪の秘密を暴く」
グンタ「ハンジは頼もしいが、流石に一人でエレンを任せるのは不安が残らないか?」
リヴァイ「だから一日の内に複数の作戦を決行し、すぐにここへ戻ってくる必要がある」
エルド「団長の髪を調査する方と、エレンと一緒に残る方、二手に別れるというのはどうでしょう?」
リヴァイ「相手はエルヴィンだ。二人で敵うわけがない」
オルオ「精鋭部隊の俺達四人とそれを束ねる兵長が必要というわけか…」
リヴァイ「そういうことだ」
リヴァイ「具体的な作戦は複数用意してあるが、作戦自体は至ってシンプルだ」
リヴァイ「忙しい中こんなくだらねぇことに時間を割いてられないからな」
グンタ「さっき調査兵団存続の危機に関わると仰られてましたよね?」
リヴァイ「黙れ。本当はこんな問題、実力行使で解決出来たはずなんだ。俺がエルヴィンの部下でなければな」
オルオ(なんだかんだ言って上司には弱いんだなこの人……)
ぺトラ「みんな、お茶持ってきたよ」
オルオ「おう、サンキュー……あっづ!!」
ぺトラ「ほらほら、慌てて飲んだら舌ヤケドするでしょ」
オルオ「なんでホットなんだよ!アイスにしろよ!」
ぺトラ「氷が貴重なんだから無理に決まってるじゃない」
グンタ「ぺトラ、俺にもくれ」
ぺトラ「はい」
エルド「俺も俺も」
ぺトラ「はい」
リヴァイ「………」
ぺトラ「兵長はいらないんですか?」
リヴァイ「アイスにしてくれ」
ぺトラ「わがまま言わないで下さい」
リヴァイ「………」ゴク
エルド「………」ゴク
グンタ「………」ゴク
オルオ「………」ゴク
ぺトラ「………」ゴク
エルド「やっぱりお茶を飲むと心が休まるな」
リヴァイ「そういえば貰い物の菓子があった。ぺトラ、持ってきてくれ」
ぺトラ「あの丸い缶のことですね?わかりました」
ぺトラ「はい、持ってきました」
グンタ「随分豪華な装飾がされている缶だな」
リヴァイ「クッキーが入っているらしい」
オルオ「おお」
リヴァイ「開けるぞ」
ガコッ
オルオ「ふおぉぉ、すげぇ!」
ぺトラ「バターのいい香り…」
エルド「クッキーの周りに付いてるキラキラしたものは何ですか?」
リヴァイ「砂糖だ」
グンタ「砂糖!?こんなに?」
リヴァイ「高級品だから味わって食えよ」
全員「いただきます!」
リヴァイ「………」サクサク
エルド「………」サクサク
グンタ「………」サクサク
オルオ「………」サクサク
ぺトラ「………」サクサク
オルオ「んまい!うますぎる!」
グンタ「こんなに甘いものは初めて食べた!」
エルド「高級品の名に恥じないな!」
ぺトラ「もう一枚食べてもいいですか!?」
リヴァイ「ああ、どんどん食え。クソメガネ達の分も残しておけよ」
グンタ「そういえば俺達って何のためにここに集まってるんだっけ?」
エルド「え?お茶会だろ?」
オルオ「雑談しに来たんだろ?」
ぺトラ「何言ってるの?遊びに来たんでしょ?」
リヴァイ「てめぇら、壁外に縛り付けられるのと永久に営倉行きどっちがいい?」ゴゴゴ
全員「」
グンタ「じょ、冗談ですって兵長!」
エルド「団長の髪の真相を突き止めるんでしょう!?いやだなぁもうあははは」
ぺトラ「さ、早く作戦会議の続きを始めましょう!」
オルオ「そうしよう!」
リヴァイ「では作戦会議を再開する」
―次の日―
―調査兵団本部周辺―
ピチチチチ
オルオ「ふぁーあ……おはよう。早いなお前ら」
ぺトラ「昨日、壁外に縛り付けるって言ってた時の兵長の顔を思い出したらね……」
グンタ「あれは子供には見せちゃいけない顔だ。間違いなく」
エルド「だな。夢に出てきそうだ…」
エルド「にしても、ここは旧調査兵団本部と比べてやっぱり綺麗だよな」
オルオ「旧調査兵団本部はそれなりに雰囲気はあるけど、掃除しないと住めないくらいだったからなぁ」
―旧調査兵団本部前―
リヴァイ「じゃあエレンは頼んだぞ」
ハンジ「任せておいて!」
リヴァイ「なんかあったらすぐに早馬を使って連絡しろ」
ハンジ「オッケー」
ハンジ「エレン、巨人の話いっぱい聞かせてあげるからね!」ワクワク
ハンジ「それと、今は亡きソニーとビーンの話も…」グスッ
エレン「えっ……」オロオロ
リヴァイ「おい、クソメガネ。あんまりエレンを困らせるな」
ハンジ「えーいいじゃんいいじゃん」ブー
リヴァイ「メガネ叩き割られてぇのか?」
リヴァイ「お前はくれぐれも巨人化しないよう気をつけろよ」
エレン「はい」
エレン「あ、あの」
リヴァイ「なんだ」
エレン「エルヴィン団長の髪を調査するんですよね?」
リヴァイ「そうだ」
エレン「頑張って下さい!」
リヴァイ「ああ」
―調査兵団本部周辺―
全員「………」テクテクテク
オルオ「そういや、エルヴィン団長って普段はどこにいるんだ?」
ぺトラ「任務の時くらいしか見ることはないね」
エルド「その辺を歩いてればいいんだけどな。早く見つけてさっさと作戦を済まして帰ろう」
グンタ「そうだな」
ぺトラ「あ、待って。その前に兵長が来るのを待たないと」
オルオ「あーそうだった」
エルド「旧調査兵団本部でハンジ達と話してから来ると言ってたな」
グンタ「遅いが、話が長引いているのか?」
リヴァイ「待たせたな」
全員「!?」
ぺトラ「あ……」
オルオ「兵長……」
エルド「お、おはよう…」
グンタ「ございます……」
リヴァイ「お前ら、昨日はよく眠れたか?」
オルオ「あ、はい!」
リヴァイ「俺は緊張で眠れなかった」
ぺトラ「兵長が?」
エルド(リヴァイ兵長が恐れるほどの人物……)
グンタ(エルヴィン・スミス……)
ぺトラ「兵長、エルヴィン団長はどこにいらっしゃるんでしょうか?」
リヴァイ「エルヴィンはそろそろここに現れるはずだ」
エルド「何故わかるんですか?」
リヴァイ「とある者の情報によると、毎朝7:00丁度に必ずこの通路を通るらしい」
全員「………」
リヴァイ「しかも、朝は忙しいはずだ」
リヴァイ「エルヴィンが俺達を相手にしてくれる時間は、そうだな……せいぜい2、3分といったところだろうか」
オルオ「そ、そんなに短いんですか!?」
リヴァイ「そうだ。だから作戦は迅速に行う必要がある。少しのミスでも大幅なタイムロスに繋がるからだ」
エルド「ちょっといいですか?」
リヴァイ「なんだ」
エルド「エルヴィン団長本人に、髪のせいで調査兵団が存続の危機に立たされていることを伝えたほうが早いのでは?」
全員(正論だ)
リヴァイ「お前達に出来るのか?エルヴィン本人に髪の話を振ることを…」
全員「………」
エルド「無理です」
オルオ「無理だ…」
リヴァイ「俺にも無理だ。エルヴィンとはそういう男だ」
グンタ「前に、兵長は俺に出来ないことはないと仰られてましたよね?」
リヴァイ「うるせぇな。俺には出来ないことよりも出来ることの方が多い。極端に言えば何でも出来ることになる」
ぺトラ「いくらなんでもその理論は無茶苦茶すぎます」
リヴァイ「とにかく、直接聞くのは最後の手段だ」
エルド「わかりました」
リヴァイ「7:00になったな」
リヴァイ「グンタ、エルド、頼んだぞ」
グンタエルド「はっ!」
リヴァイ「俺達は陰から様子を伺うことにしよう」
オルオペトラ「はっ!」
―草かげ―
オルオ「ここからだとよく見えますね」
リヴァイ「ああ、上手い具合に通路に面した庭があって良かった」
オルオ「あ!エルヴィン団長!」
ぺトラ「え?本当!?どこどこ?」
リヴァイ「来たか……」
エルド「エルヴィン団長!」
グンタ「おはようございます!」
エルヴィン「君たちは確か、リヴァイ班の…」
エルド「エルド・ジンです」
グンタ「グンタ・シュルツです」
エルヴィン「そうか、リヴァイとは上手くやっているのか?」
エルド「ええ!おかげさまで!」
エルヴィン「リヴァイはなかなか気難しいところがあるだろう?」
エルド「ええ、まぁ……気難しいどころか」
グンタ「たまに人間性を疑うところがあります」
―草かげ―
リヴァイ「………」プルプル
オルオ「兵長、抑えて下さいね」
ぺトラ「作戦が失敗に終わったら元も子もないですからね」
グンタ「ですが」
エルヴィン「ん?」
グンタ「もし、生まれ変わってまた調査兵団に入ったとしたら、またリヴァイ兵長の元に配属されたいです」
グンタ「それくらい、私はリヴァイ兵長のことを尊敬しています」
エルド「右に同じです」
―草かげ―
リヴァイ「………」
エルヴィン「そうか、本人が聞いたらきっと喜ぶだろう」ニコ
エルヴィン「エレンの力が我々人類に必要だと証明する為にも、君たちの力は必要だ。これからも頑張って欲しい」
グンタエルド「はっ!」ビシッ
エルヴィン「………」スタスタスタ
グンタ(エルヴィン団長、間近で見るとすごい迫力だった…)
エルド(圧倒されて体が動かない…)
―草かげ―
オルオ「兵長……これは」
リヴァイ「作戦失敗だ」
ぺトラ「ちなみにどういう作戦でしたっけ?」
リヴァイ「1.靴を磨きましょうか?と話しかけ、椅子に座らせる。
2.靴を磨いている間に、もう一人が肩をお揉みしましょうと話しかけ、後ろに立つ。
3.肩を揉みながら何食わぬ顔で髪を観察する。
4.あわよくば、綺麗な金髪ですね。と世間話をしながら髪に触る。」
オルオ「ステップ1にすら進んでいなかったんだな」
リヴァイ「ああ」
ぺトラ「あ、グンタとエルドが戻ってきた」
グンタ「すまない」
エルド「しくじってしまった」
オルオ「お前たちは良くやったよ」
リヴァイ「安心しろ。まだ策は残されている」
ぺトラ「次は…オルオだっけ?」
オルオ「俺、自信ねぇよ!」ガチッ
オルオ「〜〜〜〜〜〜〜!!」
ぺトラ「大丈夫!オルオならやれるって!」
グンタ「俺たちの無念を晴らしてくれ!」
オルオ「うぅ……無理だ」
ぺトラ「もし成功させたら一日デートしてあげるから!」
オルオ「やってやる!」
リヴァイ「よし、次の作戦の準備に取り掛かろう」
ペトラ×オルオか?いいな。
>>44
エルヴィンとリヴァイ中心の話ですが
オルペトは自分も好きなのでなるべく盛り込んでいくようにします!
―ピクシス司令の書斎―
コンコン
ピクシス「入れ」
エルヴィン「失礼します」
ピクシス「エルヴィンか。何の用だ?」
エルヴィン「ピクシス司令に差し上げたい物が」
ピクシス「これは…?」
エルヴィン「部下に貰った物ですが、私には必要ないと判断したので。使われないよりはいいかと…」
ピクシス「育毛剤……か」
エルヴィン「お気に召しませんでしたか?」
ピクシス「ふぉっふぉっふぉっ」
エルヴィン「?」
ピクシス「お前も苦労しておるのぅ。未だに髪が地毛かどうか疑われておるのか」
エルヴィン「はい。ですが、私は気にしておりません」
ピクシス「髪型を変えるつもりはないのかね?」
エルヴィン「……いえ、この髪型が気に入っているので」
ピクシス「そうか、色々な髪型に挑戦してみればいいのにのぅ。せっかくの男前がもったいない」
エルヴィン「そ、そうですか?」
ピクシス「少なくともワシの周りの女はリヴァイの次に、お前を話題にすることが多いぞ?」ニコッ
エルヴィン「えっ?」
ピクシス「そうじゃ!お前と会いたがっている超絶美女がいたんじゃ。今度紹介してやろう!」
エルヴィン「あの、困ります。私には家庭がありますので」
ピクシス「おお、そうじゃったのぅ!すっかり忘れておった!ふぉっふぉっふぉっ」
エルヴィン「………」
エルヴィン(ダメだこの爺さん。早くなんとかしないと)
―その頃、食堂―
ガヤガヤ
オルオ「で、作戦の準備っていうのは…」
リヴァイ「腹ごしらえだ」
エルド「そういえば朝食抜きだったんだ」
グンタ「俺も!腹減ったぁ…」
リヴァイ「俺達は食事を取りにいってくる。オルオとぺトラは席を取っておいてくれ」
オルオペトラ「わかりました」
エルド「じゃあ行ってくるか」
グンタ「頼んだぞ二人とも」
オルオ「これで邪魔者はいなくなったな」ニヤ
ぺトラ「は?」
オルオ「今からデートのプランを立てようぜ」ニヤリ
ぺトラ「あのね、確かにデートするとは言ったけど、作戦を成功させることが条件なんだからね」
オルオ「わかってるって。作戦なんか成功させるに決まってるらろ!」ガリッ
オルオ「〜〜〜〜〜〜〜!!」
ぺトラ「はいはい。せいぜい成功出来るように頑張って下さいね〜」ニヤニヤ
オルオ「うっ、完全に期待してないって目だな…」
オルオ「今に見てろよ!この俺がエルヴィン団長がヅラだってことを暴いてやるからよ!」
ザワザワザワ
「え?エルヴィン団長?」
「ヅラ?」
「あの話やっぱり本当だったんだ」
ぺトラ「ちょっと!声がでかいって!」ベシッ
オルオ「イテッ、いいだろ。団長はヅラなんだから!」
ぺトラ「まだ決まったわけじゃないでしょ!」
ぺトラ「大体、最初は団長のカツラ疑惑反対派だったよね。なんでいまさら寝返ってるの?」
オルオ「お前こそ最初はヅラだと疑ってたよな?」
ぺトラ「通路で実際見て考えを改めたの。あんなにかっこいい人がヅラなわけない」
オルオ「全世界のカツラしてる人に謝れよ」
ぺトラ「…ごめんなさい」
オルオ「考えてみろよ。もしも団長がヅラじゃなかった時の場合を」
オルオ「俺達はとんでもない無礼を働いていることになるんだぞ?」
ぺトラ「確かに…」
オルオ「団長はヅラだと最初から決め込んだほうが精神衛生上楽だろ」
ぺトラ「でも、団長がヅラだったとしても、やってることは失礼なことに変わりないんじゃない?」
オルオ「これは俺の価値観の話になるがな、カツラをしていたら騙された気分になるだろ?」
ぺトラ「全世界のカツラしている人に謝りなよ」
オルオ「……すみませんでした」
リヴァイ「おい、何を騒いでいる」
ぺトラ「あ、兵長」
オルオ「兵長……」
グンタ「ははは!オルオ、またぺトラに振られたのか?」
オルオ「ちげーよ…」
オルオ「お前らは団長のカツラ疑惑についてどう思う?」
エルド「正直、俺はどうでもいいと思ってる。カツラをしようがしまいが、個人の自由だしな」カチャカチャ
グンタ「俺は気になってしまうからはっきりさせて欲しい。団長の髪が視界に入ると話に集中出来なくなることがある」
ぺトラ「私は絶対に団長はヅラじゃないと思う」フンス
オルオ「………」
グンタ「兵長はどう思われますか?」
リヴァイ「育毛剤をやった時、笑顔で快く受取ったのに裏があるのかと勘繰ったが」
リヴァイ「物を貰ったら、気に入らなくても喜ぶ素振りを見せるのが礼儀として普通だからな。俺以外」
リヴァイ「あとは立体機動をしているところを見れば手掛かりを掴めるんじゃないかと思い、
巨人を討伐しながらエルヴィンを観察していた時期があった」
エルド(巨人を討伐しながら団長の立体機動を観察?恐ろしい動体視力と身体能力だ……)
グンタ「観察してみてどうでしたか?」
リヴァイ「不思議なことに、髪は自然になびいていた。カツラとは思えねぇほど自然にな。生え際も見えた」
リヴァイ「これは乗馬している時も同じだった」
エルド「では、団長はヅラではないと?」
リヴァイ「いや、立体機動や乗馬をしている時以外は明らかにヅラにしか見えないんだ。お前らもわかるだろ?」
リヴァイ「それに、エルヴィンほどの地位になれば高性能なカツラを作らせるのは容易いとも考えられる」
リヴァイ「逆を言えばヅラに見えてしまう髪型を好んでいるというだけで、髪は地毛の可能性もある」
リヴァイ「今のところ、どちらも50%くらいの確率だと俺は思っている」
今更ですが、捏造設定を含みますのでご注意下さい
続き書きます
グンタ「兵長でも迷っておられるんですね」
リヴァイ「ああ、そうだ」
オルオ(ヅラの話ばかりで飽きてきた…)
全員「………」モグモグ
オルオ「あ、そういえば一回だけ団長の子供を見たことがあるぜ」
エルド「マジか?」
ぺトラ「え?団長って結婚してたの?」
グンタ「どうだった?髪の色とか…」
オルオ(やっぱり髪の話にシフトするのか…)
オルオ「…金髪だったな」
全員「へー…」モグモグ
オルオ「あと、すごく可愛かった」
エルド「へぇ…」
リヴァイ「最近歩けるようになったとか言ってたなそういえば」
ぺトラ「結婚かぁ。いいなぁ…」
オルオ「ぺトラ、未来の旦那が隣に座ってるじゃないか」
ぺトラ「無駄にかっこいい声で言わないでくれる?兵長に全然似てないから」
オルオ「」
リヴァイ「よし、腹ごしらえも済んだ。行くか」
全員「はっ!」
―調査兵団本部にある訓練所―
リヴァイ「今回の作戦は強行手段に出る。作戦を実行するのは立体機動が一番優秀なオルオ、お前に任せる」
オルオ「はっ」
リヴァイ「まずはエルヴィンをここに呼び出そう」
リヴァイ「おい!」
ガサッ
部下「お呼びでしょうか?リヴァイ兵長」シュタッ
全員「!?」ビクッ
全員(草むらから人が飛び出してきた…!?)
リヴァイ「エルヴィンの手が空いている時を見計らって、ここに呼び出してくれ」
部下「かしこまりました」
ダッ
全員「………」
―エルヴィンの私室―
鏡「」
エルヴィン「………」
『色々な髪型に挑戦してみればいいのにのぅ。せっかくの男前がもったいない』
エルヴィン(思い切って短くしてみるか?いや、似合わないかな)
鏡「」
エルヴィン「………」
エルヴィン(そうだ、無表情でいることが多いから顔面体操をしておかないとな)
エルヴィン「………」ニコッ
エルヴィン「………」ムスッ
エルヴィン「………」ニヘラ
エルヴィン「………」ウルウル
エルヴィン「………」オドロキ
ガチャ
エルヴィン「!!?」
部下「エルヴィン団…」
エルヴィン「………」
部活(なんて顔してんだこのおっさん)
エルヴィン「……ノックをしろと言ったはずだが」
部下「もっ、申し訳ありません!」
部下「もう一度入り直して来ます!」ダッ
エルヴィン「いちいち入り直さなくていい」ガシッ
エルヴィン「何の用だ?」
部下「リヴァイ兵長がお呼びです。なんでも、調査兵団本部にある訓練所に来てもらいたいとか」
エルヴィン「訓練所?珍しいな」
―訓練所―
ピチチチ
エルヴィン(いい天気だ)スタスタスタ
エルヴィン(誰もいないな)
エルヴィン(ここで待つか…)
エルヴィン「!!」
エルヴィン(この気配…)
オルオ(あと少し……あと少しで団長の髪に手が届く…!)ヒュウウゥゥ
オルオ(よしっ!もらった!)
ザッ!
グルン
オルオ「…っ!?」
―草かげ―
ぺトラ「オルオが……!」
グンタ「馬鹿な…。立体機動中のオルオの足首が捉えられた!」
リヴァイ「相手の方が一枚上手だったか」
エルド「やはり、この作戦は兵長自らが実行した方が良かったのでは」
リヴァイ「残念だが俺だと手加減が出来ない。勢いあまって相手を殺しちまう」
エルド「ですよね……」
オルオ「させるか……っ!」
バッ!
エルヴィン「!?」
エルヴィン「ぐっ!」
―草かげ―
リヴァイ「!」
グンタ「掴まれていた手から脱出した!」
エルド「なんて奴だ……」
ぺトラ「頑張れオルオ!かっこいいよ!」
オルオ(肩に足を乗せ……重心はなるべく相手より遠くの方へ)
オルオ(カツラを取ったら、急いで逃げる!)
エルヴィン(中々の腕前だ。だが、私の動きについて来れるかな?)
グルンッ!
オルオ「!?」
―草かげ―
リヴァイ「なっ!?」
グンタ「体の向きを変えた!」
エルド「早すぎる…!」
ぺトラ「オルオ!」
オルオ(くそっ…ここまでか!)
ガシッ
オルオ(あ、腕をつかまれた…!)
オルオ(駄目だ、地面に叩きつけられる!)
オルオ「ぐぁっ!」
ビターン!(ガリッ)
オルオ「あああああぁぁぁぁ!!(舌噛み切っちまったああああ!)」ゴロゴロ
―草かげ―
リヴァイ「………」
エルド「………」
ぺトラ「………」
グンタ「………」
オルオ(悶絶中)「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」ゴロゴロ
エルヴィン「だ、大丈夫か!?」
オルオ「ああああああああ(泣)」ゴロゴロ
エルヴィン「とりあえず応急処置として止血しよう」
―5分後―
エルヴィン「ほ、本当に大丈夫なのか?」
オルオ「はい。もうすっかり」キリッ
エルヴィン「君は確かリヴァイ班のオルオだったかな」
オルオ「あ、はい!名前を覚えていて下さっているなんて光栄です!」
エルヴィン「あ、ああ。部下の名前を覚えるのは団長としては当然のことだ」
エルヴィン(初めて見た時からインパクトがあったからな…)
―草かげ―
グンタ「兵長…これは」
リヴァイ「作戦失敗だ」
エルド「しかし、オルオは団長相手によく頑張ったよな」
ぺトラ「うん。最後はカッコ悪かったけど、私オルオのこと少し見直したよ」
エルヴィン「ん?そこに誰かいるのか?」
―草かげ―
グンタ「見つかった!!」
エルド「ま、まずい!!」
ぺトラ「どどどうしよう兵長!!」
リヴァイ「落ち着け。お前たちはそこにいろ」スクッ
ガサッ
エルヴィン「!」
エルヴィン(草むらから人が現れた)
リヴァイ「………」スタスタスタ
エルヴィン「リヴァイ!?」
リヴァイ「俺の部下が迷惑をかけたな」
エルヴィン「これはどういうことだ」
リヴァイ「………」
全員(ヤヴァイ…)
リヴァイ「立体機動の訓練を行わせていた」
エルヴィン「その為に私を呼び出したのか?」
リヴァイ「お前の臨機応変に対応出来る柔軟な判断力と、素早い身のこなしが必要だった」
エルヴィン「だったら訓練を始める前に一声かけてくれてもよかっただろう」
リヴァイ「一声かけて心の準備をされるよりは、本当の危機が迫った時に発揮される瞬発力に期待していた」
エルヴィン「………」
リヴァイ「というわけで、すまなかったな。コイツの適性を見ることが出来たのでもう用は済んだ」
エルヴィン「腑に落ちないが、まぁいいだろう。ただし、次は前もって知らせるなりしてくれ」
リヴァイ「了解だ」
エルヴィン「………」スタスタスタ
全員「兵長!」ダッ
グンタ「団長を言いくるめるとは流石です!」
エルド「我々の作戦に全然気付いてませんでしたね!」
リヴァイ「いいや、薄々勘づき初めている」
全員「え……?」
リヴァイ「次の作戦を失敗したら、そろそろ俺の身が危ういことになってくる」
全員「!!」
ぺトラ「そ、そんな」
エルド「兵長は人類最強なんですよね……?」
リヴァイ「エルヴィンのあの目を見ただろう?いくら人類最強といえども、権力には刃向かえない」
リヴァイ「俺の戦力は一個旅団の4000人並と例えられているが、
4000人以上の人間と兵器を使って束でかかって来られれば流石の俺でも太刀打ちは出来ねぇ」
エルド「く、くそ…どうすれば!」
グンタ「!」
グンタ「兵長……手が」
ぺトラ「震えてる……」
リヴァイ「会議室に戻ろう。もう一度作戦を練り直すぞ」
全員「はっ!」
オルオ(あれ?俺忘れられてねぇか?)
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