モバP「なにやってんだ?」 (14)
紗南「んー? 見て分かんない?」
P「ゲーセンでアーケードゲームやってる」
紗南「分かってんじゃん。Pさんもやろうよ。ほら、乱入して」
P「いや、何時だと思ってんだ。もうすぐ収録始まるんだぞ」
紗南「もうそんな時間かー……。ちょっと待ってて。あと少しでラスボスだから」
P「駄目に決まってるだろ。ほら、行くぞ」
紗南「プレイ中に席を立つのはゲーマーとして名折れだから嫌」
P「ゲーマーの前にアイドルだろお前は」
紗南「アイドルの前はただのゲーマーだったよ」
P「やかましい」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1377586970
P「うん、マジで勘弁して。仕事の後でなら付き合ってやるから」
紗南「――うっし! 空中コンボ!」
P「お願いします。ちひろさんにリアル空中コンボキメられるんでホントお願いします」
紗南「じゃあPさん乱入してよ。そんであたしに勝ったら仕事行ったげる」
P「無理ゲーだろ。お前俺のボタン捌き見て爆笑してたじゃねーか」
紗南「ビギナーズラックがあるかもよ? 他にあたしを動かす選択肢は無いからね」
P「ああもうちくしょう! 見てろよ! その鼻っ柱叩き折ってやる!」
紗南「ふふん。こっちのセリフだよそれ」
P「な、ん、で! 気付いたら壁際に!」ガチャガチャ
紗南「力で押し込むのもいいけど、交わされてバック取られたら一気に不利になるからね。初心者のうちはステージ中央で戦った方がやりやすいよ?」
P「戦闘前に言っえ!」ガチャガチャ
紗南「いや、あたしはほら。隅っこの方が似合ってるし、やりやすいから。アイドル業と同じで」
P「――は?」
紗南「今までさー。エリアボスとかラスボスとかのポジションだったじゃん? あたしって。勇者一行を育てるサポート役! みたいな?」
P「……」
紗南「それなのに、今回は画面中央、主人公役をやれだなんて。あはは。無理ゲーじゃん」
P「んな訳あるか。お前が頑張って経験値積み上げてきた結果だよ」
紗南「……ひっぐ。無理に決まってんじゃんかぁ……」
P「無理じゃない。無理じゃないから、紗南にこの仕事持ってきたんだ」
紗南「無理だよ……。コンテニューの効かないゲームは苦手なんだから……」
P「人生そんなもんだ。コンテニューは無し。分岐点も各所に1回限り。エンディングがどこに設置されてるかも分からない」
紗南「無理ゲーどころか糞ゲーじゃん、それ……」
P「考え方によっては糞ゲーかもな。でもな、そんな無茶ゲーをハッピーエンディングでクリアしてみろ。他のゲームじゃ絶対味わえない達成感があるぞ」
紗南「でも、バッドエンドの可能性だってあるんでしょ……?」
P「あるよ。今の紗南みたいに一歩を踏み出せなかったらそれでゲームオーバーだ」
紗南「踏み出せたら?」
P「ハッピーエンディングまっしぐら」
紗南「そんな単調なゲームがあるわけないじゃん!」
P「あるさ。後悔しない選択肢を選び続けたら、どんなエンディングも幸せになれる」
――KO!
紗南「あっ! ズルい!」
P「ふははは。どんな戦法だろうと勝ちは勝ちだ。ほら、行くぞ」
紗南「うう……」
P「安心しろ。そんな無理ゲーにも補助機能くらい備わってる」
紗南「え?」
P「戦士だろうが僧侶だろうが、遊び人にでも使えるお助けキャラだ。紗南の好きなように使え。それが俺の役目だ」
紗南「ほ、ホントに? どんな使い方してもいいの?」
P「勇者を助けるためならなんだってやるさ。だから、一歩踏み出せ」スッ
紗南「……うん!」ギュッ
………
…
収録後
P「さすが紗南だな。堂々としてて魅入ったよ」
紗南「ふふん。あったりまえじゃん! あたしにクリア出来ないゲームは無いんだから!」
P「ははは」
紗南「あ、Pさん。直帰しないでゲーセン行こーよ。付き合ってくれるんでしょ?」
P「うん!? そういうのはしっかり覚えてるんだな!?」
紗南「ふふふ、当たり前だってば。ほら、ゲーセン向かってBダッシュ!」
P「やれやれ……」
紗南「……ねえPさん」
P「ん?」
紗南「どんなジョブでもこなしてくれるんだよね?」
P「ああ。紗南の役に立つならな」
紗南「なら、その……だ、だ……まとかも」
P「なんだって?」
紗南「――! やっぱしばらくは馬車だね! うん!」
P「ひどい!?」
紗南「いいじゃん。将来のPさんのジョブは決まってるんだし」
P「どれに?」
紗南「なーいしょ!」
紗南(ハッピーエンディングに、旦那様は必要だからね!)
おわりん
短くてすません。
紗南SR化でいてもたってもいられなかったんや…。
拙い文ですが、お付き合いありがとうございました!
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません