白望「そうだ、お嫁さんを貰おう」 (54)
※ちゅーい
・いつも通りいろいろテキトー
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小瀬川家
白望「あ゛~~~........」バタン
ダルい。何もしたくない。
ムシムシするし、かと思ったらカンカン照りだったり。とにかく気力が萎える。蝉の声もうっとーしい。
まずい.....この夏は越せないかも知れない。
そう言えばみんなは高校最後の夏を満喫しようとかってきゃいきゃい言ってたけど、どこにそんな元気があるのかと....。
.....まぁ小一時間問い詰めるのもダルいか。
白望「う゛~~~.........」ゴロゴロ
なんか、もう、明日の朝死体で発見されてそうだなぁ。
でも死ぬのは嫌だなぁ.....。
今日はみんなウチに来るし.....どうしよう、こんな汚い部屋見られたら困る。
でも掃除ダルい。ゴミ出しも面倒だなぁ。やっぱり死ぬのかなぁ.....。
楽に逝き....ちがくて、楽に生きたいなぁ。
玉の輿にでも乗れば心底楽な生活ができるかもだけど....。
なんて言っても、こんな私をお嫁に貰ってくれる奇特なボンボンなんていないしなぁ。
白望「........そうだ」ムクリ 「お嫁さんを貰おう」
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白望「さて、着替えも済んだし、うだるような暑さの中、ダルさに負けず出かけよう」
ピンポーン♪
白望「え、もう誰か来たのかな。はーい」
ガチャ
白望「あれ? 誰もいない」
胡桃「いるよっ! 毎度毎度同じパターンやめてよねっ!」
白望「あー、胡桃は小っちゃいから」
胡桃「ふんっ!」ドゴォ
白望「お゛お゛お゛、みぞおち.....ごめんなさい鹿倉さん」ナミダメ
胡桃「まったくもう。で、みんなはまだ?」
白望「うん。だってまだ10時前」
胡桃「10時集合だよね?」
白望「ううん、10時だと豊音が間に合わないかもって、それで11時になったはず」
胡桃「ほほう、なるほどね」
白望「......」
胡桃「立ち話も何だよね?」
白望「うん」
胡桃「......」
白望「......」
胡桃「入れてよ」
白望「いや、出かけるとこだし」
胡桃「どこ行くのさ?」
白望「市役所」
胡桃「なんでよw」
白望「市でやってる婚活セミナーに申し込みするから」
胡桃「はぁ!? こんかつ?」
白望「うん、とんかつ」
胡桃「ちょっ、まっ、こらっ、婚活って言ったでしょ!?」
白望「そうそれ」
胡桃「え、ちょ、シロ、結婚したいの?」
白望「うん、ちょっとお嫁さんが欲しくて」
胡桃「んん~~?」
白望「急がないとみんな来ちゃう。胡桃は部屋で待ってる? それとも一緒に来る?」
胡桃「へ? ああ、そりゃついてくけど」
白望「申し込む?」
胡桃「なわけないでしょっ!」ポカッ
白望「いたい」ヒリヒリ
遠野市役所とぴあ庁舎 市民課
テクテクテク
胡桃「どうだった?」
白望「女性はお嫁さんは貰えませんって言われた」
胡桃「そうだろうとも、そうだろうとも」
白望「日本の法律はおかしい」
胡桃「おかしいのはシロの方だよね」アキラカニ
白望「小一時間で野望がついえた」
胡桃「何がしたいのさw」
白望「お嫁さんが欲しいです」
胡桃「そんなに言うなら塞にでも頼めば?」
白望「......塞だと確実に尻に敷かれる」
胡桃「そこは間違いないよね」
白望「塞のお尻は大きいから敷かれたら大変」
胡桃「狙い目は小尻の娘なんだw」
チャクメローン♪
胡桃「シロのケータイだよ」
白望「あ、塞からだ。てかもう11時回ってた」ピッ
塞『ちょっと今どこよ?』
白望「ん、市役所。胡桃も一緒」
塞『はぁ? 豊音とエイちゃんとシロんちの玄関先で待ち惚けなんですけどぉ?』
白望「今から戻るから。あ、鍵は玄関脇の鉢植えの下にあるの知ってるでしょ? 入って待ってて」
塞『あのねぇ』
白望「二階の私の部屋分かるよね」
塞『そりゃ分かりますけどっ』
白望「暑いから、戻るの30分くらいかかるかも」
塞『こらっ!』
ピッ
白望「ふう、みんな来てるって」
胡桃「それで10分の距離を30分で戻るとかないよね。しかも理由が暑いからとか」ナメテルノ?
白望「物理的に無理でしょ」
胡桃「物理に謝りなさいよ」
白望「はいはい、ごめんなさい」モーシワケナカッタデス
胡桃「こいつ......ふざけた女だな」
小瀬川家 白望の部屋
塞「うわっ、汚っ、前より酷くなってる」
豊音「散らかってるってゆーか、なんか壁沿いにちょー適当に物が追いやられてるねー」クレーター?
エイスリン「セイソウッ!」
塞「しょーがないなぁ」マッタク
豊音「でもでも、勝手に片付けちゃっていいのかなぁ。シロのルールで物が置かれてたりしたら....」
エイスリン「」カキカキ バッ
豊音「えっと、その絵は...?」
塞「多分、シロのルールなんて無視って感じだと思うな」
エイスリン「ハジメッ!」
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トントントン
塞「あ、帰ってきた」
ガチャッ
胡桃「アイス買って来たよ~って、シロの部屋なのにメチャメチャ片付いてる!」
エイスリン「クリーンナップ シタッ!」
白望「おー」ブラボー
塞「何が“おー”よw」
豊音「くたびれたよ~」アッツイ
白望「ありがとう。みんなの女子力に感動した」
エイスリン「ドウイタシマシテ♪」
塞「もちろんアイスはハーゲンダッツでしょうね?」
胡桃「ほーら言われた。塞は絶対ハーゲンダッツだって言ったでしょー」
塞「待ち惚け喰らわせたんだからそれくらいは当然」
白望「そんなお金ないし。はい」ガサッ
豊音「わー、ガリガリ君だー」イタダキマース
塞「私帰るわ」スタスタ
胡桃「ちょちょちょwww」ガシッ 「そーゆージェスチャーやめようよ、本気かウソか分かりにくいってば」
白望「はい、塞も。今はこれが精一杯」ガサッ
塞「」イラッ
胡桃「シロ、私のフォローを台無しにするのやめてね?」
エイスリン「ミンナソロッタ ナニスル?」
豊音「花火大会の前にどこかお出かけするー?」
白望「猛暑だよ? 正気の沙汰じゃない」
豊音「え....平年並みだよね?」
胡桃「花火大会は19時からだから時間の方は有り余ってるね」
塞「そう言えば結局何処で見るか決めたの?」
エイスリン「ココ?」カキカキ バッ
白望「うん、橋でもいいし、河原でもいいし」
塞「シロは何処でもいいんでしょーが」
白望「.....うん」
胡桃「私は人込みはパスだからね。人壁に囲まれたら何も見えないよっ」
豊音「あー.....あっ、だったら肩車してあげるよー?」
胡桃「それはプライドが許さないので却下」
エイスリン「ダンマクウスイヨッ」
胡桃「それブライト!」
豊音「コーヒーに入れるやつ?」
胡桃「それもブライト!」
塞「食べこぼしやエリそで汚れに」
胡桃「直効ブライト!」
白望「殺人風車?」
胡桃「ゲーリー・オブライト! てか何で知ってるかなお互い!」
塞「素敵に脱線したねw で、結局何処で見よっか?」
白望「早目に行って鍋倉公園の展望台とか?」
エイスリン「テンボウダイッ!」
胡桃「いいねっ、毎年見上げてたから今年は眺める感じで」
豊音「楽しみだよー♪」
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エイスリン「デキタヨー」
白望「あけて~」
ガチャ
胡桃「おっ、良い匂い♪」
塞「何パスター?」
エイスリン「ボ~ンゴレビアンコ♪」
白望「と、ボンゴレロッソにしてみた」
豊音「わー、美味しそうだよ~」
塞「バジルの良い香り♪ シロってパスタだけは得意だよね」
白望「お手軽だからね」
胡桃「パスタはそうだけどソースはお手軽かなぁ」
白望「みんな来るから頑張って昨日下準備した。おかげで今朝から凄い脱力感」モウゴールシテモイイヨネ
塞「いつもでしょw」
豊音「あはは、さぁシロもエイスリンさんも座って座って。いただきますしよ~」
エイスリン「イエス!」
白望「あ、デザートにはガリガリ君がまだあるから」
塞「それはもういいってば」
胡桃「ほい、それじゃあいただきますっ」
イタダキマース
豊音「美味しいっ」ハフハフ
胡桃「あー、赤から行っちゃったかー」
豊音「ほぇ?」
塞「ロッソの方が味が濃いから、後からビアンコ食べると味が良く分かんないかも」
豊音「あー、失敗したよー」
白望「どっちも減塩薄味だから」ヘーキ
エイスリン「ヘルシーダヨ♪」
塞「シロ~、タバスコないの?」
白望「あるけど、ニキビできちゃうよ?」
塞「そんなにかけないから持ってきてよ~」シナッ
胡桃(キモチワルイ)
白望「はいはい」スクッ「あ、ガリガリ君は?」
塞「それはいらない」
豊音「シロ、ちょーゴリ押しだよ~w」
エイスリン「ワタシスキッ」
胡桃「でもガリガリ君は歯に来るから一個が限界」
塞「知覚過敏じゃないのそれ」
エイスリン「クルミ」
胡桃「ん? なぁに?」
エイスリン「シロト ドコイッテタノ?」
塞「あー、なんか市役所とかって言ってたね。何の用だったのよ?」
胡桃「あー、あれね.....あれは何と言うか、その、ね?」
豊音「ん?」モゴッ
胡桃「いや呼んでないよw」
塞「豊音ww」
エイスリン「オモシロイ♪」
豊音「? 呼ばれたと思ったよー///」エヘヘ
白望「はい、タバスコ持って来た」
塞「あ、さんきゅ♪」
エイスリン「シロ シヤクショ ナニシテタ?」
白望「あー、ちょっと婚活に」
塞・豊「!!?」ブフォッ
胡桃「きたないっ!」
エイスリン「トンカツ?」
白望「そうそれ」
塞「違うでしょっ! てか、なんで婚活よ!?」
豊音「こっ、こんかつって婚活?」
白望「うん、ちょっとお嫁さんが欲しくて」
エイスリン「オヨメ.....ブライド?」
胡桃「せっかく人が話を逸らしといたのにさぁ」マッタク
白望「別に隠すほどの事じゃないから」
胡桃「塞と豊音は固まってるけどね」
エイスリン「シロ オヨメサンナル?」
白望「違うよ。私がお嫁さんを貰いたいの」
エイスリン「???」
豊音「それはちょっと意味不明だよ~」
塞「なんだ。まーたシロの突拍子もないボケなのね」
白望「塞、それは失礼」
胡桃「シロの方が塞に失礼なこと言ってたでしょ」
塞「は?」
胡桃「うわっと」クチチャック
塞「胡桃、言って」
胡桃「あー.....」チラッ
白望「?」
胡桃「や、私が塞でもお嫁さんにしとけばって言ったらさ、シロが塞はお尻が大きいから尻に敷かれたら大変とか何とか」
白望「.......言ってない、言ってないよ」ネツゾウデス
胡桃「言ったでしょーが」
塞「へー? ふーん。ほーう? 豊音、タバスコ取って」
豊音「は、はい」
塞「.....」シャッシャッシャッシャッシャッ
白望「ああ~! 私のボンゴレビアンコがっ!」
エイスリン「ロッソニナッタ!」
塞「食べなさい」
白望「む、むり」
塞「食べなきゃ絶交」
白望「......」チラッ
胡桃「私を見ないで」メーソラシー
白望「た、食べます」ズルッ 「!!.....!!!!....!!」ナミダメ
豊音「うわぁ....」
エイスリン「ダイジョブ?」
塞「完食なさい」
白望「むり~、口から火が、はひひっ、火が出るっ」ミズッ
胡桃「はいはい。塞、もう許してあげなよ」
塞「別に気にしてないし? 私のヒップは普通サイズだし」フン
豊音「.....」コワイヨーコワイヨー
エイスリン「ソレデ ナンデオヨメサン?」
胡桃「喰い下がるねエイちゃんもw」
エイスリン「キョーミアルッ!」
白望「お嫁さんがいると部屋が片付く」
塞「ばかばかしい、家政婦でも雇いなさい」
白望「ちがーう。もっとこう、一緒にいて幸せをくれるような運命の人がいるはず」
エイスリン「ロマンチック!」
胡桃「そうかなぁ....」
豊音「占ってあげよっか?」
塞「へ?」
胡桃「お?」
白望「ガタッ」
エイスリン「ガタッテイッタ....」シカモタッテナイ
白望「豊音、私の運命のお嫁さん占えるの?」
豊音「占いは得意だよ~。ただ、占いって基本的に漠然とした答えにはなっちゃうけどー」
胡桃「豊音の新たな才能を発見した」
塞「どうせ占うならもっと健全な
白望「占って!」
エイスリン「サエヲサエギッタ!」
豊音「地図あるー?」
白望「あるっ、どんなのが良いの?」
豊音「日本地図でいいよー」
エイスリン「ダウジング?」
豊音「みたいなものかなー」
白望「はい、どーぞ」チズヒロゲー
塞「なんなのよこの展開は....」
胡桃「まぁ余興という事でw」
豊音「エコエコアザラシッ!」ポーン コロコロ
胡桃「アザラシて」
エイスリン「イシ?」
豊音「動物の骨だよー」
塞「うわぁ、嫌な感じに本格的だ」
コロ....
白望「動いたっ」
胡桃「おおっ、南下してるね」
エイスリン「カントーチホウ!」
胡桃「それポケモン! てか福島はまだ東北だよ」
コロコロコロ
塞「加速した」
豊音「まだまだ行くよー」ムン!
エイスリン「トウカイハイッタ」
胡桃「と、遠いね」
コロコロ
白望「ちょっとスピード落ちてきた」
コロ.....
塞「止まった?」
エイスリン「キンキ?」
胡桃「伊勢湾突っ切って、この初瀬街道ってのを通った感じだね。止まった場所はえっと橿原、桜井、吉野の辺りかな」
豊音「大体その辺だねー」
白望「ここに私のお嫁さんが」
塞「んなわけないでしょ」バカネー
豊音「私の占いは絶対だよー。少なくとも奈良県内にはシロのお嫁さんがいるはずだよー」
エイスリン「サガシニイク?」
胡桃「え? 今から?」
白望「支度しなくちゃ」
塞「ちょちょちょ」
胡桃「マジで行くの!? 花火は?」
白望「それどころじゃないっ」バタバタ
豊音「私は勝手に県外までは行けないからカンパしてあげるー」ハイ
エイスリン「ワタシモ ホストファミリー シンパイカケラレナイ カンパー」ドルデー
胡桃「ドルw」
白望「ありがとう」
塞「え? 本気で行くの?」
白望「行く。運命のお嫁さんが待ってる」
塞「はぁ.....それなら胡桃」
胡桃「ん?」
塞「シロについてってあげて」
胡桃「はい?」
塞「私はこっちで豊音とエイスリンの花火のガイドするから、シロ一人だとなんだし、胡桃がついて行くってことで」
胡桃「何でそーなるの!?」
白望「胡桃、はやく支度して」
胡桃「をい」
豊音「二人とも頑張ってねー」
エイスリン「ミツカルトイイネッ」
胡桃「をいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
JR京都駅
白望「遠野からここまで6時間ちょっとかかったね」
胡桃「遠い、遠いよ....」
白望「次は近鉄。急ぐよ」スタタッ
胡桃「何でそんなに元気なのさ....」
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カシハラジングウマエー カシハラジングウマエー
白望「着いた」
胡桃「今何時?」
白望「21時」
胡桃「遠野は花火大会終わったころかぁ......で、これからどうするの?」
白望「え?」
胡桃「ふざけろww 何が“え?”なのよ!? こっちのセリフだよっ」
白望「待って、豊音にメールしてみる」メルメル
title:着いたけど
今、橿原神宮前の駅にいるけど、これからどうすればいいの?
チャクシーン♪
title:Re着いたけど
ちょっと占ってみるから少し待っててねー
白望「だってさ」
胡桃「それはいいけどお腹すいたんだよね」
チャクシーン♪
title:桜だよー
桜の木のイメージが見えたよー、桜を探せばいーと思うよー
白望「なるほど」
胡桃「時季外れだけど桜と言えば吉野だね」
白望「吉野かぁ。この先の駅に吉野口ってあったよね」
胡桃「取りあえずそこまで行く?」
白望「そうしよう」
JR和歌山線 吉野口駅
穏乃「とーちゃくっ!」
憧「花火帰りの人でここもまだ混むねー」
玄「今年は去年より人出多かったかも。お姉ちゃんや灼ちゃんも来ればよかったのになぁ」
穏乃「おっ、近鉄来たっ、乗り込め~♪」ダダダッ
憧「こら穏っ、走るんじゃないのっ!」ッタク
玄「私たちも急ごっ」タタタッ
ヨシノグチー ヨシノグチー
胡桃「ん.....あ、ここだっ、シロ、シロ」
白望「んむ....なに?」
胡桃「着いてる。降りなきゃ」
白望「んしょ」
胡桃「え、ちょ、一杯乗ってくる」
白望「降りられない」
プシュー ガタンゴトン
胡桃「どうすんの?」
白望「これ何処まで行くの?」
胡桃「えっとね、えっと.....人が邪魔で見えない」
白望「あー.....」
玄「終点は吉野ですよ」
胡桃「あ、ありがとう。終点も吉野だって、このまま行く?」
白望「うん」
玄「遠くから来てるんですか?」
胡桃「うん、何故か岩手の遠野からね」
玄「岩手!? それは遠いですねー。なるほどなるほど~」
白望「桜の木の下に私のお嫁さんがいるんだ」
玄「はい?」
胡桃「この娘電波入ってるからほっといていいよ」
玄「はあ.....今日は吉野に泊まるんですか?」
胡桃「決まってない。晩御飯すらまだだし」ギュルル
玄「え? でももうこんな時間....」
白望「その浴衣可愛いね」
玄「あ、ありがとうございます///」
胡桃「この車両浴衣だらけだし、花火か何かの帰り?」
玄「はい。大川橋の方で毎年納涼花火大会があるんですよ」
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穏乃「玄さんは?」
憧「人の流れに押されてあっち側」
穏乃「見えにゃい」
憧「シズは小さいからねー♪」
穏乃「うるさいなぁ。玄さんのとこ行けない?」
憧「浴衣がしわくちゃになっちゃうわよ」
穏乃「いいよ、後は帰るだけなんだし」グイグイ
憧「ちょっと押さないでよっ」ンモー
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白望「!?」ビビクン
胡桃「? どしたの?」
白望「何かお尻に////」
胡桃「げっ、チカン?」
玄「うわわっ」
白望「あぅ、もぞもぞしてる/////」
胡桃「こらっ!」グイッ
穏乃「!? あたたたたっ」
憧「ちょっ、シズ!?」
玄「憧ちゃん? そこに居るのは穏乃ちゃん?」
胡桃「知り合い?」ヒネリアゲー
穏乃「痛いですー」><
玄「はい。部活の仲間で一緒に花火を見に行ってたんです」
胡桃「そうなんだ」ハナシー
白望「チカンかと思った」
憧「だから無理に移動するなと」ッタク
穏乃「うう、チカンに間違われるなんて...」ハズカシイ
胡桃「.....何か見覚えある娘たちだね」
玄「そうですか?」
胡桃「部活って何部?」
穏乃「それはっ、阿知賀女子麻雀部ですっ!」
白望「阿知賀? インハイ団体決勝の?」
憧「はい、一応」
胡桃「通りでねー。私たちもインハイ出たんだよ。Bブロック2回戦止まりだったけどさ」
玄「わわっ、そーだったんですか」
穏乃「何県代表ですか?」
白望「岩手、宮守女子」
憧「ひょっとして長野の清澄高校と当りました?」
胡桃「うん。私は中堅だったから清澄の部長と打ったよ」
白望「マントの娘と打った」
穏乃「おお~、実は清澄の副将が小中の頃の友達なんですよ~」
胡桃「へ~! それは凄いね。って、清澄の副将って原村和?」
憧「そーでーす」
玄「あの、お二人とも、良かったら今晩うちに泊まりませんか?」
胡桃「へ?」
穏乃「旅館決まってないんですか? 玄さんの家は松実館って言う旅館なんですよっ」
白望「おいくら?」
玄「あ、御代はいいです。自宅部分に泊まれるスペースありますから」
胡桃「それは悪いよ」
白望「お世話になります」
胡桃「ちょっとシロ」
白望「せっかくの好意、素直に受けるべき」
玄「遠慮しないで下さい。こうして出会ったのも何かの縁ですから」
穏乃「そーそー、レッツゴーですよっ!」
憧「ちょっとシズ、あんたまで行く気じゃないでしょうね?」
穏乃「ん?」イクヨ
玄「憧ちゃんもおいでよ。松実館のお風呂で汗流して行けばいいよ」
憧「あ~、それは魅力的かも」
穏乃「それじゃ決まりって事でっ」
胡桃「ありがとう。お世話になります」ペコッ
白望「野宿しないで済んだ」
吉野 松実館
白望「ごちそーさまでした」
玄「お粗末さまですっ」
胡桃「玄ちゃんのお料理とっても美味しかったよ♪」
穏乃「玄さんは料理得意ですからねっ!」
憧「あはは、たまには宥ねぇの料理も食べてみたいけどねー」
宥「私は食べる方専門だから~」
胡桃(この人本当に何もしてない...)
白望(何だろう。お姉さんから私に近いものを感じる)
玄「デザートもありますよー、はいどーぞ」
憧「あれ? これシズんちの葛饅頭じゃない」
穏乃「お風呂セット取りに家に寄った時に持って来たんだ~」
胡桃「そっか、吉野と言えば吉野葛だよね。私葛きりとか大好き♪」
玄「それなら明日は葛きりを用意しますね」
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カポーン
白望「うーん、夏でもお風呂であったまるのは最高かな」
宥「ですね~」アッタカーイ
胡桃「舟形のお風呂とか洒落てるね」
憧「この湯船、桜の木でできてるんですよ」
白望「へー、さすがは吉野」
胡桃「桜皮の細工物とか素敵だよね。お高いけど」
宥「探してみると案外お手頃なものも多いですよ~」
白望「みんなのお土産に探してみるのもいいね。ところで、彼女は何してるの?」
憧「ちょっとシズー?」
穏乃「アヒルさんのくちばしが....」シューン
胡桃(お子ちゃまだ。お子ちゃまがいる)
白望「貸して。直してあげる」
穏乃「! はいっ♪」
ガラッ
玄「お湯かげんいかがですか~」
胡桃「もう最高! てか玄ちゃんも一緒に入ろうよ」
玄「いえいえ、私は後でいいですよ。浴衣用意しておきましたから、使って下さいね。ではでは」
スッ
胡桃「うーん、良くできた妹さんだねー」
宥「でしょー」ウフフ
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胡桃「うわ、もうお布団敷いてくれてある」
宥「玄ちゃんはとっても気の利く娘なの~」
白望「宥さんは私の理想の生活を送ってる気がする」
憧「それじゃー宥ねぇ、私とシズはこれで」
穏乃「シロさん、アヒルありがとうございましたっ」ペッコリン
白望「うん、大切にしてあげて」
穏乃「はいっ! それじゃーまた明日!」
憧「明日も来る気か....」
穏乃「当然っ! 明日はシロさんと胡桃さんのガイドをするんだよっ!」
胡桃「お、それは渡りに舟かも?」
白望「吉野にはたくさん桜の木があるからね」
憧「? 夏なのに桜目当てで来たんですか?」
胡桃「いやまぁこっちの話なんだけどね」ハズカシクテイエナイ
真夜中
白望「んむ....トイレトイレ」テクテク
玄「あれ? 小瀬川さんどうかしました?」
白望「トイレどっちだったかな?」
玄「あ、はい。こちらですよ」
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白望「ふぅ」スッキリシタ
玄「戻れますか?」
白望「もう大丈夫」
玄「それではゆっくりお休みになって下さいね」
白望「.....玄ちゃんはまだ寝ないの?」
玄「もう寝ますよ」
白望「とっても働き者だね」
玄「私、体を動かしているのが好きなんです」
白望「素敵だね」
玄「へ?/////」
白望「とっても魅力的」
玄「そっ、そんなこと////」モジモジ
白望「松実玄さん」キリッ
玄「は、はい」ドキッ
白望「貴女は私の運命の人ですか?」
玄「.......ぃぇ」
白望「そうですか」ガックリ 「寝るね」トボトボ
玄「お、お休みなさい~」
翌日
穏乃「おはよーございますっ!」
白望「おはよう」ゲンキダナー
胡桃「おっはよっ、あれ? 憧ちゃんは?」
穏乃「なんか朝から神社のお手伝いに捕まったって言ってました」
胡桃「そうなんだ。それじゃあ今日はよろしくね、穏乃ちゃん」
穏乃「はいっ、任せて下さい!」
白望「任せます」
胡桃「あのねぇ、目的くらい言いなさいよ」
白望「お嫁さんを探してる」
穏乃「お嫁さんですね! わっかりまし.......え?」
胡桃「まぁそーなるよね」
穏乃「どんなお嫁さんですか?」
胡桃「そーくるんだw」
白望「理想は玄ちゃんみたいなしっかり者の世話好きタイプかなぁ」
穏乃「玄さんじゃダメなんですか?」
白望「ふられた」
胡桃「いつの間に!?」
穏乃「なるほど。他に何か情報は?」
白望「占いでは桜の木の下に運命のお嫁さんがいる筈」
穏乃「それで桜ですか。でもそんな話聞いた事ないなぁ」
胡桃「そりゃそーだろーよ」
穏乃「でもアヒルの恩義がありますからねっ、何とかしてみせますよ! 先ずは奥千本から行きましょう」
白望「!? 千本? 千本もあるの?」
穏乃「どれだけあるかは知りませんけど、下千本、中千本、上千本、奥千本ってゆー言い方しますね」
白望「四千本.....」
胡桃「どうする? 諦めて帰る?」
白望「.....行く」
胡桃「あ、行くんだ」
金峯神社
白望「死ぬ」
胡桃「さすがにキツイ」
穏乃「さぁ、ここから一本一本桜の木を調べて回りましょう!」
白望「.......泡吹きそう」
胡桃「私はここで待ってるから」イッテラ
穏乃「わっかりました! さぁシロさん」テーサシノベー
白望「う、うん」
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穏乃「ふー、西行庵まで来ましたね。義経の隠れ塔周りもぐるりと見たけど、なかなかいませんね」
白望「」ヒューヒュー
穏乃「シロさん大丈夫ですか?」
白望「み、みず」
穏乃「またですか? もう飲み切っちゃいましたよ」
白望「死んじゃう....」
穏乃「大丈夫、天和や九連宝灯を和了らなければ人は滅多には死にませんよっ」
白望「........」グッタリ
穏乃「とは言っても脱水症状になるといけないから.....そうだ、あの湧水なら近いかな。シロさん」
白望「みず?」
穏乃「はいっ、負ぶって行きますからしっかりつかまってて下さいね」
ダダダダーッ ヒョイヒョイ ピョーン
わ~、速い速い。景色がどんどん流れて行くなぁ~。
穏乃ちゃん小柄なのに私を軽々背負ってどれだけ体力あるんだろう?
葉漏れ日に照り返る汗が輝く光の粒みたいで綺麗だなぁ....
アウトドアなんてダルいって思ってたけど、穏乃ちゃんといるとまるで見えてくる景色が違う。
小さいはずの穏乃ちゃんの背中が何だか頼り甲斐のある大きな背中に思えてくる。
穏乃「とーちゃーくっ!!」
白望「あ....なんかここは涼しい」
穏乃「私の秘密の給水スポットなんですけど、岩清水の音と風にそよぐ葉擦れのさやめきが心地いーでしょ?」
白望「うん。木陰と岩清水でひんやりとしてるんだね」ホットスル
穏乃「はいっ、お水ですよ。手の平からで申し訳ないですけど」ドゾッ
白望「」コクコクコク
穏乃「生き返りました?」
白望「うん、最高に美味しい一杯だった」
穏乃「ほら、ここからの景色は奥千本を見渡す大パノラマですよっ」
白望「わぁ....葉桜がこんなに綺麗だなんて思いもしなかったなぁ」
穏乃「この大木の幹から見渡せばもっとですよ」ヒョイヒョイ
白望「うわ、はやっ、危ないよ」
穏乃「この位どってことないですよ。シロさんもさぁ!」
白望「え、私は無理だよ。てゆーか、穏乃ちゃん////」マルミエ
穏乃「何か言いましたかー?」
白望「な、なんにも////」
穏乃「あっ、でっかいクワガタ発見! よーっし」スルスル
白望「あ、危ないってば」ハラハラ
穏乃「大丈夫大じょっ!?」ズルッ 「わあっ」
白望「穏乃!!」ダッ
ボスン!
穏乃「~~っ! あれ? 痛くない」
白望「いたい....」
穏乃「シロさん! 受け止めてくれたんですか!?」
白望「間に合って良かった。あと穏乃ちゃんが軽くて助かった」
穏乃「ご、ごめんなさいっ」
白望「ん、平気」
穏乃「ありがとうございました。これでまたシロさんに借りが出来ちゃいましたねっ」テヘヘ
白望「気にしないで。穏乃ちゃんが無事で良かった」
穏乃「はい/////」
白望「ところで、これ」
穏乃「?」
白望「穏乃ちゃんが登ったこの木も桜?」
穏乃「そーですよっ、この山の主みたいなものですかね」
白望「.....桜の木の下か」
穏乃「?」
白望「穏乃ちゃん」
穏乃「はい?」
白望「穏乃ちゃんは山が好きなんだよね」
穏乃「大好きですっ!」
白望「ふふっ、私の名前ね」
穏乃「はい」
白望「山の名前なんだよ」
穏乃「!? うわっ、かっちょいー!」
白望(かっちょいーときた)カワイイ
白望「いつか遠野へ来たら、今度は私がその山を案内してあげるね」
穏乃「ホントですかっ!? 約束ですよっ!」
白望「うん、指切りげんまん」
キュッ
穏乃「嘘ついたらもっかい奥千本めーぐりっ!」
白・穏「指切らないっ♪」
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穏乃「よっと。はい、シロさん手ぇ出して下さい」
白望「んしょ」ストン
穏乃「これで元の道に戻れましたっ」
胡桃「あーっ! ちょっと何処まで行ってたのよ~」
白望「胡桃、ただいま」
胡桃「ただいまじゃないってば、あんまり遅いからあっちこっち探し回っちゃったよ!」
穏乃「すみませんでしたっ! 高鴨穏乃、シロさんと一緒に無事戻りましたっ!」ペコッ
胡桃「あ、うん、まぁ、それは良かったけど。って、なに手ぇ握り合ってニマニマしてるの?」
白望「別に」ニコニコ
穏乃「何もないですよ?」エヘヘ
胡桃(....キモチワルイ)
遠野 塞の家
豊音「あ、シロからメールきたよー」
エイスリン「ミセテッ」
塞「今度は何だって?」ドレドレ
title:結果報告!
豊音の占いは本当に当たるみたい。多分だけど、将来のお嫁さんを見つけたかも?
ファーストコンタクトでお尻を触られたり、大事なトコも見ちゃったし、運命を感じる....
これからはちょっと頑張ってインドアのこと位はできるようになる。アウトドアはお任せで♪
いつかその娘に選んでもらえる白望山になりたいです
PS.明日胡桃と帰ります
豊音「おお~♪ エッチなエピソードまであるよ~」ススンデルー
エイスリン「トヨネッ ウラナイバッチリ! スゴイッ!」
塞「うっそだぁ.....」
豊音「シロの未来のお嫁さんてどんな娘かなぁ」ワクワク
エイスリン「ゼッタイ カワイイコ♪」
塞「うっそだぁ.....」
白望「そうだ、お嫁さんを貰おう」 カン!
終わりです
白望「穏乃ちゃん、山は?」
穏乃「大好きですっ!」
白望「白望山は?」
穏乃「大好きですっ!」
白望「白望は?」
穏乃「大好きですっ!」
白望「そっかー♪」ナデナデ
穏乃「? えへへ///」
ではまたいつかー
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