マスオ「激突!!!」 (30)

マスオ「……」

サザエ「……」

マスオ「えぇ?」

マスオ「さ、サザエ…いくらなんでもそれは失礼なんじゃないか?」

サザエ「失礼もなにも事実よ」

マスオ「え…」

サザエ「貴方こそ父さんが死んだことを忘れたのかしら?」

マスオ「じゅ、十五年前に死んだって一体どういうことなんだい…」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1686672696

サザエ「さっ、お夕食の用意しなくっちゃ」

スタスタ

マスオ「サザエはなにを言っているんだろう…」

マスオ「カツオくんやワカメちゃんに聞いてみよう」

マスオ「お~い!カツオくん、ワカメちゃん!」

2人の部屋に向かい声をかけるが返事はない

マスオ「…2人共出かけてるのかな」

タラオ「パパァ」

マスオ「やぁ、タラちゃんじゃないか」

マスオ「おじいちゃんは見なかったかい?」

タラオ「死んだおじいちゃんのことですかぁ!」

マスオ「!?」

タラオ「プークスクス」

マスオ「た、タラちゃん…」

タラオ「おじいちゃんは死んだですぅー死んだんですぅ!」

マスオ「クソガキ!!」

さすがのマスオも怒りが爆発し

タラちゃんの頬を叩いた

パチンッ

タラオ「ぶばっ」

マスオ「おじいちゃんに向ってなんて事を言うんだ!!!」

タラオ「うぁぁ~~ん」

マスオ「ハァ…ハァ…ご、ごめんよタラちゃん」

タッタッタ

サザエ「タラちゃん!」

ドンッ

サザエはマスオを突き飛ばしタラオを抱き上げる

マスオ「ぷぎゃっ」

あまりの押しの強さに尻餅をつくマスオ

タラオ「パパが僕の頭を殴って床に叩き付けたですぅ…うああああ」

マスオ「そ、そこまでしてないよ!」

サザエ「…ギロッ」

マスオ「ヒッ…し、信じてくれぇサザエ…僕はちょっと頬を叩いただけなんだぁ…」

サザエ「タラちゃん、ちょっと向こうに行ってなさい」

タラオ「分かったですぅ」

タッタッタ

マスオ「………」

サザエ「貴方、仕事のストレスが溜まってるからって子供に手を上げることはないんじゃないのかしら?」

サザエ「何時かは貴方も家庭内暴力を振るうとは想っていたけど…」

マスオ「な、なにを言ってるんだいサザエ!?」

マスオ「僕は躾としてタラちゃんを叩いただけさ」

サザエ「貴方のは躾じゃなくて暴力よ!」

パチンッ

マスオ「うっ…うぅっ…」

サザエ「お父さんが死んだ事も忘れてるし…どうかしてるんじゃないの?」

パチンッパチンッパチンッパチンッ

マスオ「痛い!!痛い!!」

マスオ(お父さんが死んだって…なにを言ってるんだサザエは…)

サザエ「そんなに仕事が辛いなら辞めなさい」

スタスタ

なんと辛辣な一言だ

辞めてやろうと何度も思ったが
家族のために踏みとどまったマスオ

タラちゃんの将来のため、そしてサザエのため
僕はこれまでどんなに辛い時でも仕事を頑張ってきた
7時30分出勤、23時に退社

マスオは頭の中を整理するためある人物に頼ることにした

マスオ「もしもし…あぁ、僕だけど今夜どうかな?」

(居酒屋)

アナゴ「最近、新しく出来た居酒屋なんだぁ」

アナゴ「フグ田くぅーんが気に入ってくれるかは分からないけどね」

マスオ「すまないアナゴくん…いきなり呼び出したりなんかして」

アナゴ「そんなにかしこまってどうしたんだい?」

アナゴ「いきなり呼び出すなんて構わないさぁ、君と僕の仲じゃないか」

マスオ「ちょっと、サザエの頭がおかしくなって…」

アナゴ「サザエさんの?」

マスオ「そうなんだ…お父さんは15年も前に死んだとか…」

アナゴ「ハーッハッハッ…それはちょっと冗談が過ぎるんじゃないか?」

アナゴ「サザエさんもきっと君を喜ばせるために冗談で言ったんだろうね」

マスオ「冗談でお父さんを殺したりはしないよ…」

アナゴ「すまない、フグ田くぅーん…」

マスオ「いや、いいんだ…」

グビグビッ

ウーロン茶を一気飲みし今日の出来事を忘れようとする

アナゴ「そうさ、嫌なことは飲んで忘れるのが一番さ」

マスオ「でも…それじゃ前に進めない気がするんだ…」

アナゴ「やれやれ、君は真面目だなフグ田くん」

アナゴ「僕にもなにか手伝えることがあればいつでも言ってくれよぉ」

マスオ「ありがとう…アナゴくん」

マスオ「そうそう、そのミスでこの間上司に怒られちゃってね~」

アナゴ「その経験も後に生きてくるもんさぁ」

マスオ「勤務時間も長すぎてゆっくり出来る時間がないよ」

アナゴ「それはお互い様さフグ田くぅーん」

アナゴ「休みの日があっても家内に全部吸い取られてしまうからね」

マスオ「アナゴくんも複雑な所だね」

アナゴ「だから、まともなサザエさんが羨ましく思えるよ」

マスオ「そうかな…」

アナゴ「ところでフグ田くん、話は変わるけどタイムトラベルって知ってるかい?」

マスオ(変わりすぎなんじゃないかな…)

マスオ「僕、タイムマシンとかは信じない派だから…」

アナゴ「まあそう言わずにちょっとだけでもいいから聞いてくれよ~」

マスオ「………」

アナゴ「実は、タイムマシンをもらったんだよ」ヒソヒソッ

マスオ「えぇー!?タイムマシンをもらったのかい!?」

アナゴ「シーッ…声が大きい」

マスオ「ご、ごめん」

アナゴ「これがタイムマシンさ」

ゴトッ

机の上に出されたのは小さな埴輪だ

マスオ「こ、これがタイムマシンなのかい…?」

アナゴ「正真正銘本物のタイムマシンさ」

マスオ(働きすぎてイカれたのか、くちびるおばけ)

アナゴ「これを100万で買ってくれないか?」

マスオ「……は?何言ってんだくちびるおば、アナゴくん」

アナゴ「お金が足りなければ分割で払うのも可能さぁ~」

アナゴ「ホントに足りない時なんかは臓器かなにかを…」

マスオ「ま、待ってくれアナゴくん!」

アナゴ「急に慌ててどうしたんだい?」

マスオ「話が変わりすぎじゃないか…?僕はただ君と一緒に話がしたくて今日は会ったのに…」

マスオ「これじゃまるでセールスマンじゃないか…」

アナゴ「…………」

チッ

聞こえるか聞こえないぐらいの音で

アナゴくんが僕に対して舌打ちをしたかのように聞こえた

アナゴ「そうかいフグ田くん、じゃあお勘定は全て君に任せるよ」

マスオ「わ、分かったよアナゴくぅーん!」

アナゴ「んぅー?」

マスオ「そのタイムマシン買わせてもらうよ…」

マスオ(あぁ…言っちゃった)

アナゴ「ニコッ」

アナゴくんは今日一番の笑顔を僕に見せてくれた

余程、買って欲しかったのだろう

マスオ「支払いは分割で良いかな?」

アナゴ「もちろんだとも、月に数万円ずつ取り立てに行くさ」

マスオ「サザエになんて言えばいいのやら…」

アナゴ「なぁに、このぐらい人生のジャブ程度さフグ田くぅーん」

マスオ「ところでこのタイムマシンはどうやって使うんだい?」

アナゴ「使用方法は簡単さ」

マスオ「へぇ」

アナゴ「この埴輪の頭についているボタンでタイムトラベルしたい年代を選択する」

アナゴ「年代を選択したらこの確定ボタンを2回押すんだ」

マスオ「これで、タイムトラベルが出来るのかい?」

アナゴ「最後に1つだけやっておかなければいけないことがあるのさ」

マスオ「なんだろう」

アナゴ「年代を設定した後にこの埴輪を持ったまま自身に強烈な衝撃を与えなければならないんだぁ」

マスオ「強烈な衝撃…?」

アナゴ「例えばビルの屋上から転落する…だとか」

マスオ「自殺!?タイムトラベルするのに死ななきゃいけないのかい!?」

アナゴ「安心したまえフグ田くぅーん」

マスオ「え?」

アナゴ「どんな衝撃を食らってもタイムトラベル後は無傷だよ」

アナゴ「ただし、怖がって中途半端な衝撃になれば痛みだけが残りタイムトラベルは出来ないよ~」

マスオ「り、リスクが大きすぎないかい?」

アナゴ「ハイリスクハイリターンだからこのタイムマシンを使う人間はいないんだよぉ」

アナゴ「だが君みたいな人間なら使ってくれると思ってね…」

マスオ「…あ、アナゴくん…」

アナゴ「いやぁ~そんなに感謝されても困るよフグ田くぅーん」

帰宅したマスオはひとまず埴輪を隠した

ゴソゴソッ

マスオ「タイムマシン代のことをサザエに言ったらどうなることやら…」

タラオ「パパァー」

マスオ「うっ」

マスオ「た、タラちゃん…あっちに行っててくれないかい?」

タラオ「うぅっ…」

涙目になるタラオを見て焦りを感じるマスオ

マスオ「ご、ごめんよタラちゃん!」

タラオ「じゃあその玩具はなんですかぁ?」

マスオ「ああ…これはタイムマシンだよ、アナゴくんから買ったんだ」

タラオ「ふーん」

マスオ「ママには内緒にしておくれよ?」

タラオ「もちろんですぅ!」

マスオ「絶対に言わないでよ!」

(5分後)

マスオ「トイレでゆっくり一息でもつこうかな…」

グイッ

背後から髪の毛を引っ張られるマスオ

マスオ「んひ!?」

サザエ「ちょっと、話があるんだけど」

マスオ「んひ!?!?」

マスオ「な…なんだいサザエ?」

サザエ「これはなに?」

スッ

差し出されたのはアナゴくんから買った埴輪だ

マスオ「さ、サザエがどうしてそれを!?」

サザエ「さっき、タラちゃんが全部あたしに話してくれたわ!」

タラオ「ふふふぅ♪」

マスオ(ク…クソガキ…!どうして君はいつもそうなんだ…!タラヲ氏ね!)

マスオ「す、すまないサザエ…」

サザエ「どこで買ったのかいくらしたのか…全部吐いてもらうわよ!」

マスオ(アナゴくんから買ったってことは伏せておこう)

タラオ「その埴輪はアナゴさんから買ったんですぅ」

マスオ「!!」

サザエ「へぇ~アナゴさんからね」

タラオ「その埴輪の裏に値札のシールが貼ってるですぅ!」

マスオ「…ちょ…!」

サザエ「…裏に?」

チラッ

サザエ「いち…じゅう…ひゃくせん…まん…じゅうまん…百万!?!?」

サザエ「そんなお金どこから湧いてきたのよ!?」

マスオ「お金は僕がなんとかする…!だから許してくれサザエ!」

サザエ「甘ったれるんじゃないわよ!」

パチンッ

マスオ「うぐっ…」

タラオ「パパも頬を叩かれたし満足したですぅ」

タラオ「おやすみなさいです、ママァ」

サザエ「はい、おやすみタラちゃん」

マスオ「待てクソガキ!!」

パチンッパチンッパチンッ

マスオ「ぶぶぶっ」

サザエ「貴方は今日は眠れないわ」

マスオ「…」ぞくっ

サザエ「こっちに来なさい!!」

グイッ

マスオ「さ、サザエごめん!!離してくれ!!僕が全て悪かったから!!!!」

(物置小屋前)

サザエ「今日から3日間、ここで生活しなさい」

マスオ「ま、待ってくれ!食料ぐらいはせめてくれないかサザエ?」

ポトッ

サザエ「カンパン3枚だけ支給するわ」

サザエ「それじゃ、3日間そこで反省していなさい」

ガラガラッ

ガチャッ

鍵を閉める音が聞こえた…どうやらホントにやばい状況となった

マスオ「カンパン3枚じゃ3日間凌ぐなんて無理だ…」

その日は空腹に耐えながら夜を過ごしたマスオであった

(2日目)

ぐぎゅるるるるっ

2日目の…昼?いや朝か?

日の当たらない生活がこんなにも辛いとは

マスオ「カンパンも全部食べたし…もうどうすることも出来ないや…」

ふと、ポケットの中に入れていた埴輪を取り出した

マスオ「…コイツの所為でコイツの所為で僕は…!!」

埴輪を思い切り投げつけてやろうと思った

しかし、寸前の所で踏みとどまる

マスオ「待てよ……これなら…この状況から抜け出せるかもしれない」

マスオ「そもそも、サザエの言っていたお父さんが15年前に死んだってのも気になる」

マスオ「それに、カツオくんやワカメちゃんの姿も無い…」

マスオ「それどころかお母さんも…」

マスオ「これが本物のタイムマシンなら15年前に行って確かめるべきだ」

マスオ「アッ」

マスオはふと、以前に見たテレビ番組の事を思い出した

そのテレビ番組はタイムマシンのことについて議論されていたのだ

過去の人物が何者かによって殺されれば

現在いるその人物が消滅してしまう…つまり、歴史が改変されてしまうということだ

マスオ「いやいや…まさかお父さんが…?」

マスオ「殺されたとは限らないなぁ…病気か何かかな?」

マスオ「ええい、考えてるだけ無駄だ!とにかく年代を設定してみよう」

埴輪の年代設定ボタンを押す

カチカチッ

15年前に設定

マスオ「よーし…これで後は確定ボタンを押して強い衝撃を…」

マスオ「って、強い衝撃なんてどうやって与えればいいんだろう?」

マスオ「あぁ…クソッ~!アナゴくんの奴説明が分かりづらいんだよぉ!」

マスオ「強い衝撃か…」

暗闇の中で手探りをしながらなにか道具を探す

スッ

マスオ「これは…斧…?」

斧を使って自分をぶった斬ればかなりの衝撃が来るはずだ…

しかし、万が一衝撃が足りなくて失敗すれば僕は死ぬ

マスオ「うっう…斧は怖いなぁ…」

年代を設定した埴輪を一旦ポケットに入れる

マスオ「どうすればいいんだ、せめて外にさえ出られれば…」

ピンポーン

マスオ(誰かきたのかな?)

マスオ「チャンスだ…!!」

ドンドンッ

マスオは必死に物置小屋のドアを叩く

マスオ「誰か助けてください!!!家内に監禁されてるんです!!!」

マスオ「3日間カンパン3枚だけなんです!!」

ドンッドンッ

ガラガラッ

マスオ「アッ!!」

物置小屋のドアが開いた

天にも昇るような気分であった

サザエ「…随分と良い声が出てるじゃない」

マスオ「……っ」

期待は一瞬にして絶望にへと変わった

サザエ「今のはタラちゃんが間違えて押しただけよ」

タラオ「誰かお客さんがきたと思ったですかぁ?プークスクス」

マスオ「………」

マスオの心は完全に折れた

ガクッと膝をつき、涙を流し始める

サザエ「罰として1週間延長ね」

マスオ(もういい…もう死のう…このまま死んでやろう…)

再び物置小屋に閉じ込められようとしたその時

プップーッ!

マスオ「ん…?」

ズギャァッガガガガッ!!!

大型トラックがこちらに向かって突っ込んでくる

サザエ「ちょ、ちょっと突っ込んでくるわよ!」

タラオ「うわぁ~」

マスオ「…あれは!?」

運転席にはアナゴくんが乗っていた

アナゴ「フグ田くぅーん!埴輪はしっかり持っておいてくれよぉ~!」

まさか…アナゴくんは大型トラックで僕を跳ね飛ばすつもりなのか?

ズガッシャァッ

家の塀をトラックで突っ込みぶち壊した

サザエ「きゃあっ!」

タラオ「まっ、ママァ!」

丁度逃げようとしたサザエが軽く跳ね飛ばされた

アナゴ「おぉっと…君の大事な奥さんをトラックで跳ね飛ばして申し訳ないなぁ!」

マスオ「う、ううん!構わないさ!!妻なんて新しく取り替えればいいんだ!!」

アナゴ「ニヤッ」

サザエは血だらけのまま声を張り上げる

サザエ「貴方ァ…!!絶対に許さないわよ…!!」

マスオ(ふっ、僕はもう過去に逃げてこの世界には戻らないよーだっ)

大型トラックがいよいよ僕に向かって突っ込んでくる

埴輪はポケットの中に入れてあるし後は跳ねられるだけだ!

やっと…この世界から抜け出せる…!

マスオ「さぁ来い!アナゴくん!」

アナゴ「さぁ~時速は150km…行くよフグ田くぅーん!」

マスオ「…!!」

アナゴ「go to 過去!」

ズガッシャァッンッッッ!!!!

時速150kmのスピードを出した大型トラックに僕は跳ね飛ばされた

グシャッグシャッ!!

アナゴ「行ったか!?」

サザエ「…………」

タラオ「…………」

アナゴ「アッ!?!?」

マスオ「あ…う…」ピクピク

マスオはビビってトラックの激突を避けてしまった

だが避けきれず中途半端な衝撃を食らった

それでも致命傷である

マスオ「」

マスオは死んだ

なので波平の死の真相は闇の中

おしまい

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom