【学マス】星南「あー、あー」 (18)

星南「20XX年◯☓月■□日」

星南「今日から日記を口述形式で録音することにした」

星南「理由はストレッチをしながらできること。あとは単純に書くよりも時間がかからないこと」

星南「文字起こしすれば文字のデータとしても残せる。使い勝手がどうか…しばらく試してみることにするわ」

星南「えーと…」

星南「…今日はプロデューサーからのスカウトを受けた」

星南「調べたところプロデューサー科の中でも有望な人物らしい」

星南「もっとも、そうでなければこの私のことをスカウトしようだなんて思わないだろうけれど」

星南「幼少時からエリート教育を受けて、一番星を獲得したアイドルに対して、臆することなく話していて」

星南「私の眼からも優秀な人物のように見えた」

星南「だから、素直に今後はプロデュース活動に力を入れる方針であることを話した」

星南「つまり、卒業後はプロデューサーとなり」

星南「トップアイドルを目指すことはしない、と」


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星南「多少驚いた様子だったけれど、私の話をしっかり聞いたうえで、そしてしっかりと痛い部分を反論してきた」

星南「口が上手かった。プロデューサーって、そういうものなのかしら?」

星南「断るつもりでいたのだけど、しばらく迷ってから」

星南「結局、私は彼のスカウトを受けることに決めた」

星南「もちろん、彼の言葉に触発されたということはあるけれど」

星南「現実的な話として、彼の話は私にメリットが多いと考えた」

星南「何れに転んだとしても、プロデューサー科のノウハウを得る絶好の機会」

星南「利用するだなんて気は毛頭ないけれど、お互いに有益な関係となれればと思う」

入れ忘れた
星南「今後の彼からのプロデュースが楽しみだ」

星南「20XX年◯☓月■☓日」

星南「プロデューサーとはじめてのミーティングを行った」

星南「彼は現状を正しく認識し、私の実力のことも理解しているようで、ひとまず安心した」

星南「…仮にもプロデューサーの先輩に対してこうした表現をするのは少し傲慢かしら?」

星南「まあいいわ。ともかく、私の能力【スキル】を説明して、私のVo、Da、Viのパラメータ値が一年前に限界へと達したことを伝えた」

星南「事実、私の実力は一番星となったあの日からまるで変わっていない」

星南「つまり学園一が私の限界だったということで」

星南「さらに上の世界の、トップアイドルへと達する見込みはないことを伝えた」

星南「私の成長限界に対して、彼がどうアプローチをとるか、私はワクワクしながら話を促した」

星南「彼は一瞬変な表情をしていたけれど」

星南「彼の話は理路整然としていて、さらに、私の理解の上に話を組み立ててくれたので、とても呑み込みやすかった」

星南「のだけど…ふうん…視えない数値、ね」

星南「何の指標もなく、手探りのまま進む…」

星南「…」

星南「…とにかく、彼は私にはない視点で新しい道筋を照らしてくれた」

星南「今のところ期待通りのプロデュースをしてくれている」

星南「話の進め方がとても参考になる。プロデューサー科で習うのだろうか?」

星南「…」

星南「彼のように話せれば、ことねも振り向いてくれるのかしら…?」

星南「なんてね、ふふ…」

冒頭の注意を忘れた
基本的に親愛コミュをなぞってるのでネタバレ注意

星南「20XX年◯☓月■◯日」

星南「私はプロデューサーのことが嫌い」

星南「嫌い。嫌い。大ッ嫌いだわ!」

星南「はあ…はあ…」

星南「…」

星南「本日、プロデューサーから動画配信の提案を受ける」

星南「内容は新入生との対談企画。話にあった手探りのアプローチの一つとのこと」

星南「そういうことならと、私は、最推しの藤田ことねをスカウトすることに決めた」

星南「当然だが、彼女に対するプロデューサーからの評価も高いようで、我が事のように嬉しくなった」

星南「でも、うまくいかず、いつものように逃げられてしまった」

星南「最近はそういうところも可愛いと思い始めている」

星南「そんな私に…プロデューサー、は…お手本、を…」

星南「はあっ…はあっ」

星南「…うっ!!」

星南「心臓が冷えて…あたまがくらくらする…」

星南「これは一体…?」

星南「ことねのあんな顔、はじめて見た…あれが本物のプロデューサーの手腕…」

星南「…ぐすっ」

星南「…」

星南「先輩のバカ!!」

星南「20XX年◯☓月◯□日」

星南「プロデューサーの本性は意地の悪い人だった」

星南「ひどいわ」

星南「…いえ、もちろん、プロデュース方針として正しいことをしているのはわかってるわ」

星南「でも、他にやり方があるでしょう!?」

星南「配信で…あ、あんな不意打ちをして…ファンのみんなに醜態を晒して!!」

星南「ミステリアスな私のイメージが!!」

星南「それにッ!!それに、私の…私の能力【スキル】のことだって!!幻覚とかなんとか!!そんなふうに思ってたの!?」

星南「もう!!もうッ!!」

星南「…」

星南「…まあ、ことねと仲良くなれたのは、喜ばしいけれども」

星南「…はあ」

星南「…」

星南「彼は私がどんなに睨んでも、どこか面白がっている様子だった」

星南「…もしかして、それが彼の本性だろうか?やっぱり彼は意地悪なのだろうか?私のことをからかっているのだろうか?」

星南「…いえ、そうじゃないのは、わかっているけれど!」

星南「…」

星南「またしても…痛いところを突かれた…」

星南「…」

星南「一番星であること。それは私の誇り」

星南「この学園で、誰しもが憧れ、目標とする存在」

星南「…幼い頃から見続けてきたいとしい星々が、瞳を輝かして見つめる偶像」

星南「…」

星南「無様な格好なんて、見せたくない」

星南「私はこの学園が好き。ここにいるアイドルたちのことが大好き」

星南「そんなみんなに、学園外の格上との勝てない勝負に挑んで、負ける姿を見せたくなかった…」

星南「…臆病者と言われても言い返せない。ええ、わかっているわ。そんな人間が、一番星にふさわしくないことなんて、百も承知よ」

星南「…」

星南「…〜ッ」

星南「やるわ…やってみせるわよ…!」

星南「ええ、なんだってするわよ!」

星南「今までの十王星南の偶像を壊して!新しい十王星南になってみせるんだから!!」

星南「…もう!本当に、嫌なプロデューサー!」

星南「バカ!カバ!!」

星南「ああもう…まったく…」

星南「…腹の立つ、先輩」

星南「20XX年☓◯月☓□日」

星南「…」

星南「今日は、ええと…お出かけをした」

星南「…」

星南「折角の機会なので…先輩のことを観察していると、露骨に不審がられた」

星南「プロデュースの秘訣を得るためだと正直に話すと微妙そうな表情を浮かべていて、少し面白かった」

星南「どうやら可愛いところもあるようだ」

星南「…」

星南「なおも観察を続けていると居心地が悪そうにしていた」

星南「それでも強いてやめさせようとしないあたり、彼は人が好い」

星南「だいたい、彼は私がプロデューサー志望であることを否定しないし、アドバイスのようなものすら言ってくれる」

星南「彼の立場からすればアイドルの私だけが必要だというのに」

星南「…」

星南「でも、そうね」

星南「…」

星南「…正直にいえば、私にはプロデューサーとしての資質が誰よりもあると考えていた」

星南「視る能力だってあるし、アイドルであることもアドバンテージで…客観的に見て優秀といえる」

星南「でも、腹立たしいことに、私の優秀なプロデューサーがそれを否定した」

星南「それだけではダメだということを、身をもって教えてくれた」

星南「彼のおかげで今、私の歩みは前へと進めているのだから、認めざるを得ない」

星南「…」

星南「プロデューサーは…」

星南「ええと…なんて言ったらいいのかしら…」

星南「…」

星南「…彼はまだ学んでいる最中で」

星南「だから…これからもっと、すごいプロデューサーへと成長していくに違いない…」

星南「…」

星南「最近、よく考え事をする」

星南「幼い頃から魅了され、愛してきた」

星南「…私が最初になろうとした、アイドル」

星南「…」

星南「苦しくても、楽しかった、あの頃のこと」

星南「…」

星南「私が歩みを止めていた間にもきっと」

星南「彼はそのことをずっと考え続けていたのだろう」

星南「…」

星南「20XX年☓△月☓☓日」

星南「…」

星南「ここしばらくで、私は多くのことに挑んで新しい姿をファンの子達に見せた」

星南「好意的な意見もあり…否定的な意見もある」

星南「私はそれらすべてを受け入れる。私が一番星であるために、彼女たちの憧れる偶像であるために」

星南「…」

星南「今度、トップアイドルの方々との対決の場がある」

星南「そこで、私がトップアイドル足り得る器であることを、はっきりさせる」

星南「そうしてから、ファンのみんなに、大切なことを伝える」

星南「ずっと、恥ずかしくて言えなかったことを」

星南「…」

星南「胸を張って、私のことを、目指していいんだって…」

星南「…」

星南「私は、明らかに格下」

星南「私には才能がなくて、それがはっきりと数値として視えている」

星南「でも、証明してみせる」

星南「私の信じた、アイドルの輝きを」

星南「みんなが信じる私でいるために、もがき続ける」

星南「私がなりたい私のために」

星南「勝ち目が薄くたって、かまわない」

星南「それが一番星としての、私の誇り」

星南「…で、ありたい、という、か」

星南「…怖いのは、変わりない、けれど」

星南「…」

星南「…でも…負けても、一蓮托生となってくれる人が、いるものね」

星南「ふふっ…勉強になるわね…先輩」

星南「…」

星南「20XX年☓△月◯◯日」

星南「今日は日差しが朗らかでとても気持ち良かった」

星南「あんまりにものどかな天気に美鈴が気持ちよさそうに寝ていたので、起こすことをためらった…」

星南「…」

星南「これまでずっと続けてきたこの日記の形式なのだけど…最近聴き返すと言うか、文字起こしを読み返してみると、少し感情のままになっている部分があって…書く形式に戻すことを検討している」

星南「今日のところはこの形式で録るけれど…今日は、ええと…」

星南「…」

星南「プロデューサーがライブの成功を労ってくれた」

星南「そもそも本来は休日だったのだけれど、私のわずかな浮かない声に気がついて様子を見に来たらしい」

星南「それどころか、心配事の内容についてもプロデューサーが解決を請け負って安心させてくれたのだから、まだまだ学ぶことが多い」

星南「ま、彼ほどのプロデューサーにしてみれば、当然のケアなのだけど」

星南「ふん」

星南「…ライブが成功しても気がかりなことは減らず」

星南「私の苦しい道はまだまだ続く」

星南「それでも目指すべき道は、はっきりした」

星南「予定はだいぶ狂ってしまったけれど」

星南「彼にちゃんと宣戦布告もできたし…ふふん、ふふふ」

星南「プロデューサーのあのときの顔ときたらねえ、もう…ふふっ…♪」

星南「…」

星南「でも、まあ。先のこともいいけれど、まずは目の前のこと」

星南「諦めかけていた道の先を、ちゃんと歩いていきましょう」

星南「…」

星南「私と彼が愛するアイドルのために」

星南「しっかりと前を向いて、歩いていかないとね」

終わり
こういうキャラできたか
可愛い
アノマリーは感覚でやってる

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