千穂「ほら、真奥さんって変に真面目過ぎるとこあるじゃないですか」

千穂「だから既成事実さえ作ってしまえばちゃんと責任取ってくれると思うんですよ」

漆原「……それ僕に向かって話してんの？」

千穂「当たり前じゃないですか。現在真奥さんは短期のバイト中、芦屋さんは買い物」

千穂「ここに居るのは年中暇な漆原さんだけなんですから必然的にそうなるじゃないですか。それぐらいの事がなんでわからないんです？」

漆原「おい、馬鹿を見るような目で見るのやめろよ」

千穂「でも本当に襲ってくれないかな。私は何時でも準備は整っているんですが」

漆原「多分いくら待っても襲わないと思うけど？」

千穂「でも真奥さんだって男じゃないですか？ たまにはムラムラする事があると思うんですよ」

千穂「そんな時隣に自分に好意を抱いている巨乳女子高生がいる……これはもう抱かなきゃ男が廃るってもんじゃないんですか？」

漆原「ムラムラしただけで女子高生襲ってたらこの世界の男は犯罪者だらけだよ」

千穂「それともあれですかね。私、真奥さんの好みの女の子じゃないんですかね……」

千穂「あれだけ好き好きビーム出してるのにあんまり良いお返事貰えないし」

漆原（好き好きビームって……）

千穂「やっぱり真奥さん、私より遊佐さんや鈴乃さんの方が良いのかな……」ｼｮﾎﾞｰﾝ

漆原「なんでそこでエミリアとベルが出るのさ」

千穂「だって明らかにフラグ立ててるじゃないですか、私より」

千穂「特に遊佐さんなんて真奥さんとのラブラブＳＳもたくさんあるし」

千穂「それなのに私メインのＳＳは数えるほどしかないんですよ！ アニメ放送中はあれだけみんな『ちーちゃん可愛い』とか言ってたのにどういう事ですか、これ！？」ﾕｶﾄﾞﾝ

漆原「いきなりそんなメタな事言われてもなぁ……」

漆原「まあ仕方ないんじゃない？ エミリアやベルは普段ツンツンしてる分、ギャップをつける事で動かしやすいし話も作りやすい」

漆原「逆に佐々木千穂は裏表なくストレート過ぎて話が広げ難いんだよ。あくまで一般人だから異世界ネタも使えないし」

千穂「そんな真面目な考察いりませんよ……」

漆原「まあいいじゃん。その分同人誌だと大人気だし」

千穂「所詮お色気担当なんですかね……」

千穂「でも同人誌で人気なのに真奥さんは私の身体には見向きもしません」

千穂「こうなったらやはり好みの問題なんでしょうね……真奥さんはきっと貧乳好きなんですよ」

千穂「あーなんで私一人だけこんなにおっぱい大きいんだろ？　乳なし板張りの二人がうらやましいです……」

漆原「分かってると思うがそれ二人の前では絶対言うなよ」

千穂「そんな訳でこんな私が真奥さんに振り向いて貰うにはもう犯して貰うしかない訳です」

漆原「結局そこに戻るだね」

千穂「どうやったら襲ってくれるか、漆原さんも意見下さいよ」

漆原「そんな事言われても……」

千穂「一日中パソコン眺める毎日であんまり頭を使ってないんでしょ？ 脳を腐らせない為にも、ここは頭を動かす良い機会じゃないですか」

漆原「どうやったら既成事実を作れるか考える脳もそこそこ腐ってる気がするんだけど？」

漆原「とりあえず人に聞く前に佐々木千穂の考えは？ 何かないの？」

千穂「そうですね……バイトから帰ったら裸にリボンを巻いた状態の私が居るとかどうでしょう？
勿論その間、芦屋さんと漆原さんには何処かに行って貰います」

漆原「うわぁ、さすが同人誌担当の発想。ベタな上実際やったらドン引きされそうだね」

千穂「でも真奥さん、そんな私を見て驚きはしても欲情はせず、『ちーちゃん、夏だからってそんな格好じゃ風邪引くぞ』って言って着替えを促しそうなんですよね……」

漆原「ありえそうだから困るね。じゃあ他は？」

千穂「そうですね。漆原さんが寝ている真奥さんからこっそり精子を搾り取ってそれを私の家まで届けに……」

漆原「おい、やめろ」

漆原「そもそもさっきから犯して貰うとか孕ませて欲しいとか言うけど……それはちゃんと好き同士になってからやるもんだろ？」

千穂「好き同士になれないから強行的にやるしかないんじゃないですか」

漆原「でもそんな事で結ばれてもそれは本当の意味で結ばれた事にはならないだろう」

漆原「真奥を本当に物にしたいなら既成事実とか何かを利用するんじゃなくて、もっと真っ当な方法で振り向かせろよ」

漆原「その方が真奥の為にも佐々木千穂の為にもなると僕は思うよ」

千穂「…………」

漆原「……今度近所で花火大会あるだろ？」

漆原「ためしにそれ、二人でいかないか誘ってみたら？ 勿論真奥はニブチンだから佐々木千穂との距離が縮むかはわからないけど……」

漆原「きっとやるならそれの方が良いと思うよ、僕は」

千穂「漆原さん……」









千穂「成る程、そこで花火の代わりに私の花びらを見せるんですね」

漆原「うん、全然分かってないよね、お前」

…………

漆原（佐々木千穂、やっと帰ったか）

漆原（それにしても恋愛に対して意見出すなんて……正直僕らしくないよな）

漆原（僕も毒されたのかな、この世界に？）

カツカツ……

漆原（足音？ 芦屋が帰って来たのかな？）

恵美「来たわよ～」ﾄﾞｱｶﾞﾁｬ

漆原「何だ、エミリアか」ﾊｧｰ

恵美「人の顔見て溜め息吐かないでよ……あれ、もしかしてあなた一人？」

漆原「もしかしなくてもそうだよ」

恵美「たくっ、せっかく勇者が来てやったのにあいつは……魔王は何時帰ってくんのよ？」

漆原「多分もうすぐ帰って来るとは思うけど」

恵美「そう、ならここで待たせて貰うわよ」

漆原「好きにすれば。どうせ僕には拒否権ないんでしょ？」

恵美「よく分かってるわね」

恵美「麦茶貰うわよ」

漆原「どうぞ」

漆原（ネットでもしよ）ｶﾁｬｶﾁｬ

恵美「ごくごく……ふぅ」

恵美「…………」









恵美「……やっぱり振り向かせるには本当の子供がいるかしら？」ﾎﾞｿｯ

漆原（……僕は何も聞いてない。聞いてないぞ）

おわり