グラハム「BETAだと!?」 (529)

――これは死ではない……!人類が生きる為の――!


グラハム「……ここは…どこだ?」

グラハム(確か、私は大型ELSに…何故私は生きている?)

グラハム(ここは、戦場か……?どうなっている?)

グラハム(ええい!理解できん!)

グラハム(考えられるのは連邦軍が地球の防衛に失敗し、ELSの地球進行を許し、人類は壊滅的なダメージを負った…あるいは全滅したか…そう考えるのが妥当ではあるが…)

グラハム(だが、それでは私が生存している説明はつかん…もしかして、何か面倒な事に巻き込まれたか?)




※グラハムならあの絶望的な状況を何とかしてくれる思って書いたグラハムによるグラハムの為の濃厚なグラハムSSです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1372429479

グラハム(しかし考えたくはない。何よりも、私が信じ、未来を託した少年が未来を切り開くことに失敗したとは、考えられないし、考えたくもない)

グラハム「むっ、人がいるな…人類は絶滅していなかったというわけか。考えていても仕方がない。まずは話を聞いてみることにしよう」

グラハム「すまない。私は地球連邦軍ソルブレイブス隊所属のグラハム・エーカーだ。この場所の状況とELSの詳細をお聞かせ願いたい」

兵士級「wwwwwwwww」

グラハム「言葉がわからん…異国人か…よわったな…」

兵士級「wwwwwww」ブゥン

グラハム「何!?いきなり攻撃を仕掛けてくるとは……無礼だぞ!」

グラハム(む?よく見るとこいつ…変だぞ。顔が気持ち悪いし……全体的に気持ちが悪い…まさか……)

グラハム「敵かッ!?」

兵士級「wwwwwwww」ガブゥッ

グラハム「ええい!人間に擬態して近付いてくるとは!まさかELSか!?だとしたら接触は避けたほうが賢明か!」

兵士級「wwwwwww」グアッ

グラハム「ハムパンチ!」ドグシャッ

兵士級「!?」

グラハム「追撃だ!馬乗り!ハムチョップチョップチョップ!」バキッバキッバキッ

グラハム「許さんぞELS!イェーガンの敵!ついでに私の分もだ!」グチュッ

兵士級「」

グラハム「目標は沈黙したか…しかし…どうなっているのだ?」

グラハム(少年……君は、ELSとの対話に失敗してしまったのか……?)

衛士A「大丈夫か!?君!」

グラハム「ん?今度は人間のようだな…」

衛士B「……凄いな。兵士級を素手で…君、その格闘術をどこで?」

グラハム「私はかつて、武士道を極めようと修行に明け暮れていた!」

衛士A「では、修行をしにわざわざ日本に……どうやってきたのかは全く分からないが、君、ここは立ち入り禁止だ。それに、ここはBETAが出現する。危険だ」

グラハム「BETA?」

衛士B「何を言っているんだ。君が倒したソイツだよ」

グラハム「ELSではないのか……?すまない。その話、詳しくお聞かせ願いたい」

衛士A「変わった子だな……」

グラハム「…さっきから気になっていたのだが、30過ぎた男を、「君」だとか「変わった子」等、少々子ども扱いしすぎではないか……?」

衛士B「30過ぎ?馬鹿言っちゃいけないよ。どっからどうみても、君はまだ、16、7歳だろう」

グラハム「…………」ジブンノカラダナガメー

グラハム「乙女座の運命と言う物は流石の私にも理解できんな……」

衛士A「何を馬鹿な事を……さ、取り合えずここは危け――――うわあああ!?」

兵士級いっぱい「wwwwwwwwwwwwwww」ワラワラ

グラハム「何!?援軍だと!?」

グラハム「ええい!退路を開けてみせ――――ん?」


ババババババッ!


兵士級「wwwwwww!?」

衛士A「助かった……戦術機だ……」


グラハム「モビルスーツ……?いや、違う……なんだ…?」

グラハム「グラハム・エーカーだ。検査が終了し、話があるとのことなのでこちらへ参った」ウィィン

?「待ってたわ……私は夕呼。ここの副司令よ」

夕呼「……4時間以上も検査があったのに全く疲れていないようね。素手でBETAが倒せたってのもあながち嘘ってわけでもなさそうね」

グラハム「私はかつてミスター・ブシドーと呼ばれた男だ。しかし検査など、物騒な事をする…」

夕呼「ま、貴方が日本人じゃなくて、戸籍も存在せず、あれだけの戦闘力を所持していれば、少しは疑いが出てくるわよ」

グラハム「一理あるな。だが、BETAとは?私は聞いたことが無い。それに、戦術機。私としてはこちらの方に興味がある」

夕呼「それね。私も、貴方の検査中の会話を聞かせてもらったのだけど……」

グラハム「盗み聞きとは関心せんな」

夕呼「しょうがないじゃない。で、私が気になっている単語は2つ。一つは「ELS」。もう一つは「モビルスーツ」。教えてくれないかしら?」

グラハム「構わない。だが、私も2つ、知りたいことがある。一つは「BETA」。もう一つは「戦術機」。交換条件といこうじゃないか」

夕呼「……なぜそれを知らないのか疑問なくらいよ。その理由も、教えて欲しいわね。その程度でいいなら、喜んで教えるわ。けれど、機密事項は漏らさないから、その辺はよろしくね」

グラハム「交渉成立だな」

夕呼「今から300年以上後の話……ELSと呼ばれる変異性金属体の戦闘……MSと呼ばれるビーム兵器を搭載した人型機動兵器…まるでアニメね…」

グラハム「BETAと呼ばれる謎の生命体…そしてここは、私の住んでいた世界よりもはるか昔……なんという不可思議な……」

夕呼「けれども、それがお互いの現実のようね」

グラハム「…信じるのか?」

夕呼「保留ってとこね。でも、もしもその話が本当なら、人類はBETAによって滅ぼされない、という事でいいのかしら?」

グラハム「それについては私は何とも言えない。私の記憶が正しければ、BETAとの戦闘も、戦術機も、私のいた世界にはなかった」

夕呼「え?」

グラハム「ここと私のいた時代は完全に別世界、と言う事になるな」

夕呼「別世界……」

グラハム「驚かないのか?」

夕呼「いえ…」

グラハム「…そうか。それより、話が終わってしまったが、私はどうなる?独房入りか?」

夕呼「それについてだけど、貴方の話を聞く限りでは、私たちの害となる存在ではなさそうだわ。そこで、貴方には衛士訓練学校に行ってもらう事にしたわ」

グラハム「……何?」

夕呼「貴方、軍人としてはかなりやる方でしょ?なにせBETAを素手で倒しちゃうんだもの」

グラハム「…だが、何故訓練学校に?」

夕呼「貴方は、BETAや戦術機に対しての知識があまりにも不足している。いきなり実戦に出たら、いくら腕がよくたってまともに対応できずに即二階級特進よ?」

グラハム「…なるほど」

夕呼「貴方には、第207衛士訓練小隊に訓練兵として配属されてもらうわ。異論はないわね?」

グラハム「ふっ…戦術機に乗れる機会がやってくるとは……願ってもないことだ!」

?「もし、そこのお方」

グラハム「私か?」

?「危険です故、外部の方のここから先の立ち入りは、ご遠慮ください」

グラハム「いや、私は――」

?「御剣、いいんだ」

冥夜「教官!」

教官(まりも)「グラハム・エーカーだな?」

グラハム「いかにも。私はグラハム・エーカーだ」

冥夜「では、貴方が素手でBETAを倒したという……」

グラハム「やれやれ、既に噂が広まっているとは……」

まりも「小隊集合!」

ザザザザッ

千鶴「207小隊!全員集合しました!」

グラハム(見事に女ばかりだ……いや、軍人に男も女も関係ないか)

まりも「よし、では紹介しよう。新しく207訓練小隊に配属されることになったグラハム・エーカー訓練兵だ」

グラハム「聞いての通り、本日付で第207訓練小隊に配属されることになったグラハム・エーカー少…訓練兵だ。よろしく頼む」

まりも「見ての通り男だ。しかも、この時期でというので驚いただろうが事情があってな。ここで訓練を受けてもらう事になったらしい」

まりも「訓練には明日から参加してもらう。わかったな?」

一同「はい!」

まりも「では、本日の訓練は終了!解散!」

壬姫「エーカーさーん!こっちこっち!」

グラハム「ああ、わかった」

冥夜「早かったな」

千鶴「だって、案内の必要が全くないんだもん」

冥夜「ん?何故だ?」

千鶴「どこを案内しても『興が乗らん!』の一点張り。まじめにやる気があるんだか…」

グラハム「私は夕飯を所望している……果てしない程に!」

千鶴「ね?」

冥夜「なんともユニークな人なのだな……そうだ、グラハム。これを教官から預かってきたぞ」

グラハム「む?」

千鶴「あ、ありがと。それ、明日までに暗記して。入隊宣告してもらうから」

グラハム「入隊宣告?面倒だな」

千鶴「こればっかりは『興が乗らん!』は通用しないわよ?」

グラハム「……了承した」

慧「へぇ……ちゃんとやるんだ?」

グラハム「さてな…」

千鶴「…正直、かなり期待していたんだけど、ちょっと考え直したいわ……」

壬姫「あ、そういえば、素手でBETAを倒したって本当ですか?」

グラハム「ああ…一応だが。最初は人間かと思って近付いたらいきなり攻撃してきてな。応戦したら倒してしまった」

冥夜「それは頼もしいな……」

慧「あれを人間と見間違うってのも、どうかと思うけどね……」

グラハム「そう褒めるな…」

冥夜「しかし、その……エーカーが変人だといっても、やはり期待はさせてもらう」

グラハム「変人とはよく言われる…しかし、その汚名、戦場で晴らさせていただく」

慧「……だといいけど」

千鶴「……先が思いやられるわ」

グラハム「よって、グラハム・エーカーはここに宣言する!身をもって責務の完遂に努め、もって人類の負託に応える事を誓おう!」

『横浜基地一同、貴様の入隊を歓迎する!』

――――

グラハム「ガンダムガンダムガンダム!!抱きしめたいな!ガンダム!!」

まりも「どういう体の構造をしているんだ…貴様……完全装備と火器のダミーを6人分担いで、トラックを30周…」

まりも「10周と完全装備と火器のダミー6人分のハンデがあって、どうして他の者を周回遅れに出来るんだ!?大体、どうやって持っているんだ!?デンドロビウムみたいになってるぞ!?」

グラハム「これがフラッグファイターの実力だ」

壬姫「わ…わけがわからないです……」ゼイゼイ

冥夜「想像以上でおさまるレベルではないな……」ハァハァ

まりも「で、なんとかがなんとかでどーとかだ。異常が、爆破物の種類だ」

グラハム「少年が一匹……少年が二匹……青年が三匹……おお……ガンダム、フラッグまで……」スピースピー

まりも「おい!エーカー訓練兵!起きろ!!」ゴツン

グラハム「んぐっ!?絶対に許さんぞ!!神宮司女史!!」ガバァ

まりも「なっ……なんだ、いきなり!?」アセアセ

グラハム「私の今世紀最大にして最高の夢を……!!よくも!!堪忍袋の緒が切れた!許さんぞ!!」

まりも「……ふざけるな!!万が一という事もある!!貴様、爆発物にどう対応するつもりだ!?」

グラハム「そんなもの、気合で何とかしてみせる!!」

壬姫「本当に何とかしそうです……」

冥千慧「同感」

まりも「……罰として完全装備でトラック10周してこい」

グラハム「ええい……!了解した……」ガラッ

千鶴「……ハァ」

慧「……馬鹿」

冥夜「正直、何も言えないな」

壬姫「エーカーさん、凄いのか凄くないのか、全く分からないです……」

グラハム「10周終了!」ガラッ

壬冥千慧「はやいよ!」

グラハム「だが言われた通り、完全装備で10周はしてきた。グラハム・エーカー。着席する」

冥夜「もしかしなくても、ある意味では凄い奴なんだという事は分かった…」

千慧壬「うん」

本日はここまでです。
後日続きを投下いたします。

シリアス系だと思った人はどんまいごめんなさい

最初に言った通り、設定何ざ知らねえよなグラハムによりグラハムの為の濃厚なグラハムSSになっております。

まりも「小銃の分解と組み立てだ」

グラハム「…………」パチンパチン

千鶴「……」カチャカチャ

カチャカチャフフフショウネンカチャカチャカチャ

まりも(よし、今日は居眠りしていないな…)

グラハム「完成した」

まりも「4分3秒……早いな。よし、みせてみろ」

グラハム「MG ダブルオーライザーだ。なかなかの出来だと思うが……いかがかな?」

まりも「……」バキッ

グラハム「ガンダァァァム!!何故量子化しなかった!?君ともあろう者が!」

まりも「エーカー。今日は訓練が終わったらゆっくり話し合おうな」

グラハム「謹んで辞退しよう」

まりも「遠慮しなくていい」

グラハム「遠慮では無いよ」

グラハム「ちぃ!この私が説教される事になるとは……!」

グラハム「…………」



まりも『貴様は人類の為に戦う気があるのか!?私たちが敗退すれば、人類は滅びてしまうのだぞ!?』



グラハム(神宮司女史、その質問にだけはイエスと答えさせていただく)

グラハム(私は、私のやり方でこの世界を救って見せる。少年。君がそうしたように)

グラハム(私にも、私なりの維持がある。例え世界が私を拒もうとも、無理やりにでもしがみついてみせる)カツカツカツ

グラハム(……ん?)

武「……」

グラハム(…あの少年。いい眼をしている。大きな覚悟を持ち、全てを知っている様な眼だ。是非手合せ願いたいものだ)

?「あっ!?」ドン

グラハム「失礼。私としたことがよそ見をしていた。怪我はないか?」

?「大丈夫だよー。そっちこそ大丈夫?」

グラハム「この私、グラハム・エーカーは並大抵の事では傷つかん」

?「あれ?グラハム?もしかして、新しく207訓練小隊に入った?」

グラハム「そうだ。だが何故君がそれを……?」

?「紹介が遅れたね。ボクは鎧衣美琴。ちょっと怪我で入院してていなかったけど、207訓練小隊の一人だよ」

グラハム「なるほど…申し遅れた。私はグラハム・エーカー。ごらんのとおり、軍人だ」

美琴「あははー。知ってるよー」

グラハム「細かな情報は無用、というわけか」

美琴「噂通りのユニークな人だねー。あ、ボク、教官に呼ばれてるんだった」

グラハム「ならば急ぐといい。何、先は長い。今でなくても話は出来るさ」

まりも「――てっ!」

バババババババッ

まりも「よし。いいだろう。やめ!」

グラハム「…」カシャッ

まりも「どうした。エーカー。確かにいい腕だが、今までのような人間離れした記録でもなければ破天荒な行動もしていないではないか」

グラハム「まるで私が問題児な様な言い草だな……」

まりも「現にそうだろう。で、今度は何を企んでいる?」

グラハム「……私は格闘戦を得意とし、また好んでいる。故に、射撃は格闘程修行を積んでおらず、私もそこまで得意としていない。そして、格闘程得意ではないからこそ真剣に取り組む必要があると私なりに考えた結果での行動だ」

壬姫「以外にまともな意見……」

冥夜「いや……普通にまともだ」

慧「……一応、考えて行動していたみたいだね」

千鶴「見直したわ…」

美琴「え?え?何?グラハムって問題児なの?」

千鶴「ええ…まあ、それなりに…いや、かなりに…」

まりも「…訓練を再開しろ。なあ、エーカー。どうやら私は貴様という男を勘違いしていたらしい」

グラハム「気にする事はないさ。私ほど理解する事が難しい人間はそうはおらんよ」

まりも「ふっ…そうだな…」

冥夜「グラハム!」

グラハム「お呼びかな?」

壬姫「エーカーさん!今日、カッコよかったですよ!」

冥夜「うむ。そなたはただの変人だと思っていたが、勘違いだったようだ」

グラハム「私としては特別何かした覚えは無いのだが…」

千鶴「射撃訓練の時よ」

慧「……とてもすごくまじめだった」

グラハム「私は何時だって大真面目だ」

千鶴「…ふふ、そうね」

冥夜「そなたという人間が、少しわかったような気がしたぞ」

壬姫「でねでね!みんなで相談したんですけど、グラハムさんの歓迎会をすることにしたんですよー!」

グラハム「なんと!?」

千鶴「歓迎会と言ってもたいそうな物じゃないわよ。そう期待しないで」

冥夜「うむ。それと、これ。安物だが、プレゼントだ」

『HG ユニオンフラッグカスタム』

グラハム「これは…私の…フラッグ……」

壬姫「さっき偶然見つけたんですよー。お店の人も、「こんな商品あったかな?」って言ってましたけど」

慧「……前に、これに似たものを作っていたから」

グラハム「ハワード…ダリル…私は最高の幸せ者だ……こんなにもいい仲間に巡り合えたぞ…」だばー

冥夜「なっ……何を泣いているのだ…?」

千鶴「泣くほどの事でもないと思うけど…」

グラハム「乙女座の私は、センチメンタリズムな運命を感じられずにはいられない…!」

美琴「大げさだよ、グラハム」

グラハム「大げさではない。私は決めたぞ!君達を絶対に死なせはせん!!何があってもだ!絶対に護ってみせる!!このフラッグに誓って!」

慧「……大声でいわないで。恥ずかしい」

千鶴「でも……」

冥夜「ああ。悪い気分ではないな…」

慧「…格闘訓練」

グラハム「ぬううおおおおおお!!」

冥夜「…ッ!」

壬姫「あの御剣さんが…」

千鶴「防戦一方……」

グラハム「どうした!?息が上がっているぞ!」ハムソード!

冥夜「――ッ!」

グラハム「防戦一方だな!手を抜くか、それとも私を愚弄するか…」

冥夜「くっ…!いくぞ!グラハムッ!」バッ

グラハム「良く踏み込んできた!それでこそだ、冥夜!」

グラハム「だが…未熟!」ワンセコンドカノウ!ワンセコンドカノウ!

冥夜「!?」

慧「……今の…何…」

美琴「……一瞬紅く光ったように見えたけど…」

グラハム「人呼んで、グランハム!」

壬姫「誰も呼んでないよ…」

グラハム「訓練終了!グラハム・エーカー!自室へ戻るっ!」ダダダダッ

グラハム「おや?」

冥夜「グラハムか。何をしている?」

グラハム「自室に戻っているところだ。そちらは?」

冥夜「私もだ。結局、今日は一度も勝てなかったな」

グラハム「何度やっても負けはせんよ。では、私はこれにて失礼する」スタスタ

冥夜「不思議な男だ…初めは疎ましく思ったものだが、今では隊全体の士気上昇にまでつながっている…」

冥夜「グラハム・エーカー…か」



グラハム「早く部屋に戻って、こいつをプレイしたいものだ…!」

『少年と一緒☆ドキドキトレミー生活♪』

グラハム「ふふふふふ…しょ、少年ッ!」

めざましエーカーくん『グラハム・エーカーであると!グラハム・エーカーであると!グラハm』ピッ

グラハム「朝か…殆ど徹夜でプレイしていたからな…今日は1時間程しか寝ていない…流石の私もボーッとしているぞ!」

千鶴「全然元気じゃない」

グラハム「ん……千鶴か?こんな朝早くにどうした?」

千鶴「もう集合時間とっくに過ぎてるわよ」

グラハム「なんと!?」

千鶴「…何やってたわけ?」チラッ

『少年と一緒☆ドキドキトレミー生活♪』
『哀戦士 死にゆく漢の愛の物語』
『第二次いい男大戦Z』

千鶴「こんなのどうやって持ち込んだのよ……」

グラハム「私の無理でこじ開けた」

千鶴「そう…」スッ

千鶴「……」ゴクリッ

グラハム「どうした?」

千鶴「えっ!?いやっ……と、とにかく、急いだ方がいいわ!」

まりも「エーカー。遅れた理由を説明しろ。嘘、偽りなくだ」

グラハム「寝ていた」

まりも「……率直だな」

グラハム「嘘、偽りなくといったのは貴女だ。神宮司女史」

まりも「…で、昨日の夜は何をしていた?」

グラハム「愛を…愛を育んでいた!」

ま壬慧冥鎧「!!??」

千鶴「……」

グラハム「ふふふふふ……おっと、思い出したら欲望が体の端からにじみ出てしまったようだ…」ジュルリ

まりも「わ、わかった…席に戻れ…今日は救急処置の授業だ」

グラハム「了解した!」

グラハム「救急処置!」

美琴「じゃあ、人工呼吸なんだけど…ボクが寝転がるから、グラハム、今教えたことやってみて」

グラハム「なんという僥倖!」

美琴「ふざけないでよー。真剣にやらないと命にかかわる事なんだよー?」ゴロン

美琴「じゃ、グラハム、やってみて」

グラハム「まさに眠り姫だな…」

冥夜「グラハム。ふざけるでない」

グラハム「怖い顔だ…」

冥夜「グラハム!」

グラハム「何を怒っている…?」

美琴「はやくしてよー」

美琴「だから、止血をしたら2時間以内に医者に見せないと壊死が始まっちゃうんだよ」

グラハム「2時間もあれば出血が止まる私はどうすればいいのかな?」

千鶴「流石は衛生兵ね」

美琴「あはは、これくらいは知ってて当然だよー」

壬姫「いざという時の為にはきちんと聞いておかないとね!」

グラハム「私は「ああ、はいはい。治ったら外せばいいと思うよ」

グラハム「了解した!」

冥夜(グラハムめ。一体何をしていたというのだ)ウィィン

冥夜(けっ、決して気になったわけではない!グラハムの部屋に来たのは、グラハムが隊を乱すような事をしていないか調べにきただけだ!)

冥夜(…しかし、軍人とは思えない部屋だな。ゲーム機が並び、大量のロボットのプラモデル…大量の娯楽小説…どこを見ても『ガンダム』ばかり…)

冥夜(ん?机の上に…書きかけの手紙?まさか女性宛では…!?)


『ハワード、ダリル。久しぶりだな。私は元気にやっている。いきなりだが、私はとてもいい仲間に恵まれた』

冥夜 (……)

『神宮司まりも。彼女は私達訓練兵の事をしっかりと考え、愛を持って接してくれている。愛ゆえの厳しさを感じる事もあるが、私は彼女をとても信頼しているし、また、それに値する人物であるだろう』

冥夜(…許して欲しい。グラハム。私はまた、お前を勘違いしていたようだ……)

冥夜(ん?わ、私の事も……)ゴクリッ

『御剣冥夜。彼女もとても魅力的な女性だ。格闘術にも秀でている。育ってくれれば、私の良きライバルになってくれるかもしれん』

冥夜(みっ…りょく…的…)

グラハム「ただいまと言わせて貰おう!」

冥夜「!!!??」ビクゥッ

グラハム「おや、冥夜。待たせてしまったかな?何か用だったか?」

冥夜「なななななっなんでもない!」バタバタウィィン

グラハム「……?」

グラハム「おや、手紙、完全に忘れていた。一昨日から出しっ放しだった。余りにセンチメンタルな気分になり過ぎて勢いで書いた手紙だが、読み返すと恥ずかしいな。昨日はゲームばかりで…いかんいかん。流石にゲームのやり過ぎで寝坊は軍人としてはナンセンスだ」

グラハム「だがとりあえず続きをプレイするとするか!」ピッ

コイツヲドウオモウ?
スゴクオオキイデス…

グラハム「なんという名シーン!泣かずにはいられない!」だばー

グラハム「諸君、朝の挨拶、すなわち、おはようという言葉を謹んで送らせて貰おう」

千鶴「あ、おはようグラハム」

美琴「先食べてるよー」

グラハム「何、構わんさ」

グラハム「グラハム・スペシャル!!」ガツガツガツガツ!

グラハム「アンド・リバース!」オロロロロロロロロ

千鶴「いやあああ!?」

慧「食べ物を粗末にしちゃダメ」

壬姫「グラハムさん、汚いよ…」

グラハム「くっ……一度に食べ過ぎたか…!」

冥夜「1分で3人前も食べればそうなる…」

壬姫「早送り再生みたいだったよね」

グラハム「戦場では一分一秒が生死を争う!というか私は、本日、昼食、夕食の時間もゲームをプレイしていたいと思う!」

グラハム「故に、私は一度で三回分の栄養を補給しようと考えたのだ!」

グラハム「しかしとんだ誤算だ…名案だと思ったのだがッ…!」フキフキ

一時休憩する!


※あくまでもメインはグラハムです。理不尽の塊であるグラハムが介入した世界のバランスは既に崩壊しております。
よって、グラハム知らねーけどマブラヴ好きだわwwwwな人はお帰り下さい。マブラヴ知らねーけどグラハム好きだわwwwwな人はアバ茶でも飲んでゆっくりしてってください。

冥夜「グラハム…」

グラハム「ん?」

冥夜「ハワードと、ダリル…だったか?は、元気か?」

グラハム「……!何故その名を…?」

冥夜「い、いや、少し耳に挟んだものでな」

壬姫「グラハムさんの友人ですか?」

グラハム「……ああ。私の部下であり、フラッグを愛する同志…共にガンダムを追いかけたよき友でもある…いい奴等だった…」

慧「……だった?」

グラハム「ハワードとダリルは……2人とも対ガンダム戦で戦死している」

壬姫「えっ……!」

冥夜「……!」

千鶴「戦死…」

鎧衣「…そう…なんだ……」

慧「……グラハムよく言ってるよね。ガンダムって…」

壬姫「どうして……」

グラハム「憎しみ故の愛……いや、それは違うな。私はガンダムに心奪われた。彼等がガンダムに倒されたからこそ、私はガンダムにコンプレックスを抱き、そしてガンダムに憧れていたのかもしれない」

壬姫「……!ごめん、なさい」

慧「……配慮が、足りなかった。失言…」

冥夜「…………」

グラハム「気にするな。配慮が足りなかったのは私だ。折角、場を盛り上げようと冥夜が私に話を振ってくれたのに、私の所為で暗い雰囲気になってしまった…。すまない冥夜。私は空気が読めない…」

冥夜「…………」

グラハム「…そろそろ自室に戻って寝る事にしよう」カツカツカツカツ

冥夜「グラハム!」

グラハム「ん?冥夜か。何か用かな?」

冥夜「今朝は…!すまなかった!」ガバッ

グラハム「ん!?」

冥夜「私はっ…!勝手にそなたの手紙を読んで舞い上がり、そなたを知ったつもりになっていた!」

冥夜「そなたの手紙を読むだけでは飽き足らず、そなたを知っているとアピールしたく、何も……何も知らない私が…!」

冥夜「結果的に、そなたを傷つけてしまった!私は、そなたを知る資格など…無かったのだ!」ポタポタ

グラハム「頭をあげてくれ…」

冥夜「本当に、すまなかった!嫌ってくれても構わない!だが、そなたの許しがあるまで私はこの頭をあげる訳にはいかない!私はそなたに、本当に申し訳ない事をした!」ポタポタ

グラハム「許すも何も、私は冥夜に対して、怒りを抱いたつもりはない」

冥夜「…慰めはいらない。私は、そなたに何を言われても仕方の無い事をした……」

冥夜「私は最低の女だ…死んで詫びたい気分だ…」

グラハム「甘ったれるな!冥夜!」

冥夜「…!」

グラハム「死は謝罪ではない!ただ逃げているだけだ!」

グラハム「何を言われるかわからなくて怖いから、死んで逃げると言っているのと同じだ!」

グラハム「生きる事が戦いだ!それに、私は、君達を何があっても護ってみせると誓った筈だ!私の顔に泥を塗るつもりか!」

グラハム「生きろ!死ねば、千鶴達だけではない、教官も、私も悲しみ、嘆くだろう!」

冥夜「……!」

グラハム「ガンダムのパイロットは、私に生きる事が戦いだと教えてくれた。生きる為に戦えと!」

グラハム「冥夜、お前も、生きる為に戦え!」

冥夜「…何を言っているのか…わからないぞ…」グスッ

グラハム「私もそう思う!」

冥夜「……感謝…する…」ポロポロ

グラハム「……それにだ。涙目で謝るのは卑怯だ。それでは許すしかないだろう。男は女の涙に弱い」

冥夜「…!ああ…」

グラハム「私は失礼する」

千鶴「皆、よく聞いて」

慧壬冥美「ん?」

グラハム「私は聞いていないぞ」

千鶴「総合技術演習まで、後少ししかない…準備は、間に合う?」

美琴「大丈夫だよー」

冥夜「うむ」

壬姫「大丈夫!」

慧「うん」

グラハム「問題無いさ」

千鶴「グラハムは初めてだから言っておくけど、死人が出る事もある…て、グラハムに伝える必要は無さそうね」

グラハム「手助け、情報、一切無用!」

千鶴「あーはいはいそうね」

冥夜「これに合格出来れば、基礎訓練を終了し、戦術機の訓練に移行するということだ」

グラハム「なんと!?それは本当か!?」

冥夜「本当に何も聞いていないのだな…これは、いわば基礎訓練の卒業試験の様なものだ。兵士としての基盤が出来ているか確かめる演習と言ってもいい」

グラハム「待ちわびた日がやって来ると言うのか…生き恥を晒したかいが、あったというもの!」

千鶴「グラハムの周りにいる私達の方が恥ずかしいけどね」

慧「歩く恥」

グラハム「酷い言われようだ…」

千鶴「あ、グラハム演習の内容は聞かなくてもいいわよね?」

グラハム「情報はいらぬと言った」

千鶴「だろうと思ったわ…ま、グラハムなら大丈夫でしょう」

千鶴「私達は、前回の総合演習に落ちている…もう後は無いわ」

グラハム「それは残念だったな。だが、それもまた運命だ。君達がそれに落ち、再度基礎訓練に励んでいたからこそ、私は君達に出会う事が出来たのだ」

美琴「うん。そうだね」

壬姫「なんだか恥ずかしいね…」

千鶴「でも、今度は歩く反則のグラハムがいるから、何とかなりそうね…」

冥夜「だが、いくらグラハムがいるといっても油断は禁物だ。グラハムも総合演習の時だけは、勝手な行動は避けてほしい」

グラハム「承知している!私とて、我慢の限界だ…!今すぐにでも戦術機に乗りたいぞ!」

冥夜「うむ。それを聞いて安心したぞ」

グラハム「だが、最初に言っておく。こればかりは了承してほしい。とは言っても、君達が了承しなくとも、私はその時、自分を抑える事は出来ないだろう」

グラハム「私は命令よりも、君達の命を優先する。たとえそれが原因で試験に落ちるとしてもだ。例えこれが軍人失格の行動だとしてもだ。私は、絶対に泥を塗るわけにはいかない機体…フラッグに、君達の命を護るという誓いを立てた」

グラハム「よって私は、君達の命を最優先とし、総合技術演習の合格はその次に考えている」

千冥慧壬美「…………」

グラハム「…すまない。もしかしたら君達はまた、半年間基礎訓練をしてもらう事になるかもしれない。いや…下手をすれば…」

千鶴「もう…」

壬姫「グラハムさん……」

美琴「グラハム……」

慧「……ばか」

冥夜「……」

グラハム「……失礼した。私は先に部屋に戻る」ツカツカツカ

壬姫「……照れてる…のかな?」

千鶴「……」

慧「…自覚が無い」

冥夜「……殺し…文句だ…」

美琴「……うん」

冥夜(……本当に、理解できん男だ…)




グラハム「…」カチャカチャカチャ

『いい男じゃないの♂や・ら・な・い・か』アーッ♂クリティカルッ
『こ…小早川大尉ーーッ!』ドカーン

グラハム「よしっ!」

なんだかんだあって総合演習
グラハム「総合演習!はははははははっ!」ナドレッ

美琴「服を着てよー…パンツは履いているけど…」

グラハム「常夏!!バカンス!ガンダム!」シャニ!オルガ!クロト!サンバカーノガンダーム!

冥夜「はしゃぎ過ぎだ」

グラハム「そうか…!失礼した…」アムドーッ

夕呼「はい、これ。今回の任務よ」

千鶴「命令書、受領いたしました!」

夕呼「ま、せいぜい死なない程度に頑張りなさい」

グラハム「グラハム・キャッチ!&リリース!」

壬姫「うわぁー!グラハムさん素手で魚捕まえるなんてすごーい!」


夕呼「…殺しても死ななそうな人がいるから、大丈夫そうね」

千鶴「」

まりも「本作戦は(ry」

まりも「各自時計合わせ…作戦開始!」

グラハム「つまりは144時間以内に三か所の破壊対象を破壊し、ポイントまで到達すればいいのだな?」

冥夜「ああ」

グラハム「了解した。グラハム・エーカー!出撃する!」ドヒュゥン

千鶴「ちょっと待って!全員で1つずつ回っている暇はないわ!3つに分かれましょう!」

グラハム「なるほど。私は一人でいい」ザッザッザッ

冥夜「グラハム!勝手な行動は控えろと言っただろう!」

グラハム「くっ…了解した。作戦を聞こう」

千鶴「編成は……そうね。グラハムは鎧衣と組んで頂戴」

グラハム「了解した」

壬姫「あー!どうしてー?私が一緒に行きたかったのにー!」

千鶴「グラハムは一人で勝手に行動してしまう可能性があるわ…」

グラハム「信用無いな…」

千鶴「自業自得でしょう…だから、一番サバイバルスキルの高い鎧衣なら、最悪一人になっても無事でいられる可能性が一番高いわ」

グラハム「なるほど。理にかなっているな。ではいこうか!美琴!」

美琴「わわっ!?」

グラハム「グラハム・エーカー!鎧衣美琴!目標破壊任務了解!出撃する!」ズダダダッ

美琴「うわわわわ!?ひっぱらないでよ~~!?」

グラハム「あれが破壊目標か?」ザッザッザッ

美琴「そうみたいだね…どうやって破壊しようか?」

グラハム「破壊は任せるがいい!」

美琴「ああ!グラハム!?……何も持たずに行っちゃったよ。大丈夫かなぁ?」

グラハム「案ずるな!久しぶりの長時間の睡眠!今日の私は阿修羅すら凌駕する!」

美琴(大丈夫そうだなぁ)


ドカーン


美琴(もう破壊してる…けどやっぱり大丈夫かな?グラハム…)

グラハム「帰還した」ボロッ

美琴「うわぁ!?グラハム、大丈夫!?」

グラハム「問題は無い。ただ、少しばかり爆発に巻き込まれただけだ」

美琴「それを問題って言うんだよ…」

グラハム「それより、合流ポイントへ向かうぞ」ザッザッザッ

美琴「ああ!?待ってよぉ~、応急処置くらいしなってー!」

グラハム「問題ないと言った!」

グラハム「合流ポイントに到達した」

美琴「流石に誰も来てないね…」

グラハム「私は食料の確保に向かう」

美琴「あ、まってよ~。ボクも手伝うって~」

美琴(グラハムどこまでいったんだろう……?)もぐもぐ

グラハム「グラハム・エーカー!只今帰還した!」

美琴「あ、やっと戻って来たよ~。丸一日近くもどうしていたんだよ~?ボク寂しかったんだよ?」

グラハム「それはすまないことをした。だが、食料は大量に確保できたぞ」タランチュラーゴキブリーナメクジー

美琴「」

美琴「あ、冥夜さんたちが来た」

グラハム「待ちかねたぞ!」

冥夜「ああ…すまない……流石だな」

千鶴「グラハム、ボロボロじゃない…」

グラハム「問題は無い」

壬姫「あれー?もしかしてみんなそろってる?」

慧「……さすがだね」

グラハム「そう褒めるな…」

グラハム「私が捕ってきた食料を何故食べない?」

冥千壬慧美「……」無言の拒否

壬姫「わっ、この実食べられるかなー?」

美琴「パンギノキには強い毒があるよ」

慧「……これは?」

美琴「マチンは猛毒だね~」

慧「……なるほど。あげる」スッ

千鶴「いらないわよ!」

グラハム「では頂こう」ヒョイパクッ

千美壬慧冥「」

グラハム「意外といけるな」もぐもぐ

千鶴「グググググググラハムあああああんた何やって」

慧「……わたしの所為じゃない」

美琴「今すぐ吐き出して!ね?いい子だから…」

グラハム「断固辞退しよう」もぐもぐもぐもぐもぐもぐごくん

壬姫「ああああああ!?食べちゃった……」

冥夜「ああ…頭痛が…」クラッ

-さらに翌日-
グラハム「では、対ガンダム調査隊、MSWAD、脱出ポイントへ向かって飛翔する!」

千鶴「突っ込みどころが多すぎるからスルーするわよ」

美琴「グラハム、本当に何ともないの?」

グラハム「先程も言っただろう!このグラハム・エーカーは健康そのものだ!!」

冥夜「に…人間じゃない…」

慧「……体の構造がおかしい」

グラハム「崖を発見した。下に川が流れているな」

グラハム「では皆で橋を作r千鶴「彩峰、向こう側にロープをかけてきて」

慧「……りょーかい」

千鶴「流石ね…」

グラハム「……」

美琴「…あれ?」ポツポツ

千鶴「雨!?よりによってこんな時に……」ジャアアアアア

グラハム「川が増水する前に渡るぞ!」

冥夜「そうだな…行こう」

グラハム「全員渡りきったが……」

千鶴「雨がやまないわね…」

美琴「川も増水してるし、これじゃあ、慧さんにロープ回収してもらうのは無理だね…」

壬姫「雨が止むの待ってみる?」

冥夜「いつ止むのかわからん。時間の浪費であろう」

千鶴「ロープがいるかいらないか、早めに決断した方がいいわね…」

グラハム「あったほうがいいに決まっている!私がいこう!」

千鶴「危険よ!いくらグラハムでもこの川は……」

グラハム「問題ない。川には入らんよ。ハロ、トランザムは?」

壬姫「…?」

グラハム(裏声)「ワンセコンドカノウ!ワンセコンドカノウ!」

グラハム「十分だ!」ダッ

冥夜「まて!グラハム!何をするつもりだ!?」

グラハム「飛び越える!」ダダダダダ

壬姫「ちょ…無理だよ!人間の飛び越えられる距離じゃ…」

グラハム「トランザム!」バシュゥン!

冥千壬慧美「」

グラハム「着地!」ズザザザーッ

千鶴「…もう何があっても驚かないわ」

冥夜「…毎回言うが人間ではないな」

慧「また……発光した…」

本日の投下はここまでですよ!

千鶴「ここが脱出ポイントかしら?」

グラハム「そのようだな」

壬姫「発煙筒発見!」

グラハム「なんと!是非私にやらせてほしい!」

千鶴「へ?いいけど、なんで?」

グラハム「私は発煙筒を炊く事を所望している…!」

冥夜「……変な事を言う男だな」

慧「今に始まった事じゃない」

グラハム「ふふふふふふふふ!」

グラハム「点火!」ブシュウウウウ

グラハム「ドッキング!」スチャッ

壬姫「…発煙筒を背中につけてなにやってるんだろ?」

グラハム「GN粒子散布!」シュゴオオオオ

グラハム「ははははは!私がガンダムだ!」シュゴオオオオ

慧「いつもどおり」

冥夜「グラハムという男を知らないとただの変態だな…」

千鶴「知ってても変態にしか見えないわよ…」

壬姫「ていうか子供……」

美琴「ごっこ遊びかぁー。楽しそうだなぁー」

ダダダダダダダダダダダッ

全員「!?」

グラハム「ええい!砲撃だと!?」バクテンバクテン

美琴「グラハム!下がって!狙われている!」

グラハム「ちぃっ!この私が集中砲撃を受けるとは…」バックステップバックステップ

冥夜「グラハムッ!!こっちだ!」

グラハム「ええい!目の前に脱出ポイントがあるというのに……!あえて言おう砲台!覚えておくがいい!」

千鶴「馬鹿な事いってないで!ハチの巣になるわよ!」

夕呼『あー、皆、生きてる?』

千鶴「隊の損害はありません」

夕呼『そ。よかった。何故だかわからないけど、そこから見える半島の砲台が何故だか稼働しちゃっているのよね~』

グラハム「なんと不自然な偶然!で、私たちはどうすればいい?」

夕呼『で、新たな脱出ポイントを設定しておいたわ。E地点。つまり、攻撃をしている砲台の真後ろねぇ』

千鶴「そこに行くまでに、砲撃される危険性がありますが」

夕呼『私に出来るのは、新たな脱出ポイントを教える事だけよ』

グラハム「そちらの都合は理解した。ならば私も、私なりのやり方でこの訓練をクリアしてみせよう」

夕呼『そ。じゃ、頑張って頂戴』プツン

グラハム「橋……だな。随分ボロボロだ」

千鶴「これ…渡れるのかしら?」

冥夜「ロープで補修をすれば渡れなくはないのだろうが…だが、渡りきった途端砲台に狙い撃ちにされる可能性があるな…」

壬姫「うーん。砲台かぁ…レーダーみたいなものを狙撃できればよかったんだけど……」

千鶴「見つけられなかったんだからしょうがないじゃない。それより、今どうするかを考えましょう」

グラハム「私に任せてほしい!」

壬姫「どうするの?」

グラハム「作戦はこうだ。私が単機で砲台へ突撃、破壊。そして脱出。非常にシンプルかつ確実な作戦だ。理解でき次第、私はトランザムで目標へ向かう」

千鶴「ちょ、ちょっとまって、理解できな「トランザム!」バシュゥ

千鶴「」

グラハム「皆はそこで待っているがいい!」

グラハム「砲台!君との果し合いを所望する!」ハムサンバイダッシュ!

ダダダダダダダダビシッ
ヨクアテタ!ダガキカン!
ダダダダダダダダダダ
ライザーハムパンチ!
ドカーン

慧「おちゃがおいしい」

冥夜「うむおいしいな」

壬姫「わたしもちょうだい」

千鶴「わたしのぶんも」

美琴「ああ!皆!考えるのをやめちゃ駄目だよ~!」

慧「てれっててれって」

冥夜「ぽぅーんぽぅーん」

壬姫「らりるれろ!らりるれろ!」

千鶴「そーのーちーのーさーだーめー」

まりも「」

まりも「回収ポイントへたどり着いたのはいいが…誰か、説明しろ」

美琴「グラハムの行動についていけなくなって頭がフリーズしちゃったみたいなんです…」

まりも「」


まりも「エーカー……」

グラハム「私の所為だというのか!?」

美琴「グラハムが悪い事したわけじゃないんだけど…ね…」

まりも「最初から最後までグラハムが話を聞かなかったお前の所為だ…挙句にこれとは……」

まりも「まあいい。評価訓練の結果を伝える」

グラハム「!?」

グラハム(ここに来れば合格ではないのか…?マズいぞ!これは落ちた!)

まりも「鹵獲物資の有効活用…敵施設破壊の方法と時間…約1名は方法と時間はむちゃくちゃだが、結果的には良しとしよう」

まりも「最後の難関である砲台は、何と評価すればいいのかわからないが、一種のチームワークという事でいいだろう」

まりも「だが、味方にまで被害を与える能力はいかがかと思う。それを安易にグラハムが使った結果がこれだ。これでは…」

グラハム(マズい!マズいぞ!カッコつけた手前、私の所為で不合格にでもなったら……!)

グラハム(このままでは…ええい!どうすれば…)

グラハム(こんな時…!少年がいれば……どうすればいい!?教えてくれ少年!)

グラハム(少年…二個付……そうだ!)

グラハム(私のメガバスーカランチャーには、GNドライヴが2つ装備されている!いけるぞ!)

グラハム「いけるなっ…!?一本角(ユニコーン)!」バッ

メガバズーカランチャー「……」ブラーンブラーン

まりも「残念だが…と、いいたいが…鎧衣、この演習の第一優先目的を言ってみr」

グラハム「そんな事…」

グラハム「させるかあああああああ!!」

まりも・美琴「!?」

まりも「まてグラハm」

グラハム(裏声)「グラハムシステム作動!グラハムシステム作動!」リョウウデパタパタ

まりも・美琴「!?」

グラハム「未来を作る為に私達は…変わるんだぁぁぁぁ!」


ぶおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお


グラハム「私達の合格を賭けた…対話の始まりだ!」

―――――GM空間―――――
~~グラハム・ザ・ワールド~~

まりも「ここは……?」

グラハム「共にすべてをさらけ出し語り合おうではないか!」

まりも「エーカー!?何故裸――えっ、私も服着てな――――きゃあああああ!?」バッ

グラハム(ジョジョ立ち)「合格にして欲しい」

まりも「なっ……なんだ!?――――上官命令だッ!今すぐなんとかしろ!」

グラハム(花京院立ち)「この空間は私が納得するまで解除されないスペシャルな空間だ」

グラハム(ジョジョ立ち)「私は合格を望む!」

まりも「エーカー!人の話を聞かずに奇妙な事をするな!」

グラハム(ジョジョ立ち)「合格ッ!」

まりも「わかった!わかったから!大体元々合格だ!話を聞かずにこんな奇妙な事をするな!」

グラハム「なんと!?これは失礼した…」

まりも「だから!だからさっさと何とかしろ!あとジロジロ見るな!」

グラハム(考える人のポーズ)「いや年の割にはいい肌をしているなと……」

まりも「」プッツーン

グラハム(ジョジョ勃ち)「おっと、これは失礼した」

まりも「ひゃっ/////!?」

まりも「…………」ジュルッ

グラハム「」ゾッ

グラハム「危険信号…!?緊急解除!」


シュワンシュワンシュワン

グラハム「…な、なんだ……危険信号…アトミックバズーカ級の危険信号…これは……!?」

まりも「戻っちゃった…あーあ…」

グラハム「……神宮司女史?」

まりも「…あっ。と、とにかく、エーカー。アイツ等何とかしてよ!」

グラハム「言葉使いが柔らかくなっているぞ」

まりも「なっ…エ、エーカー!貴様ッ!大体人の体を見て――」

グラハム「好意を抱くよ」

まりも「なななななっ!?」

グラハム「興味以上の対象だという事さ」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


グラハム「殺気だと!?背後から――――」

冥夜「グラハム……?」ゴゴゴゴゴゴ

千鶴「ちょーっと話を聞かせてもらいたいんだけど……?」ゴゴゴゴゴゴ

壬姫「必要ないよ…」ゴゴゴゴゴゴ

慧「弁解の余地なし」ゴゴゴゴゴゴ

美琴「さ、グラハム、ちょっとこっちにおいで」ゴゴゴゴゴゴ

グラハム「お約束というやつか……」

グラハム「ならば従うまで!」



ぎゃーす

グラハム「戦術機の説明だ!抱きしめたいなっ!」

まりも「つまり、基本動作の殆どはコンピューターが補佐してくれるということだ」

まりも「任意の操作は――――」

グラハム(よくわからんがとりあえずはフラッグと同じ要領でいいだろう)

まりも「各関節は複合多重構造で自由度は人間以上……人間ができる動きで戦術機にできないものは無い」

まりも「逆に、戦術機は人間には逆立ちしてもできない事を可能にしてくれる。何千倍もの性能を、ちっぽけな貴様らに与えてくれる」

グラハム「なんと!?」

グラハム「トランザムとグラハム・システムを標準搭載、単体での大気圏突入、さらには可変機能だと!?なんという高性能!聞いていないぞ戦術機!」

まりも「訂正する。戦術機はグラハム以外の人間ができる動きで戦術機にできないものは無く、戦術機はグラハム以外のちっぽけな貴様らに何千倍もの性能を与えてくれる」

冥千壬慧美「了解!」

グラハム「ええい…その程度ではガンダムに勝つ事はできんぞ!」

まりも「貴様等は、この戦術機を1日でも早く使いこなせるように訓練し…」

まりも「BETAをこの地球から駆逐しろ!」

冥千壬慧美「はい!」

グラハム「了解した!」

まりも「では、強化装備を実装して、衛士適性を調べる」

冥千壬慧美「…////」

グラハム「柔肌を晒すとは…破廉恥だぞ!」

冥千壬慧美「みるなぁ!」

グラハム「グラハム・エーカー!出るぞ!」

グラハム「ふふ!シミュレーター故に実機とは違うのだろうが、中々の機動性だ!戦術機ッ!」

ビーッ

グラハム「ぬぉ!?」

グラハム「流石にブレイヴで出来るような動きは出来んか…!」

ドカーンドカーン

グラハム「だがそうでなくては、戦い甲斐がないというものだ」

まりも《動作教習応用訓練課程Dを終了する。グラハム、降りてこい」

グラハム「なんだ、もう終わりか。楽しい時間は早く過ぎるものだ…」

まりも「何となくわかっていた事だが…」

まりも「グラハムのタイムは当然歴代最速だ」

美琴「やっぱりだね」

冥夜「この程度なら驚かん」

まりも「…過去の記録では、訓練兵が動作教習応用訓練課程Dを終了させるまでにかかった時間は最短で33時間……いや、そういえばつい最近、この記録を5分の1に縮めた男がいたな」

まりも「白銀武…だったか?これもグラハムを除けば歴代最速、それなりに戦術機に慣れた衛士でなければたたき出せない記録だが、グラハムはおよそその6分の1だ」

まりも「ちなみに、今更驚く事でもないが、グラハムのこの記録は、たとえ自動操作で最も効率のいいクリア方法をとっても到底及ばぬ記録だ」

まりも「分かっていると思うが、グラハムの操縦は参考にならない。各自、グラハムの操作記録を参考にするのではなく、自分で操縦技術を磨くように」

冥壬千慧美「はい!」

グラハム「私は馬鹿にされているのか…?」

まりも「それと、まず、本日より貴様達が卒業するまでの間、我が207訓練部隊が優先的にシミュレーターを使用できるようになった」

まりも「次に、貴様達専用の練習機が明日搬入されてくる」

冥千壬慧美「!?」

グラハム「いきなりご対面か…心が躍るな」

まりも「それともう一つ…グラハムに至っては、通常ならば考えられないが、グラハム専用の戦術機の開発の案が出ている」

グラハム「なんという僥倖!」

まりも「そうはしゃぐな。まだ決定されたわけではない。これからの活躍次第だ」

まりも「それで、グラハム。一応聞いておくが、お前が戦術機に求める物はあるか?」

グラハム「よくぞ聞いてくれた!」

グラハム「最高のスピードと、最強の剣を所望する」

まりも「…パイロットへの負担は?」

グラハム「無視していただいて結構!」

まりも「……わかった。上にそう伝えておく」

グラハム「あ、あとできれば可変機能も…」

まりも「却下だ」

グラハム「即答とはな…」

壬姫「グラハムさんがいたお蔭で、私達はもう戦術機に乗れるんだもんね」

美琴「シミュレーターの訓練課程をようやく終わらせたボク達が戦術機に乗れるなんて…」

グラハム「これが、フラッグファイターの実力だよ」

慧「…すごい」

まりも「なんだ。貴様等。いくら今日戦術機が搬入されると言っても今日は乗れんぞ」

グラハム「私は我慢弱い!私が身を預ける戦術機…この目で確かめたい」

まりも「まあ、集合までは好きにしてて構わないが…遅れるなよ?」

グラハム「熟知している…」

ういいいいいいいいん
冥夜「!」

冥夜「………………………………武御雷」ボソッ

グラハム「どうした。複雑な顔をしているぞ?」

冥夜「………………いや」

グラハム「ほう。あの機体、他のと違うな」カツカツカツ

冥夜「…………」

グラハム「いい機体だ」

武(……ここで武御雷)

武(同じだ…けれど…)

武(俺のいた位置にあの男がいて…そして俺はあいつを知らない)

武(前と全然違う。どうなっているんだ…?)

武(これが吉となってくれればいいんだけど……)

武(だが、何としてでも、最悪の結末は回避しなくてはならない…)

武(そういえば、3バカはどうしてんだろう。武御雷が来たってことはそろそろ――――あれ?アイツ等じゃない…?3人組の男?)

武(あ、馬鹿!武御雷をそんなに触ったら…!)

グラハム「この機体、出来る物なら一度乗ってみた――――ぬっ!?」ピキーン

グラハム「ぬぉっ!?」シャッ

月詠「ッ……避けたか」

?「ケッ。相変わらず手が早いねぇ、おばさん」

?「どうせ言っても遅ェんだから叩いちまおうぜって考えなんだろ」

?「……だっせ。はずしてやがんの」


月詠「……」キッ

?「おーおー、怖い怖い」

月詠「貴様等!冥夜様の御前だぞ!!」

?「……うぜぇ」

月詠「……申し訳ありません。冥夜様」

冥夜「月詠……中尉。なんでしょう」

月詠「冥夜様!私共にその様なお言葉遣い、おやめください!」

「俺はそのままでいーぜ?」
「ハッ。オルガ。何?尽くしてもらいたいとか、そーゆー趣味?」
「……きっも」
「んだとクロトォ!?シャニィ!テメェもだっ!」ブン
「ハズレッ!へたくそぉ!」
「お前もだっせぇ~」

月詠「貴様等!!冥夜様の御前だと言っているだろう!」

クロト「チッ…あのねぇ、おばさん。何か勘違いしてるんじゃないの?」

クロト「そりゃあ空腹で死に掛けてた僕達を拾ってくれた事には感謝してるよ。だからある程度は従ってあげてる」

クロト「だけど将軍だとか、斯衛だとか、そんなもの僕達は知らないね」

クロト「殺らなきゃ殺られる、そんだけでしょ?」

オルガ「ヘッ」

シャニ「ハン」

月詠「貴様等、しばらく飯抜きだ」

クロト「冥夜様、私共になんなりとご命令を」

オルガ「私共、冥夜様の為なら、この身を捨てる覚悟でございます」

シャニ「遅ればせながら、総合戦闘技術評価演習合格おめでとうございます」

冥夜「…………」

月詠「…冥夜様がこのような場所におられる事は私はいまだに理解できません」

グラハムエーカーデアルト!
ナンダテメェハァ!?
ヘェ、マダイタンダ…ヘンナキンパツ
ケッ、ナニアソンデンダヨ!オマエラ!

月詠「冥夜様があのような者と一緒に――」

冥夜「それ以上を口にする事は許さぬぞ」

月詠「……しかし――」

冥夜「……そなたも知っているであろう。グラハム・エーカーの名前くらいは」

月詠「…はい」

冥夜「グラハムの実力は間違いなく人類トップだ。グラハムが実戦に出れば、その戦果から各国がグラハムを手に入れようと動き出すとまで予想されている」

冥夜「上はグラハムがホイホイ誘いについていかぬように、彼を待遇するという案まで出ているそうではないか」

月詠「………………」

冥夜「我が国の切り札であり、宝だ。それをあんな者呼ばわりとは、恥を知れ」

月詠「…申し訳ありませんでした。出過ぎた真似をいたしました…」

冥夜「…私もグラハムを尊敬している。自分の立場を、自分の世界への影響を知っているのか知らんのか、不思議な男だ…」

冥夜「何者にも屈せず、縛られず…そして縛れず…そんな彼を、私は羨ましく思う」

月詠「まさか…冥夜様…。いけませ――」

冥夜「…月詠。下がれ」

月詠「…………はっ」ザッ

月詠「…」キッ

グラハム「?」

月詠「お前等。いくぞ」

オルガ「チッ、時間切れかよ?クロト!」

クロト「うるせーな!んじゃね、グラハム。バハハ~イ」

グラハム「ああ、またな」

シャニ「えーっ……」

オルガ「いいから帰るんだよ!またひもじい思いをしたいのか!?」

シャニ「…チッ」

グラハム「面白い奴等だ」

本日の投下はここで終了にしますですはい

壬姫「あうう~…明日は…」

冥夜「自業自得…だぞ」

グラハム「」ガツガツガツ

グラハム「では、皆の者、後でまた会おう!」

千鶴「何よ、そんなに急いで…またゲーム?」

グラハム「当然だ!」ダッ

グラハム「ふふふふ…続きが気になって仕方がない!」スタスタスタ

衛士1「おい、そこの訓練兵」

グラハム「私はガンダムだ」カツカツカツ

衛士2「貴様!止まれ!上官命令だぞ!」

グラハム「私の道を阻むな!」

衛士1「生意気だな……」ガシッ

グラハム「私は自室への帰還を望んでいる…私の道を阻む者はたとえ上官であろうと…」ゴゴゴゴゴゴ

衛士1「」ビクッ

壬姫「あれ…?グラハムさん……」

美琴「どうしたの?」

壬姫「ほら、あれ…」

冥夜「あ……」

慧「……からまれてる」

千鶴「何やってんのよ…!」

衛士2「なにやってんだ、やっちまいなよ」

衛士1「お、おう……」

衛士1(な…なんだこの威圧感……歴戦の衛士…いや、それ以上……)

衛士1(殴れねぇ……本能がこいつを敵に回すなと悲鳴を上げている…!)

衛士1「き、聞きたいことがあるんだ。お前の隊は、あそこにいるので全部か?」パッ

グラハム「やけに攻撃的な上官殿だ……その質問の答えはYESだ」

衛士2「ならば、ハンガーにある特別機…帝国斯衛軍の新型は誰のだ?」

グラハム「私の機t「私の機体です」

グラハム「冥夜のだったのか…(´・ω・`)」

衛士1(この金髪、マイペースすぎだろ…)

衛士1(なんでこんな男に……チッ…腹が立つ)

冥夜「……」

衛士1「お前の名は?」

冥夜「御剣冥夜訓練兵です」

衛士1「何故あんなものがここにあるんだ?」

冥夜「…………」

衛士1「答えろ!」

冥夜「……できません」

衛士1「貴様、上官の命令が聞けないってのか!?」ガシッ

冥夜「……申し訳ありません」

衛士1「生意気いうんじゃねェ!」バシッ

冥夜「あっ!」ドサッ

美琴「ああっ!?」ダダダッ

壬姫「大丈夫ですか!?御剣さん!」ダダダッ

慧「……最低」キッ

衛士2「なんだ貴様等も逆らうって…ん……の……!?」ゾッ

衛士1「…!?」ゾクッ

グラハム「This way……」ゴゴゴゴゴゴ

グラハム「男が女を…それも顔を殴るか……」ゴゴゴゴゴゴ

衛士1・衛士2「」ガクガクブルブル

グラハム「…………絶対に許さんぞ!」ゴゴゴゴゴゴ

冥夜「ま、まて!グラハム!大丈夫だ…!」

衛士1「グラハム…!?」

衛士2「じゃ……素手でBETAを倒したって…」

衛士1「常識外れの記録を持つ…!?」

衛士1「ま、まて!悪気はなかったんだ!ちょ、ちょっと手が当たっただけで……な?」

グラハム「聞く耳持たん……」ゴゴゴゴゴゴ

月詠「まて、グラハム」

グラハム「……月詠殿?」

衛士1「ヒッ!?斯衛軍……」

月詠「…お前なら本当に殺してしまう。私達に任せろ」

グラハム「……」

クロト「そゆコト」

シャニ「任せなって」

グラハム「だが……」

オルガ「怒りに任せて行動すんなよ。その所為でお仲間に迷惑行くぜ?」

グラハム「……そうだな」

グラハム「ならば友よ。任せる」

クロト「わかってんじゃん。流石グラハムだね」

オルガ「じゃ、早速行くか…」

シャニ「全部やっていいんだろ?」ニタァ…

クロト「ですね?」

オルガ「うっせーよ、お前等」

月詠「やめろ。お前等はすぐ闘争に持っていこうとする……と、言いたいが」



月詠「……奴等は冥夜様に手をあげた」

月詠「よって遠慮はいらん」




月詠「やれ」



男衛士・女衛士「オワタ\(^q^)/」

オルガ「そうこなくっちゃ!ハハハハハハハハハハッ!」

クロト「そりゃぁぁぁぁぁぁ!撃殺!」

シャニ「うらああああああ!」

ヒエエタスケ
マッサツ!
タスケッ
ウラァァ!
タスケッ
オラオラオラァ-!
グハッ


月詠「大丈夫ですか!?冥夜様!?」

冥夜「ああ…大丈夫だ…すまなかった…それと、グラハムも…」

グラハム「私は何もしていない…」

グラハム「月詠殿、私も我を見失っていた。感謝する」ペコリ

月詠「貴様!何故あれだけ近くにいながら冥夜様を護らなかった!」

グラハム「……返す言葉もない」

グラハム「冥夜。本当にすまないことをした……!」土下座

冥夜「よい。グラハム…月詠も…」

冥夜「グラハム…その…私の為にあそこまで怒ってくれて…嬉しかったぞ…」

まりも「エーカー訓練兵、入るぞ」

グラハム「開いている…好きにしたまえ……」

まりも「上から目線だな…まあいい」

グラハム「……本日のPXの事かな?」

まりも「…ふん。貴様がそれを覚えていたとはな…多少は反省しているという事か?」

グラハム「……後悔はしていない」

まりも「ふっ…」

まりも「だが、安心しろ。それについては不問だ」

まりも「よかったな。貴様は営倉に入らずに済んだぞ」




ガシャーン

クロト「くそー!なんで僕達が!」

オルガ「チッ…静かにしろよ響くんだから」

シャニ「……うざ」

まりも「今回は、別の要件で来た」

まりも「明日は国連事務次官が来訪される」

グラハム「ほう。そういえば、壬姫がそんな話をしていたようなしていなかったような…」

まりも「よって、グラハム・エーカーは絶対に自室から出ない様に」

グラハム「なんと!?」

まりも「決まった事だ。くれぐれもこっそり抜け出すなよ?その時は営倉に入ってもらう事になるぞ」

まりも「まあ、今回のPXでの騒動の罰として一日自室謹慎になったとでも思えばいい」

グラハム「そう考える事が出来ないわけではないが……私も事務次官殿の顔を是非拝見したいのだが」

まりも「心配せずとも、お前は有名人だ。恐らく、事務次官もお前の顔を見たいと言うだろう」

まりも「その時はこの部屋に来る。だから、それまでは自己鍛錬でもしていろ」

まりも「くれぐれも、変な事をしていないようにな?」

グラハム「…………」

まりも「……返事をしろ」

グラハム「…………嘘は好きではない」

-翌日-
グラハム(ゲームを全て没収されてしまった…)

グラハム「……」

グラハム「………」

グラハム「…………」

グラハム「…暇だな」

壬姫「こ、こちらが兵舎です!」

パパ「うむ。そうかそうか。たまの言っていた、グラハムという男はどこかね?」

壬姫「こ、こちらの部屋です!」プシュー

グラハム「ビンビンマッチョで!オ~エ~オ~エ~♪」テビョウシパン!パン!

グラハム「ガンガンいっとけ!オエオエオ~♪」パン!パン!パン!

壬姫「」

グラハム「ん、おお、そちらが国務事務次k」
壬姫「すいません部屋を間違えました」

パパ「はっはっは~!たまはドジだな~!でもパパはそんなところも好きだぞ~!」ナデナデ






ガシャーン

グラハム「なっ…なぜ私が営倉に!?私は何もしていないぞ!」

まりも「…貴様を営倉に封印しておかなかったのが間違いだった」

壬姫「グラハムさん大丈夫かな……」もぐもぐ

千鶴「自業自得よ」もぐもぐ

慧「恥さらし」もくもく

美琴「流石のボクもドン引きだよ…」ぱくぱく

冥夜「グラハム程心配の無用な男もおるまい」もぐもぐ

壬姫「そうだね」


~営倉talk~
シャニ「最近サバミソやけに多いね」

グラハム「私は好きだから構わないぞ」もぐもぐ

オルガ「けっ、面白くもねえ。おい、クロト。あーんでもしてやろーか?」

クロト「やだよ、気持ち悪い。大体、サバミソをあーんなんて男女でもありえないっての。その後キスなんて出来ないよ」

シャニ「味噌くさそう」

グラハム「だが手作りならば…!」

クロト「流石グラハム!話が分かるぅ!」

グラハム「そう褒めるな……乙女座は恋路には詳しい物だ…」

オルガ「今のご時世じゃ仕方ねーとはいえ、男女二人でサバミソ定食はありえねーけどな」



霞「へぷちっ」

武「はっくしょん!」

武「…風邪かな?霞、大丈夫か?」

霞「…はい」

オルガ「またサバミソかよ…」

クロト「これ、合成らしいよ」

オルガ「マジで?体に悪そうだな」つんつん

グラハム「なんと…これで合成か…」

シャニ「合成焼きそばとかもう何なんだよって感じだよね…化学調味料の盛り合わせじゃん」

オルガ「えっ。殆ど合成か…絶対体に悪いわー毎食コンビニ弁当より絶対体に悪いわー」

クロト「今更気にする体でもないでしょ」

オルガ「馬鹿野郎!今までそーゆー食生活をしてきたからこれからは気を付けようとだな……」

シャニ「じゃあ体に悪いからサバミソくれよ」

オルガ「あぁん!?殺すぞ!?」

グラハム(仲いいな…)

壬姫「グラハムさんがいないと静かだね」

慧「平和に練習は出来るけどね」

冥夜「なんだか寂しいな……」



~営倉talk~

グラハム「1番!グラハム・エーカー!行きます!」

クロト「よっ!待ってました!」パチパチパチ

グラハム「ねぇ~♪こんな~かたちの出会いしか~なか~った~の~♪悲しいね~♪」

シャニ「へぇ、やるじゃん。次、俺ね」

オルガ「お前歌えるのかよ?」

シャニ「なめんな」

まりも「夕呼、何ボーっとしてるのよ」

夕呼「知ってるでしょ…?白銀との特別任務があって睡眠時間が少ないうえに、グラハムが営倉に閉じ込められてて面白いニュースが舞い込んでこないからやる気が全く出ないのよ…」

まりも「グラハムの奇怪な行動もこういう面では役立ってるのね…」





シャニ「哀しいほど光りだしたー白い闇切り裂く翼になれー冷たい太陽に照らされてたー飼い馴らされた自由があったー♪」

グラハム「ほう、なかなかやるな」

オルガ「へぇ…つか、相変わらず抑揚ねぇな。なんかもっとハイテンションな曲歌うと面白かったのによ」

クロト「じゃ、次はオルガ歌ってね」

グラハム「暇だ」

オルガ「あー…いつまで入っていればいーんだよー」

クロト「あのおばはんの言うとおりにやっただけじゃんかー!くそーー!!」

シャニ「…………」

まりも「…グラハム」カツカツカツ

グラハム「ん、おお。神宮司女史。営倉入りは終わりかな?」

まりも「その様子じゃ、ちっとも反省はしていない様だな?」

グラハム「当然だ」

まりも「……ハァ。まあいい。出ろ」

ギィィ

グラハム「久しぶりのシャバの空気だ…」

まりも「刑務所から出所した犯罪者じゃあるまい…それよりもグラハム。いきなりだが、明日、貴様には戦術機に乗ってもらう」

グラハム「……ようやくか。待ちわびたぞ!」

まりも「慣らしも全く無しのぶっつけでいきなり模擬戦に挑んでもらう事になるが…問題は無いな?」

グラハム「何、問題ない。丁度いいくらいだ」

まりも「そうだな…」



クロト「あっ!?ねぇ、ちょっと、僕達は!?」

まりも「貴様等は駄目だ。グラハムとはわけが違う。衛士2人に瀕死の重傷を負わせたのだ。営倉入りで済んでいるだけで幸せだと思え」

オルガ「くっそ、あのおばさんの命令なんて聞くんじゃなかったぜ…」

シャニ「……うっぜ」

まりも「そうでもない。月詠中尉も悪いと思ってるんだろう。何せ、貴様らが軍法会議にかけられない様に必死に頼み込んだのは何を隠そう月詠中尉なのだからな」

シャニ「…………」

クロト「へぇ……」

オルガ「……ま、今回は大目にみてやるか」

クロト「そうだね」

クロト「あーあー…緊急事態でも起きない限り、しばらくは出られそうにないねー」

オルガ「BETAでも攻めてこないかねぇ」

クロト「ないない…」

シャニ「ばっかでー」

オルガ「うるせーよ、お前等」

グラハム「模擬戦か…」

夕呼「一応、全機に新型のOSを搭載してあるわ。本来なら白銀隊だけのはずだったんだけどね?成績いいから特別よ?」

夕呼「このOSならグラハムのめちゃくちゃな操縦もさらに自由度が上がって、さらに好成績がたたき出せるかもしれないわよ」

夕呼「あ、それとグラハム。当然1対5よ」

グラハム「なんと……」

夕呼「多分勝てるでしょ。じゃ、頑張ってね」

グラハム(……ええい。1対5とは…流石の私も、生身での戦いならばともかく、戦術機となれば勝てるかわからんな…)

グラハム(戦術機は所詮機械…どこまでついてきてくれるか……)

グラハム(……考えていても仕方がないな)

グラハム(今考えるべきことはただ一つ!)

グラハム(戦術機キタタタタタタタタタ━(゜(゜ω(゜ω゜(☆ω☆)゜ω゜)ω゜)゜)タタタタタタタタタ━!!!)


夕呼「さて、グラハムは何をやってくれるのかしら?彼が戦術機に乗ってただで済むとは思ってないわよ」

グラハム「GNシステムリポーズ解除、プライオリティをグラハム・エーカーへ。外壁部迷彩皮膜解凍、GN粒子散布状況のままブローディングモードへ」

まりも《グラハム……戦闘データはとっている…あまり独り言が多いと変態だと思われるぞ……》

グラハム「今更遅い!」

グラハム「グラハム・エーカー。ミッションを開始する」ポチッとな

トゥイーン

『Generation
 Unsubdued
 Nuclear
 Drive
 Assulut
 Modure』

ピピピピピピッ
『G.U.N.D.A.M.』

グラハム「ガ、ン、ダ…ガンダムだと!?」



衛士「香月博士!グラハム・エーカーの乗った機体のOSが次々と書き換えられています!」

夕呼「ファッ!?」

本日はここまでとしますです

夕呼「模擬戦はグラハムの圧勝…予想通りというか当然というか…」

夕呼「それにしても、『G.U.N.D.A.M.』……なんなのよこのOS…」カチカチカチ

夕呼「『Generation Unsubdued Nuclear Drive Assulut Modure』……」

夕呼「何というか…名前だけね……何から何まで…」

夕呼「ま、彼には名前だけで十分なんでしょうけど…」

夕呼「それはいいとして、このOS…パイロットへの負担を全く考えていない……使いこなせる人間は世界で1人だけね…」

夕呼「純粋な性能――いえ、自由度の高さ…と言えばいいのかしら?それは白銀のOSより勝っているのだけれど……」

夕呼「一般兵士には使えないからこれは使い物にならないわね。大体、なんなのよ、この変形機能…」

夕呼「変形機能がついていない戦術機で、無理やり変形しようとした挙句戦術機が自壊する機能なんてどうやって使えばいいのよ…」

夕呼「大体、どうなってるの?グラハムがコクピットに座っただけでOSが書き換えられるなんて…」

夕呼「…ん?何コレ……?」

夕呼「…このOSの奥底に、何かある…?何かの…システムと、OS……かしら?面白そうね。ちょっと見せてもらうわよ」カチカチ

『ERROR』

夕呼「ガード堅いわねぇ。でも、私を誰だと思ってるの?こんなガードくらい一瞬で…」カタカタ

『ERROR』

夕呼「…………」カタカタカタカタカタ

『ERROR』

夕呼「ッ!ッ!ッ!」カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ

『ERROR』

夕呼「グラハム風情が……!いいわよ!その喧嘩買ってあげるわ!」

夕呼「……白銀の事もあるし…またしばらくは寝れないわね」カタカタカタカタカタ

武「……」

グラハム「何か悩みでもあるのかな?少年」

武「……!アンタは確か……207訓練小隊の…」

グラハム「おや、知っていたか。ご存知、私はグラハム・エーカーだ。少年、いい眼をしているな」

武「よろしく……グラハム。俺は白銀武だ」

グラハム「ああ、よろしく。武」

武「なあ、変な事聞くようで悪いが……委員長…ああいや、千鶴達、元気か?」

グラハム「元気にやっている」

武「はは、じゃあ、慧と千鶴はまだ仲悪いか?」

グラハム「いいとは言えないな…」

武「そうか……ま、アイツらは変わってないってことか」

グラハム「……やけに詳しいな。知り合いか?」

武「ああ…最も、この世界では一方的に俺が知っているってだけかもしれないけど…」

グラハム「……この世界?」

武「……グラハムに話してもわかんねーかもしれないけどさ、俺…別の世界、いや、この世界の平行世界…BETAのいない世界からやってきたんだ。しかも、これで2回目……」

グラハム「……!」

武「1回目の時はグラハムはいなかった。2回目になって、見たことない人とか、いろいろ増えてたけど…やっぱり…あいつ……純夏はいなかった……」

武「ああ、ごめん。純夏っていうのは――」

グラハム「言わなくていい」

武「え……なんで?」

グラハム「純夏…彼女の話をした時だけ、君の眼からは強さが消えていた。心が彼女を求めている証拠だ。それ以上言うな」

グラハム「今、それ以上言うと戻ってこれなくなる」

武「不思議な事を言うんだな…でも、多分当たってる…」

グラハム「それに、乙女座の私には何かの運命を感じるよ…」

武「…?」

グラハム「私も、別世界…それも今から300年以上後の世界の住人だ」

武「え――!」

グラハム「君の元いたBETAのいない世界……もしかしたら、私は君の世界の未来からやってきたのかもしれないな」

武「な、そんな…本当か!?」

グラハム「嘘は言わんよ」

武「なあ、もっと話を――」

グラハム「そうもいかん」

武「な、なんでだよ!?」

グラハム「消灯時間が迫っている」

武「あ、本当だ……じゃあ、また、何時か聞かせてくれよ!」

グラハム「ああ。約束しよう」

グラハム「……武。一つだけ言っておく」

武「ん?」

グラハム「心に従え」

武「!」

グラハム「私が言えるのはそれだけだ」

武「グラハム……」

グラハム「……」もぐもぐ

冥夜「グラハム…?今日はやけに静かだな…?」

グラハム「…わからない」

千鶴「わからないって…」

グラハム「本当に分からないんだ…だが――何か嫌な予感がする」

グラハム「……ん?」

女訓練兵A「でね~」

女訓練兵B「えー、うそ~」

グラハム(あの髪の色……まさかあのガンダムか!)

――柔肌を晒すとは、破廉恥だぞ!ガンダム!


グラハム「抱きしめたいな!ガンダムゥゥッッ!」ガッバァァァァァ

女訓練兵A「ひゃっ…きゃああああああ!?」

女訓練兵B「ちょ!誰ですか!?…あ、でもちょっとイケメンかも……」

グラハム「ぬぉ!?ガンダムではなかったか…これは失礼した……」

グラハム(背後からの殺気!?これはまさか…)

グラハム「ガンダムかっ!?」クルッ

冥千慧壬美「…………」ゴゴゴゴゴゴゴ

冥夜「グラハム、少し話を聞きたいのだが…」

千鶴「必要ないわ。弁解の余地なしよ」

慧「異議なし」

壬姫「……」

美琴「グラハム……」

グラハム「デジャヴ…とでもいうのかな…?」


ドカドカバキバキゲシゲシ






ガシャーン

グラハム「何故だッ!?何故私が……!」

クロト「あ、おかえり」

まりも「夕呼、さっきからずっと何やってるの?」

夕呼「パズルよ」カタカタカタカタカタ

『ERROR』ピーッ

夕呼「この野郎……」





オルガ「で、何やったんだよ?」

グラハム「ガンダムと間違えて少女に抱き着いた…」

シャニ「変態じゃん」

クロト「大体……ガンダムってなん―――あれ?」

オルガ「あ?どったクロト?」

クロト「ガンダム…ねえ、オルガ。カラミティのOS覚えてる?」

オルガ「覚えてねーよ。んなもん」

クロト「僕も細かいところは覚えてないんだけど…確か、レイダーのOSは頭文字がジー、ユー、エヌ、ディー、エー、エム、だった気がするんだ」

オルガ「それがどうしたってんだよ?どうでもいい事じゃねぇの?」

クロト「読んでみてよ」

オルガ「G、U、N、D、A、Mだろ…ガン、ダム…?ガンダム!?」バッ

クロト「でしょ?」

グラハム「あのガンダムがモビルスーツのクセして髪の様なコードを生やしている所為で私は変態扱いだよ…全く…」

シャニ「……モビルスーツ?」

クロト「…!」

オルガ「やっぱり……!」


クロト「ね、ねえ、グラハム、ガンダム…モビルスーツって!?」

グラハム「ん、ああ。二足歩行型の兵器…戦術機みたいなものだ。ここだけの話、私は実は別の世界からやってきたんだ」

シャニ「……!!」

オルガ「マジかよ!?俺等もなんだ!」

グラハム「…!」

クロト「ねえ、グラハムはどこの所属だった?……もしかして、あの青いのか赤いのに乗ってた?」

グラハム「青いモビルスーツに乗っていたかと言えばそうだが…私は地球軍だ」

オルガ「俺等と同じか…」

グラハム「なんと…どの部隊に所属していた?」

クロト「僕達は地球連合軍のレイダー、カラミティ、フォビドゥン……多分だけど、グラハムの言うガンダムに乗ってたんだけど…」
グラハム「私は、地球連邦軍のブレイヴに乗っていた」

四馬鹿「…あれ?」

クロト「じゃあ、全然違う世界だったわけか…」

グラハム「なんと…ガンダムに乗っていたのか…」

オルガ「ガンダムっても話だけ聞けばグラハムの機体の方が強いんじゃねーの?」

シャニ「俺達、多分グラハムの世界の量産機にフルボッコされるぜ?」

クロト「多分、あの2機も相手にすらならないんじゃない?」

オルガ「それだけ聞くとなんか複雑だな…」

グラハム「GNドライヴは素晴らしいものだぞ!」

美琴「グラハム何時戻ってくるのかなぁ~?」

千壬慧冥「戻ってこなくて結構です!」

美琴「……」





グラハム「……臭うな」

オルガ「マジか。誰だ屁こいた奴」

シャニ「俺じゃねーよ」

クロト「当然、僕でもないよ。やっぱオルガじゃん」

オルガ「アァ!?ぶっ殺すぞ!」

グラハム「陰謀の臭いがする!」

オルガ「…あ?」

クロト「……へぇ」

シャニ「……」

グラハム「何かが起こるぞ……」

オルガ「……楽しくなりそうじゃねぇか」

クロト「へぇ。出来れば派手にやってほしいね。僕達も出れるだろうし」

シャニ「お前は二階級特進して終わりだよ」

クロト「シャニ!このやろー!」

シャニ「ハッ」

オルガ「わくわくが止まらねぇ!」

グラハム「オラ、ワクワクすっぞ!」

ビーッビーッ
オルガ「!」

シャニ「!」

クロト「!」

グラハム「ウホッ」

《防衛基準態勢2発令。全戦闘部隊は完全武装にて待機せよ。繰り返す…》

オルガ「ほらあああああああああ!なんか来た!なんか出た!オラオラオラ!とっとと出せよ!」

クロト「何だろう!?何だろう!?BETAか!?テロか!?クーデターか!?」

シャニ「何でもいいよ!ここから出れれば…!」

グラハム「グラハム・エーカー、出撃する!」ガッシャーン


クロト「うわっ。グラハム、ドア壊してったよ」

オルガ「チッ…俺達も出たい所だけど…脱走扱い受けてもな……」

シャニ「そろそろマジで撃たれちゃうね」

クロト「ま、おばさんが来るまでゆっくり待つよ」

オルガ「チィ…!」

まりも「全員、少し待っていろ。グラハムを呼んでくる」

慧冥千壬美「はい!」

グラハム「その必要は無い」

全員「!?」

まりも「グラハム……何故ここに?」

グラハム「当然、呼ばれた気がしたからだ」

まりも「貴様…許可も無しに営倉から……」

夕呼「ま、グラハムはもうどうでもいいわ。さ、グラハムにも分かるように説明してあげて頂戴。私はいろいろやることがあるから、これでね」

まりも「了解しました」

夕呼「あ、それとグラハム」

グラハム「何かな?」

夕呼「どうなるかはわからないけれど……出撃するなら、お手並み拝見さてもらうわ。がっかりさせないでね?」

グラハム「任せておくといい」

夕呼「任せろ、と言ったからにはそれなりには期待させてもらうわよ」

月詠「オルガ・サブナック、クロト・ブエル、シャニ・アンドラス」

シャニ「…きた」

オルガ「待ちわびたぜ?」

クロト「はい。なんですか?」

月詠「出ろ。仕事だ」

クロト「待ってました。ってね」

本日はここまでですの

グラハム「軍事クーデター……」

まりも「また、国連安全保障理事会は展開中の米国第7艦隊を国連緊急展開部隊に編入する事を決定した」

まりも「それに伴い、当基地は米国軍の受け入れを開始する」

グラハム「……」

まりも「現在、帝都はクーデター部隊によって、ほぼ制圧されている」

まりも「先程、抵抗を続けていた国防省が陥落した」

まりも「未確認ではあるが、斯衛軍が、クーデター部隊と戦闘を開始したという情報もある」


まりも「また、クーデター部隊により…………榊首相を初めとする内閣閣僚数名が暗殺された事を確認した」

千鶴「―――ッ!?」

グラ冥壬慧美「―――ッ!」

まりも「クーデターの首謀者である沙霧大尉自ら、首相含む数名を国賊とみなし、殺害したそうだ……」

千鶴「……」

まりも「榊……」

千鶴「いいです…話を……続けてください。今は……任務中ですから…………」

グラハム「千鶴…」

千鶴「黙ってて…」

グラハム「了解した……」

まりも「…前を見ろ。クーデター部隊の声明が放送されるそうだ」

グラハム「さて……彼らの志を聞かせて頂こうか……」

グラハム「…………それから、私の仲間を悲しませた償いはしてもらうぞ」

沙霧『親愛なる国民の皆様、私は、沙霧尚哉大尉であります』

沙霧『我々は侵略者達に対し、殿下と国民の命を守る為に、我が輩は日夜生命を賭して戦っております』

沙霧『それが、我々軍人に課せられた義務であり、全うすべき使命であると言えましょう』

沙霧『しかしながら、政府及び帝国軍はその責務を充分に果たしたと言えるでしょうか』

沙霧『国民の皆様。政府や軍は、法律や安全のみを優先し、本来守るべき国民を蔑ろにしています』

沙霧『我々「戦略研究会」は、本日、この国の道行きを正す為に決起致しました』

沙霧『我々は、殿下や国民の皆様に仇成す者ではありません。我々が討つべきは、日本を蝕む国賊、亡国の徒を滅すのみであります』

沙霧『国民の皆様、特に帝都の皆様には大変ご迷惑をおかけしておりますが、今しばらくご辛抱ください』


グラハム「……」スッ

美琴「……どうしたの?グラハム」

グラハム「くだらん…」

千鶴「……」ギリギリギリ

グラハム(千鶴…必死に涙と怒りをこらえているが限界だろう……)

グラハム「この借り、必ず返させて頂く」

まりも「…現在、当横浜基地では第1戦術機甲大隊、第5航空支援大隊を即応部隊として待機させ、残りは基地の防衛に当たる予定だ」

まりも「加えて、米国軍の受け入れ…恐らく、訓練部隊の出る幕等ないだろう」

まりも「とはいえ、出撃の可能性はゼロではない。今頃、貴様等の機体も実戦装備に換装されているはずだ」

まりも「その時こそ、貴様等が無駄飯食いでない事を証明してみせろ!」

グラ冥千壬慧美「了解!」

まりも「即応態勢で待機せよ!以上!」

グラハム「あの色…実戦用の塗装か…人間相手だからか、目立たない色に仕上がっているな…」

美琴「初めての実戦で、人間相手に実弾を撃つことになるなんてね…」

グラハム「……怖いか?」

美琴「…………」

壬姫「たたたたた、大変ですー!外が大変な事になってます~!」タタタタッ

グラハム「何……?」

壬姫「基地の周りに帝国軍が…」

グラハム「……!」ザッ

冥夜「まて、グラハム!どこへ行く!?」

グラハム「外を見てくる」

冥夜「あ、おい!待機命令中だぞ…!あの馬鹿者め……!榊!私が連れ戻しに行く!」ダッ

千鶴「任せたわよ!」

グラハム「完全に包囲されているな…」

グラハム「国連軍の基地内とはいえ他国の軍隊が無断で上陸してきた…主権国家としては当然かもしれないが…!」

グラハム「この世界はソレスタルビーイングの時の様に強敵に対して世界は一つにならないのか……?」

グラハム「…私にはわからんな」

冥夜「グラハム!戻ってこい!命令違反でまた営倉入りに――」ガシッ

グラハム「冥夜。おかしいとは思わないか?何故、未来しか見ない?」

冥夜「何を…」

グラハム「この世界はBETAに勝った後、如何に自分達が栄えるかという事しか考えない?」

グラハム「明日を迎えられるかわからない状況だというのに」

グラハム「一つになれない奴等が、勝てる相手ではないぞ……」

グラハム「BETAに勝つよりも大事な事なんてあるはずがない」

グラハム「BETA以外に勝利し、たとえ世界全てを手に入れたところで、BETAに敗北すれば元も子もないのだからな」

月詠「その通りだ。だが、それだけではないからこうなっている」

グラハム「月詠殿か」

月詠「待機命令が出ているはずだが…相変わらずだな、グラハム・エーカー」

冥夜「月詠……そなた何をしている!?殿下の危機を知りながら何故ここにいるのだ!?」

月詠「は、お言葉ではございますが、冥夜様の警護こそ、私共が殿下より賜ったお役目でございます」

冥夜「馬鹿者、痴れ事を申すな!今帝都がどうなっておるか、知らぬわけではあるまい!」

月詠「重々承知しております。そうであるが故に、私共は冥夜様のお傍を離れるわけにはいかないのです」

冥夜「そなた、己の申している意味が分かっているのか!」



オルガ「チッ…御守りかよ……」

クロト「ま、御守りには慣れてるからね」

シャニ「また青いのと赤いのが出てきて邪魔しなきゃいいけどね」

クロト「これ失敗したらおばさんに撃ち殺されるよ?」

オルガ「ジョーダンじゃねーや」

冥夜「私のことなどよい……早く帝都へ行け!」

月詠「こればかりは…いかに冥夜様のご命令といえど……なりません」

冥夜「おのれ……」

クロト「どうでもいいけどさ。冥夜…様。おばさんの気持ちも察してあげなよ?多分、おばさんだって殿下を心配する気持ちは冥夜様と同じだよ?でも、おばさんにとっては冥夜様も大事な人」

月詠「控えろ、クロト!また飯抜きにするぞ!」

クロト「どっちもごめんだね。おばさんだって身を引き裂かれる思いなんだろうしさ。ちょっとはおばさんの気持ちを考えてあげなよ?」

冥夜「……」

オルガ(へっ。珍しく熱いじゃねぇか)

クロト(今更帝都に戻るなんて面倒くさいよ)

冥夜「……もうよい。月詠、許すがよい……私がどうかしていた……」

月詠「冥夜様…いえ、決してそのような事は…」

冥夜「そなたが殿下の命に背くなど決してあり得ぬ事。私も重々承知していたはずだったが…」

冥夜「クロト…お前の言葉で目が覚めた…礼を言う」

クロト「やめてよ、こそばゆい。礼なんて言われる身分じゃないよ」

月詠「クロト!言葉に気を付けろ!」

クロト「へいへい…相変わらず厳しいねぇ……」

グラハム「ところで月詠殿……殿下は無事なのか?」

冥夜「――ッ!」

グラハム「お前が知りたいのはこれだろう?」

冥夜「ああ…どうなのだ?月詠」

月詠「…現在、斯衛軍第2連隊と、決起部隊が堀を挟んで睨み合っています」

月詠「…決起部隊は帝都城に背を向け、銃口こそ殿下に向けておりませんが、包囲部隊の数は徐々に増えている模様です」

グラハム「では、殿下はご無事か…」

月詠「警護を預かる第2連隊は精鋭中の精鋭。当然だ」

グラハム「…あとはどうなるか…だな。何事もなく――というのは難しいかもしれんが、出来るだけ被害を出さずに終わってくれるといいが……」

冥夜「……ところで、そなた達はここにいるとして、斯衛軍はどう動くのだ?」

月詠「…………」

グラハム「その何か言いたそうな目……私が情報を漏らすとでも?」

月詠「……いや。目を見ればわかる。少なくとも、命を捨ててでも自分の隊の仲間を護る覚悟がある男が情報を漏らす事は無い事くらい、子供でもわかる」

グラハム「……やはり月詠殿はかなりの手練れだな。一度手合せ願いたいものだ」

冥夜「聞き捨てならぬぞグラハム!それはどういう事だ!?」

グラハム「聞いたとおりだ。それよりも月詠殿、話の続きを…」

月詠「ああ。わかった。いいだろう」

月詠「城内省は帝都城敷地内に在りますので、いまだ健在です」

月詠「それにより、斯衛軍の統制はいまだ失われておりません」

月詠「首謀者の声明にありました殿下に仇なす所存無しという言葉、今の所真のようです」

月詠「しかし、油断を許さない状況であるのに変わりはありません」

月詠「決起部隊は、殿下の直命を賜ろうとするはずです。それが彼等の正義を証明する、唯一の手段です故…」

グラハム「…だが、殿下の重臣を殺害したからには直に直命が出るわけはないだろう。しかし、時間がたてばたつほど帝国軍の態勢は整う……帝都が戦場になる可能性は充分にあるな」

冥夜「……最悪だ」


クロト(わかる?)

シャニ(わかんね)

冥夜「……下がってよいぞ」

月詠「は……何かございましたら、直にお呼び下さい」

月詠「戻るぞ!貴様等、ついてこい!」

オルガ「へーいへい」

シャニ「……ハン」

クロト「はいよっと」

グラハム「…冥夜、我々も戻るぞ」

冥夜「ああ……」

クロト「夢さえなくしても~♪」フンフン

月詠「……クロト」

クロト「あん?何よ?」

月詠「いや……なんでもない…」

クロト「変なの」

月詠「ぅぅ…」

オルガ「ハハハッ!なんだよその可愛い声!?」

月詠「なななっ!?」

クロト「あんな声も出せたんだねぇ?」ニヤニヤ

月詠「――ッ!」

シャニ「ハァン!」

月詠「貴様等ぁぁーー!」

グラハム(時間がたつのがやけに遅く感じるな…私とて人の子、と言う訳か…)

千鶴「…………」

慧「…………」

グラハム(……千鶴は当然として、慧の様子もおかしいな)

グラハム(いつもの私なら空気を読まずに話しかけているところだろうが…)

グラハム(今回は空気を読ませていただく……さて…)

グラハム(出撃命令が出ない事が一番の事とわかってはいるが……)

グラハム(私は落ち着きが無い…今すぐにでも命令を無視して出撃したい…が、そんな事をすれば営倉どころでは済まないだろうな…)

千鶴「皆……ハンガーに集合して…」

美琴「火器管制装置の微調整だって」

グラハム「ん、ああ……わかった。すぐ行く…」

オルガ「えーと、よーするに政府が外国にヘコヘコしてんのが気に入らねーんだろ?」

クロト「そーなの?僕は年金が原因だと思うよ」

シャニ「消費税の値上げだろ」

オルガ「黙ってろ!ワケわかんなくなるだろうが!えーっと、だから……ん?なんで帝都包囲する必要あるんだ?政府ぶっ潰せばいいじゃねぇか」

シャニ「帝都に政府があるんじゃね?」

クロト「シャニもオルガもバッカじゃないの?悪い人が姫を狙うのは当然だろ?」

オルガ「あ、なーるほど」

シャニ「納得」

オルガ「あれ?でもほら、殿下に仇なす者ではないとかどうとか言ってなかったか?」

シャニ「全然わかんねー」

クロト「だーかーらー、さらうけど傷付けませんよー。って意味だって。ほら、ピーチ姫も毎回五体満足じゃん?」

オルガ「あー?うーん?」

月詠「……貴様等、もう一度、わかりやすいように教えてやる」

グラハム「……慧。行くぞ」

慧「……なに?」

グラハム「火器の微調整だ」

慧「…ねえ、グラハム」

グラハム「なんだ?」

慧「…………グラハムは、誰かの命と軍の命令なら…どっちを優先する?」

グラハム「……難しいな」

慧「…グラハムでもわからない?」

グラハム「一つだけ言える事は…私は私の心に従う。たとえそれが、誰かを見殺しにする事になろうと。軍の命令に背く事になろうと」

グラハム「私が後悔しない様に動く」

慧「…見捨てる事が出来るの?」

グラハム「私は「あの時こうしていればよかった」と、思う事がない選択をとる。己に従う。それで己に災いが降りかかったとしても、私はそれに後悔はしない」

慧「……後から自分のしたことが間違いだったって気が付いたら?」

グラハム「その時はそれが正しいと思った、と割り切るしかあるまい…後悔する暇があるのなら、次を考えた方がいい。私は明日を見続ける」

慧「……そうだね。後悔なんて…してたら駄目なんだよね」

グラハム「自分で自分が許せないなどと言うのは…何とも言い難い感覚だ……」

慧「……わかる」

慧「わかってたよ……グラハム。行こう」

グラハム「ああ」

ガラッ

グラハム「ん?ああ、冥夜か…すまない、今行こうと――」

冥夜「彩峰!グラハム!今すぐブリーフィングルームに来い!」

慧「…!」

グラハム「動いたか…!」

まりも「臨時政府が、国連軍の軍事的支援を受け入れた」

まりも「珠瀬事務次官と臨時政府の全権特使との会談の結果だ。約10分前に公式発表された」

壬姫「……!」

まりも「臨時政府が絶対条件としているのは殿下の安全と保護だ…これは、今後の作戦の最優先事項となる」

まりも「クーデター軍は、この政府の決定を殿下の御心を蔑ろにする逆賊と国連に加担する売国奴共謀だと激しく非難している」

まりも「…尚、我が隊も出撃、後方警備任務にあたる」

グラハム「我々も出撃だと…!?」

冥千壬慧美「!!」

まりも「任務の重要度、戦術的バランス、我が隊の戦力等、様々な要件を考慮した結果だ…」

グラハム「…私か」

まりも「………」

グラハム「……すまない」

まりも「…………任務内容は、搭ヶ島城の警備。作戦区域は、芦ノ湖南東岸一帯とする」

まりも「尚、当任務には、横浜基地駐留の帝国斯衛軍第19独立警備小隊も随伴する」

冥夜「……」

グラハム「……当然か」

まりも「作戦区域では、帝国軍が周囲を固めることになっている。我々は米軍が進駐している横浜基地所属の部隊だ…作戦中に何か言われるかもしれないが、絶対に挑発には乗るなよ。グラハム、特に貴様だ…」

グラハム「承知した」

まりも「……大丈夫か?」

グラハム「問題ない」

まりも「…殿下を取り巻く状況が不透明だ。帝国軍将兵の苛立ちは相当なものだろう」

千鶴「教官、もしも武力による挑発や攻撃があった場合は、防衛行動は認められるのでしょうか?」

千鶴「この作戦は、殿下の御裁可をいただいたものではありません。帝国軍が、我々を侵略者とみなす可能性があります」

まりも「これは正式な手続きを踏んだ国連軍の作戦だ。それに手を出せばどうなるか想像はできるだろう。彼らの理性を信じよう…」

まりも「では引き続き、移動経路について説明する――」

月詠「…出撃だ。行くぞ」

クロト「だいじょーぶ」

シャニ「何時でも行けるよ…」

オルガ「お前等、しくじんなよ?」

クロト「誰に言ってるんだよ?」

シャニ「ハン…」

まりも「最後に…本作戦は実戦が想定されている以上、私が戦術機で直接指示をとる。コールナンバーは00だ」

グラハム「…ほう」

まりも「小隊を二分し、支援車輌も私が指揮する。小隊の運用としては変則的だが……やむを得まい」

まりも「編成は、榊を分隊長として彩峰、鎧衣をA、御剣を分隊長として、エーカー、珠瀬がBとする」

まりも「……以上だ。解散!」

一同「はい!」ザッ

?「クククッ…このままにらみ合いしてるだけじゃ面白くねえ……」

?「久しぶりの戦争チャンスなんだ……出来るだけ派手にやらねえとなぁ!」

?「さあ、始めようじゃねえか。戦術機同士による、とんでもねえ戦争ってヤツをよぉ!」

チャキッ

バンバンバン!

?「はははははははははは!楽しくなりそうだぜぇ!!」

本日はここまでだぜ!

まりも『先行部隊によると、作戦区域に敵影なしとのことだ』

まりも『予定通り作戦を続行するぞ』

千鶴・冥夜『了解』

グラハム「……」

まりも『00より、207各機。先程、帝都で戦闘が始まった』

グラハム「戦闘は回避出来なかったか…」

まりも『未確認ではあるが、帝都城を包囲していた歩兵部隊の一部が斯衛軍に発砲したことが発端らしい』

まりも『それに対し、斯衛軍第2連隊が全力で応戦』

まりも『沙霧大尉の戦闘停止声明も発表されたが、混乱は収拾できていない』

まりも『だが、我々の任務内容に変更はない。各機、通信機を解放で固定、予定に従い任務を続行せよ――以上』

グラハム「自分の部隊をコントロール出来んとはな……やはり、といえばそうか……」

グラハム(愛の超越――暴走。彼等の国への愛が、彼らをそうさせた。これは個人に止められるものではあるまい)

――愛を超越すれば、それは憎しみとなる!行き過ぎた信仰が内紛を誘発するように!
――それが分かっていながら、何故戦う!?
――軍人に戦いの意味を問うとは、ナンセンスだな!!
――貴様は歪んでいる!

グラハム「……そうしたのは君だ。ガンダムという存在だ…だったかな……」

グラハム「グラハム・エーカー。待機行動を続ける」



クロト「待機ってのも暇だねえ」

シャニ「音楽聞いたら駄目なのなんで?」

オルガ「わかんねーよ。失敗したわけでも無いのにあのおばさん怒るんだよな。しっかし暇だな…」

クロト「このまま待機行動だけ続けて終わりってのも、なんだかねぇ」

シャニ「楽と言えば楽なんだけどね」

オルガ「わざわざここまで来てやったってのに。何もないっつーのもな……お?」

シャニ「あ……」

クロト「雪だ…」

グラハム「雪か……」

冥夜「……降ってきたな」

グラハム「ああ…しかし、ここらもBETAの占領地域だったはずだが、ずいぶん建物がきれいに残っている…おかげで、美しい景色が見れたよ」

冥夜「BETAが占領した地域は自然が根こそぎやられるというのにここらは何故か無事だったらしい…」

冥夜「……グラハム、こんな話を知っているか?」

冥夜「BETAの本州侵攻の際、帝国軍が多摩川より東に撤退した後も、この搭ヶ崎城には斯衛軍第24連隊が踏みとどまったのだ」

冥夜「本州が奪回されるまでの数か月間、幸いにも小規模な戦闘が数回発生したのみだったそうだ」

グラハム「わざわざ離れ城を護るためだけにそこまでやるとは思えんな……」

冥夜「…ああ」

冥夜「余談であったな…」

グラハム「余談も不要なわけではないさ」

グラハム「……あまり一人で抱え込むなよ」

冥夜「……」

ピピピッ

壬姫『あのー……定時連絡です…』

グラハム「ん、ああ、こちらは異常なしだ。そちらは?」

壬姫『……こちらも、異常なしです……では……』

グラハム「…壬姫」

壬姫『…はい?』

グラハム「……誰も壬姫の父上は責めていないよ」

壬姫『…!』

壬姫『……でも』

グラハム「壬姫は私のお父さんはえらい人なんだとその小さな胸を張っていればいい」

壬姫『なっ…グラハムさん!ひどーい!』

グラハム「やっと笑ったな」

壬姫『あっ…』

グラハム「壬姫はそうやって笑っていればいい。しんみりした壬姫なんて壬姫らしくもない」

グラハム「冥夜に定時連絡を回す。切るぞ」

壬姫『えへへ……グラハムさん。また、後でね……』

グラハム「ああ…」


ピッ


グラハム「冥夜。定時連絡だ。こちらは異常なし」

冥夜『ああ。こっちもだ』

ピッ

グラハム「…戦闘を望む私と、望まぬ私がいる…どちらが本当の私なんだかな……」

クロト「ZZZ」

シャニ「俺も寝よ」

オルガ「あぁん!?何サボろうとしてんだよ、シャニ!」

シャニ「だって暇だもん」

オルガ「なに自分勝手な事言ってんだ!てめーの仮眠時間は終わったんだよ!」

シャニ「ふぁあー。早く始めてよ…」

クロト「うるさいなぁ…仮眠時間あと1分あるのに起きちゃっただろ…」

オルガ「おばさんなんてこんな暇な中でまだ1回も寝てねぇんだぞ!見習えよ!」

クロト「ごめんだね。暇過ぎて死んじゃうよ。寝る事くらいしか暇潰しが無いんだ。グラハムもやけに大人しいしね」

グラハム(…)ホワンホワンホワン

――少年!少年……!ああ!少年!
――やめっおまっ…アーッ♂

グラハム「ハァハァ………………ん?」

グラハム「誰だ?」

ピピッ
ジィィーー

グラハム「ズームしても木の陰に隠れて見えんか…」

ピッ
グラハム「壬姫。壬姫」

壬姫「zzz」

グラハム「起きろー」

壬姫「ぅぇ……ぅぅん…すやすや」

冥夜『グラハム…珠瀬は先程寝たばかりだ。かわいそうだから寝かせてやれ…暇なら私が話し相手になってやる』

グラハム「冥夜はお母さんか。って、そんな話がしたいわけではない。緊急事態だ」

冥夜『…何?』

グラハム「壬姫。起きろ。仮眠は中断だ」

壬姫『ぃゃぁ……ねるのぉ……』

グラハム「壬姫、壬姫。起きろ。起きろ!」

壬姫『ふぇ……?はっ…!な、なんですか!?グラハムさん!』

冥夜『グラハム、一体どうした?』

グラハム「先程、森の中に人影らしきものを視認した。確認に向かう。バックアップを頼む」

冥夜『なんだと…!?敵か!?』

グラハム「わからん。だから確認に向かうのだろう」

冥夜『それもそうか…了解した。バックアップは任せろ』

グラハム「私の機体を頼むぞ」

壬姫『りょ、了解です…!』

冥夜『グラハム…気を付けてな…』

グラハム「心配無用さ」

クロト「おばさーん。寝ないでいいの?」

月詠「静かにしろ」

シャニ「ZZZ」

オルガ「……」

クロト「いいじゃん。暇なんだよ。なんか通信入ったらちゃんと黙るって」

月詠「そういう問題ではない」

クロト「寝顔は可愛いんだしさー。ほらほら、お休みー」

月詠「いいか?戦闘地帯では無いからと言って油断するな。いつ戦場になるのかわからんのだぞ」

クロト「へいへい…わかりましたよ…」

クロト(微塵も動揺しないよ。つまんないの)

グラハム(さて、どの辺りだっただろうか)

グラハム(場合によっては戦闘か。出来る事なら戦闘は避けたいのだが…致し方あるまい)

パキッ

グラハム(足音!?)バッ


グラハム(誰かいる。反射的に隠れたが…見つかったか?)チャキッ

グラハム(生身で拳銃を撃つのは久しぶりだな…いや、まだ撃つと決まったわけではないか)

ザッザッザッ

グラハム(あの辺りか…近付いてきてはいない…見つかってはいないようだが…後ろをとるか)

グラハム(……2人か。武装はしていない……民間人――不法帰還民か?)

グラハム(銃を撃つ必要はなさそうだな。さて、避難させるか)

グラハム(…とりあえず、連絡しておくか)

グラハム「こちらはグラハム・エーカーだ。応答しろ」

グラハム(接触を図る!)

バッ

グラハム「失礼。私は国連軍所属のグラハム・エーカーだ。妙な動きはしないでいただこう」チャキッ

女「…なっ、銃を向けるとは何事です!?無礼者!」

グラハム「失礼だと言った。が、そちらにも非はある。許せ。ご存知かもしれないが、ここは民間人の立ち入り禁じられている第1種危険地帯だ」

女「ひかえなさい無礼者!」

グラハム「…………無礼者なのは重々承知です。とにかく、ここから退去して頂かなければなりません。日本政府担当官庁が引き受けに来るまで、我々が責任を持って貴女方を保護します」

女「貴方、アメリカ人ですね?答えなさい!」

グラハム「グラハムだ。不法帰還民と思しき2名を確保した」

冥夜『02、了解』

壬姫『05、了解』

グラハム「護送車輌の手配は出来るか?」

冥夜『…グラハム、戦況に変化があったらしい。CPは現在、対応を最優先処理中、指示を待て』

グラハム(帝国で何か動きがあったのか?)

女「答えなさい!」

冥夜『……私と榊は今からCPへ出頭する。バックアップは05に一任』

壬姫『05、了解』

グラハム「了解した」

女「答えなさいと言っているでしょう!」

グラハム「人種などそんな事どうでもいいだろう。今は、貴女方の安全を優先に――」

ブオオオオオ

女「―――!あれは…?」

グラハム「あれは国連軍機です。貴女方に危害は加えません」

女「国連……?」

グラハム「そうです。国連軍所属の戦術機です。作戦行動中なのでこれ以上は教えられませんが……」

女「無礼者!なんですかその――――」

?「――――おやめなさい」

?「黒い強化装備は国連軍の証……」

グラハム「冥夜……?」

?「…………めい……や……?」

グラハム「…いや、人違いだ。失礼した」ピキーン

グラハム「背後に気配!?誰だ!?」チャキッ

男「……流石はグラハム・エーカーだ。香月博士が君の事をえらく気に入るわけだ」

グラハム「…何?香月博士だと?」

男「話をしたい。グラハム・エーカー。まずは、その物騒な物を下げてくれないかね?」

グラハム「ああ…これは失礼した」

女の子「鎧衣、この者、そなたの知り合いですか?」

グラハム「…鎧衣だと?」

鎧衣「はい。グラハム・エーカーと申しまして、無礼な変わり者です。アメリカ人でありながら我が国の切り札…とも言われております。と、言っても国連軍所属ですが」

鎧衣「グラハム・エーカー。娘が世話になってるね」

グラハム「娘……やはり貴方は…それより、貴方方はこんなところで何をしている?」

鎧衣「ほう。君は、このお方を誰か知らないと言うかね?」

グラハム「全く知らんな」

女「煌武院悠陽殿下に在らせられるぞ!無礼者!」

グラハム「……煌武院悠陽?」

鎧衣「日本帝国国務全権代行である征夷大将軍殿下を呼び捨てかね?」

グラハム「いや……ああ、これは失礼した。殿下。お許しを」

悠陽「よい。それより鎧衣」

鎧衣「は。そうでした。グラハム・エーカー。HQはどこかね?」

グラハム「小田原西インター跡だ」

鎧衣「まずいな……CPは?」

グラハム「旧関所跡」

鎧衣「ふぅむ……」

グラハム「どうかしたか…?」

鎧衣「畏れながら殿下、この者とご一緒下さい。多少窮屈ではございましょうが、緊急事態故ご容赦を…」

悠陽「わかりました…白銀とやら、面倒をかけます」

女「鎧衣課長!何をお考えです!?この者は日本人ではないのですぞ!?」

鎧衣「今は人種などどうでもいいことだろう。戦術機のコクピットなら、殿下をお乗せする事は可能だろう?」

グラハム「ああ…確かにな…この状況で戦術機のコクピット以上に安全な場所は無いか……」

鎧衣「そういう事だ」

女「…致し方ありません」

鎧衣「殿下、よろしいですか?」

悠陽「はい、そなたに任せます」

鎧衣「そのまま、横浜基地まで行かれるのがよろしいかと…侍従長、貴方は、指揮戦闘車に」

女「わかりました。グラハム・エーカー。殿下をしっかりとお守りするのですよ?」

グラハム「お任せください」

悠陽「鎧衣、そなたはどうするのですか?」

鎧衣「殿下、私にはもう一仕事残っておりますので、しばらくしたら失礼させていただきます……グラハム・エーカー。殿下を頼んだぞ」

悠陽「鎧衣、ここまで本当に大義でした。そなたの武運、祈っております…」

鎧衣「ありがとうございます」

まりも『CPより207各機…警戒態勢を解除。これより準戦闘態勢に移行する』

グラハム「準戦闘態勢だと!?」

鎧衣「!」

まりも『帝都での戦闘が激化した事態を受け、城内省は昨夜、殿下の帝都脱出を決定した』

まりも『殿下は極秘に建造された地下鉄道を使い、関東圏の鎮守符及び城郭へと移動した』

まりも『しかし、30分ほど前、何者かにこの情報をリークされた』

グラハム「何!?」

まりも『クーデター側は現在、各地の城へと部隊を移動させつつある。その結果帝都での戦闘はほぼ終了したようだ。ここも戦場になる可能性が高い。各機、準戦闘態勢で待機、次の指示を待て!』

グラハム「あなた方の情報がリークされたらしい!ここも戦場になる可能性が高い!」

鎧衣「計算通りだ……決起部隊が帝都で戦闘を始めなければ完璧だったんだがね」

グラハム「何…?」

鎧衣「殿下の脱出情報は、私がリークした」

グラハム「…どういう事だ?」

悠陽「よいのです。私が命じました」

鎧衣「殿下は、これ以上帝都の民を戦火に晒さぬ為に、自ら囮役を買って出られたのだ」

グラハム「…見事」

鎧衣「殿下は最後まで戦闘を避けるように下知なさっていたのだがね」

鎧衣「しかし、どうしても日本国内で内戦を起こしたい輩がいるようだ」

女「…」ギロッ

グラハム「……米国か?」

鎧衣「恐らくな…」

グラハム「仕組まれた内戦……」

グラハム(アザディスタン……)

グラハム「…状況は把握した」

鎧衣「では、行きたまえ殿下を横浜基地へとお連れするのだ」

悠陽「迷惑を掛けます…」

鎧衣「私と侍従長はまず、旧関所のCPへ行く」

グラハム「了解した。こちら06グラハムだ。最優先処理の必要を認む!」

グラハム「ああ…こちらグラハム。先程確保した3名の身元が判明した」

グラハム「……ああ。そうだ。煌武院悠陽以下――侍従の女性と帝国情報省の鎧衣課長だ」

まりも『なんだって!?殿下が、たったそれだけの警護で――』

グラハム「鎧衣課長と侍従の女性がそちらへ向かう。詳細はそちらで聞いてくれ」

まりも『了解…殿下はどうされるのだ?』

グラハム「戦術機のコクピットが一番安全だという鎧衣課長の提案だ。殿下には私のコクピットに乗ってもらう」

まりも『ななななななな!?やめろ!頼むからやめてくれ!』

グラハム「そう慌てるな。全力で警護する」

まりも『貴様の操縦では絶対に駄目だ!!貴様のコクピットでは最大10GのGがかかるのだぞ!?常人が耐えられると思っているのか!?』

グラハム「後は任せた」

まりも『まて!グラハ』


グラハム「では殿下、こちらへ…」

悠陽「世話になります……」

ダダダッダダダッ

グラハム「銃声!?この音…近いぞ!」

鎧衣「グラハム!急いで殿下をお連れしろ!もたもたするな!」

グラハム「わかっている!殿下!先に許可だけはいただきたい!銃殺されてはかなわん!」

悠陽「え……?」

グラハム「私が殿下に触れる許可を頂きたい!!」

侍従長「貴様!殿下に対する言葉遣いに―――いや、それよりも、殿下に何をするつもりだ!」

悠陽「よい……グラハムよ。許可する」

グラハム「了解した。では失礼して……」ひょいっ

悠陽「ひゃっ!?」

侍従長「ななんななななんななな!?殿下をお姫様抱っこなど…!」

グラハム「グラハム・エーカー!目標へ向かう!」ダダダダダッ

鎧衣「なんとも……恐れを知らぬ男よ……」

月詠「何!?殿下が…!?いや、それよりも、グラハム・エーカーのコクピットに乗せるだと!?」

クロト「ふぅん…何か面白そうじゃん」

オルガ「よくわかんねーけど、クーデターが殿下逃げたのに黙ってるワケねーか」

シャニ「殿下護れなかったら銃殺刑?」

クロト「違うね。きっと戦術機に紐で繋がれて引きずりまわされるよ」

オルガ「冗談じゃねぇや。ま、職務に励むとしようや」

クロト「だね」

シャニ「へっ、へへっ…」

グラハム「申し訳ありません。これしか方法が無くて…」

グラハム(殿下を膝に乗せていいのだろうか…)

悠陽「無理を強いているのは私…そなたは気を使う必要はありません」

グラハム「そんな……おっと、これを。簡易固定ジャケットと酔い止めです」

グラハム「先程聞いた通信によればふた山向こうでは既に戦闘が始まっています。急がねば、ここもすぐ…」

悠陽「申し訳ありません……私が、不甲斐無いばかりに……」

グラハム「殿下の所為ではありませんよ…では、出撃準備に入ります」

トゥイーン

『Generation
 Unsubdued
 Nuclear
 Drive
 Assulut
 Modure』

ピピピピピピッ
『G.U.N.D.A.M.』


悠陽「ガンダム?」

グラハム「特別制です。少々暴れ馬ですが、性能は確かですよ」

まりも『207戦術機甲小隊!全機発進!』

グラハム「グラハム・エーカー、出るぞ!」

本日はここまでだよ☆

千鶴「05珠瀬、離れ過ぎよ!」

壬姫「や、やってます!」

美琴「帝国軍が突破されたよ!」

冥夜「うろたえるな!後方は斯衛が固めている!」

千鶴「もっと速度をあげられないの!?」

グラハム「馬鹿を言うな!殿下は簡易ベルトなのだぞ!?これ以上は無理だ!」

悠陽「…構いませんグラハム。速度をお上げなさい」

グラハム「しかし!」

悠陽「早くなさい」

グラハム「…了解した。グラハム・エーカー。次の谷を噴射跳躍でショートカットする」

グラハム「この感覚…四時方向より敵多数!」ハムーン!

まりも「全機兵器使用自由!06生存を最優先せよ!ただし、無闇にこちらから仕掛けるな!向こうはうかつに手出しできないはずだ!」

グラハム「了解!」

『国連軍及び斯衛軍の指揮官に告ぐ。我に攻撃の意図非ず。繰り返す、攻撃の意図非ず。直ちに停止されたし』

『貴官らの行為は、我が日本国主権の重大なる侵害である』

グラハム「聞く耳もたんな!」




シャニ「敵、来てんじゃん。撃ちてー」

クロト「あーあー。こっちから手を出すな、なーんて、無茶言うよねぇ」

オルガ「ちっ。しょーがねぇ。落とされねぇように頑張るとしようぜ」

グラハム「前方に機影…!?ええい!敵か!?」

ピピピッ

グラハム「……いや、敵ではないのか?」

米国軍衛士『こちらは、米国軍第66戦術機甲大隊。ここは任せろ』

まりも『207リーダー了解』

グラハム「ナイスタイミングだ!助かった…!」

まりも「207各機、隊形を維持し、最大戦闘速度!」

グラハム「了解」

クーデター軍衛士A「来ました!機影8!米国軍のF-15E、ストライクイーグルです!」

クーデター軍衛士B「米国機に告ぐ、直ちに戦闘行為を停止せよ」

米軍衛士「オーウ。ワタシニホンゴワーカリマセーン。ホンヤクキノウヲツカッテクダサーイ」

?「オーケーオーケー。シャーラップマザーファッカーファッキュー」

米軍衛士「」

クーデター軍衛士C「撃ってきました!」

クーデター軍衛士B「F-15E8機…手強いぞ!気を付けろ!」

?「俺に任せなぁ!」

クーデター軍衛士B「…何!?」

チュドーンボカーンイヤバカーン

?「はははははははははは!機体はよくてもパイロットはイマイチの様だな?え?アメリカさんよぉ!?」

米国衛士「このやろおおおおお!」

ドカーン

米軍衛士「なんなんだこいつは!?」

米軍衛士「落ち着け!厄介な相手は1機だ!あれさえ落とせれば…!」

?「7時の方向に増援…!?しかも新型かよ!?ハッハッハァ!そうこなくちゃなぁ!戦争のし甲斐があるぜぇ!」

ババババモノタリネェナァバンバンバンドッコイ!ギッチョンチョン ドカーン ハハハハハ!イキノコルノハオレダァ!

米軍衛士「あ、当たらねぇ!?うっわああああああ!」

?「俺様に当てよう何ざ1億万年早ェんだよ!なんなら洗脳して訓練してやろうかぁ!?」


クーデター軍衛士「凄い……たった1機で…」

?「ハッハァ。アメリカさんもデケェ態度をとってるワリには大したことねえなぁ」

?「…頂くぜ、煌武院なんたら」

グラハム「殿下、大丈夫ですか?」

悠陽「心配はいりません。多少は操縦の心得はあります。飾りとはいえ、軍の最高司令官なのですからね」

グラハム「戦術機の操縦を…ですか?」

悠陽「そうです。故あって今は今は手元を離れていますが、わたくし専用の機体もあるのですよ?」ニコッ

グラハム「はは、羨ましいかぎりです」

グラハム(きっと金ピカな機体だろうな)

悠陽「そういえば、そなたの操縦は面白いですね。先程から感心していました」

グラハム「ふふ。よく言われます」

悠陽「ところで、この部隊に随伴している斯衛の指揮官は月詠真那中尉でありましょうか?」

グラハム「ええ。そうです」

悠陽「だとすれば…おかしいですね…グラハム、そなたに尋ねたいことが――」

ピッ

ウォーケン『207戦術機甲小隊に告ぐ、私はジオ…米国陸軍第66戦術機甲大隊指揮官、シャ…ウォーケン少佐だ』

ウォーケン『現在我がA中隊が時間を稼いでいるが、彼我の戦力差を考えると楽観できる状況ではない』

ウォーケン『我々は亀石峠で諸君らの到着を待つ。到着次第、補給作業を開始する。可及的速やかに合流してくれたまえ。以上だ』

ピッ

グラハム「無理を言ってくれる…殿下、大丈夫ですか?」

悠陽「私は大丈夫です…任務を遂行なさい」

グラハム「……気遣い無用、という事か。ならば私も貴女に従いましょう」

クロト「あのウォーケンとかいう金髪、赤い強化装備だったね」

オルガ「おばさんとお揃いかよ」

シャニ「だっせ」

月詠「……聞こえているぞ」

クロト「実にかっこいい強化装備だよねえ」

オルガ「全くだぜ」

シャニ「俺も着てぇ~」

~補給中~

グラハム「補給中くらい外に出られるとよかったんですが…」

悠陽「構いません。気遣いは無用です」

悠陽「そういえば…月詠中尉が随伴しているという事は、そなたの部隊に武御雷が配備されているはずなのですが…」

グラハム「武御雷……ああ、確か…あの紫の…」

悠陽「はい。先程話した私の専用機です。見当たらないようですが、何故でしょうか?」

グラハム「冥夜がやけに乗りたがらなかったからな…特別扱いを嫌っていたようだ」

グラハム(将軍専用機――それを与えられるとは…もしや、殿下と冥夜は姉妹か何か…?)

悠陽「……そうですか。あの者らしい…」

悠陽「やはり、冥夜は…御剣冥夜はこの部隊にいるのですね」

悠陽「時にグラハム。あの者は、日ごろどうなのですか?」

グラハム「熱心で頑固、とでもいえばいいのだろうか…面白い奴だよ。彼女の強さの中にある優しさ。私も信頼できる」

グラハム「だが、自分1人で抱え込んでしまう所が欠点ともいえる…」

グラハム「少しくらい仲間に迷惑をかけて、自分に甘えてもばちはあるまい。それでこその仲間だ。その点私は仲間に迷惑をかけっぱなしだぞ!先程なんて殿下をコクピットに乗せるのに教官に猛反対されたからな」

悠陽「グラハムがそう感じるのであれば…あの者はそなたにそうとう甘えていますね」

グラハム「何……?」

悠陽「私が聞き知る限り、あの者は、そのような弱さを人に気取られる事すら良しとしないはずです…されど、そなたとこうして話をしていると、それも理解できるような気もします」

グラハム「さあな。私の観察眼が素晴らしいだけかもしれんぞ」

悠陽「そなたは本当に不思議な人ですね…」

グラハム「よく言われる」

悠陽「将軍相手にここまで親しく接してくれてありがとうございます」ニコッ

グラハム「おっと……これは失礼しました」

悠陽「よい。先程までの方がそなたらしい…」

グラハム「……悠陽殿は、冥夜と姉妹か何かで?」

悠陽「…………」

グラハム「失礼。あまりにも似ているものだからな…」

悠陽「……似ている?」

グラハム「ああ。顔はもちろん、正確もそっくりだ。少なくとも、私はそう感じる」

悠陽「…………それはそうでしょう。私とあの者は、血を分けた双子なのですから」

グラハム「双子……」

悠陽「古より、煌武院家には双子は世を分ける忌児だとするしきたりがあるのです…」

グラハム「……」

悠陽「そのしきたりによって、あの者は生まれてすぐに遠縁の御剣家に養子に出されたのです」

悠陽「ですから、あの者と私は、幼少の頃より直接話をした事も、一緒に遊んだ事もありません」

悠陽「あの者は、幼少よりことあらば私の身代わりになるように教育され、周囲からもそう扱われてきたのです――」

グラハム「……そうか」

悠陽「……」

グラハム「……国のトップというのも、大変なんだな」

悠陽「……」

グラハム「…………だが、安心しろ。冥夜は、貴女を失望しても、恨んでもいない」

グラハム「証拠はないが…言い切れる」

悠陽「そうですか…………グラハム、そなたに頼み事があります」

グラハム「私に出来る事ならば。なんでも」

悠陽「これを……これをあの者に渡して下さい」

グラハム(……人形? 手作りのものか?)

悠陽「これが…あの者と私が共に過ごした証なのです。例え、ほんの数日でも……此度、身の回りの品で持ち出せた唯一のものです」

グラハム「…大仕事だな。グラハム・エーカー。殿下の心、必ず御剣冥夜に届けましょう」

悠陽「…よろしくお願いします」

ウォーケン『207戦術機甲小隊各機に告ぐ』

グラハム「失礼。通信が入った」

悠陽「よい」

ウォーケン『現在敵部隊は山伏峠に到達。友軍部隊は後退を開始した』

ウォーケン『この後退は包囲殲滅を回避する為の戦術的なものだ。彼我の撃墜日は4:1。依然こちらが優勢だが…クーデター軍に一人化け物がいるようだ』

ウォーケン『たった一人で戦況が変わる事が無いという常識を覆す可能性のある、正真正銘の化け物だ。作戦及びルートに今の所変更はないが…気を付けてくれ』

ウォーケン『207戦術機甲小隊は補給完了次第、現隊型を維持し先発、両翼と最後尾は我々が固める。尚、これ以降、207戦術機甲小隊は、我が第66戦術機甲大隊の指揮下に入るものとする。以上だ』

ウォーケン?『…この戦闘力……アムロ…?まさかな……』

ピッ

グラハム「……さて」

ちぃ!時間切れかよ、ここまでェ!

グラハム「少佐から送られてきたデータを見る限りでは、確かに化け物がいるのは本当の様だな……」

グラハム(戦闘になった場合、207訓練小隊では手も足も出まい。私も殿下を乗せている以上、無茶な挙動はとれない…)

グラハム(絶対にヤツに追いつかれるわけにはいかん…もう少し速度を上げたいところだが、殿下の具合が悪そうだ…先程から何も話していない…顔色も随分悪い)

グラハム「……大丈夫か」なでなで

悠陽「大丈夫です…かまわず任務を遂行してください……」

グラハム「そうは言ってもな……殿下は将軍である前に女なのだ。私に気を使う必要などない」

グラハム「女は男に甘えるものだ。ましてや貴女は将軍だ。権力を使って無理やり私に甘えてもらっても構わないぞ。はははっ」

悠陽「本当に恐れを知らない人ですね…………少し、もたれさせていただきます…」

グラハム(随分と苦しそうだな…確か、加速度病だったか…?嘔吐感に伴う脱水症状で死ぬ可能性もある…将軍に死なれたら私の首一つではすまんな)

グラハム(ほっとけば治癒するから基本的に医療関係の資料に目を通していない…どうすればいいのか分からん)

グラハム(しかし、殿下を手荒に扱った。なんて噂が流れればどうなる事か…)

ピピピッ

ウォーケン『ハンター1より各機。旧三島市街、136号線後を進軍してきたと見られる敵部隊が、冷川料金所周辺に到達した』

ウォーケン『第174戦術機甲大隊が現在交戦中だ』

ウォーケン『全機現隊形を維持、最大戦闘速度で冷川を突破する』

グラハム(こちらの動きを読んでいるような動きだな……敵にイノベイターがいるのか…?)

グラハム(いや、それよりも…これ以上速度を上げると…殿下は……)

ウォーケン『174大隊が相手をしているのは恐らく富士駐屯地の部隊だ』

グラハム「衛士に応用操縦技術を教える帝国軍の精鋭中の精鋭……なるほど、富士部隊が先行して、E1が転進をカバーか。考えたな」

ウォーケン『この状況から考えて、富士の部隊は奴等の切り札に違いない』

ウォーケン『だが、我らが冷川を突破してしまえば、奴等に打つ手はないだろう』

グラハム「殿下、もう少しの辛抱を…」

ウォーケン『決起部隊が、料金所に達した。だが、将軍がこちらにある限り、敵は迂闊に手出しできないはずだ。現隊形を維持し、全速前進』

グラハム(敵としては迂闊に攻撃できないのは確かだ。だが…直命をもらえないとなれば将軍は彼らにとって邪魔になる。ならば、将軍を殺してその責任を国連や米国軍になすりつける事が目的だとすれば…)

グラハム(彼等の真の狙いが、国連や米国軍に対する反発を大きくする事だとしたら…)

グラハム(…………いや、ありえんか。間違っていたとはいえ、私は武士道精神なるモノを学んだ男)

グラハム(武士道精神に背くようなことを、彼らがするはずもあるまい)

グラハム「5時方向に敵機…ええい!」

グラハム「このまま突き進む!頼むぞ、我が愛機!」

オルガ「どけ!クロト!」

クロト「くそっ!こいつ、僕の機体にしがみついてきやがった!何考えてんだよ!?」

シャニ「俺は知らねーよ。自分で何とかしないと置いてかれるよ」

オルガ「チィ…!仕方がねえ、避けろよ、クロト!」ジャキッ

クロト「ふざけんな!オルガ!俺までハチの巣になるだろうが!お前もいい加減に離せよ!」バキッ

グラハム「何とか抜けられたか……殿下…大丈夫ですか?」

悠陽「大……丈…………」カク

グラハム「限界か!?」

ピピピッ

グラハム「こちらグラハム!殿下が重度の加速度病で倒れた!意識は朦朧、呼吸はやや乱れ、心拍数は高め!このままではまずい!即時停止を要求する!」

まりも『わかった!…少し待て!』

グラハム「殿下、大丈夫です。大丈夫…もう少し、頑張ってください」

ウォーケン『ハンター1より各機、約2マイル先の谷までNOEで移動。到着後、06以外の各機は散開して周囲の警戒にあたれ』

米軍衛士『ハンター2。ポジション確保』

月詠『1901、配置確保』

千鶴『20701、ポジション確保』

ウォーケン『全機、指示があるまで全周警戒を維持してくれたまえ』


まりも『グラハム。殿下の御容態はどうだ?』

グラハム「以前変化はない。先程よりも苦しそうだ……私がついていながら……!」

ウォーケン『バイタルデータはモニターできるか?』

グラハム「ああ……」
ピピッ

ウォーケン『軍曹、訓練部隊のファストエイドキットは国連E規定に準拠した物か?』

まりも『は。米軍と同じものを使用しております』

ウォーケン『グラハム君、スポコラミンはもう投与したのかな?』

グラハム「箱根を出る前に、3錠飲んでいただきました」

ウォーケン『限界量のスポコラミンが効かない…か…』

グラハム「少佐、殿下を可能な限り楽な姿勢にさせ、ハッチを開放し、涼しい外気に触れさせる事が必要だと考えます。許可を頂けないでしょうか?」

ウォーケン『ふぅむ…許可しよう』

グラハム「殿下、防寒シートをかけます。失礼」

ヒュオオオオオオオ

まりも『これは、侍従長が言っていたのですが、殿下はこの争乱が始まってから、一睡もされていないそうです』

まりも『また、殿下の御立場や状況を考えると、精神的にもかなりの負担がかかっていたでしょう…』

グラハム「…………殿下」

悠陽「……ぅぅ…………ぅ」

ウォーケン『なるほど、それでは無理もないな。将軍の名は伊達じゃない、か…』

ウォーケン『仕方がない。グラハム君、殿下にトリアゾラムを投与してくれ』

グラハム「……何?」

ウォーケン『早くしろ。精神安定剤の投与は重加速度病に対する通常の処置だ』

まりも『お待ちください少佐!殿下の症状と戦況の好転から考えて、さらなる投薬のリスクは不要ではないでしょうか』

月詠『その通りです。少佐。安静が確保できるのであれば問題はありませんが、この先も戦術機での移動が続く以上、トリアゾラムの投与は危険です』

ウォーケン『何故かな?』

月詠『睡眠導入効果の高いトリアゾラムは、同時に筋弛緩を引き起こします。睡眠状態での嘔吐により、窒息死する危険性もあります』

月詠『トリアゾラムが必ずも適切な処置で無い以上、殿下の体調の回復の為、10分以上の休息時間を取るべきかと…』

グラハム「少佐。後10分程、ここで待機する訳にはいかないだろうか」

ウォーケン『…………しかしだな』

グラハム「女性は大切に扱うべきだ。男なら分かって当然だろう」

まりも『グラハム、上官同士の話し合いに口を出すな!』

ウォーケン『…………なるほど、グラハム君の言う通りだ』

まりも『……少佐?』

ウォーケン?『女性は大切に扱うべきだ…』スッ

グラハム(仮面……?)

ウォーケン?『特に、18歳未満の女性はな』カポッ

グラハム(何……!?装着しただと!?)

ウォーケン?『このマスクをつけるのも久しぶりだな…』

シャア『……私はシャア・アズナブル大佐だ』ドドドドドドドドドドド

月詠『シャア・アズナブル……』(仮面……)

まりも『赤い…彗星…』(仮面wwwwwwww)

グラハム「素晴らしい仮面だ!」

シャア『何!?グラハム君、君はこの素晴らしさが分かるのかね?』

グラハム「恥ずかしながら、私も仮面を常備しております故!」チャキッ

ミスター・ブシドー「ジュワッ」

シャア『なんとイカす仮面だ……その仮面をどこで?』

グラハム(ミスター・ブシドー)「自作だ」

シャア『実に素晴らしい。ところで、好きな色は何かね?』

グラハム「無論赤です(トランザム)」

シャア『君とは気が合いそうだな。私も赤が大好きだ。好きな倍速は?』

グラハム「3倍です(トランザム)」

シャア『それでこそだよ!君とはいい友人になれそうだ。近いうちに遊びに行くよ。今度じっくり話し合おう』

グラハム「ああ。是非」

まりも『ちょ、まってください!どういう事ですか!?大佐!』

米軍衛士A『大佐がお話をされているのだ!静かにしろ!』

まりも『……すいません』

米軍衛士A『貴様等のこんなくだらない争いの為に、我々の優秀な衛士が命を落としているというのに…貴様等は休憩を要求し、大佐の意見に口出ししておいて、すいませんで済むものかよ!!』

米軍衛士A『大佐がお優しいお方だったから貴様の無礼は許されたというのに……貴様は感謝の言葉すら出さないどころか、大佐のお話に口を挟むとは!!』

米軍衛士A『軍法会議など必要ない……貴様は即射殺だ!!』ジャキッ

まりも『…!?』

シャア『まあそう言うな。彼女が疑問を感じるのも当然だ』

米軍衛士A『……は』

まりも『…………本当に申し訳ありませんでした』

シャア『何、気にすることは無い。きっと年齢の所為だ』

まりも『……』イラッ

まりも『………………それで、説明をいただけないものでしょうか』

シャア『初老の君に親切に説明する気にはなれないが……そこはグラハム君に免じて、親切に解説してあげよう』

まりも『…………』イライライラッ☆

シャア『こちらに来たかったから、ウォーケン君に頼み込んでね。私がウォーケン君になりすましていたと言う訳だ』

シャア『幸い、彼と私はそこそこ似ていたのでね。この蝶ネクタイ型変声機を使えば部下にもバレなかったよ』

米軍衛士(知ってたけどな)

米軍衛士(機体にシャア専用ってマッキーペンで書いてあるし)

米軍衛士(ウォーケン少佐の機体を赤に塗り替えてwwww少佐涙目www)

米軍衛士A(流石大佐だ…!!素晴らしいお考え!それどころか、私の席まで用意してくださるなんて…本当になんてお優しい方なんだろうか……!貴方の為ならどこまでも…!!)

まりも『しかし……何故そのような事を…?』

シャア『207訓練小隊のたまちゃんの噂を聞いてね。なんでも凄い可愛いロリ……」

まりも『…………………………』

月詠『…………………』

壬姫『…………』

米軍衛士A(何を黙っている!?大佐にご指名されたのだぞ!?そこは喜びの余り戦場だろうとコクピットから飛び出して大佐のお膝へ即移動するのが当然だろう!……もっとも、大佐に近付く汚らわしい雌はこの私が撃ちう殺すが)

シャア『ゴホン。いや、このご時世に反乱を起こす決起部隊の覚悟とやらを、この身で感じて見たかったものでね』

米軍衛士A(大佐…!空気を読んで言い直すなど貴方らしくもない…!この屑どもが……大佐に気を使わせるなんて…戦闘になったらどさくさに紛れて撃ち殺してやろうか…それでは面白くもなんともない。裸にひん剥いて、無法地帯に捨ててやる……塵の様に扱われて、心身ともにボロボロになったところで、兵士級の餌にしてやる…!!フフフフフフフハハハハハハハアハハハハハハ!!!)

まりも『………………そうですか』

月詠『………………………ご苦労様です』

壬姫『…………………………………………………………………………………』

シャア「……認めたくないものだな。自分の若さ故の過ちというものを…………」

米軍衛士A(大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐大佐)

別の意味で世界が終わりそうだけど次回へつづく

ピピピッ

米軍衛士A「センサーに反応……何だ!?」

シャア「航空機…友軍か?」

グラハム「この距離までレーダーに反応しなかっただと!?ガンダムかっ!?」

シャア「ガンダムだと!?」

グラハム「ガンダム!?」

シャア「ガンダム!」

シャア「ガ」

グラハム「ン」

シャア「ダ」

グラハム「ム」

米軍衛士A「帝国軍671航空輸送隊…?作戦への参加は聞いていないが……」

まりも「帝国軍…671!?」

米軍衛士A「どうした、軍曹。報告しろ」

月詠「大尉……671輸送隊は…厚木基地所属の部隊です…」

こやす『国連軍指揮官に告ぐ…』

沙霧『私は沙霧尚哉である。直ちに戦闘行動を中止せよ。繰り返す。直ちに戦闘行動を中止せよ』

グラハム「……囲まれたな」

米軍衛士A「馬鹿にして…!」

沙霧『故あって決起し、立場を異にする諸君らと対峙しているが、我等の目的は戦闘ではない』

沙霧『諸君らが無法にも連れ去ろうとしている我らが殿下を、御迎えにあがったのだ』

沙霧『いささか一方的ではあるが、諸君らに、只今から60分間の休戦を申し入れる』

沙霧『なお、この休戦は煌武院悠陽殿下の御尊名に懸けて履行される物であり、我々からそれを破る事はありえない』

沙霧『その間、現在置かれている状況、諸君らが我が国に行っている行為の当否を冷静に熟慮し、現実的で、誠実的な対応をとられんことを切に願う』

沙霧『60分後、再びオープンチャンネルにて呼びかける』

沙霧『返答無き場合、我らは必要と思われる全ての手段を以て事態の収拾を図る。以上』

シャア「反乱の首謀者が最前線に現れた……月詠中尉。君はどう思う?60分間の休戦は、本当に履行されると思うかね?」

月詠「はい。殿下の置かれた状況、国の現状を憂いて立った物達です。将軍の名においてはっした言葉を翻す事――自らが拠って起つ者を辱める事は、絶対にありません」

シャア「では、彼等を信じるとしよう。各機は現ポジションを維持。殿下には、戦術機から降りてお休みいただく」

シャア「念の為だ。207部隊は殿下の警護にあたってくれ」

まりも「はっ」

月詠「大佐。我が部隊の衛士も戦術機から降ろし、周囲の警戒に当たらせます」

グラハム(……彼等の名誉をかけた休戦)

グラハム(私は彼等を信じよう。彼らの武士道精神を)

グラハム(裏切ってくれるなよ…その時私は、修羅になる)

グラハム「……フラッグ、私に力を貸してくれ」グッ

冥夜「…あ」

グラハム「……冥夜か」

冥夜「…グラハム、それは……」

グラハム「ああ。君達からもらった私のフラッグだ。私の誓いであり、お守りだ」

冥夜「……そうか」

オルガ「殿下ー。大丈夫ですかー」

悠陽「………ええ」

オルガ「まだ駄目か…まあ、当然っちゃー当然か。流石にまだ治らねーよなぁ……」

月詠「オルガ。殿下はどうだ?」

オルガ「げっ。何時の間に……意識はあるし、さっきより全然いいけど、まだ駄目だな」

月詠「そうか…殿下、大丈夫ですか?」

悠陽「…ええ。ところで、頼みたい事があるのですが……」

冥夜「グラハム……」

グラハム「なんだ」

シャニ「あ、いたいた」

グラハム「…ん、おお。シャニか。どうした?」

シャニ「なんか殿下が呼んでるよ」

グラハム「殿下お呼び出しなら断れんな…すまない。冥夜。また後でな」

冥夜「……ああ」

シャニ「殿下。グラハムを連れて来たよ…あ、いや、つれてきました」

悠陽「御苦労でした、シャニ。下がりなさい」

シャニ「はい」てくてく


悠陽「…グラハム。ここへ」

グラハム「ああ」

グラハム(先程と比べると調子はよさそうだな)

悠陽「……このまま話す非礼を許すがよい。身を起こすと、少々辛い故…」

グラハム「私が非礼の塊みたいなものだ。そんな男相手に、気を使う必要もない」

悠陽「ふふ……本当にそなたは面白い男だ……」

グラハム「よく言われる。何か用ですか?」

悠陽「…月詠から状況は聞きました。時間がくるまで、少しそなたと話がしたかったのです」

グラハム「私でよければ、何時、どこでもお付き合いしましょう」

悠陽「そなたはどうなのですか?疲れていますか?」

グラハム「私は大丈夫だ」

悠陽「…凄いですね。そなたは本当に訓練兵なのですか…?そなたの操縦技術…並みの国連軍人など歯牙にもかけないでしょう」

グラハム「さあ。どうかな……」

悠陽「……ふふ。そなたの雰囲気は、どこか普通の人とは違います」

グラハム「ほう……わかるのか。確かに、私はこの世界の人間ではないからな」

悠陽「この世界…?」

グラハム「ああ。私は――――」

悠陽「…不思議な話ですね」

グラハム「ああ。私だけでなく、月詠中尉の部下の三人も、この世界の住人では無いらしい。なんでも、気付いたら三人一緒に倒れていたとか」

悠陽「……別の世界からこの世界に飛ばされてくる、なんて奇跡、そうそう頻繁に起こる物でしょうか?」

グラハム「……」

悠陽「そなたの話を聞いて、誰かがこの世界に、他の世界の人間を意図的に引き込んでいる…と、私は感じたのです」

グラハム「別の世界の人間を引き込める力を持った者が存在する……と?」

悠陽「どうでしょうか?」

グラハム「成程……わからん」

悠陽「そうですか」

グラハム「しかし…私は、助けを求めているように感じる」

悠陽「…助けを?」

グラハム「ああ。ただの感だが…」

悠陽「…」

グラハム「何度も何度も失敗して…何らかの理由で、やり直す事が出来なくなって…ならば、他人の力を借りようという結論に至った。私はそう感じた」

悠陽「…では、この世界が助けを求めて、他の世界の人間を大量に引き込んでいると?」

グラハム「個人の力か、世界の力かは分からんし、あくまでも私の感だ」

悠陽「……」

グラハム「とはいえ、助けを頼んだ人間が、この世界にいい影響を与える人間とも限らん。そいつを呼んだ事で、大惨事になる事だってあるだろう」

グラハム「そんな存在だけを呼んでしまわない為にも、大量に人間を呼んでいるのだと、私は思う」

グラハム「プラスマイナス0になってしまうような気がしなくもないが……呼んだ者は、この世界にいい影響をもたらす人間が多いと、信じたのだろう」

グラハム「……他人の力を借りるという、その選択が正解とは言わないがな」

悠陽「……」

グラハム「独り言だ。忘れてくれ」

悠陽「…………グラハム。そなたに頼みがあります」

グラハム「……なにか」

悠陽「皆を、ここへ集めてください」

シャア「殿下、この度は拝謁の栄誉を賜り、恐悦至極に存じます」

シャア「私は当任務部隊の指揮官である、シャア・アズナブル大佐であります」

悠陽「アズナブル大佐、このような火急の折、皆を呼び寄せたことをお詫びします」

シャア「殿下の御要望に背き、数名の者を保証の任に当たらせている事を、ご了承頂きたい」

悠陽「気にするでない。そなたの任は理解しているつもりです」


悠陽「アズナブル大佐、此度の我が国に対する米軍の尽力、日本国将軍として心からの謝意を表します」ぺこり

シャア「……」

米軍衛士A「……!」

グラハム「!」

その他「!?」

米軍衛士A(……この女、中々わかってるじゃないか。大佐に頭を下げるなんて。ただの無能な雌餓鬼将軍かと思ったが…大佐が自分より格上だとわかっている時点でこの女はこの国のトップとしては十分すぎる………はっ。まさか、大佐はこの将軍がこの国を治めるのにふさわしいと見抜いておられたのか!?だから、先程の休憩の申し出を許可したのか!確かに、こんな優秀な将軍を失うのはもったいない…!一瞬で相手の力量を判断するとは、流石大佐だ!!)

シャア「殿下、頭を下げるなど…」

悠陽「全ての米国軍将兵の献身と義勇に、日本国将軍として心よりの謝意を表します」

シャア「…………」

悠陽「…では、国連軍部隊の指揮官をこれに」

シャア「はっ。神宮司軍曹」

米軍衛士A「……」

まりも「……」

グラハム(訓練兵にまで頭を下げるとは……)

悠陽「長きによるBETAとの戦い…好転しない戦局に、わが国民の心は疲弊しきっています…されど、今の私の力では、それを癒す事すらかないません…」

悠陽「あまつさえ、皆様の多大な尽力を得ながら、足手まといとなる始末…わが身の至らなさ、痛感しております」

悠陽「それでも私は民を護りたい。民の心にある魂を…国を護りたいのです……」

悠陽「この思いは、全ての人が持っていると、私は信じています」

悠陽「決起に走った者たちは、その想いが強すぎたのでしょう。想いが強く純粋であるが故に、立ち上がらざるを得なかったのです…」

悠陽「確かに彼の者たちは、同法を殺めるという罪を犯しました。いずれ、相応の報いを受ける事になりましょう」

悠陽「されど、彼の者達の意気だけは、宥恕して頂きたいのです…本来、その責めを負うべきは、この私なのですから」

悠陽「私は、ここに至るまでの道程において、皆様の想いや決意、痛切に感じ入りました」

悠陽「…もうこれ以上、状況を看過するわけにはまいりません」

悠陽「私が自ら、決起部隊を説得して参ります」

全員「!!」

シャア「殿下。その意見には賛同いたしかねます。正気の沙汰とは思えません」

月詠「大佐、口を慎まれよ!」

米国軍衛士A「貴様ァァァァァァァァァ!!!!」ジャキッ

月詠「……大尉、何をしているのかわかっているのか?味方に銃を向けるなど…」

米国軍衛士A「大佐への口の利き方に気を付けろよ、この淫売が!!」

月詠「……一介の将校が国を収める者に無礼を働いたのだぞ?」

米国軍衛士A「一介の将校!?大佐をどなたと心得る!?フロンタル大佐は――」

シャア「それは私ではない」

米国軍衛士A「はっ!失礼しました!今はフル・フロンタルである必要は無いのですね!シャア・アズナブル大佐!」

シャア「いや、だから……」

月詠「大尉、少し落ち着……」

米国軍衛士A「喋るな!!汚らわしい!貴様の様な売春婦と同じ空気を吸うだけでも吐きそうになるというのに……そのうえ生理的嫌悪感を引き出すようなふざけた声で喋るんじゃない!!」

シャア「アンジェロ、言いすぎだ」

アンジェロ「は。申し訳ありません。月詠中尉、今までの無礼、お詫び申し上げる。私も少々感情的になっていた故…」

アンジェロ(大佐ああああああ!お優しすぎます!この様な下種にすら情けをかけるそのお優しさ!私はどこまでもついていきますうううううううう!!)

月詠「…………」

アンジェロ「だが、月詠中尉…尋ねるが、貴女は斯衛軍の士官として、殿下の御提案を是認できるのか?」

月詠「私は、殿下の御意志に賛同申し上げます」

アンジェロ「血迷ったか…それとも脳みそに行くべきだった栄養が全て胸にでもいっているのか?」

シャア「セクハラだぞ、大尉」

アンジェロ「は。申し訳ありません。月詠中尉、今までの無礼、お詫び申し上げる。私も少々感情的になっていた故…」

月詠「…彼の者達は、殿下の身を案じて決起した次第、どうして殿下に対し、弓を引くような真似が出来ましょうか」

アンジェロ「馬鹿を言うな。お前たちは何時だって無責任で弱いだろう。帝都を戦場にしたような輩の言葉を今更信じられるか」

月詠「では、この休戦の成立は如何に?」

アンジェロ「これが手段であって目的ではない…目的が目の前にあって、何もしないわけがないだろう」

月詠「我々がどのような気持ちでここにいるのか…殿下がどのようなお気持ちなのか…大尉は理解していないのだな」

アンジェロ「我々の任務は、あくまで殿下を横浜基地まで連れて行く事だ。言ってしまえば、貴様等とは、目的が一致したから協力しているに過ぎない…」

アンジェロ「我々は貴様等のくだらない感情に配慮する必要は無い。将軍を横浜基地へと連れて行けばいい」

アンジェロ「我々は任務を遂行する必要がある。貴様等のくだらない感情の為に、護衛対象を危険に晒すわけにはいかんのだ」

アンジェロ「協力するなら同行してやる。だが、邪魔をするならこの場で排除する」

アンジェロ「ですよね?大佐?」

シャア「ふぅむ…だが、プルちゃんや壬姫ちゃんなら彼等の理性は持たないだろうから、行かせるのは危険だ。目の前にあんな可憐なモノがあって我慢できるはずがない。しかし、彼女ならギリギリ大丈夫な気もするが」

アンジェロ「大佐のおっしゃる通りでございます。大佐が大丈夫とおっしゃられたのだ!とっとと殿下を連れて行けよ、この愚鈍が!!」

月詠「………………」

悠陽「……月詠、武御雷を持て」

月詠「ははっ」

冥夜「お待ちください」

悠陽「そなたは…!」

冥夜「国連太平洋方面第11軍、第207訓練部隊所属、御剣冥夜訓練兵であります」

悠陽「……」

冥夜「殿下、ご尊顔を拝し奉り、恐悦至極にございます」

グラハム「冥夜、まさか……」

――あの者は、幼少よりことあらば私の身代わりになるように教育され、周囲からもそう扱われてきたのです……

グラハム「……やめろ」

悠陽「申すがよい……」

グラハム「やらせんぞ!」

冥夜「は。決起せし者たちを説得する大任、この私め「決起せし者たちを説得する大任は、このグラハム・エーカーが引き受けた!」

冥夜「!?」

冥夜「グラハム…そなた、血迷ったか!?」

アンジェロ「ははははははははは!それは名案だ!」

グラハム「大佐、蝶ネクタイ型変声機を」

シャア「…!なるほどな。いいだろう」ポイ

グラハム「よし」パシッ


グラハム(悠陽ヴォイス)『悠陽と申します。日本ではこのような乙女でも戦術機を操るのです』

悠陽「!?」

まりも「!?」

月詠「!?」

グラハム・シャア「「完璧だ」」ピシガシグッグッ

アンジェロ「なるほど……そういう事か…」

冥夜「どういう事だ!?」

まりも「わからない…本当にわからないんだ…」

アンジェロ「戦術機に乗っていけば姿は見えないだろう。声さえ出せればいいわけだ。流石は大佐ッ!!あの男も大佐に認められるだけあってなかなかやるじゃないか!」

壬姫(突っ込みどころが多すぎて……)

千鶴(それだけだったら別に変声機いらなくない!?ねえ!?)

美琴(本気なの?ボケなの!?)

慧(多分前者)

アンジェロ「何を勘違いしている。あれで説得が成功する訳が無いだろう」

グラハム・シャア「「えっ」」

アンジェロ「敵のアタマに近付ければそれでいい」

アンジェロ「敵のアタマに近付ければそれでいい」

アンジェロ「戦いとは、常に二手三手先を読んで行うものだと大佐が言っておられた。説得が成功すればいい。だが、失敗したらどうなる?」

アンジェロ「御剣訓練兵が説得に行った場合もそうだ。偽物だとばれたら、どうなる?」

アンジェロ「護衛機の配置などで、敵は将軍搭乗機をある程度絞れるだろう。我々は圧倒的に不利になる」

アンジェロ「まあ、ここまで言っておいて何なんだが……今の我々は、一般兵がどれだけ来たところで、負ける要素は無いのだがな……」チラッ

シャア「…」

グラハム「……?」

シャニ・オルガ・クロト「?」

アンジェロ「要するに、グラハムを使って沙霧を抑え込む作戦だ」

アンジェロ「敵のアタマを潰せばこちらが一気に有利になる。敵もそうならない為に、沙霧を護る為に兵を使わねばならなくなるだろう。殿下の護衛も楽になる」

アンジェロ「本当ならば、大佐が囮の役に付いた方がより確実なのだが…大佐は基本的に赤か金の機体にしか搭乗なさらない。かと言って、殿下が米国軍の機体に乗っているというのは少々不自然だ。月詠中尉の機体なんかに大佐を乗せるわけにはいかない……私は、大佐のお傍にいなくてはならない…消去法で、適任はグラハムだ」

アンジェロ「これが大佐の作戦ですよね?大佐!」

グラハム・シャア「」ビクッ

シャア「あ、ああ…その通りだ。うん。その通りだとも。な」

グラハム「あ、ああ…説明も無しに理解してくれるとはな…うん」

アンジェロ「そういうわけだ!心配ならば、斯衛の三人もグラハムの護衛につけてやればいい。斯衛兵ならば怪しまれないだろう」

シャア「隊編成は、説得…囮というべきか。エーカー訓練兵。護衛にサブナック少尉、ブエル少尉、アンドラス少尉」

シャア「謁見と称して、沙霧大尉を出来るだけ我々から離れたところへおびき寄せる。コクピットを開けば直に戦闘が始まってしまうだろう。とはいえ、通信だけで時間稼ぎはできん。相手は恐らく、通信では無く直接殿下と話す事を望むはずだ。ここの時間稼ぎはグラハム君の話術にかかっている」

シャア「戦闘開始次第、囮部隊はとにかく暴れてくれ。私とアンジェロで、こちらに来た部隊を迎撃する」

シャア「残りは全て、全力で殿下の護衛に当たれ。殿下の搭乗機は、御剣冥夜訓練兵の機体だ。間違えるなよ」

シャア「全機、殿下とたまちゃんを全力で護衛しろ」

アンジェロ「はっ!」

シャア「グラハム機には元々殿下が乗っていた。その点で、不審な点はあるまい。変声機を付けたり外したりして、一人二役を演じれば、少しは真実味が出るだろう。近付く事はできるはずだ」

グラハム(悠陽ヴォイス)「了解しました…」

グラハム「了解した」

シャア「今はやらなくていい」

月詠「…………」

アンジェロ「殿下の意見が全く取り入れられていない事に腹を立てているのか…?」

月詠「……」

アンジェロ「言っただろう…?我々はあくまでも殿下を無事に送り届ければいい……」

アンジェロ「殿下の意思がどうとか関係ない……殿下が無闇に命を奪うなと言ったところで我々は容赦をしない……する必要もない…我々にとって上司はあのお方のみ。命令を出すのはあのお方だ…」

アンジェロ「それでも殿下の意思に背くな。出来るだけ被害を減らせ。と言うのならば私はお前を撃つ」

冥夜「………………」

悠陽「………………」



冥夜・悠陽(気まずい……)

シャア「沙霧大尉を指定の場所へと誘い出す事はできたな…」

アンジェロ「作戦はこれで成功したようなものです。後は、グラハムがどれだけ時間を稼いでくれるか…ですね」

シャア「30秒といったところか」

アンジェロ「妥当ですね…」

シャア「元々沙霧大尉をおびき出せればそれでいい作戦だ。ここで稼げた時間だけ有利になるが、所詮は誤差の範囲内だ。今すぐバレたところで何の問題もない」

悠陽(グラハム)「…そなたが、沙霧大尉ですか」6秒

沙霧「は…殿下、畏れながら、御姿を…」8秒

グラハム「……了解した、コクピットを開ける。さ、殿下、危ないですので、一度おさがりを…」10秒

悠陽(グラハム)「はい……」14秒


シャア「限界か…30秒、持たんとはな……」


ウイイイイイン  17秒


グラハム(悠陽)「あぁん!だめです、グラハム様ぁー!」 21秒

グラハム「よいではないかよいではないか」25秒

グラハム(悠陽)「あーれー」クルクル 26秒

悠陽「……」27秒

シャア「……」28秒

沙霧「……」29秒

グラハム「……30秒。時は動き出す」30秒

沙霧「き、貴様……!殿下はどこだ!?」

グラハム「残念ながら、ここにはいない…」

沙霧「騙したと言うのか…!やはり、貴様等は腐りきっている…!殿下の名を汚した罪はその命で償ってもらうぞ!」

グラハム「シャニ、オルガ、クロト!援護しろ!」ウィィィン

沙霧「殿下はあちらだ!逆賊共から御救いするのだ!」

グラハム「これでは私が悪役だな」

シャア「はっはっは。30秒、確かに受け取ったぞ」

『逆賊め…!殿下を渡せ!』

シャア「ほう。追いつくのは意外と早かったな」

アンジェロ「雑魚とはいえ、国に喧嘩を売る度胸がある者……それなりの腕前でしょう。しかし…」

シャア「私とアンジェロが出る。他は殿下とたまちゃんを全力で護衛してくれ」

月詠「……了解しました」

アンジェロ「大佐の足元には到底及ばない…!」

シャア「当たらなければどうという事はない」

アンジェロ「アンジェロ・ザウパー!露払いをさせていただきます!」

ドカーンチュドーン


アンジェロ「大佐…」ローゼンの敬礼ポーズ

シャア「フッ……」ニヤッ(完全に決まった。たまちゃん見てくれたかな)




まりも「…あれが」

冥夜「赤い彗星……」

壬姫「…………………」

グラハム「逃がさんよ!」

沙霧「振り切れない…!なんという操縦技術……!この動き……本当に人間か!?」

グラハム「うおおおおおおおおおおおおおお!」

沙霧「先程から入ってくる通信も、被害報告ばかり…敵は化け物ばかりなのか!?数ではこちらが圧倒しているはずだ!」

グラハム「騙してすまなかった!…だが、こちらにも引けん理由がある!」

沙霧「ッ…!」

グラハム「斬り捨て、御免!!」

沙霧「駄目だ…!負ける…!?」

沙霧(まだだ……今死ぬわけにはいかん!)ザッ ジャキッ

グラハム「…!」ピキーン


沙霧(とどめを刺さずに移動した……?助かった……とにかく、1機も撃墜出来てないのは流石に恥ずかしい……あの3機くらいは…!)

沙霧「うおぉおぉぉぉぉおおっ!」バッ

シャニ・オルガ・クロト「あ、敵だ」ニヤッ

沙霧「!?」

美琴「みんな、凄い……これなら、殿下を横浜基地まで運べるよ!」

?「ところがぎっちょん!」

壬姫「きゃあっ!?」

千鶴「前方に敵!?」

美琴「先回り!?マズいよ!」


シャア「なに!?敵もやるな!」

アンジェロ「月詠中尉!!何をしている!そいつを落とせ!!」

月詠「了解ッ!」バッ

?「甘いんだよ!!」バキッ

月詠「何ッ――!?」

月詠「くっ…!」

?「ちょいさぁ!」バキッ

月詠(なっ…!刀が蹴り飛ばされた…!?こいつ…!強い!)

ベキッ

?「動きが見えんだよ!」ズン

月詠「ぐうううっ!?この私を足蹴に…!」

?「大将、大丈夫ですかい?」

沙霧「おお…野原ひろし殿…!感謝する…!」ボロッ

ひろし「今から殿下を連れて行きやさァ。もう少し辛抱してくだせぇ」

沙霧「ええ……申し訳ありません……敵の奴、なかなかの腕でして……」

ひろし「後はお任せくだせえ。この野原ひろし、全身全霊を持ってこの作戦の成功に努めますよ」

沙霧「…感謝する」

ひろし「さぁ……逝っちまいな…!斯衛の姉ちゃんよぉ!」

月詠「あ……」

クロト「おい!なにやってんだ!逃げろよ、おばさん!」

ひろし「はははははははは!!あばよぉ!」

月詠「コクピットを串刺しにするつもりか…!?駄目だ……!殺られる…!」

ガッ

ひろし「何ィ!?俺を蹴り飛ばしやがった!?この野郎ォ!」バンバンバン

グラハム「ぐうううおおおお!!」ヒュンヒュンヒュン

ひろし「避けやがった?やるじゃねぇか!」


グラハム「ハァハァ…何とか耐えてくれたか……戦術機…!」

ひろし「てめぇは…!あの距離からどうやって…!?」

グラハム・シャア「「デブリを使えば、通常の3倍の速度で移動可能だ」」ニヤリ

冥夜「デブリなんてないぞ!」


グラハム「私のモビルアシストだ!」スパッ

ひろし「はっはっは!面白え!面白えぞ!」シャッ

ひろし「なかなか歯ごたえのありそうな奴じゃねぇか……はははは!」ブン

グラハム「あえて言おう…グラハム・エーカーであると!」ブン

ガキイイイイン

ひろし「音声!?へっ…面白いじゃねぇかグラハム・エーカーさんよぉ!」

ひろし「そういやぁユニオンのトップガンもそんな名前だったっけなぁ!?」

グラハム「何ッ!?ユニオンだと!?」キン

ひろし「あのころはゲイリー・ビアッジ…とか、アリー・アル・サーシェスなんて呼ばれてたっけなぁ!?」ガン

グラハム「ぐあっ!?」ズシーン

グラハム「ゲイリー・ビアッジ……確か、ガンダムの一機を鹵獲した男だったか…?」

サーシェス「なんだよ!?知ってんのか!?」ブン

グラハム「地獄耳とはよく言われる!」キン

サーシェス「あの体勢で対応できんのかよ…!何モンだてめぇ!?」シュッ

グラハム「私はユニオンのフラッグファイターだ!」ガキィィン

サーシェス「フラッグ…?ははっ、なんだよ!てことは、ユニオンのグラハム・エーカーご本人様って事かよ!?」

サーシェス「だったら同郷のよしみで仲良くしようや!」ズアッ

グラハム「その大きな獲物では当たらんよ!」バッ

サーシェス「やっぱすげえなあ!お前さんと殺り合えただけでもこの戦争を起こした甲斐があったぜえ!!」

グラハム「何ッ!?」

沙霧「何だと…!?どういう事だ!?」

サーシェス「あらら。回線オープンしてたか…まあいいか」

サーシェス「ぜーんぶ俺様の計画通りってわけさ…アンタを煽って決起させたのは俺様!斯衛軍に発砲した馬鹿な歩兵もこの俺様よお!」

沙霧「ひろし…!貴様…!!」

グラハム「何故だ!?何故そんな事を…!!」

サーシェス「決まってんだろ!俺が戦争が好きで好きでたまらない人間のプリミティブな衝動に準じて生きる最低最悪のロクデナシだからだよお!!戦争がしたくてしたくてしたくてしたくてたまんなかったんだよお!」

サーシェス「エイリアンなんざ撃っても面白くねえ……やっぱ戦争は、こうでなくちゃなあ!!」ズッ

グラハム「ぐっ…!!」キン

サーシェス「ハッハッハァ!お蔭で楽しい戦争が出来たぜえ!」

沙霧「そんな……」

月詠「屑が……」

グラハム「堪忍袋の緒が切れた……!」

サーシェス「だったらどうしたぁ!?」

グラハム「絶対に許さんぞッ!!」バッ

サーシェス「ハッハァ!そうだ!そうこなくっちゃなあ!やっぱアンタ最高だよ!」

グラハム「覚悟ぉッ!」

サーシェス「ところがっ!」ズバッ

グラハム「なっ…私の右腕を…!?」

サーシェス「ぎっちょんちょん!」ザクッ

グラハム「左脚までッ…!」

サーシェス「ハッハァ!!オラオラどうした!?許さねえんだろ!?この俺をよお!」

グラハム「背後!?くっ!」

ひろし「これにて終了ってなぁ!」

グラハム「うおおおおおおっ!」クルン

ひろし「宙返りで俺の背後に!?スターフォックスかよ!?なんて動きしやがる!ぐあっ!」ガン

グラハム「蹴り飛ばすだけで精一杯…我ながら情けない……!」ズシーン

ブウウウウン

グラハム「何……?モニターが消えて……まさか、エネルギー切れか…?こんな所で……!」


ひろし「やってくれたじゃねぇか…!」


冥夜「グラハム、何をしている!?グラハム!!」

グラハム「くそっ……!動け吹雪ッ!」

冥夜「逃げろ!グラハム!」

悠陽「グラハム!」

ひろし「死んじまいなぁ!」

グラハム「動いてくれっ!ガンダァァァァム!!」

ブウウウン
『Graham
 gRaham
 grAham
 graHam
 grahAm
 grahaM』

トゥイーン

『G.R.A.H.A.M.』

キイイイイイン

『TRANS-AM』

サーシェス「…消えた!?」

サーシェス「何だ……何が……ぐあっ!?」

グラハム「とくと見るがいい…我が奥義を!」

サーシェス「なっ…トランザムだと!?」

グラハム「私に答えてくれたか…ガンダム!!」

サーシェス「ふざけんじゃねえ…!!GNドライヴ無しでどうやって…」

グラハム「気合でどうにかなる!!」

サーシェス「出来るわきゃねえだろ!!」

グラハム「なんとでも言うがいい!このまま決める!」ザクッ ザクッ ザクッ

サーシェス「ぐああああっ!?クソッタレがあ!」

サーシェス(けどよお、トランザムが出来たからってちと油断しすぎじゃねえか?……次の攻撃までに受け身をとって、直前で回避…背後に回って切りつける事くらいは俺様なら出来る!)


グラハム「斬り捨て、御免!!」ズアアアアアアアッ

サーシェス「ハッハァ!!」バッ



まりも「後ろをとられた…!」

壬姫「グラハム!!」

美琴「駄目だ…!やられちゃうよ!」




グラハム「肉を斬らせて…」バッ

サーシェス「生き残るのは俺だあ!!」

グラハム「骨を断つ!!」ザシュッ

冥夜「グラハム…?」

悠陽「自分で…自分の機体を貫いて……」


サーシェス「や……野郎ォ……自分の機体ごと、俺を…………」バチバチッ

グラハム「武士道とは……」バチバチッ

サーシェス「この俺が……」

グラハム「死ぬ事と見つけたり…」


ドカーン






冥夜「グラハムーッ!!」

戦意を失った沙霧尚哉は投降。クーデター軍も、沙霧大尉に続くように次々と投降。
それにあわせて、帝都に出されていた戒厳令は解除された。緩やかにではあるが、関東周辺の都市機能は回復していった。




なお、グラハムはセーフティーシャッターのおかげで死ぬほど痛いですんだ。

千鶴「講堂に呼び出されたけど……何があるのかしら」

冥夜「わからん。なんであろうな…」

グラハム「当然、私専用戦術機のお披露目会だろう」

壬姫「グ、グラハムさん!?」

千鶴「……アンタ、全治5か月の大怪我のはずよね?」

グラハム「ああ…そういえばそうだったな」

千鶴「右腕の筋肉が大きく損傷、内蔵も傷だらけだったわよね?」

グラハム「死ぬほど痛かった」

千鶴「まだ3日しかたってないのよ!?アンタなんでそんなにピンピンしてんの!?」

グラハム「当たったところでどうという事は無い」

千鶴「……絶対人間じゃないわ」

壬姫「ま、まあまあ……あ、慧さんだ」

慧「……なんでグラハムいるの?」

グラハム「治ったからここにいる」

慧「……グラハム、医務室に運ばれた時、ズタズタのボロボロで、瀕死だったよね?」

千鶴「」コクコク

慧「あの爆発で生きているだけで奇跡って言われて、助かるか分からないって言ってたよね?月詠中尉も神宮司教官も流石のグラハムもこれまでかって顔してたよね?」

壬姫「」コクコク

慧「私達、虫の息のグラハムに抱き着いて大泣きしたよね?」

冥夜「///」コクコク

慧「私達の心配を返してよ」ずいっ

グラハム「ぬおっ!?いや、そう言われても……」

壬姫「ま、まあまあ……」

美琴「……まあ。何となくわかってはいたけどさ」

冥夜「鎧衣…」

壬姫「戻ってきたんだね!」

美琴「まさかボクより早く戻ってくるなんてね……」

慧「毎回心配して損する」

グラハム(何故私は責められてるのだろうか…?)


ガララッ


千鶴「気を付けッ!」ザッ

まりも「小隊、整列!」

グラハム・冥夜・壬姫・慧・美琴「――!」バッ

まりも「ラダビノッド司令官に対し、敬礼!」

国連軍大尉「休めっ!」

国連軍大尉「突然ではあるが、只今より、国連太平洋方面第11軍、横浜基地衛士訓練学校、第207衛士訓練小隊解体式を執り行う!基地司令訓示!」

まりも「気を付けッ!」

司令「楽にしたまえ……」

司令「訓練課程修了――晴れて任官というめでたい――」

司令「珠瀬壬姫訓練兵!」

壬姫「はい!」

司令「ただいまを持って、貴官は国連軍衛士となった。おめでとう、少尉」

壬姫「ありがとうございます!」

司令「グラハム・エーカー訓練兵」


グラハム「はい」

司令「ただいまを持って、貴官は国連軍衛士となった。おめでとう、少尉」

グラハム「ありがとうございます」ザッ


まりも「207衛士訓練小隊――解散ッッ!」

壬姫「私達、私達……とうとう…」

千鶴「国連軍の衛士に…なったのよ……」

冥夜「よく耐えたな……」

美琴「みんな頑張ったよ…ねえ?」

慧「そうだね」

千鶴「みんな、ありがとう…!」

千鶴「グラハム、ありがとう」

グラハム「千鶴……」

千鶴「貴方の入隊は、私たちの大きな力になったわ……本当に、ありがとう」

グラハム「照れるな…」

壬姫「グラハムさぁぁぁぁん……ミキは、ミキはぁ……うわあああん!」

グラハム「ふっ。情けないぞ。それでも衛士か?」

美琴「グラハム……今まで本当にありがとう」

グラハム「フラッグファイターとして当然の事をしたまでだ」

慧「……また、同じ部隊に配属されるといいね」

グラハム「例え違う部隊だろうと…私は営倉にいけばいつでも会える」

慧「嫌な再会……」

冥夜「…グラハム」

グラハム「冥夜。ありがとうな」

冥夜「何を言う……私も、そなたの様に強くなりたい……配属はまだわからぬが、達者でな」

グラハム「さて、どうなるかな。さて、食事にでも行こう。先に行っててくれ」

グラハム(ハワード、ダリル、少年……カタギリ。ここまで来た。私はこのまま突き進むぞ)

グラハム(…とは言ったものの、やはり、戦術機では駄目だ。BETAを殲滅するには、あの程度の戦闘力では足りない)

グラハム(疑似太陽炉搭載機……なんとかしてこちらに持ってくることは出来ないのか)

グラハム(……しかし、BETAを殲滅する必要があるのか?分かりあう事はできないのだろうか?)

グラハム(少年がそうしたように。私も、そうする事はできないのだろうか)

グラハム(どちらにせよ…戦術機では難しいか……)

グラハム(こんな時、カタギリがいたらどれだけ助かった事か……)ザッザッザッ

まりも「……遅いぞ。グラハム。私をいつまで待たせるつもりだ?」

グラハム「上官相手にその口のきき方はなんだ?ぐ ん そ う」

まりも「も う し わ け あ り ま せ ん」

グラハム「私も人の事を言える立場ではないから、黙認するが」

まりも「……何故だか貴様には敬語を使いたくない」

グラハム「酷いな……だが、軍曹。感謝している」

まりも「……」

グラハム「私達がここまで来れたのも、軍曹のお蔭だ。感謝している」

まりも「…………少尉殿。武運長久をお祈りしています」

グラハム「ああ」ザッ

まりも「説明には遅れないようお願いします」

グラハム「任せておけ」

まりも「――という手順になります。では、続きまして、配属部隊についてご説明します」

冥夜・壬姫・千鶴・慧・美琴「…」ごくり

グラハム(さて、どうなるか…)

まりも「この度、衛士訓練学校を卒業した新任少尉は、全員、同一部隊に配属される事が決定しています」

グラハム「!」

冥夜・壬姫・千鶴・慧・美琴「!」

まりも「皆さんは、明日――午前0時、横浜基地司令部直轄の特殊任務部隊、A-01部隊に配属となります」

グラハム(特殊任務部隊……心が躍る!)

まりも「ただ、現在A-01部隊は作戦行動中の為に基地を離れております。予定では明日、装備性能評価演習に参加する事となっておりますので、皆さんは演習の終了を待って、正式配属となります」

まりも「したがって、みなさんはこの演習に参加するために、A207小隊として臨時編成される事とになりました。小隊の臨時指揮官は榊少尉にお願いします」

千鶴「はい」

まりも「――正式機体の稼働までは、これまで通り吹雪に搭乗して頂きます。グラハム・エーカー少尉の吹雪は、前回爆散してしまったので、今回の演習にはダンボールで出撃して頂きます」

グラハム「……は?」

冥夜「プッ」

グラハム「ダンボール…?米軍機か何か?」

まりも「いえ。ダンボールはダンボールです」

グラハム「……Amazonとかの?」

まりも「ええ。香月博士が、「グラハムの機体はこれで十分」と…こちらを……」

千鶴(ダンボールに『GUNDAM』って書かれてるだけじゃない…いくらグラハムでも…)

グラハム「ガンダムだとっ!?」

まりも「よろしいでしょうか?」

グラハム「問題ない!むしろこれにしてくれ!」

千鶴(大丈夫だったみたいね)

グラハム「ようやく説明が終わった……」

千鶴「ちょっと!グラハム、待って!これ!」

グラハム「何だ?……遺書を書くための、紙と封筒だと?」

千鶴「そうよ。説明聞いてなかったの?」

グラハム「いつ死ぬか分からないから、今のうちに書いておけと言う事か」

千鶴「そうね。これからは、常に実戦だから……」

グラハム「…そうだな」

千鶴「……書くの?」

グラハム「………一応な」

千鶴「意外だわ。あんたなら、書かないって言うと思ったけど」

グラハム「ああ。また、後でな。任官パーティーがてら、皆で夕食を食べるのだろう?」

千鶴「そうよ。じゃあ、後でね」

グラハム「遅れて申し訳ない」

千鶴「何となくわかってたからいいわよ」

壬姫「じゃ、みんなそろったから乾杯しようよ!」

グラハム「そうだな」

シャア「是非とも」

冥夜「うむ。では、我等の門出を祝して、乾杯ッ!」

グラハム・冥夜・壬姫・千鶴・慧・美琴・シャア・アンジェロ「カンパーイ!」

冥壬千慧美「」

シャア「やはりオレンジジュースはなっちゃんに限るな」

アンジェロ「はい!なっちゃんこそ至高!素晴らしいの一言でございます!」

シャア「おお、グラハム君。いい飲みっぷりだな。どれ、私がお酌してやろう」

グラハム「かたじけない」

シャア「なに、気にすることは無い」グビッ

アンジェロ「大佐!私がお酌します!」

シャア「頼む」

美琴「…シャア・アズナブル大佐!?」

シャア「いかにも。私はシャア・アズナブルだ」

グラハム「私はガンダムだ」

壬姫「ど、どうしてここに……」

シャア「気にすることは無い。それは若さゆえの過ちだ。な、たまちゃん」

冥夜「せめて質問に答えてくれ……」

シャア「たまちゃぁ~ん。彼氏とかいるのぉ~?ヒック…」

壬姫「うう…オレンジくさい……」

千鶴(オレンジジュースで酔ってる…)

アンジェロ「大佐ッ!ここはひとつ場を盛り上げる事をッ!」

シャア「裸踊り…ええい!やってみせるさ!援護しろ、グラハム少尉!」

グラハム「合点承知の助!」

慧「裸踊りって…」

美琴「ま、まさか…」

冥夜「や、やめろおおおおおおおお!!」




ガシャーン

グラハム「営倉。久しぶりだな」

アンジェロ「貴様ァァァ!大佐を営倉にぶち込んでただですむと思うなよ!!」

シャア「認めたくないものだな。自分の、酔った故の過ちというものを……」

グラハム「今日の演習、私も燃えているぞ」

シャア「釈放されたことだし、アンジェロ、我々も見学をしたいものだな」

アンジェロ「はい!大佐!アンジェロ・ザウパー、お供させていただきます!」

グラハム「ブリーフィングまで時間がある事だし、我が愛機の調整でもしておくか」

シャア「ほう。この前爆散させたからな。新しくなった、と言う訳か。見せてもらおうか。少尉の駆る、新型の性能とやらを」

グラハム「期待していて下さい。大佐殿」

シャア「よし、そうと決まれば早速職権濫用だ!行くぞ、アンジェロ!」

アンジェロ「はい!大佐ッ!」

グラハム(射撃武装はマルイ製マシンガン…格闘武装はみたらし団子4本……)

グラハム(負ける要素は無い)

グラハム(タケルのOSのお披露目会……か)

グラハム(私達の部隊も学んだOSを積ませてもらったが…さて、どこまで行けるか)

~演習中~
美琴「静かになった…」

グラハム「流石実戦慣れした部隊だ……ふっ。だが、実戦慣れしているのは、私も同じだ…」

千鶴「グラハム、あんたここまでよく、それでこれたわね」

グラハム「ガンダムは伊達じゃない」

慧「……このままじゃ拉致があかない」

グラハム「ならば、誘い出すまで…!」

千鶴「そんな事、出来ないでしょ…」

グラハム「特攻ッ!」バシュゥゥゥン

冥夜「あのダンボールには、ブースターでもついているのか?」

千鶴「さあ?」

国連軍衛士「ばっ、ばかなっ!?あんなダンボール1機に!?」

グラハム「せいっ!せいっ!せいっ!」パスパスパスパス ペチペチペチペチ

国連軍衛士「的が小さいから当たらないッ……だが、それにしても…!?」

グラハム「残弾32発…しかし、マルイ製マシンガンが電池切れだと!?ええい!ならば……接近戦だ!」ドシュゥ

グラハム「GN投げ団子ッ!」シャッ

国連軍衛士「うわっ!?」ベチャッ

グラハム「いまだッ!」

美琴「了解ッ!」バババババッ

グラハム「何ッ!?私ごと撃ち抜くだと!?」ベチャベチャ

美琴「あ」

国連軍衛士「ばっ、ばかなっ!?あんなダンボール1機に!?」

グラハム「せいっ!せいっ!せいっ!」パスパスパスパス ペチペチペチペチ

国連軍衛士「的が小さいから当たらないッ……だが、それにしても…!?」

グラハム「残弾32発…しかし、マルイ製マシンガンが電池切れだと!?ええい!ならば……接近戦だ!」ドシュゥ

グラハム「GN投げ団子ッ!」シャッ

国連軍衛士「うわっ!?」ベチャッ

グラハム「いまだッ!」

美琴「了解ッ!」バババババッ

グラハム「何ッ!?私ごと撃ち抜くだと!?」ベチャベチャ

美琴「あ」

グラハム「……塗料でベタベタだ」

美琴「あはは……ごめん、グラハム……でも、勝ったから、許してね?」

グラハム「……いや、気にしていない。私がショックだったのは……あのガンダムが、よく見たらただのダンボールだった事だ」

美琴「え」

グラハム「くっ……マジックでガンダムっぽくしていただけとは…騙されたぞ!」

美琴「うん……あ、うん…流石のグラハムも、撃墜数0だったしね……個人評価E-だったし……」

グラハム「威力が低すぎて大量に当てないと撃墜判定が出なかったからな…というか、E-の理由も『戦術機じゃないから』……完全に馬鹿にしているだろう」

夕呼「ざまあないわね。グラハム。アンタ個人の点数は、ぶっちぎりで最下位よ」

グラハム「……隊の評価は上から2位だ。問題あるまい」ムスッ

夕呼「何よグラハム。スネてんの?そんなに怒らないでよ」

グラハム「怒ってない。いいさ。私は午後の試験で…」

夕呼「アンタは午後の試験出られないわよ?」

グラハム「!?」

夕呼「だってアンタ、ほら。アンタの機体…まあ、ダンボールなんだけど、壊しちゃったじゃない」

グラハム「」

夕呼「ざまあないわね。ま、グラハム如きがパズルで私を苦戦させたバツだと思いなさい。オーッホッホッホ!」

グラハム(……パズル?何の話だ?それよりも……ええい!?私は午後、お留守番だと!?)

グラハム「指を咥えて見ている事しかできんとは…」

シャア「ふふ。グラハムくんも、あそこで戦術機に乗って、暴れたいんだな」

グラハム「元々あそこにいるはずだっただけに、余計にな……」

アンジェロ「大佐。次はグラハムの部隊ですよ」

シャア「おお!たまちゃんはどの機体に乗っているんだ!?教えろ、アンジェロ!」

アンジェロ「はい。前から三番目の……そう。あれです」

グラハム「ほう。やるな」

アンジェロ「いけてるじゃないか。このままいけば、1位も狙えるんじゃないのか」

グラハム「そうである事を願うよ」

シャア「そうだ!たまちゃん!いけっ!よぉぅし!ああ、そこは違う!」

ドカーン

グ・シャ・ア「!?」

グラハム「……爆発?」

シャア「アンジェロ。今回の演習内容に、爆発が起こりそうなものはあるか?」

アンジェロ「結論から言うとありません。実弾演習の予定は一切ないはずです。どこかの馬鹿が演習中に操作を誤って墜落した可能性は否定できませんが……」

ボカーン

グラハム「まただ……」

シャア「ふむ…」ピッ

シャア「私だ。空いている戦術機を至急持って来い。使う事になるかもしれん」

グラハム「…大佐?」

シャア「君も戦いたいんだろう?」

グラハム「感謝してもしきれない……」

シャア「ふふ。私と君との仲じゃないか」

グラハム「しかし、米軍機に乗って…勝手に出撃していいものだろうか」

シャア「安心したまえ。私の権限で何とかする。君が何をしようと咎められる事はないさ。存分に暴れたまえ」

アンジェロ(大佐ァアァァァァァッ!かっこよすぎです!)

ウーッウーッ

繰り返す!コード911発生!

グラハム「コード991……これは…まさか……!」

シャア「お出ましか…」

アンジェロ「ベェェェェェタァァァァァァァァァ!!」

『大佐ッ!戦術機、持ってきました!しかし、これは…!』

シャア「御苦労。持ってきた機体は私の機体のそばに置いておいてくれたまえ。君はどこかに避難していろ。行くぞ。アンジェロ。グラハムくん!」

アンジェロ「はい!了解しました、大佐ッ!」

グラハム「お供する!」

『おい!貴様等、どこの部隊だ!?勝手な行動は……』

シャア「私はシャア・アズナブル大佐だ。攪乱部隊の丸腰共を下がらせろ。我々が出る」

『しかし……たった三機で……!』

シャア「赤い彗星を舐めてもらっては困る。援軍までは持たせて見せるさ」ピッ

アンジェロ「地球を汚すシミめ……私の前からいなくなれぇぇっ!」

グラハム「戦術機での、BETAとの初戦か…!しかし、対応してみせる!」

シャア「アンジェロ!グラハム!援護しろ!」

グラハム「初めましてだな!BETA!」

衛士『馬鹿ッ……突撃級の真正面に…死ぬ気か!?』

グラハム「日本の国技は相撲というものらしいな……」

突撃級「wwwwwwwwww」ドスドスドスドス

グラハム「興味がある……いくぞっ!」

『TRANS-AM』

グラハム「GNフィールド!」シュイイイイイ

ガガガガッガシーン

グラハム「やはり突き抜けてくるか……だが、そうでなくては倒し甲斐が無い!」ガシッ

グラハム「ぬうおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」ザザザザザッ

衛士『馬鹿な……突撃級と正面からぶち当たって、平気なはずが……』

グラハム「私に勝てると思うなよ!」ズズズズズッ

衛士『な、突撃級を押し返した…!?』

グラハム「ふんぬあああああぁぁあっっ!」ブン

衛士『投げたっ!?』

ズシーン

突撃級「イヤーンイヤーン」バタバタ

グラハム「仰向けで無防備……破廉恥だぞ、BETA!…大佐!今だ!」

シャア「流石だな。私が見込んだだけのことはある」ババババ

アンジェロ「貴様の実力は認めてやるよ」ババババ

突撃級「プギャー!?」


シャア「ここは私達に任せろ。A207部隊は下がれ!」

冥夜『その声…アズナブル大佐…!?』

慧『トランザム…』

壬姫『グラハムさん、戦っているんですか!?』

アンジェロ「いいから下がれよ!ルーキー共が!死にたくないだろう!」

千鶴『りょ、了解です……!』

シャア「ええい!援軍はまだか!?」ズバッ

グラハム「斬り捨て、御免!」ザクッ

アンジェロ「グラハム、上には上がるな!レーザー級が残っている!」

グラハム「了解…レーザー級、確かに脅威だ…大佐、トランザムの残り時間内にレーザー級を切り刻む。援護できるか?」

シャア「無茶を言ってくれる……が、YESと言わせてもらおう」

グラハム「信じるぞ。大佐」

シャア「行くぞ。アンジェロ。死ぬ気でかからんとBETAには勝てんぞ」

アンジェロ「は。百も承知です。大佐。グラハムの邪魔になるBETAを八つ裂きに致します」

グラハム「うおおおおおおおおっ!!」ギシギシ

グラハム(ただの直線加速でこのG……ッ!やはりトランザムは無理があるか……!!だが……)

グラハム(光線級は1体!いける!)

光線級「wwwww」ビーム

チュン


グラハム「残像だ」ザスッ

光線級「!?」ドシャッ

グラハム「……トランザム終了……間に合ったか……ゴフッ」シュウウウン

グラハム「くっ……たった一回のトランザムでこれとは、情けない……」

要撃級「wwww」コンニチワ

グラハム「ええい!まだいたのか!」ズバッ

『たっ…助けてくれええええっ!』

グラハム「友軍機……!?あのままではやられてしまうぞ!」

『いやだっ!死にたくない…死にたくないいい!』

グラハム「この声……タケルか!?やらせんぞ!投げソード!」ブン
グサッ
BETA「ナンカキタwwwwww」

グラハム「敵の注意はひきつけた……逃げてくれよ……タケル…!」

グラハム(……戦術機の限界時間が…もうか!?やはり、戦術機でのトランザムは無理があるか……!)

グラハム「だが、大佐に借りた機体……失う訳にはいかん…!」

ババババ

シャア「グラハム、下がれ。囲まれると危険だ」

グラハム「大佐……かたじけない!」

シャア「何?弾が無い?」カチッカチッ

アンジェロ「大佐ッ!」バババッ

シャア「ええい…!エイリアン風情が…やるな!」ズバッ

シャア「逃がすか!これ以上先にはいかせんよ!」

グラハム「このままでは…!」


ババババババッ

シャア「援軍か!?しかし、単機であの群れに突っ込むとは…死ぬつもりか!?」

『下がってろ、シャア!』

シャア「何をする気だ!アムロ!」

シャア「……アムロだと?」




まりも「申し訳ありません……貴重な戦術機をお借りしたうえ……」

シャア「いや。構わんよ。今回の戦績なら、始末書で済みそうだ」

シャア「私はこれで失礼する。後片付けは頼むぞ」

まりも「はっ」

シャア「……」

シャア「確か、アムロと言ったな。私は……」

シャア「軍曹。訪ねたい事があるんだが……」

グラハム「いやー。流石は大佐だ。殆ど怒られなかった」

アンジェロ「大佐は伊達じゃない。大佐は言った事は必ずやり遂げるお方だ」

シャア「やあ。グラハムくん。大丈夫だっただろう?」

グラハム「いや。感謝の極みです。下手すればまた営倉入りでしたよ……」

シャア「はははははは。そう褒めるな。さて、私とアンジェロはこれで失礼するよ。本国に報告せねばハマーンがうるさいからな」

シャア「まあ、怒られはするだろうが、なんだかんだ言って何やっても許される。さて、今回のわがままは通るかな」

グラハム「……おや?」

オルガ「チッ……盛大な祭りがあったらしいな……」

シャニ「飛んできたってのに……終わってんじゃん」

クロト「ちぇっ……ついてないよねえ。冥夜様が危ないって、おばさんに言いまくってようやく出てきたのにさ」

グラハム「そうか…共に戦う事ができなかったのは、残念だ」

武「……」ガタガタガタガタ

武「こわい……怖い…………なんで…………」

武「グラハムは立ち向かってた。なんで……俺は……怖かった……」

まりも「白銀武少尉……」

武「あ……まりもちゃん……」

まりも「まりもちゃん……?」

武「す、すいません……」

まりも「…………」

武「BETAって……あんなに怖い物なんですね……」

武「俺……新OSで褒められて、実力もあるって言われて調子のっててさ……」

武「世界を救う、BETAを倒すって言ってたけど……もう……無理だよ……」

武「まりもちゃ―――いえ。初対面の軍曹に言うような話じゃないと思うけど……」

武「実際BETAを前にしたら……ビビりまくってた……グラハムなんて…………自分の目の前にBETAがいるってのに、そいつの相手をしながら俺を助けて…あんな化け物相手にしてるってのに、全然ビビッてなんてなかった……」

武「情けねえ……情けない……もう、やだよ…」

まりも「……あの人は、グラハムは特別ですからね。普通は誰だって恐怖しますよ…」

武「……でもよ……」

まりも「ですが、少尉が前で頑張ったから、貴方の隊の人間は助かったんです。それは事実ですよ」

武「…………でも、俺は臆病者だ……」

まりも「……私は、臆病でいいと思います」

武「…え?」

まりも「人は死を確信したとき、持てる力の限りをつくし、何にも恥じない死に方をするべきです」

まりも「ですが、生きて為せる事があるなら、最後までやり遂げるべきだと思います」

まりも「臆病でも構いません。勇敢だと言われなくてもいい……それでも何十年でも生き残って、一人でも多くの人を護ってほしい」

武(この言葉……聞き覚えがある…)

まりも「そして、最後の最後に…自分の人としての強さを見せてくれれば……それで…」

武「……」

グラハム「私の部屋で遊ぶか」

シャニ「ん」シャカシャカ

クロト「オッケ。何すんの?」ピコピコ

オルガ「スマブラやろーぜ」

グラハム「よしきた」

伊隅「注意を怠るなよ。BETAは全滅した、なんて鷹をくくってると、後ろからがぶりとやられるぞ?」

「了解」

「りょーかい」

「しっかし、BETA共もとんでもねー時に来たもんだよなあ」

「ああ。丸腰でBETAに出会ったら、俺でも逃げを選択したいってのに…後退を許されないんだもんな」

「………!」ピキーン

「ニール、伊隅、2時の方向に何かいる」

ニール「2時の方向…ああ。確かに遠方に2人いるな。ったく、まだあぶねーってのにイチャイチャしやがって…」

「違う……!ニール!狙撃体勢だ!」

ニール「…どうした?2人の愛の邪魔でもしたいのか?」

「彼等の後ろに兵士級だ!気付いていない…!まずいぞ!」

ニール「……マジじゃねーか!」

伊隅「あれは…神宮司軍曹…!?駄目だ…!間に合わない…!」

ニール「…舐めてもらっちゃ困るっての!」

「火器使用を許可する!ニール、撃て!」

ニール「オーライ。ニール・ディランディ、狙い撃つぜ!」

グラハム「博士!」

夕呼「…ああ。グラハム?何か用?」

グラハム「神宮司軍曹と白銀少尉は!?」

夕呼「ギリギリで助かったわ。命に別状はないけど…白銀がね…」

グラハム「……すまない。私がしっかりしていれば…」

夕呼「命があっただけマシよ。このご時世じゃ、人間の命一つなんて何時消えてもおかしくないから」

グラハム「…そうだな」

夕呼「所でアンタは何してたの?」

グラハム「……スマブラ」

夕呼「ホント、肝心なところで役に立たないわね」

グラハム「中尉になったよ」

伊隅「よろしく。中尉。異例のスピード昇進だな…」

グラハム「よろしくお願い申し上げる。伊隅大尉。私の配属された部隊の隊長殿…だったな」

伊隅「ああ。まあ、そう緊張する…してないな。なんでもない」

「伊隅、彼か。グラハム・エーカーは」

伊隅「ああ。そうだ」

「こんにちは。初めまして。エーカー中尉」

グラハム「グラハムでいい。大尉」

「ああ。わかった。よろしく頼む。君の噂は聞いている」

グラハム「私も有名になったものだ…」

ダダダダダダダダッ

シャア「おお!グラハムくん!聞いたよ!君もA-01部隊なんだってね!ハマーンに頼み込んで、少々無理やりだが私もA-01部隊に入れることになった!」

シャア「伊隅隊長。よろしく頼む。階級が上だからとはいえ、部下として扱……」

「シャア……」

シャア「……久しいな。アムロ」

アムロ「……なんだかデジャヴだな」

シャア「またこうして、貴様に出会えろとはな。無理をした甲斐があった」

アムロ「…まさか、俺に会う為にわざわざ?ホモくさいな」

シャア「勘違いするなよ、アムロ!私は未成年の女性が大好きだという事が何故分からん!?」

アムロ「いや、知っている」

シャア「それでこそ私のライバルだ。……もう、会う事も無いと思っていたのだがな」

アムロ「……アクシズを落とそうとした奴が、地球を守る為にエイリアンと戦っているなんて、俺は信じられない」

シャア「…少なくとも、今はな。護る価値のある地球だと、私は信じている」

アムロ「貴様と共に戦う事になるとはな。ここに来てから、もしやと思った事はあるが…」

シャア「この世界でも、赤い彗星、シャア・アズナブルの名前はそこそこ知れ渡っていたはずだが」

アムロ「俺の耳には、あまり入ってこなかった」

シャア「ここにいたなら、1度や2度は聞いていてもおかしくは無いはずだぞ。アムロ。私は3度、この基地でセクハラで説教を喰らった」

アムロ「何をやった!貴様!」

シャア「黙秘権を行使する」

アムロ「シャア、貴様!あれ程人様に迷惑をかけるなと…!YES!ロリコン!NO!タッチだ!」バッ

シャア「目の前に極上の料理を置かれて手を出さない人間がどこにいる!?それをわかるんだよ!アムロ!」ガシッ

アムロ「そうやって貴様は、また幼女に手をだす!」ゴロゴロ

シャア「彼女たちは既に立派な女性だ!その美しさにそれ相応の感情をいだき、それ相応の対応をする!どこがおかしい!?しない方が失礼だというものだ!」ゴロゴロ

アムロ「おかしいのは貴様だ!」

シャア「アムロ!女性は若い程いいという事が、何故分からん!?若い女性は私の母になってくれるかもしれない女性だ!」

アムロ「シャア!ロリコンとマザコンを一緒くたに出来ると思うな!どちらかを否定しろ!」バキッ

シャア「幼女は純粋だよ!主にパンツが!」バキッ

アムロ「エロだよ!それは!」

グラハム(あれは……タケル…?)

武「いやだ……いやだ……こんな世界……もう……」

グラハム(こんな時間にどこへ…?ショックで精神状態が不安定とも聞いた…それに、チームのメンバーが一人、タケルを庇って死亡したとも…)

グラハム(気になるな…つけてみるか)コソコソ

武「もう……帰ろう……帰る手段が、無いわけじゃないんだ…」

グラハム(帰る手段…だと!?)ササッ


ウイイイイン
武「霞…お前なら、わかってるよな?言葉で伝えるよりも…明確に…」

グラハム(…脳?と、少女…?なんだ…ここは)コソコソ

武「なあ…頼むよ……俺…もう、『元の世界』に帰りたいんだ…この世界は…酷過ぎるんだ…わかるだろう?」

グラハム(やはり、帰れるというのか!?元の世界に…!)

武「お願いだよ…もう、俺を逃がしてくれ……俺が出来る事は全部やったんだ…他にすげえ奴なんていっぱいいるだろ……グラハムとか…アムロ大尉とか……」

グラハム(……仲間の死と、死への恐怖で折れたのか)

武「俺…怖いんだよ……」

グラハム(無様だな…見るに堪えん……だが、タケル。お前はここで引いていいのか。一生後悔する事になるかもしれんぞ。永遠にこの世界の事を引きずって、それでいいのか?)

武「そうだ…お前も一緒に行こう…!BETAのいない世界に…」

霞「…………」

武「…そうか。お前はここから離れると、自分がいなくなっちゃうんだな…その辺の事は、わからずじまいだけど…もう帰れるならどうでもいい……」

霞「……ッ」タッ

武「なんで…逃げるんだよ……俺を元の世界に帰してくれよ!」

霞「…………いや」

武「まさかお前まで、俺を戦わせようとするのか!?」

霞「……ッ」

武「お前まで…俺をこの地獄につなぎとめようとするのか…?」

霞「いやっ…!」タッ

武「まてっ!まってくれっ!」バッ

グラハム(なんかエロいな。大佐が喜びそうだ)

武「お前に見捨てられたら、俺はもう…本当に帰れなくなっちまうんだよ…」

グラハム(……なんだ?元の世界に戻る装置は彼女の物なのか…?もしくは、なんらかの理由で彼女が必要なのか…?)

グラハム(人の気配…!?ここで見つかるのはマズイな…)

グラハム「心を静めろ…壁と同化するんだ…私は壁だ…」

武「なんで帰してくれないんだッ!お願いだ!霞!」

夕呼「その辺でやめてくれない?さっきから、ピーピーギャーギャーうるさいのよ」

武「先生…!」

夕呼「駄目じゃない。世界と人類を救う英雄が、そんな事をしちゃあ」

武「俺はもう…耐えられないんですよ!こんな…狂った世界…!」

武「それに、俺がいなくたっていいでしょう!俺はやれるだけの事をしたんです!」ガッ

武「俺より強い人なんていっぱいいます!グラハムやアムロ大尉に、任せればいいでしょう!もう俺の役目は終わったんですよ!」

夕呼「ちょっと。社に乱暴しないで。計画にとっては、あんたなんかよりよっぽど重要なのよ」

武「重要じゃないなら…お願いします!俺を元の世界に帰してくださいよ!」

夕呼「わかったから社を離しなさい」

武「離したら返してくれますか!?俺は十分貢献したでしょう!?もう、俺は帰りたいんだ…!」

夕呼「……さっきから、帰る帰るって。そう連呼していたら引き留めてもらえるって思ってない?」

武「思ってませんよ!こんな所、もう、一秒だっていたくない!」

夕呼「だったら初めからあたしの所に来なさいよ。いきっぱなしなら、社なんか関係ないじゃない」

武「…………あ」

夕呼「わかったらとっとと社を放しなさい。帰してあげるから」

武「その言葉…信用していいんですか…?俺を、本当に帰してくれるんですか…?」

夕呼「あんたから必要な情報はもうすべて引き出した。あんたの言う通り、あんたより優秀な人材は腐る程いる。つまりあんたはもう用済み…あんたを引き留める理由なんてないわ」

夕呼「あんたがここにいる理由も、この世界を救いたいから。そう思わなくなったんだったら、もう、あんたがいる理由もない」

夕呼「利害の一致ってわけよ」

夕呼「全く、情けないわね。あれだけ大口叩いて、こんなに簡単に折れちゃうんですもの。自分がいた世界とは全く違う……知り合いすらいない世界を護ろうとする人間だっているって言うのに…」

武「…だって!」

夕呼「うるさいわね。帰してあげるっていってるでしょう。ほら、とっとと社を放して」

武「…わかりましたよ」パッ

夕呼「はい。よくできました。じゃ、行きましょうか」

グラハム(尾行任務開始)

カタカタカタカタ

武「ようやく…帰れるんだ…」

武(ようやく…普通の生活に戻れるんだ……純夏が普通にいる生活に…)

夕呼「白銀、準備はいい?」

武「あ、はい」

夕呼「もう一度確認するけど…」

武「なんて言われても、俺は帰りますよ」

夕呼「この装置であんたを送れる世界は、あんたが干渉した世界よ」

武「…はい」

夕呼「あんたがよく言ってる、元の世界から分岐した別の世界だけど、それでもいいのね?」

武「はい…元の世界から分岐したなら、この世界より数億倍マシですよ…」

夕呼「それともう一つ。向こうで24時間が経過したら、二度とこの世界に戻ってこれなくなると考えていいわ」

武「結構な事じゃないですか…」

夕呼「そう。じゃ、はじめるわよ」

武「……お願いします。絶対に、オルタネイティブ4を成功させて下さい」

夕呼「当然よ。じゃ、一気に送り込んで固定するわ。社、電源を1番から6番まで入れて頂戴」

夕呼「あ、それとグラハム。バレバレよ」

グラハム「ええい…!」

武「……!」

夕呼「何?アンタも帰りたいの?」

グラハム「ああ」

夕呼「…そう。アンタがいなくなると、つまらなくなるわね」

グラハム「いや。私が望むのは、往復のチケットだ。一方通行など、死んでも御免だ」

グラハム「私は冥夜を。壬姫を。千鶴を。慧を。美琴を。護るとフラッグに誓った」

グラハム「男の誓いに訂正は無い」

武「……!」

夕呼「…そう。やっぱり本物の英雄さんとなるという事が違うわね」

夕呼「でもま、往復となると準備が必要よ。あんた見たいな変態なら、忘れたくても忘れられないから、観測も楽でしょうけど……今は、白銀を送らなきゃならないし」

グラハム「了解した」

武「…………さようなら。霞」

霞「………………よわむし」

グラハム「武……」

武「…なんだよ」

グラハム「またな」

武「……どうして「また」なんだよ。グラハムは、俺の世界にいない人間だ…もう、会う事なんて…」

グラハム「タケルは必ず戻ってくる。そうに決まっているさ」

武「妄想は頭の中だけにしてくれよ…」

グラハム「なに。直に分かるさ」

~~~~~~~~~~~~~
「ひゃう…って、だめだめだめ!落ちるのぜ~~~ったい、だめっ!」

「ひゃうっ…ええい!すたっ」

「もう!なんだよ~タケルちゃーん!」

武「ここは……やった。戻ってきた。戻ってきたんだ!」

「ふ~。死ぬかと思わなかったよ~」

武(…あれ?声が……違う?)

「タケルちゃん!起きろっ!えいっ!」

武「!?!?!!?」

グラハム「布団から出てよ~!」

武「グラハ…え、何やって…え、なんで……」

グラハム「えっ…?どうしたの?」

武「えって…はっ!?は!?は!?」

「おはよう。タケル。目は覚めたか?」

武「…はあ!?」

グラハム「…タケル?」

武「…は!?2人!?」

グラハム「何故頭を抱える?」

グラハム「なんかね~。タケルちゃん変なんだよ。さき、行ってよう」

グラハム「……ああ」

バタン

武「…!?」

グラハム「タケルちゃ~ん。遅いよ~」シュイイイイイ

グラハム「うむ、どうしたのだ?タケル」シュイイイイイ

武「あ……あるいてる人が…全員…グラハム……」

武「え…え…え…ちょ…どうなってんだよ…」

「あーっ!そのエクシア可愛いー!」

「いいでしょ~!あげないよーだ!」

「ずるいなー!ならば、無理やりにでも頂いていく!トランザム!」バシュゥン

「よく言ったグラハムゥゥ!いざ尋常に…」シュイイイイ

「「勝負!!」」

グラハム「ほら、元気ないの武ちゃんだけだよ?」

グラハム「うむ。どうしたのだ?」

武「じ、地獄だ…悪夢だ……!うそだああああああ!!BETAの世界の方が全然マシだあああああ!!」

~~~~~
グラハム「向こうの世界の物を持ってこれる事は可能……と言ったな」

夕呼「そうね。持ち運べる大きさの物なら、物体も世界の行き来は可能なはずよ」

グラハム「大きい物……戦術機サイズの物は?」

夕呼「……!」

夕呼「確かに、持ってこれれば鬼に金棒ね…」

夕呼「けど、そうなると色々調整が必要ね…このまま持って帰ってきたら、ここに出て大変な事になるわ」

夕呼「それに、アテはあるの?そんなに安い物じゃないでしょう?」

グラハム「私には頼れる友がいる。MSの1機や2機くらい、簡単に用意してくれるさ」

夕呼「そうね…それならいいけど……」

夕呼「…………ねえ、グラハム。アンタの時代って、この時代より遥かに高い技術を持っているわよね?」

グラハム「ああ」

夕呼「なら、アンタをアンタの世界に一方通行で送り出すわ」

グラハム「何…!?しかし、それでは…」

夕呼「はい、コレ」ポン

グラハム「…何だ、これは?」

夕呼「次元転送装置の設計図と理論みたいなものがまとめられた資料よ。あげるわ」

グラハム「そんな大事なものを…」

夕呼「大丈夫。大体頭の中に入ってるから」

グラハム「流石だ。で、これでどうしろと?」

夕呼「まだわかんないの?それで、向こうの世界の友人とやらに次元転送装置を作ってもらって、お土産持って戻って来なさい」

グラハム「成程…その手があったか…」

夕呼「結局のところ、かかる時間は変わらないのかもしれないけど、かかる時間がなら、待ってるよりも動きたいでしょ?」

グラハム「私の性格をよくわかっている」

グラハム「では、さっそく準備にとりかかるとしよう。そろそろ、タケルも帰ってくる頃だろうしな」

夕呼「…は?まだ、帰ってくる訳は……あれ?」

武「やったああああああああああああ!!戻ってこれちゃああーーーっ!」

武「霞ぃぃ!ごめんなああっぁぁあ!もう俺逃げないからなぁああ!」ダキッ

霞「…!?」

グラハム「言った通りだろう」

夕呼「何やったのよ」

~~~~~~~
カタギリ「ミーナ。そろそろ休憩しようか」

ミーナ「オッケーね。じゃ、コーヒー淹れてくるわ」

カタギリ「助かるよ…いつもありがとう。ミーナ」

ミーナ「フフ、それは言わない約束よ、ビリー」

カタギリ「ははは。そうだったね…」

ミーナ「…ねえ、ビリー」

カタギリ「ん…?」

ウイイイイイイン

ミーナ「もう!入ってこないでって言ってあるでしょ!誰よ、私とビリーの時間を邪魔し――」

カタギリ「…そんな。君は……死んでしまったはずじゃ……」

グラハム「久しいな。盟友よ」

カタギリ「へえ…そんな事が……」

グラハム「日常から一転、いきなり非日常に。という奴だ。私も驚いている」

カタギリ「君の場合は、その時既に非日常と戦ってる真っ最中だったハズだけど」

グラハム「あの程度の非日常等、私にとっては日常にすぎん。この程度の非日常ですらも、朝に茶を飲む事に等しい程に日常だ」

カタギリ「相変わらず何言っているかいまいち分からないけど…とにかく、元気そうでよかった。また会えて嬉しいよ……おかえり」

グラハム「ああ。ただいま」

カタギリ「向こうにはガンダムが無いんだろう?君には辛いんじゃないかな」

グラハム「そうでもないさ。私とガンダムは一心同体…つまりは私がガンダムだ。私ある所にガンダム有りだ」

カタギリ「よく分からないけど、君が大丈夫って言うなら大丈夫なんだね……」

グラハム「一心同体と言えば…私の分身とも言えるフラッグのプラモデルを向こうで見かけた」

ミーナ「……興味深いわね。プラモデルとはいえ、フラッグが向こうの世界にあるなんて……」

カタギリ「こちらの世界の情報が、流れ込んだ――というよりは、干渉したと、考えるべきかな」

ミーナ「ま、グラハムという媒体もいる事だしね。それについてはどれだけ仮説を立てても結局は仮説どまりだけど」

カタギリ「そうだね。僕もそっちについてはあんまり詳しくないし」

カタギリ「で、今回は何の用だい?君がわざわざ僕に会いに来た時は、絶対にやっかいな頼みごとを持ってくるって相場が決まっているんだよ」

グラハム「流石だな。そこまでわかっているのなら、話が早い」

グラハム「カタギリ。ブレイヴを1機貰いたい」

カタギリ「…またとんでもない無茶を言ってくれるね。大体、どうやって向こうに持って帰るんだい?」

グラハム「ああ。私がこっちに来るときに使った装置をを使えば、持って帰る事が可能だ。それと、その装置の作成もカタギリに頼みたい」

カタギリ「作ってって…僕はその装置がどんなものなのか、全く分からないんだけど…」

グラハム「詳しい事は私にはよく分からないが…その装置について色々と書いてある資料を貰ってきた」

カタギリ「大事な物なんじゃないのかい?」

グラハム「わからん。だが、装置を作った人が渡したのだから、見られても問題は無いのだろう」

カタギリ「……やれやれ、これで作らないワケにはいかなくなったってワケだ…」

グラハム「やってくれるか……!」

カタギリ「いいよ。友人がわざわざこっちの世界に戻ってきてお願いしたんだ。拒否するのは気が引けるしね」

グラハム「カタギリ…!」ガシッ

ミーナ「……けど、ブレイヴがいくら高性能だと言っても、たった一機でBETAを全滅出来るとは思えないわ。何かアテでもあるわけ?」

カタギリ「そうだね…数は力だ。いくら君でも、人類を絶滅の危機に追い込んでしまう様な奴等を、たった1機で殲滅できるとは思えないよ」

グラハム「……ああ。私もそう思う。だが、手札は強力な方がいいだろう」

ミーナ「…話し合いで何とかできないのかしら」

カタギリ「…無理だろうね。現に、一度試していたんだろう?」

グラハム「ああ…失敗に終わった。BETAに意思はあるという事は分かったが…向こうはこちらの訴えを全く聞こうとしない。と言っていたな」

グラハム「現時点でわかっている事は、BETAは『並外れた適応能力を持つ』『炭素生物』…」

ミーナ「グラハムみたいね」

グラハム「…せめてゴキブリと言え」

カタギリ「グラハム…それは自分をゴキブリと言っているようなものだよ……」

グラハム「……そして『各個体には生殖器や消化器官が存在せず』『人類を生命と認識していない』」

グラハム「訳が分からない奴等だ。そして、我々を生命体と認識していない以上、彼等と我々が分かりあう事は不可能だ」

カタギリ「…向こうに話し合う意思が無ければ、対話は出来ない」

ミーナ「話し合いを前提にするならば、どうやって、人類を生命と認識させるかが、鍵ね……」

グラハム「BETAと話し合いを図るオルタネイティヴ計画では言葉が通じないから、人類の思いつく限りの『和平』のイメージを、絵として彼等に送ったが…BETAに反応は無かった…」

カタギリ「話し合いは難しいか……けれど、全滅させる事が難しいのもまた事実だ。彼等は巣から無限に湧いてくる…その巣、一つ潰すのに大きな犠牲を伴う…」

グラハム「その為に、ブレイヴが欲しい。私がブレイヴで先陣を切れば、被害は最小限に出来るはずだ」

カタギリ「そう簡単な物でもないよ。向こうだと、粒子チャージが難しい。それに、破損したら直す事は出来ないだろう。そもそも、技術が違うんだからね」

グラハム「……」

カタギリ「何も考えていなかった様だね……それじゃあこうしなよ。僕は何時でもブレイヴをそっちに送り出せるようにしておくから、君は『本当に必要になった時』、また取りに来てくれ」

グラハム「……その旨を良しとする」

ミーナ「オッケーね。それじゃあその方向で行きましょう」

カタギリ「それじゃあとっとと装置を完成させちゃうよ。とりあえず、その時が来るまで向こうに戻るだろ?」

グラハム「当然だ。私は我慢弱い」

カタギリ「言うと思ったよ…それじゃ、ミーナ。お客様のオーダーだ。早速とりかかろうか」

ミーナ「オッケーね。ブレイヴの手配は頼むわ。私は先にこっちの次元転送装置の方を進めとくわ」

グラハム「次元転送装置の完成にどのくらいかかる?」

ミーナ「とりあえず、試作がてらサクッと簡単なの作っちゃうわ。そうね…まだ軽く見ただけだからはっきりとは言えないけど、大体12時間……足りない部品とかあったら、もっとかかると思うわ」

カタギリ「それじゃ、完成するまでグラハムはここにいるといい。何か、向こうに持って帰りたい物はあるかい?ポケットに入るサイズの物なら、持って行けると思うよ」

グラハム「特に欲しい物はない。ここでゆっくりしている……だが、急いでくれ。私は我慢弱く、落ち着きのない男だ」

カタギリ「君のそのセリフ、もう一度聞けるとは思っていなかったよ。それじゃ、グラハム、ゆっくりはできないかもしれないけど、ゆっくりしていってくれ」

グラハム「そうさせてもらう」

グラハム「久しぶりによく寝た…」

カタギリ「あ、グラハム。おはよう。よく眠れたかい?」

グラハム「ああ。おかげさまでな」

カタギリ「僕らの世界はある程度落ち着いているけど、君達の世界は地球規模の大戦争だからね…せめて、こっちにいる間だけはゆっくりするといいよ」

グラハム「カタギリ、次元転送装置は完成したか?」

カタギリ「君は本当にせっかちだね…もう少しゆっくりしていけばいいのに」

グラハム「ゆっくりしている間に、向こうで何かあったらどうする」

カタギリ「やれやれ…とりあえずは、これで帰れると思うよ」

グラハム「そうか…恩に着る」

カタギリ「全く、君はいつも唐突に表れて、唐突に消えていくね……それじゃ、必要になったらこっちに来てくれ」

グラハム「カタギリ……迷惑をかける」

カタギリ「本当に、君には毎回無理をさせられるよ…」

夕呼「あ、グラハム?帰ってこれたの」

グラハム「ああ。ただいま」

夕呼「そ、よかった。で、どうだったの?何も持って来てないじゃない」

グラハム「補給や修理の問題で、必要になった時、向こうにとりに行くことになった」

夕呼「ふーん。で、何か進展した?」

グラハム「準備はした。これで私は成ったも同然だ」

グラハム「駒を使うのは棋士である貴女だ。香月博士」

夕呼「……」

グラハム「手を間違えるなよ……」

夕呼「そうね……けど、ちゃんと命令通りに動いて頂戴?命令通りに動かないあんたみたいな駒がいると、大変なのよ?」

グラハム「言ってくれる…」

シャア「戻って来たか。中尉」

グラハム「待たせたな」

アムロ「ようやく揃ったか…」

伊隅「エーカー中尉。特殊任務、ご苦労だった」

グラハム「短い間だったがな…確かに、楽では無い仕事だった」

伊隅「我が隊は、この基地で最も損耗が激しい部隊だ。にも拘わらず、まともに補充要因も来ない」

シャア(特殊部隊か…やっぱりスパイと思われるんだろうな。入るのに結構苦労した)

アムロ(それでも入って来たのか…)

シャア(赤い彗星を舐めるなよ)

アムロ(その通り名、気に入っているだろう)

シャア(分かるか…流石は私のライバルだ!)

シャア「やあ。グラハム。座学補習はようやく終わったか。どうだ。少しは理解できたかな?」

グラハム「私は体で覚えるタイプだ」

シャア「安心したまえ。私もそうだ」

グラハム「……ところで大佐。アンジェロ大尉は?」

シャア「流石に配属の許可が下りなくてな。一応、この基地のどこかにはいるはずだが……」

アンジェロ「……クッ。大佐のお傍で、大佐をお守りする事が出来ない事を、お許しください」

シャア「噂をすればか。まあいい。気にするな」

アムロ「グラハム中尉。お疲れ。伊隅大尉とタイマンで、きつかったんじゃないか?」

ニール「よーよー。お疲れさん。アンタか。GNドライヴ無しでトランザムを使う破天荒さんはよ」

グラハム「…その物言い…トランザムを知っているのか?」

ニール「ん。まあな」

シャア「元気がいいな」

アムロ「おっと、大佐…なんだ。シャアか」

シャア「なんだとはなんだ」

アムロ「なんだだからなんだなんだ」

シャア「ええい!アムロ!」

アムロ「面倒くさい奴!」

アンジェロ「……」ギリッ

グラハム「珍しいな。大尉が黙っているなんて」

アンジェロ「大佐も楽しんでおられるからな…それに、相手は腐ってもアムロ=レイだ。大佐ならともかく…私が敵う相手ではない」

グラハム「なんと…手合せ願いたいものだ…」

アンジェロ「やめておけ……いくらお前でも敵う相手ではない」

グラハム「……ほう」

アンジェロ「ニュータイプを舐めるな…貴様はわけの分からん能力を持っているから、勝てる可能性はあるかもしれんが…単純な操縦技術のみなら貴様はアムロ=レイには勝てん」

グラハム「成程な……余計に戦ってみたくなった…」

アンジェロ「フン……」

アムロ「そうだ。俺達はこれからPXに行くんだが…グラハムも一緒にどうだい?本当は白銀少尉も誘いたかったんだけど…彼はどうも副司令のお気に入りらしくてな」

グラハム「ああ。構わない。」

シャア「ついでだグラハム!たまちゃんを呼べ!」

アムロ「シャア!他人の性癖にケチをつける気は無いが、お前は少しさらけ出し過ぎだ!もう少し押さえろ!」

シャア「アムロ!それはナンセンスだ!」

アムロ「お前みたいな奴がいるから、ロリコンは悪だと決めつけられ、居場所がなくなる!」

シャア「ロリコンはおかしいことではないと何故わからん!」

アムロ「それについてはわかろうと努力するつもりはない!」」

シャア「それが私を倒した男の言う言葉か!分かりあうんだよ、アムロ!」

アムロ「俺は貴様ほど幼女好きでもなければ、ロリ以外に絶望もしちゃいない!自分の性癖を他人に押し付けるな!」

シャア「エゴだよ、これは」

アムロ「ッ!ッ!ッ!」バシバシバシ

シャア「ええい!何故殴る!?」

ニール(あのアムロがイラついてる……)

グラハム「そういえば、明日不知火が届くらしいな」

シャア「ああ。楽しみだよ」

アムロ「ん?なんだ、今日の市街地での模擬戦闘は楽しみじゃないのか?」

グラ・シャア「「何!?」」

グラハム「なんと!?ついにアムロ大尉やシャア大佐と手合せ出来るという事か!」

シャア「アムロ!積年の恨み、はらさせてもらうぞ!」

ニール「お前等……ついさっき説明受けたばっかだってのに……」

シャア「で、編成は?」

アムロ「俺の班は、俺とシャアと……」

シャア「ええい!何故私が貴様と組まなければならない!同士討ちは重罪だぞ!」

アムロ「あと、伊隅大尉と柏木、それと榊と…」

アムロ「珠瀬だ」

シャア「アムロ君。一緒にがんばろう」

ニール「あんたって人は……」

グラハム「となると、私はニール中尉と速瀬中尉、後はタケルと美琴と慧と冥夜か」

ニール「ん、まあ、そうなるな」

グラハム「一度に二人を相手に出来るとは……倒し甲斐があるというもの!」

ニール「勝てる気しねーんだよなぁ……」

グラハム「楽しみだ……!」

開始10分
撃墜=冥夜、美琴、慧、武、速瀬、壬姫、柏木、榊、伊隅
※撃墜順

ニール「珠瀬壬姫…ね。ま、なかなかの狙撃センスだったぜ」

ニール「けど、まだまだだっての。狙い撃つぜ!グラハム!アムロと大佐さんを抑えとけよ!」

グラハム「無茶を言う!」トランザムッ

シャア「アムロ!アムロ!アムロ!」ガシガシガシ

アムロ「なんだ!さっきからうるさい!機体を掴むな!お前が邪魔をする所為で圧勝だったのに追い込まれてきてるじゃないか!」

シャア「ふざけるな!アムロ!たまちゃんが落ちたぞ!おい!アムロ!おい!おい!」

アムロ「いいから黙れ!戦闘中だ!」

グラハム「一刀両断!」

アムロ「グラハム!ちぃ!」

シャア「おい!アムロ!おい!おい!」

アムロ「黙れシャア!」


壬姫「……」

速瀬「……空気だ」

冥夜「練習にすらならなかった」

美琴「……やっぱりショックだね」

伊隅「あの赤い阿呆をなんとかしろ」

グラハム「結局負けた……」

ニール「まあ、あそこまで戦えただけマシだって…」

冥夜「開始10分も立たずに、半分が戦闘不能になった演習なんて、初めて経験したぞ……」

慧「仕方がない」

美琴「うん。仕方がない」

速瀬「分かってはいたけど……やっぱり雑魚Aみたいにあっさり撃墜されると悲しくなる…」

ニール「伊隅大尉も本当はめちゃくちゃ強いはずなんだけど、アムロと大佐の所為で伊隅大尉が陰に隠れちまってたからな…」

グラハム「トランザムを使った1対1でほぼ互角…だからな……アンジェロ大尉の言っている意味が分かった……本当に訳の分からない…」

ニール「GNドライヴ無しでトランザムにGNフィールド…グラハムも十分わけわかんねーけどな」

~~なんだかんだで~~
伊隅「本日未明、国連軍第1司令部より、極東国連全軍に対し、佐渡島ハイヴ制圧作戦が発令された」

全員「…!」

伊隅「作戦名は『甲21号作戦』…作戦実施は、12月25日。当横浜基地からは、我がA-01部隊のみが、特殊任務の為に参加する事になる」

グラハム「ほう…つまりはワンマンアーミー……たった一人の軍隊と言う訳か」

冥夜「違う」

伊隅「我が部隊の任務は、オルタネイティブ計画により試験的に投入される新型兵器の支援及び護衛だ」

「甲21号作戦は~」

グラハム(そういえば私専用の戦術機の話はどうなったんだろうか?)

「この作戦は新型兵器の~」

グラハム(ええい!まさか忘れられているのか!?)

「これが…切り札。XG-70b……」

グラハム(スサノオ程度ならば作れると思うのだが……)

「凄乃皇弐型よ」

グラハム「スサノオ……だと…!?」










バキッ

グラハム「おふぁっ!?」

ニール「……殴られた理由は分かるな?」








夕呼「まってやばい」

夕呼「やばいマジでやばい」

夕呼「OS書き換えられた。やばいマジでやばい」

夕呼「バックアップとりわすれた。間に合わないやばい」

甲21号作戦当日

夕呼「白銀……」

武「はい?」

夕呼「調整してくれたアンタには申し訳ないけど……今回、00ユニットは使わないわ」

武「…え?でも、それじゃあ……」

夕呼「正確には使えないのよ。文句ならグラハムに言って頂戴。……あの糞野郎、凄乃皇のOS全部書き換えやがったのよ……」

武「え……」

夕呼「グラハム製のOSは危険すぎるのよ。今00ユニットを失うわけにはいかない…」

夕呼「だから、今回は別人に乗ってもらう事にしたわ。アンタは2人でお留守番してて頂戴」

なんやかんやで甲21号作戦

シャア「順調だな。このままいけば直に終わる」

ニール「後は、A-02が上手くやってくれればいいってことだな」

アムロ「俺達もこのままでは巻き込まれる。下がるぞ」

グラハム「さて、スサノオを名乗るに相応しいかどうか…見極めさせてもらう」

伊隅「来たぞ……!」

冥夜「アレが……」

壬姫「大きい……」

『ぶわ~っはっはっはっはっはっはっ!!』ジュウウウウ


ニール「オイオイ…レーザー級に撃たれまくってんじゃねーか……大丈夫なのか?」


『ぶわ~っはっはっはっは!その程度の攻撃でこのわしを倒そうなど片腹痛いわぁ!……む?攻撃はどうやったかな……これか!?』ポチッ

ウイーンガッションガッション

『ちぃ……!!こっちか!』ポチッ

シュゴーボボボボ


グラハム「…………」

シャア「…………」

夕呼『何やってるの!?いくら凄乃皇だからって…装甲もそろそろ限界よ!?あれだけ大口叩いといて負けるんじゃないでしょうね!?』

『こんな複雑な機械なぞ扱かった事ないわぁぁ!』

夕呼『ふざけないで!!本当に…本当にふざけないで本当に!!ちょっと頼むから!!』

『…………………』



バキャッ



東方不敗「こうなったら、わし自らハイヴを攻略してみせようぞ!そう、今さらなんでメカに頼ろうものかぁぁ!!!」



シャア「!?」

ニール「オイオイ、コクピットからじいさんが飛び出してきたぞ……」

アムロ「死ぬ気か……!?」

グラハム「こうしてはいられん!」バッ

ニール「あ、オイ!?お前まで!?」

東方不敗「さあっ!!次々とかかってこんかぁ!!」

BETA「wwwwwwwww」ワラワラワラ

東方不敗「ええい!うるさい奴らめ!」シバッ

BETA「wwwwwwwww」

東方不敗「雑魚共がうっとおしいわぁ!!」バシッ


グラハム「私、参上!」ザッ

東方不敗「何奴ッ!?」バッ

グラハム「グラハム・エーカー………ガンダムだ」

東方不敗「ガンダム?ぶわははははは!!片腹痛いわあ!」

グラハム「グラハム・エーカー…助太刀する!」

東方不敗「馬鹿にするなぁ!この東方不敗!貴様如きの助けなど無くともBETAを殲滅してみせるわぁ!!」

グラハム「私はグラハム。ガンダムだ」

東方不敗「……グラハム…Gガンダム」


東方不敗「グラハムッ!一匹一匹に構っていてもしょうがない!!あれをやるぞぉ!」

グラハム「はいッ!師匠ッッ!!」

グラハム「流派ッッ!!」

東方不敗「東方不敗がぁぁぁ!!」

グラハム「最終ぅぅぅぅ!!」

東方不敗「奥義ぃぃぃぃ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



ニール「来るぞ…!」

冥夜「出来るだけ遠くへ!」

伊隅「下がれーー!!」

美琴「うわわわわ…!」

千鶴「もう何が何だか……!」

シャア「たまちゃん!危険だから私の近くへ!!さあ!私の近くへ!さあ!さあ!」

壬姫「へ…あ…?」

アムロ「珠瀬、危険だ!シャアは普通じゃない、離れろ!」




グラハム「石!!」

東方不敗「破ッ!!」

「「ラ~ブラブ!!」」

「「天驚ォォォけェェェェェェェん!!!」」

カッ








「佐渡島が消滅しました!」

夕呼「…………」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年12月09日 (月) 23:14:58   ID: PCyI8xVs

あえて言おう!続きを期待すると!

2 :  SS好きの774さん   2013年12月19日 (木) 07:47:48   ID: WxwRruJt

続きは??

3 :  SS好きの774さん   2014年08月28日 (木) 23:50:05   ID: Dxd1JDUS

乙です!続編希望!

4 :  SS好きの774さん   2014年10月09日 (木) 02:29:23   ID: Ld8GbdDD

これは良い意味でひどいwww
絵にしたいもんwww

5 :  SS好きの774さん   2015年08月09日 (日) 03:00:31   ID: cgiharN-

途中から完全に意味不明になってないか

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