■インターハイ会場 実況室
恒子「先鋒戦決着ーぅ!」
恒子「臨海女子、辻垣内智葉が圧倒的なリードを奪ったまま終了」
恒子「他三校は軒並みマイナスで終了となりました!」
■有珠山高校 控え室前
成香「うぅ……」トボトボ
成香(辻垣内さんにいっぱい削られました……)
成香(ゆるくない、インハイってぜんぜんゆるくないです)
成香(……みんなにあわす顔がないです)
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「なーるか!」ガバッ
成香「う、うわっ! ……ち、ちかちゃん」
誓子「どったの? 控え室入りなよ」
成香「う、うん……」
誓子「……さっきの対局、気にしてるの?」
成香「だ、だって……私、いっぱい削られて……」
誓子「大丈夫大丈夫。まだまだ勝敗決まったわけじゃないんだから」
成香「……うん」
成香(……でも、私がいっぱい失点した所為で勝つの難しくなりました)
成香(やっぱり、みんなにあわす顔無いです)
成香(このまま、ちっちゃくなって消えてしまえればいいのに——)
■有珠山高校 宿泊先
誓子「……おはよー」
オハヨ オハヨ
由暉子「おはようございます。よく眠れましたか?」
誓子「うん。準決勝進出出来て興奮はしてたけどね」
由暉子「……昨日は大騒ぎでしたからね」
誓子「いやー、シスターに見られたら大目玉食らいそうだけどねー」
コワイデス...
誓子「そういえば、成香知らない?」
由暉子「いえ、見かけてませんが」
誓子「あっれ、おかしいなー。もう寝床にはいなかったんだけど」
チカチャ...チカチャ...
由暉子「他のお二人なら、まだ朝食バイキングで騒いでいると思うのですが」
誓子「それもシスターに見られたらヤバそうだねぇ」
由暉子「…………」
誓子「ん? どうかした?」
由暉子「あ、いえ……先程から、何か聞こえませんか?」
誓子「私の腹の虫の音?」
チカチャー!
由暉子「そうではなく」
由暉子「……何と言いますか、誰かがささやいているような」
誓子「幻聴?」
ウゥ...
由暉子「そうではなく」
由暉子「本内先輩の声のような気もするんですが」
誓子「成香? あれ、その辺いるのかな?」キョロキョロ
チカチャー...
由暉子「……あっ!」
誓子「ほ?」
由暉子「う、動かないでください! 踏みますから!」
誓子「ふ、踏む?」
由暉子「……この子が、先輩の寝間着の裾を掴んでたんです」ヒョイ
「チカチャー...」
誓子「ちっさ! 人形……じゃあ無いよね?」
「チカチャー」
由暉子「ぱたぱた動いてますね。人形にしては出来過ぎかと」
誓子「じゃあ、小人的な何か? コロポックルみたいな」
由暉子「さあ……?」
由暉子「……この方、本内先輩では?」
誓子「えぇ……? まさか……」
成香「チカチャ...チカチャ...」スリスリ
誓子・由暉子「「…………」」
■有珠山高校 宿泊先 食堂
爽「ほぉか、ふいにわがほうにほぎへいひゃが」モグモグ
由暉子「食べながら喋るのやめていただけませんか?」
爽「モゴゴ……」
揺杏「いやぁ、ずいぶんちっちゃくなったね〜」
成香「…………」プルプル
由暉子「先輩の手に抱きついて離れませんね」
誓子「怖いのかなぁ……?」
誓子「なるかなるか、みんなのことちゃんと覚えてる?」
成香「…………」コクコク
成香「チカチャ...」スリスリ
誓子「そうそう。じゃあ、あっちのおっぱい大きいのは」
成香「ユキチャ...」
誓子「うんうん。そっちののんびりしてそうな子は」
成香「ユアチャ...」
揺杏(言えてない……)
誓子「そっちのサイドポニーの子は?」
成香「チョコレ...」
爽「私だけ忘れられてるじゃないか!」
成香「ハワワ...」ササッ
誓子「ちょっとちょっと、なるかが怖がるから大声出さないでよ」
爽「ゴメン……」
由暉子「それで、チョコレ先輩は原因が何かご存知なんですか?」
爽「チョコレ……。まあ、流行り病みたいなものみたいだからなぁ」
誓子「ちょ、ちょっと待って! これ病気なの?」
爽「ああいや、別に命に別状があるわけじゃない」
由暉子(私の手のひらサイズまで縮むのに、命に別状無いんですか……)
爽「これはナルカレプシーだな!」
誓子「ナルカレプシー?」
由暉子「眠り病ですか?」
爽「それはナルコレプシー」
揺杏「ほぅ、ほぅ……」スリスリ
成香「ヒッ...! チ、チカンデスカー...?」ビクビク
爽「いま全国的に流行ってるんだ」
爽「全国的といっても全国大会的にだけど」
爽「何かさー、朝起きたら急にちっちゃくなって一週間ぐらいそのままなんだって」
誓子「どういう原理なの?」
爽「不明」
由暉子「何で本内先輩の名前がついてるんですか?」
爽「あ、正式名称はながったらしいのがあるけど、忘れたから気分でつけた」
由暉子「そうですか……」
爽「他の全国大会出場校の生徒の中にも、一部そんなことになってる子がいるんだって」
爽「例えば——」
□永水女子の場合
小蒔「…………」ススス...
霞「あら、小蒔ちゃん」
初美「あ、いたぁ!」
霞「あら、初美ちゃんも」
小蒔「…………」カクレカクレ
初美「霞ちゃん! おっぱいに隠れようとしてるちっちゃい姫様を引き渡してください」
霞「何かあったの?」
初美「ちっちゃくなった姫様がそこら中の食べ物食べまくりなんですよー!」
小蒔「…………」ケプ
霞「あらあら」
□阿知賀女子の場合
穏乃「ラーメンラーメン!」
憧「あーはいはい、いまよそってあげてるから」
玄「しずちゃん、ずいぶんちっちゃくなったねぇ」
憧「めちゃくちゃ手がかかるようになったけどね」
憧「ほれ、ラーメン」
穏乃「」モグモグ
宥「いっぱい食べるね〜。でも、身体の大きさ以上に食べてるような……」
灼「どこ入ってるのかな……ん?」
穏乃「…………」ジッ...
灼「チャーシューほしいの?」
穏乃「チャーシューチャーシュ!」
憧「コラ、灼さんにたからない。アンタはもう自分のチャーシュー食べたでしょ?」
灼「チャーシューの一枚ぐらいいいよ。準決勝は小さいままなのに頑張ってくれたし……」
憧「すいません……。ほら、灼さんにお礼は?」
穏乃「チャーシューチャーシュ!」
憧「ダメだこりゃ……」
■有珠山高校 宿泊先 食堂
爽「——って感じらしい」
由暉子「……ほんとに元に戻るんですか?」
爽「勝手に戻るから大丈夫みたい」
爽「特に治療の必要も無いんだってさ」
誓子「大丈夫かな……。あ、準決勝どうしよう?」
爽「選手そのままで打つ。ただ、介助人として誰か一人つけることになる」
爽「その介助人が手伝うことになるんだけど、やっていいのは理牌と和了の判断と発声だけ」
誓子「ああ。ちっちゃいと河見づらそうだもんね」
爽「うん。あ、山からツモってくるのと河に牌捨てにいくのは本人がやらないといけない」
由暉子「もう代役立てた方が早いのでは」
爽「何か大人の事情でそうもいかないみたいでなー」
爽「あと、局と局の合間は介助人と本人の間で話とかしてもいいけど、局の途中は喋っちゃダメだから」
爽「チョンボには寛大になってて、例えば——」
□Aブロック準決勝の場合
照(かわいい……)
怜「…………」トテトテ
照(ちゃんと自分で山の牌ツモってこれるんだ)
照(ちょっと重そうだけど……え?)
怜「3ジュンサキヤー」ペロン
照「ちょ、ちょっと……山めくってツモらないとこまで確かめてるけど、いいの?」
怜「...? 3ジュンサキヤデー?」
照「……チョンボじゃないの?」
煌「何言ってるんですか宮永さん!」
煌「いま、園城寺さんは命を賭けて三巡先を見ているんですよ!?」
玄「それをチョンボだなんて……」
照「え、えぇ〜……? 私が批判される流れ、なの?」
怜「…………」ニヤッ
■有珠山高校 宿泊先 食堂
爽「——って感じらしい」
由暉子「やりたい放題じゃないですか」
爽「かわいいは正義! って誰かが言っていたから大丈夫だ!」
爽「まあ、出場の問題は無いとして、あとは服かな」
誓子「なるか、すっぽんぽんだからね」
成香「ハワワ...」
揺杏「あ、いま採寸終わったんで直ぐにかわいい服用意しとくんで〜」
由暉子「さっきからペタペタ触ってたの、セクハラじゃなかったんですね……」
揺杏「ううん? ぷにぷにの肌も堪能してたよ〜?」
成香「チカチャ! チカチャ!」プルプル
誓子「おーよしよし。怖くないよ〜?」
揺杏「先に服、あとは今日寝る用のミニサイズの布団とか必要かな〜?」
爽「頼んだ」
■有珠山高校 宿泊先 桧森誓子・本内成香部屋
誓子「おぉ……天蓋付きのベッドだね。ミニチュアサイズだけど」
成香「ステキデス...」ウキウキ
誓子「どこ置こうか?」
誓子「元々なるかが寝てたベッドの上に置く……のはないだろうし」
成香「ント...ント...」モジモジ
成香「チカチャ...」
誓子「私の枕元でいい?」
成香「」コクコク
誓子「よしよし。どうせならいっしょの布団で寝たいけど、うっかり潰したら危ないしね」
誓子「歯磨きしてそろそろ寝よっか」
誓子「……なるかの歯磨きどうしよう」
成香「?」
誓子「それじゃ、電気消すよー」
成香「!」
誓子「ウソウソ。なるか、ちょっと電気つけてないと怖くて眠れないもんね」
成香「ウゥ...」
誓子「光量絞って、枕元のライトだけつけとくね」パチン
成香「チカチャ...アリガト...」
誓子「いえいえ」
誓子「……なるか、明日大丈夫?」
成香「?」
誓子「準決勝あるけど……ちゃんと打てそう?」
成香「…………」プルプル
誓子「やっぱ棄権しようか? 身体に問題無いっていっても」
誓子(……なるか、ひょっとして打ちたくないんじゃないかな)
誓子「…………」
成香「チカチャ...?」
誓子「あ、ああ、いや……なんでもないよー?」ナデナデ
成香「チカチャー...」
成香「…………」
成香「...チカチャー」
誓子「ん?」
成香「ガンバル、ガンバルヨー?」
誓子「そっか……じゃあ、ちょっと頑張ろうか?」
成香「」コクコク
誓子「明日は私がいっしょに卓に座って手伝うからね」
誓子「まあ、制限とかあるからそれほど手伝えないかもしれないけど……」
誓子「やっぱ、ここまで来たら優勝してみたいしね」
成香「ガンバロー?」
誓子「うん、頑張ろう」
誓子「三年生の私にとっては最後の夏だし……」
誓子「頑張ろうね、なるか」
■インターハイ会場 実況室
みさき「間も無く、第71回全国高等学校麻雀選手権大会Bブロック準決勝が始まります」
みさき「解説は、」
はやり「はやりだよ☆ みんな元気ー?」
みさき「……瑞原はやりプロにお越しいただきました」
はやり「というか、野依ちゃんは? 何だか急遽代役で出てほしいって聞いたんだけどー」
みさき「野依プロもいらっしゃいますよ」
はやり「え?」
理沙「セイフク! セイフク!」プンスコ
はやり「わぁ、野依ちゃんすっかり小さくなっちゃって……」
みさき「今朝起きたら隣でちっちゃくなっていたんです。危うく潰しそうに」
はやり「何で同じベッドにいたのかな?」
みさき「小さくなっても野依プロの場合、いつもと大して仕事ぶりは変わらないと思うのですが」
はやり「このアナきつい……」
理沙「」プンスコ
■清澄高校 控え室
久「……かわいい」
優希「タコシュー!」
咲「ユーキチャン、ダイジョウブ?」
優希「タコシュー!」ピョンピョン
和「ユーキ、ガンバッテ」
優希「タコシュー!」モミモミ
久「何でうちの子達はみんなかわいいのかしら……」ウットリ
まこ「はいはい、かわいいかわいい」
まこ「かわいいのは分かったから、いい加減対局室に行きんさい」
久「そうだった……。じゃあ優希、行きましょうか?」
優希「タコシュー!」
久「和と咲はお留守番しててね」
和・咲「「ハーイ」」
久「……一匹ぐらい連れて帰ってもバレないかしら」
まこ「匹って……」
■姫松高校 控え室
恭子「すずちゃん! がんばらんと、デコやきごてやで!」ベシベシッ
漫「いたっ、いたっ……ちょ、ちょっと……ハリセンで叩かんといてくださいよ」
由子「きょーこ、叩いちゃ、めーなのよー?」
恭子「むむっ……」
洋榎「……何で恭子は完全に小さくならんと、幼稚園児ぐらいのサイズになったんやろうなぁ?」
郁乃「なんでやろな〜? いくのん何も知らんで〜?」
漫「何か精神年齢も幼くなってる所為か、二回戦で清澄の大将握りつぶしかけてましたよね……」
洋榎「オモチャか何かと思ったんやろな……子供はときに残酷や……」
郁乃「握りつぶしてたら楽になったんやけどな〜」
洋榎「アホ! 宮守の姉帯が止めてくれんかったらマジヤバだったんやで!」
絹「付き添いで出たの監督なんですから、ちゃんと止めてくださいよ……」
郁乃「え〜? いくのん、難しいことわからんわ〜」
恭子「すずちゃん!」
漫「あ、はい」
恭子「が、がんばったら……デコにちゅーしたる!」
漫「あ、そういうのいいんで」
恭子「!?」
■臨海女子高校 控え室
メガン「…………」
明華「…………」
ハオ「…………」
ネリー「いいなぁ……他のガッコ」
臨海女子監督「うちも、一人ぐらいちっちゃくなってくれれば良かったのに……」
■インターハイ会場 対局室
誓子「よろしくお願いしまーす」
久「よろしくお願いします」
優希「タコスー!」
誓子「あ、ほら見てなるか、お友達がいるよー」
成香「コワイデス...?」
久「あら、有珠山の方もちっちゃくなったの? いっぴ……一人だけ?」
誓子「? 一人だけだよ?」
久(勝った……)
優希「アヌスー?」
智葉(……かわいいな、どっちも)
誓子「あ、これって場決めどうするの?」
漫「場決めは本人にやらせるみたいですよ」
久「優希、めくっておいでー」
優希「タコシュー!」トテトテ
久「あぁ、ほんとかわいい……」ウットリ
智葉(一匹ぐらい連れて帰ってもバレないかな……)
優希「タコシュー!」トクイゲ
久「あ、持って帰って来なくていいのよ? めくるだけで」
誓子「なるか。なるかもめくっておいで」
成香「」コクコク
■インターハイ会場 実況室
みさき「場決めも終わり、いよいよ試合開始です」
理沙「征服! 征服!」
はやり「ねえ、野依ちゃんに服着せてあげないの?」
みさき「全裸じゃダメなんですか?」
はやり「何でそんな不思議そうな顔するの……? イカの格好でもいいからさせてあげようよ……」
野依「」プンスコ
■インターハイ会場 対局室
久(さーて対局開始ね)
優希「タコシュー?」
久(さあ、山からツモっておいでー)
優希「タコシュー!」トテテ
久(あぁ、かわいい……声かけてあげたいけど、局の途中は喋っちゃダメなのよね)
成香「チカチャー...?」
誓子(なるかのツモ番だよー)チョイチョイ
成香「チカチャ...チカチャ...」スリスリ
誓子(あ、指に頬ずりしてもらうために出したんじゃないってば。かわいいから許すけど)
誓子(喋れないの面倒だなぁ……とにかく、ツモっておいでー)ツンツン
成香「ンショ...ンショ...」
誓子(よしよし、頑張ってツモってきたね)
誓子(あとは河に牌捨てておいで)
成香「ント...ント...」
成香「コレ...」トテテ
誓子(ああ、カメラでも持ってくればよかった……千里山は確か先鋒戦でずっとカメラ持ってたんだよね)
誓子(……持ち込み禁止にならないの?)
成香「チカチャ...チカチャ...」ツンツン
誓子(お、捨ててきたか)
誓子(よく頑張ったね、ちょっと休んでていいよ)ナデナデ
成香「チカチャー...」ウットリ
優希「…………」ジーッ...
成香「コレ...イラナイデス...」
誓子(いらない? じゃあ、捨てておいでー)
成香「…………」トテトテ
成香「」ポイッ
久「ロン、5,800」
優希「タコシュタコシュー!」
成香「!」ビクッ
誓子「あ、なるか……」
成香「ウゥ...」トボトボ
誓子「おー、よしよし。戻っておいでー」
漫(涙目で戻って行っとる……)
久(や、やっぱりやりづらい……)
成香「コレモ、イラナイデス...」トテテ
優希「」ダダッ!
誓子(ん? 清澄の子が走って……)
優希「チー!」
成香「キャッ...!」
誓子(あ、牌取られた……鳴くために取りに来たのね)
成香「チカチャー...! チカチャー...!」グスングスン
誓子(おー、よしよし。頑張れー、泣くんじゃないぞー)
智葉(チビ見るの夢中でカンし忘れてた……)
優希「タコシュー!」トクイゲ
久(よしよし、偉いぞー。ちゃんとスピードで攻めれてるわね)ナデナデ
漫「ツモ! 4,000、8,000!」
成香「ウゥ...」グスッ
漫「ロン、5,800!」
成香「チカチャー...チカチャー...」クスン クスン
誓子(やばい……)
誓子(点数もやばいけど、なるかが本格的に泣きそう)
誓子(できるだけ失点抑えて、早めに終わらせたいけど……)
誓子(とりあえず、局進めないことにはどうしようもない)
誓子(成香、頑張って……)
成香「ウゥ-...コワクナイデス、コワクナイデスッ...」トテトテ
誓子(そうそう、ツモって、とりあえず牌持ってきて……)
久(あら?)
漫(あれ……)
誓子(な、なるかー! そっち私のとこじゃないよー?)
成香「チカチャ...チカチャ...チカ...」
智葉「…………」
誓子(そっち! 辻垣内さんの手牌ー!)
智葉「……お前、それ加えたら私が多牌になるんだが」
成香「」ビクッ
成香「ゴメンナサ...ゴメンナサ...」ペコペコ
成香「ウゥー...チカチャー...?」
■インターハイ会場 実況室
みさき「有珠山高校、本内選手。卓上で迷子になってしまったようです」
はやり「ふらふら色んなところに行ってるねー」
理沙「ガンバレ! ガンバレ!」
■インターハイ会場 対局室
成香「チカチャー...? チカチャー...?」
優希「タコシュー?」
成香「チカチャー?」
久(道聞いてるのかしら……ああっ、せめてつまんで戻してあげたい……!)
誓子(なるかー! こっちこっち!)
成香「チカチャ!」
漫(お、上の方見て歩くこと覚えたか)
成香「チカチャー!」トテトテ
智葉(……足元、おろそかになってないか?)
誓子(なるか、がんば……あ!)
成香「チカッ...!」ドテッ
■インターハイ会場 実況室
みさき「本内選手、自分の手牌に戻れそうでしたが転んでしまいました」
はやり「上見て走ってたからね……大丈夫かな?」
みさき「これは……起き上がれません」
みさき「本内選手、卓上にうずくまって泣きだしてしまいました!」
■インターハイ会場 対局室
成香「ウゥ〜...コワイデス...コワイデス...」グスングスン
誓子(あぁ〜、なるかー……)
久(有珠山の人……何か言いたそうだけど、喋れないし、ちっちゃい子は顔上げないし……マズイわね)
優希「タ、タコシュー...?」
久(そうだ、優希)ツンツン
誓子(なるか、がんばってー!)
優希「タコシュー? タコシュー?」
誓子(あれ? 清澄の子……助けに来てくれたの?)
成香「コワクナイデス...?」
優希「タコシュー!」トテテ
■インターハイ会場 実況室
みさき「本内選手、清澄高校の片岡選手と手を繋いで、何とか自陣に戻ることが出来ました」
はやり「かわいいねー」
はやり「美しい若者同士の友情ってやつかな……あ、はやりもまだ十分若」
みさき「戻ることができた本内選手ですが、介助人の桧森誓子選手の指にしがみついて離れません!」
はやり「私の味方は野依ちゃんだけだよ……」グスッ
理沙「ばばあ!」
はやり「」
■インターハイ会場 対局室
成香「…………」クスン
誓子(なるか……)
誓子(……ここまで、かな)
誓子(準決勝これただけでも、大金星)
誓子(これ以上はなるかがかわいそうだし、棄権……)
成香「…………」スッ
誓子(なるか……?)
成香「チカチャー...」
成香「チカチャー...サイゴ...ガンバルッ...」グスッ
『やっぱ、ここまで来たら優勝してみたいしね』
『ガンバロー?』
『うん、頑張ろう』
『三年生の私にとっては最後の夏だし……』
『頑張ろうね、なるか』
成香「ガンバル、チカチャー...」
誓子(なるか……頑張ってくれるの?)
成香「コワクナイ...コワクナイヨー?」
誓子(よし……じゃあ、行っておいで)
誓子(先鋒戦終わったら、私も頑張るから!)
■インターハイ会場 実況室
みさき「Aブロック準決勝、先鋒戦終了です」
みさき「途中、トラブルもありましたが、無事次鋒戦につなぐことができました」
みさき「やはり圧倒的トップは辻垣内智葉」
みさき「前年度個人戦3位の力を見せつけました」
みさき「2位は姫松の上重選手! 大きな和了りを何度も見せましたが最終的には2位」
みさき「そして3位は清澄、4位は有珠山高校となりました」
みさき「有珠山高校はトップと104,300点差」
みさき「とはいえ、まだ先鋒戦が終わっただけなので逆転の可能性もゼロではありません」
みさき「休憩の後、次鋒戦に突入します」
□そしてインターハイ決勝戦
照(……準決勝だと、千里山の先鋒が好き放題だったけど、決勝戦はもっと頑張らないと)
照(阿知賀の先鋒は普通だけど、勝ち上がってきた有珠山と清澄の先鋒はちっちゃい)
照(やりにくいけど……がんばらないと)
照「よろしくお願いします」
優希「タコシュタコシュー!」
成香「コワクナイデス...コワクナイデス...?」
玄「デスノダ? デスノダ! コレハナカナカノモノヲ オモチデ!」
照「……増えてる」
淡「テルー!」ピョンピョン
以上です。
ミニ雀士シリーズの続きはまだですかね……。
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