ランジュ「蒙古タンメン中本に行ってみたいわ!」 栞子「ランジュは初めてですね」 (17)

ランジュ「前にせつ菜が『燃え上がるような辛さの中に、優しい味噌の味を感じる素晴らしい一品でした! そう、まさに……』って語ってたから、行ってみたいと思ってたのよ!」

栞子「そうですか。ですがランジュ、一つ約束してください」

ランジュ「ラ?」



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栞子「まず、ランジュは中本の利用が初めてな上に、どれほど辛さへの耐性があるかわかりません」

ランジュ「そうね。アタシも自分から辛さの限界に挑んだことはないわ」

栞子「なので。決してランクの高いものを食べようとしないでください、最悪生命の危機に陥ります」

ランジュ「そんなに危険なものなの!?」

栞子「はい。以前私が来た時、かすみさんが無茶をした結果二日ほど胃腸を壊しました。お残しをしなかったことは立派ですが、これはよろしくないです」

ランジュ「なんだかんだ頑丈なかすみがそうなるなんて、とんでもないものなのね……」

栞子「ですが、自分の耐性にあったものを頼めば美味しく食べられ、尚且つ程よい刺激にもなります」

ランジュ「そうなのね。なら、栞子の『適性を見抜く目』が頼りになるわね! いっそ、注文も栞子にお任せするわ!」

栞子「注文もおまかせですか。ではランジュ、こちらを」スッ

ランジュ「? 何かしら? 赤い玉?」

栞子「食べてみてください」

ランジュ「わかったわ」パクッ

栞子「どうですか?」

ランジュ「うっ……これ辛いじゃない。いったい何をしたの?」

栞子「辛さ耐性を図るための辛さ玉です。璃奈さんに頼んで作っていただきました」

ランジュ「……これでアタシの辛さへの耐性、っていうのがわかったの?」

栞子「はい。ランジュの辛さへの耐性は5~6と見てよいでしょう。即ち、今のランジュに適するメニューは……」スマホポチポチ

ランジュ「適するメニューは……?」クビカシゲー

栞子「この五目蒙古タンメンです」スッ

ランジュ「きゃぁ、色々乗ってて美味しそうね! それにランジュのカーディガンみたいに真っ赤よ!」

栞子「そうですね。それではランジュ。こちらをどうぞ」スッ

ランジュ「何かしら」

栞子「飲むヨーグルトです。これを飲んでおけば、胃腸を守れます」

ランジュ「きゃぁ、食べた後のことも考えておくなんて流石だわ! 栞子!」ギューッ

栞子「一応ここ外ですよ、離れてください」グイッ

ランジュ「それで、アタシはこれを頼んで食べればいいのかしら?」

栞子「はい。今のランジュの辛さへの耐性はこちらに適性があります。こちらが一番美味しく食べられます」

ランジュ「わかったわ! じゃあ、栞子は何を食べるの?」

栞子「私はこれです」スマホポチポチ、スッ

ランジュ「ラ? これはなんていう名前なの?」

ランジュ「ラ? これはなんていう名前なの?」

栞子「北極の火山、と言います。平日限定メニューで、通常メニューの最高ランクである北極ラーメンを二回りほど超える辛さです」

ランジュ「きゃぁ! 栞子、そんなに辛いものも食べられるの!?」

栞子「今の私の辛さへの耐性で美味しく食べるなら、こちらに適性があります」

ランジュ「凄いわね!!!」

栞子「声が大きいです、せつ菜さんが感染ってますよ」

ランジュ「恕我直言(ごめん)!」

栞子「はい。それでは行きますよ」ザッザッ

ランジュ「享受(たのしみ)~!」タタタ

ランジュ「ついたわね!」

栞子「つきましたね。では入店です」カチッ、ウィーン

店員「いらっしゃいませーっ、お客様お入りでーす!」

栞子「ここは食券システムです。ランジュの分もまとめて買っておきますね」ピッピッ

ランジュ「谢谢你(ありがとう)!」

店員「お好きなお席どうぞー」

栞子「ではこちらお願いします」

店員「はいっ、いつものと……そちらさんは、お初ですか」

栞子「はい。私の幼馴染です」

店員「おっ、幼馴染連れてきてくれたの~。嬉しいねぇ……はい、これスタンプカード」

ランジュ「ラ? 何かしら? 学生帳?」

栞子「中本では、学生であることを証明できる人はこのスタンプカードを利用できます。スタンプが5つ、もしくは10個溜まると、これに書かれている対象のトッピングを注文できます。ランジュはまだ1つなので、あと4回通わないと頼めませんね」

ランジュ「そうなのね、ならあと4回はここに行かなきゃ損だわ」

店員「あと4回も来てくれるのは嬉しいですねぇ」

栞子「あ、私のは10ポイントたまりましたね。味玉をください」

店員「はいっ、味玉ですねー」

ランジュ「店員さんと仲良さそうね。栞子はここの常連なの?」

栞子「はい。最近は週に一度のペースで通っています」

ランジュ「そんなに通ってるの? 栞子、辛いもの好きだったかしら?」

栞子「通い始めはそんなに好きではありませんでした、最低ランクの辛さの物でも汗を流し、涙目になりましたし、時折胃腸も壊しました」

ランジュ「? なら、なんで今はそんなに辛いのでも食べられるの?」

栞子「ランジュのおかげですよ」

ランジュ「??? 意味がわからないわ。どうしてここに来たことのないランジュのおかげで、栞子がここの一番辛いメニューを食べられるようになるの?」

栞子「溜まったストレスの解消です」ニコニコ

ランジュ「……ごめんなさい、栞子」

栞子「大丈夫ですよ、ランジュ。最初こそストレスの解消のつもりでしたが、ここを通してせつ菜さんと改めて仲を深めたり、同級生の方々に紹介することで交流の輪を広げられて、今では何でもない時でも食べたくなりますから」

ランジュ「そう……なの。でもアタシ、栞子に──」

栞子「それに、一番大切な友達と一緒にここへ来れたのが、とっても嬉しいんです」ニコーッ

ランジュ「栞子ぉ……」ジーン

栞子「あ、そろそろ来ますね」

ランジュ「楽しみだわ」ニコッ

店員「はい、おまたせいたしました。こちら北極の火山と、五目蒙古タンメンです」スッ、ゴトン

栞子「ありがとうごさいます」ペコ

ランジュ「谢谢你(ありがとう)!」ペコッ

店員「ごゆっくりどうぞー」

栞子「冷めないうちにいただきましょうか」シャキッ、スッ

ランジュ「そうね、でも後で皆に見せる写真だけは撮るわね」パシャリ、シャキッ、スッ

栞子「では、いただきます」スッ、ツルッ

ランジュ「饭前表达感激之情(いただきます)!」スッ、パクッ

栞子(相変わらずの辛さです。通常の北極ではそのまま添えられているもやしが、火山では真っ赤な唐辛子に染められた状態で添えられ、更には特性の麻婆豆腐とラー油のかかった状態……スープの辛さも一段と上がっていて、休日では味わえない威力……とっても美味しいです)

栞子「……」ズズッ、スルッ、シャキシャキ、ムシャァ

ランジュ「げほっ、ごほっ……か、辛いわ……」ナミダメー

栞子(予想通り、ランジュに五目蒙古タンメンは涙目になる辛さのようでしたね)

ランジュ「栞子ぉ……確かに美味しいけれど、これ、辛いわ……」ウルウル

栞子「そういうものですよ、辛いものですから」

ランジュ「け、けど栞子……アタシ、もう少し辛くない方が良いと思うわ……」プルプル

栞子「最初の一口二口ではそう思うかもしれませんが、食べ進めてみると意見は変わるものです。ランジュ、感想は食べ終わってからにしましょう」

ランジュ「わ、わかったわ……」ズーッ……ゲホッ

栞子(涙目になるランジュ……ここからしか得られない栄養素があります。そして、そのランジュを見ながら食べる激辛ラーメン……背徳の味がして、いつもの3.1415926535897倍ほど美味しく感じます)ニッコニコ

店員(常連のお嬢さん、今日は友達と一緒だからか幸せそうに食ってんなー……お友達の方、ちょっと涙目だけど)

栞子(しかし、我ながら適性よりも少し高いランクの物を進めることで、涙目になるランジュを拝めるとは中々に考えました。友人の勧めてくれたものだから、と我慢しながら涙を流して食べるランジュは可愛いですね。お腹を壊したら私が看病してあげましょう)ニコニコ

ランジュ(うぅ、栞子がくれた飲むヨーグルトがなかったらお腹壊しそうな辛さだわ……けど、美味しいのは確かなのよね……せつ菜が言ってたように、辛さの奥に優しい味噌の味や、濃厚な味わいがあるわ……沢山通っている栞子だからこそ、何か知ってるのかもしれないし……アタシも食べ続けてみれば、この美味しさがわかるようになるかしら……)ムッシャムッシャ、ゲホッ

栞子「んっ……ふぅ。今日も美味しかったです」カラッ

店員(しかしこの常連のお嬢さん、毎度毎度スープまで飲むなぁ……今日なんて顔色一つ変えてないし、よく通ってるのに体型維持してるのは凄いよなぁ)カンシンッ

店長「手ェ止めてないで働け」ベシッ

店員「あうっ」

ランジュ「ふ、ふぅ……具も麺も食べ終わったわ。けど、スープはもう勘弁よ……」ゲホッ

栞子「初めてならそれくらいで良いでしょう。どうでしたか、ランジュ」

ランジュ「すっごい辛かったわ……けど、確かに辛さの中に美味しさがあって……もっと、何か、掴めそうな気がしてきて……」ウーン

栞子「なら、また今度来ましょう。その時は、ランジュの掴みかけていたものがわかるかもしれません」

ランジュ「……そうね。せっかく栞子が勧めてくれたものなんだもの。今度は涙も流さずに食べきって、スープまで完飲してみせるわ! 約束ラ!」

栞子「諦めない精神。流石、ランジュですね」

栞子(そうやってめげずにいるところや、行動力のあるところにも、私や多くの人が惹かれたのでしたね……流石ランジュです。可愛くて、格好良いです)ニコッ

ランジュ「栞子、ニコニコしてどうしたの? 何かいいことでもあったかしら」

栞子「はい。親友と一緒にラーメンを食べたのは、良い思い出になりますね、と……」

ランジュ「きゃぁ、嬉しいこと言ってくれるわ、栞子ーっ!」ギューッ

栞子「苦しいです」ムギュギュ

ランジュ「きゃはっ、恕我直言(ごめん)!」

栞子「まったく……本当に。流石、ランジュですね」

おしまい

好評だったらランジュ以外との組み合わせも書くかもしれません

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