ゆら「禍事ハ、弾デ」(145)

れんと「ふぅ、やっと一段落ついたですぅ」

ゆら「旧校舎がこんなにゴチャゴチャなんて思わなかったよ」

れんと「掃除のしがいがありましたねぇ」

ゆら「ふふ、そうだね……あれ?なんで箱をもってるの」

れんと「さっき掃除してる時に見つけて、キレイだったから部室に飾ろうかなと」

ゆら「確かに装飾が凄くキレイな箱だね……オルゴールか何かかな?」

れんと「部室に行ったら開けてみましょう」

八千代「おーい!お茶持ってきたよ」

れんと「ハっちゃん、ありがとうですぅ」

ゆら「ありがとう。そっちの掃除も終わったの?」

八千代「さっき終わったばっかりだよ、手伝いにきたじゃんね」

ゆら「こっちも今さっき終わったよ」

れんと「じゃあ部室に戻りましょうか」

ゆら「そうだね」

八千代「おっ、なんかキレイな箱持ってるじゃんね。どうしたの?」

れんと「さっき掃除してるとき見つけたんですぅ」

八千代「開けてみてもいい?」

れんと「いいですよぉ」

八千代「きっとオルゴールじゃんね」

ゆら「見た目からしたらオルゴールだよね。何の曲かな?」

八千代「たぶんクラシック曲だよ」カパッ

モクモクモク

八千代「うわーっ」

れんと「げほっげほっ……箱から煙が出てきたですぅ」

ゆら「一体どうなってるの……八千代ちゃん!大丈夫?」

八千代「うん、大丈夫じゃんね……ちょっと驚いただけで」

れんと「何も見えないですぅ……ハっちゃん、大丈夫ですか?」

八千代「大丈夫、大丈夫……ううっ……」

ゆら「八千代ちゃん?……れんちゃん、とりあえず煙の外へ」

ゆら「結構広い範囲に煙が……スモークグレネード?」

れんと「ふぅふぅ、なんであの箱がスモークグレネードになってるんでしょうか」

ゆら「わからない……けど、何かが起こる気がする」

れんと「それにハっちゃんも煙のなかから出てこないですぅ」

ゆら「八千代ちゃん、聞こえてる?」

れんと「返事がないですね……意識を失ってるのかも」

ゆら「とりあえず煙を拡散させないと!私はこっちの窓を開けるから、れんちゃんはそっちをお願い」

れんと「了解ですぅ」

ゆら「よしあと一枚」ガラララッ

ゆら「だいぶ煙が晴れてきた、けどスモークグレネードにしては煙が出過ぎな気がする」

れんと「見通しが良くなってきましたね……ハっちゃん、大丈夫ですか?」

ゆら「八千代ちゃん?大丈夫?」

れんと「あっ、煙から誰かが出てきますよ」

八千代「ふぅ、大変な目にあったよ」フラフラ

ゆら「体は何ともない?」

八千代「うん、ちょっとビックリしただけじゃんね」

れんと「ふぅ、よかったです。返事がないから気絶してたかと思いました」

ゆら「よかった……それにしてもあの箱だよ。いたずらにしてもたちが悪すぎるよ」

れんと「ごめんなさいですぅ、私があんなもの持っときたばっかりに」

八千代「ま、なんともなかったんだし別にいいよ」

八千代「それより早く行こう」

部室

カリラ「カーッ、仕事のあとの茶はうまいぜ」

ほのか「休憩もしたし、そろそろゆらちゃん達の所へ手伝いに行きましょうか」

そのら「そうだな。ちゃちゃっと掃除終わらせてゲームするか!」

カリラ「よーしっ、そうと決まればすぐいくぜ!」

ガチャ

ゆら「お疲れ様でーす。あれ、カリラ先輩どうしたんですか?」

そのら「掃除終わらせたらサバゲーするぞって言ったら張り切ってな……ゆらたちも終わったのか?」

ゆら「はい、すこし前に終わらせました」

そのら「そうか、ご苦労だったな」

カリラ「よしっ!じゃあ早速始めようぜ」

ほのか「ちょっと待ちなさいカリラ、ゆらちゃんたちも休憩が必要でしょう」

カリラ「休憩しながら準備したら大丈夫だって!」

れんと「カリちゃん先輩、私たちは大丈夫ですけど、八千代ちゃんが休憩しないとだめですぅ」

そのら「八千代が?どういうことだ、何かあったのか?」

八千代「も、もう大丈夫だって~ほら、ピンピンしてるよ」

そのら「うーん体はなんともないみたいだが……れんと、詳しく話してくれ」

れんと「さっき掃除してるときにキレイな箱を見つけたんですぅ」

れんと「そしてハっちゃんがそれを開けると、中からモクモクと煙が出てきて私達を包み込んだんですぅ」

ゆら「煙の中で八千代ちゃんが返事をしなくなったので、急いで煙を拡散させました」

れんと「煙が晴れた頃には返事して出てきたんですけど……」

カリラ「なんだよそれ、誰かがスモークグレネードを箱のなかに仕掛けてたのか?」

ゆら「私もそう思ったんですけど……煙の量が普通とはすこし違うっていうか……」

八千代「も、もう……皆そんな心配しなくていいじゃんね」

そのら「箱から煙ねぇ」

ほのか「何のためにそんなことをしたのかしら」

八千代「きっとたまたま置いてあっただけじゃんね」

八千代「私は大丈夫だから、その、サバゲー……やるじゃんね」

カリラ「何ともなさそうだしな、じゃあ早速やろうぜ!」

れんと「ハっちゃんとカリちゃん先輩がそこまでいうなら」

ほのか「そうね、ゲームしましょうか」

そのら「よーし!じゃあやるか」

そのら「あっ!しまった」

ゆら「わっ!……ビックリした。どうしたんですか?マガジン落としちゃいました」

そのら「いやー、発注してた物が今日届くのを忘れてたんだよ」

カリラ「なんだー?じゃあそれをショップまでとりに行くのか?」

そのら「すまんすまん、悪い皆。今日は私抜きでやってくれ」ダッ

ほのか「相変わらず、そそっかしいわね」

れんと「じゃあ今日は何をしましょうか?」

カリラ「八千代は何がいいんだ?」

八千代「うーん、私はなんでもいいよ」

カリラ「そうか?……ゆらは何かあるか?」

ゆら「ハンドガン戦なんてどうですか?前から一回やってみたいと思ってたんです」

カリラ「ふふふっ、ゆら本当にハンドガン戦でいいのか」

ゆら「えっ、何かおかしなこと言いましたか私?」

ほのか「ゆらちゃん、カリラのあの自信は経験によるものよ」

れんと「前一回したときは、カリちゃん先輩が圧倒でしてたですぅ」

カリラ「オレのアクロバティックな動きに皆ついてこれなかったからな」

ゆら「むむむ、でもやってみたいかも」

カリラ「おーしっ!じゃあハンドガン戦な」

ほのか「カリラにはハンデをつけましょうか」

カリラ「おう、なんでもつけていいぞ」

ほのか「カリラだけ弾をリアルカウントで」

カリラ「おいおい……それはいくらなんでもきついぜ」

ほのか「そしてカリラと私で組んで、2対3の勝負にしましょう」

れんと「わかったですぅ」

カリラ「ま、まぁそれならいいか……場所は裏にある森フィールドな」

ゆら「よーし頑張るぞーっ」

フィールド

れんと「久々の一年生ズですねぇ」

ゆら「うん!れんちゃん、八千代ちゃん、頑張ろう」

八千代「頑張るじゃんね」

れんと「カリちゃん先輩の事だから速攻をかけてきますね」

ゆら「それに、ほのか先輩もいるから厄介だね」

八千代「うーん」ジーッ

れんと「銃をじーっと見つめてるけど、どうかしたですか?」

八千代「い、いやなんでもないよん……えっと、ゆ、ゆら」

ゆら「ん?どうしたの」

八千代「これってどうやって使うんだったっけ」ボソッ

ゆら「これって……ハンドガンのこと?」

八千代「そうそう、ハンドガン」

ゆら「もう~八千代ちゃん、冗談がすぎるよ~」

ゆら「八千代ちゃんの方が詳しいのに~」

れんと「ホントですよ~」

八千代「むむ」

八千代「冗談じゃないよ!ド忘れしたんよ」

れんと「も、もしかしてさっき本当は頭を打ってたですか」

ゆら「それとも煙になにか細工がしてあったとか……」

八千代「ド忘れは誰のでもあるじゃんね!それにさっきのはホントに関係ないから」

ゆら「どう思うれんちゃん?」

れんと「私もド忘れすることは有りますけど、さすがに……やっぱり頭を打ったんじゃ」

ゆら「だよね……先輩達のところに行ってくるよ」

八千代「わわっ……なんてね!冗談じゃんね冗談」

八千代「場を和ませようと言っただけだよ」

れんと「なんだぁ、ビックリしたですぅ」

八千代「もうれんちゃんもゆらも驚きすぎじゃんね」

ゆら「さすがに毎日触ってる物だからね」

ゆら「ちなみにここを押しながら照準を合わせて、引き金を引くと弾がでるよ」

八千代「わ、わかってるじゃんね」

れんと「ふふふ」

タッタッタッ

八千代「誰か近づいてきてるじゃんね」

れんと「皆、身を隠しましょう……たぶんカリちゃん先輩ですね」

ゆら「カリちゃん先輩はリアルカウントのハンドガン。ほのか先輩が正面で援護してる最中に側面に回り込むはず」

れんと「ええ、きっとそうです」

八千代「それでどうすればいいの?」

ゆら「私とれんちゃんが左右を監視する、カリちゃん先輩が現れた方に八千代ちゃんが加わる」

ゆら「もう一人でほのか先輩を狙撃、こんな作戦でどう?」

れんと「それがいいですね、じゃあ私はこっちを」

八千代「えーっとじゃあ私はここか……」

カリラ「おっ、あいつらもう気が付きやがった」

ほのか「よしじゃあ援護してる間に側面に回り込む……いいわね?」

カリラ「やっぱツーマンセルがいいな」

ほのか「よし行くわよ」

カリラ「おう」

パララララッ パララララッ

ゆら「よしっ来た」

タッタッタッ

ゆら「そっち側にカリちゃん先輩が側面に回ったはず、弾が切れたら二人で狙撃して」

れんと「了解ですぅ」

ゆら「ほのか先輩は側面に回り込ませないぞ……って、なんで」

カリラ「甘いなゆら、側面ばかり見てるとやられるぜ?」パァン

ゆら「ヒットー」

れんと「ゆらちゃんがやられた?ハっちゃん、こっちは頼むです」

八千代「ええ?あっ、ちょっと」

れんと「向こうを抑えてきます」

八千代「えーっと、たしかここをこうで……」

ほのか「おかしい、全然打ってこないわね」

ほのか「なら近づいて一気に終わらせる」ダッ

八千代「よし!出来た」パァン

ほのか「そこね」パララララッ

八千代「痛っ」

ほのか「後はれんとだけね」

八千代「むっ」チャキ

ほのか「ヒットコールしないで銃向けるなんて、ゾンビ行為よ。わかってる?」

八千代「えっと……ヒット?」

れんと「ヒットですぅ」

ほのか「終わったみたいね、それじゃあ行きましょうか」

ゆら「カリちゃん先輩!あれどうやってやったんですか?ほのか先輩かと思いましたよ」

カリラ「あー、オレのスーパークィックリロードな。知りたいかゆら?」

れんと「まさかカリちゃん先輩が正面から来るなんておもわなかったですぅ」

ゆら「ほのか先輩が打ってるとばかり思ってましたよ……是非教えてください」

カリラ「えっーとな、まずここをこうしてだな……」

れんと「……なんかゆらちゃんと初めてした時のランボー戦を思い出したですぅ」

ほのか「あれはカリラがすごかったわよね……そういえば今日は八千代が調子わるそうだったわね」

八千代「えっ?いや~そんなことないじゃんね」

れんと「やっぱり頭を打ったんじゃないでしょうか」

ほのか「そういえばさっき近づいたときも狙撃してこなかったわね」

れんと「使い方を忘れたと冗談いってたけれど、本当に……ほのちゃん先輩」

八千代「もう、れんちゃんホントだってば。ちょっと手首捻ってたみたいで狙撃出来なかっただけじゃんね」

ほのか「たしかに、なんか変ね」

八千代「もうほのちゃん先輩まで……わかったよ、病院には行くから。心配しないでいいよ」

ほのか「まぁ、そこまで言うのなら……いい?ちゃんといくのよ?」

八千代「お母さんみたいじゃんね」

消灯!

れんと「病院に行くなら安心ですね」

八千代「ふぅ」

ほのか「それじゃ次は、どういう風に分けようかしらね……」

カリラ「……で、こうやってパパパーッてな。どうだ?出来そうか」

ゆら「ス、スゴい……まだ私には無理そうですね」

カリラ「ははは、まだまだ修行が必要だなー」

ゆら「そうですね……あ、そのら先輩」

カリラ「お、そのちゃん意外に早かったなー……って、なんだその大荷物?」

ほのか「キャンプでもするの?」

そのら「……」

カリラ「そのちゃん?」

そのら「……皆、八千代から離れろ」チャキ

ゆら「えっ?」

八千代「え……そのちゃん先輩、いきなりなにするの?」

カリラ「そうだぜ!いきなり人に銃を突きつけるなんて」

れんと「八千代ちゃんがなにかしましたか?」

ほのか「そうよ、そのちゃん。一体どうしたって言うの?」

そのら「私達の目の前にいる八千代は八千代じゃないんだ」

ゆら「えっと……八千代ちゃんじゃないって?」

そのら「今の八千代は何かにとりつかれているはずだ」

八千代「とりつかれてるはずって……も、もー、そんなわけないじゃんね」

ほのか「そのちゃんがそんな事言うなんて珍しいわね」

カリラ「そんなお化けみたいなやついねぇーって」

そのら「……ま、いいだろう。私もここに来るまでは半信半疑だったからな」

れんと「それでそのちゃん先輩、なんでそんなことを言うんですか?」

ゆら「そうですよ、説明をお願いします」

そのら「ああ、そうだな。さっき、二人がが箱の話をしてくれただろ?」

ゆら「はい。さっき八千代ちゃんが開けた箱の事ですね」

そのら「箱と煙でピーンときてな。ある話を思い出したんだ」

れんと「ある話ですか?」

そのら「そうだ、それは昔ある人から聞いたステラの七不思議の1つ、嘆きの箱だ」

カリラ「嘆きの箱?」

ほのか「おかしいわね……そんなのは七不思議に入ってなかったはずだけど」

そのら「裏バージョンって言うのか?マジでヤバイ話とかその人は言ってたな」

そのら「それで話の内容なんだが、ステラの校舎のある教室にキレイな装飾の箱がポツリと置かれている」

そのら「その教室からは、毎晩深夜二時になると女性の泣き声が聞こえてくるんだ」

そのら「そして、不思議に思った一人の生徒が意を決してその教室に足を向けた」

カリラ「一人で行ったのか?バカなやつだな」

そのら「教室に入ると、声のする方にはオルゴールがポツリと置かれているだけだった」

そのら「それで生徒は少し安心したんだろうな。あ、なんだオルゴールか……ってな」

そのら「それでオルゴールを手に取り、それを開けてしまったんだ……」

カリラ「そ、それで……そいつは一体どうなったんだよ」

そのら「……そいつは翌日に校舎前の草むらで発見された」

ゆら「まさか死んじゃったの……」

そのら「いや、死んじゃいない。意識を失っていただけだな」

れんと「でも煙の事が話のなかに入ってないですぅ」

そのら「ああ、そうだった。箱を開けたら煙が出てきて、霊にとりつかれたようになったそうだ」

ほのか「まぁ、だいたいわかったけれど。それは七不思議なんでしょう」

カリラ「そうだぜ、信憑性がないぜ」

そのら「まあ、そういうな。ほら、リュックのポケットに新聞記事のコピーがあるはずだ」

カリラ「あーこれか?」ピラッ

そのら「さっき図書室で調べてコピーをしてきたんだ。これで少しは信憑性が増しただろ?」

ほのか「結構昔の学生新聞ね……たしかに、今そのちゃんが言った事が詳しく書かれてるわね」

そのら「そのある人ってのが新聞部でな。昔の新聞部員が生徒の後を追って、その一部始終を見ていたそうだ」

そのら「そして、それが新聞部で代々受け継がれているってわけだ」

ほのか「なるほどねぇ……」

れんと「じゃあ、その新聞にかかれてる幽霊が今、ハっちゃんに憑依してるんですねぇ」

そのら「そういうことだな」

八千代「も、もう……ほのちゃん先輩もそのちゃん先輩も真剣すぎだよ」

八千代「そんな幽霊なんて、いるわけないじゃんね」

ほのか「オカルト話だからね……でも、そのちゃんがこんないうんだし」ボソボソ

カリラ「あーもういいだろ、そのちゃん?あんま、しつこく冗談言ってもつまんねぇぜ」

八千代「そうだよ、カリちゃん先輩!もっといっちゃって」

そのら「はぁ、さっき半信半疑でここに来たと言ったが。みんな鈍すぎるぞ」

そのら「八千代が、自分達の名前を呼び掛ける時に違和感を感じなかったのか?」

そのら「私は、それで確信を得たわけだが。八千代はそのちゃん先輩なんて呼ばないぞ」

カリラ「あ……そういや、オレもほのかも先輩付けされてたな。いつもは付けないのに」

ほのか「そういう気分なんだと思って気にしてなかったけれど……」

ゆら「私もゆらぴょん、ゆらっちとかじゃなくて、名前で呼ばれました」

そのら「ここからわかる通り、周りが呼んだのを分析して真似したってことだな」

れんと「おー、そのちゃん先輩、名探偵ですぅ」

そのら「さ、どうなんだ?八千代?」

消灯!

八千代「むむ……な、なにいってんのさ。ほのちゃん先輩も言う通り、そういう気分なんよ」

そのら「あくまでしらを切るつもりだな……」

ゆら「……私はそのら先輩を信じます」

八千代「ゆらっち……」

そのら「ゆら……よし!それじゃ、切り札を用意するか」

カリラ「切り札ってなんのことだ?」

そのら「わたしの知り合いに除霊師がいるんだ」

八千代「除霊師?」

ほのか「あいかわらず変な人脈を持ってるわね」

そのら「なんでも凄腕の除霊師らしくてな。今まで幾人もの霊を退治してきたらしい」

カリラ「へー。八千代に霊がついてないとしても、そいつを呼べば一安心だな」

そのら「その通りだ。違ってたら笑い話で終わらせればいい」

ほのか「まあ、そうね……それでその人の番号は」

そのら「わたしの携帯の中にアドレスが入っている……ゆら、私のリュックから携帯を取って、手渡してくれ」

ゆら「は、はい」

そのら「ありがとう。えーと……あった、あった、こいつだ。じゃあ連絡するぞ」prrr

そのら「うーん……なかなか出ないな。休みか?……おっ、出た。もしもし?」

八千代「や、やめるじゃんね!」パァン

そのら「うおっ……」

ゆら「そのら先輩の携帯が!」

れんと「ハっちゃん?」

八千代「……除霊師は呼ばせないじゃんね」チャキ

ほのか「嘘でしょ……」

そのら「ふふふ、やっと正体を表したな。全員後退!物陰に隠れろ」

そのら「よし、みんな後退出来たな」

カリラ「くそー!まさかそのちゃんの話がほんとだったとは思わなかったぜ」

ほのか「オカルトなんてと思ってたけど……存在するのね」

ゆら「そのら先輩、さっきは大丈夫でしたか?」

そのら「ああ、大丈夫だ。少し驚いたが、体には当たってないからな」

カリラ「携帯をぶっ壊されといて、よくそんなこと言えるなー。少しでもずれてたら顔に当たってたぞ?」

ほのか「でもなんであんな威力が出るのかしら……エアガンのはずなのに」

そのら「きっと精神的な作用とかで威力を増してるんだろう。怨念ってやつか?」

れんと「あれに当たったらマズイですねぇ」

ゆら「骨折……いや、それよりもひどいかも」

そのら「やつは私たちを消そうと襲いかかってくるかもしれん……みんな、これを装備しろ」

カリラ「お、なんだ?……全員分のアサルトライフルか」

ほのか「だから大荷物だったのね。それで銃はSCAR―Lね」

れんと「みんなでこれを装備すると、なんだか特殊部隊みたいですねぇ」

ゆら「あ、あの、そのら先輩。私の分の銃が無いんですけど」

そのら「お前の銃はこれだ」

ゆら「あっ……長次郎」

そのら「ゆら、お前はその銃で行け」

ゆら「……はい、わかりました」

カリラ「そのちゃん、それで作戦はどうする?」

そのら「カリラ、ほのか、れんとの三人は少し先のポジションで私達の援護射撃を頼む」

そのら「そして私とゆら、二人で側面に回り込む」

ほのか「ええ、わかったわ」

れんと「二人ともよろしくお願いします」

※長次郎 ゆらの愛用するVz61スコーピオンのあだ名

そのら「作戦名は除霊作戦ってとこだろうな」

そのら「いいか、みんな気を引きしめろ」

カリラ「おう」

ゆら「はい!」

れんと「はいですぅ」

ほのか「了解したわ」

そのら「よし!それでは除霊作戦発動」

パラララララッ パラララララッ パラララララッ

八千代「……向こうの方にいるみたいだね」

八千代「さっきの結構痛かったじゃんね……痛いのは嫌だし」

八千代「でも奴等をどうにかしないと私の野望が……」

八千代「消す?……でもそれじゃあ物騒すぎるじゃんね」

八千代「さっきの威力……この……えーと、ハンドガンで気絶させる……そうだ!そうしよう」

八千代「そして洗脳……よし!これでいくじゃんね」

八千代「そうと決まれば……」パァン パァン

カリラ「うおっ?撃ってきやがった」

ほのか「どうやらそのちゃんたちには全く気づいてないようね」パラララララッ

れんと「マガジン交換するですぅ」

カリラ「オッケー……次マガジン交換するぞ」パラララララッ

ほのか「それにしても凄い威力ね……」パラララララッ

れんと「終わりました」パラララララッ

カリラ「そのちゃん、ゆら……弾に当たるなよ」

そのら「……」

ゆら「あの……」

そのら「ん?どうしたゆら」

ゆら「いえ、その、勝つみこみ……というか、これで除霊ができるんでしょうか」

ゆら「皆さん、そのら先輩の言うことをそっくり聞きましたけど。どうやって最後は終わらせるんですか?」

そのら「……うーん、正直なところ確信はないんだ。だが希望ならある」

ゆら「そんな……確信がないって。見切り発車だったんですか?」

そのら「まあそうかっかするな……いいか?希望といっただろ?私はお前にかけているんだ」

ゆら「私に……」

消灯!

ゆら「でも……私はそんなこと」

そのら「だけど私は信じてる。ゆらには不思議な力があるってな」

そのら「長次郎とゆらなら何かが起こせるはずだ」

ゆら「……先輩」

そのら「自信を持て。もし出来なかったら次の手を考えればいいだろ?」

ゆら「……はい。出来るか分かりませんが……やってみます」

そのら「まさしく当たって弾けろだな」

ゆら「それでこの先どうしますか?」

そのら「カリラ達が援護してくれてるお陰で、八千代は私達に気づいていないらしい」

そのら「わたしがここで援護する。ゆらは後方に回り込んでから狙撃をしてくれ」

ゆら「……はい」

そのら「よーし、じゃあ始めるぞ……」

パラララララッ パラララララッ

八千代「くっそー、二方向から狙うなんて卑怯じゃんね」

八千代「身を乗り出すのも難しいし……」

八千代「……もう!全部あの、そのちゃん先輩とか言う人のせいじゃんね」

八千代「あの先輩から気絶させてやんよ」パァン

そのら「おっと……おー凄いな、樹皮が抉れてるぞ」

そのら「ピンポイントで私の所を狙ってる。腕もいい」

そのら「……ゆら、気を付けろよ」パラララララッ

ゆら「よし、射程圏内に入ることに成功した」

ゆら「後はあの感覚をもう一度思い出す……思い出せ、大和ゆら」

ゆら「呼吸を整える……整える……集中しろ」

八千代「私、以外と凄いじゃん。これさえあればあの人に復讐が出来るじゃんね」

八千代「あれ……あの人って誰だっけ」

ゆら「……集中……集中……八千代ちゃんを返して!」

八千代「うわっ!な、なにこれ?」

八千代「も、森がさらに深くなっていってるじゃんね」

八千代「一体これは……あ、お前はゆら!いつの間にこんなとこまで」

ゆら「ここは私の幻想のなか……八千代ちゃんにとりついた幽霊さん、行きますよ」チャキ

八千代「幻想の中?そ、そんな馬鹿な話あるわけないじゃんね……って、この子の体から私が離脱してる?」

ゆら「それがあなたの本当の姿……でも、八千代ちゃんの為です……ごめんなさい」

幽霊「ち、ちょっと、待って……」

パンッ パンッ パァン

部室

れんと「ハっちゃん、なかなか起きませんねぇ」

ほのか「もうすぐで一時間よ」

そのら「うーん……倒れたときの打ち所がわるかったのか」

カリラ「ゆら、どうだったんだ?」

ゆら「えと、普通に前のめりに倒れて、頭は打ってないと思うんですけど……あ、意識が戻ったみたいですよ」

八千代「ん……んー……ここは?」

そのら「やっと気がついたか、八千代。どうだ?体は大丈夫か?」

八千代「……うん。体は全然大丈夫だよ」

そのら「そうか……さっきの記憶は残ってるのか?」

八千代「えーと……さっきのってなに?」

そのら「覚えてないみたいだな。まぁいい」

八千代「皆どうしたの?なんかあったの……ってなにこれ?手が縛られてる」

そのら「すまん。少し事情があってな」

八千代「事情ってなにさ。これってイジメじゃんね!」

れんと「やっぱり椅子に縛り付けるなんて可哀想ですぅ」

八千代「そうだよれんちゃん、もっと言っちゃって!」

そのら「ゴホン……八千代。単刀直入に聞くがお前は今幽霊なのか?」

八千代「……え?幽霊……どういうこと」

ゆら「八千代ちゃんがさっき開けた箱は呪われてて、開けた八千代ちゃんに幽霊が乗り移ってたんだよ」

そのら「オレ達に向かって発砲してたんだぜ」

八千代「……そんなことがあったんだ。でも違うよ、違うに決まってる。私は正真正銘八千代じゃんね」

そのら「ま、そうだろうな。ゆらが何とかしてくれたはずだ」

ゆら「ま、まあ一応できることはしました」

ほのか「それじゃあ縄をほどきましょうか」

八千代「そうそう早く自由にしてよ」

そのら「まて。その前に一つだけ聞いておこう。自分の名字はなんだ?」

八千代「え、名字?えーと……私の名字は」キョロキョロ

八千代「えーと……私の名字は向井……向井八千代じゃんね」

そのら「そうか、向井八千代か。残念だが我が部活にそんなやつはいないな」

ほのか「……まだ戻ってないみたいね」

そのら「わざと目につく場所に嘘の名前を置いておいた。私達が知るのは日向八千代だ」

カリラ「おう、日向八千代だ」

八千代「騙したね……うう、バレてしまっては仕方ないや。早く始末してほしいじゃんね」

ゆら「やっぱり……私の力じゃ不十分でしたね」

そのら「おいおい、そう落ち込むな。ゆら以外に止められるやつはいなかったんだぞ?」

カリラ「そうだぜ。私達は見てないけど、この幽霊を狙撃したんだろ?スゴいよお前」

ゆら「そのら先輩、カリちゃん先輩……ありがとうございます」

八千代「あの……そこのそのちゃん先輩とか言う人、除霊師の知り合いがいるんでしょ」

ほのか「そういやさっき言ってたわね。その人を早く呼んだ方がいいんじゃない?」

そのら「あー、そのことなんだけどな」

消灯!

そのら「あれは嘘だ」

八千代「え……嘘?」

そのら「動揺させるために言ってみたんだ。だが効果はバッチリだったみたいだな」

八千代「むむむ」

ほのか「それじゃあ知り合いに除霊師はいないってことね」

そのら「ああ、そうだ」

カリラ「でもどうすんだよ?神社にでも連れていくか?」

そのら「神社でお祓いしてもらうって事だな……しかし手を縛ったままだとな」

そのら「……とりあえずまずは自分達で何とかしてみよう。皆アイディアを出してくれ」

カリラ「持ってきたぜ!」

そのら「おーそれは塩か」

カリラ「なんか魔除けとか出来るって聞いたことあるしなー」

そのら「そうだな、でもそれをどう使うつもりだ」

カリラ「うーん、置いておくだけで効果があるんじゃないか?」

八千代「……別になんとも」

そのら「駄目みたいだな……よし次」

れんと「これなんかどうですか?」

そのら「十字架とニンニクか……でもそれは違うんじゃないか?」

れんと「だけどやってみる価値はあると思うですぅ」

そのら「まあそうだな……よし試してみるか」

八千代「……うっ」

そのら「おっ、なんだか効いてるっぽいな」

八千代「く、臭い……やめてほしいじゃんね」

そのら「匂いがダメなだけか……よし次」

ほのか「やっぱり私達の知識だけじゃだと思うの」

そのら「それでどうしたらいいと思う?」

ほのか「……文献の力を借りるとかね。調べてみるのがいいと思うわ」

そのら「そうだな。何か対処法が書いてあるかもしれないしな」

そのら「じゃあカリラ、ほのか、私で文献を調べることにしよう」

カリラ「ゆらたちはどうするんだ?」

そのら「ゆらとれんとはこの幽霊の対応をしていてくれ。何か話してくれるかもしれない」

ゆら「はい、わかりました」

れんと「任せてください」

そのら「ああ、それじゃあ任せたぞ」

れんと「……」

ゆら「……」

八千代「……」

れんと「やっぱり縄をほどいてあげましょうか」

八千代「えっ」

ゆら「ち、ちょっとれんちゃん、危ないよ?」

八千代「そうだよ……私はさっきあなた達を襲ってたんだよ」

れんと「でも……ハっちゃんが縛られてる姿なんて見たくないし……それに幽霊だとしても可哀想ですぅ」

八千代「む……」

ゆら「私も……可哀想だとは思うけど……襲われたんだし」

れんと「でも……やっぱり」

八千代「……そんなに、この子の事大事に思ってるの?」

ゆら「え?」

れんと「もちろんそうですよ……ハっちゃんは私の大切な友達です」

八千代「ゆらは?」

ゆら「私にとっても……大切だよ……大切な友達」

ゆら「明るくて、ムードメーカー……八千代ちゃんはしーきゅーぶに欠かせない大切な仲間だよ」

八千代「……そっか」

八千代「……ごめんなさい」

ゆら「幽霊さん?」

八千代「この子に乗り移って生きようと思ってたけど……やめるじゃんね」

八千代「……あなた達も迷惑をかけて本当にごめんなさい」

れんと「い、いきなりどうしたですか」

八千代「……あなたたちにはこの子が必要みたいだし」

ゆら「……あなたはなんで幽霊になったんですか」

八千代「……幽霊になった理由は」

ゆら「はい……教えてくれませんか」

八千代「え、えーと……忘れたじゃんね」

れんと「忘れたんですか?」

八千代「ずいぶん昔の事だからね……記憶に残ってないんよ」

ゆら「そうですか……」

八千代「でも、悪いと思ってるのは本当。もうあなたたちに被害を与えるつもりはないじゃんね」

れんと「……ひもをほどきましょうか」

八千代「ふーっ……自由だ。縛られた手がいたいじゃんね」

ゆら「れんちゃんとあなたを信じます。理由は本当に覚えてないんですか」

八千代「……うん、さっきもいった通り、理由は全然。でも目的ははっきりしてるじゃんね」

れんと「お茶を注いできました……目的ですか?」

八千代「ありがとう」

ゆら「目的って?」

八千代「……誰かに乗り移って大人になって、年を取って……とにかく人生を謳歌したいって目的だよ」

ゆら「……そういうことだったんだ」

れんと「だから私達にバレて襲いかかってきたんですねぇ」

八千代「そういうことになるね。ホントにごめんなさい」

ゆら「も、もう過ぎたことだし……それであなたの名前は?」

八千代「えっと、私の名前はおはくじゃんね」

れんと「おはくですか?」

八千代「はくは白って書くんだよ」

ゆら「お白……随分古風名前だね」

八千代「ま、そうだね。だって私が生まれたのは明治時代だし」

ゆら「え、明治?」

消灯!

れんと「明治時代の人ですか?」

八千代「そこだけはちゃんと覚えてるんよ」

ゆら「そんな……本当にホントとですか?」

八千代「本当だよ。西暦で言うと1890年くらいかな」

ゆら「凄い……そんな昔の人と喋れるなんて。明治時代か……」

れんと「でも変ですねぇ、昔の人の割には言葉遣いや単語が今風ですぅ」

八千代「言葉遣いはこの子に影響されてそのまま出てるみたいなんよ。単語は覚えたじゃんね」

ゆら「えっと、覚えたって言うと?」

八千代「さっき話の中で出てきた教室、今は使われていないけれど昔は音楽室だったんよ」

八千代「教室内は好きに歩くことが出来たから、授業に来た生徒たちの話を聞くことが出来たじゃんね」

れんと「あー、それで覚えていったわけなんですね」

八千代「そういうことだね」

ゆら「でも……幽霊になってからあそこにずっと一人で居たんですね」

れんと「寂しそうですぅ」

八千代「最初の内はそう思ってたけど……ううん……今もやっぱ寂しいじゃんね」

ゆら「そう、ですよね」

八千代「やっぱり人と会話するのはいいものじゃんね」

れんと「それで年齢って聞くと変ですけど、どれくらいなんですか?」

八千代「うーん……たしか16か17だったような」

れんと「それなら私達と同じくらいですねぇ」

八千代「女学校に通ってたんよ。だけどそこら辺から記憶が曖昧でねー」

ゆら「じゃあその頃に何らかの理由で幽霊になったんですね」

八千代「そういうことになるね。でもなんで死んだのかがやっぱりわからないけどね……」

八千代「あ……つい長く話しすぎちゃったね。それじゃそろそろ退散するじゃんね」

ゆら「方法があるんですか?」

八千代「この子が開けた箱があるでしょ?あれをもう一度開くと元に戻るんよ」

八千代「前も乗り移った事があるんだけど、その方法で戻されたじゃんね」

れんと「そのちゃん先輩の七不思議の話ですね」

八千代「だから、その箱があれば万事解決だよ」

ゆら「……その後はあなたはどうするつもりですか」

八千代「今までバレなけりゃ良いやなんて思ってたけど……違ってた。あなた達に会ってわかったよ」

八千代「久しぶりに楽しかったし……元にもどったら神社かお寺で供養してほしいじゃんね」

れんと「でも本当にそれでいいんですか?」

八千代「それが一番いいと思う」

ゆら「……はい、わかりました。れんちゃん箱はたしか」

れんと「えーと、旧校舎においてあるはずですね」

そのら「二人とも、戻ってきたぞ」 ガチャ

ゆら「あ、皆さん……調べものは終わったんですか?」

そのら「ああ何とか検討はついた」

カリラ「あ!縄がほどかれてるぜ」

れんと「話してみると悪い人じゃなかったみたいなので、私がほどいたですぅ」

そのら「やれやれ……れんとらしいな。なにも起こらなくてよかったよ」

ほのか「ゆらちゃんはどこへ行こうとしてたの?」

ゆら「幽霊さんが元に戻る方法を教えてくれたんです。箱を開ければ元に戻るって」

ゆら「だからそれを取りに行こうと思いまして」

そのら「箱ってこれの事か?」

ゆら「は、はい。その箱です」

そのら「廊下に置きっぱなしにしてあったぞ。気を付けないとな」

れんと「……急だったんで置き忘れてきちゃいました」

カリラ「それで……この箱を使えば元に戻るって、本当なのか?」

八千代「ほ、本当だよ……あと、さっきはごめんなさい」

そのら「……まあ、私の携帯しか被害が出てないしな。全然オッケーだ」

カリラ「八千代が戻ってくるってんなら、文句はないな」

ほのか「もう、あなたたちは……でもどうして心変わりを?」

八千代「えっと、あなた達を見てるとこの子を乗っ取ろうって気持ちが薄れたんよ」

八千代「それに……いつまでもここに留まってるのもね」

八千代「……元にもどったら是非供養してほしいじゃんね」

そのら「……そうか、お前の気持ちよくわかった。後は任せてくれ」

八千代「……ありがとう。最後に会えたのがあなた達で良かったじゃんね」

八千代「中々楽しかったよ……この子にも謝っておいてほしいな」

ゆら「お白さん……わかったよ」

れんと「短い間でしたけど……さよならですぅ」

八千代「それじゃ……さようなら」カパッ

八千代「……」

ゆら「これで元通りなんですね……」

れんと「ええ、お白さんの言うとおりだとそうですね」

カリラ「八千代ー、意識は戻ったか?」

八千代「……あれ?」

そのら「おっ、戻ったな。大丈夫か?なんともないか?」

八千代「あれ?」カパッ カパッ

ほのか「どうしたの?」

八千代「……戻ってないじゃんね」

消灯!

カリラ「なにー?じゃあさっきの嘘だったのかよ」

八千代「いやさっきのは本当じゃんね……でも、なんで?」

そのら「なぜか元に戻らないってことか……うーむ」

そのら「……ま、いいだろう。取り合えず座って話し合おう」

そのら「ゆら、れんと、聞き出せた事を私達にも説明してくれ」

ゆら「は、はい、えーとですね……」

そのら「……なるほどな。そういう事情だったのか」

ほのか「それにしても明治時代ってねぇ……それに死因もわからない」

そのら「それで私らと同じくらいで幽霊になったんで、それが悔いとなってるって事だな」

八千代「その通りじゃんね」

れんと「検討がついたって言ってましたけど、なにかわかったんですか?」

そのら「ほのか、皆に説明を頼む」

ほのか「八千代にとりついたお白さんは、おそらく自縛霊というものよ」

ほのか「悔いが残って死んだから霊になったと考えられるわね」

れんと「うんうん……そうみたいですね」

ほのか「それでこの悔いをなくしてあげる事で成仏が出来るはずよ」

八千代「悔いか……でも、もう私には悔いは残ってないはずだけど」

ほのか「……うん。そこが問題なのよね」

そのら「自分では気づいていないが、別に何かが悔いに残ってるのかもしれないな」

ほのか「記憶も完全じゃないみたいだし……多分そうね」

八千代「うーむ……他に何か心残りか」

カリラ「……ここに来て手詰まりか。……ん?ゆらは何してるんだ?」

ゆら「え?あの、オルゴールを直してました」

そのら「さっかの箱か……たしかに音が出てなかったな」

ゆら「そうなんですよ。気になって中を見てみたら部品が外れていました」

ゆら「それで音が出なかったから、失敗したんじゃないかと思いまして」

れんと「ほー、ゆらちゃん器用ですねぇ」

八千代「スゴい……けど、多分それは関係ないかな。今までもずっと壊れてたじゃんね」

そのら「うーむ……それでゆら、直ったのか?」

ゆら「はい、多分これでいいと思うんですけど」

そのら「そうか。やってみる価値はあるな……もう一回やってみてくれ」

八千代「……う、うん。やってみるじゃんね」カパッ

♪~~♪~~♪~♪~

ほのか「……キレイな音色ね」

そのら「うん、いい音だ」

ゆら「うっとりしますね」

八千代「……この曲は……ううっ」

カリラ「八千代?」

れんと「だ、大丈夫ですか?」

八千代「色々と思い出した……このオルゴールはあの人から……」

ゆら「あの人……」

八千代「これは……許嫁の三郎さんから貰ったものじゃんね」

カリラ「許嫁だって?」

八千代「たしか……あの橋で待ち合わせて、そこでこのオルゴールを貰ったはず」

八千代「なんで……なんで私は今まで彼の事をわすれてたの?」

ゆら「お、落ち着いてください」

そのら「何か思い出したみたいだな。私達にもわかるように説明を頼む」

八千代「……ふぅ……うん、話すよ」

八千代「さっきこの曲を聞いて思い出したことがあるんよ」

ほのか「許嫁の人の事ね?」

八千代「うん。……私の両親が取り決めてくれて、初めて会ったのは15歳の時だったかな」

八千代「名前は三郎さん。私よりも二つ年上で、口下手だけど優しい男気のある人だったじゃんね」

れんと「ステキですぅ」

八千代「うん、本当に素敵な人だった。楽しかったな……いろんな事を思い出したよ」

カリラ「許嫁なんて昔だな……ってそうか昔の人なのか」

八千代「それで雪の降る寒い夜に私達は外を散歩してたんだ」

ゆら「うんうん……それで?」

八千代「橋の所にくると彼はポケットから何かを取り出したんよ」

八千代「それがこのオルゴールだったじゃんね」

ほのか「まあ……」

ゆら「このオルゴールにそんな歴史があるなんて……とっても素敵ですね」

カリラ「なんだか恥ずかしくなるな」

八千代「ありがとう。でも思い出したのはここまで……この後のことはわからないじゃんね」

そのら「うん、大体わかった……その橋が怪しそうだな。場所はわかるか?」

八千代「えっと……たしか明星橋だったとおもうじゃんね」

ほのか「あっ、その橋なら今もあるわね」

ゆら「それじゃあ早速その橋まで行ってみましょう」

そのら「まあ、待てそう慌てるな」

そのら「外を見てみろ……もう暗いし出歩くと危ない。行くのは明日にしよう」

ゆら「はい」

八千代「み、みなさん……ありがとう」

カリラ「いいって、いいって気にすんな……でもよ、この後どうすんだ?」

ほのか「そうねえ……一人にしたら場所が分からないだろうし」

れんと「みんなでゆらちゃんのところにお泊まりをしましょう」

ゆら「えっ?」

カリラ「おーっそれいいな。久々の泊まりだぜー」

そのら「そうだな……よし、それじゃ私達の部屋でパジャマパーティーだな」

消灯!

寮部屋

ゆら「ふぅ……みんな寝ちゃった」

八千代「楽しかったー」

ゆら「私、枕投げなんて初めてしましたよ」

八千代「私もだよ。ふわぁ……私もそろそろ寝ようかな」

ゆら「あ、お白さん……ひとつ聞いてもいいですか?」

八千代「ん?なに?聞きたいことって」

ゆら「えっと……私があなたを狙撃するとき、あの人に復讐が出来るっていってましたよね」

八千代「あ……あー、あのときの事か」

ゆら「あの人って一体誰のことですか」

八千代「覚えてなかったけど……たしかに口にしてたね」

八千代「でも無意識に口に出たから、私も誰のことかはわからないじゃんね……」

ゆら「そうですか、でも……復讐って事は何か恨みがあるってことですよね」

八千代「うらみ……うーん、思い当たることは記憶にないな」

ゆら「あの人……それが鍵だと思うんですけど」

八千代「あの人か……もしかして三郎さん……のことだったりして」

ゆら「私にはわかりませんけど、私は三郎さんは恨みを買うような人じゃないように思います」

八千代「うん……そうたよ。ゆらの言う通りじゃんね」

八千代「そういえば私も聞きたいことがあったじゃんね」

ゆら「えっと……なんですか?」

八千代「私がちょっと暴走したのをゆらが止めてくれたじゃんね……なんであんなことが?」

ゆら「そ、それは……私にもよくわからないんです」

ゆら「長次郎と出会ってから身に付いたというか……なんか起きるというか」

ゆら「幻想空間とか言うんでしょうか?……とにかくよくわかってないんです」

八千代「ほー、スゴいじゃんね……幻想空間か」

ゆら「ま、まあそんな感じですね」

ゆら「それにしても……明星橋か」

ゆら「明日そこにいって何かわかればいいんですけど……」

八千代「うん……本当だね」

ゆら「それじゃあ、私はそろそろ……おやすみなさい」

八千代「おやすみ」

次の日
明星橋付近

そのら「いい天気でよかったなー。快晴だぞ」

ゆら「お日さまの温もりが気持ちいいですね」

八千代「そのらさん……他の三人はどうしたの?」

そのら「カリラ達は県立図書館で調べものだ」

八千代「図書館……か」

そのら「新聞を調べてもらってる。なにか載ってるかもしれないしな」

そのら「しかし1890年の前後の年の冬の季節の新聞だ……調べるのはかなりの手間になる」

ゆら「それで実地班と調査班に分かれたんですね」

そのら「そうだ」

八千代「……今の世の中はすごいね……街並みも……建物も」

八千代「あれなんか天まで届きそうじゃんね」

ゆら「あれはビルって言うんですよ」

八千代「ビル?」

ゆら「ここはまだそんなにないけど……都心の方だとあれよりもっと大きなビルがありますよ」

そのら「アメリカにもスゴいのがあるが、見たらビックリするだろうな」

ゆら「それで、そのら先輩。明星橋というのはもうすぐなんですか?」

そのら「ああ、すぐ近くだぞ」

八千代「橋の周りの町の面影がひとつもないよ」

そのら「まあ、100年近くたってるからな……全然違ってるだろうな」

ゆら「あ、橋が見えてきました」

明星橋前

ゆら「ここが明星橋……今までこんな所があるなんて知らなかった」

そのら「大きい橋ではあるが、本通りから外れてる。私も最近知ったばかりだ」

そのら「あ、えーとお白さん。何かを思い出したか?」

八千代「うーん……記憶にあるのとは大分違うし。今のところはなにも……」

そのら「効果がないみたいだな……うーむ」

ゆら「とりあえず向こう側に渡ってみましょう」

八千代「……うーん」テクテク

ゆら「どうですか?」

八千代「川がこんな感じだったって事はわかるけど」

ゆら「そうですか……あっ!そのら先輩、ぶつかっちゃいますよ」

そのら「ん?どうしたゆら、ぶつかるって何にぶつかるんだ?」

ゆら「何にって……先輩の前に人が立ってるんですけど」

そのら「目の前に人?どこにもいないぞ……まさかまた幽霊なんじゃないか」

ゆら「それじゃあ……お白さんは見えていますよね」

八千代「……え、うそ」

ゆら「お白さん?」

八千代「三……郎さん…… なんで」

ゆら「三郎って……もしかして」

三郎「見えているのですか?……しかもそれは僕の名前……なぜあなたが」

八千代「姿は違うけれど。私です……お白です。体をお借りしているのです」

そのら「ゆら、一体どう言うことだ。八千代が一人でしゃべってるようにしか見えないが」

ゆら「えっと……そのら先輩の目の前にいた幽霊が、許嫁の三郎さんだったんですよ」

そのら「幽霊としてそこにいるのか?」

ゆら「私にははっきりと見えているんですけど……はい」

そのら「そうか……幽霊になっての再会か」

ゆら「……なんだか素敵です」

そのら「しかし、向こうも地縛霊になってるんだよな」

ゆら「なにか……あるんでしょうか。ん?ほのか先輩からのメールが……」

八千代「そんな……信じられません……でも会えて良かった」

三郎「……」

八千代「どうしたんですか」

三郎「申し訳ない……僕のせいで」

八千代「え?それは一体どういう意味ですか」

三郎「……やっぱり覚えていないんですね」

八千代「……私、わかりません……どういう意味なんですか」

三郎「……」

八千代「三郎さん……」

八千代「まさか本当に三郎さんが私を……」

三郎「僕の口からはなんとも……」

そのら「……私が説明しよう」

八千代「そのらさん?」

そのら「私はその三郎さんという人は見えていないけれど……」

そのら「今、ゆらの携帯にメールが届いた。ほのかからだ」

八千代「眼鏡のほのかさんね……一体なんと?」

ゆら「……」

そのら「あなた達二人はここで殺されたんです」

八千代「えっ、なっ……そんな」

三郎「……はい、その通りです」

八千代「そんな……信じられません。なぜこんなところで」

そのら「……記事によると刀で切られたと書いてある」

八千代「……刀で……ああ記憶が……」

八千代「わたし……私達は、あの日……」

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------------

お白「……綺麗」

三郎「船舶由来のものだそうです……名はオルゴールというものですよ」

お白「開けてみてもいいですか」

三郎「はい」

お白「……美しい音色。とても素敵な箱ですね……ありがとう、三郎さん」

三郎「気にいってもらえたみたいで良かったです……」

女性「だ……誰かっ…助けて」

三郎「悲鳴?」

お白「……三郎さん!後ろに刀をもった男が」

三郎「え……ううっ」

お白「三郎さん……背中が……」

三郎「お白さん……逃げて……あなたまで切られてしまう……」

お白「私は……」

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三郎「……守ってあげられなくて……すみませんでした」

お白「私達は……刀であの男に」

そのら「記事によると、犯人は首が回らなくなり躍起になったしでかしたそうだ」

そのら「被害者は三人……犯人はその後橋から転落して死亡したみたいだ」

ゆら「……」

八千代「……私はこの事を記憶の奥に押しこめていたのね」

三郎「あなたにもう一度でもいいから会いたくて……僕はここに」

八千代「辛い真実だったけど……またこうして会えました」

三郎「ええ……本当です」

八千代「……しーきゅーぶの皆と出会えなかったら、私はここにこれなかった」

八千代「みんなに……本当に感謝しています」フウゥ

八千代「……」クラッ

そのら「おっと……危ない」

お白「体が……そのらさん、ありがとう。ってこの姿じゃ聞こえませんね」

そのら「八千代の体から抜け出たみたいだな」

ゆら「ええ……ありがとうといっていますよ」

ゆら「それでお白さん……お二人はこれからどうされるんですか?」

お白「成仏か……それが出来なかったら」

三郎「二人で町を見守ることにしますよ」

ゆら「……そうですか」

お白「ゆら……皆さん。本当に会えて良かった……その子にもよろしく……それじゃ」ヒュゥゥ

ゆら「あっ、ちょっと待って……消えちゃいました」

そのら「これで終わったんだな……なにか言ってたか」

ゆら「みんなにありがとうと言っていました」

そのら「そうか……おーい、八千代。しっかりしろ」ペチペチ

八千代「ん、んん……そのちゃん?」

ゆら「大丈夫?八千代ちゃん」

八千代「ゆらっち……あれ?私どうしたの?たしか箱を開けて煙がモワーッとなって……」

そのら「色々あってな……とりあえず部室で話すよ」

部室

八千代「えーっ!それじゃあ私、1日ずっと意識を失ってたの?」

八千代「しかも幽霊にのっとられてたなんて……信じられないじゃんね」

そのら「信じられないかもしれないが、事実なんだなこれが」

八千代「たしかに日付が変わってるよ……変な感じ」

カリラ「幽霊にのっとられてた八千代のエアガン、ヤバかったんだぜー」

そのら「射撃の腕もよかったな。八千代の体のせいなのか、それとも彼女のセンスが良かったのか」

八千代「それにしてもお白さんかー。あの箱に幽霊がとりついていたなんてビックリだよ」

れんと「ハっちゃん、おかえりですぅ。心配したんですよ」

八千代「れんちゃん……心配かけてごめんね」

れんと「でも私のせいでこんなことになったんですよね……ごめんなさい」

八千代「いいって……話聞く限りだと、そのお白さんもまた許嫁の人に会えたみたいだし」

八千代「一石二鳥じゃんね」

ほのか「でも今回の一番の功労者はゆらちゃんね」

八千代「え?ゆらっちが」

カリラ「暴走する八千代を1人で止めたんだぜ」

ゆら「みんなのサポートのおかげです……あと、たまたまでしたし」

八千代「ゆらっち……ありがとじゃんね」

ゆら「うん」

八千代「ゲームしたいなー……なんか今いい感じなんよ」

れんと「体は大丈夫ですか?」

八千代「うん、もうバッチリ。全然平気だよ」

カリラ「よーしっ!それじゃ、八千代復帰記念サバゲーするぜー!」

一同「おーっ!」

ゆら「お、おーっ!」

ゆら「……」

そのら「ん……」

夜 寮部屋

そのら「いやー、今日のゲームは良かったな」

ゆら「みんなすっごく張り切ってましたもんね」

そのら「……そういやゆら、昼に浮かない顔してたけど、どうかしたか?」

ゆら「えっ?いえ、そんなことないですよ」

そのら「そうか?私にはそう見えたんだけどな」

ゆら「八千代ちゃんが戻ってきたのは、すごく嬉しい……だけど引っかる事があって」

そのら「そうか……でもあまり考えつめないようにな」

ゆら「はい……」

ゆら「……よしっ」

そのら「ん?ゆら出かけるのか」

ゆら「あ、ちょっと走りこみに行こうかなと思いまして」

そのら「……バッグを持って走るのか。邪魔にならないか」

ゆら「えっと……帰りに少し買うものがあるんで、これが必要なんです」

そのら「そうか。でもあまり遅くなるなよ」

ゆら「はい、わかりました。それじゃ行ってきます」ガチャ

そのら「……」

明星橋

ゆら「……集中」

そのら「……やっぱりここか……人はゆら以外だれもいないけれど」ザッ

そのら「長次郎も持ってきてる……あれをする気か?」

ゆら「……集中」ポワァッ

そのら「……これがれんとの見たゆらの世界か……お?街並みが変わっていくな」

そのら「橋の上に四人の人が現れた……ひとり、刀を持ってる奴がいる」

ゆら「……あの男の人の手から刀を弾き落とす」

パンッ パンッ パァン

ガシャァァン

女性「わ……か、刀?……誰か、巡査を呼んで」

三郎「……こっちです、早く」

お白「巡査さん、あの男です」

巡査「……刀を持って暴れているのはこの男か。皆取りおさえろ」

ゆら「よし……」

そのら「やれやれ……刀で切られるはずの三人が助かるとはな」

そのら「次に目が覚めたら私の記憶も変わってるだろう……」

そのら「……」

次の日
フィールド

そのら「よーしっ……みんな休憩だ。ちょっと私は部室で涼んでくるぞ」

カリラ「私も行くぜ。それにしてもきょう暑いなー」

ほのか「本当よね……ゆらちゃん達は部室に戻る?」

ゆら「いえ、私達は水筒持ってきてるんで」

八千代「木陰で涼んどくじゃんね」

そのら「しっかり水分補給しとくんだぞ。それじゃまた後でな

れんと「吹いてくる風、気持ちがいいですね」

ゆら「なんだか眠たくなっちゃうね。うとうとしてきちゃった」

八千代「れんちゃん寝ないようにねー。この前、ゲーム中に寝てたし」

れんと「あれはうっかりしてましたね」

ゆら「ふふふ、でもれんちゃんらしいよ」

ゆら「それにしても今日の八千代ちゃん、いつも以上に冴えてたね」

れんと「凄腕スナイパーですね」

八千代「この銃といつもよりフィーリングが合ったんだよ」

ゆら「八千代ちゃんがいつも使ってる89式小銃だね」

八千代「それで、ゆらっちの長次郎みたいに私も名前をつけようと思ってね」

れんと「どんな名前にするんですか?」

八千代「89式小銃の89をとってオハクって付けようと思ってるんよ」

ゆら「オハクか……なんだろう」

れんと「なんだか聞き覚えがあるような、ないような……なんでその名前なんですか」

八千代「直感じゃんね。朝にふと思いついたんだよ」

ゆら「へー……それじゃあ私の長次郎とオハクで名前コンビだね」

れんと「おー……私も名前つけましょうかねぇ」

れんと「そういえば部室に置いてあったオルゴール。ハっちゃんのですか?」

八千代「そうだよ。家の倉庫を片付けてたら出てきてね……いつのだと思う?」

ゆら「いつって……分からないなあ」

八千代「ふふふ、あれは明治時代のやつじゃんね」

れんと「明治ですか」

八千代「あれ?あんまり驚かないね」

れんと「いや……なんとなくそんな気がしていたんで」

八千代「そっかー……あ、そうそう。それで音が鳴らなかったから修理に出したんよ」

八千代「で、分解してみたらこんなものが中に入ったいたらしくて」ペラッ

ゆら「古い紙だね」

れんと「それでなんて書いてあったんですか?」

八千代「……うーん。かなり読みづらいんだけど……多分ありがとうって書いてあるじゃんね」

八千代「何に対してありがとうかは分からないけど、一応持ってきたんよ」

ゆら「うーん……ありがとうか」

れんと「こうした形で出会えて、まるで私達に言ってるみたいですね」

八千代「まさか」

そのら「……おーい。そろそろ次のゲーム始めるぞー」

ゆら「あ、もうそんな時間なんだ……それじゃあ行こう!れんちゃん、八千代ちゃん」

れんと「了解ですぅ」

八千代「うん……頑張るじゃんね!」

作戦終了!

ステラのssが増えてほしいですね
アニメはドロドロ、ギスギスしすぎてるし
ゆらの性格も……

時系列は気にしなくていいです
アニメと四コマ混ぜた感じで妄想したので

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