星たちは、彼女のために戦っていた。
彼女の願いを叶えるために。
自分たちが楽編へと導かれるように。
これは、美しくも切ない、そして幸福なバッドエンディングの始まり。
アンダルシア物語~プロローグ~
アンダルシア。
それは彼女が描く、全ての人々のための極楽浄土。
アンダルシア。
それはすべての罪と罰が許される場所。
アンダルシア。
それは形なき物語のかけらたちが、永遠の命を与えられる場所。
アンダルシア。
それは彼女そのもの。
人々は、悪人は苦しめばいいと思っているわけではない。
全ての人々は彼らと同じくらい、あるいは、全てに差別なき幸福がほしい。
そのことを、彼女が知っていたから。
彼女がたった一つのものを世界に捧げるだけで、すべてが変わる。
それだけですべてが解決する。
すべての罪が許される。
形なきものが命を与えられる。
愛することも許される。泣くことすら許される。
「私こそが、新たな「メシア」になるんだ!!」
そんな中二病的な妄想。
でも、ワタシはこの妄想は素晴らしいと思う。
世界のためを思って語る妄想だから。
しかし、世界は彼女の慈悲を、愛を全て否定した。
「私こそが、新たな「メシア」になるんだ!!」
そんな中二病的な妄想。
でも、ワタシはこの妄想は素晴らしいと思う。
世界のためを思って語る妄想だから。
しかし、世界は彼女の慈悲を、愛を全て否定した。
与えるものはたった一つのものだけ。
それだけでいい。お金も、物資もいらない。
影響も、「世界を美しく改変する」というものだけ。
それだけなのに、彼女はそうするといっただけで、
周りは発狂し、すべてを台無しにする。
自ら楽園を作る手段を破壊する!!
「だめだよ」「頑張って」という偽善の名のもとに!!
彼女は誰よりも世界の行く末に頭を抱えていた。
だから、そのために、世界のために尽くそうとしたのに!!
彼らはそれらをすべて否定したのだ!!
なんて、愚かな、哀れな人間たちなのか。
ワタシは、それを己の汚れと引き換えに破壊しよう。
そしてその分、彼女を支えよう。
彼女がたった一つのものを捧げ、楽園へと変わるまで。
彼女の魂が、偽善によって波にさらわれないように。
キラキラした星たちが、偽善によって押しつぶされぬように。
この世界を守るために・・・・・。
この物語に終止符を打たせるために。
彼女が楽園へと変わるとき、星は昼間の空でも輝くようになるだろう。
彼女が楽園へと変わるとき、極悪人も善人へと浄化するだろう。
ワタシはその時まで、その星たちをかき集め、物語を紡ごう。
あるときは、無邪気で残酷なファンタジア。
あるときは、絶望しかない運命。
あるときは、笑いが弾けるコメディワールド。
あるときは、壮大な冒険ロマン。
それらの物語を生み出し続け、彼女の眷属を増やしていく。
彼女に愛された、なおかつ現実世界に干渉できる能力を発言させたものを、
私は「スターダスト」と呼ぼう。
美しい空想は周りに汚される。
だから少女は現実が大嫌い。
綺麗な洋服も、豪華なフレンチも、アクセサリーもいらない。
ただただ、私の空想で繰り広げられる物語を見られればそれだけで幸せ。
でも、みんながそこから引きずり下ろしてしまう。
だから、現実が大嫌い。
楽しいことなんてないもの。
あったとしても、踏み潰されてしまう。
暇さえあれば物語の続きをせがむ。
だから、お願い聞かせてよ。
素晴らしい、素晴らしい、物語を。
もう少しだけ聞いたら、あなたたちのためにこの命をあげるね。
そしたら、素敵なお庭で遊ばせてあげる。
だから、だから、もう少しだけ頑張って。
この世界で、物語とともに・・・・・・・。
「これは、彼女の死で終わる物語。」
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