安価とAIで岸辺露伴は動かない (58)
何番煎じか分かりませんが、AIを利用して安価SSをやるというスレです
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朗らかな日差しの中、会社勤めのサラリーマンや大学に通う学生も、主婦たちも昼下がりの町を和やかに歩いている。
ランチタイムによる客波も引いてきたカフェテリア『カフェ・ドゥ・マゴ』の店内、そのテラス席に一人の男が座っていた。
彼の名前は岸部露伴。若くして『ピンクダークの少年』で名声を獲得した漫画家である。そんな彼は、現在担当編集者と向かい合って座っていた。
露伴が週刊誌で連載するマンガの打ち合わせついでに昼食をとっていたのである。
「露伴先生、これ見てくださいよ!」
「何だいそれは……?下らないものじゃあないだろうな」
担当編集者である泉京香の手にはタブレットが握られており、画面には一つの絵が表示されていた。それは、とても奇妙で不気味で、不可解なイラストであった。
その絵は一体どんなイラスト?下1
無数のアルファベットが書かれた四人人の男女の絵であり、体の至る所にアルファベットが刻まれている。男二人、女二人が向かい合った状態で椅子に縛られており、彼らのアルファベットは血で書かれているようにも見えた。
「露伴先生にはどう見えてますか?」
「どう……だって?全身にアルファベットが書かれた四人の男女が、椅子に縛り付けられている……としか言いようがないな」
泉の問いに、露伴は奇妙な感覚を抱きながら答えた。そもそもこのイラストがどう見えるかなど、そんな事を聞いて一体どうするのか。疑問に思いながらも露伴は答える。
すると、担当編集はその答えに満足したかのように何度も頷きながら画面をスクロールして見せた。その記事のタイトルは「不可思議!見る者によって全く異なるものに見える謎のイラスト」というものだ。
ということは、泉には露伴と全く違うものが見えているのだろう。
泉にはその絵がどう見えているか?下1
「これ、私には儚げな雰囲気の美少女の絵に見えてるんです」
「おいおいおいおい。何を言い出すかと思えば……君はいよいよ仕事に疲れ果てておかしくなってしまったようだな」
「でもね、露伴先生。この絵、いろんな人に聞いてみたらどう見えるか変わったんですよ!」
そう言って泉はタブレットを操作すると、ネット上でアンケートを取ったというまとめサイトを表示した。そこには様々な答えが寄せられているらしい。
曰く、天使が降臨しているように見える。曰く、無数の猫が戯れているように見える。曰く、首をつっている男性に見える。曰く、SF映画で出てくる未来のロボットに見える。
確かに、この世界にはトリックアートと言うものが存在する。それは見方によっては美女に見えたり老婆に見えたり、壺に見えたり向かい合っている男女に見えたり。
だが、この絵はトリックアートという概念を超えてしまっていて、見る人によって全く違う見え方になるのだ。
「……こいつは何処にあるんだ?」
「とある町の廃屋にいきなり現れたそうなんですよ。それはもう突然に!」
興味深いと思いながら、露伴はタブレットを泉から取り上げてその絵が何処に存在するのかをメモした。そして、そのままタブレットを操作していくと、第一発見者のインタビューが出て来る。
それによると、このイラストは取り壊される廃屋の壁に突如として現れたという。ほんの少し、短時間目を離した間にだ。まるで、初めからそこに描かれていたかのように。
その発見者がほんの少し、本の数秒目を離したすきにこのような絵を描き上げるなど、普通に考えたら無理に決まっている。
「それにその絵……消そうとしても消えないんですよ」
「消そうとしても消えない……ねぇ。それは面白そうじゃあないか」
泉の話を話半分に効きながら更にタブレットを操作していくと、更に衝撃的な事実が書かれている記事を見付けた。
どうやらその廃屋はとある事情により取り壊しがストップしてしまっているようで、取り壊しが再開される目途はまるで立っていないという。
何故取り壊しがストップしているのか?下1
なんでも、廃屋の下にかなり大きめの不爆弾があることが分かり、処理と万が一爆発したときのために住民を避難させているのだ。
そんな記事を読み終えた露伴は、満足気に目を細めるとタブレットをテーブルに置いた。
「不自然だな……」
「何がですか?」
「この絵のある町は他の町と比べてしまえば、何のとりえもない小さな町としか言いようがない。確かに日本で不発弾は年に何個か出るというが、ほらこれを見てみなよ」
そう言って露伴が泉に見せたのはとあるSNSのユーザー達の呟きであった。「不発弾なんて話きいてねーよ」や「いや、避難とか別に指示されてないんだが……」等というつぶやきが並んでいる。
そもそも不発弾が見つかったのならばニュースになっているはずだ。だが、その町で見つかった不発弾の情報は一切なく、重さやどのくらいの住民が避難対象となったのか等の情報すらない。
町の人口は多くはないが、たとえ小さな町で不発弾が発見されれば全国ニュースになるはずだし、そうなれば町の住民たちだって知っていることだろう。
「僕としては不発弾の有無も、取り壊しが止まっている理由もどうでもいいが、この絵自体に非常に興味がある。取り壊されてしまう前に是非とも生で見ておきたいものだ」
露伴はそう言いながら席を立つと、会計を済ませて店を出て行ってしまう。残された泉は、しばらくの間唖然として彼を見つめるのだった。
それから数時間後、露伴はその絵があるという廃奥の近くまで来ていた。その廃屋は取り壊されておらず、しっかりとした形でそこに在る。
「不発弾が見つかったという割には……随分と杜撰な管理だな。これでは誰でも簡単に入り込めるじゃないか」
露伴はそう言いながら、躊躇なく扉を開いて中に入っていく。屋内には家具などは一切置いておらず、床にはうっすらと埃が積もっていた。
しかし、埃を踏み荒らした形跡が至るところにあり、何者かがこの建物の中に足を踏み入れたことが分かる。床をよく観察してみると、ごく最近誰かが歩いたような跡があった。恐らくは例の絵を見に来た野次馬のモノだろう。
「やけに落書きが多が……例の絵は何処だ?」
露伴は慎重に足を進めながら廃屋の奥へと進んでいくが、壁には例の絵以外にも不気味な落書きがいくつも描かれていた。どれも奇妙で不可思議な絵ばかりである。
一つの部屋に入り、そこを徹底的に調べていく露伴。やがて彼はついに例の絵が描かれている部屋までやってくると、静かに扉を開けた。
その部屋の中は廊下以上に異様な雰囲気を醸し出しており、露伴は知らず息を飲む。
「これが例の絵か……随分と精巧に描かれているが、このアルファベットは血か?いや、違うようだが……これは一体なんだ」
無数のアルファベットが書かれた四人の男女の絵を近くで調べ始める露伴。その絵はどこまでも精巧に描かれており、露伴の目にはその絵が本物の人間に見えた。
全身にびっしりと文字が刻まれている彼らの顔はやはり仮面で隠されており、その面にもアルファベットが書かれている。
すると、何処からか物音が聞こえてくる。露伴はその物音の出どころを探るべく視線を部屋のあちこちに向けるが、何もいない。
恐らく別の部屋からの音だろうと判断すると、音の正体を探るべくその場を離れる。
「音はこの部屋の中から聞こえたようだが……」
しばらく音の出どころを探っていると、ようやく音の出所を見つけた露伴は扉を開けてその部屋の中へと入っていった。そして、その音はベッドの方から聞こえていたということが分かり、露伴はゆっくりとそちらへと歩み寄っていく。
そこには目隠しをした状態の男が震えているのだが、拘束されている訳ではないので、目隠しを外そうと思えば外せるはず。だが、何故か男はその状態でベッドの上らガタガタと震えていた。
「ひぃ……だ、誰なんですか一体!?誰かそこに居るんですか!?」
「落ち着け、僕は漫画家の岸部露伴だ。それよりも、君は一体何者で何故ここにいるんだ。何故目隠しをしている?」
謎の男が目隠しをしている理由は?下1
「あの絵を絶対に見たくないからに決まっているでしょう!?それくらい言わなくてもわかるはずだ!」
どうやら男はあの絵を恐れているようだが、何故この男はあの絵を絶対に見たくないのに、わざわざこんなところにやってきたのだろうか。
服装は一般的な私服なので、外見からは男の職業が判然としない
「あの絵を見たくないだって?いったい何故だ。あの絵について何か知っているのか?」
「煩い!放っておいてくれ!い、いや待て……アンタまさかあの絵の実物を見てしまったなんてことはないだろうな?」
「見たが、それが一体何だって言うんだ?そこまで言われちゃあ気になってきたぞ……ヘブンズ・ドアー!」
露伴は男にヘブンズ・ドアーを使う。瞬間、男の体から力が抜けて床へと倒れ込んでしまう。露伴はそのまま本にしてみると、そこには情報が書かれていた。
どうやらこの男の名前は片岡茂、年齢は18歳であるようだ。彼がここを訪れたのはSNSで絵が話題になっていたからであり、友人たちとその絵を見に来たらしい。
(友人と見に来たか……だが、この男以外に人は居なかったぞ)
そう思いながら、露伴は男から更に情報を読み取っていく。あの絵に関する事ならば何でもいいから手に入れておきたかった。
すると、次は彼の友人に関する情報が浮かんでくる。その友人は三人いたようだが、その全員が消えてしまったのだ。
友人三人が消えてしまった理由とは?下1
「逃げたか……いや、単に逃げただけならば消えたと表現するか?それに絵から声だって?」
露伴は絵の存在に関して段々と興味を持ち始めた。言葉では言い表せないか何かがあの絵にはあるのかもしれないと、彼は無意識の内に考えていたようだ。
露伴が更に情報を読み取ろうとページをめくっていくが、次の瞬間には何処からか声が響いてきた。今この建物に居るのは露伴とこの男の二人だけ、だがこの声は男の者では無い。
ならば他に誰かが入って来たのかと思ったが、その声は到底人のモノとは思えず、地の底から響いてくるような声だ。
やがて、ミシミシと不気味な音を立てて壁や床が軋み始め、天井からはパラパラと埃が落ち始める。それはほんの小さな異常に過ぎなかったのだが、明らかにナニかが存在していることは明らかであった。
一先ず男の情報を読むのを中断した露伴は、慎重に周囲を伺いながら絵が置いてある部屋に向かおうと扉を開く。
「あぁぁぁぁぁぁぁ!?目隠しが……目隠しが外れて!?な、なんで……早く目隠しをしなければ!?」
「おい、たかが目隠しが取れたくらいで何をそこまで怯えているんだ」
ヘブンズ・ドアーで男から情報を得る際に、目隠しが邪魔になってしまったので外していたのだが、取れただけでここまで怯えるということがあるだろうか。
露伴はそう思いながらも男を見ると、彼は震える手で何とか目隠しを元通りにしようとするが、上手くいかないようである。
「だから、何故目隠しを───」
「う、うるさい!!お前も消えたくなかったら、早く目隠しをしろ!」
男は露伴に怒鳴りつけながらも、震える手で目隠しを再び付けなおそうとしていたのだが、上手くいかない。
露伴はこの男を放っておいて、先程の絵があった部屋へと戻るべきか、それとも再びヘブンズ・ドアーで男の情報を見るべきか迷っていた。
すると、先程までぶつくさと何事かを呟いていた男の声が突然止んだのだ。露伴はふと気になり振り返ると、先程までベッドの上にいたハズの男が忽然と姿を消していた。
「どう言う事だ……?この部屋から出る扉は一つしかない。それに、隠れる場所だってないハズだ」
露伴は不思議に思いながらも、周囲をくまなく探してみるが男の姿は無かった。だが、ふと天井を見てみると、そこには今まで無かったハズの落書きがあったのだ。
天井に突如現れた落書きはどんな絵か?下1
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