カイジ「はじめてのおつかいか…」(22)
カイジ「おつかい…?誰がやるか…!そんなもの…!」
母「そんなこと言わないで。ほら、余ったお金でお菓子買っていいから」
カイジ「やる…!俺はやる…!」ボロ…ボロ…
カイジ「それじゃあ…行ってくる…!」
母「いってらっしゃーい!」
母はカイジを見送った後、室内のモニターでカイジの動向を観察…!カイジが何かやらかしてしまったり、隠し事をしてもすぐにバレる、悪魔のシステム……
カイジ「ひい…ふう…みい……2000円もありやがる…!これだけあればなんだって…!」
母がカイジに頼んだのはカレーの材料……人参じゃがいも玉ねぎカレー粉…あまりにもポピュラー……
だが一つだけ…普段は牛肉のところをウィンナーに変更……引っ掛け…悪魔の所業…!
カイジ「まずは八百屋だ…!そこで野菜を買う…!」
カイジ、まずは八百屋に狙いを定める……
理由らしい理由は無く、八百屋は道なりに進めば着く…一番近いからだった…が…!
作業員「こちら、只今工事中となっておりまーす。迂回してくださーい」
カイジ「なっ…!ふざけんな…!なんで今日に限って工事…!別の日にやれ…!そんな…糞の役にも立たない作業は…!」
だがどうすることもできない……渋々ながら迂回して目的地を目指すカイジ……だが、そんなカイジを嘲笑うように誘惑という名の魔の手が肩を叩く…!
カイジ「駄菓子屋がある…」
偶然か必然か…目の前には駄菓子屋が…… まるで手招きでもされているかのようにフラフラと駄菓子屋に入っていき手持ちの確認をするカイジ……!
カイジ「大丈夫…!200円くらいなら余る…確実に…!なら今ここで買っても問題は無い…!」
カイジの服に取り付けてあった盗聴器から聞こえる不吉な考え…!だが、実際ここでの買い物を200円に収めるならおつかいは果たせる…!果たせるが……
カイジ「おばちゃん!チョコマシュマロ箱ごとくれ!」
おばちゃん「はいよ。500円ね」
カイジ「へへっ…!大人買いなんて初めてしたぜ…!」
カイジ、圧倒的豪遊…!200円に収めるという話はどこへやら……。大人買いという魅力的な言葉に踊らされ500円の出費…!
母「あらあら…。あの子、前から誘惑に弱いところがあったんですが…ここでやっちゃうとは…」
これには母も苦笑い…
カイジ「よし、次は八百屋だな。さっさと終わらせて帰ろう」
チョコマシュマロを口に放り満足気なカイジ……そして道中でトラブルはあったものの無事に八百屋に到着…!このときカイジの所持金は1000円…!
カイジ「たしか…人参じゃがいも…玉ねぎだったよな…。おっちゃん!人参とじゃがいもと玉ねぎをくれ…!」
八百屋「あいよ!600円ね!」
危なげなく野菜を購入したカイジ!だが所持金は400円…!見えてきた…地獄の淵…!
カイジ「最後は肉とカレー粉か……たしか肉屋で全部売っていたはず…」
カイジは肉屋に行くことを決意…!チョコマシュマロを口に放り入れ進む…!進む…!進む…!
だが、肉屋もあと少し…!というところで異変に気づくカイジ…!
カイジ「……財布が無い…!」
そう、実は八百屋を出て行くときに財布をポケットに入れたつもりが落下…!そのまま気づかず肉屋まできてしまったのだ…!
カイジ「くそ…!どこだ…!どこで落とした…っ!」
必死に探すカイジ…!財布はまだ八百屋の前に落ちている…が…実はスタッフが一度それを回収……そして残金の400円を抜き取りまた元の場所へ戻していた…!
驚くことにこれは全て母親の立案…!
母「あの子には人生の厳しさを知ってほしいんです…」
カイジ「あった…俺の財布………!」
だがカイジ、ここで新たな異変に気付く…
「無い…?ねぇじゃねえか…!?金…!肉とカレー粉の金…!」
カイジ「くっ…!なぜ俺にばかりこんな艱難辛苦…!」ボロ…ボロ…
カイジ、号泣…!八百屋の前で人目をはばからずに泣く…!泣く…!泣く…!!
道行く人から怪訝な目で見られても止まらない…
涙と共にいたずらに時間だけが流れていく…!まるで命そのもののような…血の時間が…
5歳児を襲う圧倒的な理不尽…!
これにはスタジオもつられて涙……
カイジ「ダメだ…俺は越えれねぇ…この正念場…胸突き八丁……!だって無い…!この状況での…千載一遇…空前絶後…超絶奇絶…奇跡…神懸かり…!そんなチャンスは……」
だが、そんなカイジの耳にある音が入ってくる……
カイジ「なんだ…?この…カランカラン…って……」
音のした方へと向かうカイジ……すると……
おっさん「ざんねーん!はい、ティッシュね!」
カイジ「これだ……!」
カイジの目に再び生気が宿る…!
すぐさま景品を確認する…!
1等…ハワイ
2等…掃除機
3等…テレビ
そして4等………商店街で使える商品券3000円分…!
カイジ「これだ……この4等……!しかし…福引券…これがないと回せない…!あの悪魔……ガラガラを…!」
だがカイジの所持金は0円……これから買い物をして福引券をもらうことはできない……
あても無く歩くカイジ……
だが何か思いついたのか、ピタッとスーパーの前に止まる……そして観察……ただただスーパーの前のベンチで観察をする……
そしてカイジはある現象に気が付く……!
カイジ「やはり…思った通りだ…!詳しくは分からないが…この福引券、一定量の買い物をしなければ貰えない……!恐らく一枚あたり5000円……!そして多分あるはずだ……買い物カゴやゴミ箱…その中に……」
おもむろに買い物カゴを漁り出すカイジ……!すると……
カイジ「ククク……やはりあったか…補助券…!そりゃあある……だって邪魔…!普通はちまちま10枚も集めてたかが一回のチャンスにすがろうとしない……!捨てる……財布を圧迫するだけの紙は当然…捨てる…!」
これにはスタジオも騒然…!なんと、誰かが捨てた補助券を掻き集めそれでくじを引こう……ということなのだ…!
5歳児とは思えない異端の発想…!
それからカイジは町中を歩き回り…道端、買い物カゴ、ゴミ箱…至るところから補助券を掻き集めた…!結果…70枚……!くじ7回分の権利を得た…!
カイジ「おっちゃん……これでくじを引かせてくれ…!」
おっさん「なんだ…?随分あるな……えーっと…7回分ね…!じゃあゆっくり回してねー」
カイジ「まずは一回目……」
ガラガラガラガラ……コトン…!
出てきた玉の色は……白…!ティッシュ…ティッシュの白…!
おっさん「はーいティッシュねー」
カイジ「うるせぇ…!捨てておけ…!そんな紙屑…!」
その後も回すが5回連続で白…!気付けば残すチャンスは一回…!泣いても笑っても一回だけ…!
カイジ「強運なんかじゃ…なくていい…!奇跡もいらない…!平運…!起こってくれよ…!俺にごく普通の現象…確立…!」
そして最後の一回を回すカイジ……スタジオも固唾を呑んで見守る……
カイジ「神よ……俺を祝福しろ…!」
ガラガラガラガラ……コトン
出てきた玉は赤…!4等…!4等の赤…!
カイジ「僥倖…!圧倒的僥倖…!」
おっさん「おお~~あた~り~!」
これにはスタジオも騒然…!まさか当たるとは思っていなかった…だが目の前で起こっているのだ…!
所さん「凄いなぁ~」
だが、まだ終わらない……!その後、カイジは肉屋に向かいウィンナーとカレー粉を購入……に見えたが…
カイジ「牛肉と…あと、このカレー粉ください」
ウィンナーでは無く牛肉…!そして選んだカレー粉は辛口…!
ここにきて凡ミス…!先程のカイジとは打って変わってつまらない凡ミス…!
家で母になじられること必死…!
とにもかくにも帰宅…!凱旋…!
ミスを責めるかと思いきや、待ち受けていたのは母親からの抱擁…!
母「頑張ったわね…カイジ…!」
カイジ「よせ…!よしゃあがれってんだ…!」
そして夕食…
カイジ「なんだ…このカレー……なんでこんな辛いんだ…!」
おわり
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