咲「私は、普通の文学少女です」 京太郎「大嘘」 玄「5冊目だねっ」 ※阿知賀成分 (1000)

咲「ね、京ちゃん?」

京太郎「どうした咲?」

咲「わ、私、ここにいていいのかな?」

京太郎「そりゃまた、どうして」

咲「だ、だって」

咲「最近、私の存在感が薄くなってるような……」

京太郎「――どうなろうと」

京太郎「咲は咲だよ。俺の大事な――」

咲「――!」

京太郎「俺の大事な、友達だろ?」

咲「」


京太郎「おい咲。なんか怒ってないか?」

咲「べ、別に!」

咲「ふんだっ!」


玄「いやはや、これは修羅場ですね」

玄「おっと、しょうがない。私が仕事をばっ」

玄「……さて」

玄「このスレッドは5スレ目になります」

玄「タイトルから分かるように、今までは清澄寄りでしたが、阿知賀ネタを書くことが増えました」

玄「そのため、どちらもあるという意味で、このタイトルになりました」

玄「なので、京咲が真理という方、京太郎がどんな子と絡んでもいけるという方」

玄「このスレから読んでも何ら問題はないと思われるので、どうぞどうぞ」

玄「――おっと、今までのスレッドはこちら↓」

咲「私は、普通の文学少女です」 京太郎「大嘘」
咲「私は、普通の文学少女です」 京太郎「大嘘」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343818936/)

咲「私は、普通の文学少女です」 京太郎「大嘘」  その2

咲「私は、普通の文学少女です」 京太郎「大嘘」 和「3冊目、ですね」
咲「私は、普通の文学少女です」 京太郎「大嘘」 和「3冊目、ですね」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1348310276/)

咲「私は、普通の文学少女です」 京太郎「大嘘」 穏乃「4冊目だよ!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1362332585

新スレですし、リクエストお願いします。
前回の残りも、このスレで書く予定です。

乙ー
ものもらいやっちゃった咲さんが眼帯登校する話ー

乙ー
ポッキーゲームをする京咲

咲さん兵部京介に影響を受け超能力に目覚める(大嘘)

せっかく灼ちゃんルートの話があったし、灼ちゃんを充電

某パンツじゃないアニメを見て主人公の格好を真似してみたら京太郎に見られる咲ちゃん

そろそろのどっちの流れがきてもいいと思うんだ

京和で日常

京太郎が和のノートを数冊借りたらその中にネット麻雀の赤裸々日記が!!

阿知賀、清澄メンバー全員の靴箱に部活がらみの連絡事項を書いた手紙を入れたら、
京太郎からのラブレターだと阿知賀、清澄メンバー全員が勘違いしてしまい修羅場になる話。

憧、妄想日記をつける。主人公京太郎、ヒロインが自分で妄想中!

>>5
魔王でも恋がしたい!

>>6
咲ちゃんが漫画にあてられて、って感じですかね。

>>7
今やってるあのアニメ観てないけど、原作は何となく知ってるからいける、かな。

>>8
灼ルート攻略……?

>>11
これは恥ずかし……いや、恥ずかしくないな。

>>12
ほのぼの和ルート。
このスレでの和はたしかに、「二番じゃだめなんですか?」的な感じはあるかも……

>>18
ネット麻雀の赤裸々日記の意味、詳しくオナシャス。

>>19
すまん……これは書くのが大変そうだから、なしで。ごめん。

>>20
憧ちゃん大勝利! 
あれ、何となくあのキャラと憧ちゃんが似てるような気がしてきた……。


一応、一部除いてリクエストには応えられそうです、が。
前スレで残った、京咲を見て気落ちする阿知賀の面々の話をやろうと思います。
お待ちください。

――阿知賀学院・部室前

京太郎「あ、咲」

咲「な、なに京ちゃん?」ピクッ

京太郎「……」スッ

咲「――!」ドキッ


咲「な、なに!?」アセアセ

京太郎「いや、お前の頭に虫が止まってたから払っただけ――咲?」

咲「……ううう」カァァ

咲「こ、今度から頭に触るの禁止っ!」ビシッ

京太郎「なんだそれ……」


憧「……」

穏乃「……」

玄「あれ? 二人とも」

二人「!?」ビクッ

玄「どーしたの? ドアから中を見て」ヒョコ

穏乃「え、えと、これはそのぉ」アセアセ

憧「……中に」

憧「咲と京太郎の二人がいるの」

玄「へぇ、咲ちゃんと京太郎くんが――」

穏乃「そ、それで」

穏乃「な、中を窺ってたのは、その」

玄「ああ、なるほどなるほどー」

玄「つまり……覗き見、だねっ!」

憧「は、はっきり言われるとなかなか応えるわね……」ズシッ

穏乃「事実だからしょうがないけどね……」タメイキ


和「――お二人が、中に」ヒョコ

穏乃「うわっ!? の、和?」

憧「い、いつの間に?」

玄「私のおもちセンサーが感知しなかったのに……!」

和「宮永さんと、京太郎くんが」

和「……」キュッ

穏乃「――すごい真剣な顔」

憧「まぁ、和からしてみたら複雑よね」

玄「そうだね」

玄「幼馴染ポジションが、まるで……今は」

和「……京太郎くん」



――部室内

京太郎「……」ハッ

咲「京ちゃん、どうしたの?」キョトン

京太郎「ああ、実は――」

京太郎(さっきから覚えのある視線を感じてしょうがない)

京太郎(言うべきか、言わざるべきか……)

咲「ねぇ」ズイッ

京太郎「うわっ!?」

咲「どうしたの?」

京太郎「な、何でもないって」

咲「ウソ。さっき、『実は』って言ったじゃない」ズイッ

咲「……ホントは?」

京太郎(さ、咲が近い――困ったな)

京太郎(今、こういう状況を外から見られたとするなら……)


ガチャッ


憧「こら、京太郎!」

穏乃「部室内での、その、い、いかがわしいことは禁止!」アセアセ

玄「――可愛い二人」クスッ

和「……京太郎くん」ウルッ


咲「」

京太郎(そりゃ、こうなるよな……)



――市街地

京太郎「で、結局」テクテク

咲「罰として、お買いもの、と」テクテク

京太郎「はぁ……たしかに、買い出しって結構怠いからなぁ」

咲「言っててもしょうがないって。ほら、行こっ!」

京太郎「お、おい急にスピード出すなよ」

穏乃「……目標、店の前に到達」

憧「……入った、わね」

玄「――探偵さんみたいだねっ」ニコニコ

和「あ、あの皆さん?」

和「こういうことって、いけないのでは?」

憧「それは違うよ、和っ」

和「!?」ビクッ

穏乃「いい? 私たちは、麻雀部を正さないといけないの」

穏乃「そう、これは仕方のないことなんだよ!」

和「そう、なんでしょうか?」

和(たしかに、穏乃は色々な面で礼儀正しい良い子ですけれど……)

和(だからといって、こんな行動を起こすでしょうか――?)


玄「まぁまぁ、和ちゃん」ポンッ

和「玄さん?」

玄「――どれどれ」ムニュッ

和「ひゃっ!? な、なにするんですか!」アセアセ

玄「いやいや」

玄「『おもち』は嘘をつかないからね」

和「お、怒りますよ!」カァァ

玄「……和ちゃん」

玄「ホントは、気になるんでしょう?」

和「そ、それは……その」

和「京太郎くんと宮永さんがどうしたって、それは私の知ることではありませんし」

和「でも、それでもあの二人を見張るというのは、麻雀部の節度のためにしょうがないことかもしれませんし」

玄「ほら、やっぱり気になるんだ」

和「うう……」カァァ

玄「――ね、和ちゃん」

玄「いろんなことがあるだろうけど」

玄「京太郎くんの一番の幼馴染は――和ちゃんだと思うよ?」

和「玄さん……」

和「どうして手を握ったり閉じたりしているんですか?」ジトッ

玄「いや、だから」

玄「また、『おもち』に聞いた方がいいかなー、と」

和「玄さん……」

和(少し感じ入った私がバカでした……)ハァ


穏乃「――あ」

憧「二人が店から出てきたわね」

玄「さ、追跡追跡♪」

和「あ、あの……」

和(ああ、流されるままの私――はしたない)タメイキ


――夕暮れ時

咲「――あ」

京太郎「ん?」

咲「見て、京ちゃん。きれいな夕日――」

京太郎「おお、そうだな」

京太郎「……」

咲「へ? どうしたの?」キョトン

京太郎「いや」

京太郎「なんか別人みたいだな、って」

京太郎(夕日に照らされて笑うお前見てると、なんて)

京太郎(言えるわけねえよなー。言ったらきっと、こいつ顔真っ赤に――)

咲「へ……?」カァァ

京太郎(なんでなってるんだよ)

咲(な、なんで京ちゃんの言いたいことがわかっちゃったんだろう……?)アセアセ

咲「え、えーと、えとえと」

咲「わ、私! 先に帰るね――ひゃっ!?」グラッ

京太郎「咲!」ガシッ

咲「あ、ご、ごめ――!?」ハッ

京太郎「……」ペタッ

京太郎「ま、まぁ、遺伝ってこともあるし、しょうがないよな、うん」

咲「京ちゃん……今、どこ触って言ったのかなぁ?」ゴゴゴゴ

京太郎「さ、帰るぞ咲」

咲「京ちゃん!」

京太郎「――そのままでいいよ」ボソッ

咲「……え?」

咲(ど、どういうこと?)アセアセ


――その後方

穏乃「」

憧「」

玄「わわっ」

玄「凄いねー、もうあの二人、まるで……」

玄「まるで――なんだろ?」

和「幼馴染、とか?」

玄「うん、そうだ、それ」


穏乃「……憧」

憧「なに、しず?」

穏乃「――なんか、さ」

穏乃「とんでもないことになりそうな、そんな予感が」ハァ

憧「うん、しず。私もそう思ってきた」ハァ

憧「――どうなっちゃうのかなぁ」

玄(いやはや)

玄(悩める女の子は可愛いなぁ……)チクッ

玄(――あれ?)

玄(今のなんだろ? 胸が、チクってしたけど?)アレ?



京太郎「ほら、咲! 早く帰るぞ!」

咲「きょ、京ちゃん!」

咲(手、放してよぉ……!)カァァ

京太郎(こいつの手、小せえなあ)

ここまでです。

思わぬヒロイン登場に、心揺れる阿知賀メンバー。
しかし、ホントに和が不憫なことに――どうしよう。

それじゃ、また。

――阿知賀学院

京太郎「……ふぅ」

京太郎(今日も一日、疲れたな)

京太郎(体育がある日はいつもこうだ――喜んでんのなんて穏乃くらいなもんで)

京太郎(……ああ)

京太郎(今日は、殆どの奴が部活に来ないんだよな)

京太郎(はてさて、次に部室に来るのは誰かな?)


ガチャッ


京太郎(お、来た来た)

京太郎「こんちは――っと」

灼「――あ」

京太郎「灼さん!」

灼「あ、う、うん。どうも」ペコリ

灼「……他の人は?」キョロキョロ

京太郎「ああ今日、殆どの部員は来ないらしいです」

京太郎「一応、部活はやるって赤土先生は言ってましたけどね」

灼「ハルちゃんがっ!」ズイッ

京太郎「おおう!?」

京太郎(あ、灼さん、先生のことになると食いつきいいな……)

灼「――!?」ハッ

灼「ご、ごめん、なさい……」

京太郎(そして、その後ですぐシュンとなる。うん、いつも通り)


灼「……」

京太郎「……」

京太郎「どうかしました、灼さん?」

灼「い、いや!」

灼「なんでも、ない」プイッ

京太郎「そうですか?」

灼「……」キュッ

――灼さん、良かったら――


灼(なんでだろう?)トクン


――麻雀部、入りませんか?――


灼(思い出すと、胸がキュッとする)

灼(思えば、こうして誰かから誘ってくれたことって初めてだった)

灼(玄の温泉で、おじさんたち相手に打つのは、ただ私が『やりたい』ってだけで)

灼(特に、誘われた記憶はない――)

灼(……小中学生の頃も、それは変わらず)

灼(もしかしたら、私は寂しかったのかもしれない――だから)

灼(ちょっとした親切心で、ここまで心が揺らいじゃうんだ……)タメイキ


京太郎「――なんか灼さん、顔赤くないですか?」

灼「なっ!? そ、そんなことないよっ」カァァ

灼「……ただ」

灼「ちょっと、思い出しちゃって」

京太郎「そうですねー」

京太郎「灼さんが入部して、皆も笑って受け入れてくれて」

京太郎「俺も嬉しいですよ」

灼「――うん、ありがとう」

京太郎「いえいえ」


京太郎「ところで」

灼「ん?」

京太郎「――さすがに、ちょっとばかり重く」

灼「――!?」ハッ

灼「わ、私は重くないっ!」ムッ

京太郎「い、いえ、だからですね」

京太郎「来るなり、俺の膝に座るのやめてくださいって」

灼「……し、仕方ない」

灼「こうしないと、落ち着かないんだから」

京太郎(そういうもの、なのかな?)

京太郎(しかし)

京太郎(この光景を、他の部員に見られたら――)

京太郎(……考えるのはよそう)

京太郎(幸い、数分経っても部員は来なかった)

京太郎(赤土先生も来るのは遅いと言ってたし――と、なると)

京太郎「さすがにそろそろ降りましょうよー」

灼「も、もうちょっと」

灼「あと、すうびょ――いや、数分」

京太郎「伸びてるじゃないですか……はぁ」タメイキ

京太郎(まぁ、灼さんを載せてるってのは、なんか、こう)

京太郎(安心感はある、けどさ)


灼「……わ、悪いとは思ってる」

京太郎「ま、まぁ、俺もちょっと重くなってきただけで」

京太郎「別に、灼さんを載せてることは、その」

京太郎「悪い気分じゃ、ないですし」

灼「……」

灼「そ、そういうこと言わない」プイッ

京太郎「ええー……」

灼(――おかしい)

灼(きっと、私がここまで熱っぽいのは……)


――灼さん、すごくボウリング上手ですねっ!――


灼(京太郎くんが、私に)


――俺、このボウリング場好きです!――


灼(私に……)


灼「……元はと言えば、京太郎くんが悪いよ」

京太郎「え? そりゃ、どうして?」

灼「……」カァァ

灼「自分で考えるっ」プイッ

京太郎「――灼さんには敵わねえなあ」

灼(ウソ。そのにやけ面、絶対答え知ってるっ!)

灼(……でも、言わない)カァァ

京太郎(灼さん、赤くなってる。可愛いなぁ)ニコニコ

灼(どうせ、私が嬉しがっちゃうことを考えてるに決まってるんだから……)ハァ

ここまでです。

順調すぎるほどの速度で、ルートを攻略してますね……
灼ちゃんがチョロすぎる? このスレでチョロくないヒロインなんて多分いないから、勘弁してください……

それじゃ、また。
もう一本は、難しいかも……かけたら、書きます。

大勝利の話。


――阿知賀学院・教室

京太郎「よいしょ、っと」

京太郎「机、運び終わったぞー」

男子A「お、分かった。サンキュ!」

男子B「よし、これで帰れるか。それじゃな、須賀」

京太郎「おう、またな」


京太郎「さて、俺も部活に――と、あれ?」

京太郎「ノートが落ちてる……」

京太郎(さっき運ぶ時に、机の中から落っことしたのかな?)

京太郎「中身とか、折れたりしてないよな……?」ペラッ


『転校生登場。あのバカを京ちゃんと呼ぶあの子に、正直心が震えてる』


京太郎「……え?」

京太郎「な、なんだこれは?」ペラッ


『でも、考えてみれば私だって、穏乃をしずと呼ぶ』

『と考えれば、私があいつのことを、その、あだ名で呼ぶことだって許されるわけだ』

『……京ちゃん京ちゃん、京ちゃん?』

『って、恥ずかしくて書けるわけないでしょっ!』


京太郎「……」

京太郎「み、見なかったことにしよう」パタン

京太郎「そうすれば、何も――」ガラッ


憧「の、ノート!」

京太郎「」

憧「……あ、え、京太郎?」

憧「そ、その――わ、忘れ物したから取りに来たの」アセアセ

京太郎「……そ、そっか」

憧「はぁ、あれないと勉強出来ないのにー」チラッ

京太郎「」

憧「……へ?」ピタッ

京太郎(やべえ、固まってたらノート隠すの忘れてた……)

憧「……」ジーッ

憧「――!!?」ハッ

憧「ちょ、ちょっとあんた――」

京太郎「じゃ、じゃあな!」ガラッ

憧「あ、ちょっと、待ちなさいっ!」

京太郎「……」チラッ

憧「京太郎! 待ちなさいって言ってるでしょ!」

京太郎(やべえ、無駄にはええ)

京太郎(そういや、小学生の頃はよく穏乃と一緒に走ってたっけ、あいつ)

京太郎(……って、そんな感慨に浸ってる場合じゃ――!?)ハッ

京太郎「行き止まり……」

憧「追いついたっ!」ガシッ

京太郎「うわっ!?」

憧「観念しなさい、もう逃げられないよ」


京太郎「……ご、ごめん」

憧「……そ、それで」

憧「中身、読んだ?」カァァ

京太郎「――ほんの、少しだけ」

憧「……へぇ?」

憧(良かった――この口ぶりなら、やばい所は読まれてないわね、たぶん)

京太郎「俺の」

憧「……!」ハッ

京太郎「俺の、名前があった、ような気がするんだけど」

京太郎「あれ、は?」

憧「……そ、そんなの、あったっけ?」

京太郎「あ、ああ。も、もしかしたら、なかったかもなー」

憧「そ、そうそう! そうだよ!」コクコク

憧「ほ、ほら! ぶ、部室、行こっ!」

京太郎「お、おう、そうだな」


京太郎「……」

憧「……」

京太郎「――しず、か」ボソッ

憧「――!」ビクッ

憧「な、なによいきなり?」ジトッ

京太郎「いや……ごめん」

京太郎「なんかさ、その」

京太郎「穏乃をしずって呼ぶの、お前くらいなもんだよな――うわっ!?」ビクッ

憧「……!!」カァァ

憧「みた、のね?」

京太郎「――隠してるのも、落ち着かねえしな」

憧「……じゃ、じゃあ」

憧「あ、あそこも?」アセアセ

京太郎「あそこって?」

憧「な、なんでもないっ!」プイッ

憧「うう……私にとって一生の不覚」

京太郎「まぁまぁ、そんなに落ち込むなって――うん」

憧「誰のせいだと思ってんのよっ!」

京太郎「ま、まぁ、たしかに」

京太郎(ノートを読んじまったこともそうだけど)

京太郎(……それ以外にも、色々な意味で俺のせいでもあるんだな)

京太郎「――た、ただ」

京太郎「えと、なんだ、ああいうことノートに書くのは――」

憧「わ、分かってるわよっ!」

憧「私だって、好きで心が震えてるわけじゃ――」

京太郎「え?」ピクッ

憧「……あ」ハッ


憧「……」テクテク

京太郎「……」テクテク


京太郎(その後、部室に着くまで俺たちは一切会話をしなかった)

京太郎(リノリウムの床に響く、お互いの足音だけが耳に残っている)

京太郎(――そして)

憧(あれ、京太郎に見られたってことは、私の考えがばれたってわけで、それはつまり、あれ、どういうことに――)カァァ

京太郎(歩いている時、憧は顔から足に至るまで、身体中を真っ赤に染めていた)

京太郎(多分、俺もそうだっただろう)

京太郎(……どーすんだよ、これから)ハァ

ここまでです。今回はちょっと描写が薄かったかな。

授業中、何となくつらつらと書いたものが発見されるほど恥ずかしいものはないんだよなあ……
そんなわけで憧ちゃんルート突入、なのか?

それじゃ、また。

――宮永家

京太郎「……」チラッ

咲「――♪」パキッ

咲「はぁ―……やっぱり美味しいね、ポッキーって」

京太郎「そりゃ、良かったな」

咲「え、なになに? 分けてほしい?」

京太郎「……べ、別にいらねえって」

咲「ふぅーん」

咲「じゃ、いいや。いただきまーす」パクッ

京太郎(……くそ)

京太郎(今、読んでる漫画のせいで)

京太郎(ポッキーと聞いたら、どうしても意識しちまう)

京太郎(……これは、マズい)


咲「――はぁぁ」

咲「残り、あと一本、かぁ」

咲「……」

咲「ね、ホントに要らないの?」チラッ

京太郎「……」

咲「京ちゃん?」

京太郎「――ポッキーゲーム、か」ボソッ

咲「……へ?」

京太郎「あ」


咲「……」

京太郎「……」

二人(うわ、気まずい)

京太郎「あ、え、えーとだな」

京太郎「い、今読んでる漫画が、その、ラブコメで」

咲「……」

京太郎「つ、つい、口走っちまっただけで――」

咲「……」

京太郎「咲?」

咲「――やり、たい?」

京太郎「……え?」

咲「の、残り一本だし」

咲「わ、私、何本も食べて、お腹が膨れちゃったし」

咲「だ、だ、だから……は、半分くらいなら分けてあげてもいいなー、って」アセアセ

京太郎「……」


京太郎「じゅ、準備はいいか?」

咲「い、いいよ」

京太郎「よしっ」

 二人して、ポッキーの端と端を咥える。

京太郎「……」

咲「……」

京太郎(――どうしよう)

京太郎(漫画のせいもあって、悪ノリしちまったか)

京太郎(で、でも、始めた以上どっちかがポリポリと食べ進めないと――)

咲「……」ポリッ

京太郎(げ、咲が一口進みやがった)

京太郎(よ、よし、俺も)ポリッ

二人「……」

二人(この後、どうしよう?)アセアセ


咲(の、残りはまだ結構あるよね)

京太郎(こ、これは……なんとも中途半端な)

京太郎(と、とにかくもう一口!)ポリッ

咲(あ、あ)

咲(きょ、京ちゃんの顔が、もう……)カァァ

咲(こ、この辺で終わりにしようかな?)

咲(う、うん、そうだよね。こ、このままじゃ、その、心臓に悪いしっ!)

咲(……でも)

咲(……むー)ポリッ

京太郎(うおっ!? こ、こいつ……)

京太郎(顔真っ赤にしながら、一口進みやがった!)

京太郎(ど、どうする? も、もう、咲の唇まで、一口分あるかないか――)カァァ

京太郎(……)


 数秒の間、沈黙が部屋を支配した。
 いや、数秒というのはあくまで客観的にみた場合の時間である。
 この時、当事者の二人には、その数秒が何分間、もしかすると何時間にも感じられたかもしれない――


京太郎「……」

咲「……」

二人(――顔、近いなぁ)カァァ

京太郎(こ、こいつ、顔真っ赤にしてんのに、なんで動かねえんだよ……!)

咲(京ちゃん、顔真っ赤――やらしー)

咲(そ、そんな表情するんなら、京ちゃんもう口を放しちゃえばいいのに……もう、バカなんだから)

二人(……)

二人(どうしよう?)


京太郎(……咲)

咲(……京ちゃん)

二人(……)


照「咲ー、お姉ちゃん帰って」ガチャッ

咲「」

京太郎「」

照「帰って……き、た、よ」ピシッ

照「な、ななな」

照「なにしてるの、君たちっ!」

二人(……やばい、動けない)

照「ああ、私がこ、こんなに慌ててるのに」アセアセ

照「どうして、君たちはそこから全く動かないのっ!」

二人(……照さん(お姉ちゃん)が何を言ってるんだろう? 頭がいっぱいでさっぱりわからない)

二人(……ああ、京ちゃん(咲)、もう身体中真っ赤だ)

照「……」

照「――仕方ない」

照「かくなる上は……」ギュルルルル

二人(――!? み、身の危険っ!)ピクッ

京太郎「や、やめてください照さんっ!」バッ

咲「や、やめてお姉ちゃんっ!」バッ


――そして

照「……それで、何をしていたのかな?」

京太郎「え、ええと、その」

咲「えと、ぽっきーげーむ?」

照「うん、それは見てて分かった」

照「――ところで」

照「二人は、それが何を目的としたゲームなのか、知ってた?」

咲「へ?」

京太郎「なにって――そりゃあ」

二人「……///」カァァ

照「そこ、照れないっ!」ビシッ


照「はぁ、何にしても」

照「帰ったら帰ったで、こんなピンク色の空間にされたら困る」

咲「お、お姉ちゃん、ここ私の部屋――」

照「咲のものは私のもの、私のものも私のもの!」

京太郎(子どもか、この人は……)アキレ

照「――それで」

照「改めて、須賀くん?」

京太郎「は、はいっ!」

照「……覚悟は、いいかな?」

京太郎「うわわっ!?」

咲「お、お姉ちゃんやめてっ!」

照「は、放して咲っ!」

照「妹の純潔を弄ばれて、怒らないお姉ちゃんはいないっ!」

咲「じゅ、純潔って……///」カァァ

咲「ち、違うよ! そ、そういうんじゃな――」アセアセ

照「ああ、もう! 咲がそう言うのなら」

照「須賀くんっ!」

京太郎「は、はい?」

照「……責任、取ってもらう」

京太郎「え?」


照「――この家に、居候する覚悟はある?」キリッ


京太郎「」

咲「」

二人「……はい?」キョトン


京太郎(かくして)

京太郎(俺は、あまりにも唐突に決断を迫られた――)

京太郎(……どうしよう?)

ここまでです。

照「須賀くん、君に居候の覚悟はある?」→YES:咲ルートへ
                    No:和ルートへ……?

という感じでしょうか。さっぱり考えてませんが……。
なんという強引なルート突入なんだ……。
まあ、小ネタですしね。

それじゃ、また。

>>12>>18の合わせ技。
ところで、和ちゃんは阿知賀と清澄どっちがいいですかね?
一応、↓5までで決めます。

全会一致とはたまげたなあ……。
ごめんなさい、ネット麻雀についてのあれこれは書けませんでした。


――夏休み終盤

京太郎「……やばい」

京太郎(気づいたら)

京太郎(夏休みが――もう、終わる)


京太郎(思えば)

京太郎(全国大会が終わってから、俺は一体何をしてたっけ……?)


咲『ほら、京ちゃん! 新しく出来たショップ行くよっ!』ニコニコ

優希『犬! 新作タコス出来たから食べに行くじぇ!』

まこ『京太郎、ちょいとうちを手伝わんか? 給料弾むぞ?』ニカッ

久『須賀くん、ちょっと買い物頼んでもいいかしら?』


京太郎「……誰かしらと一緒にいたんだなぁ」ハァ

京太郎(と、そんな風に毎日を過ごしていたら)

京太郎(この有様だよっ!)


京太郎「……待て待て、始業式は――9月1日」

京太郎「出された課題は……」

京太郎(おおう、こりゃヤバいぞ)

京太郎(どうしたものか……うーん)


京太郎(とりあえず、外に出てみた)テクテク

京太郎(決して、現実逃避じゃない)

京太郎(……ごめん、ちょっとそう思ってた)

京太郎(ま、まあ、歩いてればいい考えは浮かぶものだし……そう思っとこう)

京太郎「……ん?」

京太郎「あれは――」


京太郎「よっ、和」

和「あっ」

和「……須賀くん、こんにちは」ペコリ

和「偶然、ですね」ニコッ

京太郎「おう、そうだな」

京太郎「――なんか、用事だったのか?」

和「あ、いえ、そういうわけでは」

和「……何となく、外を歩いてみたくなって」

京太郎「そっか」

京太郎「それじゃあさ――せっかくだし」

――デパート

京太郎「……和ー、欲しい本、見つかったかー?」

和「あ、はい」

京太郎「ん? それって」

京太郎「……なんともまあ」

京太郎「味のありそうな、文学作品だな」

和「そ、そうでしょうか」

和「――全国大会が終わって」

和「胸のつっかえが、取れたような……そんな気がしたら」キュッ

和「何となく、本を読むことが日常になりまして」

京太郎「へぇ……」


京太郎(白いワンピースに、上品そうな帽子)

京太郎(なんともお嬢様然といった恰好だな……)

京太郎(――おい、どっかの似非文学少女。ここに本物の文学少女がいるぞ)


京太郎「――さて」

京太郎「会計も終わったところで、次はどうしようか?」

和「……」ポワー

京太郎「和?」

和「は、はいっ!」ビクッ

和「ど、どうしました?」

京太郎「どうした? なんか顔赤いけど……?」

和「だ、大丈夫ですっ!」ブンブン


和(な、何を考えているのでしょうか、私は)

和(……まるで、今の私たちは)

和(――いえ、やめましょう、こういう考えは)ブンブン

京太郎(どうも、様子がおかしいような気がしてならないんだよな……)


――デパート内・喫茶店

和「……美味しい、です」ニコッ

京太郎「そりゃよかった」

京太郎「うん、こっちも美味いな」

和「それは良かったですね」クスッ


京太郎「――安心した」

和「はい?」

京太郎「どうもさっきから、和の様子がおかしい気がしてたんだけど」

京太郎「ここに入って飲み物飲んだら、元気になったみたいで」

和「……も、もう」

和「大丈夫、ですから」プイッ

京太郎(……あれ? 耳元がまた赤く――?)

和(す、須賀くんは何を言ってるんですか……はぁ)カァァ

和(――こ、これじゃあ)

和「……デートじゃ、あるまいし」ボソボソ

京太郎「ん?」

和「――!?」

和「ご、ごめんなさい! な、なんでもありませんっ!」ガタッ

京太郎「の、和! 声おっきいって!」アセアセ

和「……!」ハッ

和「ご、ごめんなさい……」ストン

京太郎「――そ、そろそろ出ようか?」

和「……は、はい」


――再び外

京太郎「……」

和「……」

京太郎「――さっきより、暑いな」

和「は、はい」

和「こ、こんなに暑いと……汗が気になりますね」

京太郎「そう、だよなー……」


京太郎(たしかに、和も結構汗かいてるみたいだ)

京太郎(……となると、和の服は)チラッ

京太郎(な、なに考えてんだ俺はっ)ブンブン

和「……須賀くん、どうかしましたか?」

京太郎「な、なんでも、ない」

和「……?」


和(須賀くんの視線の先は――私?)

和(私の服、でしょうか……?)

和「……須賀くん?」

京太郎「な、なんだ、和?」

和「は、恥ずかしいことは禁止、ですっ」カァァ

京太郎「……あっ」

和「……///」

京太郎「――ごめんなさい」

和「……今回きりですからね?」

京太郎「はい……」

和「それじゃ、許してあげます」ニコッ

京太郎「ありがとうございます……」

京太郎(――うう、怒られちまった。けど)

京太郎(良かった。和がなんだか、さっきより柔らかくなったような気がする)

和(……やはり、この服では少し肌が気になりますね)

和(――それに、胸も)パタパタ

和(優希がよく言いますが、本当に大きいのがそんなに羨ましいのでしょうか)

和(肩は凝りますし、男性の視線が気になりますし)

和(……そんな、嬉しいことでも――)ハッ

和「須賀くん……?」

京太郎「――!」

京太郎「お、俺は、その」

京太郎「決して、和の胸とか――あっ」

和「……」

和「――ペナルティ二回目、ですね」ハァ

京太郎「す、すみません」

和「……」


和(こ、これだから男の子は……!)カァァ

和(うう――須賀くんにはもっとキツく言った方がいいのかもしれませんが)

和(いかんせん、その、普段お世話になってる分、そういうことはなかなか言いにくいと言いますか……)

和(それでも)

和(言った方が、いいんでしょうね)

和「須賀くん」キリッ

京太郎「は、はいっ!」

和「……その」

和(私に嫌らしい目を向けるのは、そろそろやめないと怒りますよ)
和「私のこと、そんなに気になりますか?」


京太郎「……へ?」

和「」

和(――え、い、今、私は何て言いました?)

和(え、ええと、須賀くんを嗜めるべく言葉を発したはず、なのですが……)

和(――あら?)カァァ

京太郎「……え、ええと」

京太郎「そ、それは――和は美人だし、気にならないと言えば嘘に」

和「い、今のは無しですっ!」

京太郎「え?」

和「だ、だから、その」

和「い、今のは――」

和「し、失礼しましたっ!」タタタッ

京太郎「え、おいちょっと、和!?」

和「ま、また次の機会にっ!」

京太郎(……走って、一目散に帰ってしまった)

京太郎(しかし、さっきの質問――)

京太郎(言葉通りの意味なのか、それとも?)

京太郎「……考えるのは、やめておこう」カァァ


和「……///」

和「ど、どうしてどうして?」

和「私、は――!」

和「……」

和「帰って、お風呂に入りましょう」

和(そうすればきっと、この熱も――)

和「消えてくれます、よね?」カァァ

ここまでになります。

純然たる和ルートですね、これは……
久々に、清澄Verの和ちゃんが大勝利といったところでしょうか?
なお、ルート選択によっては、宮永家ルートもある模様。

それでは、また。

ポンコツ姉妹の話。

――宮永家

咲「……」

>さあ、力を『解放』するよ……
>や、やめろー!

咲「……ああ」ゾクゾク

咲「なんだろう、なんでこんなに面白いんだろう」

咲「……」


咲「――そうだ!」

咲「今なら私も、超能力を使える気がするっ!」

咲「例えば――人の考えてることが分かるとか」

咲「『宮永さん』がここに誕生するとかっ!」


照「――ただいま」

咲「あ、お姉ちゃんおかえり」

咲「……」ジーッ

照「なに?」

咲「えっ」

咲「な、なんでもない、よ」プイッ

照「そう?」


咲「……」

咲(集中しろ、私)

咲(そうだ、私は心が読める心が読める心が読める……!)ジーッ

照(なんか、咲の表情が怖い――)


照(そうだ、咲に聞いてみる前に、冷蔵庫からプリンを取って来よう)

咲(! お姉ちゃんが動いたっ)

咲(あれは――そうだ!)


――『プリン、食べよう』


咲(そうに違いないよっ!)

照「ふぅ、プリン美味しそう……」

咲「当たったーっ!」ガタッ

照「わっ!?」ビクッ

咲「やったー!」

照「さ、咲?」

咲「ふふふ、お姉ちゃん」

咲「これで私も、『宮永さん』だよっ」

照「み、宮永さん?」

照(まさか……咲が『琴浦さん』になるってことは)

照(い、いや。私がプリンを食べようとしたことを分かるなんて)

照(超能力でもないと、説明つかない!)


照「……ところで、『真鍋くん』はどこにいるのかな?」

咲「へ?」

照「もしかして――」

咲「わ、私用事思い出したから部屋に行くねっ!」ダッ

照「ま、待ちなさい咲っ!」


階下>お姉ちゃんは認めないぞーっ!

咲「……あぁ」

咲「そういえば、考えてなかったよ」

咲(私が超能力に目覚めて、『宮永さん』になったってことは)

咲(それはつまり――相手がいるってことに……!)

咲「べ、別に、『真鍋くん』を期待したわけじゃ――!」ブンブン


>咲ーっ!」


咲「わけ、じゃ……」

咲「だ、だから、違うよっ」

咲(……『真鍋くん』が)

咲(――『京ちゃん』、なんて)

咲「違うよぉ……」


照(どうしたものか)

照(これじゃあ、咲が――あのエロスにっ!)

照(……いやいや、おかしなことを考えちゃいけないよね)

照「――あれ?」プルルル

照(家の電話……誰?)

照「はい、もしも――」ガチャッ

京太郎「あっ」

照「」

京太郎「……ご、ごめんなさい」

京太郎「さ、咲のケータイにかけようとしたら間違えちゃって」

照「……」

京太郎「あ、あの?」

照「――聞かせて」

京太郎「はい?」

照「咲は、どうして超能力を覚えたの?」ゴゴゴゴ

京太郎「……」

京太郎「は?」


照「咲が、人の心を読めるようになった」

京太郎「はぁ」

照「私がプリン食べようと冷蔵庫に向かったのが何故か分かった」

京太郎「はぁ」

照「……おかしい。きみが何かしたんでしょ?」

京太郎「――あの、いいですか?」

照「言い訳なら聞きたくな」

京太郎「照さんが冷蔵庫を開けようとした時に、咲がそう思ったのなら」

京太郎「照さんの好物をよく知ってるはずの咲がそのことを当てたとしても、驚くことでもなんでもないですよね?」

照「……」

京太郎「あの」

照「――言われてみれば」フム

京太郎(……姉妹揃って、何たるポンコツ!)

照「む! 超能力持ってない私が、何故か今の君の考えは読めた!」

京太郎「そうですか……はぁ」

照「き、君の表情まで分かる!」グスッ

京太郎(照さん、涙目なんだろうなぁ……)


京太郎「――っと、そろそろか」

京太郎「ごめんなさい、照さん。咲に連絡取りたいんで――」

京太郎「代わってもらえますか?」

照「……ふん」

照「い、一度私に電話を繋げたのが運の尽き!」

照「か、代わってなんてあげない」プイッ

京太郎「そうですか」

京太郎「それなら、咲のケータイにかけるんで」

京太郎「さよなr」

照「ま、ち、な、さ、い」プルプル

京太郎(声、震えてる……)


照「い、いい? 私が代わるから」

照「か、感謝して」

京太郎(うわ、めんどくさ)アキレ

照「咲ー! 須賀くんから電話!」

京太郎「……」

照「咲ー?」

京太郎「……」

京太郎(ポンコツ妹が下りてこない――)

京太郎(なんだか、嫌な予感が)

咲「あ、か、代わったよ」

京太郎「お、おう、咲」

京太郎「いやー、びっくりしt」

咲「京ちゃんのエロス! バカ!」

京太郎「」

咲「わ、私であんなことやこんなことを考えるなんて……」

咲「や、やめてよねっ!」

京太郎「……」

京太郎「咲?」

咲「な、なに?」

京太郎「相手の姿が見えないと、テレパシーは使えないぞ?」

咲「え、嘘!?」

京太郎「……」

咲「あ」

咲「……」

京太郎「――咲」

咲「……なに?」

京太郎「ごめんな、寂しかったんだな」

京太郎「今度一緒に、『琴浦さん』観ような?」

咲「きょ、京ちゃん! そ、その口調やめt」アセアセ

京太郎「……エロス、か」

咲「うっ」

京太郎「どっちが、エロスなんだろうな?」

京太郎「思考が読めないはずなのに、いきなり俺をエロスと決めつけるってことは」

京太郎「つまり、お前が勝手にエロいことを考えてたってことで――」

咲「も、もうやめてぇ!」カァァ

京太郎「……はぁ」

京太郎「それじゃな、咲。用事はまた今度でいいや」

咲「きょ、京ちゃん!」

京太郎「……あとな、咲」

京太郎「あんまり、男にエロスエロス言ってると」

京太郎「……本気にする奴いるかもしれないぞ」

咲「……」


照「咲? 電話、終わった?」

咲「」

照「……?」

照「咲?」

咲「……///」カァァァ

照「!」ハッ


――ちょっと後

京太郎「……」ゴソゴソ

照「どういうこと! 咲があんな顔するなんて!」

京太郎「……」カチコチ

照「そうだよね、君たちは高校生なんだから、間違いだってあるはず」

照「でも、それでも、ああいうことをするのはこうじょりょーぞくに反するわけで……」アセアセ

京太郎「――」カタカタ

照「だ、だから! その、とにかく、私の妹を、咲を、あんな赤くさせちゃ、ダメだよ、もう」ウンウン

京太郎(……お、この動画面白そうだな)カチッ

照「ふぅ、まったく。そう、君は咲とよく一緒にいるから、忘れがちだけど、あの子はそれはそれはもうね」

京太郎(――よし、マイリスト登録っと)カチカチッ


――咲の部屋

咲「……」ボーッ


――その気になるかもしれないぞ――


咲「」ハッ

咲「――」アセアセ

咲「///」カァァァ

咲「!!!」ゴロゴロ



咲「……京ちゃんの、エロス」ボソッ

ここまでです。

どこまでもポンコツすぎるこの姉妹……大丈夫なんですかね。
電話での京ちゃんのセリフが、咲ちゃんの脳内で勝手に変換されてるのはご愛嬌。

一旦、ここまで。

リクエストされた小ネタで応えられるものがそろそろ尽きたみたいです。ごめんなさい。

新しい小ネタ募集しますので、よろしくお願いします。


京太郎「……」

京太郎(やべえ、なんか咲に変なこと言ったような気がする)

京太郎(あいつ、下手な勘違いしてねえだろうな……?)


咲「……!」ゴロゴロゴロ

照「――咲」

照(……須賀くんのせいだ!(


京太郎(嫌な予感しかしない)

望さんに乗せられてアコちゃんちでアコちゃんと京太郎の神前結婚式ごっこ

明日からしばらく台湾行きます。
3月が終わる頃には帰ります。

たくさんリクエストいただいたので、今日書けるものは書きたいと思います。


それじゃ、>>99から。




京太郎(そうだ、あれは……)

京太郎(まだ小学生だった頃――)



――回想

京太郎「……」アレ?

京太郎(襖の隙間から、何か見える)

京太郎(あれは……なんだろ?)


憧「どしたの?」キョトン

京太郎「憧、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

京太郎「あれ、なに?」

憧「あれって――」

憧「あの服のこと?」

京太郎「そう、それ」

憧「――うーん」

憧「どっかで見たような気がするけど……」

京太郎「そうなのか」

憧「あれ、なんだっけ?」


望「なにしてるの?」ズイッ

京太郎「わっ」

憧「あ、お姉ちゃん」

望「なになに、二人して覗き見しちゃって」ニヤニヤ

憧「の、覗きなんかじゃないって!」

望「もう、憧ったら……ああ」

望「あの服がなんなのか、ってところかな?」

京太郎「そ、そうです」コクッ

望「ふーん……まぁ、いいや」

望「せっかくだし、ちょっと近くで見てみる?」

京太郎「えっ! そ、そんな悪いんじゃあ……?」

望「いいっていいって。ね、憧も」

憧「う、うん、わかった」コクッ

京太郎「――近づいてみたけど」

憧「やっぱり、分からない……」

望「そっか、分かんないか」

望「――これはね、結婚式に使う和服なんだよ」

憧「結婚……?」

京太郎「って、あの結婚ですか?」

望「それ以外に何があるの」

京太郎「い、いや。俺、結婚って教会とかでするものだって思ってたから」

望「いやいや、まだわからないと思うけど」

望「世界中で、結婚式には色んなやり方があるんだよ」

京太郎「へぇー……そっか、神社で結婚かぁ」

望「そうそう――で、憧?」

憧「――な、なに?」ビクッ

望「どうしたの? 随分とじっくり見てたけど」ニヤニヤ

憧「な、なんでもないっ」ブンブン

望「ふーん……」


望「――これは結構前にこの神社で結婚式を挙げた時に使われた衣装で」

望「憧はまだ小さかったから、その時のことを覚えてなかったんだね」

憧「そ、そうだけど」

望「……ね、憧?」

憧「――?」

望「これは、大人用の服なんだよ」

望「それを着て、昔ここで式を挙げた女の人がいたの」

憧「……ふ、ふーん」

望「――もしかして」

望「これ、着たかったりする?」

憧「そ、そんなわけないでしょっ!」アセアセ

憧「け、結婚なんて! そんなこと――早すぎるし」

望「ふーん、そっかー」

望「――ところで、須賀くん?」

京太郎「え、なんですか?」キョトン

望「……残念だけど、男の子用の服は無いんだ」

京太郎「い、いや! 着たいとか思ってないですって!」

望「ふーん……」ニヤニヤ

憧「へ、変な顔しないでよ!」プイッ


――少し経って

京太郎「それじゃ、そろそろ帰るよ」

憧「あ、京太郎……」

京太郎「ん?」

憧「そ、その」

憧「――ううん、なんでもない」フルフル

京太郎「そうか?」

京太郎「まぁ、何かあったら明日学校で」

憧「そ、そうだね」

京太郎「それじゃな」

憧「……バイバイ」


ピシャッ


憧「――」ハァ

望「良かったの?」

憧「な、なにお姉ちゃん」

望「……結婚」ボソッ

憧「!」ビクッ

望「とか、言いたかったりして」

憧「お姉ちゃんっ!」カァァ

望「……まぁ、憧」

望「今の私くらいの年になったら、あれも着られるから」

憧「だ、だから興味ないよ!」


京太郎「……」

京太郎(結婚って、教会とかで神父さんの前でやるイメージだったけどなぁ)

京太郎(――結婚、かぁ)

――現在

京太郎「……」

憧「どうしたの、ボケッとしちゃって」

京太郎「おう、憧か」

京太郎「……なんか、懐かしくて」

憧「その服が?」

憧「……そういえば、初めて見た時から、5年くらい経つのね」

京太郎「そうだな――」


憧「――さて、と」

憧「それじゃ、着替えてくるから」

京太郎「うん」

憧「……来ないでよ?」ジトッ

京太郎「当たり前だろ……」

憧「――信用していいのかなぁ」ハァ

京太郎「おい、待て」


ピシャッ



京太郎「――ったく、あいつは」

望「須賀くん」ズイッ

京太郎「わっ、望さん」

望「いやいや、まさか」

望「君が、任されてくれるなんてね」

京太郎「――ま、まぁ、憧に頼まれましたし」

望「それだけ?」ニヤニヤ

京太郎「そ、そうですって!」


京太郎(――こんな形で、あの時の服と『再会』するとは思ってなかった)

京太郎(なんでも、望さんが知り合いの編集者さんに)

京太郎(今度、雑誌で結婚式の特集を組むから、イメージ写真を撮ってきてくれないか、と頼まれたらしい)

京太郎(ドレスの写真は別の人が担当するから、望さんに頼まれたのは――)

京太郎(和装での写真、だった)


望「――まぁ、私のカメラの腕前はお察しだから」

京太郎「そ、そうなんですか」

望「須賀くんが名乗りを上げてくれるなら、私が下手で良かったと思うけどねー」

京太郎「な、なに言ってるんですか!」

望「はは、ごめんごめん」ニコッ

望「――さて、と。そろそろ憧の手伝い、行ってくるかな」

望「……着いてきてもいいけど、覗くならバレないように、だよ?」クスクス

京太郎「だから、行かないですってば」アキレ

――数分後

京太郎「……そろそろ、かな」

京太郎(あの服を着た、憧か)

京太郎(なんか、想像つかねえな――)


望「お待たせー」

京太郎「あ、どうも」

望「……心の準備はいい?」クスッ

京太郎「え、なんですかその台詞は」

望「ま、いいみたいだし――憧、入って入って!」グイッ

憧「わ、お、お姉ちゃん! 引っ張らないで――」アセアセ


京太郎(――憧が部屋に入ってきた)

京太郎(いや、なんというか)

京太郎(俺が知っている『新子憧』とは、また随分と違う)

京太郎(普段、こいつが一丁前に着けている背伸びした感じのコロンとかは取り払われて)

京太郎(和装に相応しいメイクが施されている――望さんの手によるものだろう)

京太郎(……いや、凄いな、これは)


京太郎「……憧」

憧「――な、なによ?」

京太郎「似合ってる」

憧「へ?」ピタッ

京太郎「……さ、さあ、写真撮るぞっ!」

憧「え、え、なに?」アセアセ

望「いやー、青春だねー」

憧「お、お姉ちゃん!」カァァ

京太郎「の、望さん! そこのカメラ取ってください!」

望「はいはい」


京太郎「――それじゃ、撮るぞ」

憧「う、うん」

京太郎「……」

憧「……」

望「――須賀くんが、憧と一緒に写りたそうな顔を」

京太郎「し、静かにして下さいって!」

憧「しゅ、集中できないでしょ!」

望「はいはい」

京太郎「――1、2の」

憧「……」

京太郎「3っ!」パシャッ

憧「――お、終わった?」

京太郎「終わったぞ」


望「どれどれ――おお、これは」

望「須賀くんの憧に対する想いがこもったいい写真だね!」

京太郎「……そ、そういうこと言わないでください」

望「え? 私、別に変なこと言ってないよ?」ニヤニヤ

望「ねぇ、憧?」チラッ

憧「も、もう黙っててよ、お姉ちゃんは……」プイッ

望「はいはい」


京太郎(こうして――撮影は終わった)

京太郎(望さんが、『そういえば、今は男用の服もあるけど着る?』などと言ったのを辞して)

京太郎(そろそろ帰ることにした)


京太郎「……それじゃ、また」

憧「う、うん」

京太郎「――ま、また明日学校で」

憧「う、うん」

二人「……」


望「行っちゃったねー」

憧「……」

望「――『う、うん』」

憧「!」

憧「お姉ちゃん……?」ブルブル

望「まったく、あんたはロボット?」

望「同じことばっかり繰り返して――『う、うん』」

憧「……///」カァァ


憧「お姉ちゃんっ!」

望「うわ、妹が怒った!」


京太郎「……」

京太郎(あの写真)

京太郎(俺の、想いとか)

京太郎(そんなもん、あるわけねえだろ)

京太郎「……良く、撮れてるといいな」ボソッ

京太郎(――い、今のは嘘!)カァァ

長くなってしまった。
回想シーンが冗長だったような気がしますね……。

そんなこんなで結婚モノでしたが、望さんが目立ち過ぎたような気もします。
書いてて楽しかったのでいいかな。

それじゃ、書けたらもう一つ。

ごめんなさい、ここまでになりそうです。

それでは、また三月の終りか四月に会いましょう。
……無事に帰れるといいけど。

興奮して眠れない、ということにこの年でなるとは……
というわけで、一本。

和VS咲。


――清澄高校

京太郎「……」


和「――では、宮永さん?」

和「来週は、予定があるのですね?」

咲「う、うん」

和「分かりました」

咲「――で、でもっ」


和「それでは、須賀くん」

京太郎「お、おう。なんだ?」

咲「ううー……」ジーッ

和「今週は、私と一緒にいてくださいますか?」

京太郎「……そ、そうしよう、か」

和「はいっ」

京太郎「――」

咲「むー……」

京太郎(どうしてこうなった――)


京太郎(所謂、フラグというものがある)

京太郎(それを立てていけば、お相手との恋は一直線)

京太郎(そして、いつかはエンディング……のはずだった)

京太郎(何を間違ったか、俺は――)


咲「や、やっぱり、原村さん」

和「どうされました?」

咲「――こ、今週、なんだけど」

咲「私、は」

和「……」

和「宮永さん」

咲「!」ビクッ

和「私としても、なるべくならば宮永さんと」

和「足並みを揃えて――」

京太郎「……」

和「須賀くんと、一緒に」

咲「……原村さんは、優しすぎるよう」ウルッ

咲「だ、だって、そんな風に気遣ってくれちゃったら、私――」

和「でも」

和「私は宮永さんを信頼してます」キュッ

咲「……私だって、原村さんを信頼してるもん」キュッ

和「――宮永さん」

咲「――原村さん」

二人「……」


京太郎(――もう、二人で付き合っちゃえばいいんじゃないかな)

和(ダメです)

咲(それはダメ)

京太郎(こいつら――直接脳内にっ!)


京太郎(何を間違ったか、俺は)

京太郎(この二人に、フラグを立ててしまっていた、という話――)



和「とはいえ」

和「宮永さん。私たちには、はっきりさせないといけないことがあるのも事実。違いますか?」チラッ

咲「わ、分かってるよっ」チラッ

二人「……」ジーッ

京太郎「?」


咲「――それじゃあ」

和「勝った方が、週末に須賀君と」

咲「一緒にいる権利、だよねっ!」

京太郎(――また、か)ハァ


京太郎(こいつらが何かにつけて勝負し、その度に俺が振り回される)

京太郎(慣れた、といえば慣れた)

京太郎「……けどやっぱり、何か男として間違ってるような気がするなぁ」

咲「ほら、京ちゃん!」ギュッ

和「行きますよ、須賀くん!」ギュムッ

京太郎「お、おう!」

京太郎(当然のように、左右の腕を組まれる)

京太郎(慣れた、といえば慣れた――)

京太郎(……やっぱり、間違ってないか、俺?)

――数時間後

京太郎「」プスプス

和「……ふぅ」

咲「結局、三麻ばっかりだったね……」

和「――宮永さんは、20回1位」

咲「――原村さんも、20回1位」

二人「……」ジーッ

京太郎(――え、俺?)

京太郎(聞くなって……そうだよ、全部最下位だよっ!)

京太郎「……メゲるわぁ」ハァ


和「須賀くん!」

咲「京ちゃん!」

京太郎「……なんだ?」

二人「今度は、料理対決(です)!」

京太郎「……」

和「そ、それじゃ、今度は」

咲「私の家でどうかな? 今日、お父さんもお姉ちゃんもいないし」

和「――望むところです」ギュムッ

咲「――負けないよー」ギュッ

京太郎(は、はは)

京太郎(右にまな板、左におもち)

京太郎(……これでいいのか、俺の高校生活は――?)


和「……胸の勝負だったら、勝敗つきますのに」ボソッ

咲「は、原村さん! 決めたでしょ!」アセアセ

咲「そ、そーいう自分でのレベルアップが難しいことを勝負するのはやめるって!」ムー

和「そうでしたね、ごめんなさい」

咲「……でもなぁ」ペタペタ

咲「はぁ――お姉ちゃん見てると、私には可能性ないもん」

和「咲さんったら」クスッ

京太郎(――どうでもいいけど)

京太郎(俺を挟んで、何つー会話してんだこいつら)

京太郎(つーか、肘にまな板とおもちが当たってるんだけど――いや、もう慣れてたんだ)

京太郎(それこそ、最初の頃は抑えるのが大変だったなぁ……どことは言わないけど)


京太郎「――これで、いいのかもな」ボソッ

京太郎(なんだかんだで)

京太郎(こうして、俺のこと考えてくれてるのって嬉しいし)

京太郎(――でもなぁ)


和「……いつかは」

咲「うん、いつかは」

二人「――ホントの、勝負っ!」


京太郎(その『いつか』が来ないでほしいような、来てほしいような――)

京太郎(どうなるのかな、俺は?)ハァ

ここまでです。

どうしてこうなった。フラグをミスった京太郎。
ハーレムルート突入――それは、茨の道だった。
とは言いながらも、なんだかんだで自分を肯定する京太郎が書きたかった(小並感)

それじゃ、また。
多分、今回のでいったん終わりです。

帰国。さあ、書こう。
充電充電。

――阿知賀学院


ガチャッ


京太郎「……あ」

灼「あれ?」

灼「……また京太郎くん一人?」キョトン

京太郎「まあ」

灼「ふーん」

灼「――ね、もしかして他の部員の子たちに」

京太郎「ハブられたりしてるわけじゃないですよっ!?」

灼「またまた、ムキになっちゃって」クスッ

京太郎「そ、そういう灼さんはどうなんですか?」

京太郎「クラスで一人、なーんて……」

灼「――」ズーン

京太郎「――ごめんなさい、越えちゃいけないライン考えてませんでした」

灼「な、なんでホントに孤独みたいなことに!?」ガーン

京太郎「い、いや、その……」

灼「――もうっ」


ポスッ


灼「いいから」

灼「――ね?」クルッ

京太郎「は、はいっ」

京太郎「……今日は、どれくらいで?」

灼「いつも通り」

灼「みんなが、来るまで――」ピトッ

京太郎「はい」


灼「――」

灼(いつからだっただろう?)

灼(最初の頃は、とにかく顔が赤くなるばかりでまともに会話すらできなかったし)

灼(膝に乗るだけで身体が震えちゃうし、ロクなものじゃなかった――それでもやっちゃってたんだけど)

灼(でも)

灼「ね、京太郎くんはどうするの?」

京太郎(灼さんの髪、ボウリング場の匂いするなー……)

灼「聴いてる?」ムッ

京太郎「え、あ、いやごめんなさい!」

京太郎「灼さんから良い匂いがしたからっ」

灼「……え?」ピクッ

京太郎(あ、やべえ。語弊あったな)

灼「――そ、そういうこと言わないっ」プイッ

京太郎「すみません……」

灼(――むぅ)カァァ


灼「だから」

灼「今度の地区大会のことだよ」

灼「――男子部員も個人戦で参加できるはずだよ」

京太郎「そう、なんですけどね」

京太郎「俺、まだまだ全然打てないから」

京太郎「穏乃や憧に笑われるわ、和にはオロオロされながら慰められるわ」

京太郎「散々なもんですからねー」

灼「……でも」

灼「いつかは、上を目指さないと」

灼「――こんな風に、私の椅子になってるばかりじゃダメだよ」

京太郎「いや、それは灼さんが勝手にやってるだけじゃ」

灼「そ、それはともかくっ!」アセアセ

京太郎(二人とも前を向いてるから顔は見えないけれど)

京太郎(――灼さんの耳、赤いなぁ)

京太郎(今日、そんな寒かったか?)

灼(もうっ……)カァァ


灼「それじゃ、先輩命令」

灼「――京太郎くん、地区大会に出なさい」

京太郎「そうしたいのは山々なんですけどね」

京太郎「……いかんせん、実力が足りなすぎるというか」

灼「――!」

灼「そんな風に、最初からあきらめちゃダメだよ!」クルッ

京太郎(うお、こっち向いた!)

灼「……一回、試合しないと」

灼「見えてこないものだって、あるはずで」

灼「――ハルちゃんだって」

京太郎(……赤土先生も、か)

京太郎(そういえば、何かあったって話を聞いたな……)

京太郎「――灼さんがそこまで言うなら」

京太郎「分かりました。須賀京太郎、出陣しますっ」

灼「京太郎くん!」

京太郎「――もしも、勝てたら」ボソッ

灼「?」

京太郎「いえ、なんでもありません」

灼「――怪しい」ジトッ

京太郎「い、いや、そんな怪しいもんじゃ」

灼「ほら、言って」

京太郎「だ、だから」

京太郎(か、顔! 顔近い、灼さん!)

灼「――言わないと」


晴絵「みんなやってるー?」ガラッ


灼「」

京太郎「」

晴絵「あれ、雀卓はまだ稼働してない、か――あれ?」

二人「……」

晴絵「……」

晴絵「――なにしてんの、あんたたち?」アキレ

京太郎「こ、これはちがっ」

灼「ハルちゃん、違うの!」

晴絵「……んー?」

晴絵「私には、二人が抱き合って仲良く話してるようにしか見えなかった――というか」

晴絵「現に、まだそんな体勢だし」

灼「――!」

灼(……居心地よすぎて、離れてなかった!)

京太郎(なんたる失態!)

晴絵「ま、いいけどねー」

晴絵「はぁ……あたしの頃にそんな青春あったらなぁ」クスッ

灼「だ、だからっ」

京太郎「誤解ですって!」

晴絵「それを誤解とみるのはさすがに、ねぇ?」ニヤニヤ

二人(……返す言葉もない)


晴絵「まぁまぁ、頑張りなさいな」

晴絵「――それじゃ、私職員室に一旦戻るから」

晴絵「穏乃たち来たら、ちゃんと練習するんだよー?」ヒラヒラ

京太郎「……」

灼「……」

灼「――!」カァァ

京太郎「ど、どうするんですか、灼さん?」

灼「……こ、これからは」

灼「充電、禁止」

京太郎「――別に、俺は構いませんけど」

京太郎「灼さんはできるんですか?」

灼「か、可能な限りは!」

京太郎(……不安だ)


京太郎「まぁ、なんにせよ」

京太郎「怒られるようなことがなくて良かったですね」

灼「……」

京太郎「灼さん?」

灼(――怒られる? そんなの全然大したことじゃない)

灼(問題なのは……)

京太郎「ど、どうしたんですか?」

灼「――ハルちゃんの目、笑ってた」

京太郎「へ?」

灼「あれは、きっと」

灼「――」カァァ

京太郎(顔が真っ赤だ、これ以上は踏み込まないでおこう)

灼(ハルちゃんに誤解された京太郎くんとはそういうのじゃないのにこれじゃ私は後輩を椅子にして落ち着いてたということでそれは先輩として)

京太郎(どうせ、頭の中がグルグルして対処するのに困ってるんだし、なぁ)

灼(――暑い)ハァ

ここまでです。
なお、ハルエが乱入してきた後もずっと膝に座ったままでいた模様。
……灼ルート、なんて奇怪なものに。

台湾は暑かったです。東京寒い……。
それじゃまた。

――阿知賀学院

穏乃「それじゃあ」

穏乃「咲さんは譲らない気だね?」

咲「は――う、うん」

咲「私は、絶対に認められないよ」

穏乃「そっかぁ」

咲「そ、そうだよっ」

咲「わ、私、誰より好きな自信あるもん!」

穏乃「――私だって」

二人「……」




穏乃「――カレーは、豚肉!」

咲「牛肉っ!」

穏乃「……どうしても」

咲「認められない、みたいだね」

二人「――勝負っ!」ジャラッ




>ウワー、リンシャンカイホウダー!
>ソ、ソンナ、ワタシノヤマガッ!

憧「……で」

憧「最初の意味深な会話は結局なんだったの?」

玄「私、カレーは鶏肉かなー。憧ちゃんは?」

憧「――いや、もういいわ」

玄「えへへ、今度メニューに加えるんだー」

憧(……この人たち、ホントに女子高生なのかな?)


京太郎「い、いや、まぁ」

京太郎「あいつららしいな、うん」

憧「……ふーん」

京太郎「な、なんだよ、その顔は」

憧「なんでもー」

京太郎(……まさかな)

――帰り道

京太郎「それじゃ、また」

穏乃「また明日ー!」

咲「さ、さよなら」

玄「うんうん! カレー食べたいね!」

憧「あんた、さっきからそればっかじゃない……」

憧「――ところで」

京太郎「!」

憧「……いや、やっぱりやめとくわ」

京太郎「……なんだ?」

憧「なんでもー」

玄「さ、帰ろっ!」

憧「そ、そうね」

憧「それじゃっ!」

玄「――頑張って!」

京太郎「!?」


――二人の姿が見えなくなって

京太郎「……玄姉ちゃん、まさか」

京太郎(まさかな……)


京太郎「――それじゃ、かえr」

穏乃「いやー、京太郎、暑いねー」

咲「ほ、ホントにねー」

京太郎(右に穏乃、左に咲か……)

穏乃「夏の定番と言ったら――山だよねっ!」

穏乃「というわけで、京太郎! 夏休みに入ったら、山へ行こうっ!」

咲「だ、ダメだよ穏乃ちゃん」

咲「――きょ、京ちゃんはインドア派なんだから」

咲「私と、一緒にゴロゴロと……」

穏乃「えー? 京太郎、よく体育の時間に張り切ってるよ?」

咲「そ、それは……と、とにかく! 穏乃ちゃん!」

穏乃「えー、咲さん、それはないよー」

京太郎(……右と左が、やけに騒がしい)

京太郎(こうなったのはいつ頃からだったっけ?)

京太郎(――やけに外で遊ぶのを提案する穏乃に対し)

京太郎(あくまでも、中で遊ぶのを勧めてくる咲)

京太郎(……ああ、そうだ。優柔不断な俺が原因だった)


穏乃「じゃあ、そうだっ」

穏乃「京太郎に決めてもらおう!」

穏乃「――山だよね?」

咲「……ど、どっか涼しい所だよね?」

京太郎(そして、二人は他の連中にこうした関係を知られることを拒んでいる)

京太郎(その理由はなぜか、と聞いたら、穏乃曰く「もう咲さん以外にライバル増やしたくないし」)

京太郎(咲曰く「人数は少ない方がいいもん」)

京太郎(……なんとなく分かるような分からないような――とはいえ、今日のカレーにはさすがに無理g)

二人「京太郎(京ちゃん)っ!」

京太郎「わかったわかった」

京太郎「分かったから、そう引っ付くのはやめてくれ……」

穏乃「そうなりたくなかったら――」

咲「もっと早く決めてっ!」

京太郎(しかも厄介なことに、こいつら妙にウマが合う)

京太郎(あまりに活発的な穏乃と、なかなか内向的な咲)

京太郎(――ここまで反対だと、逆に惹かれあうのか?)

穏乃「ちょっと!」

咲「京ちゃん、ちゃんと聞いてる!?」

京太郎「お、おう」

京太郎「それじゃあ」

京太郎「――間を取って、町中で」

穏乃「ダメ」

咲「却下だよ」

京太郎「……はぁ」

京太郎「とりあえず」

京太郎「付き合う以上、手は抜かないからな」

京太郎(こんなところまで、雑用体質……)

穏乃「つ、付き合うって――!」

咲「きょ、京ちゃん、大胆すぎるよっ!」

京太郎(――どうしてポンコツなとこまで似るんだよ!)


穏乃「それじゃ、最初の週は一緒でっ!」

咲「――じゃ、じゃあ、私はその後で……」

二人「……」

京太郎(右と左の気迫が凄いことに)

京太郎(――そして、押しつけられる部位の、あまりの肉付きの無さに泣けてくる)

穏乃「……ね、咲さん。まずは京太郎をやっつけようか」

咲「そうだね、そうしよっか」

京太郎(だから勝手に考えを読まないでくれ……)


京太郎(――こうして)

京太郎(優柔不断な俺が巻いた種は、夏に花開くことになるのかどうか)

京太郎(そして、その花がどんな風に開くのか)

京太郎(この時の俺は、まだ知る由もない……)

ここまでです。
書きながら投下してみました。
しかし、そうしたらやけに和と咲の話と似てしまったような……推敲って大事。

さて、相変わらずフラグを放置して、夏休み突入という感じです。
なお、開く花には色々あり、どっちか一方ルート
二人同時ルート、バッドエンドデッドエンドルートまで取りそろえられている模様――いや、考えてません。

それじゃ、また。

――宮永家

京太郎「……」

京太郎(さて、呼び鈴を)ピンポーン

京太郎「――あれ?」

京太郎「おかしい、なんで出てこないんだ?」


咲『今日は家で、今期アニメの最終回一気に観るんだよ!』

京太郎『へぇ』

咲『……』

咲『ど、どうしてもって言うなら、京ちゃんの参加を認めてあげないこともないよ?』チラッ

京太郎『そう……』

咲『――』チラチラ

京太郎『……』

咲『……』ウルッ

京太郎(めんどくさい……)

京太郎『それじゃ、行くよ』

咲『――!』パァァ

咲『そ、そんなー。べ、別に無理して来てもらわなくたっていいんだけどなぁ』テレテレ

京太郎『じゃあやめr』

咲『――』グスッ

京太郎『……はいはい』


京太郎「……あのバカ」

京太郎(せっかくここまで来たってのに、この仕打ち)

京太郎(――帰ってもいいけど、せっかくここまで来たのに、という悔しさもある)

京太郎「……ダメもとで」

京太郎「す、すみませーん」

京太郎「だ、誰かいらっしゃいませんかー?」

京太郎「……」

京太郎(まぁ、望み薄だとは思ってたけどさ)


京太郎「仕方ない、帰るk」

?「ねえ、そこの金髪不良少年」

京太郎「……インターホンから聞き覚えのある声がしますね」

?「ここに、入りたいの?」

京太郎「は、はい」

京太郎「――咲のやつに、呼ばれてきたもんで」

?「……」

――宮永家・リビング

照「……」

京太郎「……」

照「――それで」

照「今、咲は出かけてる」

照「……どこ行くかは、聞いてない」

京太郎「教えてもらえなかったの間違いじゃ?」

照「――!」ムッ

照「と、とにかく。私にも分からない」プイッ

京太郎「……そうですか、わかりました」ペコリ

京太郎「とりあえず、上がらせて頂いてありがとうございます」

照「――ホントは、入れたくなかったんだけどなぁ」ボソッ

京太郎「心の声、洩れてますよ……」

照「別に、いいもん」プクーッ

京太郎(どうしてこういうポンコツな所は似るのかねぇ)ハァ


照「――ともあれ」

照「そもそも、こうして須賀くんを招いたことには、一つの重大な理由がある」

京太郎「重大な、理由?」

照「――結局」


照「咲とは、どうなってて、これからどうなって、今後私たちはどうなっていくの?」

京太郎「まずは落ち着いて、日本語をしっかりと話してください……」


京太郎「まあ、なんとなく聞きたいことは分かりました」

照「……なんとなくじゃ、いまいち不服」

京太郎「――つまり、咲とどういう関係で、これから俺がどうしていきたいか、ですね?」

照「……そこまでわかってるのに、なんとなくって言ったのは、嘘つき」プクーッ

京太郎(……めんどくさい)


京太郎「――結論から言いますけれど」

京太郎「俺は、咲に……その」

京太郎「『幼馴染』以上の気持ちを持ってる、気はします」

照「……」

京太郎「高校生活が始まった頃とかは、そんな感覚はなかったんですけど」

京太郎「――麻雀部に入ってから」

京太郎「俺にだけ強気で、皆には凄く内向的で」

京太郎「……そんな咲が、少しずつ変わっていくのを近くで見てて」

京太郎「なんとなく、思いました」

京太郎「あ、これ、もしかして、って……」

照「――そう、なんだ」

京太郎「はい」

照「……」

京太郎「照さん?」

照「――やっぱり」

京太郎「はい?」

照「やっぱり、ダメ!」ガタッ

京太郎「え、ええ?」

照「咲は――あの子は、私の大事な妹!」

照「一緒に漫画読んだり、アニメ観たり……時々、一緒に寝たり」

照「――そういう積み重ねた思い出、須賀くんにはないでしょ?」

京太郎「……そう、ですね」

京太郎「けれど」

京太郎「俺は、照さんが知らない咲を知ってます」

京太郎「麻雀部での咲、クラスでの咲、そして――」

京太郎「……俺の部屋にいる時の、咲」

照「……ふ、ふん!」

照「じゃ、じゃあ聞くけど? 咲の『身体』のこと、知ってる?」

京太郎「――身体!?」ガタッ

京太郎(な、なんだそれ? まさかあいつ、俺に隠してる難病とかが!?)

照「ふん、知らないみたい」

照「……あの子はね」

京太郎「――」


照「胸にホクロが、ちょこんと付いてる」

京太郎「……」

照「実は、最近下着が、ほんのちょっとキツくなってきたらしい――」

京太郎「…………」

照「――そして、極めつけは」

京太郎「いや、もういいです」キッパリ

京太郎「感想は、『その下着は、本当にほんのちょっとキツくなっただけなんだろうな』だけでした」

京太郎「それじゃ俺、咲の部屋で待ってまs」

照「ま、待ちなさい!」ガシッ

照「い、今の話は、私が女の子で、咲のお姉ちゃんだから知ってる話!」

照「だ、だから――す、須賀くんには、咲の『絶対に』知りえない顔がある!」

照「……私は、お姉ちゃんだから」

京太郎「……照さん」

京太郎「本当に、あいつのことが好きなんですね」

照「……!」

京太郎「でも」

京太郎「――やっぱり、照さんと俺はちょっと違うかもしれません」

京太郎「俺は、あいつの知らない顔があったとしても」

京太郎「……それでも、構わないって思います」

照「ウソ」

京太郎「ホントですってば」

照「――嘘つき」ムッ

京太郎「はいはい――」


京太郎「さて、と」

京太郎「それじゃ、そろそろ咲の部屋に――」

照「だ、だからダメ!」ガシッ

京太郎「えー……」

照「か、かくなる上は!」

京太郎「わ、ちょ、ちょっと照さん!」

照「実力行使!」グイイッ

京太郎「ひ、引っ張んないでくださいよ――って、わっ!?」

照「ひゃっ!?」



ドタンバタン



京太郎「……」

照「……」

京太郎(――なんてこった)

京太郎(照さんに腕を引かれるままに倒れた結果)

京太郎(俺が上で、照さんが下)

京太郎(……この体勢は、まさに)

照「――お、押し倒された……」アセアセ

京太郎「――!」

京太郎「ご、ごめんなさいっ!」

京太郎「す、すぐどきますから――ん?」ツルッ


フニュッ

照「」

京太郎(バランスを欠いた手首が、滑って)

京太郎(向かった先は――)

京太郎「……あ、これは、その」

照「」

京太郎「え、ええと」フニッ

京太郎「か、形がいいですね。ははは」フニッ

照「」

京太郎(咲より、ほんのちょっとだけ大きい、かな? いやいや、最近あいつも下着が――)

照「――須賀くん?」ゴゴゴゴ

京太郎「!」

京太郎「ご、ごめんなさいっ!」ガバッ

京太郎(こ、今度はちゃんと体勢整え直せた!)

照「……君は、今」

照「何をしたか――分かってるのかな?」ギュルルルル

京太郎(! あ、あれは、『コークスクリュー』!)

京太郎(ま、まずい、このままじゃ俺は――俺はっ!)

照「覚悟は、いい?」

京太郎「……」

京太郎「――照さん、ちょっとだけいいですか?」

照「なに?」

京太郎「ええと、たぶんですけど、さっき押し倒しちゃたせいで」

京太郎「――スカート、捲れたままですよ?」

照「……!?」バッ

京太郎(うん、全部は見えないけれど、所謂パンチラだ)

京太郎(――へぇ、照さんは咲のヤツとはちょっと違って、なんというか、その)

京太郎(咲がピンクでまだまだ中学生が履いてるようなやつなら、照さんは紫でいかにも大人っぽいヤツか……うん、やっぱりお姉さんなんだなぁ)

照「……」プルプル

照「――も、もう許さな」カァァ

照「……」ハッ

京太郎「――時間、稼がせてもらいました」

京太郎(照さんがアタフタしている間、俺の頭が無駄にピンク状態だったわけじゃない)

京太郎(少しずつ、怪しまれない範囲で、後方へと歩を進めていた!)

京太郎「それじゃっ!」クルッ

照「ま、待ちなさい!」ダッ

京太郎「――とりあえず」

京太郎「一旦、家の外へ……ん?」

京太郎(……おいおい、あれは)

照「追いついたよ、須賀くん!」

京太郎「……」

照「さぁ、かくg」



スパーン



照「」

咲「……え、ええと」アセアセ

咲「ご、ごめんね、お姉ちゃん」

咲「ちょっとだけ、眠ってて」

京太郎「……」

京太郎「――おい」

咲「ひゃっ、京ちゃん、なに?」ビクッ

京太郎「いつから、見てた? 聞いてた?」

咲「……」

咲「――途中から、だよ?」

京太郎「目線が逸れまくってる」

咲「……」

咲「――お姉ちゃんが、その」

咲「エッチな話、してたとこ」

京太郎「……そうか」

咲「うん」

京太郎「……」

咲「……」

二人(うわぁ、気まずい)




――咲の部屋

咲「お姉ちゃんは、ベッドに寝かせてるから大丈夫」

京太郎「そう、か」

咲「うん」

京太郎「……」

咲「――あ、あのね、京ちゃん」

京太郎「ん?」

咲「……そ、その」

咲「わ、私たちってさ、幼馴染だよね?」

京太郎「――まあ、一応な」

咲「……それ以上っていうのは」

咲「どの辺り、なのかな?」

京太郎「……」

咲「……」


京太郎「――ところで、咲?」

咲「――!」

京太郎「ええと、胸にホクロあるってマジか?」

咲「……へ?」ピクッ

京太郎「あと、ほんのちょっとだけ、お前のその平原に丘が出来てきたって話は?」

咲「……ん?」ピクピクッ

京太郎「――あ、悪い。『ほんのちょっと』って言っちまったな」

京太郎「咲の立場からすれば、『ちょっと』って言ってほしかっただろうn」

咲「京、ちゃん?」ゴゴゴゴ

京太郎「……」

咲「まさか、ね?」

咲「今の話の流れで、そんなエッチなことを本人に聞くってことは」

咲「――覚悟、出来てるよね?」

京太郎「……やっぱり、照さんのがずっと怖いな」

咲「……むっ」カチン

京太郎「――いや、まあたしかにエロい話はしたけどさ」

京太郎「つまり、言いたかったことは」

京太郎「ただの幼馴染じゃ、こんな話はきっと出来ないってだけ」

咲「……」

京太郎「そして、俺は――」

京太郎「お前と、そういう関係がいいなって思った。それだけっ」

咲「――」


咲「ねぇ、京ちゃん」

京太郎「な、なんだよ?」

咲「……いい話にまとめたつもりでいるみたいだけど」

咲「エッチな話を本人の前でこれだけしておいて、何もないなんて、思ってないよね?」

京太郎「――まぁ、胸のホクロなんて大して問題ないって」

京太郎「ああ、そうだ。今度、そういう系のファッション雑誌読むか?」

咲「京ちゃんっ!」


――隣の部屋

>ウワ、オマエチョットハテカゲンシロ!
>ウ、ウルサイ! モウコンドコソユルサナインダカラッ!
>・・・・・・オイ、スカートメクレテル
>!? キョ、キョウチャンノバカ! エッチ!


照「……」

照「――なんだか、なぁ」

照(自分が知りえない咲がいても、それでいい、か)

照(私は、そんな風に考えたこと、あったかな)

照(あの子のことなら、なんでも知りたいって――そう思ってたけれど)


照「……須賀くん」

照(今日は、負けかな)

照(――でも、あの子は)

照「渡したく、ないなぁ……」ギュッ

ここまでです。なんと長くなったことか……。
ちょっとシリアスでちょっとエッチな話――ラブコメの典型ですね。
なお、状況次第で照姉さんとのフラグが立つ可能性も存在する模様。

今更、某戦車アニメの最終回観ましたが、あれほどスッキリ爽やかに作品をまとめるってすごいことだなぁ、と。
あの姉妹は、(本編の)宮永姉妹とどこか被りますね……そこかしこで言われていることではありますが。

それじゃ、また。

――河原

和「まるで、夢のよう」

京太郎「……?」

和「ひょっとしたら、私は」

和「もうとっくに、夢の中から抜け出せなくなっていて」

和「その中で、ずっと」

和「彼をたぐる手を、止められなくなっているのかもしれない――」


京太郎「何かの引用か?」

和「最近読んだ、とある小説の一節です」クスッ

和「強く印象に残ってしまったみたいで……いかがですか?」

京太郎「いや、いいんじゃないか」

京太郎「――ただ、一つ」

和「?」キョトン

京太郎「その『私』は、夢の中にいるように感じていて」

京太郎「もしかしたら、そこには『彼』もいるのかもしれない――けど、手は届かない」

京太郎「……和」

和「はい」

京太郎「ここは、夢じゃない」

京太郎「――俺がいて、原村和がいて」


ピトッ


和「!」

京太郎「手を繋ごうと思えば、すぐに繋げる」ギュッ

京太郎「――大丈夫、和」

京太郎「俺は、ずっと離れないって」ニコッ


和「……」

和「も、もう」

和「別に、そんな重い話をしたつもりではなかったのに」

和「……『京太郎くん』は、そう考えるのですね」クスッ

京太郎「変かもしれないけど」

京太郎「和がちょっとでも不安を感じてるのなら、それは嫌だし」

和「――まったく、もう」

和「ふふっ」ニコニコ

京太郎「……」

京太郎(空が、青い)

京太郎(4月の陽気は、俺たちの身体を温め)

京太郎(――心も、温かくしてくれる)

京太郎(俺たちは、2年生になった)


和「――京太郎くん」

京太郎「和?」

和「……えいっ」


ダキッ


京太郎「……いきなり?」

和「ええ」ギュッ

和「たまには私から、というのも良いのでは?」

京太郎「――自分から、来れるようになったんだ」

和「そ、それは」アセアセ

京太郎「ちょっと前までは」

京太郎「『そ、そんな抱き着くなんて――ふ、不健全です!』なんて言ってたのに」

和「そ、その話はもういいじゃありませんかっ」カァァ

和「……今は」ピトッ

京太郎「ん」


和「――ねぇ、京太郎くん」

京太郎「どうした」

和「……幸せ、ですね」

京太郎「そうだな――全くだ」

京太郎「……ずっと、こうして」

京太郎「手を繋いで、歩けたらなぁ」

和「そんなこと」

和「簡単じゃ、ありませんか」

京太郎「そ、そうか?」

和「だって――」

和「あと、2年間もあるのですから」

京太郎「……あぁ、そうだな」


和「ゆっくりと、一歩ずつ」

和「一緒に前へ」

和「――お願いできますか、京太郎くん?」

京太郎「――仰せのままに、和さん」

和「もう、大げさですよ」クスッ

京太郎「大げさなくらい」

京太郎「好きなんだから、しょうがないだろ」

和「――そ、そんな風に平然と言わないでください」カァァ

京太郎「……顔、赤いぞ」

和「だ、誰のせいだと――!」


京太郎「和」

和「全く、京太郎くん、は――」

和「!」ハッ


チュッ


京太郎「……さて」

和「」

京太郎「それじゃ、どこか行くか」

和「」

京太郎「和?」

和「――こ、こんな外で」

和「なんてことを」プルプル

京太郎「……部屋の中じゃもっと素直なのにな」

京太郎「色々な意味で」ニッ

和「な、何を言ってるんですか!?」アセアセ

和「い、行きますよ」クルッ

京太郎「ん、わかった」


京太郎「……」

京太郎(こうして、一緒に歩いていける日常)

京太郎(ここに至るまで、色んなことがあった)

京太郎(本当に、色んなことが――)


京太郎(だからこそ)

京太郎(……こんなにも)

和「京太郎くん」

京太郎「和」


ギュッ


京太郎(――あったかい)

和ルート、完――ということになるのかな。

和とのいちゃいちゃという話にしては、どこか翳りがあるような描写になりましたが
それはここに至るまでの「色々」が関係しているためという感じです。
たとえば、幼馴染、好意を寄せる同級生、頼れる上級生――といった面々との関係だとか。
これは、和ルートのHappyEndですね……間違いない。

それじゃ、また。

もう一本。ちょっとリクエストと変わっちゃうかも。


――松実館

京太郎「なぁ、玄姉ちゃん」

玄「ん? なに、京太郎くん?」

京太郎「俺たちさ」

京太郎「ホントに、結婚したんだよな?」

玄「……」

玄「い、いきなりどうしたの?」カァァ

京太郎「え、えっと」


京太郎「結婚した割には」

京太郎「フツーにこの松実館にいて」

京太郎「宥姉ちゃんやお義父さんと一緒に仕事して」

京太郎「……いや、何も不満はないんだけど」

京太郎「どうも、実感が薄いというか」

玄「そっかー」

玄「そうだねぇ……」

玄「――んー」

玄「……」カァァ

京太郎「く、玄姉ちゃん?」

玄「あ、あはは」

玄「な、なんか、考えてたら急に」

玄「恥ずかしく、なっちゃって……」アセアセ

京太郎「――お、おいおい」


玄「ま、まぁその」

玄「ちょ、ちょっとお父さんに聞いてくるねっ!」タタタッ

京太郎「あ、ちょっと玄姉ちゃん!?」

――廊下

玄「……結婚、したんだなぁ」テクテク

玄(それも、つい昨日)

玄(穏乃ちゃんたちも来て、すっごくお祝いしてくれたっけ)

玄(……新婚旅行も、行かなかったし)

玄「ホントに結婚した、んだよね?」

玄「うーん……」

玄「あ、着いた着いた」


玄「お父さん、ちょっといいかな?」コンコン

父「ん?」

父「どうした、玄?」

玄「あ、あのね」

玄「ほ、ほら。私、つい昨日結婚したじゃない?」

父「うん」

父「……いやぁ、あの時の玄は綺麗だったなぁ」

玄「そ、そういう話じゃなくてっ!」


玄「どうも、ね」

玄「実感がない、と言いますか」

玄「京太郎くんが私の、その、夫になったということが」

玄「なかなか考えられませんな、と」

父「ふむふむ」

父「――ようするに、だ」

父「お母さんとの、『初めての夜』について聞きたい、と?」

玄「!?」

玄「い、いい、いきなりなんてことを!」カァァ

父「いやー、あの時の母さんは可愛かったなぁ」

父「夜、布団、電気が消えて――」

玄「お父さん!」


父「と、まあ、冗談はこの辺で」

玄「冗談の割には、えらくリアリティがあったけど……」ハァハァ

父「――京太郎くんと、結婚した玄にとって」

父「一応、今日が二人で過ごす『初めての夜』になるわけだ」

玄「あ、そっか」

玄(結婚式の日は、色々な方へのご挨拶だとかで)

玄(帰ってきたときはお互い疲れて、自分の部屋ですぐ寝ちゃったもんね)


父「――さて」

父「二人はもう、夫婦だ」

父「……そんな夫婦が今宵、『結婚初夜』を過ごそうとしている」

玄「そ、そんな大げさに言わないでよう……」モジモジ

父「玄」

玄「は、はいっ?」


父「……押し倒すってのはどうかな?」

玄「――」

玄「はいっ!!?」

――そして夜


玄「……あ、来た来た」

京太郎「う、うん」

京太郎「――布団」

京太郎「枕、二つ……って!?」

玄「……」


玄(ええと、まずムードをつくらないとだね)

玄「――月、綺麗だね」

京太郎「ええと、曇ってて見えなくないか?」

玄「……あ」


玄「こ、この布団ね」アセアセ

玄「いつもお客様にお出ししている布団より、ちょっとだけ高級なのです!」エッヘン

京太郎「え、そうだったのか?」

玄「はいっ!」

玄「いつかは、お客様も使えるようになるけど」

玄「――私たちが初めて使えるのですっ!」ニコッ

京太郎「お、おお……そう考えるとなんか嬉しいな」

玄(よ、ようし! 最初の失敗を取り返してきたよ私!)

玄(つ、次が肝心だね……!)


玄「京太郎くん!」

京太郎「は、はいっ!」

玄「……眠く、なっちゃったね?」

京太郎「――あ、もうこんな時間か」

玄「うん」

玄「……一緒に、ねよっか」

京太郎「――ああ、だから」

京太郎「……いい、のか?」

玄「え? 京太郎くんと一緒の布団で寝ること?」

玄「そ、それはいいに決まってるよー」

京太郎「い、いや、その」

京太郎「こ、こういう時ってさ、ええと」カァァ

玄「……」キョトン


玄「――!!?」ハッ

玄「え、えと、その」

玄「わ、わわ、私たち、昨日夫婦になったばかりで!」アセアセ

玄「そ、そそ、そのようなことはですね、あの」カァァ

京太郎「お、落ち着いて玄姉ちゃん」

京太郎「……玄姉ちゃんが嫌なら、やらないから」

玄「や、やるっ!?」ハッ

京太郎「だ、だからっ!」


――で、結局

京太郎「……」

玄「……」

二人(――あ、布団の中、温かいや)モゾッ




京太郎「なんかさ」

京太郎「こうして、二人で寝てると」

京太郎「安心する」

玄「そうだね……」

玄「――ね、京太郎くん?」

京太郎「ん?」

玄「私と結婚して、良かった?」

京太郎「――そりゃ、もちろん」

京太郎「玄姉ちゃんが奥さんなんて、嬉しすぎるって」

玄「……」

玄「ちょ、直球は禁止ですよ」カァァ

京太郎「え、なにそのルールは」


玄「……うう、でも」

玄「私に奥さんが務まるかなぁ?」

京太郎「務まるとか務まらないとかじゃなくて」

京太郎「――二人で一緒にいられること」

京太郎「それが、何よりも大事だろ?」

玄「――もう、京太郎くん」

玄「私のが、お姉さんなんだよ?」

京太郎「まあ、そうだけど、さ」

京太郎「――玄」

玄「――!?」ビクッ

京太郎「結婚したし、ちょっとくらいいいだろ?」

玄「……」

玄「――し、審議しないといけませんっ!」アセアセ

玄「私、お姉ちゃん、お父さんでっ!」

京太郎「玄」

玄「だ、だから、審議の結果が出るまでは、禁止ですっ!」カァァ

京太郎「玄」

玄「だーかーらっ!」

京太郎「……玄、好きだ」

玄「」


玄「……京太郎」

京太郎「ん」

玄「――」

玄「だ、だめっ! や、やっぱり恥ずかしいよう……」カァァ

京太郎「……玄」

玄「――!」

玄「……もう、審議は始まってもいないのに」プイッ

京太郎「ルール違反を許してください、姉さん女房」

玄「へ、変な呼び方も禁止っ!」アセアセ


玄「……」

京太郎「……」

玄「ねぇ」

京太郎「ん」


玄「……」

玄「――する?」

京太郎「……」

京太郎「――ああ、しよっか」

玄「うん」

京太郎「……いい、のか?」

玄「――すっごく恥ずかしいけど!」

玄「その、なんだか」

玄「……変な気持ちに、なってきちゃったみたい」モジモジ

京太郎「そっか」


――布団から出た二人は


京太郎「それじゃあ」

玄「うん」


――正座して、向かい合って……


京太郎「――よろしくお願いします、玄姉ちゃん」ペコリ

玄「――こちらこそよろしく、京太郎くん」ペコリ




――こうして

――二人の夜は、更けてゆく。

――いつしか雲は流れ、月明かりが照らし出す、部屋の中。

――お互いの肢体と肢体が、ふれあい、時にぶつかり合い

――そこは、二人にとっての天国。

――優しくし合うことを許された二人は、微笑み合い


京太郎「……玄」

玄「……京太郎」

二人「――好きだ(好きです)」


――まだまだ、夜は更けてゆく。

松実姉妹の玄ちゃんルート、HappyEnd。
この姉妹ルートの場合は、個別のHappyEnd、二人ともなハーレムEnd、そして……といった感じになりますか。
書いてて楽しかったです。

二人のうち余った側は、心の底から祝福してくれるので、よっぽどな行動をしない限りは――なにも起きないでしょうね。
逆に言えば……

それじゃ、また。

京太郎「……ほれ」

優希「ん、なんだこれは?」キョトン

京太郎「――あー、その」

京太郎「……なんでもねえ」

優希「ほー」


優希「ふむふむ」

優希「ようやく、私の犬だという事実を理解したようだな!」

優希「褒めて遣わすじぇ!」

京太郎「あー、まぁそれでいいや」

優希「む、なんだそのテキトーな態度は!」

京太郎「……とにかく」

京太郎「はやく、食え」

優希「ま、そーだな」

優希「なんにせよ、タコスはここにある」

優希「いただきまーすっ!」


優希「はぁ……美味いじぇ」モグモグ

京太郎「そうか」

優希「――ほ、ほんのちょっぴり腕を上げたな!」

京太郎「そうだな」

優希「……」

優希「なんか、その淡白な態度が気に食わないじょ」

京太郎「――どーでもいいから、早く食べきれ」

優希「むー……」モグモグ

優希「はぁ、腹が満たされたじぇ」

優希「――お、美味しかった、じょ」

京太郎「……なぁ、優希?」

優希「な、なんだ?」

京太郎「――ええと、その」

京太郎「おめでt」

京太郎「や、やっぱなんでもねえ!」プイッ

優希「――怪しい」


優希「……おめでとう?」

優希「一体、なにが――!?」

優希(ま、まさか、今日は……!?)

優希(――こいつ)

優希「……」

優希「いつだ?」

京太郎「は、はぁ?」

優希「お、お前の、その」

優希「……」

優希「誕生日、は」

京太郎「」


優希「……」

京太郎「――あ、えっと」

京太郎「……」

優希「……」

二人「……」


二人(なんだ、この暑さは……)カァァ

ここまでです。

ご満悦優希ちゃんとリクエスト頂いたものの……あれ、これは果たしてご満悦なのか?
ゆ、許してください。

それじゃ、そろそろリクエストお願いします。
残ったリクエストは、力量不足で書けないと思うので……

灼ちゃんに勝手に充電という特性を付けたら、一気にリクエストが増えましたね……
やはり、鹿倉胡桃ちゃんは偉大だった。

さて、そんなわけで充電。今回は、欲求不満の方で。


――部室

京太郎「こんちはー」ガチャッ

灼「あ、京太郎くん」ハッ

京太郎「あ、こんにちは灼さん」

灼「う、うん」コクリ


灼「……」モジモジ

京太郎「……」

灼「ねぇ」

京太郎「はい」

灼「――今日も、いいかな?」

京太郎「……灼さん」

京太郎「一つ、いいですか?」

灼「な、なに?」

京太郎「……個人的には、灼さんの、その、『椅子』になるというのは」

京太郎「嫌でもなんでもない、んですけど」

京太郎「――もし、充電してる最中に」

京太郎「他の人たちが来たら、大丈夫なんですか?」

灼「……そ、それは」

灼「だ、大丈夫」コクコク

京太郎「――本当に?」

灼「うん」コクコク

京太郎「穏乃や玄姉ちゃんとかはともかく」

京太郎「――和や憧は、見た瞬間に何かを察すると思います」

京太郎「それは、多分……俺や灼さんにとって、好ましくない状況になる」

灼「そ、それは、その」

灼「うう……」

京太郎「――まぁ、ちょっとシリアスになりすぎましたね」

灼「京太郎くんって、結構いじわるでしょ?」ジトッ

京太郎「そう思いますか?」

灼「そ、それは」ガタッ


タタタッ

ポスッ!


灼「思うに、決まってるでしょ」

京太郎(なんてスピードだ……)アキレ

灼「私、これでも一応先輩なんだよ?」

京太郎「……膝に乗りながら言われても、説得力がありませんよ」

灼「むっ」カチン


灼「――でも」

灼「ちょっと、考えないと」

京太郎「誰かがやってくること、ですか?」

灼「うん」

灼「さすがに、この光景を見られるのはマズいかなーって」

京太郎「まあ、そうでしょうね……」

灼「落ち着くんだけどな……これ」

京太郎「――落ち着くだけ、ですか?」

灼「本当に、いじわるだね」カァァ

京太郎(耳、真っ赤だ……)


灼「でも、まぁ」

灼「私も、我慢してみよう、って思う」

京太郎「ホントですか?」

灼「――で、出来る範囲で」

京太郎(うわ、怪しい)

灼「……今、『怪しい』とか思ったでしょ」ジトッ

京太郎「なんで顔見ないのに分かるんですか?」

灼「――ずっとこうして座ってると」

灼「大抵の考えは、もう読めちゃうから」

灼「もう、私も京太郎くんみたいになっちゃってる」クスッ

京太郎「……灼さん」

京太郎「それ、凄く恥ずかしいこと言ってませんか?」

灼「……」

灼「――ふんだ」カァァ

京太郎(はぁ……熱い)


――そうして

――日々は流れていって


憧「と、いうわけで」

穏乃「今度、山登り行くことになりましたー!」

憧「じゃ、なくて! 今度は街に備品の買い出し!」

和「――穏乃。完全に自分の好みじゃありませんか」アキレ

玄「おもちも買いたいねー、そろそろそういう時期だし!」

宥「玄ちゃん……まだ10月だよ」

灼「……」タメイキ

京太郎「――灼さん?」ボソボソ

灼「なに?」ボソボソ

京太郎「……やっぱり、無理そうですか?」

灼「そ、そんなことない!」

灼「わ、私、我慢できないほど子どもじゃない!」

京太郎「……」

灼「――せ、先輩だし」

京太郎「……」

灼「――と、年上だし」

京太郎「……」

灼「――いじわる」プイッ

京太郎「今度、どこかで会いましょうか?」

灼「……部室じゃないと、安心感がないもん」

京太郎(駄々っ子か、この人は……)

灼「――で、でも」

灼「京太郎くんが、別の場所にしてほしいっていうのなら」

灼「考えないこともない、けど」

京太郎(どうして、上から目線なんだろう……)アキレ


憧「……」

和「……」

穏乃「――ん?」

玄「憧ちゃん、和ちゃんどうしたの?」

宥「何だか、ジッと見つめてるねぇ」

二人「!」


憧「べ、別に!」

和「な、なんでも、ありません……」

憧(――さっきから、京太郎と灼は何を話してるのかな?)

和(京太郎くんと灼さんは、一体……何を)

二人(何だか、怪しい、ような……?)


灼「それじゃ、考えとく」

京太郎「――考えるのは俺の方ですけどね」

灼「……いじわる」プイッ

ここまでになります。

さて、充電を我慢できない灼ちゃんは、二人に怪しまれているようです。
今後、これが吉と出るか凶と出るか……とはいえ、特に二人がどうするのか等は考えてません。
まぁ、京ちゃんと灼ちゃんが幸せならそれでいいんじゃないかな(適当)

それじゃ、また。

――須賀家

京太郎「……」グーグー

穏乃「ね、京太郎」ユサユサ

京太郎「――ん」

穏乃「ねえってば」

穏乃「そろそろ起きないと、ダメじゃない?」

京太郎「……学校」

京太郎「まだ、早い……」ムニャムニャ

穏乃「寝ぼけちゃって」クスッ


穏乃「しょうがないなぁ」

穏乃「――京太郎」ズイッ

穏乃「ね、もう私たちはね」

京太郎「……しず、の」ボソッ

穏乃「!?」ビクッ

穏乃「い、いきなりびっくりさせないでよ」アセアセ

穏乃「……」


穏乃「ねぇ」

穏乃「ベタかもしれないけど、さ」

穏乃「まだ起きないのなら――」チラチラ

京太郎「……」

穏乃「……」ドキドキ


穏乃「――キス、しちゃうよ?」


京太郎「……」

穏乃「……」ズイッ

穏乃「きょうた――」


咲「――やっぱり!」ガチャッ


穏乃「わ、さ、咲!?」ビクッ

咲「穏乃ちゃん……?」

咲「これは、どういうことかな?」ゴゴゴゴ

穏乃「――白状するよ」

穏乃「どうも気分が乗らないから、眠れなかったんだ」

咲「ふんふん」

穏乃「それで、部屋の中をブラブラした後で」

咲「ふんふん」

穏乃「――京太郎の部屋に忍び込み、ベッドに入って」

咲「んん?」ピクッ

穏乃「京太郎の横顔見てたら、いつのまにか……」

咲「――し、ず、のちゃん?」ゴゴゴゴ

穏乃「しょ、しょうがないじゃん!」

穏乃「わ、私と同じ立場だったら、咲だってやっただろ?」

咲「……」アレ?

咲「――そ、それはともかく!」アセアセ

穏乃「言いよどんだね?」

咲「だ、だから!」カァァ

咲「こ、こーいうことを実行する前には」

咲「二人で相談する、って取り決めをしたはずでしょ!」

穏乃「……したっけ?」

咲「……読んでた漫画に、書いてあったもん」プイッ

穏乃「そりゃまた、随分特殊な漫画だね……」

咲「ふんだ」


穏乃「しかしまぁ」

咲「これだけ色々話してても起きないんだね」

穏乃「相当、疲れてるみたいだね」

咲「うん……」

穏乃「咲、襲おうとか考えてないよね?」

咲「そ、それは!」

咲「穏乃ちゃん、こそ!」

穏乃「わ、私は……」

二人「……」ドキドキ


穏乃「で」

咲「結局」

穏乃「二人で、京太郎の両側を占領、と」

咲「ふふ、これでみんな幸せだね」

穏乃「……どうかなー?」ズイッ


ピトッ


咲「!?」

穏乃「あ、京太郎。こんなとこにホクロあったんだ」

穏乃「一緒に暮らしてまだ短いから、色んなことわからないんだなぁ……」クスッ

咲「な、なな、なに抜け駆けしてるの!」アセアセ

穏乃「え、咲だって、やっていいんだよ?」

穏乃「私だけじゃなくて、咲も『幸せ』がいいだろ?」

咲「――ううう」ズイッ

咲「……あ、こんなとこに引っ掻き傷が」

咲「なんで、耳元にこんな傷があるんだろ?」チラッ

穏乃「……」プイッ

咲「ね、穏乃ちゃん」

咲「――なんか、心当たりあるんじゃないかなぁ?」ネットリ

穏乃「……」

咲「穏乃ちゃん??」

穏乃「――『初めて』のとき」

穏乃「すっごく痛かったから、引っ掻いた。それだけだよ」

咲「へぇぇ」

咲「それって、もしかして」

咲「私『たち』が、京ちゃんと『する』前の話?」

穏乃「――そ、そうだよ!」カァァ

咲「ふーん……」

咲「そっかー、京ちゃんは穏乃ちゃんと『も』二人きりで、かぁ」

咲「ふぅーん……」


穏乃(――麻雀卓じゃないからか)

穏乃(咲がどぎついオーラを放ってても、あまり怖くないな。というより、むしろ――)

咲「……ズルい」

咲「穏乃ちゃんとも二人きりで、なんてさ」

咲「バカバカ、京ちゃんのバカ」ポスポス

咲「……二人きりだったのは私だけ、だと思ってたかったのになぁ」

咲「――はぁぁ」タメイキ

穏乃「……咲、可愛いねぇ」

咲「なっ!?」ビクッ

咲「な、なに! もう私と穏乃ちゃんの同盟は決裂したんだよ!」

穏乃(高校卒業してそれなりに経ったのに、こういう所は退化してるなー……特に、京太郎絡みのときは)

咲「京ちゃんも穏乃ちゃんも、みんなバカ!」

穏乃「で、『二人きり』で『した』のは私も同じ、ってことに気付けなかった咲は」

咲「一番のバカだよ!」カァァ


――朝食の席で

京太郎「……」

咲「……」

穏乃「お茶、汲んできたよー」

京太郎「お、ありがと」

咲「……」

京太郎「――うん。さすがに和菓子屋の娘だけあって、お茶を淹れるのが上手いな」

穏乃「もう、京太郎? それ、何度目のお世辞?」

京太郎「何度目かは忘れたけど、『世辞』じゃないぞ?」

穏乃「こうして、一緒に暮らすようになってから練習したんだけどねぇ」

京太郎「いいパートナーを持って、俺は幸せ者だよ……ところで」

咲「……バカ、バカ」

京太郎「さっきから、こいつは何をブツブツ言ってるんだ?」

穏乃「あー、それはねー」

咲「――穏乃ちゃんとも、『してた』」

京太郎「はっ!?」

咲「二人きりで、『してた』」

京太郎「お、おい、咲?」アセアセ

咲「……私とだけじゃ、なかったんだね?」ジッ

京太郎「え、えーと、それは……」


穏乃「もう、咲ちゃんってば」

穏乃「自分だって、『二人きり』で『した』んだから、それでいいじゃん」

咲「そ、そうかもしれない、けど」

京太郎(うわぁ、恥ずかしいようなとんでもないことしちまったような、複雑な気持ち……)アセアセ

穏乃「――じゃあ」

咲「うん?」


穏乃「今夜、『三人みんな』でしよっか!」


二人「」

穏乃「それで、みんな幸せ!」

穏乃「いいんじゃない?」

二人「……」

二人「――考えてみる(考えさせて)」


――そして夜


咲「京ちゃん、結局しちゃうんだ」

京太郎「しょうがねえだろ。ちょうどいい感じに、『溜まってた』し」

穏乃「うわー、エッチだねぇ」

咲「まぁ、それこそ精がつくものを食事に決めた私も悪かったかもだけど」

穏乃「あ、咲もやりたかったんだー」

京太郎「……穏乃は穏乃で、何故か俺の脱いだ服の匂い嗅いでたし」

穏乃「――ばれてた?」

京太郎「うん」


京太郎「――結局」

穏乃「みんな、同じく」

咲「エッチ、だったんだね」

三人「……」

三人「――始めるか(始めよっか)(始めるぞー!)」


京太郎「……咲、ちょっと胸のサイズが」

咲「あ、うんうん。やっぱり分かってくれた?」

京太郎「――1ミリ?」

咲「そ、それでも成長は成長だもん!」

京太郎「どうかなー、それ?」

咲「もうっ!」


穏乃「へぇー、胸の大きさってそんな縛られるもの?」

咲「だ、だって、女の子だし……」

穏乃「私は、これくらいでいいと思ってるけどねー」

咲「――男の子みたい」

穏乃「だって、おっきかったらおっきかったで、擦れるし肩凝るし」

穏乃「そんなんじゃ、山登り大変だし、着る服も面倒だし」

咲「そっか、そうだよね」

穏乃「――ただ」

咲「うん」

京太郎「……?」


咲「よいしょ、よいしょ」

穏乃「えっさ、ほいさ」

京太郎「……あのー」

咲「はぁ」

穏乃「やっぱり、挟めないなぁ」

咲「こ、こんなの挟める方がおかしいよ!」

穏乃「あーあ、玄さんとか宥さんなら余裕なんだろうなー」

咲「原村さんとか、いとも簡単にやってのけそう……」

京太郎「――おーい」

穏乃「もう、京太郎。せっかちだなぁ」

咲「え、もう出しちゃいたいの?」

京太郎「……正直」

穏乃「だーめ」

咲「まだ、私たちの『練習』に付き合ってもらうからね!」

京太郎「えええ……」


咲「きょ、京ちゃん! そ、そこは!」

穏乃「きょ、京太郎! な、なんで、そんなとこ――ひゃっ!?」

京太郎(――ああ)

京太郎(二人とも、すっげえ可愛いなぁ……)

京太郎(気づいたら、この時間が終わってそうなくらいに――身体が熱い)


京太郎「なぁ」

咲「え?」

穏乃「どした?」

京太郎「――このままで、いいと思うか?」

二人「……」

二人「あったり前じゃん!(当たり前だよ!)」

京太郎「そっか……」

京太郎「そう、だよな――」


穏乃「あ、でも」

咲「できれば、私に穏乃ちゃんよりもっと――」

穏乃「あ、ずるい咲! 京太郎、咲よりもっと私に――」

京太郎(――可愛い奴らだなぁ)

こうして、須賀家の夜は更けてゆく――
そんな、とある一家(?)の小噺でした。

最後の方になると、色々な隠語が飛び交うことになります。
一体、三人は何をしているんでしょうね?(すっとぼけ)
本当は最後のシーンは全部なかったのですが、書きはじめたら意外とノれたため、結局書きました。

それでは、また。

トリップがちょっと変わってたから、一回テスト。

――宮永家

咲「と、いうわけで、京ちゃん」ウズウズ

京太郎「ああ」

京太郎「――今期も遂に始まったな」

咲「うん……」


咲「前クールが不作という話もあったけど」

咲「『ラブライブ』とか『俺修羅』とか、結構面白かったよね」

咲「もう私、テレビの前でずっとにやけっぱなしだったもん!」エヘヘ

咲「咲ちゃん、大勝利ー!」ガッツポーズ

京太郎「……ま、まぁ、ある程度、人を選びはするだろうけどな」

咲「そうかなー……まぁ、『ビビオペ』の最後は、色々と凄かったけど」

京太郎(どうしてあの子の世界が戻ってきたのか、もはや意味不明だったよなぁ……)

咲「あ、でも! 『たまこまーけっと』良かったよねっ!」

京太郎「――正直、最後まで何をやりたいのかがさっぱり」

咲「もう、あれがいいんじゃない! あれが!」

京太郎「正直な所、お前なんでも楽しめるだろ?」

咲「ふふ、私ほど得してるアニメファンはいないよねっ」フンス

咲「あ、あとあと、『テンペスト』も良かったし『さくら荘』も。あとは――」

京太郎(ただでさえ、牌に愛された子だとか言われてるくせに……誰だ、『天はニ物を与えず』とか言った奴は)


咲「と、いうわけでだよ、京ちゃん?」

京太郎「今期は、結構観てるかもな……」

咲「さすが京ちゃん。私が言わんとするところを平然と言ってのける!」

京太郎「そこに痺れる憧れるぅー」ボウヨミ

咲「――『ジョジョ第三部』までは、生きていける」グッ

京太郎「お前、毎クール同じようなこと言ってんじゃねえか」

京太郎「あと、勝手に死ぬな」

京太郎「寂しい、だろ」プイッ

咲「……え?」ピクッ

京太郎「あ」ハッ

京太郎「その、これは、だな……」

咲「――寂しいの?」ジーッ

京太郎「そりゃ、咲がいなくなったら寂しいだろ」

咲「……も、もう。変なこと、言わないでよ」カァァ

京太郎「……わ、悪い」


咲「き、気を取り直して!」コホンコホン

咲「さ、京ちゃん! たしかに今期は豊作だよ!」

咲「ロボアニメは3つか4つもあるし、月子ちゃんは可愛いし、勇者もちーちゃんも可愛いし!」

咲「あとあと、『RDG』はまだ先が読めないし面白そうだし泉子ちゃん可愛いし!!」

京太郎「お前、何回『可愛い』って言うつもりだよ……」

咲「可愛いは正義っ!」フンス

京太郎「そういや、その元ネタの最新刊が発売してたな……」トオイメ


咲「とにかく」

咲「ここ最近のアニメの女の子は、みんな可愛すぎるよ!」

咲「こんなんじゃ、ますますアニメの世界へ――」

京太郎「待て咲。そっち行ったら戻れないぞ」

京太郎「――ところでお前、『うたプリ』とか『進撃の巨人』とかは?」

咲「……」

京太郎「いくらなんでも、お前も一応女だし」

京太郎「『うたプリ』みたいな、かっこいい連中には目を奪われるだろ?」

京太郎「あと、『進撃』はなかなか一般ウケもしそうなくらいに面白いぞ?」

京太郎「どうだった、咲?」

咲「…………」

京太郎「咲?」

咲「……私は」

京太郎「へ?」


咲「私は、可愛い女の子しか観られなくなっちゃったの!」

京太郎「……は?」

咲「だから」

咲「その二つは、まだ観てないよ」

咲「……今度、観る」

京太郎「お、おう、そうか」

京太郎「――萌えオタと化したか、咲」ボソッ

咲「ふ、ふんだ!」プイッ

咲「す、好きなものを観ればいいの! 可愛いは正義!」

京太郎「分かった分かった」

京太郎「――で、だ」

京太郎「今日、俺がここに来た目的は、やっぱり……」

咲「うん、そうだよ。随分脱線しちゃったね」


咲「――ここのHDDには、とあるアニメが入ってます!」

咲「で、今からテレビを点けます!」

京太郎「ふむふむ」

咲「――よし、見つけた!」ポチッ

京太郎「……おお」

京太郎「咲は、始まる前からこの原作好きだったんだよな」

咲「そうだよ!」

咲「ああ、早く中村さんに罵られたい、佐伯さんに迫られたい――!」ゾクゾク

京太郎(たしか、俺も漫画ちょっと読んだっけ)

京太郎(結構、面白かったような気がしたし、期待だな……)


咲「そ、それじゃ、点けるよ……」

京太郎「お、おう」

咲「――ああ、楽しみだなぁ」

京太郎(ただでさえアニメ好きな咲は)

京太郎(元々好きだった原作がアニメ化するときは、それに輪をかけて喜ぶ)

京太郎(――やれやれ、楽しそうでなにより)

咲「えいっ!」


咲「あ、絵が映ったよ!」

京太郎「お、そうだな」

咲「ああ、これは教室だね……も、もうすぐ中村さんが――!」

京太郎「……?」

京太郎(あれ? なにかおかしくないか?)

京太郎(なにか、が――そう、教室のモブの顔立ち、とか、が……)

京太郎(――!?)

咲「わ、わわ、な、なんか怖い雰囲気……あれ?」

咲「先生、こんな顔してたっけ?」

京太郎(――なんだろう、とてつもなく嫌な予感がする)

咲「え、え? な、なにかが、おか、し……」


>ウッセー、クソムシガ


咲「」

京太郎「おお、もう……」

咲「」

京太郎「い、いや、なんというか」

京太郎「こ、これはこれで、新しいというか……うん、アリじゃないか?」

咲「」

京太郎「ざ、斬新だなぁ……さ、咲もそうだろ?」

咲「」

京太郎「――咲?」

咲「」


京太郎「――こいつ、燃え尽きてやがるっ!」



――なんだかんだで観続けた二人


咲「……中村さん、佐伯さん」

咲「花が、花が咲いたよ……うふふ」

咲「とびきりきれいなはながさいたよ――うふふふふ」

京太郎(だ、誰かこいつを助けてくれ……!)


咲「――京ちゃん?」

京太郎「な、なんだ?」

咲「……」


ポスッ


京太郎「――今日だけ、だぞ」

咲「ふんだ、別にいいもん」

咲「――京ちゃんの膝なんて、全然温かくないし」

咲「ゴツゴツしてるし」

京太郎「――慰めてほしいのか?」

咲「そ、そんなわけ……ちょっとあるもん」プイッ

京太郎(なんだこいつ……)

咲「――これから」

京太郎「ん?」

咲「新しいアニメ観る時は」

咲「ずっと、京ちゃんと一緒に観始めたいな」

京太郎「――臆病者め」

咲「ふんだ」

京太郎「一方の家に、一方が引っ越さないと難しいかもしれねえけどな」

咲「……それって」アセアセ

咲「――けっk」


ガチャッ


照「悪い予感がしたからやってきた」

京太郎「ホント、唐突ですね……」アキレ

照「咲。軽々しく、そういうこと言っちゃいけない」

咲「――ケ、ケッコー」

京太郎(トリッピーにでもなったのか、このアホは……)

照「まったく」

照「須賀くんのせいで、咲はおかしくなりっぱなしだ」

京太郎「いや、少なからず照さんの影響もありますからね?」

照「……なんのこと?」キョトン

京太郎(ダメだこの姉妹……)


咲「結婚、かぁ」ボソッ

照「ん!?」ピクッ

京太郎(あーあ、こりゃめんどくさいぞこれから……)ハァ

ここまでになります。
今回は随分とおかしな話になってしまいましたね……『悪の華』は完全に話題作だからね、しょうがないね。

今期はなんだかんだで豊作。憧ちゃんの中の人が、けっこう主役張ってるイメージですね。
あとは早見さんとか悠木さんとかも活躍してるのかな。
自分とそこまで大差ない彼女たちが頑張ってるのを見ると、俺も何か頑張んないとなって気になります(小並感)
なお、実際は……

それじゃ、また。
アニメ観ながら、ゆっくりする日々が続きそうです。

――市街地

京太郎「さて、行くか」

京太郎(買い出しリストは、と……)

京太郎(――って、文字が掠れて読めない!?)ガーン

京太郎「……どーしたもんか」

京太郎(電話して誰かに聞いてみるのがベスト、か)スッ

京太郎「それじゃ――」

京太郎(……誰がいいだろう?)

京太郎(まぁいいや。こういう時は頼りになりそうな――)ピッポッパ


>チョウテンマデアトーヒトイキー


京太郎「……あれ?」

憧「――!?」ビクッ

穏乃「ああ、憧のバカ……」ヤレヤレ


京太郎「……えーと」

憧「な、なに?」アセアセ

京太郎「どうしてここに?」

憧「た、ただの散歩」

憧「ふ、深い意味なんてないからね」プイッ

穏乃「……憧、挙動のせいで凄く怪しいよ?」アキレ

憧「ば、バカしず! ここは話合わせなさいよ!」アセアセ

京太郎「……着いてきたのか」

憧「――そ、そういうわけじゃ」

穏乃「いやー、京太郎一人だけじゃ、もしかしたらわからないかなーって思ってさ」

穏乃「私と憧が着いていってあげよう、って」

憧「そ、そう! それだけっ!」コクコク

京太郎「……だったら、最初からそう言ってくれば良かったんじゃあ」

憧「――べ、別にいいでしょ!」

穏乃「……京太郎、憧をあまりいじめないであげて?」

京太郎「穏乃?」


穏乃「――ほら、憧って一回ミスったら、そのミスをなかなか認めないでしょ?」

穏乃「それで、見栄はってるだけだから」

京太郎「ああ、なるほど……」

憧「……ねぇ、しず? さらっと私のことバカにしてる?」ゴゴゴゴ

穏乃「ああ、うん。憧って不器用だなー、って話してただけだよ?」

憧「それが、バカにしてるって言ってるの!」


京太郎「……あー、まぁ、それはそれとして」

穏乃「ちょ、京太郎、助けてよー」

憧「しずー……あんたのせいで恥ずかしさが増したじゃないのー!」グリグリ

穏乃「ううう……」グスッ

京太郎(相変わらず仲良いなー、この二人)


――そんなこんなで買い物

京太郎「えと、部室の各種用品はこんなところか」

穏乃「うん、大体揃ったんじゃないかな」

憧「……そ、揃ったんじゃない、の」プイッ

京太郎(うわぁ、こいつ未だに引き摺ってるよ)

穏乃(うひゃー、憧、顔真っ赤だなぁ)


憧「……そ、それで!」

憧「ど、どうするの? このまま帰るの?」

京太郎「え、そりゃあ買い出し終わったんだから帰るだろ、フツーは」

憧「そ、そっか……」

憧「そう、だよね、うん」

京太郎「?」

穏乃「あ、えーと」

穏乃「京太郎! 私、ちょっと見たいトコあるの思い出しちゃった!」

京太郎「え、そうか」

京太郎「それじゃ、特に帰る時間とか決まってるわけじゃないし」

穏乃「行こう!」

憧「……しず?」

憧(まさか、私のことを気遣って?)

穏乃(――まったく、何年一緒にいたと思ってるんだよ?)

穏乃(ほら、憧。京太郎と『一緒に』買い物、行きたかったんだろ?)

憧(――う、うん!)

穏乃(よしっ!)

京太郎(さっきから二人で仲良さそーに、なんか話してるなー)クスッ

穏乃「……えーと」

京太郎「まだ思い出せないか?」

穏乃「うーん、たしかこの辺だったと思うんだけどなー」

京太郎「……というより」

京太郎「そもそも穏乃がショッピングなんて柄じゃないような気も」

穏乃「む、失礼だよ京太郎」カチン

穏乃「私だってたまには、しょっぴんぐくらいするよ」

京太郎「へぇ、どういったとこへ?」

穏乃「――ほ、本屋さんで、山の本見たり」

憧「で、その隣で私がファッション誌読んでるのよねー」ニヤニヤ

穏乃「……むー」

京太郎(こいつ、普段から『山』と『麻雀』しか頭にないんだな……)


穏乃「だ、だって! あ、あーいう雑誌に載ってる女の子たちと私じゃあ」

穏乃「……釣り合わない、もん」

憧「もー、しずってば」

憧「前から言ってるでしょ? しずが本気出したら、そんじょそこらの女の子は勝てないって!」

穏乃「気楽に言ってくれるなぁ……」

憧「ね、ね。京太郎はどう思う?」

京太郎「――俺?」

京太郎「そう、だな……穏乃は」

穏乃「……べ、別にさー、私そーいうオシャレとかに興味あるわけじゃないし」

京太郎「うん、めかしこんだら可愛くなると思うぞ」

穏乃「――へ!?」カァァ

憧「うんうん、京太郎さすがに分かってるわね」

憧「と、いうわけで! 今日の締めは、しずの洋服ショッピングということで――」

穏乃「あ、憧、いいって……私、ジャージ好きだし」

憧「だ、め! 大体そのジャージ、小学生から使ってるんでしょ?」

憧「だったらそろそろ丈が合わなくなって、その、ヤバいことになるわよ?」

穏乃「ヤバいこと、って?」チラッ

京太郎「……俺に訊くな」プイッ

穏乃「??」キョトン

京太郎(女の子らしさ、かぁ)

京太郎(たしかに、穏乃には酷かもなぁ――)

京太郎(恰好はともかく、その服から出てる脚の付け根とかに何人の男子生徒が視線を走らせてることか……はぁ)タメイキ


――はてさて

憧「……!」

憧「きょ、京太郎! こ、この新刊出てたわよ!」

京太郎「おお、それは……!」

京太郎(ハ○ターハン○ー……!)

憧「か、かか、買ってくる!」

京太郎「ま、まぁ待て。それは俺がだな……」

穏乃「――た、助かった」

穏乃(あ、あのまま憧が目ぼしい洋服屋さん見つけてたら)

穏乃(わ、私の、その、て、貞操? が危なかったよ!)

穏乃「……といってもなぁ」

穏乃(漫画はあんまり読まないし。憧と京太郎は凄く楽しそうだけど)

穏乃「どうしよっかなぁ……ん?」

穏乃「なんだろ、これ――って!?」スッ

穏乃(うわ、うわわ。な、なにこの表紙!?)

穏乃(こ、これじゃこの女の子殆ど、その、ぜ、全裸じゃん……)

穏乃(な、なんでこんな恥ずかしいカッコの表紙にするかなぁ……)

穏乃(や、やっぱり漫画は私にはハードル高いね、うん!)

穏乃(全く、どうしてあんなカッコするんだか……お母さんとかが見たら泣いちゃうよね!)


少年A「ママー、あのお姉ちゃんって……」

少年B「み、見ちゃダメ! ほ、ほら、行くわよ!」


穏乃「……」

穏乃「…………」

穏乃(――え?)

――その後

憧「いやー、買った買った」

京太郎「ジャンプ系、サンデー系、マガジン系。あと、芳文社系」

京太郎「充実した買い物だったなぁ……」

憧「漫画好きからすれば、たまったもんじゃないラインナップだったね」

京太郎「――そういや店内じゃ、何故か憧がチラチラ見られてたな」

憧「え、私? どうして?」

京太郎「うーん……?」



男A「な、なぁあの子、めっちゃ可愛くね!?」

男B「こ、こことら○あな、だよな? なんていうか、その、に、似合わない!」

男C「……おい、お前ら。その子の隣にいるのって、もしかして」

男ABC「――!」

男ABC「…………」ジーッ

男ABC「……お幸せにっ!」ダッ



京太郎「――なんだったんだろ、あいつら?」

憧「うーん、よく分からないけど……あれ? しず?」

穏乃「……」

憧「ど、どうしたの? な、何か思いつめたような顔してるわよ?」

穏乃「――変じゃ、ないもん」ボソッ

憧「へ?」キョトン

穏乃「私のカッコ、変じゃないもん」

穏乃「楽なんだもん。気持ちいいんだもん」

穏乃「――うう、おかしくないよー」

憧「……あぁ、なるほど」

京太郎「気持ちいいのは結構だけど、『変』じゃないかって言えば……うーん」

穏乃「も、もう社会なんてキライだー!」ダッ

憧「あ、しず! ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

京太郎「うわ、無駄にはええ……」


――その後

憧「……」テクテク

京太郎「……」テクテク

憧「――なんだか、さ」

京太郎「うん」

憧「……き、気持ちよくなってきたよね」

京太郎「え?」

憧「き、気持ちいいってのは、その!」

憧「あ、あんたが思ってるようなのじゃなくて!」

憧「この春先の気温が、ってこと! もう、変なこと考えないでよ!」カァァ

京太郎「……いや、まだ何も言ってないんだけど」

憧「目がエッチだった」ジトッ

京太郎「言い掛かりだろ、それ……」ハァ


憧「――京太郎」

京太郎「なんだ?」

憧「……やっぱ、なんでもない」

京太郎「そうか」

憧「うん」

京太郎「……」

憧「――鈍感」ボソッ

京太郎「は?」

憧「なんでもなーい」

京太郎「お前なぁ……」アキレ

ここまでです。

以前、咲ちゃんと穏乃と京太郎の結婚生活を書いたので、今回は憧と穏乃の両方いますが、憧寄りな話になりました。
しかしまぁ、こうして書いてるとリクエストしてくれる方々は本当に凄いなぁと思います。
正直、考えたこともなかったようなリクエストをばんばん出してくれるんですから。

それじゃ、また。
今後は大学のため更新頻度は落ちるかと思いますが、それでもおつきあい頂ければ、と。

〉少年A「ママー、あのお姉ちゃんって……」
少年B「み、見ちゃダメ! ほ、ほら、行くわよ!」

あのさぁ…

何だか速報のサーバーがおかしいような……

案の定ペースが随分とゆったりとしたものになりましたが、つらつらと。


――宮永家

咲「~♪」ゴクゴク

照「?」

咲「――牛乳って、美味しいなぁ」

照「咲?」

咲「あ、お姉ちゃん」

照「随分とご機嫌だね。何かあった?」

咲「えーとね……ふふっ、内緒」

照「……」


照「そういえば、咲の学校に原村和って選手がいたよね」

咲「え、う、うん。いるよ」キョトン

照「――あの子の『おもち』、どう思う?」

咲「!?」ハッ

照「あれ、どう見積もっても、およそ女子高生の許容量を超えてるよね」

照「いや、うん。たしかにうちにも、それなりにおっきいのはいるけど」

照「――あ、あと、永水もすっごいのが」

咲「……」

照「ああいうのを見てると、何だか越えられない壁っていうのはあるんだなー、って」

照「あ、咲、ごめんね。うん、何となく思っただけだから。なんとなく」

咲「…………」

照「はぁ――やっぱり、遺伝なのかな」タメイキ

咲「――わ、私だって!」ガタッ

照「ん?」


咲「私だって、おっきくなったもん!」


照「――へぇ、やっぱりそういう」フンフム

咲「そ、そりゃあ、原村さんや部長とかに比べたら私は」

咲「それこそ、優希ちゃんと同じかそれよりちょっとおっきいくらいだよ」

咲「で、でも! 昨日測ってみたら、ちょっとおっきくなってたもん!」グッ

照「……ふーん」

咲「こ、こんなこと誰にも言うつもりないけどっ」

咲「……?」

照「ん、どうしたの?」

咲「――あれ?」

照「へぇ、ふーん、咲のおもちがねぇ」

咲「……」カァァ




>イッセーノ オッカエリ サァデカケヨッ

咲「……はい」ピッ

京太郎「お、咲か? あのさ俺、この前の『進撃の巨人』録り忘れたからさ」

咲(――『巨』?)ピキッ

京太郎「良かったら、今度お前の家で――」

咲「お、おっきいのがそんなに偉いの!?」

京太郎「――は?」

咲「ふんだ、京ちゃんみたいなエッチな人知らないもん!」

京太郎「え?」

咲「そ、そんなにおっきいのがいいんだったら……原村さんの所へ行っちゃえばいいんだよ!」

咲「じゃあねっ!」ピッ


咲「――京ちゃんの、バカ」グスッ

照「……いや、どう考えてもバカは咲じゃないかな」

照(そりゃ、私は須賀くんをあまり快くは思ってないけど、今回ばっかりは)

咲「だって、だって」

咲「京ちゃん、きょ、巨乳とか言い出すから」

照「――!?」ガタッ

――その後

照「それで、須賀くん? どういうことなのか、説明」

京太郎「……えーと、『進撃の巨人 第2話』と」カタカタ

照「咲はね、今デリケートなことで悩んでるの」

照「そ、そんなところへ君は、なんてことを……」ワナワナ

京太郎「――お、相変わらず絵がすげー」

照「そ、そりゃあ、君が、その、お、おもち好きだってことは」

照「不本意ながら、知ってるけど」

京太郎「素晴らしいOPだなぁ……」シミジミ

照「――だからって、その」

照「きょ、巨乳、とか」

京太郎「いいぞー、戦闘シーン」

照「……」


照「ねぇ、須賀くん?」

京太郎「――あぁ、やっぱミカサって強いなぁ」

照「話、聴いてる?」

京太郎「あ、はい。まあ」

京太郎「いやしかし、本当にいいアニメだなぁ……」

照「……」


――咲の部屋

>スガクン、センパイノハナシヲキカナイツモリ!?

咲「――うん、これでよしっと」カラカラ

咲「……や、やっぱり、ちょっとだけおっきくなってる、よね?」フニフニ

咲「――」チラッ


>エ、モウソンナトコロマデミタノ!? セ、センパイヲサシオイテッ

咲「……さっきの私も、おかしかったかもしれないけど」

咲「お姉ちゃんも、たいがいじゃないかなぁ……」ハァ

とんでもないポンコツ姉妹と化した宮永家でした。

いや、これで大丈夫なのか……本当。
というより、何だかごくごく普通に照姉さんが家にいるのは何故でしょうかね?

色々と進路などでグダグダ悩んでるため、実際のところ今期の作品はあまり観れてません。
なるべくなら、観ていきたいとは思ってるんですけどね――ここの住人のおススメとかはあるんでしょうか。

それでは。
もう一つ書けたら、今のうちに投下したいなと思ってます。

色んなアニメがあるって、はっきりわかんだね。
どれも面白そうだと思う(小並感)

申し訳ありません。
残ったリクエストの題材で考えたんですが、良いアイデアが浮かびませんでした。
というわけで、新規リクエスト受け付けます。
お願いします。

おおう、相変わらず沢山のリクエスト……本当に感謝。
それじゃ、ちょっと書きます。
……そうだな、ちょっと遊びで。

リクエストにある、照ルートと宥姉ルート。
今はどっちを希望するか。
↓7までの多数決で。

はえー、もう決まっちゃったのか……
やっぱ好きなんすねぇ。

それじゃ、今は照ルートでいきましょうか。

――宮永家


昼下がりのリビングルーム


京太郎「……あの」

照「なに?」

京太郎「えーと、ですね」

京太郎「この体勢は、ちょっと……」

京太郎(俺の上に、照さんが覆いかぶさり、すぐ近くにはその顔がある)

京太郎(こ、このままだと、下手すると、唇までが……!)

照「え」キョトン

照「……もっと、過激な方がいい?」ズイッ

京太郎「そ、そうじゃなくてっ!」アセアセ


京太郎「――あいつに見られたら、どうするんですか?」

照「唇を塞ぐ」

京太郎「即答!? というか、何ですかその答え!?」

照「だって」

照「……私、須賀くんの、ガールフレンド」

京太郎「う」

照「――日本だと、一般的には彼女」

京太郎「そ、それはそうですけど」


照「……まぁ、いいや」ヨッコラセ

京太郎「ほっ」

照「安心して」

照「――チャンスは、いつでもあるし」ニコッ

京太郎「安心できないですよ……」


京太郎(思えば)

京太郎(咲を通して知り合った、宮永照さんだけど)

京太郎(最初の頃は、何だか微妙な関係だったことは否めない)

京太郎(――ただ)

照『――須賀くん、PCが壊れた』

照『――須賀くん、咲に泣かれた』

照『――須賀くん、誰も麻雀してくれない』


須賀くん、須賀くん、須賀くん……


京太郎(頼られることが、多かった)

京太郎(そうした相談一つ一つを、俺の出来る範囲内で何とか捌いて)

京太郎(『照さんの笑顔って可愛いな』とか)

京太郎(『学校じゃどんな顔してるんだろ』とか)

京太郎(――まぁ、そういうことが頭から離れなくなったわけで)


京太郎「――ところで」

照「うん?」

京太郎「どうして、あんなに相談ばかりしてきたんですか?」

京太郎「学校の友達とかでも良かったんじゃあ……」

照「――」

照「咲の」

京太郎「?」

照「須賀くんが、咲の、友達だったから」

照「あの子の性格から、女の子の友達もいなかったのに」

照「普通にあの子の隣にいて、だ、だから……」カァァ

京太郎「……」


照「――その時から、気になってたの」


照「……」カァァ

京太郎「――ズルいですよ」

照「え――わっ!?」


京太郎「そんな風に言われたら」

京太郎「……どうしようもなくなっちゃうじゃないですか」

照「――どういう意味で?」

京太郎「当たり前でしょう」


ダキッ!


京太郎「……こういう意味です」

照「もう」

照「――須賀くん、いきなり大胆になる」

照「……そういうとこ、嫌いじゃない」クスクス

京太郎「い、いちいち言わないでください」

照「え、気に障った?」

京太郎「……可愛いから」ボソッ

照「え、なんて?」

京太郎「聞こえたくせに」

照「さぁ、どうだろうね」

京太郎「――照さん」ハァ


照「――あ」ピクッ

京太郎「はい?」キョトン

照「そういえば」

照「咲とは……?」

京太郎「――あいつとは、そういう関係じゃありません」


京太郎(そうだ。結局、そういうことだ)

京太郎(――俺にとって、あいつは大事な幼馴染ってことはたしかだ)

京太郎(けれど)

京太郎「あれは、恋愛感情ってのとは違うんだと思います」

照「――いい、の?」

京太郎「何が、ですか?」

照「……私を選んで」

照「Hなゲームとかだったら、ハーレムルートというのもあり得るけど」

照「生憎、ここは現実だよ?」

京太郎「――照さん」

照「……」

照「ごめん、ちょっとからかっちゃった」

京太郎「へ?」

照「――須賀くんの目、見たら」

照「もう、からかいも無用だね、って」

京太郎「――照さん」


京太郎「好きです。一緒にいてください」

照「……そうやって、ちゃんとそっちから言ってくれるのは初めて」

京太郎「――遅れてすみません」

照「ううん」

照「――こっちこそ、よろしく」ギュッ

京太郎「はい」ギュッ



京太郎(こうして)

京太郎(俺と照さんは――)

京太郎(咲……)

京太郎(――これで良かったと、俺は思ってる)

京太郎(お前も、いい相手を見つけられることを祈る)

京太郎(……これで、いい)


京太郎「照さん、好きです。大好きです」

照「――私も、だよ。『京太郎』くん」ニコッ



――照ルート、HappyEnd……

照ルート、おしまい。

照ルートの裏で、流されていった涙もあることでしょう。
さて、果たしてここに出てこなかった咲ちゃんはどんな胸中なのか。
想像にお任せしたいと思います。

それじゃ、また。
照ルート、HappyEndでした。

それじゃ、この前照ルートだったので、今回は……


――松美館・200X年

京太郎「――うーん」

京太郎「だめ! もう降参!」

玄「えー、京太郎くん、もう諦めちゃうの?」

京太郎「だって、しょうがないじゃん」

京太郎「玄姉ちゃんばっかりドラ取って、ズルいし」

玄「そ、それは、しょうがないよー」

玄「いくら和ちゃんがオカルトだって言っても、私は意識してないし」

京太郎「むー……そうは言われてもなぁ」

宥「……」モジモジ

宥「――ねぇ、京太郎くん?」

京太郎「ん? どうかした、宥姉ちゃん?」キョトン

宥「……わ、私たちと麻雀やるの、キライ?」

京太郎「え?」

玄「ちょ、ちょっとお姉ちゃん?」

宥「わ、私にも、『あったかい』牌が集まってきちゃうから」

宥「――それが、京太郎くんにとって辛いなら」

宥「……ど、どうかな?」

京太郎「……」


京太郎「違うよ、宥姉ちゃん」

宥「え?」

京太郎「別に、俺は」

京太郎「宥姉ちゃんたちと一緒に麻雀やるのが嫌になったわけじゃ、なくて」

京太郎「――ちょっと、愚痴りたくなっただけ」

京太郎「実際、一緒にやってて楽しんでるよ。すっごく」

京太郎「だから……ごめん」ペコリ

宥「京太郎くん――」


玄「もー、京太郎くんったら」

玄「そんなに気を遣うことないんだよー?」ナデナデ

京太郎「ちょ、く、玄姉ちゃん。それやめて」

玄「んー? だって、可愛い弟分だなー、って思っちゃったから」ナデナデ

京太郎「だ、だからっ! やめ――」

宥「……」


――一緒にやってて楽しんでるよ。すっごく――


宥(――本当に、いい子だな)キュッ

宥(……玄ちゃんが羨ましい)チラッ

玄「あれ、京太郎くん。こんなとこに白髪発見っ」

京太郎「ひ、人の頭で遊ばないでってば」アセアセ

玄「うーん、若いころから苦労性だねー、京太郎くんは」

京太郎「……誰のせいだよ、誰の」ボソッ

玄「ん、なんて言ったのー?」ワシャワシャ

京太郎「も、もうやめてくれっ」


宥「……」

宥(私は、あんな風に)

宥(玄ちゃんみたいに、誰かと触れ合うのはちょっと苦手みたいだから)

宥(……私も、ああなりたい、な)キュッ




――松美館・201X年


京太郎「……ふぅ、仕込み終わりっと」

京太郎(――ようやく、仕事にも慣れてきたような気がする)

京太郎(前は、玄姉ちゃんとかに逐一確認しないと行動できなかったからなぁ)

京太郎「――それじゃ、戻りますか」テクテク


――京太郎の部屋


京太郎「……あ」ガチャッ

宥「あ」

京太郎「なんだ、来てたんだ」

宥「う、うん」コクッ

京太郎「てっきり」

京太郎「この前みたいに、宥姉ちゃんの部屋で――」

宥「す、ストップ!」

京太郎「え?」

宥「……そ、その先は、ダメ」カァァ

京太郎「――月明かりが綺麗だったな」

宥「も、もうっ!」

京太郎「もちろん、宥姉ちゃんも綺麗――」


ギュッ!


宥「……」

京太郎「――あ、あの?」

宥「喋れない、ようにしたの」

京太郎「そ、それはいいんだけど……」

京太郎(頭を宥姉ちゃんに抱え込まれた)

京太郎(いや、そうなると当然、その、近くに……)モジモジ

京太郎(しかしまぁ、宥姉ちゃんの大きいこと)

京太郎(顔がすっぽりと間に収まっちまうよ、これじゃ)

京太郎(……いや、ホント『あったかい』な、うん)

宥「……もう」

宥「エッチなこと、考えてるでしょ?」ジトッ

京太郎「どうしてそう思うんだ?」

宥「京太郎くんの鼻息、荒くなってるから」

京太郎「……マジか」


京太郎「いやまぁ、悪かったよ」ポリポリ

宥「わ、分かってくれればいいよ」

京太郎「……ところで、また大きくなった?」

宥「そ、そういう話はおしまいっ!」カァァ

京太郎「いやー、どこまで行くことやら――」

宥「京太郎くんっ!」


――そんなこんなで夜中


宥「……あったかい」

京太郎「ん?」

宥「京太郎くんの胸が」

京太郎「――宥姉ちゃんもあったかいって」

京太郎「というか、もう裸で大丈夫なんだな」

京太郎(『はじめて』の時は、服着ないと寒くて出来ないって言ってたのに)

宥「うん、ちょっと寒いけど」

宥「――京太郎くんにずっと触れていれば、そんな寒さも忘れちゃうから」ニコッ

京太郎「――ホント、ずるいなぁ宥姉ちゃんは」ダキッ

宥「あっ」

宥「……もう」

宥「――ね、京太郎くん」

京太郎「ん?」


ナデナデ


京太郎「――どうしたんだ?」

宥「あのね」ナデナデ

宥「昔のこと、少し思い出して」

宥「――ああ、こんな風に触れることも出来なかったんだな、って」シミジミ

京太郎「……気持ちいいよ、宥姉ちゃん」

宥「あれ? あの時、玄ちゃんに撫でられてた時は、嫌がってなかった?」

京太郎「あ、あの時はまだ子供だったし」

京太郎「――それに」

宥「それに?」

京太郎「宥姉ちゃんは、俺の――」

宥「の?」

京太郎「……こ、ここで終わり」

宥「えー、訊きたいなぁ」クスクス

京太郎「――それじゃあ」ズイッ

宥「わっ」


ピトッ


京太郎「これで、言葉に代えるってことで」

宥「――い、いきなりはズルいよ」アセアセ

京太郎「宥姉ちゃんが、いじめるから」

宥「……もう」カァァ

京太郎(いつもより、唇が温かかった、ような)

宥(な、なんだか暑いくらいだよ……)

京太郎(あれから、何年かの時が過ぎ)

京太郎(触れ合う中で、二人は一つになった)

京太郎(――そして、今)



京太郎「大好きだ、宥姉ちゃん」

宥「私もだよ、京太郎くん」


京太郎(……さて)

京太郎(玄姉ちゃんには祝ってもらって、後は宥姉ちゃんのお父さんの許しが必要だ)

京太郎(――いっちょ、頑張ってやろうか)



――宥ルート・HappyEnd/TrueEnd







――部屋の外


玄「……」

玄「――『仲間に、入れて』かぁ」

玄「ふふふ……それもアリかなぁ」クスクス


――TrueEnd?

ここまでになります。
なんだか力が入ってしまった……

最後はちょっと蛇足かなーと思いましたが、遊び心の方が勝りました。
さて、ルート分岐はあり得るんでしょうかね?(すっとぼけ)

勝手な設定上では、松実館で働く→松実姉妹ルート確定で
その後で、玄ルートか宥ルートが決まるというイメージです。
……さて、本当にこの二つだけなんでしょうか?

それじゃ、また。

書きましょう。

……が、その前に。

今から何を書くか、皆さんにお聞きしたいので、安価をとります。

1.松実姉妹ルート

2.玄ルート

3.「今はもう、松実姉妹はいいよ。他のリクエスト求む」


↓10まで。ゆっくりいきましょう。

1が多い……みんな松実姉妹好きですね。
さすがに今回のネタ書き終ったら、本家本元の幼馴染のネタも書かないと可哀想な気がしてきた……

それじゃ、書きましょう。


――少し時計の針を戻そう

京太郎「……」

京太郎(――そろそろ、か)


京太郎(ずっと考えていた)

京太郎(――俺の気持ちは、どうなのか)

京太郎(二人の『姉』を心の底から慕っているのは事実)

京太郎(でも……それは本当にただの慕情なのか?)

京太郎(親愛の情だけ、なのか?)

京太郎(……)

京太郎(――俺の、気持ちは)

京太郎(どこに、あるんだろう……?)


京太郎(――その時、脳裏にある映像が浮かび上がった)

京太郎(こっちを見て、笑いかけている、その姿は――)


 1.玄姉ちゃん

 2.宥姉ちゃん

→3.……もしかして


京太郎「――そうか」

京太郎「そうだったのか、俺の本当の気持ちは……」


――その後

京太郎(実の所)

京太郎(最初、自分の気持ちを理解した時、戸惑った)

京太郎(当たり前だ――インドのような国ならいざしらず、ここは日本)

京太郎(お国柄、認められていないこともある――)

京太郎(それは、つまり……)


玄「それじゃ、お姉ちゃん」

宥「う、うん」

玄「……これとか似合うんじゃない?」

宥「で、でも……ちょ、ちょっと胸の部分が大胆すぎない?」ドキドキ

玄「大丈夫だって! なんて言っても――」ニコニコ

宥「晴れ舞台、かぁ……えへへ」ニコニコ

京太郎(――当の二人が全く理解していない、その事実は)

京太郎「なぁ、二人とも」

玄「それで、それで! ええと」

宥「し、新婚旅行は、どこに行こっか?」

京太郎「――もしかして、二人一緒に結婚できるとか思ってないか?」

二人「へ?」

京太郎「いいか、ここは日本だ」

京太郎「インドとかと違って、一夫多妻制は認められてない」

京太郎「だから――挙式も出来ないんだ」

二人「……」


玄「うーん、そっかぁ」

宥「か、考えてみればそうだよね……はぁ」

京太郎(――本気だったのか? ま、まさかな)

玄「それじゃ、しょうがないね」

宥「だね」

京太郎「え? え?」


玄「結婚できないなら」

宥「しないまま、一緒にいよう?」

京太郎「……」

京太郎「――日本じゃ、夫婦が一緒にいるには結婚とかしないと」

京太郎「おかしな目で見られるんだぞ」

京太郎「スウェーデンとかと違って、結婚しないと、その、い、色んなことが――」

玄「そんなこと」

宥「き、気にしなくていいよ」

京太郎「えええ……」


玄「たしかに私たちは日本人だよ」

宥「でも……結婚しないまま一緒にいて、何が悪いの?」

京太郎「――世間から変な目で」

玄「気にしないよ」

京太郎「――お、親の説得が」

宥「3人一緒なら、出来ないことなんてないよ」

京太郎「……」

京太郎(今更ながら、とんでもない姉妹だ……)

玄「それでそれで! お姉ちゃん、どこ行きたい?」

宥「うーん、新婚旅行出来ないなら……普通に近場で――」

京太郎(というか、さっきまでのシリアスな話はどこへやら)

京太郎(もう嬉々として、旅行の話をしているし……)

京太郎「――ホント、敵わないなぁ」ボソッ

玄「……ところで、京太郎くん?」

京太郎「ん?」

宥「こ、この前お掃除でちょっと京太郎くんの部屋に入っちゃったんだけど」

宥「――エッチな本が」カァァ

京太郎「!!?」

玄「それでね」

玄「こ、こーいうの読むのは別にかまわないと思うのです!」

玄「で、でも! こ、これから私たちは、い、一応、夫婦になるわけだから」ジッ

宥「……私たちと、一緒にいるんだから」ジッ

二人「……」


京太郎(……その視線だけで理解した)

京太郎(二人が何を求めているのか――)

京太郎(この結論を出して、多少なりともあった迷いの気持ちが今、かき消えた――)


京太郎「……あー、その」

京太郎「いい、のか?」

玄「うんうん!」

宥「……よ、夜にはまだ早いけど」

宥「い、一緒なら――『あったかい』よ」モジモジ

京太郎「……」


京太郎「わかった。よろしくお願いします、『姉ちゃん』」

玄「ふふ、可愛がってあげるね」

宥「玄ちゃん、何か悪い顔になってるよ……」

玄「京太郎くんとお姉ちゃんと、かぁ――」

玄「こうなることを、どこかで待ってたような……そんな気がするんだ」

宥「玄ちゃんったら――」

宥「……それじゃ、京太郎くん」

京太郎「ん。わかった」

京太郎「……布団、敷いてくる」


――その夜


玄「……むむ! お姉ちゃん、また大きくなった?」

宥「く、玄ちゃんこそ、前より少し……」

玄「わ、私がちょっとだけおっきくなっても、お姉ちゃんが普通に上回ってるもん」

宥「しょ、しょうがないよぉ……むしろ大きすぎても困るし」

玄「むー……」


京太郎(玄姉ちゃんはいくらなんでも贅沢すぎると思うなぁ……)

京太郎(むしろ、さっき挟んでくれた時凄くボリュームあったし)

京太郎(……なんか、そう思い出すと恥ずかしいな)


玄「あ、京太郎くん赤くなってる」

宥「あったかそう……」

京太郎「――むしろ暑いって」カァァ

宥「さっきの玄ちゃんのが、そんなに良かった?」

京太郎「あ、あれはっ!」

玄「ほほう、それはそれは」

玄「……挟むのには十分だったからねー」

京太郎「……玄姉ちゃん、張り切ってたもんなぁ」


宥「――私も、やろっか?」

京太郎「いや、いいよ」

京太郎「今度の楽しみに、とっときたいから」

玄「え、京太郎くん、もう『次』のこと考えてるの?」

宥「せ、せっかちだよ……それに、エッチ」カァァ

京太郎(散々だな……)


京太郎「――ともあれ」

京太郎「これから、どうするかなぁ」

玄「大丈夫だよ、京太郎くん」

宥「お、お姉ちゃんが二人付いてるから」

京太郎「……結婚しないにせよ、一緒にいる以上」

京太郎「『姉ちゃん』にばっかり、頼るわけにはいかないって」

玄「おお、京太郎くんが自立を!」

宥「うう……嬉しいような、寂しいような」

京太郎(――まずは、二人のお父さんから)

京太郎(そして、穏乃たちのような近しい友人への報告)

京太郎(それから……)



京太郎(色々な障害が、きっとやってくることだろう)

京太郎(――でも)

京太郎(それらは、乗り越えようと思えば乗り越えられる、はずだ)

京太郎(――だから)


玄「京太郎くん、いこっ!」

宥「……い、一緒に、ね」

京太郎「――よしっ!」



――松実姉妹ルート HappyEnd

ハーレムエンドでした。

さて、こんなオチですが、良かったんですかね……?
とりあえず、宥ルートでもちょっとしたHシーンは入れたので、公平を期すために入れました。
……ホントはちょっと書きたかっただけです(白状) 苦手なくせして……

それじゃ、また。
こ、今度こそ咲ちゃんの登場を……(震え声) そろそろ可哀想に思ってきた
何せ、照姉さんに取られたままだし……

学年が上がってからとても忙しくなった、ような……
結構間が空いちゃってますね……

ごめんなさい、今回は投下じゃありません。
明日あたり、書けたら……いや、もしかしたら、明後日以降に――

さて、一段落。
書きます。


――咲の部屋

咲「……あ」ゴソゴソ

咲「これ、って――」


咲(思い立って部屋の整理をしてみたら)

咲(おかしなものを見つけた)

咲「アルバム、かぁ」

咲(ちょっと取り出して、読んでみようかな)スッ

咲「……重っ」ズシッ


咲(いやー、随分たくさんあるねこれは)ペラペラ

咲「――懐かしいなぁ」

咲(あ、これまだお姉ちゃんが家にいた頃の)

咲(……といっても、最近当たり前のように我が家にいるけど、学校は大丈夫なのかな)

咲(まぁ、お姉ちゃんだし)ペラペラ


咲「……これは」

咲(うわぁ、なかなか――)

咲(……『お姫さま』かな?)

咲(お姉ちゃんと二人、どこかの王国の王女みたいな服装)

咲「……そういえば、この頃」

咲「『お姫さま』っていうのに、すごく憧れてたんだっけ……」シミジミ

咲「……」


――京太郎の部屋

京太郎「……いやー」カチカチ

京太郎(なんというか、久々にストライクなヒロインだなー)

京太郎(主人公に優しくて、時にははっきりと意見も言うけど、結局それは主人公を信頼してるからで――)

京太郎(意外とアリかもな――『お姫さま』系ヒロインっていうのも)


>ユメナラータクサンミター


京太郎「ん? 電話?」

京太郎(相手は……咲か)

京太郎「はい、もしもし」ピッ

咲「……」

京太郎「――おーい?」

咲「……ど、どうしよう」

京太郎「は?」

咲「こ、こんなこと言ってもしょうがないよね、だ、だって――」ブツブツ

京太郎「……独り言いうために電話してきたのか?」

咲「!」

咲「ち、違うもんっ!」カァァ

京太郎「それなら、用件」

咲「う、うう……」

咲「――」

咲「――て」

京太郎「て?」

咲「私を、そ、その、姫にしてっ!」

京太郎「……」

京太郎「え?」キョトン


――咲の部屋


京太郎「……それで?」

咲「う、うう……」

京太郎「さっきの話は?」

咲「――わ、忘れt」

京太郎「お姫さま」

咲「わっ」ビクッ

京太郎「――といってもなぁ」

京太郎「お前ほど姫から縁遠そうな奴もいないような……」

咲「し、失礼なっ!」カァァ

咲「これでも、小学校の頃学芸会で、『白雪姫』やったんだよ?」

京太郎「そうかそうか」

京太郎「で、何の役を?」

咲「……小人、さん」ボソッ

京太郎「ふーん」

咲「……いじわる」グスッ

京太郎「ともあれ」

京太郎「どう考えても、和が適してそうな姫役をお前がやることについては突っ込みどころだとしても」

咲「は、原村さんは関係ないでしょっ! いい加減にしてよっ!」

京太郎(――それの元ネタをこいつが知ってたらと思うと、なんかこう、グッとくるものが……)

京太郎「――まぁ、いいって」

京太郎「いいよ、『お姫さま』。なんなりと」

咲「え? ええ?」

京太郎「……」

京太郎(やべえな、これ)

京太郎(さっきまでやってたゲームのせいか、姫に接していると思うと)

京太郎(胸が熱くなる、というか……)キュッ


咲「京ちゃん」

京太郎「なんでしょうか、『姫』?」

咲「……エッチなゲームでもやったの?」

京太郎「」

咲「図星だね」

京太郎「……悪かったな」

咲「ううん」

咲「今まで、京ちゃんが私のこういうお遊びに乗ってくれたのは」

咲「大抵、何かしらの作品のせいだもんね」

京太郎「う……」

咲「で、それで、京ちゃん?」

咲「――私の『しもべ』になってくれるの?」

京太郎「お、俺は別に、そういう立場には……」

京太郎(あのゲームでも、主人公は『異世界から来た平凡な高校生』とかいう超ありがちな設定だったし)


咲「ま、いいや」

咲「――京ちゃん」

京太郎(お、咲の声が迫真に)

咲「……私、女王・咲の名において命じます」

京太郎(女王・咲……ださいなあ)アキレ

咲「――私を」

咲「……」

京太郎「――姫?」

咲「――だき、しめて」

京太郎「え?」


咲「も、もうおしまいっ! ここまでっ!」

京太郎「お、おい、最後なんて……」

咲「ほらほら、京ちゃん。早く家に帰ってゲームの続きしないと、だよっ」

京太郎「……咲」

咲「――な、なに?」


ギュッ


咲「」

京太郎「――これでさよなら、『お姫さま』」ポンポン

咲「……な、なんで?」

京太郎「――なんとなく」

咲「え?」

京太郎「なんとなく、まだ遊びたがってるように見えたし」

京太郎「それに」

咲「……それに?」

京太郎「――なんでもない」プイッ

咲「へ?」




――だき、しめて――



京太郎(さっきの、こいつがまるで――)

京太郎(あのゲームのヒロインみたいに見えて、なんだかすごく)

京太郎(――いとおしくなっちまった、というか)

咲「ねぇ、京ちゃん?」

京太郎「な、なんだ咲?」

咲「――ありがとね」

京太郎「……」

京太郎「おう」コクッ


咲(きっと、京ちゃんは分かってない)

咲(こうして、すぐに私のお遊びに乗ってくれることで、それがどんなに楽しいか)

咲(――どんなに、嬉しいか)

咲(……べ、別に、だからって、その――『そういう』気持ちってわけじゃないよ! ホントだよ!)フルフル

咲(って、私は誰に弁解してるんだろ……)カァァ


京太郎(なぜかは知らないけど)

京太郎(さっきからよく変わるこいつの表情に)

京太郎(――いつもと違う、印象をうけた)

ここまでになります。
結構久しぶりの咲ちゃんの話なので気合いれて書きました。
……これで、正ヒロインの面目躍如ですかね?

やっぱり随分と書くのが難しくなってきました。
進路のための勉強もやらないといけないもので……
それでも付き合って頂けるなら、とても嬉しく思います。

それでは、またお会いしましょう。

――部室

ひな「よいしょっ」ポスン

京太郎「お、おい」

桜子(ギバ子)「あ、ひなっ」

桜子「次、私だよっ!」

ひな「えー……まだ乗ってたいのにー」ポンポン


京太郎「――それで」

京太郎「二人とも、これは一体?」

ひな「んーとねー」

桜子「この前テレビでやってたのっ!」

京太郎「テレビ?」

ひな「うん。誰かの膝の上に乗ってると」

桜子「リラックス効果? っていうのがあるんだって!」

京太郎「へぇ」


京太郎「でもさ」

京太郎「そういうのなら、お前らのお父さんとか――」

ひな「あー、ダメダメ」

桜子「……女の子は複雑なんだよ、京太郎兄ちゃん?」クスッ

京太郎「い、いや、だから」

ひな「ふぅ、そろそろ交代?」スタッ

桜子「待ってましたっ!」ポスン

京太郎「……聞く耳持たず、かぁ」


京太郎(でも)

桜子「そういえばさー、ここ勝手に入って良かったの?」

ひな「あー、ええと、ちょっとマズいかも……」

ひな「私たち、まだここの生徒じゃないから」

桜子「ええー!?」

京太郎「あ、そういうことなら」

京太郎「俺から、何とか言っとくから平気だって」

ひな「え、でも……」

桜子「いーの、京太郎兄ちゃん!?」

京太郎「まぁな」

京太郎「――昔、一緒に麻雀打ってた仲間だし」

京太郎「今でもこうして慕ってくれるのは、凄く嬉しいからさ」

ひな「きょ、京太郎さん……」

桜子「――これだから、兄ちゃんは」ボソッ

京太郎「桜子?」

桜子「な、なんでもなーいっ」ニコニコ

京太郎「?」

ひな「ふふっ」クスッ



「……」

「――もうっ!」プイッ



――数分後・部室

京太郎「……」

京太郎(ひなと桜子はあの後すぐに帰っていった)

京太郎(また近いうち来るよ、と言い残して)

京太郎(そして、少しばかり散らかった部室を整えて、さて誰が来るかと構えていたところ――)


灼「……」

京太郎「あ、あの、灼さん?」

灼「――なに?」プクー

京太郎(ああ、この人、頬を膨らませてる)

京太郎(後ろからでも、どんな表情してるかすぐに分かるよなぁ……)

灼「……京太郎くん、なんでニヤニヤしてるの?」ジトッ

京太郎「し、してませんっ!」

京太郎(っと、それは相手も同じ、か)


灼「……」プクー

京太郎「――あ、あのー」

京太郎「もしかして、ちょっと怒ってます、か?」

灼「――怒ってなんて、ないもん」ツン

京太郎(その頬で?)

京太郎(二人が帰ってから、入れ違いに灼さんがやって来て)

京太郎(いつも通り、当然のごとく、俺の膝の上に飛び乗ってきた)

京太郎(――いつもの乗るまでの前口上とか、確認だとかをすっ飛ばして)

京太郎(だからきっと、何かあったのかもしれない、と思った――わけだけど)

灼「……ここは」

京太郎「ん?」

灼「私の、専用席じゃ、ない」

灼「――そんなこと、分かってたのに」キュッ

京太郎「あ、灼さん?」

灼「それでも」

灼「――なんでかな、凄く落ち着かなくて」

灼「さっきの子たち、年下なのに。私、お姉さんなのに」

京太郎「……」

灼「なのに――」


灼「……やきもち、やいちゃってるのかな?」カァァ


灼「京太郎くんのせいで」

灼「わ、私、今まで冷静なはずだったのに」

灼「――おかしく、なっちゃったよ」

京太郎「……灼さん」

京太郎「俺のせいにはしないでください」

京太郎「そもそも、最初に乗ろうと提案してきたのは灼さ――ああ、やめてください、袖は引っ張らないで……」

灼「……」ムー

灼「――ね?」

京太郎「はい?」

灼「あ、あの子たちを乗せても、べ、別に私には何の関係もない、けどっ!」

灼「――『特別席』のままに、しておいてくれない、かな」

京太郎「……」

京太郎「仰せのままに、お姫さま」

灼「な、なんで姫?」アセアセ

京太郎「だって」

京太郎「――今の灼さん、何というか、とてもお姫さまらしかったから」

灼「――!」

灼「そ、そういうこと言うの、禁止」プイッ

灼「……ダメ、だからね」キュッ

京太郎「……」


京太郎(とりあえず)

京太郎(俺が気にすべきなのは、何故だか室内の温度がさっきよりぐんと上がった気がすることだ)

京太郎(はて、どうしてだろう……?)


灼(――お、おかしな所を見せちゃった)

灼(は、恥ずかしい……!)カァァ

ここまでです。

膝の設定を(勝手に)付けてからというもの、灼ちゃんを書くのが楽しくてしょうがない。
しかし、灼ちゃんが乗ってる間、示し合わせたかのように他の部員が入ってこないのは……いや、野暮ですね。

それじゃ、また。
ここ最近は忙しいので、こうした小ネタを書くことが気分転換にもなります。
読んで下さる方に感謝しつつ――

――阿知賀学院 部室

穏乃「……お」

憧「なんだ、しず。いたのか」

穏乃「おっす、憧」

穏乃「あれ? 他の人は、まだ来てないのか?」

憧「あぁ、玄なら教室掃除で」

憧「宥姉は、カーディガン取りに家に帰った」

穏乃「徹底してるなあ、相変わらず」

穏乃「――あの寒がり、どうにかならないのかな? なんだか宥さん、可哀想だけど」

憧「たしかになー、いずれ治ってほしいとは思うけど……ともあれ」

憧「まず、お前のそのカッコからどうにかした方がいいんじゃないのか?」

穏乃「え、このジャージ?」

穏乃「や、やだなー、俺のジャージ姿は、えっと、あいでんてぃてぃ? みたいなもんだっての」

憧「……さっきから、お前の大事なブツが見えるか見えないかの瀬戸際にいるような気がしてならないんだよ」

穏乃「――み、見なかったことにしてくれ」


憧「そうは言っても気になるものは――」

灼「あ、二人とも。来てたんだ」

穏乃「おす、灼さん」

憧「……逃げたな」

灼「――」

憧「どうしたんだ、灼?」

灼「……え、えぇと、ううんなんでもない」

憧「ふーん……」

憧「――そういや、京子まだ来ないのか?」

灼「!」

穏乃「あ、京子なら、さっき買い出し行ってた気がするっ」

憧「また行ったのか……」

憧「いいのかよ、唯一の女子部員が雑用係なんてやってて」

穏乃「まぁまぁ、本人がやりたいって言ってるんだし、いいんじゃね?」

憧「そうかなー」

和「京子は昔から、人のためなら何でもする人でしたから」

灼「あ、和。おっす」

憧「まぁ、たしかに和が言う通りだな」

穏乃「昔から、俺たちに気を遣いまくってたからなー」

灼「……昔から、こき使ってたのか?」

憧「まぁ、今はこき使われながらも、誰かをこき使ってはいるみたいだけどなー」

灼「――!?」


――回想――


灼「……ど、どうだ、気持ちいい、か?」

京子「は、はい……」

京子「――灼さんの膝の上、落ち着きます」

灼「京子は、俺に乗っかるの、キライじゃないか?」

京子「そ、それは、その」

京子「……好きに、決まってるじゃないですか」

京子「も、もうっ! い、言わせないでくださいよっ!」

灼「……」

灼(なんて、卑怯な奴なんだろう――)



――回想終了――


灼(あ、憧にはバレてるのか?)

灼(と、とりあえず、気にしないふり気にしないふり……)

憧(――灼は、分かりやすいなぁ、もう)

穏乃「ところで、和?」

和「はい?」

穏乃「え、ええと」

穏乃「俺が言うのもなんだけどさ、その――」

穏乃「――ズボンのサイズ、少し大きめにした方がいい、かもな」

和「え、どうし――」

和「……穏乃、な、何を見てるんですか!」

穏乃「だ、だって、気になるんだって!」

穏乃「お、お前、それで――お、おっきくなった時とかどうすんだよ?」

和「……そ、それは、その」

和「――見なかったことにしてもらいます」

穏乃「解決になってねえよー……」

憧(いや、お前が言うな)

玄「ふぅ、掃除終わった終わった」

宥「――あったかーい」

穏乃「あ、玄さん、宥さん。おっす」

玄「おーっす! いやー、やってるねぇ」

憧「玄、お前まだ長髪なのか?」

憧「俺とか穏乃は、髪切っちまったけど……」

玄「いやー、考えたんだけど」

玄「――やっぱ、長髪の男ってのもアリかな、なんて思ってさ」

憧「……耳寄りな情報、教えてやろうか?」

玄「ん?」


憧「――この前、京子に訊いてみたんだけど」

憧「『ショート』と『ロング』、どっちがタイプ、と」

憧「まぁ、赤面して応えあぐねたあげく、か細い声で――」

憧「――『ショート、かな』」

玄「よし、床屋に行こう」

穏乃「決断はやっ!?」

玄「お姉ちゃんもいかない?」

宥「え、ええ――ぼ、僕はこのままでいいよー」

宥「寒いし……」

玄「――京子ちゃん、ショートが好みらしいよー?」

宥「……い、行ってみよう、かな?」

二人(なんて流されやすい兄弟なんだろう――)


憧「さて」

穏乃「あとは京子だけ、か」

和「――京子はいつになったら麻雀が強くなるのでしょうか?」

和「僕たち男子は、女子に比べると随分弱いから、なかなか教えたりできませんが……」

憧「うーん……女子にはオカルトアリってのが、和は怒るかもしれないけど、定説だからなぁ」

穏乃「そうだよなー、男子最強が名門高校の1年女子レベルって噂もあるし」

和「――どうすれば」

京子「こんにちは」

和「あ、京子。こんにちは」

穏乃「よし、京子!」

京子「わわっ!?」

灼「今日から、特訓」

憧「大丈夫、俺たちが教えるから!」

京子「う、うう……」

京子(み、みんな、顔近すぎるよっ)

京子(クラスでも話題のかっこいいグループなんだから、ちょっとは考えて――って!?)

京子「し、しし、穏乃!? な、なにしてるのっ!?」

穏乃「へ? なに?」

京子「……とりあえず、ズボン。履かないのは許さないから」

穏乃「だ、だから、なに――わわっ!!?」

穏乃「……ごめんなさい」

京子「分かればいいよ」

憧(――下手すりゃ職質受けかねないからなー、この辺りの警察緩いとはいえ)

和(たしか、この前は名門校の選手が露出で掴まり、波紋を呼んでましたし――鹿児島だったか、長野だったか)

灼(……生きにくい世の中になったなぁ)


京子「……」

京子(ちょっと、考えちゃうなぁ)

京子(クラスや学年でも話題のかっこいい系男子の殆どがこの部にいる)

京子(――どこの乙女ゲーなの、これは)

京子(まぁ、私も女だし、そういうシチュエーションキライじゃないけど……)


京子「これからも、やってけるかなぁ……」

ここまでです。

これは完全にネタとしてのお話なので、いつもは少しばかり考えて書いてはいますが、行き当たりばったりな出来になりました。ごめんなさい。
こんな出来ですが、楽しんでいただけたら、と。
……しかし、阿知賀のメンバーは京子以外名前を弄るのは難しいですね。だからそのままです。

それでは。

さて、書こうか。

と思ったものの、確認してみると書けそうな小ネタは書き終ってしまってますね……
そろそろ、リクエストの頃合いでしょうか。

ごめんなさい、「腐女子キャラ」と「照姉さんとの浮気モノ」のリクエストをしてくれた方。
多分どっちも、自分の筆力では魅力的には書けないかと思うので……というより、特に後者は書いてて精神折れそうなので。

それでは、今日は出てきたリクエストから一本書こうと思います。
また後ほど。

――宮永家

京太郎「……」

咲「……」


>コノオトコハネ、トンデモナイヤツナノ!
>ア、アナタニマオウサンノナニガワカルンデスカ!


京太郎「うわ……」

咲「こ、これは修羅場だね――」

京太郎「そういや、前期にもそんなタイトルのアニメあったっけなぁ」

咲「キャラデザのせいか、何かもっと怖いなぁ……」

京太郎(……気のせい、か)

京太郎(この声をどこかで、聞いたことがある、ような……)

京太郎(夢の中、か?)


京太郎「――はぁ、今回も面白かったな」

咲「ホント、今期は豊作って言われるだけのことはあるね」

京太郎「『巨人』といい、話題性あるしな」

咲「――それにしても、いいなぁ」シミジミ

京太郎「は? 修羅場が?」

咲「そ、そりゃあ、可愛い女の子が男の子取りあって修羅場、ってのは大好物だけど」

咲「じ、実際にはあってほしくないしっ」ブンブン

咲(原村さんや優希ちゃんと修羅場なんて嫌だなぁ――あれ? わ、私なんでこの二人を想像してるの?)カァァ

京太郎(いつも通り、勝手に考えたことでウンウン唸ってるな……)


咲「――コホン」

咲「しゅ、修羅場はシチュエーションとして面白いの」

咲「だ、だから、私自身に修羅場が来てほしいかと言えば、それは――」アセアセ

京太郎「おい、話が変わってるぞ?」

咲「――」

咲「く、空気読まないとダメだよっ!」プイッ

京太郎(なんだこいつ……)

咲「わ、私が『いいな』って思ったのは」

京太郎(ようやく話が元に戻ったな……)

咲「ば、バイトで好きな人と出会うっていうこと!」

京太郎「――なんだ? お前、バイトしたいのか?」

咲「わ、私だって、普通の高校生だもん」

京太郎「へぇ――『普通の』ねぇ」

咲「あ、悪意あるアクセントはやめてよ……」ビクッ

京太郎「お前、どの辺が普通なんだよ」

咲「――」


咲「ま、麻雀できるし」

京太郎「競技人口増えたとはいえ、未だにやらない女子高生の方が多いだろ」

咲「ほ、本好きだし」

京太郎「ラノベだけ読むことを本好きと呼んでいいものか……」

咲「……あ、アニメ観るしっ!」

京太郎「ふーん……」

京太郎「ところで、咲。『SMAP』のメンバー、全員言えるか?」

咲「――へ?」

京太郎「それが無理なら、『嵐』のメンバー」

咲「――ん?」

京太郎「……『普通の』女子高生なら、言えるだろ?」

咲「……」

咲「――きょ、京ちゃんって、ホント意地悪」グスッ

京太郎「お前が『普通』とか言い出すからだ」


京太郎「第一」

京太郎「――あんまり言いたくないけど」

京太郎「お前、コミュニケーション苦手だろ?」

咲「うっ」グサッ

咲「い、痛いとこを突いて来るね……」

京太郎「いや、だから言いたくなかったんだって」

京太郎「――ともあれ、バイトってのは特殊なものを除いたら、基本的にコミュニケーションはとらないといけない」

京太郎「高校生バイトなら、特に接客とかが多いからな」

咲「……うう」

咲「そ、それでも、『マック』でのバイトとか、憧れるよ」

京太郎「――『マック』、かぁ」



咲『い、いらっしゃいませぇー……」

先輩『ちょっと宮永さん、声小さいよ』

咲『はひっ!? す、すみませ――」

客『あのー、注文……」

咲『わっ!? た、たたただいまっ!』



京太郎「……悪いことは言わない、やめとけ」

咲「えー」

咲「うう――憧れることの何が悪いの」ウルウル

京太郎(……せっかく麻雀部という部活動に参加することで、自信を持ってきてるのに)

京太郎(ここでいきなりバイトなんていうハードルを掲げたら、咲は――)

京太郎(まだ早い、よな)

京太郎(――何だか、こいつの保護者のような気分だ……)ハァ

咲「あ、もしかしてっ」

京太郎「ん?」

咲「京ちゃん、私に嫉妬してる?」

京太郎「――は?」


咲「だって、もしかしてだよ?」

咲「万が一、私が誰かに言い寄られたりしたら」

京太郎「……」

咲「京ちゃん、困っちゃったり、して」

京太郎「――」

咲「あは、は……」

京太郎「……」

咲(――あれ?)


咲(ちょ、ちょっと待って)

咲(何気なく話しちゃったけど、私、とんでもないこと言ってる?)

咲(だ、大体、万が一私に、その、ぼ、ボーイフレンド? が出来たとして)

咲(そ、そんなこと、京ちゃんには何の関係も――ない、はず)

咲(――あれー?)カァァ

京太郎「咲」

咲「は、はいっ」

京太郎「……お前、自分がちーちゃんくらい可愛いとでも思ってるのか?」

咲「」

京太郎「お前はあの子より、接客に向いてる要素があると思うか?」

咲「」

京太郎「何よりお前、ちーちゃんレベルはともかく勇者レベルには、胸は――」

咲「……」


咲「京ちゃんの、バカっ!」プイッ

京太郎「以上、お前には接客はまだはやい」

咲「バカバカバカ!」

京太郎「もう少し、部活動で訓練してからだな」

咲「――も、もう! 本当に、京ちゃんは!」

京太郎「……」


京太郎「――そう、なのかもな」ボソッ


咲「……え?」

京太郎「なんでもねえ」

京太郎「――さて、そろそろ帰って宿題でも」

咲「あ、ちょっと――」

咲(『そう』って、何が……)

咲(ま、まさか――!)


――京ちゃん、私に嫉妬してる?――


咲(……そ、そんなことはっ!)

京太郎「それじゃな、咲」

咲「あ――」

咲「……わ、私、だって」

京太郎「ん?」


咲「きょ、京ちゃんが接客なんてしたら――」


京太郎「……え?」

咲(接客なんて、したら――)

咲(……女の子が、近くにでもいたら)

咲「――知らないっ!」

京太郎「……」

京太郎「――帰るぞ」

咲「――うん」


二人「……」

二人(顔、熱っ!)カァァ

ここまでになります。

久々の真っ向からの京咲を書いてると、やっぱり楽しいです。
ここ最近、このアニメの元ネタとも言える某ファストフード店は、色々と経営がマズいという噂があるので、少し悲しい……

さて、それでは今はこの辺りで。

――部室

灼「……」ウトウト

京太郎「灼さん?」

灼「――!」ハッ

灼「ご、ごめん」アセアセ

灼「その………気持ち良かった、みたいで」カァァ

京太郎「そうですか、それは良かった」


京太郎「――ただ、その」

京太郎「膝の上で眠られると、ちょっとキツいと言いますか、ええと」

灼「――それって、私が重いってこと?」ジトッ

京太郎「ち、違いますって!」

京太郎「ただ――」

京太郎「……灼さんが落ちそうになったりすると、大変で」

灼「――あ」ハッ

灼「ご、ごめん」ペコリ

京太郎「いえいえ」


京太郎「――でも」

灼「?」キョトン

京太郎「灼さん、いいんですか?」

京太郎「そうして寝ちゃってると、もしも――」

京太郎「誰かが部室に入ってきちゃったら、その姿が見られちゃいますけど……」

灼「そ、それはっ」

灼「――善処、する」

京太郎「に、しても」

京太郎「ホント、よく寝てましたねー」

灼「……京太郎くんって、結構意地悪だよね?」ジトッ

京太郎「いや、正直、バレたら怖いのは俺も一緒なんで」

灼「――」


灼(大抵いつも、勝手に乗せてもらって)

灼(それなのに、嫌な顔一つしないで、いてくれる)

灼(――なんか、悪いな)キュッ

灼「ね、ねえ」

京太郎「はい?」

灼「あ、あの、さ」

京太郎「?」

灼「――い、いつもの、お礼に!」

京太郎「……お礼?」

灼「うう……」


灼「一緒に、どこかへ行かない、かな?」

京太郎「……え?」



――街


京太郎「……え、えと」

灼「……」カァァ

京太郎「あ、灼さん?」

灼「――な、なに?」ビクッ

京太郎「そのー」

京太郎「さっきから、身体が熱そうだったので」

灼「――な、慣れてない、から」ボソボソ

京太郎「え?」

灼「――私、穏乃や憧たちと違って」

灼「男子といたこと、あまりないし」

灼「――だ、だから、緊張しちゃって」

京太郎「……」

京太郎「――緊張してるのに、俺の膝には乗るのか」ボソッ

灼「――!」ハッ

灼「……意地悪」ウルッ

京太郎「いやいや、だから灼さん」


京太郎「らしく、ないですって」

京太郎「灼さんは、男子とあまり接点なかったって言いましたけど」

京太郎「――俺は、灼さんと一緒にいると楽しいですから」

灼「……」

京太郎「これは、本当です」

灼「――も、もう」

灼「せ、先輩にカッコつけるのはダメだよ?」プイッ

京太郎「べ、別にカッコつけたわけじゃっ」

灼「――もう」


灼「……ありがと」ボソッ

京太郎「へ?」



灼「ほ、ほら、そろそろ行くよ」

京太郎(……顔を赤らめながら、聞こえるか聞こえない程度の声で、「ありがと」)

京太郎(目線は逸らしたままだったけど、それは恥ずかしさだからってのが丸分かりで)

京太郎「――灼さんは、本当に意地悪ですね」ハァ

灼「え? 自分の方でしょ?」

京太郎「……灼さん、熱ですか? 顔、赤いですけど」

灼「――!」ハッ

灼「……し、知らないっ!」プイッ

灼「もう……京太郎くんは、これだから、まったく」

京太郎(――そういう仕草が、「意地悪」だって言ってるんですってば)タメイキ

少し短いですが、この辺で。

着々と灼ちゃんルートが進行すると、大体こんな感じかな、ってイメージでした。
しかし、充電属性が付いた灼ちゃんは、個人的に書いててグッと楽しくなりました。

それでは、また。
……しかし、灼ちゃんルートは基本的に充電が不可欠だから、新しい展開も考えないと、ですね。

――和菓子店

京太郎「こんにちはー」

穏乃母「はーい……あら」

穏乃母「京太郎くんじゃないの。こんにちは」

京太郎「こんにちは」

京太郎「――その、今日は穏乃に呼ばれて来た、んですけど……」

穏乃母「あー、あの子に?」

穏乃母「……さては」

京太郎「おそらく、大方予想通りかと」

穏乃母「……まったく、あの子ったら」ハァ

穏乃母「――まぁ、京太郎くんならしょうがない、か」ボソッ

京太郎「へ?」


穏乃母「まぁまぁ」

穏乃母「とりあえず、上がっていくんでしょ? おいでなさいな」

京太郎「は、はい……」

京太郎「あ、あの」

穏乃母「あ、穏乃ならもう少し経ったら帰ってくるみたいだから」

穏乃母「それまでくつろいでて」

京太郎「あ、ありがとうございます――」

京太郎(さっきの、穏乃のお母さんの言葉――)

京太郎(なんて言ってたんだろう?)

穏乃母(~♪)


――高鴨家・居間


穏乃母「はい、どうぞ」

京太郎「あ、ありがとうございます」パクッ

穏乃母「――どう、美味しい?」ニコニコ

京太郎「と、とっても!」

穏乃母「ふふふ」

穏乃母「京太郎くん、相変わらずリアクションがオーバーね」

京太郎「い、いえっ! じ、実際、すごく美味しいですっ!」

穏乃母「何か指摘されると一生懸命になるのよねー」

京太郎「うぐっ……」

京太郎(穏乃のお母さんは、昔からこうだ)

京太郎(こうして気兼ねなく話しかけてくれるお陰で、俺は全く緊張しないでいられる)

京太郎(そのコミュニケーション力の高さは、娘にも遺憾なく受け継がれているようで――)

穏乃母「ね、ところで」

京太郎「はい?」

穏乃母「――京太郎くんが今日、家に来たのって」

穏乃母「実際のところ、『それ』だけのために来たの?」

京太郎「え、じ、実際そうですよ?」

京太郎「そ、それ以外にやることなんて、ないじゃないですか」

穏乃母「ほんとー?」クスクス

京太郎「う、うう――ほ、ホントですってば」

穏乃母「――ね、京太郎くん?」

京太郎「な、なんですか?」

穏乃母「……最近、うちの娘とどう?」

京太郎「――どうも、なにも」

京太郎「部活だったり、クラスだったりで、とても仲良くさせてもらってます」

穏乃母「へぇ――『仲良く』ねぇ」クスッ

京太郎「……その意味深な目はやめてくださいって」

穏乃母「いやいや」

穏乃母「これでも、あの子のこと心配してるんだから」

京太郎「――心配、ですか」

穏乃母「うん」

穏乃母「ほら、あの子、女の子っぽくないでしょ?」

京太郎「はっきり言いますね……まあ、近くに憧がいるせいか、余計に対照的ですよね」

穏乃母「憧ちゃんはねー、あの子は凄いわね。あの年ですでに、魔性の魅力? ってのが出てるし」

京太郎「は、ははは……」

京太郎「たしかに憧はそういう感じだ――それで、穏乃の女の子らしさを気にしてるんですか?」

穏乃母「まぁ、ねえ」

穏乃母「――でも、それは逆に言えば、男女差をあまり感じさせないかもねえ」

京太郎「男女差、ですか……」

京太郎(たしかに、穏乃が学校の男子生徒と喋ってることは珍しくも何でもないしなぁ)

京太郎(憧も喋るっちゃ喋るけど――どっちかと言えば、クラスの『おしゃれグループ』と話してるイメージだし)

京太郎「穏乃は、学校ではすごく楽しそうにやってますよ」

穏乃母「うん、それなら良かったよかった」

穏乃母「――ただ、私がちょこっと心配してるのは……」


穏乃「たっだいまー!」ガラッ

京太郎「おう、穏乃。おじゃましてるぞ」

穏乃「あ、京太郎! もう来てたんだ」

京太郎「まぁな。ところで――」

穏乃「うん、すぐ始めよう!」

穏乃母「――穏乃」

穏乃「あ、お母さん、ただいま」

穏乃母「おかえりなさい……ねえ、穏乃?」

穏乃「? なに?」

穏乃母「――京太郎くんと、仲良くしなさいね」

穏乃「へ?」

京太郎「?」

京太郎(いきなり、なんだ……?)

穏乃母「さ、行ってらっしゃい。後で何か持って行ってあげる」

穏乃「うん、ありがとっ!」

京太郎「それじゃ、行くか――お前の部屋、散らかってないだろうな?」

穏乃「むっ、失礼な! 散らかるほど部屋に物ないしっ!」

京太郎「まぁ、そうだろうな――」

京太郎(これが憧の部屋だと、ファッション誌やら化粧品やらで凄いことになってるからな……)


穏乃母「……」

穏乃母「――穏乃」

――穏乃の部屋

穏乃「入って入って」

京太郎「おじゃましますっと」

京太郎「――おお、相変わらず物がないことで」

穏乃「まぁ、部屋いるんなら外行っちゃうからねー」

京太郎「……お前、ホント活動的だな」

穏乃「京太郎、運動不足じゃない? 都会っ子は違うねぇ」

京太郎「も、もう都会っ子じゃねえよ」


穏乃「――さて、それじゃ」

京太郎「とっとと始めるぞ」

穏乃「うん――」

京太郎「夏の、風物詩」

二人「……宿題をっ!」バッ


――1時間後


穏乃「……も、もう、ムリ」フラフラ

京太郎「お前、俺が来る前に、これだけしかやってなかったのか……」

穏乃「だってぇ」

穏乃「宿題してたら手がウズウズして、ついつい麻雀牌触っちゃって」

京太郎「ダメだろ」

穏乃「机で足ブラブラさせてたら、ついつい気づいたら外に――」

京太郎「いや、もっとダメだろ」

穏乃「うう――どうしよう」

京太郎「ま、とりあえず、一旦休憩、だな」

穏乃「うん」

京太郎「……」

穏乃「……」

京太郎(さっきの、穏乃のお母さんの言葉)

京太郎(「女の子っぽくないでしょ。だから、ちょっと心配で――」)

京太郎(あれは一体、どういう……?)

穏乃「あー、疲れた疲れた」

京太郎「お、そうだな」

穏乃「これじゃあ私、宿題おわらせられないかもなぁ」

京太郎「そりゃ困る」

京太郎「麻雀部から宿題未提出者を一人でも出すわけにはいかない」

穏乃「ちょ、京太郎。厳しいよー」

京太郎(――憧や和はともかく、一番心配なのがコイツなんだよな。で、次点で玄姉ちゃん)

京太郎「……『らしさ』ねぇ」

穏乃「ん? なんかいったー?」

京太郎「い、いや、なんでもない」

京太郎「――あ」

穏乃「へ?」

京太郎「穏乃、髪の毛にゴミついてる」

穏乃「え、ホント?」

京太郎「俺が払うよ。ちょっと動かないでな」

穏乃「わ、わ、じ、自分でやるよ」

京太郎「わかりにくい場所なんだって――よっと」

京太郎「ふぅ、とれた」

穏乃「むー……」


京太郎「――そういえば」

穏乃「?」

京太郎「穏乃って、昔からその髪型だよな?」

穏乃「え、これ? うん、そういえばそうだねー」

京太郎「――結び、解いたりはしないのか?」

穏乃「ええー、なんだか面倒だしなぁ」

穏乃「それに私、この髪型好きだから!」

京太郎「――なんて髪型が知ってるのか?」

穏乃「へ?」

穏乃「――そういえば、機にしたことなかったなぁ」

京太郎(ああ、なるほど。こりゃ「らしく」ないわけだ……)


京太郎「お前のは、『ポニーテール』っていうんだ」

穏乃「ぽにーてーる? なんかかわいいね」

京太郎「……お前はその、可愛い髪型なんだよ」

穏乃「――や、やだなー、なにいってんのさ」

穏乃「京太郎、別に私は髪型にこだわりは――」

京太郎「……さっきゴミを落とした時、綺麗な髪だと思ったからさ」

京太郎「惜しいんだな、きっと。お前が髪型に興味持たないってことが――」

穏乃「……」


京太郎「なぁ、穏乃?」

穏乃「な、なに?」

京太郎「――女の子らしさ、ってなんだと思う?」

穏乃「」

穏乃「い、いい、いきなりなに変なこと聞いてんの?」

京太郎「――!」

京太郎「ご、ごめん。俺が悪かった」

穏乃「も、もう、まったく」

穏乃「――女の子、かぁ」

穏乃「そうだよね、私、女の子なんだよねー」

京太郎「今更気づいたような言葉だな、おい……」


穏乃「実感、なくって」

京太郎「……」

京太郎「――なぁ、穏乃?」

穏乃「んー?」

京太郎「……また、ゴミ見つけちまったから」

京太郎「落とさせて、くれないか?」

穏乃「……」

穏乃「も、もー。しょうがないなー」

京太郎「サンキュ」


京太郎「……」

穏乃「……」

京太郎(相変わらず、綺麗な髪)サラサラ

京太郎(憧と違って、特別な手入れとかしてるわけじゃないんだろうけど)

京太郎(すごく、きめ細やかで、感触もいい――)

穏乃(……うー)ピクッ

穏乃(な、なんだか知らないけど、髪が揺れるたびに、ひどく落ち着かないよー)

穏乃(……ひゃっ! そ、そっちに持ってっちゃダメ)ピクピク


京太郎「――穏乃」

穏乃「ひゃっ!?」

穏乃「な、なに?」

京太郎「……」

穏乃「……」

京太郎(顔、近いな……)

穏乃(う、うう――す、すっごく落ち着かないよ)アセアセ

京太郎(よくみれば、穏乃は顔立ちもすごく整ってるんだな)

京太郎(普段ジャージばっか着てるから目立たないだけで――凄い、潜在能力を)

穏乃(な、なんでいきなり、変なムードになってるんだろー?)


京太郎「――穏乃」

穏乃「きょ、京太郎?」

二人「……」


穏乃母「はーい、お二人さん、差し入れ持って、き……た」ガチャッ

二人「」

穏乃母「――あー」

穏乃母「ごめん、私おじゃまだった?」

京太郎「い、いえ、そんなことは!」

穏乃母「あー、やっぱり」

穏乃母「――私が心配した通りだ」ボソッ

京太郎「へ?」

穏乃母「それじゃね、ふたりとも」

穏乃母「――宿題、頑張りなさいね」バタン


京太郎「――ふぅ、びっくりしたな」

穏乃「……」

京太郎「な、穏乃もびっく、り……」

京太郎「し、穏乃?」

穏乃「――へ?」

穏乃「な、なに、かな?」ポー

京太郎(う、うわ)

京太郎(な、なんだこの穏乃――というか、こいつホントに穏乃なのか?)

京太郎(暑さのせいもあるだろうけど、上記した顔。赤く染まった頬。手を下半身でモジモジさせて)

京太郎(……これが、さっきまでの活発そのもの、女の子らしさ、なにそれ食えんの? だった穏乃、なのか?)

穏乃「きょう、たろう?」

京太郎「!」

穏乃「――ど、どうしよう?」モジモジ

穏乃「体、暑いよぅ」ウルッ

京太郎(――こりゃ、まずい)

京太郎(なんて、破壊力だっ!)

京太郎(まさか、穏乃のお母さんが心配してたのって――)

――廊下


穏乃母「……」

穏乃母「――穏乃」

穏乃母「目覚めちゃった、かねぇ」

穏乃母(私が心配だったのは、いきなり目覚めた時だったんだよねぇ)

穏乃母(すっごく体熱くなってるだろうし、京太郎くんもどう対応することやら――)

穏乃母「ま、若いパワーに任せましょうか」ウンウン


――穏乃の部屋


穏乃「……」

京太郎「……」

穏乃「――ね?」

京太郎「な、なんだ?」

穏乃「……私、変になってる、ね」カァァ

京太郎「え?」

穏乃「だって」

穏乃「さっきからこんなに――胸、熱いもん」キュッ

京太郎「!?」

穏乃「きょう、たろう……」

京太郎(お、おいおい)

京太郎(あ、暑さのせいか、仕草は直情的だし、口調は舌足らずだし――色んな意味でまずいっ!)

京太郎「ど、どうすれば……」

穏乃「……暑い、よぅ」カァァ

京太郎(うあー……!)

なんたる中途半端……しかしここまでです。
正直、長くなりすぎたような気もします――が、穏乃ちゃんをしっかりかけて嬉しい(小並感)

潜在能力を爆発させれば、もしかしたら穏乃ちゃんが一番「力」を発揮するかもしれませんね。
それまでのギャップも相まって、凄いことになりそうです。

それでは、また。
ここから穏乃ルートか、それとも――

――某ファストフード店

京太郎「いらっしゃいませー」

憧「いらっしゃいませー!」

京太郎「えーと、ハッピーセットですね、かしこまりました!」

憧「お客様、今ならこちらのセットがお得に――」


店長「いやー、ありがとね。休憩、入っていいよー」

京太郎「あ、ありがとうございます」

憧「ありがとうございますっ」


京太郎「――つ、疲れた」ガクッ

憧「もー、あんなんで疲れちゃったの? だらしないねえ」

京太郎「う、うっせ。俺は都会っ子なんだよ」

憧「こっち来てから何年経ってんのよ……」

憧「ま、いいわ。控え室、行きましょ」

京太郎「おう」


京太郎(とりあえず、部費を稼ぐためにバイトを始めたわけで)

京太郎(なんでも、女子部員のみで巫女のバイトをやったそうだけど、それでもまだ足りないらしく)

京太郎(で、急遽、マ○ドでのバイトで手っ取り早く金を稼ごうと――)

京太郎「……で、これでもう集まったんだろ?」

憧「うーん、そうねぇ」

憧「――もうそろそろ、かなぁ。家に帰ったら計算してみるよ」

京太郎「そうしてくれ……ふぅ」

憧「またまたー、もうお爺ちゃん?」

京太郎「うっせ、無駄な体力持ちやがって」

憧「そりゃあ……しずに付き合ってたら嫌でも――」

京太郎「――ああ」

京太郎(そりゃまあ、納得だ)

京太郎(あいつと一緒に何日か行動を共にしてれば、体力テストの結果がうんと伸びること間違いなしだな……)


京太郎「――お、そういや」

京太郎「昼飯時、だな」

憧「あ、そうね――あれ?」

憧「あんたそれ……」

京太郎「ん、これか?」

京太郎「ああ、今日部費稼ぐためにバイト行くって言ったら――」

玄『ささっ、どうぞどうぞ!』

玄『おかまいなくっ! すっごく嬉しいんだから!』ニコニコ


京太郎「――って感じに渡されて」

憧「ふ、ふーん……」

憧「く、玄が弁当を、ねぇ。ふーん……」チラチラ

京太郎「なんだよ、その意味深な眼は」

憧「べ、別にっ」

憧「そ、そんな顔、してないわよ……」プイッ

京太郎(あ、拗ねた)


京太郎「とりあえず、開けてみよう」

憧「……」チラッ

京太郎「――おお」

憧「わ」パチクリ

京太郎「……なんだこれ、すっげえ美味そうじゃないか」

憧「そ、そう、ね」

京太郎「頂きます」

京太郎「うん、味も素晴らしい……噛めば噛むほど、沁み出る」モグモグ

憧「――ふ、ふーん」

京太郎「……お前も食べるか、憧?」

憧「べ、別にー」

憧「わ、私、お昼はあんまり食べないから」

京太郎「え、ダイエットか?」

憧「ち、違うわよっ!」カァァ

京太郎「うーん、別に太ってるようには――」

憧「そ、その視線やめなさいってば!」アセアセ


京太郎「……はぁ、うまかったうまかった」

憧「……」チラッ

憧「ね、ねぇ」

京太郎「ん?」

憧「――それ、って」

憧「……やっぱ、なんでもない」

京太郎「おいおい、どうした?」

憧「――の、も」

京太郎「?」


憧「私の、も……食べ」ボソボソ


京太郎「へ?」

憧「――!」

憧「い、今のなしっ!」

京太郎「いや、何も聞こえてn」

憧「とにかくっ!」

憧「わ、私があんたに弁当作ろうだ、なん、て……」

憧「……あ」

京太郎「え」

二人「……」

二人「…………」


京太郎「――作って、くれるのか?」

憧「……べ、別、に」

憧「料理、ちょっと、勉強したから、その」アセアセ

憧「く、玄のより、うまく出来ないと思うし、味、も落ちる、けど、その、だ、だから……」カァァ

京太郎「ありがとな」

憧「え?」

京太郎「どんなもんでも」

京太郎「憧が作ってくれたもんなら喜んで食べるって」

憧「――!」

憧「も、もう休憩終わりっ! そ、そろそろ働かないと!」

京太郎「お、おいおい、いきなりか……」

憧「ほ、ほら早くっ!」

京太郎「へいへい」


憧「……」

憧(お弁当、か)

憧(――練習、しないとなぁ)チラッ

京太郎「お客様、ただいま――」

憧(どんなものにしよう? このバカ、どんな顔するんだろ?)

憧「~♪」ニコニコ

憧「――あ、いらっしゃいませー」

男「はい、どーm」

男「……」

憧「? どうかされましたか?」

男「――!」

男「い、いや、なんでも」

憧「そう、ですか……?」

憧「そ、それでご注文は?」

男「え、ええと、その」

男「……悪い、特にないんだ」

憧「あ、そうだったんですか」

男「すまない」

憧「いえいえ、またのご来店をお待ちしてます」

男「――」

男「……やっぱり」

憧「はい?」

男「い、いや、すまんっ!」

憧「? 変なお客さんだったな……」


――店の外

男「……」

男(おかしい――まるで瓜二つであるかのように、似すぎている)

男(それこそ身長はさっきの子の方が高く、胸も――まあ控えめだった、が)

男(……『声』が、まるで、もう一人の――)

男「――考えるのはよそう、うん」

ここまでになります。

ちょっとした憧ちゃんとのバイト話でした。
さて、果たして弁当は……

最後に登場したのは、まあ予想つくでしょうが……つかない人もいるかもしれませんね。
とりあえず、バイト話だったので、なんとなく登場させてみました。書いてて楽しかったです。

それでは、また。
忙しいので、投下は不定期に。

――帰り道

咲「……カー、ディン、ギール~」

京太郎「な、なんだいきなり」

咲「え、京ちゃん再放送観なかったの?」

京太郎「あれはなー、どうも見逃しちゃってたなぁ」

咲「なんてもったいない! あんなに燃えるアニメ、そうそうないのに」

咲「あ、『萌え』じゃなくて『燃え』だからねっ」

京太郎「そこが大事なのか……」

咲「い、いや、たしかに響ちゃんは可愛いけど」

咲「あ、あくまでも『燃え』だから! 忘れないように!」ビシッ

京太郎「……」

京太郎(やべえ――これからも観る予定ないなんて、言えない)


京太郎「あー、ところで咲?」

咲「いー、ちいー、ばーるー♪」

京太郎「おい」

咲「な、なに?」

京太郎「――お前、その」

京太郎「あれは観てるのか? えーと……『うたプリ』?」

咲「――え?」ピクッ


咲「や、やだなー、もう」

咲「わ、私が好きなのは、その――か、可愛い女の子だよ?」

京太郎「まさか、お前……」ジッ

咲「そ、そういうのじゃなくてっ!」

咲「ああいうの観るの、なんか壁を感じちゃって……」

咲「それこそ、けいおんとかなら力抜いて観れるんだけど――」

京太郎「新しい世界を知るのが怖いとか、か?」

咲「うう……なんか意味深だよね、それ」

京太郎「――(意味深)」

咲「なんだろう……何も言われないのに、なんか変な目線を感じるよ」

京太郎「――(威圧)」

咲「こ、怖いよ……」ブルブル

京太郎「――(呆れ)」

咲「うわ、なんかその顔、すっごくヤだっ!」アセアセ

京太郎(なんだこいつは……)タメイキ

京太郎「あー、ところで咲?」

咲「シンフォギアアアーーー!」

京太郎「うっせえ」ベシッ

咲「いたっ!」

咲「も、もう、いいとこだったのに」

京太郎「……道行くおっさんが、お前の方みてビクってしてたぞ」

咲「……は、恥ずかしいな、もう」カァァ

咲「もっと早く注意してよ、京ちゃんってば」エイエイ

京太郎「……」ペシッ

咲「い、痛い……」ジンジン


咲「それで、さっきから何を言おうとしてたの?」

京太郎「言おうとする度、お前がぶった切ってたんだろ……」アキレ

咲「ま、まぁ、それは、その」

咲「……れでぃーふぁーすと?」

京太郎「それ、間違ってるから。あと、それ使っとけば許されるみたいな風潮もないから」ペシペシ

咲「い、いたいいたい」ウルウル


京太郎「――えーと」

京太郎「今度、さ」

咲「う、うん」

京太郎「……映画、観るんだけど」

咲「映画? なにそれ?」

咲「あっ、さすがに私でも、クレヨンしんちゃんとかはもう卒業したよ」

京太郎「いや、そういうのじゃなくて」

京太郎「……」

京太郎「やっぱやめた」

咲「えー」

咲「ふんだ。まぁ、私も映画より本の方が」

京太郎「ラノベ」

咲「ちゅ、注釈はいらないよ!」

京太郎「……」ゴソゴソ

京太郎(――『100日間のロマンス』)スッ

京太郎(こんな映画、観ないよなー、こいつ)

京太郎(親から譲ってもらったし、せっかくだからってことだったんだけど……)

咲「京ちゃん、何みてるの?」ヒョコッ

京太郎「わ、さ、咲!?」パサッ


咲「――あ」

京太郎「」

咲「……ええと」

咲「映画のチケット、だよねこれ? なになに――」

咲「……え」

京太郎「……」

咲「……」


咲「――!!!」カァァ

京太郎「さ、咲、これは」

咲「み、みみ、見ないで!」アセアセ

京太郎「咲?」

咲「い、今、私――」

咲「うー……」

咲「と、とにかく! 今は――」カァァ

京太郎「わ、わかった」


――数分後


京太郎「……」

咲「……」

咲(さっきのは、なんだったんだろ)

咲(すっごく体が熱くなって、顔に血が上って)

咲(まるで――私が、私じゃないみたいな)

咲(それくらい、熱くて)ポッ


京太郎「……な、なぁ、咲」

咲「――」

咲「私」

京太郎「?」

咲「あまり女の子らしく、ないし」

咲「それにその、ロマンス? とかからも縁がないし、で」

咲「……一緒に行っても、つまらないよ?」

京太郎「――それでも、まあ」

京太郎「大抵、お前と観に行ったら面白いし」

咲「――」

咲「そ、そういうこと真顔で言うのがずるいのっ!」プイッ

京太郎「は?」



京太郎(結局)

京太郎(この日は、これでお開きになり)

京太郎(咲の赤みがかかった顔を見送った――)


――咲の部屋


咲「……」ゴロ

咲「…………」ゴロゴロ

咲「………………恥ずかしい、よぅ」ボソッ

咲(あああああああ、なんで私、私あのとき――)

咲(見ないで、なんて言っちゃったのー!)カァァァ

咲(あああああ!)ゴロゴロゴロゴロ


照「――咲、どうしたんだろ?」

照「まさか、また須賀くんの魔の手に!」

照「ゆ、許せない――!」ブルブル


照「……」

照「――咲、お姉ちゃんが付いてるからね」ピポパ


京太郎(なぜだろう、非常に面倒くさい予感しかしない)

ここまでになります。
直球勝負な京咲(+ポンコツ姉さん)でした。

咲ちゃんは、なんでそんなに熱くなったんですかね……?

それじゃ、また。

水着を流される憧ちゃんの話を少し考えてみましたが、なかなか書けませんでした……ごめんなさい。

新しいネタを募集します。
どうぞ。

気づいたら一週間以上過ぎていたとは……

たくさんのリクエストありがとうございます。
ネタというものは、無限に湧き出るものらしいですね……住人の想像力に乾杯。



居眠りの話で。

――宮永家・リビング

京太郎「……ふぅ」ゴクゴク

京太郎「あー、茶って美味いなぁ」

京太郎「……」

京太郎(一応、他人の家なのに、実家のようにくつろいでるけど……)

京太郎「ま、いっか」

照「よくない」

京太郎「わっ!」ビクッ


京太郎「――なんだ、照さんですか」

照「なんだとは、なに?」ズイッ

京太郎「いや……照さん、東京に帰らなくていいんですか?」

照「――須賀くんには、関係ない」プイッ

京太郎「まぁ、そうですけど……」

照「いや、むしろ関係大アリ」ズイッ

京太郎「どっちですか」アキレ


照「――私は、咲が大事」

京太郎「ええ、そうでしょうね」

照「だから……」

照「悪い虫がつかないか、心配」

京太郎「……」

京太郎「――俺は、虫扱いですか」

照「悪漢? って言ってもいい」フンス

京太郎「意味わかってませんよね……」ハァ

照「ともあれ」コホン

照「ここは私の家であって、須賀くんの家じゃないんだから」

照「遠慮というものを――」

京太郎「あ、照さんも飲みます? 今日、暑いですし」チョポポポ

照「飲む」

京太郎「どうぞ」スッ

照「ありがとう」ゴクゴク

照「――おいしい」プハッ

照「……!」ハッ

照「不意打ちとは、卑怯な……」ゴゴゴゴ

京太郎「ノリノリだったじゃないですか」

照「――」ムー


京太郎(飽きない人だなぁ)

京太郎(というか、色々な面で咲と似てるよな)

京太郎(まぁその、平坦だし、ポンコツだし)

照「……ねぇ、今何を考えてた?」ギュルルルル

京太郎「その拳を収めたら答えてもいいです」

照「――生意気な」プイッ

京太郎(ほら、やっぱりポンコツだ)


――咲の部屋


京太郎「……ふぅ」

京太郎(とりあえず、咲とゲームの続きでもやるか)

京太郎(照さんは買い物だとかで、外に出て行ったし――あれ?)

咲「……」スヤスヤ

京太郎「寝てやがる……」

咲「……ん、う」モゾモゾ

京太郎(身悶えしてる)

咲「……あ、ん」ピクン

京太郎(なんかエロい)

京太郎「……こいつ、寝顔だけならまるで」

京太郎(『文学少女』みたいだなぁ……)

咲「――ぐへへ」ニヤニヤ

京太郎(訂正。やっぱ、ただの『ラノベ少女』)


咲「……」

京太郎「うーん」

京太郎(起こすべきか、起こさないでほっとくか)

京太郎(……まぁ、そのうち目覚ますだろ)

咲「――京、ちゃぁん」

京太郎「……寝言だろ、どうせ」

京太郎(というか、無意識だろうけど、なんでいちいち喘ぎ声っぽいトーンなんだよ)


京太郎「――お前な」

京太郎「……勘違い、するぞ?」

咲「んー」

京太郎「……」

京太郎(――よっ)プニッ

咲「――んぅ」

京太郎(ふむ、反応は普通)

京太郎(さて、今度は頬から――頭でも)ナデナデ

咲「……ひゃ」ピクン

京太郎(……)


京太郎「――そういえば」

京太郎(やっぱり、姉妹といっても、平坦具合には差があるもんだな)

京太郎(照さんのがちょっと大きい、ような……いや、そうでもないか)

京太郎(五十歩百歩だろ――とはいえ)

咲「――」スゥスゥ

京太郎(やばい、少し気になってきた)

京太郎(といっても、寝てる女子の胸を触るのは、越えちゃいけないラインだろ)

京太郎(……やめた)

咲「――お、っきく」

京太郎(タイムリーな寝言だなぁ……)ゴクリ

京太郎「さて、そろそろ」

照「さよならの時だね」ギュルルルル

京太郎「……いつからいらっしゃったのでしょう?」

照「須賀くんが、咲の胸に手を置こうと迫ったとき」

照「鼻息荒く、『ぐへへ』とか言ってたあたり」

京太郎「それ、勘違いでしょう……」

照「とにかく」

照「須賀くんの正体、見たり」

照「――ほら、やっぱり悪漢だった」

京太郎「……未遂ですらないんですが」

照「問答無用。推定有罪」

京太郎「ここ、法治国家ですって! 証拠ありませんよね!?」

照「――この家では、私が法律」ギュルルルル

京太郎(やばい……拳の回転速度がどんどん上がっている!)

京太郎(こ、こうなったら……!)

京太郎「後ろに、跳ぶっ!」

照「あっ、卑怯!」

京太郎(……とりあえず、時間を稼がないと)フニュッ

京太郎(さて、照さんの拳の破壊力は大体どれくらいだろう? うう、こういう時こそスカウターが……)モミモミ

京太郎(――ん?)ムニュムニュ

咲「あ……う、ん」ピクンッ

咲「ひゃっ――う、ぅ」ビクビク

京太郎「」


照「……」ゴゴゴゴゴ

照「――やった、ね」

京太郎「こ、これは、ふ、不可抗力ですって」

照「さわったね。もんだね。こねたね。喘いだね」

京太郎「色々とおかしいです!」

照「――それじゃ、そろそろ」

照「この世界から……さよなら、かな」ヒタヒタ

京太郎「――」


京太郎(ヒタヒタと迫ってくる、悪鬼・宮永照)

京太郎(このままだと俺の精神が国士無双されるのは自明の理! 絶体絶命! 空前絶後!)

京太郎(どうする……どうす、る――あれ?)

咲「え、へへ」スリスリ

照「」

京太郎「」

咲「……あった、かぁい」モゾモゾ

咲「――京、ちゃん」

咲「ほっぺ、た、きもちい」スリスリ

咲「……ふふ」ニコニコ

京太郎「……」

京太郎(こいつ、寝ぼけてる――!)

照「さ、咲?」

咲「一緒、に」

咲「……あったま、ろ?」

京太郎「」

照「あ、ああ、あったまるって、ま、まさか――!」

京太郎(想像力逞しいお姉さんだことで)

京太郎(まぁ――あったまるといったら)

京太郎「……バカ、アニメの見過ぎだ」

照「――咲が、須賀くんから離れない」

照「どう、したら……」

京太郎(た、助かった……?)

咲「えへへ」

咲「――京、ちゃぁん」スリスリ

京太郎(あぁ――どうしようか、この状況?)

ここまでになります。
中途半端ですが、続きはご想像にお任せします。

……さて、咲ちゃんは本当に眠っていたのか、はたまた半分起きていたのか、それとも?
彼女は、策士だった可能性がある……?

それじゃ、また。
ポンコツな姉妹は書いてて全く飽きない。恐ろしい。

――山の中

京太郎「……」

京太郎「疲れた」グッタリ

穏乃「えー」

穏乃「もう、根性ないよ?」

京太郎「うっせ。穏乃みたいに体力バカじゃないんだ、俺は」

穏乃「うわ、都会人が負け惜しみ言ってる」

京太郎「……ぐっ」


京太郎「とにかく」

京太郎「これ以上は登れないぞ」

穏乃「まだ、半合も行ってないと思うけど……」

穏乃「ほら、早く歩く!」

京太郎「お前、歩くじゃなくて走ってるだろ」

穏乃「そりゃ、私にとっては道路みたいなものだし」

京太郎「――やっぱり、おかしい」ボソッ


京太郎「とはいえ」

京太郎「しょうがねえ。少し歩いてやるか」

穏乃「最初からそうすればよかったのに」

穏乃「ほら、いこっ」

京太郎「おう――」

京太郎「うわっ!?」グラッ

穏乃「きょ、京太郎!?」


ドスンッ!


京太郎「……」

穏乃「だ、大丈夫?」アセアセ

京太郎「――あ」

穏乃「け、怪我とかは? してない?」ズイッ

京太郎「……」

穏乃「京太郎?」


京太郎「――あの、どちらさま、ですか?」

穏乃「」

穏乃(ええええ……)

京太郎「ここ、は……山、ですか?」

穏乃(ちょっとちょっと! こ、これは……まさかっ!)

穏乃「京太郎……」

京太郎「はい――たしかに、俺の名前は京太郎ですけど」

京太郎「……そちらは?」

穏乃「し、穏乃だよっ」

京太郎「しず、の……さん?」

穏乃(き、記憶、喪失……!?)ガーン



穏乃「京太郎が……まさか」

京太郎「??」

穏乃「――きょう」

穏乃(……待てよ)

穏乃(この状況――私が京太郎に好き勝手してもいい、ってこと?)

穏乃(……ちょうどいい、かも)

穏乃(日頃、散々からかってくるお返し! 今こそ!)

穏乃「……えへん」

穏乃「ええと、私は――京太郎の、その」

穏乃「……お、お姉さんみたいな?」

京太郎「はい?」キョトン

穏乃「だ、だからっ」

穏乃「私が言うこと聞かないと、ダメってこと!」

京太郎「――はぁ」

穏乃「……」

穏乃(なんだろう、私が『お姉さん』。京太郎の)

穏乃(……いいかもっ!)グッ


穏乃「と、とにかく」

穏乃「や、山登りはやめて、帰ろっか」

穏乃「ね?」

京太郎「はい」

穏乃「……」

穏乃「――手」スッ

京太郎「?」

穏乃「つなごう、また転んじゃ困るし……」

京太郎「――はい」キュッ

穏乃「……」


穏乃(わ、わっ!)

穏乃(つ、つないじゃったよ……)カァァ

穏乃(あ、あくまでもお姉さんだから! あ、姉が弟の手をにぎるのは当然!)

穏乃(――熱い)カァァ

京太郎「……」


穏乃「ね、ねぇ京太郎?」

京太郎「なんですか?」

穏乃「――私のこと、覚えてない、んだよね?」

京太郎「……」

京太郎「――穏乃さん」

穏乃「!」

京太郎「すごく、赤い人だってことがわかりました」

穏乃「」

京太郎「心なし、手も熱い、ような……」

穏乃「……」ギュゥゥ

京太郎「――イタッ!」

穏乃「へ、変なこと言わないの!」

穏乃「もうっ……」

穏乃(――おかしい)

穏乃(なんで、こんなに体がドクドクしてるの?)アセアセ

京太郎「……」


――山の麓


穏乃「そ、それじゃ」

穏乃「びょ、病院、行ったほうがいい、のかな?」

京太郎「――?」

穏乃「だ、だって」

穏乃「記憶、喪失――」


京太郎「何いってんだ、穏乃?」

穏乃「」

京太郎「ほら、帰ろうぜ」

穏乃「え、ええ?」

京太郎「? なんだよ、その顔は?」

穏乃「……記憶、戻ったの?」

京太郎「いや、なんというか」

京太郎「――妙に、熱いな」パタパタ

穏乃「!」


穏乃(まさか……)

穏乃「ね、京太郎?」

京太郎「なんだ?」

穏乃「――騙したり、した?」ゴゴゴゴ

京太郎「……」

京太郎「――騙すわけ無いだろ、『お姉さん』」

穏乃「――!!」

京太郎「さ、とっとと帰ろう」

穏乃「……」


ガシッ!


京太郎「うわっ」

穏乃「バカ、バカッ!」ポカポカ

京太郎「お、お前、いきなり何しがみついてんだよ!」

京太郎「や、やめろって、『お姉さん』ならわきまえを――」

穏乃「うるさい、うるさいっ!」ポカポカ

穏乃「ほんと、バカッ!」

京太郎「ああ、もうっ!」


京太郎「――手、熱いな」

穏乃「……う、うるさいっ」グイグイ

京太郎「――顔も赤かったり?」

穏乃「――もう、知らないっ!」プイッ

ここまでです。

お姉さんぶりたい穏乃ちゃん、一杯食わされるの巻。
どうしてこうなった。

それでは、また。
次はちょっと間が空いちゃう、かも。

――部室

京太郎「……」

灼「――ふぅ」

京太郎「気持ちよさそうですね、灼さん」

灼「……うん」コクッ

灼「やっぱり、誰かの近くっていうのは落ち着くから」

京太郎「――『誰か』ですか」

灼「……な、なんでそこを強調?」チラッ

京太郎「それなら」

京太郎「先生とかにやってもらっても、いいのでは?」

灼「――ハルちゃん?」ピクッ


灼「……あー」

灼「そっか、ハルちゃんかぁ……」ユラユラ

京太郎(目の前で、小柄な身体が揺れる)

京太郎(こっちからは顔は見れないけど、その素振りはどこか照れているようで――)

灼「――前なら」ボソッ

京太郎「?」

灼「前なら、それでも……良かったかも」

京太郎「――前、ですか」

灼「……ひとりごと、聞いちゃダメ」プクッ

京太郎「いや、明らかにひとりごとじゃなかったですよね」


灼「――とにかく」

灼「今は、もういいの」

京太郎「……そう、ですか」

京太郎「それは、良かったです」

灼「――どうして?」クルッ

京太郎「だって」

京太郎「……」

京太郎「他の誰かでもいいなら、俺が時間を割いて、こうやって椅子になっても」

京太郎「――時間の無駄になっちゃいますし」

灼「……そっか」コクッ

京太郎「……」

京太郎(――言えるわけがない)

京太郎(――『他の誰かが、灼さんの椅子になるって、なんか……』)

京太郎(あー、言わなくてよかった……)ハァ


灼「……それだけ?」

京太郎「えっ?」ビクッ

灼「――もう」

灼「私のひとりごと、勝手に聞いたんだから」

灼「京太郎くんだけ秘密っていうのは、ズルいよね?」

京太郎「……だから、あれはひとりごとじゃなくて」

灼「あーあ、残念」

灼「先輩思いの後輩じゃなかったんだ」チラチラ

京太郎「……」

京太郎(くそ)

京太郎(なんか、無性になんかしたくなってきた)

京太郎(例えば――そうだ)


京太郎「わかりました、それなら」

灼「うんうん」

京太郎「……」スッ

灼「ひゃっ!?」

京太郎「行動で、示します」ナデナデ


京太郎(いたずら、とか)

灼「ちょ、京太郎くん……」

京太郎「――へぇ、灼さんの髪って思ったよりずっとサラサラしてますね」ナデナデ

灼「お、思ったよりって……もう、失礼な」ピクッ

京太郎「いやいや」

京太郎「それこそ、憧みたいに明らかにオシャレしてるタイプならともかく」

京太郎「――灼さんは、どっちかというと」

灼「どうせ、私はオシャレじゃないよ」プクッ

京太郎「いやいや」

京太郎「……飾らないのも、いいと思いますよ」

灼「ホントは、憧みたいな子の方がいいんでしょ?」ジトッ

京太郎「だって」サワッ

灼「ひぅっ!」ピクン

京太郎「反応が、面白いですし」

灼「な、なに、それ……」

灼「そ、そこは」

京太郎「それに」

京太郎「一緒にいて、安心しますから」

灼「え……ひゃっ!?」ビクッ

京太郎「灼さん、髪長くする予定とかないんですか?」

灼「え……わ、私が」

灼「だ、だって……髪、長くするほどオシャレってわけじゃないし」

京太郎「――まぁ、たしかに」

灼「ひどいっ!」

京太郎「いや、だから」

京太郎「――短くないと、弄りにくいですし」

京太郎「気を遣わないといけませんし」

灼「……憧とか玄の髪、弄ったことあるの?」ジトッ

京太郎「まさか」

京太郎「――こうして、撫でるのなんて、一人が手一杯ですよ」

灼「こ、子供扱いしてるでしょ?」アセアセ

京太郎「さぁ」

灼(――あ)

灼(もう、京太郎くん。その手さばき、初めてのものとは思えないけど?)

灼(……まぁ、詮索はしないけど)

灼(だって――なんか、残念な応えが帰ってきたら……)


京太郎「気持ちいいですか、灼さん?」

灼「う、うん、まぁ」

灼「――ホント、後輩らしくないよね」

京太郎「灼さんは、先輩として見てほしいんですか?」

灼「……ま、まぁ」

京太郎「でも、なんだか――あまり先輩って感じが、しないんです」

灼「それって――私に威厳がない、ってこと?」

京太郎「いや」

京太郎「一緒にいても、全く肩肘張りませんし」

灼「あっ!」ピクン

京太郎「それに……」

灼「だ、だから、そこは……」

京太郎(反応が面白いし――って言ったら、さっきちょっとむくれたから言わないでおこう)

灼「……」

灼(困った、なぁ)

灼(このまま、じゃ)

京太郎「灼さん?」

灼(本当に、離れられなくなっちゃいそうで――)カァァ

京太郎「……身体、熱くなっちゃいましたね」

灼「誰の、せいだと……」

京太郎「――飲み物、買ってきましょうか」

灼「ううん、いい」

京太郎「へ?」


トスン


灼「こうして、座ってたい」

京太郎「……ただ座るにしては、顔が近いですよ?」

灼「言わなくていいことは、言わないの」メッ

京太郎「すみません」

灼「もう……」


灼(――こうなったら、もう)

灼(行くところまで……)

京太郎「……」

ここまでです。

まったり進む灼ちゃんルート。
さて、京太郎は誰かの髪を撫でたのか……そこら辺は想像に。

相変わらず、充電の話は楽しいですね。
それでは、また。

Gを倒しました……やはり夏は出ますね。北海道には出ないと聞きますが。
しかし、倒した後はいつも非常に虚しくなります……

気を取り直して、宮永姉妹のお話。


――宮永家


京太郎「――はぁ」

咲「ん? どしたの、京ちゃん?」

京太郎「どしたの? じゃねえよ」

咲「うわ、モノマネうますぎてちょっと気持ち悪いよ……?」

京太郎「……」ペシ

咲「ひゃっ!?」ビクン


京太郎「お前のせいでなぁ」ペシペシ

咲「い、痛い痛い」プルプル

京太郎「――照さんと、尚更どう接していけばいいやら……」

咲「え、お姉ちゃんと?」

咲「……どうして、京ちゃんがお姉ちゃんとの接し方なんて考えてるの?」

京太郎「お前な……一応、ここはお前の家だろ?」

咲「うん」コクッ

京太郎「それで、あの人はお前と血の繋がった家族だろ?」

咲「うん……義理じゃないから、別に萌えるシチュエーションじゃないけどね」エヘヘ

京太郎「……」

京太郎「――とにかく」

京太郎「俺が、お前の家に遊びに来る以上、あの人との関わり方を考えないわけがないだろ」

咲「なるほどなるほど、なるほどー」

京太郎「――それで、元はといえばお前のせいなわけだ」

咲「うわ、よくわからないうちに責任押し付けられてる……『女々しい』なぁ」

京太郎「紅白歌手は関係ない」

咲「ノリ悪いなぁ……」ジトッ

京太郎「……お前な」タメイキ


京太郎(そうだ、さっき)

京太郎(こいつが寝ぼけて、俺に寄りかかったりしなきゃこんなことには……!)

京太郎(おかげで、照さんの威圧感が更に上がったように感じるし!)

京太郎「……お前は、ホントーにポンコツ少女だな」

咲「む、失礼な! 私は、清く正しい、文学少女――」

京太郎「清くも、正しくもない、ぺたんこ少女の間違いだろ」

咲「……ぺたんこの何が悪いのっ」プイッ

京太郎「お前が、それを一つのステータスと割り切れるくらいなら別に構わないんだけどな」

咲「――2期、まだやらないのかなぁ。もうムリかなぁ」ブツブツ

京太郎(ほら、都合悪くなると話そらすし……)


京太郎「――さて」

京太郎「とりあえず、照さんに会ってこよう」

咲「……へ!?」

咲「ということは、お姉ちゃんとふ、ふたりきりに?」

京太郎「……お前がいると、めんどくさいことになりそうだし」

咲「ひどい! それが幼馴染に対する態度!?」

京太郎「中学からの付き合いを幼馴染と言うのか。そこをまず疑いたい」

咲「うわぁ……関係を全否定された……」

京太郎「――よし」

京太郎「それじゃ、行ってくる」ガチャッ

咲「そんな、私と京ちゃんが幼馴染じゃないなんてー」ボウヨミ

京太郎「……棒読みはNG」バタン


――照の部屋前


京太郎(咲の部屋からほんの少し歩けば、照さんの部屋だ)

京太郎(というか、本当にこの人、東京に帰らなくていいのか……?)

京太郎(ああ、今頃、大星とか弘世さんとか心配してるだろうなぁ……ホント苦労かけてそう)

京太郎(まぁ、いいや。とりあえず、ノック、を――)


照「……別に、私は淡にも菫にも迷惑はかけてない」ガチャッ

京太郎「……」

京太郎「――いつから、琴浦さんになったんですか?」

照「いい、須賀くん? 私はこれでも、麻雀の腕にはかなりの自信があるの」

照「……人の思考は、ある程度まで読める。当然」フンス

京太郎「いや、その理屈はおかしい」


照「……それで、なに?」

京太郎「ええと、その」

京太郎「――さっきの、咲とのこと、なんですけど」

照「……」ピクッ

京太郎「俺とあいつは、その、いわゆる『そういうの』ってわけじゃなくて」

京太郎「……だ、だから、照さんが心配するようなことはですね」

照「――『そういうの』」

京太郎「え?」

照「うそ」

京太郎「え、ええ?」


照「いい、須賀くん」

照「私はね、あの子の姉として、それなりにあの子を見てきたつもりなの」

照「――さっき、言ったよね? ある程度の心の機微は読めちゃうって」

京太郎(だから、なぜいきなり琴浦さんに……)

照「……だから」


照「わからないわけないの、あの子の『想い』が」

京太郎「……」


照「ねえ、須賀くん」

京太郎「な、なんでしょうか?」

照「――前にも言ったけど」

照「君は、危険人物」

京太郎「……は?」

照「だから」

照「――私は、咲を守るため、『鬼』になる」ゴゴゴゴ

京太郎(いや、すでに雀卓で何度も『鬼』になってるんじゃあ――)

照「余計なツッコミは興を削ぐから、ダメ」

京太郎(なんてことだ……)


――照の部屋


照「だから……」トコトコ

京太郎(言いながら、照さんはベッドに向かって後ろ向きに歩き出した)

照「――須賀くん」トスン

京太郎(そして、ベッドに後ろからダイブ)


照「……私が、咲を守る」

京太郎「――」

照「……」

京太郎「――はい?」

照「……」

京太郎「あ、あの、この後は……?」

照「――えっち」プイッ

京太郎「いや、多分、ですけど」

京太郎「もう、ネタないんじゃないですか?」

照「……」

照「そ、そんな、ことは……」アセアセ

京太郎(なんだこのポンコツ姉は……!)


照「ともかく」

照「私、仰向け。須賀くん、立ってる」

照「そして、ここはベッド――」

照「……一緒に、寝よう?」ウワメヅカイ

京太郎「……」

京太郎「――照さん、お言葉なんですけど」

照「なに?」

京太郎「……一緒に寝る、くらいなら、俺はさっき咲と一緒にやりましたよね? それ、見てましたよね?」

照「……」

照「――い、一緒に寝るだけじゃ、ダメ?」アセアセ

京太郎「ええ」

京太郎「一緒に寝ることじゃ、ね……」

照「ふ、不覚……!」ガーン

京太郎「……」


京太郎(あれ、この人もう高校生だよな?)

京太郎(じゃあ、なんでこの後の展開――それこそ、一緒に『寝る』ことの意味を――もっと突き詰めないんだろう?)

京太郎(と思ったそこの貴方、貴方は宮永姉妹を知らない)

京太郎(そう、この姉妹は――)


照「――じゃ、じゃあ、須賀くんと寝る意味はない……!?」ズーン


京太郎(完全無欠、空前絶後のポンコツ姉妹なのだから……)

――帰宅時間


京太郎「それじゃ、また」

咲「うん、バイバイ京ちゃん」

京太郎「ん」

咲「……お姉ちゃんと、何話してたの?」

京太郎「え、まぁ、うーん……」

京太郎「――ベッドの話、かな?」

咲「へ?」ピクッ

京太郎「うん、寝心地のいいベッドはどんなものかなぁ、とか」

京太郎「そんなフツーの会話」

咲「そっか……わかったよ」

咲「それじゃね、京ちゃん」バイバイ

京太郎「おう、またな」バイバイ


京太郎(さて)

京太郎(なんとか妹も騙し、見上げるは姉の部屋の窓)

京太郎(少し目を凝らせば、中に人影がいるのが分かる……言うまでもなく、それは)


照「……」スッ

照「――」フリフリ

照「――!!」トスン


京太郎「!?」


京太郎(――驚いた)

京太郎(照さんが恥ずかしそうに手を上げ、2回ほど振ったら恥ずかしくなり、ベッドにダイブ)

京太郎(つい実況してしまうくらい、それは印象的で、そして――)


京太郎「……なんだ、照さん、可愛いじゃないか」ボソッ


京太郎(――なんて、全く考えないで口にしてしまうくらい、動揺する俺だった)

ここまでになります。

おっと、ここにきて姉妹との関係に一抹の変化が……?
さて、今後咲ちゃんはどうするのか、そして、照姉さんはいつ東京に帰るのか……可哀想な菫さん。

それでは、また。

ここまでになります。

おっと、ここにきて姉妹との関係に一抹の変化が……?
さて、今後咲ちゃんはどうするのか、そして、照姉さんはいつ東京に帰るのか……可哀想な菫さん。

それでは、また。

おっと、連投してました。ごめんなさい。


――帰った後


咲「……」

咲「……なんだか、怪しい、かも?」


照「……」

照(うああ……)

照(なんか、よくわからないけど、恥ずかしい――!)

ほんのちょっとの後日談。
今後、どうなることやら……

それじゃ、また。

すみません、以前多くのリクエストを頂きましたが、なかなか残りのネタの筆が進まず……

新しいネタを募集します。
最近、なかなか書けませんね……。



咲「新アニメの時期だね!」

京太郎「そういや、もう夏か……」

咲「楽しみだなぁ――」

京太郎「……」

京太郎「昨日、『今年の夏こそ文学少女になるんだから!』とか言ってなかったか?」

咲「……」

咲「――あ、阿佐田哲也の『麻雀放浪記』読むもん!」

京太郎(あれって文学なのか……?)


咲「というよりも」

咲「――夏といえば?」

京太郎「……あ」

京太郎「――全国大会」

咲「……その間は?」

京太郎「――アニメ、観れず」

二人「…………」


京太郎「部長、俺と咲は別の部屋を宛てがってもらうわけにはいかないでしょうか?」

咲「このままじゃ、私の『能力(チカラ)』は使えないかもしれません!」

久「……」

京太郎「お願いします! このままじゃ、俺が――咲が――!」

咲「め……『覚醒(目覚め)』られないですよ――」

久「――ええと、なに、その」


久「あなたたち……新婚夫婦かなにか?」

二人「――へ?」

充電中に前へ倒れそうになって抱きしめられるような形で支えられる灼ちゃん

京咲今期のアニメを振り返る
いやーガルガンティアは名作でしたね

――部室

京太郎「……あ、あのですね、部長」

久「なーに、須賀くん?」

京太郎「――考えなおして、もらえませんか?」

久「やだ」

京太郎「そ、即答……」


久「須賀くん、あなた4月に入った時、こう言ったでしょう?」

久「――『ぼくはただ、純粋に麻雀がやりたくて』って」

京太郎「そ、それはそう、ですけど……」

久「だから」

久「さっき、咲と一緒にした会話」

久「――見逃すわけには、いかないわねえ」

京太郎「……新婚だとか、勘違いしたのはそっちじゃ」

久「ああ、あと、隙あらば部長の顔に泥を塗ろうとするその態度も減点対象」

京太郎「独裁だぁ……」


久「――さぁ、思う存分」

京太郎「わかりました……はぁ」

京太郎「――腕立てで?」

久「いいわ」

久「そーねぇ……大体、100回?」

京太郎「文化系学生に何たる仕打ち!」

久「情けないわねえ……」

京太郎「部長――」

久「しょうがない、30回で許してあげましょう」

京太郎「ありがとうございます……」


京太郎「……そ、それじゃあ」

久「ん」

京太郎「――いきます」

久「……」

京太郎(一、二……)

久「――そう、30回ね」

京太郎「は、はい……」

久「た、だ、し――」


ズシッ!


京太郎「」

久「条件付き♪」

京太郎「え、ええええ!?」

久「ほら、ブツブツ言わずに続ける続ける」

京太郎「ぶ、部長……正直、おも」

久「何か言ったかしら?」ゴゴゴゴ

京太郎「ご、ごめんなさい……うう」

久「そうそう、頑張れ須賀くんっ!」

京太郎(――重い、って言っちゃいけないだろうけど、やっぱり重い!)

京太郎(いやこれは、別に部長の体重だとかそういうのをからかうつもりでもなんでもなくて……)

京太郎(――腰に、部長の、尻が)

京太郎(つ、つまり、それは……だ、駄目だ考えるなっ!)

久「……須賀くん、顔赤いわよ?」

京太郎「そ、そんなことっ!」

久「あ、でも、ここからじゃ須賀くんの顔見れないなぁ……」

京太郎「――余計なカマかけはやめてくださいってば」

久「あ、後輩に窘められちゃった。私、反省」クスッ

京太郎「……」

京太郎(この人と一緒にいられる、福路さんの度量の広さに感服……)

久「え、須賀くん、美穂子に気があるの? いやねえ、離さないわよ?」

京太郎「……心まで読めるとか、咲以上にオカルトですね」

久「知ってる? バナナと牛乳を一緒に飲むと超能力が――」

京太郎「それはいいです」


京太郎(しっかしまぁ、結構きついなこれ)

久「まぁ考えてみたら」

久「須賀くんが、美穂子に気があるわけないわねぇ」

京太郎「――なんでですか?」

久「だって」


久「――あなた、咲しか見えてないでしょう?」

京太郎「!!?」ビクッ

京太郎「な、ななに言ってんですか!」

久「あやしー、声震えてる」

京太郎「お、俺は! あ、あいつとは幼馴染以上の何者でも――」

久「初めて会った頃の咲、どんな感じだった?」

京太郎「え、それは、今よりも全然話下手で、いつも俺がいないとダメな有様で」

京太郎「ほっとけなくて、高校でも部に――って、なに話させてるんですか!」

久「いやねえ、須賀くん、ノリツッコミもそこまでやると狙ってるようで引くわよ?」

京太郎「鬼だ、この部長鬼だ……」


久「まぁ、須賀くんがあの子に対してどう思っていようと」

久「――あの子は須賀くんを、どう捉えてるのかしらね?」

京太郎「はい?」

久「孤立してた中学時代、颯爽と現れて窮地から救ってくれた王子様」

久「――そんなイメージが、固定されちゃったりしてね」

京太郎「そ、それはありえませんってば」

京太郎「見てるでしょう? 俺があいつに、半ばバカにされてるところ」

久「あら、咲が他の誰かをからかうようなこと、あなた以外にしたことあったかしら?」

京太郎「……」


久「それはね、心を許してるから」

久「――全く、まるで猫みたいな子ねぇ」

久「心を開いた相手には、お腹まで見せてゴロゴロ寝転がっちゃう」

京太郎「咲は、そんなことしませんて」

久「あら? 須賀くんは、咲のそういう姿見たことないの?」

京太郎「……?」

京太郎「――!!」

京太郎「部長……そういう会話は、高校生としてどうかと」

久「へぇ、見かけによらず初心ねぇ」

京太郎「……さすが、年季が入ったお言葉」

久「なにか言った?」


久「――まぁ」

久「いいんじゃない、そのペースで」

京太郎「ペースって……」

久「のんびり、一緒にいればいいわ」

久「――でも」

久「いえ、これは置いときましょう」

京太郎「?」

久(――和や優希のことは、うん、置いとくべきよね)


ガラッ


咲「京ちゃん、ごめんねー、先生にこっぴどく絞られちゃっ……て……」

京太郎「」

久「あら、咲。30分振りね」

咲「――!!」ハッ

咲(ぶ、部長が……部長が)

咲(あ、あの形の良いおしりを、京ちゃんの腰にっ!)


咲「ぶ、部長! ふ、ふじゅんいせいこーゆーですよっ!」

久「咲、その漢字書ける?」

咲「え、えと、ふじゅんは――じゃなくて!」

咲「そ、そんな――京ちゃんに、京ちゃんに!」

久「京ちゃんに?」

咲「……ピッタリ、くっついちゃって」

久「あら咲ったら、ムッツリさん?」

咲「ち、違いますっ!!」


京太郎(そ、そろそろ、色んな意味で限界だ)

京太郎(腕が――あと、理性が――いうことを)

咲「と、とにかく! は、早く降りないと――」

久「……咲は、私に降りて欲しいの?」

咲「と、とーぜんです!」

久「――わかった」

咲「?」

久「じゃあ、条件」


久「あなたが、須賀くんの上に乗っかりなさい」

咲「……え」

咲「えええ!」アセアセ

咲(わ、私が、京ちゃんの、上に……)モンモン

咲(――だ、だめだよ、そんなこと! うん、おかしい!)ブンブン

咲(……で、でも。そうすれば、部長はどいてくれる――)チラチラ

久「……」

咲「……?」カァァァ


久「いやねぇ、冗談よ」

京太郎「――つ、疲れた」

咲「……え?」

久「咲の顔」

久「すっごく、可愛かったわよ?」

咲「――!!」

咲「か、からかったんですか……?」アセアセ

久「もう、まだまだ赤いわね、おませさんったら」

咲「ぶ、ぶちょおー!」カァァ

久「はいはい、後は仲良くねー」


京太郎「……」

咲「……」

京太郎「――帰るか」

咲「……バカ」

咲「京ちゃんの、バカ」プイッ

京太郎「――」


ガシッ


咲「!?」

京太郎「しょうがねえな」

京太郎「――なんだか、熱があるっぽいし」

咲「熱、なんて……」

京太郎「おぶって、帰ってやるよ」

咲「わわっ! ちょ、ちょっと京ちゃん!?」

京太郎「……」

京太郎「――恥ずかしいし」

咲「え?」

京太郎(顔、見られないくらい、赤いし……)カァァ

咲(――バカバカ、京ちゃんのバカ。もっと熱くなっちゃうに、決まってるよぉ……)カァァ

ここまでです。

悪女・久に翻弄される部員でした。
久々に、Sな部長を書けて楽しかった(小並感)

相変わらず、この二人の関係はどこに向かってるのか……書いてる自分自身、よくわからなくなってます。
多分、そんな曖昧な感じのほうがいいと思ってるから、それでいいんでしょう、多分……。

それでは、また。

>>498
(前期アニメ全く観てなくて)すまんな。
なお、今期からはそれなりに観てる模様。


――咲の部屋

京太郎「……」

咲「――覚悟、決めた?」

京太郎「いや、寧ろ決めるのはお前じゃあ」

咲「い、行くよっ!」カチッ

京太郎「――めんどいヤツ」


>オレトオマエノチガイ、オシエテヤルヨッ!


咲「はうっ!」ビクン

京太郎「……うへぇ」

京太郎「こりゃまた、強烈な――」

咲「……」ジーッ

京太郎(すごく見入ってるぞ……)


>アノコロノケシキ・・・ワスレチマッタヨ


咲「わぁ……わぁ」キラキラ

京太郎(やばい――眼の色が変わってやがる)


――そしてEDへ


咲「……終わった」ポチッ

京太郎「終わったな」

咲「――大切なものを、なくした、ような」

咲「あぁ……ハルちゃんかっこいいよぉ」

京太郎(――ハルちゃんと聞くと、なぜだろう、他人の気がしないのは)アレ?

咲「――!」ハッ

咲「い、今のなしっ!」アセアセ

京太郎「は?」

咲「あぁー、ちーちゃんかわいいよぉ……」ウットリ

咲「うん、私はこうじゃないとっ!」フンス

京太郎「……」

京太郎「お前に、今期から新シリーズを始めるアニメのキャラが遺した名言を」

咲「?」キョトン

京太郎「曰く、『ホモが嫌いな女子なんていません!』」

咲「……」

咲「私、腐女子じゃないもん」プイッ

京太郎「いいや、さっきのお前の眼は――」

京太郎「その片鱗を覗かせ」

咲「も、もうやめてっ!」カァァ


咲「……」

咲「――ね、ねぇ?」モジモジ

京太郎「ん?」

咲「つまり、その」

咲「きょ、京ちゃんは男の子の視点から、『ゆるゆり』を観た、よね?」

京太郎「懐かしいな、もう一年前か……」

京太郎「――まぁ、そりゃそうなるわな。京子ちゃんなんて性転換はしてないぞ」

咲「……そっか、そうなんだ」

咲「つまり、京ちゃんから観た『ゆるゆり』が、私にとっての『Free!』」ブツブツ

京太郎「お、おい?」

咲「……あああ」

咲「私、別に『うたプリ』観てるわけでもないのに」

咲「ただ――ただ、京アニがやるんだったら……ほっとけなかったんだよぉ」グスン

京太郎(こいつ、誰に向かって弁解してるんだろう)ハァ


京太郎「……それにしても」

京太郎「1話は結構、テンポ良かったな」

咲「うん」コクッ

咲「なんだか、引きこまれちゃったなぁ――あ、やっぱり作画すごかった!」

京太郎「それはなー、『音楽』を書くんだったら楽器を、『水泳』を描くんだったらプールを、って」

京太郎「京アニは職人意識が高いんだな……」

咲「……」

咲(複雑な気分だなぁ)

咲(今までだって、かっこいい男の子が出てくるアニメを観なかったわけじゃないけど)

咲(こういう、男の子ばっかりのアニメっていうのは――ちょっと)

咲(……ハルちゃんとライバルは、どういう関係なんだろう?)

咲(――!)ピクッ

咲(も、もう頭に残って――離れない!?)

咲「うわああああ……」グルグル

京太郎(ほっとこう)


咲「ねぇ、京ちゃん」

京太郎「ん?」

咲「京ちゃん、可愛い女の子好き?」

京太郎「そりゃ、男なら当たり前じゃあ――」

咲「じゃあさ、じゃあさ」ズイッ

咲「……かっこいい男の子は?」

京太郎「俺はホモじゃない」キッパリ

咲「む、でもFree!は楽しんでたじゃない!」

京太郎「――あれは」

京太郎「……」

京太郎「さ、咲に付き合っただけで」メセンソラシ

咲「嘘だぁ、一緒に観ようって誘ったのはそっちのくせに」

京太郎「ぐ……」


京太郎「まぁ」

京太郎「お前が、可愛い女の子が好きなようなもんだよ」

咲「うーん……たしかに私、『けいおん!』とか好きだったしなぁ」

京太郎(けいおんは、それこそ一般人の女性まで取り込んだしなぁ……別格というか)


京太郎「あ、そういや、この前麻雀モノのアニメやってたよな」

咲「あ、あれでしょ! なんでも、5人の女子高生がインターハイ目指すやつ!」

京太郎「そうそう、ほらあれだって可愛い子ばっかりだったろ?」

咲「うんうん! みんなすごく可愛いよねぇ……」

京太郎「――ほらみろ、やっぱり可愛い女の子好きじゃないか)

咲「あ」ハッ


京太郎「つまり」

咲「――私と京ちゃんは」

咲「……ば、バイ?」

京太郎「おいやめろ」コツン

咲「うう……」ウルッ

京太郎「でもまぁ」

京太郎「いや、やめた」

咲「――うう、私は、私はぁ……」グルグル

京太郎(……どんな可愛い女の子を観てるより)

京太郎(コイツと一緒にいる時間のほうが、楽しい、なんて)

京太郎(――今更、言うことでもないだろうしな)

咲「わ、私は腐ってないよぉ……」ブツブツ

京太郎「お、そういえば、三島由紀夫の『仮面の告白』は濃厚なBLらしいぞ?」

咲「――」

京太郎「おい、『文学少女』。出番だぞ」

咲「……ま、まだ私には敷居が高いといいますか」ピーヒョロロー

京太郎「よう、ラノベ」

咲「ら、ラノベは文学だもん!」

京太郎「クラナドは?」

咲「人生!」キッパリ

京太郎「……はいはい」


京太郎(ああ、くだらねえ……)

京太郎(――でも、なんか楽しいんだよなぁ)

咲「ね、ね? 京ちゃん、今度一緒にプールに――」

京太郎「早速影響されてるけど、お前泳げないだろ」

咲「……う、浮き輪もってくもん」

京太郎「――お前の水着姿観てもなぁ」

咲「あ、ば、バカにして! こ、これでも、ちょっと育ったもん!」フンス

京太郎「え、どのくらい?」

咲「……い、一ミリくらいは」ボソボソ

京太郎「――そう」ハン

咲「うわ、鼻で笑われたっ!」ガーン

咲「咲ちゃんのおもちバカっ! 嫌い!」プイッ

京太郎(……触っても、感触無さそうなくらい、まぁ観るも無残――)

咲「ま、まだ見てる。エッチ!」カァァ

京太郎「はいはい……」アキレ

ここまでです。

文学少女への道は険しい……三島は難しいからね、しょうがないね。
とりあえずFree!へのツッコミは、今更俺が言わずとも、皆がやってくれるだろうさ。
ただ、普通に面白かったから困る……。

それでは、また。
今期はそれなりに観ていく予定。あ、たまゆらは切ってしまいました(告白)

体が熱っぽい穏乃を抱えて保健室に駆け込む姿を目撃されて、京太郎が穏乃と付き合ってると周りから勘違いされる展開はまだですか!?

――海水浴場

京太郎「……着いたな」


穏乃「うおー、海だー!」

灼「……やっぱり、暑い」

玄「灼ちゃんの水着、可愛いねぇ」

憧「……あんたの水着はなんだか際どいわね」ジッ

玄「あー、憧ちゃんも可愛い」プルプル

憧「……」

憧(正直、目の前のヤツと私のとでは「もの」が違う……なんて破壊力)

憧(そ、そりゃ、遺伝で大部分が決まっちゃうのは知ってるけどさっ!)プクー

玄「憧ちゃん、何かプクーってなってるよ?」

憧「……あんたのおもちほどじゃないわよ」プイッ

玄「??」キョトン


和「みなさん、おまたせしました」トコトコ

穏乃「あ、和!」

灼「……待ってた」

憧「――!?」ビクッ

玄「ほほう――これはこれは」フムフム

玄「……もはや、計り知れない力を秘めてますな」

憧「……玄もそう思う?」

和「――ふたりとも、見過ぎです」カァァ

憧「あ、そーいえば」

憧「あのバカは?」

>アラタサン、ソレソレッ!


和「え、京太郎くん?」

>ア、シズノ、ヤメテッ!


玄「――あ、いたいた」

憧「え……あれって」


――パラソル内

京太郎「……ふぅ」ガタン

京太郎「立てたよ、宥姉ちゃん」

京太郎「ほら、ここに椅子も置いたから、気持ちいいはず」

宥「あー、ありがとー」

宥「あったかーい……」ポワポワ

宥「――でも」

京太郎「?」

宥「いいの? みんな、海へ行っちゃったけど」

宥「京太郎くん、私に構わないで、大丈夫だよ?」

京太郎「そういうわけにもいかないんだよな……」チラッ

宥「?」


男1「お、おい、見ろよあの超美人!」

男2「おお――顔立ちに反して、何たるおもち!」

男3「……しかも、水着の布面積が」

男1、2、3「――行くか」

男1、2、3「……あ、でも」


京太郎「……」ジーッ


男1「――無理そうだな」

男2「うん……多分、彼氏かなにかだろうし」

男3「……残念」トボトボ


京太郎「――ふぅ」

宥「あ、あの京太郎くん?」

京太郎「ん? どした、宥姉ちゃん?」

宥「――何かあったの?」

京太郎「……その」

京太郎「ゆ、宥姉ちゃんは自覚してるか知らないけど」

京太郎「――せ、世間一般からすると、そりゃもう」チラチラ

京太郎「そりゃ、もう……」

宥「もー?」

京太郎「――美人さん、なわけで」

宥「ふぇっ!?」ビクッ


京太郎「だ、だから」

京太郎「こーいう海水浴場で狙われないわけがない、んだよ」

宥「か、可愛い、だなんて……そんな」アセアセ

宥「――な、ないよぉ」カァァ

京太郎(う、自覚ない美人ほどタチ悪いもんないぞ……)


宥「で、でもでも」

宥「そ、そんなこと言うんなら玄ちゃんだって――」

京太郎「ああ、玄姉ちゃんも可愛い。すぎるくらいだ」

京太郎「――もちろん、憧たちも」

宥「そ、そうだよ」

宥「だ、だったら、私に構わないで、皆の方へ――」

京太郎「ああ、それなら大丈夫だろ、ほら――」


穏乃「え、え? なになに、何か食べ物くれるの?」

灼「……お腹は減ったけど」

男1「い、いや、そういうわけじゃ……」アセアセ


憧「……すいません、今フリーじゃないんで」

和「申し訳ありません。他をあたっていただければ幸いです」

男2「う――まぁ、たしかに」ハァ


玄「ほほう、お兄さん、なかなかいい身体を――」ジーッ

男3「そ、そんなに見ないでくれって」カァァ

京太郎「……な?」

宥「うわぁ……」

宥「みんな、凄いなぁ」

宥「――私、男の人、苦手だから」

京太郎「……?」


宥「小さい頃に」

宥「その――ちょっといじめられちゃったことがあって」

京太郎「宥姉ちゃん……」

宥「その時、玄ちゃんに助けてもらったんだ」

宥「――でも」

宥「わ、私、やっぱり男の人、怖くって……」

京太郎「――じゃあ」

京太郎「俺も?」

宥「……そ、そんな」

宥「京太郎くんは、その、い、いい後輩だよ」

宥「――それに」

宥「弟、だし」


京太郎「……ほんとの姉弟だったらなぁ」

京太郎「玄姉ちゃんより先に、宥姉ちゃんを助けに行っちゃってるのに」

宥「――松実京太郎くん、かぁ」

京太郎「――血は繋がってなくとも、『弟』だって」

京太郎「だから、頼ってよ」

宥「うん――ありがとう」


京太郎「……でもさ」

宥「?」

京太郎「男が怖いって割に、俺が宥姉ちゃんと知り合った時」

京太郎「――そんなに怖がってたっけ?」

宥「……」

宥「秘密」プイッ

京太郎「え?」

宥「そ、それは秘密!」アセアセ

京太郎「??」

宥(――あの時)


宥『はぁ……コタツ、温かいよぉ』

玄『あ、お姉ちゃん! やっぱりここにいたんだ』

宥『あ、玄ちゃーん』

玄『お姉ちゃん、ちょっと後輩の子を連れてきたから』

玄『このコタツに入れてもいいかな?』

宥『うん、いいよー』


宥(玄ちゃん、どんな「女の子」を連れてきたのかな?)

宥(仲良く、できるといいなぁ……)


玄『お姉ちゃん、連れてきたよー』

宥『あ、玄、ちゃ……ん』

京太郎『こ、こんにちは。はじめまして』モジモジ

宥『』


京太郎『……』

宥『……』

宥(ど、どうしよぉ)

宥(お、男の子だなんて聞いてないよぉ……)アセアセ

宥(――こ、怖い)ブルブル


京太郎『……』

宥『!』

京太郎『――よいしょっと』

宥(あ、みかん……)

京太郎『――』

宥(……わ、私も、食べようかな)

宥(こ、こんな空気は暖かくないし)

宥(……うう、タイミングが掴みにくい)


京太郎『――あの』

宥『!?』

京太郎『……もし、よければ』

京太郎『一緒に、食べませんか?』スッ

宥『……え?』

京太郎『――食べたそうに、してたように見えたから』

宥『……』

宥『――おいしい』モグモグ

京太郎『……』モグモグ

京太郎『宥さんは、玄姉ちゃんのお姉さんなんですね』

宥『ふぇ?』キョトン

京太郎『じゃあ――俺にとっての、「大姉ちゃん?」』

宥『だ、大姉ちゃん?』

京太郎『うー、なんというか、その』

京太郎『……宥姉ちゃん』

宥『!?』

京太郎『で、いいですか?』

京太郎『部活で、玄姉ちゃんって呼んでるから、そうじゃないと落ち着かなくて……』

宥『――あ』

宥『……』


宥『――よ、よろしくね、その』

京太郎『京太郎です。須賀京太郎』

宥『……きょ、京太郎、くん』モジモジ



宥(なんでかはわからないけど)

宥(あの時、みかんを剥いてる京太郎くんが何故か頭から離れなくて)

宥(あの時したお話を思い出すだけで、あったかくなっちゃうから……)

宥「……秘密、だよ」

京太郎「――あーあ、『姉ちゃん』には敵わないなぁ」タメイキ

宥「――残念でした、『弟』くん」クスクス


憧「……」

和「……」

玄「ん? どしたのどしたの?」

憧「――なんだかよくわからないけど」

和「――まずい予感が、しますね」

玄「んー??」


穏乃「それ! 灼さん、くらえー!」バシャバシャ

灼「う、穏乃、それ卑怯っ!」バシャバシャ

ここまでになります。

宥姉ちゃんとの、夏の話。
妹は知っててとぼけてるのか、果たして……
あ、今回は穏乃ちゃんと灼ちゃんには水遊びしてもらいました。想像すると微笑ましい。

それじゃ、また。全国的に暑いようなので、お気をつけて。

――神社

憧「……」

憧(あれは――)

憧「夢、だったの?」


――学校

京太郎「よ、憧」

憧「……」

京太郎「憧?」

憧「――あんた、さ」

京太郎「ん?」キョトン

憧「あー、その」

憧「なんというか……」

憧「――私が女神かもしれない、って言ったら、どうする?」

京太郎「……」

京太郎「――今月ピンチなんで、諭吉さんを1枚ください! お願いします!」

憧「……はぁ、そうよねぇ」タメイキ

憧(まともに取り合う方がおかしいわよね、これ……)


――トイレ

憧「――はぁぁ」

憧「……どーすんのよ、これ?」


キィン!


鏡「憧ちゃん、調子悪い? 顔色優れないよ?」


憧「誰のせいだ、誰の」ハァ

鏡「……いや、そのごめんなさい」アセアセ

憧「あー、もういいわ」

憧「どうやら、現実だってことがわかったし」

鏡「――私も困ってるんだ」

鏡「だって、出られないと――」

憧「出られないと?」

鏡「……京ちゃんに、会えないし」

憧「は? 『京ちゃん』?」


憧(京ちゃん、か)

憧「……もしかして、あんたの好きなヤツ、とか?」ニヤニヤ

鏡「ふぇ!? そ、そんなことはっ!」

鏡「……お、幼馴染、だもん」

憧「へぇぇ……」クスッ

憧(幼馴染ってことは、私とあのバカみたいな関係なのかな?)

鏡「――と、とりあえず」

憧「うん、考えるしかないわね」

憧「……あんたが元の世界? に戻る方法とか」

鏡「えと、私が言うのもなんだけど」

鏡「……信じられない、とか思わないの?」

憧「あー、その辺は、ねぇ……」

憧(念じれば特定の牌を集められるヤツとか、絶対に役満で上がるヤツとか――そんなオカルト見てきたらねぇ)

憧「ま、とりあえず」

憧「――行きましょうか」

鏡「あ、えと、その」

憧「ん? なに?」

鏡「……私の名前、なんですけど」

憧「……『咲』」

咲「!」


憧「って、さっき言ってたわよね?」

咲「き、記憶力いいんですね……」

憧「ふふん、これでも結構、勉強には自信あるのよ?」エヘン

咲「わ、私、勉強苦手だから……羨ましい」

憧「へぇ、意外。結構、できる方じゃないかなー、なんて思ってた」

咲「――アニメがなければ」ボソッ

憧「え、あんたもアニメ観るの?」

咲「あんた『も』って――憧さんも、ですか!?」ビックリ

憧「な、なによその驚きっぷりは……」

咲「い、いや、その」

咲「な、なんか、そーいうイメージから最も遠い所にいたもので、つい……」

憧「――あー」


憧「……とりあえず、この展開もアニメらしいっちゃらしいわね」

咲「は、はい!」

咲「まるで、今期の『神』アニメみたいな展開ですよね!」

憧「……」

憧(ああ、なんか妙に声が私と似てる気がする子が出てた、あれか……)

憧「ま、アニメみたいに一気に解決できればねぇ……」

咲「あ、でも、たしかあれだと最後に刺されて――」

憧「……咲。不吉なこと言わない」

咲「ごめんなさい……」


――教室


憧「……さて、と」

京太郎「ん? どした、憧?」

憧「――もう、一気に解決ルートで行きましょうか」

京太郎「は?」

憧「……ちょっと来て」グイッ

京太郎「わっ!」



――裏庭


憧「うん、ここなら……」

京太郎「い、いきなりなんだ憧」

憧「――えと、コンパクトコンパクト」パカッ

京太郎(え、ここまで来てオシャレかよ? 憧のオシャレ脳ここに極まれり――)

憧「……失礼なこと、考えてるでしょ?」ジトッ

京太郎「心を読まないでくれ」


憧「――出てきていいわよ」

咲「はーい」キィン

京太郎「……え、なにこれは」

憧「うん、どうやら」

憧「鏡にしか映らない、鏡の向こう側の女の子――」

京太郎「なに? 俺は憧の妄想設定を現実に見せられてる、ってことか?」

憧「――妄想が現実になるんなら、苦労はしないんだけどね」

咲「……あ」

京太郎「ん?」

京太郎「――あれ、お前」

咲「……いや、でもな、うーん」

京太郎「ん?」

咲「ごめんなさい、人違いでした」

咲「うーん――すっごく似てるけど、どこか違う」

京太郎「……」

京太郎(俺も、全く同じ思いだよ、鏡の向こうの誰かさん)


憧「――さて」

憧「私と咲が求めてるのは、この鏡の世界からの解放」

憧「でも、それはどうすればいいのやら――」

憧「京太郎には、そのアイデアを考えてほしいってわけ」

京太郎「……えええ」

京太郎「んなもん、分かるわけ――」

京太郎「……」

咲「?」

京太郎「――もしだ、憧」

憧「なに?」

京太郎「鏡にコイツが現れるまでが、某アニメと同じような展開だとしよう」

京太郎「すると――」

京太郎「……俺は、お前と、もしかして」

憧「――!?」ハッ

憧「ば、バカ! こ、こんな時に何考えてんの!」カァァ

京太郎「お、俺だって考えたくねえよ!」

京太郎「――ああ、もう」

咲「? ?」

咲「――あっ、ふーん」

咲「……さぁさぁ、お二人さん」

咲「私を救うと思って――」

二人「「断る(イヤよ)!」」

咲「今の息の合いっぷり――お似合いだと思うけどなぁ」

京太郎「……なんだ、お前もお似合いの相手がいるのか?」

咲「――そ、そんなのは」

咲「いない、こともない、のかな。いやいや、やっぱりいないことも――」

京太郎(今までの会話でわかったことは、鏡の向こうのコイツは「ポンコツ」だってことくらい、か……)


憧「……」モジモジ

京太郎「憧?」

憧「――き」

京太郎「?」

憧「キス、じゃなくても、いいのかもね」

京太郎「――というと?」

憧「き、キス以外で、その――そーいうことなら、してもいい、わよ」ゴニョゴニョ

京太郎「……代案は?」

憧「――た、例えば」


キュッ


憧「これ、とか――どう?」アセアセ

京太郎「お、おう」

憧「……」

京太郎「……」

咲「――何も起きないなぁ」

憧「なんでよ! 手つないだのに!」

京太郎「……やっぱり、するしかない、のか?」

憧「うう――そ、それは」

憧「ほ、ほんとにそういう状況になった時までとっとくって決めたのに……そんな」

憧「……」


憧「――わか、った」コクン

京太郎「憧」

憧「……目、閉じて?」

京太郎「お、おう」

憧「……」

京太郎「……」


スッ・・・


京太郎「――あ」

憧「……こ、これで」

憧「勘弁、してよね」プイッ

京太郎「お、おう」

京太郎(やべ、頬が熱すぎる……)

憧(――唇じゃなかったから、ノーカン!)カァァ


咲「あ、なんか良い感じに体が消えてきたかも」

京太郎「展開はええな、おい」

憧「ま、これくらいじゃないと、私たちの甲斐もないしねぇ」

咲「それじゃ、憧ちゃん、ありがとう!」

憧「どーいたしまして」

咲「それと……」

京太郎「?」

咲「――す、須賀くんも、どうも」

京太郎「お、おう」

二人(……なんか違和感あるな)


憧「消えた、わね」

京太郎「やっと終わりか」

京太郎「お、そろそろ次の時間だぞ」

憧「――ねぇ」

京太郎「ん?」

憧「今日の、こと」

憧「――夢じゃなかった、のね?」

京太郎「……いやまぁ、普通に現実だろ」

憧「そうか、そうだよね……」

憧「――しちゃったんだ」ボソッ

京太郎「?」


憧「……」カァァ

憧(ノーカン! ノーカン!)ブンブン

京太郎(さっきから、何をブツブツ言ってるんだか……)

京太郎(――やば、油断するとまた頬が!)カァァ

ここまでになります。

元ネタを知らない人にとっては置いてきてぼりでしょうか……すまんな。
とりあえず色々と観てみたけど、小粒揃いなイメージかな。色々楽しみです。

それでは。

ハヤテcutiesの黒椿のあれかな、元ネタは

>>552
今期から始まった『神のみぞ知るセカイ』の場面から拝借したネタでしたが、分かりにくかっただろうなぁ……
憧ちゃんの声優は今後一層、活躍すべき人だと思う(小並感)


咲「というわけで、京ちゃん」

京太郎「なんだ?」

咲「――私にニックネームを!」

京太郎「……」

咲「超高校級の?」

京太郎「……」

咲「……」

京太郎「――『麻雀魔王』」

咲「」

京太郎「超高校級の――『ポンコツラノベ少女』」

咲「」


咲「……ふんだ」

咲「――超高校級の『空気部員』のくせに」

京太郎「……何か言ったか?」

咲「あ、ごめん。越えちゃいけないライン、考えてなかった……」

京太郎「――そういえば、知ってるか?」

咲「え、なになに?」

京太郎「俺さ、新刊に2コマほど出てるらしいんだ」

咲「……」

京太郎「嬉しいなぁ――1コマ出られるだけでも御の字だから……」

咲「……」

京太郎「……」


咲「――あ、阿知賀編で私との会話イベント増えてたじゃない!」

京太郎「?」

咲「きょ、京ちゃんはアニメでこそ輝くタイプ!」

京太郎「――そう、なのか?」

咲「そうだよ」

京太郎「……」

咲「……」


二人(空気が重い――)

超短編でした。
ダンガンロンパが面白くなりそうですね……色々と見て行きたいです。

それじゃ、一旦ここで。

>>525

――廊下

京太郎「……あれ?」

穏乃「よ、京太郎」

京太郎「――」ジーッ

穏乃「ど、どうした?」

京太郎「お前、顔赤くね?」

穏乃「……き、気のせい、だって」アセアセ

京太郎「――いや、どう考えても」

穏乃「へーきへーき……」

穏乃「それじゃ、教室、に――」

穏乃「あ、れ……?」グラッ

京太郎「穏乃!」


穏乃「へ、変だな。何かおかし、いな」ハァハァ

京太郎「――やっぱり、凄く熱いじゃねえか」

穏乃「……まずったなぁ」

京太郎「とにかく、保健室行くぞ」

京太郎「ほら、立てるか?」

穏乃「う、うん……」

穏乃「わわっ――」ズルッ

京太郎「ダメみたいだな……」


京太郎「こうなったら、しょうがない」

京太郎「穏乃、俺に掴まれ」

穏乃「――え?」

京太郎「おぶるから」

穏乃「……」

穏乃「あ、ありがと」


京太郎「……ええと、保健室は」

穏乃「……」

穏乃(意外とおっきい)

穏乃(京太郎の背中――)

穏乃(……どうしてだろ? いつもとコイツは変わらないはずなのに)

穏乃(なんで――私は)

京太郎「さ、着いたぞ」

穏乃「京太郎のことが――」

京太郎「?」

穏乃「――!」ハッ

穏乃「い、今のなし……!」

穏乃「な、しで」ハァハァ

京太郎「わかったからムリに話すな」

穏乃「うう……」

穏乃(あ、熱いのはきっと、体調不良のせいだ――)カァァ



――保健室


京太郎「失礼しまーす」

京太郎「……って、ダメか。いないな」

穏乃「――先生、が?」

京太郎「うーん……困ったな」

京太郎「とりあえず、ベッドに行くか」

穏乃「う、うん……」


京太郎「よいしょっと」

穏乃「ふぁ」ポフッ

穏乃「――ああ、やっと横になれた」

京太郎「どうだ? 少しは、熱さも引いたか?」

穏乃「まぁ、ね」

穏乃「……ただ」チラッ

京太郎「ん?」

穏乃「な、なんでもな、い」

京太郎「ほらほら、ムリすんなって」

穏乃「――言えっこない」ボソッ

京太郎「?」

穏乃(何か、京太郎が近くにいると、余計に熱い、なんて)

穏乃(――言えないって)

京太郎「とりあえず、そうだな……」

京太郎「先生、捜してくるわ」

穏乃「あ、うん」

京太郎「寝てるんだぞ」

穏乃「――あ」

穏乃「……」

穏乃(何で、心細くなるんだよ私)キュッ



――少し前・廊下


男子1「お、入ったぞ」

男子2「あれ? 保健室って……?」

男子1「――ベッド?」

男子2「まさか……あいつ」

憧「何してんの?」キョトン


男子1「うおっ、新子!?」

男子2「ああ、今な。須賀が高鴨と一緒に保健室へ――」

憧「……へ?」ピクッ

男子2「で、だ」

男子2「この時間に、保健室の先生は大抵、他の先生と一緒にいる」

男子1「お、おい……やっぱり?」

男子2「――密着していた須賀と高鴨。そして、誰もいない保健室」

男子1「……ヤバイんじゃあ」

憧「」

男子2「あ、新子が固まってる……」


憧「な、何をぼんやりしてんの!」

憧「ほ、ほら、早く行かなきゃ!」アセアセ

男子1「い、いやいや、まぁ……」

男子2「――気づかなかったふりをするのも優しさ、じゃないか?」


憧「……ううう」

憧(しずと京太郎が? まさか、あの二人に限って、そんな……)

憧(――ふ、不純異性交遊? いやいや、そんなわけ……)

憧「私、やっぱり止めてくる!」

男子1「お、おい!?」


京太郎「っと、先生は……あれ?」ガラッ

男子1「」

男子2「」

憧「」

京太郎「何やってんだ、お前ら?」

男子1「い、いや、これは……」

男子2「誤解しないでくれ。ただ通りかかっただけだ」

京太郎「??」

憧「……京太郎、あんた」

京太郎「あ、憧?」

憧「あんた、しずになんてことを――!」ゴゴゴゴ

京太郎「は?」

憧「お、女のてk」

京太郎「ああ、穏乃なら今、体調悪くしてベッドで寝てる」

憧「……へ?」

京太郎「うん、だからそんなに騒がないでくれ。やっと落ち着いたって言ってたし」

京太郎「それじゃ、俺先生探しに行くから」

憧「……え?」




憧「――」ポツーン

男子1「ま、まぁ、最初からこんなもんだって思ってたよ、俺は」

男子2「あ、あの二人に限って、なぁ……」

憧「……」

男子1「き、気を落とすなよ新子」

男子2「そ、そうだって。突入しなかっただけ良かったって――」

憧「……元はといえば」

憧「あんたたちが変なこと言うから――!」カァァ


男子1「とはいえ」

男子2「――実際の所、あの二人はどうなんだろうな」

男子1「同じ部活」

男子2「幼馴染」

男子1、2「――うーむ」チラッ

憧「な、なんで私の方チラチラ見てるの?」

男子1「いや、条件だけならお前も同じだったよな」

男子2「実際、どうなんだ?」

憧「し、知らないわよ……」

憧「――しずと京太郎のこと、なんて」

憧(……私だって、あいつとは)

憧(そ、そりゃあ、「そーいうの」じゃないけど!)

憧(と、友だちだし!)

憧(――し、しずがあいつと、だなんて……)カァァ


男子1「おい、何か考えこみ始めたぞ」

男子2「青春だなぁ……」

男子1、2「――須賀のヤロウ」ゴゴゴゴ


――保健室


穏乃「……」

穏乃(何か、寂しい)

穏乃(保健室が慣れてないだけ、だよな)

穏乃(……)

穏乃(でも、なんでだろう?)

穏乃「――凄く心細いぞ?」キュッ

穏乃(京太郎が帰ってくれば)

穏乃(この気分も吹っ飛ぶのかな……?)

穏乃「――なんで、京太郎?」アレ?

穏乃(いやいや、待て私、違うだろ……)カァァ



それは、とある日の学校生活の一場面。

ドアを挟んで二人の少女は、頭を悩ませるのだった――

ここまでです。

男子に煽られて赤面する憧ちゃんを妄想してほしい、凄く可愛いはずだ。
あ、勿論ベッドで寝てる穏乃も忘れずに。きっとシーツ掴んで悶えてる。

それじゃ、また。
ああ、暑い……

ハプニング()で誤っておもちをキャッチしても優しい宥姉に許してもらった後、おもちホールドであったかあったかな展開まだすか?

――京太郎の部屋

京太郎「……あー、だる」パタパタ

咲「もう、京ちゃん。早く寝て!」

京太郎「へいへい……」

京太郎「――なんかさ」

咲「ん?」

京太郎「お前……いや、やっぱいいや」

咲「……気になるなぁ」ジトッ

京太郎「気にしたままでいてくれ」

咲「むー、上手いこと言ってないよ?」

京太郎「……」


咲「それじゃ私、タオル冷やしてくるから」

咲「ちゃんと寝てるんだよ?」

京太郎「……」

京太郎「――まるで」

京太郎(嫁さん、みたいだな……)

京太郎「なんて、言えるわけないな」


――数分後


咲「おまたせ!」ガチャッ

京太郎「お、それは……」

咲「おかゆ作ってきたよ。勝手に台所使っちゃってごめんね」

京太郎「いや、それはいいんだ、けど……」

京太郎「――お前、これ水っぽすぎやしないか?」

咲「た、食べればみんなおかゆだもん!」

京太郎「わかったわかった」

京太郎「苦手なお前がここまでしてくれたんだ。食べないのは失礼だよな……」

咲「――あ」

京太郎「……うん、上手い」モグモグ

咲「……よ、良かった」

咲「うん、良かった」

咲「……えへへ」ニコニコ

京太郎「??」


咲「ね、京ちゃん?」

京太郎「ん?」

咲「なんかさ、思い出すこと、ない?」

京太郎「思い出すこと?」

咲「うんうん」

咲「――二人で、こうやって」

京太郎「二人で……ん?」


京太郎(頭のなかがさっきよりスッキリしたおかげか)

京太郎(脳内で、その情景が形をもって現れた)

京太郎(そうだ、あれは――)





――数年前・咲の部屋


京太郎「……ふぅ」

京太郎「うへぇ、ひっでえ雨だな……」

京太郎(さっきより雨脚が強くなってないか、あれ?)

咲「あ、ありがとうございま――クシュっ!」

京太郎「ムリしてしゃべんなって」

咲「うう……ごめんなさ――クションっ!」

京太郎「お前なぁ……」ハァ


咲「ふぅ……」

咲「やっと、ベッドに着けました……」

京太郎「――とりあえず、だ」

京太郎「まずすべきことは、だな」

咲「はい?」

京太郎「その、な」

京太郎「――丸見えのその服を替えることから、だ」チラチラ

咲「へ……!?」バッ

咲「――み、見ました?」アセアセ

京太郎「ああ。ライトグリーンのちっこいブラj」

咲「……えっち」ジトッ

京太郎「しょうがないだろ、見えちまったんだし」

咲「わ、わざわざ言わなくたっていいじゃありませんか」

京太郎「……似合ってたから」ボソッ

咲「……え」

京太郎「さ、とりあえず外出てるよ」

京太郎「あと、さ」

咲「……は、はい」

京太郎「――スカートも濡れて大惨事だ」

京太郎「上下お揃いなのは分かったから、早く着替えろよ」

京太郎「じゃな」ガチャッ


咲「」

咲「……」

咲「――ほんとーに」

咲「えっちな人……!」プイッ


京太郎「おーい、宮永?」

咲「……なん、ですか?」ツン

京太郎「おい、拗ねてるのか?」

咲「別に」プイッ

京太郎「どっかの女優みたいなことしなくていいから」

京太郎「――タオル、持ってきたぞ」

咲「……」チラッ

京太郎「ほら、おでこに付けてやるから」

咲「……」


京太郎「よいしょ、っと」ペタペタ

咲「――手つきがちょっと嫌らしい、ですね」

京太郎「お前、俺を何だと思ってんだ……」

咲「変態さん」

京太郎「そ、即答か……」

咲「H」

京太郎「Hentaiの頭文字か」

咲「え、そうなんですか?」キョトン

京太郎「――いや、でもさ」

京太郎「そもそも、あんなカッコで男と話して気づかない時点で――」

咲「……やっぱり、須賀くんはド変態さんです」ジトッ

京太郎「宮永、色々とおかしいぞ」


京太郎「あ、そうだ」

京太郎「ちょっと待っててくれ」

咲「は、はい……?」


京太郎「――おまたせ」

咲「え、お、おかゆ……?」

京太郎「おう」

京太郎「ほら、さっきからお前の腹鳴ってるから」

咲「なっ……!」

咲「――で、でりかしーの欠片もない人ですね」

京太郎「デリカシーの意味を言ってみよう。ハイスタート」

咲「……い、いただき、ます」モジモジ

京太郎(勝った……)


咲「……あ、美味しい」モグモグ

京太郎「良かった」

京太郎「――少し、顔色も良くなってきたな」

咲「そ、そう、ですか?」

京太郎「うん」

京太郎「――無事で良かったよ」

咲「……」

京太郎「せっかく、知り合えたのに」

京太郎「――いきなり重病とかに罹らなくてよかった」

咲「――もう」

咲「……ありがとうございました」

京太郎「……」

京太郎「じゃあさ」

咲「?」

京太郎「お礼、何か期待してもいいか?」

咲「お礼、ですか」

咲「……そう、ですね」

咲「はい」

京太郎「じゃあ、今ここでお礼をお願いする」

咲「ず、随分急な話ですね……」

京太郎「――その、お礼は」

咲「お礼、は――」

――現在・京太郎の部屋


京太郎「……いやー」

京太郎「あの頃のお前と同一人物とは思えねえなぁ」

咲「ど、どういう意味?」

京太郎「いや、だってさ」

京太郎「あの頃のが容姿的にまだ文学少女っぽかったのに」

京太郎「今となっては何を間違ったか――おいやめろ。俺は病人だぞ」

咲「バカ、バカ!」ポカポカ

咲「……もう」

咲「――お礼」

京太郎「お礼、か」

咲「……変なお礼、考えつくんだから、もう」

京太郎「だってさ」

京太郎「……ああでもしないと」

京太郎「こうやって、お前とバカ話しても、いまいち盛り上がらないだろ?」

咲「……そう、だね」

咲「――えへへ」

京太郎(――お礼、か)


咲「ところで、京ちゃん。もう体調は?」

京太郎「まぁ、落ち着いてきたよ。そうでないとこんな話せないし」

咲「良かった」

咲「――それじゃあ」


咲「さぁ、私と一緒にアニメ鑑賞会」 京太郎「お断りします」






京太郎「これから俺と話すときは」

京太郎「……敬語、やめてくれ」


咲「……」

咲「わ、わかりましt」

京太郎「はい、NG」

咲「……」


咲「わ、分かった、よ……す、須賀、くん」

京太郎「……前途多難だなぁ、宮永」

看病ネタでした。

過去の咲ちゃんとの話は、以前書いた出会いの話からちょっと経った辺りをイメージしてます。
――といっても随分と前だから、読者層も入れ替わってるかもしれませんね……いやはや、もう1年になるのか。

こんなに長くお付き合い頂けて嬉しく思います。
更新頻度は目に見えて少なくなってきてますが、今後ともよろしくお願いします。


それでは。

きんいろモザイクはStudio5組……道理でねぇ!

>>492

――部室

京太郎「……」

灼「……」

京太郎(『充電』を初めて、もう数週間)

京太郎(どうにかこうにか、誰にも気取られずに遂行してこれた……)


灼「――ね」

京太郎「はい?」

灼「……今更、だとは思うんだけど」

灼「京太郎くん、自分の時間、取れてる?」

京太郎「……まぁ、多少は」

灼「――何か、含みがある言い方」

京太郎「俺の時間の殆どは、こうやって灼さんとの『充電』に費やされてますね」

灼「……そっか」

灼「……」

灼「――迷惑、じゃない?」モジモジ

京太郎「そんなこと、もう言いっこなしですよ」

灼「?」

京太郎「だって灼さん」

京太郎「気づいてるか分かりませんけど、そんな風に俺に気を遣ってくれるのは5回目くらいですよ」

灼「……」


灼「――私、いつの間にか重い女になっちゃってたのかな」タメイキ

京太郎「『重い』女……ですか」

京太郎「ふむ――たしかに、ここ最近は少し」

京太郎「膝の辺りの負担が増えた、ような……」

灼「――!」ハッ

灼「そ、そっちの『重い』じゃないっ!」アセアセ

灼「あ、あと、そんなに増えてない――!」フラフラ

京太郎「わ、わ、灼さん!」

灼「……あ」


ガタンッ!


灼(あ、まずい)

灼(ついつい油断したら、眼前にはタイル貼りの床が)

灼(……くっ!)


ガシッ!


灼「――?」

京太郎「ふぅ」

京太郎「危なかったですね、灼さん」

灼「あ、京太郎、くん……」

京太郎「もう、気をつけてくださいって」

灼「……」

灼「だ、だいたい」

灼「京太郎くんが、『重い』とか言うから」ボソボソ

京太郎「すいません、からかいが過ぎました」

灼「もう――」

灼「女子が、一番触れられたくない所の一つなんだよ、それ」ジトッ

京太郎「……」

京太郎「ちなみに、他には?」

灼「そうだね――身長とか、あと胸の大きs」ハッ

灼「って、何言わせるの!」カァァ

京太郎(うーむ、赤面しながらのノリツッコミは新しい……)

京太郎「――ところで」

灼「……なに?」

京太郎「俺は、いつまでこうしてれば?」

灼「……」

灼「――私が、あったかくなるまで」ギュッ

京太郎「宥姉ちゃんの真似ですか?」

灼「ち、ちがう」ブンブン

灼「――なんだか」

灼「これもまた、『充電』の形かな、って」エヘヘ

京太郎(いやぁ、日本語って便利だな……)


灼「――ね、京太郎くん」

京太郎「はい?」

灼「この光景、他の子に見られたらどうしよっか?」

京太郎「そうですね――穏乃や玄姉ちゃんならともかく、和や憧、宥姉ちゃんは感づくかもしれませんね」

灼「……そっか」キュッ

京太郎「――心なしか、灼さん、もしかして楽しんでませんか?」

灼「まさか」

灼「――でも」

灼「『充電』って、私を変えちゃってる、よね」クスクス

京太郎「……」


京太郎(最初会った頃、大人しく寡黙で、どこか冷たい印象だったのに)

京太郎(今、この人は色々な顔を俺に見せてくれる)

京太郎(照れた表情、日に日に柔らかくなっていく態度、それに……)

京太郎(――笑顔も)

灼「……さ、京太郎くん」

灼「皆が来るまで、改めて座って『充電』しよう?」ニコッ

京太郎「……」

京太郎「はい、そうですね」


京太郎(こうして、このちっこい先輩は)

京太郎(今日も、万華鏡のようにころころと表情を変えて、俺と一緒に――)

ここまでになります。

着々とデレてきている灼ちゃんでした。
改めて、『充電』を考案した宮守女子高校の鹿倉胡桃さんに、謹んで御礼を申し上げる次第です。
いや、でもやっぱり日本語って素晴らしいと思う(小並感)

それでは。

小田和正の美声がなんとも羨ましい……愛を止めないで。


>>573

――松実館

京太郎「うう、寒い……」

京太郎(今年の冬は冷え込むとは聞いてたけど、これほどとは……)

京太郎(と、とりあえず、仕事も一段落ついたし、一旦炬燵へ――!)


宥「……あ、京太郎k」

京太郎「」モニュッ

宥「――え?」

京太郎「……あ、ゆ、宥姉ちゃん」

宥「……」

京太郎「こ、これは、その――」

京太郎(――襖を開けた瞬間、宥姉ちゃんのおもちが現れた)

京太郎(いや違う。宥姉ちゃんが現れ、おもちを触ってしまった)モニュッ

京太郎(って、なに冷静に状況分析してるんだ、俺は!)


宥「……」ポー

京太郎「ご、ごめんっ!」バッ

宥「――あ」ハッ

京太郎「ごめん!」

宥「……いいよー」フルフル

京太郎「――え?」

宥「……さ、炬燵で温まろっか」ヨッコラセ

京太郎「……う、うん」


京太郎「……」

宥「……」

京太郎(ど、どういうことだ?)

京太郎(宥姉ちゃんが何を考えているのか、わからない……)

宥「ね、京太郎くん?」

京太郎「は、はいっ!」

宥「――ええと、ね」

宥「その」



宥「――玄ちゃんにも、ああいうことしてるの?」


京太郎「……」

京太郎「はい?」キョトン

宥「だ、だって」

宥「ほら、京太郎くん、玄ちゃんと……よ、夜は」カァァ

京太郎「……ああ」

京太郎(ど、どう答えればいいんだ?)

京太郎(玄姉ちゃんのものは、宥姉ちゃんより少し大きさは落ちるけど、柔らかさは向こうの方が――)

京太郎(とか言えばいいのか?)

京太郎(駄目だ、混乱してきた……)


京太郎「え、ええと」

京太郎「まぁ、宥姉ちゃんの言うとおり、かな」

宥「そう、なんだぁ」

宥「ふーん……」ジリ

京太郎(う……い、いつものおっとりした宥姉ちゃんらしからぬ目つき)

京太郎(心なし、どこか憧のように、イタズラっぽい光を帯びている……)


宥「ね、京太郎くん?」ジリジリ

京太郎「な、なにかな、宥姉ちゃん?」

宥「――」

宥「えいっ」ポスッ


京太郎「……」

宥「ふふ」

宥「捕まえちゃった」ギュッ

京太郎「――ゆ、宥姉ちゃん」

京太郎「ちょ、ちょっと熱い――」

京太郎(というか、なんだこのすぐ前に迫った二つの巨塔は!)

京太郎(ボリュームありすぎだろ……)

宥「――きょ、京太郎くん、熱いよ」

京太郎「そ、それはこっちのセリフだって」

宥「……私、ね」

京太郎「?」

宥「玄ちゃんのこと、大好きなんだよ?」

京太郎「……知ってるよ」

宥「だから」

宥「――あの子が幸せになることが、私の一番の幸せ」

宥「だって、思ってたのに……」ギュッ

京太郎「?」

宥「――京太郎くんが、悪いんだよ」

宥「私の、幸せの考え方、変わっちゃったもん」

京太郎「……」

宥「はぁ――」

宥「どうしよう、こんなこと言っちゃったら玄ちゃんに怒られちゃうかなぁ?」

宥「――うーん」

京太郎「……」


京太郎(とりあえず、この二つの物体に挟まれてると、耳まで塞がれてよく聞こえない)モゾモゾ

宥「きゃっ!? も、もう京太郎くんっ!」ビクッ

京太郎「……ふぅ」

京太郎「元々、いきなり抱きしめてきたのはそっちだろ」

宥「……ね」

宥「京太郎くんは、どう、思う?」

京太郎「……」

京太郎「そりゃ、まぁ――」


玄「ふっふっふっ……」


二人「!?」ハッ

玄「話はすべて聞かせてもらいました」

京太郎「く、玄姉ちゃん!?」

宥「わわわ、く、玄ちゃん、これはね?」アセアセ

玄「――お姉ちゃん」

玄「色々と、『溜め込んで』たんだね。ごめんね、気づけなくて」

宥「た、溜め込むなんて、そんな……」

京太郎(深くは突っ込むまい)


玄「それで、お姉ちゃん?」

宥「は、はい」

玄「――今夜」

玄「私たちの、所へ……」



京太郎(結局)

京太郎(その夜には――)


玄「きょ、京太郎くん、熱い……!」

宥「――こ、これ、どう、かな?」


京太郎(まぁその、そんな感じの営みがあったわけで)

京太郎(――いやまぁ、展開的には大歓迎なんだけど)

京太郎(一夫一妻制とは、なんだったのか)


京太郎「ここ、日本だよな……?」アレ?

ここまでです。
松実館・玄ちゃんルートのその後ですかね……

つまり、姉妹どちらを選んでも、結局最後は一緒に――ということに。
まぁ、みんな幸せならいいんじゃないかな……。

それでは、また。

そろそろ新しいリクエストが欲しい……!
みなさん、どしどし書いていってくださいな。

――こ、答えられる範囲で書きます(震え声)

部室で、部長と、二人きりの或る日の部活風景

てるてるを餌付けしよう

照を宥めるために二人でスイーツパラダイスへ行く



のを咲に見られる

>>604

――部室

京太郎(……夏)

京太郎(部室の中に一抹の風が入り込み、外から生ぬるい空気を運んでくる)

京太郎(そんな中、俺たちは――)


京太郎「……なかなか思いつかないもんだな」

久「あら、どうしたの須賀くん?」カタッ

京太郎「あ、部長」

京太郎「いや、実は……」

京太郎「俺、今まで散々咲のことを『似非文学少女』と、からかい続けてましたけど」

京太郎「――もしかして、俺はからかえないかもしれませんね」

久「え、なに? 須賀くん、小説家志望とか?」

京太郎「いえ、書いたこととかはありませんけど」

京太郎「……ただ、表現力は身につけないといけませんねー、と」

久「なるほどねぇ」


久「そっかそっかー、ふーん……」

京太郎「……」

京太郎「ところで部長。他の人たちは?」

久「優希は追試の勉強で、和はその手伝い」

久「で、まこは実家の雀荘の補助で――」

京太郎「咲は、お姉さんと一緒に『デート』だそうです」

久「――ふーん」

久「あの子、お姉さんとの確執を乗り越えたのねぇ……」ウンウン

京太郎(そういや、そういう設定だったような気もするけど――)

京太郎(いつの間にか、フツーに咲の家に居座ってたしなぁ……)


京太郎「ところで、部長?」

久「ん?」

京太郎「――ええと」

京太郎「どうです、その後は?」

久「もう、なによそのボカした表現は?」ジトッ

京太郎「い、いや特に他意はありませんけど……」

久「煮え切らない男はモテないわよ?」アキレ

京太郎「……ですよねぇ」

久(あれ? この子、自分がモテないとか言われて納得しちゃうんだ……)ハァ

京太郎「なんですか、その目は?」

久「いやー」

久「……咲たちも大変ねぇ、と」ボソッ

京太郎「――はぁ」


京太郎「それで」

京太郎「――どうですか、その」


京太郎「久々に来る、清澄は?」


久「んー」

久「まぁ、いい意味で変わらないなぁ、って」

京太郎「……部長がいなくなってから」

京太郎「時々、麻雀部の『顔』が無くなったような、ポッカリとした気分になります」

久「あら、『ポッカリとした気分』なんて、可愛い表現思いつくじゃない?」

久「そうだ、いっそ児童文学作家とかになったら?」クスクス

京太郎「……」

京太郎(果たして、ラノベはどこに分類されるんだろうなぁ――)


久「まぁ、ともあれ」

久「大学生活は、おおむね順調」

久「――まぁ、ちょっと物足りなさもあるけどね」

京太郎「大学でも、麻雀部……いや、麻雀サークルに入ったんですよね?」

久「うん、まぁね」

久「もう、美穂子が私から離れてくれなくって!」

久「この前なんてうちに泊めただけで、顔を真っ赤にしちゃって、可愛かったわよ」

久「しまいに目を回して倒れちゃうから、ベッドに運ぶのが大変で」

京太郎「……は、はは」

久「あら? 須賀くんは、こういう話は苦手?」

京太郎「――近くに、すぐに顔を赤くする『自称文学少女』がいますから」

京太郎「ついつい、そういう話をされると、あいつの顔が脳裏に浮かんじゃって」

久「へぇぇ……ふーん」ニヤニヤ

京太郎(部長って、ホントこういう目つきが似合うよなぁ)


京太郎「ところで」

京太郎「今日は、ほとんど誰も来られないことがわかってたんですよね?」

京太郎「――なんでこの日、ここに部長は来たんですか?」

久「……」

久「――知りたい?」ズイッ

京太郎「え、ええ……?」

久「というか、察せない?」

京太郎「――薄々、感づいてはいますけど」

久「そう」


久「須賀くんと、ふたりきりでお話ししたくって」


京太郎「……」

久「……」

京太郎「――福路さんに、怒られちゃいますよ?」

久「ん? 美穂子が気になるの?」

京太郎「いやまぁ、正直あの人が気にならない男がいるんでしょうか」

京太郎「大丈夫なんですか、大学でナンパとか……」

久「あ、それはないない」

久「だって、大抵私の後をずっと付いてくるんだもの」

久「そして、何かあると嬉しそうに、『久さん!』って……ふふっ」ニコニコ

京太郎「……」

京太郎(まぁ、部長も美人だけど、近くに男は寄せ付けないタイプだろうしなぁ……)

久「ん? ちょっと失礼な思考をキャッチしたわよ?」ムッ

京太郎(しかし、俺はいつからサトラレになったんだろうなぁ……)


久「あぁもう」

久「須賀くんが美穂子の話題に誘導したせいで」

久「今日、私がここに来た理由が伝えられないままじゃないの」

京太郎「いいじゃないですか」

京太郎「――部長とお話しするの、とても楽しいですし」

久「……」

久「あなたねぇ――」

久「その優しさは私じゃなく、他の2年部員に分けてあげなさい」

京太郎「……」

京太郎「――十分、優しくしてるつもりなんですけどね」

久(あぁ、これは一年からなんの進展もないわね……あちゃー)アキレ

久「私が、ここに来たのは――」

久「……」

京太郎「?」

久「いえ、やっぱやめときましょう」

京太郎「ええ!?」

久「いや、さっき」

久「須賀くんが、私と話せて楽しいって言ってくれただけで」

久「――大体の目的、果たせちゃったの」

京太郎「……なんか、腑に落ちません」

久「ふふっ、まぁいいじゃないの」

久「――っと、そろそろ時間か」

久「それじゃ、またね須賀くん」

久「今度は、他の子たちと一緒に会いましょう!」バタン

京太郎「……」

京太郎「相変わらず、唐突な人だなぁ……」

京太郎「――ま」


京太郎「おべっかでもなんでもなく、楽しい一時だったのは寸分違わぬ事実だったけど、さ」

京太郎「――あ、これならそれっぽい表現になるか?」

――廊下


久「――わかったわかった、すぐに帰るから」

久「え、今日の夕飯を作るって!? いやまぁ、いいんだけど……」

久「あんた、自分の時間を作れてるの? 私は嬉しいけれど」

久「――え、『久さんとの時間こそ、本当の私の時間です』?」

久「……と、とりあえず切るわよ」ガチャッ


久「……」

久「我ながら、何て子を連れ合いにしてしまったのか」

久「――ま、いっか」


久(――確認したかったこと)

久(そんなの、決まってた)

久(高校時代の私が、今の美穂子でなく、「彼」に感じてた、一抹の想い、のようなもの)

久(――それが、果たして本物だったのか)

久(あと、彼と些事があった「ロッカー」を見て、思い出に浸りたかったというのもあった)


久「……でも、まあ」

久(どうやら、「想い」は大切な「思い出」になって)

久(当時の私も、すでに「あの子」の想いには負けてたでしょうし)

久(――須賀くんが、あの子のことを話すときの、何よりも優しい表情)

久(彼自身は、気づいてるんだか……)


久「――あぁ」

久「でも、まぁ」



久「――なんとも楽しい、実りある時間が、彼処で流れていたのであった、ってね」クスッ


久「あ、そうだ。私も小説とか……美穂子と一緒にでも……」

ここまでです。
どこか感傷的な雰囲気を出したかったのですが、文中の京太郎よろしくまともな文章表現が浮かびませんでした……(白状)

ともあれ、このSSでのキャップは大いに報われてる設定です。
ほら、普段が散々な扱いだし……せめて、ここでは。

京太郎と部長、清澄の部室、吹き抜ける風……こういった情景を想像しながら読んでいただけると幸いです。

それでは。

>>613>>614


――街中

京太郎「あれは……」

照「……」ジーッ

京太郎(何やってんだ、あの人)

京太郎(ケーキ屋の前で、ショーケースの商品を凝視している……)


照「……」ジーッ

京太郎(どうしよう、見なかったことにしようか)

京太郎(……でもなぁ)


照「……」

京太郎「こ、こんにちは」

照「――!」ハッ

照「……なんだ、須賀くんか」

京太郎「えっと、何をしているんですか?」

照「――別に」

照「決して、これ美味しそう食べちゃいたい、なんて思ってない」

京太郎(自分から告白していくのか……)


京太郎「そ、そうですか」

京太郎「たしかに、ここのケーキ美味しそうですよね」

照「だから、違う」フルフル

京太郎「とにかく、ここであまりガラスに引っ付いていると目立ちますって」

京太郎「とりあえず、移動しましょう」

照「……嫌だ」


京太郎「でも、別に見ていたわけじゃないんでしょう?」

照「そうだけど、でも行きたくない」

京太郎(この人、俺より二つほど年上なんだよな……ホントかよ?)


京太郎「――俺が気になったのは」

京太郎「さっき、道行く人たちが笑いながら照さんを見ていたことです」

照「……それがどうしたの?」

京太郎「いえ」

京太郎「どうというわけじゃないんですけど、ただ」

京太郎「――照さんが、見世物にされるのは嫌なので」

照「……」

京太郎「だから、行きましょう」

照「――」

照「うん、分かった……」コクッ

京太郎「……」

照「――なに?」

京太郎「いや、意外と早く了承してくれたので驚いちゃって」

照「私、子供じゃない」

京太郎(少なくとも、俺より年上には思えない)

京太郎「――ええと」

京太郎「これからどうします?」

照「……どうもしない」プイッ

照「早く、咲の所へ帰らないと」

京太郎「――いや、それもいいんですけど」

京太郎「帰ったら、何をするつもりなんですか?」

照「――そんなこと、須賀くんには」

京太郎「いや、実は」

京太郎「この前、咲に頼まれてしまって」

照「……」

京太郎「『最近、何故か私のプリンがない。これじゃ、生命線が断たれたようなものだよ!』とか」

京太郎「まぁ、そんな感じなので」

照「……」

京太郎「ところで照さん」

京太郎「帰ったら、何をする予定ですか?」


照「――」

照「……どこへ行きたいの?」

京太郎「とりあえず、照さんの欲を鎮めないといけないな、と」

京太郎「そこでどうでしょう、あそことか?」

照「――何、あれは?」

京太郎「スイーツパラダイスですよ」

京太郎「あそこなら、照さんの欲求も解消できるんじゃないかなー、と」

照「……」

照「値段は?」

京太郎「今、かなり安くなってるみたいですよ」

照「……」


――店


店員「いらっしゃいませー!」

京太郎「さ、とりあえず行きましょう」

照「――うん」

京太郎「――ケーキ食べ放題、か」

照「私、それ」

京太郎「じゃあ俺も一緒のを」

京太郎「……初めて来たけど、結構いいお店ですね」

照「――とりあえず、合格点」

京太郎(何て上から目線……)

京太郎「……美味しい」モグモグ

照「……」

京太郎(うわ、すげえ勢いでムシャムシャ食べてるよ……)

照「なに?」モグモグ

京太郎「いや、美味しそうに食べるなぁって」

照「――美味しいんだから、しょうがない」

京太郎(こんなとこで照れられてもなぁ……)


京太郎「あ、照さん」

照「……」

照「なに?」

京太郎「いや、ちょっとじっとしててください」

照「……?」

京太郎「よいしょっと」ピトッ

照「!?」

京太郎「――ああ、あまり動かないでくださいって」

京太郎「頬に酷くクリームが付いてて、まだ落ちてません」フキフキ

京太郎「美味しく食べるのはいいけど、気をつけないと――」

照「……」

京太郎「照さん?」

照「――」

照「……須賀くんの、バカ」

京太郎「?」

照「……」カァァ

京太郎(ええと、何て言ってたのかよくわからないけど……)

京太郎(――『恥ずかしい』か?)

京太郎(何が恥ずかしいのやら……)


照「い、いきなり、人の身体に触れるのは」

照「い、いけないこと」アセアセ

京太郎「……」

京太郎「といっても、ちゃんと拭き取らないと」

京太郎「そっちのが、『いけないこと』ですって」

照「うー……」

京太郎(――似てるなぁ)

京太郎(まだ出会って間もなかった頃の咲と)

京太郎(……あれ、窓の外に誰かが)


咲「……」ジーッ


京太郎「」

照「だ、だから」

照「もう……は、恥ずかしい、から」

京太郎「……」

照「す、須賀くん?」

京太郎「――いえ、ごめんなさい。なんでもありません」

京太郎「ちょっと外に出てくるので、ここで待っててください」

照「え?」


京太郎「……」

京太郎(――あ)

咲「……」

京太郎「おいこら、待て」ガシッ

咲「!」

咲「……お、おお」

咲「お幸せn」

京太郎「だから、待てって」ギュッ

咲「うう……」

京太郎(咲を引っ張って、照さんから見えない所に移動した)

京太郎「で、どうしてここにいる?」

咲「――外から、二人が入っていくのが見えて」

咲「そ、それで、そこから……」

京太郎(ストーカーの素質あり……)


京太郎「――言っておくけど」

京太郎「特に、照さんとは『そういう関係』じゃないからな」

咲「だって、だって……」

咲「さ、さっき、お姉ちゃんのところ」

咲「か、顔、近づけてた……」

京太郎「――あのなぁ」


京太郎「……俺がこの店に行かなかったら」

京太郎「また冷蔵庫から、お前のプリンが姿を消してたかもしれないぞ?」

咲「で、でも……」

京太郎「とにかく」

京太郎「怪しまれないうちに、俺は戻るから」

京太郎「お前も、心配しないように」

咲「……うー」

咲「――心配なんて、してないもん」プイッ

京太郎「あー、分かった分かった」

咲「そもそも、何に心配しなきゃいけないの?」

京太郎「……え?」

咲「――あ」

二人「……」

京太郎「お、俺、戻るから」カァァ

咲「う、うん……」カァァ


――店内


照「……」

照「――」

照(なんでだろう)ソワソワ

照(今日は別に暑い日じゃないし、熱があるわけでもない)

照(――なのに)


照「……困った」カァァ

ここまでです。

咲ちゃんの目は、きっと凄く切ないものだったでしょう。
反面、照姉さんの目は、恥ずかしさで潤んでいたのだった……。

それでは。

ラブライブの「夏色えがおで~」って曲が良すぎる。
アニメは観てましたが、実際の曲は注意して聴いたことがなかったので……頭から離れてくれない。

それじゃそんな中で、気分転換にもう一本。


――街中

京太郎「……ふむ」

京太郎(ここ最近の景気の影響か、外国人観光客が多くなったとは聞いていたけど)

京太郎(たしかに、かなり多くなってるな――)シミジミ

京太郎(奈良のような場所にも観光客は多いけど、これじゃ新宿とかは凄まじいことになってるんだろうな……)

京太郎(まぁ、個人的には外国人が増えるのは楽しいからいいんだけど……うん?)


少女「……」ジーッ


京太郎(ガイドブックをガン見している女子を発見)

少女「――」キョロキョロ

少女「……」ジーッ

京太郎(――道に迷ってるのか?)

京太郎(いやしかしまぁ、『THE・外国人!』って感じの子だなぁ……)

京太郎(パーカーのデザインがまた、かっこいい――)


少女「……うーん」

京太郎「あ、あのー?」

少女「!?」ハッ

京太郎「もしかして、なんですけど」

京太郎「道に、迷ってたりしますか?」

少女「……あ」

少女「ハ、ハイッ!」

京太郎「俺、ここに住んでるので」

京太郎「もしかしたら、お役に立てるかも……なんて」

少女「おお……!」

京太郎「そのガイドブックを見せて頂ければ……」

少女「じ、地元のヒト?」

少女「そ、それなら、分かりマスか?」

京太郎(そう言って、彼女は地図上を指し示す)

京太郎(そこには――ああ、なるほど)

京太郎「ここならわかります」

少女「ほんとデスか!?」

京太郎「はい」

京太郎「それじゃ、行きましょうか」

少女「ハイッ!」

京太郎「――へぇ、友達と一緒に」

少女「そうデスッ!」

少女「みんな、イイヒト!」ニコニコ

京太郎(所々カタコトっぽいのがまた、良い感じに外国人らしい……)

京太郎「――もしかして、とは思うんですけど」

京太郎「イギリスの方、だったり?」

少女「おおー!」

少女「どうしてわかったデスか?」

京太郎「――そのパーカーのデザイン」

京太郎「ユニオンジャックだったから」

少女「おお、ホームズみたいな推理力デスッ!」

京太郎「そ、それはホームズさんに失礼じゃないかな……」


京太郎(そういえばイギリスと言えば、ホームズの本場……)

京太郎(音楽ではビートルズだし、加えて、この前の授業で習った産業革命――)

京太郎(なんというか、恐ろしい国だなぁ……)

京太郎「――ところで日本には、いつまで居る予定で?」

少女「私デスか? そーデスねぇ……」

少女「――みんなとずっと一緒かもしれマセン」

京太郎「みんな……ああ」

京太郎(俺にとっての、麻雀部の面々みたいなもんか――)

少女「みんな、大事なお友達デスッ!」

京太郎「友達、好きなんだな」

少女「大大大好きデスッ!」エヘヘ

京太郎(なんてまあ微笑ましいことで……)

京太郎(ついついほんわかして、笑みが零れそうになってしまう)


京太郎(とまあ、大抵こういうタイミングで……)

憧「――うわ、京太郎が女の子をナンパしてる」

京太郎(変なのが現れるんだよな――)

京太郎「あのな、俺が今手に持ってる物、わからないか?」

憧「ガイドブックでしょ? それでデートスポット探してるんでしょ?」

京太郎「いやー、さすがクラスで『ちょっとした噂』が流れてる憧さんの洞察力は違うなぁ……」

憧「え、なにそれ……」ゴゴゴ

京太郎「秘密にしとこうと思うんだ」


憧「はぁ、まあいいわ……ところで」

憧「隣にいるその子は?」

少女「……」キョロキョロ

京太郎(さっきから興味深げに、俺と憧を交互に見てる……)

少女「――あ」

少女「もしかして、おにーさんとおねーさんは、『カップル』?」

京太郎「」

憧「」


少女「え、え? ち、違ったデスか?」

京太郎「――敢えて言おう。断じて違う」

憧「誰が、こんなヘタレと……」

少女「――やっぱり、仲良しさんデスねっ」ニコニコ

二人「違うっ!」カァァ


――説明後


少女「ああ、つまり」

少女「お二人は、トモダチだったんデスねっ!」ポンッ

京太郎「ま、まぁな」

憧「……友達、ねぇ」

憧「ま、まぁ、そういうことで!」

少女(――カップルのが嬉しいんデス?)

憧「しかしまぁ」

憧「随分と可愛い子ね。あんた、ほんとにナンパじゃ――」

京太郎「一つ聞くけど、俺がナンパしたことなんて一度でもあったか?」

憧「……そういえば、そうね」

京太郎「はぁ……」

憧「で、つまりは道案内でしょ?」

京太郎「お前がその理解に至るまで、随分遠回りした気がするよ……」

少女「……早くトモダチに会いたいデス」

京太郎「そうだよな……よし」

京太郎「それじゃ、憧も一緒に付き合ってくれないか?」

憧「そうねぇ――まぁ、暇だったし」

憧「行きましょうかっ!」

少女「よっ、フトッパラ!」

憧「ふ、太ってないわよっ!」アセアセ

京太郎(……どうしてだろう)

京太郎(俺は今、おかしな感覚を抱いている――)


京太郎(まるで、「二人」が同時に存在しているかのような……)

――そんなこんなで


少女「あ、着きマシタッ!」

京太郎「おー、良かった良かった」

憧「まぁ、私の道案内が良かったのね」

京太郎「頑張った自分へのご褒美か?」

憧「――別に、甘いものそんな好きじゃないし」プイッ

京太郎(嘘だな……)アキレ


少女「あ、居マシタッ!」

京太郎「お、あの子たちか」

憧「それじゃ、ここでお別れね」

少女「ハイッ!」

少女「どうも、アリガトゴザイマシター!」

憧「……可愛いカタコトね」

京太郎「まぁ、な」

京太郎(うーん……最後まで、この妙な感覚は残ったままだったな)

憧「さ、帰りましょ」

京太郎「お、おう」

京太郎「――なぁ、憧?」

憧「なに?」

京太郎「お前、イギリス行ったこととかない、よな?」

憧「ないわよ」

憧「……え、私、そんなに白人っぽく見えるの?」

京太郎「いいや、見えない」

憧「――ふーん」ジトッ

少女A「カレン、心配しましたよー」

少女B「もー、いきなりどっか行っちゃうから……心配したんだよ?」

少女C「ごめんなさいデス」

少女C「――でも、優しいオニーサンとオネーサンと一緒だったので、なんとか」

少女D「まぁ、親切な人がいてくれて良かったわね」

少女E「綾も道に迷うときは迷いまくるもんなー」

少女D「なっ、そ、そんなことは!」カァァ


少女A「――あのお二人は」

少女B「?」

少女A「カップルさん、なんでしょうか?」キョトン

少女D「遠目から見る分には、それっぽくも見えるけど……」

少女E「くぅー、青春羨ましい!」

少女C「セーシュン、バンザイデス!」

少女D「……将来、お嫁さんになったりするのかな」キュッ

少女E「あれ、綾。まだ進路志望はお嫁さんか?」ニヤニヤ

少女D「ち、違うわよっ!」カァァ



少女B「……でも」

少女A「どうしました、アリス?」

少女B「シノ。私たちも、青春してるよ」

少女B「――毎日が、輝いてるもん」

少女A「……」

少女A「そうですね、アリスの言うとおりですっ!」ニコッ



京太郎「……」

憧「どうしたの、京太郎?」

京太郎「いや」

京太郎「楽しそうだなー、と」

憧「ああ、あの子たち」

憧「――私たちも」

京太郎「?」

憧「きっと、結構楽しんでる方よ」

憧「……これからも」

京太郎「……」


京太郎「そうだな」

ここまでになります。

スタジオ繋がりのちょっとしたクロスオーバーでした。
なお、阿知賀のメンバーからは、二人ほど向こうに加わっている模様。
こういうのは書いてて面白かったです。
元ネタ知らなかった方には、ごめんなさい……。

それでは。

――京太郎の部屋

京太郎「……」ボーッ

咲「……」ボーッ


京太郎「――なぁ?」

咲「なにー?」

京太郎「……あまりにも、さ」

京太郎「暑すぎないか……?」

咲「……」

咲「――まぁ、たしかに暑いけど」

咲「言うほど、かなぁ?」クビカシゲ

京太郎「お前、意外と暑さに強いな……」

咲「京ちゃんは男のくせに情けないねぇ」ニヤニヤ

京太郎(ぐっ、なんか無性に悔しい……!)


咲「まぁ、京ちゃんの部屋だし」

咲「京ちゃんが、自由にエアコンの温度を下げたらいいんじゃないかな?」

咲「私は何も言わないよー?」ニコニコ

京太郎(ぐっ……こいつ、自分が有利になったと思いきや、急に上から目線に!)

京太郎(――かくなる上は)


京太郎「ところで、知ってるか?」

咲「なぁに?」

京太郎「温度の変化に敏感な人の共通点、ってヤツ」

咲「……うーん」

咲「わからないなぁ――ほら私、昔から強いから」クスクス

京太郎「……そうか」

京太郎「――じゃあきっと、照さんも強いんだろうな」

咲「え、う、うん」

咲「なんで分かったの?」キョトン

京太郎「……」ジッ

咲「ちょ、ちょっと! なにその哀れみの目は!?」アセアセ


京太郎「……実はな」

京太郎「この前聞いてみたら、和は暑がりなんだとさ」

咲「は、原村さん、が……?」

京太郎「ああ」

京太郎「で、部長も少し暑がりで染谷先輩もそれなりに」

京太郎「それで、優希は――全く暑くない、そうだ」

咲「……」

京太郎「――俺が言えるのは、ここまでだ」

咲「…………」

咲「み、みんな」

咲「あ、暑がりな子はみんな、髪が短い!」

咲「私もお姉ちゃんも優希ちゃんも!」

京太郎「……」

咲「だ、だから、髪! そう、髪が熱を吸い込んで、それで……!」

京太郎「咲」

咲「……」

京太郎「もういいんだ……もういいんだよ」

咲「――ひどいよ」

咲「こんなのってないよ……ひどすぎるよっ!」グスッ

京太郎(たしかに、こんな暑さは絶対おかしいよ)



京太郎「で、いきなり下から持ってきたそれはなんだ?」

咲「み、見れば分かるでしょ」ドサッ

京太郎「……牛乳、か」

咲「ううう――」

咲「の、飲めば飲むほど、効果は出るはず!」ゴクゴク

京太郎「なお、効用は腹に向かう模様」

咲「ふ、不吉なこと言わないの!」カァァ


咲「み、見ててよ! いつか、きっと――!」

咲「せめて、部長クラスにはっ!」グッ

京太郎(近くに和というとんでもない逸材がいるせいで、コンプレックス刺激されっぱなしだろうなぁ……)

京太郎(まぁ正直、俺は――)

咲「ねぇ、京ちゃん? どうおm」

京太郎「俺は、咲の大きさもアリだと思うな」

咲「……へ?」キョトン

京太郎「あ」

京太郎(ついつい、心の声が!)

二人「…………」


京太郎「あー、ええと、その」

京太郎「せ、蝉がたくさんいるな。さすが長n」

咲「……どういう」

咲「どういう、意味?」ジッ

京太郎「――だから」

京太郎「和とかといちいち比べんなって」

京太郎「みんな違って、みんないい」

京太郎「そうさ、ナンバーワンじゃなくてオンリーワン――」

咲「そんな名曲出しても、ダマされないんだから!」プイッ

京太郎「はぁ……」

京太郎「随分脱線したけど――今日、何のためにうちに来たんだっけか?」

咲「もう……京ちゃん、ぼけちゃったの?」

京太郎「お前の、微笑ましくも虚しい努力を見てたら、力抜けちゃったんだよ」

咲「わ、私のせいにするとか――恥ずかしくないの?」カァァ

京太郎(顔を赤らめながら言われても、説得力皆無)


咲「もう」

咲「明日からのこと、忘れたの?」

京太郎「――ああ」

京太郎「祭典、か」

咲「そう!」

咲「ここ長野からも、私たちが行くんだからねっ!」

京太郎「……今年の夏は、平年を置き去りにしていく、そうな」

咲「……う」

京太郎「意味、分かるよな?」

咲「……」

京太郎「タオルは? 十分すぎるほどの補給用ドリンクは? それに――」

咲「…………」

咲「手伝って、ください……」モジモジ

京太郎「……はいはい」


京太郎「でもさ」

京太郎「お前、どこか見たいとこ、あるのか?」

咲「そうだなぁ……」

咲「強いて言うなら、あのイギリスの子たちに会いたいなぁ……」

咲「きっと、コスプレ広場も盛り上がってるよ!」ウキウキ

京太郎「――ああ、あれか」

京太郎(しかしまぁ、本当に可愛いよな、「あれ」は)

京太郎「やっぱ、Kawaiiは日々研究されてるんだなぁ……」

咲「京ちゃんは別に、Kawaiくないよね?」

京太郎「――咲は、Tsurupetaってところか?」

咲「……貧乳はステータスだ、希少価値だ」

咲「って、偉い人も言ってたもん!」

京太郎(また懐かしいタイトルを……二期早くしてくれ)

咲「――ね」ジッ

京太郎「ん?」

咲「会場では……」

咲「手、離さないでよ?」モジモジ

京太郎「……」

京太郎「――そう、だな」

京太郎「稀代の方向音痴の咲さんだしな」

咲「……もうっ」カァァ

ここまでになります。
エアコンの部屋でグダグダトークの京ちゃんと咲ちゃんでした。

ラブライブネタ出してくれた人には申し訳ないけど、まだ「夏色~」しか知らないんだよなぁ……
挙げてくれた曲、聴きます……。

どこかで、「近頃は阿知賀ばかりで、京咲成分が足りない」という声が聞こえた気がしたので、今回は
純然たる京咲の話です。
書いててやっぱり楽しいです。

それでは。

>>659
SHUFFLEって二期やったよな

>>670
そういえばSHUFFLEでもありましたね……
自分は、京アニの某作品を意識してました。2期はもう来ないかもしれませんね……。


――部室


京太郎「こうするようになってから、どれくらい経ちましたっけ?」

灼「……?」キョトン

灼「どうしたの、藪から棒に?」ヒョイッ

京太郎「いや――」

京太郎「ちょっと考えてみたら」

京太郎「父親が子供を膝に載せて、絵本を読んだりすることって普通ですよね」

灼「……」

京太郎「――でも」

京太郎「今ここで、俺と灼さんがやってることって……」

灼「……」ムッ

灼「私はもう、子供じゃないよ」プイッ

京太郎(あ、拗ねた)


灼「わ、私のことを暗に子供扱いしてバカにするなら、言わせてもらうけど」アセアセ

京太郎「――何ですか?」

灼「……京太郎くんは、ちょっと素直じゃないね」ジトッ

京太郎「はい?」

灼「そ、そうやって、私を子供に見立てるってことは」

灼「――この『充電』に、もううんざりしたってことだよね?」

京太郎「……」

灼「だ、だったら」

灼「い、いつでも止めていいよ?」

灼「……私、子供じゃないから」

灼「別に、なんとも思わないから」モジモジ

京太郎「……灼さん」


スッ・・・


灼「!?」

京太郎「……あ」

京太郎「意外と髪量多いですね」ナデナデ

灼「……」

灼「どういう、つもり?」

京太郎「――いや」

京太郎「経験上、灼さんがそうやってムキになる時は」

京太郎「……『充電』以外に、プラスアルファが必要なんじゃないか、って思いまして」

灼「なっ……!」

灼「――それで、こうして撫でてるってこと?」カァァ

京太郎「はい」

灼「……つまり」

灼「私は、京太郎くんにとって子供――」

京太郎「もうやめましょうって、灼さん」

灼「……?」


京太郎「ごめんなさい、俺もからかいが過ぎました」ペコリ

京太郎「灼さんが、『子供』って言われることにそこまで反発するとは思わなくて……」

灼「――だって、私は先輩だもん」プイッ

京太郎「ですよね」

京太郎「……けど、灼さん。どうか、勘違いしないでください」

灼「……」

京太郎「俺がこうして、『充電』するのは」

京太郎「別に、後輩が先輩の言うことを聞くべきだから、なんてのが理由じゃありません」

京太郎「――ただ」


京太郎「こうして、灼さんと時間を過ごすのが楽しいからです」


灼「……!」ハッ

京太郎「だ、だから、その」

京太郎「――灼さんがムキになると、ちょっと残念なので」

灼「――元々は」

灼「京太郎くんが、おかしなこと言うからじゃない」ジトッ

京太郎「それはすみません」

灼「――もう、いいよ」

京太郎「?」

灼「京太郎くんが、私のことをどう思ってるか、分かったから」

灼「――ありがとう」

京太郎「……灼さん」


京太郎「――さて」

京太郎「そうこうしているうちに、そろそろ他の人たちが来そうな頃合いですね」

灼「あ、ホントだ」

灼「――み、見られたら、困る」アセアセ

京太郎「ですよねー」

京太郎「……」

灼「……」

京太郎「――どうして、どこうとしないんですか?」

灼「も、もう少しだけっ!」パタパタ

京太郎「……そんなに、『充電』が好きですか?」

灼「――今日は、特別っ!」

京太郎(そんなに、さっきの会話が胸に来たのか……)

灼「……ニヤニヤ禁止」ジトッ

京太郎(げ……)

京太郎「さて、そろそろ」

灼「――う、うん」

京太郎「降りまsh」 憧「ごめん、ちょっと遅れちゃったー」ガチャッ


二人「!!?」ズザッ

憧「……んー?」

憧「どうしたの、二人とも?」

京太郎「い、いや、その」ブンブン

灼「な、なんでもない」フルフル

憧「……?」

憧(怪しい……)ジトーッ

京太郎(ど、どうすんですか灼さん! 憧がジト目してますよ!)

灼(……私のジト目のが、それっぽい)ジトーッ

京太郎(意味分からないこと言って逃避しないでください!)

憧「ね、ねぇ、二人とも?」

二人「!」

憧「――あの、さ」

憧「……いや、やっぱいいや」

京太郎「ど、どうしたんだ憧?」

灼「わ、私で良かったら、相談に乗るよ?」

憧「……うーん」

憧「ありがとね。でも、今はいいんだ」

京太郎「そ、そうか?」



憧(――ちょっと、見えちゃった)

憧(ドアの隙間から……二人が)

憧(――重なってる? 所を)カァァ

憧(……でも、一瞬だったから、見間違いかもしれないし)

憧(――もし、本当だったら)


憧「……何考えてんの、私」

憧(そ、そんなエロいこと考えられるわけないでしょっ!)モジモジ

憧(く、玄じゃあるまいしっ! 目の前のバカじゃあるまいしっ!)アセアセ

憧(あああ……)カァァ



京太郎「あ、憧はどうしたんでしょう?」

灼「……なんだか、よくわからないけど」

京太郎「?」

灼(対抗心が湧いてきた、ような……)キュッ

京太郎(灼さんも灼さんで、何が言いたいのやら――)タメイキ

ここまでになります。

充電の話は和むし、灼ちゃんが非常に可愛く書けるので、最高の設定ですね。
さて、今回憧ちゃんに感づかれたか……そして、このことが次回以降に活かされるのか?
これもうわかんねぇな。

今期の某作品に男が登場し、赤面する女の子がとても可愛かった(小並感)
なので、この作品もそうした描写をより上手く書けるようになりたいです。

それでは。
夏の祭典で会場内に雲が出来たくらい暑いようですので、みなさんもお気をつけて。

――部室

穏乃「――最近さ、よく思うんだけど」

憧「なんだよ、いきなり」

穏乃「……あれ」チラッ


玄「だから、おもちの大きさは、もっとこう……」ムニムニ

宥「だ、だから、そんな風に弄ったら、ダメだよ玄くんっ!」アセアセ

京子「ひゃっ!」ピクン

京子「……も、もう、やめてよ玄くん」グスッ


憧「今日も絶好調だな、玄は」

穏乃「……あれさ」

穏乃「下手すりゃ、京子に訴えられてもおかしくないよな?」

憧「あー、まぁ、たしかにそうだけど……」

憧「京子だし、いいんじゃないか?」

穏乃「そういう所あるけどさぁ……うーん」


灼「あ、もうみんな来てるのか」ガチャッ

憧「お、灼」

穏乃「ちわっす、灼さん」

灼「――で、今日も京子ちゃんは」チラッ


玄「うーん……おしりももう少し、何かが――」ムニムニ

宥「も、もう! 玄くん、怒られちゃうよ!」カァァ

京子「い、いいんだ、宥くん……これは」

京子「これは、ただのじゃれ合い――ひゃぁっ!?」ビクン

灼「……まぁ、いつもどおりか」

憧「あれ、今日はやけにあっさりと引くね」

灼「ど、どういうことだ?」

憧「いや、だって、灼さ」

憧「いつも京子が玄に何かされてる時、ジトーって目で見てたから」

灼「そ、それは、憧の気のせいだろ」

穏乃「……俺にも見えたけどなぁ」

灼「穏乃まで……」


灼「――俺は別に、なんとも思ってないよ」

憧「あ、もしかして」

憧「……『充電』?」ボソッ

灼「!?」

憧「いやー、まさか男が女に乗っかるなんて、なぁ……?」

穏乃「それじゃまるで――騎j」

灼「べ、別に、エロいことしてたわけじゃないっ!」カァァ

憧「……参ったな、これは」

穏乃「灼さん、顔真っ赤だぁ」

灼「……はぁ」プイッ


玄「それじゃ、今度はこの雑誌の女優を目標にっ!」

玄「さ、京子ちゃん、特訓だよ!」

京子「も、もう、勘弁してぇ……」


宥「く、玄くん、これ……じゅ、18禁のじゃぁ……?」

玄「お兄ちゃんだってよく読んでるだろ、炬燵でハァハァしながら」

宥「べ、別に、ハァハァしてないよっ!」ブンブン

宥「……ちょっと体が火照っただけで」カァァ

玄(興奮してるじゃないか――)アキレ


京子「う、ううう……」グスッ

京子(私、これから、どうなっちゃうの……?)ウルウル

男子校的なノリの何か。
間違いなく、穏乃ちゃんは男だったらエロトークするタイプ(確信)
実際に行動に移すのは玄ちゃんで、むっつり枠が宥ちゃんと灼ちゃん。
憧ちゃんは……援k(ry

自分でも何を書いてるのかわからなくなりましたが、リクエストに応えました。
これでほんとにいいんですかね……?

それじゃ。

――河川敷

京太郎「……夏だなぁ」

京太郎(もう、人がこんなに――)

京太郎(やっぱり家族連れが多いのかな……いや、もしかしたらカップルの方が)

京太郎(っと、そろそろアイツを迎えに行かないとだな……)


京太郎「もしもし、咲?」プルルル

咲「きょ、京ちゃぁん……」ガチャッ

京太郎「――今、どの辺りにいる?」

咲「わ、わからないよぉ……」

咲「ひ、人波に流されて――ああ、靴がっ!」アセアセ

京太郎「……分かったから、とりあえず今いる所から動くなよ」

京太郎「また後で連絡する。それじゃ」


京太郎「……相変わらずの、ポンコツ」

京太郎(そもそも、咲に花火大会とか――うわ、全く似合わねえ)

京太郎(でもまぁ……)


――京ちゃん! 青春とはなに?

――『やはり俺の青春ラブコメは~』

――私たちの青春は間違ってないよね?

――い、いきなり、何言ってんだ?

――さぁ


――この夏は、「青春」を満喫するよっ!



京太郎(――と、まぁ)

京太郎(こんな感じで、相変わらずのムチャぶりで今日がやって来たわけだ……)

京太郎(高確率で、8月に劇場版を放映する例の作品に影響されたんだろう――全く)

京太郎「……でも、ま」

京太郎(いいか……)


――数分後


京太郎「……そろそろ電話してみるか」ピポパ

京太郎「――」

咲「きょ、京ちゃんっ!」

京太郎「おう、咲。大丈夫か?」

咲「……あ、あまり、大丈夫じゃない、というより、その」

咲「――すっごく、恥ずかしい」カァァ

京太郎「……は?」

京太郎(人波をかき分け、咲の話してくれた断片的な情報を手がかりに、進む)

京太郎(その先にいたのは――)

京太郎「……なんてカッコしてんだ、お前は」

咲「――ゆ、浴衣が」

咲「ひ、紐が、解けて……」モジモジ

京太郎(あわや、見えてはいけない物が見えてしまいそうな、はだけ具合)

京太郎(幸いなことに、こいつはスットンだから手で防げている――これが和だったら、どうなってたことやら)

咲「きょ、京ちゃぁん……」グスッ

京太郎「とにかく」

京太郎「ほら、一旦移動するぞ。ついてこい」

咲「う、うん」

京太郎「……危なっかしいな」


グイッ


咲「――あ」

京太郎「しっかり捕まってろ」

咲「で、でも」

咲「手が片方だけじゃ――ああ、また落ちるっ」ズサッ

京太郎(……先端こそ見えないものの、あるのかないのか怪しい膨らみ? は、その姿をそろそろ現してきている)

京太郎「――しょうがねえな」


ガシッ


咲「ひゃぁっ!?」ビクッ

京太郎「しっかり肩、捕まってろよ」

咲「……い、いきなりおんぶとか、恥ずかしいなぁ」

京太郎「バカ。お前、上半身だけに注意してりゃいいとか思ってねえだろうな?」

咲「――あ」

咲「……エッチ」カァァ

京太郎「うっせ」

京太郎(そろそろ、愛想もない柄の下着がはだけて見える頃合いだ……)

京太郎(というか、こいつまだこんな子供っぽいのを――)

咲「……京ちゃんのスケベ!」ペシペシ

京太郎「心を読む能力とか、いつ身につけた!?」

――神社


京太郎「……ここなら」

咲「人気、ないね」

京太郎「――とはいうものの」

京太郎「どうすりゃいいんだろうなぁ……」

咲「も、もうここで見よう?」

咲「そうすれば、その――だ、誰にも、こんなカッコ見られないし」

京太郎「そうだな……」

京太郎「俺以外にはな」

咲「――あっち向いてて、この変態」ムスッ

京太郎「考えてやるよ」


京太郎(二人して、境内に座り、空を見上げる――)

咲「結構、ちゃんと見えるね」

京太郎「そうだな……」

京太郎「精々、蚊に気をつけれb」


「あぁんっ!」


二人「」


「お、おいバカ。声でかいって」

「で、でもぉ……」モジモジ

「バレたらまずいだろ」ハグッ

「――そういうスリルが面白いんでしょ……あっ」ビクン

「お前、いつもより感じて――」チュパチュパ


二人「……」

二人「…………」


京太郎「――どうする?」

咲「……」

京太郎「咲?」

咲「感じて、スリル、声、でかい……」ユラユラ

京太郎(ダメだ、茫然自失の体だ……)


――その後


京太郎(結局、俺達は神社を去った)

咲「ね、ねぇ、京ちゃん?」

京太郎「な、なんだ、咲?」

咲「――ああいう場所で、その……ええと」

京太郎「やるのが?」

咲「す、ストレートすぎ! バカ!」カァァ

咲「……え、エッチなことするのって」

咲「ホントにあったんだね」

京太郎「――実際、そういうシチュエーションが現実にあるからゲームとかアニメにもあるわけで」

京太郎「『事実は小説より奇なり』とはよく言ったもんだ」

咲「……私、『ヨスガノソラ』くらいでしか観たことなかったよ」

京太郎「随分と懐かしいタイトルを……」


京太郎「――で。花火、どうする?」

咲「……京ちゃんの家からとかで、いいよ」

京太郎「いいのか? 随分、目標から逸れたけど……」

京太郎(元々、「青春」を味わうために、河川敷に集合したんじゃなかったっけ……?)

京太郎「あー、でも」

京太郎「俺んちは、今日はちょっと都合悪いかもしれないな……」

咲「じゃあ、私の家で」

京太郎「――照さんは?」

咲「今頃、リビングでお菓子食べてるよ」

京太郎「……うーむ」


――宮永家


京太郎(結局、いつも通りか……)

照「なに、その顔?」ジトッ

京太郎「何も思ってませんって」

照「……咲がどうもウキウキしてると思ったら」

照「やっぱり、須賀くんが裏で糸を引いてたんだね」

京太郎「また人聞きの悪い……」

照「――それで」

京太郎「は、はい?」

照「……咲は、どうしてあんな格好だったのかな?」ゴゴゴゴ

京太郎(げっ……よからぬ勘違いをしてる!)

照「妙にはだけてたし」

照「もうそろそろ先っぽ見えそうだったし」

照「昔、私と一緒に買ったパンツも――」

京太郎「そこまで詳細に言わなくていいですから!」アセアセ


京太郎「――あれは、人混みに紛れて」

京太郎「あいつが、紐を落としちゃって」

照「……嘘だ」

照「だったら、なんであんなに顔を赤らめてたの?」

京太郎「い、いや、そりゃ恥ずかしさからで……」

照「違う」

照「顔の赤らめ方は、慣れれば見分けることが可能」

照「例えば――今日の咲は、妙に須賀くんの方を見てた」

照「……あれは、ただの恥ずかしさからじゃない」

京太郎(それ、ただのコジツケじゃあ……)

照「何か言いたそうだね……?」ギュルルルル

京太郎「とりあえず、その不穏な拳をしまって下さい」


咲「京ちゃん、そろそろいいよー」(←二階から)

京太郎「お、おう。着替え終わったか?」

咲「うん」

咲「あ、よかったらお姉ちゃんも……」

照「咲が言うなら――いいよね、須賀くん?」ゴゴゴゴ

京太郎「いいに決まってますから、そのプレッシャーを収めて下さい」


――咲の部屋


照「……むぅ」ムスッ

京太郎「な、なんですか?」

照「もう、咲の部屋に須賀くんがいることが当たり前になりつつある」ジトッ

照「――これは、由々しき事態」

京太郎「べ、別に、何かヤバイことしたわけじゃないですし」

咲「そ、そうだよ、もうお姉ちゃんったら」

照「――何か、あったね?」

二人「……」


京太郎(不可抗力でベッドに押し倒した)

咲(麦茶のコップを載せたお盆を持ちながら転んで、私の服がスケスケに……)

京太郎(――深夜アニメを見ていたら、お互いに変な気分に……)カァァ

咲(……え、エッチなゲームの体験版を落として、二人で画面を――)カァァ


照「目は口ほどに物を言う、っていうのは至言だね」

二人「も、もう勘弁して(下さい)!」


――数分後


京太郎「おー、いい花火だ」

咲「きれー……」

照「私の拳のがもっといい火花を……」

京太郎「すみません、風情が皆無だとか思ってすみません」

照「……謝れば済むと思ってる。須賀くんの卑怯者」

京太郎「ここまで言われる意味はっ!?」

咲「……ね、京ちゃん?」ストッ

京太郎「ん?」

咲「来年も――」


咲「こうして、一緒に……」キュッ


京太郎「……」

京太郎「ああ、そうだな」

咲「えへへ……」


照「……」

照(何故だろう、非常に気分が優れないのは)

照(咲への想いは当然だけど、それともう一つ――)

照(なんで、須賀くんに揺らぐのか……?)アレ?

こうして、夏の夜は更けていく――花火大会でした。
花火大会と言いながら、実際は殆ど咲ちゃんと京ちゃんのいつも通りのバカ話。
そこに照さんも加われば……カオス以外の何物でもなくなるのは自明の理で――

書いててとても楽しかった(小並感)
それでは。

そろそろリクエストを受け付けたいかな……魅力的な画像を貼ってくれた人には申し訳ないけど、ネタにするのは難しい。
しかし、宥姉ちゃんは可愛いなぁ……そして、本当に下着ってなんなんだろうなぁ。

混ざった世界とか他のネタも、考えてみてもなかなか筆が進まないもので……
というわけで、お願いします。

――教室

京太郎「それじゃ、行くか」

和「……あ」

和「は、はい」


穏乃「なになに、二人とも?」トコトコ

憧「どっか行くの?」

和「あ、あの……ええと」

京太郎「ああ、ちょっと二人で行く所があって」

和「今日は部活を休ませていただく旨を、赤土先生にもお伝えしてあります」

穏乃「へぇぇ……」

憧「――もしかして」

憧「二人きりの場所、とか?」

穏乃「え?」

二人「――!?」


憧(まぁ、この二人に限って、ねぇ……)

憧(和と京太郎は、それこそ長い幼なじみ同士)

憧(けれど、ここ最近はあまり話してなかったし――)

憧(……まさか、ね)


京太郎「――まぁ」

和「そ、そんな、所です……はい」

憧「……えっ」ピクッ

京太郎「そ、それじゃ、俺行くからっ!」

和「あ、ま、待って下さい京太郎くん!」


憧「……」

穏乃「あ、あのー、憧?」

憧「――ねぇ、しず?」ジッ

穏乃「な、なに?」ビクッ

憧「しずは、『二人きりの場所』って言えば、何が思い浮かぶ?」

穏乃「『二人きり』かぁ……」

穏乃「私は、なんといっても山だねっ!」エヘン

穏乃「一人で登る山もいいけど、二人ってのも――ああ、憧! なんでそんな顔!?」アセアセ

憧「いや――」

憧「うん、やっぱりしずは……可愛い可愛い」ナデナデ

穏乃「むぅ……何か、バカにされてる気がする」

憧「……」

憧(――しかし、まぁ)

憧(『二人きりの場所』か……)

憧(――ホテル?)

憧(ま、真っ先に思いつくのがこれって……!)


憧「……わ、私、は」カァァ

穏乃「わ、憧。顔、真っ赤だ」

穏乃「よしよし、可愛い可愛い」ナデナデ

憧「――うう」シュン


――道路


京太郎「……な、なんとか、ごまかせたな」

和「あれで、ごまかせたのでしょうか?」

京太郎「まぁ、穏乃は心配ないだろうけど」

京太郎「――憧は、なぁ」

和「どうしたんですか?」

京太郎「なんか……あらぬ方向に妄想を拡大させてそうだ」

和「――憧、お姉さんですからね」

京太郎(お姉さんというか……耳年増の子供というか……)アキレ

京太郎(というか、和が「お姉さん」って言うのか――)

和「? どうかしましたか?」

京太郎「いや、なんでも」

京太郎(そのおもちを持って、誰かを「お姉さん」と言えるのか……?)

京太郎(――でも、考えてみたら)


――京太郎くん……わ、私、どうしたら

――もう、そんな顔すんなって


京太郎(ちょっと昔の、こいつは)

和「京太郎くん?」

京太郎「わっ!?」

和「もうすぐ、着きますよ」

和「――『私たちの』場所に」

京太郎「あ、ああ、悪い」


――秘密基地前


京太郎「……着いたな」

和「ええ――」

和「……昔と、変わってませんね」

京太郎「ここだけは、な」

京太郎(ちょっと見渡せば、土地開発のためか周辺は随分と様相が変わっている)

京太郎(ここだけが、まるで時の流れに取り残されたような)

和「――わぁ、懐かしい」

京太郎「どれどれ……おっ、それは」

和「はい」

和「京太郎くんと、お揃いで」

京太郎「ここに、置いてったんだよな……」

京太郎(二つの、キャラ物の人形)

京太郎(なんとも小学生が選びそうな、「記念品」)


和「……懐かしいですね」シミジミ

京太郎「なぁ、和」

和「は、はい?」

京太郎「――どうして、急に」

京太郎「秘密基地に行こう、と言ったんだ?」

和「……それは」

和「――言ってしまっても、いいんでしょうか」

京太郎「構わないぞ」

和「きょ、京太郎くんではなくっ! そ、その……」アセアセ

和「――ちょっと、恥ずかしくて」カァァ

京太郎「……」


和「近頃、私と京太郎くんは」

和「同じ部活で、同じ活動をし、同じ時間を過ごしてますよね」

京太郎「それは、まぁな」

和「――けれど」

和「どうも、その『同じ』が……」

和「私だけのものじゃ、無くなっちゃったから」キュッ

京太郎「……?」


和「だから、結局」

和「――ちょっとした、ヤキモチ、だったのかも……」カァァ

和「ああ、やっぱり、恥ずかしい……」

京太郎「――和」


京太郎「そういや、ここにさ」

和「は、はい」

京太郎「タイムカプセル的なもの、埋めたよな」

和「――お、思い出しました」

京太郎「よし――多分、この箱だと思うんだけど」

和「ず、随分とあっさり見つかる所にあるんですね」

京太郎「だから、『的なもの』って言っただろ……よいしょ、っと」

京太郎「開けてみようか」

和「は、はい」

京太郎「……これは」

和「はい、私たちは手紙を入れたんでしたね」

和「それでたしか、将来見るから文面は内緒、と」

京太郎「よく覚えてるなぁ」

和「一度思い出したら、瀧のように記憶が流れ出てきて」

和「――読んで、みましょうか」カサッ

京太郎「ん、そうだな」カサッ

京太郎「……」

和「……わぁ」

和(私、こんなことを書いていたのですか)


『京太郎くんと一緒にいられる時間は、多分、果てしなく永遠に近いでしょう』

『だから、これを読んでる未来の私。大丈夫です』

『きっとまだ、一緒にいるはずです。断言します』

『京太郎くんは、私の半身。だから、ずっと、このまま……』


和(……もう)クラッ

和(お、おかしな、文章ですね――全く)カァァ

和「と、ところで!」

和「京太郎くんの方は、どうでしたか?」

京太郎「おう……そうだな」

京太郎「――読んでいいぞ」

和「は、はい」


『俺と和は、一緒にいる』

『前にいた場所であったことが、どれだけ和を苦しめてても』

『ここには、俺もいる』

『この秘密基地は、俺と和の、大切な、大切な思い出の場所』

『だから』


『ずっと、同じ時間を過ごし、同じことを考え、同じ景色を見ていく』


和「……」

京太郎「な、なんというか」

京太郎「え、えらく気取った表現で、恥ずかしい、な……うん」

京太郎「ぶ、文学少年って柄でもねえのに、こんな――和?」

和「――あ」ポロポロ

和「ご、ごめんなさい」

京太郎「泣いてるのか?」

和「な、泣いてなど!」

和「――た、ただ、その」

和「ちょ、ちょっと、目が潤んでしまって、それで……!」ウルッ

京太郎「和……」

和「――ズルいです、京太郎くんは」ボソボソ

京太郎「なんで?」

和「いつも、こうやって」

和「ちょっと私がヤキモチを焼いたとしても」

和「すぐに、私が一番して欲しいことを、してしまう」

和「――ズルい」

京太郎「ズルい、って言われてもなぁ」

京太郎「……でも、さ」


京太郎「何だかんだで、ずっと一緒にいるよな、俺たち」

和「……はいっ!」



――帰り道


和「……京太郎くん」テクテク

京太郎「なんだ?」テクテク

和「――私がもし、また泣きそうになっても」

和「もし嫌なことを思い出して、崩れ落ちそうになっても」

和「助けて、くれますか?」

京太郎「……」

京太郎「当たり前だろ」

京太郎「何を、いまさら」

和「……もう」


和(そうやって、はっきり言ってしまうから――)

和(おかしな気分になってしまうんです……)カァァ



――その頃



憧「……」キョロキョロ

穏乃「ねえ、憧ー。いつまでここにいるの?」

憧「しず……」

憧「もしかしたら、大会出場停止になるかもしれないのよ?」

穏乃「ええっ!? なんでなんで?」

憧「――不純異性交遊で」

穏乃「ふじゅんいせいこーゆー?」キョトン

憧「……だから」

憧「これは、あくまでも、予防のため」

憧「決して、気になってるわけじゃ、ないの」キョロキョロ

穏乃(ふじゅん、ふじゅん……なんだかよくわからないけど、難しそうな言葉だなぁ)

ここまでになります。

和ちゃんと京ちゃんの組み合わせは、本当に久し振りですね……阿知賀の正ヒロインと呼ばれていたような気がするのに。
最近の傾向だと、まさかの「灼部長との充電」話が頻度多めという――
正直、このスレほど、灼ちゃんと京ちゃんの組み合わせを書いてるスレはないと思います……。

今回は、最近報われてなかった和ちゃんのために、文章は多めになりました。
これで、少しは報われてほしい……。

それでは。

調子乗って開発に失敗しまくったら、補給素材なくなってたんだよなぁ……(艦これ)
始めてみたけど、これまた面白い。


――京太郎の部屋

咲「……と、いうわけで」

京太郎「なんでお前がベッドで、俺が椅子なんだ?」

咲「それは、まぁ」

咲「ほら、私、お客様だし」

京太郎「――うぜえ客」

咲「お、お客様は神様なんだよ」

京太郎「自分から神とかいう客ほど、信用ならないものはないな……」

咲「むー……」


咲「さ、気を取り直して」

京太郎「こら、勝手に寝転がるな」

咲「――今期アニメの、感想を言い合いましょうか」

京太郎「お前がそこから起き上がったらな」

咲「……じゃあ、一時間ほど後でー」

京太郎「それ」

咲「ひゃっ!?」


咲「ひ、ひどいよ! いきなり枕をひっペがすなんて!」

京太郎「うっせ」

京太郎「それで? 何が面白いかって?」

咲「そ、そうだよ!」

咲「その話をするために、私は――どうしたの、その目は?」

京太郎「いや……昔の文学青年は、狭い部屋で仲間と閉じこもり、文学談義をしたそうな」

京太郎「太宰治だとか夏目漱石だとか。三島由紀夫とかについて、意見を戦わせて……」

咲「な、何を言いたいの?」

京太郎「――お前みたいな、『自称』文学少女にとって、耳の痛い話かなー、と」

咲「……わ、私は、文学少女兼アニメ少女だから」

京太郎(なんて勝手な……)


咲「コニチワー」

京太郎「ハロー」

咲「……やっぱり、これだよね」

京太郎「可愛さNo1は多分、満場一致でこれだろうな」

咲「ああ――私も金髪に染めようかなぁ」

咲「そしたら、麻雀ももっと強くなったりして!」

京太郎「やめとけ」

京太郎「もう金髪枠は十分に足りてる」

咲「……京ちゃんとか?」

京太郎「大星とか」

咲「ふーん……」

咲「大星さんの金髪は持ち上げるくせに、私はサゲるんだぁ……」

京太郎(ふーん……大星さんには生でするのに、私の時はゴム付けるんだぁ)

咲「な、何を考えてるのかな?」

京太郎「いや」

京太郎「まぁ、そういうエロ同人が好みなのかなー、と。自称似非文学少女さんなら」

咲「むむっ」


咲「まぁ、京ちゃんのエロガッパっぷりはおいといて」

京太郎(どことなく表現が昭和だ……)

咲「とりあえず、忍ちゃんのハーレムが羨ましい!」

京太郎「ああ――右手に金髪、左手に金髪」

京太郎「そして、本人は金髪フェチ……たまらないだろうな」

咲「なになに? 京ちゃん、嫉妬してるの?」

京太郎「いや」

京太郎「――あれに男が出たら、どんな感じになるかはちょっと気になった、けど」

咲「けど?」

京太郎「まぁ、そこは――恋愛研究部に任せようと」

咲「まぁね」

咲「あと絶対、綾ちゃんって陽子ちゃんのこと大好きだよね」

京太郎「あれは……果たして友情なのか」

咲「うーん……」

咲「まぁ、可愛いは正義ってことで!」

咲「あの子たちが楽しそうに過ごしてるだけで、私の顔はもう……今ここで見せられないくらいにニヤけちゃうよ」

京太郎(それでいいのか……)


咲「あとは……さっきの恋愛ラボ!」

京太郎「男が出てから、色々な意見があるな」

咲「私は、百合成分はきんモザで十分足りるから」

咲「あれに関しては、男キャラ出しても良かったと思うけどなぁ……かっこいいし、可愛いし」

京太郎「まぁな」

京太郎「たしかに、男と話して顔を真赤にする副会長は可愛かったし」

咲「あそこ見てて、ニヤニヤしちゃったよー……」

京太郎「落ち着け、今のお前も十分顔が崩れてる」

咲「シンフォギアもかっこいい!」

京太郎「ああ――左腕が食われた時は、もう終わりかと」

咲「何事もなかったかのように生えてきたけど……もう、響ちゃんの命は」

京太郎「ようやく、ちょっとずつ重くなってきた感があるな……」

咲「頑張って欲しいけどなぁ」

京太郎「一期の最後の3話くらいの盛り上がりを作れたら、十分すぎるほどの傑作になるな」

咲「クリスちゃん可愛いし!」

京太郎「お前、クリスちゃん見て、なんか思ったりしないのか?」

咲「え? 歌が上手くて、可愛くて……?」

京太郎「――いやまぁ、気づかないならそれで」

咲「あ!」

咲「――もう、京ちゃんはそういう所しか見てないんだね」

京太郎「とか言いながら、なんで胸を触ってるんだ?」

咲「さ、触ってないもん!」

咲「別に、おっきいほうが羨ましいなんて、思ってもないもん!」

京太郎「はいはい、ムキになるなって」


咲「あとは――神のみとかロウきゅーぶ!とか色々あるけど」

京太郎「それもやっぱり面白いな……でも」

咲「うん……全くのダークホースだったね」

京太郎「幻影ヲ駆ケル太陽、か」

咲「ガッチャマンも観たかったけど、見逃しちゃってね……」

京太郎「残念だったな……」

咲「でも」

咲「あの全く救いようのない話は、なかなか続きが気になるよね」

京太郎「最終階、どう締めるつもりなんだろうな……」

咲「そこはまぁ……可愛ければ許す!」

京太郎(こいつの価値基準はそこにしかないのか……)

京太郎「で」

京太郎「お前は、今日もうちで録画したのを観ていくのか」

咲「もちろん!」

咲「京ちゃんと観ると、一人の時よりずっと面白いもん!」

京太郎「それならいいんだけどさ……」


京太郎「まぁ、俺も楽しんでるし」

咲「え? 何を?」

京太郎「そりゃまぁ――」

京太郎「咲の、崩れまくった顔を見るのを」

咲「なっ……!」

咲「え、エッチな趣味だね……」

京太郎「とか言いながら、実際顔を崩しまくってるだろ?」

咲「も、もう!」

咲「ほら、行こっ!」

京太郎「はいはい……」


咲(そりゃ、さ)

咲(一緒に観るのは楽しいし、それに――)


京太郎「おお――いいな、このシーン」


咲(こうして、京ちゃんの横顔を見るのも)

咲(すっごく、楽しいんだよ?)

強引な京咲オチでした。

今期も面白いのが多いですね。
ここの住人はどんなのを観てるんでしょうか。あと、艦これをやってる人も……。

それでは。

艦これが面白すぎて辛い。


――夏祭り


京太郎「宥姉ちゃん、はぐれないようにな」

宥「う、うん」

宥「――その」

京太郎「ん?」

宥「こ、こういう所、慣れなくて」

宥「……だ、だから」

京太郎「――大丈夫だって」

京太郎「一緒にいるから」ギュッ

宥「――あ」

宥「う、うん」コクッ


京太郎(今日は、松実館の催しがあって)

京太郎(玄姉ちゃんはそこで、近所の子供たちと触れ合う企画の担当を務める)

京太郎(玄姉ちゃん曰く、「私一人で大丈夫! ほらほら、お二人さんは仲良くデートデート!」)

京太郎(じゃあ他に手伝えることは、と思ったら、松実家と懇意にしている町内会の会長に行き当たった)

京太郎(会長曰く、「若い者こそ、祭りに親しみ、祭りを楽しむべきだ! さあ、早く行きなさい!」)

京太郎(……とても有難いんだけど、どこかで申し訳なさもあったりする)


京太郎「――せっかく、玄姉ちゃんや会長さんが頑張ってくれてるし」

京太郎「楽しもう」

宥「う、うん……」

宥「――暖かい、ね」ポツリ

京太郎「たしかに」

京太郎(祭りといえば、屋台。屋台といえば、焼きそばだったりたこ焼きだったり)

京太郎(そうした熱が蔓延しているおかげか、宥姉ちゃんの表情も柔らかい)


京太郎「……ところで、宥姉ちゃん?」

宥「な、なに?」キョトン

京太郎「ほら、あれやってみないかなって」

宥「――金魚すくい?」

京太郎「うん。もらったら、持ち帰れるし」

宥「……ううん」

宥「私はいいよ」

京太郎「え? どうして?」

宥「うーんと、ね」

宥「ほら、私、金魚さんを大切に育ててあげられるほどしっかり者じゃないから」

宥「――だから」

宥「この金魚さんが、もっと良い飼い主さんの所へ行くことを望む、かな」

京太郎「……」

京太郎(全くもう、この人は――)

京太郎「隙がなさすぎるよ、宥姉ちゃんは」

宥「え、え? 私、何か変なこと言ったかな……」アセアセ

京太郎「――そんな人だから」

京太郎「俺は、好きになったんだ」

宥「……!」ハッ

宥「も、もう。い、いきなり何を言い出すの」アセアセ

宥「――暖かすぎる」カァァ

京太郎「顔、真っ赤だな」

宥「こ、これは、お好み焼き屋さんの熱さの――!」

京太郎(宥姉ちゃんは照れると、「暖かすぎる」と言い出す)

京太郎(必死に隠そうとわたわたすればするほど、愛しさが増していく)

京太郎(――良かった、この人で)


宥「……あ」

京太郎「どうかした?」

宥「う、うん」

宥「――あの、焼きそば」

宥「美味しそうだなー、って……」

京太郎「ああ、そっか」

京太郎「さすがというか、こんな夏祭りでも、宥姉ちゃんは熱いものに駆けていくね」

宥「そ、それは!」

宥「私だって、お、女の子だし。甘いものだって好きだよ?」カァァ

京太郎「またまた。憧や玄姉ちゃんほどじゃ、全然ないじゃないか」

宥「むー……」ジトッ

宥「京太郎くんは、甘いもの好きな子の方が好きなの?」

京太郎「えー……それは、なぁ」

京太郎「――なんというか、困る質問」

宥「ど、どういう、こと?」

宥「も、もしかして……」

京太郎「いや、違うって」

京太郎「だってさ」

京太郎「――『俺は宥姉ちゃんが好きだ』」

宥「!」

京太郎「ただそれだけで、どっちが好きもなにもあったもんじゃなくて」

京太郎「今、ここで。こうして二人でいられることが――」

京太郎「強いて言うなら、『好きで好きでたまらない』」

宥「……」

宥「――あ、暑くなってきたね」カァァ

京太郎(宥姉ちゃんは更に照れると、「暑い」と言い出す)

京太郎(ちなみに今のところ、「暑すぎる」というセリフは――)



――帰り道


宥「……楽しかったぁ」

京太郎「そりゃ良かった」

京太郎(あれから、一緒に露店を見て回って)

京太郎(店のおっさんに、「いいカップルだなぁ」とか言われて、宥姉ちゃんが顔を真っ赤にしたり)

京太郎(買った焼きそばを一緒に食べさせあったり)

京太郎(――そんな、時間だった)


京太郎「――今日、さ」

宥「……?」

京太郎「今更、だけど」

京太郎「更に宥姉ちゃんが可愛くてたまらないなー、って」

京太郎「改めて思ったんだ」

宥「……も、もう!」

宥「な、なんで、外でこういうことを言うの……?」カァァァ

宥「――うう」

京太郎「悪い。けど、今だからこそ言いたかったのかも」

京太郎「……なぁ、宥姉ちゃん」

宥「は、はい」

京太郎「今夜……いいか?」

宥「」

宥「――い、いい、よ」コクッ

京太郎「それじゃ、用意して待ってるから」

宥「う、うん……」

宥「――ね?」

京太郎「なに?」

宥「痛く、しない?」ギュッ

京太郎「……安心してくれ」

京太郎「前回のようなヘマをしないために、必死に勉強したんだ」

宥「……期待してるね」クスッ

京太郎「うん」


京太郎(そう、宥姉ちゃんの、「暑すぎる」)

京太郎(それが発せられるタイミングとは――)



宥「――今日も、一緒にいられたね」

京太郎「そして、これからも」

宥「もう――」クスッ

京太郎「宥姉ちゃん」

宥「?」


京太郎「毛布をかきあげて座ってる宥姉ちゃんは、凄く可愛い」


宥「……」

宥「もう」

宥「――暑すぎる、よ」カァァァ

こうして、松美館の夜は更けてゆく……。

この話は、宥姉ちゃんルートでした。
なお、展開によったら、松実姉妹ハーレムルートも十分にあり得る模様。というか、前に書きましたね……。


それでは。

『赤城』『扶桑』の燃費かかりすぎィ!
あと、ずっと『雷』が来なくて悲しい。『電』はいくらでもやってくるのに……。


――京太郎の部屋


京太郎「……なぁ」

咲「う、うう」

京太郎「どうして、問題が解けないんだと思う?」

咲「そ、それは……」

咲「も、問題が悪い!」キリッ

京太郎「開き直んな!」ペシッ

咲「い、いたい……」ウルウル


京太郎「――大体」

京太郎「どうして、こんなになるまで宿題を溜め込んだんだ?」

咲「だ、だって」

咲「ま、漫画だってアニメだって、みんな宿題しないし」

京太郎「そーいうことを臆面もなく言っていいのは、せめて中学生までだと思うぞ……」アキレ

咲「え? 私、小さい系キャラってこと?」

京太郎「アホか」ペチッ

咲「いたっ」ビクッ


京太郎「ともかく」

京太郎「提出しなかったら、平常点が引かれるのは明らか」

京太郎「そうなったら――仮に大会があっても、出場できなくなる可能性だって出てくる」

咲「あ、アニメなら何か屁理屈つけて、出場に持ってくよ!」

京太郎「で、お前にその屁理屈をつける度胸、話術があるのか?」

咲「――こ、コー○ギアスで勉強する!」

京太郎「はいはい、宿題終わってから観ようなー」

咲「……鬼教官」

京太郎「一部で『魔王』とか呼ばれてる咲さんにそう言われるとは……」

咲「こ、こんなか弱い女子捕まえて『魔王』だなんてよく言うよ!」

京太郎「ああ、まったくだ」

京太郎「ただの『アホ』で十分なのに――おい、地味に痛いからそれやめろ」

咲「もう! もうっ!」ポカポカ

――数分後


咲「――お、終わった」

京太郎「どれどれ……」

京太郎「ん――さっきより多少マシになった、って所か」

咲「こ、これが私の、全力、全開……」プシュー

京太郎「憔悴ここに極まれり、だな……」


京太郎「とりあえず、一旦休憩にするか」

咲「つ、疲れた……」

京太郎「それじゃ、下から飲み物持ってくるよ」

咲「う、うん――ありがと」


京太郎「えーと……まぁ、アイスティーでいいか」

京太郎(あいつ、何かと「アイスティー」うるせえし……)

京太郎「よいしょっと――おまたせ、咲」

咲「……」スースー

京太郎「って、あれ?」


京太郎「――寝てやがる」

咲「……」

京太郎「まったく」

京太郎「――机で寝ると、頬に変な跡付くぞー」

咲「う、ん……」モゾッ

京太郎「ダメだ、結構疲れてるなコイツ」


京太郎「かくなる上は」

京太郎「ベッドに放り込むか……いや、でもなぁ」

京太郎「いちいち、投げ込むのも面倒だし……」

咲「……」

京太郎「――こうするか」

咲「――ん」

京太郎「……」

京太郎「よし、これで寝られるだろ」

咲「――むー」

京太郎「……」

京太郎「――うーん」

京太郎(冷静に考えると)

京太郎(これ、なかなか恥ずかしいな……)カァァ

京太郎(ていうか、モゾモゾされると、なんかこそばゆいというか……)


咲「京、ちゃぁん……」

京太郎(うおっ!?)

京太郎(ちょ、な、なんだこのくすぐったさは!?)

京太郎(い、息までかかってきやがった……)

咲「――うーん」

京太郎(……)

京太郎(まったく)

京太郎(――これだから、離れられないんだよ、俺は)


咲「――あ」

咲「ね、寝ちゃってた……の?」

京太郎「お、おう、まぁな」

咲「……ふーん」

咲「――ね、京ちゃん?」

京太郎「な、なんだ、咲?」

咲「――顔、真っ赤だよ?」

京太郎「ち、違う!」カァァ

京太郎「こ、これは――そう! 夏の暑さ!」

咲「クーラー温度27度で?」

京太郎「――う」


京太郎「……」

咲「……」

京太郎「ノーコメントで」

咲「――ね、教官?」

京太郎「な、なんだよ?」

咲「私、それ教えてくれるまで、勉強に集中出来そうにないんだー」ニヤニヤ

京太郎「……」

咲「どうする?」エヘヘ


京太郎「……まったく」

京太郎「この、『策士』め」ハァ

アホから策士へ、一気にクラスチェンジした咲ちゃんでした。
腕枕の話はなかなか新鮮でしたね。今回照れるのは、京ちゃんの番。

高校野球の決勝を観て、未だに熱さが冷めないんだよなぁ……
前橋を応援してたから、勝って嬉しかった(小並感)

それでは。

――神社

京太郎「……おーい」

京太郎「もう少し、時間かかりそうかー?」

穏乃『あ、京太郎! ちょうど良かった、ちょっと見てー』

憧『バ、バカ、しず! 京太郎、入ったら……分かってるでしょうね?』

京太郎「は、はい!」

京太郎(こ、こええ……憧の威圧は、なかなか胸に来るな)

望「いやー、仲良しだねー」

京太郎「わっ!」ビクッ

京太郎「の、望さん」

望「なに、京太郎くん? 覗こうとしちゃったとか?」ニヤニヤ

京太郎「ち、違います!」

京太郎「べ、別に、そういう邪な考えはっ!」

望「ふーん……」

望「ほら――眼を凝らせば」

望「障子越しに浮かび上がってくる、二人の肢体……それと」

京太郎「へ、変なこと呟かないでください!」アセアセ

望「はぁ」

望「まったく、京太郎くんはなんでそうなの?」

京太郎「そ、そうって?」

望「――正直、その辺の女の子よりも女の子らしいというか」

京太郎「はい?」

望「いや、ほんと……うちの妹より、下手したら」

京太郎「な、何を……」

望「うーん……心配だなぁ」

京太郎(そ、それは一体、どういう意味なのでしょうか……)ゾクッ

望「まぁ、ともあれ」

望「今日は、花火見に行くんでしょ?」

京太郎「はい」

京太郎「――望さんは行かないんですか?」

望「私はちょっと用事あるからねー」

京太郎「ああ、その巫女服姿はそういう……」

望「なに? 京太郎くん、巫女服フェチ?」ニヤニヤ

京太郎「なんでそう、俺を変態キャラに仕立てあげたいんですか!」

望「いじってて楽しいから」キッパリ

京太郎「即答ですか……」

望「それに」

京太郎「? なんですか?」

望「――いや、やっぱりいいや」

京太郎「??」

望「それより、着替え終わったみたいだよ?」

京太郎「え、ホントですか?」

望「衣擦れの音が途絶えてるから」

望「むしろ、私より早く京太郎くんが気づかなきゃいけない場面だよー?」

京太郎「だから、俺はっ」カァァ


穏乃「お、おまたせ」モジモジ

憧「まったく、なに馬鹿話してんのよ……」ハァ


京太郎「……おお」

穏乃「な、なに、京太郎?」

穏乃(しょ、正直、なんというか)

穏乃(ジャージじゃないと、こんなに落ち着かないとは!)

穏乃(学校外でジャージじゃない時なんて、殆どなかったからなぁ……うひゃあ、緊張してきた)ドキドキ


京太郎「いや、なんというか」

穏乃(な、なんかおかしい……よね、やっぱり)

京太郎「――フツーに似あってんな」

穏乃「!?」

穏乃(に、に、似合ってる……!?)

穏乃「ば、バカっ!」ペシペシ

京太郎「し、穏乃?」


望「あちゃー……穏乃ちゃん、慣れてないのになぁ」ヤレヤレ

憧「もう、お姉ちゃんは……」

憧「私たちがいない間、京太郎のことからかってたでしょ?」

望「え、なに? 憧ちゃん、ヤキモチ焼いちゃった?」

憧「ち、違うわよっ!」

望「まぁまぁ」

望「――『3人で』仲良く、ね?」

憧「……は、はぁ!?」


穏乃「うー……」ヘナヘナ

京太郎「あぁまったく――ん?」

憧「……だ、だから、違うのに、もう」

京太郎「なに言ってんだ、憧?」

憧「!?」

憧「な、なんでもないっ!」プイッ

京太郎「え、ええ……」

穏乃「むー……」

穏乃(京太郎の背中、おっきいなぁ)

憧「って、あんた! なに当たり前のように、しずをおぶってんの!」

京太郎「え、だって」

京太郎「人が倒れたら介抱するだろ、フツーに考えて」

憧「あ、ああ、もう……!」

憧(なんで私の周りは、こう、で、デリカシーに欠けるのが……!)

望「いやー、憧もたいがいだと思うけどねぇ」

憧「こ、心、読まないでよ!」

望「ははは」


望(しかしまぁ、面白い構図ねぇ)


憧「ほら、もういいから! しず、降ろしなさい!」

京太郎「い、いや、だから……」

穏乃「背中……おっきぃ……」


望(――なんというか、昔マンガで読んだことある典型的な)

望(……ラブコメ、ねぇ)クスッ



――河川敷



京太郎「な、なんとか辿り着いたな」

穏乃「……」カァァ

憧「しず、顔真っ赤ね……」

穏乃「!」

穏乃「べ、別に、これは、変な意味じゃなくて!」

憧「へ? ただ、熱を心配しただけ、なんだけど……」

穏乃「」

穏乃「……!」ジーッ

京太郎「なんで俺を睨むんだよ!?」


穏乃「も、元はといえば、京太郎が!」

穏乃「――もう」プイッ

京太郎「え、なにそれは……」

憧「――」

京太郎「お前もか……」

憧「……しずに変なこと、したわね?」ジトッ

京太郎「な、なんでそれが確定事項になってんだよ!」

憧「しずの体が火照ってる」

憧「あんな風に火照る状況は、そうそうないの」

京太郎「……どういう時?」

憧「……」

憧「じ、自分で考えてよ!」プイッ

京太郎(――うーん)

京太郎(予想はつくんだけど……まぁ、なんというか、憧も女子なわけだし、わからなくもないk)

憧「な、なな、なに考えてんの!」ペシッ

京太郎「じ、自分で考えろって言われたから……」イテテ


京太郎「――あ」

穏乃「うわー……」

憧「なかなかの大輪ね」

京太郎「……花火って、いいよなぁ」

京太郎「うーん――」

憧「……」


憧(全く、子供みたいに真剣な目つきで……)

憧(もう、恥ずかしいじゃない)

憧(……でも)


穏乃(――うわ、京太郎、凄い)

穏乃(めちゃくちゃ観てる……)

穏乃(……もう)


穏乃「ね、京太郎?」

京太郎「ん? どした、穏乃?」

穏乃「……わ、私、小さいから」

京太郎「――ああ、身長が、か」

穏乃「な、何だと思ったの!?」カァァ

京太郎「それで、どうしてほしいんだ?」

穏乃「す、スルー……」

穏乃「――肩車」

京太郎「は?」

穏乃「きょ、京太郎なら、それなりに身長あるし、私でも観られるようになる、はず!」


京太郎「いやまぁ、いいけど……なぁ?」

憧「なんで私に振るのよ?」ジトッ

京太郎「いや、なんというか」

京太郎「さっきの一件から、憧という保護者に許可を取らないと落ち着かなく――」

憧「だ、誰が保護者よ!」

憧「べ、別に、肩車くらいだったらすればいいじゃない」

京太郎「……いいんだな?」

憧「いーから!」

京太郎「よし」

京太郎「よっこらせ、と」

穏乃「うわー……」

穏乃「綺麗だなー……」

京太郎「ん、良かった」

穏乃「……高いなぁ」

京太郎「そりゃ、肩車だからな」

穏乃「――そうだね」


憧「……」ジーッ

京太郎「? 憧、どした?」

憧「――わ、私は、別に」

京太郎「……いや、乗せてもいいけど?」

憧「だ、だから!」

憧「そ、そーいう期待はしてないの!」

京太郎「じゃあなんでこっちを見てるんだよ?」

憧「……」

憧「知らない」プイッ

京太郎「??」


穏乃「ふいー、楽しかった楽しかったー」

京太郎「そりゃ何より――さて、と」

京太郎「来い、憧」

憧「……」

憧「だ、だから、ちが」

京太郎「いいから、早く」

憧「――もう」

憧「優しく、持ちあげなさいよ?」

京太郎「最善を尽くす」ヨッコラセ

憧「う、うわー……!」

憧(え、なに? 大輪が、こんなに近くに!)

憧(へぇぇ……)

穏乃「うわー、憧すっごいキラキラしてるー」

京太郎「へー、そんな表情してんのか」

憧「じ、実況禁止!」カァァ


――帰り道


京太郎「……いやー、楽しかったなぁ」

穏乃「うんうん!」

穏乃「あんな近くに花火ってあるんだね……」

京太郎「よかったよかった――ところで、憧?」

憧「……」

京太郎「おい」

憧「――はしゃぎ、すぎた」ハァ

京太郎「は?」

憧「わ、私、羽目を外したくなかったのに!」

憧「京太郎、と、しずの、せいで……もうっ!」

京太郎「――楽しめる時は、楽しんだほうがいいぞ?」

憧「……楽しかった、わよ」

憧「――でも、それ以上に」

京太郎「以上に?」

憧「……なんでもないっ!」

京太郎「??」


穏乃「――ね、京太郎?」

京太郎「ん? 穏乃?」

穏乃「……また、三人で、一緒に」

穏乃「こうして、来よう?」

京太郎「……」

京太郎「そうだな、そうしよう」

穏乃「えへへ……」

憧「うー……」



――神社



望「……」

望(それに――)

望「京太郎くんは、憧や穏乃ちゃんと波長が合ってるから、なんて」

望(別に、言うまでもないこと、よねぇ……)クスッ

ここまでです。

なんとまあ、ラブコメの王道のような展開に……。
これは、穏乃・憧攻略ルートですね……間違いない。

来週の月曜日から木曜日まで、所用で石川県へ向かうので更新はできそうにありません。
よろしくお願いします。

それでは。
メニメニマニマニが頭からはなれない……!

――咲の部屋

京太郎「うわ」

咲「ん? どうしたの?」

京太郎「……お前、また」

京太郎「おかしなものを買ったなぁ――」

咲「お、おかしい、って……」

咲「こ、好みは自由でしょ!」プンスカ

京太郎(咲のベッドの上に置かれている、どでかい物体)

京太郎(それが、所謂――)

京太郎(『抱枕』だとわかったのは、少ししてからだった)


京太郎「い、いや、それはいいんだけどさ……」

京太郎「――なんで、『中身』がないんだ?」

咲「これから調査するの!」

咲「この外観に合うポーズとか、キャラとか――ああ、考えるだけでとろけそうに」エヘヘ

京太郎「……性別は?」

咲「――お、女の子、かなぁ」

京太郎「……」

咲「べ、別に、私百合じゃないよ!」

京太郎「じゃあ、その棚に並んでいる『ゆる○り』全巻はなんだ?」

咲「え、京ちゃん、『ゆ○ゆり』読んでるだけで百合語れちゃうと思ってるの?」

咲「ふふん……甘いよ、甘い。私はあくまでノーマr」

京太郎「おっと、これは『ガール○レンド』……?」

咲「」

京太郎「あとこれは、『初恋○ャンディー』……」

京太郎「へぇぇ……」ジーッ

咲「……そ、それは」

咲「お、お姉ちゃんが」

京太郎「こういう時に照さんを利用するようじゃ、甘いな……」

咲「じゃ、じゃあ、それがお姉ちゃんのじゃないって、なんで、わかるの?」

京太郎「お前の動揺っぷりを見たら、そりゃ幼なじみの俺じゃなくても分かるぞ……」

咲「――わぁっ!?」

京太郎(顔を真っ赤に染め上げた咲は、そのままベッドにダイブ)

京太郎(そして、布団を顔まで持ち上げ、ゴロゴロやりだした)

咲「し、知らないよぉ……!」

京太郎「なんだ。今までノンケと強調してきた咲さんが、実は、なぁ……」

咲「うう……京ちゃんのいじわる」グスッ

京太郎「――いや、まぁ」

京太郎「俺は、咲がどんな趣味持ってても、それはそれで面白いからいいんだけど」

咲「ふぉ、フォローになってないよぉ……!」ゴロゴロ

京太郎(おお、布団がゴロゴロしている……なんか面白い)

京太郎「――さて、そんなわけで」

京太郎「抱枕のカバーをいつ、どこで買うか、だな」

咲「……え?」

京太郎「ゲーマーズかアニメイトか……いや、ここは……」

咲「――京ちゃん、付き合って、くれるの?」ガバッ

京太郎(あ、まだ赤いまま、布団から出てきた)


京太郎「いや、まぁ」

京太郎「自分では買いたいとは思わないけど、身近な奴が買うんなら、ってこと」

京太郎「なんか面白そうだしな」

咲「……」

咲「は、恥ずかしいから、一人で行くもん」

京太郎「さっき、付き合って『くれる』とか言ってたくせに……」

咲「あ、あれは! た、ただの気の迷い!」

咲「――うう、冷静に考えたら恥ずかしくなってきたよぅ」カァァ

京太郎(相変わらずポンコツだなぁ……)



――数分後


京太郎(顔の赤みも引いて、咲はベッドに座り込んだ)

京太郎(俺もその隣に座り、俺の肩に咲の頭がもたれかかる。うん、いつもの光景だ)

咲「……ね、京ちゃん?」

京太郎「なんだ?」

咲「一緒に、行ってくれるの?」

京太郎「……まぁ、な」

咲「――そっか」スッ

京太郎(すると咲は、自分の腕を俺の腕に掛けてきた)

京太郎「どうしたんだよ、随分と……その……」

咲「なに?」

京太郎「――まるで」

京太郎(カップル、みたいなことを……)


咲「……ねぇ、京ちゃん」

京太郎「な、なんだ」

咲「ずっと」


咲「ずっと、一緒なら、いいのにね……」


京太郎「……アホか」


京太郎「ずっと一緒に、決まってんだろ」


二人「……」

二人「――」ボッ


京太郎(俺はいきなり、何を言ってるんだ!)

咲(え、えええ……ふ、雰囲気に流されて、変なこと言ったよね!?)


二人(うわぁ……!)カァァァ





――廊下



照「……」

照(なにやら、不穏な気配がっ……!)ゴゴゴゴ

石川の魚は美味しかった(小並感)

そんなこんなで、原点回帰(?)京太郎と咲ちゃんのお話でした。

最近はラブコメが好きで困る……
そのせいか、どうしても「恋愛ラボ」を「きんいろモザイク」より熱心に観てる感があるんだよなぁ……
まぁ、どっちも最後まで観るだろうけれども。

それでは。

阿知ポのショートストーリーの照のポンコツっぷり最高だった…
お菓子を食べて話を聞いていない…最後までお菓子を食べてる…

>>782
……ネタにできそうですね、それは。

さて、ついにラブライブのベストを借りてきてしまいました……そのうち、曲をネタにしてSS書けるかも。



――部室


京太郎「……おい」

憧「なに?」

京太郎「俺は、いつまでこうしてればいい?」

憧「……」

憧「へぇ」ジトッ

憧「灼にはあんな風にデレデレしちゃって、私には随分とまぁぞんざいなのね」

京太郎「そりゃ――」

京太郎「お前、同級生だし」

憧「……」

憧「とぼけちゃって――」

憧「灼が『先輩』だから優しくしてたってこと?」

京太郎「……そ、そりゃまぁ、年齢上だし」

憧「で、だから、『同級生』の私は適当に扱っていい、と」

京太郎「――う」ズキッ


京太郎「……あぁ、いいよ」

京太郎「最後まで、付き合う」

憧「……まぁ、不満はあるけど」

憧「及第点」

京太郎「まったく」


京太郎「――なんというか」

憧「なに?」

京太郎「いや」

京太郎「灼さん、結構背丈が低いから」

京太郎「お前みたいにちょっと背の高いヤツ載せると、膝が――」

憧「……」

憧「え? なんか言った?」ゴゴゴゴ

京太郎「悪い、なんでもない」

憧「灼に比べて、私が『大きく』」

憧「膝が『重く』」

憧「……ふーーん」ジトッ

京太郎「しっかり聞いてるじゃないか……」


憧「――どれくらい前から」

憧「灼と、『ああいうこと』してたの?」

京太郎「……さぁな」

京太郎「もう、忘れちまった」

憧「――仲睦まじいことで」

京太郎「……はぁ」


憧「……あーあ」

憧「こうして、えーと……?」

京太郎「『充電』」

憧「?」

京太郎「灼さんと俺の間では、これを『充電』と呼んでたんだよ」

憧「――『充電』って、スマホかなにか?」アキレ

京太郎「いや、実際全国の麻雀部でちょっとした流行りらしいぞ」

憧「またまた」ハァ

京太郎「いや、ホントだって」


京太郎「――で」

京太郎「憧は、どうだ? この『充電』は」

憧「……そうね」

憧「――悪くはない、かな」

京太郎「で、良くもない、か?」

憧「……だって」

京太郎「?」

憧「……」


憧(灼がもう、この『席』を取っちゃってる)

憧(私は多分、ここを奪い取れはしないし、そんなこともしたくない)

憧(――だったら)

憧(私がここにいて、いいのかな……?)

京太郎「――おい」

憧「な、なに?」

京太郎「なに考え込んでんだか知らないけど」

京太郎「――今、この席のオーナーはお前だ」

憧「……」

京太郎「余計なことは、考えなくていいって」

憧「……はあ」



憧「まったく」

憧「本当に、あんたは」

京太郎「な、なんだよ?」

憧「――そーいう所が、ズルイのよ」

京太郎「――昔からの付き合いだから」

京太郎「わかっちまうことも、あるんだって」

憧「……」

憧「――もう」


憧(……今、ここのオーナーは私)

憧(――それ、なら)

憧(いいの、私? 灼は?)

憧(でも)

憧(こんな、チャンスは……)


憧「ね、ねぇ、京太郎?」

京太郎「なんだ?」

憧「――そ、その」


憧「わ、私、は……」




――寝室



ジリリリリリ・・・


憧「……」


ジリリリリリ・・・


憧「……」バシッ

憧「――」ガバッ

憧(……顔、真っ赤だ)カァァ

憧(っていうか、なんか)

憧(すさまじく、恥ずかしい夢を見ていた、ような……)


望「憧ー?」ガチャッ

憧「」

望「早く支度……どうしたの、その顔?」

憧「あ、あの、これは……」アセアセ

望「前に、京太郎くんと写真撮影したときみたいに真っ赤ね」

憧「――あ、あいつは関係ないっ!」

望「はいはい。早く降りてきなさい」

憧「……」


憧(――あ、ああ)

憧(あの、バカはっ……!)ゴゴゴゴ






――同時刻



京太郎「……!?」ゾクッ

京太郎(な、なんだ、この感じは?)

京太郎(ゾワッと、きたぞ……?)ドキドキ

灼先輩ルートに入った以上、横取りは出来ない……
ドロドロの展開は苦手だからね、しょうがないね。

この日の放課後、憧ちゃんから京ちゃんへ送られる視線が、一抹の切なさを帯びていたのはまた別の話。

それでは。

そろそろリクエストを受け付けたい。

・玄ちゃんおんぶ
・部長といちゃいちゃ

は、書けると思います。


それでは、お願いします。


咲「……あと、ひと月」

京太郎「……そうか」

京太郎「もう、『ハロー』とか『コニーチワー』とか」

京太郎「そんな言葉も、下火になっちまうのか……」

咲「――イギリス行きたい」

京太郎「お前、けいおんの映画の時も同じこと言ってたよな……」

和が躓いて倒れてきた所を目撃した咲さん

エロい夢を見て一日中ギクシャクする穏乃

湯中りで倒れた京太郎を介抱する良妻クロチャーまだ?

ちょっとした、別のSSを書いてました。
リクエスト出してもらったのに、遅れてすみません。


――部室


憧「で」

憧「ここに、代入するの」カキカキ

穏乃「……むー」

憧「それで、最後は移項して――」

憧「xを求めて、おしまいっと」

穏乃「――え、終わり?」

憧「……しず。理解できた?」

穏乃「長い付き合いだけど、憧は私が理解出来たと思う?」キリッ

憧「開き直るな!」ペシッ

穏乃「イテッ!」





ミーンミンミン・・・


京太郎(蝉が、今日もよく鳴いてる)

京太郎(夏はまだ始まったばかり、か)

京太郎(これが9月半ばになると、一気に静まるんだから面白いもので――)


京太郎「――おーい、飲み物買ってきたぞー」ガチャッ

憧「もう、ここも間違えてるじゃない……」

穏乃「こ、これは、けあれすみす? だし」

憧「ケアレスミスでもウィル・スミスでも、どうでもいいから!」

穏乃「え、なに言ってるの憧?」キョトン

憧「……はぁ」

憧「結局、まともに解けたのは、皆無に等しいわね」

穏乃「いやー、私計算できないしなぁ」

憧「それは麻雀の点棒計算だけにしてよ……」ハァ


京太郎(――これは、なんというか)

京太郎「前途多難だなぁ……」

憧「あ、京太郎。帰ってきてたの」

穏乃「やたっ! 休憩休憩!」

京太郎(……あの集中力じゃ、今度の追試も怪しいな)

京太郎(なんで穏乃が勉強してるかって?)

京太郎(まず、俺たちは麻雀部員である前に、一般の高校生でもある)

京太郎(となると、そもそも部活動を支障をきたすことなく行っていくためには)

京太郎(――試験という関門が立ちはだかるわけだ)


京太郎「……ところで、憧?」

京太郎「俺は精々、『数I』しか分からないと思うけど、そっちは?」

憧「――『数A』まで一応おさらいしてみたけど」

憧「ダメね。しずはまず、『P』と『C』を使った計算すら、まだ出来ないレベル……」

京太郎「こりゃ、『!』も使いこなせないだろうな……」

穏乃「え、なになに? 『!』って、なんか可愛い!」キラキラ

憧「――ええ、そうね」ウフフ

京太郎(憧の目から光が……!)



――休憩後

京太郎「――さて、それじゃ選手交代だ」

穏乃「お願いしますー」

憧「……それじゃ私、休憩するわね」

京太郎「あれ? うちって漫画持ち込みアリだっけ?」

憧「いいのよ、その辺は――はぁ」パラッ

京太郎(しかし、そこで読むのが『きらら系4コマ』って……)

穏乃「憧、腕が疲れそうな漫画読んでるねー」

京太郎(――まぁ、突っ込むのはよそう。憧だって疲れたんだろうし)


京太郎「それじゃ、まず」

京太郎「憧と、どんな問題を解いてきた?」

穏乃「ええと、ねぇ……」

穏乃「この辺とか、この辺とか……かなぁ」

京太郎「――え?」

京太郎(あ、憧さん……?)


穏乃「いやもう、全然わからなくて」

穏乃「憧が教えてくれる公式も、どうやって使えばいいのやら、って感じで――」

京太郎「……いや、それでいいよ」

京太郎(憧――秀才ほど他人へも『先』を教えてしまおうとするらしいけど)

京太郎(いくらなんでも、巻末の応用問題を通して追試対策するのは――!)

京太郎「――穏乃。俺は、お前がやればできるヤツだって信じてるぞ」

穏乃「ふふん、京太郎は私のこと分かってる感じ」キリッ

京太郎(せめて、そのドヤ顔が壊れない程度にやる気を保ってほしい……)




――数分後




穏乃「――ここが、こうなって」

穏乃「これで、いいのかな?」

京太郎「どれどれ……お、正解」

京太郎「あっさり解けていくな……」

穏乃「えへへー」ニコニコ

穏乃「やっぱり、簡単な所って簡単なんだね。気付かなかったよ」

京太郎(そりゃ、いきなり応用問題やらされれば、なぁ……)

京太郎(正直、憧レベルならともかく、俺も多分分からないし……)


穏乃「ちょっと休憩していい?」

京太郎「ん、ああ」

京太郎「まぁ、それなりに基礎問題は解けてるし、次は標準問題だな」

穏乃「やってけるかなぁ……」

京太郎「こら、不安そうな表情すんな」

穏乃「とりあえず、トイレ行ってくるね」ガタッ

京太郎「お茶、飲み過ぎたな」

穏乃「べ、別に関係ないし!」ガチャッ


京太郎(――さて)

京太郎(俺は、心なし遠くにいるように見える、憧に近づく)

京太郎「おい、憧先生」

憧「――あぁ、この子可愛いなぁ」

京太郎「……新子憧さん」

憧「ああ、私もイギリス行ってみたいなぁ」

京太郎「憧っ!」

憧「うるさいっ!」


京太郎「なんで男向けの4コマよんで、顔をニヤけさせてんだよ!」

憧「か、可愛いものはしょうがないでしょ!」

京太郎「――で、アニメは観てるのか?」

憧「……」

憧「全部、観てる」コクッ

京太郎「――奇遇だな、俺もだ」

京太郎「っと、そういう話じゃないんだって」

京太郎「お前、穏乃に教える所――」

憧「……分かってるわよ」

京太郎「え?」

憧「私、人に教えるのとか、そんな得意じゃないの」

憧「ほら、なんか人並み以上に分かっちゃうというか――自慢じゃないわよ?」

京太郎「分かってる。続けてくれ」

憧「だから」

憧「しずが何を必要としてるのか」

憧「イマイチ、よくわからなくて……」

京太郎(――人に教えるのが苦手な人は、結構いる)

京太郎(だから、それをからかったりするつもりは全くない)

京太郎(――それに、そもそも)


京太郎「……憧が、人に教えるのが苦手だって?」

憧「そ、そうよ。悪い?」

京太郎「そりゃ、嘘だな」

憧「なっ!?」

憧「な、何言ってるの!」

京太郎「だってさ」

京太郎「それじゃそもそも、どうして俺はここにいるんだ?」

憧「――は?」

京太郎「俺はここに来る前、殆ど麻雀なんて縁がなかった」

京太郎「和と一緒にここに来て、麻雀ときちんと出会ったのは、会わせてくれたのは――」


京太郎「お前だろ、憧」


憧「……」

憧「そ、そんなこと、知らないわよ」プイッ

京太郎「いいや、俺は覚えてる」

京太郎「――あの時のこども麻雀クラブでのことも」

京太郎『……で、これで、ロン?』

憧『ううん、違うよ京太郎。その場合は、ツモ』

京太郎『そ、それで、牌を出した人から点棒を?』

憧『いや、ツモの場合は、みんなから回収』

京太郎『――いや、もう分からない』グッタリ

憧『これ、基礎もいいところなんだけど……』アキレ


京太郎『……和って、こんな凄いことやってたんだなぁ』

憧『あんた、和と一緒に来たのに、本当に全然わからないのね』

京太郎『そりゃまぁ――』

京太郎『憧は凄いな』

憧『……へ?』

京太郎『全然わからないのに』

京太郎『今日、ツモとロンの違いが分かった』

憧『――お、教えるまでもないことだよ』

京太郎『ううん、それでも教わらないとわからなかった』

京太郎『憧は、教えるのが上手だな』

憧『……』

憧『も、もう今日はそろそろ帰りましょ!』カァァ

京太郎『うん、そうだな……』





京太郎「――それからも」

京太郎「役名とか点数計算とか。根気強く教えてくれた」

憧「……そんなの」

憧「私は昔からやってたから、当たり前のことを教えただけ」

京太郎「そういや、あの時もそう言ってたな」

憧「――も、もう忘れたって言ってるでしょ」


京太郎「……それで」

京太郎「憧に言いたいことはひとつ」

憧「……どーせ、下手よ、私は」

京太郎「――俺の『先生』が、そう気を落としちゃ、俺が困る」

憧「……」

京太郎「あの時、確かに感謝して、今ここにいるんだろうし」

京太郎「きっかけを作ってくれたのは、それこそ憧なんだ」

憧「――」

京太郎「……だ、だから」

京太郎「えーと」

憧「……ふんだ」

憧「そんなこと言われても、私が数学教えるのは向いてないのは事実だもん」

京太郎「――でも、麻雀は教えてくれた」

憧「……もう、関係ないでしょ」

京太郎「根気強く、教えてくれた」

憧「……」


憧「――はぁ」

憧「京太郎は、教えるのはともかく、口下手ね?」

京太郎「うっ」グサッ

憧「……まぁ、いいわ」

憧「なんだか、バカらしくなってきちゃったから」

京太郎「うん、それでいいと思う」

憧「――で?」

憧「結局、穏乃の数学のパートナーは、アンタってことでいいの?」

京太郎「……パートナーって、お前」

憧「――それで」ズイッ


憧「麻雀のパートナーは……私?」


京太郎「――ん」

京太郎「そうだな……そうなるかもしれない」

憧「――うわ」

憧(い、いざ言われると、結構クるなぁ……)カァァ

京太郎(――パートナー、か)

穏乃「あ、二人共、何やってるの?」

二人「」ハッ

穏乃「随分顔近づけてるけど……ん?」

穏乃(そういえば、憧に借りた漫画にあんなシーンが――!)

穏乃「……きす?」

憧「ち、違うわよ!」

京太郎「違うって!」

穏乃「――んー?」キョトン


穏乃「それじゃ、私もそっち行くー」

京太郎「え? お、おい、勉強は」

憧「……もう」

穏乃「二人だけってのはズルいよ、もう」エヘヘ

憧「……まったく、しずったら」

京太郎「……」


京太郎(二人の、『パートナー』か)

京太郎(……心強いなぁ)

ちょっと長くなりました。

さて、京太郎にとっての「パートナー」と憧にとっての「パートナー」は、果たして同義なのでしょうか……?
この辺りは、住人の解釈次第ですね。

ちなみに会話に出てきながら和がこの場にいないのは、家族と過ごしているためと補完してください。

それでは。
別のSSを書くと、ますますここで書くSSに愛着がわきます。

そのSSは、きんいろモザイクネタです。
およそ一般的なネタではないので、反応が怖いところ。


>>797


――清澄高校・廊下


和「……ふぅ」

京太郎「和、大丈夫か? ちょっと持つぞ?」

和「い、いえ!」

和「須賀くんだってもう十分に持っているじゃないですか」

京太郎「い、いや、俺は男だし……」

和「わ、私もお手伝いしたいんです!」

京太郎「なら、いいけど……」

京太郎「ムリしないでくれよ」

和「はいっ!」


京太郎(麻雀部への小道具を、職員室から持ち出す途中)

京太郎(俺と分担して荷物を持っていた和は、どうも危なっかしい……)

和「よいしょ、っと……」ヨロヨロ

京太郎(ほら、また崩れ直した荷物抱え直してる……)

京太郎(そろそろ、本格的に変わらないと、ヤバイかもな)

京太郎「な、なぁ、和……」

和「きゃっ!?」ビクッ

京太郎「うおっ!?」


京太郎「……ん」

和「……?」

京太郎「だ、大丈夫か、和?」

和「だ、大丈夫です……」ハッ


和(――気づけば、私の下に須賀くんが)アセアセ

和(周りに散らばった荷物より、寧ろ……)

和(顔が、近いです……)カァァ


京太郎「よ、良かった」

和「――!」

和「ご、ごめんなさいっ!」

京太郎「い、いや、大丈夫」

京太郎「怪我とか、ないか?」

和「え、ええ! 寧ろ――」

京太郎「寧ろ?」

和「……な、なんでもありません!」

和(寧ろ、鼓動が大きすぎることが心配です……)ドキドキ

京太郎「と、とりあえず」

京太郎「荷物、持ってかないとだな」

和「は、はいっ!」

和(……ど、どうしましょう?)

和(さっきの所を、誰かに見られなかったでしょうか?)

和(あぁ……)


咲「――」

咲(……あれって、原村さんと京ちゃんだよね?)

咲(見間違えるわけないか。あのおもちだもん)

咲「――た、ただ、転んだだけだよ」

咲(そう。ただ、転んだだけ)

咲(私がトイレに行っている隙に二人で何をしていたのとか、何で京ちゃんが原村さんの下敷きになっていたのか、とか)

咲(そんなこと、私は気にしてないんだから!)

咲「……京ちゃぁん」グスッ

咲(気にして、ないんだから)


――その日の帰り道


京太郎「な、なぁ、咲?」

咲「……」ムスッ

京太郎「ど、どうしたんだよ?」

咲「――エッチ」

京太郎「は?」

咲「押し倒されちゃうとか」

咲「京ちゃんが『受け』だとは、思わなかったよ」

京太郎「い、いやいや! 何の話だよ!?」


咲「――それで」

咲「原村さんのおもちは、どうだった?」

京太郎「え、素晴らしかったぞ?」

咲「……」ジトーッ

京太郎(あ、やばい、つい本音が)

京太郎「……『みんな違って、みんないい』という至言があってな」

咲「どうして、ちょっと哀れみの目をしているのかな?」ゴゴゴゴ

京太郎「被害妄想だろ……」


京太郎「い、いやいや」

京太郎「た、たしかに、良かったけど」

京太郎「――うん、良かったな」

咲「……どーせ」

京太郎「グレるなよ……」

咲「――どうすれば、いいのかなぁ?」

京太郎「前から言ってるだろ」

京太郎「照さんを見てる限り、遺伝で決まる所が大きいんだよ」

咲「……実は、昔のお姉ちゃん、かなり大きめだったんだよ?」

京太郎「し、知らないな」

咲「――いつから、ああなったんだろう?」ペタペタ

京太郎(少なくとも、俺に訊く事じゃないな……)


京太郎「……でもな」

京太郎「結局、一緒にいる時間に、胸の大きさなんて関係ないんだよ」

咲「……京ちゃん、目が泳いでることに気づいてる?」ジトッ

京太郎「どうして、こういう時だけ観察眼が異常に鋭いんだよ!」

咲「ほら、やっぱり」

京太郎「ち、違う!」

京太郎「俺は、咲のおもちも、好きだ!」

咲「……」

京太郎「……」

京太郎(何言ってんだろうな、俺は……)ハハハ


咲「……『も』?」

京太郎「――あっ」

咲「……ふーん」

京太郎「……」


京太郎「どうすれば、許してくれる?」

咲「さあ? 責任とってくれたら、かな?」

京太郎「……責任?」

咲「自分で、考えること!」ダッ

京太郎「あ、お、おい待て、咲!」



――咲の部屋


咲「……」

咲(せ、責任って、なに!?)

咲(じ、自分で言ってて、わけわかんないよぉ……!)



――京太郎の部屋


照「というわけで、また咲の様子がおかしいんだけど……須賀くんでしょ?」ゴゴゴゴ

京太郎(もう、勘弁して下さい……)ハァ

オチ要員と化した照さんでした。

久々の咲ちゃんとのおもちトークでした。
書いてて楽しいですね。
しかし、本当に照さんのおもちはどこへ行ったのやら……

それじゃ、別のSS共々、頑張ります。

――松実館


京太郎「……よっこらせ、と」

玄「あ、京太郎くん! ごめんごめん」パタパタ

京太郎「いいって、玄姉ちゃん」

京太郎「ほら、お客様にご案内してたんだろ? 早く戻った方が――」

玄「それは、お姉ちゃんがやってくれてるから……」


玄「――ね、京太郎くん?」ジッ

京太郎「な、なに?」

玄「京太郎くんは、ここの従業員さんなんだよね?」

京太郎「――うん」

京太郎「卒業して働き始めて、結構経つな……」


玄「だったら」

玄「――『先輩』に、少し頼ることも覚えてほしいな、なんて」チラチラ

玄「い、言っても、いいのかな?」アセアセ

京太郎「……」

京太郎「玄姉ちゃん、人を諌めるの苦手だろ?」

玄「うっ……」グサッ

玄「ご、ごめん――慣れなくて」シュン

京太郎「いやいや」

京太郎「――そんな玄姉ちゃんだからこそ」

京太郎「俺は、こうしてここにいるんだから」

京太郎「それじゃ、ちょっとこの辺の届いたヤツ運んでくれるか、『玄先輩』?」

玄「――あ」

玄「お、おまかせあれっ!」ニコッ



――数分後



京太郎「よいしょっと」

京太郎(とりあえず、大方運び終わった、か)

京太郎(後、もう少し残ってるヤツを……)

玄「よいしょ……よいしょ……」

玄「――わぁっ!?」バタバタッ

京太郎「く、玄姉ちゃん!?」

玄「……い、イタタ」

京太郎「大丈夫か?」

玄「うう――ちょ、ちょっと腰を打っただけだから」

玄「大丈夫だよ……っと」

玄「――イタッ!」ズキッ

京太郎「無理しないでくれって」

玄「……うう、情けない」

玄「『先輩』なのにぃ……」グスッ

京太郎「――先輩なら、なおさら」

京太郎「『後輩』に、頼ってくれって」

京太郎「『先輩』っていうのは、自分から手本を示してくれるもんだろ?」

玄「……!」ハッ

玄「――きょ、京太郎くん」

玄「起こして、くれる?」モジモジ

京太郎「了解」


京太郎「……」テクテク

玄「――うう」

玄「ごめんねぇ」

京太郎「もう、謝らないでくれ」

京太郎「……せっかく、恩返し出来てるんだから」

玄「……恩返し?」

京太郎「玄姉ちゃん、いつも俺につきっきりで仕事教えてくれてるだろ?」

京太郎「そのおかげで、どれほど俺が助かってるか」

玄「……」


京太郎「こうして、ここで玄姉ちゃん、それに宥姉ちゃんと一緒にいられること」

京太郎「毎日がこんな幸せでいいのかって、本当に考えてるんだから」

玄「……」

京太郎「――聞いてる、玄姉ちゃん?」

玄「――『先輩』として、一ついいかな?」

京太郎「?」

玄「……は、恥ずかしい話、禁止っ!」カァァ


宥「――あれ?」

宥「玄ちゃんと京太郎くん……」

宥「――顔、真っ赤だぁ」

宥「……まさか!」ハッ

京太郎「た、ただいま」ガララ

玄「た、ただいま、です」ペコリ

宥「……」

京太郎「な、なに宥姉ちゃん?」

玄「お、お姉ちゃん?」

宥「――お仕事中に」

宥「エ、エッチなことは、言語道断、です!」カァァ

二人「……はい?」 キョトン



――数分後



宥「……」ズーン

京太郎「ほ、ほら、宥姉ちゃん」

玄「た、立ち上がろ? ね?」

宥「――うう」

宥(ただ、おんぶしてただけ)

宥(顔を真っ赤にしてるのを見て、私は一体……何を……!)カァァ

京太郎(――もしかして、宥姉ちゃん)

京太郎(この前の『夜』のことを、俺たちに重ねて……?)

玄「……ははぁ」

玄「京太郎くん、これは由々しき事態です」

京太郎「え、え?」

玄「――と、いうわけで」

玄「今晩は、お姉ちゃんとお邪魔させて頂きます」

宥「く、玄ちゃんっ!?」ビクッ

京太郎「え?」



――その夜


京太郎「……で?」

宥「……わ、分かったよぉ」

玄「ほら、お姉ちゃんも顔が真っ赤」

玄「――道理で、おんぶであんなに反応しちゃうんだね」

宥「も、もうやめてぇ……」

京太郎「――うーん」


京太郎(月明かりに照らされる二人の姿はとても綺麗、なんだけど)

京太郎(俺、こんなんで、本当にいいのか……?)

玄「こら、京太郎くん」

宥「む、難しいこと考えない」

玄「……エッチなことなら?」

宥「そ、それなら――特別に、許すよ」

玄「……へぇぇ」ニコニコ

宥「く、玄ちゃん!」カァァ

京太郎(――まぁ、いいや。幸せだし)

とどのつまり、松実館は今日も平和でしたとさ。

しかし、小学生からの付き合いで、高校卒業後の社会人でも同じ所って……たまげたシチュエーションだなぁ。
あ、最後の方の会話は、各自補完よろしくお願いします。意味深になるかそうでないかは、読者の皆さん次第。

それでは。
2-4の攻略なんて、一ヶ月かかっても出来る気しません(半ギレ)

乙ー
2-4クリアしてテンション上がってたら駆逐艦育ててなくて3-2で足止めくらった……

>>833
事前にそのこと知ってたので、暁4姉妹を中心に、駆逐艦を改造にまで持っていく作業をしてました。


――京太郎の部屋


>キョウモイイテンキネー!

>コウチャガオイシイネー・・・


京太郎「……」

京太郎(誰かに似てるんだよなぁ……)

京太郎(誰だろう――ああ)

京太郎「……最近、どこでも聞く声だと思ったら」




――憧の部屋


>サワッテモイイケドサー、ジカントバショヲワキマエナヨッ!


憧「……」

憧「――こんなこと、言わないわよっ」

穏乃「うわ、憧がエッチなゲームやって怒った!」

憧「エ、エッチなゲームじゃないわよ!」

穏乃「でも、これ――ホント、憧の声だよねー」

憧「わ、私は違うっ!」

>>801


『……いいのか?』

『う、うん』

『顔、真っ赤だぞ』

『そ、そっちだって……』

『そうか……』


『それじゃ』

『――あ』

『……ちょっと、痛いかもな』

『そ、それぐらいなら』

『それぐらい、で済めばいいけどな……』

『――も、もうっ』


『……穏乃』

『な、なに?』

『俺は、お前が……』

――穏乃の部屋


ジリリリリ・・・


穏乃「……」パチッ

穏乃「――あれ?」ガバッ

穏乃(ここ、私の部屋……?)

穏乃(ウソだぁ、さっきまで――つい、さっきまで)

穏乃(すぐ、そこに……!)ハッ


穏乃「うあああああ……!」カァァ

穏乃(な、なんだか無性に恥ずかしいぞ!)

穏乃(こ、これは、マズい!)アセアセ

穏乃母「穏乃ー? そろそろ、起きないと……」ガチャッ

穏乃「」


穏乃母「――あら?」

穏乃母「あんた、顔真っ赤ねぇ……熱?」

穏乃「い、いいから! じゅ、準備するよっ!」ゴソゴソ

穏乃母「はいはい……」

穏乃母「――もしかして、熱じゃなくて……」

穏乃「も、もう出てってよぉ!」カァァ



――通学路



穏乃「……はぁ」テクテク

穏乃(あれは――夢、だったんだよね?)

穏乃(そう、夢のなかで……『誰か』が、私の……)

穏乃「……」カァァ

穏乃(お、思い出すのはヤメだ!)

憧「あら、しず?」

穏乃「」


穏乃「お、おはよう、憧」

憧「――顔、真っ赤ね? 熱?」

穏乃「ち、違う! ほ、ほら、このとーり健康そのもの!」

憧「そう?」

憧「――うーん」ジーッ

穏乃「な、なに、かな?」

憧「ううん、なんでもない」


憧(――しずの顔の赤み)

憧(なんだか、身に覚えがあるような、ないような……)

憧(深入りすると、私まで赤くなっちゃうような、そんな感じが――)

京太郎「おはよ、二人とも」

憧「」ハッ

憧「い、今来て、どうするつもり!?」アセアセ

京太郎「あ、朝から随分な挨拶だな!?」


穏乃「……」

穏乃(――あれ?)

穏乃(なんで、だろう……身体が火照ってきたぞ?)

穏乃(これは……さっき着替える時、何故かズボンが湿ってたのを発見した時と同じような……!)

京太郎「――穏乃?」

穏乃「ひゃぁっ!?」ビクッ

京太郎「お、おはよう」

穏乃「お、おお、おはよ、京太郎!」

京太郎「――顔、真っ赤だな? 熱か?」

穏乃「きょ、京太郎で三回目だよ……あはは」

穏乃「わ、わた、私は熱じゃなくて、ね……その」

京太郎「……?」

穏乃「あ、ご、ごめん! 私、学校に用事が!」

穏乃「さ、先に行くねっ!」ダッ

京太郎「あっ、おい! 穏乃!」

京太郎「……なんなんだ、一体?」

憧「――まさか、とは思うけど」

憧「あんた、しずに何かしたんじゃないでしょうね?」ジトッ

京太郎「そんなこと、するように思えるか?」

憧「……あるいは」

京太郎「信用ないなぁ……」タメイキ


――教室


穏乃「……」

穏乃(なんで?)

穏乃(京太郎の顔を見た瞬間、火照りが身体に走って)

穏乃(――止まって、くれない)

穏乃(そして、今朝見ていた「夢」……)

穏乃「……一体、何なのさぁ」

晴絵「おいおい、穏乃?」

穏乃「ひゃっ!?」ビクッ

晴絵「どうしたんだ? 突っ伏しちゃって」

晴絵「いつものお前なら、有り余るエネルギーを放出させて……」

穏乃(有り余る……エネルギー……放出)

穏乃「あ、赤土先生! い、今は」ガタッ

穏乃「そ、そういう、えっちな話は、ですね!」

晴絵「……え?」

穏乃「ご、ごめんなさいっ!」ダダダッ

晴絵「……」


晴絵(しずももう、子どもじゃないってことかぁ)

晴絵(はぁ……憧や玄はともかく、しずまで「大人」になっちゃうとは、ねぇ)

京太郎「おはようございます、先生」

晴絵「……多分、その一因はあんたにもあるんだろうなぁ」ヤレヤレ

京太郎「……?」

憧「何いってんの、ハルエ?」キョトン



――その日の帰り道



穏乃「……」

穏乃(結局、全然落ち着けなかったよ……)

穏乃(授業中もいきなり、ビクンってなるし)

穏乃(もう、散々だよぉ……)ハァ

京太郎「穏乃」

穏乃「……京太郎」

京太郎「一日、調子おかしかったな」

穏乃「……ま、まぁ、ね」

京太郎「――なんか、俺が力になれることあるなら」

穏乃「……京太郎が、かぁ」

穏乃(――あんな、「夢」の話、京太郎にだけは言えるわけが……)

穏乃(って、なんで私は、京太郎「だけ」に言えないなんて考えてるんだろう……?)

穏乃(――なんで?)

京太郎「し、穏乃?」

穏乃「ご、ごめん京太郎!」

穏乃「明日にはもう、元通りだから!」ダッ

京太郎「おーい!」


晴絵「……」

晴絵(青春、だなぁ……)

晴絵(まぁ、頑張りなさいな、若人)ウンウン

お久しぶりです。

艦こればかりやっていたら、色んなことがおろそかに……。
資格の勉強しないといけないのに……色々と焦り気味です。

ともあれ、穏乃と夢の話でした。
今回の話の赤土先生がどこか年寄りくさいのは――おいといて。
穏乃メインの話は久々だったので、楽しかった(小並感)

それでは。
2-4突破した今、次の関門は3-2……!

――残暑

京太郎「……そういえば」

咲「?」

京太郎「今年、結局花火大会とやらに行ったっけ?」

咲「……あ」ピクッ

京太郎「あーあ」


京太郎(今度は何の作品にあてられたのか)

京太郎(「夏といえば花火だよ、京ちゃん!」と熱弁する咲の姿が妙に印象に残っている)

京太郎(「え、夏といえば海とかプールとか……水着は?」と返したら、何故かいきなりムスッとしたことも)

京太郎(あれは、大方――)


京太郎「咲」

咲「なに?」

京太郎「……安心しろ。俺はお前の味方だぞ?」

咲「――なんだかよくわからないけど、とてもイラっとしたよ今」ジトッ


咲「ともかく!」

咲「残り少ない時間を有効活用し、私たちは花火鑑賞を決行しようと思います」グッ

京太郎「……お前、ホントーにイベントに弱いな」

京太郎(しかも、自分から人の輪に飛び込むことは困難なくせして……)

京太郎(――そうか、だから)

咲「さ、考えるよ京ちゃん!」ニコニコ

京太郎(俺が、こうして一緒にいるわけか……)


京太郎「――とりあえず」

京太郎「清澄の辺りじゃ、もう大体終わってるみたいだな」

咲「と、なると……?」

京太郎「ああ」

京太郎「長野県で、他の大会を調べてみると――おっ」

咲「あ、あった!?」

京太郎「ああ」

京太郎「……でもな」

咲「なに?」

京太郎「――お前、いいのか?」

咲「?」

京太郎「――これ、今日の夜スタートらしい」

咲「……え?」

京太郎「そして、現在時刻は――17時」

咲「」

京太郎「……覚悟は、いいか?」

咲「……わ、私だって、できてるもん!」



――ちょっと離れた場所


京太郎「……」

咲「……」

二人(つ、疲れた……!)ハァハァ

京太郎「ず、随分乗り継いできたなぁ」

咲「い、意外と、遠かったね……」

京太郎「――でもさ、お前いいのか?」

咲「?」

京太郎「浴衣、着たいとか言ってなかったっけ?」

咲「――あ!」

咲「うう……」

京太郎(うわ、すごく残念そう……)


咲「ゆ、浴衣はね」

咲「わ、私にとって、特別な服なんだよ!」

京太郎「へぇ……思い出があるのか?」

咲「――うん」

咲「浴衣なら、私が本当の私になれるような」

咲「そんな気がして……」

京太郎「――ああ、なるほど」

京太郎「つまり、おもちが小さいほど着こなしが……いや、ホントごめんなさい、勘弁してくれ」

咲「もう!」

咲「本当に、デリカシーがないね!」

京太郎「いや、そもそも、あれって少しは出てる人なら着こなしが上手くなるわけで」

京太郎「お前のようなまっ平らじゃ――ああ、おいそろそろ本気で痛いから」

咲「誰の! せいだと! 思ってるの!!」

京太郎(いやぁ、分かってて地雷踏むのって意外と面白いかもしれないなぁ……)

ごめんなさい、ここまでです。
肩車の話は前にも書いたような気がして、どうも筆がノリませんでした。すみません。

そんなわけで、ただのおもち談義になったような――中途半端で申し訳ない。

それでは。また一隻撃沈させて、かなりズーンときてます。

あ、後、トリップ間違えてました。
ごめんなさい。これで正しくなるかと。

>>805

――松実館

京太郎「……」

京太郎「あー」

京太郎「こりゃ、ちょっとマズいかもなぁ」フラフラ


玄「京太郎くーん」コンコン

京太郎「あ、玄姉ちゃん……」

京太郎「悪い。今、着替えて、出る、か、ら……」フラッ

玄「ちょ、ちょっと!? 様子、おかしいよ!?」

京太郎「――大丈夫だって」

京太郎「だいじょう、ぶ」バタン

玄「きょ、京太郎くん!?」ガラッ


京太郎(薄れゆく意識の中)

京太郎(――目の前には、長い黒髪、大きな目)

京太郎(そんな、人が――)



――数分後


京太郎「……ん」

玄「――あ」

玄「よ、良かったぁ」

京太郎「玄姉ちゃん」

玄「もう、心配したよー」

玄「入ってみたら、目の前で京太郎くんが倒れてるんだから……」

京太郎「……」


京太郎「ごめん、心配かけた」ペコリ

玄「全くだよ」ジトッ

京太郎「……う」

京太郎「こ、ここの温泉が気持ちよすぎるのが悪い」

玄「はい、言い訳」

京太郎「……今日は、厳しいな」

玄「当たり前」

玄「誰が、『仲間』を心配しないものですか」

京太郎「……」

京太郎「『仲間』かぁ……」


京太郎「――そう言われれば」

京太郎「思い出すのは、阿知賀の奴ら」

京太郎「元気に、してんのかなぁ」

玄「――みんな、元気だよ」

玄「私やお姉ちゃんが、こんなに元気なんだから」

京太郎「……なんだよ、それ」アキレ

玄「そういうものなの!」ムッ

京太郎「分かったって」


京太郎「……相変わらずだな、玄姉ちゃんは」

玄「え?」

京太郎「なんというか――どこか抜けてて、可愛いというか」

玄「……」

玄「そう」

京太郎「ん?」

玄「なに?」

玄「――もう今更、『可愛い』とか言われたくらいで、動揺しないよ?」

京太郎「バレたか」

玄「……もう」

玄「こんな会話、まるで円熟期の夫婦みたいだよ」クスッ

京太郎「――随分、年をとったもんだ」

玄「何言ってるの」

京太郎「――なぁ、玄姉ちゃん」

玄「なに?」

京太郎「こうして、介抱してくれるのは有難いけど」

京太郎「業務、いいのか?」

玄「……」ジトッ

玄「もう」

玄「何かあれば、『仕事は?』って」

玄「典型的な日本人だねぇ、京太郎くんは」

京太郎「……それじゃ、松実館にもスペインに倣って、『シエスタ』でも導入するか?」

玄「あはは、それいいねぇ」

玄「――でも、旅館で『お昼寝タイム』はねぇ」

京太郎「全くだ。そもそも、俺達みんな日本人だし」

玄「それでも」

玄「――私は、お仕事よりも、お姉ちゃんや京太郎くんみたいな従業員の人の体の方がずっと大事」

京太郎「……」

玄「きっと今日は、疲れちゃったんだよね。だから、お風呂でのぼせちゃったんだ」

京太郎「そんな、ことは」

玄「あるでしょ?」

京太郎「……」


京太郎「敵わないな、館長さんには」

玄「お姉ちゃんがいるのに?」

京太郎「それじゃ、どっちも館長さんで」

玄「もう……」

玄「――とにかく、無理しちゃダメ」

京太郎「無理、かぁ……」


京太郎「分かった、玄姉ちゃん」

玄「そう。ほんとに分かってくれた」

京太郎「手始めに、今夜は『無し』で」

玄「うんうん」

玄「……へ?」ピクッ

京太郎「とりあえず、布団は撤去しとこうか。あれは魔法の道具だし」

玄「え、ちょっと……あの?」アセアセ

京太郎「どうしたんだ? 無理しないって言っただろ?」

玄「――また、随分と挑発的な提案だね」ジトッ

玄「まぁ、京太郎くんは守れないと思うよ?」フフン

京太郎「なんで?」

玄「今日、お姉ちゃんも部屋に来る、って言ってたような……」

京太郎「……」


京太郎「――考えを保留しよう」

玄「情けないなぁ」

玄「そんなに、私たちと一緒にいたいの?」ジッ

京太郎「……」

京太郎「そうだよ。当たり前だ」

玄「……ぐっ」

玄「い、いきなりの直球にはやっぱり慣れないなぁ……」カァァ

京太郎「『可愛い』には、反応しなくなったのに?」

玄「――もう、京太郎くんは」



――外の廊下



宥「……」

宥「あの、二人は」クスッ

宥(本当に、仲良しだなぁ……)

宥(――今夜、あの二人と一緒にいられそうなんだなぁ)

宥「……嬉しいな」エヘヘ

遅くなりました。

玄ちゃんと京ちゃんのまったりトーク編でした。
そして、玄ちゃんが年上らしい所を見せる話でもあります。

……しかし、松実姉妹が絡むと、大抵オチがいつも同じようになるのはどうしてなのか。
そういうのを書きたいからしょうがないね。

それでは。
最近は、色々と疲れてます……。

リクエストを見渡してみたら、そろそろ書けそうな内容が尽きてきた感が……申し訳ないです。
久々に、一から自分で考えたネタを書きます。


――通学路


京太郎「……めっきり、冷え込んできたな」ブルッ

咲「そうだね」

咲「――夏が、終わっちゃったんだね」

京太郎「なんだよ、夏にそんな思い入れあったのか」

咲「……」ジーッ

咲「知らない」プイッ

京太郎「??」


咲(結局行けなかった「夏の祭典」も)

咲(あまり満喫したとは言えない花火大会も)

咲(――心残り、なのに)


咲「全く、でりかしーに欠けるんだから」

京太郎「意味、分かってんのか?」

咲「……ふ、雰囲気的に大丈夫なの!」プンスカ

京太郎「滅茶苦茶だな、おい……」


咲「……バカ」

京太郎「?」

咲「もう、知らないよ」プイッ

京太郎(何だか、なかなか嫌な地雷を踏んだな)

京太郎(咲の胸とかからかう時は、咲が顔を赤くしてその場で怒っておしまいなんだけど)

京太郎(……こうやって、一旦終わった後引きずるのは、悪い傾向なんだよな……経験上)


京太郎「――分かった、咲。俺が悪かった」

咲「……」ツーン

京太郎(なんとなく、咲が望んでいたことは分かった)

京太郎(夏というイベントが多い季節……つまり)

京太郎「おごろう」

咲「……え?」ピクッ

京太郎「ちょうどあそこに、クレープ屋と焼き芋屋がある」

咲「きょ、京ちゃん?」

京太郎「そこでだ、どっちがいい?」

咲「……」

咲「――クレーp」

咲「や、やっぱり焼き芋で」アセアセ

京太郎「……いいのか? 甘いもの好きなんじゃなかったっけ?」

咲「い、いいの」

咲「だって――」

京太郎「だって?」


咲「と、とにかく、買ってくれるなら買ってきてよ!」

京太郎「分かった分かった」

京太郎「……それじゃぁ」

咲「な、なに?」ドキッ

京太郎「売り場まで、ついてきてくれ」

京太郎「お前の好みがわからないから」

咲「……クレープならともかく、焼き芋なのに?」ジトッ

京太郎「さ、行くぞ」

咲「……あ」

咲「もう、分かったよ」



――数分後



京太郎「……で?」

咲「……」モグモグ

京太郎「おい、咲?」

咲「――おいひい」モグモグ

京太郎「咲」

咲「ひゃっ!?」ゴクン

咲「も、もう! 味わってたのに!」

京太郎「……今度は、何の作品に影響されたんだ?」

咲「……」

咲「――特に、何にも」

京太郎「そうか」

京太郎「つまり、『秋に焼き芋を食べる』ってイベントが欲しかったんだな?」

咲「わ、私は、アニメのキャラじゃないんだよ?」

京太郎「嘘つけ、絶対影響受けやすいだろ」

咲「……むー」


京太郎「――つまりだな、俺が言いたいのは」

咲「……」

京太郎「たしかに、もう夏は終わっちまった」

京太郎「でも――イベントなら他の季節にだって、いくらでも作れるし」

京太郎「……なるべくなら、俺も付き合うから」

京太郎「大丈夫だ、って……」

京太郎「――あー、調子狂う」

咲「……」


咲「ズルいよ」ボソッ

京太郎「ん?」

咲「い、いきなり、そうやって――」

咲「な、なんでもない」プイッ

京太郎「え?」

咲(京ちゃんは、こういう所がズルい)

咲(私が何を待っているのか、私でもよく分かってない所を拾い上げて、私にぶつけてくる)

咲(……そ、そんなんだから)

咲「……」カァァ

京太郎「おい、顔赤いぞ」

京太郎「季節の変わり目だし、風邪でも……?」

咲「――分かってる、くせに」

京太郎「……」

咲「……!」

咲「――さ、先に帰る!」ダッ

京太郎「あ、おい咲!?」


京太郎「……」

京太郎(やべえ――そんな顔してたか、今)

京太郎(咲から俺は、どう映ったんだろう?)

京太郎「やべ……俺にも伝染ったか」カァァ


咲「……」ガチャッ

照「あ、咲。おかえ――」

照「……どうしたの、その顔?」

咲「――」

咲「きょ、京ちゃんが」

照「……!」

咲「悪いん、だからぁ……」フラフラ

咲「……」バタン

照「……」



照「――また君か、私の咲を弄ぶのは」ゴゴゴゴ

京太郎「あ、すみません。一旦、切りますね」カァァ

照「え、ちょっと……え?」アセアセ

久々のオリジナルでした。京咲の真っ向勝負で。
こういうのも、いいものですね。

リクエスト応えられずに、申し訳ありません。
もう少し考えてみますので、お待ちください。

ここ最近は色々と辛いことも多いですが、書いてることで癒されることも多いです。
いつも、ありがとうございます。

それでは。

いつかあったリクエスト、今なら応えられそうです。


――プラットホーム


咲「……」

京太郎「お、咲」

咲「――!」ビクッ

京太郎「どっか行くのか?」

咲「……ま、まぁね」

京太郎「そっか」


咲「……」

咲「いいの、原村さんは?」

京太郎「和? どうして?」キョトン

咲「……」

咲「ううん、なんでもない」

京太郎「……そうか」

咲「……」

京太郎「しかし、ここに開通した電車は使い勝手いいよなぁ」

咲「……」

京太郎「景色もいいし、乗ってるだけで――次の次、か」

咲「――わ、私、は」アセアセ

京太郎「ん?」


京太郎「お、来たな」

咲「……先に、行くね」

京太郎「ん、そっか」

咲「……バイバイ」

京太郎「おう、またな」

咲「……」



――電車内


咲「……」

咲「寒いな……」

咲(そっか、もう冬なんだ――)

咲(思えば、ずっとタイミングのがしてきたんだよね)

咲(なんで……部に、誘ってくれた時に)

咲(――ううん、もうやめよう)

咲「……」

咲(窓ガラス、曇ってる……)

咲「……」キュッキュッ


『京ちゃん』


咲「……」

咲「――なに、してんだろ」ハァ

咲「……」グスッ

咲(あくびのせい、だもん)



京太郎『咲、和にはこんな癖がだな……』

和『す、須賀くん! な、何を言ってるんですか!?』

咲『へ、へぇ、そーなんだ』

咲『……原村さん、可愛いねぇ』

和『み、宮永さんまでっ!』

京太郎『おー、和。顔真っ赤だな』

和『ふ、二人ともっ!』



咲(どうして、こんなこと思い出すんだろ……)

咲(あくびのせいなのに、目から水が止まってくれない……)

咲(――そういえば)


咲(前に読んだ恋愛小説で)

咲(『結ばれるのは運命』ってセリフ、あったなぁ)

咲(――じゃあ、私は、結局)

咲「運命に、選ばれなかった、かぁ」タメイキ


咲「……」




――へぇ、こーいうの読むんだ

――……す、須賀、くん?

――それで、誰が好きなんだ?

――えっ?

――ほら、俺も読んでるからさ

――わ、私、は……!




咲「……」

咲「――時間の長さなら、私の方が」

咲(ほんのちょっぴり、上回ってたのになぁ)

咲「……うう」グスッ

咲(こ、これは、なかなかつらいなぁ……)

咲(――どう、しちゃったんだろう)

咲(私、は……)クラッ




――咲の部屋



>ピピピ・・・


咲「……」カチッ

咲「――夢?」

咲「そっか、そうだったんだ」

咲「――でも」


咲「妙に、リアリティあったなぁ……あれ?」


>アオクトウメイナーワタシニナリタイー


咲「……」

咲「この曲は、かけっぱなしで寝るものじゃないね」カチッ

咲「……京ちゃん、か」

咲「この曲、みたいに――」


咲「ううん、考えちゃダメ」フルフル

咲「……私、は」

咲「京ちゃんと――」キュッ

ここまでです。
『LOVE Marginal』で京咲でした。

ベスト借りたら、名曲ばかりでびっくりした(小並感)
ハマる人の気持ちが分かりました。

それでは、また。
寒くなってきましたが、お体にお気をつけて。

ポケットモンスターオリジンを観て、凄く懐かしくなりました(小並感)

そろそろリクエストをお願いします。
ここ最近は更新が滞りがちですが、それでも読んでくださる人に感謝。



咲「……この私が、この世で一番、強いってこと!」

京太郎「……麻雀に関してなら、あながち間違いじゃないかもなぁ」

今からサシ飲みへ。


京太郎「『キヨスミ地方』ってことか?」

咲「そう」

咲「それで、『キヨスミジム』と『カゼコシジム』と『ツルガジム』と『リュウモンブチジム』があるの!」

京太郎「なるほど……いかにも強そうな連中が集まってそうな」

京太郎「たしかに、うちの部長はジムリーダーに映えそうだな」

咲「カゼコシのジムリーダーは本気になると目を見開くんだよ」

京太郎「タケシかよ……」


京太郎「そうなると、俺の役回りは……」

咲「……」

咲「じょ、序盤のボーイスカウトとかにいそうだよね」

京太郎「微妙なポジションを……せめて、エリートトレーナーとかに」

咲「あ、私はミニスカートだから」

京太郎「嘘つけ、全然ミニじゃねえだろ、それ」

咲「……それなら、優希ちゃんに譲って」

咲「じゃあ、チャンピオンで!」

京太郎「飛びすぎだよ!」




――時空平面――



穏乃「……ぽけもん?」

憧「そう、もうすぐ発売するの」

穏乃「ふーん……」

京太郎「――穏乃、知らないのか?」

穏乃「まぁねー」

穏乃「アニメはちょこっとだけ観たことあるけど……ゲームは私には合わなくて」

憧「まぁ、それよりは山を飛び回ってる方が似合ってるもんね」

京太郎「山男ならぬ山女……」

憧「そこ、変な絵面想像しない」


京太郎「――憧なら、ミニスカートか?」

憧「う、なんか良さそうで微妙な……」

憧「――そうね。エリートトレーナーがいいわね」

京太郎(……何故だろう、このやり取り初めての気がしない)


憧「京太郎は……」

憧「――海パンこぞう?」

京太郎「どうしてそうなった」

京太郎「お前、偏差値70だよな。日本地図、読めるか?」

憧「あ、当たり前じゃない」

憧「――なんとなく、イメージがね」

京太郎「……川遊びならともかく、海に行ったことはないよなぁ」


穏乃「むぅ……二人が何を話してるのか分からない」

憧「じゃあ、しずもポケモンX、Yを買えばいいのよ」

京太郎「おい、ステマか?」

憧「ステマの意味、しっかりと説明できるの?」

京太郎「――ごめんなさい、偏差値70さん」

憧「その呼び方やめて――そうね、さしづめしずは」

穏乃「……?」

憧「……たんパンこぞう?」

京太郎「それはないだろ――と、思ったけど」

穏乃「?」

京太郎「意外と、アリかもな……」

穏乃「むー」

穏乃「何だかよくわからないけど、遠回しにバカにされてる気がするぞ?」

憧「いやいや、寧ろ可愛い系よ」

京太郎「……憧って、計算上手いよな?」

憧「ええ、数学は結構得意」

京太郎「……」


京太郎「理科系の女」

憧「……もう一回、言ってくれる?」

京太郎「ごめん、なんでもない」

穏乃「二人だけに繋がる話とか、なんかズルいなぁ……」

ちょっとした小ネタ。
なお、『シライトダイジム』は異常に難しい設定の模様。

それでは。
リクエスト、よろしくお願いします。

島崎藤村の「初恋」を和で

灼とこけしを買いに行く

宿題で読書感想文

>>903

京太郎「……」

咲「……よし、できた!」

京太郎「早っ!?」

咲「ふふふ……京ちゃんは、遅いなぁ」クスクス

京太郎「むっ」


京太郎「――ちょっと、見せてくれよ」

咲「えー?」

咲「だって、これは、その……ね?」ジッ

京太郎「上目遣いして全てが許されるとでも?」

咲「わ、私の必殺技が!」

京太郎「全然サマになってないっての……ほら、貸してくれって」

咲「むー……」

咲「……はい」スッ


京太郎「えーと、タイトルは……えっ!?」

咲「……」

京太郎「『涼宮ハルヒシリーズにみる現代日本』……」

京太郎「最後の文は、『私は未来人でも異世界人でも超能力者でもないけど、SOS団に入りたいと思いました』」

京太郎「……」

咲「ど、どう?」モジモジ

京太郎「こりゃ、ダメだぁ……」

咲「ええっ!?」ガーン


京太郎「少なくとも」

京太郎「高校生が書く文章じゃない」

咲「うっ!」グサッ

京太郎「あと、いくら『自由』とはいえ」

京太郎「課題本にラノベを堂々と選ぶのは……なんだか、違う、ような」

咲「そ、それは、ラノベ差別だよぉ!」ウルウル

京太郎「いいか、俺たちや一個上の世代ならそれでもいいんだ」

京太郎「ただ――うちの担任は、もう50を越えていい年だ」

咲「……」

京太郎「想像してみろ――俺達が『けいおん最高だよね!』とか言ってる一方で」

京太郎「おじさんが、『けいおんは最高だなぁ!』とか言ってる光景を」

咲「――あったかくない」ブルッ

京太郎「だろ?」


京太郎「で、そんな『あったかくない』担任に渡す読書感想文が」

京太郎「これで、いいと思うか?」

咲「――思いたい」

咲「けど、思えない……」フルフル

咲「うええ……」グスン

京太郎「やれやれ……」


京太郎「――あと、最後に一つ突っ込みどころが」

咲「なに?」

京太郎「『私は~』のくだり」

京太郎「……お前、超能力者だろ?」

咲「な、なにをいきなり!」

咲「原村さんが聞いたらあの胸にグッとくるジト目で、『そんなオカルトありえません』って言っちゃうくらい」

咲「ありえないよ!」プンスカ

京太郎(咲……意外と、和のジト目にやられてたのか)

京太郎(――たまってんのかなぁ)

咲「な、なんか変なこと考えてる!」

京太郎「ああ、まだまだ(宿題は)たまってるなぁ、と」

咲「絶対、わざと!」カァァ

京太郎「いいや、事実を言ったまで」

二人「……」ジーッ

京太郎「とりあえず、だ」

京太郎「一旦、休憩にしよう。茶を持ってくる」

咲「――その間に、私は」ソロソロ

京太郎「あ、ベッドの下見てもいいけど、かなりハードなやつだから注意な」

咲「」

京太郎「それじゃ」パタン

咲「……」


咲「つまんないなぁ……」タメイキ

咲(京ちゃん――最初の頃は、初心で、いちいち赤くなっちゃってたのに)

咲(今じゃ、もう……)

咲(――ところで、どんな本が)ゴソゴソ

咲(……うわっ!?)

咲(こ、これは……凄い!)


『某旅館姉妹 徹底的ご奉仕 彼女たちの豊満なスタイルに、君はもう(←煽り)』


咲()

咲(やっぱり、大きいほうが好きなんじゃない……)パタン


咲「はぁ、もうやめやめ」ポスッ

咲(京ちゃんのベッド、意外と寝心地いいんだよね)

咲(……あ、たしかに、「匂い」が)

咲(京ちゃんの、匂い……)スゥッ

咲「……男くさい」

咲(でも――)


京太郎「ほい、おまたせ、っと……ん?」

咲「――」

京太郎「おい、何勝手に人のベッドで」

咲「……ん」ゴロゴロ

京太郎「ダメだ、こりゃ」

京太郎「しょうがない、俺も読書感想文の続きを……」

京太郎「――『黄色い目の魚が伝える 幼なじみへの感情論』」

京太郎「……」

京太郎(改めて、なんだこのタイトル……)

京太郎(すぐ近くに無防備な(一応)幼なじみがいるから、たち悪い……)

京太郎(妙に、気にするじゃないか!)カァァ


咲「……ん、ぅ」パチッ

咲「あれ、もう朝?」

咲「――あ」

京太郎「はぁ……恥ずかしい」カァァ

咲(京ちゃん、顔赤い)

咲(……ふふっ)

咲(なんだ、やっぱりいつもの京ちゃんじゃない)

咲(……心配して、損しちゃった)ニコニコ


京太郎(幼なじみだ、意識するな、幼なじみだ、意識するな……)

咲(可愛いなぁ……)クスッ

ここまでです。
結局、赤面は正義、はっきりわかんだね。
京ちゃんの持っていた「本」は……さぁ、一体どんなパッケージ写真だったんですかね。

ところで、今期もなかなか粒揃いですね。
キルラキルは最高だし、WhiteAlbum2は原作やってなくても引き込まれます。
今のところは、この二つが視聴続行確定でしょうか。
ここの住人は、何を観るんですかね……。

それじゃ。



――商店街


京太郎「あ、いたっ!」ハァハァ

玄「あ、京太郎くんだ」

京太郎「『京太郎くんだ』じゃないって!」

京太郎「いきなりどっか行ったら、心配するよ」

玄「ご、ごめん……」シュン

玄「――でも」

京太郎「?」

玄「あれ見たら、懐かしくなっちゃって……」

京太郎「どれどれ……ああ」


京太郎「なるほど」

玄「――楽しかったねぇ」

京太郎「みんな、元気にやってるよな?」

玄「もう」

玄「私が普段同じこと訊いたら」

玄「決まって、『俺たちが大丈夫なんだから、大丈夫だよ』とか言ってたのに」

京太郎「玄姉ちゃん、物真似苦手?」

玄「も、もうっ!」カァァ

京太郎「冗談だって」

京太郎「――うん、ちょっと俺らしくなかったな」

玄「たまには、年上に頼ってもいいんだよ?」ニコニコ

京太郎「うーん……玄姉ちゃんも宥姉ちゃんも心配だなぁ、としか」

玄「どっちが先輩なの!?」ガーン


京太郎「――そういえば」

京太郎「ここには、あいつらも一緒に来てたんだよな……」

玄「――思い出すね」




――回想・商店街入り口



穏乃「早く早く!」

憧「あ! もう、しずったら……」

和「あんなにはしゃぐなんて――」

灼「それぐらい、穏乃のには特別なのかも……」


玄「穏乃ちゃん、どうしたんだろ?」

宥「さ、寒い……」ブルブル

京太郎「――ちょっと、見てくるか」ダッ

玄「あ、ま、待ってよ、京太郎くん!」ダッ

和「あ、二人とも!」

和「……あ」ピタッ

憧「脚、止まっちゃった?」

和「!」

灼「……あぁ、そっか」

憧「なんだかなー」

憧「気にしないようにしてても、どっかで意識しちゃうことって、あるよねー」

和「……憧」


憧「さ、しずのことは二人に任せて」クルッ

憧「私たちは、目的のものを買いに行きましょうか」

和「は、はいっ!」

灼「……憧、あまり無理は」

憧「なーに、してないよ灼」ニコニコ

和「さ、部室の備品を見に行きましょう」


宥「……さ、寒い」ブルブル

宥「……」

宥(――玄ちゃんと京太郎くん)

宥(やっぱり……)




――商店街・出口付近



サンタ「ちょっと早いクリスマスだよー!」

子供たち「わーい!」

穏乃「ああ……やっぱり、いいなぁ」ウットリ

京太郎「や、やっと、追いついたぞ……」ハァハァ

玄「あ、相変わらず、凄い速さだね……」ハァハァ

穏乃「あ、京太郎に玄さん!」ニコッ

穏乃「どう、あのサンタ! やっぱり、この時期はテンション上がっちゃうよねぇ……」

玄「あ、あはは」

京太郎(道理で)

京太郎(商店街に備品を買いに行く、って言ったら大喜びだったわけだ……)

京太郎「……でも、まぁ」

玄「可愛いねー、サンタさん」

京太郎「――可愛い、か?」

京太郎(そりゃ、玄姉ちゃんとか着たら似合うだろうけど……)

京太郎(そっちこそ、「可愛い」って言うんであって――ああ、思考が暴走してるな、これは)

玄(京太郎くんが何を考えてるのか、なんとなく分かるようになったなぁ……)

穏乃「……」

穏乃「――ねぇ、二人とも?」

京太郎「?」

玄「?」

穏乃「……もうすぐ、離れちゃうけど、さ」

穏乃「――ああ、なんて言ったらいいんだろ」

穏乃「幸せ、に……」ジワッ

京太郎「穏乃……」

玄「穏乃ちゃん……」


穏乃「う……うう」ポロポロ

玄「大丈夫だから」ギュッ

穏乃「玄、さん……」

玄「私と京太郎くん」

玄「それに、お姉ちゃんが三人なら、これだけで百人力だよ」

穏乃「……」

玄「もちろん」


玄「『お別れ』しても、穏乃ちゃんたちは、ずっと近くにいるんだよ?」


穏乃「……どう、して?」

玄「私の心に」

玄「もう引っ付いて、みんな離れなくなっちゃったんだから……」

玄「それは、きっと――ううん、絶対に」

玄「お姉ちゃんや京太郎くんも、同じだから……」

穏乃「――玄さん」

穏乃「うう……」

玄「よし、よし」ナデナデ



京太郎「……」

京太郎「なぁ、穏乃?」

穏乃「!」

京太郎「――そりゃ、『お別れ』したら、俺も仕事人だから」

京太郎「会いたいようには会えないかもしれない。でも……」

京太郎「――それでも、時間を作ることは不可能じゃない。それに」


京太郎「ずっと、一緒だろ?」

穏乃「……」

穏乃「もう」

穏乃「京太郎ってば――まったく」

京太郎「?」

穏乃「……ありがと」

京太郎「ん?」

穏乃「そ、それじゃ私、憧たちの所に戻らなきゃ!」バッ

穏乃「じゃ、じゃあ、二人はまた後で!」ダッ

京太郎「あ、おい、ちょっと!」

玄「し、穏乃ちゃん!」


穏乃「……」

穏乃(まったく――)

穏乃(『ずっと、一緒』なんて)

穏乃(言われたら嬉しいけどさ、でも……)


穏乃(そういう『一緒』の意味は、ちょっと違っちゃったりもするんだぞ……)



京太郎「……」

玄「……」

京太郎「二人、に」

玄「――う、うん」

京太郎「……そ、それじゃ、少し回ってみても、いいのかな?」

玄「ぶ、部長の灼ちゃんに聞かなきゃ――いけないんだろうけど」

玄「ま、まぁ、副部長の私が許可します」

京太郎「あれ、いつから?」

玄「い、今、暫定的に決めました!」

京太郎「……」

玄「……」

京太郎「ま、いいか」

玄「――!」

京太郎「それにしても、穏乃のやつは……」

京太郎「恥ずかしいこと、言い残して……」

玄「……」


玄「ね、京太郎くん?」

京太郎「?」

玄「――あの、サンタさん」

玄「忘れないでいようね」

京太郎「……どうして」

玄「だって」

玄「『あの』穏乃ちゃんが、私の胸で涙を流して」

京太郎「……」

玄「それで、想いを繋いだ日なんだから」

玄「覚えないのは、失礼だよ」

京太郎「――全くだ」

玄「でしょう?」


京太郎「――それじゃ、ぼちぼち行こうか」

玄「うん!」

玄「……サンタさん、忘れないからね」ジッ

京太郎「……」




――現在・商店街



京太郎「あのサンタの中身、変わってないんだな……」

玄「可愛いおじさんだねぇ……」

京太郎「――もう、玄姉ちゃんが着てみた方が」

玄「あの時も、同じこと考えてたでしょ?」クスッ

京太郎「……今だから言えるけど、あの時はもっと過激な衣装を想像してた」

玄「!」

京太郎「もう今は、なぁ……」

玄「またまたー」

玄「いきなり大人ぶっても、失敗しちゃうよ?」

京太郎「……そろそろ、年が気になってきた?」

玄「ま、まだ、20代に差し掛かかりそうって所なのに!?」ガーン

京太郎「冗談だって……」

玄「むー……」


京太郎「――そっか」

京太郎「来年は、さ」

玄「……」

京太郎「また、『みんな』呼んで」

京太郎「久々に、会いたいな」

玄「そう、だね……」

玄「炬燵から、お姉ちゃんを引っぱり出さないと」

京太郎「それが一番の難所だなぁ……」

京太郎「――玄姉ちゃん」

玄「?」

京太郎「何だか、買い出しってより」

京太郎「その――デートみたいになってるけど、大丈夫なのか?」

玄「……」

玄「そ、そうだね」

玄「わ、私たちは『大人』なんだから!」

玄「プライベートと仕事の区別は着けないとだね!」

京太郎「……なんだか、ちょっと遅い気もするけどな」


玄「さ、行こう京太郎くん!」

京太郎「い、いきなり走りださないでくれって」

玄「……穏乃ちゃん」

京太郎「?」

玄「思い出して、つい、走りたくなっちゃって……」

京太郎「――そっか」

玄「絶対」

玄「みんな、元気だよ」

京太郎「……」


京太郎「そうだな、絶対だ」

玄「……これでやっと、『先輩』になれたかな?」クスッ

ここまでです。
最近では、とても長い方のネタになりましたね……。

ある意味で、松実姉妹ルートの一つのエピローグ(あるいはプロローグ?)になったと思います。
それで、この後だったりちょっと前だったりの生活模様は、過去に書いた通りということに……。
穏乃の描写は、書いてて何だか淋しくなりました。

長いネタでしたが、楽しんで頂けたでしょうか?
合間を縫って、今後も書き続けていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
……来年4月からは、全国編ですし。

それでは。




――公園



京太郎「……暑いな」

咲「そうだねぇ……」

咲「これだから、夏は嫌いなんだよ……」

京太郎「ふーん……で、冬になったら、同じことを言うわけか」

咲「ち、違うもん!」


咲「他にも嫌な所は……それこそ」

咲「――蚊とか、Gとか」

京太郎「あぁ……照さんのいた所と違って、ここはよく出るからな」

京太郎「この前もうちにゴキb」

咲「そ、その名前を出すのはやめてっ!」ブンブン


咲「うう……最初にあんなおぞましい名前、誰が付けたの?」ビクビク

京太郎「帰って、Wikipediaに行こう」

咲「ま、真面目に嫌なんだよ?」

京太郎「お前の『真面目』は、どこまで本当なのか分からない」

咲「もうっ!」プイッ


京太郎「あ、そうそう」

京太郎「思い当たる節といえば、もう一つ」

京太郎「夏といえば――」

咲「うん、分かった。もういいんだよ、京ちゃん?」ゴゴゴゴ

京太郎「……そっか」

京太郎「せっかくこの前、遺伝以外で大きくする方法を知ったんだけどなぁ」

咲「」

京太郎「悪い、冗談だ」

咲「……」


京太郎「――でも」

京太郎「こんな馬鹿話してるだけで、『夏』って感じはするよ」

咲「楽しんでるの、京ちゃんだけじゃない……」ジトッ

京太郎「え? 俺より照さんと話してる方がいいのか?」

咲「……」

咲「お、お姉ちゃんは別でしょ!」

京太郎「ところで、あの人、白糸台に帰らなくていいのか?」

咲「――私を見ると、帰れなくなっちゃうんだって」

京太郎「あぁ……」

京太郎(離れ離れになって、それでも忘れられなくて)

京太郎(――で、咲に愛情を注ぐ一方、俺には辛くあたる)

京太郎「……はぁ」

京太郎「お前の家には、しばらく行きたくないな」

咲「い、いきなりなに?」アセアセ


京太郎「暑いな……」

咲「え、なにこれ? ループ?」

京太郎「クロ○チャンネルじゃないんだから……」

咲「あれ、面白い?」ズイッ

京太郎「知らないって」

京太郎「――今更だけど、女子と18禁話してるだけで、何だかむず痒い」

咲「うわぁ……」

京太郎「それ、俺の台詞だよ……」


京太郎「うめぇ……」

咲「あ、ズルい!」

京太郎「これ、さっき買った烏龍茶だぞ……?」

京太郎「お前、買わなかったじゃないか」

咲「そういうのじゃなくて!」

咲「私がすっごく喉渇いたなー、って思ってる時に、美味しそうに飲むのがズルい!」

京太郎「……悪い。そういえば俺、この前の模試で、現代文がそんな良くなかったんだ」

京太郎「で、なんだって?」


咲「――ちゃっかり、私より良かったくせに」ボソッ

京太郎「え? お前、『自称』文学少女だろ?」

咲「……」

咲「評論は苦手なの!」プイッ

京太郎「そんなに配点、高くなかっただろ」

京太郎「むしろ、小説の方が――」

咲「私は、甘酸っぱいラブコメとか、青春モノがいいのに」

咲「村上○樹なんて出されても……」

京太郎「――さすが、『自称』」アキレ

咲「むー……」


咲「話が脱線しちゃったじゃない!」

京太郎「あぁ、もうグダグダだな」

京太郎「で? この烏龍茶がどうかしたって?」

咲「……」

咲「そ、そうだよ! それ! 烏龍茶!」

京太郎「――何の話題だったか、完全に忘れてたな?」

咲「ご、ごまかさないの!」

京太郎(なんてバカなヤツ……)ハァ


京太郎「ほら」

咲「……え?」

京太郎「飲みたいんだろ? 一口なら許す」

咲「――」

咲「私、そんな安い女じゃ――」

京太郎「今度は、なんの作品の台詞だ?」

咲「……」

咲「……」

咲「あぁ、美味しい」

京太郎「一口どころか、三口行ったな……」

咲「はい、ありがとね京ちゃん!」

京太郎「……」

京太郎(こんな表情されたらなぁ――)

京太郎「そういや、フツーに口つけて飲んでたな」

京太郎(からかわずにはいられない……!)


咲「……え?」

咲「――あぁ」

咲「そっかぁ……」

咲「……」カァァ

京太郎(なんとなく予想したとおりの反応。一拍置いて、真っ赤になった)

咲「――はかったね?」

京太郎「何言ってんだお前は」

咲「……」

京太郎「ついでに言えば」

京太郎「昔のお前は、もう少し警戒心があった」

咲「……え?」






――数年前・公園



京太郎「……」

咲「……」ズーン

京太郎「――おい、宮永」

咲「――!」

京太郎「……なんだ、その」

京太郎「先生に、ラノベ取り上げられたからってそんな――」

咲「……す、須賀くんにはっ!」ズイッ

京太郎「わっ!?」

咲「……」ハッ

咲「す、須賀くんには、わからないよ……」シュンッ

京太郎(ビックリした。こいつがこんなに大きな声をぶつけてきたこと、あったっけ?)


咲「――は、恥ずかしい」

京太郎「まぁ、あれはなぁ……」

京太郎(まさか、クラスの女子中学生が『ロ○きゅーぶ』読んでるなんて、きっと誰も思わない)

京太郎(というより表紙だけ見て、先生固まってたな……)

京太郎「――なに? お前、バスケしたいの?」

咲「し、したいわけないでしょ!」ズイッ

京太郎「うおっ!?」

咲「……」ハッ

咲「――わ、私、『文学少女』なんだから」シュンッ

京太郎(文学少女はそこまで挙動不審じゃないんだよ……)


京太郎「……とりあえず、だ」

京太郎「そんなにいきり立ってると、何かと暑くないか?」

咲「い、いきり立ってないもん……」

咲「――あぁ、取られるのが須賀くんだったら」ボソボソ

京太郎「え、何か言ったか?」

咲「ひゃっ!?」ビクッ

咲「ううう……ご、ごめんなさい」ウルウル

京太郎「わ、分かったから」

京太郎(なんというか、反応に困るって……そんなすぐに、涙ぐまれると)

京太郎「――これ、飲め」スッ

咲「……へ?」

京太郎「烏龍茶。暑いだろ?」

咲「あ――」

咲「あり、がと……」

咲「……」

京太郎「どうした?」

咲「――これ、蓋、開いてるよね?」

京太郎「あぁ、さっき飲んだからな」

咲「!?」ガタッ

咲「す、須賀、くん……?」

京太郎「な、なんだよ?」

咲「――こういうの、なんていうか知ってる?」

京太郎「……」

京太郎「なるほど――」

咲「なるほど、じゃないよっ!」

咲「こ、これ、ありがたいけど……その」

咲「の、飲めませんっ!」

京太郎「――そっか」

京太郎「それじゃあ、いいや」

咲「もう……」

京太郎「――ちなみにこれ、口は付けてない」

咲「……え?」ピクッ

京太郎「いや、それでも要らないんだろ宮永は?」

京太郎「だったら、いいや。全部飲んじゃうから」ゴクゴク

咲「……」ジーッ

京太郎「――」

咲「……」ジーッ

咲「ほんとに、口付けてない……」

京太郎「雑菌溜まってるっていうからな」

京太郎「――ほら」スッ


咲「……」

咲「あ、あり、がと」

咲「――」ビシャッ

咲「わぁっ!?」ビクッ

京太郎「慣れないのに、こんな飲み方するなよ……」

咲「す、須賀くんのせいだよ……」フキフキ

京太郎「ん?」

咲「――な、なんでも、ない、です」シュンッ

京太郎(だから、これじゃ反応に困るだろ……)





――再び現在・公園


咲「……」

京太郎「あ、何か思い出してるな」

咲「――あ、あの時は、随分と酷い目に」

京太郎「……『ロ○きゅーぶ』」ボソッ

咲「!?」

咲「――い、今なら、別に普通にしてられるもん!」

京太郎「いいのか? 取られた話が、部長たちの耳に入っても?」

咲「……」

咲「考えておくよ!」

京太郎(なんだその逃げ方は……)

咲「――それにしても」

京太郎「ん?」

咲「騙したんだね、今回も」

京太郎「お前の記憶力が悪い」

咲「……口、まだ付けて飲んでないの?」

京太郎「そりゃ、習慣だからな」

咲「むー……」

京太郎「しかし、警戒心が薄くなったもんだ」

咲「――あ、あの時は、取られたショックで」

咲「そ、それで……」

京太郎「……」


京太郎「ま、なんだかんだで」

咲「……?」キョトン

京太郎「随分と、話してて面白いヤツになったと思うよ」

京太郎「――あの時から、ほっとけなかったけどさ」

咲「な、なんの話?」

京太郎「さぁな」


京太郎(今は、普通に会話が出来るし)

京太郎(そんなこいつとの毎日は、意外と楽しい)

京太郎(――それで、いいか)


咲「……」

咲「――私、そんなに安い女じゃ」

京太郎「あぁ、胸元は『安い』けどな」

咲「」


咲「……」カァァ

咲「ふんだ」プイッ

京太郎(あぁ、面白い……)

ここまでです。

前回、玄姉ちゃん編がとても多かったので、京咲成分多めでした。
どうやら自分は、過去と現在をリンクさせる形式が好きなんだなって思った(小並感)

ちなみに、照姉さんがなんで帰らないかですが……特に深い理由は、ないです(断言)
それにしても、京咲は書いててとても筆が乗るなぁ……。

それでは。
のんのんびよりでも観て、ゆったり過ごします。

>>899
こけし少女と金髪少年。




――街中


京太郎「あの、灼さん?」

灼「なに?」

京太郎「いや」

京太郎「どうして急に、こけしを買おうと……?」

灼「……」

灼「――後輩は、先輩の言うとおりにすればいい」

京太郎「教えてくれないんですか……」ハァ


灼「だって」

京太郎「……」

灼「――やっぱり、いい」

京太郎「そんなー」

灼「……」

灼(恥ずかしくて、言えたものじゃないから)


京太郎「こうして見ると」キョロキョロ

京太郎「こけしにも、色々な種類があるんですねー」



?「あ、こっちの人形、まるでアリスみたいですねぇ……」ニコニコ

?「シ、シノ! 恥ずかしいってばぁ!」カァァ



京太郎「」

京太郎「リアル、こけし……?」

灼「……」ムッ

灼「京太郎くん、顔赤いよ?」ジトッ

京太郎「あ、これは……寒くて」

京太郎「ほら、今日は風も強いし――灼さん?」

灼「……さっきの二人の子、目で追ってた」

京太郎「はい?」

灼「おまけに、二人とも可愛かった。かなり」

京太郎「ええと、灼さん?」

灼「――ズルい」キュッ

京太郎「……」


ダキッ


灼「……!」ハッ

京太郎「ええ、と」

京太郎「そうだ、帰ったら『充電』しましょう」

灼「……」

京太郎「そうすれば、灼さんも元気に――」

灼「――京太郎、くん」

京太郎「は、はい」

灼「その……恥ずかしい、から」フルフル

灼「頭から手、離して、くれる?」カァァ

京太郎「わ、分かりました!」


京太郎(そして)

京太郎(灼さんの琴線に触れたこけしを購入し、帰途についた)

京太郎「……それじゃ、学校に戻りましょうか」

灼「……うん」コクッ

――部室

灼「よいしょ、っと」ストン

京太郎「誰も、いませんね……」

灼「それは、今日部活もないからね」

京太郎「――部活がないのに、部室で、『充電』」

灼「……不満?」ジトッ

京太郎「いえ、何だか嬉しいんです」

灼「……」

灼「――恥ずかしいこと言うの、禁止」プイッ

京太郎「ええ……」


灼「そもそも」

灼「京太郎くんには、後輩としての自覚が足りなすぎる」

京太郎「……」

灼「さっきだって、そう」

灼「道行く可愛い子二人に、デレデレしちゃって」

京太郎「……」

灼「それに、それに……」

灼「――もう」


京太郎「灼さん」

灼「なに?」

京太郎「膝にすっぽり収まってたら、何を言っても説得力が……」

灼「――生意気な後輩」

京太郎「いやいや、可愛い先輩です」

灼「……もうっ!」カァァ


京太郎「――あの、こけし」

灼「……」

京太郎「何に、使うんですか?」

灼「――京太郎くんには、秘密」

京太郎「え、穏乃たちになら教えてもいいんですか?」

灼「京太郎くんは、特別に秘密」

京太郎(待遇を重くされてしまった……)


――数分後


灼「……それじゃ、そろそろ」

京太郎「ん、そうですね」

灼「――もう、デレデレ禁止」ジッ

京太郎「だから、してませんて……」

京太郎「――もしかして」

京太郎「ヤキモチ、とか?」

灼「……!」カァァ

灼「そ、そんなわけ、ない!」ブンブン

灼「もう、帰るよ!」

京太郎「はいはい……」

灼「『はい』は一回!」

京太郎「はい」



――灼の部屋



灼(もう、京太郎くんったら)

灼(あんな風に、他の子を見るなんて……)

灼(ちょっと、不安だよ……もう)ハァ


灼「そうだ」

灼「――この、こけし」

灼(そして……)ゴソゴソ



灼「……よし、できた」

灼(金髪で制服も着せた、そんな誰かさんみたいな人形に)

灼(しっかりと、フィットした)

灼「……」

灼(み、見てるだけで、頬が緩む……!)カァァ

灼(ま、まずいよね、これは……)アセアセ


灼「……でも」

灼(なんだか、すごくあったかい)

灼(宥さんじゃないけど、そう思う)

灼(……もう)


灼「こんなところでまで――生意気な後輩なんだから」クスッ

ここまでです。

充電属性がついた灼ちゃんは無敵、はっきりわかんだね。
人形のくだりは「のんのんびより」リスペクト。分かる人にしか分かりそうもない話。

それでは。
もうすぐ次スレ……感慨深い。

>>898

 ――まだあげ初めし前髪の

   林檎のもとに見えしとき

   前にさしたる花櫛の

   花ある君と思ひけり――




――いつかの秘密基地



京太郎「……」ジーッ

和「? どうしました、京太郎くん?」キョトン

京太郎「いや――」

京太郎「和は、『文学少女』っぽいな」

和「はい?」


京太郎「いや、なんというか」

京太郎「小学生の頃から、何か本を読んでる姿がサマになってた、というか」

京太郎「――うん、似合ってた」


和「……今、私が読んでる本は」

京太郎「うん」

和「とても綺麗な、澄み渡るような文章、なんです」

京太郎「……そういう喩え方も、『文学少女』」

和「ふふっ」ニコニコ


京太郎「ちょっと、見せてくれないか?」

和「ええ、どうぞ」スッ

京太郎「サンキュ」

京太郎「――なんだこりゃ? 古文か?」

和「れっきとした、日本文学ですよ?」

京太郎「いやぁ……俺にはどうもピンとこないなぁ」

和「大丈夫です。雰囲気だけでも、掴めれば」

京太郎「そういうもんなのか」

和「ええ」ニコッ

和「結局のところ、ですね」

和「この本は――」

京太郎「うん」

和「……」

京太郎「和?」キョトン


和(どうしましょう……)

和(説明しようと思ったところで、とても恥ずかしくなってしまいました……!)カァァ

和(か、考えてみれば、この内容って――まさに、今の)アセアセ


和「そう、ですね」

和「そこに、林檎の木がありますね?」

京太郎「うん」

和「――ちょっと、移動してみましょう」

京太郎「え、え?」



和「……綺麗な木、ですね」

京太郎「そ、そうだな……」

京太郎「それで、和? どういう――」

京太郎「……」ハッ


和「よいしょ、っと」ピトッ

京太郎(陽に照らされた、和の姿)

京太郎(白いワンピースと相まって、その姿は凄く綺麗で……)


和「……はい、どうぞ。京太郎くん」ニコッ

京太郎(微笑む和は、どこか)

京太郎(――普段より、ぐっと大人っぽくて)


京太郎「お、おう」コクッ

京太郎(つい俺も、反応が遅れてしまった――)


京太郎「……はぁ」

和「どうしました?」ズイッ

京太郎「わっ!」

京太郎(すぐ近くに、和の顔。長い髪)

京太郎(溜息がかかって、髪が揺れる……)

京太郎(――なんだろう、この感じは)

和「顔、真赤ですね」クスッ

京太郎「そ、そういうことは……」

和「この、林檎みたいです――」

京太郎「も、もう……」

京太郎(や、やめてくれぇ……)カァァ


和「ふふっ」

和「さ、それでは、基地に戻りましょうか?」ニコニコ

京太郎「……お、おう」

京太郎(くっ、和に一杯食わされたままだ……!)

京太郎(――ふと、思い出した)

京太郎(そうだ、昔……どこかで)



京太郎「なぁ、和?」

和「はい?」キョトン

京太郎(く、なんというか――余裕な表情をしている)

京太郎(どうも、立場が逆になったような……面白くない)

京太郎(――だから)


京太郎「この、道さ」

京太郎「――最初、無かったよな?」

和「……はい?」

和「たしかに、それはそうですけれど……?」

京太郎「……」


京太郎「『いったい誰が、道ができるくらい踏み固めたんだろうな?』」

和「……!」ハッ

和「そ、それは……その」

和「――もう、京太郎くんったら」カァァ

京太郎「……」

京太郎(余裕そうな和も、勿論いいけれど)

京太郎(やっぱり、赤らめた表情は最高だな……)


和「きょ、京太郎くん! へ、変なこと考えてますね!」

京太郎「いや……和は、相変わらず、綺麗だなぁ、って」

和「お、おかしなことを言わないで下さい!」カァァ

京太郎(ああ――幸せだ)


和「……」

京太郎「――さっきの、さ」

京太郎「昔、ちょこっと、誰か……親だったかな……が読んでくれたと思うんだ」

和「……!」ピクッ

京太郎「それで、さ」


京太郎「林檎をくれた女の人」

京太郎「それをもらって、恋に落ちた男」

京太郎「――林檎の女の人は、和だったんだな」

京太郎「それで……男は」


和「……」

和「京太郎くん?」

京太郎「ん?」

和「今、ご自分がとても恥ずかしいことを言っていることにお気づきですか?」カァァ

京太郎「……」

京太郎「――まぁ、和の赤い顔でお釣りはもらえたかな、と」

和「もうっ!」プイッ



京太郎「和」スッ

和「……」

京太郎「『初恋』は、そのままで終わらなかったな」ダキッ

和「――」ギュッ


和「はい……」ニコッ

和ルート・Fin――

そんな感じの、話でした。

今回のリクエストで、初めて『初恋』という作品を知りました。
とても素晴らしい、綺麗な文章だと思った(小並感)

こんな感じで良かったでしょうか? 少し、不安です……。
ただ、これでようやく薄幸なイメージが合った和ちゃんも完全に報われた、ような……
なお、本来の自称・文学少女は。


それでは。

毎期恒例ネタ。


京太郎「……」

京太郎「10月、か」

咲「そう!」コクコク

京太郎「道理で、そんなにテンション高いわけだ……」


咲「そ、それはそうだよ!」

咲「スカしたフリして、京ちゃんだって実は楽しみにしてたでしょ?」

京太郎「――ムカつくけど、たしかにその通り」

咲「ふふん」フンス

京太郎(うぜえ……)


京太郎「――で、何か話したそうだな?」

咲「やっぱり、『キルラキル』でしょ!」

京太郎「あぁ、あれか……昔の男組みたいな」

咲「え、なにそれ?」キョトン

京太郎「いや、いいんだ……」

京太郎(男組なんて知ってる高校生、普通はいないよな……たしかに)

咲「あぁ――戦維喪失とか、良い言葉遊びだよねぇ……」ウットリ

京太郎「……考えてみれば」

京太郎(全国大会の準決勝の巫女さん)

京太郎(龍門渕のマジシャンの娘さん)

京太郎(あと、和の私服姿……)

京太郎「――最初から、神衣を着てるようなもんじゃないか」ハァ

咲「私も、あんな格好してみたいなぁ……」

京太郎「やめとけ」

咲「どうして?」

京太郎「――特に、面白みがないから」

咲「??」

京太郎「少なくとも、あのスーツは――」

京太郎「……それなりのおもちがないと、全く映えない」

咲「……」サッ

咲「ふんだ」プイッ

咲「こーいう時まで、現実を叩き込んでくる京ちゃんなんて、嫌いだもん」

京太郎(こいつ、胸の話題になるとすぐに不貞腐れるよな……)

咲「誰のせいだと思ってるの!」

京太郎(心まで読んでくるし)


咲「まぁ、こうやって京ちゃんとの会話で荒んだ心を」

京太郎(いきなり悪役にされてる……?)

咲「のんのんびよりで癒やすの!」パァァ

京太郎「ここ、清澄もなかなかの田舎だけど……格が違うよな、あれ……」

咲「そこがいいんだよ!」

咲「あと、にゃんぱすって可愛い! 持って帰りたい!」

京太郎(寧ろ、どんな感性してたらあんな言葉を思いつくのかに興味があるな……)


京太郎「で? 何か語りたいこと、あるんだろ?」

咲「む。私はこれでも、清楚希望の文学少女だよ?」

京太郎(……ついに、『希望』に妥協したのか)

咲「そんなに、のべつまくなしに語り尽くすなんてこと、しないよ」

京太郎「ダウト」

咲「ええー……」

咲「やっぱり、京ちゃんなら中二病に燃えるんじゃない?」

京太郎「中二病、か……」

京太郎「――そういや、なんだろうな。最近、変な夢見るんだよ」

咲「なに?」

京太郎「いや……なんと、だな」

京太郎「俺が、あの、京都アニメーションの作品に声優として出演してるんだ」

咲「……え?」

京太郎「声優目指してたわけじゃないけど、あの時は嬉しかった」

咲「――京ちゃん」ジーッ

京太郎「可哀想な人を見る目をするなよ……」タメイキ


咲「ともあれ」コホン

咲「『ストライク・ザ・ブラッド』『東京レイヴンズ』『機巧少女は傷つかない』……」

咲「うーん、どれもいい感じに能力者モノだね」

京太郎「で、咲はどれを観るつもりなんだ?」

咲「え? 全部でしょ?」キョトン

京太郎「いや、さも当然、という風に言われても……」

咲「だってだって」ズイッ

咲「みんな、ヒロイン可愛いし!」

咲「国家公認のストーカーといい、素直になれない系といい、ベタボレ系といい……!」

京太郎「そこが理由なのか……」

京太郎「というか、この前『読書の秋だから、文学読むよ! 文学少女だからね!』とか言ってたよな?」

咲「……」

京太郎「時間、取れるのか?」

咲「――な、なんとか、なる!」グッ

京太郎(あ、こりゃ、『自称』の看板は下ろせないな)


咲「だってだって」

咲「……面白いアニメが多すぎるのが、悪いんだよ」

京太郎「また、誰かのせい、何かのせいかよ……」

咲「うう――だって」

咲「……ミュセルちゃん、可愛いし」ボソボソ

京太郎(どうしてこの流れで、別の作品の話が始まるんだ……)


咲「と、まぁ、そんなわけで」

咲「今期も、見逃せないね!」

京太郎「お前、毎回それ言ってるよな……」

咲「あぁ――日本から抜け出せそうにないなぁ」

京太郎「……アニメがあるからか、文学少女?」

咲「そうだy」

咲「い、いや! 文学作品を日本語で読めるから!」

京太郎(――はぁ)

京太郎(こういう見えっ張りな所を直さないから、いつまでも『自称』なんだよ……)

咲「さ、京ちゃん、本屋に行こっ!」

京太郎「そりゃまた、どうして?」

咲「……本を、買いに」

京太郎「ま、まさか……!」

京太郎(ついに、有言実行の時が来たのか……!?)

京太郎(ここに、文学少女が――?)



――書店



咲「いやー、買った買った」

京太郎「……」

咲「うーん――じっくり読まないとなぁ」

京太郎「咲」

咲「なぁに?」

京太郎「結局、何冊だ?」

咲「うーん……」

咲「電撃文庫と、角川スニーカー文庫と、富士見ファンタジア文庫――」

咲「何冊だろうね」

京太郎「――文学少女への道のりは、険しい」

咲「ラ、ラノベだって『文学』かも!」

京太郎「なかなか厳しいだろ……面白いのは、たしかにそうだけどさ」

咲「むー……」


京太郎(その日は結局)

京太郎(咲の家に連れ込まれ、録画していた色んなアニメを観て)

京太郎(照さんに睨みつけられながら、退散した――)


京太郎「……変な、一日だった」

京太郎(そして、確信した一日でもあった)

京太郎(――あいつの『自称』は、しばらくはがれない称号だということを)

こうして、咲ちゃんのホクホク生活がまた始まるのでしたとさ。

完全に趣味の話なので、ついて来られなかった方、ごめんなさい……。
もはや、アニメと文学の狭間で揺れる咲ちゃんは、このスレにおけるお家芸になりつつありますね。
他にも色々と語ってもらいたかったのですが、さすがにしつこいと思ったので、この辺りで。

それでは。
現実逃避にはアニメがピッタリですね……。

乙ー
咲ちゃんそろそろ君の誕生日あるんやで……

乙乙
東京レイヴンズは作者あざの耕平って聞いて興味わいたな
パッと見、主人公が京ちゃんとクロチャーに見えなくもない

>>971
27日……もうすぐですね。

>>973
なお、東京レイヴンズのメインヒロインの中の人は。





――秋

京太郎「……あ、そっか」ポンッ

京太郎(10月といえば……)

京太郎(勿論、新しいヤツが始まってくるから、喜んでたんだろう)

京太郎(――そっか、それだけじゃなかったな)


京太郎「……」

京太郎「でもなぁ」

京太郎(考えてみたらアイツにあげてきたのって、碌なものじゃなかったよな……)

京太郎(――こういう時は)




――宮永家



京太郎「ごめんください」ピンポーン

「……」

京太郎「咲? いるんだろ?」

「……」

京太郎「開けてくれないk」

「ごめんね、立て込んでるの」ブツッ

京太郎「」


京太郎「――」ピッピッ



プルルルル



照「ん? どうしたの、須賀くん?」ガチャッ

京太郎「バレバレな芝居はやめてくださいよ……」ハァ

照「え、なんのこと?」

京太郎「……」


京太郎「――開けてくれないのなら、この前、宮永家の冷蔵庫からどうしてプリンが消えてたのかをばらしm」

照「どうぞ」ガチャッ

京太郎「……まったく、あの人は」タメイキ




――リビング



京太郎「もう、白糸台には帰らないつもりですか?」

照「須賀くん……」

照「大人にはね、色んな事情があるの」

京太郎「2年違いで大人ですか……」


照「――まぁ」

照「しばらくはなんの大会もないし。あの子たちも大丈夫」

京太郎「それならいいんですが――」

京太郎「いや、登校日数とかは?」

照「……」

照「ほら、私、白糸台の『看板』みたいな所、あるから」

照「先生も、もはや私の手の内……」キリッ

京太郎(うわぁ――ワルだ)


京太郎「ま、まぁ、そんなラノベの主人公も真っ青なご都合主義は置いといて」

京太郎「照さんに、お聞きしたいことがありまして」

照「――いつになく、真剣」

照「でも、ごめんなさい。私、須賀くんは好みj」

京太郎「もうすぐ、でしょう?」

照「スルー……」シュン


照「――そうだね、もうすぐ」

京太郎「照さんは、なにかいい案、ありますか?」

照「どうして、私に?」

京太郎「いや、その――」

京太郎「毎年、俺が適当に見繕ったのを渡してるだけなので」

京太郎「照さんから何か、アドバイスがあればなー、と」

照「……」


照「須賀くん」

京太郎「はい」

照「言葉責め、って好き?」

京太郎「……は?」

照「でくのぼう」

京太郎「え、え?」

照「鈍感、ダメ人間、ヘタレ」

京太郎「……ストップ、照さん。変なスイッチ入っちゃいそうなんで」

照「なんだ、意外とMなんだね」

京太郎「そうじゃなくて!」カァァ


京太郎「――どういう意味ですか?」

照「須賀くん」

照「それは、たしかに私は咲のお姉さん」

照「最愛の妹のことなら、なんでも知ってる」フンス

京太郎(なんて自信だ……)

照「――ただ」


照「咲は、須賀くん『本人』が考えぬいたものじゃないと」


照「……」

照「ダメ、じゃないの?」

京太郎「……」

京太郎「意外でした」

照「なんで?」

京太郎「言葉責めは、ともかく」

照「やっぱり、好きなんだね……」

京太郎「違いますって」

京太郎「ただ――」

京太郎「俺が、咲にプレゼントを渡すことに、照さんは何の反発もないんですね?」

照「……」

照「それは、まぁ」

照「最初の方は、あったかもしれないけど」

照「――ちょっと、入り込めなくなっちゃったなぁ、って」タメイキ

京太郎「ありがとうございます、照さん」

照「……別に、お礼を言われても、デレない」

京太郎「期待してませんて」


京太郎「まぁ、ともかく」

京太郎「咲に会わないと、ですね――」

照「……ん」

京太郎「それじゃ、照さん、ありがとうございました」

京太郎「失礼しました」ガチャッ

照「……」

照「もう」

照(須賀くんが咲に、その、プレゼントを渡すことはいいの)

照(――ただ、ちょっと気になっただけ)


照(あの子、私の誕生日は、知っててくれてるのかな、って……)

照(何を考えてるんだか、私は)

照(須賀くんに、心を許しすぎてる……よね)キュッ



京太郎(結局)

咲「わぁぁ……」

京太郎(咲が恥ずかしくて買えそうにない、『薄い本』で手を打った)

京太郎(最近出来たアニメイトの地下にあった、「そういう」ゾーン)

京太郎(以前から咲は、そこをチラチラ見ては、溜息をついていたから)


咲「うーん……」

咲「やっぱり、最近の流行りモノはいいねぇ……」

京太郎「――結構、恥ずかしかった」ハァ

咲「もう、男の子のくせに、情けないんだから」

京太郎「いや、買いたいものも買えないお前には言われたくない」

咲「むぅ……」


咲「――さ、京ちゃん!」

咲「帰って、戦利品の吟味だよ!」ニコニコ

京太郎「はいはい……」

京太郎(まったく)

京太郎(これで良かったんですよね、照さん?)


京太郎「あ、そうだ、咲」

咲「?」キョトン

京太郎「今更だけど……誕生日、おめでとう」

咲「……」


咲「えへへ」ニコニコ

京太郎「なんだよ?」

咲「いや、ね」

咲「分かってたけど、いざこうして言われると」

咲「なんだか、こそばゆくて……」

咲「ありがと、京ちゃん」クスッ

京太郎「お、おう……どういたしまして」

京太郎(おいおい――直球の笑顔は卑怯すぎるぞ)

咲「ふふっ」クスクス

照「……」

照「――教えるべきか、教えないべきか」

照「それが、問題……」


照(私の――)

照(教えて、どうするつもりなんだか……)

照(――それ、でも)



咲「ただいま、お姉ちゃん!」ガチャッ

京太郎「あ、照さん。こんにちは」

照「……おかえりなさい」

照「――須賀くん」

京太郎「? はい?」


照(もう、言っちゃおう……)コホン



照「私の、『誕生日』は――」

咲ちゃんメインで書こうと思ったら、何故か照さんに取って食われていた。
このスレにおける照さんは、どこか京ちゃんに対するスタンスがはっきりしませんね……
今回はデレっぽい方向でしたが。

それでは。
1月からの全国編は、2回戦だけで終わるかもしれませんね。




――松実館



京太郎「……ふぅ」

京太郎(ようやく、仕事も一段落)

京太郎(とりあえず、少し休もう……)ガラッ


宥「……」スースー


京太郎「うわっ!?」ビクッ

京太郎(って、宥姉ちゃんか)

京太郎(いきなり目に入ったから、ビックリした)

京太郎(炬燵との組み合わせは、何度も見てきたのにな……)


京太郎「お、お邪魔します……」モジモジ

宥「……」

京太郎(全く、動じない)

京太郎(つまりは、熟睡状態ということか)


京太郎「……さて」

京太郎(仕事の休憩と言っても、長くは取れないだろう)

京太郎(あまり玄姉ちゃんに負担をかけたくはないし……)

京太郎(軽く、横になる程度で――)ゴロッ


京太郎「……」

京太郎(こうして、天井を見てると)

京太郎(ここで働くようになってから、それなりの時間が経ったことを実感する)

京太郎(――まさか、ここまで二人の『姉』と近くなるとは思わなかったなぁ)

宥「……んぅ」ゴロン

京太郎「」

京太郎(なんて、つらつらと考えていたら)

京太郎(俺の懐に、宥姉ちゃんの身体が張り付いた)

京太郎(ほんの少し視線をずらせば、そこには宥姉ちゃんの口唇が――)


京太郎「ゆ、宥姉ちゃん?」

宥「――」スースー

京太郎(熟睡してる……)

京太郎(お、落ち着け……今なら、出られる)

宥「……んん」ピクン

京太郎「」

京太郎(なんと、宥姉ちゃんの腕が俺の身体に絡みついた)

京太郎(ま、まずいことに……)


京太郎「おーい」

宥「……」

京太郎(熟睡にもほどがあるだろ……)

京太郎(でも、あまり強く揺らして、起こすのも可哀想だし)

京太郎(それに、この腕を乱暴に解きたくもない――)

京太郎「……甘すぎだろ、俺」

京太郎(どうも、二人の『姉』には、必要以上に優しくしすぎてる)


宥「……きょう、たろう、くん」

京太郎「わっ!?」

宥「――えへへ」ニコニコ

京太郎(ね、寝言?)

宥「――きもち、いい」

京太郎(この状況でそういうこと言われると)

京太郎(おかしな方向に思考が――!)

宥「……」ダキッ

京太郎(抱きついてきた……)

宥「――」エヘヘ

京太郎(なんだ、これ)

京太郎(というか宥姉ちゃん、炬燵の中なのに寒いって……)

京太郎(――俺は、カイロ代わりか?)


宥「――ふ、く」

京太郎「?」

宥「――えへ、へ」

京太郎(――ふく?)

京太郎(あぁ、服か。なるほど)

京太郎(……ん?)

京太郎(もしかして俺、取り込まれる……とか?)


宥「――」ギュッ

京太郎(うおっ!?)

京太郎(さ、さっきより絡みが強くなった……!)

京太郎(ま、まずい! 宥姉ちゃんの口唇やらおもちやらが……!)

京太郎(ち、近すぎる……)


京太郎「……」

京太郎(もう、離れられない)

京太郎(離れる気は、最初から無かったけれど)

宥「……」

京太郎(それ以上に、今の宥姉ちゃんはヤバい)


京太郎「ゆ、宥姉ちゃん」

宥「――ん」

京太郎(ちょっと動いただけで、おもちが触れそうになる)

京太郎(……こんなんで顔が真赤になるとか、高校生のままだな)

京太郎「……あ、あのさ」

宥「……」

京太郎(うう……宥姉ちゃんの匂いとかその他諸々が、俺の思考を……)

京太郎「そ、そろそろ、行かないと、だから……」

宥「――」

京太郎「ご、ごめn」


玄「京太郎くん! そろそろ、時間です、よ……?」ガラッ


京太郎「」

宥「……えへ、へ」スースー

玄「……これは、どういうことなのです?」ジトッ

京太郎「玄姉ちゃん、これにはそれなりに深いワケが……」


玄「――もう」

宥「……ご、ごめんなさい」

宥「ああ――なんてことを」

京太郎「そ、そんなに気にしなくていいって」

玄「もう、お姉ちゃんは、寝たら見境ないんだから……」

宥「う、うう……」

京太郎「?」

宥「は、恥ずかしい……」カァァ

京太郎「――う」

京太郎(そういや、ホントすぐ近くに、口唇やらおもちやらあったからな)

京太郎(――理性、よく保ってられたなぁ……)

玄「まったく」

玄「緊張感が足りませんよ、京太郎くん」

京太郎「ご、ごめんなさい……」

玄「――今度は」

京太郎「?」

玄「今度は、私も、仲間に……」モジモジ

京太郎(あぁ、いつもの玄姉ちゃんだ)

京太郎(カッコつけようと思ってカッコつけきれない、そんな姉ちゃんだ)


宥「きょ、京太郎くん、ごめんねぇ……」ウルウル

京太郎「い、いいって、宥姉ちゃん」

宥「――わ、私」

宥「変なコト、しなかった?」モジモジ

京太郎「……」

京太郎「凄く近くに、宥姉ちゃんの――」

宥「も、もうやめてぇ……!」カァァ

京太郎(宥姉ちゃんは宥姉ちゃんで、毎度恥ずかしがり屋だ)

京太郎(……そういや、この前の夜も)

京太郎(しばらく、布団から出てこなかったな――裸なのが恥ずかしくなったとかで)

京太郎(スイッチ入ると、すぐに赤くなるんだから……)


玄「と、いうわけで」

玄「さ、そろそろ働くよ!」

京太郎「はい、玄姉ちゃん」

宥「……」

京太郎「――宥姉ちゃん」

宥「は、はい!?」ビクッ


京太郎「……その」

京太郎「あったかかった」

宥「……!」

京太郎「それじゃ、また」



ガチャッ・・・



宥「……」

宥「あわわ……」アセアセ

宥(京太郎くんは、卑怯だよ……)

宥(どこまで、あったかくさせるつもりなの――!)カァァ

ここまでです。

相変わらずの、松実姉妹ハーレムルート……?
ちょっとした切っ掛けでも、すぐに夜のことを思い浮かべる京ちゃんときたら……。

それでは。次スレを建てる時も近い。

咲「私は、普通の文学少女です」 京太郎「大嘘」 照「……6冊目」【阿知賀成分】
咲「私は、普通の文学少女です」 京太郎「大嘘」 照「……6冊目」【阿知賀成分】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382723786/)

新スレ建てました。
というわけで、埋めお願いします。


咲「……ついに、6スレ目」

京太郎「長かったような……短かったような?」

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