「今日からあなたは、仮面ライダーです」 せつ菜「へ?」 (83)

「それでは」
せつ菜「え、あ、ちょっと!?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1684674953

せつ菜「行ってしまいました……ドッキリにしては急すぎますし、なんなのでしょう……というか、どうやってこの生徒会室に来たんでしょうか……?」

せつ菜「……取り敢えず、この箱を開けてみればなにかわかるでしょうか?」ガチャッ

せつ菜「……私の知らないドライバーですね。随分シンプルな形ですし……ファンメイドのドライバーでしょうか?
変身には、このペットボトルの蓋みたいなのを装填すれば良いのか……というか、ベルト帯もないんですね……箱は凝ってるのに勿体ないです」ブツブツ

せつ菜「まぁ、取りあえず試してみますか!」スチャッ

『DESIRE DRIVER』

せつ菜「あれ? 私、電源スイッチいじってないのに……最初から入ってたんでしょうか?
というか、最近のは技術が進歩してるんですね……自動でベルト帯が出るなんて」

※令和ライダーのドライバーを購入したことがない

せつ菜「まぁいいでしょう……えーと、これをここにはめて……?」カチッ

『ENTRY』

せつ菜「えっ!?」シュンッ

副会長「忘れ物忘れ物……会長、失礼します!」ガチャッ

副会長「あれ? いない……荷物はあるのに?」

「ようこそ」

せつ菜「ええっ!? どこですかここ!? 私、さっきまで生徒会室にいたはずなのに……!」

せつ菜(……というか、人が大勢……! 何かのドッキリにしては超常的かつ大掛かりすぎです!)

ドコダココーナニナニー? カエリテーヨー

せつ菜(どうやらここにいる人たちも私のように何か巻き込まれたようですが……)

「皆さん、こんにちは! 私はゲームナビゲーターのツムリです。ようこそ、デザイアグランプリへ!」

ツムリ「今、私たちの世界はジャマトの脅威に晒されています。
どこから来るのか、何が目的なのかはわからない……ジャマトから街の平和を守るため、誕生したのが……この、デザイアグランプリなのです!」

せつ菜「で、デザイア……?」

ツムリ「ふっ……皆さん、『なんじゃそりゃ』って感じですよね。知らないのも無理はありません……ジャマトの悲劇を忘れて平和に過ごせるように、デザイアグランプリが終わる度に人々の記憶はリセットされるように設計されているのです」

???「そういう……ことだったのか……」
せつ菜(なんだか納得した様子ですが……何か知っているのでしょうか?)

せつ菜「あ、あの──」
ツムリ「皆さんは仮面ライダーとなって、ジャマトと戦うのです。そして、見事に勝ち抜いた……通称『デザ神』には、自分の理想の願いを叶えることが出来るのです」

???「理想の世界か……いいね」

ツムリ「要はなんでも願いが叶うということです。それでは皆さん、お手元のデザイアカードに願いをご記入ください」

せつ菜「……仮面、ライダー」

せつ菜(凄く一方的ですが……これは、中々に燃える展開ですね! いわゆるバトロワものと来ました! 見る限り、龍騎のように殺し合いをするみたいではなさそうですし、エグゼイドのように超協力プレイでクリアしてやるぜ! と出来そうです!)

せつ菜「これですか……いつの間に」

せつ菜(どうしましょうか。願いとなると……そうですね。出来る限り大体のことは自分たちで叶えられるように努力してきましたが……こればかりは、こういうものに頼って叶える方が良いでしょう)カキカキ

せつ菜「よし。書けました!」ペカー
ツムリ「お受け取りしまーす」スッ

せつ菜(突然ここに飛ばされたときはどうなるかと思いましたが、これはワクワクしてきました。私の大好きが止まりません!)
ツムリ「それでは、デザイアグランプリを開催いたします! 早速1回戦のゲーム、『戦争ゲーム』に参りたいと思います!」
せつ菜「え、結構急に──」

せつ菜「わっ!?」シュンッ
ツムリ『本ゲームは、皆様に3人1組のペアとなっていただき、連携してジャマトたちから3回に分けて拠点を防衛するゲームです!
拠点を守る仮面ライダーが全滅するか、拠点にあるお宝を奪われたらその区画はゲームオーバーとなります!』

せつ菜「服が変わってる……それと、この携帯電話みたいなのは……このゲームの進行状況や、他の参加者さんのことを見れるんですね」スイスイ

せつ菜「中川菜々です! よろしくお願いします!」

男1「ふん……足引っ張んなよ」
女1「あ、よ、よろしくお願いします〜!」
せつ菜(お二人の名前は……佐藤 秀秋さんと、渡辺 千春さんですね! ライバルですが、今は仲間なので、仲良くできると良さそうです!)ペカー

ツムリ『それでは皆さん、まずはお足元にあるボックスから支給されたレイズバックルをお取りください!』
せつ菜「これですね。私のバックルは……おぉ、キラキラして格好良いですね! ムテキゲーマーみたいです!」ペカー
千春「私のバックルは……なんか、ちっちゃい……」ショボーン
秀秋「ふん。中々いいデザインだな」ニヤリ

せつ菜「ドライバーとバックルを見る限り、ここに装着するようですね。よっ」スチャッ セット!フィーバー! デケデケッ、テレレテレレ!

秀秋「……」スチャッ セット!(カーン)

千春「こ、こう?」スチャッ セット!

せつ菜(昔から考えていたポーズ……拳を握った左腕をゆっくり上に伸ばして、右手を腰に当てて……)

せつ菜(素早く左手を下ろして、腰と肩を入れた右拳を突き出す!)

せつ菜「変身っ!」クルクルクルクル……デェーン! ヒット! モンスター!

せつ菜(くぅ……決まりました! 初変身ながら、格好良いポーズで変身を決められました!)レディ、ファイトッ!

秀秋「……変身」GRAB! CLASHOUT! ZOMBIE(Wooooo……)

千春「へ、ヘシンッ!」ガチャッ アームドプロペラァ!

せつ菜「……これが仮面ライダーに変身する感覚ですか。なんだか力が漲って来ます!」シュッシュッ、ブンブンッ

秀秋「はしゃいでる場合か。ジャマト共が来るぞ、構えろ」チャキッ

千春「あ、あんまり怖くありませんように!」ブルブル

※変身後の名前とモチーフ動物は特に考えてないので変身後も名前は本名の方で表記します



ツムリ『それでは、戦争ゲームスタートです!』カァーン

ポーンジャマト「ジャッジャッジャー」スタスタ

せつ菜「先手必勝! 私は攻めに行かせていただきます!」ダッ

秀秋「オイ!? 一人で突っ走るな馬鹿!」

千春「み、皆で連携しましょうよ〜!」

ポーンジャマト「ジャ?(テメ、なんだテメ、やんのかコラ)」

せつ菜「せいやーっ!」ドゴォッ

ポーンジャマト「ジャ〜(いってえ〜)」

秀秋「おい! ジャマトが来るのは一つの方向だけじゃないんだぞ! きちんと周りを見ろ!」ガキンッ、ドゴォ

せつ菜「わかりました! 全方位、全力で攻撃させていただきます!」フィーバービクトリー! モンスターストラァイク! ドゴォ!

ポーンジャマト「ジャ~!(ギャーッ!)」ドカーン

千春「こっ、この人無茶苦茶〜!」ブルブル

秀秋「チッ……このままじゃ埒が明かねえ数だな……おいお前、それプロペラだろ? ちょっと空飛んでみろ」

千春「え、えぇっ!? こ、これでですか!?」

秀秋「さっさとしろ! このまんまだとあのバカ女が突っ走ってやられちまうぞ! 参加したからにはちょっとくらい命張れ! 逃げんなよ!」

千春「は、はぃぃぃ~!」ピョンッ、バババババ……

ポーンジャマト「ジャ?(お?アイツ飛び出したぞ)」

ポーンジャマト2「ジャジャ(チャンスだ、攻撃しよ)」ガチャガチャ

ポーンジャマト3「ジャジャッジャッジャ~!(ロケットランチャー! 発射ー!)」ズドン

千春「え? ひ──きゃあっ!」ドゴォーン、ドサッ

ポーンジャマト達「ジャジャジャ~!(チャンスだー!)」ドドドドド

千春「い、いやーっ! 誰か助けてー!」

せつ菜「!? 今助けに行きます!」ダッ

仲間外れポーンジャマト「ジャジャジャ~(させないぞぉ)」バッ

せつ菜「邪魔です! どきなさーい!」ドゴォ

仲間外れポーンジャマト「ジャマッ!(ひでぶ!)」ドカーン

千春「いたっ、いたっ、きゃっ、やめ……」バキ、ドカ、ドゴ、カスッ

リンチ中ポーンジャマト「ジャジャジャ(女の子いたぶるのって興奮するよね)」ボコボコ

リンチ参加中ポーンジャマト「ジャジャ(それな、可愛い子だと特に)」ドカドカパーツカ

秀秋「これでまとめてやれるぜ。よくやったな、プロペラ女。 フッ、動くんじゃねえぞ、テメェらぁ!」GRAB! ZOMBIE STRIKE!

リンチ中ポーンジャマト達「ジャ!?(ナニコレ!)」ガシー

秀秋「まとめて解体してやるよ、雑魚共!」ポイズンチャージ! タクティカルブレェイク!

ポーンジャマト達「ジャ~!(おぎゃ~!)」ドカァーン

秀秋「フッ。これで一網打尽出来たな。丁度、コレでウェーブの節目か」

千春「あいたたた……あちこち痛いよぉ……」ヨロヨロ

せつ菜「っ! 大丈夫ですか! 渡辺さん!」

千春「だ、大丈夫……まだ、動けます……いてて」サスサス

せつ菜「佐藤さん……! 今の作戦、渡辺さんが自分から『やる』って言った作戦なんですか? 本人に了承を得たんですか!?」

秀秋「あん? んなわけねーだろ、俺が効率的にジャマトを倒すためにコイツを飛ばせただけだ。元々、小型バックルしか持ってない上に戦う気もなかったような奴だからな。チームの戦力は最大限活かすに限るだろ」

せつ菜「……二度とこんなことはやらないでください。次にやったら、私があなたをガードベントにしますよ」

秀秋「おもしれぇ。やってみろよ、その不安定なバックルで俺以上に戦えるってんならな」

千春「やめてください……喧嘩なんてしないで、協力しましょう……私は大丈夫ですから。怖がりで、戦えないのが悪かったんですから……」フラフラ

せつ菜「……渡辺さん」

秀秋「だ、そうだ。お荷物にはお荷物なりの働きをして貰おうじゃねーの。なっ」ポンッ

千春「あいたっ……」サスサス

せつ菜(ただ楽しくて、大好きがあるだけじゃない……仮面ライダーに変身するのって、これだけ重いことなんですね……)

ツムリ「皆さま、お疲れ様です! 戦争ゲーム・第1ウェーブ終了となります!」

秀秋「ふん。今ので大体の参加者は消えたか。ライバルは少ないに限るぜ」

千春「……ゲームオーバーになった人たちって、やっぱり、その……消えちゃうんですか?」

ツムリ「IDコアの破損によって退場なさった方はこの世からもご退場となりますが、今回のゲームでお宝をジャマトに奪取されただけの方たちはあくまで脱落となり、デザイアグランプリに関する出来事を忘れ、元の生活へと戻っています」

せつ菜「今の時点で、ゲームオーバーになったのは私たちのところと、もう一つ以外のチーム全部……」

男2「よっ。そっちも三人揃って無事みたいだな。よかったよかった」

女2「あれ、その人たち知り合い?」

男2「あぁ、こっちの男とは前のデザグラで競い合った仲なんだ」

秀秋「何の用だよ、東条」

せつ菜(東条 夏雄さん……強者の風格がありますね。強そうです……)

夏雄「いや。ライバルが心配だったから見に来たんだよ。初手で引いたバックルがあんまり良くないものかどうか不安だったからな」

秀秋「ハッ。さてはお前、ハズレバックルでも掴まされたか? 生憎俺はこのゾンビだ、使いやすいバックルで楽だぜ」フリフリ

夏雄「いいなぁ、大型バックル。残念なことに俺はハンマーだから、ちょっと骨が折れたよ」

女2「でも夏雄くん凄いんだよ、私もおっきなバックル使ってるけど、私より強いんだもん! ほらこれ、あたしのバックル! ニンジャ!」

夏雄「ま、一応前回のデザ神だからな。小型でもあの程度ならやれなくはないぜ?」

秀秋「……調子に乗りやがって。今に見てろよ」

千春「……私と同じ、小型バックルで活躍したんだ」

せつ菜「彼は前回の優勝者みたいですから。大丈夫です、渡辺さんも頑張れば活躍の機会は巡ってきます」

千春「そう言ってくれると、嬉しいなぁ……」

男3「……賑やかだね。僕のこととかも紹介してくれたら嬉しいんだけど」スタスタ

夏雄「だったら自分から会話の輪に入ってきてくれよ、一人で考え事してるみたいだったから、そっとしといたんだぜ」

男3「それは悪かったね。なんて話しかけようか考えてたんだ」

夏雄「コイツも俺のチームメイトなんだ。結構頑張ってたぜ」

男3「ま、バックルがこんなのだから……このゲームと相性が悪くて戦い辛かったけどね」スッ

せつ菜「ドリルですか。もしかして、攻撃範囲が狭いんですか?」

男3「ご名答。一体ずつしか倒せないから、東条くんに庇って貰えなかったら死んでたよ……あ、申し遅れたね。僕は西野 冬樹。特技は賢そうなポーズを決めることさ、実際は偏差値30くらいだけどね」

女2「あ、あたしも自己紹介してなかったね! あたしは忍野 幸! 趣味はアイドルのおっかけ! よろしくね!」

せつ菜「中川菜々です。よろしくお願いします!」

秀秋「フン。くだらねぇ……蹴落とし合う仲でのんきになれ合いなんかやってんじゃねえよ」

夏雄「おいおい。そういう言い方はないだろ……ま、佐藤なら仕方ないか。次のゲームも全員生存できるといいな」

千春「そうですね……出来れば、誰も退場しないといいなぁ……あと、痛い目に遭わない奴だと助かります……」

せつ菜「はい! 世界をジャマトから守るのがこのゲームの目標でもありますし、頑張りましょう!」ペカー

冬樹(この子可愛いな……アイドルかなんかなのかな)ヒソヒソ

幸(わかる、どっかで見たことある気がする)ヒソヒソ

せつ菜「?」

~第2ウェーブはカット~

秀秋「言われた通り今回は囮とかは使わなかったぞ。これで満足かよ」

せつ菜「はい。私もなるべく防衛に徹せるよう頑張りましたし、最後のウェーブまで守りを重視しましょう。無理に突撃しなくても、この戦力なら堅実に戦った方がいいみたいですし」

千春「プロペラって、飛ぶ以外にも使えたんですねぇ……アドバイスありがとうございました」フゥー



夏雄「いちち……ちょっとマズかったな。変身解除だけで済んで良かった」

幸「夏雄くん大丈夫? あたしのバックル使う?」スッ

夏雄「いや、女の子に小型バックル使わせるわけにもいかないからいいよ。それに、今はチームでも次のゲームではライバルかもしれないしな」

冬樹「夏雄くん、流石だね……紳士の鑑だ。ところで、良かったらそのハンマー僕と交換しないかい? ドリルだと戦い辛いんだ」

夏雄「誰がやるか、俺だってハンマーで戦ってても辛いんだぞ」

冬樹「がーん……」

せつ菜(あっちのチームは楽しそうですね……)チラ

秀秋「なんだよ、またなんか文句あんのかよ」

せつ菜「いえ。何かお喋りでもしませんか? と思いまして……」

秀秋「話題がねぇだろ」

千春「じゃ、じゃあ趣味とかどうですか?」

せつ菜「趣味ですか……私はラノベを読むこととかが好きですね。燃えるようなバトルの描写があると、私の心にも火が付きますから!」ペカー

秀秋「……俺は飯を食うことだな」

千春「私はスクールアイドルの応援……です。見てると、元気を貰えるんです。だから私、デザイアカードには『スクールアイドルのことがもっと知られる世界』って書いたんです」

せつ菜「いいご趣味ですね。渡辺さんのその『大好き』の気持ちが伝わるのを、私も願います!」

秀秋「フン……アイドルだかなんだか知らねえが、ふざけた願いだな」

千春「ひっ……」

せつ菜「……そういう佐藤さんは、どういう願いなんですか?」

秀秋「『俺が大金持ちになってる世界』だ」

千春「俗物的。クールぶってるくせに……」

秀秋「あぁ!? もういっぺん言ってみろ! 次はバックルなしでブッ飛ばされてえのか!?」

せつ菜「ま、まぁまぁ落ち着いてください! お互いの『大好き』をバカにし合うのはダメです!」

秀秋「……チッ。競い合いのゲームになったら覚えてろよ」

千春(あの人、ちょっと嫌い……)

せつ菜(私たちのチーム、大丈夫なんでしょうか……いえ、弱気になってはダメです。こんな風にまとまらないのは個性が強い証拠、同好会の皆さんのように、個々の魅力や力を活かせるチームになるように頑張るのみです!)

ムリ「それでは、間もなく第3ウェーブが始まります! 皆さまご準備のほどをお願いいたします!」

秀秋「いつでも始めろ」

千春「は、はいっ!」

せつ菜「準備万端です!」ペカー

夏雄「そろそろ追加でバックルとか来てくれてもいいんだけどなー……」

幸「ホントに大変な時は言ってね? あたしより、夏雄くんの方がこれ使えそうだし」

冬樹「僕でもいいんだよ、忍野さん」

ツムリ「それでは、第3ウェーブスタートです!」シュンッ



ポーンジャマト「ジャッジャッジャー(仲間たちの仕返しだ)」ザッザッ

せつ菜「ここが最後なら……全力で行きます! 変身!」セット!フィーバー! ヒット! ビート!

秀秋「ブッ潰してやるよ……変身」セット! ゾンビィ……

千春「大分慣れてきたし……何とかなるかも! ヘシッ!」セット! アームドプロペラァ

ポーンジャマト「ジャジャ~(突撃~)」ドドド

せつ菜「佐藤さん! お願いします!」

秀秋「黙ってろ。今からやってやるからよ!」GRAB! ZOMBIE STRIKE!

ポーンジャマト「ジャ!?(動けない!?)」ガシィ

秀秋「おら。さっさと仕留めろ」

せつ菜「はい! かき鳴らします、私のソウル! うおおおおお!」ファンクブリザード! タクティカルブリザード! ジャジャジャーン!

ポーンジャマト「ジャアアア!(つめたあああ!)」ピッキーン

千春「うおおお! ひっさつー!」プロペラストラァイク! ドカーン!

ポーンジャマト「ジャ~ッ!」ドカーン

秀秋「作戦成功だな……あとはゆっくり、俺が解体してやるよ!」ポイズンチャージ! タクティカルブレェイク!

せつ菜「私も負けていられません! もっとボルテージを上げます!」ジャジャジャジャジャーン! タクティカルファイア!

ポーンジャマト「ジャジャバーッ!(理不尽な暴力だー!)」ドカーン

千春「す、すごい……あっという間に倒しきっちゃった」

せつ菜「やりましたね! 私たちの勝利です!」

秀秋「ま。俺のゾンビのおかげだな」

せつ菜「はい! ありがとうございました、佐藤さん! それに、千春さんもこの作戦を提案してくださってありがとうございました!」ペカー

千春「わ、私はゾンビの必殺技を活かせないかなって思っただけで……実行した二人の方が凄いですから!」アセアセ

せつ菜「では、このウェーブは全員で守り抜いた、チームの結束の勝利ですね!」

『MISSION CLEAR!』

『報酬として守っていたお宝のバックルを使用可能になります』

千春「……私たちが守ってたお宝、バックルだったんですね」

せつ菜「白いバックル……なんでしょう、コレ」

秀秋「それはマグナムバックルだ。お前が持っとけ。俺はコレ嫌いだからよ」スッ

千春「あ、あぁ、はい……やった、おっきなバックルだ……」ニコニコ

せつ菜(バランスを考えて持たせてあげたんですね……佐藤さん、なんだかんだ優しいみたいです)ニコニコ

秀秋「あ? ニヤニヤしてんだよ。俺の顔に米粒でもついてんのか」

せつ菜「なんでもありません! ゲームは終わりましたし、早速帰りましょう!」

秀秋「ふぅ、飯何すっかなー……あん? なんだお前ら、通夜みたいな空気出して」

夏雄「幸ちゃんが、退場したんだ」

冬樹「僕のせいだ……冗談のつもりでも、ふざけて彼女のバックルをねだったせいで……」

夏雄「冬樹が気に病むことじゃない、俺の指示が間違ってただけだ。それに、あの子は冬樹が使いづらいって言ってたドリルバックルを使うことの意味をわかった上でニンジャバックルを君に託した……自己責任って奴だ」

冬樹「違うだろ……! 僕がねだらなきゃ、僕がもっと強くて、どんなバックル使ってても問題なかったら……!」

秀秋「んだよ、そんなくだらねえことで言い合いしてんじゃねえよ。ライバルが減って、バックル貰えたんだから良かっただろ。あ、執事。俺にコーヒーくれ」ドカッ

ギロリ「かしこまりました」スタスタ

せつ菜「佐藤さん、その言い方は……!」

秀秋「事実だろ。デザイアグランプリってのは生半可な覚悟で挑めば消える。前回だって、ふざけたノリで戦って無様晒して散った奴が何人もいたぜ」

千春「……」

夏雄「……そうだな。俺たちは理想の世界を目指して戦ってきたんだ、誰が退場しようが脱落しようが、目指すのは頂点だけだもんな」

冬樹「狂ってるよ。君たちはおかしいよ……! 人が簡単に消えるような出来事を、なんで簡単に割り切れるんだ! それも、目の前で……」

秀秋「人間なんて世界のどこでもかしこでも命落としてんだろ。それが、たまたま目の前だったかどうかの話だ。明日は我が身って奴だろ、いちいち誰が消えるだの生きてるだので騒ぐなよ」

せつ菜(これが、仮面ライダーの世界。人が亡くなってしまうことが身近で……とても重い。ただ見てる側だけだった私じゃ、わからない世界……もう、イベントに参加したオタクの気分ではいられないですね……)

千春「……」

ツムリ「皆さま、本日はお疲れさまでした。次のゲームの開催は、後日お知らせいたします!」スタスタ

せつ菜「……はい。後日、ですね」シュンッ



せつ菜(……戻って来た。私がさっきまでいたはずの、生徒会室ですね)

せつ菜「……時間、結構経ってますね。同好会の活動に参加出来なかった上に、最終下校時刻ギリギリ……仮面ライダーも大変です」イソイソ

翌日~

せつ菜「皆さん、昨日は連絡もなくお休みしてしまいすみませんでした」

侑「結構疲れてるみたいだけど、何かあったの?」

せつ菜「はい。ちょっと、やむにやまれぬ事情がありまして……」

かすみ「えぇ~? うっかり寝坊しちゃった~、とかじゃないんですかぁ~?」

しずく「そんな彼方さんじゃないんだから……」

彼方「中々失礼だね、しずくちゃんよ。彼方ちゃんは練習中には寝ても、練習までにはちゃんと起きてるぜ~?」

栞子「大差ない気がしますが……話が脱線しかけてますが、結局せつ菜さんは何があったんですか? 生徒会室にもいなかったと聞きましたが」

愛「まぁ、せっつー疲れてるみたいだし、話したくないならいーんじゃない?」

果林「そうね。洗いざらい全部吐かなくたって、せつ菜が忙しくて疲れるのはいつものことだもの」

せつ菜「ありがとうございます、愛さん、果林さん」

愛「へーきへーき。んじゃ、今日も、皆で協力して練習行ってみよー!」

侑「あひゃひゃひゃひゃ! 今日も協力って……!」ゲラゲラ

歩夢「侑ちゃん……毎日毎日大笑いしちゃってるよ」

璃奈「侑さんの腹筋はもう範馬勇次郎みたいになってる、これ以上は危険」

愛「ゆうゆの笑いのツボ側に問題あると思うんだけどなー……笑ってくれるのは嬉しいけど、流石に心配になって来たかも、ゆうゆの心肺が」

侑「あーっひゃひゃひゃひゃ! 心肺が心配って……! ひゃひゃひゃ! あはは、も、もう許して~!」ゲーラゲラゲラ

果林「だからって笑わせ続ける方も笑わせ続ける方よ」

せつ菜「あはは……侑さんが落ち着いたら、練習始めましょうか」

かすみ「笑い終わるのを待って貰えるメンバーがいて、侑先輩は幸せですねぇ」ツンツン

侑「あひゃひゃ! ちょ、かすみちゃっ、そこ突かないでっ! あひゃひゃははは!」ゲラゲラヒーヒー

かすみ「突かないでと言われたら、突きたくなっちゃうじゃないですか~」

歩夢「かすみちゃん?」ニッコリ

かすみ「さぁはい早く練習始めましょう! かすみんは先に行ってますね!」ダダダダ

せつ菜(歩夢さん、この威圧だけでジャマトも吹っ飛ばしてしまいそうですね……)

璃奈「怒った歩夢さんは怖い……璃奈ちゃんボード、ガクブル……」ガタガタ

ランジュ「怒ってても笑顔を忘れない歩夢も可愛いわね、流石癒し系スクールアイドルだわ」

ミア「ランジュ。その台詞はベイビーちゃんに譲るべきだと思うけどね」

ランジュ「ラ? いまのアタシの台詞、侑が言った方が良かったの?」

ミア「はぁ……やれやれだね」スタスタ

栞子「ランジュは少々鈍いですね。鈍感系主人公の適性があります」

ランジュ「嬉しくない適性だわ……」シュン

栞子(落ち込むランジュも可愛いですね……ランジュには曇らせられ系ヒロインの適性もあります)ゾクゾク

しずく(また栞子さんが変な方法で欲満たしてますね……こういう関係も、また物語に映えそうです)

歩夢(笑い転げる侑ちゃんも可愛いなぁ……こっそり写真撮ろうかなぁ)パシャ

ミア(今日ばかりは帰りたくなってきたな)

エマ「ミアちゃん、まだ練習始まってないのに制服に着替え始めようとしちゃダメだよ~」

ミア「Just kidding.冗談さエマ」

エマ「そうなんだ~。良かったぁ……」

彼方「彼方ちゃん、三日後の遥ちゃんのライブが楽しみで体が燃え上がってるし早く練習したいぜ~……」

侑「ま、待って、もう少しで落ち着くから……ふふはははっ」ビクビク

歩夢「侑ちゃーん、頑張れー。あと十秒で止めたらこの間本棚に隠してた……」

侑「じゃ、練習始めよっか」キリッ

エマ「侑ちゃん、切り替え早いねぇ……」

璃奈「明らかに時が飛んでる……璃奈ボード、キングクリムゾンッ」

ミア「ヘイ璃奈、そのボードは怖いよ」

せつ菜(……命がけで戦った後だからか、同好会でこうした日常が見れるのも、とっても安心感があります……この日常のためにも、絶対に勝ち残らないといけませんね)

数日後

ツムリ「お待たせいたしました。皆さん、ジャマトが現れましたので、第2回戦のルールを説明させていただきます」

せつ菜「第2回戦……」

冬樹「今度は、誰も退場させないぞ……!」

秀秋「勝つのは俺だ。どんなゲームだろうと関係ねえ」

千春「また、皆で協力できる系だと助かるなぁ……」

夏雄(どうにかして、大型バックルを手に入れないとな……冬樹や千春ちゃんたちに交換を頼むのは気が引けるし、誰かが負傷して脱落するのを祈るしかないか。負けて記憶も気持ちも失うのは嫌だからな)

ツムリ「デザイアグランプリ第2回戦は『ライブ防衛ゲーム』です!」

千春「ライブ防衛ゲーム……? もしかして、皆で協力するタイプかな?」

ツムリ「はい。今回のゲームはプレイヤーの皆様が協力し、ライブを行うスクールアイドルを厄介オタクジャマトから守るゲームです!」

秀秋「厄介オタクジャマト? なんだそりゃ」

ツムリ「こちらになります」スッ

厄介オタクジャマト「ジャッジャッジャ~(遥ちゃんのグッズ最高~! あペーロペーロ)」レロレロニチャニチャ

冬樹「うわ気持ち悪っ……」

夏雄「流石に引くな……うえっ」

せつ菜「いくら大好きだとしても、これは……」

ツムリ「このように、気持ち悪いジャマトがライブ会場へ足を踏み入れてしまえばゲームオーバーとなります。
そのためにも、仮面ライダーの皆様方が協力して、2ウェーブに分けてライブ会場を守ってください。ちなみに、こちらがボスとなる厄介TOジャマトと、違反オタクジャマトです」

ルークジャマト「ジャジャジャジャ~(あ~、遥ちゃんと彼方ちゃんの組み合わせたまんねえ~)」

ナイトジャマト「ジャジャッジャ~(んほ~、無断転載された東雲のライブ映像たまんね~)」

秀秋「あの気持ち悪いの奴らの親玉か……」

夏雄「トップオタってだけあって気持ち悪さもトップ級だな、こういう奴らのせいでオタクの市民権がないんだぞ」

冬樹「僕を見ながら言うな僕を」

せつ菜「いくらスクールアイドルが大好きとは言えども、ジャマトが相手だと流石に嫌悪が勝ってしまいますね……」

千春「仕方ないよ、菜々ちゃん。スクールアイドル大好きな私でもそう思ったんだもん」

せつ菜(スクールアイドルそのものの私もそう思ってるんです……!)

ツムリ「それでは皆さん。ご武運をお祈りいたします」シュンッ

せつ菜「中々慣れない転送ですね……っと……ん、これは……ボックス?」

冬樹「バックルの配布? 随分急だな……」

秀秋「……各員一人ずつに配られてんのか」ガチャッ

千春「私はもう二個持ってるけど、貰っちゃっていいのかな……」ガチャッ

夏雄「ハンマーしか持ってなかっただけにありがたいな……どれどれ」ガチャッ

せつ菜「蛇口のバックルですか。どうやって使うんでしょう……」ジロジロ

冬樹「これは……鍵盤のバックルか。大型だし、戦力増強になるか……良かった」ホクホク

秀秋「チッ。弓かよ……まぁ、爪とかよりかマシか」

千春「わ、おっきなバックルだ……なんだろう、猿かな?」

夏雄「……チェーンアレイか。流石にマズいな」

秀秋「ハッ。元デザ神様も運に見放されりゃこんなもんかよ」

千春「……私のバックル、片方あげようかな」

冬樹「……やめときなよ。君が生き残る確率が減るかもしれないんだ。彼は小型でも戦えるみたいだし、ここは初心者の僕らが大型を使わせてもらおうよ」

千春「あ、はい……そう、ですよね。退場しちゃったら……戻れないんですよね」

冬樹「理想の世界を叶えるためにも、多くの人を守るためにも……僕らだって、生き残らなきゃいけないからね」

せつ菜「私はガチャのバックルに蛇口……少々不安ですが、これで始まったのなら貫くのみです。よーし! 皆さん、頑張りましょう!」

千春「お、おー!」

冬樹「おー」

秀秋「……フン。慣れ合いたきゃ勝手にやってろ」

夏雄「まぁ、デュアルオンして頑張って使ってみるか。存外何とかなるかもしれないな」

ツムリ「それでは、ゲームスタートです!」カーン

せつ菜「始まりましたか……では!」セット!フィーバー!

千春「よし……」セット!

冬樹「はぁぁぁ……」セット!

夏雄「ふぅ……」セット!

秀秋「……」セット!

4人「変身!」

千春「エシッ!」

せつ菜「全力で、貫きます!」ヒット!マグナム!

千春「えっ、えいえいおー!」デュアルオン!ヤッ!モンスター! バァン!マグナム!

冬樹「スクールアイドルは、僕たちが守る!」デュアルオン! ニンジャァ! ビート!

秀秋「要は全部倒すだけだ、俺がな」デュアルオン! アームドアロー! GRAB! CLASHOUT! ZOMBIE……!

夏雄「まぁ、何とかなるか……多分」デュアルオン! アームドハンマー! アームドチェーンアレェイ!

秀秋「おいおいデザ神様。随分涼しそうじゃねえか」

夏雄「言うな。俺が一番気にしてるんだよ」

せつ菜「渡辺さん、お揃いのマグナムですね!」

千春「あ、ホントだ……菜々ちゃんとお揃いだ。嬉しいかも」

冬樹「中川さん、今すぐ引き直してニンジャかビート当てられない?」

せつ菜「流石にそれは難しいですね……」

『READY……FIGHT!』

厄介オタクジャマト達「ジャッジャッジャ~(遥ちゃんお持ち帰りしちゃうぞ~)」ザッザッ

せつ菜「あ、来ました!」バシュバシュバシュ! ズバババ

秀秋「お前ら! あんまり前に出んなよ! 遠距離持ちの邪魔したら、互いにくたばるぞ!」ビシュ、ビシュッ

夏雄「だそうだ。冬樹、落ち着いて戦いなよ。焦ることはないぜ」

冬樹「……わかってる。僕は近づいてきた奴を倒すよ」

千春「じゃあ、私は……これで!」ヤッ! モンスターストラァイク! ズドォン!

せつ菜「爽快な火力ですね、千春さん!」バシュバシュ

千春「ありがとうございます……このバックル、強いです!」ドゴォ!

厄介オタクジャマト「ジャ~!(ぎえー!)」ドカァン

秀秋「くっちゃべってる暇があるなら広がれ! アイツら、別方向から侵入しようとしてやがるぞ!」

夏雄「ならペアを組んで別れよう。戦力的には……千春ちゃん、俺と来てくれ!」ダッ

千春「は、はーい!」ダダッ

秀秋「俺は一人で十分だ。お前らで勝手に組んでろ」

冬樹「わかった。行こう、中川さん」

せつ菜「わかりました! 佐藤さん、ご武運をお祈りします!」

秀秋「うるせえ、お前らなんかいなくたってやれるに決まってんだろ!」ビシュ、ビシュッ

せつ菜「西野さん! 最初からクライマックスで行きますよ! うおおおおお!」バシュバシュバシュ

冬樹「い、いくらなんでも速すぎるでしょ……こうなったら……! とうっ!」リボルブオン!

せつ菜「おぉ、そうやってフォームチェンジするんですか! オシャレで格好いいですね!」

冬樹「言ってる場合かなぁ……まいいや! ハァッ!」スカァン、ドガァン

せつ菜「……あ、あれは!」

厄介TOジャマト(ルークジャマト)「ジャッジャッジャ~(雑魚を囮にこっちから入っちゃお)」 

せつ菜「大物みたいですね……大型バックル持ち二人の私たちの所に来てくれたのは、不幸中の幸いでしたか」

冬樹「でも、僕ら初参加の初心者だよ? ちょっとマズい気がするかも……」

せつ菜「確かに厳しいですが……理想を叶えるため、そして世界を守るために戦い始めたんです……そうやって始まったのなら、貫くのみです!」バシュバシュバシュ

冬樹「……貫くのみ、か。確かにそうだね、もう誰も退場させない! 僕の理想の世界には、参加者の皆だって巻き込ませて貰うから!」キンッ、ドガッ

せつ菜「ふふっ、なら……私たちの思いを一撃一撃に込めて! っ! ハァッ! もっと頑張りましょう!」バシュバシュ、ボコッ、ドカッ

厄介オタクジャマト「ジャ~ッ(コイツら強いよ~)」ニゲニゲー

厄介TOジャマト「ジャジャジャ~(でも俺には生半可な攻撃なんて効かねえよ~)」ガキンガキン

せつ菜「トップオタだけは、リュックサックを盾に……存外硬いですね、アレ! マグナムでも歯が立ちません!」

冬樹「だったら、これでどうだ!」タクティカルファイア!

厄介TOジャマト「ジャジャジャ~(ガードベント)」ドガァン

厄介オタクジャマト「ジャ、ジャジャジャ……(お前……俺が、ライブに誘ってやったのに……)」ドサァ

厄介TOジャマト「ジャジャジャ(近くにいたァ、お前が悪い……)」ケラケラ

せつ菜「悪辣すぎます……!」ライフルモード!

冬樹「コイツは許しちゃダメな奴だ……!」チャキッ

夏雄「ふっ! はっ! っ……! ちょっぴり使いづらいな、鉄球! せめて、ドリルとか貰った方がマシだったかも!」キンッ、ガン、ドカン

千春「じゃ、じゃあプロペラ要ります……?」バシュバシュ

夏雄「もっといらない! アレ片手で使うの結構難しいんだよ!」ガンッ、ドガッ

千春「ご、ごめんなさい……」

夏雄(出来ればマグナムをねだりたいけど……幸ちゃんがバックルねだられて譲ったことが原因で退場した以上、それを俺が強要するのは良くない……悪印象を与えて、他のミッションとかで協力して貰えなくなる……! だったら、使い手側を活かすのは吉か!)

千春「っ……ちょっと、数が多い……!」ヤッ! モンスターストラァイク!

夏雄「……多数を薙ぎ払うなら、そのモンスターバックルよりも、下半身に使ってるマグナムバックルを上にした方がいいよ。リボルブチェンジだ」

千春「り、リボルブ?」

夏雄「真ん中のボタンを押してドライバーを半回転させるんだ! ほら、こんな風に!」リボルブオン!

千春「あ、そ、そういうこと……よし! チェーンジ!」リボルブオン!

夏雄「マグナムがメインなら、多数かつ多方向のジャマトも怖くないよ。頑張れ、千春ちゃん!」

千春「はい! 千春♡スプリングブラースト!」マグナム! タクティカルブラスト! ズバババババ、ドガガガ

夏雄「うお、すげー威力……もしかして、千春ちゃんって俺と同じでマグナムと相性いいのかな……」ガキッ、ドゴォ

厄介オタクジャマト「ジャ~(コイツら強えなぁ~)」 

厄介オタクジャマト「ジャジャ~(ぶっちゃけもうライブがどうでもよくなってきた~)」

秀秋「ハッ! オラァッ……クソ、味方の数が減った分下がりながらはキチぃな……だったら!」リボルブオン!

秀秋「派手に蹴散らすとするか! オラァァァ!」ダッ

厄介オタクジャマト「ジャジャ~!(コイツ急に突っ込んできた!)」

厄介オタクジャマト「ジャジャ、ジャジャジャ!(うわ、前からゾンビが!)」

秀秋「おらおら、どんどんかかって来いよ、キモオタども!」ガキン、ドゴォ、ズバァ

厄介オタクジャマト「ジャジャ~!(お助け~!)」ダダ

秀秋「てめぇらみたいなのは、まとめて駆除してやるよ……キモオタァ!」GRAB! ZOMBIE STRIKE!

厄介オタクジャマト「ジャ~!(どぼぢでごんなごどずるのぉぉぉ!)」ジタバタ

秀秋「ハッ。何言ってんだかわかんねえよ!」ポイズンチャージ! タクティカルブレェイク!

せつ菜「っ! このトップオタ……強いですね!」バシュバシュ

冬樹「あぁ……僕らじゃ火力が足りないんだ……ニンジャはスピードに秀でてても、コイツの防御を破れないし、ビートは範囲攻撃が出来てもやっぱり火力が足りない!」

せつ菜「なら、これで!」ウォーター、タクティカルブラスト! ジョバババババ

厄介TOジャマト「ジャジャ~(その程度じゃ俺は倒せないぞ~)」ブンッ

せつ菜「どこ投げて……えっ!? きゃぁっ!」ドカァン

冬樹「中川さぁん! だ、大丈夫か、中川さん!」

せつ菜「いっつつ……まさか、投げたグッズが爆発するなんて……ごめんなさい。変身解除されてしまったので、ちょっと時間を稼いで貰えますか……?」

冬樹「っ、わ、わかった……! 来い、オタクジャマト! 僕が相手になってやる!」

厄介TOジャマト「ジャ~(お前らやっちまえ)」

厄介オタクジャマト「ジャジャ~(数の暴力ばんざーい!)」ダダダ

せつ菜「すーっ、ふーっ……変身!」セット! フィーバー! クルクルクルクル……デェーン! アームドウォーター!

せつ菜「流石にハズレすぎます……! 西野さん、すみません! ちょっと時間かかってしまいそうです!」

冬樹「え? あ、だ、大丈夫! 頑張って持ちこたえてみせるから! そのためのビートだし……頑張って、中川さん!」ガキンッ、キンッ

せつ菜「西野さんの期待に応えるためにも……もう一度!」セット! フィーバー! クルクルクルクル……デェーン! アームドクロー!

せつ菜「あああああああああ! もう一回ですーっ!」セット!フィーバー! デケデケッ、テレレレレレッ

違反オタクジャマト(ナイトジャマト)「ジャジャァ~(俺も参戦~)」ドゴォ!

冬樹「あぶぎゃぁっ! に、二体目のボスなんて……普通、あっち行くもんでしょ……」

せつ菜「西野さんっ! ……くっ、今行きます! 今度こそ!」クルクルクルクル……デェーン! アームドドリル!

せつ菜「あぁっ、もうこれで行きます! 大型バックルのフォームなんていりませーん!」

冬樹「っ、だ、大丈夫! まだ大丈夫! もう一回引き直して、中川さん! 何とか耐えるから! ハァッ!」キンッ、ドゴッ

せつ菜「西野さん……っ! わかりましたぁっ!」セット! フィーバー! デケデケッ、テレレレレレッ

冬樹「ぐわっ! ぐふっ……あ、で、でも! なるべく早いと! ぶぐっ! 嬉しい、かっ! なぁ……! へぶごっ! いてっ! えひゃい!」ドゴッ、ボコォ、ドグシャァ

せつ菜「は、はい! 今度こそ……!」クルクルクルクル……デェーン! ヒット! ニンジャァ!

せつ菜「大型バックルは嬉しいですけどこれじゃダメです……! もう一回!」セット! フィーバー! デケデケッ、テレレレレッ

厄介TOジャマト「ジャジャジャー!(ジャマトキック!)」ドゴォ

違反オタクジャマト「ジャジャジャジャーン!(ジャマトパンチ!)」ドゴォ

冬樹「ぐわあああああっ!」チュドーン

せつ菜「はっ……西野さーん! 大丈夫ですか!? 西野さん! しっかりしてください!!!」

冬樹「こ、声が頭にキーンってくる……だ、大丈夫だけど……いててて……」

厄介TOジャマト「ジャッジャッジャ(そろそろ仕留めるか)」ザッザッ

違反オタクジャマト「ジャジャジャ(それな、もういたぶるの飽きた)」ザッザッ

冬樹「な、中川さん……ごめん、時間かせげなくて……はぁっ、ぐっ……うっ……はぁ……はぁ……けど、僕……信じてる、よ……中川さん、なら……こいつらに勝てる……って」グッ

せつ菜「……西野さん……! ッ、やります! 絶対に、やってやります! 私が、私自身の手で!」シュルッ、ブンブンッ、スチャッ

冬樹「そ、その姿……」

せつ菜「スクールアイドル同好会の優木せつ菜として……この世界を、守りますっ! ハァッ!」クルクルクルクルクルクル……デェーン! ゴールデンフィーバー! デレーテーレッテーテーテー……テテーン! ブースト!

せつ菜「……覚悟してください。私の仲間を傷つけたこと、『大好き』を盾に人を傷つけようとしたこと……そして、この世に生まれたことを! 私は許しません!」

厄介TOジャマト「ジャッ!?(最後だけ理不尽じゃね!?)」

違反オタクジャマト「ジャジャジャ!?(俺たちが何をしたって言うんだ!?)」

せつ菜「うおおおおおっ!」ブゥンッ

厄介オタクジャマト「ジャ~ッ!(こいつさっきと動きが違う! 速い!)」ドカァンドカァン

せつ菜「っと……西野さん、こちらお借りします!」スチャッ

冬樹「あぁ、うん。持ってって……任せたよ、中川さん……いや、せつ菜さん」

せつ菜「よっ! ふっ!」リボルブオン! セット! ニンジャァ……

厄介TOジャマト「ジャジャ(なんかヤバい気がしてきた)」

せつ菜「ハァァァッ!」ズババァ、ブゥン、ズバァッ

厄介TOジャマト「ジャ~(あ~もう滅茶苦茶だよ、皆一撃で吹っ飛ばされまくってるよ、クッソ速いじゃんアレ)」

違反オタクジャマト「ジャジャ(しんどいから別の入り口行くわ、後は任せるわ)」

厄介TOジャマト「ジャジャ~!(ちょ、お前何勝手に逃げてんだよ! 待って! ちょっと待って!)」

せつ菜「せいっ! ハァァッ!」リボルブオン! ドガァンバゴォン

厄介TOジャマト「ジャ~(こうなったら逃げるが勝ちだ)」スタタタ

せつ菜「逃がしません! 待ちなさぁぁぁい!」ダッ

厄介TOジャマト「ジャッ!?(なんで俺!?)」ビクゥ

せつ菜「こっちから……! せいやぁっ!」ドゴォ、バキィ

厄介TOジャマト「ジャァッ!(いてえ!)」ビシビシベシベシバカバカ

せつ菜「これでフィニッシュです……! 」ガチャッ、シュルルル

厄介TOジャマト「ジャ~!(お助け~!)」

せつ菜「ダイナミックに……! せつ菜☆ライダーブレイク!」ブーストライカー! ゴールデンビクトリー! ブゥンッドカァンッ

厄介TOジャマト「ジャジャジャ~!(いってえええええ! 半身吹き飛んだあああああ!)」ドゴーン

せつ菜「残りのジャマトも、蹴散らします! 待てーっ!」ブゥンッ

厄介オタクジャマト「ジャジャ~!(許して~!)」ダダダ

冬樹「凄い……免許持ってなさそうなのに、バイクで適格にジャマトを轢いてる……凄いなぁ、せつ菜さん……僕じゃ、あぁは、なれないや……」ヤレヤレ

厄介オタクジャマト「ジャジャ、ジャジャジャ……(皆があっちに夢中になってる内に、こっそり参加しちゃおう)」ソロリソロリ

冬樹「ッ! せつ菜さん! 逆方向に一人いる! 侵入しちゃいそうだ! っ、待てーっ! っ、あ……! 体が……! いっ、つ……ぐ、あぁっ……!」ガクッ、ドサ

せつ菜「大丈夫です……このニンジャなら!」グイッ、シュバババババ!

せつ菜の分身「会いたかったよー!」バァーンッ、ペカー

厄介オタクジャマト「ジャ~!(俺は会いたくなかったー!)」ニゲニゲー

せつ菜「逃がしませーんっ!」リボルブオン! タクティカルスラァッシュ!

せつ菜の分身「そぉい!」ドゴォン

厄介オタクジャマト「ジャ~!(あと少しだったのにー!)」キラーン ズバババババァッ

せつ菜「ふぅ……やりました。ブイ、です!」

冬樹「は、はは……すっげー……その赤いフォーム、超レアな奴なのかな」

せつ菜「……ですが、違反オタクの方は逃がしてしまいました。せっかく作ってくださったチャンスなのに、すみません」

冬樹「いいよ。片方倒しただけでも十分だよ……それに、僕があんまり役に立たなかっただけだからさ。はは……あぁ、緊張解けたら立てなくなっちゃった……ごめん、最初で最後のお願いだからさ、肩貸してくれない?」

せつ菜「はい、お安い御用です! よっと……」

冬樹(こんな可愛い子の肩借りちゃった……理想の世界を叶えるのに比べたら安いことだけど……生きてれば、意外といいことあるもんだな)

ツムリ『それでは第1ウェーブ終了でーす! 皆さん、お疲れさまでした!』

ツムリ「西野 冬樹様。あなたはこれ以上の参加は危険とみなし、ドクターストップ……すなわち脱落となります。よろしいでしょうか?」

冬樹「……あぁ、ドクターストップってあるんだ。このゲーム。これなら、元の生活にも戻れるの?」

ツムリ「はい。この場合脱落扱いとさせていただきますので、あなたは元の生活に戻れます」

せつ菜「そんな……西野さん。私の変身の時間稼ぎのために戦って、それで終わりだなんて……どうにかならないんですか!? こんなに戦えるバックルがあるなら、傷を治すのだって……!」

冬樹「いいんだよ。君の活躍が見れて、君に肩借りれて、いい思い出になったし……それに。ここで終わるなら、僕の理想に対する思いがこれだけだったってことなんだ。今も残ってる皆は、きっと理想を願う心が僕なんかよりもずっと強かった……そう思えば、ここを降りるのも納得できるよ……正直、気張って疲れちゃったし、いいんだよ」

秀秋「フン……俺の理想の世界が叶ったら、次はお前が叶えることだって出来るだろうよ」

冬樹「ははっ……まぁ、皆。頑張ってね、世界救って、神様になって……理想の世界、今まで脱落していった人たちや……僕に見せてよ」

千春「西野くん……」

夏雄「冬樹……」

冬樹「それから、皆。一回戦の時はごめん。皆僕と同じで、理想の世界のために必死に戦ってたのに狂ってる、なんて言って……」

夏雄「気にするなよ。冬樹は間違ってない、冬樹は……立派な人間だよ。デザグラで見てきた人間で、冬樹みたいに他の参加者を守ってやれる優しさを持ってるプレイヤーは珍しかった」

冬樹「そっかぁ……僕、まともで優しい人間かぁ」

千春「……うん。私たちが保証するよ。西野くんは、凄い立派だった。西野くんは自分を誇っていいんだよ」

せつ菜「はい。西野さんは、西野さん自身が思っている以上に凄い人です。私は、あなたのその優しさに助けられましたから……!」

冬樹「……そう、保証されたことも忘れちゃいそうだけど……でも、君たちに出会えてよかった。この気持ちだけは確かだ……じゃあ、ね」

『RETIRE』シュンッ……カランッ

ツムリ「彼は、仮面ライダー失格となりました」

せつ菜「……ですが、立派な仮面ライダーでした。ここにいる、誰よりも優しくて……立派な仮面ライダーです」

夏雄「そうだな……理想を願って、他人を蹴落としてでも進みたがるこのデザイアグランプリで、アイツは異端だよ。でも、人間の鑑だった」

ツムリ「……それでは皆さん、第2ウェーブまでご休憩ください!」

秀秋「さてと。今度はビートゾンビで頑張るか」スッ

千春「……一応、ドリル。使います?」スッ

夏雄「……うん、助かる」

夏雄(いい空気に浸ってたら大型バックル取られちゃった……秀秋の野郎……!)

せつ菜(……西野さんが作ってくれたチャンスと、くれたこのバックル……これを大事にして、戦わないと。今度は私一人で……東雲学院のライブを、守るんだ)

秀秋「棚ぼただなぁ、大型バックル2個持ちなんて俺にも運が巡って来たか」

夏雄「……まぁ、ないよりかはマシか、ないよりかは」

千春「大型バックル2個持っててもあれだけ怪我しちゃうって考えたら、西野くんのアドバイスは正しかったんだよね……ちゃんと、コレ大事にしないと」

ツムリ「それでは、第2ウェーブ開始となります! 皆さん、ご武運を!」シュンッ

せつ菜「……今度は、私一人でもやり抜きます。西野さんのためにも……!」セット!

秀秋「キモオタ共はまとめて駆除してやる……」セット!

夏雄「それじゃ、さっきと同じ方向よろしく頼むよ、千春ちゃん」セット!

千春「はいっ、 東条さんも、よろしくお願いします」セット!

3人「変身!」

千春「シッ!」

シュバババ……ニンジャァ!

デュアルオン! ビィート! ゾンビィ……

デュアルオン! ヤッ! モンスタァー! マグナム!バァン!

デュアルオン! アームドハンマー! アームドドリル!

『READY……FIGHT!』



厄介オタクジャマト「ジャッジャッジャ~(今度は大軍だぞ~)」ザッザッ

せつ菜「数はさっきよりも多い……けれど、残念でしたね。ジャマトたち……今の私は、数が相手でも怖くないです!」シュバババ……!

せつ菜「分身の術っ! ドローンッ!」ボンッ、ボボボボボンッ

せつ菜の分身×7「皆ーっ、会いたかったよー!!!!!!!」

厄介オタクジャマトたち「ジャジャ(ジャマト倒すってレベルじゃねえぞその人数)」ガタガタ

せつ菜「行きます! うおおおおおっ!」ダダダダダダダダダ

厄介オタクジャマト「ジャアアアアアアアアアア!(うわあああああああああ!)」※恐怖心の顔

秀秋「お? なんだよ。俺んとこにボスがお出ましってわけかよ。見る目のねえっ、馬鹿なジャマトだなぁ! オォイ!」ガキンッ、ドゴォッ、ドグシャァッ

厄介オタクジャマト「ジャジャ、ジャジャジャジャ(へいオヤビン、このやたら強いゾンビ野郎をボコしてください)」スッ

違反オタクジャマト「ジャジャジャ(任せろ、コイツ一人だしなんか赤いの着てないから弱そうだし)」チャキッ

秀秋「何言ってるか知らねえが、なんだか俺に舐めた口利いてるのだけはわかるぜ。駆除してやるよ、キモオタの親玉野郎が」キッ

違反オタクジャマト「ジャジャ!(いざ尋常に勝負! 正々堂々多対一だ!)」バッ

秀秋(無駄に数が多い……だったら、まずは一対一に持ち込んで、確実にぶった斬る!)

違反オタクジャマト「ジャッ、ジャッ!(そら、それ!)」ブンッ、ブンッ

秀秋「っと、はっ……集まって……砕け散りやがれ!」タクティカルブリザード!

厄介オタクジャマト「ジャ~!?(えっ、体が引きずられる!)」ビュゥゥゥ

厄介オタクジャマト「ジャジャ~!?(しかも体が凍る~!)」ピキピキ

秀秋「まとめて……消し飛べぇぇぇっ!」GRAB! ZOMBIE STRIKE!

厄介オタクジャマト「ジャーッ!(ぎえーっ!)」チュドーンッ

秀秋「あとはお前だけだな。キモオタ親分野郎」リボルブオン! チャキッ

違反オタクジャマト「ジャジャ、ジャジャジャ……(舐めるなよ……数に頼れなきゃ何も出来ないってワケじゃないぞ)」グッ

秀秋「だから……何言ってるかわかんねえつってんだろ!」ダッ、ドゴォッ

違反オタクジャマト「ジャ~ッ!(いきなり蹴られた! 痛い!)」ブンッ

秀秋「ぐっ! 中々重い攻撃じゃねえか……もっと寄越せよ! オラァッ! オッラァッ!」ブゥン、ギィンッ

違反オタクジャマト「ジャッ!ジャジャジャジャ……(こいつ、やっぱり強いなぁ……けど、こっそり潜ませた厄介オタクジャマトがこいつの後ろを取れば……その隙にやれる!)」キンッ、ドカッ、ギンッ

夏雄「っと! うーん……ドリルとハンマーなら、まぁさっきよりかはマシか。千春ちゃんの頑張り込みで」ドカッ、バゴンッ、ドリリリ

千春「それは、ありがとうございますっ!」バンバンッ、ボコッ

夏雄「……けど、さっきよりも数が増えてる分、他の方角を心配せざるを得ないね……せいやっ」スパコーンッ

千春「じゃあ、東条さんが菜々ちゃんか佐藤さんの方に行きますか? 私は今大丈夫ですよ!」ビシュビシュ、スパンッ

夏雄「いや。秀秋とはソリが合わないし、菜々ちゃんは心配することないと思うよ。だから、俺たちは俺たちでやろう」カンッ、シュッ

千春「わかり、ました! せいやぁっ!」リボルブオン! ヤッ! モンスターストライク!

夏雄「うっほ、すげえ流れるような必殺技。上手くなってきたじゃん」

せつ菜「ふぅ……無事片付きましたね。西野さんの残してくれたバックルのおかげで……ですが」ハーッ

せつ菜「……他の方角も見に行きましょう。丁度、手が空いてますし」ザッ……タッタッタッタッ

厄介オタクジャマト「ジャ? ジャジャ(な? ちょっと隠れてれば狙い通りどっか行ったぜ)」

厄介オタクジャマト「ジャジャ!(お前スゲーじゃん! 天才じゃん! 流石IQ20は伊達じゃないな!)」

厄介オタクジャマト「ジャジャジャ!(これなら俺たち三兄弟で東雲のライブ見れるな!)」ワイワイ

せつ菜「な~んて……私がどこかに行くフリをすれば、堂々と出てきてくれると思いましたよ」ザッ

厄介オタクジャマト「ジャ~……(あら~……)」

厄介オタクジャマト「ジャジャジャ?(許してくれる?)」ペコリ

厄介オタクジャマト「ジャジャジャ(俺たちライブが見たいだけなんだ、あわよくばそこに集まってる女の子と出会いたいだけで)」ペラペラ

せつ菜「……何言ってるか、わかりませぇぇぇんっ!!!!!」タクティカルスラァッシュ! ニンジャストライク!

厄介オタクジャマト×3「ジャーーーーーッ!(ギャーーーッ!)」ドカーーーンッ

秀秋「フッ! オラァッ!」ガキンッ、キンッ

違反オタクジャマト「ジャジャジャ……(どうしよう、逃げようかな……)」キンッ、キンッ

秀秋(逃げの姿勢を見せたら速攻で潰す! ビートの属性及び範囲攻撃、ゾンビの拘束力とパワーがある今なら、やれなくはねえ……こいつは、絶対に逃がさねえで、俺が仕留める!)

違反オタクジャマト「ジャジャッ(にーげよっ)」バッ、ダダダ

秀秋「逃がすかよ!」ダッ

違反オタクジャマト「ジャ~ジャジャッ(な~んてね)」クルッ ブンッ

秀秋「しまっ──ぐあっ!」バシィッ、ゴロゴロ

違反オタクジャマト「ジャ~ッジャッジャッジャッ(ぷーくくく、引っかかってやんの、ぶーざーまぶーざーま、に~んげんってぶーざーまー)」ゲラゲラ

秀秋「この野郎……舐めた態度取りやがって!」GRAB! ZOMBIE STRIKE!

違反オタクジャマト「ジャッジャ(おっと、危ない危ない)」スカッ

秀秋「ムカつく野郎だぜ……! ならコイツだ!」リボルブオン! タクティカルファイア!

違反オタクジャマト「ジャッジャッジャ(おっとっと)」スカッ

秀秋「チィッ! この野郎……! ちょこまかしやがって!」

違反オタクジャマト「ジャジャジャ~(当たらなければどうということはないのだよ)」チョロチョロ、チョロチョロ

秀秋「ビートとゾンビじゃ捉えきれねえ……せめて、ニンジャか”アレ”があったら、こんな奴大したことねえはずなのに……!」ギリギリギリギリ

せつ菜「……誰かが、このバックルを求めてる?」

せつ菜(杞憂……な気はしますが、なんだか、ソレを思いっきり投げろ! と誰かが頭の中に問いかけて来るような……)

せつ菜「……ええい、杞憂でもなんでも……そうしたいと心で思ったのなら、それに従うのみです! せいやぁぁぁっ!」ブンッ、キラーンッ

ニンジャバックル「ほなさいならー」ビューンッ

夏雄「ん? 今なんか空を何かが通ったような……」

千春「UFOか何かかな……?」

夏雄「ま、気のせいか」

ニンジャバックル「よろしくやでー」ビューンッ

秀秋「あ? なんだ?」パシッ

違反オタクジャマト「ジャッ(えっ)」

秀秋「……へぇ、またもや俺に、運が巡って来たってワケか!」ガシュッ、スチャッ セット! シュバババ……ニンジャァ!

違反オタクジャマト「ジャジャ(ゆるして)」ガタガタ

秀秋「じゃあ今までの仕返しを、たっぷりとさせて貰おうじゃねえか。このクソキモオタ野郎が」シュバババババ……

秀秋の分身×4「本体合わせて5人がかりだ、10倍返しにさせて貰うぜ」

違反オタクジャマト「ジャ、ジャッジャジャ! ジャジャジャジャ!(ちょ、ちょちょちょ待ってください! 待って! 助けて! お願いします!)」ガタガタ

秀秋×5「さっきから何言ってんだかわかんねえつってんだろ、バーカ」リボルブオン! シュバババ……ニンジャストライク! ポイズンチャージ! タクティカルブレイク!

違反オタクジャマト「ジャバババーッ!(うわあああ! うわっ、うわあああ……うわらば!)」ボーンッ

ツムリ『ミッションコンプリートです! 無事、ジャマト一匹ライブの会場に入れることなく決着がつきました! 仮面ライダーの皆さんの大勝利でーす!』

せつ菜「無事、守りきれたみたいで良かったです……はぁ、とっても疲れました」

秀秋「ふん。ザコばっかだったからな。これくらい当然だろ」

夏雄「俺は千春ちゃんに助けられたよ、ありがとう」

千春「でも、私も東条さんのアドバイスのおかげで効率的に戦えましたから、おあいこです!」

ツムリ『それでは皆さん、次のゲームは追ってお知らせいたします。それでは、次のゲームまで平和なひと時をお過ごしください!』

せつ菜「……平和なひと時、ですか……ひと時……」

秀秋「今日はたこ焼きでも買って帰るか……」

夏雄「じゃ、俺はもんじゃでも食べに行こっかな」

千春「じゃあ、私はコッペパンにしよ~っと……」

ツムリ『皆さまお疲れさまでしたー』シュンッ

彼方「くぅ~……遥ちゃんのライブ、最高だったぁ……彼方ちゃん、感動で涙が3Lも出ちゃったぜ~」

かすみ「大洪水……まぁ、確かにはる子のライブパフォーマンスは凄かったです、かすみんも負けてられない、って感じました!」

しずく「これなら、ラブライブの優勝も目指すのも絵空事なんかじゃない、ってクオリティでしたね」

エマ「ファンサービスも出来てて、È stato fantastico! って感じだったよ~!」

璃奈「最高だった。璃奈ちゃんボード、『アァァァメイジィィィングッ!!!(CV濱尾ノリタカ)』」

侑「うーん……」

歩夢「侑ちゃん、どうかしたの?」

侑「ライブが終わる直前くらい、どこかからせつ菜ちゃんの叫び声が聞こえたんだよね……せいやぁぁぁっ! って」

しずく「でも、今日はせつ菜さん、『どうしても外せない用事があったんです、ごめんなさい』って、どこか出かけてしまったはずですよね?」

ミア「せつ菜のことが大好きすぎるベイビーちゃんの幻聴だったんじゃないか? ボクには聞こえなかったしね」

ランジュ「あら、ミアは聞こえなかったの? ランジュにはハッキリ聞こえたわよ! せつ菜が気合を入れた叫び声が、今も頭の中に残ってるわ!」

栞子「私にもハッキリと聞こえました。ミアさんは、ペンライトを健気に振っていた璃奈さんと、ファンサービスをする遥さんに夢中で聞こえなかったようですが」

彼方「えぇ~? ミアちゃん、遥ちゃんに夢中で応援してくれたの~? 嬉しいことしてくれるぜ~」ウリウリ

ミア「なっ、べ、別になんだっていいだろ! そもそもライブを見に来たんだから、そっちに注目して何が悪いのさ!」

栞子「カマをかけたつもりでしたが、本当だったんですね」

ミア「なっ! し、栞子……ボクをハメたな……」

愛「ま~ま~い~じゃん! しおってぃーが冗談言えたんだから~、めでたいじゃ~ん!」

ミア「ボクはめでたくないー!」

愛「なんでさー、いーじゃーん!」

ランジュ「照れるミアも可愛いわねー」ツンツン

かすみ「フッ。ミア子にもいじられキャラが定着しましたねぇ。これからは、かすみんの代わりにいじられキャラをやって貰いましょう。かすみんは、可愛いキャラでのびのびと……」

璃奈「ミアちゃんがいじられても、かすみちゃんがこれからもいじられ続けるのは変わらないよ。璃奈ちゃんボード『かすみんに相応しいエンディングを見せてやる』」

かすみ「えっ」

しずく「ふふっ。かすみさん、いじられキャラから逃げられると思わないでね?」

かすみ「そ、そんな゛ぁ~……」

果林「ふふっ。全力で応援した後だって言うのに、皆元気ね」

侑「そうですね~。でも、大好きなスクールアイドルの後の応援なら、疲れるどころかトキメキで元気出ちゃうから、わかるかも」

歩夢「そうだね。私も、侑ちゃんがピアノ弾いた時は元気出るもん」

侑「えへへ、ありがと歩夢……」

歩夢「侑ちゃん……」

果林(ここだけは二人の世界ね)



せつ菜(皆さんは、ライブを楽しめたみたいですね……私は見に行けませんでしたが、感想を聞いて、皆さんの『大好き』を感じましょう。その分、私は皆さんが『大好き』を感じていられる時間と平和を、守りますから……退場、脱落していった方たちのためにも……!)

せつ菜「はしーりだしーたー、おもーいは強くすーるーよー……」スタスタ

侑「いやぁ~、昨日の東雲のライブの余韻がまだ体から抜けないよ~!」

せつ菜「それは凄いですね。行けなかったのが残念です!」

栞子「生で見る迫力には敵いませんが、ネット配信も行っていたみたいなので、そちらの映像なら見られますよ」

せつ菜「おぉ! ありがとうございます! 栞子さん!」

栞子「い、いえ。私は彼方さんから教えてもらっただけですので……」

せつ菜「では彼方さんもありがとうございます!!!」

彼方「お礼を言ってくれるのは嬉しいけど、もうちょい声を抑えて欲しいぜ~。彼方ちゃんの頭壊れちゃうよ~」

せつ菜「はっ、あ……すみません、ついテンションが上がってました……」

歩夢「でも、良かったね。せつ菜ちゃん、これで皆でライブの感想が言い合えるよ」

ランジュ「あのライブを見られないのは損だと思ってたから、見られてよかったわね、せつ菜!」

せつ菜「はい! 帰ったら見させていただきます! そうと決まったからには、今日の練習はそれを楽しみの全力で頑張りましょう! えいえいおー!」

璃奈「凄い熱気を感じる……璃奈ちゃんボード、アツアツ!」

愛「せっつーのやる気、ブチ上がってるねぇ。愛さんも負けてられないよー!」

果林「トバしすぎて、序盤でバテないようにね」

しずく「あはは、せつ菜さんと愛さんの体力なら、最初から全力を出しててもきっちり完遂しそうですけど……」

かすみ「これはかすみんも負けていられませんねぇ。部長としての威厳を示しますよ!」

ミア「はぁ……子犬ちゃんがせつ菜について行けると思わないけど」

ランジュ「あら。かすみはやる時はやる子よ? ランジュと同じくらいのガッツがあって、全力のせつ菜にだってついていけるわ!」

栞子「それは凄いですね。かすみさん、期待してます」

かすみ「うっ、ぷ、プレッシャー……」

歩夢「もう。かすみちゃんにあんまりプレッシャーかけちゃったら可哀想だよぉ」

アハハハハハ……

せつ菜(皆さん幸せそうに笑ってます……この平和、必ず守り抜かなくては……!)

エマ(せつ菜ちゃん、何か思い詰めてるみたい……大丈夫かな?)

練習終了後~~

エマ「ねぇ、せつ菜ちゃん」

せつ菜「はい。エマさん、どうしました?」

エマ「最近悩んでることとか、ない? 東雲のライブに行けなかった時のこととか」

せつ菜「いえ。特にはないですよ、大丈夫です!」ペカー

エマ「そっかぁ。さっき、部室で思い詰めてるみたいだったから、心配だったんだぁ。何もないならよかったぁ。何かあったら、いつでも相談してね!」

せつ菜「はい。エマさんはとっても頼りになりますから、いざそういう悩みが出来た時は、相談させていただきます!」ペカー

エマ「うん。やっぱりせつ菜ちゃんには笑顔が似合うねぇ」プニプニツンツン

せつ菜「うひゃぁ! もー! そこは突っつかないでくださいー!」

アハハハハハ……




せつ菜「……大丈夫。私は仮面ライダーになったんだから、きっとやれる……この先だって、ジャマトから皆を守ってみせます。
いつだって、自分たちの『大好き』を守るために戦って、勝って、生きて帰る……それが、私の知る格好良いヒーローですから」

せつ菜「そうたーかくー……果てーなくー……明日へと導く……」

副会長「会長。窓を眺めてどうしたんですか?」

せつ菜「いえ。部活動をしている生徒たちを見て……私の活動は、この一年を通してとっても有意義だったんだな……と」

副会長「……そうですね。私も、会長のおかげで色んなものに目覚められましたから! 主にスクールアイドル関連!」

せつ菜「あ、あはは……その節はどうも……」

せつ菜(そういえば、最初は副会長とも会話することがあんまりなかったのですが……私が優木せつ菜になって、彼女の心を鷲掴みにした時、生徒会の業務に関すること以外でも多く喋るようになったんでしたっけ……)

副会長「また何かライブとかの予定があれば、必ず駆けつけて、全力で応援しますね。私、せつ菜ちゃんのファンになったのは遅くても、応援する気持ちなら負けてませんから!」

せつ菜「……ありがとうございます。でも、今の私は中川菜々で、優木せつ菜ではないですから……その発言はあまりよろしくないですよ」

副会長「わ、あぁっ、失礼いたしました!」ペコーッ

せつ菜「あぁ、別に頭とか下げなくたっていいですから。あくまでからかっただけですから! 冗談です!」

副会長「よ、よかったぁ……嫌われちゃったら、って思って焦りました……」

せつ菜「はは……大丈夫です。健全な『大好き』をぶつけてくれるのなら、私は喜んでお返しいたしますから!」ニコッ

副会長「きゅぅ……反則的笑顔ぉ……」ウルウル

せつ菜(喜んでいただいて何よりです。こうして身近なファンがいて、また『頑張ろう』と思えるのはとっても幸せなことですね……)

翌日

ツムリ「皆さん、お待たせいたしました。少々早いですが……最終戦となります」

夏雄「確かに前回より早いし、人数もちょっとだけ多いな。前回は俺と秀秋と……あと、アイツだったか。警察官の奴」

秀秋「あぁ、人命救助が最優先とか言ってたな、助けたと思ったやつ皆食われてたけど」

千春「最終戦って、どんなゲームになるんですか? また、街を守るとかそういうのですか?」

ツムリ「いえ。今回はラスボスジャマトの討伐です。題して『ロボ討滅ゲーム』です」

せつ菜「ロボ? ロボって、お台場とかにあるような……?」

ツムリ「はい。前回のゲーム……ライブ防衛ゲームで半身を吹き飛ばされたジャマトが、なんとお台場にあった巨大ロボに寄生し、近隣の人を栄養源に成長を始めてしまいました」

夏雄「なるほどなぁ……前回の城に比べたら倒せそうな分、何とかなりそうだけど……骨が折れそうだな」

秀秋「ま、デザ神様でもバックルがそれだけじゃあなぁ」

夏雄「ラスボス相手じゃ、ゾンビとビートだけじゃ無理があるだろ」

秀秋「残念、コイツもあるんだな」スッ

夏雄「ニンジャ……お前それ菜々ちゃんのだろ。返してやれよ」

秀秋「本人が返せって言えば、な」フリフリ

千春「菜々ちゃん? あれ、菜々ちゃんのバックルだよね? 佐藤さんに持たせっぱなしでいいの?」

せつ菜「……」

秀秋「いいです、ってよ」フリフリ

せつ菜(……前回私が中途半端に傷をつけたジャマトが、成長して人を栄養源にしてる……つまり、私のせい。私がちゃんと倒していれば……!)

夏雄「……あんまりキバるなよ。力が入りすぎると、うっかりミスを招くぜ」

せつ菜「……はい。そうですよね、すみません……ちょっと、最終戦だからと緊張しちゃってました」

千春「ははっ、菜々ちゃんでも緊張するんだね。最初のゲームの時は自信満々だったのに」

秀秋「そういうお前は、1回戦じゃガタガタ震えてるだけの奴だったのに今じゃ普通に戦ってんじゃねえか」

千春「うーん、慣れ……なのかなぁ? あと、デザイアグランプリの合間合間に東条さんと会ったりして、仲良くご飯食べたりして距離感掴めたからかなぁ?」

夏雄「秀秋だって、割と丸くなってるしな。前のゲームじゃルール違反だって言われてても俺のこと殴りに来たし」

秀秋「俺は変わってねえよ。いつだって俺は俺だ、世界を救うのも、デザ神になるのも、今回は今までずっと変わらねえ俺自身がやるだけだ」

せつ菜「皆で……頑張って、世界を救いましょうか」

夏雄「あぁ。デザ神を目指すのも大切だけど、まずはゲームクリアが最優先だな」

ツムリ「それでは最終戦! ロボ討滅ゲームのスタートです!」シュンッ

せつ菜「……これが最後。なら、やれる限りのことをやって……勝つ!」シュルッ、スチャッ

夏雄「お、髪型変えたんだ。いいね」

せつ菜「はい。自分のやらかしに清算をつけるためには、こっちの方が性に合うんです」

夏雄「なんだかよくわからない理由だけど、そっちも似合ってるよ。むしろ、俺好みだ」

秀秋「参加者ナンパしてんじゃねーよ、バカ丸出しか」

千春「うーん? 菜々ちゃん、どっかで見たような……まいいか」

ポーンジャマト「ジャッジャッジャ~(進め、我らには巨大なロボットが味方にあり)」スタスタ

秀秋「来たか……さっさと終わらせるぞ、変身」ビート! ゾンビィ……

夏雄「おう。二連覇は俺のもんだ」デュアルオン! アームドドリル! アームドハンマー!

千春「スクールアイドルが皆に知られるように……頑張る!」ヤッ! モンスタァー! マグナム!

せつ菜「……皆の『大好き』を守るためにも、ここで勝ち切ります!」セット! フィーバー! ヒット! モンスター!

夏雄「あれがラスボスか……」

ロボットジャマト「ジャ~(疲れた体に人間の味が染みわたるわ~)」ムッシャムッシャ

せつ菜「あれを倒せば終わるなら、速攻で終わらせます! 先手必勝! うおおおおっ!」ダッ

夏雄「待て! もっと様子見をしてからでも……」

秀秋「うるせえな、じれったいんだよ!」ダッ

夏雄「くっ、あの二人がラスボスの方に向かうなら、俺たちは雑魚ジャマトの方をやるぞ! 先にこっちを殲滅しないと、ラスボスに捧げられる養分が増える!」ダッ

千春「わ、わかりましたっ! じゃあ、早速……!」リボルブオン! ダッ

ポーンジャマト「ジャッジャッジャ~(ロボットに養分捧げるために頑張るぞ~)」ワーワー

夏雄「させるかぁっ!」ドリルストライク!

ポーンジャマト「ジャーッ!(ぎえー!)」チュドーンッ

キャーキャーワーワー

千春「大丈夫ですか! 逃げてください!」ライフルモード! ビシュビシュ!

ダレカキタゾー! ミンナニゲテー!

千春「人命救助もしなきゃいけなきゃいけない……これが、最終戦……!」ビッシュッ、バシュッ

夏雄「今までがイージーすぎたんだよ。デザイアグランプリってのは本来こういうミッションが多いんだ!」ドガッ、ボゴッ

副会長「なんだか凄い騒ぎ……いったい何が起きてるんですか……!?」

侑「よくわからないけれど、離れた方がいいよ。皆も心配だし、副会長だって危ないよ」

副会長「うぅ……次のせつ菜ちゃんのライブについて打ち合わせする予定だったのに……こんなことが起きるなんて……!」

ポーンジャマト「ジャッジャッジャ~(養分みーっけ)」

侑「わぁっ!? 副会長逃げて! なんか来た!」グイッ、ダダダ

ポーンジャマト「ジャ~(待て~)」ダッ

ポーンジャマト「ジャジャ~(俺もいるぞ~)」ダダッ

副会長「ま、前からも!? だ、誰か──」

愛「よいっしょーっ!」ドカッ

ポーンジャマト「ジャバッ!(たわば!)」ドサー

愛「ごめんゆうゆ! コイツら学校の方にも、来ててっ、手間取って、すっかり遅れちゃったっ!」ドカッ、ドゴォッ

侑「愛ちゃん……助かったー! ってか戦えたんだ!」

愛「んっ! しずくの演劇部に助っ人で駆り出された時っ! こういう、タテっ! 教わった、からっ! せいっ! どんなもん、じゃいっ!」ドカッ、シュッ、バキッ、スパコォン

副会長「あ、ありがとうございます!」

愛「早く学校まで逃げよ! 愛さんも、流石にっ、何体も相手にするとっ! キツい、しっ!」バキッ、ドガッ、ドゴォッ

ポーンジャマト「ジャジャジャ(コイツ生身のくせに強すぎだろ、逃げよ)」スタター

副会長「でも、会長は……!」

愛「せっつーは……学校内じゃ見てないけど、多分大丈夫だと思う! それよりせっつーだったら、ゆうゆや副会長のことを心配するだろうっ、ふっ! から……全員無事でないと! そっちの方が、せっつーのこと傷つけちゃうよ!」

侑「……そうだね。副会長、学校に戻ろう!」

副会長「はい……っ、あ──」

せつ菜「先手必勝です! うおおおおっ!」フィーバービクトリー! モンスターストライク!

ロボジャマト「ジャジャ~(そんな小さい攻撃でどうにかなるわけないだろ)」ブンッ

せつ菜「モンスターフォームのパワーなら……多分、いけます! せいやぁぁぁっ!」ドカァン

ロボジャマト「ジャ……ジャジャッ……ジャーッ!(ぐ……すげえパワー……ぐわぁっ! 腕吹っ飛んだーっ!)」ドガァン、ガラガラ……

せつ菜「やりました! 片腕破壊です! この調子でもう片方も……」

夏雄「油断するな! それは”外装を壊した”だけだ!」

せつ菜「ッ──あ」

せつ菜(私が拳の打ち合いで壊した腕から……沢山の木々やツルが生えて……!)

ロボジャマト「ジャッ(お返しだ)」ボッ

せつ菜「あ──きゃあっ!」ドカァン! ボゴォン、シュンッ

秀秋「ッ……マジか、モンスターの防御力でも一撃かよ」

夏雄(大型バックル、それもパワータイプのモンスターでも一撃で変身解除……となると、小型しか持ってない俺じゃあいつは絶対倒せない。
それに、奴自身がデカすぎてモンスターの火力でも外側のロボット部分しか壊せなくて、中身にダメージとして届いてない。だったら……)

秀秋(こりゃ、俺のゾンビでも中身をぶった斬るのは無理っぽいな。そうなると……)

二人「狙うのは、一つか!」

千春「っ、東条さん……?」

秀秋(賭けだが、やってみるしかねえ! 俺のガラじゃねえが……勝つためだ!)リボルブオン! シュッ、セット! ニンジャァ!

夏雄(俺に出来る内容なら、こっちだ! アレを引き当てない限り、勝機は来ない……!)

ロボジャマト「ジャッジャッジャ~(いただきまーす)」ブンッ

せつ菜「あ──」

秀秋「オラァァァッ!」ポイズンチャージ! タクティカルブレイク! ガキィィィンッ!

せつ菜「佐藤、さん……?」

秀秋「勘違いすんな……お前のためじゃなく、アレのためだぁぁぁ!」ドガッシャーン、バァン

ロボジャマト「ジャジャ……(コイツ、チェーンソー一本で俺の拳を弾いた……ナニコレ化け物かよ)」ジンジン

秀秋「……チッ。こっちはシークレットミッションじゃねえのか……!」

せつ菜「……助けてくれて、ありがとうございます……」フラフラ

秀秋「うるせえ。お前の為じゃねえ、あくまでシークレットミッション探しのためだ。それと、あのラスボスは俺がやる。デザ神になるのは俺だ」ダッ

せつ菜(体のあちこちが痛い……頭から血も出てるからか、少し意識がぼーっとする……立っていられないかも……でも、立たなきゃ……人を……街を……守らなきゃ……!)

──ちゃん……! 菜ちゃん……!

せつ菜(誰かが、私を呼んでる……? こっちに、走ってきてる……?)

副会長「せつ菜ちゃん!」

せつ菜「副、会長……?」

せつ菜(どうして彼女がここに……? あ、ここ、お台場……学園が、近い……んだった……)

秀秋「オラァッ! ハァッ!」ガァン! ズバァッ!ニンジャストライク!

秀秋×5「くれてやるよ! 5連撃ッ!」ポイズンチャージ! タクティカルブレイク!×5

ロボジャマト「ジャ~♡(効かねえよざ~こ♡)」ブンッ、ビュルンッ ドゴォッ!

秀秋「っ、ぐわあああっ!」バシュゥッ、ドガァン、ガラガラガッシャーンッ

副会長「わっ……! 瓦礫が飛んできて……危ない……! せつ菜ちゃん! 今そっちに行くから!」

せつ菜「っ、あ……! 来ちゃ、ダメです……! 逃げ、て、副会長!」

ロボジャマト「ジャジャッ(美味そうなのみ~っけ)」ブンッ

副会長「っ──! せつ菜ちゃぁんっ!」ガバッ

せつ菜「わぷっ──」ドサッ

突然のことで、何が起きたのかが分からなかった。
 ただ、眩暈がするほどに朦朧としていた意識がはっきりとするくらいの衝撃が突然やって来た。
 あちこちが痛んだ体は、突然硬い地面に倒れて更に痛みを訴えてたけど。
 何故か、私の顔やお腹は柔らかいものに守られていて、目を開けても、暗くて何も見えなかった。

副会長「っ、あ……は、は……ごほっ、ぅ、ぁっ……」ドプッ

せつ菜「え……? ふ、ふく、会長……? そ、それ……なん、で……」

副会長「ぁ……生きて、る……は、ははっ、せつ菜ちゃん、を……守れ、て……よかっ、た……」

 私を守ろうと、生身のまま飛び込んできてくれた、ひ弱な彼女は。
 背中からお腹までを、ロボジャマトの太い触手に貫かれていて……制服も、白い肌も、真っ赤に染められていた。
 ぽたぽたと垂れる血が、私の服にかかるたびに「これは現実だ」と無情に教えてくる。

副会長「……逃げ、て……せつ菜、ちゃん……」グッ、ガクッ

せつ菜「あ、あぁ……ヤだ……そんなの、ヤだ……! 副会長……! ふくかいちょぉ……!」

副会長「……」

ロボジャマト「ジャジャ~(いっただきまーす)」シュンッ、パクーッ

 私を、命がけで守ってくれた彼女は。ひと呼吸の間に目の前からいなくなっていて。
 彼女がそうせざるを得なかった状態を作った元凶の、栄養源にされてしまった。

せつ菜「あぁ……あああああ……! 嫌……いやっ……! いやあああああああっ!」

 仮面ライダーなのに、正義のヒーローなのに、戦わなきゃいけないはずなのに。
 私の体は動いてくれなくて、無力な子供みたいに、頭を抱えてその場に蹲ることしか出来ない。
 私の知っている仮面ライダーだったら戦うことが出来た、辛さを堪えて、マスクで覆って、戦えるハズだった。
 けれど、私にそんなことは出来なかった、未熟な子供でしかない、弱くてちっぽけで、友達一人守れないような、弱い私には。

夏雄「っ……秀秋、菜々ちゃんもボロボロか……! いったん退くぞ!」ブーストライカー!

せつ菜「あ──」ガシッ、ビューンッ

 目の前で人々を蹂躙しているロボジャマトの攻撃を潜り抜けてきた赤いバイクに乗った東条さんが、動けない私と佐藤さんを拾い上げて走り出す。
 いつもの私なら、バイクに引っ張られれば声を上げていただろうけれど、今はそんなことすら出来ずに放心していた。

~サロン

秀秋「クソッ……あのロボ野郎……ムカつくくらい強いな」

夏雄「あぁ。シークレットミッションでこいつを引き当てたけど、正直……コレ単品でも勝てるかどうかわからないな」スッ

秀秋「……ブーストバックルか。俺のゾンビなら、奴をぶった斬れる可能性があるけどな」

夏雄「けど、ブーストタイムを使えるのは一度きりだ。ミスったらそれこそ詰む」

千春「なら、一番火力がある私のモンスターバックルと使えば!」

秀秋「それで、確実に外装まるごとあいつを倒せんのか」 

千春「……いや、どう、なんでしょう」

夏雄「そう考えると……一番可能性がありそうなのは、菜々ちゃんか。博打に近いけど、ソレがあるなら」

せつ菜「……」

 会話が、頭に入ってこない。
 気付けばサロンで、力なくソファに倒れこむばかりで、視界は涙で濡れっぱなしだった。

秀秋「おい、聞いてんのかよ」

夏雄「……戦う気がないなら、そのバックルは貰ってくよ」スッ、ガチャッ

千春「ちょ、勝手に持ってっちゃ……!」

せつ菜「……」

 私の腰から何か外れる感覚がした……誰かが、私のバックルを外したんだろう。
 
秀秋「……戦う気がねえ奴は、デザイアグランプリに必要ねえ。その金キラは俺が使う、寄越せ」バッ

夏雄「そうだな……二人がかりでブーストフォームになった方が、可能性は高いかもしれないな」

千春「……菜々ちゃん。いいの? あの二人に任せっぱなしで、手柄取られちゃっていいの!?」

せつ菜「……手柄を挙げて、何になるんですか。目の前で、友達が食べられて……動けなくなって……こんな、仮面ライダーに相応しくないような、私が……いたところで……!」

夏雄「……菜々ちゃん、冬樹の奴がなんて理想を叶えようとしてたか、知ってるか?」

せつ菜「……」

夏雄「アイツ……『世界中の人に余裕があって、優しくなる世界』って願ってたんだよ。誰もが平和に暮らせる、優しい世界を」

せつ菜「そう、なんですか……」

夏雄「そんな凄い願いを持ったアイツが、君のために命をかけるつもりで戦って、脱落して、君に後を託した。そんなアイツの思いを、君が裏切るのか」

せつ菜「裏切るも、何も……私じゃ、背負いきれない重さだったんです……彼の掲げた理想は、私に背負えないものだったんです」

夏雄「……誰だって、辛いことや泣きたくなるようなことはある。理想の世界を叶えるデザ神になるためなら、当然のことだ」

せつ菜「っ! ……こんな辛い思いをしてまで! 理想の世界を叶えるくらいなら! 最初から……参加しない方がずっと良かったです……!」

 大切な友達を失うくらいなら、こんなに心に苦しい思いを背負うくらいなら。
 元の生活で、楽しくスクールアイドル活動をやっていたかった、仮面ライダーになんてならなきゃよかった。

夏雄「だったら! もう二度と零すな!」

せつ菜「……え?」

夏雄「大切な友達を失う瞬間ってのは確かに辛い、俺だって前回のデザイアグランプリで、友達が目の前で退場する瞬間を見た。
けれど、俺は今仮面ライダーとして戦っている! もう二度と、大切なものを手から零さないように、守るためにだ!」

せつ菜「大切なものを……手から、零さない……」

夏雄「それに。君の友達は仮面ライダーじゃない。だから……まだ助かる見込みはある」

せつ菜「助かる、見込み……」

夏雄「……俺の言えることはソレ限りだ。秀秋、行くぞ」タッタッ

秀秋「うるせ、命令すんな」スタスタ

千春「二人は、あぁ言ってたけど。私は、わがまま言わせてもらうね」

せつ菜「……はい」

千春「私ね、菜々ちゃんの戦ってる姿が好きなんだ。菜々ちゃんが私を助けてくれた時……すっごくカッコ良くて、その……なんて言うか……そう、ときめいた!」

せつ菜「とき、めいた……?」

千春「うん。とっても可愛かった菜々ちゃんがカッコ良くなってて、私に勇気をくれた! だから、私は”変身”出来たの! 菜々ちゃんが、私にとってのヒーローだから!」

せつ菜「……いいんですか? 私が、あなたのヒーローなんかで……街も、人も守れなくて……弱くて、泣いちゃって、何もできない、私が」

千春「……うん。菜々ちゃんがいいの。菜々ちゃんは立派なヒーローで、菜々ちゃんは何もできないわけじゃない。だから、私は菜々ちゃんがあのジャマトたちと雄々しく戦ってるところを、また見たい。菜々ちゃんの変身を見たい!」

せつ菜「……私、負けちゃうかもしれませんよ? また、泣き出しちゃうかもしれないですし、世界を守るって言っても出来ないかもしれません」

千春「いいんだよ。菜々ちゃんだって、ヒーローである前に一人の女の子だもん。辛いことだって、泣きたいことだって、出来ないことだってある……けど、そんな菜々ちゃんを支えるために、私がいる! なんて……月並みなことしか言えないけど、私は、菜々ちゃんにまた立って、戦って欲しい!」

せつ菜「渡辺さん、ありがとうございます……あなたは、自分で思っている以上に凄いことを言いましたよ」ギュッ

千春「わぁっ! な、菜々ちゃん!?」

せつ菜「……渡辺さん。すみませんが、バックルを一つ借りてもいいですか?」

千春「……うん。なら、これ! 菜々ちゃんに使って欲しい!」

せつ菜「マグナム……ありがとうございます! これで……戦えます!」

千春「うん。私は精一杯、菜々ちゃんのサポートを頑張るね」

せつ菜「はい。皆で、世界を救いましょう! サポート、期待してますね!」

千春「はは……私にやれる限りのことなら、ね!」

夏雄「女の子たちを、こんな野蛮なところに巻き込むわけにはいかないよな」セット!

秀秋「うるせえ。仮面ライダーに男女なんて関係ねえだろ」セット! フィーバー! デケデケッ、テレレレレッ セット!

夏雄「そうは言っても、仮面ライダー以前に人間だろ? 変身」ブゥンッ! ブースト!

秀秋「フン……んなこたどうでもいいだろ。どうせ、今世界を救うのは俺かお前だ」クルクルクルクルクルクル……ゴールデンフィーバー! ブースト! GRAB! ZOMBIE……!

夏雄「さぁ、超協力で、超強力なブーストタイムだ! 盛大にやろうぜ! ギンッギラギンにな!」

秀秋「ハァ……お前、大型バックルでアホみたいにテンション上がるよな」

夏雄「いいだろ、下がるよりかは」

ロボジャマト「ジャ~?(お、なんか強そうだな~?)」

夏雄「……俺が注意を引き付ける、お前が隙を突いて斬ってくれ!」ブーストライカー! ブゥンッ!

秀秋「あぁ。任せとけよ」リボルブオン! ダッ

ロボジャマト「ジャジャ~(何をしたところで、今の俺には無駄さ~)」ブンッ

夏雄「うおっ! スゲー速いな……けど、ブーストライカーなら抜けられないことはないか! ハァッ!」ブゥンッ、ギュンッ

秀秋「隙ってのは自分から作るもんだ……なるべく早くな!」GRAB! ZOMBIE STRIKE!

ロボジャマト「ジャジャッ!?(お!? なんか足にいっぱい出てきた……)」ワシャワシャ、ガシッガシッ

秀秋「そこ、動くんじゃねえぞッ!」ブゥゥゥンッ! ダダダダダ……

夏雄「流石だな、秀秋! ハァッ!」ドゴォッ!

ロボジャマト「ジャッ!(しまったこっちにもいた! でもまずはバイクの方を倒さないと!)」ブンッ

夏雄「確かに速いし重い攻撃だけど……それ以上の速度で動いて、当たらなければ怖くないな!」ブゥンッ

秀秋「全力で……ブッ潰す! うおっらあああああっ!」ポイズンチャージ! タクティカルブレイク!

ロボジャマト「ジャジャ~!?(顔の方の外装がっ! なんて威力だ!)」バギィッ

秀秋「ハッ。不細工なツラが丸出しになって、いい感じじゃねえか! もう一発浴びせてやるよ!」ポイズンチャージ!

ロボジャマト「ジャジャジャ!(舐めんな!)」シュルッ、ブンッ!

秀秋「オラァッ!」タクティカルブレイク! ガキィンッ!

秀秋(こいつっ……! 土壇場のくせに、パワーが……!)

ロボジャマト「ジャジャ~ッ!(せいやぁっ!)」ブンッ

秀秋「ぐわあああああっ!」ズドーンッ、ドッゴォン

夏雄「秀秋っ!」リボルブオン! ブゥーンッ!

秀秋「あっ、ぐ……がぁっ……」

夏雄「大丈夫か、秀秋……!」

秀秋「うる、せえ……まだ、平気、だ……!」キンッ、フラフラ

夏雄「無茶するな! 武器を杖代わりにするくらいボロボロだってんなら、その金キラ俺に貸せ!」

秀秋「黙って、ろ……! 俺は、負けねえ……俺は! お前にも、あんなジャマトにも……勝って、理想を……! 叶えるんだ……!」フラフラッ

夏雄「なんでそこまでする!」

秀秋「俺は……金持ちンなって……家族も、俺も……腹ァいっぱい飯食えるように……幸せに、なりてえっ、だけ……だ……! 俺の、家族の……幸せ、のため、なら……! どんな奴の、願いだろうが……思いだろう、が……! 知った、こっちゃ……ねえ!」ダンッ

夏雄「秀秋……お前……!」

ロボジャマト「ジャジャ~ッ(トドメだ~)」ブンッ

秀秋「──ッ」

秀秋(多分、この一撃で俺はもう息の根止められるんだろうな……。散々、好き勝手やって、人に迷惑かけたバカの末路にはピッタリじゃねえか……いいぜ、来いよ。ただ……俺の家族は、こんな命がけのゲームと無縁な人生、送ってくれたらいいなぁ……)

夏雄「ぐっ……! あ、あぁぁっ……!」ビシビシビシッ、バシッ、バシュゥッ

秀秋「なっ……と、東条……!? おい! しっかりしろ! おい、東条!」ドサッ

夏雄「ぐ……は、ハハッ。なんだ、よ……秀秋。嫌い、だった……元デザ神様がくたばって……嬉しく、ねえのかよ……」

秀秋「お前、なん、で……!」

夏雄「……知らねえよ。けど……今は、ただ、お前も……大切、だったから……」

ロボジャマト「ジャ~(邪魔が入って潰し損ねたな。今度こそまとめて潰してやろう)」シュルルル

せつ菜「うおおおおっ!」バンッ、バンッ、ビシュッ、ズババッ

ロボジャマト「ジャッ!?(剝き出しの顔面、それも目に弾丸が……! いてえっ!)」フラッ

夏雄「菜々ちゃん……よかっ、た……戦う、気に……なれた、か……」

せつ菜「東条さん! 佐藤さん! ご無事でしっ……あっ……その、傷……!」

秀秋「うるせえ……ただのかすり傷だ……」

夏雄「……菜々ちゃん、ここで、俺が退場……するのは、気にする、な。これは……バトンタッチ、みたいな……もんだから……」スッ

せつ菜「赤いバックル……東条さん、退場するって……!」

夏雄「俺は……一度、願いを叶えて……もう、それで満足、だったん、だ……今、ここで、戦うのは……ただ、デザ神になった責任、で……皆、を……守り、続ける……ために……」

せつ菜「東条さん……あなたは……!」

夏雄「俺、は……身の程、知らずで……無責任に、消えちまう、けど……君は、やり切れる……はず、だ。俺が、守って……愛した、世界を……頼、む……」

『MISSION・FAILED』

秀秋「この、野郎……カッコ、つけて……くたばりやがって……」

せつ菜「……佐藤さん、そのバックル返してもらえますか」

秀秋「……チッ、持って、けよ」スッ

せつ菜「これ以上……もう、私の手から……何も零さない!」セット!フィーバー! セット!

ロボジャマト「ジャジャジャ……ジャジャ~?(いてて……ん? なんだぁ? 今更何をする気だ~?)」

せつ菜「皆が私を優木せつ菜でいさせてくれて……私を仮面ライダーにしてくれた……だから、皆! 見ていてください! 私のっ……! 変、身ッ!」ブゥンッ! ブゥンッ! クルクルクルクルクルクル……ゴールデンフィーバー! ブースト!

秀秋「全身、ブースト……すげぇな、オイ……」

せつ菜「……覚悟しなさい、ロボジャマト。あなたは、一片たりともこの世に残しません!」ブゥンッ!

ロボジャマト「ジャッ!?(消えたッ!?)」

せつ菜「どこ見てるんですか……! この、デカブツッ!」ドゴォォォンッ

ロボジャマト「ジャァッ!?(い、一撃で……俺が寄生したロボットを……!)」ドガッシャーンッ

秀秋「っ、お、おい……! 俺まで巻き込む気かよ……!」

千春「わ、危なーいっ!」バババババ……

秀秋「あ? お、お前、来てたのか……」

千春「逃げますよ! 取り巻きは私が粗方片づけましたから、あとは巻き込まれないように逃げるだけです!」バババババ……

秀秋(プロペラ……こう言うのにも使えるのか……)

千春(持っててよかった。プロペラ……)

せつ菜「私の友達を食って、皆を傷つけ……街や物を滅茶苦茶にした罪! その命を持って、償いなさいっ!」ドガァンッ、ドゴォッ、ブゥゥゥンッ!

巨大ルークジャマト「ジャッ、ジャアアッ!(コイツッ、スピードもパワーも、さっきとは桁違いすぎる……!)」ドゴ、バギィ、ドカァッ

せつ菜「ハァァァッ!」ズドガァンッ

巨大ルークジャマト「ジャッ、ジャジャ……(逃げなければ……逃げないと、確実に──)」ドタドタ

せつ菜「今度は……絶対に、逃がしませんっ!」ブゥンッ!ブゥンッブゥンッ! ブーストタァイムッ!

せつ菜「人を傷つけ、ヒーローの前に立ちふさがった怪人に……相応しい末路を見せてやりますっ! はぁぁぁ……うおりゃあああああああっ!」ボッ

巨大ルークジャマト「ジャ、ジャジャ──(ひ、やめ──)」

せつ菜「ライダァァァ……キィィィーーックッ!」ブゥゥゥンッ!

巨大ルークジャマト「ジャ、ジャァァァッ!(うっ、うわあああああっ!)」ズドォォォォンッ

せつ菜「……っと。同じバックルの効果のフォームというだけあって、流石の──ん?」

ブーストバックル「もうブーストタイム終わりやで」バシュッ、ピューンッ

せつ菜「っ! 待ちなさぁぁぁい!」ブゥゥゥンッ! ガシッ

ギロリ(GM)『……なんということだ、飛んでいくブーストバックルを掴んだだと……?』

ツムリ「彼女は、とても規格外のプレイヤーのようですね」



せつ菜「ゲームが終わってないということは……まだ、生きている! なら! 徹底的に、倒しきる……までっ、です!」グググ……メキメキ……セット! ブゥンッ! ブゥンッ! ブーストッ!

せつ菜「隠れてるような卑怯者は……! 徹底的に! お仕置きですっ!」ブーストライカー!

ルークジャマト「ジャッ!?(な、なんでバレた!? 本体を切り離してたことが!)」

せつ菜「うおおおおおっ!」ブゥーンッ!

ルークジャマト「ジャバァーッ!(おばぁーっ! またバイクで轢かれるなんてっ!)」ドガァッ

せつ菜「これで終わらせます……! 地獄で、100万年悔いなさいっ! ハァァァッ!」ブゥンッ! ブゥンッ! ブーストタァイムッ! 

せつ菜「うおおおおおおお……! これ、で……! バイクごと! 宇宙まで、飛んでいけーっ!」スッパァァァンッ!

ルークジャマト「ジャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!(ぐああああああああああああっ!)」ドッカーーンッ

せつ菜「……ふぅ。今度こそ、終わり……ですよね」バシュッ……ピューンッ!

ツムリ『ゲームクリア! デザ神、降臨でーすっ!』

千春「……終わったみたい、ですね」

秀秋「……あぁ。俺は、またデザ神になれなかったみたいだけどよ」

千春「でも。命あって帰れるなら、それでいいんじゃないんですか?」

秀秋「……そう、だな」

ギロリ(GM)『おめでとう、中川菜々。君は見事デザイアグランプリを勝ち抜き、デザ神となった。その栄誉を称え、君の願いを叶えよう』

せつ菜「……ありがとうございます。けど、世界を救ったのは私だけの力じゃありません。皆さんがいたおかげで、たまたま私がトドメを刺しただけです」

ギロリ(GM)『そうか……だがあのジャマトにトドメを刺したのは紛れもなく君であり、デザ神たる証だ。願いを叶える権利は君にある……が、その前に君に聞きたいことがある』

せつ菜「はい。なんですか?」

ギロリ(GM)『君は、次に開催されるデザイアグランプリに参加する意思はあるか』

せつ菜「……いえ。少なくとも、今はないです。やっぱり、私は仮面ライダーに変身するよりも、仮面ライダーを見る方が合ってますし……私は、私のやり方で、デザ神になった後の平和を守ります」

ギロリ(GM)『そうか……では、願いを叶えよう。君の望む願い……「平和を守るための力」を』

ギロリ(GM)『それにしても……前回は「仮面ライダーであり続ける」、今回は「平和を守るための力」か……随分と、願いを有意義に使う者がいるな』パァァァ……

千春「世界が、作り変えられていく……」

秀秋「世界の創造が始まるのか……おい渡辺」

千春「あ、はい!」

秀秋「……悪かった。色々、迷惑とかかけて」

千春「……もう、気にしてないですよ。それより、またどこかで出会えたら……その時は」

秀秋「お前の好きなスクールアイドルのライブでも見に行って、帰りに美味い飯でも食える間柄になろうぜ」

千春「あぁ、言われちゃった……でもまさにその通り。そういう仲になれたら、いいですねっ」シュンッ

秀秋「……次は、必ず俺がデザ神になってやる」シュンッ

『RETIRE』


 私がデザ神になったことで、世界は作り変えられて……退場した仮面ライダー以外は、全てが元に戻った。
 ジャマトに襲われて命を落とした人たちも復活して、何もかも忘れて平和に過ごしていた。
 そして。

副会長「せつ菜ちゃーんっ!」

せつ菜「ヤダ! ヤダ! これもヤダ! ヤダ! ねぇ、君の前では──」

 私自身も、スクールアイドルとしての活動に励む日々を送っていた。

侑「くぅ~っ、最ッ高だったよ! せつ菜ちゃん!」

せつ菜「ありがとうございます。魂を振り絞るつもりで歌ったので、響いてくれたならよかったです!」

歩夢「私たちも負けてられないね、しずくちゃん!」

しずく「えぇ。同じユニットであるからには、私たちもせつ菜さんに追随するほどに、場を盛り上げないとですね!」

 同じユニットである歩夢さんと、しずくさんとのライブ。
 こんなにも盛り上がって……命がけで戦ってきた後だからか、こうして私の『大好き』を伝えるのが、とても久しぶりに感じた。
 楽しく、熱く、皆で感動できる、私が守った楽しい日々。

せつ菜「あなたにも、届いてますか──東条さん」

侑「せつ菜ちゃん、何か言った?」

せつ菜「いえ。特に何も。ただ……すっごく楽しい、と思いまして!」

歩夢「そうだね。私も、なんだかせつ菜ちゃんと一緒にライブするのすっごい久しぶりな気がしたから!」

しずく「なんだか、ちょっと前までのせつ菜さんは思い詰めてるように感じましたし、楽しんでライブが出来るならよかったです」

せつ菜「あはは……その時は失礼しました、生徒会のお仕事なども色々と立て込んでましたから」

 誰もデザイアグランプリのことや、ジャマトのことなんて覚えてない。
 けれど、私のことはしっかりと覚えてたみたいなので──取り繕うのも、かーなーり大変でした。
 何せ、同好会の皆さん相手にも隠さなければならないことでしたし。

 そして──

せつ菜「……まさか、こういう形で叶うとは」


せつ菜「……まさか、こういう形で届くとは」

 私がデザイアカードに書いて、叶えた願い……『平和を守るための力』。
 世界が作り変えられてすぐの時は特に力が湧き上がってくるような感覚などもありませんでした。
 が、数日経って私の部屋の勉強机には一枚の手紙と共に一つのボックスが置かれていて……これが、私の願いに対する運営からの回答なのでしょう。

せつ菜「何が入ってるんでしょうか」ガチャッ

せつ菜「これは……デザイアドライバーと、IDコアに……赤いバックルに、私が使ってた金キラ……ん? 説明書?」ピラッ

『このバックルは本来ゲームで使われない特別仕様です。
フィーバースロットレイズバックル:好きなバックルを引き当てられるようになっています。
ブーストレイズバックル:ブーストタイムを使用してもバックルが自動で飛んでいくことはありません』

せつ菜「とんだチートですね……ですが、平和を守るために必要な力ならば、まぁいいでしょう。これからも私は、仮面ライダーであり続けて……大切な物を、何一つと零さないために戦い続けますから」



おしまい

おまけ

せつ菜「生徒会の引継ぎが終わりそうだからと、すっかり遅くなってしまいました……」タッタッタッ……ポロッ

「そこのあんた、コレ落としたぜ」

せつ菜「はい? あっ、私のお財布……! すみません、ありがとうございます! 何かお礼を……」ガサゴソ

「そうだなぁ。じゃ、サインでも書いてもらおうかな」

せつ菜「サインですか。私物ですか? 色紙ですか?」

「じゃ、色紙で頼むよ。丁度沢山買ったところだったからな」

せつ菜「はい。えーと……お名前をお伺いしてもよろしいですか?」キュポッ

「……英寿。浮世英寿だ。浮世絵の浮世に、英国の英に、寿」

せつ菜「浮世、英寿さん……ですね、良いお名前です! はいっ、どうぞ!」キュッキュッキュッ、スッ

『浮世英寿さんへ 優木せつ菜』

英寿「ありがとな。同年代のスター・優木せつ菜にサインを貰えるなんてツイてる。こりゃあ……俺の運勢は、大吉だな」ハハッ

せつ菜「喜んでいただけたなら何よりです!」ペカー

英寿「あぁ、これからも頑張れよ。スクールアイドル、優木せつ菜」コンッ

せつ菜「はい。応援ありがとうございますっ! それでは、失礼します!」タッタッタッ

英寿「あぁ、またな」

英寿「……あれが、前回のデザ神か。いつかデザグラで巡り会えたら、強敵になりそうだ」ザッザッ

あとがき

虹ssは初めてでしたが、完結させることが出来て良かったです。

元々ラブライダーネタをやりたいな、と思ってあれこれ考えていましたが、中々形に出来ず悩んでいました。

なんだかんだ悩んだところで、自分が他のジャンルでも二次創作を書くときによくやっていた『本編の前の時系列にして本家キャラクターを出さずして世界観だけ借りる』という形で仮面ライダーギーツの世界観を借り、今回のssを書くに至りました。

ここまで読んでいただき、応援してくださった皆様方のおかげで書ききれたことをありがたく思います。

おまけのおまけとして、タイトルや展開は浮かんだけれども形に出来なかった虹×仮面ライダーネタをここで供養します。



或人「このもんじゃ、ただもんじゃないっ! はいっ、アルトじゃ~ないと!」 愛「あっははははは!」
 
 社長がもんじゃ宮下に来て食事しての第一声から始まるゼロワン×虹ネタ。
 ほぼ出オチでした。



愛「アタシたちは二人で一人のアイドル!」 果林「そして、探偵よ」

 Eternal Lightのジャケットを見たら皆が絶対考えただろうな、というネタ。
 この場合適合率の高いメモリがルナトリガーとかかなぁ、とか妄想したのですが、上手いことWに落とし込む方法が見つからず断念しました。



永夢「見せてやる。天才ゲーマーMの力を」 璃奈・歩夢「ごくり……」

 色々構想こそ練りましたが、エグゼイドへの解像度が低かったのであきらめたネタです。
 ムテキゲーマーを縛る方法が思い浮かばなかった……

>>1が誰か何となく察したけど元気そうで安心した
あなたのSS好きだから前のジャンルでも虹でも違うジャンルでもまた書いてくれると嬉しい
読むのが本当に生きがいだったから

>>74

これを書く前で、最後にここを利用したのは三年以上前だと思うので申し訳ないことに別人だと思います……
あとメイドラゴンは見たことないので、多分ホントに別人だと思います

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom