ジャムおじさん「今月も赤字か・・・」 (21)
バタコ「宣伝のつもりでパトロールさせていたのに、アンパンマンの顔を食べて満足しちゃうお客さんが多いみたいね」
ジャム「うーん・・・バタコ、こうなったらアンパンマンの顔を有料化するよ!」
バタコ「はい!」
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***
カバオ「わーん!」
アンパン「どうしたんだい?」
カバオ「あ、アンパンマン! ボク、お腹すいちゃって動けないんだ!」
アンパン「それは可哀想に・・・。もしよかったら僕の顔をお食べ」
カバオ「ありがとうアンパンマン!」
アンパン「あ、ちょっとその前に・・・」
カバオ「え・・・?」
アンパン「言いにくいんだけど、お金もらわないと・・・」
カバオ「え、お金とるの?! 今ボク手持ちないんだけど」
アンパン「そっか、ごめんね・・・。じゃあまた、お金あるときによろしくね」ヒューン
カバオ「・・・」
カバオ「わーん! お腹すいたよー!」
***
アンパン「いや、やっぱりやめましょうよこんなの! 子どもたちが可哀想ですよ!」
カレー「食べさせてもらえると思ってた子が目の光を失う瞬間、最近毎日夢に見てんだぜ?!」
ジャム「そんなこと言ったって工場の経営も苦しいからねぇ・・・ホラ」ピラッ
食パン「うわ、こんなに酷かったんですか・・・」
バタコ「このままだとパン工場、差し押さえになっちゃうわよ」
メロン「チーズもこんなにやせ細って可哀想に・・・」
チーズ「くぅ~ん・・・」
カレー「ならせめて後で親に請求するとかでいいじゃねえかよ・・・」
ジャム「その場でもらっておかないと、カバオくんの親とかがごねるんだよ」
食パン「めんどくさい親ですね・・・」
アンパン「なら流行りのサブスクとかどうでしょうか? 月額を予めもらっておいて欲しいだけ食べてもらうとか」
ジャム「おお! バタコ、その案を採用するよ!」
バタコ「はい!」
***
カバオ「あ、アンパンマンだ!」
ちびぞう「おーいアンパンマン! 顔を食べさせてー!」
アンパン「やあカバオくんにちびぞうくん! 君たちはプレミアム工場会員だね! 好きなだけお食べ!」
カバオ「わーい!」
ウサ子「・・・」
アンパン「ごめんね、ウサ子ちゃん。君はプレミアム会員じゃないから、僕からあげられないんだ・・・」
ウサ子「・・・」
カバオ「わー! おいしいなぁ!」
ちびぞう「お腹すいてたから助かったよ!」
アンパン「あの、ホントは規約違反なんだけどさ・・・。君たちが取った分から少し分けてあげたらどうかなぁって・・・」
カバオ「やだよ! これは全部ボクが食べるんだから!」
ちびぞう「お金払ってない奴も食べられるなら、払ってるボクらの親がバカみたいじゃないか!」
ウサ子「うわーん!」
アンパン「・・・」
***
アンパン「あの、最悪ないじめが発生するんですが・・・」
ジャム「ウサ子ちゃんの親には、何度もしつこく加入するように勧めているんだけど、なかなか入ってくれないんだ」
カレー「なにせ今まで無料だったからなぁ・・・」
食パン「月額が高すぎるんじゃないですか? もうちょっと価格を抑えれば・・・」
バタコ「安くしすぎるとまた赤字よ?」
メロン「あたしのマントも質に入れられちゃったし・・・」
アンパン「じゃあ会員もランク分けしましょうよ。基本料金なら皮の部分だけ食べられるとか・・・」
ジャム「それはいい考えだ! バタコ、プレミアム工場会員にエッセンシャルとエクストラを追加するよ!」
バタコ「はい!」
***
カバオ「おーい、アンパンマーン!」
アンパン「やぁカバオくんたち! 僕の顔を食べるかい?」
ウサ子「うん!」
ちびぞう「でもボクらみんなエッセンシャル会員だから、皮の部分だけなんだ!」
アンパン「そ、そうなんだ・・・。皮だけでも、たくさんお食べ」
カバオ「いただきまーす! 美味しそうなアンパンの皮だー!」
アンパン「・・・」
***
アンパン「僕のアイデンティティが失われていくんですが・・・」
メロン「アンパンマンの顔、アンコしか残ってないわね・・・」
ジャム「こうも皆エッセンシャル会員になるとは・・・」
バタコ「しかも基本料金を抑えたから赤字になっちゃったわ」
カレー「もうこんなパン工場畳んじまおうぜ」
ジャム「でも先祖代々受け継いできた工場を閉めるのはしのびないし・・・」
メロン「最近のチーズ、アバラが浮いて見えるじゃないの」
チーズ「くぅ~ん・・・」
食パン「というか、パトロールとかサブスクとかはやめて、普通に街でパン売るだけじゃだめなんですか?」
アンパン「僕もそれがいいような気がしてきました。パトロールしなくてもいいよう、バイキンマンには自粛するように話つけてきますよ」
カレー「必要な分だけ作ればそんなに大きく赤字になることもねぇだろ」
バタコ「もう一度不必要なコストがかかってないか調べてみましょう」
メロン「ねぇ、このカーメンテナンス費、異常じゃない?」
アンパン「確かに。パンの原料費とかめちゃくちゃ安いじゃないですか」
バタコ「もうパトロールしないなら、手放しちゃってもいいのかも」
ジャム「だ、だめだ! アンパンマン号は私の生きがいなんだ!」
カレー「パン売るのに兵器のついた車なんかいらねえだろ。」
食パン「今、バイキンマンに電話で聞いたら、アンパンマン号なら高値で買い取ってくれるそうですよ」
ジャム「いやだ! 私の愛車だ! 今度新しいマフラーをつけるつもりなんだ!」
バタコ「これで工場の存続はなんとかなりそうね」
ジャム「頼むバタコ! あああああああああ!」
アンパン「よかったよかった」
完
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