【スーパーグリマス】奈緒「激突!関西VS関東〜うどん編〜」【タイム】 (25)

それは、何気ない、本当に何気ない一言で起こった…ある午後の悲劇…



PM 1:15  たるき亭にて



奈緒「あうーん、もう腹ペコやー、店員さーん!けつねうろん一丁やー!」

静香「天ぷらうどんお願いします」

店員小川さん「はーい!きつね一丁、天ぷら一丁!」

奈緒「いやープロデューサーにも参ったわー、朝一からTVの仕事入れるなんてなー」

静香「お仕事貰えるだけありがたいですよ…ウチの事務所は大所帯で、TVの仕事貰えるなんてチャンスなんですから」

奈緒「そんなんわかっとるけど、やっぱり朝一はしんどいんやー」

小川さん「おまちどうさまー」

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静香「おうどんキター!」
パチン!(箸を割る音)

静香「いただきま〜す…」ズルズル チュルン

静香「そしてエビ天」カプリ サクサク

静香「ふぁー、やっぱりちょっぴりお出汁に使ったエビ天が最高に美味しい…しかもおうどんに乗ってるとか、ああん!もう最高!」

奈緒「もがみんはホンマうどん好きなんやなぁ…」

静香「あぅ…しまった、空腹故つい我を忘れて…」

奈緒「あかんなぁ…」

静香「あう、ごめんなさい、奈緒さん。はしたなかったですよね」

奈緒「ちゃうちゃう、もがみんじゃなくてコレの事や」

静香「コレって…おうどん?」

奈緒「汁の色をみてみ?真っ黒やろ?コレじゃあかんわ」

静香「あかんって、美味しそうなきつねうどんじゃないですか」

奈緒「阿呆の子やなぁ…もがみんは。こんな真っ黒な汁ではけつねうろんとちゃうんや。ええか?ホンマモンのけつねうろんはダシが黄金色に輝くんや!」

静香「出汁が…黄金色に?」

奈緒「そうやで!んでな、口の中に鰹節の香りがほんのり広がって、うどんをチュルチュル、お揚げを噛み締めるとまたジュワーて口中に汁が広がって、…ってあかーん!空腹のあまり、つい関西自慢してもうたー!」

静香「…」

奈緒「もがみん!今の忘れてな!カッコ悪いし、関東のうどんも好きなんやで!ただもっと関西のうどんが好きなだけやねん。」

静香「奈緒さん…それは聞き捨てなりませんね」

奈緒(あかーん!せっかく築いた友情が台無しやー!もーアホアホ自分のアホ!)

奈緒「か、堪忍や!もがみん、じゃない最上さん、いや最上様!どうか御慈悲を!」

静香 ズルズル ズズー ゴクン  

静香「ご馳走様でした。
…さあ、行きましょうか」

奈緒「い、行くって?どこへ?」

静香「決まってるじゃないですか。

大阪です」

奈緒「な、なななななななんでやねーん!」

静香「なんでって…おうどん食べにですよ。美味しいんでしょう?関西のおうどん?」

奈緒(へ、変なスイッチ入っとるー!)

奈緒「そら美味いけど、その、ふーどやせーかつしゅーかんであじのこのみはかわるってばーちゃんが…」

静香「問題ありません。私は純粋に食べてみたいのです。黄金のうどんを…伝説のけつねうろんを…」

奈緒(うわーホンキやー。コレだから関東モンは怖いんや、冗談がつーじへん)

静香「ところで奈緒さん…そのおうどん食べないなら食べてあげますよ…」

奈緒「…」

PM 2:00 事務所

グリP「うーん…二人とも遅いなぁ…」

ピピピピピピピ…

グリP「おや、奈緒から着信…、もしもし、何してるの?早く次の現場に…って…はぁ…はぁ…はあ?!」

小鳥「どうかしたんですか?プロデューサーさん?」

グリP「だってお前…うん…うんうん、あー、わかった…わかったから泣くな…、静香に変われ、うん…、へ?大丈夫だから、いいから変われ、はよ!」

グリP「あーもしもし、最上さん?今何してるの?ふん、ふん、あーそれならしかたないねー、美味しそうだもんねー。
そうだ、関西の美味しいうどん食べたいなら新幹線降りてすぐの所に『具利益亭』っていうお店があるよー、ちょー有名で業界の著名人がくるお店だよー、今から予約取ってあげるから行ってきなさい。
…お礼なんかいいよー、いつも頑張ってる最上さんへのちょっとしたご褒美だよ…うん…うん…楽しんできてねー」  ピ







グリP「たかがうどんで、なんで仕事キャンセルしてまで大阪行くんだあの馬鹿!」

小鳥「ぴ、ぴよー!プロデューサーさんが、普段温厚なプロデューサーさんが怒ってらっしゃるぅ!」

グリP「カモーン!茜!」

小鳥「あ、茜ちゃんは今日オフですけれど…」

キューン ガチャ

茜「偶然だなー!たまたま事務所前を通りかかったたら、たまたまプロちゃんの声が聞こえてきたなー!もう、本当偶然だなー!なーにー?プロちゃーん、もしかしてもしかしたら茜ちゃんの事呼んだー?」

グリP「茜、今からここの現場に行ってなんとか三時間持たせてくれ。方法は警察沙汰にならなきゃ何だっていい…多少の事は俺が責任とる」

茜「お台場でトーク番組の収録…ってコレモガミンとナオナオのデュエット曲初披露の収録じゃん?」

グリP「そうだ…今日は二人の、本当に大事な日なんだ。必ず成功させたい。」

茜「こんな大事な収録あるのに二人ともどこ行っちゃったのさー」

グリP「…その事は後で教えるけど、どうだ?茜、できそうか?」

茜「さ、さすがの茜ちゃんもちょっとだけ、ほんのちょっとだけキビシーかなーって思うよ…ほんとちょっとだけど」

グリP「茜、このミッションは茜にしかできないんだ」

茜「あ、茜ちゃんだけ?」

グリP「そうだ、だから頼む!あのアホ二人を、いや…俺を…助けてくれ!」

茜「茜ちゃんにしか…。
も、もーしょーがないなー!ま、この天才美少女アイドル茜ちゃんに任せなさい!プロちゃん!大丈夫だよ!茜ちゃんがプロちゃんを助けてあげる!」

グリP「茜…ありがとう!終わったらパーティーしよう!プリンパーティーだ!」

茜「本当に?茜ちゃん、遂にホンキだしちゃうかもー!まっかせなさーい!じゃあ行ってきまーす!」

タタタタタタタタタタタタ


小鳥「あ、相変わらず女の子をその気にさせるのが上手い…あれ?プロデューサーさん、電話ですか?」



グリP「もしもーし、あ、いおりん?今時間大丈夫?」


PM 3:50  具利益亭 お座敷

静香「ズズズズー、ふぅ、結構なお手前でした」

奈緒「どや!これがホンマモンのけつねうろんやで!」
 
静香「ふふ、ふふふふ!」

奈緒「な、なんやねん?」

静香「甘い、甘いよけつねうろん!いや、関西うどん!」

静香「確かに上品で、洗練されつつもしっかりとした味わい。まさに庶民の味!」

奈緒「うん、うん、そやろ?」

静香「…だが日本じゃあ二番目だ」

奈緒「!?」

奈緒「な、なら一番は何やって言うんや?!」

静香「その答は…」


10分後 

タタタタタタタタ ガラララ

グリP「最上!奈緒!くそ!遅かったか!」

ピポパ

グリP「もしもし、奈緒、今どこにいるんだ?え?新幹線?
次は…ぐ、群馬だと?お、おい!もしもし!もしもーし!…切れた」

伊織「どう?いた?」

グリP「いや…あいつら今度は群馬に向かったそうだ…」

伊織「ぐ、ぐんまぁ?どうして?」

グリP「群馬にはアレがあるんだ…」

伊織「アレ…ってなによ?」

グリP「水沢うどんだ…」

お台場 某スタジオ

ピピピピピピピ…

茜「あ、プロちゃん!チョーちょうど良かった!やっぱり茜ちゃん少しだけ無理かなーって、だ、だって茜ちゃんみてスタジオのみんなポカーンてしてるよ!スタッフさん達もピリピリして茜ちゃんのセクシーパワーでもちょっとだけ効果無いみたいだし…へ?
さらに一時間遅れるぅ?
ちょ、ちょっと待ってよ!じゃあなに?この地獄の用なミッションをあと三時間やれと?ジョーダンいわないでよー、ありえなーい!茜ちゃんもう帰るー!

へ?な、何あらたまちゃって?は?あ、茜ちゃんが?プロちゃんにとって、必要…他でもない茜ちゃんだけが今、プロちゃんに、必要…なの?

し、しょーがないなー!茜ちゃん頑張っちゃうかー。大丈夫!大丈夫!大船に乗ったつもりで任せてよ!なんなら茜ちゃん分身シちゃうよ!大変だー!茜ちゃんの魅力が二倍でプロちゃんね危険がアブナーイ!ふふ!とにかく、茜ちゃんにおまかせー!」

水無瀬家 自家用ヘリ内

伊織「このスケコマシ!変態!あんたみんなにそうやって口説いてるんでしょ!」

グリP「口説いてるとか人聞きの悪い。俺はただただ本当の事を言ってるだけだよ」

伊織「そういうのを詭弁っていうのよ!」

グリP「とはいえ、さすがに空からだけでは無理かもな」パポペポ プルルルル

グリP「もしもし、天空橋様ですか?今お時間よろしいでしょうか?実は…」

伊織「あんたって敏腕プロデューサーなのかヘタレか本当にわかんないわよねー」

PM 6:00 群馬県 某所

奈緒「こ、これが、関東の…うどん…」

静香「…どうぞお試し下さい」

奈緒「な、なんや、もったいぶっちゃって、ただの天ぷらうどんやないかい!出汁もいつも通り真っ黒。もがみん…これが日本一やと…、笑わせるなや!」

静香「…どうぞ」

奈緒「う!」(な、なんや、この気迫?こんなもがみん今まで見たことない…一体何があるいうんや、この黒いうどんに…)

静香「…さあ」

奈緒「こ、これで納得出来なかったら今日使った電車賃返してな!」

ズルズル

奈緒「な、なんだと…」

奈緒「こ、コレが関東のうどんなんか?今まで食べた関東うどんと全然違う!いや、一緒は一緒なんや、でも、全然しょっぱくあらへん。むしろ甘いくらいや!味の根幹は多分一緒や、でも、これは一体…」

静香「奈緒さん…それは幾つか理由がありますが、まず、奈緒さんはうどんはきつねうどんしかたのみませんよね?」

奈緒「ああ、うどんいうたらけつねうろんや!それ以外選ぶのは邪道や!」

静香「そもそもそこが落とし穴なんですよ…」

奈緒「な、なんやて?」

静香「天ぷらを食べて見てください…そうすれば自ずと答えが出ます」

奈緒「天ぷら…やと?」サクサク

奈緒「あ、あああああ!そうか!そうやったんか!」

静香「そうなんです…関東うどんは出汁をそのまま飲むのでは無く」

奈緒「タレなんや!天ぷらを美味しく食べるタレやったんや!」

静香「そうです、そして天ぷらの油が出汁に広がり、濃い昆布出汁がマイルドになります」

奈緒「確かに関西にも天ぷらうどんはある…でもせいぜいエビ天一つか掻き揚げ一枚くらいで、この水沢うどんみたく沢山乗ってるわけやあらへん」

静香「むしろ、そんなに乗っていてはせっかく上品な出汁が油で濁ってしまいます」

奈緒「ズルズル ズズー ああ!美味い!美味い!関東うどん美味い!」

静香「良かった!気に入ってもらえて…」

奈緒「もがみん…関東うどんの事、誤解しとったわ…視野が狭かった。凄い…いい経験やったわ」

静香「こちらこそ、関西のけつねうろん、堪能させていただきました。」

奈緒「…でもな、もがみん。このうどんは確かに美味い!でも果たしてホンマに一番かな?」

静香「な、なんですって?」

奈緒「ホンマの日本一のうどんはな…」

ドタドタドタドタドタドタ

子豚一号「は、発見!天空橋様の同僚の方発見!」

子豚二号「よくやった一号!おい誰か!すぐに騎士団長に入電!時刻ヒトハチイチゴ、ターゲット確保!」

静香「な、なななんなの?」

奈緒「あ、あああああ!あかーん!しもたー!もがみん、あたしら午後から仕事なんやで!」

静香「仕事?


どうええええええ!」

パラパラパラパラパラパラパラパラパラ

子豚二号「おお早い!流石は天空橋様のプロデューサー殿!」

静香「プロデューサー…へ、ヘリまで」

子豚一号「最上さん、プロデューサー殿からお電話です…」

静香「も、もしもし…」

プロデューサー『…おいしかったかい?おうどん?』(変に優しい声)

午後7時 お台場 某スタジオ

司会ハマタ「で、キミいつまでそこにおるんや?」

茜「な、なんのことかなー?茜ちゃんわかんないなー?」

司会マッツン「もしかしてキミってアレ?業界初の腹パン系アイドルなん?」

ハマタ「アホか、腹パンアイドルはもうおるやろ?」

マッツン「でもこの子なんだか無理して無い感じやし、ナチュラル腹パンメーカー?」

茜「は、はははは (アーン、プロちゃん助けてー!)」

茜「ん?」(カンペ?)

茜「じ、じゃあさっそく歌の方に行きましょう」

ハマタ「アホ!それは俺のセリフや!」

マッツン「でもハマタくんさっき歌の練習しとったやん」

ハマタ「とっとといくで茜ちゃん!新曲のタイトルは?」

茜「た、たいとる?たい?」

ハマタ「タイもヒラメも関係あらへ、な、なんや地響きが」

ドドドドドドドドドドドド!

子豚の大群『ブヒヒヒイイイイイ!』

奈緒&静香『ひゃああああああ!』

マッツン「お、親方ー!豚から女の子が!」

ハマタ「やかまし!」パコーン

PM 9:00  765プロ

奈緒&静香「反省してます」

グリP「…」

静香「本当に…ごめんなさい」

奈緒「あ、あたしも、なんだか夢中で…ごめんなさい」

グリP「…俺はさ、この業界わりと長くいるけどさ、今日ほどショックを受けた日は無いかもしれんな」

奈緒(あかん!とってもおかんむりや!)

静(何をやってんだろ、私)

グリP「俺はさ、二人はもう打ち解けてるって思ってたんだ…
だから二人のデュエットソング作って御披露目は今日だったんだ」

グリP「でも違ってた、俺が間違いだった。二人が本当に打ち解けたのはあの午後からの数時間だったんだな…」

奈緒「へ?」

グリP「だから今日は本当に助かった…ありがとう」

静香「な?なんで?どうして?私達怒られるんじゃ…」

グリP「アイドルとして…」

静香「?」

グリP「アイドルとして、譲れない物の為に行動するのは正解じゃないかな…」

グリP「今回みたいな時間調整は俺や小鳥さんや、ウチにはいないけどマネージャーの仕事だ、だからそれはお咎め無しだ…。
だけどきっとこの先、アイドルとして活動するに従って、きっと納得出来ない事、理解出来ない事がある。
コレは言葉では伝えられないし、大人になるに従って薄れていく感情だ。『青さ』ともいうかな?」

静香「青さ…」

グリP「話を戻すけど、今日の朝の二人と今の二人…もう別人だよ…なんとなくだけどわかんだよ。
関係っていうか、距離感がさ…違うんだ。だから収録みてたらなんだか申し訳ないような、嬉しいような感情がでてきて…、ま、今日はとっても良かったです!またよろしくお願いします!
ハイ!ミーティング終了!」

奈緒&静香『ふ、ふええええ…』

グリP「あとそれから…」

奈緒&静香『は、ハイ!』

グリP「今度から俺も一緒にメシ喰うから…いいな?」

奈緒&静香『…はい』

PM9:30

グリP「つかれた」

グリP「でも、本当に良かったな…プロデューサー冥利につきるわ」プルルルルプルルルル

グリP「もがみんだ…。
もしもーし、うん、うん?は?今から…明日じゃいかんのか?店に間に合わないだろ?え?奈緒の婆ちゃん?ほう…わかった…じゃあ今から行こうか、



…奈緒の実家へ」

おしまい

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