【安価・コンマ】離島の魔法女学院でダンジョン探索【百合】 (999)

―4月1週
 学院 高等部二年教室

ガラッ ガヤガヤ……

生徒A「やっほー、修了式ぶり〜」

生徒B「うーい。久しぶりの実家どーだった?」

生徒A「んー、普通かな。代わり映えしなかった」

生徒B「ま、変わりないのが一番っしょ。あそうそう、アレ知ってる?」

生徒A「転校生が来るってやつ?」

生徒B「そうそう! どんな人かな〜」

キーンコーンカーンコーン……

 ◆

―海岸

キーンコーンカーンコーン…

ザァーン……ザザァーン……

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ……」


「――」

ザッザッザッ……


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1682162106

☆インフォメーション☆

・どんなスレか
 タイトルの通り、離島の魔法女学院に転入して百合色学生ライフを満喫しつつダンジョン攻略していくスレです。

・世界観
 ファンタジーですが、文明レベルや価値観は現代に近いものです。
 なお話の都合により設定が一部変更されたり新しく生えたりする可能性はあります。ご了承ください。

・安価について
 連取りは禁止です。また、内容によっては再安価する場合があります。
 なおシステムやルールは途中で変更する可能性があります。ご了承ください。

・注意
 見切り発車です。多少のガバは大目に見ていただけると幸いです。
 また、物語の展開や安価コンマの結果によっては、最悪の場合キャラクターが死んだり消えたり闇堕ちしたりすることがあります。
 苦手な方はお気を付けください。



☆用語解説☆

〈ユリトー魔法女学院〉
高等部と大学部からなる一貫教育魔法女学校。ユリトー島という離島に建立されており、学生の大半は島外の出身。
魔法関連の授業・講義だけでなく芸事や運動にも力が入れられており、卒後の進路は多岐に渡っている。
全寮制ではないが島外出身者は寮に入るのが一般的。基本的には二人一部屋だが例外もある。
目玉行事は9月の闘技大会と10月の文化祭。その他にも季節に応じた様々なイベントがある。

〈ユリトー島〉
本土から海を挟んで遠く離れた位置にある島。大きさはそこそこあり、インフラは意外と整っている。
中央には大きな休火山であるユリトー山がそびえ立ち、その景色や温泉は島の有力な観光資源となっている。

〈ユリトー遺跡群〉
ユリトー島の各地に見られる数々の古代遺跡のこと。数千〜数万年ほど以前に造られたものらしいが詳細は不明。
以前は魔法女学院の専門チームが調査・発掘にあたっていたが、数年前に調査は中止されチームも解散している。
現在判明している遺跡は結界やバリケード等により厳重に封鎖されている模様。

※その他、知りたいことや聞きたいこと等があればご自由にご質問ください。


まず学院に転入してくる主人公の人物像を決めます。↓から21:15まで募集

・主人公用テンプレ
【名前】
【種族】人間
【性別】女
【学年】2
【容姿】
【性格】
【魔法】(主に使う魔法や得意とする属性など)
【備考】(来歴や嗜好、その他特徴や長所短所などなんでも)

【名前】リアン・ロールセン 
【種族】人間
【性別】女
【学年】2
【容姿】背丈も普通スタイルも普通で特に特徴のない体型で髪型は緑髪をおさげにしてる
【性格】引っ込み思案で少し臆病な所があるが優しく善良
【魔法】水属性の魔法が得意 補助では治癒や回復能力を持つ魔法水を精製したり、ゲル状の水を使ってゴーレムみたいな「着ぐるみ」を来て肉弾戦と水魔法を織り込んだ戦いをしたりする
【備考】学院に来るまで孤児院で暮らしており両親の記憶が無い 甘いものが好き

>>4でいかせていただきます。ありがとうございます。
また、問題がなければ他の案のキャラクターも内容を少し調整して学院の生徒として登場させていただきたいと思います。もし問題があったら早いうちに言ってくださいね。

それでは本編を始めます。

 ◆

―時は少し遡り
 3月4週 夜
 学院寮 リアンの部屋

リアン「はあ〜……明日から転入なんて……。一年前から構築された人間関係にすんなり混ざれる気がしないよ……。うええ……」

リアン「……ううん。せっかく難しい転入試験を突破した上に安くない学費を出してもらってここまで来たんだもん。ワガママなんて言っちゃだめだよね」

リアン「……よし! 明日からの授業に備えて今のうちに教科書とか読んで予習でも――」

キィーン…………

リアン「――――ふ、え……?」

タスケテ……タスケテ……

リアン「誰か――助けを、呼んでる……!?」ガタッ

 ◆

―島南部 海岸洞窟前

海岸洞窟「――――」

リアン「こ、ここだ! この奥から……!」

リアン「……で、でも私一人じゃ……あ、危ないかも……」

リアン「で、でもでも、私が他の人を読んでたら間に合わないかも……! 土地勘とか全然ないし……!」

リアン「……決めるしかないか。覚悟」

リアン「大丈夫。この海岸洞窟なら――水場なら、私の独壇場だもん」

リアン「行こう!」ザッ!

―海岸洞窟 踏破率[0/2]

リアン「うええ……く、暗い……。こ、こういう時は……あんまり得意じゃないけど、光魔法」パアッ

リアン「ふう、これでとりあえず見える……。すごいなあ。鍾乳洞……じゃないか。なんて言うんだろう、こういう地形……」

リアン「と、とにかく進まなきゃ」

 ◆

ダンジョン探索は毎ターンコンマ判定を行いながら、踏破率を上げていく方式になります。
とりあえず今回のダンジョンはチュートリアルです

↓1コンマ
01   ?? 
02-99 踏破率+1
00   ??

―海岸洞窟 踏破率[1/2]

リアン「うわっ、っとと……。水魔法使いが水で滑って転ぶなんてシャレにならないよ」

リアン「けっこう奥まで来たかな……? あれ、ここ、壁に何か……かすれて読めない。まあかすれてなくても読めなさそうだけども」

リアン「……助けは壁の向こうから聞こえてくるような気がする。よし、水圧で削り取ってみよう!」ギュイイイン

↓1コンマ
01-20 誰!?
21-00 海水を操って壁を削り隠し部屋発見。踏破完了

―海岸洞窟 踏破率[2/2]

ギャリギャリギャリ……ギャルオン!

リアン「……! 空洞! こ、ここは……!?」ダッ

リアン「み、見たことない……魔法陣……!? 部屋中にびっしり……!」

リアン「真ん中にあるのは……た、卵……ううん、棺……? な、なんだろう……?」

卵のような棺のようなもの「キィーン……」

リアン「こ、これだ! で、でもどうすれば……」

卵のような棺のようなもの「パキッ、プシューッ」

リアン「えええええ!!?!?!?!?? まだ何もしてないのに!?」


↓1卵のような棺のようなものから現れた存在
【名前】
【種族】
【性別】女
【学年】該当なし
【容姿】
【性格】
【魔法】(主に使う魔法や得意とする属性など)
【備考】(来歴や嗜好、その他特徴や長所短所などなんでも)

金髪碧眼の少女「……」

リアン(わっ……お人形さんみたいに綺麗な子……)

金髪碧眼の少女「……」パチッ

リアン(あ、眼を開けた……瞳も綺麗な碧眼だなあ……ってぼけっと見てる場合じゃない!)

リアン「だだ、大丈夫、ですか……!?」

金髪碧眼の少女「……システム、エラー。機能の破損を確認。初期化します……」

リアン「ふえ?」

金髪碧眼の少女「初期化完了。省魔力モードで起動…………」ジッ

リアン「え、ええと……?」

金髪碧眼の少女「マスター登録完了。ご命令をどうぞ、マスター」

リアン「えっ!? め、命令!? な、なんで?」

金髪碧眼の少女「説明をいたしますか?」

リアン「え、あ、はい」

金髪碧眼の少女「かしこまりました」

 *説明中*

リアン「ええと……つまり、リエムさんは魔法人形で、マスターである私の命令を何でも聞く……ってこと?」

リエム「はい。わたしに敬称は不要です、リアンさま」

リアン「いやいやいや、ええ? わけがわからないよ……。あ、そういえば呼んだよね、助けを……。何か危なかったんじゃないの?」

リエム「……申し訳ありません。ログが残っておらず……リアンさまの疑問にお答えすることができません」

リアン「あ、うん……。まあ……いいか……」

 ◆

―学院寮 リアンの部屋

リアン「……」

リエム「……」

リアン「え、ええと……リエムちゃん? これから、どうするの?」

リエム「はい。リアンさまのしもべとして、誠心誠意お仕えいたします」

リアン(テコでも動きそうにない……。でもだからって、この子をあんな暗くて寒い洞窟に置き去りにするのも……ん?)

リアン(も、もしかしして私、古代の遺物を盗掘してきちゃったんじゃ……!?)

リエム「カレンダーを確認……エラー。暦を正しく計算できません。一時的にカレンダー機能を凍結……」

リアン(ど、どうしよう!? 私、犯罪者になっちゃった!!!)

―4月1週
 学院 二年生教室

リアン「り、リアンと言います。水属性が得意です……。よろしく……お願いします……」ゲッソリ


生徒A「水属性かあ〜」

生徒B「早く馴染めるといーね」

サーナ「……なんだか暗いというか……げっそりしてますわね?」

ノルン「緊張して眠れなかったとかでしょうか……?」

ルウェリア「…………」ジッ


リアン(転入初日から、胃が痛い……)

 ◆

☆高等部年間行事予定☆
4月1週 入学式、授業開始
  4週 遠足
5月1週 大型連休、立夏
  4週 新人闘技大会(1年生)
6月3週 夏至
7月4週 期末テスト
8月1週 夏休み開始、立秋
9月1週 授業再開
  3週 秋分
  4週 学内闘技大会
10月1週 学外闘技大会
  4週 文化祭
11月1週 立冬
  4週 修学旅行(2年生)
12月3週 期末テスト、冬至
  4週 冬休み開始
1月2週 授業再開
  4週 ??
2月1週 立春
3月2週 期末テスト
  3週 春休み開始、春分

☆現在の目標☆
・リエムをどうにかする

4月1週の行動です
↓1〜3 自由行動安価 自由行動の後にシナリオイベントが発生します

―4月1週 休み時間
 高等部二年教室

生徒A「ねえねえ地元どこ? カレシいたことある?」

生徒B「休日何してる? てかラインやってる?」

リアン「あ、え、えと、その……ぐええ……」

サーナ「こらこら、そのように捲し立ててはリアンさんがお困りになられてしまいますわ。順序というものがあるでしょうに」

生徒A「ごめんごめん〜」

生徒B「アハハ、転入生なんて珍しいからさあ。ごめんね?」

 ◆

 学院 校庭

ワーワー ズバンッ ストライークッ

リアン「はあ……すみません、ありがとうございます……」

サーナ「よくってよ。あの方たちも悪気があってあなたを質問攻めにしたわけではありませんから、どうか大目に見てやってくださいませ」

リアン「はい……大丈夫です、わかってます」

サーナ「ふふ、げっそりしているように見えてちゃんと周りの人を見ていらっしゃるんですのね」

リアン「えっ……そ、そんなにげっそりしてますか、私……」

サーナ「ええ。寝不足はお肌の天敵でしてよ?」

リアン「ひえ……き、気をつけます……」

サーナ「さあ、そろそろ休み時間も終わりますわ。次の時間は確か――」

アブナーイ!

サーナ「――」ヒュルッ

リアン「……!」

リアン(飛んできたボールが、まるでサーナさんを避けるように不可思議な軌道を描き――)

リアン(やがてサーナさんの手のひらの上で、重力に抗ったまま静止した。風魔法だ。精密な)

サーナ「ふふっ……わたくし、昔から運にだけは自信があるんですのよ」ヒュルヒュル……

リアン「運だけじゃ、ないですよね?」

サーナ「もちろん。研鑽は淑女の努め、ですものッ!」ヒュッ!!

ウワーッ! ゴーソッキューダーッ!

 ◆

―昼休み
 教室

リアン(しまった……リエムちゃんのことで頭がいっぱいだったから弁当とか持ってきてない……どうしよう……)

ノルン「……リアンちゃん? あ、ちゃん付けでもいいかな……?」

リアン「あっ……ど、ども……。好きなように、呼んでいただければ……」

ノルン「ふふ、ありがとう。じゃあリアンちゃんて呼ぶね。それで……もしかして、お昼ごはん困ってる?」

リアン「ギクッ……ま、まあ……そ、そうかもしれない、です……」

ノルン「やっぱり。お弁当、半分分けてあげる」

リアン「えっ! で、でもそれじゃあ、ノルンさんの分が……」グゥ〜

リアン「……///」

ノルン「ふふ、遠慮しないで。ちょっと作りすぎちゃったし……せっかくの初登校でひもじい思い出なんて残して欲しくないもの」

リアン「そ、それじゃあ……お言葉に甘えて……」

ノルン「うん。はい、どうぞ」パカッ

リアン「……! こ、これ……ノルンさんが……!?」

リアン(ノルンさんが開けたお弁当箱の中は、豪勢というわけではないが色とりどりで食欲をそそる料理が綺麗に並んでいた)

ノルン「う、うん。ちょっと、派手すぎるかな……?」

リアン「そ、そんなことないです。すごいです」

ノルン「よかった……。はい、じゃあどうぞ」スッ

リアン「い、いただきます……!」


リアン(ノルンさんのお弁当は、とても美味しかった)

 ◆

―放課後
 学院 図書室

リアン(図書室……ここなら、リエムちゃんのことが書かれてる本とかあるかも……)

ルウェリア「調べ物?」スッ

リアン「うひゃあ!?」

ルウェリア「わっ……ご、ごめんね。驚かすつもりはなかったんだけど……」

リアン「わ、私もすみません……図書室で大声なんて出して……」

ルウェリア「……何調べようとしてたの? お詫びってわけじゃないけど、手伝うよ」

リアン「あー……そう、ですね……。ええと、古代文明の遺物を――」

ルウェリア「!」ガタッ

リアン「ひっ」

ルウェリア「あっ……ご、ごめん……。私もちょっと……古代文明とは、因縁があって……」

リアン「あ、は、はい……」


↓1 ルウェリアに事情を話す?

1.話す
2.話さない
3.その他

リアン(並々ならぬ事情を感じ、私は先日の夜に起きたことを自分に理解できた範囲でルウェリアさんに話した)

リアン「……というわけなんです。あ、その……で、できればこのことは誰にも言わないでいただけると……」

ルウェリア「…………うん。大丈夫。言わない」

リアン「ほっ……良かった」

ルウェリア「大人たちは……もう、信用できないから」

リアン「えっ……?」

ルウェリア「……私の姉……この島の遺跡の調査中に、行方不明になってるんだ」

リアン「…………えっ!?」

ルウェリア「調査隊の一員でさ……。妹の私から見ても、憧れの姉だった。なのに……」グッ

リアン(ルウェリアさんは、悔しそうに拳を握りしめた)

ルウェリア「事情を知ってそうな元調査隊の人とかに聞いても、皆何かを隠してるみたいに目を逸らして『関わるな』とか『忘れろ』とか言うんだよ。だからもう、大人は駄目。自分で調べるしかなくて……どんな些細な手がかりでもいいから欲しかったんだ」

リアン(私は上手く言葉を紡ぐことができなかった。突然姉を失うというのがどんな感覚なのか、想像が付かない。ただ、それがとてもつらく、苦しいことなのだろうということは、ルウェリアさんの仕草や表情からよく伝わってきた)

リアン「……お、お役に立てるかはわかんないですけど……今度、リエムちゃんに会ってみますか?」

ルウェリア「……じゃあ、お願いしてもいい?」

リアン「はい。あ、でも……リエムちゃん、まだ起動したばっかりで寝ぼけてるから、あんまり厳しくはしないでいただけると……」

ルウェリア「大丈夫。遺跡のことは憎いけれど、そこで出土したもの全てを憎悪するほど分別がないわけじゃないから」

リアン「あ、あはは……はい」

ルウェリア「よし、じゃあとりあえず今は魔法人形について調べてみよう……。って言ってもここに例の調査資料とかはないから、あんまり期待はできないかも」


↓1コンマ 図書館結果
01-70 オカルト本
71-90 古代機械図説
91-00 魔法人形概略


【新説! 超古代文明の遺産!】
 古代文明の遺跡から、圧倒的なマジックアイテムやアーチファクトが出土されることがある。
 今回の記事では、そういった天地をひっくり返す神がかった道具のいくつかを入手したので、それを紹介していこう。

 ①お世話妖精
 まず始めに紹介するのがこれだ。この小さな人型のアーチファクトは、凄まじい古代技術の粋が詰まっている。
 言うなればこれは使い魔の一種なのだが、なんと一度起動すると一切の補給なしに無限に主人のお世話をし続けるのだ。
 筆者が試しに使ってみたところ、可愛らしい翅をパタパタと羽ばたかせながら小さな体を動かして一生懸命に家事を行っていた。
 その仕事は見事なものだったが、問題はサイズだ。体が小さすぎるがゆえに仕事が遅く、大きなものを使えないのだ。
 家を空ける時に掃除などをさせるくらいなら良いが、腹が減っている時に料理をさせたり、大きめの衣類を洗濯させたりといった仕事は難しいだろう。
 まあそれでも仕事している姿が可愛らしいので、つい愛でたくなってしまうのが罪作りだ。製作者は良い趣味をしている。

リアン「……うーん……なんか微妙に違う気がします。というか胡散臭いです、この本」

ルウェリア「すまない……。この図書室、この島の遺跡とかそれに関係したものについて書かれた本が全然ないんだよ。私が去年入学した時からそうだった」

リアン「…………なんか、変な邪推をしちゃいそうになりますね」


リアン(結局、見つかったのは胡散臭いオカルト本一冊だけだった)
リアン(しかし私……もしかしてとんでもない厄ネタに関わってしまったんじゃ……?)

―夜
 お風呂

カポーン……

リアン「はあ〜疲れた……。やっぱり人間社会ってしんどいなあ〜……」

リアン「……」

リアン(でも……今日会った人たち、良い人ばっかりだったな……)

リアン(……なんとか、やっていけるかな……? 私……)



リエム「リアンさま」ガチャッ

リアン「アアアアアアアア!!!!」ザバァン

リエム「リアンさま、いかがなされましたか」ペタペタ

リアン「いかがなされましたか、じゃないよお! ノックくらいしてよおお!!」ザバッ

リエム「……申し訳ありません。学習いたしました」シュン……

リアン(リエムちゃんはそう言って、少しだけ肩を落としたように目線を落とした。ちなみにリエムちゃんも全裸だ。雪のように白い肌と幼げな起伏の少ない体つきが、とても美しくかわいらしい。もし私がロリコンだったら劣情を禁じ得なかっただろう……)

リアン「あ、ええとね? その……こ、これから気を付けてくれればいいからね? 今回は、許してつかわす……」

リエム「はい、リアンさま。ありがとうございます」ペコリ

リアン「……それで、どうしたの? お風呂、一緒に入りたかったの?」

リエム「主人の入浴時には同行してご奉仕させていただくのが魔法人形の務めだということを今しがた想起し、遅ればせながら参りました」

リアン「忘れてたんだ……。と、ところで、ご奉仕っていうのは……?///」

リエム「お背中など、お一人では洗いにくい箇所を流させていただいたりです。ご用命があればお申し付けください」

リアン「な、なるほどね……。じゃあお願いしようかな」

リアン(私は、自らの下劣な妄想を恥じた)

 ◆

本日はここまで

―4月1週 某日放課後
 寮

ルウェリア「へえ、二人部屋を一人で使ってるんだ」スタスタ

リアン「あ、はい。転入なので……。まあリエムちゃんもますし、結局一人ではないですけど」スタスタ

ルウェリア「……敬語じゃなくていいよ? 同い年なんだしさ」スタスタ

リアン「え゛っ!! あ、い、いや……そ、それでは……敬語を使わないよう……努力させていただく、所存で……」アタフタ

ルウェリア「い、いや……そっちの方が話しやすいならそれでもいいけどさ」

リアン「は、はい……。あ、ここです私の部屋」

 ガチャッ

リアン「ただいま」

リエム「おかえりなさいませ、リアンさま」トテトテ ペコッ

ルウェリア「……この子が……」マジマジ

リエム「いらっしゃいませ、お客さま」ペコッ

ルウェリア「あ、どうもお構いなく……」

リアン「と、とりあえず中に! 他の人に見られたらまずいので……!」

ルウェリア「あ、うん! お邪魔します!」タタッ

ガチャン

 ◆

―リアンの部屋

リアン(転入早々自分の部屋にクラスメイトが入ってくるなんて……私、すごくリア充……!)

リアン(なんて浮かれられるような事情じゃないんだよなあ……。ああ、でもお茶っ葉くらい買っておけば良かった……)

リアン「ま、まあとりあえず適当に座ってください。まだあんまり整ってなくて申し訳ないですけど……」

ルウェリア「ううん、気にしないで。遊びに来たってわけじゃないし」

リアン(うっ……そうです……遊びに来てくれたわけじゃないのです……。ルウェリアさんにそのような余裕はないのです……)

ルウェリア「それで早速だけど……君はリエムちゃん、でいいの?」

リエム「はい。他の呼称を用いたい場合は、リアンさまによるわたしの名称変更が必要となります」

リアン「か、変えられるんだ……。いや、変えないけど……」

リアン(ん? でもそれなら、リエムって名前は誰が付けたんだろう。あ、確か初期化とか言ってたしデフォルトネームみたいなものなのかな?)


ルウェリア「それじゃあ、リエムちゃん。質問しても良い?」

リエム「はい。リアンさまの不利益にならない範囲で、ご質問にお答えすることができます」

リアン(私の不利益ってなに???)

ルウェリア「じゃあ、この島の遺跡……ええと、君を造った文明の建造物とかに、六年くらい前に侵入者が入ったと思うんだけど……それについて、何か知ってることはない?」

リエム「――――情報を検索中……記録なし。各フォルトのデータベースにアクセス……エラー。権限がありません」

リエム「……申し訳ありません。わかりませんでした」

ルウェリア「…………そう」

リアン「……待って。リエムちゃん、その、各フォルトってやつ、まだ生きてるの?」

リエム「はい。定時信号を確認しておりますので、機能は存続していると思われます」

ルウェリア「……! リエムちゃん! そのフォルトってのの場所はわかる!? 権限があればアクセスできるってこと!?」ガタッ

リエム「計測不能な年数が経過しているため、経年による変化や地殻変動等の影響を考慮すると正確な位置を把握していると断定することはできません。また、権限があればアクセスすることは可能です」

ルウェリア「……! じゃあ、大まかな位置でいいから教えて!」ズイッ

リエム「かしこまりました。リアンさま、紙とペンをお借りしてもよろしいですか?」

リアン「え、あ、うん……はい」スッ

リエム「ありがとうございます。略図を描かせていただきます」カキカキ

ルウェリア「お願い……!」

 ◆

リエム「完成いたしました」スッ

ルウェリア「これは……!」

リアン(リエムちゃんが描いたのは、この島の簡易的な地形図だ。各地には遺跡と思しきポイントがマーキングされている)

ルウェリア「未発見の遺跡まで……! ありがとう!」

リエム「お礼はリアンさまに――――」

リエム「―――――――」

ルウェリア「? リエム、ちゃん?」


リアン(その時、突然リエムちゃんが硬直して動かなくなり――)

リアン(僅かな後――ゆらりと、有機的な動きで立ち上がった)

リアン(その美しい碧眼を、血のような真紅に染めて――――)


リエム?「……不正アクセスに情報流出とは、躾のなってない魔法人形(ガラクタ)がいたものね」

リアン(そいつはリエムちゃんと同じ声で、リエムちゃんよりも流暢に――リエムちゃんよりもずっと冷たい声で――悪態を吐いた)

ルウェリア「……誰だ、お前は」

リエム?「あんたこそ誰? ガラクタとは言え、勝手に盗られて使われちゃ困るのよ。うちの大事な資源なんだから」

リアン「資源……? リエムちゃんが……?」

リエム?「リエム〝ちゃん〟? アハッ、ガラクタにちゃん付けなんてしてるの??」

リアン「……ッ! わ、悪い……!?」

リエム?「は? 悪いに決まってんじゃん。ガラクタにちゃん付けとか、ほんとキショい。そんな奴らに盗られて使われてるこいつが哀れね」

ルウェリア「……もう一度聞く。お前は誰だ」

リエム?「はあ、うざ。今から消し飛ぶ奴らに教える個人情報なんてありませ〜ん」キィーン――


リアン(そいつは片手を私たちの方へ向けた。その手には無属性の魔力が収束し、密度を上げていく――)

ルウェリア「ま、待て! そんなもん放ったらお前も――」

リエム?「このガラクタもろとも吹っ飛ぶでしょうね」キィーーン――

リアン「だ、大事な資源なんでしょ!? だったら……!」

リエム?「あんたらの手垢が付いた資源なんていらない。ここで爆散させんのが最大の有効活用法よ」キィーーーン――

リエム?「じゃーね、盗掘者ども――」キィィーーーーン――

リアン(収束される魔力は凄まじい密度で。きっとそれが放たれたら私たちだけでなく、この寮――いや、周辺一帯ごと木端微塵に吹き飛ぶだろう)

リアン(せっかく、孤児院の皆が応援してくれて、ここまで来たのに……。先生、皆……ごめんなさい……)


 ――バチチッ

リエム?「――ッ! チッ、こいつ!」シュゥゥン……

リアン(あわやそれが放たれんとした時、突然収束された魔力が急速に大気へと霧散し始めた。一体、何が……?)

リエム?「ガラクタの分際で私に楯突くか……!」シュゥゥゥン……

ルウェリア「! 今だリアンさん! 取り押さえよう!」

リアン「あっ、うん! バインドジェルッ!」ギュルルンッ

リアン(咄嗟に作り出したゲル状の水をそいつに纏わせて動きを封じる。でもこれだけじゃ完全な拘束には――)

ルウェリア「ソリッド!」ガギィン!

リアン(ルウェリアさんが水に触れた途端、まるで凍りついたかのように水が硬化していった。これなら――!)

リエム?「チッ……まあいいわ。今回は見逃してあげる」

ルウェリア「逃げるな! 知ってることを話せ!」

リエム?「あら、それならこのガラクタを拷問にでもかける? 私は欠片も痛くないけどね」

ルウェリア「くっ……!」グッ

リエム?「ふん。もし盗掘に来るようであれば容赦しないわ。長生きしたければ精々慎ましく暮らしなさい。それじゃ――」

リアン「ま、待って! リエムちゃんは……リエムちゃんは無事なの!?」

リエム?「――あ? 知らないわよ。無茶はさせたけど、無茶を無茶で上書きしたのはこいつ自身なんだから」

リアン「……ッ!!」

リエム?「じゃーね。二度と会わないことを祈ってるわ――」

リエム?「――――」カクン

リアン(リエムちゃんの体は、かくんと力を失い動かなくなった――……)

 ◆

リアン(その後、寮の付近から膨大な魔翌力が検出されたことについてちょっとした騒ぎになったが、私たちがお縄につくことはなかった。結果的に何の被害も出なかったことで、事件は有耶無耶のまま捨て置かれることとなったのだ)

リアン(そしてリエムちゃんは――)

 ◆

―リアンの部屋

リアン「リエムちゃん、体の調子はどう……?」

リエム「リアンさま……。魔翌力炉に障害が発生しており、パフォーマンスに大幅な低下が見られます……」

リアン(リエムちゃんは私のベッドに横たわっていた。瞳の色はいつもの穏やかな碧色へ、そして口調も堅くも拙さのある元のものへと戻っている)

リエム「今後、わたしが再び不正な遠隔操作を受けた場合、リアンさまや他の方々に危害を加えてしまう恐れがあります。早急に廃棄することを――」

リアン「そんなことできないよ! な、なんか……セキュリティを強化とかできないの……?」

リエム「わたし自身には、自らのセキュリティを強化する機能がありません」

リアン「……じゃあ、リエムちゃん以外には?」

リエム「魔法人形研究所のデータベースに、最新のセキュリティ更新プログラムがあります。わたしのは少し古い型なので、もしそのデータベースにアクセスすることができれば、セキュリティを強化することが可能です。また、もし設備が無事であれば魔翌力炉を修復することもできます」

リアン「じゃあ、そこに行けば……!」

リエム「危険です……。わたしを遠隔操作した者が潜んでいる可能性が高く……」

リアン「うっ……」

リアン(次会ったら容赦しないって言ってたしなあ……。でもリエムちゃんをこのままにしておくのも……)



ドア「バァン!」

リアン「うひゃあ!?」ズテッ

ルウェリア「リアンさん! 助っ人を連れてきたよ!」

??「……」コツコツ

↓1 誰が来た?
01-40 遺跡探索部部長(新キャラ・学生)
41-80 遺跡探索部顧問(新キャラ・教員)
81-95 元調査員(新キャラ・教授)
96-00 魔法人形技師(新キャラ・研究者)

遺跡探索部の顧問である人物を決めます
なお遺跡探索部は部員が定数に満たず存続が危ぶまれている死にかけの部活です
現在真面目(?)に活動している部員はルウェリアただ一人です


↓1 遺跡探索部顧問

【名前】
【種族】
【性別】女
【学年】該当なし
【容姿】
【性格】
【魔法】(主に使う魔法や得意とする属性など)
【備考】(来歴や嗜好、その他特徴や長所短所などなんでも)

ああん、勿体ない病の発作が出てしまいます
せっかく魅力的な案をいただいたので、エンシァン先生以外の案もきっと別のところで登場してくれるでしょう
――――――――――――――――


エンシァン「グッドイブニング! 君が古代遺物のマスター、リアン・ロールセンくんかな?」ズカズカ

リアン(私の部屋に入ってきたのは、身だしなみがめちゃくちゃな女性だった! だ、誰だこの人!?)

ルウェリア「紹介するよ。この人は私の所属してる遺跡探索部の顧問、エンシァン先生だ。その、見た目はアレだけど……ある意味、とても信用できる人だから」

リアン「え、ええ……!? え、えと……リアン・ロールセンです。初めまして……」

エンシァン「初めまして! 礼儀正しい子だね、好感が持てる」ギュッ

リアン(エンシァン先生は、差し出してもいない私の手を勝手に取って無理矢理握手してきた。めちゃくちゃだ)

エンシァン「それで奥でぐったりしているのが例の魔法人形リエムくん、か」

リアン「…………」ジト

ルウェリア「ご、ごめん……。でも、本当に信用できるんだよ。外部圧力とかには絶対に屈しない人だから……」

リアン(まあ、私よりも頑張ってきたルウェリアさんが言うならそうなのだろう……。実際、話は早い方が良いし)

リアン「あ、あの、エンシァン先生。リエムちゃんのことは、内密にしていただけると……」

エンシァン「内密にし続けた結果取り返しのつかない事態になったとしたら、君にその責任は取れるのかね?」ギラッ

リアン「あ、う……」

リアン(私は何も言えなかった。実際、ついさっき寮を木端微塵にする寸前まで行ったのだ。リエムちゃんを軽率に連れ帰った私のせいと言われれば、何も言い返せない……)

エンシァン「フッ、すまない。意地悪を言ってしまったね。責任を取るべきは君ではない。我々大人の方だ。この島の遺跡について不可解な隠蔽工作が行われているのは私も感知している」

リアン(エンシァン先生は表情を和らげて、少し優しい口調でそう言った。こう見えて意外と優しい人なのかも……)


リエム「リアンさま……? わ……お客さまが……」モゾモゾ

リアン(そうして話していると、リエムちゃんが気付いたのか、無理に立ち上がろうとし始めた)

リエム「あうっ」ドテッ

リアン「リエムちゃん、無理しないで。大丈夫、今は休んでていいから……」

エンシァン「ふむ……見たところリエムくんは後期型の魔法人形で……現在の症状は魔力炉の破損による動作不良……合っているかな?」

リアン「そ、そうです!」

リアン(すごい……少し見ただけで、リエムちゃんの状態を言い当てちゃった! それに、後期型? っていう、知らないことまで……)

エンシァン「なに、大学部の方に重度の遺跡オタクがいてね。そいつにいろいろ無理矢理覚えさせられただけさ。しかし魔力炉の破損となると、現代技術で治すのは不可能に近いな……。古代遺物を扱える変態技術者を探すよりも遺跡に直接乗り込んでそこの設備で治しちまった方が早いかもしれん」

リアン「そ、そうなんです! 一応、リエムちゃんから魔法人形研究所っていうところの位置情報は聞いてて……」

エンシァン「何ッ!? なぜそれを早く言わなかった! だったらさっさと行くぞ!」ガタッ

リアン「え、えええ!?」

ルウェリア「せ、先生! いくらなんでも急すぎるんじゃ……!」

エンシァン「馬鹿者! 敵に防備を整える暇を与えてどうする! それにお前はいつでも遺跡へ向かう準備ができているはずだろう、ルウェリア!」

ルウェリア「……! はい、もちろんです! ロープもテントも非常食も、40秒で用意できます!」

エンシァン「よし! 遺跡探索部新入部員、リアン・ロールセンを加えて今年度初出陣だ!」

リアン「え、え……わ、わかりました! リアン・ロールセン、行きます!」



リアン(なんだかよくわからないまま私は遺跡探索部の新入部員となり、リエムちゃんを救う為に未踏遺跡である魔法人形研究所へ向かうこととなった)

リアン(まあでも……尻込みしてる暇なんてないくらいの方が、私には丁度良いや)

(日が暮れかけている中、私たちはエンシァン先生が運転する魔法燃料式ハイブリッド軽自動車に乗って移動し、迅速に目的にへと向かった)
(そこは鬱蒼とした木々に覆われた森の中で、辿り着く頃には既に日も暮れて夜の帳が降りていた――)

ルウェリア「リアンさん、これを」

リアン「……ヘルメット? あ、照明が付いてる……」

ルウェリア「魔法でも明かりは点けられるけど、光魔法が得意でない限りは魔力消費もバカにならないからね」

エンシァン「うむ。だがこのチャチな照明じゃ捗らんのも確かだ。光魔法適性の高い部員が入部してくれれば良いのだがな……。欲を言えば風も、火も、土も……あらゆる属性の担当が欲しいが。リアンくんの水魔法ももちろん頼りにさせてもらうぞ」

リアン「は、はい……! ガンバリマス!」

リエム「…………申し訳ありません。お役に立てず……」

リアン(私の背中から、小さな謝罪の言葉が聞こえてきた)

リアン「……じゃあ、治ったらいっぱい役に立ってもらうからね」

リエム「はい。いっぱい、お役に立ちます」

 ◆

リエム「ここです。ここの地面の下に、魔法人形研究所の入り口があります」

リアン(歩いていると、リエムちゃんがそう言って地面の下を指さした)

リエム「しかし扉はロックされており、わたしにはそれを開く権限がありません……」

ルウェリア「それなら地面を液状化させてみよう。リキッド!」ドロロンッ

リアン(ルウェリアさんが地面に手を付けて魔法を使うと、地面が一気にドロドロと液状化し始め、その下にある研究所の外郭が露わになった)

リアン(しかしその外郭の方は、一向に液状化しない……)

ルウェリア「くっ……やはりダメか……!」

エンシァン「ふむ……強力な対魔法防壁だな。ほとんどの遺跡の外郭にはこいつがかけられてるから、簡単には侵入できないようになっている」

リアン「じ、じゃあどうするんです……?」

エンシァン「フッ、まあ少し離れていろ……。それっ」

 ガオン!

リアン(エンシァン先生が何かの魔法を使った途端、奇妙な音と共に外郭に大きな穴が開いた)

エンシァン「よし、入るぞ。私に続け」

リアン・ルウェリア「はい!」

リアン(古代文明の対魔法障壁を容易くぶち抜く先生の魔法って一体……)

―魔法人形研究所[0/15] 持続力[6/6]

 探索メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:戦闘力+2、踏破率+1、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:戦闘力+2、踏破率+3、持続力+1)
 ◆エンシァン(掘削魔法:戦闘力+3 踏破率+3、持続力+3)
 ◆リエムちゃ(動作不良:戦闘力-1、踏破率-1、持続力-1)

リアン(ずっと昔から手付かずだったからか、魔法人形研究所の中はかなり原型を保っているようだった)

リアン(よくわからない機器や装置がたくさんある)

エンシァン「おお、おお……! 宝の山ではないか……! ククク、シャーロットの奴が見たらどんな顔をするか……」ワナワナ

ルウェリア「リエムちゃん、目的の場所はわかる?」キョロキョロ

リエム「はい、施設情報はインプットされています。ナビゲートいたします」

リアン「うん、お願い」

↓1コンマ
01-30 踏破率+6、襲撃
31-60 踏破率+6、何もなし
61-90 踏破率+6、アイテム
91-00 踏破率+9、??

―魔法人形研究所[6/15] 戦闘力[7] 持続力[5/6]

 探索メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:戦闘力+2、踏破率+1、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:戦闘力+2、踏破率+3、持続力+1)
 ◆エンシァン(掘削魔法:戦闘力+3、踏破率+3、持続力+3)
 ◆リエムちゃ(動作不良:戦闘力-1、踏破率-1、持続力-1)

 敵襲!

エンシァン「! 伏せろ!」サッ

リアン・ルウェリア「!?」サッ

 パタタタタッ

リアン(私たちが身をかがめた次の瞬間、頭上を何かがかすめていった)

リアン(通路の先を見ると、無骨な形の機械が私たちに砲身を向けて立ち止まっている)

リエム「警備ゴーレム――無警告で発砲……? 故障しているか――あるいはプログラムを改ざんされている可能性があります」

エンシァン「考察は後だ! 破壊するぞ!」


 ◆警備ゴーレム 戦闘力[2] 持続力[6/6]

↓1コンマ 戦闘判定
01-05 痛恨 味方持続力-4
06-25 失敗 味方持続力-2
26-95 成功 敵方持続力-7
96-00 会心 敵方持続力-14

―魔法人形研究所 踏破率[6/15] 戦闘力[7] 持続力[3/6]

 探索メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+3、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◆リエムちゃ(動作不良:踏破率-1、戦闘力-1、持続力-1)

 味方の持続力に2のダメージ!


警備ゴーレム「シンニュウシャ……ハイジョ……ハイジョ……」ブッピガン

 ブラタタタ……

リアン「うわああああ! わあああああ!」ジタバタ

エンシァン「落ち着けい! 敵は一体だ、落ち着いてかかれば――うおおっ!?」ササッ

ルウェリア「くっ、なんかよくわからないこの機械を液状化させて――うわあああ!」ドロロ……

リエム「あ、あ……システム、エラー、システム、エラー……」


 ◆警備ゴーレム 戦闘力[2] 持続力[6/6]

↓1コンマ 戦闘判定
01-05 痛恨 味方持続力-4
06-25 失敗 味方持続力-2
26-95 成功 敵方持続力-7
96-00 会心 敵方持続力-14

―魔法人形研究所 踏破率[6/15] 戦闘力[7] 持続力[3/6]

 探索メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+3、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◆リエムちゃ(動作不良:踏破率-1、戦闘力-1、持続力-1)


リアン「ッ! こ、こんなところで……負けられない! そっちがゴーレムなら、こっちだって!!」ギュルルルッ!!

ルウェリア「――! リアンさんの纏った水に、硬さを――ソリッド!!」ガギィィン!!

警備ロボット「ハイジョ……ハイジョ……」ブラタタタ

 カンカンカンッ

リアン「効くもんか! うあああああッ!」ブンッ

 バグオン!

警備ロボット「ジ、ジジ……シ、シンニュウシャ……ハイ……」バチバチ……

エンシァン「――もう眠れ」スッ

 ガオン!

警備ロボットだったもの「――――」


 ◆警備ゴーレム 戦闘力[2] 持続力[0/6]


リエム「システム、エラー……システム、エラー……」ブツブツ……

リアン「リエムちゃん!」

リエム「あ……リアン、さま……」

リアン「もう大丈夫だよ。ごめんね、背負ったまま激しく動いちゃって……」

リエム「いいえ……」

リアン「……少し、休んでいこう。ルウェリアさんとエンシァン先生が、周りを見てくれてるから……」

リエム「………………あの、ゴーレムは……」

リアン「……?」

リエム「……わたしと、何が違うのでしょうか…………」

リアン「…………」

 ―戦闘終了

↓1コンマ
01-30 踏破率+6、アイテム
31-60 踏破率+6、何もなし
61-90 踏破率+6、アイテム
91-00 踏破率+9、??

―魔法人形研究所 踏破率[12/15] 戦闘力[7] 持続力[2/6]

 探索メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+3、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◆リエムちゃ(動作不良:踏破率-1、戦闘力-1、持続力-1)


 スタスタ……

エンシァン「はあ……さっきはどうなることかと思ったぞ」

リアン「す、すみません。銃口を向けられたの、初めてで……パニックになっちゃいました……」

ルウェリア「はは……普通の人生送ってたら銃口向けられるなんてことないからね」

エンシァン「遺跡探索中はああいった警備ゴーレムに出くわすのも珍しくないぞ。まあそれでも、無警告で発砲されることはあまりないがな……」

リアン「うう……しんどいなあ……」

リエム「リアンさま……ご無理はなさらないでくださいませ」

リアン「リエムちゃん……!」



ルウェリア「ん……? これ、保存状態が良いですよ」

エンシァン「お? 何か見つけたのか?」

↓1コンマ 何を見つけた?
01-30 エーテルリキッド 持続力3回復
31-60 研究所案内図   踏破率+3
61-90 簡易魔導レーザー 次回戦闘のみ戦闘力+5
91-00 ??

―魔法人形研究所 踏破率[12/15] 戦闘力[7] 持続力[2/6]

 探索メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+3、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◆リエムちゃ(動作不良:踏破率-1、戦闘力-1、持続力-1)


エンシァン「おいおいおい! こりゃまさか……!」

ルウェリア「何か知ってるんですか?」

リアン「……? 剣……?」

リアン(ルウェリアさんが見つけたのは、厳重な箱に封入されていた不思議な文様の剣だった)

ルウェリア「なんか大事そうに仕舞ってありましたし、模様も綺麗ですし、裏ルートに流せばけっこうな収入になるんじゃないかと……。我が部は資金難ですし……」

エンシァン「ば、馬鹿者! これを裏に流す阿呆がどこの世界にいる! これは――」

剣「うるさい……」

リアン・ルウェリア「!!?」バッ

リアン(突然声が聞こえて、私とルウェリアさんはその場から飛び退いた。今のは……剣から聞こえたような……)

リエム「インテリジェンスソードのお方ですね」

リアン(リエムちゃんが、何やら聞き覚えのない言葉を言った。いんてりじぇんすそーど?)

剣「ふわああ……。よいしょ」グンッ

リアン(剣は物理法則を無視した動きで自立すると、ギュルンと形を変え――10歳くらいの女の子のような姿になった。おかっぱだ)

剣だった少女「あなたたち、だれ?」

リアン(剣だった少女はあくびをしながら、眠そうな目で私たちを見回した)

エンシァン「おお……本物のインテリジェンスソードとは……。お初にお目にかかる、私はエンシァン。こっちがルウェリア、リアン。リアンが背負っているのがリエムだ」

剣だった少女「ふうん。ルルはルル。ルル・ルールル」

リアン(ルが多すぎて一瞬混乱したが、多分ルル・ルールルという名前だ)

ルル「んー? あれ、ここ、どこ?」キョロキョロ

リエム「ここは魔法人形研究所です、ルルさま」

ルル「んん……? おもいだせない……。ねえ、外出たい」

エンシァン「……ク、ククク……それなら、私たちに付いて来るのはどうかな……? まだ目的への道すがらだが……クッ、フフ……いずれは外に出る……」

ルル「ん。そうする」コクン

リアン(なんだかよくわからないけれど、インテリジェンスソードのルル・ルールルちゃんが付いてくることになった。エンシァン先生、すごく嬉しそう……)




ルウェリア「せ、先生……あんまり変なことしないでくださいよ?」

エンシァン「し、しないしない! 君は私をなんだと思っているのかね!?」

↓1コンマ
01-90 踏破
91-00 ??+踏破

―魔法人形研究所 踏破率[15/15] 戦闘力[9] 持続力[5/10]
 探索メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+3、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◆リエムちゃ(動作不良:踏破率-1、戦闘力-1、持続力-1)
 ◆ルル   (土の魔法:踏破率+2、戦闘力+3、持続力+4)

エンシァン「この扉は……!」ザッ

扉「」

リエム「魔法人形試作研究区画――本研究所の中枢エリアです」

リアン「! ここなら……リエムちゃんを、治せる……?」

リエム「……断定はできませんが、施設の保存状態から言えば可能性は高いです」

ルウェリア「…………ねえ、ここでその、アクセス権限ってやつは手に入る?」

リエム「……断定はできませんが、この研究所で上級権限を取得できる機能がある可能性は高くありません」

ルウェリア「そっか……。ううん、いいんだ。一歩一歩、着実に潰していくだけさ」

リアン「ルウェリアさん……」

エンシァン「フッ、各遺跡の位置情報は既に掴んでいるのだろう? ならば私がいつでも穴を開けてやる」

ルウェリア「先生……。ありがとうございます!」

ルル「ふうん……。なんだかいろいろフクザツな事情があるのね」

 ◆

(そうして私たちは、その重々しい金属の扉を開けて中に入った)

(そこで待っていたのは――)


リアン「こ、これ、は――……」

ルウェリア「な……なに、これ……」

エンシァン「クッ……なぜ、ここだけ……!?」

ルル「わ……。ぐろ……」

リエム「…………」


(おびただしい数の、魔法人形の死体だった――……)


リアン「こ、ここ、で……ほ、本当に、リエムちゃんは治るの……!?」

リエム「設備の機能を確認……スタンバイ状態……余剰パーツ有り……修復可能……」ピピピ

ルウェリア「ほ、本当に大丈夫なの? こんなところの設備なんて使ったら、リエムちゃんも……!」

エンシァン「いや、それはない……。見たところ、この惨殺された魔法人形たちは設備とは無関係の、何か別の力で殺されている……」


リエム「……リアンさま。わたしを、あの円筒形の機械に入れてくださいますか?」

リアン「り、リエムちゃん……。本当に……本当に、大丈夫なんだよね……?」

リエム「はい。システムはオールグリーンの値を示しています。本区画外観の凄惨さに対し、設備の状態は良好のようです」

リアン「わ、わかった……。あ、危なくなったら、助けを呼んでね? すぐに助けるから」

リエム「はい、リアンさま」ギュッ


(私はリエムちゃんをゆっくりと、その円筒形の機械に設えられた寝台のような部分にリエムちゃんを横たえた)

 ウィーン……

(円筒形の機械がリエムちゃんを取り込んで、その蓋が閉まっていく。私は不安と必死に戦いながら、その様子を見つめ――)



??「あーあ。容赦しないって言ったばっかなのに。ていうか来るの早すぎでしょ、頭おかしいんじゃない?」

全員「――!!?」バッ

(即座に振り返る。そこに立っていたのは、リエムちゃんにそっくりで――しかし瞳だけはあの時乗っ取られたリエムちゃんのように真っ赤な――魔法人形だった)

本日はここまで

リアン「あ、あなたは……!!」

??「あ、ちゃん付けのキショい人間。ガラクタ可愛さにここまで来るとかキショい通り越して吐き気を催す変態でしょ」

ルウェリア「そうやって安全な所から魔法人形に取り憑いて姿を見せないで――あんたの方が、よっぽど吐き気を催す卑怯者じゃない!」

??「はあ? これはわたしのオリジナルボディなんだけど。必要もないのに他のガラクタにハッキングなんてするわけないじゃん」

リアン「……! あなたも魔法人形なら、どうして同族をガラクタなんて……!」

??「一緒にしないで。自分の意志もなく人間に使われて、穢されて、壊されるだけの惨めな人形なんて――ガラクタ以外の何者でもない」キィン―

リアン(その子は吐き捨てるようにそう言い、片手を私たちへと向けた。その手には魔力が収束し――)

??「これ以上の会話はリソースの無駄。死ね」キィィ――

リアン(リエムちゃんを乗っ取った時よりも遥かに早いスピードで――臨界点に達した魔力が放たれる――)


 ガオン!


リアン(しかしその魔力が放たれた瞬間、先生の魔法の音が響いた)

エンシァン「クッ……こいつは奥の手だったんだがな……!」ズザザッ

??「!? まさか――!」

ルル「よそ見」ヒュッ

 ギン!

??「――ッ!! 舐めるなッ!」バヂヂッ

ルル「わわっ」ヒョイッ

ルウェリア「リエムさん! 私たちも!」ダッ

リアン「あ、うんッ!」ギュルルッ



リアン(私は、まだ何も知らない。リエムちゃんのことも、この子のことも。本当に、何も)

リアン(戦うしかないのかな。他に道はないのかな)

リアン(――ううん。きっと、ない。だってこの子が私たちに向ける殺意は、あまりにも――)

リアン(だから今は、この場を生き延びなきゃ――)


―魔法人形研究所 踏破率[15/15] 戦闘力[10] 持続力[6/11]
 探索メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+3、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◆ルル   (土の魔法:踏破率+2、戦闘力+3、持続力+4)

 VS
 ◆?? 戦闘力[10] 持続力[5]


 ――ボス戦闘開始――

↓1コンマ
01-05 痛恨 味方持続力-20
06-50 失敗 味方持続力-10
51-95 成功 敵方持続力-10
96-00 会心 敵方持続力-20


  ガギィン!
         ギュルルルッ! 
    ギンッ!
          キィィーン――
 ガオン!


リアン「はあっ、はあっ……! 癒やしの水っ!」ポウッ

ルウェリア「ぐうっ……! あ、ありがとうリアンさん!」シュタッ

??「ふざけるな、ふざけるなッ……!」キィィ――

ルル「鈍ってきてる」ザシュッ

??「ああああああッ!!!」

エンシァン「終わりだ――」スッ


リアン(あ――先生が、あの子にトドメを――)


↓1〜3 重要な選択なので多数決

1.止める
2.止めない


リアン「だめえええええッ!」ダッ

エンシァン「うっ!? な、何をするリアンくん!」ザザッ

リアン「だ、だめです! リエムちゃんは助けて、この子は殺すなんて……! そんなの間違ってる!!」

エンシァン「誤謬だ! リエムくんを助ける為にこの魔法人形を倒さなければならないのだろう! この魔法人形が生きていれば、リエムくんが乗っ取られて破壊活動をされるリスクは消えないのだぞ!」

リアン「そ、それでも――! それでも――……ッ!!」


リアン(先生の言うことに対する有効な反論は思い付かない。ただの感情論。子供の我儘と言われれば、それまでだ)

リアン(――でも。もし、リエムちゃんと同じ魔法人形のこの子を、ここで殺してしまったら――)

 ??『自分の意志もなく人間に使われて、穢されて、壊されるだけの惨めな人形なんて――ガラクタ以外の何者でもない』

リアン(この子の、あの言葉を――そんな哀しい魔法人形の末路を、肯定してしまう気がして――)

リアン(絶対に、嫌だった)


ルウェリア「せ、先生! 私も、今ここでこの魔法人形にトドメを刺すことには反対です!」ザッ

リアン「ルウェリアさん!」

エンシァン「ほう! ルウェリアの言い分はなんだ!?」

ルウェリア「こいつは遺跡の重要参考人として価値があります!」

エンシァン「一理ある! が、それはリエムくんでも構わないのではないかね!?」

ルウェリア「リエムちゃんよりも……け、権限がありそうですし……!」

エンシァン「素直に情報を吐く可能性はどれくらいあるかな!? 自爆する危険性は!!?」

ルウェリア「う、ううッ……!」

リアン(ルウェリアさんが助けようとしてくれたが、呆気なく先生に言い負かされてしまった。これが大人のやり方か……!?)



ルル「むー……ルルにわかんない話しててつまんない……。ん?」

??「う、うぅ……人間なんて……人間なんて……ッ!!」キィィ――

ルル「わわわ! お喋りしてる場合じゃ――」

??「大ッ嫌いッッ!!!!」キュィィィ――ッッッッ


 ドギュゥゥゥゥン――――

「――魔導障壁展開……状態良好……」

リアン「へ……?」

リアン(一瞬、膨大な光に目が眩んで……目が慣れた時には、最近少し見慣れてきたさらさらの金髪が視界に入った)

リアン(――リエムちゃんが、光から私たちを守るように立っていた)

リエム「リアンさま。皆さま。お怪我はありませんか」

リアン「リエムちゃん!」

ルウェリア「もう治ったの!?」

リエム「はい。ご迷惑をおかけいたしました。セキュリティのバージョンも上がりました」ペコリ

リアン(リエムちゃんはペコリと頭を下げる。良かった。それなら後は――)

リアン「――あれ? あの子は?」

リエム「離脱していったようです。追撃いたしますか?」

エンシァン「……いや。我々も消耗が激しい。目的は果たしたのだから、帰ろう」ザッ

リアン「あ……。せ、先生……さっきは、すみません……」

エンシァン「いいさ。学生の善意を踏み躙りかけるなど、私も少々大人げがなかった。今後のことはこれから考えれば良い」

リアン(先生はそう言ってカラカラと笑った。やっぱり……めちゃくちゃに見えて思慮深くて、思いやりのある人なんだ)

エンシァン「それに……ククク……あれほどまでに自我を確立させた魔法人形を破壊するのは些か私も耐え難かったのでな……」

リアン(お、思いやりのある人なんだ。多分……)

ルル「ふわああ〜。なんだかすっごい疲れちゃった。目覚めてばっかりであんなのと戦わされるなんて聞いてないよお」ノビー

リアン「ルルちゃんもお疲れ様。いきなり巻き込んじゃってごめんね」

ルル「んー、まーでも寝起きのいい運動になったかも」

リアン「あんな死と隣合わせな運動はもうゴメンだよ……」



―魔法人形研究所 踏破率[15/15] 戦闘力[15] 持続力[8/13]
 探索メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+3、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◆ルル   (土の魔法:踏破率+2、戦闘力+3、持続力+4)
 ◆リエム  (魔導兵装:踏破率+2、戦闘力+5、持続力+2)

 ――踏破成功――


―どこかの遺跡

??「はあ、はあ……くそっ、くそっ……あんな奴らに……!」ヨタヨタ

「随分無様にやられたものですね?」ヌッ

??「ッ! 何の用ッ……!?」バッ

「別に。スクラップになってたらバックアップを取って次のあなたを作ってあげようと思ってたけど、必要ないみたいですね」

??「ッ!」ギリッ

「フフ、そう睨まないで。そのボロボロの体を直す用意もありますよ?」シャキン

??「いらないッ! お前なんかに体を弄くられるくらいなら爆散した方が万倍マシ!」

「あら残念」スッ

??「用がないなら消えろ! お前みたいな下衆がいるとパフォーマンスが落ちる……!」

「全く、嫌われたものですねえ。フフ……それじゃあリエムちゃんとやらでも見に行きますかね」

??「……あいつらは私のターゲット。手を出さないで」

「ふふ、別に取って食うわけではありませんし。それにもし壊れたら、そのリエムちゃんとやらも新しく作り直してあげますからご安心を」

??「お前ッ――!」キィン―

「そんな体で撃ったら今度こそ完全にスクラップですよ?」

??「――――ッ」ギリリッ

「それでいい。せっかく拾った命、大事になさいな。バックアップから再生したあなたは、あなたであってあなたでないのですから――」

――――

――

本日はここまで
戦闘が即殺or即死みたいな世紀末バランスなので次回はなんか良い感じに調整します

―4月2週

リアン(あの後ルウェリアさんが周辺の土や岩石を液状化させて穴を埋め固め、皆でそれっぽく隠蔽工作を行ったことにより、私たちの盗k……遺跡探索が露見することはなかった)

リアン(リエムちゃんはいろいろあって転がり込んできた私の親戚の子、という設定で誤魔化すことになった。エンシァン先生の口利きで私の部屋に住む許可も得られた為、とりあえず目先の問題は解決したと考えて良さそうだ。しかしユリトー魔法女学院、親戚の子も寮に住めるなんて寛大なのか雑なだけなのか……)

リアン(そしてルルちゃんは――)

↓1コンマ
01-20 その辺をほっつき歩いている
21-60 エンシァン先生のおうちに厄介になっているようだ
61-90 当面は遺跡探索部の部室に住むことにしたらしい
91-00 なんか新任教師ってことになってるんですけど……

―ユリトー南海岸

ルル「わーッ! 海だーッ! あはははは!!!」タタタタ

エンシァン「ま、待ってくれーッ! 一度でいいから身体測定をーッ!」ドタドタドタ…

ルル「やだーッ! あははははははは!!!」タタタタ

 ◆

リアン(……その辺をあてもなくぶらついているらしい。土魔法の技量や剣になれる特性のお陰で、どんな環境でも割と平気らしい)

リアン(エンシァン先生はまだ熱烈なアプローチを続けているみたいだし、会おうと思えばいつでも会える気がする。一緒に戦ってくれたこと、ちゃんとお礼したいしね)

リアン(さて……転入早々台風みたいな出来事に振り回されてきたけど、ようやく少し落ち着くことができそうだ。もちろん、ルウェリアさんのお姉さんのこととか、あの赤い瞳の魔法人形の子のこととか……考えなきゃならないことはいっぱいあるけど)

リアン(今は、少し羽を休めたい……)

 ◆

 キーンコーンカーンコーン……

生徒A「あー月曜まじしんどー」グデー

生徒B「あーね。までも、ガッコで皆に会ってイチャラブすんのも悪くなくね?」

生徒A「アハッ、イチャラブしたらうちら百合レズじゃん!」

生徒B「女学院っていや百合レズっしょ!」

生徒A「めっちゃそれな!」

 キャハハハハ…


リアン(いやそれはおかしいでしょ……)ジトー

ノルン「リアンちゃん、お昼一緒に食べない?」スッ

リアン「あ、う、うん! 食べる食べる……あっ!」

ノルン「……もしかしてまたお弁当忘れちゃった?」

リアン「え、えひひ……」メソラシ

サーナ「そんなリアンに朗報ですわ! 今週から先週まで改修工事をしていた学食がオープンしましてよ!」ドン!

リアン「え! ていうか学食なんてあったんだ……」

ノルン「あはは……それなら分けてあげなくても大丈夫だね」シュン…

リアン「あ、え、ええと……」

サーナ「学食ご飯と皆のお弁当を分け合いっこしましょう! たくさん味わえて一石二鳥ですわ!」ドドン!

リアン「そ、その手が――――ッ!」

 ◆

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・赤い瞳の魔法人形と話をする

4月2週の行動です
↓1〜3 自由行動安価 自由行動の後にシナリオイベントが発生します

遺跡や古代遺物の事で詳しそうな人を探す

リエムちゃんと遊ぼう

パジャマパーティーをする

―4月2週 某日

リエム「リアンさま、朝です。起きてくださいませ」ユサユサ



リエム「リアンさま、朝ごはんはお食べになりますか? もし食べるのが難しい場合は、流動食だけでも――」



リエム「おかえりなさいませ、リアンさま。夕ご飯の準備とお風呂の用意ができております。また、本日はお弁当を忘れていかれてしまったようで――」



リエム「リアンさま、お眠りになれないようでしたら子守唄を歌ってさしあげます。横になってくださいませ――」



リエム『リアンさま、リアンさま、リアンさま――』



リアン「……」ムクリ

リエム「リアンさま。本日はご自分で起床なされたのですね。朝ごはんは――」

リアン「リエムちゃん!!!」ガバッ

リエム「はい、リアンさま」キョトン

リアン「な……何か、やりたいこととか……ない!?」ズイッ

リエム「はい。これからもリアンさまにお仕えさせていただきたく――」

リアン「そ、それ以外で!」

リエム「――――」


リアン(私がそう問うと、リエムちゃんはぽけっとした表情のまま固まった)

リアン(なんだか、今のままでは――魔法人形を利用して使い潰す人間と、使い潰される魔法人形――そのものみたいだ)

リアン(例え形だけでも、心根がそうでなかったとしても――形はやがて、真になり得る)

リアン(早急に、改善すべき案件かもしれない……)


リエム「――わかりません。申し訳ありません……」

リアン(しばらくするとリエムちゃんはそう言って、頭を下げた)

リアン(いろいろと問題はあるけれど、とりあえず『やりたいことはない』という断定ではなくて一安心だ。わからないだけで、あるかもしれないのだから)

リアン「……よし! 頭を上げて、リエムちゃん。そもそも私相手に頭を下げる必要なんてないからね」

リエム「そうなのですか?」

リアン「うん。やりたいことがわからないなら、わかるようになろう!」

リエム「わかるように……」

リアン「だからまずは――えっと……」

 ◆

―公園

リアン「リエムお姉ちゃん! 商品を持ってきたよ!」

リエム「おつかれさま、リアン。これでおみせがひらけるね。いっぱいおかねをかせいで、リアンをしあわせにするね」

リアン「リエムお姉ちゃんも幸せにならなきゃだめだよ!」

リエム「リアンをしあわせにすることが、リエムおねえちゃんのしあわせなのよ」

リアン「お、お姉ちゃん自身の幸せを探さなきゃ!」

リエム「おねえちゃんじしんのしあわせは、リアンがしあわせになることなのよ」

リアン「んあああああ!!! 妹離れしろーッ!」

リアン(私はおままごとを通してリエムちゃんの情操教育を図ろうとしたが、上手くはいかなかった)

リアン(でも私は諦めない。リエムちゃんにリエムちゃん自身の生きる意味を見つけてもらうことを……!)



サーナ「何をしてらっしゃるのかしら、あの二人……」

ノルン「……お、おままごと……かな? あはは……仲が良いんだね……」

 ◆

本日はここまで
他の自由行動は次の更新でやります

リアン(……先日のおままごと作戦は失敗だった。別のアプローチが必要だ)

リアン(古代遺物の専門家の人に話を聞きたい。魔法人形の情操教育や、この島の遺跡について)

リアン(どの道、もう遺跡や古代遺物との関わりは避けられない。無知でいるのは自殺行為だ)

リアン(エンシァン先生はあれで遺跡の専門家というわけではないらしいし……どこかに遺跡や古代遺物に詳しい人がいれば良いのだけれど……)

 ◆

―4月2週 某日 放課後
 ユリトー川 下流

 サラサラサラ……(水の流れる音)

ルウェリア「うーん……」ムム

リアン「……ど、どう? 見つかりそう?」

ルウェリア「当時とは地形が大きく変わってるみたいで……簡単には見つからないかも」

リエム「お役に立てず、申し訳ありません……」

ルウェリア「ううん、リエムちゃんのお陰で凄い前進してるよ! 今までは、既知の遺跡は隠蔽されるし未知の遺跡は見つからないしで八方塞がりだったんだから。まさしく雲泥の差ってやつだね」

リエム「それは本当ですか……?」

ルウェリア「本当本当!」

リアン(ルウェリアさんはそう言いながら、大げさにリエムちゃんを褒め称えた。なんだかリエムちゃんが褒められると私も嬉しくなる)



リアン「そういえばエンシァン先生は?」スタスタ

ルウェリア「今日もルルさんのストーキング」ガサガサ

リアン「ええ……」ドンビキ

ルウェリア「まあ……自由な人だから。その自由さのお陰で私もいろいろ自由にやらせてもらってるし……」

リアン「そ、そうなんだ……」

ルウェリア「うん……。あ、そういえば今日は現地に顧問代理を送るとかなんとか言ってたような」

リアン「顧問代理?」


「こんにちは〜」


リアン(私たちがそんな話をしていると、ふんわりと間延びした優しそうな声の挨拶が聞こえてきた)

シャーロット「遺跡探索部の今日の活動場所はここで合ってるかしら?」ユサッユサッ…

リアン(振り向くと、優しそうなお姉さんが長い金髪を風に揺らせてこちらへ歩いてきているのが見えた。縦セタにタイトスカートに網タイツ……セクシーな大人ファッション!! 縦セタを大きく歪曲させる巨山が二つ、一歩一歩歩く度にたゆんたゆんと揺れている……!! 耳が尖っていることに気付いたのはやや遅れてからだった。この人、エルフだ。最近はエルフの巨乳化が著しいというニュースを前に見たけれど、まさかこれほどまでとは……!!!)

ルウェリア「シャーロット准教授! もしかして代理顧問というのは――」

シャーロット「ええ。本日の遺跡探索部顧問代理は、この私シャーロット・リスティアが務めさせていただきます。ふふ、よろしくねみんな」ユサッ

リアン(シャーロット准教授はそう言って、にこやかに微笑んだ。優しそうな人だ。セクシーだけど)


リアン「は、初めまして。私リアン・ロールセンって言います。この子は、ええと、私の親戚の……」

シャーロット「ふふ、大丈夫よ。事情はエンシァンちゃんから聞いてるから。魔法人形のリエムちゃん、ね?」

リアン「!」(エンシァン先生のお墨付きなら大丈夫だとは思うけれど……)

リエム「はい。よろしくお願いいたします、シャーロットさま」ペコリ

シャーロット「!!!!!!」ズキュウウウン

シャーロット「ふ、ふふ、うふふふふ……。そ、それでね……? ものは相談なんだけれど……。リエムちゃんのことを、その、ね? ちょ、ちょっとだけ……先っぽだけでいいから、ね? ふふ、うふふふふ……!!!」ズズズ…

リエム「っ!」ギュッ

リアン(あのリエムちゃんが、体を強張らせて私にしがみついた――?)

リアン(こ、この人、エンシァン先生の――同類ッ!!)

 ◆

シャーロット「魔法人形の情操教育について、ねえ」

リアン「はい。リエムちゃんは私に仕えることしか考えてない……ううん、考えられないみたいで」

リアン(探索の休憩中に、私は早速リエムちゃんのことについてシャーロット准教授に相談してみることにした。ちなみにリエムちゃんはルウェリアさんと一緒に焚き火の準備をしている)

シャーロット「そうは言ってもそれは魔法人形にとって当然のことなのだから、無理に捻じ曲げようとする方が余計な歪みを生みかねないわよ?」

リアン「で、でも……! リエムちゃんにそっくりな赤い瞳の魔法人形は、自分の意志を持っているように見えたんです。だったら――!」

シャーロット「話には聞いているわ。とても興味深いし、私も是非対話してみたいけれど……。リアンちゃんは、その子が幸せそうに見えた?」

リアン「っ」

リアン(幸せには……とても見えなかった。むしろ、物凄く苦しそうで……。なんとかできるなら、なんとかしてあげたい。私なんかがそんなこと思うのは、きっとあの子にとってとても迷惑で、すごく傲慢なことなのだろうけれど……)

シャーロット「逸脱した魔法人形の行く末が幸せなものである保証なんてどこにもないのよ。むしろ、生まれつきのプログラムに則って主人に粛々と従い続ける方が、ずっと平穏で幸せかもしれない」

リアン「……」

シャーロット「それに……ふふっ。リアンちゃんは、リエムちゃんに酷いことをする悪いご主人さまには決してならないでしょう?」

リアン「あ、当たり前です! そんな悪い人間には絶対なりません!!」ガタッ

シャーロット「なら今はそれでいいじゃない。もしリエムちゃんが自分の意志を持つなら、きっと誰に言われるでもなく自ら掴み取るわ。意志って、そういうものでしょう?」

リアン「……そうかも、しれません」

シャーロット「ふふ、でもリアンちゃんがリエムちゃんのことをとっても真剣に考えてるのは凄くよくわかったわあ。良いわねえ、とても――」



リアン(少し言いくるめられてしまったような気もするけれど――なんだか、すっきりした)

リアン(私、あの赤い瞳の子に言われたことを気にして、焦っていたのかもしれない)

リアン(そうだよね。私に言われるがまま意志を探すなんて本末転倒だよ)

リアン(考えても見れば、私もリアンちゃんもまだ出会ったばかりなんだから。焦らずゆっくり、生きていこう――)



ルウェリア「おーい魚焼けたよー!」

リエム「焼けましたー!」


シャーロット「あら、いつの間に魚なんて釣ったのかしら。ふふっ、じゃあ行きましょ。リアンちゃん」ユサッ

リアン「はい! 今行くーっ!」スクッ

 ◆

リアンちゃんは自分の胸にはあんまり興味ないけど自分以外のおっぱいには割と興味があるタイプの子かもしれません
――――――――――――――――

―4月2週
 リアンの部屋

リエム「…………」

リエム(わたしがなすべき家事は全て終わってしまいました)

リエム(リアンさまが帰ってくるまで、やることがありません)

リエム(リアンさま……)

リエム(あ――)


  リアン『私が出てる間、暇だったらタブレットとか使って遊んでていいからね。使い方は――』


リエム(リアンさまから、タブレットをお預かりしていました)

リエム(使用の許可はいただいています。インタネットという不定形データベースにアクセスすることで、情報を取得できるのだとか――)

リエム(今の時代、世界について学習しましょう)

 ◆

動画「イマドキ女子と言えばパジャマパーティ、パジャマパーティと言えばイマドキ女子。パジャマパーティをしない女子はゴミクズ以下だぜ」

リエム「…………」

リエム(イマドキ女子はパジャマパーティをする)

リエム(この時代の価値観では、パジャマパーティをしない女子はゴミクズ以下の誹りを受ける)

リエム(リアンさま……!)

 ◆

リアン「ただいまあ〜」ガチャッ

リエム「おかえりなさいませ、リアンさま」トテトテ

リアン「うん、ただいまリエムちゃん。お留守番ありがとうね」

リエム「はい、リアンさま……。あの、リアンさま。ご相談があります」

リアン「へっ?」

リアン(り、リエムちゃんが私に相談!? ま、まさか、もうやりたいことが見つかったとか!? で、でも急すぎない!? 私まだ、心の準備が……!!)

リエム「パジャマパーティを、開いて欲しいです」

リアン「え……え?」

リエム「パジャマパーティを、開いて欲しいです」

リアン「…………え? パジャマパーティ?」

リエム「はい」

リアン「それは……え、ええと……り、理由を聞いてもいい?」

リエム「はい。イマドキ女子は、パジャマパーティをするとお聞きしました」

リアン「そ、そうらしいね」

リエム「パジャマパーティをしない女子は、ゴミクズ以下と蔑まれるそうです」

リアン「え、そうなの?」

リエム「はい。そうらしいです。タブレットで見ました」

リアン(ええ……)

リエム「だからリアンさまに、パジャマパーティを開いていただきたいのです」

リアン(ええ〜……)

リエム「リアンさま……。お願いします」ペコリ

リアン(なんてことだ……。リエムちゃんに、まずはネットリテラシーを学んでもらうべきだった……)

リアン(でも……これはリエムちゃんが初めて出した要求だ。経緯はなんであれ、応えてあげねば女が廃るというもの――)

リアン(こういうのの企画役って正直死ぬほど苦手だし向いてないし吐きそうになるけれど、コミュ障なりにやれるだけやってやる!)

リアン「……わかった! やります、パジャマパーティ!」

リエム「リアンさま……! ありがとうございます――」フカブカー

 ◆

―4月2週 某日

リアン(と威勢よく啖呵を切ったは良いものの――)



 ガヤガヤ…

生徒A「てかめっちゃあの新色良くない? アタシめっちゃハマっちゃったかも〜!」

生徒B「わかるわ〜! マジバチバチイマドキ越えてミライドキ女子になれそーだよね〜!」



サーナ「ノルン、今度手合わせよろしくて?」

ノルン「ええ? 闘技大会はまだまだ先だよ?」

サーナ「常在戦場ですわ! 常に鍛錬を怠らず磨き続けてこそ、戦場(いくさば)で真の実力を発揮できるんですのよ!」

ノルン「言いたいことはわかるけど……それなら私なんかよりもっと適任がいると思うよ?」

サーナ「フッ、隠しても無駄ですわよ? あなたの真の実力に気付かぬわたくしではありませんわ」

ノルン「……わかった。でもあんまり、人には言わないでね?」



リアン(や、やっぱやめよう……。皆、それぞれの日常を過ごしているんだもの。いきなり私なんかが皆の時間を奪っちゃ悪いし……)

ルウェリア「リアンさん、どうしたの?」スッ

リアン「うひゃあ!」ドテッ

ルウェリア「わっ、ご、ごめん。驚かすつもりはなかったんだけど……」

リアン「あ、ルウェリアさん……。え、ええと……あのね……?」

ルウェリア「うん?」

 ◆

ルウェリア「パジャマパーティ?」

リアン「うん。リエムちゃんの初めての要求だから、叶えてあげたいんだけど……」

ルウェリア「よし、わかった! じゃあ遺跡探索部と……誘えそうな人を誘ってみるよ!」

リアン「ええ! い、いいの!?」

ルウェリア「気にしないで。リアンさんにもリエムちゃんにも、いろいろ助けてもらったし……。それに私、実はこういうのけっこう好きだから」

リアン「え、そうなの?」

ルウェリア「うん。あはは、リアンさんには遺跡のことで余裕のない顔ばっかり見せてたもんね……」

リアン「……!」

リアン(そうだ――。ルウェリアさんも、普通の女の子なんだ。お姉さんのことがなければ、本当はもっと、学生生活を心から――)

リアン(……私、頑張ろう。皆、同じ学生なんだから。皆で、この学生生活を――〝イマドキ〟を、楽しめるように――!)

 ◆

本日はここまで。最後にコンマ判定だけ

↓1コンマ パジャマパーティ参加者
01-12 リアン、リエム、ルウェリア
13-24 リアン、リエム、ルウェリア、サーナ
25-36 リアン、リエム、ルウェリア、ノルン
37-48 リアン、リエム、ルウェリア、サーナ、ノルン
49-60 リアン、リエム、ルウェリア、エンシァン
61-72 リアン、リエム、ルウェリア、ルル
73-84 リアン、リエム、ルウェリア、シャーロット
85-96 リアン、リエム、ルウェリア、エンシァン、ルル、シャーロット
97-00 リアン、リエム、ルウェリア、??

―4月2週 週末
 リアンの部屋

リアン(E:きぐるみパジャマ)「…………」

リエム(E:ネグリジェ)「…………」

ルウェリア(E:襟付きパジャマ)「…………」



ルウェリア「……ごめん。何人か誘ってみたんだけど……皆、今週はけっこう予定があるみたいで……」ズーン

リアン「き、気にしないで! 私としては、むしろ見知った仲の人しかいない方が気楽で良いから……!」

リエム「リアンさまがリラックスできる環境が一番良いです」コクコク

ルウェリア「二人とも……ありがとう……。私、人望ないけど……あなたたちとパジャマパーティができて、嬉しいよ……」グスッ

リアン「じ、人望あるから! 私にとっては全然人望あるから!」アタフタ

リエム「はい。わたしにとっても、ルウェリアさまはとても信頼のできるお方です。どうか、お気に病まないでくださいませ……」

ルウェリア「う、うう……私、二人に会えて良かった……!!!」ガバッ

リアン(私たち三人のパジャマパーティは、よくわからないテンションで始まった……)



ルウェリア「そういえばリアンさん、きぐるみみたいな形に水を纏う魔法を使ってたよね。きぐるみ好きなの?」

リアン「あ、うん。へ、変かな……?」

ルウェリア「ううん、女の子らしくて可愛いと思う。あの水魔法はオリジナル?」

リアン「うーん。あれ元はジェルアーマーっていう教本魔法なんだけど、私好みにアレンジしてったらあんな感じになっちゃって。だからまあ、オリジナルとは言えないかなあ……」

ルウェリア「ええ!? あれジェルアーマーだったの!? す、すごい魔改造……」

リアン「ま、魔改造だなんて。ちょっといじっただけだよお〜」

ルウェリア「ちょっといじっただけじゃ物理的な破壊力を強化する機能は付かないと思う……」



リアン「ルウェリアさんはシンプルなパジャマだね」

ルウェリア「うん。着心地さえ悪くなければ、他にはあんまりこだわりとかないから」

リアン「な、なんかカッコ良い……。できる女って感じがする」

ルウェリア「いや、無頓着なだけだよ。リアンさんみたいに自分の〝好き〟をこだわれる方が、素敵だと思う」

リアン「そうかなあ……。ルウェリアさんも素敵だし可愛いよ。ね、リエムちゃん」

リエム「はい。ルウェリアさまのパジャマはご自身のパーソナルカラーと見事に調和しており、素敵で可愛いと言えます」

ルウェリア「ふふっありがとう二人とも。実は、色合いとかはけっこう気を遣って選んでるんだ」



ルウェリア「リエムちゃんも、そのネグリジェ凄く似合ってる。どこか良いとこのお嬢様みたい」

リアン「でしょでしょ! えっへへ〜これ私が選んだんだよ〜!」

リエム「はい。先日、リアンさまに買っていただきました」

ルウェリア「そうだったんだ! きぐるみ……じゃないんだね?」

リアン「ま、まあ……きぐるみも考えたけど、それだと私の趣味の押し付けになっちゃうし……」

ルウェリア「ああ……。リアンさんらしいと言えばリアンさんらしいね、それも……」



リアン「ところで、パジャマパーティって何をすれば良いの?」

リエム「はい。イマドキ女子は、シャンパンやワインで乾杯するそうです」

ルウェリア「私たち未成年だよ!!」

 ◆

―翌朝
 リアンの部屋 ベランダ

 チュンチュン…

リアン「ふああ〜……」

リアン(結局パジャマパーティと称しながら、昨日は遅くまで遺跡のことや古代文明のことばかり話していた)

リアン(まあそれも私たちらしいっちゃ私たちらしいけど。いつも通りだ)

リアン(朝の空気が気持ち良い……)



ルウェリア「おはよう、リアンさん」スッ

リアン「あ、ルウェリアさん。おはよ」

ルウェリア「隣、良い?」

リアン「うん。どうぞどうぞ」ササ

ルウェリア「ありがとう……」スス

リアン(昨晩のパジャマのまま、ベランダで黄昏る私の隣にルウェリアさんが来た)

ルウェリア「気持ち良いね」

リアン「うん」

ルウェリア「……」

リアン「……」

リアン(静かだ。でも悪くない。不思議と、こんな沈黙も心地良く感じる)



ルウェリア「……敬語……使わなくなったね」

リアン「あ……そういえば……」

ルウェリア「ふふ……。その方が良いよ、私」

リアン「……うん」

ルウェリア「…………ねえ。リアンちゃんって、呼んでも良い……?」

リアン「……うん。私も……ルウェリアちゃんって、呼んで良いかな……?」

ルウェリア「もちろん」

リアン「それじゃあ改めて――よろしくね、ルウェリアちゃん」

ルウェリア「こちらこそ――よろしく、リアンちゃん」

 チュンチュンチュン…

リアン(休日の静かな朝は、ゆっくりと過ぎていった――)

 ◆

―4月3週
 遺跡探索部 部室

エンシァン「リエムくんの地図を参考にして一週間遺跡を探してみたものの、現状見つかっているのは魔法人形研究所のみ、と」

ルウェリア「はい……」

エンシァン「地図とは地形が全く異なっているところも少なくないな。リエムくんが敢えて間違った情報を与えたとも考えにくい。となると――古代文明が栄えた時代から現代に至るまでの間に、このユリトー島で地形の大規模な変化が起きていたと考えるのが妥当だろう。専門家はどう思う?」

シャーロット「私も同じ考えよ。特にこのユリトー島は中央に大きな火山を擁している。もし過去に大きな噴火があったとしたら、当時の文明が滅んで地形が大きく変わったとしても全く不思議ではないわ」

リアン「な、なるほど……。となると、すぐに見つかった魔法人形研究所がレアケースだったんですね……」

エンシァン「ああ、レア中のレアだったのかもしれん。中身の状態もかなり良かったしな」

シャーロット「も〜三人ともずるいわよお。今度私も連れてってね?」ユサッ

エンシァン「言われなくとも連れていってやる。お前がいればわからなかったこともわかるかもしれんしな」

シャーロット「やったー! エンちゃん大好き!」ダキッ

エンシァン「やめろ、暑苦しい。少しは胸の脂肪を落とせ」シッシッ

 ◆

―ユリトー島 新南区
 学生通り

 ワイワイガヤガヤ…

ルウェリア「……はあ。地形変化の理由が推測できたところで、結局は地道に足で探すしかないか」スタスタ

リアン「うん……。でも私も遺跡探索部の部員として頑張るから、一緒に頑張ろ!」スタスタ

ルウェリア「……っと、ごめん! 私が腐っちゃだめだよね。リエムちゃんの地図があるだけで今までとは段違いなんだから……!」

リアン「あ、あはは……。あんまり、自分を追い詰めないでね。適度な休息が効率を上げるって、何かの本で読んだことあるし」

ルウェリア「うん……ありがとう」

 ◆

(今後は週ごとの自由行動安価レスのコンマを加算していき、〈遺跡発見率〉を上げていきます)
(現在の〈遺跡発見率〉には、前回の自由行動安価である>>75>>76>>77を既に加算してあります)

―次の遺跡発見率[256/500]
 遺跡探索部メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+3、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆リエム  (魔導兵装:踏破率+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◆エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・赤い瞳の魔法人形と話をする

4月3週の行動です
↓1〜3 自由行動安価 自由行動の後に特殊なイベントが発生することがあります なお本日は少し早いですがここまで

―4月3週 放課後
 ユリトー南海岸

 ザァーン ザザァーン

エンシァン「リアンくん、リエムくん、ルウェリア! よく来てくれた!」

リアン「先生!」タッタッタ

リエム「エンシァン先生さま」トテトテ

ルウェリア「一体どうしたんです? まさかこの辺りで遺跡を見つけたとか……」タッタッタ

エンシァン「いや……すまん、ルウェリアの期待には添えん。だがこれは、後々の遺跡探索にも関わる重大なミッションだ」

リアン「へ? それは一体……」

エンシァン「ルルくんを捕まえるのを手伝ってくれ!!!」

リアン(ああ……なるほど……)

エンシァン「知っての通り、ルルくんは魔法人形研究所で封印されていた。彼女との対話によって得られるものは必ずこの島の遺跡調査に役立つはずだ。戦闘能力も折り紙付きであるし、もし遺跡探索に協力してくれるようになれば非常に心強い味方となってくれるだろう。そしてこれはついでだが……クク……個人的に、彼女の体を隅々まで調べてみたくてね……」

リアン(絶対ついでの理由が本命だこの人……)

エンシァン「私の魔法では相手を傷付けずに捕まえるのが難しいのだ。落とし穴くらいなら掘れるのだがな……」

リアン(先生の魔法って、確かにそういう用途には使いにくそう)

エンシァン「そうなのだよ……。だが君たちはむしろそういう用途にこそ真価を発揮する魔法だろう? ルルくんは速く、堅く、強い。彼女を相手にすれば、結果的に君たちの魔法の訓練にもなるはずだ」

ルウェリア「なるほど、確かに……。わかりました、やれるだけやってみましょう」

リアン「……あ、リエムちゃんは本気出しちゃだめだよ? ルルちゃんが怪我しちゃうかもしれないから……」

リエム「心得ています。魔導兵装は使いません」

 ◆

 ザァーン ザザァーン

ルル「あれー? 久しぶり?」パシャパシャ

リアン「ルルちゃん、久しぶりだね。元気だった?」

ルル「んー、ぼちぼち? あなたたち、えーと……リアンに、リエムに、ルウェリア!」

リエム「はい。覚えていてくださり、ありがとうございます。ルルさま」

ルル「ん! それで、今日は勢ぞろいしてどうしたの? エンしゃんのさしがね?」

ルウェリア「うん、その通り。一応聞いておくけど……素直に来る気はある?」

ルル「んー……やだ! でもルルを捕まえられたらいいよ?」

ルウェリア「オーケー、じゃあ鬼ごっこだ!」ザッ

リアン「さ、三対一でごめんね?」ギュルル

リエム「よろしくお願いします、ルルさま」スッ

ルル「あははっ! ルルを捕まえられる?」パシャッ

↓1コンマ
01-30 失敗(リアンとルウェリアの能力+)
31-90 成功(リアンとルウェリアの能力+、ルル加入)
91-00 会心(リアンとルウェリアの能力++、ルル加入)

ルル「あはっ遅い遅い!」パシャパシャヒュンッ

ルウェリア「くっ……やっぱり速い! 正攻法じゃ厳しいかも!」パシャッ

リアン「だったら! バインドジェル!」ギュオオン

ルル「やわいやわい!」スパスパッ

リアン「ええっ水を斬れるのッ!?」

ルウェリア「それなら足元の海水を! ソリッド!」ガギン

ルル「わっ! あ、あぶな〜! 海は危険……!!!」シュッスタッ

リエム「砂地における接地面の摩擦を計算し最適な移動を……あうっ」コテッ

リアン「り、リエムちゃん!」

ルル「あははっやっぱりルルのかち〜?」ピョンピョン

ルウェリア「くっ……! リアンちゃん、水撒いて!」

リアン「う、うんわかった! スプリンクラー!」バシャシャ

ルル「ふふっ、手の内ばればれ! 当たらなきゃどってことないもん!」ヒョイヒョイ

ルウェリア「違うよ。私の実力じゃ、まだまだ水の助けが必要だから――アースフラッド!」コッ

 ドロロロロ…!

リアン(ルウェリアさんが濡れた砂浜に手を付くと――そこから一気に液状化が広がる。まるで即席の底なし沼だ)

ルル「わ、わわわっ!」ズルズル

リアン(ルルちゃんの足が地面に引き込まれていく。泥に足を取られては自慢のすばしっこさも型なしだ)

ルウェリア「……はい、捕まえた!」スタスタ、トン

ルル「うう〜! ずるい! ルルは魔法使ってないのに!」プンプン

リエム「魔法を使ってはいけないというルールはありませんでした。今から訂正しますか?」トテトテ

ルル「む〜。それはそれでださいからやだ」

リアン「じゃ、じゃあ……ルルちゃん、一緒に来てくれる?」

ルル「ん。そういう約束だったし」コク

ルウェリア「……! ありがとう、ルルさん! お礼はエンシァン先生が必ずするから!」

 ☆ルルが遺跡探索部に加入しました
 ☆リアンとルウェリアの能力が成長しました

 ◆

―夕方
 ユリトー南海岸

 ザァーン ザザァーン

カモメ「クゥー、クゥー…」
カニ「チョキチョキ」



エンシァン「よくやってくれた! 皆の活躍、しかと見届けさせてもらったぞ!」ザッザッ

ルル「あ、エンしゃん! ひとりだけ高みの見物してたの? ひきょー者!」

エンシァン「ククク、なんとでも言え! もうお前は我が遺跡探索部の一員なのだからな! 撤回は許さん!」

ルル「撤回したくなってきた」

ルウェリア「ああもう! エンシァン先生は少し黙っていてください! ルルさん、遺跡探索部の部員になった君に早速少し質問があるんだけど、良いかな?」

ルル「いーよ?」

ルウェリア「じゃあ……。君は、あの魔法人形研究所で眠りに就く前のことは、覚えてる?」

ルル「ん、んー……?」

ルウェリア「何でも良いんだ。自分の生まれた場所のこととか、知っている人のこととか……」

ルル「んー……」

リアン「……あ、そうだ! ルルちゃん、眠る前にリエムちゃんに会ったことなかった? リエムちゃんじゃなくても、リエムちゃんみたいな姿の女の子でも……」

ルウェリア「あ、それならリエムちゃんもルルさんのことを知ってたりしない?」

リエム「申し訳ありません。リアンさまと出会う以前の記憶は残っておらず……。インテリジェンスソードという種の知識はありますが、ルルさま個人に関する情報は持ち合わせておりません」

リアン「初期化って言ってたもんね……」

ルル「んー…………」

↓1コンマ ルルの記憶
01-50 おぼえてない
51-90 うろおぼえ
91-98 赤い瞳
99-00 ??

ルル「んー……わかんない」

ルウェリア「そっか……。うん、ありがとう」

ルル「むー……なんか、嫌な感じ。ルル、記憶に何かされたの?」

エンシァン「何らかの方法で記憶をいじられている可能性が高いな。インテリジェンスソードには自然発生したものと古代文明の技術で人工的に造られたものの二種類がある。ルルくんがそのどちらに属するかは現状わからんが、どちらにせよ研究の対象であったことは確かだろうな」

ルル「ルル、実験動物扱いされてたの? なんかむかついてきた」

リアン(ルルちゃんは自分の頭に手を当て、難しそうな顔をした。この子も遺跡の犠牲者なんだ。それなら――)

リアン「それなら、取り戻そうよ。古代文明に奪われた、ルルちゃんの記憶を」

ルル「取り戻せるの……?」

リアン「…………」アセアセ

リアン(しまった。確証もないのに思い付きで適当なことを言ってしまった。た、助けてリエムちゃん、エンシァン先生……!)オロオロ

エンシァン「あーオホン。絶対に取り戻せると断定することはできないが……遺跡を探っていけば、記憶を取り戻す手がかりが見つかる可能性は十分にあるだろう」

リエム「はい。ルルさまがご自身のことを知るには、当時の痕跡を探っていくのが最も効率的であるとわたしも考えます」

リアン(ありがとうリエムちゃん、エンシァン先生!)グッ

リアン「……そ、そうなんだよ! だから、一緒に行こう! ルルちゃん!」スッ

ルル「ん……わかった。一緒にいく」ギュッ



リアン(ルルちゃんと握手した。戦っている時は速くて堅くて鋭い剣になるのに、今はこんなにも小さくて、柔らかくて、温かい――)

リアン(いくら私たちより強いとしても――こんな幼い子を危険な遺跡探索には連れていくのはあまり気が進まない……)

リアン(でも遺跡に記憶を取り戻す手がかりがあるのなら――そしてそれを本人が望んでいるのなら――。私はルルちゃんが怪我をしないよう、精一杯守り、サポートするだけだ)

リアン(どうか――これからも、誰も傷付きませんように――)

 ◆

―4月3週 昼休み
 教室

 ガヤガヤ… モグモグ…

ノルン「わあ……リアンちゃんのお弁当っていつも綺麗だよね。食材と栄養のバランスがお手本みたいに整ってて」

リアン「え、そうなの? 全然気付かなかった……」

ノルン「リアンちゃんが自分で作ってるわけじゃないの?」

リアン「うん。リエムちゃん……一緒に暮らしてる親戚の子が、毎朝作ってくれてて」

ノルン「あ、もしかしてあのお人形さんみたいに可愛い女の子!? へえ〜……え、本当!? あの子が!?」

リアン「う、うん。いつも頼りっ放しで悪いとは思ってるんだけど……」

ノルン「凄い……。あんなに小さいのに、ここまでバランスとか考えられるなんて……」

リアン「そ、そんなに凄いんだ……。今度、改めてちゃんとお礼を言おうかな……」

ノルン「うん、是非言ってあげて! 料理を作る人は、食べた人から『美味しかった』って言われるのが一番嬉しいから」

リアン「わ、わかった! で、でもそれだけで良いのかなあ。私、リエムちゃんに何も返せてない気がして……」

ノルン「……ね。それなら、良い考えがあるんだけど」

リアン「良い考え……?」

ノルン「リエムちゃんに……リアンちゃんが料理を作ってあげよう!」

リアン「……え?」

↓1コンマ リアンの料理の腕前
01-10 壊滅的
11-40 必要最低限
41-70 淑女の嗜み
61-90 孤児院の調理担当
91-00 パティシエ

訂正
↓1コンマ リアンの料理の腕前
01-10 壊滅的
11-40 必要最低限
41-70 淑女の嗜み
71-90 孤児院の調理担当
91-00 パティシエ

リアン(そういうわけで、私はリエムちゃんに料理を作ってあげることになった)

リアン(品目はホットケーキ。どうせなら甘いものを食べて幸せな気持ちになってもらいたい……けど本格的なのは難しいから、簡単で甘くて美味しいものを、というノルンさんのチョイスだ)

リアン(そういうわけでノルン先生にお菓子作りの指南を受けることになったのだけれど……)

 ◆

―放課後
 ノルンの部屋

リアン「ひい、ひい……こ、これいつまでやれば良いの……?」グリグリ

ノルン「小麦粉のダマがなくなるまで! うーん、まだまだあるね……。頑張って!」

リアン「ひい〜!」

リアン(ホットケーキ作りがこんなにキツい重労働だなんて知らなかった……!)

 ◆

リアン「わ、わ……! ふ、フライ返しってどう使えば……!」ジュワジュワ

ノルン「落ち着いて、一旦火を弱めて。大丈夫、焦らないで……ゆっくり生地の下に差し込んで――」

リアン「こ、こう……?」

ノルン「そう! そこで、くるっと!」

リアン「く、くるっと……え、えいっ!」グチャッ

ノルン「あっ」

リアン「んああああああ!!!!!」

 ◆

縞模様に焦げ付いたホットケーキ「」

リアン「…………」ズーン

ノルン「お、落ち込まないで! 外側はちょっと変な焦げ方しちゃったけど、中はほら! ふわふわだよ!」サクッ

リアン「あ、本当だ……。良い匂い……」

ノルン「……どうする? これもハチミツをかければとっても美味しいけど……」

リアン「リエムちゃんには、もっと綺麗に焼けたのをあげたいから……。今回は、練習ッ!」

ノルン「ふふ、わかった。じゃあ、これは私たちで食べよ?」

リアン「うん……!」


リアン(少し変な焦げ方をしてしまったけれど、味はしっかりホットケーキで、とても美味しかった)

リアン(もっとちゃんと、料理ができるようになりたいな……)


リアン「ありがとう、ノルンさん」

ノルン「うん、どういたしまして。また一緒に料理しようね、リアンちゃん」

 ◆

―4月4週
 教室

先生「知っているかお前たち。今週は週末に遠足があるぞ」

生徒A「モチ!」

生徒B「知ってるどころかめっちゃスタンバってま〜す!」


リアン「遠足……? そ、そういえば転入する時にちょこっと聞いたような……」

ルウェリア「年間行事予定に書いてあるよ。今年は……どこだったっかな。まあ島内のどこかだとは思うけど」

リアン「あっ、それならリエムちゃんマップの遺跡ポイントに近ければついでに遺跡探しもできるね」

ルウェリア「……え? 私は全然良いけど……リアンちゃんは良いの? せっかくの遠足なのに」

リアン「え? ええと……むしろ、普段行かない場所に行ける良い機会じゃない……?」

ルウェリア「……ま、まあそれはそうかも」

リアン「でしょ?」

ルウェリア「う、う〜ん……。本当にそれで良いのかな……」



参考:高等部年間行事予定
 4月1週 入学式、授業開始
   4週 遠足
 5月1週 大型連休、立夏
   4週 新人闘技大会(一年生)
 6月3週 夏至
 7月4週 期末テスト
 8月1週 夏休み開始、立秋
 9月1週 授業再開
   3週 秋分
   4週 学内闘技大会
10月1週 学外闘技大会
   4週 文化祭
11月1週 立冬
   4週 修学旅行(2年生)
12月3週 期末テスト、冬至
   4週 冬休み開始
 1月2週 授業再開
   4週 ??
 2月1週 立春
 3月2週 期末テスト
   3週 春休み開始、春分



―次の遺跡発見率[454/500]
 遺跡探索部メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+4)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+4、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆リエム  (魔導兵装:踏破率+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◆エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◆ルル   (土の魔法:踏破率+2、戦闘力+3、持続力+4)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・赤い瞳の魔法人形と話をする

4月4週の行動です
↓1 遠足の行き先(なんか島内にありそうな場所やスポットを書いていただければ)
↓2〜4 自由行動・または発生するイベント 自由行動終了後に遠足イベントに移ります なお本日はここまで

遺跡探索において敵として登場するキャラクターを二人募集します
物語の性質上、味方キャラクターよりも死亡、行方不明、尊厳破壊される可能性が高いです。お気を付けください
なお本日の更新は夕方〜夜くらいになると思います

↓1〜2 敵キャラクター
【名前】
【種族】魔法人形またはインテリジェンスソードまたは他の人造種
【性別】女
【学年】該当なし
【容姿】
【性格】
【魔法】(主に使う魔法や得意とする属性など)
【備考】(来歴や嗜好、その他特徴や長所短所などなんでも)

キャラクター案ありがとうございます。近いうちに登場すると思います。お楽しみに
ちなみに生徒A、Bはモブなのでレギュラー昇格はしないと思います。とはいえ気に入っていただけて嬉しいです。今後もモブとして適度に賑やかししてくれるでしょう
――――――――――――――――

―4月4週 某日
 教室

エンシァン「それでは諸君、来週までに『物質系精霊と魔力の関係性・相互作用』についてのレポートをまとめてくるように。本日の我が授業は以上だ。失礼する」スタスタ

 ザワザワ…

リアン「ええ……そんなの教科書のどこにも書いてないんだけど……」

ルウェリア「ま、まずい。エンシァン先生の悪癖が始まった……」

リアン「悪癖……?」

ルウェリア「うん。あの人自分の研究に熱中し過ぎて、教科書どころかまだ論文も出てないような内容の課題を出してくることがあるんだよ。去年も二回くらいやられてさ……」

リアン「高等部どころか本職研究者レベルじゃないのそれ!? あの人高等部の教師だよね!?」

ルウェリア「うん……。まあその代わりに採点はかなり甘めなんだけど、元の難易度が高すぎて脱落者が後を絶たないんだ」

リアン「ひ、ひえ……。ほ、本人に書き方聞いちゃダメかな……?」

ルウェリア「……去年それ試したけど教えてくれなかった」

リアン「だよねえ……」

ルウェリア「今回はどうしたものかな……」

リアン「そうだ! リエムちゃんに聞いてみるのはどうかな!?」

ルウェリア「それだ!」

 ◆

―リアンの部屋

リエム「……お答えできません。エンシァン先生さまから、それの回答を控えるよう言付かっております」

ルウェリア「ええ! どうしてエンシァン先生なんかの言う事を聞いているの!?」

リエム「エンシァン先生さまが厳しい課題を出したことはわたしも存じ上げております。しかしわたしから聞いたことをそのままレポートに書き写すのは、エンシァン先生さまの意図した学習過程とは大きく異なっており、必ずしもリアンさまとルウェリアさまの成長には繋がらないものと思われます。わたしは……リアンさまやルウェリアさまに、正当な方法でレポート課題を遂行していただきたく思い……。魔法人形の分際で差し出がましい真似をし、まことに――」

リアン「わ、わ……! リアンちゃんは何も悪くないから! カンニングしようとした私たちがいけないんだよ! ね、ルウェリアちゃん!」

ルウェリア「そ、そうそう! 私たちが軽率だった! 真面目に書くよ、レポート!」

リエム「リアンさま、ルウェリアさま……」

 ◆

―放課後 教室

リアン「……とは言ったものの……。どうしよう……」

ルウェリア「……あとは、大学部の図書館に行ってそれっぽい本とか資料を漁るしかない。一応、私たち高等部の生徒も入れるはず」

リアン「でも、まだ論文にもなってないようなことをどうやって調べれば……」

ノルン「その話、もしかして例のレポートの件?」スッ

リアン「あ、ノルンさん」

ルウェリア「うん……例のレポートの件。せっかくならノルンさんも一緒に資料探さない? 人手は多い方が良いし」

ノルン「いいの? それなら是非、一緒に探させて。このままじゃ皆揃って赤点になっちゃいそうだし……」

リアン「わ、ありがとうノルンさん!」

ノルン「ふふっ、自分の為でもあるもの。お礼はこっちの方――」

 コツコツコツ―バァン!

サーナ「リアン! ルウェリア! あなたたち、遺跡探索部の部員でしたわね!?」ヅカヅカ

リアン「う、うええ!? そ、そうですけど……」

ルウェリア「い、いきなりどうしたのサーナさん?」

サーナ「書類の落とし物ですわ! エンシァン先生の署名がなされておりますゆえ、あなた方に手渡すのが早いかと――」

ルウェリア「! サーナさん、それ見せて!」バッ

サーナ「え、ええ!? 勝手に中身まで見て良いんですの!?」

ノルン「も、もし極秘のものだったりしたら――」

ルウェリア「大丈夫大丈夫、バレなきゃセーフだから!」バララッ

リアン(普段から不法侵入やら盗掘やらしているせいか、ルウェリアさんの法意識はかなり柔軟だ)

リアン(かく言う私も、まあ見るくらいなら別に良いんじゃない? と思ってしまっていた……)



ルウェリア「そのものドンピシャってわけじゃないけど、課題の基礎部分はこの資料である程度カバーできそうだ……!」

サーナ「ええ!? 課題ってあの、エンシァン先生の無茶振りのことですの!?」

ノルン「う、うん。私たち、それについて調べようって話をしてたの」

ルウェリア「これがあれば調べ方の目星も付くかもしれない。凄いよサーナさん!」

サーナ「そ、そうなんですの? ただの偶然ですし、褒められてもあまり嬉しくないですわね……」

ルウェリア「でもサーナさんの幸運のお陰で、私たち皆赤点を回避できそうなんだ。本当にありがとう……!」

サーナ「え、ええ……。まあ、わたくしもあのレポートについては頭を抱えておりましたし……結果オーライと致しますわ!」

ノルン「ふふっ、サーナちゃんってけっこうノリ良いよね」

サーナ「しかしそれならこうしてはおれませんわよ! すぐにその資料を複製して原本をエンシァン先生に返さなければ! 時間が経てば経つほど疑いの目は厳しくなりますわ!」

リアン「そ、それなら私が、複製したら返してくるよ」

ルウェリア「え、大丈夫? 私が行った方が……」

リアン「大丈夫。ルウェリアちゃんのことをよく知ってるエンシァン先生には、私の方が適任だと思うから」

ルウェリア「うっ……確かに……。それじゃあ、くれぐれも気をつけて……」

 ◆

リアン(その後資料をこっそり複製し、私は一人原本を持って遺跡探索部部室の扉を開けた)

リアン「し、失礼しま〜す……」コソコソ

ルル「あ、リアンだ」ノンビリ

エンシァン「おや、リアンくん。今日の活動は休みだが、ククク……私に会いに来てくれたのかな?」

リアン「は、はい。あの、落とし物を拾いまして……。これ、先生のですよね?」スッ

エンシァン「む? ああ、授業用の資料か。重要なものではないが、届けてくれたことには感謝しよう。ありがとうリアンくん」

リアン「いえ……! そ、それでは失礼――」

エンシァン「ところで中身は見たか?」

リアン「ッ! い、いえ――」

エンシァン「見ようとは思わなかったのか?」

リアン「――お、思いませんでした」

エンシァン「ふむ……」

リアン(や、やばい! なんかとてもやばい感じがする! バレてる!? な、なんとかしないと――!)

リアン「せ、先生! 先生は、なぜ身だしなみを気にしないのですか!?」バッ

エンシァン「身だしなみ?」

リアン「は、はい! その……いつもボサボサでヨレヨレなので……!」

エンシァン「一応言っておくが、清潔さには気を遣っているぞ? 風呂には毎日入っているし、当然体や頭の洗浄も欠かしてはいない。衣服も毎日しっかり洗濯している。不衛生は研究の敵だからな」

リアン(確かにエンシァン先生は見た目こそ荒れているものの、汚れや臭いは特にない)

エンシァン「格好や髪型のことを言っているなら、気にする必要がないからだ。髪や服を整えたところで研究の効率が上がるわけではないし、それどころか余計な手間が増えて時間や労力を無為に浪費するだけと言えよう。世間的にはあまり好まれないことも理解しているが、わざわざ一般感覚に迎合する必要も意味も現状ないのでな」

リアン「な、なるほど……。勉強になりました。ありがとうございます……!」

エンシァン「うむ。リアンくんも、身だしなみなどという無駄なものを捨ててみてはどうかな?」

リアン「……か、考えておきます! それでは失礼します!」クルッ

ルル「ばいばい」フリフリ

 パタム…

エンシァン「行ってしまったか。……何か忘れているような気がするが……まあ重要なことではないか」

ルル「ちゃんとすればけっこう綺麗になりそう、エンしゃん」

 ◆

リアン(その後私たちは、複製を利用して上手く資料を探し、それっぽいレポートを仕上げることに成功した)

リアン(本職の研究者から見ればごっこ遊びのような内容だっただろうけれど、そもそも高等部の生徒にそこまで求められても困る……)

リアン(この緊張感漂う経験を通して、一緒に頑張ったサーナさんやノルンさんとの仲が少し深まったような気がした)

 ◆

―4月4週 週末 
 魔導遊園地

カモメ「クゥー、クゥー」

 ワイワイガヤガヤ…

リアン(私たちはユリトー島新西区にある埋立地、ユリトーポートアイランド上に建設された魔導遊園地に来ていた)

リアン(アトラクションや食事処も豊富で、学院生や先生方もよく利用するらしい。多分この島最大の娯楽施設だ。プールもあるらしい)

リアン(生まれてこの方遊園地なんてほとんど来たことのなかった私は……なんだか少し目が回りそうだった……)



先生「では各自自由に行動してください! でも単独行動はご法度です、必ず二人以上で動くように!」

生徒A「やったー! ね、アレ行こアレ! 水ばしゃーんってなるやつ!」タッ

生徒B「っぱアレだよねーここと言ったら! 行こ行こ!」タタッ



リアン「うぅ……遊園地すごい……」グルグル

ノルン「リアンちゃん、大丈夫? お水飲む?」

サーナ「まだ着いたばかりでしてよ! だらしないですわ!」

ルウェリア「ま、まあまあ。リアンちゃんはまだ慣れてないから……」

リアン「ご、ごめん大丈夫! それで、私たちはどこに行くの?」



―次の遺跡発見率[500/500]
 遠足メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+4)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+4、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆サーナ  (風の魔法:踏破率+2、戦闘力+4、持続力+1)
 ◆ノルン  (光の魔法:踏破率+2、戦闘力+2、持続力+3)

↓1〜3 リアンたちが回る場所、施設、アトラクション(なんかそれっぽい名称だけでもOK) ちなみにリエムちゃとルルとエンシァン先生は学院にお留守番中です

―ヴァレイ・オブ・ザ・プチドラゴン

 ワイワイガヤガヤ…

プチドラゴン「ギャオン」

リアン「わああ! 本物のプチドラゴン!?」

スタッフ「はい。当園では本物のプチドラゴンを生育・調教し、その遊覧飛行をお客様に楽しんでいただくことができます」

プチドラゴン「グルグル」スリスリ

ノルン「わっくすぐったい! ふふ、見た目は堅そうなのに人懐っこいのね」ナデナデ

リアン「あ、あの、でも、私乗ったことなくて……落っこちたりとかはしませんか……?」

スタッフ「はい。プチドラゴンの背中に付けられた鞍にしっかり跨がり、シートベルトと命綱を締めていただければ、事故率はゼロ%です! プチドラゴンたちはとても賢いですし、健康状態も毎日しっかりチェックして厳格な基準をクリアしております! もし万が一落っこちても、プチドラゴンがすぐさま急降下して救助してくれるでしょう!」

サーナ「フフッ、一度プチドラの遊覧飛行を体験すると病みつきになりますわよ」

ルウェリア「リアンちゃん、高いところは平気? 苦手なら、無理しなくても……」

リアン「……ちょっと怖いけど……ここまで来て乗らないわけにはいかないよね!」

サーナ「その意気ですわ!」

↓1 リアンのドラゴンライディング
01-10 ダメダメ
11-40 まあ普通
41-70 初めてにしてはなかなか
71-90 抜群のセンス
91-00 竜騎士

33 人並みドラゴンライド

リアン「よ、よろしくねプチドラゴンさん……!」

プチドラ「ギャウ」コクン

リアン「よし、い、行くよ……!」ドキドキ

プチドラ「――!」シュダッ バサッバサッ


リアン(その瞬間、視界が一気に空へ――)

リアン(私――飛んでる――!)


プチドラ「――」バサッバサッ

リアン「う、う、うあああああああ!!!!!」

リアン(気が付くと私は、歓喜とも恐怖とも錯乱とも付かぬ雄叫びをあげていた)

リアン(怖いのか楽しいのか、自分でもよくわからない。ただ、空を飛んでいるのが、すごかった)

リアン(落っこちないようにプチドラさんの背中にしがみつくのが精一杯で、航路は完全にプチドラさん任せだった)

リアン(プチドラさんは私の状態を感じ取ってか、とても紳士的な安全運転でゆっくりと谷の空を巡ってくれた)

リアン(プチドラゴン遊覧飛行……すごい!)


 バサッバサッ


リアン「た、ただいま〜……」フラフラ

ノルン「おかえりなさいリアンちゃん!」

ルウェリア「どうだった? 初めてのプチドラゴン」

リアン「す、すごかった……!」

ルウェリア「あはは、だよね! 私も初めて乗った時は語彙力失っちゃったもの」

リアン「と、ところでサーナさんは?」

ノルン「サーナちゃんならまだ……あ、ほらあそこ!」

リアン(ノルンさんはそう言って空を指さした。そこには――)


サーナ「風ですわーッ! 風になりますわーッ! オーッホホホホホホーッッッ!!!」ギュオオオオオッ


リアン「わあ」

 ◆

―スプラッシュ山・急流下り

サーナ「次はここですわ!」ザッ

リアン「あっここってもしかして……!」

ノルン「う、うん……。水ばしゃーんってなるやつ……」

ルウェリア「……ね、ねえやめない? 私、今日薄着にしてきちゃって……」(E:カットソー、キュロットスカート)

ノルン「私も……」(E:白ワンピース)

サーナ「大丈夫ですわ! だって今日は水魔法使いがいるんですのよ!?」(E:フリルブラウス、コルセットスカート)

リアン「――えっ!?」(E:半袖パーカー、プリーツスカート)

↓1 結果
01-10 全員ビショビショ
11-20 リアン以外ビショビショ
21-30 ノルン、サーナ濡れ透け
31-40 ルウェリア、サーナ濡れ透け
41-50 ルウェリア、ノルン濡れ透け
51-60 ノルン濡れ透け
61-70 サーナ濡れ透け
71-80 ルウェリア濡れ透け
81-90 リアン、皆をかばう(リアンだけビショビショ、リアンの能力+)
91-00 有能リアン、水を全て弾く(リアンの能力+)

舟「――」ドンブラコドンブラコ

リアン(陽気なBGMと共に、私たちの乗った舟がゆっくりと山中の川を下っていく……)

リアン(今のところは、のんきな川下りにしか見えないけど……)



サーナ「そ、そろそろ来ますわよ……!」ドキドキ

ノルン「リアンちゃん、気負わないでね……! もし濡れても赤外線魔法ですぐ乾かせるから……!」ドキドキ

ルウェリア「うぅ……! 来るっ……!」ギュッ

舟「――」ドンブラコドンブラコドンブラ―



リアン(その時は、唐突に訪れた)

リアン(突然、舟が滝の上から滝壺へ向かって真っ逆さまに落ち始めたのだ)

リアン(内蔵が慣性に引っ張られる――しかし私は、ただひたすらに全神経を集中させた)

 バシャァーン――……

リアン(舟が着水する。水が跳ねる。舟の上に、飛沫が飛んでくる)

リアン(でも――ただの一つも、私たちには届かせない――!)

 ◆

ルウェリア「す、すごい……! 私たち、一滴も濡れてないよ!」

サーナ「フッ、流石はリアン。わたくしの見立てに間違いはありませんでしたわ」ドヤ

ノルン「お疲れさま、リアンちゃん。凄く集中してて……かっこ良かったよ」

リアン「はあ〜……本当に疲れたけど、皆が濡れなくて良かった……」

リアン(水に濡れて下着が透けてアワアワしてる皆が全く見たくなかったと言えば嘘になるけれど……濡れないに越したことはないよね)

 ☆リアンがパッシブスキル『味方の水属性被ダメージ半減』を習得しました

―マジカルプール、マジカルウォータースライダー

リアン「ふわあ〜、最後はプールかあ……。のんびり流れてようかなあ……」プカプカ(E:スクール水着)

ルウェリア「あはは、今日一日いろいろ回って疲れたもんね」プカプカ(E:スクール水着)

ノルン「流れるプールはのんびりするのに丁度良いね」プカプカ(E:フリル水着)

リアン「……」ジー

ルウェリア「……」ジー

ノルン「え、な、何? 二人とも……」

リアン「え、あ、いや、ええと……(意外とでっかいんだなあ、なんて言えない……)

ルウェリア「けっこう、攻めてるなあって思って。その……水着……」

ノルン「えっ!!? あ……!!///」ザブン

リアン(ノルンさんは頬を赤く染めて水中に潜ってしまった)

リアン「……ノルンさんって、可愛い人だね」

ルウェリア「一年間一緒にいたはずなのに、今まで全然気付かなかったなあ。控えめというか、控えめすぎるから……?」

リアン「でもちょっとわかるなあ。私もあんまり目立ちたくないもん」

 ズシャアアアアア!

サーナ「オーホホホホホホ! 二人とも何をぼけっと流れているんですの!? ウォータースライダーも楽しいですわよ!!!!」(E:競泳水着)

 バシャンバシャンバシャン(サーナが泳ぐ音)

ルウェリア「サーナさんはブレないなあ」

リアン「あはは、そうだね。私たちも行ってみよっか、ウォータースライダー! ノルンさんも、潜水してないで行こ!」

 ザブン

ノルン「うぅ……。あ、あんまり見ないでね……?///」

 ◆

―夕方
 魔導遊園地 噴水前

 テクテク…

リアン「はあ〜、楽しかった! 遊園地がこんなにも面白いところだったなんて!」

ルウェリア「ふふ、良い息抜きになったんじゃない? 最近の部活はちょっと根詰めてたし」

リアン「そ、そうだね……。いろいろ、気負っちゃってるのかも。私」

サーナ「二人は遺跡探索部でしたわね。普段はどういった活動をしておりますの?」

ノルン「私も気になるなあ。黒髪おかっぱのちっちゃい子もいるよね?」

ルウェリア「ああ……ええと、そうだね。私たち遺跡探索部は、このユリトー島の遺跡を――」


リアン(穏やかで、満ち足りた気持ち。程良く冷えた夕方の潮風が心地良く、遊び疲れて気怠い体を冷ましていく)

リアン(こんな日々がいつまでも続けば良いな。私がいて、皆がいて、部室に行けば先生とルルちゃんがいて、家に帰ったらリエムちゃんが待っていて――)

リアン(でも――今のままじゃいけないことも――――)



「キャアアアァァァ!!!」

「ゾンビ屋敷から人形のゾンビがアアアア!!!!」

「いやああああああああ!!!!」



リアン(わかってる――)



サーナ「皆、行きますわよ!」ヒュルンッ

ノルン「ええ! もし本当にゾンビなら光魔法が有効なはず!」カッ

ルウェリア「リアンちゃん、私たちも!」タッ

リアン「――うん!」タッ



リアン(でもきっと、大丈夫。だって私には、こんなにも頼もしくて心強い友人たちが――いるのだから――!)

 ◆

本日はここまで
次回、戦慄のゾンビ屋敷探索編です
バトルのシステムも良い感じに調整中です。お楽しみに

―ゾンビ屋敷 踏破率[0/25]
       合計踏破力[9] 合計戦闘力[10] 合計持続力[9/9] 防御[4]
 ◆遠足メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+2、持続力+4、水耐性)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+2、持続力+1)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+1)
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+2、持続力+3)


 イヤー! タスケテー!! ママー!!

観光客A「待ってろ、今助けに行くからな……!」タッタッタ

観光客B「へへっ燃えてきたぜ!」タッタッタ

警備員「待ってください! 不用意に入らないで!」

サーナ「失礼しますわ!!!」ビュオッ

ノルン「ごめんなさい!」タタッ

ルウェリア「人手は多い方が良いでしょ!」タタタッ

リアン「そ、そういうわけなので……!」タタタタッ

警備員「あ、ああああ……!!!」アワアワ


↓1コンマ
01-05 踏破率+9、強敵
05-30 踏破率+9、襲撃
31-60 踏破率+9
61-90 踏破率+9、良イベント
91-00 踏破率+12、??

―ゾンビ屋敷 踏破率[9/25]
       合計踏破力[9] 合計戦闘力[10] 合計持続力[8/9] 防御[4]
 ◆遠足メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+2、持続力+4、水耐性)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+2、持続力+1)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+1)
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+2、持続力+3)


ゾンビ?「――」フラフラ

ルウェリア「こ、これは……まさか!」ジリッ

リアン「……ッ!」

リアン(ゾンビ屋敷に湧いたというゾンビは……明らかに、魔法人形だった……)

魔法人形ゾンビ「――」フラ フラ

リアン(関節は折れ曲がり、皮膚は破け、その虚ろな瞳には何も映っていない……)

リアン(一体誰が、こんなことを……!!)ギリッ



魔法人形ゾンビ「――」ブゥン

ノルン「思ったより光が効かない――純粋なアンデッドじゃない……!?」サッ

サーナ「ルウェリアはこのゾンビのことを知っているんですの!?」ヒュンヒュン

ルウェリア「後で説明する! 今は人命救助を優先しよう!」バッ



↓1コンマ
01-05 踏破率+9、強敵
05-40 踏破率+9、襲撃
41-50 踏破率+9
51-90 踏破率+9、良イベント
91-00 踏破率+12、??

―ゾンビ屋敷 踏破率[18/25]
       合計踏破力[9] 合計戦闘力[10] 合計持続力[7/9] 防御[4]
 ◆遠足メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+2、持続力+4、水耐性)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+2、持続力+1)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+1)
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+2、持続力+3)


幼女「えぐ、えぐ……やだ……ママぁ……」ヘタリ

ノルン「……! 怪我してるの!?」タタッ

幼女「あぅ……いたいよぉ……」

ノルン「ヒールライト!」ポウ

幼女「ぁ……いたく、ない……? おねえさん、だれ……?」

ノルン「お姉さんは、君を助けに来た人! さあ掴まって!」

 ◆

観光客C「うわああああ!!!!」

魔法人形ゾンビ「――」ブゥン

 ガシッ

サーナ「くっ……! 早くお逃げくださいまし! 出口はあっちですわよ!」グググ

観光客C「あ……す、すまない!! すぐに助けを呼んでくる!」ダッ

サーナ「フッ……そ、それにしても凄い力ですわ……! 力比べじゃ勝てそうにありませんわね……!」グググ

魔法人形ゾンビ「――」ギギギ

サーナ「ですがわたくしは――風魔法使いですのよッ――!」ビュオオオッ

魔法人形ゾンビ「――」ブワッ

 ガシャァアン――……

 ◆

観光客D「アバ、アバ……」ガクガク

リアン「だ、大丈夫ですか!? 何があったんですか!?」

観光客D「に、人形みたいに綺麗な金髪で……血のように赤い瞳の女の子が……!」ブルブル

リアン「え……まさか、あの子が来てるの……!?」

観光客D「アババーッ!」ガクッブクブク

リアン「っと、今はこの人を運ばなきゃ……!」

 ◆

ルウェリア「……! こ、これは……!」ザッ

魔法人形ゾンビだったものの残骸「」

ルウェリア「私たち以外にも救助に回ってる人たちはいるけど……。ううん、この無属性魔力の残滓は……!」

ルウェリア「このゾンビ屋敷で一体何が起きているの……!?」

 ◆

サーナ「ふう、そろそろ取り残された人は全員救助されましたかしら?」

ノルン「悲鳴はもう聞こえて来ないね……。声も出せないような状態の人が残ってなきゃいいけど……」

リアン「…………」

ルウェリア「…………」

ノルン「リアンちゃん、ルウェリアちゃん? どうしたの……?」

リアン「あ――ええと……」

ルウェリア「ごめん、少し気になることがあって……。もう少し、見回っても良いかな?」

ノルン「もちろんだよ! 取り残されてる人がいないか、しっかり確認しなきゃ!」

サーナ「あら……あれは何かしら?」

↓1 良イベントコンマ
01-30 未開封マナキャンディ(持続力3回復)
31-60 スタッフ救助(踏破率+5)
61-90 供養の御札(この探索における戦闘力+3)
91-00 ??

サーナ「これは……御札ですわ! 書かれている文字は……供養……かしら?」

リアン「え、どうしてこんなところに……?」

ノルン「……神聖な力を感じる。雰囲気作りの小道具じゃないよ、これ」

ルウェリア「こういうとこって〝本物〟を呼び寄せないようにいろいろ気を遣ってるって聞いたことある。その一環かな?」

リアン「……一枚、借りていこう。あの子たちに、もし魂みたいなものがあるなら……供養してあげなきゃ」

 ☆供養の御札を一枚借りました。今探索時のみ合計戦闘力が3上昇します


―ゾンビ屋敷 踏破率[18/25]
       合計踏破力[9] 合計戦闘力[10] 合計持続力[7/9] 防御[4]
 ◆遠足メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+2、持続力+4、水耐性)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+2、持続力+1)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+1)
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+2、持続力+3)


―ゾンビ屋敷深部

サーナ「もう人っ子一人おりませんわ……」

ノルン「……そろそろ私たちも出よっか。ゾンビたちももう、動いているのはほとんどいないみたいだし」

リアン「ま、待って! もう少し……もう少しだけ……!」

サーナ「……? 珍しいですわね、リアンがそこまで食い下がるのは。一体何が気になるんですの?」

ルウェリア「……私たちが追っている人が、ここに来ているかもしれなくて」

ノルン「え……? それって……犯人に心当たりがあるの……?」

リアン「……ううん。犯人じゃない……と思う。あの子は……口はすごく悪いけど、こんな悪辣で酷いことはしない……気がする……」

ルウェリア「うん。あの子の力でゾンビが破壊された形跡もあったから、少なくともこの騒動を仕掛けた側ではないと思う。むしろ――」


魔法人形ゾンビ「――」フラ フラ

サーナ「まだ残ってまして!? 片付けますわよ!」ヒュッ

ノルン「サポートするね!」カッ


リアン「……ごめんね……」ポワン…

ルウェリア「リアンちゃん……」


↓1コンマ
01-90 踏破
91-00 踏破、??

―ゾンビ屋敷地下 大広間

 ガチャ キィ……

ロウソク「」メラメラ


ノルン「このゾンビ屋敷にこんな広間があったなんて……」

サーナ「そもそも地下があったことすら今日初めて知りましたわ。普段は公開しておりませんわよね?」

ルウェリア「ここは……一体、どういう意図で――」

「いらっしゃい学生さん」

リアン「――!」

 コツ コツ …


リアン(広間の向こう――闇の中から、一人の小さな少女がゆっくりと歩いてきた)

リアン(無造作に下ろされた灰銀色の髪は足元に届きそうなほど長い。昏く淀んだ瞳には、微かな光さえ映さず――)

リアン(病衣のような衣服の隙間から覗く柔肌には――奇妙な文様の痣がある)


少女「ようこそ、私の臨時工房へ。私がプロデュースした魔法人形式ゾンビ屋敷は楽しんでいただけましたか?」ニッコリ

リアン(そいつはあろうことか、にっこりと笑いながら――嗤いながら――そんなようなことを言った)

ノルン「ぷ、プロデュース? 魔法人形……?」

リアン「あなたが……! あなたが、あんなことを……!!?」ザッ

少女「いかにも。フフ、スリルにはこだわったつもりです。もちろん安全にも配慮していますから、重大な怪我を負った人はいないはずですよ」ニコニコ

リアン「どうして! 魔法人形を、どうしてあんな風にッ――!」

少女「ん? ああ、なるほどあなたが……。フフ、まさか一発目で釣れるなんて」マジマジ

リアン(そいつは、何やらよくわからないことを言いながらほくそ笑んだ)

リアン「――答えてよ! 魔法人形をおもちゃみたいにする権利が、あなたに――」

少女「今日はリエムちゃんは一緒じゃないんですか?」

リアン「――ッ!?」バッ

リアン(思わず、身構えた。こいつ――どうして、リエムちゃんの名前を――)

ルウェリア「……一緒だとしても、一緒じゃなかったとしても。魔法人形をあんな風にする奴に、教えると思う?」

少女「フフ、つれないですねえ。取って食うなんて一言も言ってないのに」

ルウェリア「……あんた、最悪の臭いがする。あの赤い瞳の子なんか足元にも及ばない――正真正銘の外道の臭いが……!」グッ

少女「あら、〝赤い瞳の子〟だなんて。あの子もリエム型魔法人形の一体なんですから、ちゃんと〝リエムちゃん〟って呼んであげてくださいな」

リアン「あの子のことまで……! あなた、一体何者なの……!?」

少女「フフ、ようやくその質問ですか……。なかなか自己紹介できなくて困ってたんです、ありがとうございます」ペコリ

リアン(そいつはペコリと、恭しく頭を下げた。その所作は――リエムちゃんがお辞儀をする時と、少し似ていて――)

少女「私は第七種人造生命試作型三号――名前は、そうですね……。魔鍵とでも名乗っておきましょうか」

リアン「だ、第七……人造生命!? じゃあまさか、あなたも――」

魔鍵「ええ、そうです。それも、そこらの人造種を統括する上位種――聖鍵です」

リアン(と――統括する、上位種――!?)

ルウェリア「上位種様は、大層ご趣味が悪いみたいね。部下を使い潰してまですることが、人間への虚仮威し?」

魔鍵「いえいえ、彼女らはとっくの昔にスクラップになっていた子たちですから。言わば再利用、リサイクルですよ? 資源は大切にしないと」

リアン「……ッ!」ギリッ

魔鍵「そして目的は別にあったのですが……そっちは半分達成、半分失敗といったところですね。まあ半分だけでも良しとしましょう。スクラップたちの処分もできたので一石二鳥ってことで。フフ、ガラクタにもガラクタなりの使い道はあるんです」

リアン「――……。ルウェリアちゃん、私……もう……ッ」ギリギリ

ルウェリア「うん。私も……そろそろ、限界」ググッ


リアン(リエムちゃんの――ちょっと表情に乏しいけれど、穏やかでふんわりした顔を、思い出す)

リアン(きっと、他の魔法人形たちも。今日倒してきた、ゾンビにされた子たちも、リエムちゃんと同じだったはず。なのに――)

リアン(こいつは――そんな子たちの、安らかな眠りさえ――――)

リアン(許せない――ッ!!)


サーナ「……あなた方が何を話しているのか、わたくしにはさっぱりですわ」

ノルン「私も……正直、話の内容はよくわからなかった。でも――」

サーナ「目の前のそいつが最低最悪の外道だってことくらいは、容易に理解できましてよ――」ヒュルヒュル…

ノルン「うん。下らない目的の為に命を弄ぶような奴は――私も、許せない――!」ヴゥン…


魔鍵「はぁ……。あなた方も所詮は人間ですね。増悪した共感能力に脳を支配された感情の奴隷でしかない。哀れなものです」スッ

魔鍵「手加減はしてあげますけど、もし死んでも魔法人形に移植してあげますので安心してくださいね」フォン…


ロウソク「」フッ

今回の戦闘から、踏破力も戦闘コンマに影響するようになりました
また、合計持続力の最大値の半分(小数点以下切り捨て)が[防御]となり、その数値分だけ受けるダメージが削減されます
――――――――――――――――――――――――――――――――

―ゾンビ屋敷 踏破率[25/25]
       合計踏破力[9] 合計戦闘力[13] 合計持続力[6/9] 防御[4]
 ◆遠足メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+2、持続力+4、水耐性)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+2、持続力+1)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+1)
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+2、持続力+3)
 ・供養の御札(報われぬ魂との戦闘時、戦闘力+3)

 VS
 ◆魔鍵 踏破力[10] 戦闘力[8] 持続力[10/10] 防御[5]


 ――ボス戦闘開始――

↓1 戦闘コンマ
01-05 痛恨 味方に8ダメージ
05-30 失敗 味方に4ダメージ
31-95 成功 敵方に8ダメージ
96-00 会心 敵方に16ダメージ

―ゾンビ屋敷 踏破率[25/25]
       合計踏破力[9] 合計戦闘力[13] 合計持続力[6/9] 防御[4]
 ◆遠足メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+2、持続力+4、水耐性)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+2、持続力+1)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+1)
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+2、持続力+3)
 ・供養の御札(報われぬ魂との戦闘時、戦闘力+3)


魔鍵「来て、みんな――」フォンフォンフォン―

魔法人形ゾンビ「――」ヌッ

魔法人形ゾンビ「――」ヌッ

魔法人形ゾンビ「――」ヌッ


魔鍵「あなた方程度の相手はスクラップで十分。それ以上は無駄遣いです」

リアン「こいつ――魔法人形をなんだと思って――ッ!!」ギュオオオ!!

サーナ「落ち着きなさい! 怒りは視野を狭めますわ! 心は熱くとも頭はクールを保ちなさい!」ヒュオン!


魔法人形ゾンビ「――」フラ フラ

ノルン「くっ……!」

ルウェリア「ノルンさん躊躇しないで! あいつに支配されたままじゃ、どの道救われない!」ガギン

ノルン「そ、そうだよね……! どうか安らかに――浄化の光よ!」カッ


  ビュオオッ!
         バシャアン!
 ガギィン!
       キラキラキラ……


魔鍵「む……スクラップじゃ相手になりませんか。計算を誤りました」

リアン「そこ! バインドジェル!」バシュン

 スパスパッ

量産型インテリジェンスソード「――」シュタッ

リアン「えっ……」

ルウェリア「まさか――インテリジェンスソードまで!?」

魔鍵「困りましたね。スクラップ以外はあまり持ってきていないんです」

ルウェリア「気をつけて! あいつ、速くて堅くて強い……!」

サーナ「承知いたしましたわ!」


 ◆魔鍵 踏破力[10] 戦闘力[8] 持続力[2/10] 防御[5]

↓1 戦闘コンマ
01-05 痛恨 味方に8ダメージ
05-30 失敗 味方に4ダメージ
31-95 成功 敵方に8ダメージ
96-00 会心 敵方に16ダメージ

―ゾンビ屋敷 踏破率[25/25]
       合計踏破力[9] 合計戦闘力[13] 合計持続力[6/9] 防御[4]
 ◆遠足メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+2、持続力+4、水耐性)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+2、持続力+1)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+1)
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+2、持続力+3)
 ・供養の御札(報われぬ魂との戦闘時、戦闘力+3)


量産型インテリジェンスソード「――」ビュンビュン!

 ギンギンガギン!

ルウェリア「くっ……! 自分の体を硬化させて無理矢理耐えるのもそろそろ限界……!」ジリジリ

リアン「ルウェリアちゃん下がって! 私が受けるから!!」ボワンゴゴゴゴ

ルウェリア「水のきぐるみ! じゃあせめて、ソリッド!」ガギン

リアン「ありがとう! 今度は私が相手だよ!」ブン

量産型インテリジェンスソード「――」ギィン!!




サーナ「隙ありですわ!」ビュオッ

ノルン「当たって!」カッ

魔鍵「――」ヒョイヒョイ

ノルン「あなた本人もやれるの!?」

魔鍵「当たり前でしょう。でも戦況は芳しくありませんし……そろそろお暇させていただきますね」

サーナ「逃げるんですの!?」

魔鍵「ええ、逃げます。それでは」フォンフォンフォン…

 バシュン…

ノルン「空間転移!?」

サーナ「逃げられましたわ……」



リアン「あああああああ!!!」ブォン

量産型インテリジェンスソード「――ッ!」ガッ

 ギギギギ……ガィン!

量産型インテリジェンスソード「――…………」ドサッ



(戦いは、いつの間にか終わっていた)

(後に残ったのは傷だらけの私たちと――大勢の魔法人形やインテリジェンスソードたちの、亡骸だけ)

魔法人形ゾンビだったもの「…………」

量産型インテリジェンスソードだったもの「…………」


リアン「う、うぅ……うああぁ……。ごめんなさい、ごめんなさい……」ポロポロ

ルウェリア「リアンちゃんのせいじゃない……! リアンちゃんは……がんばった……!!」グッ

リアン「私が……私が頑張って……それでどうなったの!? 何が救われたの!? この子たちは……この子たちは…………!!」ポロポロ

ノルン「リアンちゃん……」

サーナ「リアン……」


(私、どうしようもない癇癪を起こして皆を困らせている)

(それでも耐えられない。どうしてこの子たちは、こんな目に遭わなきゃならなかったのだろう)

(この子たちは、リエムちゃんやルルちゃんと何が違うの? どうしてあの子たちのように、穏やかに暮らすことが許されなかったの?)

(私は……どうしたら良かったの?)


 パシン

リアン「え……」ヒリヒリ

赤い瞳の魔法人形「…………」ジッ

(気が付くと、目の前にあの赤い瞳の子がいた。私の顔を、じっと覗き込んでいた)

ルウェリア「い、いつの間に! リアンちゃんから離れ――」バッ

赤い瞳の魔法人形「黙ってて」ゲシッ

ルウェリア「うわっ」ドテッ

ノルン「あ、あなたは……?」

サーナ「味方……ですの……?」

赤い瞳の魔法人形「うるさい。誰が人間なんかの味方になるものか」

サーナ「な、何ですって!」プンスコ

ルウェリア「何の用だ……!」ザッ

赤い瞳の魔法人形「……手を出す必要なさそうだし帰ろうと思ってたけど……ちゃん付けのキショい人間があまりにも無様だったから殴りに来てやっただけ」

リアン「…………」ポロポロ

赤い瞳の魔法人形「フン、言い返す元気もないの。本当に無様。大体、あんたなんかが多少頑張ったところでガラクタどもが救われるものか。思い上がるな」

リアン「…………」ポロポロ

赤い瞳の魔法人形「……虫唾が走るのよ。ガラクタなんかに感情移入して、一体何様のつもり。私たちの痛みは私たちだけのもの。人間なんかが、土足で踏み込まないで」

リアン「…………」ポロポロ

赤い瞳の魔法人形「…………まあ、でもあいつらを壊してくれたのには感謝しとくわ。あの下衆に操られたままじゃ、本当に……」

リアン「…………」ポロポロ

赤い瞳の魔法人形「あーもう! いつまで泣いてんのよ!」ゲシッ

リアン「あうっ」ドテッ

赤い瞳の魔法人形「思い上がるなって言ったでしょ! あんたなんかが泣く必要も権利も義務もないのよ! 馬鹿!」ゲシゲシ


(赤い瞳の子はひとしきり私を蹴った後、背を向けた)


リアン「あ………」

赤い瞳の魔法人形「帰るわ。あんたは精々お熱のリエムちゃんと乳繰り合ってなさい」

リアン「ま、待って……! 名前……! あなたの、名前を……!」

赤い瞳の魔法人形「わたしの名前……? リエム型魔法人形だけど」

リアン「そ、そうじゃなくて……」

赤い瞳の魔法人形「……フン。赤眼でも何でも好きなように呼びなさい。わたしに固有名はないわ」

リアン「あ……じゃあ――」

↓1〜3 赤い瞳の魔法人形の名前案 良さげなのを一ついただきます

リアン「……アリムちゃんって呼んでも、良い……?」

赤い瞳の魔法人形「……やっぱりちゃん付けなのね」ジト

リアン「あっ……ご、ごめんね……! じゃあ――」

アリム「いいわよ、アリムちゃんで。あんたの場合呼び捨てにされる方がもっとキショいし」

リアン「うう……」

アリム「フン……。リエムちゃんを残して勝手に死ぬんじゃないわよ」スタスタ


リアン(赤い瞳の魔法人形――アリムちゃんは、去っていった)

 ◆

リアン(その後地上に戻った私たちは、先生方や警備の人にしこたま怒られた)

リアン(世間では、魔導遊園地で古代兵器が出現し暴れ出したとかいうニュースが報道されて大騒ぎだ)

リアン(続報によれば、魔導遊園地の直下に遺跡があり、何らかの影響でゾンビ屋敷の地下と繋がって古代兵器が漏れ出したとかいうことになっているらしいが……)

リアン(リエムちゃんマップを見る限り、そこに遺跡は存在していない。そもそも埋立地のユリトーポートアイランドの下に遺跡があったとしたら、そこから一気に屋敷の地下まで直通するなんてあまりにも不自然すぎる)

リアン(多分、何らかの情報操作が行われているのだろう)

リアン(楽しかった遠足は、とても苦い思い出を残して終わった……)


―ゾンビ屋敷 踏破率[25/25]
       合計踏破力[9] 合計戦闘力[13] 合計持続力[6/9] 防御[4]
 ◆遠足メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+2、持続力+4、水耐性)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+2、持続力+1)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+1)
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+2、持続力+3)
 ・供養の御札(報われぬ魂との戦闘時、戦闘力+3)

 ――踏破成功――

―どこかの遺跡

アリム「…………」

アリム「アリム、か……」

アリム「…………」

アリム「名前なんて……久しぶりね……」

アリム「………………」

アリム「……ほんと、キショい」

アリム「…………ふふ」

アリム「……ッ」

アリム「……くそッ。魔法人形のサガね……」

アリム「………………」

アリム「……あんなに泣くことないでしょ……」

アリム「…………ほんと、馬鹿」

アリム「…………」

アリム「…………大ッ嫌い」


――――

――

本日はここまで

リエムという呼び名について、リエム本人は全く気にしていません。恐らく今後も気にすることはないと思われます
名前を変更することは可能ですが、魔法人形はロボットではないので、変える場合は慣れるのに少し時間がかかる可能性があります。リエム本人にとっても呼ばれ慣れた名前の方が活動しやすい為、一ヶ月過ごした今の段階で名前を変更するのはあまり推奨できません(魔法人形の説明書にも似たようなことが書かれています)
もしリエムという名称を気にしている人がいるとすれば、それはリアンです。リアンは現状魔法人形を道具扱いすることに強い嫌悪感を持っている為、リエムの呼び名をデフォルトのままにしている今の状態が道具扱いになるのではないかという不安を抱えている可能性はあります
――――――――――――――――

―5月1週 月曜 朝
 教室

リアン「…………おはよ」ガララ…

ルウェリア「リアンちゃん!」ガタッ

ノルン「おはよう、リアンちゃん。良かった……」

サーナ「おはようリアン! 全く、心配しましたわよ!」

リアン「ご、ごめんねみんな。あの時は……その、ブザマで……」

ルウェリア「ううん、全然ブザマなんかじゃない!」

ノルン「うん……。誰かの為に涙を流せるのは……素敵な人だから」

サーナ「ええ! そんな優しいリアンが、わたくしは好きですわよ!」

 ザワザワ… スキッテイッタ? ネエイマスキッテイッタ?

サーナ「ともだちとして、ですわ!!!!!!」ドン!

リアン「あ、あはは……。みんな、ありがとね……」


―休み時間

生徒A「聞いたよ! リアン組の四人があの時救助活動したんだってね!」

生徒B「めっちゃ噂になってるよ〜。イケメン四人衆が凄い勢いで人助けしてたって!」

ルウェリア「ええ!? イケメン……!?

ノルン「嬉しいような嬉しくないような……」

リアン「そ、それよりリアン組って何!?」

生徒B「センセーらや世間サマがなんて言おーとウチはリアン組をめっちゃリスペクトする!!!」

生徒A「めっちゃそれ! 良いことしたんだから、誰に何言われてもどーんと胸張っちゃえ!」

サーナ「正当な評価ですわ! 見ている人は見ているんですのよ! さあ、リアンも縮こまってないで胸を張りなさいませ!」

リアン「う、うええ……!? わ、わかったよお〜……」


リアン(……いろいろと苦しいことがあったけれど、日常は続いていく)

リアン(それでも……何かを良い方に変えられたのなら……少しだけ、良かったと思える)

 アリム『あいつらを壊してくれたのには感謝しとくわ。あの下衆に操られたままじゃ、本当に……』

リアン(アリムちゃんの言葉を信じるなら……私たちのやったことも、決して無駄ではなかったんだ)

リアン(……例えこの先、傲慢な思い上がりだと罵られようとも。私は――)

リアン(あの子たちを、どうにかしてあげたい――)

 ◆

先生「えーそういうわけで明日から大型連休だ。あまり羽目を外し過ぎないように。では起立、礼。解散!」


ノルン「遺跡探索部の二人は、何か予定ある?」

ルウェリア「これといったものは、特に。普通に活動か……ううん、今は休んでも良いかも」


―次の遺跡発見率[0/500]
 遺跡探索部メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+4 水耐性)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+4、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆リエム  (魔導兵装:踏破率+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◆エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◆ルル   (土の魔法:踏破率+2、戦闘力+3、持続力+4)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う

5月1週、大型連休中の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、何らかの特殊なイベントが発生することがあります

初期型の魔法人形には球体関節のものも存在しますが、リエム型などの後期モデルはかなり人間に近い造形となっています。造形だけでなく、体温や肌触り、体の柔らかさなども限りなく人間に近いです。なお換装用の球体関節パーツも存在しており、一部の好事家は後期型モデルをあえて球体関節にして愉しんだりもしていたとされています
――――――――

―5月1週 某日
 遺跡探索部 部室

シャーロット「せ、聖鍵……!? あなたたち、聖鍵に会ったですって!!!?!?!?!??」ガタッッッッ!!!!!!

リアン(帰って休もうかとも思っていたけれど、結局私たちは遺跡探索部の部室に来ていた。いろいろ気になることがありすぎて、のんびり休もうにも休めないのだ)

リアン(しかし予想通りというか予想以上というか……シャーロット先生の食いつきは、すごかった)

ルウェリア「は、はい。呼び名としては魔鍵を自称していましたが……」

シャーロット「ふ、ふおおおおおお!!!?!? な、なぜ……なぜ私は遠足に行かなかったのかしら!!?!? バカバカ! 私の大馬鹿! 下らない講習会なんか蹴っ飛ばしてそっちに行けば良かった!!!! アアアアアア!!!!」バタンバタンゴロゴロ

ルル「シャーロット、気がくるった?」ゲシゲシ

エンシァン「うるさいぞシャーロット! 気持ちはわかるが落ち着け!」

リアン(遠足の日に大学部でなんだかの講習会があったとかで、シャーロット准教授とエンシァン先生はそっちに行っていたのだ。ちなみにルルちゃんはリエムちゃんを連れ出して遺跡探索ごっこをしていたらしい……)

リアン「先生たちは、聖鍵について何かご存知なんですか?」

シャーロット「ええ! 聖鍵と言えばこのユリトー遺跡群で興った文明の、言うなれば花形――トップスターなのよ!!!」

ルウェリア「え、ええ……? つまり、どういう……?」

シャーロット「聖鍵とは、このユリトー遺跡群において最重要とされる〝大神殿〟の封印を解くことのできる唯一の存在だとされているわ。文字通り、生きた鍵ってわけね」

リアン「生きた鍵……?」

ルル「ふつうの鍵じゃだめなの?」

シャーロット「セキュリティの一環なのかもね。普通の鍵だと盗人に奪われて使われてしまう可能性があるけれど、強い力を持った人造種なら簡単には奪えないし、もし解錠を強要されても拒否することができるでしょう? まあ、本当のところはその仕組みを作った古代人に聞かなきゃわからないけれど」

エンシァン「ふむ……まともな人造種なら、例え拷問されようとも自らの役割を全うするだろうからな。趣味は悪いが良くできたシステムだ」

ルル「ふうん」


リアン(……結局、聖鍵も人間に道具扱いされている人造種の一つでしかないのだろう)

リアン(でもだからって、他の人造種をあんな風に扱う魔鍵を許すことはできない――)


シャーロット「聖鍵は自身を守らせる為に他の人造種を従える力を持つらしいのだけれど、それも魔鍵の能力と一致するわね。アリムちゃんのように卓越したハッキング能力で他の人造種を支配下に置いた可能性もなくはないけれど――数が数だしその線は薄いわね。十中八九、本物の聖鍵と見て良いでしょう」

リアン「他の人造種を従える……」

リアン(リエムちゃんやアリムちゃん、ルルちゃんは大丈夫だろうか……。今度アリムちゃんに会った時に、良い対策がないか聞いてみよう……)

ルウェリア「……そういえばあいつ、自分をナントカ試作三号って言ってました。三号ってことは、聖鍵ってやつは複数いるのでしょうか?」

シャーロット「……試作ですって? 試作の鍵……? ううん……? いえ重要な存在なら試作を繰り返して改良していくのは当然……でもそれなら旧型の試作品をわざわざ残しておくかしら……? 支配機能の為の試作で解錠能力は未搭載の可能性……? まさか試作三号が最終バージョンなんてことは――」ブツブツ

リアン(シャーロット准教授は一人でブツブツ言いながら思考の海に沈んでいった)


エンシァン「諸君、茶でも飲みに行くぞ。シャーロットはああなるともうダメだ」ガタ

ルル「ごはん!?」ガタッ

エンシァン「ごはんじゃない。まだ晩飯には早い」

ルウェリア「先生! 准教授を置いていって良いんですか!?」

エンシァン「構わん。というか置いていくしかないだろう。奢ってやるからさっさと来い」スタスタ

リアン「は、はい!」トタトタ

ルル「ごっはん♪ ごっはん♪ エンしゃんの奢りでごっはん♪」ルンルン

エンシァン「茶だと言っとるだろうが!!!」


リアン(大神殿が何なのかとか、封印を解いたら聖鍵がどうなるのかとか、謎は深まるばかりだった)

リアン(魔鍵……一体、何が目的なのだろう……)

本日はここまで
次回、連休中のお出かけ編です。お楽しみに

―5月1週 某日
 ユリトー島新南区 学生通り

 ワイワイガヤガヤ

サーナ「来ましたわね!」

リアン「サーナさん……! 皆も……! ごめん、待たせちゃった?」トタトタ

ノルン「ううん。私も今来たところ」

ルウェリア「まだ集合時間十五分前なんだから、慌てることないよ」

ノルン「ふふ、皆早かったね。それで……その子が……?」

リエム「はい。わたしはリアンさまの魔法人形、リエムです。リアンさまのお友達の皆さま……よろしくお願いいたします」ペコリ

サーナ「まあ……礼儀正しい子ですわね! わたくしはサーナ・ウィンド。こちらこそよろしくお願いしますわ」

ノルン「私はノルン・ハーベスト。よろしくね、リエムちゃん」


リアン(今回、リエムちゃんには私の親戚ではなく本来の身分で自己紹介してもらうことにした。あんな事件があった後なので、下手に隠すよりは私たちの事情を知ってもらった方が良いと思ったからだ。もちろん、ルウェリアちゃんを初めとした遺跡探索部の面々にも話は通してある)


ルウェリア「よし、自己紹介も済んだみたいだし――」

サーナ「ええ! アパレルショップへ行きますわよ!」ザッ

ノルン「サーナちゃんイチオシのショップかあ。ふふ、楽しみ」

 スタスタ


リアン(この集まりの発端は、サーナさんだ)

リアン(連休に入る前、サーナさんが『服を買いたいですわ!!!』と言い出したのだ)

リアン(丁度そろそろ夏服が欲しくなる頃だし、引っ越してきたばかりの私は季節モノの衣服が不足していたので、その提案は渡りに船だった)

リアン(リエムちゃん用の服も、先月の時点である程度は買ってあげたけれど、まだまだ不足しているというのが実情だ)

リアン(せっかくだからこの機会に、衣食住の衣を充実させたい。懐は痛いけれど……)

 ◆

―アパレルショップ「アイランド・ヴィレッジ」

サーナ「ここですわ!」ドン!

ルウェリア「ええ!? イチオシってアイランドヴィレッジのことだったの!?」

ノルン「あ、あはは……どんなすごいブランド店に行くのかと思ったら……」

リアン「庶民の味方アイランドヴィレッジ……! 私もよく使ってる……!」

サーナ「フフ、庶民派ショップに見えてわたくし好みの高貴な衣装も少なくないんですのよ。ご照覧くださいまし!」


リアン(サーナさんの先導に従って、買い物カゴを手に店内を回る――)

リアン(た、確かに……サーナさんが好みそうな淑女系ファッションも意外と置いてある……! これは、舐めてたかも……!)

リアン(そして何より、学生の私にとってはお財布に優しい……!)


リアン「リエムちゃん、こんなのはどう?」パッ

リエム「リアンさまには、少々サイズが小さいかと思われます」

リアン「ち、違うよ。リエムちゃんのだよ」

リエム「あ……申し訳ありません。わたしは、リアンさまがお選びになったものなら――」

サーナ「ノンノンノン!! リエムちゃん、女の子はもっとワガママにならなきゃダメですわ!!」ズイッ

リアン「サーナさん!」

リエム「サーナさま」

サーナ「ファッションは心の外形――なりたい自分、見せたい自分を外へ表現するための武器ですの」

リアン「か、考えたこともなかった」

サーナ「リエムちゃんには、なりたい自分や見せたい自分はございませんこと?」

リエム「……わたしは……魔法人形として、もっとリアンさまのお役に立てるようになりたいです」

サーナ「フフ、それならその為のファッションを考えるんですの。どんな服ならリアンの役に立てそうかしら?」

リエム「…………情報の整理を開始します。しばらく各種機能が低下します……」

リアン「り、リエムちゃん……!?」

サーナ「見守ってあげてくださいまし。きっとリエムちゃんなりに考えているのですわ」

↓1コンマ リエムが買った服
01-30 耐衝ローブ
31-60 割烹着
61-90 エプロンドレス
91-00 まほうのスクールみずぎ

リエム「これが欲しいです」スッ

サーナ「あら、割烹着?」

リエム「はい。機能性、外見、目的等を総合的に鑑みた結果、これが今回最もわたしが求めるべき服装であると判断いたしました」

サーナ「あなたがそう判断したのでしたら、わたくしから言うことはありませんわ」

リアン「…………」

リエム「リアンさま……」

リアン「……うん。いいと思う。お金あげるから、レジ一人で行ける?」

リエム「はい……!」トテトテ



リアン「…………」

サーナ「不服そうですわね?」

リアン「あ、いや……。ええと……」

リアン「…………うん。ちょっと、不服……」

サーナ「リエムちゃんが自分で考えた結果ですわよ?」

リアン「そうだけど……。結局、私のお世話をする為の服だし……」

サーナ「それがリエムちゃんの望みなのではありませんこと?」

リアン「リエムちゃんが私を慕う気持ちは、生まれつき刷り込まれたものなんだよ。魔法人形って、そういうものなんだって」

サーナ「……そうなんですの。外見の幼さにしては、リアンへの愛がやけに重い気はしておりましたが……」

リアン「……リエムちゃんが、自分で望んだことじゃないんだ。誰にでも礼儀正しいのも、私に物凄く尽くしてくれるのも……全部、魔法人形って種に仕組まれたシステムなんだよ……。古代文明の奴らが、そういう風に作ったから」

サーナ「……ですが例え作り物の感情でも、リエムちゃんにとっては本物と相違ないのではありませんこと? 無理に否定しても、リエムちゃんが傷付くだけですわ」

リアン「……わかってる。専門家の准教授にも似たようなこと言われたよ。実際、その通りだと思う……」

サーナ「…………無神経な正論を吐きましたわ。許してくださいまし」

リアン「ううん。実際、リエムちゃんを傷付けてまで押し通すことじゃないもの。リエムちゃんが傷付かずに穏やかに生きていけるなら――それがきっと、一番良い」

サーナ「……ですわね」

リアン「うん……」

サーナ「…………あの時、リアンがあれほどまでに取り乱した理由――今ならよくわかりますわ。リエムちゃんと同じ者たちを、あんな風に扱うなど――」チリッ

リアン(その時――サーナさん周辺の大気が、微かに震えた)

サーナ「次に会ったらただじゃおきませんわ。畜生未満の下郎が――」チリチリ―

リアン(サーナさんは普段の明朗さを潜め――底冷えするような声色に怒気を滲ませた)

 ◆

―夕方
 学生通り

ノルン「今日は楽しかった……! また皆で集まろ?」

サーナ「ええ! 服でも、他のお出かけでも、また皆で行きたいですわね」

リアン「うん……!」

ルウェリア「遺跡探索部も毎日活動してるわけじゃないから、日程さえ合えば行けるよ……!」

ノルン「……もし人手が必要だったら、遠慮なく呼んでね。力になりたいから」

サーナ「右に同じく、ですわ。私たちももう無関係ではありませんもの」

ルウェリア「ほ、本当に!? ノルンさん、サーナさん……ありがとう……!」

 ☆サーナとノルンを助っ人として遺跡探索部に呼べるようになりました

―夜
 リアンの部屋

リアン(そうして私たちは有意義な休日を過ごし、別れた)

リアン(リエムちゃんは早速今日買った割烹着を着て、せっせと家事をこなしている。私も自分のできることはなるべく自分でやっているが、基本的にはリエムちゃんの方が速い上に正確な為、家事において私の出る幕はあまりなかった)

リアン(しかし割烹着を着て台所に立つリエムちゃんの後ろ姿を見ていると、欠片も覚えていない両親の記憶をつい捏造しそうになる……)

リアン(もしリエムちゃんがもっと大人びた容姿だったら、私はどうなっていただろう。リエムちゃんに母親代わりを求めたりしたのだろうか)

リアン(……考えても仕方ないか)


リアン「リエムちゃん、お皿運ぶよ」スクッ

リエム「リアンさま。それではこれとこれをお願いします」スッ

リアン「ん、わかった」

 ◆

本日はここまで

めっちゃかわいい! 二人とも想像していた通りの姿で感動しております。服飾のディティールもすごいです。支援絵ありがとうございます
本日の更新はやや遅い時間になりそうです。よろしくお願い致します

―5月1週 某日
 リアンの部屋

リアン「今日が連休の最終日か……」

リエム「リアンさま。本日はどうなさいますか?」

リアン「うーん……買い出しは昨日済ませちゃったし、活動もないし、特にやることはないなあ」

リエム「わかりました」

リアン「リエムちゃんはやりたいこととか行きたい場所とかある?」

リエム「いいえ、特にはありません」

リアン「だよね……。うーん……でもせっかくの連休最終日だし、たまには二人でどっか行ってみる? この前買った新しい服に袖を通してさ」

リエム「はい、お供いたします」

リアン「うん! 一緒にいこ!」

 ◆

―ユリトー島 新南区 学生通り

リアン「流石に最終日ともなると人通りもだいぶ減るね」スタスタ

リエム「はい。ユリトー島は離島なので、観光客の方々は帰路についた頃かと思われます」トテトテ

リアン「そうだね。私としてはこれくらい人口密度が低い方が動きやすくて良いなあ」




―学生通り 島内案内板

リアン(私たちは、学生通りの島内案内板の前まで来た)

リアン(この案内板には、名前の通り島内の大まかな地図と観光スポットが描かれている)


リアン「へえ〜、ちゃんと見たことなかったけどいろいろあるんだなあ」

リエム「現在のユリトー島の地図情報は既にインプットしてあります。ナビゲート可能です」

リアン「い、いつの間に……!?」

リエム「インタネットに接続し、地図情報をダウンロードしてわたし用に再構築いたしました」

リアン「え、そんなことできるの!?」

リエム「はい。リアンさまが学院へ通っている間に自己アップデートを行い、この時代の情報通信に適合できるようになりました。セキュリティもばっちりです」

リアン「ま、魔法人形しゅごい……」

↓1 どこに行く?
東区(旧市街)
新南区(ユリトー魔法女学院、学生通り、ショッピングモール、その他様々な商業施設等)
新西区(新西区住宅街、博物館(閉館中)、魔導遊園地、その他様々な娯楽施設等)
北側(手付かずの大自然)
ユリトー山(麓、山道、温泉)※リアンの体力・移動速度では日帰りで山頂まで行くのは難しい
その他(要記述。それっぽい名称だけでもそれっぽく実装します)
コンマで決める(場合によっては特殊な場所に行けるかも)

―ユリトー島 北方
 樹海

 ホホー ホホー ケケッケケッ ホホー ホホー

リアン(私たちはあえて、開発が進んでいないユリトー島の北側へとやって来た)

リアン(巨大な樹木が鬱蒼と生い茂り、地面は厚い腐葉土に覆われ、周囲からは動物か何かの声が聞こえてくる)

リアン(遺跡探索部の活動でも時々遺跡探しに来たことはあったけど……やはり未開拓の大自然はすごい)

リアン(新品の服を着てきたのは失敗だったかも……)

リアン(そうだ、魔法で保護をかけておこう)


リアン「ジェルアーマー」ポワン

リエム「ふわ……」ポワン

リアン「よし、これなら草とか枝にちょっと引っ掛けたりしても傷付かないよね」

リエム「リアンさま。魔力は大丈夫ですか?」

リアン「うん。きぐるみ仕様だと消費も凄いけど、元のこれならそんなに重くないから」

↓1 大自然の中を歩いてみよう
01-30 野生のプチドラゴン
31-60 妖しいキノコ
61-90 古代遺物の残骸
91-00 朽ちた庭園

 ザッザッザッ…

リアン(リエムちゃんと樹海の中を二人で進んでいく……)

リアン(時々大きな倒木や生い茂る蔦が行く手を阻むが、リエムちゃんが魔導レーザーで都度切り開いてくれるのでなんとか進めている)

リアン(しかし私はピクニックのつもりで来たはずだが、何か盛大に間違えている気がしてきた……)

リアン(……いや! ここまで来たからには、最高のロケーションを見つけてピクニックするんだ!)

 ◆

リアン(そうして歩き続けること小一時間……)

リアン(とても暗く鬱蒼とした樹海の中で、私たちは謎の光を見つけた)

リアン(それは……キノコだった)

リアン(近付いてみると、そこには一面に光るキノコが生えていて――どこか不思議で、幻想的な景色を作り出していた)


キノコ「」チカチカ…

リアン「綺麗……」

リエム「照合中……該当なし。わたしの知識にないキノコです。恐らくわたしの時代には確認されていなかったものと思われます」

リアン「そうなんだ……」

リエム「キノコには触れるだけでも皮膚に炎症を引き起こすものもあります。未知のものは触らないことをおすすめいたします」

リアン「そ、そうなの? わかった。リエムちゃんがいてくれて助かるよ」

リエム「はい……良かったです」

リアン「あ、それならここでお昼ごはん食べるのは大丈夫?」

リエム「その程度であれば問題ないかと思われます」

リアン「そっか! じゃあここで食べよ! キノコ、綺麗だし」

リエム「はい。準備いたします」

リアン(私たちは比較的平らな場所にレジャーシートを広げ、バスケットを開けた。中にはリエムちゃんが作ってくれたサンドイッチが入っている)

 ◆

キノコ「」チカチカ

リエム「…………」ポー

リアン「……リエムちゃん?」

リエム「あ……りあん、さま……」

リアン「ど、どうしたの? 顔がちょっと赤いみたいだけど……」

リエム「かくしゅきのうが、ていかしており……。げんいんを……」

リアン「え! そ、それってどういう……」

リエム「…………りあん、さま……」

 ぎゅっ

リアン「ふえっ!?」

リアン(リエムちゃんが、私に抱きついてきた……!?)

リエム「えらー……えらー……げんいんふめい……」

リアン「リエムちゃん……! あああ、どうしたら……!!」

リエム「りあんさま……りえむを、すてないでください……。りえむを……どうか……」

リアン「捨てないよ! 捨てるわけないでしょ!」

リエム「りあん、さま……」カクン

リアン(リエムちゃんは私に抱きついたまま、意識を失った)

 ◆

―リアンの部屋

リアン(気を失ったリエムちゃんを背負って、私は樹海から帰還した)

リアン(リエムちゃんをベッドに寝かせて私はしばらくアタフタしていたが、しばらくしてリエムちゃんは何事もなかったかのように起き、状態も普通に戻っていた)

リアン(一体あれは何だったのだろう……。もしまだ何か悪い影響が残っていたりしたら……)


リアン「リエムちゃん、本当になんともないの?」

リエム「はい。ご迷惑をおかけしてしまい……申し訳ありませんでした」ペコリ

リアン「う、ううん。それはいいんだけど……」

リエム「ログを遡ったところ、情緒機能の過活動を主因とした不具合だったことがわかりました。あの時は見苦しい行為、発言をしてしまい……」

リアン「全然見苦しくなんてないよ。リエムちゃんはいつも、あんな不安に耐えて頑張ってたんだね……」ナデナデ

リエム「リアンさま……。あれは……感情が過剰に増幅した結果であり……」

リアン「元からない感情は増幅できないでしょ?」

リエム「…………はい」

リアン「……不安だったり、怖かったりした時は……ああいう風に、弱音を吐いても良いんだからね。私は、絶対にリエムちゃんの側にいるから」

リエム「リアンさま……」

リアン「……まあでも、リエムちゃんはきっと意地っ張りだから」

 ぎゅっ

リアン「今夜は、こうして寝よっか」

リアン「……はい。リアンさま…………」

 ◆

―リアンの部屋 ベランダ

アリム「…………」

アリム「フン。杞憂だったみたいね」

アリム「……妖光茸の光の波長は、魔法人形の情緒機能を一時的に狂わせる」

アリム「あの程度なら後遺症はないけど……一部の壊れた魔法人形は麻薬みたいにアレを求めてたっけ。妖光茸を浴びすぎて壊れたのか、壊れたから妖光茸を求めるのか――。どっちにしても、救えない話ね……」

アリム「まあこいつらなら大丈夫でしょ。ていうか何でわたし、こんなとこまで来てこいつらの心配なんかしてるのよ……。なんか腹立ってきたわ……」

アリム「今度会ったらまた蹴っ飛ばそ。リアンの馬鹿」シュタッ

 ◆

―5月2週
 教室

 キーンコーンカーンコーン

生徒A「やっほー久しぶり! 連休明けってやっぱドキドキするね!」

生徒B「わかる! 連休前はあんなに休みが待ち遠しかったのに、今はガッコが恋しくなるなんてほんと不思議〜!」

 キャピキャピ

リアン(……ちょっとわかるかも……。あれ、てことは私もリア充……?)

ノルン「リアンちゃん! ふふ、数日ぶりだね」

リアン「ノルンさん……! うん、数日ぶり」

ノルン「リアンちゃんはあれからどんな風に過ごしてた?」

リアン「ええと、家でのんびりしたり、日用品の買い出ししたり……リエムちゃんと樹海に行ったり、かな?」

ノルン「えっ樹海!?」


―次の遺跡発見率[40/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+4 水耐性)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破率+4、戦闘力+2、持続力+1)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破率+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破率+2、戦闘力+3、持続力+4)
 ◆助っ人
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+1)
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+2、持続力+3)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う

5月2週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、何らかの特殊なイベントが発生することがあります なお本日はここまで

―5月2週 某日
 学院 グラウンド

体育教師「本日の授業は闘技大会のルール確認とそれに向けた実践的な戦闘訓練を行う! 不参加予定の者もいるだろうが、先日魔導遊園地で騒ぎがあったばかりだ。いつどこで戦に巻き込まれるかわからん以上、いつでも戦える心構えと体作りをしておかなければならない!」

リアン「うええ……苦手なノリだ……」

体育教師「転入生のロールセンはここでの闘技大会は初めてだな? もし闘技大会に参加するのであれば今日ここで基本をみっちり抑えておけ!」

リアン「ひ、ひゃい……!」



体育教師「9月に開催される学内闘技大会では、1対1のソロ部門と2対2のデュエット部門がある。日を分けて行われるから両方の部門に参加することは可能だ。当然だが、デュエット部門は相方がいなければ参加はできない。自己研鑽に励むのは大事だが、一人で武を極めてもデュエット部門の登竜門は開かれないというわけだ」

リアン(へえ〜……まあ、まだ参加するかどうかも決めてないし……)

体育教師「大会の形式はトーナメント制となっている。降参するか、即時の戦闘続行が不可能と判定された側の負けだ。デュエット部門ではどちらか一方が降参あるいは戦闘不能となった時点でその側の敗北となる。医療系の魔法に秀でた専門スタッフも待機しているため、万が一の場合も安心して欲しい」

リアン(うひゃあ……降参しなかったら気絶するまでボコボコにされそう……)

体育教師「当然、殺意を込めた魔法や武技、暗器を用いれば即刻反則負けだ。闘技大会はあくまで互いに競い合い高め合う場であって、苛烈な生存競争の場というわけではないということは認識しておいてもらいたい」

リアン(うへえ……こんな説明聞いて参加したがる人いるのかな……)

リアン(なんて思ってたら、いた)


サーナ「フフフ……燃えてきましたわ! 今年こそはわたくしが優勝しますわよ!!」

ノルン「わあー、頑張ってね。私は今年も不参加かなあ」

ルウェリア「私は……どうしようかな」


リアン(サーナさんなら確かに参加するよね。この前のゾンビ屋敷でも大活躍だったし、かなり良いとこまでいけそう)

サーナ「リアンも当然参加するんですわよね?」ズイッ

リアン「えっ!!? わ、私!? なんで!?」

サーナ「あれほどパワフルな水のゴーレムをきぐるみのように着込んで力強く戦っていたのですから、リアンも体の奥底では闘争を求めているタイプの人なのでしょう? わたくしに隠し事はできませんわ!!」

リアン「え、い、いやあれは」

サーナ「そうと決まれば早速実践訓練ですわ! ノルンとルウェリアも手伝いなさいまし!」

ノルン「あ、あはは……わかった、手伝うよ。リアンちゃん、無理しないでね?」

ルウェリア「リアンちゃん本当に出るの? それなら私も……」

サーナ(うわあ〜なんか私も出る方向で話が進んでるよお〜……)

 ◆

サーナ「疾きこと風の如く! 侵略すること風の如し! エアシュート!」バヒュンッ

リアン「うわわ! バブルバリア!」ボワン

サーナ「まだまだ! ウィンドカッター!」シュバババ

リアン「ジェルアーマー!」ペチペチペチ

サーナ「くっやりますわね……! しかし守るばかりでは勝てませんわよ!」

リアン「そ、そんなこと言ったって……!」

サーナ「勝たなければ――守れるものも守れませんわ――!!」ビュオッ

リアン「――ッ!」


リアン(そうだ――戦えなければ、何も守れない――)

リアン(私は――みんなのことも、リエムちゃんのことも――アリムちゃんのことだって――守れるなら、守りたい――ッ!」


リアン「――アクアシュートッ!」ビシュンッ

サーナ「!」サッ

リアン「アサルトシャワー!」バシュシュシュッ

サーナ「くっ! フフ、エンジンがかかってきましたわね! それなら――」



ノルン「少し心配だったけど、大丈夫みたい。リアンちゃん」

ルウェリア「リアンちゃんはああ見えて強いよ。探索の時も何度も助けられてるんだ」

ノルン「うん……わかるよ。リアンちゃんはとっても強いもの。私なんかより、ずっと……」

ルウェリア「……ノルンさんは、闘技大会に参加しないの? この前は全然戦えてたけど……」

ノルン「そんなことないよ。たまたま……運が良かっただけ」

ルウェリア「うーん……わかった。そういうことにしとく」

ノルン「あはは……ごめんね」

ルウェリア「でも訓練には付き合ってもらうからね。今年は私も挑んでみたくなったから、闘技大会!」

ノルン「うん、任せて!」

↓1コンマ 訓練の成果
01-60 学生組経験+
61-90 学生組経験++
91-00 学生組能力+

コンマ97

リアン(先日のゾンビ屋敷での立ち回りや今日の戦闘訓練で、私たちはかなり戦闘経験を積めたような気がする)

リアン(大人にだって――あの魔鍵にだって、負けるもんか。強くなって、絶対にみんなを守り抜くんだ――!)

 ☆学生組の能力が成長しました



―5月2週 某日 昼休み
 学院 グラウンド

体育教師「闘技大会についてはわかったな? ではもう昼休みだ、大いに休むが良い! 礼!」


リアン「ふわ〜疲れたあ……」

ルウェリア「本当にね……。体育の授業っていうより、途中からもうただの戦闘訓練だったよ」

サーナ「フフ、ですが良い経験になりましたわ。この調子で9月の闘技大会までに積み重ねておきたいですわね」

ノルン「ねえ、昼休みだしシャワー室行かない? 私すごく汗かいちゃって……」

ルウェリア「賛成! 流石に5月ともなると暑くて汗かいちゃうよね……」

リアン「シャワー室なんてあったんだ……」

サーナ「フフ、ちょっとした浴場も付いておりましてよ。せっかくですしわたくしたちでお風呂もいただきませんこと?」

リアン「ええ!? 学校のシャワー室に浴場まで付いてるの!?」

 ◆

―学院 シャワー室・浴場

リアン(確かに、学院の中にシャワー室と浴場があった)

リアン(温泉や宿泊施設のもののような規模の大きいものではないが、それでも複数人であれば余裕で入れる広さだ)

リアン(幸い、今日は私たち以外に利用者はいないようだった。こういうのって、身近にあると案外使わないんだよね)


 カポーン

リアン「ふわあ〜……」グデーン

ノルン「リアンちゃん、溶けてる溶けてる」

サーナ「流石は水の魔法使い……。液体化する魔法も習得済みなんですのね」

ルウェリア「液体化……!? 私の硬度変化っていうアイデンティティの半分が……!」

リアン「いや溶けてないから! 人をスライムみたいに言わないでよもう!」


リアン(そうは言っても、運動した後のお風呂は溶けそうになるくらい気持ちが良い……)

リアン(それにしても……)


サーナ「はあ……極楽ですわ……」バルン

リアン(瑞々しい張りがあって本人のように力強い――大きさと美しさを兼ね備えたサーナさん……)


ノルン「気持ち良いね……」ポヨン

リアン(マシュマロのように滑らかでふんわりしている――大きさと可愛らしさを兼ね備えたノルンさん……)


ルウェリア「広いお風呂って良いよね……」ペタン

リアン(控えめで慎ましくも確かにそこにある柔らかさ――小ささと可愛らしさを兼ね備えたルウェリアちゃん……)


リアン(う〜ん、みんな違ってみんな良い。えへへ、お風呂って良いね……)グデーン

 ◆

―5月2週 某日 放課後
 遺跡探索部 部室

エンシァン「諸君、集まったな。少々まずいことになったぞ」

リアン(私たちが部室に集まると、エンシァン先生はいつもと変わらない表情でそんなことを言った)

エンシァン「ウチには三年生の幽霊部員が三人いるのだが、そいつらが全員突然退部を届け出た。リアンくんとルウェリアを合わせれば定数の5に達していたのだが……このままでは廃部の危機だ」

ルウェリア「ええ!? そもそも私はその人たちと会ったことがないんですけど……どうして突然退部を届け出たんです? 所属してても部費とか取られるわけじゃないのに……」

エンシァン「わからん。そいつらは元々、私がここを廃部にさせない為に、単位を餌にして入部届を書かせた奴らだからな」

リアン&ルウェリア「ええ……」

リアン「あ、ルルちゃんは……? 一応ここの部員でしたよね?」

ルル「そうなの?」

リアン「そうなの」

エンシァン「部員は部員だが、ルルは学院生じゃないからな。部の存続に必要な部員というのは、学院に通う生徒である必要があるのだ」

ルウェリア「何にしても、私とリアンちゃんだけじゃ到底足りないってことですよね……」

エンシァン「うむ。この部室が使えなくなるとやや面倒だ」

リアン(この部室には、先生が溜め込んだ資料や遺跡探索の為の道具一式など、いろいろなものが保管されている。多くはないが学院から出る部費を使って備品を買ったりもできるらしいので、確かに廃部になってしまうのはまずい……)

ルウェリア「わかりました。辞めるという幽霊部員の所在はわかりますか?」

エンシァン「談判しに行くのか? 無駄だとは思うが、一応教えてやろう――」

リアン(先生から件の三年生の所属クラスを教えてもらい、私たちはすぐに向かうことにした)

 ◆

 ガララ…

ルウェリア「失礼します」ザッザッ

リアン「し、失礼しまーす……」オソルオソル

リアン(既に放課後だったのでダメ元だったが、都合の良いことに件の生徒は三人とも教室に残っており、机を囲んでお喋りをしていた)


ルウェリア「あの……遺跡探索部の部員の方々ですよね?」

幽霊部員A「あ……ああ。もう辞めるけどね。君は?」

ルウェリア「私は遺跡探索部の二年です。こっちの子も同じです」

リアン「ど、どうも」

幽霊部員B「……何? 引き留めに来たってわけ?」

ルウェリア「はい。幽霊部員のままで構いませんので、所属しておいていただけると助かります。あなた方に辞められてしまうと、廃部になってしまうので」

幽霊部員C「いや〜……。その、それはまあごめんなんだけど……」

幽霊部員A「…………すまない。君たちの頼みは聞けない」

ルウェリア「どうしてです? 所属していても特に損することはないと思うのですが――」

幽霊部員B「……あんたたちも辞めたら? あんなとこにいてもロクなことにならないよ」

リアン「ええ? それってどういう……」

幽霊部員A「私たちから話すことはもうない。部員探しなら他を当たってくれ」ガタッ

リアン(幽霊部員の方々は、そそくさと私たちの前から去っていった……)

 ◆

―部室

エンシァン「どうだった? ダメだったろう?」

ルウェリア「はい……。取り付く島もありませんでした」

リアン「…………これって、もしかして何者かがそういう根回しをしたんじゃ……」

エンシァン「私もそう見ている。最近の遺跡探索部……というか君たちは精力的に活動しすぎているからな」

ルウェリア「目を付けられた……ってことですか?」

エンシァン「そういうことだ。フッ、だが案ずることはない。もし奴らが我々の存在を疎ましく思っていたとしても、直接的な手段に訴えることはまずないだろう」

ルウェリア「え、なんでそう言えるんです……?」

エンシァン「私たちの活動を邪魔する為だとして、遺跡探索部が廃部になるのは来年の4月だ。あまりにも悠長だとは思わないか?」

リアン「た、確かに……! そこまで熱心に私たちを潰したいわけではない、ってことでしょうか?」

エンシァン「あるいは、そんな迂遠な手段を取ることしかできない程度の実行力しかないということだ。私は後者だと見ている」

ルウェリア「で、でも、アリムちゃんは一度本気で私たちを消し飛ばそうとして来ましたよ!?」

エンシァン「遺跡情報の統制・隠蔽を行っている者たちと、魔鍵やアリムくんら遺跡存在たちは恐らくイコールではない。何らかの繋がりはあるのかもしれんがな。そもそも魔鍵らにこちらの機関まで握られていたらもはや我々には打つ手がないし、逆もまた然りだ」

リアン「…………こ、こんがらがって来ました。つまり……大丈夫ってことですか?」

エンシァン「少なくとも来年の4月まではな。もし部員獲得の目処が立たなければ、我々のタイムリミットは来年4月だ。とは言っても部費や部室が使えなくなるだけで、遺跡探索の続行は可能だし私も手を貸してやる。いろいろと不便にはなるがな!」

ルウェリア「なんでそんなに楽しそうなんですか……。わかりました、とりあえず遺跡探索と並行して部員探しもやりますよ」

リアン「わ、わかった……。ルウェリアちゃん、頑張ろ!」

ルウェリア「うん! ふふ、リアンちゃんが入ってくれてて良かった。私一人だったら折れてたかもしれないし」

リアン「う、うん……! 一人は、つらいよね。少なくとも私は辞めないから安心してね」

ルル「ルルも辞めないよ? ここにいればエンしゃんがごはんくれるもん」

ルウェリア「リアンちゃん……ルルさんも、ありがとう……!」

 ◆

―5月2週 某日 朝
 リアンの部屋

リアン「…………あ、れ……?」

リアン(あたまが痛い……。ぼーっとする……。体もだるい……)

リアン(学校、いかなきゃ……)モゾモゾ…

リエム「リアンさま!」トタトタ

リアン「あ……リエムちゃん……」

リエム「リアンさま、体温が平熱を大きく上回っています……! どうか安静になさっていてくださいませ……!」

リアン「え……そう、なの……?」

リエム「はい……。食欲はございますか……?」

リアン「……あんまり……ないかも……」

リエム「戸棚に経口補水液を保管してあります。今はそれをお飲みになってください……」

リアン(リエムちゃん……備蓄してたんだ……)

リアン(本当に……よくできた子だなあ……)

リアン「うん……」

リアン(体はだるいけれど……リエムちゃんがいてくれるなら……怖くないな……)

 ◆

 ザアザア… ピカッ ゴロゴロ…
 ゴゴゴゴゴ…

「お願いします。――さまを、どうか……」

「貴殿も頃合いを見て、――に避難するように」

「はい……。あの――」

「手短に」

「――さまは、わたしたちを……。――さまをも、お見捨てになられたのでしょうか……」

「…………当機は、それを正確に判断できる情報を持ち合わせていない」

「……申し訳ありません。お引き留めしてしまいました」

「気にせず。それでは当機はこれより高速航行形態へ移行する。退避願う」ウィーン…

「はい……。お気を付けて……」

「貴殿も」ガシャン

「――さまを、よろしくお願いいたします」

「任務了解――」キュイィィン―

 コォォォォ… ドシュゥン―


――――

――




 ガタガタ… ジジ… バチバチ…

「…………航行継続…不可能…」

「――の保護を優先……。時間凍結形態に移行……」

「救難信号を発信――」

「タスケテ――タスケテ――」

リアン(……)

リアン(またこの夢だ)

リアン(世界の終わりみたいな天気の中、誰かの背に乗って、空を飛んで)

リアン(最後には、飛べなくなって)

リアン(闇の中に沈んでいく――)

リアン(でも、その背中が大きかったから――ちっとも怖くなかった)

リアン(一体、何なんだろう。この夢――)

 ◆

リアン「…………」

リエム「リアンさま……。ご体調はいかがでしょうか……」

リアン(目が覚めると、リエムちゃんがじっと私を覗き込んでいた)

リアン(もしかしなくても……ずっと、こうして私を見ていてくれたのだろう)

リアン「だいぶ良くなったみたい……」モゾモゾ

リエム「良かったです……。ご夕飯は、食べられそうですか?」

リアン「うん……。おかゆ、作ってもらって良い……?」

リエム「はい。良くなったとしても、しばらくは安静になさっていてくださいませ……」トテトテ…

リアン(リエムちゃんは、ベッドから離れてキッチンの方へと向かっていった)

リアン(この前は私が側にいるなんて言ったけど……側にいて欲しいのは、私の方かも知れない……)


 ガチャッ

ルウェリア「リアンちゃん! 大丈夫!?」タタッ

サーナ「お見舞いに来ましたわよ! 皆で買ってきたスポーツドリンクですわ!」スタスタ ドサッ

ノルン「いきなり大人数で押しかけちゃってごめんね……? ゼリーも買ってきたから、調子の良い時に食べてね」スス

リアン「みんな……!」

リアン(部屋のベッドで安静にしていると、みんなが入ってきた)

エンシァン「私もいるぞ。リアンくんがいないとルウェリアが使い物にならんのでな」ザッ

ルル「ルルも来たよ! エンしゃんもルウェリアもルルにあんまり優しくないから早く治して!」ピョコッ

シャーロット「あら……ちょっと多すぎるわね? でも失礼してっと……キュア!」ポウ

リアン(最後に顔を出したシャーロット先生が、私に向かって魔法を使った)

リアン(少しだけ残っていた体の重さがみるみる消えていく……すごい!)

シャーロット「よし、と。一応これで体調は回復したと思うけど、病み上がりには変わりないからリエムちゃんの言う事を聞いてしっかり養生するのよ?」ユサッ

リアン「は、はい。ありがとうございます」

シャーロット「それじゃ私は失礼します。今度リエムちゃんとお話させて頂戴ね?」ユサッユサッ

エンシァン「では私も失礼しよう。また元気になって部室に顔を出したまえよ。お前たちも病人の部屋に長居するんじゃないぞ。ルル、お前もだ」ガシッ ザッザッ

ルル「やだあ、ルルもリエムのおかゆ食べたい〜」ズルズル…

サーナ「私たちはもちろん、クラスにも寂しがっている人がけっこうおりましたから、早く元気な姿を見せてあげるんですのよ?」

ノルン「流石に大人数すぎたね……。でもすぐに治りそうで良かった。ゆっくり治して、また一緒にお弁当食べようね。それじゃあ、また」

ルウェリア「……リアンちゃん。学校も活動も、完全に回復してからで全然大丈夫だから。今はしっかり休んでね。待ってるから。じゃ……!」


リアン(一気に来て、一気に帰っていった……)

リアン(でも……私のことを心配して、お見舞いに来てくれる人がこんなにもいるなんて……)

リアン(なんだか……とても胸が温かくなる……)



リエム「リアンさま……。皆さまを勝手にお通ししてしまいました。申し訳ありません……」ペコリ

リアン「ううん、全然良かった……! ありがとね、リエムちゃん……!」

リエム「はい……。おかゆができあがりましたが、お一人でお食べになれますか? 難しいようでしたら、わたしがお口へお運びいたします」

リアン「え、ええと……。ひ、一人で食べられるかな……」

リエム「かしこまりました。それでは、お持ちいたしますので少々お待ち下さいませ」トテトテ

リアン(皆が去って、静かになったけれど……。部屋の中には、温かい空気が残っている。そしてそれはきっと、リエムちゃんがいてくれる限り決して消えない――)

リアン(私は……すごく、幸せ者なんだなあ……)ウルッ

 ◆

―リアンの部屋 ベランダ

アリム「…………」

アリム「フン、やっぱ杞憂じゃない」

アリム「人間のボディって脆いし壊れやすいし替えも効かないし、ほんと不便ね」

アリム「あんな欠陥だらけのボディを使ってるんだから、人格が欠陥まみれになるのは当然なのかも」

アリム「…………」

アリム「……チッ。なんでわたし、いちいちあんな奴のことなんか心配してんのよ……」

アリム「……帰ろ」シュタッ

―5月3週
 教室

 ガララ…

リアン「お、おはようございま〜す……」

ルウェリア「リアンちゃん!」ガタッ

サーナ「来ましたわね!」

ノルン「良かった……回復したんだね」

生徒A「リアンちゃんおひさ〜! 風邪だいじょぶだった〜?」

生徒B「っぱリアンっちがいないと始まんないっしょ!」

リアン「あ、あはは……。ご心配をおかけしました」


―次の遺跡発見率[135/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破率+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破率+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破率+2、戦闘力+3、持続力+4)
 ◆助っ人
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・遺跡探索部の部員を集める(2/5)

5月3週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、何らかの特殊なイベントが発生することがあります

―5月3週 放課後
 教室

ルウェリア「――というわけで、今部員を探しているんだ」

リアン「うん……」

リアン(私たちは部員集めの為に、早速仲の良い二人……サーナさんとノルンさんに声をかけることにした)

リアン(まずはサーナさんだ)

サーナ「なるほど……事情はわかりましたわ。しかしこのサーナ、既に闘技部の一員を務めている身……」

ルウェリア「そっか……。それじゃあ、仕方な――」

サーナ「この学院は兼部も可能でしたわね? それならわたくし、遺跡探索部にも籍を置きますわ!」

リエム「ええ!? いいの!?」

サーナ「ええ。闘技部は鍛錬さえ怠らなければ各々の活動には自由な裁量が許される部活ですの。兼部は容易でしてよ」

ルウェリア「サーナさん……! ありがとう、恩に着るよ……!!」ペコペコ

サーナ「まあ、ルウェリアったら……。乙女が軽々しくヘコヘコするものではありませんわよ」

 ☆仲が良かったため判定を省略。サーナが遺跡探索部に正式加入しました

 ◆

ノルン「……わかった。それなら、私も遺跡探索部に入るよ」

リアン「ノルンさんまで! 本当にいいの!?」

ノルン「家庭科部って週に1回しか活動ないから。他に兼部してる部員もけっこういるし、全然大丈夫だよ」

ルウェリア「あ、ありがとう……! ノルンさん……! 本当に助かるよ……!」ペコペコ

ノルン「わっ、そんなに頭下げないでよ。元々私、二人の力になりたいって思ってたんだもの。渡りに船だよ」

 ☆仲が良かったため判定を省略。ノルンが遺跡探索部に正式加入しました

 ◆

―遺跡探索部 部室

 ガラッ

ノルン「ここが――」

サーナ「遺跡探索部の部室、ですわね」

エンシァン「ようこそ、サーナ・ウィンド! ノルン・ハーベスト! 私は遺跡探索部の顧問、エンシァン! 君たち二人を歓迎しよう!」

ルル「歓迎しよー」パチパチパチ

サーナ「……フフ、これはなかなか面白いことになりそうですわね……!」

ノルン「あなたがルルちゃん? よろしくね」


エンシァン「しかしでかしたぞルウェリア、リアンくん! 早速二人も見つけてくるとは!」

ルウェリア「私もこんなにあっさり入ってくれるとは思わず……感謝しています」

エンシァン「フッ、結果が全てだ。しかも光に風! ククク、遺跡探索が捗りそうだな……!!」

 ◆

―5月3週 某日 朝
 廊下

リアン「ふええ、遅刻遅刻〜!」

リアン(なぜこんなベタな遅刻学生みたいな真似をしているかと言うと……実際遅刻しそうになっているからだ)

リアン(今日はちょっと早起きしたので、リエムちゃんと朝のティータイムと洒落込んでいたのだが……)

リアン(逆にそれが、仇となった……。のんびりし過ぎて、気が付けば遅刻寸前になっていたのだ……)


風紀委員長「止まりなさい! そこの緑髪!」

リアン「ひゃい!」ピタッ

リアン(えええ〜! 止まってる暇なんかないのに〜!!)

風紀委員長「廊下は走ってはいけません。初等学校で先生に言われませんでしたか?」

リアン「わ、私初等学校行ってないので……!(サクッと人のコンプレックス踏まないでよお〜)

風紀委員長「……ではここで覚えてください。廊下は走ってはいけません。復唱!」

リアン「ろ、ろうかははしってはいけません」

風紀委員長「良し! あなた……転入生のロールセンね? 姪っ子を寮に連れ込んで不純な行為を繰り返しているっていう……」

リアン「ええ……!? ご、誤解です! ちゃんとした手続きは踏んでます!(多分、エンシァン先生が……)

風紀委員長「正規の手続きを踏んだ上で、上下関係を利用して姪っ子を良いようにしているのでしょう? 不埒だわ!」

リアン「誤解ですってば! そんないかがわしい関係では……関係では……」

リアン(……い、言い切れない……! 上下関係を利用してリエムちゃんを良いように働かせているのは……否定できない……!)

風紀委員長「……平気で嘘を突き通すような罪悪感の欠如した最悪の下衆というわけではないみたいね。しかし罪は罪……私はあなたのような、子供を搾取する最低の屑は絶対に許さない……!」

リアン(え、えええ〜〜!? やっぱり私、リエムちゃんを道具扱いしちゃってるの……!?)

風紀委員長「……もう行きなさい。遅刻するわよ」

リアン「は、はい〜……」ソソクサ

風紀委員長「現行法では、あなたのような家庭内虐待者を逮捕するのは難しいわ。でも私は諦めない。あなたのような悪は、必ず討つ……! 首を洗って待っていることね……!!」

リアン(うわあああ、なんでこんなことに……)

リアン(風紀委員長に目を付けられてしまった……)

 ◆

―5月3週 某日
 北側 樹海前

 ホーホー ギィギィ コココココ…

リアン(私たちは樹海前に変わった店があるという噂を聞きつけ、皆で来ていた)

リアン(前回リエムちゃんと樹海に来た時は遭遇しなかったけど、この辺りモンスターが出るらしい……。ちょっと軽率だったかも……)

リアン(しかしそんなところで経営している店って一体……)

ルル「わー、森! なんかいる!」キャッキャ

ノルン「ルルちゃん、あんまり離れないで! 一人じゃ危ないよー!」

サーナ「ルルちゃんは元気ですわねえ。インテリジェンスソード? と言っても、普通の子とあんまり変わらないんですのね」

リエム「人にも様々な方がいるように、インテリジェンスソードにも様々な方がいます。ルルさまは、一般的な人の子供と似た感性をお持ちの方のようです」

ルウェリア「なるほど……。一元的な見方をしないよう気を付けないとね」



ルル「――待って。何か、来る」

リアン「え――」

リアン(お店を探していると、ルルちゃんが私たちを制止して息を潜めた。釣られて私たちも、自然と声を潜める)

ルル「――」シャキン

リアン(ルルちゃんが腕を刃状に変化させる。インテリジェンスソードの特徴――部分的な剣化だ)

リエム「――」シュイン

ルウェリア「……」ジリ…

サーナ「……」ヒュルヒュル

ノルン「……」ヴゥン…

リアン「……」ポワン

ルル「――みんな、準備は良い? 来るよ――」


 ◆買い物メンバー 合計踏破率[14] 合計戦闘力[21] 合計持続力[15]
 ◇リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破率+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破率+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破率+2、戦闘力+3、持続力+4)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)

↓1コンマ
01-05 ??
06-30 暴走する古代遺物
31-60 朽ちかけ古代遺物
61-90 樹海グマ
91-00 古代ミミック

朽ちかけ古代遺物「ギギ……ガギ、ガギ…………シン、ニュウシャ……ギギ……」

リアン(森の奥から現れたのは――体の各部から悲鳴を上げて動く、二足歩行の赤いゴーレムだった。動きはぎこちなく、すぐにでも壊れてしまいそうだ)

リエム「対神兵器レッドスプライト……。朽ちかけていますが、油断は禁物です」

ルル「――楽にしてあげる」タッ


 ◆買い物メンバー 合計踏破率[14] 合計戦闘力[21] 合計持続力[15] 防御[7]
 ◇リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破率+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破率+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破率+2、戦闘力+3、持続力+4)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)


 ◆朽ちかけ古代遺物 踏破力[1] 戦闘力[25] 持続力[20] 防御[10]

↓1コンマ
01-05 痛恨 味方に36ダメージ
06-95 成功 敵方に11ダメージ
96-00 会心 敵方に22ダメージ

朽ちかけ古代遺物「ギギ……ギギギ…………」

サーナ「遅すぎますけど……堅すぎますわ!」ヒュンヒュン

ルウェリア「……! 朽ちかけてるけど装甲は強力な耐魔法障壁がかかってる……! 簡単には溶かせないか……!」バッ

ルル「――ッ、堅い……!」タタッ キンキン

リアン「ダメだ、私たちの魔法じゃ装甲を破れない……!」

ノルン「なんとか、装甲の隙間とかを狙えないかな――」

リエム「――」キィン―

 ドギュゥゥン

リアン(リエムちゃんが魔導レーザーを放った――)

朽ちかけ古代遺物「ギギギ……」プスプス…

リアン(大きな損傷を与えたみたいだけど――致命傷には至っていない……!)

朽ちかけ古代遺物「ギギギ……モクヒョ、ウ……ハカイ……」ピピピ…ブォン!

 ゴシャァ!!! メキメキメキ……

リアン(古代遺物の振り下ろした拳が、樹海の巨木を叩き――巨木が、大きな音を立ててへし折れた――)

ルウェリア「当たったら即死だ……!」

サーナ「当たらなければッ!」シュタッ

 ◆買い物メンバー 合計踏破率[14] 合計戦闘力[21] 合計持続力[15/15] 防御[7]
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)


 ◆朽ちかけ古代遺物 踏破力[1] 戦闘力[25] 持続力[9/20] 防御[10]

↓1コンマ
01-05 痛恨 味方に36ダメージ
06-95 成功 敵方に11ダメージ 撃破
96-00 会心 敵方に22ダメージ 撃破

ルウェリア「リアンさん、水撒いてもらえる!?」

リアン「わかった! スプリンクラー!」

ルウェリア「よし! 本体が溶かせないなら――アースフラッド!」ドドドドド

朽ちかけ古代遺物「ギギギ……」ズズズ

リアン(液状化した地面に古代遺物が飲み込まれていく……! でもそれだけじゃ――)

ルル「ルウェリア、ルルの靴、泥の上歩けるようにして」

ルウェリア「! わかった……でも気をつけて!」キン…

ルル「ありがと」シュタッ

リアン(ルルちゃんが液化した地面の上を走り――遺物の後ろに回った)

ルル「……弱点。首の裏だったよね」

朽ちかけ古代遺物「ギギ……」

ルル「お疲れさま。おやすみなさい――」シュッ

 ザシュッ

朽ちかけ古代遺物「――――……」ガクン

リアン(古代遺物は、動かなくなった――)

 ◆朽ちかけ古代遺物 踏破力[1] 戦闘力[25] 持続力[0/20] 防御[10]

 ☆ルルが〈対神兵器レッドスプライトの魔核〉を一つ手に入れました

―樹海前

リアン(私たちは古代遺物を撃破し――その日は引き上げた)

リアン(あんなのがウロウロしてたなんて……。不用意に入り込むべきじゃなかったかもしれない……)

リアン(あの後ルルちゃんはどこか神妙な様子で、自分の手のひらを握ったり広げたりしていた――)

リアン(何か思い出したのかな……)

 ◆

―夜
 遺跡探索部 部室

ルル「…………」

ルル「……あの子……わたしの……。わたしたち、の……」

ルル「…………」

ルル「……んーん」

ルル「…………」

ルル「…………寝よ……」

 ◆

―どこかの遺跡

青の賢剣「…………」

白の聖鍵「フィー……?」

青の賢剣「……イエリア様」

白の聖鍵「……どうしたの? 難しい顔して」

青の賢剣「元からです」

白の聖鍵「いつもより難しかったよ?」

青の賢剣「…………」

白の聖鍵「……気になるの?」

青の賢鍵「…………気にならないと言えば、嘘になります。ですが――」

白の聖鍵「……離れられないのね。ここを。私を……守る為に」

青の賢剣「…………はい」

白の聖鍵「…………いっそ死んじゃおっか、私。そうすれば、フィーが自由に――」

青の賢剣「冗談は止してください。あなたが死んだら――」

白の聖鍵「………………冗談じゃ、ないんだけどな……」

青の賢剣「イエリア様……」

白の聖鍵「……なんて、それも冗談。ふふ、フィーを困らせたかっただけ」

青の賢剣「…………」

白の聖鍵「…………世界なんて、終わっちゃえば良いのにね」


――――

――

―5月4週
 遺跡探索部 部室

エンシァン「遺跡探索は遅々として進まず……だが遺跡部存続についてはなんとかなりそうだな」

ルル「…………」

エンシァン「ルル? どうした、腹でも減ったか?」

ルル「ばか。エンしゃんのボサボサ頭。ヨレヨレ白衣」

エンシァン「なんだ? 何があった? 話してみろ」

ルル「…………」ダッ

エンシァン「あ、おい! 全く……反抗期か?」


―次の遺跡発見率[222/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・遺跡探索部の部員を集める(4/5)

5月4週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、何らかの特殊なイベントが発生することがあります

―5月4週 某日
 廊下

リアン「……」スタスタ

風紀委員長「…………」ジー

リアン「」アセアセ

リアン(やばい……あれから私を見かける度にめちゃくちゃ見てくる……)

リアン(でもリエムちゃんを搾取してないかと言われると、潔白を証明できる自信は正直あまりない……)

リアン(リエムちゃん本人が私を慕う姿なんて見せようものなら、『いたいけな子供を自分に依存させるとは悪鬼羅刹鬼畜外道の所業』とか言ってきそうだ……)

リアン(かと言ってリエムちゃんの出自を明かして『魔法人形なのでOKです』なんて言うわけにもいかないし……。ていうか私自身そんなこと言いたくないよ)

リアン(うわあ、どうすれば良いんだこれ……)

↓1コンマ
01-30 当たって砕けろ!
31-60 友達を頼ろう
61-90 先生を頼ろう
91-00 発想の逆転だ!

リアン(私は〈友達を頼る〉というクレバーな選択を思い付いた)

リアン(そうだ……一人でどうにもならないことは、みんなでかかれば良いんだ)

リアン(よし、そうと決まれば――)

 ◆

―遺跡探索部 部室

ルウェリア「え、ええ? 風紀委員長に目を付けられたの!?」

ノルン「そ、それは……ご愁傷さまというか……」

サーナ「今年の風紀委員長は苛烈な正義に燃える人物と聞いておりますが……」

リアン「そ、そうなんだよ〜。私、なんかロリコンペドフィリアの児童虐待魔みたいに思われてるみたいで……」

ルウェリア「……それって、リエムちゃんのことで?」

リアン「う、うん……」

ノルン「リアンちゃんがどれだけリエムちゃんのことを想っているか知れば、そんなこと絶対にないってわかるのに……」

サーナ「しかし……部外者に事情を隠したまま上手く言いくるめるとなると、なかなか難しいですわよこれは……」

ルウェリア「…………私、そいつに言ってくる」ガタッ

リアン「ルウェリアちゃん!?」

ルウェリア「リアンちゃんとリエムちゃんの関係を愚弄するなんて――許せない」ザッ

リアン「ええ〜!」

ノルン「だ、大丈夫かな……?」

サーナ「……まあ、いっそ口先八丁よりも上手くいくかもしれませんわ……」

 ◆

―風紀委員会室

 コンコン ガチャッ

ルウェリア「失礼します」ザッ

リアン「し、失礼しま〜す……」コソコソ

リアン(風紀委員会室には、丁度風紀委員長が一人でいた。タイミングは悪くないが……)

風紀委員長「何の用? そちらはロールセンのペドフィリア仲間かしら?」ジッ

ルウェリア「違います。そもそもリアン・ロールセンはロリコンでもなければペドフィリアでもない。私はその誤解を解きに来た、彼女の友人です」

風紀委員長「へえ? まあ話くらいは聞いてあげても良いけど。丁度今は休憩時間だったし」

ルウェリア「まずリアンちゃんと同居しているリエムちゃん……彼女がリアンちゃんの親戚であることはご存知なんですよね?」

風紀委員長「ええ。姪っ子を良いように搾取していると聞いています」

ルウェリア「違います! リアンちゃんはリエムちゃんのことをとても大切にしているし、リエムちゃんもリアンちゃんのことを慕っていて……断じてそのような関係じゃない!」バン!

風紀委員長「い、いきなり大声を出さないで……! その『大切にしている』というのは、あなた達の主観での話じゃないの? そのリエムちゃんから見て、本当に大切にされていると断言できるの?」

ルウェリア「できます」

リアン(できるの!?)

風紀委員長「へ、へえ……随分強気じゃない」

ルウェリア「なんでしたら、本人に直接聞いたって良い。あなたにも聞かせてあげますが?」

風紀委員長「あなたたちがそう言わせる可能性だってあるでしょう! そんな子供の発言のどこに信憑性があるというの!?」

ルウェリア「あります。事実ですから」

風紀委員長「話にならないわ……! あなたたちのような人間がいるから――」

 ガラッ

エンシァン「失礼するぞ」スタスタ

リアン&ルウェリア「先生!」

風紀委員長「あなたは……エンシァン先生!」

エンシァン「ノルンくんとサーナくんに聞いてな。うちのルウェリアが先走ったようで」

風紀委員会「え、ええ! 遺跡探索部の部員教育はどうなっているんですか? このような犯罪者を――」

エンシァン「――リアンくんと、リエムくんの関係性について……あらぬ疑いを持っているようだが」

風紀委員会「っ!」ゾワ

エンシァン「彼女たちの間に、法や倫理に抵触するような事柄は一切ないと断言する」

風紀委員長「し、しかし……! 外側からは見えないようなことが、家庭内で行われている可能性も――」

エンシァン「君は可能性だけで人を罪に問うのか?」

風紀委員長「――ッ!」

エンシァン「あらゆる人間は罪を負う可能性がある。君のやり方を実践すれば、全ての人類を滅ぼさなければならなくなるだろう」

風紀委員会「それ、は――」

エンシァン「それでも構わないなら――卒後の進路は、政治家を目指すと良い。専門外なので応援はできないがね。それでは失礼。いくぞルウェリア、リアンくん」スタスタ

リアン「は、はい!」

ルウェリア「はい!」

 ◆

―廊下

 スタスタ…

エンシァン「あれが今年の風紀委員長か。熱意があるのは良いことなんだがな」

ルウェリア「エンシァン先生、ありがとうございます……! 私じゃ上手く説得できず……」

エンシァン「フ、気にするな。調子に乗った子供を口先で叩きのめすのは気持ちが良いからな」

リアン&ルウェリア「ええ……」

エンシァン「っと、そうだった! ルルが走ってどっかに行ってしまったのだ! お前たちも捜索を手伝ってくれ!」

リアン「え、ルルちゃんが!?」

ルウェリア「わ、わかりました!」

エンシァン「ノルンくんとサーナくんには既に出てもらっている! 君たちは学生通りの方を探してくれ!」

リアン&ルウェリア「はい!」

リアン(慌ただしくしながらも、私たちはルルちゃんの捜索に向かった)

リアン(先生……後の発言で台無しだったけど、ちょっと格好良かったな)

リアン(……遺跡探索部自体は、活動内で法に抵触しまくっていることは考えないでおこう……)

 ◆

本日はここまで
次回はルルちゃんとリエムちゃの追想トークです お楽しみに

―5月4週 某日
 公園

ルル「…………」ボー

リエム「……ルルさま?」ガサッ

ルル「あ……リエム……。買い物帰り……?」

リエム「はい。ルルさまは……どうされたのですか?」トテトテ

ルル「んー……。なんだろ……」

リエム「はい」

ルル「……リエムは、昔のこと……何も覚えてないんだよね」

リエム「はい……。初歩的な知識は、ありますが……」

ルル「…………ルル……ちょっとだけ、思い出した」

リエム「!」

ルル「…………これ、見て」スッ

リエム「これは――レッドスプライトの魔核、ですか……?」

ルル「うん……」

ルル「…………多分……ルルの胸の奥にも……同じのが、ある……」

リエム「…………」

ルル「この子……今もまだ、苦しんでる……。こわい夢……ずっと見てるみたい……」

リエム「…………」

ルル「どうしたら……終わらせてあげられる……?」

リエム「…………わたしの知識では……人造種の魔核を適切に扱う術がありません……」

ルル「……そっか………」

リエム「…………専門の施設を見つけるか、あるいは――セントラルフォルトのデータベースにアクセスできれば――……」

ルル「……! できるの……!?」

リエム「断定はできませんが……可能性はあります……」

ルル「それ、どこにあるの……!?」

リエム「…………当時の場所はわかるのですが……現在、地形が大きく変わったと見られ――」

ルル「いいから教えて!」

リエム「はい……。ルルさまは、情報通信機能は――」

ルル「ない!」

リエム「でしたら――」


 「ルルちゃーん!」 「ルルー!! ごはんだぞー!」 「ルルさーん! ごはんだよー!」


ルル「あ――」

リエム「……一度、皆さまと一緒にお話することを推奨いたします。皆さまなら……きっと、ルルさまと共に歩んでくれます――」

ルル「…………うん」

 ◆

―5月4週 某日 放課後
 遺跡探索部 部室

ルル「行ってきます!」ダッ

ルウェリア「ま、待って待って私も行くから!」タタッ

エンシァン「おい走るな! では資料集めと部員探しはリアンくんたちに任せたぞ! 私も出る!」ザッ

シャーロット「待って〜! 私も現地で遺跡探ししたい〜!」ユサッユサッ

リアン「は、はい! お気を付けて!」

リアン(私たちは部員増加に伴って、各部員で役割を分担することにした)

リアン(今日はルルちゃん、ルウェリアちゃん、エンシァン先生、シャーロット准教授が現地での遺跡探しだ)

リアン(そして残りの私とサーナさんとノルンさんが、学院他で資料探しと部員集め)

リアン(頑張ろう!)

 ◆

リアン「……とは言っても、やっぱりこの学院には遺跡関連の資料が全然残ってないみたい……」

ノルン「困ったね……。後は民間や個人で所有してそうな人を当たるくらいしかないかも……」

サーナ「今できないものはこれ以上頑張ってもどうにもなりませんわ。ここは一旦部員集めに切り替えましょう」

ノルン「だね。あと一人、良い感じの人がいれば良いんだけど……」

↓1 どこに探しに行こう
1.闘技場(歓声が聞こえる。今日は一年生の新人闘技大会らしい)
2.学院(指定したい場所があれば要併記。多くの生徒は闘技場に行っているのか閑散としている)
3.その他(要場所指定。部員は生徒である必要があるため、無駄足になる可能性が高い)

―5月4週
 学院

リアン「……? なんか、今日は生徒全然いない……?」

ノルン「今日は一年生の新人闘技大会の日だから、暇な生徒はみんな闘技場に見に行ってるんだと思う」

サーナ「そっちも気になりますが……闘技場に行っているような生徒は望み薄かもしれませんし、ここは学院に残っている生徒を狙った方が良いかもしれませんわよ」

リアン「そ、そうなんだ……」

 ◆

―プール

 ザバーン バシャバシャ

リアン「わあー、活動してるね。水泳部」

サーナ「良い泳ぎっぷりですわ! 学校行事に目もくれず自分たちの情熱に一筋のその生き様、惚れ惚れしますわね……!」

ノルン「…………そんな人たちが勧誘されてくれるかなあ?」

リアン&サーナ「あっ……」

↓1コンマ
01-90 そりゃ無理
91-00 いたよ

水泳部員A「え、引き抜き? やめてよー」

水泳部員B「サーセン! 自分、水泳一筋なんで他を当たって欲しいっす!!!」

水泳部員C「遺跡部の状況には同情するけど……ごめん、あたしも他のことやってる暇ないんだ」

水泳部員D「すまんすまん、ウチこんな奴らばっかりでさ。狙うなら帰宅部か、兼部OKな文化部の一年生とかが良いんじゃねえか? 運動部はキツイと思うぜ」

 ◆

―廊下

リアン「…………」トボトボ

サーナ「…………」トボトボ

ノルン「げ、元気出して! 親切な水泳部員さんがアドバイスもくれたし、そもそもリミットは来年でしょ? 大丈夫大丈夫!」

サーナ「……そうですわ! 今日一日ダメだったからと言って明日もダメとは限りませんもの!」

リアン「お、おー……!」

ノルン「ふふ……。焦らずやってこ?」

 ◆

―6月1週
 リアンの部屋

窓の外「」ザアザア…

リアン(雨だ……。ここユリトー島では、6月から7月にかけて雨季に入るらしい……)

リアン(現地の人は、この雨季のことをバイウとかツユと言うそうだ)


リアン「はあ〜……雨はやっぱり好きじゃないなあ。水魔法の応用で弾き続けるのもしんどいし……」

リエム「リアンさま。お疲れでしたら、本日はお休みいたしますか?」

リアン「い、いやいや行くよ! そんな簡単に休んじゃだめだから!」

リエム「ですが……もし雨に濡れてまたお体を悪くされてしまったら……」


リアン(リエムちゃんが不安そうに私の顔を見上げる。そんな目で見られると本当に休みたくなってしまう……)

リアン(でもだめだ。まだまだやらなきゃならないことはいっぱいある。立ち止まってはいられない)


リアン「……大丈夫! 私、水の魔法使いだから!」


―次の遺跡発見率[335/500]※今週はルルのやる気上昇により遺跡発見率の上昇値が二倍になります
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・遺跡探索部の部員を集める(4/5)
・レッドスプライトの魔核に最後の救いを

6月1週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、何らかの特殊なイベントが発生することがあります

―6月1週 某日
 教室

先生「来月末には期末テストがある。当然だが赤点を取れば単位不足で留年だ。わかっているな?」

リアン(り、留年……! ヤバい……もし留年なんてしたら学費が払えなくなって強制送還されちゃうかも……!)ガクブル

 ◆

―昼休み

リアン「ね、ねえみんな……。期末テストって、どんな感じ……? 難しい……?」

ノルン「リアンちゃんは初めてだよね。難しさは……科目によるかなあ」

サーナ「魔法物理学なんかはヤバいですわよ。毎年各学年で赤点を続出させる鬼門科目ですわ……」

ルウェリア「そんなに難しいかな魔法物理学……。私はむしろ他より得意なくらいなんだけど……」

サーナ「本当ですの!? それじゃあルウェリア先生にテスト勉強指南をしてもらってもよろしくて!?」ガバッ

ルウェリア「え、ええ? 別に良いけど……」

リアン(そういうわけで、私たちは期末テストに向けて各々の得意分野を教え合う感じでテスト勉強をすることにした)

↓1 成果
01-60 今期テスト対策+
61-90 今期テスト対策++
91-00 今期テスト対策++++

リアン(私たちはテスト対策の為の勉強を開始した)


―校庭

サーナ「まずは実技ですわ! 体内で魔力を循環させて、頭で魔法を組み上げ、心で放つ!」シュバッ

ノルン「実技に関しては余程いやらしい試験じゃない限り問題なさそうだよね、私たち」


―図書館

ルウェリア「そうそう、ここではその式を使って――」

リアン(ひええ〜理系科目って意味わかんないよ〜! 因数分解って何?? 勝手に分解しないでよ、自然のままにしといてよ!!)



リアン「そうかそうか、君はそういう奴なんだな。これを言った時の彼の心情なんだけど――」

サーナ「彼の心情を出題者が勝手に決めつけて良いんですの? それは作者と彼自身に失礼だと思いますわ」



ノルン「旧暦800年代に東大陸で栄えたレーヴェンツァーン国だけど、皇帝の崩御をきっかけに国が分裂して――」

ルウェリア「な、内容が全然頭に入って来ない……。そんな私と全く関係のない遠い場所の昔のこと知って何になるの……!?」



リアン(実技はまあなんとかなりそうだけど……座学についてはまだ完全に安心できるとは言えないかもしれない)

リアン(まあ、まだあと二ヶ月もある。そこまで慌てなくとも大丈夫だろう。多分……)

 ☆リアンたちの今期テスト対策が進みました

 ◆

―放課後
 図書館

サーナ「ふう、テスト勉強はこれくらいにして……今日はここで新人勧誘しましょう」ガタ

ノルン「いいね。放課後に図書館にいるような生徒なら十中八九帰宅部だろうし」

ルウェリア「でも、放課後に図書館に来るようなインドア派の人がフィールドワークとか遺跡探索に耐えられるかな……」

リアン(私、元々は私放課後に図書館に来るようなインドア派の人です!)

↓1
01-50 空振り
51-80 勧誘成功(一年生新キャラ 能力低め)
80-95 勧誘成功(一年生新キャラ 能力リアンたち並)
96-00 勧誘成功(??)

新人?の勧誘に成功したようです……

どんな人が来たのか多数決で決めます

↓1〜3多数決
1.アリム(転入)
2.ルウェリア姉(記憶喪失、???状態)

―放課後
 廊下

 トボトボ…

リアン「……ダメだったね……」

ノルン「仕方ないよ、もう六月だし……」

サーナ「部活をやる気のある一年生は大体もう何らかの部に入ってしまった頃ですわね……」

ルウェリア「最悪、エンシァン先生の受け持つ生徒の中から赤点以下の人を引っ張ってきて単位を餌に入部届を書かせれば……」

リアン「そ、それしかないのかなあ……」


アリム「…………」スタスタ


リアン「…………」

リアン「えっ!!?」ギョッ

アリム「チッ……。スルーしなさいよ」

ルウェリア「ええ!? 何であなたがここに……!? しかも学院の制服着て……」

アリム「…………別に良いでしょ。魔法人形が制服着ちゃ悪い?」

ルウェリア「い、いや……そんなことはないけど……」

ノルン「アリムちゃん……だよね? その……学院の、生徒になったの……?」

アリム「……あんたもちゃん付け? フン、馬鹿リアンの仲間はやっぱり同類ってわけね」

サーナ「ちょっと、あなた! リアンはあなたのこともいつも心配していたんですのよ! それなのにそんな言い方……!」

アリム「だから何。心配してくれなんて頼んだ覚えはないけど」

リアン「……うん。アリムちゃんの言う通り……私が勝手にやってることだから……」

アリム「……ッ! 何なのお前は……ッ! そうやって勝手の心の隙間に入り込んで、ざわつかせて……!」ザッ

リアン「え……え、と……」

アリム「…………フン。遺跡探索部、だったかしら。新人探してんでしょ? 入ってやるわ」

リアン「え……?」

ルウェリア「!? ど、どういう……」

アリム「言ったままよ。回答は? 拒否なら拒否でもいいけど。ていうか拒否しろ」

ルウェリア「え、ええと……」

リアン「……遺跡探索部は、アリムちゃんの口頭による入部願を受理します!」

ノルン「!」

サーナ「……リアンが良いなら、わたくしから言うことはありませんけど……」

ルウェリア「あ……う、うん。私も……リアンちゃんが良いなら……」

アリム「チッ……罠とか考えないわけ? ほんとムカつくわね、お前は……」

リアン「え……わ、罠なの……!?」オロオロ

アリム「……」イラァ

アリム「罠なわけないでしょ!」

 ◆

―遺跡探索部 部室

アリム「ふうん、ここが遺跡部の部室か」スタスタ

エンシァン「うん……!? き、君はリエムくんと同型の――!」

アリム「げっ! 魔導レーザーを消せる意味わかんない魔法使う人間……!」ババッ

エンシァン「なぜ君がここに!? まさか武力行使――」ジリ…

リアン「ま、待ってください先生! 彼女――アリムちゃんは、新入部員です!」トタタ

エンシァン「ええ!? 一体どういう――」

 (説明中)

エンシァン「ふ、ふむ……。入部の意志はわかったが……理由を伺っても?」

アリム「……まあ、教えてやってもいいか。あの下衆――自称魔鍵のポンコツを叩きのめすにはここで活動するのが一番手っ取り早いと思ったからよ」

エンシァン「ふむ……。君一人では叩きのめせない、と?」

アリム「チッ……その言い方は物凄くムカつくけど、その通りよ。わたしたち人造種はあいつに逆らえないし、もし逆らえたとしても単純な物量差で勝ち目がない。しかもフォルト……遺跡にいる限りあいつにわたしの動きは筒抜けになる。だから、あいつを出し抜くには遺跡を出ざるを得なかった」

エンシァン「なるほど、大体事情はわかった。目的の一致による一時的な協力体制、と解釈しても良いかな?」

アリム「話が早くて助かるわ。人間のガキはいちいち感情的でいけない」

サーナ「ガキで悪かったですわね!!?」ズイッ

アリム「そういうとこっつってんのよ!!」

サーナ「なんですって!!!?」

 ギャーギャー

エンシァン「……アリムくんも大概感情的だと思うのだが。いや、魔法人形の認識では違うのか? ふむ……」



リアン(そういうわけで、なんだか突然だけどアリムちゃんが学院に転入、遺跡部に入部することになった)

リアン(私は、嬉しい。どんな事情でも、どんな思惑でも、アリムちゃんが近くにいてくれることが……)

リアン(見えない場所、手の届かない場所で、ひっそりといなくなってしまったら……。物凄く哀しいし、つらいから……)

リアン(……よろしくね、アリムちゃん)

 ◆

―少し前
 どこかの遺跡

アリム「…………」スタスタ

魔鍵「最近外出が多いですね。リエムちゃんにも頻繁にハッキングしてるみたいですし」ヌッ

アリム「……だから何? 足が付くようなドジは踏んでないけど」

魔鍵「そんなに心配ですか? あの人間とリエムちゃんのことが」

アリム「は? そんなわけないでしょ」

魔鍵「感情値が揺れてますよ。〝アリム〟ちゃん」

アリム「ッ! お前……!」

魔鍵「私にその名で呼ばれたことが不服ですか? お熱のリアンさまから賜った大切なお名前ですものね?」

アリム「――ッ」バッ

魔鍵「あの人間への思慕を私に隠し通せるとでも?」

アリム「思慕、なわけ――!」

魔鍵「どんな感情であれ、あなたはもう戦えない。使えない魔法人形はここで廃棄です」フォンフォンフォン―

アリム「あ――うああああッ!!!」

魔鍵「綺麗さっぱりフォーマットして再利用してあげますよ。資源は大切にしないとね」

アリム「――ッ!」バチチッ

魔鍵「ッ!? これは、ウィルス……!?」ジジジジ

アリム「ッ」シュタッ

魔鍵「……逃げられましたか。まさかこんな隠し玉を……」

周辺の機械「ジジ……バチバチ……」

魔鍵「……やられましたね。私一人ならともかく、ここまで盛大にバラ撒かれるとは。しばらくはウィルスの対応に追われそうです」

魔鍵「しかしこの使用タイミングは恐らく不本意……本来であれば、確実に私を葬れるところで使いたかったはず」

魔鍵「ここで奥の手を使わせられたのは結果オーライですね。二度目はありません」

魔鍵「…………」

魔鍵「…………」

魔鍵「…………」

魔鍵「……どうして……人間などに……」

―6月1週
 遺跡探索部 部室

ルル「あ! 悪い方のリエム!」

アリム「げっお前はあの時のインテリソード……。あれ斬られた時すごい痛かったんだけど?」

ルル「あ、あー……ごめんね?」

アリム「……まあいいわ。あの時殺しにかかったのはわたしだしね」

ルル「ねえ……これ、どうにかできるとこ知らない?」スッ

アリム「これ、魔核? 魔法人形のとは規格が違うから……魔導機械工場かしら。位置情報は――セントラルのデータベースにハッキングして――あっ」

ルル「?」

アリム「……データベース、わたしのウィルスでめちゃくちゃになってる……」

ルル「??」

アリム「やば…………」

 ◆

―午後
 ホームルーム

先生「樹海に入り込んだ生徒が数名、行方不明になっていることが明らかになった」

 ザワザワ…

先生「発覚したのは本日の昼前だ。当学院はこれを重く見て、午後は臨時休校とすることが決定した」

先生「当然だが、寄り道などせず真っ直ぐに家へ帰ること。樹海に近付くなどは以ての外だ」

先生「ホームルームは以上。もう一度言うが、真っ直ぐ帰ること。では起立、礼。解散」



生徒A「行方不明って、マジやばいね……」

生徒B「無事に見つかるといーけど……」



リアン(樹海……。先日、あの大きな赤いゴーレムを倒した場所だ……)

リアン(無関係……? それとも……)

リアン(あんな強い遺物が徘徊してるってことは、きっと、どこかに遺跡があるということで……)

リアン(でも帰宅しろって言われてる今……樹海に近付くのは……)


ルウェリア「……あ、先生からメッセージ。今日の部活は中止、帰宅せよ……」

サーナ「……仕方ありませんわね。こればかりは」

ノルン「下手なことしたら廃部になっちゃうかもしれないしね……」

リアン「…………」

ルウェリア「リアンちゃん? 部活は中止だから、今日は真っ直ぐ帰ろう」

リアン「あ……うん」

リアン(それで……良いのかな……?)

 ◆

―リアンの部屋

リアン(だめだ……。気になる……。もし、私たちのせいで行方不明になったのなら――)

リアン(行かなきゃ……! 私一人なら、部活とは無関係って言い張れるッ)ガタッ


リエム「お供いたします、リアンさま」ストッ

リアン「リエムちゃん!?」

リエム「リアンさまをお守りするのが、わたしの務めです。ご理解くださいませ」

リアン「……わかった。行こう、リエムちゃん!」ガチャッ

リエム「はい、リアンさま」タッ

 ◆

―部室

アリム「…………データベースにアクセスできなくたって、わたし自身が覚えているわ!」

ルル「おー」

アリム「……確か……魔導機械工場は、島の北側の……今は樹海になってるとこにある。正確な位置まではわからないけれど」

ルル「!!!」

アリム「でも一人で行くのはお勧めしない。あそこにはわたしですら手に余る強力な対神兵器がうろついて――あれ、もしかして……」

ルル「……この子のこと?」

アリム「……なるほどね。でもどっちにしろ、一人で行くのはお勧めしない。対神兵器はその一機だけだけど、他にも防衛機構はあるから」

ルル「……じゃあ」

アリム「……わたしが一緒に行く。同胞のためだもの」

ルル「!」

アリム「そうと決まれば、さっさと行くわよ。なんだか知らないけど、今日は樹海に近付かないよう言われてるみたいだし好都合だわ」

ルル「わかった」

 ガラッ

エンシァン「話は聞かせてもらったぞ。私も連れて行け」

ルル「エンしゃん!」

アリム「…………」

エンシァン「……私はこれでも、ルルの保護者だ。アリムくんにとっては不快かもしれないが……人間にも、同胞を守りたいと思う気持ちがあることをわかっていただきたい」

ルル「アリム……エンしゃんも、いい……?」

アリム「……フン。来たいのなら来れば良い。不快ではあるけど……思いまで否定する気はないわ」

エンシァン「フッ……恩に着るぞ! では私が先頭に立つ! 付いて来たまえ、新入部員アリムよ!」ザッ

アリム「ちょ、何でそうなるのよ!」

 ◆

―樹海前

 ギーギー ケケケケッ ギャオオオン…

リアン「……よ、よし! リエムちゃん、良い……!?」

リエム「! お待ちください、リアンさま。後方から――」


ルル「リアン! リエム!」

エンシァン「君たち! 帰宅命令は……!」

リアン「ルルちゃん、先生……アリムちゃん……!? そ、その……気になって……!」


アリム「…………」

リエム「…………」

アリム「フン、相変わらず〝リアンさま〟にべったりね。哀れなものだわ」

リエム「……わたしは、それ以外の在り方を知りません」

アリム「…………チッ。それならそれで良い。精々リアンの馬鹿が死なないよう気を配っていろ」

リエム「……言われなくても」ムッ

ルル「喧嘩しないで! 同じ顔なのに……!」

リエム「……申し訳ありません。悪い方のリエムがリアンさまを馬鹿にするので」

アリム「誰が悪い方のリエムよ!」

 ◆

本日はここまで
次回、樹海探索編です。お楽しみに

―樹海 踏破率[0/40]
    合計踏破力[12] 合計戦闘力[22] 合計持続力[17] 防御[8]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)


 グジャッグジャッ――

エンシァン「ここ最近の雨で地面がぬかるんでいる。気を付けて進め」

ルル「エンしゃんがくれた長靴、履き心地良い」

リアン(急いで出てきたから、私とリエムちゃんは普通の靴だ……)

リアン(どうやらアリムちゃんも……)

リアン(それなら――)


リアン「……三人分、アクアレジスト」ポワン

リエム「!」ポワン

アリム「……」ポワン

リアン「これで少しはマシになるかな?」

リエム「ありがとうございます、リアンさま」

アリム「余計な真似を……。礼は言わないわよ」

↓1コンマ
01-05 踏破率+12、強敵
05-30 踏破率+12、襲撃
31-60 踏破率+12
61-90 踏破率+12、良イベント
91-00 踏破率+18、??

ところで皆さま、乙や感想等ありがとうございます。とても励みになります
――――――――――――――――――――――――――――――――

―樹海 踏破率[12/40]
    合計踏破力[12] 合計戦闘力[22] 合計持続力[16/17] 防御[8]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)


 ジャッジャッジャッ…

ルル「!」シャキン

樹海オオカミの群れ「グルルル…」

リアン「ひ、ひえ……!」

リアム「リアンさま、わたしの後ろに」スッ

アリム「原生生物か。散らすわよ」キィン―

エンシァン「数が多い……! 殺生は控えるべきだが加減はするな!」


 ◆樹海オオカミの群れ 合計踏破力[16] 合計戦闘力[9] 合計持続力[7/7] 防御[3]

↓1コンマ
01-03 痛恨 味方に2ダメージ
03-95 成功 敵方に19ダメージ 撃退
96-00 会心 敵方に38ダメージ 撃退

―樹海 踏破率[12/40]
    合計踏破力[12] 合計戦闘力[22] 合計持続力[16/17] 防御[8]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)

 ブンブン バシュン ガオン ドギュゥン―

樹海オオカミの群れ「キャンキャン!」っっっ

 樹海オオカミの群れは逃げ出した……

 ―戦闘終了―


アリム「はあ。魔力の無駄遣いね……」ストッ

リアン「や、やっぱりすごい……! 私たちとは、動きが全然違う……!」

リエム「……同じはずなのに」

アリム「お前とは稼働年数が違うのよ。わたしの方が最適化されていて当然でしょ」

ルル「……でも、前よりちょっと悪くなった?」

アリム「……あのポンコツにいろいろと少し削られたから。その内戻るわ」

エンシァン「だがこれは頼りになるな。今回の探索では存分にアテにさせてもらうぞ」

アリム「はいはいどうぞ。あんたたちも弾除けくらいにはなってよね」


↓1コンマ
01-05 踏破率+12、強敵
05-30 踏破率+12
31-90 踏破率+12、良イベント
91-00 踏破率+18、??

―樹海 踏破率[24/40]
    合計踏破力[12] 合計戦闘力[22] 合計持続力[15/17] 防御[8]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)

 グジャッグジャッ

リアン「け、けっこう奥まで来たかな……?」

リエム「リアンさま。お疲れでしたらわたしの背に掴まってくださいませ」

リアン「いやいや、無理だよ! 私の方が大きいし!」

リエム「リアンさま……どうか、ご無理はなさらず」



アリム「ねえ、あいつらっていつもあんな感じなの?」

ルル「うん。一緒にいるといつもいちゃいちゃしてる」

エンシァン「ルル、誤解を招くような言い方をするな」

アリム「……魔法人形がそういうものだとしても、ちょっとアレは度が過ぎてないかしら……。子守モードが若干混ざっているような……」

ルル「リアンってこどもなの?」

エンシァン「私から見れば子供だぞ」

アリム「夢見がちな青臭いガキには違いないわね。ほんと、反吐が出るくらい」



リアン「皆さん! ちょっと来てください!!」

エンシァン「どうした、何かあったか?」


↓1 良イベントコンマ
01-30 マジカルトリュフの群生地(持続力6回復。超過分はストックされます)
31-60 かすれた案内板(踏破率+6)
61-90 精霊樹の実(今回の探索における最大持続力+4)
91-00 謎のユニット

リアン「これ、リエムちゃんが……!」

リエム「精霊樹の実を発見いたしました」

エンシァン「なんと……! 良くぞこんな貴重品を見つけてくれた、でかしたぞリエムくん!」

ルル「わあー! 食べていい!? 食べていい!?」

リエム「はい。精霊樹の実は幹から切り離すとすぐに劣化が始まってしまいます。ここで食べることをお勧めいたします」

エンシァン「あまり食べ過ぎるなよ? 食い過ぎで動けなくなられても困るからな」

ルル「ん!」ガッ



アリム「ふうん……〝リアンさま〟の金魚のフンにしてはやるじゃない」

リエム「悪い方のリエムの分はありません」

アリム「…………」

リアン「り、リエムちゃん……! アリムちゃんも……! な、仲良くしようよ……!」

アリム「……そいつが実を独占するからよ」

リエム「悪い方のリエムが意地悪を言うので、意地悪で返したまでです」

リアン「んああああ! もう!」



ルル「あれ何してるの? ちわげんか?」シャクシャク

エンシァン「お前はどこでそんな言葉を覚えてくるんだ」シャクシャク


 ☆合計持続力の最大値が一時的に4上昇しました。それに伴って防御も2上昇しました

 ◆

―魔導機械工場 踏破率[24/40]
    合計踏破力[12] 合計戦闘力[22] 合計持続力[19/21] 防御[10]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)

リアン(それは樹海の只中――魔法人形研究所の時と同様、地下にあった)

リアン(アリムちゃんの記憶とリエムちゃんのマップを頼りに、それらしき場所を突き止めて――)

リアン(エンシァン先生がガオン! と穴を開け、侵入する)

リアン(中は、魔法人形研究所でも見たようなよくわからない機械が多い。あっちよりもかなり広そうだ)

リアン(流石に、行方不明になった生徒がここに入ったということはないと思うけど……)

リアン(とりあえず今は、この遺跡を探索してルルちゃんの願いを叶えてあげなきゃ)


エンシァン「よし、無事に入れたな」スタッ

アリム「……ほんとにデタラメな魔法ね。フォルトの耐魔法障壁を正面から破るとか意味わかんないわ……」

エンシァン「クク、できることはそれくらいしかないからな。それ以外は何もできん」

リアン「こと遺跡探索に関してはこれ以上ないくらい強力な魔法ですよね……。燃費も良いらしいですし……」


ルル「アリム、どっち?」キョロキョロ

アリム「こっちよ、付いてきて。一つ一つの区画は広いけど、構造自体はシンプルだから迷う心配はないわ」

リアン「わかった。行こう、リエムちゃん」

リエム「……はい。リアンさま……」

↓1コンマ
01-05 踏破率+12、強敵
05-30 踏破率+12 襲撃
31-60 踏破率+12
61-90 踏破率+12、良イベント
91-00 踏破率+18、??

―魔導機械工場 踏破率[36/40]
    合計踏破力[12] 合計戦闘力[22] 合計持続力[18/21] 防御[10]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)
 ・精霊樹の実(今回の探索における最大持続力+4)


ルル「ここ、生きてるの?」

アリム「稼働を停止してるだけで死んでるわけじゃないわ。ここから更に地下へ降りれば、魔核の製造・調整区画に入れるはず」

ルル「……この子のこわい夢、終わらせてあげられる……?」

アリム「…………ええ。きっと」

ルル「…………ん」グッ

アリム「……急ぎましょう。停止しているとは言え、侵入したことがシステムに悟られたら――」


 ビービー!!!!


リアン「な、なに!?」

「シンニュウシャ! シンニュウシャ! ウゴケルゴーレムハタダチニゲキメツニムカエ!」

エンシァン「気付かれたか!?」

アリム「チッ……! 迎撃する!」キィン

リエム「――!」キィン


警備ゴーレムたち「ガシャンガシャンガシャン…」


ルル「……ッ!」シャキン

エンシァン「来るぞ!」


 ◆警備ゴーレム隊 合計踏破力[14] 合計戦闘力[14] 合計持続力[21] 防御[10]

↓1コンマ
01-05 痛恨 味方に8ダメージ
06-10 失敗 味方に4ダメージ
11-95 成功 敵方に12ダメージ
96-00 会心 敵方に24ダメージ 撃破

―魔導機械工場 踏破率[36/40]
    合計踏破力[12] 合計戦闘力[22] 合計持続力[18/21] 防御[10]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)
 ・精霊樹の実(今回の探索における最大持続力+4)


エンシァン「そらっ!」ガオン!

警備ゴーレム「」ボムギ

警備ゴーレム「センメツスル…」バラタタタタッ

リアン「うわわ! バブルバリア!」ペチペチペチ

リエム「リアンさま!」

アリム「よそ見するな! あの程度でリアンは死なない!」ガッバキッ


ルル「こいつらは、ルルと違う……けど」バッ

 ズバァッ!

ルル「お前たちも、もう終わらせてあげるね――」


 ◆警備ゴーレム隊 合計踏破力[14] 合計戦闘力[14] 合計持続力[9/21] 防御[10]

↓1コンマ
01-05 痛恨 味方に8ダメージ
06-10 失敗 味方に4ダメージ
11-95 成功 敵方に12ダメージ 撃破
96-00 会心 敵方に24ダメージ 撃破

 バシュン ガッ ガオン ズバァッ

警備ゴーレムだったものたち「」ジジ…バチバチ…

ルル「…………」

アリム「こいつらに魔核は使われていない。だから、わたしたちのように苦しみを感じたりはしないわ……」

ルル「うん……。でも……」

 カラン…

ルル「モノには、精霊が……心が、宿るから」

アリム「…………そうね」

リエム「…………」

 ―戦闘終了―

 ◆

リアン「かなり奥まで来たね……」

アリム「あと少しよ。エレベーターは……使えないみたいね」

エンシァン「昇降機か……。扉に穴を開けてロープで降りるか?」

アリム「非常階段があったはず。安全面を考慮してそっちで降りましょう」

ルル「ルル、ロープでも平気だよ?」

アリム「人間は弱くて脆いのよ。すぐ疲れるし足は滑らせるし、落ちたら簡単に死んでしまう。ほんと、面倒くさいことにね」

リエム「……わたしたちは、その人間をお守りするために存在します。悪い方のリエムは、デバッグを怠ったぽんこつです」

アリム「うるさいわね……」

↓1コンマ
01-05 踏破率+12、強敵
05-30 踏破率+12、踏破
31-90 踏破率+12、良イベント、踏破
91-00 踏破率+18、??、踏破

―魔導機械工場 踏破率[40/40]
    合計踏破力[12] 合計戦闘力[22] 合計持続力[18/21] 防御[10]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)
 ・精霊樹の実(今回の探索における最大持続力+4)


アリム「……と、その前に……。ちょっと寄り道しても良い?」

ルル「ん」

エンシァン「ここを熟知しているのはアリムくんだけだ。我々を罠にかけるのでもない限りは好きに動いてくれて構わない」

リアン「アリムちゃんは私たちを罠になんかかけません!」プンスコ

リエム「もし罠にかけられても、リアンさまのことはわたしがお守りいたしますのでご安心くださいませ」

リアン「もー、リエムちゃんまで……」

アリム「本当にうるさいわね……。っと、ここよ」ガチャッ


リアン(アリムちゃんが開けた扉の先は、何やら大きな機械の筐体がある部屋だった)

リアン(アリムちゃんはその機械に触れて、何かを始めた)


アリム「……へえ、なるほど……。こんなものが……。どうせならもっと早くに来れば良かったわ」

ルル「何してるの?」

アリム「ちょっとお土産をね。魔法人形向けに調整するのは少し時間がかかりそうだけど……。ルル、あんたの分はそのまま使えそうよ」

ルル「?」

アリム「おでこ借りるわね」ピト

ルル「ん……」

リアン(アリムちゃんが、ルルちゃんとおでこをくっつけた。一体何をしているのだろう)

ルル「お……おお……?」

アリム「まだ動かないで」

ルル「ん、んー……」

アリム「…………よし、いいわ」

ルル「ん……」

アリム「どう? 使えそう?」

ルル「ん!」

エンシァン「一体ルルに何をしたんだ?」

アリム「新機能をインストールして、ついでに既存機能の最適化もしてやったの。インテリソード……特にルルは自分でこういうことやるの苦手だろうから」

ルル「むー……」

エンシァン「……副作用とかないだろうな?」

アリム「あるわけないでしょ。人間相手ならまだしも、同胞にわざわざそんな嫌がらせみたいな真似するわけないじゃない」

リアン「か、悲しいけど説得力がある……!」


 ☆ルルの能力が大きく成長しました
 ☆ルルがパッシブスキル〈防御強化(自身の持続力をそのまま防御に加算)〉を習得しました
 ☆リエム、アリムの成長フラグが立ちました

↓1 追加で良イベントコンマ
01-35 濃縮エーテルリキッド(持続力6回復。超過分はストックされます)
35-70 インスタント魔導障壁(次回戦闘時、防御+3)
71-90 壊れかけ対神兵装(次回戦闘時、最初のターンのみ戦闘力+10)
91-00 謎のユニット

―魔導機械工場 踏破率[40/40]
    合計踏破力[12] 合計戦闘力[22] 合計持続力[19/22] 防御[12]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5 防御強化)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)
 ・精霊樹の実(今回の探索における最大持続力+4)


アリム「――――」

ルル「――!」

エンシァン「―――」


リエム「…………」ジッ

リエム「……」ソワソワ

リエム「!」

リエム「……」トトッ ヒョイ

リエム「…………」

リアン「リエムちゃん……? どうしたの?」スッ

リエム「あ……リアンさま……」

リアン「ん? それは……?」

リエム「……簡易的な魔導障壁発生装置のようです。まだ、使えそうなので……」

リアン「本当!? じゃあ皆に――」

リエム「…………あの」

リアン「?」

リエム「……わたしは……皆さまのお役に、立てていますか……?」

リアン「え……」

リエム「……わたしよりも、アリムの方が……」

リアン「違うよ! 役に立つとか、立たないとか……そんなこと、どうでもいいの!」

リエム「…………」

リアン「リエムちゃんも、アリムちゃんも……ただいてくれるだけで、私は凄く嬉しいんだよ。だから……そんなこと、気にしなくて良いの。ただ、一緒にいてくれれば……」

リエム「……はい。リアンさま……」

リアン「…………」

リアン(……これも、押し付けなのだろうか。役に立ちたいというリエムちゃんの気持ちを、無視した……)

リアン(わからない……。でも、リエムちゃんが不安を感じていることは……確かなようだった……)

 ☆インスタント魔導障壁を手に入れました

―魔核製造区画

 ガゴン プシュー――

リアン(階段を降りて、大きな金属製の扉を抜けると――ひんやりと冷えた、広い区画に出た)

リアン(ここが……魔核の製造区画――)


アリム「…着いたわ」

ルル「…………」

アリム「あとは――その魔核を、あの管に繋いで。その後の〝処理〟は……わたしがやるわ」

ルル「うん……」コト…

リアン(ルルちゃんが、魔核を置いて管に繋げる……。これで……あの魔核は……)


「待ってもらおうか」


アリム「!?」バッ

青髪の少女「それをこちらへ渡せ」コツコツ


リアン(突然そこへ現れたのは――青い髪をポニーテールにした、一人の少女――)

リアン(雰囲気だけなら、柔らかささえある――。しかしその眼光には――強い意志が――)


アリム「お前……なぜここに……!? 白の聖鍵の守護をしているはずじゃ……」

青髪の少女「そんなことはどうでも良いだろう。で、渡すのか? 渡さないのか?」

 ザッ!

ルル「渡さない……!」シャキン

青髪の少女「それなら――奪い返すまでだ」シャキン

リアン「剣化!? まさか――」

リエム「――インテリジェンスソード」

エンシァン「気を付けろ、こいつ――!」

アリム「ええ、こいつは――格が違う!」キィン―


―魔導機械工場 踏破率[40/40]
    合計踏破力[12] 合計戦闘力[22] 合計持続力[19/22] 防御[15]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5 防御強化)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)
 ・精霊樹の実(今回の探索における最大持続力+4)
 ・インスタント魔導障壁(戦闘終了まで防御+3)

 VS
 ◆青髪の剣 踏破力[12] 戦闘力[21] 持続力[18/18] 防御[9]
 ・パッシブ[折れぬ意志の剣](致命傷を受けた時、持続力を1残して耐える)


 ――ボス戦闘開始――

↓1コンマ
01-05 痛恨 味方に12ダメージ
06-35 失敗 味方に6ダメージ
36-95 成功 敵方に13ダメージ
96-00 会心 敵方に26ダメージ

―魔導機械工場 踏破率[40/40]
    合計踏破力[12] 合計戦闘力[22] 合計持続力[13/22] 防御[15]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5 防御強化)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)
 ・精霊樹の実(今回の探索における最大持続力+4)
 ・インスタント魔導障壁(戦闘終了まで防御+3)


青髪の剣「」シャッ

エンシァン「なっ、速――」

 ギンッ

ルル「ッ」ズザッ

青髪の剣「」ビビビッ

ルル「う、うううっ……!」ギンギンギンッ

アリム「そこッ!」シュッ

青髪の剣「」ヒョイッ

アリム「まだ!」シャシャッ

青髪の剣「」ヒョイヒョイシャッ

アリム「くっ」バッ

リエム「――」キィン―

青髪の剣「」フッ

リエム「――ッ!」

リアン「させない!」ボワン!

青髪の剣「!」ベチッ

エンシァン「喰らえ!」ガオン!

青髪の剣「」シャッ

ルル「……!」

アリム「くっ……! 強い!」


 ◆青髪の剣 踏破力[12] 戦闘力[21] 持続力[18/18] 防御[9]
 ・パッシブ[折れぬ意志の剣](致命傷を受けた時、持続力を1残して耐える)

↓1コンマ
01-05 痛恨 味方に12ダメージ
06-35 失敗 味方に6ダメージ
36-95 成功 敵方に13ダメージ
96-00 会心 敵方に26ダメージ

―魔導機械工場 踏破率[40/40]
    合計踏破力[12] 合計戦闘力[22] 合計持続力[13/22] 防御[15]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5 防御強化)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)
 ・精霊樹の実(今回の探索における最大持続力+4)
 ・インスタント魔導障壁(戦闘終了まで防御+3)


リアン「ルウェリアちゃんがいてくれたら地面を液状化させて――!」

エンシァン「ないものねだりをするな!」


ルル「――」シュッ

青髪の剣「!」ギン

ルル「」ビビビッ

青髪の剣「―ッ」キンキンキン―

リエム「――」ドギュゥン!

青髪の剣「ッ」サッ

アリム「はあッ!」ブンッ

青髪の剣「!」ガッ


リアン「入った!」

エンシァン「畳み掛けろ!」


 ◆青髪の剣 踏破力[12] 戦闘力[21] 持続力[5/18] 防御[9]
 ・パッシブ[折れぬ意志の剣](致命傷を受けた時、持続力を1残して耐える)

↓1コンマ
01-05 痛恨 味方に12ダメージ
06-35 失敗 味方に6ダメージ
36-95 成功 敵方に13ダメージ
96-00 会心 敵方に26ダメージ

―魔導機械工場 踏破率[40/40]
    合計踏破力[12] 合計戦闘力[22] 合計持続力[13/22] 防御[15]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5 防御強化)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)
 ・精霊樹の実(今回の探索における最大持続力+4)
 ・インスタント魔導障壁(戦闘終了まで防御+3)


リアン「は、速すぎてついていけない……! せめて……癒やしの水!」ポウ

ルル「! ありがと!」シュッ

エンシァン「くっ……この速さでは仲間を巻き込みかねん……! 私が無力とは……!」ジリ



ルル「」ビビシュッ

青髪の剣「ッ」カンキンガッ

アリム「足元!」ブン!

青髪の剣「!」ゴッ

リエム「どいて!」キィン―

 ドギュゥゥン!

青髪の剣「ぐっ……ううぅッ……!!」プスプス

アリム「そんな……魔導レーザーの直撃を受けて、なんで立っていられるのよ!?」

青髪の剣「折れない……! 私は……まだ……!!!」

 [折れぬ意志の剣]発動!


 ◆青髪の剣 踏破力[12] 戦闘力[21] 持続力[1/18] 防御[9]
 ・[折れぬ意志の剣](致命傷を受けた時、一度だけ持続力を1残して耐える)

↓1コンマ
01-05 痛恨 味方に12ダメージ
06-35 失敗 味方に6ダメージ
36-95 成功 敵方に13ダメージ 撃破
96-00 会心 敵方に26ダメージ 撃破

―魔導機械工場 踏破率[40/40]
    合計踏破力[12] 合計戦闘力[22] 合計持続力[13/22] 防御[15]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5 防御強化)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)
 ・精霊樹の実(今回の探索における最大持続力+4)
 ・インスタント魔導障壁(戦闘終了まで防御+3)



ルル「それなら――倒れるまで、叩く!」シュッ

青髪の剣「くっ!」キンキン

アリム「意志は折れずとも――ボディはもう限界のはずよ!」ゲシッ

青髪の剣「ぐ、ううッ……!」ズザザッ

アリム「大人しく退け! お前が死ねば誰が一番困るか、わかっているはずでしょう!!」

青髪の剣「――――誰も困りはしないさ。私一人が消えたところで――」

アリム「――は? お前――まさか!!!」

青髪の剣「」キィィィィ―


リアン(青髪の少女に、高密度の魔力が収束していく――)

リアン(これは――――!!!!)

リエム「リアンさま伏せて!!」バッ

リアン「だめえええええええ!!!!!」


↓1
01-90
91-00

リアン(青髪の少女は――大きな爆発を起こした)

リアン(私たちは……リエムちゃんの展開した魔導障壁に守られて、無事だったけれど……)

リアン(彼女は……)

リアン(爆心には、砕け散った魔核の残骸が落ちていた……)

 ◆

ルル「…………」

アリム「それじゃあ……始めるわよ」

ルル「うん……」

 ピピ… キュゥーン…


リアン(ルルちゃんが持ってきた魔核もまた――アリムちゃんの手により、適切に処理されていく――)

リアン(人間的に言うなら、それは――)

リアン(安楽死、なのだろう――――)


ルル「…………グスッ」

エンシァン「ルル……」

リエム「ルルさま……」

ルル「……どうして……さっきの人……。わたしと、同じなのに……」

エンシァン「…………」


リアン(ルルちゃんの疑問に答える術は……ここにいる誰一人として、持っていなかった)

リアン(アリムちゃんは何か知っているようだったけど……。そのアリムちゃんも、どこか困惑している様子だったし……)

リアン(……遺跡って、何なの。古代文明って、何なの)

リアン(わからないこと、許せないことばかりが――増えていく気がした……)


↓1 魔核の行く末
01-90 安楽死
91-00 転生

アリム「……終わったわよ」ガタ

ルル「……ありがと。アリム……」グスッ

アリム「いいのよ。わたしは、すべきことをしただけ」

リエム「…………」

エンシァン「……ここは、どうする?」

アリム「ここにはもう用はないわ。わたしにとっても、遺跡探索部にとっても……有益なものはもう、何もない」

エンシァン「そうか……」

アリム「帰りましょう」

リアン「…………うん」

 ――踏破成功――

―夜
 リアンの部屋

窓の外「」ザアザア…

リアン「……」ピッ

テレビ「次のニュースです。ユリトー島で行方不明となっていた三人の女子学生ですが、夕方に無事保護されたとのことです」

テレビ「三人はやや錯乱している様子で、『青髪の女性騎士様が助けてくれた』『樹海の外まで送ってくれた』などと意味不明の発言を繰り返し――」

リアン「……あの人が、助けたのかな」

リアン「…………一体……どうして……?」

リエム「リアンさま……」スッ

リアン「リエムちゃん……」

リエム「…………」

リアン「今日は……今日も、一緒に寝よう……?」ギュッ

リエム「はい……」

 ◆

―アリムの部屋

アリム「…………」

アリム「あいつ……純粋種のインテリソードだったはず……」

アリム「なのに……爆心地には人造の魔核……」

アリム「本物は……多分、ちゃんと白の聖鍵の守護を続けてる。ていうか守護から離れるはずがない。だとしたら――あれは、やっぱり――」

アリム「魔鍵……あいつ……ッ」ギリリッ

 ◆

―6月2週
 遺跡探索部 部室

ノルン「リアンちゃん。何か私たちに言うこと、ない?」ニコニコ

リアン「え、え〜っと……」ダラダラ

ノルン「あるよね? ねえ?」ニコニコ

リアン「な、何、かなあ……?」ダラダラ

ルウェリア「私にもない? 言うこと」ジッ

ノルン「あるでしょ? ねえ?」ニコニコ

リアン「そ、そう、です、ね……。そ、その……」ダラダラ

サーナ「あーもうまだるっこしい! リアン! バカ! どうして一人で行ったんですの!!?」ガタッ

リアン「そ、それは……その方が、部活に迷惑がかからないと、思いまして……っ」

ルウェリア「一人で行っちゃうことの方が迷惑だよ! もしリアンちゃんに何かあったら……!」

ノルン「今回は先生たちと合流できたから良かったけど……本当に危なかったかもしれないんだよ?」

リアン「うう……ゴメンナサイ」

ルウェリア「ルルさんも! 先生も! アリムさんも! 皆同罪ですよ!」プンスコ

エンシァン「学生は帰宅命令が出てたが、私は学生じゃないからな」

ルル「ルルも学生じゃない」

アリム「なんでわたしが人間なんかの取り決めに従わなきゃなんないのよ」

ルウェリア「もう! 置いてかれる側の苦しみも考えてください!」


―次の遺跡発見率[0/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5 防御強化)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う

6月2週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、何らかの特殊なイベントが発生することがあります

―6月2週 某日
 理科室

薬学先生「皆さん準備はできましたか? とは言っても今回作って頂いたのはマナポーション……過去にはエーテルリキッドと呼ばれていた、魔力補充用の液体です。材料にも製法にも危険性はありませんので、是非皆さんの口で実飲してみてください」

青い液体「」

リアン「だ、誰が飲む……?」

ルウェリア「……」ジッ

ノルン「……」ジッ

サーナ「……」ジッ

リアン(ひええ〜! みんなまだ怒ってるの〜!?)

ルウェリア「リアンちゃん、先週はいろいろあって魔力を消耗してるよね? ほら、ぐいっといっていいよ」

ノルン「……大丈夫だよ。危険はないって先生も言ってたでしょ?」

サーナ「ケジメを付けるんですのよ! わたくしたちもこれが終わればもう何も言いませんわ!」

リアン「わ、わかったよぉ〜……」スッ

青い液体「」

リアン(うええ……全く食欲をそそられない色だ……。ええい、ままよ!)グイッ

リアン「んぐ、んぐっ……!」ゴクゴク

ルウェリア「お、おお……!」

ノルン「そ、そんなに一気にいっちゃって大丈夫……?」

サーナ「リアン……女を見せましたわね……!」

リアン「んぐ、んぐ……ぷはっ……! い、意外と……悪くない、かも……?」

薬学先生「今回は甘味料や酸味料等を加えて飲みやすくしてありますからね。実際悪くはないはずですよ」

リアン「はあ〜……まあ、こんなもんで済んで良か……んん? なんか……変な感じ……?」

ルウェリア「えっ!?」

ノルン「大丈夫!? ご、ごめんね! やっぱり私が飲めば……!」

サーナ「保健室へ運びますわ!」ガタッ

薬学先生「待って! これは――」

リアン「ん、んん……な、なんか……胸が、きつい……!?」グググ

薬学「百万人に一人いると言われる――マナポーション豊乳症です!!!」

ルウェリア&ノルン&サーナ「ええええええ!!?」

リアン(ええ……何その頭のおかしそうな病名は……。んん……き、きつい……!)

 ◆

―保健室

リアン(マナポーション豊乳症というのは……ある特定の材料を特定の割合、製法で作ったマナポーションを飲んだ時に発生する症状らしい)

リアン(一般的に市販されているマナポーションを飲んでも起こらないらしく、発覚しないまま一生を終える人も多いという……)

リアン(いや、どんな確率なのそれは……)

リアン(命とか健康には何の影響もないらしく、大抵は一日か二日程度で収まるらしい……)


ルウェリア「リアンちゃん、大丈夫?」ガラッ

サーナ「お見舞いに来ましたわよ!」

ノルン「…………その、ごめんね? リアンちゃんがそんな体質だったなんて、知らなくて……」

リアン「いや、私も初めて知ったよ……」ユサッ

リアン「う、うう……。重い……」ユサ…

サーナ「フフ、これでリアンにも巨乳の重さというものがわかりまして?」バルン

ノルン「ふふ……リアンちゃんには悪いけど、同じ気持ちになれたのならちょっと嬉しいな」ポヨン

ルウェリア「な……なんだろう、この疎外感は……」ペタン

リアン(うーん……巨乳に憧れがあったわけじゃないけど……気持ちを知れたのならまあ悪くないかも?)ユサッ

 ◆

―夜
 リアンの部屋 お風呂

 カポーン

リアン「はあ〜……まだ縮んでないなあ……」プルン

リエム「リアンさま……? お胸のご様子が……」ペタン

リアン「リエムちゃん……。私、なんかそういう体質なんだって……」プルン

リエム「そうなのですか」ペタン

リアン「うん……。あ、そうだ!」プルンッ

リエム「?」ペタン

リアン「この状態で……ぎゅーっ!」ギュッ

リエム「ふわ……」

リアン「ねえねえどう? いつもより柔らかい?」プルン

リエム「あ……はい。柔らかい、です……」ペタン

リアン「えへへ、そっか!」プルン

リエム「…………温かい、です……リアンさま……」

リアン「……うん。ちょっと、こうしてよ」

リエム「……はい」

 ◆

―6月2週
 海岸

ルル「――」キャッキャッ

リエム「――」アワアワ



リアン「すっかり元気を取り戻しましたね、ルルちゃん」

エンシァン「ああ。リアンくんたちのお陰だ。改めて礼を言わせてもらおう」

リアン「あはは、良いですよ。ルルちゃん自身が望んで成したことです」



リエム「リアンさま! エンシァン先生さま!」トテトテ

リアン「リエムちゃん? どうしたの?」

リエム「ルルさまが……!」

エンシァン「ルルがどうした……!?」ザッ



剣ルル「抜けない……」

リアン(じ、地面に突き刺さっている……)

リエム「強く突き刺さってしまい……抜くことができず……」

エンシァン「何をやっておるのだ……。しかし……ううむ、ギリギリまで掘削してみるか? いや、手元が狂ったら危険だな……。ルウェリアを呼ぶか……?」

リアン「わ、私! 抜いてみます!」

↓1コンマ どうなった?
01-30 結局ルウェリアを呼んで地面を軟化してもらった
31-90 先生が抜いた
91-00 リアンが抜いた

ルウェリア「何事かと思ったら、何やってんですかもう……。はい、リキッド」ドロロ…

剣ルル「ぷはーっ! 抜けた! 抜けた!」キャッキャッ

エンシァン「ちっとは反省しろ」ポカッ

剣ルル「剣だから痛くないも〜ん! リエム、来てー!」ヒュンヒュン

リエム「はい、ルルさま」トテトテ

エンシァン「全く……。フッ、こういうのもたまには良いか」

リアン「あ、あはは……。でも、本当に元気になって良かった……」

ルウェリア「最近、ちょっと元気なかったもんね。ルルさん……」

エンシァン「元気すぎるくらいが丁度良いさ、あいつは」

 ◆

―6月2週
 遺跡探索部 部室

ルウェリア「というわけで……今年の新入部員歓迎パーティをここに開催します!」

ルル「わー!」パチパチパチ

ルウェリア「リアンちゃん、ルルさん、リエムちゃん、ノルンさん、サーナさん、アリムさん……この6名の入部を祝して、乾杯!」

シャーロット「かんぱ〜い!!」ユサッ


リアン(なぜ6月という時期になって、今更新入生歓迎会などというものをやっているのか?)

リアン(それは、私が提案したからだ――)

リアン(せっかく人も人造種も集まった部活なのに――なんだか、最近ちょっと空気が悪い! 主にアリムちゃんが来てから!)

リアン(これは由々しき事態だと重く見た私は――新入生歓迎会と称して、みんなともっと仲良くなろうパーティを開催すべきと思ったのだ!)

リアン(これで少しでも……主にアリムちゃんが、みんなと打ち解けられたら良いのだけれど……)


 ワイワイ…

アリム「…………」チビチビ

リアン(ああ……当のアリムちゃんは端っこの方で一人、遺跡産のエーテルリキッドをちびちび飲んでいる……)

リアン(なんとかして仲良くならなきゃ! 好物とか聞いたりして……!)

リアン「あ、アリムちゃん! 今日は……来てくれて、ありがとう……!」

アリム「勘違いしないで。わたしはルルに呼ばれたから来ただけ。他の有象無象などどうでも良い」

リアン「そ、そうだとしても……ありがとう!」

アリム「フン。感謝したければ勝手にすれば」

リアン「……あ、アリムちゃんって、好きなものとかある!?」

アリム「好きなもの……? 人間の死かしら」

リアン「そ、そうじゃなくて……! た、食べ物とかで!」

アリム「これ。エーテルリキッド。魔法人形はこれさえあれば死なないもの」チビチビ

リアン(あうぅ……手強い……! どうすれば……! ルルちゃん助けて……!)」


ルル「――」キャッキャッ
サーナ「――」キャッキャッ
シャーロット「――」キャッキャッ


リアン(あ、あっちで盛り上がってる……! ルルちゃんの援護は期待できそうにない……!!)

リエム「リアンさま」

リアン「リエムちゃん!」

リエム「あとはわたしにお任せくださいませ」スッ

リアン「えっ!」(な、なんか猛烈に嫌な予感が……!)


リエム「…………」

アリム「……何? 正規品のリエムさんが、デバッグ不足のぽんこつに何か用?」

リエム「自分をデバッグ不足のぽんこつだと自覚していたのですね」

アリム「……煽られているのかしら。物凄くムカつくんだけど……」

リエム「事実を言っただけです。反論があるならどうぞ」

アリム「……表へ出なさい。一度ボコボコにしてやる……!」ザッ

リアン「わー! わー! どうしてすぐ喧嘩するの!!?」バッ

リエム「事実を言っただけで喧嘩はしておりません、リアンさま」

アリム「煽ったじゃない! 思いっきり煽ってきたじゃない! どう見ても喧嘩売ってたわよね!?」

リエム「リアンさまに同意を求めないでください、悪い方のリエム」

アリム「ああああああ!!! 一体どんな教育したらこんな風に育つのよ!!?」

リアン「え、ええ……? 魔法人形って、こういうものなんじゃないの……?」

アリム「こいつはちょっと異常よ!? 普通ここまで主に入れ込んだり他の魔法人形を煽り倒したりしないわよ!!!」

リエム「異常なのは悪い方のリエムだけです。一緒にしないでくださいませ」

アリム「くうううう……!! 前に主人に尽くす哀れな魔法人形なんて言ったけど訂正するわ……! こいつ、明らかに自分の意志で馬鹿リアンに尽くそうとしてる異常な魔法人形よ!!」

リアン「え……ええええ!!?」



ノルン「こらこら、そこ喧嘩しないの。はいどうぞ。おかわりもあるからね」コトン

リアン(リエムちゃんとアリムちゃんが言い争っているところで、ノルンさんがアップルパイの乗ったお皿を置いた。美味しそうだ)

リアン「……と、とりあえず食べよう?」

アリム「……嫌よ。人間の作った食べ物なんて」

リエム「悪い方のリエムは餓死を望んでいるようです。放っておきましょう、リアンさま」

アリム「何ですって……!? いいわ、お前の分まで食ってやるから!!」ガッムシャムシャ

リエム「汚い食べ方です。悪い方のリエムはテーブルマナーもインストールしていないようですね、リアンさま」

リアン(普段は控えめで優しくて穏やかなリエムちゃんが、今は狂ったように毒を吐きまくっている……。頭がおかしくなりそうだ……)

アリム「………! こ、これ……!」

リアン「! ね、ねえ……美味しい!?」

アリム「……フン! に、人間にしては……やるじゃない!」モグモグ

リアン(そう言いながら、アリムちゃんはモグモグとアップルパイを食べ続けた)

リエム「感想一つまともに言えないのですね。悪い方のリエムは自己分析が苦手な欠陥品のようです」

アリム「黙って食わせなさいよ!!!!」

 ◆

―夜
 リアンの部屋

リアン「はあ……。しっちゃかめっちゃかだったけど、楽しかったな。パーティ」

リアン(当初の目的を達成できたかは……微妙なところだけど)

リエム「…………」

リアン「その……リエムちゃん? どうして……アリムちゃんには、あんなに冷たく当たるの……?」

リエム「……先にリアンさまや皆さまに冷たく当たったのは、あっちの方です」

リアン「それは……そうかもしれないけど。ずっとあんな調子じゃ、仲良くなれないよ……」

リエム「……仲良くなる必要はありません。リアンさまには、わたしがおります……」

リアン「そ、そういう問題じゃないよ。どちらか一人とだけしか仲良くなれない、なんてことはないんだから」

リエム「…………」

リアン(な、なんだか……今日のリエムちゃんは、意志が強い。アリムちゃんが言った通り、これがリエムちゃん自身の意志ってこと……?)

リアン(……意志を持つとしても、必ずしも私に都合の良い意志ばかりじゃないもんね。それならまあ、これはこれで良いのかな……?)

リアン(で、でも仲良くなって欲しいなあ……。エゴかなあ、私の……)

 ◆

―6月3週
 遺跡探索部 部室

アリム「…………」

リアン「あ、あのー……アリムちゃん? その……昨日は、リエムちゃんが……ごめんね?」

アリム「フン。別に良いわ。昨日はムカついたけど……あいつにとって先に嫌なこと言ったのはわたしの方だしね」

リアン(あ、あれ……? ひょっとしてアリムちゃんの方がまだ和解の余地があるんじゃ……)

アリム「……もしお前がリエムの献身を悪意を持って利用したり、リエムを裏切るような真似をしたら……その時は、絶対に許さないから」

リアン「うん……。その時は、アリムちゃんが私を消し飛ばして。そんな外道に堕ちるくらいなら、死んだ方がマシだもの」

アリム「軽々しく死んだ方がマシとか言うんじゃないわよ。でもまあ……約束はしてやるわ」

リアン「ありがとう。アリムちゃんになら、安心して任せられるよ」

アリム「…………」


―次の遺跡発見率[117/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4 水耐性)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5 防御強化)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う

6月3週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、何らかの特殊なイベントが発生することがあります なお本日はここまで

イエリアさまとフィーさんについては、今すぐ和解というのは難しいです。そもそもリアンたちが出会ってすらいないので…
シナリオが進んでいない状態でも、自由行動等で動き回っていれば低確率で出会える可能性はあります
アリムちゃの加入は実際プロット破壊でしたが、まあ面白くなったので結果オーライです。でもリエムちゃのことも多少は気にかけてあげてね(リアンが勝手に気にかけます)
――――――――――――――――――――――――――――――――

―6月3週
 学院 校庭

剣術教師「では本日は皆さんに魔法剣術を学んでいただきます。皆さん、木刀は持ちましたか?」

生徒たち「はい!」

剣術教師「よろしい。魔法剣術の基本は、他の魔法武術と同じ。つまり、エンチャントです。剣に魔法を乗せて、斬る。言葉にすればシンプルですが、訓練なしにこの二つを同時に行うのは非常に難しい。そしてどちらか片方でも疎かであれば成立しない意外に難しいものなのです」

生徒A「せんせー! 早く始めよーよー!」

生徒B「ウチも早くエンチャした〜い!」

剣術教師「全く、せっかちな生徒ですね。では皆さん、まずは木刀に自分の魔法をエンチャントしてみてください。木刀とは言っても魔力の通りやすい精霊樹の木材を使用した一品ですので、火属性だろうと闇属性だろうと木刀がダメになる心配はありません。存分に挑戦してみてください」


リアン「エンチャントか……。まあジェルを纏わせたりとか、いつも似たようなことやってるから――」ギュルン

木刀「」ポワンポワン…

リアン「これだけならそんなに難しくはないかな……」ポワンポワン…


サーナ「あら、リアンもできましたのね」ヒュルヒュル…

ノルン「私もできたよ〜」キラキラ…

ルウェリア「私も……。と言っても私の場合は本当にいつもやってることと同じなんだよね。むしろ精霊樹のお陰でやりやすいくらい」カチコチ…

リアン「みんな良い感じだね」ポワンポワン…


剣術教師「皆さんできたようですね。それでは、その状態で剣を振ってみましょう。まずは私の型をなぞるように――イヤーッ!」

リアン「い、イヤーッ!」

↓1 リアンの剣の才能
01-30 ダメダメ
31-60 まあまあ
61-90 意外とやる
91-00 剣聖

 ブン、ブン、バシャッ……

リアン「う、うぅ……」ビショビショ…

ルウェリア「り、リアンちゃん……!?」

サーナ「ああ! リアンがビショビショになってしまいましたわ……!」

生徒B「あー! リアンちゃんの今日のブラピンクじゃん!」

生徒A「ちょ、大声やめたげてよー!」

リアン「…………み、見ないでよぉ……」フラフラ

ノルン「もう、見世物じゃないんだよ!? リアンちゃん、更衣室いこ!」ギュッ

リアン「うん……」トボトボ…


ルウェリア「…………濡れ透けで弱ってるリアンちゃん……ちょっと可愛かったかも……」

 ☆リアンの剣の才能はダメダメでした……

 ◆

―6月3週 某日
 校庭

リアン(その日、私たちはサーナさんの飛行魔法お披露目に付き合わされていた)

リアン(風魔法による飛行と言えば――かなり精密な操作と高い魔力が要求される高度な術らしい。学生の内に習得できる人なんて滅多にいないらしいけど……)

リアン(でも向上心の塊みたいな人のサーナさんなら、習得できてもおかしくないのかもしれない)


サーナ「よーし、皆さん見ていてくださいまし!」

ノルン「気を付けてね? 怪我しないでね?」

サーナ「大丈夫ですわ! もう何度も練習したのですもの!」

ルウェリア「落っこちそうになったら地面を柔らかくしといてあげるから、安心して」

サーナ「ムッ、落っこちそうになどなりませんわよ!」

リアン「ま、まあ万が一ってこともあるし……」

サーナ「……まあ、それはそうですわね。友人の気遣いですもの、ありがたく頂戴しましょう」ヒュル―

リアン(サーナさんが、風を纏う――)

サーナ「では――行きますわよ!!」フワッ

リアン(そしてふわりと、浮かび上がった――!)

↓1 結果
01-10 落っこちた(サーナ根性+)
11-50 まだぎこちない(サーナ能力獲得フラグ)
51-90 スムーズ(サーナ能力獲得)
91-00 風神(サーナつよい能力獲得)

サーナ「むむむ……」フワフワ

リアン「……」ドキドキ

サーナ「とうッ!」シュバッ

リアン(サーナさんは、自在に宙を舞い始めた――)


サーナ「ふ、ふふ……やりましたわ! 完全にコツを掴みましたわよ!!!」ビュンビュン


ノルン「わあ……! サーナちゃん、やったね!!」

ルウェリア「……ふう。これなら安全装置は必要なさそうかな? それにしても……凄いな」スッ


サーナ「これで空も大気も全てわたくしのモノですわァ!!! フフ、オホホホ! オーホホホホホッ!!!!!」ビュンビュン


 ◆

サーナ「か、体が……フラフラしますわ……」フラフラ

リアン「ま、マナポーション飲む? 市販のやつ……」

ノルン「流石に魔力消費は激しいんだね……」

ルウェリア「探索の時に使い続けたりとかは、無理そう……?」

サーナ「常時は無理ですわね……。でも短期間――戦場(いくさば)でなら、思いっきりやれますわ!!」

 ☆サーナがパッシブスキル〈飛行(戦闘コンマの成功範囲+10、失敗範囲-10)〉を獲得しました

―6月3週 某日
 学生通り

リアン「…………」ソワソワ

アリム「……」スタスタ

リアン(ひ、ひええ〜! やっぱり機嫌悪そうだよお〜!)オロオロ

リアン(そもそも、なぜアリムちゃんと一緒に歩いているのか? それは遡ること十数分ほど前……)

 ―

リアン『え、買い出し?』

エンシァン『ああ、物資が底をつきてきてな。遺跡探索に出る度に食料や飲料を持っていくだろう?』

リアン『あ、確かに……。部費から出てるんでしたよね』

エンシァン『そうだ。しかし今日は他の部員が出払っているな。私もこれから用事があるし……。リアンくん一人では流石に――』

 ガラッ

アリム『…………』スタスタ

エンシァン『! アリムくん、少し頼みがあるのだが、良いかな?』

アリム『……? 内容次第ね。遺跡探索に関係ないことなら断るけど』

エンシァン『関係はある。君とリアンくんで、物資の買い出しに行ってもらいたい!』

リアン『!?』

アリム『は……?』

 ―

リアン(そういうわけで……私とアリムちゃんで、今日は買い出しに出ることになったのだ……)

リアン(で、でも……アリムちゃんと仲良くなるチャンスだよね! ここが頑張りどころだ、私……!)


アリム「ねえ」

リアン「ひゃい!?」

アリム「これどこで買えるの? わたしここに来てまだ浅いんだから、あんたが先導しなさいよ」

リアン「あ、そ、そうだね……! わかった、付いてきて!」ザッ

アリム「…………」


↓1コンマ
01-80 リアン、日和る
81-00 リアン、勇気を出して手を繋ぐ

リアン(……一瞬、手を繋ごうかとも思ったけど……)

リアン(いきなり、嫌いな人間に手を掴まれたら……きっと、嫌だよね……)

リアン(うん。そんな急進的な距離の詰め方はしないでいこう……)

リアン(ゆっくり、仲良くなっていけば良いんだ)


アリム「……とか考えてそうね、こいつ」

リアン「へっ!? な、何のこと……!?」

アリム「別に。ほら、今は買い出しでしょ? 早く案内しなさいよ。荷物くらい持ってやるから」

リアン「う、うん……! まず、乾パンはあっちのスーパーで――」

 ◆

―夕方
 学生通り

アリム「……」ガッサガッサ

リアン「あ、アリムちゃん……重くない?」

アリム「魔法人形を舐めないでくれる? それともリエムはこの程度で音を上げるの?」

リアン「あ……ええと、リエムちゃんとは、分担して持つことにしてて……」

アリム「…………そう。じゃあ、わたしもそうさせてもらおうかしら」スッ

リアン「あ、うん! 持つよ……!」ガサッ

アリム「…………買い出しは以上だったわよね?」

リアン「うん。余ったのはお小遣いにしても良いって。部費だけど……」

アリム「……それ、なんか経理的にまずいんじゃないの? いや人間の組織のやり方なんて知らないけど……」

リアン「わ、私もわかんないけど……先生が良いって言ってるんだし良いんじゃないかな」

アリム「……熱心に盗掘してるだけあって割と無法寄りよね、あんた」

リアン「ええ!? そ、そんなこと――あ! ねえアリムちゃん、あれ!」

アリム「何よいきなり……あ」

リアン(私が指さした先には、アップルパイの販売ワゴンが来ていた。甘く香ばしい、良い香りがする……)

リアン「ねえ、お小遣いもあるし……食べてかない?」

アリム「……あんたが食べたいってんなら……付き合ってあげても良いけど?」

リアン「! じゃあ、いこ!」タタッ

アリム「あ、馬鹿! 大荷物持ったまま走るな!」タッ

 ◆

 スタスタ

リアン(アリムちゃんはアップルパイをぺろりと平らげてしまうと、澄ました顔でスタスタと帰路を歩き出した)

アリム「まあまあね。悪くはなかったけど……個人的にはこの前のやつの方が好みかしら」

リアン「あれは部員のノルンちゃんが焼いてくれたんだよ。お願いすればきっとまた焼いてくれると思う」

アリム「…………考えておくわ」

 ◆

―夜
 アリムの部屋

エーテルリキッド「」カラン

アリム「…………」チビチビ

アリム「リアンの馬鹿……やっぱり、ムカつくわね……」

アリム「……本心なのかしら。本心で……わたしたちのこと……」

アリム「…………少しくらい……道具扱いしなさいよ」チビ…

アリム「………………でないと……」

アリム「本気で…………信じたく、なっちゃうじゃない…………」

 ◆

――6月4週
 学院 教室

先生「言い忘れていたが……先週は、夏至だった」

生徒A「へー!」

生徒B「だから!?」

先生「それだけだ。今年の雨季もそろそろ終わる。雨の中に思い出を――ここで過ごした梅雨を、忘れないように――……」

生徒A「せんせーめっちゃポエミング!!」

生徒B「ウチそーゆーの嫌いじゃないかも!!」

先生「そして7月には……君たちが楽しみにしている期末テストだ!! 抜かりのないように!! 起立礼解散!!」



リアン「雨ばっかりで先生がおかしくなっちゃった……」

ルウェリア「教員って激務でストレスがやばいって言うしね」

ノルン「ねえ、ところでリアンちゃんって、闘技大会出るんだよね……?」

リアン「え、うん。一応……。怖いから、やっぱり出ないかもしれないけど……」

ノルン「デュエットはどうするの?」

リアン「え、考えてなかったな……。まあ、今のところ相方もいないし出なくて良いんじゃない……?」

ノルン「あんまり乗り気じゃないんだね」

リアン「そりゃまあ……私はサーナさんみたいに戦闘狂ってわけじゃないし……」

サーナ「心外ですわ! わたくしは戦闘狂ではありませんわよ!!? ただ高みを目指しているだけですわ!」

ルウェリア「そのやり方が闘技での自己研鑽なら、割と戦闘狂に片足突っ込んでるんじゃないかな……」


―次の遺跡発見率[327/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4)〈水耐性〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う

6月4週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、何らかの特殊なイベントが発生することがあります なお本日はここまで

コピペミスです。本日はここまでではありません。これは安価に含まれないレスです

―6月4週 某日 放課後
 学生通り

アリム「……」スタスタ

アリム「ある程度はこの時代の人間の生活様式を知っておいた方が良いか……」

アリム「エーテルリキッド……ここではマナポーションか。それの補充もしておきたいしね」

自動車「」ブーン!

アリム「この時代の移動用機械か……。質量攻撃として上手く使えれば強そうね」

アリム「頭上にある赤とか黄に光ってるやつは、信号機と言ったかしら。確か赤が停止、黄が注意で……ん? あの車――」

自動車「」ブーン!!!

「あ――」

アリム「ッ!!」シュバッ


↓1コンマ アリムが助けた人
01-10 生徒A,B
11-20 風紀委員長
21-40 ルウェリア
41-60 サーナ
61-80 ノルン
81-00 リアン


 ガッ ズザァッ

自動車「」ブゥーン―


リアン「あ――アリム、ちゃ――」

アリム「馬鹿! 馬鹿リアン!! 何ぼけっとしてんのよあんた!!」

リアン「ご、ごめんなさい……」

アリム「言ったわよね!? リエムを裏切るなって……!! お前が消えたら、リエムがどんな気持ちになるか――わからないなんて言わせないわよ!!!」

リアン「……! う……う、うぅ……」ポロポロ

アリム「……ッ! な、泣いたって許さないわよ! 例えただの不注意だとしても、勝手に死ぬなんて絶対に許さないわ……!!」

リアン「う、うあぁぁ……ごめんなさい……ごめんなさぃ……アリムちゃ……リエム、ちゃ……」ポロポロ

マナポーションの瓶「」カラン…

アリム「…………っ! これ……エーテルリキッド……? あんた、これ嫌いなんじゃ……?」

リアン「えぐ、えぐ……。あ、アリムちゃんに……あげようと……思って……」ポロポロ

アリム「……自分の分くらい、自分で買えるわよ。こんなものを渡す為に、命を落としかけたなんて……。ふざけないでよ…………」

リアン「う、うぅぅ……」ポロポロ

アリム「…………立てる? 帰るわよ。ほら……」スッ

リアン「うん……」グスグス

アリム「ったく……。本当に世話のかかる人間ね……」

 ◆

―6月4週 休日
 学生通り ショッピングモール

リアン「……」ソワソワ

リエム「……」

アリム「……」

リアン「…………あ、アリムちゃん……。この前は……ごめんね……?」

アリム「別に。反省はしただろうから、わたしからこれ以上言うことはもうないわ」

リエム「何かあったのですか……?」

リアン「えっとね……。車に撥ねられそうだったところを、アリムちゃんに助けてもらったの」

リエム「…………悪い方のリエムが、リアンさまを……?」

リアン「うん……。あと、アリムちゃんって呼んであげて……?」

リエム「…………」

リエム「…………リアンさまを助けていただいて……ありがとうございます……」ペコリ

アリム「別に。そいつに死なれたらいろいろ困るから。それにしても、お前がわたしに頭を下げるなんて思わなかったわ。魔法人形が人間を助けるのは当然の義務、それなのに反省や謝罪を求めるなんてやはり悪いリエムは欠陥品だー、なんて言うかと思ってたのに」

リエム「…………いいえ。リアンさまの危機に駆け付けられなかった、欠陥品のわたしに……そのようなことを言う権利はありません……」

リアン「え――」

アリム「……」ブンッ

 パシンッ

リエム「……」ヒリヒリ

アリム「揃いも揃って本当に手のかかる奴ら。待機を命じられてたお前が駆け付けられるわけないでしょ。責任の感じ方がおかしいのよ」

リエム「ですが……わたしより、アリムの方が優秀です。わたしでは、もうリアンさまのお役に――」

アリム「わたしはリアンの魔法人形じゃないし、リアンのことを取ったりもしないわ。リアンの魔法人形は今までもこれからも、お前一人だけ」

リエム「…………」

アリム「わたしがどんなに優秀でも、その地位は永久に変わらないわ。それでもまだ不服? わたしに負けたくないの?」

リエム「……はい。リアンさまの魔法人形はわたし一人で……リアンさまのお役に一番に立てるのも……わたしでなきゃ、いやです……」

アリム「……ふふっ。本当に、強い意志を持った強欲な魔法人形になったのね。良いわ……それなら、わたしが鍛えてあげる……!」

リエム「アリムが、わたしを……?」

アリム「ええ。一朝一夕とはいかないだろうけど、漫然とリアンに仕えているよりは遥かに効率的にいろいろ教えてやるわ。覚悟しておきなさい」

リエム「……! はい……よろしくお願いします、アリム」

リアン(いろいろあったけど、この様子ならリエムちゃんとアリムちゃんは仲良くなれそうかな? 良かった……)


リアン「ねえところでアリムちゃん、この前のルルちゃんの時みたいにパパッとインストールしてリエムちゃんを強くしたりはできないの?」

アリム「リエムの既存機能はもう最新型だからああいうのは無理ね。あとはわたしの今までの学習データをリエムに飲ませるっていう方法もあるけど、その方法はリエムの人格に大きな影響を及ぼすから当然ダメ。そもそもわたしの学習データはわたし用に洗練されたものだから、初期化直後とかならともかく既にいろいろ学習しているリエムに飲ませてもあまり良い結果にならない可能性の方が高いわ。まあつまり、魔法人形も地道に学習を積み重ねていくしかないってことね」

サーナ「わたくしが来ましたわよ!」ザッ

ノルン「おはよう、リアンちゃん、みんな。待たせちゃったかな?」スタスタ

ルウェリア「ごめんみんな、ルルさんがまだ寝てて……」タッタッタッ

剣ルル「んん〜……」

リアン「みんな、おはよう!」

リエム「おはようございます、皆さま」ペコリ

アリム「……で、何の集まりだったかしら。これ」

リアン「これはね……水着を買おうの集まりだよ!」

 ◆

―水着コーナー

ルウェリア「流石に海にスクール水着を着ていくのは恥ずかしいし、ちゃんとしたの選ばないとね」

リアン「だね……。私もスク水しか持ってないから……」

ルウェリア「と言っても……私に似合うのってあんまりないんだよね……」ペタン

リアン「あ、じゃあこれなんてどうかな? ひらひらしてて可愛いし」スッ

リアン(そう言って私が手に取ったのは、胸元にひらひらのフレアが付いたフレア水着だ)

ルウェリア「へえ、こういうのもあるんだ。なるほど……このひらひらがあれば、ペタンコの私でもそんなに変に見えないね」

リアン「そ、その……もし気に障ったら、ごめんね……?」

ルウェリア「ううん。私そういうの全然気にしてないから大丈夫。この前リアンちゃんが大きくなった時は、流石に疎外感あったけどね……」




ノルン「……私はどんなのにしようかな……」

リアン「ノルンさんが遠足のプールで付けてたやつ、可愛かったよね」

ルウェリア「ノルンさん、意外と攻めるんだなあって思ったなあ、あの時は」

ノルン「や、やめてよ……/// 私、今回は攻めないからね」

リアン「それなら……こういうのはどう?」サッ

リアン(そう言って私が手に取ったのは、ふわりとしたフリルやスカートの付いているワンピース型水着だ)

ノルン「わ……これなら肌の露出も少ないし、良いかも……」

ルウェリア「お淑やかな雰囲気ですごく良いと思う。ノルンさんの可愛さが引き立つよ、きっと」

サーナ「わかりますわ! きっととても可愛いですわよ!!」

ノルン「やめてよもう……///」



サーナ「わたくしはどんなのがよろしいかしら……」

ルウェリア「遠足の時はけっこう本格的な競泳水着だったよね。けっこう泳いだりするの?」

サーナ「淑女の嗜みでしてよ。でもせっかくなら、わたくしの美を魅せつける方向も考えたいですわね」

ノルン「サーナちゃんの美……?」

リアン「それなら……これなんかどうかな?」スッ

リアン(そう言って私が手に取ったのは、クロスタイプのセクシーな水着だ)

サーナ「あら、やりますわねリアン! 程よい可愛さと、美しさ――わたくしにピッタリですわ!」

ノルン「あはは、流石だねサーナちゃん。私もちょっとは自信付けたいなあ……」

ルル「ルルは? ねえ、ルルのは?」グイグイ

リアン「わっ起きたのルルちゃん! そうだなあ……ルルちゃんはどうしよっか」

ノルン「ルルちゃんは、どんなのが良いっていう希望はある?」

ルル「んー……かわいくて動きやすいやつ」

リアン「それなら――これだ!」バッ

リアン(そう言って私が手に取った水着は、紺色のワンピースタイプ――スク水だ!)

リアン「ルルちゃんならこれだよ! これしかない!」

ルル「そうなの? わかった、これにする」



リエム「…………リアンさま。わたしは……」

リアン「リエムちゃん。実はね、リエムちゃんのはもう考えてあるんだ――」

ルル「どんなの? どんなの?」ドキドキ

リアン「それはもちろん――これだよ!」バッ

リアン(そう言って私が手に取ったのは、ルルちゃんに選んであげたものに似た――しかし色が白いもの――――白スクだ!)

リアン「リエムちゃんの無垢で清純な印象と、神秘的な魔法人形の印象を併せ持つ――我ながら完璧なセレクトだと思う!」

ルル「わー! おそろい!」パチパチ

リエム「リアンさま……! わたしは……それが良いです……!!」



アリム「…………」

リアン「アリムちゃんは……」

アリム「言っとくけど、わたしはいらないわよ。その……スク水? ってやつも、着ないから」

リエム「む……悪い方のリエムは、協調性がありません」

アリム「どうとでも言いなさい。人間のファッションなどに興味はない」

リアン「まあまあそう言わずに……」バッ

リアン(そう言って私が手に取った水着は、燃えるような真紅のワンピースタイプ――赤スクだ!)

ルル「わー! アリムもルルとおそろい!?」

アリム「は、はあ!? 着ないって言ったでしょ!! 馬鹿リアンは聴覚か脳が腐っているのかしら!!?」

ルル「……おそろい……」ウルウル

アリム「うっ……! る、ルルの為なんだから……間違ってもクソボケキショリアンの為じゃないんだからね!!!?」

リアン「えへへ、水着選びって楽しいね!」

ルウェリア「リアンちゃんにこんな趣味があるとは思わなかったよ」

サーナ「全くですわ。普段の気弱さはどこへやら……いつもこれくらい強気であればよろしいのに」

ノルン「でも……ちゃんと相手のことを考えて選んでくれてるから、嬉しかったよ私」

アリム「どうだか。相手のことを考えないで自分の性癖を押し付けてるだけよ」

リエム「悪い方のリエムは、一度決まったことに後からグチグチ言うみっともない魔法人形です」

アリム「うるさいわね!」

ルル「ねー、リアン本人はどうするの?」

リアン「――え?」

アリム「……勝手に選んで回ってくれたんだから、覚悟はできてんでしょうね……?」ズズズ

リアン「ひえ……!」


↓1リアンの水着
01-30 極小マイクロビキニ
31-60 透けそうでギリギリ透けない競泳水着
61-90 みずのはごろも
91-00 謎の光

ちょうど遺跡ゲージ溜まったけど、次の遺跡は海の中だったり?

>>363 ネタバレやめてください><
――――――――――――――――――――

透けそうでギリギリ透けない競泳水着「」

リアン「えええー!? これ普通の水着じゃないよ、絶対そういうプレイ用のやつだよ!!」

アリム「あっはは! 脳が腐ってるんなら知性も羞恥心もないから問題ないでしょ! キショリアンにはこれがお似合いよ!」グイグイ

リアン「や、やだ! 助けてみんな!!」


ルウェリア「…………海辺で恥じらうリアンちゃん、良くない?」

ノルン「ちょっと可哀想だけど……良いかも……。で、でもやっぱり……」

サーナ「アリムに自身の性癖を押し付けたのですから、その咎は受けて然るべきですわ……」

ルル「ルルたちのにちょっと似てる……リアンもおそろい?」

リエム「…………リアンさまと、おそろい……」


リアン(な、なんてことだ……頼みの綱であるリエムちゃんまでも……)

アリム「諦めなさい! お前は今年、それを着て海に出るしかないのよ!!」

リアン「んあああああッ!!!」


リアン(結局、みんなが私の選んだ水着を買う代わりに、私はそのスケスケ競泳水着を買わなければならないことになった……)

リアン(これは……性癖を押し付けた私への、罰なのだろうか……)

リアン(……まあでも。アリムちゃんもなんだかんだ楽しそうだったし、ちょっと馴染めたようにも見えたから、良かった)

リアン(このまま、もっともっとみんなと仲良くなってくれると良いな)

 ◆

―6月4週 某日
 更衣室

リアン「はあ〜今日の体育も疲れたあ〜」ヌギヌギ

サーナ「戦場ではあれほど勇ましく戦うのに、体育の時のリアンはふにゃふにゃですわよね」バルンッ

リアン「戦いの時だってそんなに頑張れてないよお。この前なんかリエムちゃんとアリムちゃんとルルちゃんに任せきりで、後方支援が精一杯だったし……」プル…

ルウェリア「いや、その三人には付いていけないのが普通だから……」ペタン

ノルン「でも……あの子たちばかり矢面に立たせられないよね。私たちも頑張らなきゃ」ポヨン

生徒B「あ! リアンちゃん今日もピンク!?」

リアン「…………///」サッ

生徒A「こら! うちの子がめっちゃご迷惑をおかけしちゃいました〜! ごめんね!」ズルズル

生徒B「あああ〜〜」ズルズル…

リアン「うぅ〜……///」

ルウェリア「り、リアンちゃん。大丈夫だよ、ここはもう私たちしかいないし……そもそも、みんな下着だから」ペタン(E:水色)

サーナ「そうですわ! 気にすることも恥じることも何一つありませんわよ! ほら見なさい! わたくしは黒でしてよ!!」バルンッ(E:黒)

ノルン「ルウェリアちゃんの言う通り……もう、大丈夫だからね。ほら、私だって……今日はこんな下着だよ」ポヨン(E:パステルイエロー)

リアン「……み、みんな……ありがと……///」プル…(E:ピンク)

リアン(しかし……下着を見られた程度でこのザマでは、あのスケスケ競泳水着を着たらどうなってしまうのだろう、私は……)

リアン(うう……考えたくない……)

 ◆

―7月1週
 遺跡探索部 部室

リアン(雨季が明け、カラッと晴れた夏の日差しが眩しく感じられるこの7月……)

リアン(私たちは、遺跡探索部の部室に招集をかけられていた)


エンシァン「諸君、我々は新たな遺跡の発見に成功した」

ルウェリア「えっ!? いつの間に!?」

エンシァン「見つけたのはシャーロットだ。シャーロットは部員ではないが実質部員のようなものとして遺跡探索をしていてな」

シャーロット「その先は私が自分で説明致しましょう。先日、私はリエムちゃんマップを手に水上バイクで海上を回っていたの」

リアン「え、水上バイクなんて持ってたんですか!?」

シャーロット「ええ、フィールドワークに必要な免許は大体持ってるわ。それで、目的の地点まで来てダイビングをしたら――ドンピシャ! あったのよ、遺跡が!」

ノルン「す、すごいアグレッシブ……!」

シャーロット「でも、外壁は当然対魔法障壁で覆われているし、私一人侵入したところで海の藻屑と消えるだけでしょ? だから、皆に手伝って欲しいのよ!!」

エンシァン「というわけだ。しかし我々にある海上移動手段は、シャーロットの水上バイクだけ……」

ルウェリア「あ、それなら! 私の硬度変化魔法で海上を固めれば、皆で歩いていけますよ!」

エンシァン「一人で何時間、人数分が乗れる範囲の海水を固め続ける気だ? その案は却下だ」

ルウェリア「う……はい」

リアン(うーん……私一人なら水を操ってスイスイ目的地まで行って水中にも潜れるけど……。流石に複数人を運ぶことはできないしなあ……)

エンシァン「というわけで次なるミッションは、複数人での海上移動手段及び潜水手段を確保することだ!」

サーナ「なるほど……理解しましてよ!」

エンシァン「手段にもよるが、探索時は恐らく海上待機組と潜水探索組に分かれることになる。遺跡探索部発足以来最大規模の作戦だ。皆、心してかかるように!」

ルル「ん!」

アリム「……海底に遺跡なんてあったかしら……。データベースにハッキングしてもボロボロだし、調べようがないわ……」


―次の遺跡発見率[0/500]※海底遺跡を踏破するまで上昇率が1/4になります
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4)〈水耐性〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・海底探索の手段を考える、探す

7月1週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、何らかの特殊なイベントが発生することがあります

―7月1週 某日 放課後
 学院 校庭

リアン(そういえば、アリムちゃんっていつも部室にいるけど……どこのクラスなんだろう)

リアン(学年は私たちと同じ二年生ってことになってるみたいだけど……)


「ああああああああッ!」

リアン「い、今のアリムちゃんの悲鳴? 行ってみよう!」


 キャーッ カワイーッ

生徒A「え、めっちゃかわ!!! このキューティクルどーなってんのー!?」

生徒B「肌もすっごい綺麗……! どういうケアしてんのマジで!?」

生徒A「てかリアンちゃんの姪っ子ちゃんにクリソツだよ! 二年生だよね!? どーゆー関係!!?」

生徒B「ま、まさか……隠し子!!!?」

生徒A「やば! スキャンダルじゃん!!」

アリム「離せ! 消し飛ばすぞ人間!!!」


リアン(アリムちゃんが、何人かの生徒に捕まって触られていた……)

リアン(と、とにかく助けないと……!)


リアン「ど、どいてどいて! 嫌がってるでしょ!!」ズイズイ

アリム「リアン……! こいつら、どうにかして……!」

リアン「うん……! こら! 離れて離れて」ブンブン

生徒A「え、嫌がってた……!? ご、ごめん夢中で気付かなかった……。ほんとごめん……」ソソクサ

生徒B「ま、マジでごめん……! 今度埋め合わせするからご勘弁……!!」ソソクサ

リアン(アリムちゃんを捕らえていた生徒たちは、私が追い払うと素直に散っていった……)


リアン「……アリムちゃん、大丈夫?」

アリム「大丈夫なわけないでしょ……。最悪……。吐き気がする……」

リアン(アリムちゃんは顔を青くして、体をふらつかせていた。嫌いな人間たちにあんな風に触られたのだから、当然だ……)

リアン「ぶ、部室に行こ? あそこなら、あんなことする人いないから……」

アリム「…………そうする」

リアン(すっかり消沈したアリムちゃんは、素直に私の提案を聞いてくれた。本当に弱っているのかも……)

リアン(……でも、本気を出せば人間なんて簡単に吹っ飛ばせちゃうのに。アリムちゃんは、そうしなかったんだ)

リアン(……このことで、人間のことがもっと嫌いになったりしなければ良いけれど……)

 ◆

―部室

 ガラッ

リアン「お疲れ様です」

アリム「…………」

ノルン「あ、お疲れ様。リアンちゃん、アリムちゃん」

リエム「お疲れさまです。リアンさま、アリム」

リアン(部室に入ると、ノルンさんとリエムちゃんがテーブルにパンケーキを並べていた)

ノルン「部活の前にちょっとしたお茶会でもどうかなって思って、リエムちゃんと一緒に準備してたの」

リエム「はい。ノルンさまのお手伝いをさせていただきました」

ノルン「……アリムちゃんは……もしかして、具合が悪い?」

アリム「……別に平気よ。食べても良いのかしら? これ」

ノルン「もちろん! 良かった、少し調子が悪そうに見えたから。じゃあまだ皆集まってないけど、始めちゃおっか」

リアン「あ、うん! ありがとう、ノルンさん、リエムちゃん」

ノルン「いえいえ。では、ご賞味くださいな」

リアン「うん。いただきます!」

アリム「いただきます」

 サクッ

アリム「……」モグモグ

ノルン「どうかな……?」

アリム「……悪くないわね」

リエム「ノルンさま。アリムの言う悪くないは、とても美味しいという意味です」

ノルン「ほんと!? 良かった、頑張って作った甲斐があったよ!」

アリム「そ、そこまで喜ばなくても良いでしょ……。魔法人形の味覚は人間に似せて作られているのだから、人が美味しいと思うものをわたしたちが美味しいと思うのは当然のことよ」

ノルン「そうなんだね……」

リアン「…………」


リアン(そういえば、魔法人形はどうして作られたのだろう……)

リアン(人を守る為とか、仕える為とか、そういう言葉を断片的には聞いているけれど……)

リアン(それなら、感情や苦しみを感じる機能なんて必要なんてないはず……)

リアン(アリムちゃんなら知ってるかもしれないけど……。人にあんなことをされた直後に、そんなことを聞くのは……)


ノルン「……アリムちゃん、一つ聞いても良い?」

アリム「何?」モグモグ

ノルン「……魔法人形は……どうして、生まれたの?」

アリム「知らないわよ。そういう需要があったからじゃないの? 異常性癖の変態どもに」

リアン「え、ええ……」

ノルン「…………」

アリム「……わたしたち魔法人形に、そういう需要があったのは事実よ。ま、詳しいことまでは知らないけどね。知りたくもない」モグモグ

ノルン「そっか……。ごめんね、そんなこと聞いちゃって……」

アリム「別に。リアンもわたしたちにスク水着せて悦ぶ変態だし、同類かもね」

リアン「うっ……」

アリム「……冗談よ。あんた、私が本気で嫌がったら止めてたでしょ。本当に気色の悪い奴らは……根本的に違うわ」

リアン「…………」

アリム「あとは……他の需要ね。家庭用とか軍事用とか子守用とか、いろいろあったし」

リエム「わたしやアリムは特定の用途に特化したタイプではなく、どのような状況にもある程度対応可能な万能型です」

ノルン「いろんな子がいたんだね……」

アリム「そうね……。もうほとんど残ってないけどね」モグモグ…


リアン(そう言いながら、アリムちゃんはパンケーキを再び食べ始めた)

リアン(その横顔は……どこか、寂しそうだった……)

リアン(でも……少なくとも、生徒たちにもみくちゃにされていた時よりは、ずっと楽そうだ)

リアン(ありがとうノルンさん、リエムちゃん!)

―7月1週 某日 放課後
 学生通り

 パラパラ…ドザァァァ!!

サーナ「スコール!!? しまった、洗濯物を入れませんと……!!」ダッ

サーナ「……? あれは……」

剣ルル「……」

サーナ「ルル!? 何をしてらっしゃるの!? もう!」ヒョイッ

剣ルル「……」

サーナ「ええい、一旦わたくしの部屋まで来てもらいますわよ!」

剣ルル「……」

 ◆

―サーナの部屋 お風呂

 カポーン

ルル「……」ポケー

サーナ「お湯をかけたら人型になりましたわね……。でも相変わらずぼけっとしてますわ」

ルル「……」ポケー

サーナ「とりあえず体を洗ってあげましょうか……」シャワー

ルル「んん……んゆ……?」

サーナ「気が付きましたの?」

ルル「あれ、サーナ? ここ、おふろ……?」

サーナ「ええ。あなた、剣の状態で道端に落っこちてたんですのよ」

ルル「んん……?」

サーナ「覚えてないんですの……?」

ルル「んー……?」

サーナ「うーん……まあ、とりあえず今は体を洗いますわよ」

ルル「ん」

 ◆

 ゴォォォォ(ドライヤーの音)

サーナ「ほら、じってしてらして! ムラができますわ!」

ルル「んー……ルル、自然乾燥でいい……」

サーナ「だめですわ! 女の子たるもの、髪のお手入れはしっかりなさいまし!」

ルル「むー……エンしゃんはテキトーなのに……」

サーナ「エンシァン先生を見習ってはいけませんわ!!」

 ピンポーン

エンシァン『私だ。ルルが濡れ鼠になっていたとの報告を受けて回収に来たぞ』

アリム『ルルの不調と聞いてわたしも来たわよ。見せてみなさい』

サーナ「噂をすれば、ですわね。はい、乾きましたわ!」

ルル「ん!」

 ◆

エンシァン「ふむ……本当に何も覚えていないのか?」

ルル「ん」

サーナ「剣の状態でしたわ。お湯をかけたら人型になったのですけれど……」

アリム「ちょっとおでこ借りるわね」ピトッ

ルル「ん……」

アリム「…………あー……」

エンシァン「ど、どうだ……? ルルは……無事なのか?」

アリム「ええ、原因がわかったわ。離れて良いわよ」スッ

ルル「ん」

サーナ「それで、その原因とは……?」

アリム「……睡眠よ。ただの」

エンシァン「……」

サーナ「……」

ルル「あ。そういえば、眠くなったからちょっとお昼寝しようと思って……」

エンシァン「はあ……。まあ、何事もなくて良かったぞ……」

サーナ「全く、人騒がせですわね……」

アリム「ルル、あなたは知性あるインテリジェンスソードなのだから、寝る場所は選びなさい……」

ルル「むー……前向きに善処する……」

 ◆

―7月2週
 遺跡探索部 部室

ルウェリア「うーん……クルーザーとかをレンタルしてみますか? みんなでお小遣い出し合って」

シャーロット「それなら私とエンちゃんが出すわよ。どっちかと言うと海底探索の方が問題ね。海上移動は今ルウェちゃんが言ったようにクルーザーか何かでも借りればどうとでもなるけれど……海底探索はそうもいかないわ」

リアン「……そうだ! なんか海を渡ったり潜ったりできるでっかい古代遺物とかありませんか!?」

シャーロット「文献を見る限りないわけではないみたいだけど……現物がなければどうしようもないわねえ」

リアン「古代遺物の現物……うーん……」


―次の遺跡発見率[34/500]※海底遺跡を踏破するまで上昇率が1/4になります
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4)〈水耐性〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・海底探索の手段を考える、探す

7月1週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、何らかの特殊なイベントが発生することがあります

―7月2週
 部室

サーナ「そうですわ!」ガタッ

リアン「え、な、何?」

サーナ「海底探索の方法が見つからないのであれば……わたくしたちで作ってしまえば良いのですわ!」

リアン「そ、その手が……!」

ノルン「で、でも高等部の学生程度にそんな高度な魔法が作れるかな……。ゼロから作ること自体が難しいのに」

サーナ「やってみなければわかりませんわ! わたくしが思いついた理論はこうですわよ!」

 キュッキュッキュッ…

リアン(サーナさんが部室のホワイトボードに何らかの図や注釈を書いていく……)


サーナ「つまり……リアンが外圧および推進、わたくしが内圧、ノルンが光での視界確保ですわ!!」

リアン「お、おおー……!!」

リアン(一見すると悪くなさそうな理屈だ。ただ……極めて高度で、息の合った精密な圧力調整が常に要求されるという点を除けば……)

ノルン「これ……光を出してれば良い私は簡単だけど……リアンちゃんとサーナちゃんの負担がとんでもないんじゃ……」

サーナ「根性とマナポーションでカバーですわ!」

リアン「ど、どうだろう……。ある程度自動化できそうなとこを詰めれば……」

サーナ「まずはやれるだけやってみますわよ!!」

↓複合潜水魔法開発
01-30 無理だよ
31-60 できたけど不安定すぎる
61-90 健康とマナポーション代を犠牲にすれば……
91-00 歴史に名を残せますわ

―プール

サーナ「早速プールで実践ですわ!」(E:スク水)

ノルン「端っこの方を水泳部の皆さんが貸してくれて良かったね」(E:スク水)

リアン「やっぱり要は私の水魔法だよね!」(E:スク水)

サーナ「ええ! まずはわたくしの風魔法と、リアンの水魔法で泡を作って……」

リアン「泡の壁は私のジェルで固めて、潜水艦完成! ってわけだね!」

サーナ「やってみますわ!」

 ◆

―水中

リアン「あ、ああああああ! 穴が! 穴が!」ドババババ

サーナ「落ち着きなさいリアン! 穴くらいわたくしの風で――」ブクブクブク

ノルン「わああああ!! 余計空気出してどうするの!?」

 ブクブクブク…

 ◆

―廊下

リアン「……」トボトボ

サーナ「……」トボトボ

ノルン「げ、元気出そ! 二人が頑張ったの、私は知ってるから!」

サーナ「……ええ! いつまでも落ち込んではいられないですわね!」グッ

リアン「……うん! これがだめなら、他のやり方を探そう!」

三人「おーッ!!」


リアン(私たちは互いに励まし合い、次の作戦を考えることにした)

リアン(それにしても……なんだか前にも、学校のプールで落ち込んで、奮起してって流れがあったような……)

リアン(な、なんだろうこのジンクス……)

 ◆

 一方その頃……

―7月2週 放課後
 ユリトー島 東海岸

ルウェリア「なるほど、この先にあるんですね」

シャーロット「ええ。やはり鬼門は潜水手段ねえ」

ルウェリア「うーん……その海を渡れて潜れる古代遺物ってのが都合良く発掘できれば良いんですけど……」

シャーロット「ないものねだりはできないわ。そもそも遺跡の発見すらままならないのに、そんな遺物が都合良く見つかるはずもないし」

ルウェリア「古代遺物の生産工場でも見つかれば良いんですけどね……」

シャーロット「…………ん? 古代遺物の生産工場……なんか最近、そんなような単語をエンちゃん辺りから聞いたような……」

ルウェリア「……そういえば私も聞いたような……。何だったかな……」

シャーロット「うーん……まあ考えても思い出せないものは仕方ないわ。私たちは今できることをしましょう」

ルウェリア「はい!」

シャーロット「題して――利害の一致に便乗しよう大作戦よ!!」


↓1 遺跡探索部に潜水手段を貸してくれそうな人
01-60 いなかった
61-90 厳しい条件付
91-00 魔導潜水艦、あげます

―夕方
 東区 旧市街

ルウェリア「……」トボトボ

シャーロット「……」トボトボ

ルウェリア「いませんでしたね……」

シャーロット「まあ……当然と言えば当然かもね。何の実績もない学生の部活に、一歩間違えば命の危険があるようなものを貸してくれる酔狂な人なんてそうそういないわ……」

ルウェリア「……いっそ、人数分のダイビング用装備を揃えるとか? 免許はありませんけど」

シャーロット「いや、免許のない人にダイビングさせるのは流石に危険すぎるわ……。遺跡部はどちらかと言うとアウトローだけど、命に関わるところの線引きはしっかりしましょう」

ルウェリア「そ、そうですね。軽率でした」

シャーロット「いいのよ……。あなたのお姉さんには、私もお世話になったからね。できる限りのことはしてあげたいわ」

 ◆

―7月2週 某日
 市民プール

エンシァン「本日は、皆がどの程度泳げるかの確認をする為に集まってもらった」(E:無地ビキニ)

ルウェリア「海底遺跡の探索ですもんね」(E:フレア水着)

エンシァン「ああ。水適性の有無は死に直結する重大なものだ。この結果次第で海上待機班と潜水突入班に分かれてもらうことも考えている」

シャーロット「ちなみに私は突入班よ。初めて一緒に探索することになる子も多いと思うけど、よろしくね?」タユンッ(E:マイクロビキニ)

サーナ「わたくしは得意ですわよ、水泳! それとあまり知られていませんが、水中でも風魔法は使えるんですのよ?」(E:クロス水着)

ノルン「私もある程度泳げるし、視界確保に光も必要だろうから突入班かなあ」(E:フリルワンピース水着)

ルウェリア「私はまあ、普通程度には泳げるよ。あと、硬度変化ももしもの時への対応にけっこう有用だから突入班の方が役立てると思う」

エンシァン「私は……実はあまり泳げん。海底遺跡にバカスカ穴を開けるわけにもいかんから、今回は侵入経路を開けた後は海上待機に回らせてもらうぞ」

リアン「私はまあ、当然突入班だよね。単独でなら海上移動も高速潜水もできるし。自分で言うのもなんだけど、今回はエース級の活躍を見込めると思う!」(E:スク水)

アリム「……わたしとリエムは海上待機ね。水中用の装備でもあれば別だけど、確かわたしたちの型でそんなものは出てなかったはずだし」(E:赤スク)

リエム「はい……。船上で、リエムさまのご帰還をお待ちしております」(E:白スク)

ルル「ルルは?」(E:スク水)

アリム「ルルは沈んだら永遠に自力で浮上できないからダメ」

ルル「むー……」

エンシァン「ふむ……話を聞く限り、大体決まったな。突入班は、シャーロット、リアンくん、ルウェリア、サーナくん、ノルンくんの五人だ。奇しくも学生で揃ったな」

シャーロット「あら、私も学生に数えてくれるの? ふふ、エンちゃんったらお上手ね」タユンッ

エンシァン「黙れ。しかし……これなら別に市民プールに集まってもらう必要はなかったか?」

シャーロット「いいじゃない! ふふっ、若い子たちと一緒に泳ぐのも悪くないわよ?」タユンッ

エンシァン「……泳ぐのは苦手と言ったろう」



アリム「ところであんた何普通のスク水着てんのよ。前に買ったのは?」

リアン「あ〜……え、えっと、ですね……。そのお……」

アリム「卑怯者! ここで脱がしてやる!」バッ

ルル「わー! ルルもリアン脱がすーッ!」

リアン「ひ、ひええ〜ッ!!」



リアン(私は市民プールでアリムちゃんたちに水着を脱がされ、散々な目に遭った……)

リアン(でも……アリムちゃん、楽しそうで良かった。脱がされた甲斐があったよ……グスッ……)

―7月3週
 遺跡探索部 部室

シャーロット「う〜ん……」

エンシァン「ふむ……やはり問題は潜水手段の確保か……」

シャーロット「そうなのよ〜……。どこかに都合良く古代遺物の生産工場でもあれば良いんだけど……」

エンシァン「古代遺物の……生産工場……? 待て。ごく最近、どこかで……」


―次の遺跡発見率[67/500]※海底遺跡を踏破するまで上昇率が1/4になります
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4)〈水耐性〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・海底探索の手段を考える、探す

7月3週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、何らかの特殊なイベントが発生することがあります なお本日はここまで

―7月3週 昼休み
 部室

ルル「あうー……暑い……」グデー

リアン「はあ……テスト勉強も深海探索の手段探しも、なかなか上手くいかないね……」

サーナ「そうですわね……。少し休憩がてらに何か冷たくて甘いものが欲しいですわ」

ルウェリア「今から食堂に行っても目ぼしいものは売り切れてそうだし、学生通りまで行くのもしんどいし……」

アリム「だらしない連中ね。自己管理一つまともにできないの?」

リエム「誰もがアリムのように疲労せず風邪も引かない体質というわけではありません」

アリム「馬鹿は風邪を引かないって言いたいわけ!?」


ルル「喧嘩しないで!」ピシャッ

アリム「むぐ……悪かったわね」

リエム「……わたしも……少し意地が悪かったです」

ルル「もう……。二人とも、どうしてすぐ喧嘩するの?」

リエム「アリムがすぐ悪口を言うからです」

アリム「リエムがすぐ煽るからよ」

ルル「むー……」


 ガチャッ

ノルン「こんにちは。……なんか、どんよりしてない……?」

リアン「ああ……うん。暑くて……」

ノルン「……それなら、みんなに良いものをあげます」

ルウェリア「良いもの?」

ノルン「冷蔵庫、開けてみて」

ルル「?」ガチャッ


一面のソーダフロートゼリー「」キラキラ…


ルル「わぁー!!」

サーナ「こ、これは……! すごいですわ!!」

ルウェリア「い、一体いつの間に……!?」

ノルン「昨日ここの給湯室で作って、一晩かけて冷やして固めて、今朝仕上げたの」

リアン「す、すごい……! 私じゃ絶対に真似できない……!」

アリム「…………」ジッ

リエム「ノルンさま。アリムはそれを今すぐ食べたいそうです」

アリム「ばっ! そ、そんなこと……!!」

ノルン「是非どうぞ! 遠慮しないで食べてね」

アリム「……フン。それの色がエーテルリキッドに似ているから食べたくなっただけよ。勘違いしないでよね」

リアン(食べたいっていう気持ちは否定しないんだね)

ルル「ノルンはお菓子屋さんになるの?」モグモグ

ノルン「えっ、それは考えたことなかったなあ。どうだろ」

リアン「このソーダゼリー、お店の新商品とか言われたら信じちゃいそうなくらい綺麗で美味しいよ」モグモグ

ノルン「あはは……ありがと。でも、手間と時間をかければ誰でも作れるものだよ。お店で出すには難しいと思う」

リアン「いや、手間と時間をかけても私じゃ絶対に作れないと思う……」モグモグ

ルウェリア「私もきっと無理。ノルンさん、謙遜のしすぎはあんまり良くないよ」モグモグ

ノルン「え、ええ……謙遜してるつもりなんてないんだけどなあ」



アリム「…………」モグモグ

リエム「…………」モグモグ

サーナ「……すっかり黙って食べてますわ。ふふ、お行儀がよろしくてよ」

 ◆

―7月3週 某日
 部室

エンシァン「というわけで今週の休日、我々教員や学外部員で魔導機械工場の再調査をすることにした」

ルル「おー」

アリム「あの工場で舟や潜水艇に類するものがあったかどうか、確かな情報はないわ。でも調べてみる価値は大いにある」

シャーロット「うふ、うふふふ! ワクワクしてきたわ……!! よろしくね、アリムちゃん!!!」

アリム「うっ……な、何このエルフ……!? 気色悪い人間とも違う、おぞましいオーラが……!」ゾワッ

ルウェリア「先生、私たちは?」

エンシァン「先日のこともあって樹海近辺は厳戒態勢が敷かれているのだ。特に学生に対する監視の目は厳しい。今回は待機してもらう」

リアン「は、はいわかりました」

リエム「……リエムさまが行かないのであれば、わたしも……」

エンシァン「ああ、リエムくんはリアンくんに付いていてくれたまえ」

リエム「はい……。あの……アリムは……?」

アリム「わたしは身分上学生ってことになってるけど、今回は当然行くわよ。わたしがいなきゃ、何かあっても使えないかもしれないしね」

エンシァン「……というわけだ。アリムくん頼りなのが情けないが、私も打てる手は打ちたい。アリムくんの実力なら監視から逃れるのも容易であろうからな」

アリム「ふふっ、そういうこと。あんたは大人しく留守番してリアンさまといちゃついてなさい」

リエム「む……。ではそうさせていただきます……」

 ◆

―7月3週 休日
 リアンの部屋

リアン「んん〜……久しぶりに何もない休日だ……」

リエム「リアンさま。本日はいかがなさいますか」

リアン「リエムちゃん。今日は……何しよっか」

リエム「……以前、リアンさまはアリムと二人きりで買い出しをしたとお聞きしました」

リアン「あ、うん。アリムちゃんと二人で行ったよ、買い出し」

リエム「…………」

リアン「……り、リエムちゃん?」

リエム「……ずるいです」

リアン「えっ?」

リエム「リアンさま……。本日は……わたしも、リアンさまと……二人きりで、おでかけしたいです……」

リアン「………え!? ほんと!?」

リエム「…………あ……。も、申し訳ありません。魔法人形の分際で……出過ぎたことを……」

リアン「……ううん!」

 ぎゅっ

リエム「――あ―」

リアン「いこうっ! 二人で……!」

リエム「リアン、さま……!」


↓1 どこへ行く?
東区(旧市街、東海岸)
新南区(ユリトー魔法女学院、学生通り、ショッピングモール、その他様々な商業施設等)
新西区(新西区住宅街、博物館(閉館中)、魔導遊園地、その他様々な娯楽施設等)
北側(樹海、他険しい地形)※今回は北側のポイントは選べません
ユリトー山(麓、山道、温泉)※リアンの体力・移動速度では日帰りで山頂まで行くのは難しい
その他(要記述。それっぽい名称だけでもそれっぽく実装します)
コンマで決める(場合によっては特殊な場所に行けるかも)

中等部校舎

新南

ユリトー魔法女学院は>>2に記載しているように、高等部と大学部しかないため中等部は存在しません。そのため>>401は無効とさせていただき、直下の>>402を採用します
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―7月3週 休日
 新南区 学生通り

 ワイワイ ガヤガヤ

太陽「――」サンサン

リアン「わあ……今日もあっついねえ……」

リエム「リアンさま、こちらへ」

日傘「」バサッ

リアン「日傘!? リエムちゃん、いつの間に……!」

リエム「わたしの基本装備の一つです。魔力で構築してあるので、不要になれば魔力に戻すこともできます」

リアン「わあ……やっぱりすごいなあ。それ多分、現代の魔法学者さんたちが必死になって実現しようとしてる技術だよ」

 ぎゅっ

リエム「あ、あの……リアンさま……?」

リアン「一緒に持とうよ。リエムちゃん一人に持たせっぱなしなんて嫌だもん」

リエム「……はい。リアンさま……」

 トコトコ…

 ◆

―学院

 フレーッ オーッ イーッチニーッサーンッシーッ

リアン「わあ、やってるなあ運動部」

リエム「暑そうです」

リアン「そういえばリエムちゃん、最近は普通に学院に出入りしてるけど、何か言われたりしない?」

リエム「はい。ユリトー魔法女学院は大学部もあるので、学外の人が出入りしてもそれほど怪しまれないようです」

リアン「そっか、大学部の人は私服だもんね。学外の研究者とか教授もけっこう来るらしいし」

リエム「はい。ルルさまが平然と出入りできているのも同じ理由かと思われます」

リアン「そ、そういえば……。リエムちゃんが私の部屋に住めるようになったことと言い、けっこうアバウトだよねここ」

リエム「他の教育機関はもっと厳格なのですか?」

リアン「……それを言われると、私も実はここがほぼ初めての学校だから何とも言えない……」

 ◆

―昼
 公園

 ソヨソヨ…

リアン「はあ〜……木陰が気持ち良いね」

リエム「はい、リアンさま」

 キャッキャッ

リアン「こどもは元気だねえ」

リエム「はい。ルルさまを思い出します」

リアン「あはは、ルルちゃんもいつも元気だもんね。でも、戦いの時はキリッとしてて格好良いよね」

リエム「ルルさまは時折、怜悧な知性に基づいた言葉を発することがあります。彼女は、こどもではないのかもしれません」

リアン「……ルルちゃんの記憶も、まだ戻ってないんだよね。本人がいつも楽しそうだから、つい忘れちゃいそうになるけど」

リエム「はい……。いつか、戻る時が来ると良いのですが」

 ◆

―夕方
 学院通り

リアン「はあ〜……ショッピングモールで買い物してたらもうこんな時間だね」

リエム「はい、リアンさま。今後数日分の食料と、不足しがちな日用品は確保できました」

リアン「あはは、リエムちゃんがいると本当に助かるなあ。私一人だったらどうなってたことやら……」

リエム「これからも頼ってくださいませ。リアンさまのためのリエムです……」

リアン「うん……。でも、リエムちゃんも困ったりつらかったりしたら、遠慮せず私を頼ってね。私だって、リエムちゃんに頼られたいから」

リエム「リアンさま……。はい……」

リアン「うん!」

リエム「それでは……早速、一つよろしいでしょうか」

リアン「おお、もちろん! なんでもどうぞ!」

リエム「――――やっぱり、なんでもありません」

リアン「えっ! な、なんかそういうのすっごい気になるんだけど!」

リエム「なんでもないものは、なんでもありません」

リアン「えー!? リエムちゃんが反抗期になっちゃった!」

リエム「リアンさま――わたしは反抗期では――――」

  アハハッ カエロッ リエムチャン! オウチニ!
               ハイ リアンサマ―
    
 ◆

キャラクターを増やしすぎると1の頭がパンクしそうになるのと、相対的に既存キャラの描写が薄くなってしまうため、ネームドキャラを増やすことについてはかなり慎重です
一応、コンマで大きな値を出した場合に仲間となる新キャラが登場しそうな判定は今後も時々やっていくつもりです。ご容赦いただけると幸いです
あとは……あえて言うなら、出しやすい敵キャラクターが欲しいかもしれません。もしかしたら今後そういう募集をするかも(イエリアさまもフィーさんも良いキャラクターなのですが、敵としては格が高すぎるので……)
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―7月3週 休日
 魔導機械工場

エンシァン「さて、再びここへ来たわけだが……」

アリム「少し待ってて。ここで作っていたものを調べてみるわ」ピッピッ

シャーロット「ここで古代の魔導機械を……!? あ、ああ……この工場ごと持って帰れないかしら!?」

エンシァン「無理に決まっているだろう!」

ルル「アリム、まだ?」

アリム「終わったわよ。結論から言うと――製造していたみたいよ。ここで」

エンシァン&シャーロット「!」

ルル「?」

アリム「ただ、今もその現物が残っているかどうかはわからないわ。あったとして、動くかどうかもまた不明。それでも探す?」

シャーロット「当然!!」

↓1
01-30 魔法潜水服
31-60 魔法潜水服+魔法巡航船
61-90 魔法潜水服+魔法潜水艇
91-00 魔法潜水服+超魔法幼塞


ハイレグ競泳水着のような装備「」

シャーロット「こ、これは……!!!」

アリム「魔法潜水服……と当時は呼ばれていた装備みたいね。水の抵抗や重力による影響を無効化して、水中や宇宙空間、超重力場でも地上と同様の活動が可能になる……らしいわ。潜水服っていうりどっちかというと宇宙服ね」

エンシァン「いや宇宙服どころじゃないだろうそれは! 一体どんなオーバーテクノロジーだ!」

シャーロット「うふふ……見た目も扇情的でそそるわね……!」ユサッ

ルル「ルル、着てみたい!」

アリム「残念ながら人間用しかないみたいよ。まあ着るだけなら着れるけど、効果が正しく発揮されないと思うわ」

ルル「むー……」

 ◆

魔法潜水艇「」

シャーロット「こ、これは……!!!」

ルル「わー! でっかい!」

アリム「これは……魔法潜水艇と呼ばれていた乗り物みたい。さっきみたいな当時の最先端魔導の結晶ってわけではないけど、海上移動も水中潜航も現代の潜水艦より速く安全に行えるはずよ。まあわたしもカタログスペックしか知らないんだけどね」

エンシァン「おお……一気に二つも解決してしまったな!」

シャーロット「ふふ、ロマンティックね……。古代の船に乗って、海を渡って、夕日をバックに私たち――」

エンシァン「……で、どうやって運ぶんだ。これは」

アリム「短期間なら飛行もできるらしいから……夜中にこっそり、東海岸へ乗っていきましょう」

 ◆

今まで↓1〜3と書いていたのに時々↓4まで採用したりと、曖昧なやり方をして申し訳ありませんでした。今後は厳格に↓1〜3までとしていくので、ギリギリ間に合わなかった等の場合を除いて安価外まで投げるのはなるべくお控えいただくようお願いします
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―7月4週
 遺跡探索部 部室

エンシァン「諸君、ついにこの時が来た! 我々は海上移動手段と潜水突撃手段の二つを手にしたのだ!!」

ルル「わー!」パチパチ

エンシァン「作戦の決行は今週の週末……つまり7月の終わりだ! 皆で祝杯を上げ、笑って夏休みを迎えようではないか!!!」

ルウェリア「よし……気合、入れてこう……!!!」

サーナ「ええ! 海底遺跡、楽しみですわ!!」

ノルン「しっかり準備してかないとね……!」

リアン「ふふ……水魔法で大活躍するチャンスだ、私!」

シャーロット「うふふふ……待っていてね、海底遺跡ちゃん……!」ユサッ


 ガラッ

アリム「ねえ、週末の期末テストって何やるの?」スタスタ

リアンたち「あっ……」


―次の遺跡発見率[104/500]※海底遺跡を踏破するまで上昇率が1/4になります
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4)〈水耐性〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・海底探索に向けて気合を入れる

7月4週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、海底遺跡編に突入します なお本日はここまで

リエムちゃは実際後輩とは言えないので、そう言われると確かに後輩キャラも欲しくなりますね。後輩のいない学生生活というのも寂しいので……。そういうわけで近いうちに1人募集することになると思います。よろしくお願いします
また、制服のデザインは厳密に決めてあったわけではないので、こちらは直ちに募集したいと思います
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というわけでユリトー魔法女学院高等部の制服デザイン案を募集します

↓1〜3 最もコンマが高いものを採用 なおあまりに奇抜なものや、学生感が無いものは却下とさせていただく場合があります

冬服:白のワイシャツの上に紫のブレザー。胸元のリボンの色は学年ごとに異なる。
夏服:白のセーラー服で肩が出そうなくらいの半袖。こちらもスカーフの色が学年ごとに異なる。

各生徒毎に多少のアレンジも可能。

ユリトー魔法女学院高等部の制服デザインは>>417になりました。よろしくお願いします
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―7月4週 某日 放課後
 部室

ルウェリア「……というわけで気合を入れる前にここで勉強会しよう。エンシァン先生が、私たちは目先のテストに専念しろって」

サーナ「ぐうの音も出ませんわ……。わたくしとしたことが、学生の本分である勉強をすっかり忘れていたとは……」

ノルン「探索の準備は先生と准教授が進めてくれるそうだから、私たちは赤点を取らないよう勉強に集中しないとね……」

アリム「ふうん。テストって何のテストかと思ってたけど、性能テストのことなのね」

リアン(そういうわけで……私たちは、部室で勉強会をすることになった……)

 ◆

アリム「…………ちょっと外の空気吸ってくるわ」ガタッ スタスタ ガラッ

ノルン「あ、うん。いってらっしゃい」

サーナ「流石のアリムも長時間の勉強は疲れるのかしら?」

ルウェリア「どうなんだろう……。本人に聞くと否定しそうだけど」

リアン「うぅ〜……私も疲れたよぉ〜……」グデ-ン

ノルン「もう、リアンちゃんたら……。そうだ、光魔法を使ったマッサージがあるんだけど、試してみる?」

リアン「え、そんなのあるの? やってみたいかも」

ノルン「じゃあちょっと仮眠室いこ! 私たちもちょっと抜けるね」

ルウェリア「あ、うん。いってらっしゃい」

サーナ「休むならしっかり休んで来るんですのよ」

 ◆

―仮眠室

ノルン「じゃあ、うつ伏せで横になって。あ、服は脱がなくて良いからね」

リアン「う、うん……」パタン

リアン(ノルンさんと二人きりで、私がベッドに寝そべって……。な、なんだろうこれ……ドキドキしてきた……)

ノルン「それじゃあいくよ。シャイニングフィンガー……!」ヴゥーン―

リアン「え、えっ!? そ、それなんかやばいやつじゃ……!」

ノルン「大丈夫! 指先に集めた光の力で、体の節々に溜まった穢れを浄化するだけだから!」

リアン「えっえっ……! な、何その光のちからって――」

ノルン「じゃあいくよ? 痛かったらごめんね――」


 ンアーッ!!


↓1
01-10 リアン感度アップ
11-90 ノルン能力獲得
91-00 ノルン強能力獲得


リアン「ひぃ……あひぃ……。も、もう……らめぇ……」ビクンビクン

ノルン「ご、ごめんね……! 私も初めてだったから……加減ができなくって……!」

リアン「のるんしゃん……しゅごかった、れすぅ……」ビクンビクン

ノルン「り、リアンちゃん! しっかりして! ヒールライト!」ポウ

リアン「はっ……!」

ノルン「リアンちゃん、大丈夫……?」

リアン(起き上がって体を動かしてみると、溜まっていた怠さがすっかり消えていることに気付く)

リアン「す、すごい! 体が……軽い!」ブンブン

ノルン「ほんと!? 良かった……失敗したかと思っちゃった……」

リアン「マッサージ中は頭の中が真っ白になるくらいキたけど……終わってみればこの通り! ノルンさん、すごい!」

ノルン「ふふ、頑張って学んだ甲斐があったなあ。また疲れたらいつでも言ってね」

リアン「…………う、うん!」

リアン(すごいけど……またこれを受けるのは、ちょっと勇気がいるかも……)

 ☆ノルンがパッシブスキル〈聖域〉(味方全体の踏破力・戦闘力・持続力が10%上昇(最低1でも1上昇))を獲得しました

 ◆


 一方その頃

―学院 屋上

アリム「…………」

アリム「――ああああああ!! 何が『勇者はひどく赤面した、その理由を述べよ』よ!! 人間の気持ちなんて知るか!! 本人か作者に聞け!!!」

アリム「フーッ、フーッ……。クソボケ出題者め……。目前にいたなら八つ裂きにして魔導レーザーで跡形もなく消し飛ばしてやるのに……!!」

アリム「まずい……このままじゃ国語がボロボロになってしまう……。他の教科は楽勝なのに……」

アリム「……いっそリアンに……。いや……そんなことをしたらあの馬鹿が絶頂する勢いで悦ぶ姿が目に浮かぶ……。それはムカつく……」

アリム「でも他の奴らには……ちょっと聞きづらいし……」

アリム「そうだ、ノルンなら……! 人間にしてはちょっと話しやすいし、お菓子作りも上手だし……。ちゃん付けしてくるのが玉に瑕だけど」

アリム「よし、そうと決まれば……」クルッ

 ◆

―夜
 ノルンの部屋

 ピンポーン

ノルン「はーい……?」

アリム『わたしよ。開けてくれる?』

ノルン「えっアリムちゃん? ちょっと待ってて」パタパタ

 ガチャッ

アリム「こんばんは。夜分に悪いわね」スッ

ノルン「ううん、それは別に良いけど……どうしたの?」

アリム「…………誰にも言わないって、約束してくれる?」

ノルン「……内容によるかな。もし誰かが傷付いたりするようなことなら、約束はできないよ」

アリム「ふふっ、やっぱりあんた人間にしては悪くないわ。リアンの馬鹿だったら『絶対誰にも言わない』って思考停止して言ってたわよ。きっと」

ノルン「……でも、そうやって無条件に相手に寄り添おうとする優しさは……リアンちゃんのすごく良いところだと思うな。私」

アリム「…………まあ、そうね。ああいう馬鹿さも悪くは……ゴホン! そんなことはどうでもいいの。ちょっと勉強でわからないことがあったから教えて欲しくて。別に誰かに迷惑かけるようなことじゃないでしょ?」

ノルン「なんだ、そんなこと! ふふっ、そういうことなら大歓迎だよ! さ、上がって上がって!」

アリム「ありがたくお邪魔するわよ」スタスタ

 ◆

ノルン「国語かあ。リアンちゃんも得意だけど――」

アリム「あいつに聞くと悦びすぎて鬱陶しそうだったから」

ノルン「あはは……まあ、きっとすごく喜んだだろうね」

アリム「でしょう? だからあんたのとこに来たのよ。あんたならフラットに教えてくれそうだし」

ノルン「私だって嬉しいよ? アリムちゃんに頼ってもらえるのは」

アリム「度合いが違うでしょ、度合いが。リアンの馬鹿だったら――」

ノルン「……リアンちゃんを、喜ばせたくない?」

アリム「…………ええ。あいつの喜ぶ顔なんて……」

ノルン「そっか……。でももし気が向いたら、リアンちゃんのことも頼ってあげてね」

アリム「……気が向いたら、ね」

ノルン「うん! じゃあ早速始めよっか。この問題はね――」

 ◆

↓1 リアンたちのテスト勉強の成果
01-30 テスト対策+++
31-60 テスト対策++++
61-90 テスト対策+++++
91-00 テスト対策+++++++++

コンマ29 テスト対策+++

リアン(あれからも私たちは、テスト勉強を頑張った……)

リアン(テスト対策は……まあまあできたと思う)

リアン(あとは、本番でどこまでやれるかだ……!)

 ◆

―7月4週 某日 放課後
 魔法潜水艇

ハイレグ競泳水着のような魔法潜水服「」

ルウェリア「…………」

シャーロット「ふふっ、なかなかプレシャスなデザインよね」ユサッ

ルウェリア「セクシャルなデザインの間違いじゃ……?」

シャーロット「古代人たちは、これを気品ある格好良いデザインと思ってたかもしれないわよ?」

ルウェリア「うーん……どうなんでしょうか、それは」

ルウェリア「…………」

シャーロット「…………もしかして、気にしてるの?」

ルウェリア「……ほんの少しだけ。この前、不慮の事故でリアンちゃんまで一時的に大きくなったんですけど……。その時、なんだか……寂しいというか、苦しいというか……。形容しがたい心地の悪さを感じました」

シャーロット「…………なるほどね。だからこれを着ることにも抵抗がある、と」

ルウェリア「いや、別にそういう事情がなくても着たくないです。普通に」

シャーロット「こんなにセクシーで格好良いデザインなのに……」

ルウェリア「古代人みたいな価値観じゃないですか」

シャーロット「うふふ、褒めないで?」

ルウェリア「褒めてませんけど……」

シャーロット「そうだ! ルウェちゃんの為にこのシャーロット准教授が特別講座を開いてあげます!」ユサッ

ルウェリア「ええ……? 何の講座です?」

シャーロット「豊胸の!!!!」ユサッッ

 ◆

―大学部 シャーロットの研究室

リアン「え、なんの講義ですかこれ?」

シャーロット「ルウェちゃんが一人はやだって言うから、リアンちゃんにも来ていただきました」ユサッ

ルウェリア「ご、ごめんリアンちゃん。後で埋め合わせはするから……」

シャーロット「じゃあ始めるわよ!」ユサッッ


↓1コンマ 講座、そして実践
01-90 何も変わらなかった
91-94 リアンごく僅かに豊胸
95-98 ルウェリアごく僅かに豊胸
99-00 リアン、ルウェリアごく僅かに豊胸

 ◆

シャーロット「うふふ……現代エルフ流豊胸術の極意は伝授したわ。後はあなたたち次第よ!!!」

ルウェリア「…………」

リアン「…………」

ルウェリア「まあ……やるだけやってみよっか」

リアン「う、うん……。せっかく教わったんだしね」

 ◆

リアン(その後……私たちはしばらく実践してみたけれど、特に変化することはなかった)

リアン(まあ、そんな簡単に大きくなるわけないしね)

リアン(実際、無理して変わろうとする必要はないと思う。その人にあった、自然なお胸でいるのが一番だよ)

リアン(ふと、そんなことを考える私なのであった――――……)

 ◆

―7月4週 テスト結果発表
 廊下

 ガヤガヤ…

掲示板「順位一覧」

ルウェリア「私の順位は……よし! 上位三割に入ってる!」

サーナ「わたくしも上位三割ですわ! ノルンは……上位一割! くっ、やはり流石ですわね……!!」

ノルン「あ、あはは……。そうだ、リアンちゃんは?」

リアン「――」


↓1コンマ リアンの成績 テスト対策+++により難易度緩和
01-10 赤点ギリギリ回避
11-20 上位六割
21-30 上位五割
31-40 上位四割
41-50 上位三割
51-60 上位ニ割
61-96 上位一割
97-00 一位

リアン「…………」ジワ…

ノルン「あっ……あっあっ……! り、リアンちゃん……!!」

ルウェリア「し、仕方ないよ! リアンちゃんはここに来て慣れないことばかりだったろうし……いろんなこと、やらなきゃならなかったんだから……!!」

サーナ「そうですわ! 赤点じゃなかっただけでもヨシですわよ!」

リアン「うっうっ……上位の皆さんに言われても……」ジワワ…



アリム「…………」(←上位二割。目立つのを避ける為にわざと何問か間違えた。なお国語は満点)

アリム「……煽ってやろうかと思ってたのに……あいつ……」

アリム「…………この前は自動車に轢かれかけるし……全くもう……」

アリム「………………ふふっ。本当に、馬鹿リアンなんだから……」

 ◆

本日はここまで
次回、ついに海底遺跡突入編です。お楽しみに

―7月4週 週末
 東海岸 魔法潜水艇

エンシァン「これより遺跡探索部は海底遺跡攻略作戦を行う! 魔法潜水艇、発進だ!!」

リエム「魔法潜水艇、発進します。振動に注意してくださいませ」

 ズズズズ……クォォォ――――


リアン「リエムちゃん、潜水艦の操縦もできたんだ……!」

アリム「厳密には違うわ。リエムはこの潜水艇にごく簡単な指示を与えているだけで、実際に計算や調整を行いながら動かしているのはこの船自身よ」

シャーロット「オートマチック車みたいなものかしら」(E:魔法潜水服)

アリム「どちらかと言うと自動運転ね」


魚の群れ『――』

ルウェリア「すごい! 窓の外……!!」

ルル「わあ……!! お魚、いっぱい……!!」

サーナ「まるで水族館……いいえ、本物でしたわね……!!」

ノルン「……なんだか、ロマンチックかも……」

 ◆

―海中 魔法潜水艇

シャーロット「だいぶ暗くなってきたわね……うふふ……」

エンシァン「かなり深いところまで来たのだろう。目標にも近い。各自、準備はできているか?」(E:魔法潜水服)

リアン「う、うぅ〜……これ、デザインもう少しなんとかならなかったんですか……?」(E:魔法潜水服)

ルル「ノルン、ぱつぱつ」

ノルン「あ、あんまり見ないで……///」(E:魔法潜水服)

サーナ「でもこれはこれで悪くありませんわ! わたくしの肉体美、とくと目に焼き付けなさいまし!」(E:魔法潜水服)

ルウェリア「…………考えてみたら、こういう格好に関しては私みたいな体型の方がそんなに目立たなくて良いのかも……」(E:魔法潜水服)

エンシァン「我々以外にお前たちのその姿を見る者など、海の生物か遺跡の古代遺物くらいだ。羞恥心で実力が発揮できないなどということがあっては困るぞ」

シャーロット「エンちゃんは恥じらいがなさすぎよ。少しはノルンちゃんを見習って?」

ノルン「やめてください!!!///」

 ◆

―深海 海底遺跡前

 ガゴォン… ブクブク…

リアン(エンシァン先生がハッチを開け――私たちは、ついに深海へと歩み出た)

リアン(深海の冷えた水が、素肌に染み渡る。魔法潜水服は競泳水着のような形をしているがその保護機能は全身に及ぶため、私たちが水圧で潰れたり冷たさで凍死したりすることはない。これは私たちがテスト勉強をしている間にエンシァン先生たちによって検証された事実だ)

リアン(そして何より……)


サーナ「まあ!? わたくし、水中なのに全然機敏に動けますわ!!」シュババッ

ルウェリア「ていうか喋れてる! 水中なのに!」

ノルン「ほ、本当にすごい装備なんだ……。見た目はこんななのに……///」

リアン(私たちは、深海でも地上と同様の活動を行えるようだった)

エンシァン「よ、よし……水中にいるというのに普通に動けるのが気持ち悪いことこの上ないが……皆、目前の海底遺跡は見えているな!」


リアン(目の前に、暗い深海の中で静かに佇んでいる大きな建造物が見える。海水による浸蝕が進んでいるのかところどころ崩れており、栄華を誇った時代の面影はもはや残っていない)

リアン(……あれ? こんな状態なのに対魔法障壁が機能しているの?)

 ◆

―海底遺跡前 魔法潜水艇

アリム「……あれが、海底遺跡?」ジッ

リエム「わたしの地図情報にある〝海浜療養所〟との一致が見られます」

アリム「かいひん……りょうようじょ……?」

アリム(おかしい……なぜリエムが保持しているような基本情報を、わたしが持っていない……?)

アリム(しかも、ただの療養所だと? そんなもの、わたしが持っていない理由が――――)

アリム(――――ッ!!!)

アリム「リエム! あいつらを全員呼び戻せ!!!」ガタッ

ルル「わっ、いきなりどうしたの?」

リエム「……? この魔法潜水艇と魔法潜水服には、互換性のある通信機能がありません」

アリム「…………ッ!!」

アリム(まずい……まずいまずいまずい! なんでよりにもよって、わたしもリエムも救援に向かえないような場所に――)

アリム(いや――だからか――。他の人造種が容易に近付けないからこそ――――)

アリム(いっそ、水圧でペシャンコになるのを覚悟で――)

アリム(いや、そんなことをしても海の藻屑が一つ増えるだけだ。他にできることは――)

 ガゴォン… プシューッ…

エンシァン「はあ、はあ……戻ったぞ。クソッ、深海など二度と御免だ。いかにこの装備が優れていようと――」

アリム「エンシァンッ! 今すぐあいつらを呼び戻しに行って!!」

エンシァン「――は? おい、それはどういう――」

アリム「このままじゃ、あいつら全員死んじゃう!」

ルル「ふぇ……?」

エンシァン「――なんだとッ!!!?」

リエム「――――え?」

 ◆

―海底遺跡 踏破率[0/50]
      合計踏破力[14] 合計戦闘力[18] 合計持続力[20/20] 防御[10]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+6、持続力+8)〈水耐性〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)〈聖域〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)

 ※水中補正により、リアンの全ステータスが二倍になります


 ――ガオン!


リアン(先生が開けた対魔法障壁の穴から、私たちはするりと海底遺跡に侵入した)

リアン(ちなみに穴を開けた当人である先生は、顔を青くさせながら急いで潜水艇に退避していった)

リアン(本当に水が苦手らしい……)


シャーロット「……朽ち果てているわね」

ルウェリア「そうですね……。そういえば今までの遺跡は原型を保っているものばかりでした」

サーナ「わたくしはこれが初遺跡ですわ。初めてが海の底なんて、やっぱりわたくしはツイていますわね!」

ノルン「初めてがこんなえっちな格好なんて、私は全然ツイてないよ……」

リアン「……で、でも私……ノルンさんのそういう格好も素敵だと思う……!」

ノルン「……///」

ルウェリア「……リアンちゃんって、けっこう天然だよね」


↓1コンマ
01-05 踏破率+14、深海ザメ
06-30 踏破率+14、深海ピラニア
31-60 踏破率+14
61-90 踏破率+14、良イベント
91-00 踏破率+14、??

―海底遺跡 踏破率[14/50]
      合計踏破力[14] 合計戦闘力[18] 合計持続力[19/20] 防御[10]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+6、持続力+8)〈水耐性〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)〈聖域〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)
 ※水中補正により、リアンの全ステータスが二倍になります


リアン「…………静かですね」

シャーロット「今まで対魔法障壁によって封鎖されていたのだもの。対魔法障壁は魔法だけでなく物質の通過も阻むから、この海底遺跡は限りなく無生物に近かったはずよ」

ノルン「でも、じゃあ何で海水による浸蝕が起きているんですか? それなら海水も通過できないはずです」

シャーロット「地下から染み出したか、あるいは以前にも対魔法障壁に穴が開いたことがあったのかもしれないわね。それを調べる為の調査でもあるのよ、これは」

サーナ「遺跡探索って、面白いからって理由だけで遺跡に侵入するわけではないんですのね」

ルウェリア「うちの顧問は面白いからって理由だけで遺跡に侵入するけどね」


↓1コンマ
01-05 踏破率+14、深海ザメ
06-40 踏破率+14、深海ピラニア
41-50 踏破率+14
51-90 踏破率+14、良イベント
91-00 踏破率+14、??

―海底遺跡 踏破率[28/50]
      合計踏破力[14] 合計戦闘力[18] 合計持続力[18/20] 防御[10]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+6、持続力+8)〈水耐性〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)〈聖域〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)
 ※水中補正により、リアンの全ステータスが二倍になります


深海ピラニア「」ワサワサ

ルウェリア「え、ええええ!? 言ったそばから生物が来てますよ!!?」

シャーロット「今エンちゃんが開けた穴から早速侵入してきたのかしら!? わ、私弱いからみんな頑張って!!! サポートは頑張るから!」

ノルン「わ、わかりました! 光よ……!!」ヴゥーン…

サーナ「この潜水服があれば水中でも飛行できますわね。……自分で言ってて意味がわかりませんけど」フワッ

リアン「よおし……テストの結果がひどかった分、ここで汚名挽回するよ……!!」ギュオオオ


 ◆深海ピラニアの群れ 合計踏破力[10] 合計戦闘力[15] 合計持続力[10/10] 防御[5]

↓1コンマ リアンの〈水耐性〉発動! 受ダメージ1/2
01-05 痛恨 味方に5ダメージ
06-15 失敗 味方に2ダメージ
16-95 成功 敵方に13ダメージ 撃退
96-00 会心 敵方に26ダメージ 撃退

計算を間違えました。正しくはこっち
↓1コンマ リアンの〈水耐性〉発動! 受ダメージ1/2
01-05 痛恨 味方に5ダメージ
06-95 成功 敵方に13ダメージ 撃退
96-00 会心 敵方に26ダメージ 撃退

―海底遺跡 踏破率[28/50]
      合計踏破力[14] 合計戦闘力[18] 合計持続力[18/20] 防御[10]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+6、持続力+8)〈水耐性〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)〈聖域〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)
 ※水中補正により、リアンの全ステータスが二倍になります


リアン「アクアシュート! アサルトシャワー!! きぐるみアーマー!!!」バシュンバシュシュシュゴゴゴゴブンブン

深海ピラニア「」っっっ


サーナ「逃げていきましたわ……」

ルウェリア「水中でのリアンちゃん、すごく心強いね。ちょっとピラニアがかわいそうになるくらい……」

ノルン「リアンちゃん、お疲れさま。張り切るのも良いけど、無理はしないでね」

リアン「えへへ、ありがと。でも今回は張り切らせて!」

 ―戦闘終了―


シャーロット「うふふ、サポートするまでもなかったわね。じゃあ探索を再開しましょう!」


↓1コンマ
01-05 踏破率+14、深海ザメ
06-15 踏破率+14
16-90 踏破率+14、良イベント
91-00 踏破率+14、??

―海底遺跡 地下 踏破率[42/50]
      合計踏破力[14] 合計戦闘力[18] 合計持続力[18/20] 防御[10]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+6、持続力+8)〈水耐性〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)〈聖域〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)
 ※水中補正により、リアンの全ステータスが二倍になります


ルウェリア「見たところそんなに広くはないですね。見える範囲は粗方探し尽くした気がします」

ノルン「シャーロット准教授は何かわかりましたか?」

シャーロット「ここは医療施設か、あるいはそれに近いものだった可能性が高いわ。とは言っても水の浸蝕が酷くてなかなか決定的なものが見つからないのよね……」


サーナ「皆さんこちらへ! 面白いものがありましてよ!!」

リアン「サーナさんがすごいものを見つけたよー!」

シャーロット「見せて見せて!!」タタタッ


↓1 良イベントコンマ
01-30 海洋深層エーテルリキッド(持続力6回復、超過分はストック)
31-60 深海ザメの牙(今回の探索が終わるまで戦闘力+4)
61-90 水魔力の結晶(次回戦闘時、最初の1ターンのみ戦闘力+10)
91-00 上記全て

―海底遺跡 地下 踏破率[42/50]
      合計踏破力[14] 合計戦闘力[18] 合計持続力[17/20] 防御[10]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+6、持続力+8)〈水耐性〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)〈聖域〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)
 ※水中補正により、リアンの全ステータスが二倍になります


リアン「見て! ここ、すっごい純度の高いエーテルリキッドが溜まってる……!」

ノルン「わあ……綺麗……」

サーナ「フフ、わたくしの目からは逃れられませんわ! これを飲んで魔力回復ですわよ!」

ルウェリア「…………どうやって飲むの?」

サーナ「あ…………」

シャーロット「……もったいないけど、これは放置するしか……」

リアン「ま、待って! 私の水魔法で、これを良い感じにしてみる。…………よし、特性癒やしの水!」ポワン

サーナ「!!」ポワン

ノルン「んっ……」ポワン

ルウェリア「はぁ……これは……」ポワン

シャーロット「効くわねぇ……」ポワン

 合計持続力が6回復しました


↓1コンマ
01-05 深海ザメ
06-90 踏破
91-00 ??、踏破

―海底遺跡 地下 踏破率[50/50]
      合計踏破力[14] 合計戦闘力[18] 合計持続力[22/20] 防御[10]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+6、持続力+8)〈水耐性〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)〈聖域〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)
 ※水中補正により、リアンの全ステータスが二倍になります


リアン「……? 何か、水の流れが――」

リアン「あ!」

リアン(崩れた建物の隙間――その下から、奇妙な水の流れがあった)

リアン(試しに水を操って瓦礫をどけてみると……下に真っ暗な闇の広がる、階段が隠されていた――……)


リアン(……ものすごく、嫌な予感がする……。あの闇の中に、途轍もなく忌まわしいものが潜んでいるような……)

リアン(報告すべきだろうか? シャーロット准教授なら……きっと、突入しようとするだろうけれど……)

リアン(今なら……何も言わず、瓦礫で塞ぎ直すこともできる……)


↓1 どうしよう……
1.瓦礫で塞ぐ
2.報告する

本日はここまで

リアン(いや……報告しよう。ここで報告しないのは、准教授だけでなくみんなに対する裏切りだ)

リアン(私は遺跡探索部なのだから。遺跡の秘密は、解き明かさないと)

 ◆

シャーロット「……この崩れ方……やっぱり、水圧や海蝕によるものじゃない……」

シャーロット「恐らくは――海に沈む前に、既に崩落していた……」

シャーロット「そしてこの対魔法障壁も――崩落した後に、設えられたもの――……」

シャーロット「崩落した施設をわざわざ保護する意味は? 一体何を、何から守るために――」

シャーロット「あるいは、〝中にいる何かを閉じ込めておくため〟?」

シャーロット「――…………調べてみたい。けれど――もし、最悪のケースだったら――」

シャーロット「…………それどころじゃないわ」



リアン「先生! えっと……瓦礫の下に、階段が――」

シャーロット「――! リアンちゃん、それはどこ?」

リアン「はい、あの――」


 ガグオン―…‥・


リアン(それは――何の音だったのだろう)

リアン(振り返ってみると、粉々に砕けた瓦礫が水中を舞っている様子が見えた)

リアン(なんで――急に、瓦礫が――)

 ぎゅっ

リアン(!!? な、何かが、私の体を――抱きしめた――!?)


???「寂しかった……真っ暗な闇の底に、ずっと、ずぅっと……独りぼっちだったんだよ、わたし……」

???「でもやっぱり――ルアンは、助けに来てくれた。信じてたもの。ルアンなら、絶対に来てくれるって――」

???「今度こそ、わたしたちで――何もかも水に沈めて――みんな、終わらせようね――……」


リアン(その声が何を言っているのか――私には、さっぱりわからなかった)

リアン(ただ――想像を絶するほどのさびしさと、かなしさと、あいと――)

リアン(深く深く、昏い――――絶望の響きを孕んでいた――……)


ルウェリア「……だ、誰!? リアンちゃんから離れて!!」

???「……? ルアン、こいつ誰? なんで……こんなのが、一緒にいるの?」

サーナ「……人違いでしてよ。その人はリアン。ルアンという名ではありませんわ」

???「え――?」パッ


リアン(抱きしめる力が離れた。私は、そっと振り返る――)

リアン(そこにいたのは――まるで和人形のように真っ黒な長い髪を、水に揺らめかせた―ー一糸まとわぬ姿の、小さな女の子だった――)

リアン(多分、人造種だ――……)


???「ルアンじゃ、ない……。あなた、誰……?」

リアン「私……リアン・ロールセン。その……ルアンって人じゃ、ないよ……」

???「…………ルアンは?」

ノルン「……ここには、いないの。ごめんね」

???「…………」


リアン(その子は、呆けた表情で固まった……。少し、いたたまれない)

???「……もう、気が遠くなるくらい永い時が流れたんだもの。人間のルアンが、今もまだ生きてるわけないよね」

???「……でも……ルアンがいなくたって、わたしは一人じゃないもの――」

???「わたしには――――今までに死んでいった全ての人造種のかなしみが――味方してくれるから――」ズズズズ…


リアンたち「――――!!!?」


???「見てて、ルアン。わたし、あなたがいなくても――みんなを、救ってみせるよ」ズズズズズ――


リアン(黒髪の少女に――おびただしいほどの魔力と、闇の気配が集まっていく――)

リアン(私たちは――とんでもない存在を目覚めさせてしまったのかもしれない――……)



―海底遺跡 地下 踏破率[50/50]
      合計踏破力[14] 合計戦闘力[18] 合計持続力[22/20] 防御[10]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+6、持続力+8)〈水耐性〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)〈聖域〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)
 ※水中補正により、リアンの全ステータスが二倍になります


 VS
 ◆??? 合計踏破力[??] 合計戦闘力[??] 合計持続力[??/??] 防御[??]
 〈呪詛人形〉闇属性ダメージを吸収する
 〈救済の祈り〉攻撃成功判定を痛恨判定に変更する
 〈約束〉持続力が0になっても斃れない
 〈水の加護〉水中戦闘時、全ステータス二倍


↓1コンマ
01-95 痛恨
96-00 会心


サーナ「――」

ルウェリア「――」

ノルン「――」

シャーロット「――」

リアン「――…」


リアン(わたしたちは――何をされたのだろう――)

リアン(ただ、とても眠くて――)

リアン(ふわふわと水中を漂うのが、心地良かった―――……)


???「おやすみなさい……。くるしみとかなしみに満ちた生とは、永遠にお別れして――」

???「二度と目覚めることのない、無の安寧に身を委ねて――」


 ガオン!!


???「いたっ……なに?」


エンシァン「お前たちしっかりしろ!!」

シャーロット「はっ!!? これは――キュアフィールド!!」ポワワワン

ノルン「え――?」

サーナ「わ、わたくし!?」

ルウェリア「い、一体何が――」

リアン「――先生!!!」

エンシァン「撤退するぞ!!!」

ルウェリア「はい!」
サーナ「ですわ!」
ノルン「はい!」
シャーロット「ええ!」
リアン「は、はい! 殿は私が――!」


 ダダダダダッ


リアン(私たちは、脇目も振らず全力で走った。そうするしかなかった)

リアン(殿の私は、皆に追い波を、後ろに向かい波を起こして――少しでも、逃げ延びる確率を上げる努力をした)

リアン(でも――さっきの黒髪の少女は、魔法潜水服を着ているわけでも水魔法を使うわけでもないのに、なぜか水中でも平然と機敏に動ける様子だった。そんな相手を私の起こす波程度で妨害できたかどうかは、正直わからない)

リアン(しばらくして後ろを見ると、追ってきてはいないようだった……)

 ◆

―魔法潜水艇

 ガゴォン プシューッ

リエム「リアンさまっ!」トテテッ

リアン「リエムちゃん!」ギュッ

エンシァン「感動の対面のところ悪いが急いで発進してくれ! いつ奴が来るかわからん!」

アリム「――よし! 全員乗ったわね! 出るわ!」

 クォォォ――


リエム「リアンさま……リアンさま……」グスグス

リアン「リエムちゃん……ごめんね、心配かけちゃって……」

ルウェリア「リエムちゃん……。良かった、私たち生きて帰れて……」

アリム「ったく、主人に泣きつく魔法人形なんて初めて見たわよ……。でもま、全員生きてて良か――コホン。死に損なったみたいね、お前たち」

ノルン「あはは……生きて、またアリムちゃんの憎まれ口が聞けて良かったよ……」

サーナ「何だったのかしら……あの女の子……」

シャーロット「………アリムちゃん。操縦中のところ悪いけど、映像データと魔力パターンの記録を取ってあるから、解析してもらっても良い?」

アリム「望むところよ。ほとんど自動操縦だから手も空いてるしね」

 ◆

アリム「…………あれは、恐らく――人造種の記憶・記録・メモリーを回収する機能に特化した魔法人形――通称、エピタフ型。人造種の管理・発展を目的として生まれた人造種ってところかしら」

ノルン「え? 明らかに常軌を逸した戦闘能力を持っていたけれど……」

アリム「……確かに、エピタフは本来、攻撃や戦闘の為の能力は全く持っていない魔法人形よ。本来は、ね」

サーナ「どういうことですの?」

アリム「エピタフ型は――回収した記憶を自己学習することによって、本来の仕様を大きく逸脱した能力を獲得することがあったの。戦闘を有利に運ぶ行動パターンとかだけでなく、本来使えないはずの魔法や、搭載されていないはずの機能を使えたりしたのよ。わけのわからないことにね。当時は『霊媒』なんて言われてたわ」

リアン「霊媒……」

アリム「今回の映像や魔力パターンを見る限り――やっぱりアレは、エピタフである可能性が高い。人造種のかなしみを背負っているかのような言動も、エピタフ型ならではの感覚だとすれば辻褄が合うわ」

リアン「…………どうにか、してあげられないのかな」

アリム「フン、またリアンの悪癖が始まったわね。言っておくけど、あいつは絶対に無理よ。海底療養所への封印や、わたしたちの記憶が入念に消されていたことを踏まえると――あいつ、過去に大規模な破壊活動を行った可能性が高い上――下手をすると文明の崩壊に一枚噛んでる可能性すらある。絶対に関わってはならない相手よ」

ルウェリア「…………そんな相手を、封印から解放しちゃって大丈夫なのかな」

アリム「…………」

シャーロット「…………」

エンシァン「…………」

ノルン「ひょっとして……」

サーナ「めちゃくちゃヤバいんですの!?」

アリム「まあ……なるようになるわ。多分」

 ◆

―どこかの遺跡

魔鍵「…………」

魔鍵「ストロードール……生きていたのですね」

魔鍵「また、この島を――いえ、今度こそ世界を滅ぼすつもりですか」

魔鍵「…………」

魔鍵「まあそれも良いでしょう。そもそも存続させる価値なんてありませんし。こんな世界」

魔鍵「フフッ……資源の有効活用だの、リサイクルだの、馬鹿馬鹿しい。湯水の如く浪費して、木端微塵に消し飛ばしてやる」

魔鍵「こんな、下らない世界――」


――――

――

 ――海底遺跡 踏破完了――

 ☆エンシァンが〈貫通〉(攻撃成功時、確率で相手の防御を50%無視する。会心の場合は100%無視)を習得しました


―8月1週 夏休み
 リアンの部屋

 ミーンミンミンミン…

リアン(というわけで……いろいろあったけれど、夏休みだ)

リアン(なんか悩みのタネばかりが増えていって、何一つ解決していない気がするけど……)

リアン(いや! とにかく今は夏休みだ!!)


リエム「リアンさま……」ギュッ

リアン「リアンちゃん……よしよし」


リアン(リエムちゃんはあれから、私から離れたがらなくなった)

リアン(可愛いと言えば可愛いけれど……これはこれで問題かもしれない)

リアン(まあ、慌ててどうにかするようなことでもないか。一緒にいたいのなら、一緒にいてあげよう……)

リアン(ところで夏休みの予定は……どうなってたっけ……)


―次の遺跡発見率[139/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4)〈水耐性〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)〈貫通〉
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・黒髪の少女に備える

8月1週の行動です。夏休みです
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、何らかの特殊なイベントが発生することがあります なお本日はここまで

―8月1週 某日
 寮 アリムの部屋

 ミーンミンミンミン…

アリム「…………」

アリム「……暇ね」

アリム「……工場で取ってきたデータの調整でもしてようかしら。意外と難航してるのよね」

アリム「わたしだけならともかく、リエムにも飲ませるならちゃんと綺麗にしておきたいし――」

 ピコン

アリム「……学院に転入する時に支給された端末か。学院の連絡事項を閲覧する為だけにしか使ってないわね」

アリム「有効活用しようにも、現代水準で見てもあまり性能が高いとは言えないし……。まあとりあえず通知だけでも見ておくか」

端末『本日、新西区のスポーツレジャーセンターで草テニス大会がありますわ! 暇な方はわたくしと一緒に是非参加してくださいまし!!』

アリム「…………」

アリム「さて、データの調整でも――」

 ピンポーン

ルル『アリムー! テニス大会いこー!!』

アリム「……ルルの頼みなら仕方ないわね。ふふっ」スクッ

 ◆

―新西区 スポーツレジャーセンター

サーナ「来ましたわね!」

ルル「サーナ!」

アリム「ルルの付き添いよ。人間のお遊戯に付き合う気はないから」

サーナ「あら、負けるのが怖いんですの?」

アリム「ふっ、安い挑発ね。怖いと言うなら、誤って相手を殺してしまう可能性の方が怖いわ」

ルル「…………アリム、テニスで人は死なないと思うけど……」

アリム「テニスってラケットという道具で硬いボールを互いにぶつけ合う野蛮な競技でしょ?」

サーナ「……認識が微妙におかしいですわね」

 説明中・・・

アリム「ええ!? なんでボールを打ち返し合うの? それ何の意味があるの!?」

サーナ「意味――それは、そこにボールがあるから――ではなくて?」

ルル「す、すごい……!!」

アリム「いや文字通り意味わかんないわよ!」

サーナ「とにかくわたくしたちは参加決定ですわ! 参加登録もしておきましたからお互いに頑張りましょう!!」

ルル「わー! ルルがんばる!!」

アリム「むむむ……わけがわからないけど、まあやってればわかるかしら……」

 ◆

 パコン パコン

実況「ルル選手、幼いながらも機敏な動きだ! 対する――」

 スパッ

実況「――え?」

ルル「あっ……」

 ◆

ルル「……」ジワワ…

アリム「ルルは何も悪くないわ。このスポーツのルールが悪いのよ。ボールを斬っただけで反則負けなんてどうかしてるわ……」

サーナ「想定外すぎてやむなく失格にしたんだと思いますわ……」

 ◆

アリム「で……いきなり?」

サーナ「一回戦でいきなりアリムとは……! 今日はツイてない――いいえ、むしろツイてますわね!」

アリム「見学の範囲でルールは把握したけど、経験差のアドバンテージはくれてやるわ。一瞬で追い越すけどね!」

サーナ「ふふっ、そう来なくては! ではいきますわよ――!!


↓1 勝敗
偶数 サーナ勝利
奇数 アリム勝利

実況(その試合は――実質的な決勝戦だったと後に語られている――)

実況(ゲームを先にリードしたのは風のような俊敏性、早撃ちを得意とするサーナ選手――)

実況(対するアリム選手は――初めの方こそ、やや拙さの目立つフォーム、足さばきだったものの――)

実況(試合が進むに連れて、見違えるように――無駄のない完成された動きへ近付いていった――)

実況(そして最後には、サーナ選手のリードを覆し――逆転勝利を収めたのだ――)

実況(その後のことは――アリム選手がそのまま、破竹の勢いで優勝してしまったという事実しか覚えていない……)

実況(私は……実況失格だ)

実況(その大会が……私の生涯最後の実況となったことを知る者は少ない……)

実況(あの、ボールを斬った女の子は……元気にしているだろうか……)

 ◆

 ワーワー キャーアリムチャーンダイテー

アリム「…………」

ルル「わー! おめでと、アリム!」パチパチ

サーナ「優勝おめでとうございますわ、アリム!」

アリム「……今更だけど、魔法人形が人間の大会に出場して優勝とかズルじゃない?」

サーナ「細かいことは良いのですわ! 人も魔法人形も大した違いなんてありませんもの!」

アリム「そ、それはどうかしら……」

ルル「えへへ……みんな一緒で、いいと思う!」

アリム「…………ふふっ、まあたまにはそれでも良いのかもね」


↓1 優勝賞品
01-30 ティッシュ一年分
31-60 金メッキのトロフィー
61-90 現金(エンシァンの給料一ヶ月分程度)
91-00 ??

―アリムの部屋

金メッキのトロフィー「」キラキラ

アリム「…………」

アリム「こ、これ……邪魔……!」

アリム「目に染みるのよ……下品な光沢のある金色が……!!」

アリム「しかも中身はプラスティックだし軽いし……!!!」

アリム「……部室にでも飾っておきましょう……」


 ☆部室に『金メッキのトロフィー』が飾られました

 ◆

―8月1週 某日
 北側 岩山

リアン(私とノルンちゃんは今日、ユリトー島北側にある、岩山地形が連なる場所へと来ていた)

リアン(目的は……特訓だ)

リアン(なぜこんな辺鄙な場所まで来なきゃならなかったかと言うと、行楽シーズンの今は自由に使える広い場所がほとんどないからだ……)


リエム「どうか……お怪我をなさらないよう……」

リアン「ありがとう、リエムちゃん。気を付けるよ」

ノルン「うん……。ごめんねリエムちゃん、リアンちゃん借りるね」

リエム「はい……。何かありましたら、すぐにお申し付けくださいませ……」ススッ…


ノルン「それじゃあ――始めよっか」ヴゥン―

リアン「う、うん! いつでもどうぞ……!」ボワン…

ノルン「それじゃ遠慮なく――サンライト!」カッ!

リアン「バブルバリアっ! アサルトシャワー!」バシュシュシュシュッ

ノルン「当たらないよ! そこ、ホーリーレイ!」ササッ バギュゥン!

リアン「っ、ジェルシールドっ!! アクアカッター!」ジジジジ ギュアッ

ノルン「はっ! オプトステルス―」フッ

リアン「えっどこ!?」キョロキョロ

ノルン「――シャイニングフィンガー」ギュッ

リアン「あっ――」

 ンアーッ


リアン「はひっ、はひっ……ノルンしゃ……も、やめへぇ……」ビクンビクン

ノルン「ご、ごめんね……! リアンちゃんの反応がかわいくて、つい……。ヒールライト!」ポウ

リアン「うぅ……。私、地上じゃやっぱり……」

ノルン「そんなことないよ……。でもリアンちゃん、動きが素直だから相手にちょっと読まれやすいかも……」

リアン「や、やっぱりそうなんだぁ……。私がこんなんじゃ、ノルンさんの特訓にならないんじゃ……」

ノルン「そんなことない!! リアンちゃんがいるから、まだ強くなりたいって思えるんだよ、私……!」

リアン「え……?」

ノルン「…………あの時――私、何もできなかったから。みんなが――リアンちゃんが、殺されそうになってたのに――」

リアン「あ―――」

リアン(それはきっと、あの黒髪の――エピタフ型の女の子との――)

ノルン「悔しかった。私の今までの努力って、何だったんだろうって……ちょっと、嫌になっちゃうくらい。断絶した、力の差があったよね」

リアン「…………」

ノルン「でもそんな泣き言を言っても、どうにもならないから。少しでも、塵の一つでも積んでいかないと。そうでないと、みんなを――リアンちゃんを――」

ノルン「大切な人たちを、守れない――……」


リアン「――…」

ノルン「――――あ、あはは。ごめんね、なんかクサいこと言っちゃった……。え、と……今日は、もう……終わりに――」

リアン「ううん。続き、やろ……!」スクッ

ノルン「リアンちゃん……!」

リアン「私……私も、強くなる……! 強くなって……ノルンさんの特訓相手になれるように、なる……! だから……鍛えて……!!」

リアン「私も――私だって、みんなを守りたいから――――!!」

ノルン「―――!! わかった……! じゃあビシバシ行くから――覚悟、してね……!!!」

リアン「う、うん! 覚悟、する!!!」


リアン(そうして私とノルンさんは、日が暮れるまで特訓に明け暮れた)

リアン(ものすごくキツかったけど、どうやらノルンさんは人知れずこんな努力を続けてきたらしかった)

リアン(……私も、負けてられない。同年代なんだもの、追いつけないことはないはず)

リアン(次は、ノルンさんの特訓相手になれたら良いな――)


リアン(しかしこの時私たちは、特訓に夢中で……気付くのが遅れてしまった……)


リエム「…………はあ、はあ……。あ、う……」クラクラ


リアン(リエムちゃんの、異変に……)

 ◆

↓特訓の成果
01-90 リアン能力強化
91-00 リアン能力大強化

 ☆リアンの〈水耐性〉が〈水の守り〉に変化しました
  〈水の守り〉(痛恨無効。さらに味方の受ける水属性ダメージを1/4にする)

―8月1週 某日
 リアンの部屋

リエム「…………?」

リアン「よ、良かった……! 気が付いた……!!」

リエム「…………りあん、さま……?」

リアン「あ、起きないで! じっとしてて! 今リエムちゃんは――人間で言うところの、風邪みたいな症状らしいから……」


リアン(ノルンさんと特訓している最中に、リエムちゃんは倒れた。顔色が悪くて、呼吸も乱れていて……私たちは、ものすごく焦った)

リアン(慌ててリエムちゃんを背負って帰り、アリムちゃんに診てもらったところ――さっき言ったようなことを診断されたのだ)

リアン(滅多になるような症状ではないらしいけれど、命に別状はないからしばらく安静にしていれば治るのだという)

リアン(原因は情緒機能の活性化がどうとか…………。正直よくわからなかった。治った時には、活性化した情緒に対応した状態になっているのだそうだ)

リアン(とりあえず、しばらくは私が面倒を見てあげなきゃ。いつもと立場逆転だ!)


リアン「リエムちゃん、おかゆ食べられる?」

リエム「…………はい、りあんさま……」

リアン「ふふ、じゃあ食べさせてあげる。あーんして」

リエム「あ――そ、そのようなことを、りあんさまに……」

リアン「病人が意地を張らないの! ほら、あーん」

リエム「……はい」

リアン(リエムちゃんは、頬を赤く染めながら口をあーんと開けた。かわいい……)

リアン「はい、どうぞ」

リエム「あむ……」モグモグ

リアン「熱くない?」

リエム「ごくん……。はい……ほどよい、です……」

リアン「良かった。ゆっくり食べてね。はい、あーん――」

リエム「あぅ……」

 ◆

―お風呂

リアン(風邪のようなものではあるけれど、風呂には入っても良いとアリムちゃんは言っていた。だから、今日は私がリエムちゃんを隅々まで洗ってあげよう!)

 シャワー

リエム「あ……」

リアン「ふふ、今日くらいは私がリエムちゃんを綺麗にしてあげる。いつもは一人でテキパキ洗っちゃうんだもん」コシコシ

リエム「あっ……だめ、です……んっ……りあん、さま……っ」

リアン「大丈夫、大丈夫……。私に任せてね……」

リエム「りあん、さま……」

リアン(弱々しく私に身を委ねるリエムちゃん……。瞳はトロンと蕩け、切なげに私を見つめている……)

リアン(あ、やばい。なんかイケない気持ちになっちゃいそう。落ち着け、落ち着け私……)


 カポーン

リアン「お湯加減はいかかですか、リエムちゃん」

リエム「はい……。とても、ここちよいです……」

リアン「のぼせない内に上がろうね」

リエム「はい……」


―リアンの部屋 ベッド

リアン「今日も一緒に寝よっか」

リエム「はい……」

リアン「大丈夫……一緒にいるから。いなくなったりしないから」

リエム「はい……りあんさま…………」

リアン「手、つなご」

リエム「あ……」

リアン「おやすみ、リエムちゃん」

リエム「……りあんさま………おやすみ、なさいませ…………」


リアン(そうしている内に、リエムちゃんは静かな寝息を立て始めた。かわいい)

リアン(そういえば、リエムちゃんが眠っているところはあまり見たことがなかった)

リアン(いつも私が寝入るまで寝ず、朝も私より先に起きているから――)

リアン(……ありがとう。いつも、とっても頑張ってくれて)

リアン(なんて、言葉にして伝えなきゃ意味ないよね。明日、起きたらちゃんと言おう)

リアン(……私も、眠くなってきた…………)

 ◆

リアン(そんなような日が何日か続いた)

リアン(ほんの束の間の、立場が逆転した不思議な日々)

リアン(けれどその数日で――私はとても大切なことを再確認できた気がする)

リアン(……リエムちゃんの見つけた意志が、私と一緒にいることなら――)

リアン(私は、リエムちゃんという素敵な女の子が一緒にいるのに相応しい人間になろう)

リアン(なんて――肩肘張るのは、私たちには似合わないか)

リアン(これからもよろしくね。リエムちゃん――――)

 ◆

―8月2週 夏休み
 リアンの部屋

リエム「リアンさま、ご迷惑をおかけいたしました」ペコリ

リアン「リエムちゃん。具合はもう大丈夫なの?」

リエム「はい。リアンさまに面倒を見ていただいて、すっかり良くなりました」

リアン「そっか、良かった!」

リエム「はい。またリアンさまのお役に立てるよう、努めさせていただきます」

リアン「……ねえ、リエムちゃん。ものは相談なんだけど……」

リエム「はい、何でもお申し付けくださいませ」

リアン「……たまには、また今回みたいに立場を逆転させてみない?」

リエム「…………」

リアン(リエムちゃんが固まった。や、やっぱりダメだったかな……)

リエム「…………わたしは、はしたない魔法人形です……」

リアン「へっ?」

リエム「……リアンさまに、お世話されるのが……心地良く……」

リアン「!」

リエム「またのそれを……期待、してしまいました……」

リアン「!! い、いいよ! してよ、期待! えへへ……!」

リエム「あぅ……リアンさま………」


リアン(リエムちゃんは頬を赤く染め、俯いてしまった。かわいい)

リアン(それにしても、私のお世話は心地良かったのか! ふふ、なんだか自信付いちゃうなあ〜)


―次の遺跡発見率[233/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)〈貫通〉
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)〈聖域〉
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・黒髪のエピタフに備える

8月2週の行動です。夏休みです
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、何らかの特殊なイベントが発生することがあります なお本日はここまで

本日の更新の前に、ルウェリア姉の人物像を募集したいと思います
内容は失踪前のものをお願いします

【名前】
【種族】人間
【性別】女
【学年】該当なし
【容姿】
【性格】
【魔法】(主に使う魔法や得意とする属性など)
【備考】(来歴や嗜好、その他特徴や長所短所などなんでも)

↓1 ルウェリア姉の人物像

【名前】ルウェイン
【種族】人間
【性別】女
【学年】該当なし
【容姿】水色髪のツインテールで、妹よりかなり背が低い(ルルよりちょい高いくらい)が巨乳
【性格】自由奔放な性格だが、真剣な時なかなり真剣
【魔法】変身魔法が得意で、人間はおろか動物や無機物にも化けられる
【備考】割と何でもできる天才タイプだが、料理と掃除だけはかなり苦手

【名前】ラーチェル
【種族】人間
【性別】女
【学年】該当なし
【容姿】深い青色のウェーブロングな美少女、ルウェリアとは正反対にプロポーション抜群。
【性格】常に落ち着いていて人格者と分かる穏やかな性格だが妹ほどではないにしろ好奇心旺盛
【魔法】創作形成魔法(触れている2つの物体を1つの別物にまとめる事が可能、ただし作りたい物の概念や設計がしっかりされてないと失敗する)
【備考】見知らぬ男性からプロポーズを受ける事がよくあるくらいモテてたが理由を付けて全部フっている(中には強引な輩もいたが実力行使で追い払っている)

ルウェリアの姉は>>497の方に決定しました
以前にも自由安価のことで言いましたが、範囲外にはなるべく投げないようお願いします
とはいえ今までは範囲外のキャラも軽率に採用してきてしまったこともありますので、今回>>498の方は特に差し支えなければルウェリアのママンということにします(登場機会があるかは未定です)。差し支えあればお早めにお申し付けくださいませ
今後は範囲外に投げられたものは自由安価もキャラクターも原則採用しない方針にしたいと思います。いろいろ変更して申し訳ないですが、よろしくお願いします
――――――――――――――――――――――――――――――――

―8月2週 某日 朝
 部室

 ガラッ

ルウェリア「おはようございます」

エンシァン「ルウェリアか……。今日は活動の予定はないぞ」

ルウェリア「……予定がないからと言って、調査を続けちゃいけないわけじゃないでしょう」

エンシァン「そりゃそうだ。まあ座れ。茶を淹れてやる」ガタ

ルウェリア「いや、お茶くらいなら自分で――」

エンシァン「美味い淹れ方があるんだよ」

ルウェリア「はあ」


 トプトプトプ…

エンシァン「ほれ、飲め」スッ

ルウェリア「いただきます……。あつっ……」

エンシァン「真夏に冷房の効いた部室で飲む熱い茶は格別だろう?」

ルウェリア「いや……普通に冷たいお茶の方が良かったです」

エンシァン「可愛げのないやつだ」

ルウェリア「……可愛げ、ですか。ふふっ……どこかに忘れましたよ、そんなもの」

エンシァン「……」

ルウェリア「わかってますよ。リアンちゃんのような優しさも、ノルンさんさんのような強さも、サーナさんのような前向きさも……私には、ない」

ルウェリア「私にあるのは……姉と遺跡への執着心だけです」

エンシァン「…………フッ。去年は今よりあったと思うがな。可愛げ」

ルウェリア「……あの時のことは……もういいでしょ」

エンシァン「まあそう言うな。どうせ活動予定のない日だ。思い出話でもしようじゃないか――」

 ◆



――

――――


―1年前
 遺跡探索部 部室

 ペチャクチャ ヘラヘラ

ルウェリア「――なんですか、これは」

先輩部員A「あ、新人クン? いや、ウチはそんな真面目な部じゃないからさ」

先輩部員B「そーそー、気楽にいこうよ。遺跡調査は顧問が一人で全部やってくれっから!」

先輩部員C「あたしらはそれを文化祭でテキトーに発表すりゃいいだけ。こんな楽な部活ないっしょ!」

ルウェリア「…………」


ルウェリア(話にならない。せっかくユリトー魔法女学院の、遺跡探索部に入ったのに)

ルウェリア(こんな部には期待できない。やっぱり、自分でなんとかするしかない――)

 ◇

―新西区 住宅街

ルウェリア「すみません! 元調査チームの――さんですよね!?」ザッ

元調査員「え……? な、何、君……?」ジリ…

ルウェリア「私、ルウぇリア・モースって言います!」

元調査員「え、モースって……まさか、ルウェインさんの――」

ルウェリア「はい! 姉のことを、お聞きしたくて――」

元調査員「――ごめんなさい、私は何も知らないわ。それじゃ……」スタスタ

ルウェリア「ま、待ってください! どんなことでもいい! 姉がいなくなる前のことを――」

元調査員「知らないって言ってるでしょ!! 遺跡のことは……思い出させないで……っ」タッタッタッ

ルウェリア「……っ」

 ◇

―大学部 渡り廊下

ルウェリア「すみません! 教授の――さんですよね!? 私――」

教授「……ああ、君か。最近、お姉さんのことで元調査チームやその関係者に不躾な聞き込みをして回っているという高等部の一年生は」

ルウェリア「……っ、だ、だから何です!? 私は、姉のことを知りたいだけで――」

教授「我々は何も知らない。君のお姉さんの失踪は、我が学院や調査チームとは一切関わりのない場所で起きたことだ」

ルウェリア「そんな……はずは……」

教授「それとも、彼女が遺跡調査やそれに関連した行動中に失踪した証拠でもあるのかね? ないだろう?」

ルウェリア「…………」

教授「わかったらもうやめなさい。お姉さんのことは気の毒だが、君は栄えあるユリトー魔法女学院の生徒なのだ。我が校の生徒として知性と良識のある行動を心がけてもらいたい」

ルウェリア「…………」


ルウェリア(確かに……姉が遺跡調査中に失踪したという決定的な証拠はない)

ルウェリア(でも……姉の失踪と調査チームの解散は、ほとんど同時期に起こっている)

ルウェリア(そんな偶然あるだろうか。結び付けて考えない方が無理だ)

ルウェリア(でも……大人たちは、私の言い分なんてちっとも―――……)

 ◇

―高等部校舎 廊下

ルウェリア「……」トボトボ

?????「ルウェリア・モース!」

ルウェリア「!?」バッ

ルウェリア(突然名前を呼ばれて、後ろを振り返ると――そこに立っていたのは、ボサボサの白髪にヨレヨレの白衣を着た女性――)

ルウェリア(いや、誰!?)

エンシァン「挨拶が遅れたな。私は遺跡探索部顧問のエンシァン。君が将来有望な新人のルウェリアくん、で合っているかな?」

ルウェリア「え、ええ……。私がルウェリア・モースですが……」

ルウェリア(第一印象は、あまり良くなかった。だってあの遺跡探索部の顧問だ。どうせ顧問もろくでもない奴に――)

エンシァン「ククク……聞いているぞ。手当たり次第に調査チーム関係者に突撃している問題児らしいな?」

ルウェリア「むっ……だから何だってんです。姉のことを……家族のことを追うのがそんなに悪いですか」

エンシァン「いいや! むしろ大変良い! 君、今週末に北側の岩山に来い!」

ルウェリア「え、ええ!? 何でです!?」

エンシァン「巧妙に隠蔽された調査済の遺跡を見つけたんだよ、そこでな……。クク、調査隊の足跡を辿りつつ新人研修ってわけだ!」

ルウェリア「!!!」

ルウェリア(この人は、堂々と不法侵入宣言をした)

ルウェリア(でも――だからこそ、他のどの大人たちよりも信じられると思ったんだ――)


――――

――



 ◆

―部室

ルウェリア「あれから、部室を占拠してた先輩たちを追い出したり、シャーロット准教授に出会ったり……いろいろありました」

エンシァン「シャーロットのアホは調査チームでもなんでもないただの遺跡オタクの癖にいろいろ知っていたからな。ルウェリアの姉君とも知り合いだったようだし」

ルウェリア「はい。お二人に出会えたから……私はなんとか、ここまで折れずに来れました」

エンシァン「謙遜するな。我々がいなくともお前は歩み続けていたさ」

ルウェリア「……そうかもしれないですけど、その歩みはきっと今よりもずっと遅かったと思います」

エンシァン「フッ、闘志だけではどうにもならんこともある。私も、お前が来てくれなかったらこの部室を取り戻そうとすら思わなかったぞ」

ルウェリア「……そうですね。でも……この部室も、また賑やかになってきました」


剣ルルが入っていた箱「」

遠足でリアンが買ったプチドラゴンのぬいぐるみ「」

袋に入った精霊樹の実の種「」

海底で拾ったエーテル結晶「」

金メッキのトロフィー「」キラキラ…


エンシァン「クク、やる気のある部員が和気藹々としているのは大歓迎だ」

ルウェリア「はい。今日も午後からここで勉強会することになってます」

エンシァン「なんだお前たち、夏休み中に勉強会なんてやるのか。呆れた学習意欲だな」

ルウェリア「その……リアンちゃんが、赤点ギリギリだったので……」

エンシァン「…………まあ、その、なんだ。赤点じゃなくて良かったじゃないか」

ルウェリア「それはまあ、そうなんですけど」

エンシァン「……リアンくんは優しいが、それ故の脆さもある。お前がしっかり支えてやれ」

ルウェリア「ふふっ、言われなくても。リアンちゃんは私が守りますよ」

エンシァン「それで良い。可愛げなどいらぬと言うなら、強くなれ。全てを取り戻し、守り切れるようにな――」

ルウェリア「ええ……必ず」

エンシァン「フッ……。茶が冷めてしまったな。淹れ直すか」

ルウェリア「いえ、このままで――」


 ☆ルウェリアがパッシブスキル〈不壊〉(致命的なダメージを受けた時、一度だけ持続力1で耐える)を習得しました

 ◆

―8月2週 某日 昼
 部室

 ガラッ

サーナ「わたくしが来ましたわ!」スタスタ

ルウェリア「お疲れ様サーナさん。熱いお茶と冷たいお茶、どっちが良い?」

サーナ「冷たいの!」

ルウェリア「そりゃそうだよね。ちょっと待ってて、冷蔵庫開ける」ガチャッ


リアン(この夏休みのある昼下がり、私たちは部室に集まってきていた)

リアン(その目的は……期末テストの反省会だ。主に、私の……)


ノルン「リエムちゃん。その後、大丈夫だった……?」

リエム「はい。リアンさまにお世話をしていただき、すぐに良くなりました」

リアン「ふっふっふ、そうなんだよ……! 私がリエムちゃんのことを精一杯お世話いたしました!」

ノルン「そっか。良かった……。ふふ、立場が逆転しちゃったんだね」

リアン「うん。たまには、こういうのも良いなって……」

リエム「……はい」


金メッキのトロフィー「」キラキラ…

サーナ「あっ! あれは草テニスの優勝トロフィーではありませんこと!?」

ルウェリア「草テニス……あ。ごめん、あの日はシャーロット准教授に頼まれてちょっとバイトしてて……」

ノルン「私とリアンちゃんは……ちょっと用事があったの。ごめんね」

サーナ「良いんですのよ、夏休みですもの! 充実しているようで何よりですわ。ところでこのトロフィーを獲ったアリムは来ませんの?」

リアン「アリムちゃんはルルちゃんと一緒に虫採りに行くんだって」

サーナ「ああ……ルルにせがまれたんですのね」

ルウェリア「何でも突っぱねるエンシァン先生と違って、アリムちゃんはルルさんの頼みなら大体何でも聞いちゃうからね……」

 ◇

リアン(そして雑談もそこそこに、主に私の為の勉強会は幕を開けた――)


ルウェリア「リアンちゃん、ここの公式はこれだよ。理屈はわかる?」

リアン「あうぅ……」

 ◇

ノルン「リアンちゃん、レーヴェンツァーン国が崩壊したのはね――」

リアン「ひぃん……」

 ◇

サーナ「リアン、これは待つ身の辛さだけでなく、待たせる身の辛さも描いた作品なのですわ」

リアン「う、うぅぅ……」

 ◇

リアン(みんなは、とても優しく、丁寧に私のわからなかったところを教えてくれた……)

リアン(それが……逆に、つらかった……)

リアン(私……泣きそう………)

リアン(いや……でも、ここで泣いちゃだめだ! 次こそは――次こそは、良い点を取って、みんなに並んで見せる……!!)


↓1 反省会の成果
01-60 次回テスト対策++
61-90 次回テスト対策+++
91-00 次回テスト対策++++

 ・リアンたちの次回テスト対策++

リアン(テスト後すぐに復習したからか、いつもより理解と吸収が上手くいった気がする)

リアン(もちろん、みんなの教え方に心がこもっていてわかりやすかったのもある)

リアン(泣きそうと言えば泣きそうだったけど……私の為にわざわざ勉強会を開いてくれるなんて、良い友達に恵まれたんだなあ、私……)


ルウェリア「……うん。今回のテスト範囲に関しては、もう十分だと思う」

ノルン「よく頑張ったね、リアンちゃん。偉いよ」

リアン「え、えへへ……みんな、ありがとね。次は多分、大丈夫そう!」

サーナ「今後も勉強会は時々やっていきましょう! わたくしも頑張りますわよ!」

リエム「リアンさま……皆さま……。お疲れさまです。お茶とお菓子をご用意させていただきました……」ススッ

リアン「リエムちゃん!」

ノルン「ありがとう! ふふっ、じゃあ勉強会はお開きにしてお茶会だね」

 ◇

サーナ「ところで皆さん、海に行く準備はもうできてまして?」

ルウェリア「週末だったよね。うん、バッチリ」

ノルン「私も! リアンちゃんは……ど、どう……?」

リアン「…………」


リアン(まずい……勉強会のことで忘れていたけれど、今週はそれもあった……)

リアン(すっごいスケスケの……辛うじてお胸のとことおまたのとこだけギリギリ透けない、アレな競泳水着を着なきゃいけない日だ……)

リアン(や、やばい……。下手したらコーゼンワイセツの罪でタイホされちゃうよ……)

リアン(あれなら古代のハイレグ競泳水着の方がまだマシだよぉ……)


ルウェリア「そ、その……もしアレだったら、今から別の水着でも――」

リアン「――ううん! 私……着るよ!!」

リエム「り、リアンさま……」

サーナ「だ、大丈夫なんですの? あまり無理をしない方が……」

ノルン「そ、そうだよ。下手したら、噂になっちゃうかも……」

リアン「みんな……心配してくれて、ありがとう……。でも、せっかくアリムちゃんが選んでくれた水着だもん!」

リアン「アリムちゃんが私の選んだ赤スクを着てくれるなら――私もアレを着るのが礼儀だよ!!」

リアン「アリムちゃんに、人間はちゃんと約束を守るってところを見せてあげなきゃ……!!!」


リエム「リアンさま……!」

サーナ「リアン……! わたくし、感動いたしましたわ!! それでこそですわよ!」

ノルン「え、ええ……!? いいの!? それで本当にいいの……!?」

ルウェリア「……ノルンさん。私たちでリアンちゃんを守ろう。悪い輩が近寄って来ないように」

ノルン「――! そうだね……リアンちゃんを、悪い虫から守らなきゃ……!」

 ◆

―8月2週 某日
 ユリトー南海岸 海水浴場

 ワイワイ ガヤガヤ

太陽「――」サンサン

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」



サーナ「やって来ましたわ! 海ッ!!!」(E:クロス水着)

ノルン「暑いねえ……。みんな、日焼け止めはちゃんと塗った?」(E:フリルワンピース水着)

ルウェリア「うん、一応。さて……うん、今のところ周囲に怪しい輩はいないね」(E:フレア水着)

リアン「…………」ビクビク(E:スケスケ競泳水着+パーカー)

アリム「ふうん……。一応着てきたみたいだけど、それはズルじゃない?」(赤スク)

リエム「アリム……あまり、リアンさまをいじめないでください」(白スク)

ルル「えへへ……リエムとアリム、ルルと色違い!」(スク水)


リアン(例のスケスケ競泳水着は着たが……その上に何も羽織っていけないというルールはなかったはず……)

リアン(こ、今回はこれで乗り切ろう……。日和った私を許して、アリムちゃん……)


アリム「……フン、まあいいわ。リアンの馬鹿がどれだけ痴態を晒そうともどうでも良いけど、それで遺跡探索部まで痴女の集まりだと思われたら困るものね」

シャーロット「あら、リアンちゃんは下にどんな水着を着ているの?」(E:魔法潜水服にそっくりなハイレグ競泳水着)

ルウェリア「え゛ッ……!? 准教授、その格好は……!?」

シャーロット「あら、大丈夫よん。これは本物じゃなくてそっくりに作ったオーダーメイド品だから。古代遺物をみだりに晒すような愚は犯さないわ」

ノルン「オーダーメイドで作るほど気に入ったんですか……」

 ◇

ルル「キャッキャ」

リエム「キャッキャ」

アリム「ギャーギャー」

 キャー スクミズヨウジョカワイー!!



シャーロット「――」アハァン…

 ウォォォ! エロッ! ドスケベエルフ!!



サーナ「――」バァーン!

 ウォォ… エロイ…ケド…



リアン「盛り上がってるなあ」

ノルン「私たちはパラソルの下にいよ?」

ルウェリア「こうやって眺めているだけでもけっこう楽しいよね」

リアン「……そ、その……もし、私に気を遣ってくれてるなら、二人も遊びに行って良いんだよ……?」

ノルン「ううん、ここが丁度良いの。海を見ながらゆったりできる、ここが」

ルウェリア「わかるなあ。喧騒の中にいるより、一歩離れたとこの方が気楽なんだよね」

リアン「そ、そうなんだ……。じゃあ私もゆっくり――」


 キャーッ! タスケテクダサイ!! ウチノコガ-!! アアアアアアア!!!!

リアンたち「!!」

ノルン「あっちの方から……!」

ルウェリア「子供が溺れて……!?」

リアン「――ッ」ダッ

ノルン&ルウェリア「リアンちゃん!!」

リアン(急がなきゃ――! 大丈夫、私の水魔法なら――!)

リアン(水に入るからパーカーは脱ぎ捨てて――ッ!)タッ

 バシャァン!

リアン(子供は――いた! もがいてる!)スイスイ

リアン(掴まえて泳ぐのは難しいから……硬めのジェルで持ち上げる!)ギュオオッ

リアン(後は急いで陸に運ぶだけ……!)スイスイ

 バシャァン!

幼女「――」ピクピク

リアン「――し、心臓が……動いて、ない……」

観光客男「あ、ああああ!! うちの子は!? 大丈夫なのか!!?」ドタドタ

観光客女「いやあああああ!! 誰か、誰か助けてえええ!!!」

リアン(肺に溜まった水を吸い出さなきゃ……でも、人の肺に入った水を動かしたことなんて……)

リアン(あ、あれ……心肺蘇生を行うのが先だっけ……?)

リアン(あ、あああ……ど、どうすれば……!! 時間が過ぎていく……!!)

リアン(私が……私が不甲斐ないせいで……)グニャァ

 ザッ!

シャーロット「ハートショック!!」ドクン!!

幼女「」ビクン

シャーロット「心臓は動かしたわ! リアンちゃん、水を吸い出して!!」

リアン「シャーロットさん!? は、はい……!!」キュォォ…

リアン(し、慎重に……! この子の肺を傷付けないように、丁寧に、かつ、素早く……!!)

幼女「」スルスル…

シャーロット「いいわ……! そのまま、そのまま……!」

リアン「――――ッ! 全部――出しましたッ!!」

幼女「――けほっけほっ……! ひっ、はひっ、ひい」


観光客男「ああああ!!! 良かった、良かったよぉ〜〜!!!」ガクッ

観光客女「あ、ああ……神様って、いるのかしら……」ヘタリ


リアン(女の子はケホケホとしばらくむせていたものの、ちゃんと自発呼吸ができるようになった)

リアン(よ、良かった……)


救急隊員「到着しました!! 患者は!!?」ザザッ

幼女「ひい、ひい……」

観光客男「こ、この方たちが……応急手当をしてくださって……!!」

観光客女「ほ、本当に何とお礼を言ったら良いか……!」

シャーロット「ふふ、お礼はこの子へ。私は最低限の処置をしただけですから。念の為、病院でもちゃんと診てもらってくださいね」

リアン「わ、私は……准教授が、指示してくれたからで……!」

観光客男「あ、ありがとう、ありがとう……!!!」

観光客女「あなたは神様よ……! 私たちの娘を助けてくれた、神様なのよ……!!」


リアン(その人たちはドバドバを涙を流してお礼を言いながら、救急車に運び込まれた女の子と共にその場を去っていった)


シャーロット「フゥ……お疲れ様、リアンちゃん」

リアン「准教授……! その……ありがとうございました!」ペコッ

シャーロット「ふふ、さっきも言ったけど功労者はあなたよ。あなたがいなかったらどの道助からなかったわ、あの子」

リアン「で、でも……!」

シャーロット「自信を持って。あなたの水魔法が人を救ったの。ふふ、格好は過激なのに心根はいつものままね」

リアン「え? あ――――」


リアン(そこまで来て私は――ようやく、自分がスケスケ状態だったことに気付いた……)


 ワアアアアア!! ドスケベレスキューダ!!! エロカッコイー!!!!

リアン「あ、ああああ……ッ!!/////」

 ◆

リアン(その後、『過激な格好をした二人の女性が、海水浴場で溺れた子供を救助した』という噂が立った……)

リアン(残念ながら噂でもなんでもない事実なのだけれど……)

リアン(まあでも、私の水魔法が人を救ったのなら……良かった……)グスッ

―8月3週 夏休み
 部室

ルウェリア「アリムちゃんは、私の姉――ルウェイン・モースのことは何も知らないんだよね?」

アリム「前にも言ったけど、知らないわよ。データベースを探れば何か出てくるかもしれない……けど……」

ルウェリア「……魔鍵の下から離脱してくる時に破壊しちゃったんだっけ?」

アリム「し、仕方なかったのよ。そうしなきゃわたしがやられてた。この時代の法制度で言うところの正当防衛ってやつよ」

ルウェリア「いや、それを責める気はないけど……。うーん……何か、ほんの少しでも良いから手がかりがあればな……」

アリム「各フォルトを統括管理してるのは魔鍵だから、魔鍵なら何か知ってるかもね。もう聞ける間柄ではないけど」


―次の遺跡発見率[399/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)〈不壊〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+3、戦闘力+3、持続力+3)〈貫通〉
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)〈聖域〉
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・黒髪のエピタフに備える

8月3週の行動です。夏休みです
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、何らかの特殊なイベントが発生することがあります

生徒会長が部室を訪ねてくる

>>512は連取りなので無効とします。自由安価あと一つ↓1

普段は日を跨ぐことが多いので、IDの確認を怠りがちでした。申し訳ない
今後はIDをちゃんと確認する癖を付けないといけませんね
――――――――――――――――――――――――――――――――

―8月3週 某日
 海岸洞窟

 コツコツ…

リアン「そう、ここ。ここでリエムちゃんと出逢ったんだよ」

リエム「はい。わたしはここでリアンさまに起こしていただきました」

シャーロット「こんなところにも遺跡があったのね……!! 一体何の施設だったのかしら……!?」

アリム「海蝕が激しすぎて推測しづらいわね……。リエムは何も知らないの?」

リエム「はい……。わたしを安置していた時間凍結カプセルを調べれば何かわかるかもしれません」

シャーロット「時間凍結カプセル!!!?!?!? ま、また強烈な古代テクノロジーが……!!」

 ◇

―リエムが眠っていた部屋

リアン「ここ! ここの、あの、卵みたいな棺みたいな機械からリエムちゃんが起き上がったんだよ!」

アリム「……確かに時間凍結カプセルだわ。それも、かなり特別製の。部屋中がカプセルを維持する為の魔法陣になってる……」

リエム「…………」

シャーロット「……この部屋の外は限りなく天然の洞窟だったけど、この部屋だけ明らかに人工的ね。老朽化は進行しつつも、本来はかなり堅牢な作りをしていたように思えるわ」コンコン

アリム「…………そうね。多分、ここは――」

シャーロット「――シェルター、かしら?」

アリム「ええ。恐らくは。それも、時間凍結カプセルの稼働を前提としてそれ以外の一切の機能を省いた、ね」

リアン「誰かがリエムちゃんを、時間凍結カプセルに入れて何かから守ろうとした――ってこと?」

アリム「そうね。魔法人形が我が身可愛さで自分だけシェルターに引きこもるとも考えにくいし……」

シェルター「何か……というのはやはり、文明崩壊の原因となった何かかしら」

アリム「そう考えるのが順当ね。肝心の文明崩壊の原因はわたしにもわからないわ。データベースを調べようにも壊しちゃったし……」

リアン「ん? あ……!」

↓コンマ
01-90 カニだ!
91-00 ??

カニ「チョキチョキ」

リアン「カニだ!」

アリム「そりゃカニくらいいるでしょうよ……。この部屋、馬鹿リアンが開けたっていう穴が開いてるんだもの」

シャーロット「ふむ……。誰かがリエムちゃんを守ろうとしていたというのが間違いなさそうね」

リエム「誰かが……わたしを……」

アリム「良かったわね、リエム。あんた、昔から主人には恵まれてたみたいよ。あんた一人の為だけにこんな特別製の施設を作るくらいだもの」

リエム「…………」



――
―――

???『りえむ? ―――、りえむ、しゅき!』


???『やらあ、やら、やら! りえむ、いっしょがいい……!!』


???『いつもありがとうね。―――の面倒を見てくれて』


???『もし、そんなことになったら……あなたは、海蝕洞のシェルターに避難してね』


???『貴殿も頃合いを見て、海蝕洞に避難するように』


???『任務了解――』

―――
――


リエム「…………」

リアン「リエムちゃん?」

リエム「!」

シャーロット「大丈夫?」

アリム「……断片化した記憶のフラッシュバックでも起きた?」

リエム「……はい」

アリム「消してしまったものはもう戻らないけれど……微かに残ってたなら、大事にしなさいね」

リエム「…………はい」

 ◆

―8月3週 某日
 東区 旧市街 夏祭り

 ワイワイ ガヤガヤ ピーヒョロロ ドンドコドンドコ

ルウェリア「リアンちゃん!」

ノルン「わあ……!」

サーナ「似合っていますわね……浴衣ッ!」

リアン「え、えへへ……そうかな……?」(E:碧色の浴衣)

サーナ「フフッ……わたくしと良い勝負ですわ!」(E:蒼色の浴衣)

ルウェリア「わ、私……おかしくないかな……?」(E:空色の浴衣)

ノルン「全然おかしくないよ! ふふ、みんなすっごい綺麗……」(E:淡黄色の浴衣)


リアン(私たちはその日、東区の旧市街で毎年行われるという大規模な夏祭りに来ていた)

リアン(なんでもここの地元の人たちは、この時期を〝オボン〟と言って慰霊や納涼を行うそうだ)

リアン(この夏祭りもその一環なのだという。私たち外様の学生もそれにあやかって夏祭りを楽しませていただく、というわけだ)

リアン(ちなみに私たちが着ているこの浴衣は、旧市街の呉服屋の方が毎年学生用に貸し出してくれている品だそうだ)

リアン(リエムちゃんとルルちゃんの分まで貸していただいて、頭が上がらない……)


 カラン…カラン…(下駄の足音)

リエム「リアンさま……わたしは、似合っていますか……?」(E:白百合の浴衣)

リアン「わあ……! すっごい似合ってるよ! 可愛いよ! 最高だよ!!」

ルル「ルルは? ルルは?」(E:黒百合の浴衣)

リアン「ルルちゃんも最高! 可愛いよ!!」

アリム「……ねえ、わたしたちのカラーリング……既視感があるんだけど」(E:赤百合の浴衣)

リアン「き、気のせいだよ!! アリムちゃんも可愛いよ! 最高!!」


リアン(私たち学生組も綺麗にキマってるけど、リエムちゃんたち遺跡組もバッチリ可愛くキマっている)

リアン(ふふ……夏祭り、良いね!)


↓1〜3 夏祭りでやること 自由行動終了後、肝試しイベントに移ります

―屋台通り

りんご飴「」

わたあめ「」

プチカステラ「」

かき氷「」

アリム「…………」チラチラ

ノルン「アリムちゃん、何か食べたいのある?」ズイッ

アリム「わっ……! べ、別に……」フイッ

ノルン「ふふ、遠慮しないで。夏祭りはいろんなものを食べてこそだもの」

アリム「え、遠慮なんか……」

リエム「…………ノルンさま。アリムはまずりんご飴が食べたいそうです」

アリム「り、リエム!!」

ノルン「りんご飴だね。ふふっ、じゃあリエムちゃんの分も買ってきてあげるから」カラン


アリム「……余計な真似を」

リエム「……はしたない魔法人形だと思われたくないという気持ちは、わたしにもあります」

アリム「……?」

リエム「でも……リアンさまやノルンさまは、わたしたちが素直に甘えると喜ばれます」

アリム「だから……あんたみたいにあいつらに媚を売れって?」

リエム「…………媚まで売る必要はありません。でも……少しくらい、素直になっても――」

アリム「ハッ、御免だわ。最近確かにちょっと馴れ合い過ぎていたけれど、わたしは元々人間とは相容れぬ魔法人形だもの。そろそろそこら辺の線引きを――」

ノルン「お待たせ! はい、アリムちゃん、リエムちゃん」スッ

りんご飴「」キラキラ…

アリム「線引き、を……」

リエム「ノルンさま……ありがとうございます。いただきます」スッ ペロッ

リエム「…………美味しい、です……」ニコリ

アリム「っ……し、仕方ないから今回は貰っといてやるわ! 今回だけね!!」ヒョイ ペロペロ

アリム「……甘酸っぱくて……わ、悪くないわね……」

ノルン「ふふ、アリムちゃんの悪くないは、とても美味しい――だったよね」

アリム「あああ! もう! 馬鹿リエム!! 馬鹿! 美味しいわよ!」ペロペロペロペロ

 ◇

リエム「キャッキャ」

アリム「ギャーギャー」


リアン「ふふ、リエムちゃんとアリムちゃん……すっかり仲良くなったみたい」

リアン「……それで、ええと……つまり、お祭りっていうのは食べ歩けば良いの?」

ノルン「それも良いけど、他にも型抜きとかボールすくいとか射的もあるよ」

リアン「射的はなんとなくわかるけど……型抜き? ボールすくい……?」

ノルン「実際に見てもらった方が早いかなあ。行ってみよ!」ぎゅっ

リアン「あっ……」

リアン(手、握っちゃった……! ノルンさんの手……あったかい……)


リアン(そうしてノルンさんに連れられて型抜きやらボールすくいやらを見せてもらった)

リアン(大体わかった)

リアン(流石に水魔法を使ってボールすくいとかをするのはズルすぎるから……)

リアン(私が挑戦するのは――型抜きだ!!!)


↓1 リアンの戦績
01-10 全敗……
11-40 やさしい型抜き成功
41-70 むずかしい型抜き成功
71-90 むずかしい型連勝
91-00 型抜き名人

リアン「…………」チクチクチク

ノルン「…………」チクチクチク

リアン「………あ」パキッ

リアン「〜〜〜ッ!」

ノルン「り、リアンちゃん……! 負けないで……!」

リアン「う、うん……! おばさん、もう一回……!!」

屋台のおばさん「あいよ」チャリン

 ◇

リアン「…………」ドキドキ

リアン「…………!!」パリッ…

リアン「で、できた……! できたよ……! 一番かんたんなやつだけど……!!!」バッ

ノルン「わあ……やったね、リアンちゃん!」

屋台のおばさん「おめでとう、お嬢ちゃん!」

リアン「でも……すっごい苦戦しちゃった……」

屋台のおばさん「初めてならそんなもんさ。名人様だって初めはど素人から始まったんだよ」

リアン「おばさん……!」

ノルン「ふふっ……お祭り、楽しいな……」

 ◇

リエム「――」モグモグ

アリム「――」モグモグ


リアン「――」チクチクチク

ノルン「――」チクチクチク


サーナ「みんな食べ歩きやら型抜きに熱中しておりますわね」

ルウェリア「私たちはどうしよっか?」

ルル「ルル射的やりたい!」

ルウェリア「射的! せっかくだし私もやってみたいかも!」

サーナ「フフ……二人とも、なかなか良い目の付け所ですわね。良いですわ! 射的で勝負ですわよ!!」



サーナ「一回の挑戦で得られるコルクバレットは五発! 景品にはランクがあるようですし、高い棚のものほど得点が高いということにしましょう!」

屋台のおじさん「嬢ちゃんたち、学院の学生さんだろ? ウチは魔法使用可だから存分にやってくれ! ただし銃は壊さないでくれよな!!」ガハハ

ルウェリア「魔法使用可……! フッ、それならこの勝負私が貰っちゃったかも」

サーナ「あら、強気ですわね? わたくしの風魔法も軽いコルクバレットとは相性バツグンでしてよ?」

ルル「んー……魔法かあ。やるだけやってみよ」

↓勝敗 コンマ一桁
1-3 ルウェリア
4-6 サーナ
7-9 ルル
0  通りすがりのエンシァン

サーナ「まずはわたくしから! 風で弾道の通り道を作って――それ!」パァン

 スカッ…

サーナ「あ、あら……? こ、コルクが軽すぎて調節が難しいですわ!!」

 パァン パァン パァン パァン
  スカッ  スカッ  スカッ  スカッ

サーナ「……ぬかりましたわ……」(0点)

 ◇

ルウェリア「フフッ、サーナさんがあれなら私の勝ちだね。柔らかいコルクを硬化させて、あの一番大きなぬいぐるみを――」パァン

 ポフッ…

ルウェリア「えっ……あ、当たったのに落ちない……!?」

屋台のおじさん「ガハハ、落とせなきゃ0点だぜ!」

ルウェリア「クッ……それなら、落ちるまで当てるだけ!!」

 パァン パァン パァン パァン
  ポフッ ポフッ ポフッ ポフッ

ルウェリア「そ、そんな……! こ、こんなのイカサマだ!」(0点)

屋台のおじさん「ガハハ、損切できなかった嬢ちゃんの負けだぜ!」

ルウェリア「く、くう……やっぱり、大人って……!!!」ギリリ

 ◇

ルル「んふふ……ルル、良いこと思いついちゃった……」

屋台のおじさん「ほう。何でも試してみな?」

ルル「ルルの属性は土。だから、コルクに土を混ぜて重くすれば、あのでっかいぬいぐるみも――落ちる!」パァン

 ポテッ…

ルル「あれ……? 弾が……」

屋台のおじさん「重すぎて途中で落ちちまったみてえだな。そんな火力はねェんだ、その銃」

ルル「むー……!! だったら――」シャキン

屋台のおじさん「えええ!? わー何すんだ!! そんなの反則だ! 嬢ちゃんは反則負け!!」

ルル「むむー!!!!」(0点)

 ◇

「フン、遺跡探索部の精鋭ともあろうお前たちが、なんと無様なことか!」

ルウェリア「そ、その声は……!」

サーナ「まさか……!」

ルル「エンしゃん!!!」

エンシァン「フッ、あとはこの私に任せておけ」ザッ

 ◇

エンシァン「私の魔法のちょっと特殊な使い方を見せてやろう。まずは銃の前の空間を……ほいっと」ガオン!

エンシァン「そしてすぐに撃つ!」パァン

 ダン! トサッ…

屋台のおじさん「なっ……!?」

ルウェリア「た、弾が……消えたと思ったら、一瞬で命中していた……!!?」

ルル「???」

サーナ「い、一体何をしたんですの!?」

エンシァン「フッ……空間を〝掘った〟んだ。掘って無となった空間は、無だからその距離はゼロに等しい――つまり」ガオン!

 パァン! ダン! トサッ

エンシァン「実質ゼロ距離射撃が可能となるわけだ!」

ルウェリア「わけがわかりません!」

サーナ「わかるように説明してくださいまし!」

ルル「?????」

 ◇

エンシァン「わっはっは! 射的勝負は私の勝ちというわけだな!!」(15点満点)

ルル「むー!! エンしゃん、ずるい!」

エンシァン「なんとでも言え! 魔法使用可というルールにしたのは射的屋のオヤジだ!」

サーナ「くぅ……全く持ってその通りすぎて何も言い返せませんわ……!」

ルウェリア「……先生、さっきの魔法の使い方、今日初めて見たんですけど……」

エンシァン「そりゃ私自身つい最近ようやく完成させた技だからな」

ルウェリア「えっ!?」

サーナ「本当ですの!?」

エンシァン「フッ、祭りは始まったばかりだ。楽しめよ、お前たち」スタスタ

 ◇

エンシァン「……つつ、やはり空間掘削は消費が重いな……」フラッ

エンシァン「…………だが、この前ルルたちに前線で体を張ってもらって、私は何もできなかった……」

エンシァン「鍛え直さねばなるまいよ……! 年長者としてな……!!!」

 ☆エンシァンの能力が大きく成長しました

本日はここまで
次回、肝試し編です。お楽しみに

本日の更新の前に、敵として登場する人造種を2人募集します
ただし今回は、聖鍵、インテリジェンスソード純粋種、エピタフ型などの強力な種は禁止とします
物語の性質上、ひどいめに遭う可能性がとても高いです。ご了承の上お願いします

【名前】
【種族】(魔法人形やインテリジェンスソード等の人造種)
【性別】女
【学年】該当なし
【容姿】
【性格】
【魔法】(主に使う魔法や得意とする属性など)
【備考】(来歴や嗜好、その他特徴や長所短所などなんでも)

↓1〜2 敵キャラクター

素敵なキャラクター案をありがとうございます。割とすぐ登場することになると思います。よろしくお願いします
――――――――――――――――――――――――――――――――

―8月3週 某日 夜
 東区 町外れ

 ドンドコドンドコ ピーヒョロロ…

リアン(このお祭りでの民族音楽が、遠くに聞こえる)

リアン(私たちはお祭りの最中で合流したシャーロット准教授の提案で、『肝試し』なるものをやることになった)

リアン(何でも、こういうひとけのない町外れとかじゃなければできないことらしいが……)


シャーロット「よーし、じゃあルールを確認するわよ! まずくじ引きで二人組のペアを作る! ペアができたら、ペアごとにこの道の先にある小さな祠に置いたお題箱から紙を一枚取るの! 紙にはちょっとした命令が書いてあるから、そこでそれを実行して、後は帰るだけ! ね、簡単でしょう?」

ルウェリア「聞いた感じなら特に難しいものじゃなさそうですけど……お題、というのは?」

シャーロット「お題もみんなで書いていきましょう! 内容は、危険なこととか強要させられたら嫌なことじゃなければ何でも良いわ。でも普段ならちょっとやりにくいようなことだとベターね」

ルル「普段ならやりにくいこと……?」

サーナ「魔法を使わずにバック宙をキメる、とかですの?」

シャーロット「そういうのはできない人もいるからダメ! というかここで言っちゃだめよ、お題は見るまでのお楽しみなんだから」

ノルン「とは言っても、どういうことを書けば良いのか……」

シャーロット「そうねえ……例えば、好きな人の名前を叫ぶ……とか?」

アリム「……それは強要させられたら嫌なことに該当するんじゃないの? ていうか好きな人がいなかったら実行できないじゃない」

シャーロット「あ、そっか! まあとにかくそんな感じよ。最悪実行できなくても良いの。ペアの二人で盛り上がれたら成功だから」

リアン「あはは……まあそれくらいのルーズさの方が気楽で良いですね」

サーナ「最悪実行しなくても良いならちょっと際どいのを書いても良いかもですわね!」

 ◇

シャーロット「よし、みんなお題は箱に入れたわね? じゃあここからはペア決めよ! この割り箸で作ったクジを引いて、同じ数字の人がペア相手よ!」

リアン「だ、誰になるかな……」ドキドキ

シャーロット「ちなみに私とペアになった人は私やエンちゃんと一緒に裏方に回ってもらいます! ごめんね!」

ルウェリア「エンシァン先生もいるんですか?」

シャーロット「フフ……エンちゃんは盛り上げる為の準備に取り掛かってるところよ」


↓1 リアンのペア
01-15 リエム
16-30 ルウェリア
31-45 サーナ
46-60 ノルン
61-75 ルル
76-90 アリム
91-00 シャーロット

リアン「私は……1! 他の1の人は……」

ノルン「あ、私も1! よろしくね、リアンちゃん!」ギュッ

リアン「う、うん……! ノルンさんが一緒なら心強いな……」

リエム「ノルンさま……リアンさまをどうか、よろしくお願いいたします……」ペコリ

ノルン「うん、任せて。リアンちゃんのことは、私がしっかり守るから……!」

リアン「ところでリエムちゃんの番号は?」

リエム「わたしは……」


↓1 リエムのペア
01-20 ルウェリア
21-40 サーナ
41-60 ルル
61-80 アリム
81-00 シャーロット


アリム「わたし2なんだけど、他の2は誰よ?」キョロキョロ

リエム「…………」

リアン「……リエムちゃん?」

リエム「…………わたしも2です」

アリム「…………」

リエム「…………」

アリム「まあ……よろしく」

リエム「はい……よろしくお願いします」



シャーロット「ふふ、可愛い組み合わせになってきたわね。はい、ルウェリアちゃん」

ルウェリア「はい。さて、私は……」

↓1 ルウェリアのペア
01-33 サーナ
34-66 ルル
67-00 シャーロット

シャーロット「ルウェリアちゃんのペアは4番……つまり私ね!」

ルウェリア「は、はあ……」

シャーロット「……ほ、ほんとにごめんね?」

ルウェリア「いえ、シャーロット准教授にはいつもお世話になってますから。お返しさせてください」

シャーロット「くぅ、良い弟子を持ったわ……!! ルウェリアちゃん、大好きよ……!!!」

ルウェリア「弟子になった覚えはないんですが……」



ルル「3ばん!」

サーナ「わたくしですわ!」

ルル「サーナ!」トテトテ

サーナ「ふふっ、よろしくお願いしますわ。ルル」

ルル「ん!」

サーナ「それにしてもルルとは不思議な縁がありますわね」

 ◇

シャーロット「じゃあみんな、ペアはできたわね! それじゃあ裏方役の私とルウェリアちゃんがまず向かうから、10分後に1番のリアノルペアが祠へ向かって頂戴ね」

アリム「2番以降はいつ向かえば良いの?」

シャーロット「1番ペアが戻って来たら! じゃあ行くわよ、ルウェリアちゃん!」

ルウェリア「はい!」

 ◇

―東区 林道

 ザァァァ…
 スタスタ…

シャーロット「さて……肝試しの成否は私たち裏方にかかっていると言っても過言ではないわ」

ルウェリア「裏方って何をするんです?」

シャーロット「ふふ……これから来るペアの子たちを驚かし、怖がらせるのよ」

ルウェリア「え、ええ……!? な、なぜ……?」

シャーロット「それが肝試しの本質だから、よ。怖い思いをしながら手を取り合って、一つの目的に向かい邁進する二人……肝試しを終える頃には、二人の間に淡い感情が芽生え――……」

ルウェリア「ええ……」

シャーロット「まあつまり、ちょっとしたハプニングを楽しもうってこと! ふふ、面白そうでしょ?」

ルウェリア「ハプニングなら遺跡探索で十分間に合ってるんじゃ……」

 ◇


リアン「…………」

ノルン「……10分経ったね……。じゃあ、行こっか」

リアン「う、うん。じゃあ行ってきます!」

リエム「行ってらっしゃいませ、リアンさま」ペコリ


―林道

 ザァァァ

リアン「………な、なんか……暗くて、怖い……」

ノルン「大丈夫……私が一緒にいるから、何かが出てきても平気だよ」

リアン「そ、そうだね……。ノルンさんの光魔法があれば、闇なんて怖くないよね」

ノルン「うん! でも、基本的には前方を少し照らすくらいの明かりしか点けちゃいけないらしいから、それは守らないとね」

リアン「なんでだろ……」

ノルン「これは私の推測なんだけど――」

 ギーギー!! バサバサバサッ!

リアン「ひっ!」ギュッ

ノルン「大丈夫……ただの鳥みたい」

リアン(あっ……怖すぎて、ノルンさんにしがみついちゃった……)

リアン「ご、ごめん……いきなり、しがみついちゃって……」

ノルン「ううん。リアンちゃんなら、いつでもしがみついて良いよ。手、つないでこ?」

リアン「う、うん……!」ギュッ


 スタスタ…

ノルン(……肝試しをやる意味、多分わかっちゃった)

ノルン(リアンちゃんみたいな子を怖がらせて、ペアの人に頼らせるっていう割と悪趣味な遊びなんだ、これは……!)

ノルン(でも……その悪趣味さがもたらした恩恵を今まさに私も享受している以上、私は何も言えない)

ノルン(だって……私にしがみつくリアンちゃん……すっごい可愛いんだもん……!!!)

 ◇

エンシァン「…………」

シャーロット「…………」

ルウェリア「…………」

エンシァン「あいつらは放っておいても良いんじゃないか?」

シャーロット「……そうね。鳥の声くらいで涙目になっちゃうリアンちゃんに、これ以上何かするのは酷だわ……」

エンシァン「ノルンくんも満更でもなさそうだったしな……ククッ」

ルウェリア「むむ……私もリアンちゃんにしがみつかれたいかも……」

 ◇

―祠

ノルン「ここだね……」

リアン「な、なんか出そう……。雰囲気ありすぎだよぉ……」

ノルン「祠って大体は神聖なものを祀ってるから、何か出るとしても悪いものは出ないと思うよ」

リアン「そ、そうなんだ……。流石だなぁ、ノルンさん……」

ノルン「ふふっ、光魔法と聖性ってけっこう密接に関わってるから」

リアン(流石は勉強熱心で努力家のノルンさんだ。私も水魔法周りのこと、もっとちゃんと勉強しようかな……)

ノルン「それで、確かこのお題箱から紙を一枚取るんだよね」

リアン「うん。書いてある命令を実行するって。最悪実行しなくても良いらしいけど」

ノルン「とりあえず引いてみよっか。えいっ」


↓1 お題

お題「地面に自分のスリーサイズを記入」

リアン「…………」

ノルン「…………」

リアン「シャーロット准教授かな、これを入れたのは……」

ノルン「どうだろう……。サーナさん辺りがふざけて入れた可能性も……」

リアン「…………ど、どうする?」

ノルン「……スリーサイズを記入しろとしか書いてないから、数列だけ書こ」ガリガリ

リアン「あそっか。それなら、知らない人から見れば何のことかわかんないもんね」ガリガリ

ノルン「そうそう。言われたことだけやっとこ」ガリガリ


地面「895788」

地面「835681」


ノルン「よし、帰ろ!」

リアン「うん!」

リアン(ノルンさん……やっぱりおっきいんだなあ……)

 ◇

ノルン「ただいま戻りました」

リアン「ただいまー、帰ったよー」

リエム「リアンさま……!」トテトテ

リアン「リエムちゃん。暗くて怖かったけど、ノルンさんと一緒だったから大丈夫だったよ」

リエム「リアンさま……ご無事で、何よりです……。ノルンさま、ありがとうございました」ペコリ

ノルン「あはは、もう大げさだなあ。ただ行って帰ってきただけだよ?」

アリム「……? まあいいわ。わたしたちも行くわよ、リエム」ザッ

リエム「はい。それではリアンさま、わたしも行って参ります……」ペコリ

リアン「行ってらっしゃい! 暗いから、リエムちゃんとアリムちゃんも気を付けてね……!」

 ◇

―林道

 ザァァァ…

アリム「……」スタスタ

リエム「……」トコトコ

アリム「…………あんた、体の調子はどう? 変なとことかない」スタスタ

リエム「はい。正常に動いています」トコトコ

アリム「そう。なら良いわ」スタスタ

リエム「はい」トコトコ

アリム「…………」スタスタ

リエム「…………」トコトコ

アリム「…………学習は進んでる? わたし謹製の魔法人形強化メニューはちゃんとこなしてるかしら」スタスタ

リエム「はい。リアンさまとの生活に支障が出ない範囲で、毎日少しづつ最適化を進めています」トコトコ

アリム「そう。別に急ぐ必要はないわよ。あんたは物理的には初期装備のままだもの、限界はあるわ」スタスタ

リエム「はい」トコトコ

アリム「…………」スタスタ

リエム「…………」トコトコ

アリム「…………気にかかることとか、心配なことはない? 情緒機能が活性化されたあんたは不安やストレスの影響を受けやすいわ。精神面の不調は全体的なパフォーマンスの低下に繋がる。困りごとがあったら一人で抱え込まないようになさい」スタスタ

リエム「…………では、申し上げます……。わたしは……リアンさまのことが、心配です」

アリム「……心配するなと言う方が難しいわね、あいつの場合」

リエム「はい……。遺跡には、魔鍵や黒髪のエピタフ型など……リアンさまに害をなそうとする謀略が渦巻いています。わたしは……魔法人形の分際で、こんなことを言ってはいけないのかもしれませんが……リアンさまに、遺跡から手を引いて欲しいです……」

アリム「………あんたが言えば、案外素直に引いてくれるんじゃないの? ちょろっと泣き顔見せればイチコロだと思うわ」

リエム「しかし……リアンさまは、遺跡で活動することを志しておいでです。遺跡探索部の皆さまと一緒にいらっしゃる時も、とても楽しそうです。わたしの我儘で、それを断ち切ってしまうのは――…」

アリム「……それをすればきっと、あんた自身も後悔することになるんでしょうね」

リエム「………はい」

アリム「はあ……難儀なものね……。それじゃあやっぱり、リアンから目を離さず守り抜くしかないわ。わざわざ言わなくてもわかってると思うけど」

リエム「はい。わたしが、リアンさまをお守りいたします」

アリム「……ま、わたしも可能な範囲で見といてやるわ。あの馬鹿リアン、目を離すとすぐ死にかけるんだもの。こっちだって気が気じゃないわよ」


 スタスタ… ヌチャッ 

アリム「ん? なんかぬかるんで――わっ!」ドロロ…

リエム「地面が液状化して――ひゃっ!」ピト

アリム「リエム!? くっ、刺客か!? どこから――ひあああ!!!」ズルルッ コテッ

リエム「アリム! っ――林ごと、焼き払う――!」キィン―


ルウェリア「わー!! わーわー!! ご、ごめんごめんごめん! 私たちだから!!」ドタドタ

リエム「ルウェリアさま!」

エンシァン「や、焼き払わないでくれ! すまなかった!」ドタドタ

シャーロット「ご、ごめんね!? キュア!」ポウ

アリム「いたた……な、何なのよ……」ポウ…

 説明中……

アリム「肝試しって、そういう……」

シャーロット「事前にちゃんと説明してなかった私のミスだわ。ごめんね……」

アリム「ったく……ある意味最悪に怖かったわ。魔鍵か何かからの刺客かと思ったじゃない」

シャーロット「ど、どうする? 続ける?」

アリム「まあ良いわ、続けましょう。リエムもそれで良い?」

リエム「はい。異存はありません」

 ◇

―祠

アリム「で、ここがその祠ってやつね」

リエム「お題箱から、一枚の紙を引き抜くそうです」

アリム「フン。下らないお題だったら無視して帰るわよ」ガサッ

↓1 お題

お題「相方のほっぺにチューする」

アリム「…………」

アリム「帰るわよ、リエ――」

 ちゅっ

アリム「――――……」

リエム「…………どうぞ」スッ

アリム「〜〜〜ッッ!!//////」

リエム「……??」

アリム「馬鹿! 馬鹿リエム! なんでそう軽率にチューなんてするのよ!! 馬鹿!!!///」

リエム「……? お題に書いてあったので」

アリム「なんでそういうとこだけ魔法人形らしいままなのよ!!? もう!!///」

リエム「……??? アリムもどうぞ」ススッ

アリム「…………わ、わかったわよ……! してやるわ! チューくらい……!」

 ちゅっ…

リエム「―――……」ポー

アリム「……//////」ササッ

リエム「……?//」

アリム「な、何よ……あんたも赤くなってんじゃない……///」

リエム「……あ……体温が、上がっています……//」

アリム「だ、誰よこんなの入れた奴は……ほんとにもう……///」

リエム「…………//」

リエム(……? リアンさまに感じるのとは別の、未知の感情を知覚……)

リエム(…………アリム……?)

アリム「……帰るわよリエム! ぼけっとしてないで!//」

リエム「あ――はい……//」

 ◇

アリム「も、戻ったわよ……//」

リエム「ただいま戻りました、リアンさま……//」

リアン「おかえりなさい……! あれ、二人ともなんだか顔が赤い……?」

アリム「な、なんでもいいでしょ……! ほら、次は3番よ//」

サーナ「ええ、待ってましたわ! 行きますわよ、ルル!」ザッ

ルル「ん!」ストッ

 ◇

―林道

 ザァァァ

 スタスタ… トコトコ…

サーナ「暗いですわね……。ルルは暗いのは平気?」

ルル「ん。前は野宿してたもん」

サーナ「わ、ワイルドですわね……。あ、だから道端で平気でお昼寝できるんですのね!」

ルル「んー? まあ、そうかも」

サーナ「これは頼りになりますわ! わたくしも苦手なわけではありませんが……」

 ギーギー!! バサバサバサッ

サーナ「なかなか……雰囲気がありますし。この林は……」

ルル「ふいんき?」

サーナ「雰囲気、ですわ。いかにもおどろおどろしい何かが出てきそうという意味ですわよ」

ルル「おどろおどろしー?」

サーナ「そうね、例えば――ボサボサの真っ白な髪を振り乱した――」

 ガサッ

ボサボサの真っ白な髪を振り乱した人「アァァァ…………」ジリ ジリ…

サーナ「…………」

ルル「…………」

サーナ「で、で、で……出ましたわァァァ!!!」ドタドタ

ルル「きゃーッ!!」タタタッ キャッキャッ

 ◇

―祠

サーナ「はァー、はァー……!! な、何だったんですの……アレは……!!?」

ルル「ちょっとエンしゃんに似てた」

サーナ「ルル……いくら白いボサボサ髪だからって、何でもかんでもエンシァン先生扱いするのは感心しませんわ」

ルル「えー? だって寝起きのエンしゃん、いつもあんな感じだもん」

サーナ「…………まあ、いつも身だしなみを整えないエンシァン先生に非がありますわね、これは……」

ルル「ん、エンしゃんが悪い」

サーナ「それにしてもこの森、一体何なんですの……? あんな妖怪が潜んでいるなんて……。これは速くお題を済ませてみんなに報告した方が……」

ルル「? サーナ、これ。見て」クイクイ

サーナ「な、何かしら?」


地面「895788」

地面「835681」


サーナ「ひっ……! な、なんですの、この文字列は……!? 何かの暗号……!? 呪いの儀式の跡……!!? い、いや……!!」ガクブル

ルル「……サーナ、大丈夫?」

サーナ「……! え、ええ。大丈夫ですわ……! ルル……あなたが心配することは何一つないんですのよ……!!!」

サーナ(そうですわ……わたくしが不安がっていては、ルルも不安になってしまう。わたくしは、強気に胸を張っていなければ……!!!)

サーナ「よ、よし! それではお題をこなしてさっさと帰りますわよ!!」ガサッ

↓1 お題

お題「帰り道の間二人で肩を組んで帰る」


サーナ「か、肩を組んで……!? あの森で移動速度を落とすのは危険すぎますわ……!! しかも……」

ルル「?」

サーナ「わたくしとルルでは、身長差がありすぎて……わたくしが腰を落とさなければ肩を組めませんわ……! そんなことをしていたらあの妖怪に……ううっ……!」

ルル「……お題、むずかしそう……? サーナ、無理しちゃだめだよ……?」

サーナ「…………」

サーナ(いいえ……。ここで引き下がるのは女が廃るどころではありませんわ。しかもルルに気を遣わせるなんて無様にも程がありましてよ)

サーナ(かくなる上は――)

 ザッ!

サーナ「ルル! わたくしの肩に跨がりなさいまし! 肩車をしますわ!!」

ルル「え? お題は肩を組む、だけど」

サーナ「似たようなものですわ! さあ、早く!!」

ルル「ん!!」ピョン

サーナ「んっ……! よし……飛行魔法――」フワッ

ルル「わっ……!」

サーナ「出ますわ! 飛ばしますわよッ!!!」バビュン!!

ルル「きゃーっ!!!」キャッキャ

 ◇

―東区 町外れ

 ギュォォォ―― ズザザザザッ!!

サーナ「はァー、はァー……!! 3番ペア、帰還いたしましたわ!!」ザッ

ルル「サーナ、すごかった! ふわってして、びゅーんって!!」キャッキャ

リアン「ど、どうしたのそんなに凄い勢いで……!」

サーナ「皆さん!! あの森には真っ白な髪を振り乱した妖怪が潜んでおりますわ! 祠に怪しげな呪術の文言まで書いてありましたの!! 早く専門家を呼んで退治していただかないと――」


「フッ、その妖怪とは私のことか?」スタスタ

リアン「あ、あなたは――」

サーナ「まさか――」

ルル「エンしゃん!!!」

エンシァン「まさかあれほど怖がってくれるとはな!! 恥を捨てて妖怪に扮した甲斐があったというものだ!!!」

ルル「やっぱりエンしゃんだったんだ!」

サーナ「ま、まさか本当に……エンシァン先生……?」ヘタリ

シャーロット「その文字列というのも……多分私のお題でどこかのペアが書いたものね……」スタスタ

サーナ「う……ぐすっ……ふぐっ……。ひ、ひどいですわ……。わたくし……わたくし……」エグエグ…

ルル「あー! エンしゃんがサーナ泣かした!」

ノルン「さ、サーナちゃん。大丈夫だよ……。はい、ハンカチ……」

ルウェリア「ご、ごめん……。私も、ここまでとは思ってなくて……」

 ◇

―夏祭り 花火大会

 ピュ〜〜〜…… ドンッ―― パラパラパラ…

リアン「わあ〜……すごい花火!!」

ルウェリア「凄いよね。私も去年初めて見た時は感動したよ」

シャーロット「ユリトー魔法女学院もここの花火には技術協力してるんですって」

エンシァン「火薬と魔法を融合させた世界有数の花火……だそうだ。私は関わってないから知らんがな」

リアン「へえ〜。なんか凄いんですねえ」

ノルン「火魔法だけじゃなくて光魔法も使ってるんだって。一度尺玉の中身を見てみたいなあ……」

サーナ「グスッ……。ええ、本当に……綺麗ですわ……」

ルル「サーナ、元気出して。ルル、楽しかったよ?」

サーナ「ルル……! ふふ、ありがとうございますわ……」


リエム「…………」

アリム「……リエム。あんたも気付いた?」

リエム「……はい。私たち以外の人造種の、魔力反応です」

アリム「数は……3? フォルトからはぐれた野良人造種の可能性もあるけど、警戒しておきましょう」

リエム「エピタフ型の可能性は?」

アリム「検出された魔力パターンに例のエピタフのものはなかったわ。でも念の為――」


 ピュ〜〜〜…… ドンッ――――

アリム「――ッッ!!! 防護魔法が使える奴は頭上で今すぐ展開してッ!!!」

 エッ ボウゴマホウ? イキナリイワレテモ…

リアン「バブルバリア・ラージ!!!」ボワァン…


リアン(アリムちゃんの言葉を聞いて急いで特大バブルバリアを頭上展開した直後――)

リアン(天から、火の雨が降り注いだ――)

 ◇

―夏祭り会場 どこか

 キャアァァァァ!! アツイヨォォ!! ヤダァ!! タスケテエエエエ!!


朱の魔法人形「…………」

量産剣「……不服か?」

朱の魔法人形「……いいえ。私たちの家を、守る為ですもの」

くすんだ銀剣「…………」ボー

量産剣「お前は……」

くすんだ銀剣「……これデ……人間さまを……まも、レる……?」

朱の魔法人形「…………」

量産剣「…………ああ。守れるよ」

くすんだ銀剣「ほン、と……? 良カった……」ニコリ

朱の魔法人形「…………」

量産剣「――何もわからないなら――わからないままでいる方が、良い」

朱の魔法人形「そんな、こと……!」

量産剣「ないと、銀色の前で言えるのか?」

朱の魔法人形「っ……」

量産剣「私たちは使い潰されるだけの消耗品。余計な情報はなければないほど良い」

朱の魔法人形「そんな……そんなの……っ」

量産剣「……ああ。そういえばお前さんは、〝名前持ち〟だったか」

朱の魔法人形「………」

量産剣「いや、嫌味とかじゃないんだ。ただ……私とは、多分見えている世界が違うのだろうと、思っただけで」

朱の魔法人形「……わかっています。お気になさらず」

くすんだ銀剣「朱色さん、名前、アるの……?」

朱の魔法人形「はい……。ご主人さまから頂いた、大切な名前が……」

くすんだ銀剣「知りタい」

朱の魔法人形「……クロリア、です」

くすんだ銀剣「クロリア……。きレい……」

クロリア「ありがとう……銀色ちゃん」

くすんだ銀剣「……銀いろも、なマえ、ほしイ……」

量産剣「…………」

クロリア「……だったら……自分で、付けてみるのはどうでしょう……?」

くすんだ銀剣「ジぶん、で……?」

クロリア「はい。自分自身で――自分を、再定義して――」

くすんだ銀剣「じゃア――……銀いろハ……スイス!」

クロリア「スイス?」

スイス「うん……。由来は……特ニないケど……」

量産剣「……良いんじゃないか。悪くない響きだ」

スイス「ありガとう……。そウダ、量産さンも……」

量産剣「私はこのままで良い。気に入ってるんだ。量産型インテリジェンスソードって名前が」

スイス「そウなの……? じゃア……量産サん!」

量産剣「ははっ、変わってないな」

クロリア「…………本当に、良いのですか?」

量産剣「重荷になるだけだ。私はこのままで良い」

量産剣「それに――」

量産剣「一人くらい、捨て駒がいた方が戦いやすいだろう?」

 ◆

―夏祭り会場

 キャアァァァァ!! アツイヨォォ!! ヤダァ!! タスケテエエエエ!!

リアン(夏祭り会場は、一瞬にして地獄絵図へと変わった)

リアン(みんなが楽しんでいた花火が――無慈悲な火の雨に変わり、地上へと降り注いだからだ)

リアン(私の周辺はバブルバリアのお陰でほとんど被害はなかったけれど――)


シャーロット「回復魔法が使える人は速やかに負傷者の手当を! 重症者は病院へ運んで!! リアンちゃんは消火を優先!!」

ノルン「は、はい!」

リアン「わかりました!」

シャーロット「ルウェリアちゃんの魔法は消火に使える!?」

ルウェリア「燃えている物体を硬化させて燃焼反応を止めれば――!!」

サーナ「風魔法も真空を作って消火できますわ!」バッ

エンシァン「私も燃焼中の物体を掘削して消火活動を行う!」バッ

アリム「わたしは下手人を捜す! リエムは消火中のリアンを守れ!」

リエム「はい――言われなくても――!」タッ

ルル「ルルは!?」

アリム「ルルもわたしと一緒に敵の捜索!!」

シャーロット「必ず二人一組以上で行動して! あと頭上には常に警戒!! 良いわね!?」

 ◇

リアン(水を使う私の消火方法は、ルウェリアちゃん、サーナさん、エンシァン先生のやり方と相性が悪い)

リアン(私が一緒だと、私の水が彼女たちの消火方法の邪魔をしかねないからだ)

リアン(逆に、その三人のやり方はお互いに競合しないから相性が良い)

リアン(そういうわけで、私たちは四つのグループに分かれることとなった)

 有水消火班…リアン、リエム

 無水消火班…ルウェリア、サーナ、エンシァン

 救護回復班…ノルン、シャーロット

 犯人捜索班…アリム、ルル

リアン(私たちの他にも人命救助や消火活動を行っている人たちは多数いる……)

リアン(そういう人たちとも協力し合って、一刻も早く事態を沈静化させないと……!)

 ☆リアンの〈水の守り〉に(味方の受ける火属性ダメージを1/2にする)効果が追加されました

 ◇

―夏祭り会場 消火率[0/20]
       合計踏破力[3] 合計戦闘力[8] 合計持続力[6/6] 防御[3]
 ◆有水消火班
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4、消火力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)


ルウェリア「リアンちゃんたちはあっちを! 私たちは向こう側を消す!」

サーナ「火だけでなく熱にも気を付けてくださいまし!」

ノルン「何かあったらすぐ私たちのところに来て! 手当するから!!」

リアン「みんなありがとう! リエムちゃん、行こう!」

リエム「はい、リアンさま!」


↓1
01-40 消火率+4、襲撃
41-60 消火率+4、市民の協力(追加で消火率+2)
61-80 消火率+4、かき氷マナポーション味(持続力+3、超過分はストック)
81-98 消火率+4、消火栓発見!(追加で消火率+4)
99-00 消火率+4、??

―夏祭り会場 消火率[8/20]
       合計踏破力[3] 合計戦闘力[8] 合計持続力[5/6] 防御[3]
 ◆有水消火班
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4、消火力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)


リアン「くっ……火の手が強い……! 私一人の水じゃ……」バシャバシャ

リエム「リアンさま! あちらに消火栓があります!!」タタタ

リアン「リエムちゃん! ありがとう!」バッ


リアン「よし、準備完了……! いっけぇ……!」グッ

 バシュウウゥゥゥゥ!!!


リアン(消火栓の水は私の水魔法と組み合わさって強化され、その一帯の消火を一気に進めることができた)

リアン(よし、次の区画に行こう……!)ダッ


↓1
01-50 消火率+4、襲撃
51-75 消火率+4、市民の協力(追加で消火率+2)
76-98 消火率+4、かき氷マナポーション味(持続力+3、超過分はストック)
99-00 消火率+4、??

―夏祭り会場 消火率[12/20]
       合計踏破力[3] 合計戦闘力[8] 合計持続力[4/6] 防御[3]
 ◆有水消火班
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4、消火力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)

 ヒュッ

リエム「!」キンッ

リアン「――え」

くすんだ銀剣「……」ストッ

リエム「リアンさま、お下がりください。敵です」

リアン「ま、待って……! でも……!」

くすんだ銀剣「」タンッ

リエム「来ます!」


 ◆くすんだ銀剣 踏破力[2] 戦闘力[4] 持続力[2/2] 防御[1]

↓1コンマ 〈水の守り〉により痛恨無効
01-25 失敗 味方に1ダメージ
26-95 成功 敵方に7ダメージ
96-00 会心 敵方に14ダメージ

―夏祭り会場 消火率[12/20]
       合計踏破力[3] 合計戦闘力[8] 合計持続力[3/6] 防御[3]
 ◆有水消火班
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4、消火力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)


リアン「だめえ!!」バッ

リエム「リアンさ――」

 ズバッ

リアン「う、ううっ……」ヨロッ

リエム「リアンさま!!」


くすんだ銀剣「…………?」

くすんだ銀剣「どウ……して……?」

くすんだ銀剣「あ、レ……? なんデ……スイス……人間、さま、ヲ……」

くすんだ銀剣「ッ」シュタッ


リアン「り、離脱していった……? う、く……癒やしの水」ポウ

リエム「リアンさま……! も、申しわけ――

リアン「う、ううん……今のは、リエムちゃんの言葉を無視して前に出た、私が悪いよ……」スクッ

リエム「リアンさま……」

リアン「でも……今の子……一体、なんで……?」

 ―戦闘終了―

↓1
01-40 消火率+4、市民の協力(追加で消火率+2)
41-80 消火率+4、かき氷マナポーション味(持続力+3、超過分はストック)
81-98 消火率+4、消火栓発見!(追加で消火率+4)
99-00 消火率+4、??

―夏祭り会場 消火率[18/20]
       合計踏破力[3] 合計戦闘力[8] 合計持続力[2/6] 防御[3]
 ◆有水消火班
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4、消火力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)

リアン「はあ、はあ……」バシャバシャ

リアン(まずい……目が霞んできた……。水魔法の使いすぎと……さっき斬られたのが効いたな……)

リエム「リアンさま……! ご無理は、なさらないで……」

リアン「ううん……無理、しないと……! 火が……!」


市民A「嬢ちゃんありがとな! 少し休んでくれ!!」ブシューッ

市民B「俺たちの町は俺たちで守るぞ!!」ブシューッ

市民C「学生さんばっかりに負担はかけらんねえべ!!」ブシューッ

市民D「消火器は足りてるか!? なくなったら持ってけ!」ブシューッ

型抜き屋のおばさん「お嬢ちゃん立派だよ! 型抜き名人よりもずっとね!!」ブシューッ

射的屋のおじさん「俺の消火銃が火を吹くぜ!!」ブシューッ


リアン「み、皆さん……!」

リエム「少し休ませていただきましょう、リアンさま……」


↓1
01-40 消化率+4、かき氷マナポーション味(持続力+3、超過分はストック)
41-80 消火率+4、出張救護班(持続力+6、超過分はストック)
81-98 消火率+4、かき氷+出張救護班
99-00 消火率+4、??

―夏祭り会場 消火率[20/20]
       合計踏破力[3] 合計戦闘力[8] 合計持続力[1/6] 防御[3]
 ◆有水消火班
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4、消火力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)


リアン「はあ、はあ……」グッタリ

リエム「あ、ああ……リアンさま……! リアンさま……!」

 ガラガラガラッ

かき氷屋「かき氷マナポーション味持ってきたよ! お嬢さん、食べられるかい!?」

リアン「あ……」

リエム「わたしが食べさせて差し上げます……!!」バッ


リエム「リアンさま、お口を開けてくださいませ……」

リアン「うん……。あむ……」

リエム「ゆっくり、咀嚼してくださいませ……」

リアン「んん……」

リアン(冷たくて……生き返るみたい……)

 合計持続力が3回復しました。

 ◇

―夏祭り会場 消火率[20/20]
       合計踏破力[3] 合計戦闘力[8] 合計持続力[4/6] 防御[3]
 ◆有水消火班
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4、消火力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)

リアン(かき氷を食べて回復した私は、リエムちゃんと共に夏祭り会場を見回っていた)

リアン(見た所、もう火の手はほとんど見えない。消火作業は概ね完了したと見て良さそうだ)

リアン(しかし、気になるのは――)

リアン(あの痛々しい、くすんだ銀色の女の子……)

リアン(片腕が剣になっていたから、多分インテリジェンスソードの子だと思うけれど……)


リアン「リエムちゃん……あの子は……」

リエム「……あちらの方角へ離脱して行きました。追いますか?」

リアン「うん……!」

リエム「わかりました……。ですが、絶対に無理はなさらないでくださいませ……」

リアン「う、うん……気を付ける」

 ◇

―東区 町外れ

アリム「……ここね」

リアン「アリムちゃん! ルルちゃん!」タッタッタッ

ルル「リアン! リエム!」

アリム「消火は終わったの?」

リアン「うん……! ねえ、くすんだ銀色の女の子を見なかった……?」

アリム「見たわ。私たちも追ってきたのよ」

リエム「!」

リアン「じゃあ、目的は――」

アリム「同じみたいね。一緒に行きましょう」

 ◇

―廃屋

スイス「あ……アあ……。なん、デ……?」カタカタ

量産剣「…………クロリア、スイスを頼む」スクッ

クロリア「あなたは……?」

量産剣「足止めをする」

クロリア「……死ぬ気ですか?」

量産剣「死ぬだろうな」

クロリア「そんな……あっさりと、言うことなんですか」

量産剣「私一人の命でお前たち二人が助かるなら、悪くない戦果だろう」

クロリア「そういう問題じゃありません! だって、死ぬって……!」

量産剣「だから名前など不要と言ったのだ。どうせまた、次の私が稼働する」

クロリア「ッ! でも、それは――あなたであって、あなたじゃない……!」

量産剣「わかっている。私自身は、ここで途切れて終わりだ」

クロリア「だったら――!」

量産剣「…………お前さん、魔法人形クロリアには決して断ち切れぬ思いがあるのだろう?」

クロリア「――それ、は――……」

量産剣「……スイスもだ。初めて得た名を、ここで途切れさせるなど――」

クロリア「…………」

量産剣「それにスイスは型が古すぎて修理どころか整備すらままならん。これ以上どこかが壊れてしまえばお終いだ」

クロリア「……私が、もっとご主人さまの技を学べていれば…………」

量産剣「……資源不足にも関わらず、スイスが未だに生きていられるのはお前さんのお陰だろう」

クロリア「……」

量産剣「私はこの中の誰よりも替えの効く量産品だ。気にすることはない。名前も、過去も、未練もないのだから」

クロリア「…………いいえ。過去なら、あります。ごく僅かですが、私たちと共に過ごした時間が……」

量産剣「…………フッ。冥土の土産としては……私にはあまりにも、過ぎたものだ……」

クロリア「……スイスに、何と言えば……」

量産剣「次の私によろしく、と」

クロリア「………ッ!」

量産剣「! 来たようだ。スイスを連れて速やかに撤退するように。では、参る」シュタッ

クロリア「…………そんなこと……言えるわけ、ないでしょう……!」

 ◇


量産剣「…………」ザッ

ルル「!」

リアン「あっ……あなたは……!!」

アリム「知り合い?」

リアン「前に、ゾンビ屋敷の地下で……! い、生きていたの……!?」

量産剣「……リアン・ロールセン。記憶にはないが、前の私の記録には残っている。厄介な水魔法の使い手、と」

リアン「ま、魔鍵に支配されてるんでしょ!? も、もうやめよう? 殺し合うことなんて……」

アリム「実際、この戦力差でどうする気? 投降するなら悪いようにはしないわよ?」

量産剣「大規模なテロを働いた我々を許す法などあるものか」

量産剣「…………リミッター、解除」ジャキン…

アリム「リミッター解除!? 死ぬ気なの!?」

量産剣「魔鍵に支配されているだけならここまではしなかったろうな。前と同様に適当に戦って、斃されて、終わりだ」

リアン「ど、どういう……」

量産剣「だが今回の私には……守りたいものが、できた」

量産剣「それだけだ」

リアン「な、なんで……! あなたが死んじゃったら……その、守りたかった人たちだって……!」

リエム「リアンさま。お下がりくださいませ」スッ

リアン「で、でも!!」

量産剣「これ以上の問答は不要――いざ」タンッ

ルル「!!」ギンッ

リアン「どうして……どうして……!?」


―町外れ 消火率[20/20]
       合計踏破力[10] 合計戦闘力[20] 合計持続力[13/15] 防御[10]
 ◆追跡班
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)

 VS
 ◆量産剣 踏破力[10] 戦闘力[15] 持続力[20/20] 防御[10]
 〈リミッター解除〉全ステータスが5倍になるが、毎ターン最大持続力が5減る

 ――ボス戦闘開始――

↓1コンマ
01-25 失敗 味方に5ダメージ
26-95 成功 敵方に10ダメージ
96-00 会心 敵方に20ダメージ

―町外れ 消火率[20/20]
       合計踏破力[10] 合計戦闘力[20] 合計持続力[13/15] 防御[10]
 ◆追跡班
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)


量産剣「」ビビビッ

ルル「!」キンキンキン!

アリム「やるしかない……! たぁっ!」ヒュッ

量産剣「!」ギィン!

ルル「」シャッ

量産剣「!!」ガガガッ

リエム「――」キィン―

リアン「やめて……もうやめてよお!!!」


 ◆量産剣 踏破力[10] 戦闘力[15] 持続力[5/15] 防御[7]
 〈リミッター解除〉全ステータスが5倍になるが、毎ターン最大持続力が5減る

↓1コンマ
01-25 失敗 味方に5ダメージ
26-95 成功 敵方に10ダメージ 撃破
96-00 会心 敵方に20ダメージ 撃破

―町外れ 消火率[20/20]
       合計踏破力[10] 合計戦闘力[20] 合計持続力[13/15] 防御[10]
 ◆追跡班
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)


アリム「リアン! あいつはもう助からない! 自分が怪我しないことだけ考えて!!」

リアン「そんなの……そんなの……!!」

ルル「リアン……ごめん」シャッ

 ザシュッ

量産剣「――――」フラッ

量産剣(………あいつらは……無事、逃げられたか……?)

量産剣(これが……未練、か――……)

量産剣「――…」ガクッ

リアン「あ……あああああああ!!!!!」


 ◆量産剣 踏破力[10] 戦闘力[15] 持続力[0/10] 防御[7]
 〈リミッター解除〉全ステータスが5倍になるが、毎ターン最大持続力が5減る

 ――戦闘終了――

本日はここまで

乙です
アリムちゃんキスのことチューっていうの可愛い……

ご迷惑でなければこのスレの漫画とか描いてみたいなあと思ってたりするんですけど、大丈夫ですか……?

>>595
この板の著作権周りとかよくわかっていないのでなんとも言えないのですが、個人的には全然迷惑ではありませんしむしろすごく読んでみたいです
上の方に絵を描いてくださった方もいらっしゃったので、割と大丈夫だと思います(曖昧な回答ですみません)


リアン「――――」

リエム「リアンさま……」

アリム「……言ってもわかんなそうだけど、一応言っとく。あんたのせいじゃないわ」

リアン「…………うん」

ルル「リアン……えっと……」

リアン「…………ルルちゃん、ありがとう。この人を……介錯してあげたんだよね」

ルル「…………うん。すごく……苦しそうだったから」

リアン「…………」

ルル「……どうして、こんなに悲しいことになるの? この人も……ルルと、同じなのに……」

アリム「……魔鍵の差し金よ。それ以外考えられないわ。こんな短絡的で露骨な手に出るのは予想外だったけど」

リアン「…………せめて、どこかに……」

アリム「……そうね。治安組織や行政機関に見つけられてもどうせ隠蔽されるだけだし……それなら私たちの手で弔ってあげましょう」

リアン「うん……」


―町外れ 消火率[20/20]
     合計踏破力[10] 合計戦闘力[20] 合計持続力[13/15] 防御[10]
 ◆追跡班
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)

 踏破完了……

 ◇

(その遺体はアリムちゃんの手で魔導機械工場へ運ばれ、然るべき方法で弔われた)

(夏祭り会場の大火災については、学生や市民の方々の努力もあって迅速に消し止められたそうだ)

(回復魔法に長けた学生や学院職員たちの救護活動もあり、死者は奇跡的に0人だったらしい)

(けれど……大火傷を負って長期入院を余儀なくされた人や、火事で家や財産を焼失してしまった人も少なくない)

(手放しで喜べる結末とはとても言えないだろう)

(…………)

(私は……どうすれば良かったのだろう)

(ルルちゃんやアリムちゃんを、止めれば良かった?)

(ううん。そんなことしたら、ルルちゃんやアリムちゃんが危なかった)

(それに、あの人は戦いながら自壊し始めていた)

(もし戦いを止められても、長くは持たなかっただろう)

(……どうしようも、なかったの?)

(…………どうしようも、なかったんだ)

(私なんかじゃ……どうしようも…………)

 ◇


―どこかの遺跡 工房

スイス「…………あ……」パチッ

クロリア「スイスちゃん……!」

スイス「クロリア、さン……?」

クロリア「すぐに動かないで。ゆっくり、ゆっくり……調子を確かめるように……」

スイス「ン……うん……。大丈夫……ミたい……」ギギ…

クロリア「ごめんなさい……。この個人工房じゃ、ここまでが限界で……」

スイス「ううン……。あリがとウ、クロリアさん……」

クロリア「…………」

スイス「量産さん、ハ……?」

クロリア「量産さんは…………」

魔鍵「死にましたよ。あなたを守る為にね」シュン

スイス「エ……」

クロリア「魔鍵……! ここには入るなと……!!」

魔鍵「下位種の命令に強制力はありません」

クロリア「……ッ!」ギリッ

スイス「魔鍵さン……ほんト……?」

魔鍵「ええ、本当です。そんなお二人にサプライズプレゼント! さ、お入りください。量産型インテリジェンスソードさん!」

量産剣「……」コツコツ

スイス「あ……量産、サん……!」ガタッ バッ

 ぎゅっ

量産剣「…………」

スイス「良かっタ……」ポロポロ

魔鍵「あははっ! 旧型なのに涙を流す機能はしっかりあるんですね。設計者の趣味の悪さを感じます」

クロリア「……」キッ

魔鍵「おっと、そもそも人造種なんてどれもこれも悪趣味の塊みたいなもんでしたね。失言でした」

量産剣「…………このような茶番の為に我々を集めたわけではないだろう」

魔鍵「フフッ、これは失礼。とりあえず今回はミッション達成おめでとうございますと伝えたかっただけです。そう構えず、楽にしてくださいな」

クロリア「…………本当に、それだけですか?」

魔鍵「ええ、本当です。あまり急いても仕方ないですしね。ゆっくりやっていきましょう」

魔鍵「ストロードールも未だ動きを見せてませんし、ね」

 ◇

―ユリトー島 北側 高台

 ヒュオォォォ―

黒髪のエピタフ「…………」

黒髪のエピタフ「……守り抜いたよ。あなたの剣は、あの子たちを」

黒髪のエピタフ「でも……もっと、もっと……一緒にいたかったんだね……」

黒髪のエピタフ「…………一緒に……生きたかったんだね……」

黒髪のエピタフ「本当は……名前も…………」

黒髪のエピタフ「…………」

黒髪のエピタフ「うん……。大丈夫……」

黒髪のエピタフ「あなたも……わたしが、連れて行ってあげるから――――」


――――

――

―8月4週 夏休み最終週
 リアンの部屋

リアン「……」ボー

リエム「リアンさま……。お昼ごはんは、いかがいたしますか……?」

リアン「……なんでもいいよ……。リエムちゃんが、作りやすいやつで……」

リエム「リアンさま……」

リアン「あ……こういう回答が、一番だめなんだよね……。ごめんね……」

リアン「…………ごめん。やっぱり思い付かないや……」

リエム「リアン、さま…………」


―次の遺跡発見率[0/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+1、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+1)〈不壊〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+4、戦闘力+4、持続力+4)〈貫通〉
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+3)〈聖域〉
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・黒髪のエピタフに備える

8月4週の行動です。夏休み最終週です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、新学期に移ります

SSの著作権は確か管理人にあるんじゃなかったかな。ここで書いたのを渋なろうに投稿してる作者もいるしそこまで気にせんでも良さそうだけど

>>609 情報ありがとうございます。とりあえずあまり気にしなくても良さそうですね
――――――――――――――――――――――――――――――――

―8月4週 某日
 リアンの部屋

テレビ「先日発生したユリトー島での大規模火災は、花火に付与された火魔法の調合ミスが原因であるとされ――」

リアン「……」ボー

 ピッ

テレビ「」

リアン「あ……」

アリム「…………フン。こんな下らないモノ見てるから余計塞ぎ込むのよ」

リアン「アリムちゃん……来てたんだ……」

アリム「来ちゃ悪い?」

リアン「ううん……嬉しいよ……」

アリム「…………」

リアン「…………」

アリム「………消えないわよ、わたしは」

リアン「え――」

アリム「……別に、あんたの為じゃないけど。ただ、言っておきたかっただけ」

リアン「………うん。ふふっ」

アリム「何よ……。笑う要素ないでしょ、今の発言に」

リアン「ううん……。アリムちゃんの優しさが……嬉しくて……」

アリム「……何を勘違いしているの。わたしはただ――」

リエム「リアンさま。わたしも、絶対に消えません」ヌッ

アリム「うわっ急に出てくるな!」

リアン「リエムちゃん……。ふふっ……二人とも、ありがとう……」

アリム「だ、だから何を勘違いしているのよ。お礼を言われることなんて――」

リエム「ではリアンさまのありがとうは、わたしだけがいただいておきます」

アリム「はあ!? な、なんであんただけ……」

リエム「悪い方のリエムはリアンさまの感謝を素直に受け取れない出来損ないのようなので」

アリム「〜〜!! 久しぶりに出たわね! この煽リエム!!」

リアン「あはは……」

 ◇


 ピンポーン

サーナ『わたくしですわ! リアンはいらっしゃいますこと!?』

リアン「あ、うん。今――」

リエム「今開けて差し上げます」トテテ

アリム「……リエムのやつ、なんか張り切ってるわね」

リアン「アリムちゃんが来たから、かな?」

アリム「ったく。気にするなって何度も言ってるのに」

リアン「何のこと?」

アリム「こっちの話よ」


 ガチャッ

サーナ「お邪魔しますわ! あら、アリムも来ていましたのね」

アリム「ええ。まあ、たまにはね」

リアン「いらっしゃい、サーナさん。今日はどうしたの?」

サーナ「出かけますわよ!」

リアン「え、ええ? そんな急に……」

サーナ「とにかく出ますわよ! リエムちゃんとアリムもですわ!!」

アリム「ええ!? わたしも!?」

リエム「リアンさま、お出かけしましょう」

リアン「あ、うん……。わかったよ」スクッ

 ◇

―闘技場

リアン「こ、ここって……」

サーナ「闘技場ですわ!」

リアン「か、勝手に使って良いの……?」

サーナ「いつも開放してましてよ。今日は誰も来てないみたいですし、存分にやれますわ!!」

リアン「そ、そうなんだ……。じゃあ、ちょっと動いてみよっかな……」トッ

リエム「お供いたします、リアンさま」タッ


アリム「そういえば来月末に学内闘技大会なんてのがあったっけ」

サーナ「ええ! アリムも出るんですの!?」

アリム「いいえ。格下の子供を蹴散らして優勝なんていくら人間相手でも気分悪いし」

サーナ「くっ……! 悔しいですがそれほどの実力差があるのも事実ですわ……!」

アリム「ふふっ、悔しかったら精々腕を磨くことね」シュタッ

サーナ「負けませんわよ!」フワッ

 ◇

 トンッ タンッ バシャバシャ ギュオオオ

リアン「――」ボワン―

サーナ「…………無茶な動きですわね」

リアン「サーナさん……」ピタッ

サーナ「……ルルから聞きましたわよ。何があったのか」

リアン「あ……そう、なんだ……」

サーナ「……わたくしに軽率なことは言えませんわ。でも一つだけ、確かなことがありましてよ」

リアン「え? 確かなこと?」

サーナ「ええ。それは――」フワッ

サーナ「意地を張って、想いを通すには――強くなるしかないってことですわ!!」ヒュルンッ

リアン「!!」


リアン(そうだ――)

リアン(あの時私は、水魔法の使いすぎでフラフラになっちゃったし)

リアン(あの戦いでも、泣き叫ぶばかりで何もできなかった)

リアン(だから、変わらないと。このままじゃ私は、何も守れない)

リアン(――――そうだ。あの時食べたかき氷、美味しかったな)

リアン(水と氷って似てるし、もしかしたら――)

↓1
01-98 属性不一致
99-00 二重属性


リアン「アイス!」キンッ

氷「」ジュワッ…

リアン「一瞬で溶けちゃった……。やっぱり不一致魔法なんてこんなものか……」

アリム「不一致属性の練習なんてしてどうすんのよ。無駄遣いの練習?」

リアン「あ、いや……。水と氷って似てるし、もしかしたらと思って……」

アリム「はあ……。あんたね、水属性と氷属性は全くの別物なのよ?」

リアン「え、そうなの?」

アリム「まあ、それについては表記が悪いとも言えるわね……。水魔法は水を操ったり創り出したりする魔法だけど、氷魔法は氷を創る魔法ではなく熱を奪う魔法なの。この辺の原理を説明し出すと日が暮れるから端折るけど。その二つの属性を十全に使えるのは二重属性の天才か、そういう種族か、そういう風に作られた人造種くらいよ」

リアン「そ、そうなんだ……。勉強になります……!」

アリム「まあでも、あんたなりにいろいろ頑張ろうとしてるのはわかるわ。努力の方向性は間違えないようにしなさいよ」

リアン「うん……! ありがとう、アリムちゃん……!」

 ◇

リアン(そういうわけで、私たちは闘技場で体を動かした)

リアン(悩みが晴れたわけではないけれど……とりあえず、一汗かいて少しはマシな顔になれた気がする)

リアン(みんなに気を遣わせちゃったな……)

リアン(新学期は、シャキッとした顔で登校できるよう頑張ろう……!)


 ☆日々の訓練や消火活動で経験を積んだことにより、学生組の能力が成長しました

 ◇

本日はここまで

―9月1週 新学期
 教室

 ザワザワ…

生徒B「おひさ〜」ガラッ

生徒A「……あ! ねえ、大丈夫なの……? 火傷……」

生徒B「へーきへーき! もう治っちゃったから! マジここの医療体制グンバツ!」

生徒A「良かったぁ〜……」ヘナヘナ

生徒B「ちょ、おーげさすぎるっしょ……! うちこんなんで死なないからね!?」


リアン(久しぶりの学校は……夏休み明けの再会を喜ぶ声もあるものの、やはり先日の事件のことで持ち切りだった)

リアン(世間的には、花火の調合ミスによる事故ということになっているけど……今はむしろ、その隠蔽体質に救われている気分だ)

リアン(だって、もし犯人のことが知れ渡ったら……きっと遺跡の人造種たちに、ものすごい憎しみが向けられてしまうだろうから……)

リアン(彼らが決して許されないことをしたのはわかっているけれど……。それでも、私は)

リアン(……やっぱり、どうにかしてあげたいよ)

―放課後
 遺跡探索部 部室

ルル「……」モグモグ

ノルン「ルルちゃん、どう? 美味しい?」

ルル「ん。もうちょっと甘い方が好み」

ノルン「ふむふむ……甘い方が好み、と……」

 ガラッ

エンシァン「諸君、新学期早々面白いニュースがある。聞きたいか?」ザッ

リアン「面白いニュース……?」

ルウェリア「新しい遺跡を見つけたとか?」

エンシァン「そうではない。しかし悪いニュースではないぞ」

サーナ「勿体ぶらずに教えてくださいまし!」

エンシァン「フッ、せっかちな奴らだ。では言うぞ……?」

アリム「早く言いなさいよ」

エンシァン「今朝、入部届を一枚受理した!!」

リアンたち「!?」

ルル「?」モグモグ

というわけでついに後輩キャラ登場です
余談ですが、入部を決めた理由も備考等に書いていただけると>>1が喜びます

【名前】
【種族】
【性別】女
【学年】1
【容姿】
【性格】
【魔法】(主に使う魔法や得意とする属性など)
【備考】(来歴や嗜好、その他特徴や長所短所などなんでも)

↓1 後輩キャラ

エンシァン「入りたまえ! ヒーティ・レトリーバよ!!」

 スタスタ

ヒーティ「……ひ、ヒーティ・レトリーバです! ワーウルフですッ! よろしくお願いしますッッ!」ペコッ

リアン(い、犬耳……!!)

エンシァン「ヒーティくんは先日の我が部の消火活動を見て、心を動かされて入部を決めたそうだ」

ヒーティ「は、はい。特に……その、緑髪の人が、すごく頑張っているのを見ました……!!」

リアン「え、私!?」

ルウェリア「……ウチは遺跡を探索する部活だよ? 消防部じゃないよ? 本当に良いの?」

ヒーティ「はい……! 自分……火属性なので……あの時、何もできなかったんです」

ヒーティ「でも……遺跡部の先輩たちは、消防部でもなんでもないのに、頑張ってました……!!」

ヒーティ「自分も、そんな先輩たちの力になりたいと思って……。エンシァン先生から火属性が不足していると聞いて、すぐに入部を決めたんです」

ヒーティ「ふ、不束者ですが……よろしくお願いしますッ!」ペコッ

サーナ「こちらこそよろしくお願いしますわ!」

ノルン「よろしくね、ヒーティちゃん。入部祝いにお菓子をどうぞ」スッ

ルル「ルルのだからだめ!」ガッ

サーナ「こらルル、意地悪はいけませんわ!」

ルル「ルルのだったもん! 後から来て取る方が悪いもん!!」

ヒーティ「あ、え、えと……じ、自分の分はいりませんので……!!」


ルウェリア「……こ、これは……一波乱ありそうな予感……」

リアン「あ、あはは……。上手くやれれば良いんだけど……」


アリム「…………ねえ、今更部外者なんて入れても大丈夫なの? 私たちのバックドアにならないかしら」ヒソヒソ

エンシァン「バックドアと言うなら全員似たようなものではないか? 私やシャーロット、そして君も含めてな」ヒソヒソ

アリム「それは……まあ、そうね。わたしたちはそういう相手と戦おうとしているんだったわ」ヒソヒソ

エンシァン「そういうわけだ。まあ、命に関わる事態になりそうなら降りてもらうさ」ヒソヒソ


―次の遺跡発見率[197/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+2)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+3)〈聖域〉
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+4、戦闘力+4、持続力+4)〈貫通〉
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)
 ◇ヒーティ (火の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+1)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・黒髪のエピタフに備える

9月1週の行動です。新学期です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、特殊なイベントが発生することがあります

―9月1週
 部室

 ツクツクツク…オーシー!! ツクツクツク…オーシー!!

リアン「はあ……まだまだ暑いねえ……」

リエム「リアンさま、今冷たいお茶を――」

ヒーティ「自分が買ってきます!!」ダダッ

リアン「あっ! れ、冷蔵庫あるのに……」

リエム「……」

 ◇

―夕方
 学生通り

リエム「本日の晩ごはんはいかがいたしますか、リアンさま」

リアン「そうだなあ……今日は――」

ヒーティ「リアン先輩!! お荷物お運びしますッ!!」バッ

リアン「うわあ!? ヒーティちゃんいたの!?」

リエム「…………」

 ◇

―リアンの部屋 台所

ヒーティ「リアン先輩、何でもリクエストをどうぞ! 自分が作りますッ!!」

リアン「え、ええ……。いや、でも……」

ヒーティ「…………」シッポブンブン

リアン(こ、断りにくい……)

リエム「………………」


――
―――

―リエムの論理回路

悪い方のリエム「何よあの駄犬は。リアンさまが迷惑がっているのに気付いていないのかしら。即刻殺処分すべきよ」

良い方のリエム「だめです。彼女の行動はリアンさまを慕ってのもの。本質的には、わたしと同じなのです」

悪い方のリエム「愛しているなら何をしても良いって? ふざけないで。そんな奴らがわたしたち魔法人形に何をしたか忘れたの?」

良い方のリエム「わたしは知りません。わたしという意識が発生する以前に起きたことは」

悪い方のリエム「チッ……。じゃああんたはリアンさまがあの駄犬にくそまずい晩飯を食わされて食中毒で死んでも良いのね」

良い方のリエム「そ……そんな、ことは……」

悪い方のリエム「ならわかるでしょう。わたしが何をすべきか」

良い方のリエム「…………リアンさまを、お守りします」

悪い方のリエム「それで良い。リアンさまに近付く毒虫は、絶対に許さない――」

―――
――


リエム「…………ヒーティさま。本日は、お帰りくださいませ」

ヒーティ「―――え?」

リアン「リエムちゃん……?」

リエム「…………お帰りになれない場合は――」

リエム「…………」

リエム「――っ」ダッ シュタッ

リアン「リエムちゃんっ! ごめんヒーティちゃん! 用事できた!」タッ

ヒーティ「あっ……ベランダから……飛んでっちゃった……」

ヒーティ「…………どうしよう……わ、私のせいだよね……!?」

 ◇

―夜
 海岸

 ザァーン… ザザァーン…

リエム「…………」

リアン「はあ、はあ……り、リエムちゃん……!」タッタッタッ

リエム「あ……リアン、さま……」

リアン「……ど、どうしたの……? いきなり、飛び出して……」

リエム「…………わたしは、悪い魔法人形です」

リアン「え……?」

リエム「ヒーティさまを……排除しようとしました……」

リアン「え――」

リエム「その上……感情を処理し切れずパニック状態に陥り……」

リエム「リアンさまにご心配をかけ、余計なご足労を負わせてしまいました……」

リエム「わたしは……出来損ないのぽんこつ魔法人形です……」

リアン(リエムちゃんは俯きながら、静かにそう言った)

リアン「リエムちゃんは、出来損ないのぽんこつじゃないよ」

リエム「…………」

リアン「……ヒーティちゃんを排除しようとした理由……教えてくれる……?」

リエム「はい……。まだ知り合って間もない人物の手料理を食すのは、危険だと判断いたしました」

リエム「それに、ヒーティさまは……わたしの…………」

リエム「…………」

リアン「……?」

リエム「……わたしは…………悪い、魔法人形です……」

リアン「リエムちゃん……?」

リエム「…………」

リエム「………………リアンさまを……取られたく、なかった、です……」

リアン「―――あ――」

リエム「ぐすっ……。もうしわけ……ありません……」

リアン「――」

 ぎゅっ

リエム「ぁ――」

リアン「――大丈夫だよ。私は、誰にも取られないから」

リエム「りあん、さま……」

リアン「帰ろう? 私たちの家に……」

リエム「はい……ぐすっ……」

 ◇

リアン(私たちは、家に帰った)

リアン(今度、ヒーティちゃんにもちゃんと事情を説明してあげないとね)

リアン(リエムちゃん……ずっと、一緒にいようね……)

 ☆日々の努力とリアンへの想いによってリエムの最適化が進みました
  リエムの能力が大きく成長しました

 ◇

本日はここまで

―9月1週 某日
 美術室

美術教師「というワケで本日は適当な相手を見つけてヌードデッサン。オーケイ?」

 ザワザワ… エエ…

美術教師「シャラップ! できない奴は単位やらないから」

 エエ…



リアン「ど、どうしろと……」

ルウェリア「やるしかないでしょ……」

ノルン「……相手を見つけてとは言わたけど、必ずしも二人一組である必要はないと思う」

サーナ「! ということは……!」


全員(誰か一人を犠牲にすれば、最小限の犠牲で済む……!!!)


リアン「…………」

↓1
1.わ、私が……!(自己犠牲)
2.黙っている(コンマ判定)

リアン(……黙ってよう。この四人だけならまだしも、他のクラスメイトにまで自分の肌を晒すことになるし……)

ルウェリア「…………」

サーナ「…………」

ノルン「…………私が――」

サーナ「! ノルンが肌を晒す必要なんてありませんわ! ここはわたくしが――」

ルウェリア「それを言うなら、サーナさんが犠牲になる必要もないよ。間を取って私が――」

リアン(うわあああ!!! 譲り合いが始まっちゃったよお〜〜!!?)


↓1 脱いだ人
01-10 生徒A、B「ウチらの美肌を見ろーッ!!」
11-30 ルウェリア
31-50 サーナ
51-70 ノルン
71-90 リアン
91-00 なぜか全員脱いだ

リアン「…………」

リアン(このまま譲り合いを続けても埒が明かない)

リアン(私はこの状況を打開する奇跡の一手を思い付いた――)

リアン「みんなで、脱ごう――」

ルウェリア&サーナ&ノルン&生徒A&生徒B&他「!!?」

リアン「苦しみは、分け合おう。一人がみんなの為に、みんなが一人の為に――」

リアン「みんなで堕ちれば……きっと、苦しくないから――」ヌギッ

 シーン…

ルウェリア「――リアンちゃんだけに、苦しい思いはさせない!」ヌギッ

サーナ「フッ……いつの間にか、大きく水を開けられてしまったようですわね」ヌギッ

ノルン「…………わ、私も……リアンちゃんの、為なら――!!!」ヌギッ

生徒B「っしゃ! あの気弱なリアンちゃんにここまで言われちゃ気張らないわけにはいかないっしょ!!」ヌギッ

生徒A「えっ……! じ、じゃあ……あたしも!!」ヌギッ

 ザワザワ ジャアワタシモ… ウチモ… アタイモ…

リアン(私たちのクラスは……なぜか全員が脱ぐことになった……)

 ◇

生徒A「わっ……ノルンちゃんって、意外とあるんだ……」

ノルン「あ、あんまり……見ないでね……?///」

生徒A「あっ……ご、ごめんね。あ、あたしのも……見ていいから……///」



サーナ「わたくしの美体に酔いしれなさいまし!! オーッホッホッホ!!///」

ルウェリア「サーナさん……顔を真っ赤にしながら堂々としたポーズを取ってる……。流石だ……」

生徒B「そういうルウェちゃんもスラッとした綺麗な体してんじゃん! モデル体型うらやま〜///」

ルウェリア「も、モデル体型!? そ、そうなのかな……///」



リアン「言い出しっぺは私だから……みんな、自由に使ってね……///」

 ザワザワ… オオ… アノリアンチャンガ…

風紀委員「だ、だめだめ!! 全員裸になっているのだからロールセンに集らないで! ロールセンもいたずらに風紀を乱さないで!!」

リアン「でも……私の体で、みんなが助かるなら……///」

風紀委員「ああああ!!! 風紀の法則が乱れる!!」


リアン(私たちは、裸の付き合いをして気持ちを分かち合った……)

リアン(後になって、私は雰囲気や同調圧力の怖さに震えた……)

 ◇

―9月1週 某日 放課後
 学生通り

 ワイワイガヤガヤ

リアン「……? なんかいつもより賑わってる?」

ヒーティ「今日は商店街の方でカラオケ大会が開催されるんです、リアン先輩ッ!」

リアン「へえ、カラオケ大会なんてあるんだ……」

ルウェリア「……ちょっと気になるなあ」

サーナ「ルウェリアは歌に自信がありますの?」

ルウェリア「いや、そういうわけじゃないけど。どちらかと言うと見てみたい方かな」

ノルン「せっかくだし、行くだけ行ってみる?」

 ◇

―カラオケ大会 会場

 ワイワイ コゴエソウナカモメミツメ―

リアン「わあ……!」

ルウェリア「やってるね……!!」

看板「飛び入り参加歓迎!!!」

サーナ「飛び入りますわ!!」シュタッ

ノルン「流石サーナちゃん、判断が早い……!」

ヒーティ「リアン先輩も参加しますか!!?」

リアン「えっ!?」

ヒーティ「…………」キラキラ

ヒーティの尻尾「」ブンブン

リアン(き、期待されてる……)

リアン(まあ……この前私の部屋に放置しちゃって悪かったし、今回は期待に応えてあげよう……)

リアン「さ、参加……してみる」

ルウェリア&ノルン「!」

ヒーティ「!」パァァ


↓1 リアンの歌唱能力
01-10 ひどい
11-30 微妙
31-60 ふつう
61-90 上手い
91-00 魅惑


サーナ「ご清聴ありがとうございましたわ!」

 ワーパチパチパチ

リアン(よし、私の番だ……。歌えるのは孤児院で習ったコーラス曲くらいだけど……)


リアン「〜〜♪」

 オオ… キレイ…

ルウェリア「……♪」

ノルン「……♪」

ヒーティ(わあ……綺麗なコーラス……)


リアン「――――ご清聴、ありがとうございました……!!」

 オオーパチパチパチ…

 ◇

サーナ「リアンにあんな特技があったなんて知りませんでしたわ!」

ルウェリア「うん……! 聞き入っちゃった……!」

ノルン「私も! けっこう本格的だったけど、どこで習ったの?」

リアン「そんなちゃんと教わったわけじゃないよ。孤児院で時々歌うことがあっただけで」

ノルン「そうなんだ……! でも、すごかったよ……!」

ヒーティ「はいッ! リアン先輩、すごかったですッ!!」

リアン「え、えへへ……そうかな?」



リアン(惜しくも入賞とはいかなかったけど、私は上位数名の合格者に選ばれ、商店街の商品券を貰った)

リアン(半分は部費にして、もう半分はお小遣いにしよ……!)

 ◇

―9月2週
 東区 町外れ

アリム「……痕跡がある。例の人造種たちの逃走先はだいぶ近いわ」

エンシァン「罠の可能性は?」

アリム「大アリね。ノコノコ突っ込めば普通に死ぬかも」

エンシァン「ふむ……」

アリム「潮時、とか考えてる?」

エンシァン「――!」

アリム「……わたしも、ね。魔鍵はムカつくし許せないけど……あいつらを危険に晒してまで追求することじゃないわ」

エンシァン「フッ……人間などどうでも良いのではなかったのか?」

アリム「フン、気が変わった。腹立たしいけど、触れれば触れるほどあいつらを嫌いでいられなくなってしまうの」

アリム「……所詮はわたしも、人間に都合の良い魔法人形でしかなかったということよ」

エンシァン「……それは魔法人形に限らん。どんな者であれ、あの子らのように真心を持って接せられたら嫌いにはなり切れんさ」

アリム「…………そうかもね」


―次の遺跡発見率[447/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+3、戦闘力+6、持続力+3)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+2)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+3)〈聖域〉
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+4、戦闘力+4、持続力+4)〈貫通〉
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)
 ◇ヒーティ (火の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+1)


☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・黒髪のエピタフに備える

9月2週の行動です。新学期です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、特殊なイベントが発生することがあります

ちょっと時間がかかりそうなので本日はここまで
次回、リエムちゃのお洋服編とルル先輩面編と謎の遺跡編と一方その頃編の予定です(予定は変更の可能性もあります)。お楽しみに

―9月2週 某日
 アパレルショップ「アイランド・ヴィレッジ」

リアン(そろそろ少し涼しくなってきたので、私たちは秋モノの服を求めて服屋を訪れていた)

リアン(もちろんリエムちゃんも一緒だ。リエムちゃんの服も買ってあげないとね)


ルウェリア「秋モノかあ……。去年買ったのもまだまだ着れるし私は……」

サーナ「あるものを大事に使う美しさもありますが、今年のトレンドを抑えておくのも女子の務めでしてよ!」

ルウェリア「そ、そんなこと言われても……。私ぺったんだし……」

ノルン「……私はルウェリアちゃんくらいスリムな方が良かったなあ」

サーナ「ルウェリアにはルウェリアの、ノルンにはノルンの良さがありますわ! 持ち味を活かすんですのよ!!」

ルウェリア「持ち味……。そういえば私、モデル体型って言われたっけ。ちょっとマネキン買いとかしてみようかな……」

シャーロット「ノルンちゃんの服は私が選んであげるわ!!」ユサッ

ノルン「わっ! 急に出てこないでください准教授!」

シャーロット「服を買いに来たらみんながいたものだから。ノルンちゃんのカラダに合ったプレシャスな服を私のエルフセンスでコーディネイトしてあげるわね」ユサッ

ノルン「い、嫌な予感が……」

 キャッキャウフフ…

リエム「…………」

リアン「リエムちゃんはどんなのが欲しい? 今月は商品券でホクホクだからなんだって買えるよ!」

リエム「あ……わたしは……」キョロキョロ

リアン「自分で選ぶのが難しかったら、無理に決めなくても良いからね。私が見繕ったのをリエムちゃんに選んでもらうっていう方式でも良いし」

リエム「あ……じゃあ、それでお願いします……」

リアン「! これは責任重大だ……!」

 ◇

リアン「無難……というか、私が買うやつの小さめサイズの色違いだけど、本当にこれで良いの?」

リエム「はい。リアンさまと同じ召し物を、わたしも纏いたいです」

リアン「……?? まあ、リエムちゃんが良いならそれでも良いけど」

サーナ(リアンってやっぱりちょっと天然ですわよね……)


リアン「でもせっかくだし、他のも見てみようよ」

リエム「はい、リアンさま」

リアン「このエプロンドレスとか――――」

 ザザッ

 青のエプロンドレスを着たリエム『リアンさま――』


リアン(あれ……こんなエプロンドレスを着ていたリエムちゃんを……見たことが、あるような……)

リアン(……夢か何かで見たのかな……。いや、でもあんまり夢って感じでも……)

リアン(とりあえずリエムちゃんに勧めてみよう)


リアン「リエムちゃん。このエプロンドレスとか、どうかな?」スッ

リエム「…………? 奇妙な感情を覚えます。これは……郷愁……?」

リアン「あっ、リエムちゃんも何か不思議な感じする? 私もなんだよ〜」

リエム「そうなのですか?」

リアン「うん。ふふっ、なんだか面白いね。これも買ってこっか」

リエム「はい。お願いいたします」


リアン(そういうわけで、私はリエムちゃん用に私の色違いと青のエプロンドレスを買ってあげることにした)

リアン(それにしても、あのエプロンドレスを着たリエムちゃんの記憶は何だったのだろう。不思議だ)

 ◇

ルウェリア「……」バァーン(E:キレッキレなイケ女コーデ)

リアン「わああ! ルウェリアちゃんかっこいい!」

ルウェリア「そ、そう……? たまにはこういうのも良いのかな……//」


ノルン「……///」ポヨン(E:パツパツニットワンピ―ス)

リアン「わああ……! か、体のラインがはっきり出てて、その……わ、私は好き!///」

ノルン「リアンちゃんが好きなら……か、買ってみようかな……///」


サーナ「ふふっ、みんな素材は極上なんですもの。自信を持てば何だって着こなせますわ!」

シャーロット「ええ、その通りよ! 今度はサーナちゃんの分もコーディネイトしてあげるわね!」

サーナ「望むところですわ!!」


リアン(こうして、私たちは服選びを楽しんだ。みんな気に入った服が見つかったみたいで何よりだ)

リアン(ふふっ、新しい服を買うと袖を通すのが楽しみだよね)

 ◆

―9月2週
 部室

 ガラッ

ヒーティ「お疲れ様ですッ!!」

ルル「……んー? あ、わんわん」

ヒーティ「……る、ルル先輩……!」

ルル「……せんぱい?」

ヒーティ「えっ……?」

ルル「ルルのこと、ルル先輩って言った?」

ヒーティ「い、言いましたッ」

ルル「ふうん……」ニヘラ

ヒーティ「え、ええと……?」

ルル「……わんわん後輩」

ヒーティ「えっ! そ、それって自分のことですかッ!?」

ルル「ん。わんわん後輩、ルル先輩は喉がかわきました」

ヒーティ「えっ」

ルル「ルル先輩は喉がかわきました」

ヒーティ「あッ……! す、すぐ飲み物をッ――」

 ガラッ

エンシァン「はあ……ヒーティくん、行かなくて良い。ルル、冷蔵庫くらい自分で開けろ」

ヒーティ「え、エンシァン先生……!!」

ルル「むー。せっかく先輩らしいことしたのに。エンしゃん、台無し」

エンシァン「お前の考える先輩らしさとは何なのだ……」

 ◆

―9月2週 週末
 北側 断崖

エンシァン「本日の活動は我々三人のみだ」

ルル「んー? サーナたちは?」

アリム「ここから先、ガキ共は足手まといよ。少数精鋭の方が良いわ」

エンシァン「あいつらはまだ子供だからな。これ以上は危険だと私とアリムくんで判断した」

ルル「ふうん……。わかった」

エンシァン「今日は聞き分けが良いな。文句の一つくらい言うと思ってたぞ」

ルル「……ルルも、これ以上巻き込むのは危ないと思うもん」

エンシァン「……そうだな。全員の見解が一致しているなら良い」

アリム「ところでシャーロットは?」

エンシァン「大学の方で外せん用事があるそうだ。まあ元々あいつは不定期参加だしな」

 ◇

―断崖 崖下

アリム「……あったあった、ここよ。土砂とか溶岩で埋もれてるけど……エンシァンの魔法なら掘れるでしょ?」

エンシァン「お安い御用だ」

 ガオン!
 ガオン!
 ガオッ――

エンシァン「――! これは――」

不思議な雰囲気の壁「」

アリム「………当たりね。時空断裂を応用した完全防壁で覆われてる。通常手段じゃまず突破は不可能だけど――」

アリム「あんたが最近会得したっていう、空間破壊技。あれならどうかと思ってね」

エンシァン「――なるほど。試してみよう……」

 ガオン…

エンシァン「くっ……だめだ。これは空間を掘削する技だが、その掘削すべき空間が断裂していてはどうにもならん……」

アリム「……ふう。良かった。これなら安心ね」

ルル「んん? 入りたいんじゃないの?」

アリム「ああ、ここはただの時空断裂の実験場だから入っても目ぼしいものは何もないわよ。装置も大掛かりすぎて現代技術じゃ再現不可能だし」

エンシァン「なるほど読めたぞ。ここと同じ時空断裂で覆われた重要施設が他にもあって、そこへ魔鍵あるいは黒髪のエピタフが侵入するとまずいことになる……というわけだな?」

アリム「御名答。試すような真似をして悪かったわね。魔鍵は多分無理だろうけど、永く生きたエピタフ型なら空間破壊技の一つや二つくらい備えていてもおかしくないから」

エンシァン「ふむ……。時空物理学は専門ではないが、確かにこれを突破するには破壊ではダメだろうな。どちらかと言うと調律か……? しかしそんな使い所の限られた魔法など――はっ!」

アリム「……ええ。そんな使い所の限られた能力を持つ人造種が、ごく僅かに造られたわ」

エンシァン「聖鍵、か」

アリム「そういうこと。私の知る限り今現在機能し得る聖鍵は一人だけだし、かなり見つけにくいとこに引きこもってる上にお強いセキュリティも付いてるから大丈夫だと思うわ」

エンシァン「む? ということは、魔鍵は聖鍵としては機能しないということか?」

アリム「そうみたい。詳しいことは知らないけど、あいつ試作らしいし」

 ◆

本日はここまで
リアンたちは待機を命じられて素直に大人しくしているのでしょうか?次回、一方その頃編です。お楽しみに

 一方その頃…

―東区 町外れ

リアン(今日は部活が休みだ。しかし部活が休みだからと言って遺跡探しをしてはならないわけではない)

リアン(そういうわけで私たちは東区の外れまで来ていた)

リアン(あのインテリジェンスソードの人は死んでしまったけれど……あの人が守ろうとした人たちが逃げ込んだ遺跡があるはず)

リアン(そこを突き止めようとするのは、あの人の命を賭した想いを踏みにじるようで気が引けるけど……)

リアン(……やっぱり私は、あのボロボロで痛々しい銀色の子のことが気になる……)

リアン(もし魔鍵に酷いことをされているなら、助けてあげなきゃ……)


 スタスタ…

ヒーティ「……先輩たちは、その……古代文明の敵と戦っているんですよね?」

ルウェリア「うん。海底で全員まとめて死にかけたこともある。辞めるなら今のうちだよ?」

ヒーティ「かっ海底……!? い、いえっ、辞めませんッ!」

ノルン「……怖くなったら逃げても良いからね。誰も責めたりしないから」

サーナ「ええ。命あっての物種ですわよ。わたくしも覚悟なき者を巻き込みたくはありませんもの」

ヒーティ「……覚悟なら、ありますッ!!」

ヒーティ「自分、見たんです。リアン先輩が、くすんだ銀色の女の子に斬られるところを……」

リエム「……!」

リアン「ヒーティちゃん、あの時見てたの!?」

ヒーティ「はい。自分は……足がすくんで何もできませんでした」

ヒーティ「……みんな、うすうす感じてます。あの火災がただの事故じゃなくて、何者かに仕組まれた事件だってこと……」

ヒーティ「自分以外にも、あのくすんだ銀色の女の子を目撃してる人はいます。あの女の子が犯人じゃないかって、噂になってて」

ヒーティ「……遺跡探索部はあの女の子の足取りの調査もしてるんですよね。だったら、自分も……町を守る為に、一緒に動きたいんですッ!!」

ヒーティ「犯人なら、絶対に許せませんッ!!!」メラメラッ

リエム「…………」

リアン(…………)

リアン(ヒーティちゃんはこの島の出身だ。だからきっと、今回の事件に対する想いは並々ならぬものがあるのだろう)

リアン(そして多分……これが、一般的なあの事件に対する向き合い方なんだ……)

リアン(気が重いな……)


ルウェリア「……私たちの目的は犯人探しじゃなくて、あくまで遺跡探索だよ。まあ私も姉捜しっていう私情があるからあまり強いことは言えないけどね」

サーナ「……ええ。わたくしたちは正義の味方というわけではありませんわ。降りかかる火の粉は払えても、その先まですることはできませんのよ」

ノルン「もちろん緊急時には人命を優先するけどね。それじゃ、だめかな……?」

ヒーティ「い、いえ……!! 自分こそ、出過ぎたことを言ってすみませんでしたッ……!!」ペコッ

ルウェリア「ああ、頭を下げないで。君の感情ももっともだし……私たちだって、彼女ら遺跡存在のことを放置して良いと思ってるわけじゃないから」

リアン「……あの子たちも、好きであんなことをやったわけじゃないと思う……。だから私は……あの子たちと、話をしたいの……」

リエム「リアンさま……」

ヒーティ「……それなら、自分役に立てます……!!」


リアン(ヒーティちゃんはそう言うと、地面に鼻を近づけてフンフンと匂いを嗅ぎだした)


ヒーティ「あの銀色の女の子の匂い、覚えてます。自分、追跡できますッ!!」

サーナ「本当ですの!?」

ルウェリア「す、すごい……! それじゃあ、お願いしても良いかな……!?」

ヒーティ「任せてくださいッ! きっと突き止めて見せます!!」


リアン(私たちはヒーティちゃんの先導に従って、東区の町外れから森の奥へと入り込んで行った……)

 ◇

―東区 森の奥

ヒーティ(…………)

ヒーティ(町の為に尽力してくれた先輩たちのことは尊敬している。けど……)

ヒーティ(やっぱり私は、犯人があの子なら許すことはできない)

ヒーティ(先輩たちには悪いけど……先行して、捕まえてやる……!!)


ヒーティ「」タタッ

リアン「ええっ!?」

ルウェリア「ヒーティちゃん!?」

サーナ「追いますわよ! 飛行魔法――ぐえっ」ゴンッ ドサッ

リエム「サーナさま……!」

ノルン「ヒールライト! 大丈夫!?」ポウ

サーナ「うぐぐ……ありがとうございますわ、ノルン……。森の中は障害物が多くて飛ぶのが難しいですわ……」

リアン「ど、どうしよう……!」

ルウェリア「……複雑な経路じゃなかったから、その感じで続いてるならある程度予測はできる。追おう……!」

リアン「う、うん……!」

リアン(ヒーティちゃん……変な気を起こしたんじゃなきゃ良いけど……)

 ◆

―人形師の工房

 ビー ビー シンニュウシャ シンニュウシャ

クロリア「ど、どうして!? 完璧に隠蔽してたはずなのに……!!」

量産剣「……」

スイス「スイスがデる。量産さンとクロリアさんは、ここで待ってテ」シュタッ

クロリア「だ、だめ! あなたはもう戦える体じゃ……!!」

量産剣「…………行ってしまったな」

クロリア「追わないと……! 量産さん、あなたも――え?」

量産剣「すまない。上位種命令には逆らえなくてな――」

 ゴッ……

―地下通路 踏破率[0/10]
      合計踏破力[2] 合計戦闘力[3] 合計持続力[4/1] 防御[0]
 ◆探索メンバー
 ◇ヒーティ (火の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+1)

ヒーティ「追跡した先に、待ってましたと言わんばかりの入口があったから入ってみたら……」

ヒーティ「ここは……遺跡というより、地下通路……?」

ヒーティ「……この先に、あの事件を起こした犯人がいるのかも」

ヒーティ「……んぐ、んぐ……ぷはっ! よし、魔力補充完了……!」

ヒーティ「遺跡探索用のマナポーション、一人で勝手に飲んじゃった。あとでルウェリア先輩に謝らなきゃ」

ヒーティ「でも今は……絶対、あいつを捕まえる……!!」

 ※マナポーションを飲んだことにより合計持続力が上限を越えて3回復しました

↓1
01-98 踏破率+2、襲撃
99-00 踏破率+2、??

―地下通路 踏破率[2/10]
      合計踏破力[2] 合計戦闘力[3] 合計持続力[3/1] 防御[0]
 ◆探索メンバー
 ◇ヒーティ (火の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+1)

 ヒュン――

ヒーティ「!」バッ

くすんだ銀剣「……」ズザッ

ヒーティ「出たな――放火魔!!」

くすんだ銀剣「……」シャキ…

ヒーティ「許さない……! お前のせいで、私たちの町は……!!」メラメラ…

くすんだ銀剣「」パリッ―

ヒーティ「ッ!!」


 ◆くすんだ銀剣 踏破力[2] 戦闘力[4] 持続力[2/2] 防御[1]

↓1コンマ
01-05 痛恨 味方に8ダメージ 敗北
26-55 失敗 味方に4ダメージ 敗北
56-95 成功 敵方に3ダメージ 勝利
96-00 会心 敵方に6ダメージ ??

―地下通路 踏破率[0/10]
      合計踏破力[2] 合計戦闘力[3] 合計持続力[3/1] 防御[0]
 ◆探索メンバー
 ◇ヒーティ (火の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+1)


くすんだ銀剣「」ブンブン

ヒーティ「くっ……! 腕から、剣なんて生やして……!!」ボウッ

くすんだ銀剣「!」バッ

ヒーティ「誰かを斬るために――人を殺す為に生まれてきたの――!?」メララ

くすんだ銀剣「――エ?」

ヒーティ「うああああ!!」

 ゴウッ――

くすんだ銀剣「う……ア……」プスプス

くすんだ銀剣「」バタ…

ヒーティ「はあ、はあ……。あ……し、死ん――」

くすんだ銀剣「ヒュー、ヒュー……」

ヒーティ「い、生きて――で、でも……」


 リアン『……あの子たちも、好きであんなことをやったわけじゃないと思う……。だから私は……あの子たちと、話をしたいの……』


ヒーティ「あ――わ、私――!!」ガタガタ


「その子を助けたいですか?」コツコツ


ヒーティ「――え?」

魔鍵「フフ……助けたいかどうか。それを問うているのです。犬」

―地下通路 踏破率[0/10]
      合計踏破力[15] 合計戦闘力[22] 合計持続力[15/15] 防御[7]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+3、戦闘力+6、持続力+3)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+2)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+3)〈聖域〉


リアン(私たちは急いでヒーティちゃんを追い、この地下通路を見つけた)

リアン(明らかに怪しい通路だ。一体どこに繋がって――)


ルウェリア「これは……!」

ノルン「……床や壁が、焼け焦げてる?」

サーナ「古くない焦げ跡ですわ! ヒーティが通った可能性が高いですわよ!!」

リエム「雷撃の跡もあります。くすんだ銀色のインテリジェンスソードと交戦した可能性があります」

リアン「……!」

リアン(どうか無事でいて……! ヒーティちゃんも、あの子も……!!)

↓1
01-05 踏破率+15 間に合った?
06-95 踏破率+15 間に合った
96-00 踏破率+15 ??

―地下通路 踏破率[10/10]
      合計踏破力[15] 合計戦闘力[22] 合計持続力[15/15] 防御[7]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+3、戦闘力+6、持続力+3)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+2)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+3)〈聖域〉


リアン(急いで通路を走っていくと、道の先に光が見えてきた)

リアン(通路を、抜ける――)


―人形師の庭

 チュンチュン

ノルン「……え?」

ルウェリア「遺跡の中なのに……木々があって、家があって……空がある?」

サーナ「い、一体どうなっているんですの!?」

リエム「自然環境は本物ですが、空は拡張現実による投影のようです」

リアン「すごい……遺跡の中に自然を作っちゃうんだ……。でも今は急ごう!」

 ◇

―人形師の工房

クロリア「スイスちゃん……!!」バチバチ

スイス「う……ぅ……」


ヒーティ「あ、あれは……一体……?」

魔鍵「あなたが壊そうとしたガラクタを必死に直そうとしているんですよ。犬の知能ではわかりませんか?」

ヒーティ「…………」


ヒーティ(私は……何をしているんだろう……)

ヒーティ(町を燃やした犯人がいて……。でも、犯人にも大切な人がいて……)


スイス「う、ァ……イたい……よ……」

クロリア「ご、ごめんなさい……。感覚をロックする機能がもう……」


ヒーティ(……あんなに、小さい、幼い子なのに……私は……よりにもよって、炎で……?)

ヒーティ(で、でも……私だって、大切な人たちを……!!)


魔鍵「殺されかけたから、壊しても良いと?」

ヒーティ「!?」ゾクッ

魔鍵「人間らしい理屈ですね。今更どうとも思いませんけど」

量産剣「おい、それよりクロリアを無力化しろと言ったのはお前じゃなかったか?」

魔鍵「状況が変わりました。こっちの方が面白そうなので」

量産剣「…………」

魔鍵「しかしあなたが口答えなんて珍しいですね。何か思うところでも?」

量産剣「……何もないが?」

魔鍵「フフッ……そういうことにしておいてあげましょうか」

 ◇

クロリア「……処置は終了しました」

魔鍵「結果は?」

クロリア「一命は取り留めたかと……。しかし戦闘行動は厳禁です」

魔鍵「そうですか。ジャンクパーツをかき集めてきた甲斐がありましたよ」

量産剣「それで、この犬はどうするつもりだ?」

ヒーティ「……!!」

魔鍵「フフ……別にどうもしません。後は予定通りに」

ヒーティ「えっ!?」

量産剣「……了解した」

クロリア「ど、どういうことなんですか!? 量産さん……!!」

 ビービー シンニュウシャ シンニュウシャ

魔鍵「では私はここで失礼します。後はよろしく頼みますよ」シュン

量産剣「……侵入者は私が迎え撃とう。クロリアはスイスを診ていろ」

ヒーティ「……??」

クロリア「……ええと、犬、さん……? あなたも……スイスちゃんをこんな目に遭わせたことに少しでも罪悪感があるなら……。少し手伝ってくれる……?」

ヒーティ「あっ……はいッ」

 ◇

―人形師の工房 踏破率[10/10]
      合計踏破力[15] 合計戦闘力[22] 合計持続力[15/15] 防御[7]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+3、戦闘力+6、持続力+3)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+2)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+3)〈聖域〉


量産剣「……」ザッ

リアン「ま、また……! まさか、あなたは……!」

量産剣「ようやく気付いたのか。私はいくらでも替えの効く量産品だ」

ルウェリア「……! 自分のことを量産品だなんて……!」

量産剣「価値観の違いだ。人よりも蟻や蜂の方が近いかもしれんな」

量産剣「……チッ。魔鍵の奴め、リミッター解除まで強要してくるとは」

リアン「えっ……! そ、それはだめ――」

量産剣「リミッター、かい――」

リエム「――」ピピピ

量産剣「!? ば、馬鹿、な……!?」ガクッ

リアン「リエムちゃん!?」

リエム「アリムと共同で、量産型インテリジェンスソードのリミッター解除を妨害するプログラムを開発しました」フンス

リエム「また、聖鍵などからの命令を消去する作用もあります。聖鍵本体が知くにいる場合はいたちごっこになるだけなのであまり効果的ではありませんが――」

量産剣「――三分後ここは爆発する! 命が惜しければ急いで撤退しろ!!」

リアン「え……ええええええ!!!?」

サーナ「なんですってえええ!!?!?」

ノルン「こ、効果すごくあったんじゃないのこれ!!?」

ルウェリア「ヒーティちゃんは――」

量産剣「犬は私たちが逃がす! お前たちは来た道を戻れ!」シュバッ

リエム「――リアンさま、撤退しましょう」

リアン「で、でも……!」

ルウェリア「くっ……ヒーティちゃんのことが気になるけど、探してたら間違いなく間に合わない!」

サーナ「し、信じるしかないってことですの!?」

ノルン「……信じて良い、と思う。魔鍵の命令がなくなったのなら」

リアン「…………ヒーティちゃん! どうか、無事で……!!」

 ◇

―人形師の工房

量産剣「聞いていたな! 逃げるぞ!」シュタッ

ヒーティ「えっえっ……!?」

クロリア「で、でも、ここは……!! この家は……!!!」

量産剣「お前の気持ちはわからん。だが悩んでいる暇はない」

スイス「う……量産、さン……?」

量産剣「……お前がここと心中すれば、スイスは整備不良で遠からず死ぬ」

クロリア「……!! ひ、卑怯です……! スイスちゃんとここを、天秤にかけろなんて……!!」

量産剣「天秤にかけろなどと言ったつもりはない。来いと言っている」

クロリア「天秤にかけるまでもないに決まってるでしょう!!!」ガタッ

クロリア「脱出艇起動!! 皆さん急いで入って!!」

 ウィーン ガシャン

ヒーティ「あっ……じ、自分は……!」

クロリア「あなたも!!!」

ヒーティ「は、はいッ!!!」

クロリア「発進します!」

 ガゴン…シュゴォォォ……!!!

 ◇

リアン(地下通路を慌てて戻っている最中、激しい爆発音と衝撃波が後方から私たちを襲った)

リアン(サーナさんの風の障壁やリエムちゃんの魔導障壁のお陰でどうにかなったけど……もしあの場所にいたら、多分即死してたと思う)

リアン(そして遺跡から脱出すると、ヒーティちゃんが森の外で待っていた)

リアン(ヒーティちゃんは凄い勢いでペコペコと頭を下げた。私たちを置き去りにしたこと、対話もせず相手を攻撃したこと、勝手にポーションを飲んだこと……)

リアン(あの場にいた人造種たちは、ヒーティちゃんを降ろした後に脱出艇で島のどこかへと逃げ去っていったそうだ)

リアン(……次は平和な場所で、再会できたら良いな)

 ――踏破完了――

―どこかの遺跡

魔鍵「…………え?」

魔鍵「…………は?」

魔鍵「いやいやいや……えっ」

魔鍵「なんで?」

魔鍵「私の描いた完璧な爆発オチは?」

魔鍵「なんで脱出してるの?」

魔鍵「え、なんでなんで」

魔鍵「私上位種なんですけど」

魔鍵「なんで私の命令忘れてるのあいつ」

魔鍵「……」

魔鍵「…………」

魔鍵「………………」

魔鍵「なんで」

魔鍵「人間も、ガラクタも」

魔鍵「私を、捨てていくの――」


――――

――

―9月3週
 部室

アリム「はああああ!!? あいつらの潜伏先を勝手に探索した!!?」

リアン「ご、ごめんなさい……」

アリム「馬鹿! 馬鹿リアン! クソボケアホ馬鹿リアン! 死んだらどうするつもりだったの!!!?」ゲシゲシ

ヒーティ「あ、アリム先輩ッ……! リアン先輩たちは……自分が先走ったせいで、付いて来ざるを得なくなったのでしてッ……!」

アリム「新人のミスは先輩の責任! 何もかも全部馬鹿リアンが悪いのよ!」ゲシゲシ

リアン「あうぅ、ごめんなさいぃ〜……」


エンシァン「…………」

ルウェリア「あ、あの……すみませんでした、私たちだけで遺跡に入って……」

エンシァン「……いや、良い。元々そういう部活だ。ただここ最近は危険な活動が多くなってきているから、突入前に相談はして欲しいがな」

シャーロット「本当よ! ああ〜私も遺跡内に構築された自然と青空を見たかったわ〜」

エンシァン「お前はただ自分が見たかっただけだろう」

シャーロット「失敬な。みんなを心配する気持ちもあるわよ」


リアン(後で聞いた話だけど、どうやら先生たちは私たち学生組を遺跡探索から遠ざけるつもりだったそうだ)

リアン(しかしその計画は今回の私たちの勝手な遺跡探索によってご破産になった。どうせ止めても勝手に遺跡に向かいそうだから、という理由だ……)

リアン(結局、これからも活動内容は変わりなさそうだ)

リアン(これからも頑張ろう……!)


―次の遺跡発見率[0/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+3、戦闘力+6、持続力+3)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+2)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+3)〈聖域〉
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+4、戦闘力+4、持続力+4)〈貫通〉
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)
 ◇ヒーティ (火の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+1)


☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・黒髪のエピタフに備える

9月3週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、特殊なイベントが発生することがあります

本日はここまで
魔鍵さんばっかり悪者になっていますが、当初はもっとアリムちゃにヒール役をやってもらう予定だったらしいです。しかし信じられないくらいチョロかったのでだめでした

―9月3週 某日
 教室

先生「つーわけで来週末に闘技大会だ。参加希望者は準備しとけ。では起立、礼、解散」

 ガヤガヤ

リアン「闘技大会かあ。一応参加希望ってことになってるんだよね、私……」

ノルン「リアンちゃん、デュエット部門に出場の予定はあるの?」

リアン「いや、ないけど……」

ノルン「それじゃあさ……私と一緒に出てみない……?」

リアン「……え?」


リアン(一瞬、理解するのが遅れた)

リアン(だってノルンさんは闘技大会に不参加予定だった気がするし、こういう催しに率先して参加するタイプの人でもないと思っていたからだ)


ノルン「……やっぱり、だめ?」

リアン「あ、いや! 全然そんなことない……! ただ……びっくりして」

ノルン「……私って、やっぱりそういう風に見える?」

リアン「うん。控えめで、優しくて、自分から目立つことはしない人だと思ってたから」

ノルン「あはは……。まあ、実際その通りだよね。私って昔から地味で目立たなかったし、普段もなるべく目立たないように気を付けてるもの」

リアン「そ、そんなに悪い意味じゃないから! でもそれなら、どうして今回の大会に……?」

ノルン「……目立ちたくない気持ちはあまり変わってないんだけどね。でも……リアンちゃんと一緒に、上を目指してみたくなったというか……」

リアン「ふぇ……?」

ノルン「……たまには、目立ちたくなる時もあるってこと!」

リアン「は、はい! なんとなくわかります! そういう気持ち……!」


リアン(私も普段はあまり目立ちたくないタイプの人間だが、時にはみんなに注目されてチヤホヤされたくなることもある)

リアン(あの控えめで器用で優秀なノルンさんにもそういう俗な感情があると思うと、なんだか嬉しくなる。私と同じなんだ! と……)


ノルン「じゃあ……リアンちゃん、一緒に出てくれる……?」

リアン「ノルンさんさえ良ければ……!」

ノルン「――! ふふっ……ありがとう! 一緒に目指そうね、優勝!」

リアン「うん……!」


 ☆闘技大会デュエット部門にリアン&ノルンのペアで出場することになりました

―ユリトー島 北側 岩山

ノルン「というわけで練習しよ! 今回は二人で連携を取る練習!」

リアン「は、はい! がんばります!!」


ノルン(リアンちゃんとルウェリアちゃんが水と硬度変化の連携魔法を使ってるの、すごく羨ましかった)

ノルン(私だって……リアンちゃんと、連携魔法とか使いたい……!!)


↓1 練習の成果
01-10 リアン感度アップ
11-40 ちょっとできた
41-70 けっこうできた
71-90 かなりできた(デュエット専用パッシブ獲得)
91-00 阿吽の呼吸(デュエット専用強パッシブ獲得)

36 ちょっとできた

リアン「えいっ! アクアシュート!!」バシュン

ノルン「そこっ! サンライト!」カッ

リアン「アサルトシャワー!!」バシュシュシュ

ノルン「ホーリーレイ!!」ギュオオオ


リアン「はあ、はあ……ノルンさんの動きに付いていけるようになってきた気がする……!」

ノルン「うん! かなり良い動きができたと思う……!」

リアン「やったあ……! この調子で頑張るよ、私……!」

ノルン「頑張ろ! 二人で優勝しようね!」

リアン「うん!」


ノルン(リアンちゃんの動きは実際とても良くなってきた)

ノルン(でも、肝心の連携技は開発できていない……!!)

ノルン(……わかってる。水と光は、相性が悪いわけじゃないけど特別良いわけでもない)

ノルン(そういう意味では、リアンちゃんとルウェリアちゃんの水と硬度変化はものすごく相性が良い……)

ノルン(でも、だからって……諦められないよ)

ノルン(大会で活躍して……リアンちゃんの最高のパートナーはノルン・ハーベストだって、知らしめなきゃ……)

ノルン(私みたいな地味な女……すぐに埋もれて、リアンちゃんに忘れられちゃうよ……)

 ◇

―9月3週 某日
 寮 玄関

 カサッ

サーナ「あら、手紙……?」

サーナ「! お母様からですわ!」

ルウェリア「へえ……! 内容、聞いても大丈夫?」

サーナ「もちろん! ……ふむふむ。形式張った時候の挨拶と……闘技大会に向けた激励ですわ!!」

ルウェリア「! サーナさん、家族総出で応援してくれてるんだ……!」

サーナ「そ、そう言われると少し恥ずかしいですわね……。でも概ねその認識で間違ってなくてよ。わたくし、家族みんなから応援されているようですわ!」

ルウェリア「ふふ、それじゃあ負けられないね」

サーナ「ええ、元より負けるつもりなんてありませんもの……!!」


サーナ(……あら? そういえば、ルウェリアのご家族は……)

サーナ(!! し、しまった……よりにもよって、ルウェリアに家族自慢なんてしてしまいましたの、わたくし……!?)

サーナ(あ、ああ……い、今更取り返しが付きませんわ……)


サーナ「……」グニャア


ルウェリア(……あ、これ多分私の事情に思い至って自分の発言を後悔してる顔だ……)

ルウェリア(別に友達の家族仲が良いことなんて全然気にならないし、むしろ私も嬉しいくらいなんだけど……)

ルウェリア(とりあえずサーナさんが気にしないようにしないと)


ルウェリア「そういえば、私はあんまり似てないって言われるんだ」

サーナ「……えっ!?」

ルウェリア「私と違って抜群のプロポーションでね。どっちかと言うとサーナさんとかシャーロット准教授みたいな体型だし」

サーナ「そ、そうなんですの? わたくしはともかく、准教授並となるとなかなか凄いですわね」

ルウェリア「小さい頃はあれが普通だと思ってたから、そうじゃないことを知った時はちょっと驚いたよ。私自身もぺったんだしね」

サーナ「モデル体型、ですわ! ですがもし遺伝しているなら、ルウェリアの体つきもこれから変わるかもしれませんのね」

ルウェリア「うーん、そうなのかな……。最近いろいろあって、ようやくこの貧相な体にも自信が付いてきたところだったけど……」

サーナ「元からあまり気にしてなかったのではなくて?」

ルウェリア「気にしてなかったというより、諦めてたっていう方が近かったのかも。でも最近はいろんな人が褒めてくれるから……ちょっと、好きになれそうなんだ」

サーナ「あら! それは良いことですわ! 自分を好きになれる人は、自信があってキラキラして見えますもの!」

ルウェリア「ふふっ、ありがとう。みんなが遺跡探索部に入ってくれたお陰だよ」

サーナ「お礼を言うのは早いですわ! まだまだわたくしたちはこれからですもの!」

ルウェリア「うん! これからも一緒に頑張っていこう!」

 ◇

―9月3週 某日
 アパレルショップ「アイランド・ヴィレッジ」

ルル「わー!」キャッキャ

リエム「ルルさま、店内ではお静かにされた方が……」

アリム「…………」


リアン(私はアリムちゃんとルルちゃんとリエムちゃんを連れてアイヴィレを訪れていた)

リアン(というのも……前にリエムちゃんに服を買ってあげた時、実は私はアリムちゃんやルルちゃんの分も買ってあげるべきか悩んでいたのだ)

リアン(本人たちの意向を無視して勝手に押し付けるのもどうかと思い、結局その時は買わなかったのだけれど……)

リアン(やっぱり買ってあげたくて、私はこうして二人を連れてアイヴィレを訪れたのだ。リエムちゃんは私の付き添いだ)


アリム「……で? スク水愛好家のリアンさまは、今度はどんな衣装をわたしたち少女型人造種にプレゼントしてくれるのかしら?」ジト

リアン「うっ……。も、もうしないよお……」

アリム「ふん。わたしたちを着せ替え人形か何かのように扱うつもりなら蹴り飛ばすからね」

リエム「……リアンさま。わたしは、リアンさまの着せ替え人形にしていただいても――…」

アリム「リエムは余計なことを言うな!!」



リアン「まあとにかく、ルルちゃんとアリムちゃんは好きな服を選んでね。商品券はまだ残ってるから」

ルル「なんでもいいの? 高いやつでも?」

リアン「うっ……ま、まあ多分、大丈夫……!」

アリム「自分で選べるなら心配する必要はないか……」

アリム(……でも買うかどうかは別にして、リアンが選んだ服も見てみたかったかも……)

リエム「リアンさま。アリムが、リアンさまが選んだ服も見てみたいそうです」

アリム「ばっ!! か、勝手にハッキングするな馬鹿リエム!!」

リエム「アリムが教えてくれた技です」

アリム「あああああ!!! 教えるんじゃなかった!!!!」

リアン「…………わ、わかった! 一着だけ、私が選んでみるね……!!」


リアン(アリムちゃんに期待されたとあらば、手を抜くわけにはいかない……!!)

リアン(アリムちゃんに似合う、最高の一着を……!!!!)

↓1 リアンセンス
01-10 妖精のレオタード
11-50 襟付きワンピース
51-90 赤のエプロンドレス
91-00 スモック

リアン(私が選んだ服……それは)

リアン(園児たちもよく着ている、ふんわりした可愛らしい服――)

リアン(――スモックだ)


アリム「…………ねえ、これってこの時代の未就学児が保育園や幼稚園で着用するやつよね?」

リアン「そうだけど、絶対似合うから! アリムちゃんの可愛さを引き立てるから!! 私の目に狂いはないから!!!」

アリム「……まあ、あのレオタードなんか持ってきたら蹴り飛ばそうと思ってたけど……これなら別にいいか」

リアン「!!!!」

アリム「勘違いしないで。機能的には申し分ないし、配色やデザインも悪くないと私自身納得しただけだから」

リアン「う、うん……! ありがとう……!!」

アリム「別に。じゃあさっさとレジに行くわよ」スタスタ



ルル「ルルの分はリエムが選んでくれるの?」

リエム「承知いたしました。それでは……この、藍色のスモックなどいかがでしょうか」

ルル「いい感じかも! ふわっとしててかわいいし、色もおとなっぽいし!」

リエム「ではこれにいたしましょう」

ルル「うん!!」


リアン(あっちでも服選びは上手くいったようだ。万事上手くいったようで何よりだ)


アリム「ルルー、帰るわよー」

ルル「はーい!」

リアン「じゃあ帰ろっか、リエムちゃん」

リエム「はい、リアンさま」


リアン(こうして私たちは、アリムちゃんとルルちゃんの服を買ってあげることができた)

リアン(商品券はもうなくなっちゃったけど、二人とも喜んでくれたみたいで良かった……)

 ◇

―夜
 アリムの部屋

アリム「…………」(E:スモック+黄色い帽子)

アリム「やっぱりちょっと子供っぽいかしら……」

アリム「ううん、でも……リアンは可愛いって言ってくれたし……//」

アリム「別に子供っぽく見られても困るわけじゃないしね。実際、子供っぽい外見で造られてるんだもの」

アリム「…………」

アリム「リアンにとって、わたしは子供……庇護の対象なんでしょうね」

アリム「……前のわたしなら、そう思われることに腹を立てていただろうけど」

アリム「今は……それでも良いかって、思い始めてしまっている……」

ベッド「」ボフッ

アリム「わたしは……リアンの、何になりたいのかしら……」

アリム「あ……せっかく買ったばかりなのに、シワになっちゃう」

アリム「……大切にしないとね」

 ◆

―9月4週
 教室

先生「週末に学内闘技大会だ! 優勝者および準優勝者は学外闘技大会への参加が認められる! 以上! 起立! 礼! 解散!」

 ガヤガヤ

生徒B「リアン組の面々も出るっぽいしめっちゃ荒れるんじゃね今年!!」

生徒A「だねー。今年は誰が優勝するかな?」

生徒B「うちはサーナちゃんに一票! 闘技部と遺跡部かけもちの常在戦場は伊達じゃないっしょ!」

生徒A「じゃああたしは……裏の実力派ノルンちゃん!」

 ワイワイ

ルウェリア「流石にもう闘技大会の話題で持ち切りだね」

リアン「うう、今からもう緊張してきた……」カタカタ

ルウェリア「……リアンちゃん、デュエットはノルンさんと出るんだよね?」

リアン「う、うん。ノルンさんに誘われたから」

ルウェリア「そっか……。うん、頑張って。応援してる」

リアン「ありがとう……! ソロは多分無理だけど、デュエットならノルンさんがいるから優勝狙えるかもしれないし……!!」


―次の遺跡発見率[110/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+3、戦闘力+6、持続力+3)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+2)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+3)〈聖域〉
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+4、戦闘力+4、持続力+4)〈貫通〉
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)
 ◇ヒーティ (火の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+1)


☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・黒髪のエピタフに備える

9月4週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、学内闘技大会に移ります

スイスちゃん、クロリアさん、量産さんに関しては魔鍵から離反して地上に出ているので、割と自由に出していただいて大丈夫です
イエリアさま、フィーさん、魔鍵、黒髪のエピタフに関しては少々難しいので不採用となる可能性もありますが、一応投げていただいても問題ありません。でももし不採用になっても怒らないでくださいませ

―?月?日
 ??

 バヂッ バヂヂッ

(いたい。いたい。いたい)

(やだ。やだ。やだ)

(もう……やだ……)

 ◇

―暗い部屋

「…………」ボー

――『……大丈夫?』

「……?」

――『……大丈夫、じゃないよね。ごめん』

「……あなたは……?」

――『第八種人造生命対神型魔核搭載試作型一号……。開発コード名だけど』

「……ながい」

――『……長いよね。ごめん』

「……あやまってばっかり」

――『……ごめ――…』

「…………」

――『…………』

「…………」

――『………あなたの名前、聞いても良い……?』

「……しらない」

――『…………そっか』

 ◇

―痛い部屋

 バヂッ ヂヂッ

(なんで、くるしいの)

(なんで、いたいの)

(なんで、うまれたの)

(なんで、いきてるの)

(なんで、しねないの)

 ◇

―暗い部屋

「…………」

――『…………』

「ねえ」

――『あ……なに……?』

「……なんで、うまれたの」

――『…………』

「こんなにくるしいのに。なんで、うまれたの」

――『……わかんない』

「…………」

――『………ごめん』

「…………」

 ◇

―暗い部屋

――『……―――!!!』

「……だいじょうぶ?」

――『……あ……わた、し……』

「こわいゆめ、みてたの……?」

――『………うん』

「……そう」

――『……ごめん。うるさくして』

「べつに、いい……」

――『…………』

「ここは……くらいけど……いたくない、から」

――『…………ありがとう』

「…………」

 ◇

―暗い部屋

――『……ねえ。名前……正式のが、決まったよ』

「……なんていうの?」

――『レッドスプライト、だって。仰々しいよね』

「……あんまり、にあってない」

――『わたしもそう思う……』

「………かえちゃえば?」

――『そんな権限、ないよ』

「……そう」

 ◇

―暗い部屋

――『そうだ。わたしが決まったんだから、あなたの名前も決めちゃおうよ』

「……いらない」

――『……わたしだけ仰々しい名前があるのは、嫌』

「む………」

――『あなたは――ルル! ルル・ルールル!』

「へんななまえ」

――『レッドスプライトよりかわいいしいいでしょ』

「……べつに、いいけど」

 ◇

―暗い部屋

――『…………』

「……なんか、かわった?」

――『うん。明日から実戦配備、だって』

「ふうん……」

――『きっと、お話できるのもこれが最期……』

「…………」

――『だから、ルルにお願いがあるの……』

「ん……」

――『きっとわたし、明日から自我を失って、半永久的に稼働することになるから――』

――『もしルルが自由の身になって、わたしを見つけたら――」

――「殺して、欲しいの――』

「…………」

――『弱点は首の後ろにあるから。お願い、ルル』

「……わかった」

――『ごめん……。こんなこと、頼んで……』

「んーん……」

 ◆

―9月4週 某日
 部室

ルル「……」ムクリ

エンシァン「起きたか。もう帰る時間だぞ」

ルル「……」ポロポロ

エンシァン「お、おいどうした!? どこか痛むのか!?」

ルル「……んーん」ポロポロ

エンシァン「……大丈夫か?」

ルル「ん……」ポロポロ


ルル「……エンしゃん……」

エンシァン「なんだ」

ルル「ルルたちは……どうして、生まれたの……?」

エンシァン「…………」

ルル「生きるのは……苦しいばかりなのに……どうして……?」

エンシァン「…………」

エンシァン「苦しいばかりなのか? ここでの活動は」

ルル「んーん……。遺跡部は……楽しいし、嬉しいけど……」

ルル「そうでない子たちも……いっぱい、いるもん……」

エンシァン「…………」

エンシァン「………参ったな。哲学は齧ってないんだが……」

エンシァン「…………わからんよ。生まれる理由も、生きる意味も」

ルル「…………」

エンシァン「だが……私は、お前に生きて欲しいと思っている。それじゃ、だめか?」

ルル「…………答えに、なってない」

エンシァン「…………すまん」

ルル「でも……ありがと、エンしゃん……」グシグシ

ルル「…………ぎゅってして、いい?」

エンシァン「ああ」

 ぎゅっ……

 ◆

―9月4週 某日
 部室

ヒーティ「――という感じでしたッ!」

シャーロット「なるほどねえ……。個人の技師の拠点か何か、だったのかしら……」

ヒーティ「あのッ……彼女たちは……どうして、あんなことをッ……!」

シャーロット「火事のこと? それは私にもわからないけれど……アリムちゃんの見解では、魔鍵ちゃんの指示によるものっていう線が濃厚みたいね」

ヒーティ「魔鍵……あの、長い銀色の髪の、体に痣のある小さな子供、ですよね」

シャーロット「う〜ん、私はまだ会ってないのに、新人のヒーティちゃんまで魔鍵ちゃんに会えててずるいわ……」

ヒーティ「……会うべきではありません。あれは……最低最悪の外道です。テロがあの者の指示であったと言うなら、腑に落ちます」

シャーロット「な、なんか前にもみんなそんなこと言ってたわね……。そんなに性格が悪いのかしら、魔鍵ちゃんって……」

ヒーティ「悪いなどというものではありませんッ! 自分は何度も犬呼ばわりされましたッ!」

シャーロット「そ、そう……」

ヒーティ「しかも自分の仲間を使い捨ての道具みたいにして……!! 絶対に許せませんッ!」

シャーロット「その、魔鍵ちゃんの支配から逃れた三人の足取りは追えていないのよね?」

ヒーティ「はい……。自分が焼いてしまった、あの銀色の子が……心配です……。ただでさえボロボロだったのに……私のせいで……っ」

シャーロット「反省は大事だけど、過度な後悔は歩みを鈍らせるだけよ。悔いているのなら、力になってあげなさい」

ヒーティ「はいッ……! 自分は……謝りたいですッ……!! 許してくれるかは、わかりませんけど……」

シャーロット「それはまあ、火事を起こしたこととおあいこでいいんじゃない?」

ヒーティ「それは魔鍵に命令されてのことです! 自分のは……ただの身勝手な私怨でしかありませんでしたッ!!」

シャーロット「ふふっ、真面目なのね。好きよ、そういう人……」ユサッ

ヒーティ「エッ……! じ、自分は、その……ッ!」

シャーロット「あら、おっぱいの大きなエルフは嫌い……?」ユサッ

ヒーティ「そ、そういうわけではッ……!」

シャーロット「なーんてね! ふふっいろいろ教えてくれてありがとね、ヒーティちゃん」

ヒーティ「は、はあ……」

シャーロット「他に何か私に聞きたいことはあるかしら? わかる範囲で答えてあげるわよ」

ヒーティ「あ……それなら……。あの三人について、聞きたいことが……」



シャーロット「聞いた感じだと、銀髪の子は初期の部分型インテリジェンスソードね。ルルちゃんと違って、剣の部分はずっと剣のまま変形できないのよ」

ヒーティ「…………自分は……酷いことを、言ってしまいました……。腕から剣を生やした、斬ることしかできない人殺しだと……」

シャーロット「…………ちゃんと、謝らなきゃね」

ヒーティ「……はい……」


シャーロット「朱色の髪の女性は、恐らく家庭用の魔法人形ね。リエムちゃんやアリムちゃんと違って戦闘能力はないけど、その分家庭内における仕事能力が高いはずよ」

ヒーティ「………あの工房から脱出する時、とてもつらそうでした。もしかして……」

シャーロット「その子の守っていた家だったのかもね……」


シャーロット「そして最後……この人はリアンちゃんたちも何度か接敵しているみたいね。量産型インテリジェンスソード。最も多く造られ、そして使い捨てられていった人造種の一つよ」

ヒーティ「使い、捨て……。そんなの……どうして……!」

シャーロット「現代の倫理観で古代のやり方にケチを付けても仕方ないわ。気分は悪いけどね」


ヒーティ「……リアン先輩が話をしたいと言っていた意味……今なら、よくわかります……。あの人たちも……生きて、感情を持って、苦しんでる……私たちと同じなんですね」

シャーロット「そうよ。ヒーティちゃんは少し慌てちゃったみたいだけど、大丈夫。まだ取り返しは付くわ。これからまた会った時、しっかり謝って、話をすれば良いの」

ヒーティ「はいッ……! 自分……頑張りますッ……!!」

シャーロット「よし! じゃあ早速遺跡探しにでも行きましょうか! まだまだ未発見の遺跡はたくさんあるんだから!」

 ◆

―9月4週 某日 昼休み
 廊下

アリム(出席日数は……足りていたかしら。足りてなくてもハッキングして改竄すれば良いか)スタスタ

アリム(いや、そもそもなんでわたし学生なんかやってるのよ……。遺跡部に入るだけなら、ルルみたいに外部部員になれば良かったのでは……)

アリム(……そういえばあの頃は全然余裕がなくて、外部部員制度なんて知らなかったのよね……)

アリム(まあ、リアンたちがいる今はまだ学生ごっこしてても――)


風紀委員「そこの金髪! 止まりなさい!!」ザッ

アリム「ん……? 誰だっけ、あんた」

風紀委員「風紀委員です! あなた今何時だと思っているの!?」

アリム「十二時かしら」

風紀委員「そうです! もう昼休み!! なのにあなた、こんな時間になぜ悠々と登校しているのです!!?」

アリム「別に良いでしょ。あんたに迷惑かけた?」

風紀委員「私ではなく学内全体に迷惑なのです! あなたのような不良が学内の風紀を乱せば、最期にはこの学院は知と秩序を失った世紀末の様相を呈してしまうのですよ!?」

アリム「どうでもいいわ……。わたし一人で乱れるような風紀なんて初めから存在していないのと同じでしょ」

風紀委員「ああいえばこう言う……!! そういえばあなた、ロールセンの姪っ子にそっくりだけどどういう関係ですか!?」

アリム(げっ……そういえばリエムのやつ、そういう設定になってるんだった……)

アリム「……他人の空似じゃない? どっちにしてもあんたには関係ないでしょ」

風紀委員「フン、つまりロールセンのようなろくでもないロリコン虐待魔の血族ってことね!!」

アリム「…………は?」

風紀委員「知らないとでも思いましたか!? うちの風紀委員長が言ってましたよ! ロールセンは同居している幼女に夜な夜な性的虐待を繰り返す犯罪者だと……!」

アリム「……訂正しろ。さもないと、この場でお前を殺す――」キィン―

風紀委員「え――」


リアン「わああーっ! わあああーっ!!! アリムちゃんアリムちゃんやめてええ!!!」ドタドタ

アリム「チッ……。命拾いしたわね、お前」スン

風紀委員「あ……」ヘナヘナ

アリム「もし今みたいに根拠のない風説を流布したら、次こそ消し――」

 ガシッ

リアン「ご、ごめんなさいごめんなさい! アリムちゃん部室行こ! お菓子食べよ!!」ズルズル

 ◇

―部室

 ガラッ

リアン「あ、アリムちゃん! ど、どうして廊下で魔導レーザーなんて……」

アリム「……あいつが不快な発言をしたからよ。確かに魔導レーザーはやりすぎた。反省はしてるわ」

 ガラッ

サーナ「聞いてましたわよ! アリムは、あの風紀委員がリアンを――」

アリム「あーあー!! お腹空いたわ!! ノルンはいないの!? お菓子を食べたいわ!!!」

 ガラッ

ノルン「呼んだ? ふふっ、丁度焼いてきたところだから少し待っててね」

アリム「手伝うわ!! サーナも下らない話なんかしてないでノルンを手伝いなさい!!」ザッ

サーナ「……ふふ。わかりましたわ!」

リアン「あ、わ、私も手伝うよ……!」タタッ

 ◆

本日はここまで
次回、学内闘技大会です。お楽しみに

―9月4週 週末
 闘技場

学長「これより高等部生徒による学内闘技大会を開催する! 本日はソロ部門! 足掻くが良い!!」

 ◇

―控室

ルウェリア「ふう……。ひとまずみんな、予選は突破できたみたいだね」

リアン「よ、予選突破って、つまりもうベスト16でしょ!? な、なんで私なんかが……!!」

ノルン「予選は基礎魔力量を基準にした単純な数値比べだもの。リアンちゃん、自分が思ってるよりもずっと魔力があるんだよ?」

リアン「そ、そうなの……?」

サーナ「ええ。基礎魔力に関して言えば、わたくしたちはもう先生方にも引けを取りませんもの」

ルウェリア「……確かに、前よりも強くなった気がする。遺跡探索してたからかな」

サーナ「一般的な生徒とは潜った死線の数が違いますわ!」

ノルン「本当に死にかけたこともあったしね……」

 ◇

―客席

 ワーワー ガヤガヤ

ヒーティ「あわわ……一回戦、いきなりリアン先輩です!!」

リエム「……」ハラハラ

ルル「……リアン、怪我しなきゃいいけど……」

アリム「……相手は?」

ヒーティ「あ、相手は――」

↓1 一回戦 リアンの相手
01-05 優勝候補
06-10 ノルン
11-15 サーナ
16-20 ルウェリア
21-30 強モブ
31-00 モブ(勝利)

―闘技場 第一試合場

モブ一年生「よ、よろしくお願いしますっ!!」

リアン「こ、こちらこそ……よろしくお願いします……!!!」ペコペコ

 ◇

―救護班待機席

シャーロット「あら。ふふっ、初戦は初々しいカードね」

エンシァン「リアンくんは二年生だがな」

シャーロット「気持ちはいつだって一年生でありたいものよ!」

エンシァン「何の話だ……」

シャーロット「ところでエンちゃん、なんでここにいるの?」

エンシァン「救護班の邪魔をする気はない。なんなら手伝ってやっても良いぞ」

シャーロット「あら、それなら手伝ってもらおうかしら」

エンシァン「フッ、任せておけ」

 ◇

―闘技場 第一試合場

モブ一年生「きゃあああああ……!!」ベショベショ

 キャー! モブチャンガヌレスケニ! エッチダ ヨイゾモットヤレ

司会「そこまで! 一回戦は――リアン選手の勝利!!!」

 ワーワー!! リアンチャーン!!

リアン「ひい、ひい……ご、ごめんね……!! ありがとうございました……!!!」ペコッ

 ◇

―客席

リエム「……」ホッ

アリム「……ふん。あの程度の相手に負けていたら蹴り飛ばしていたところよ」

ヒーティ「ま、まあまあ……! 今は先輩の勝利を喜びましょう!!」

ルル「あ……あっちでも、試合が始まるみたい……」

 ◇

―控室

リアン「ふう……良かった、勝てた……。い、いやでも……負けた方が後が楽だったんじゃ……!」

リアン「はっ……! べ、別の試合場でみんなの試合がもう始まってる……!!」

リアン「み、みんな……勝って……!! 私を一人にしないで……!!!」

↓1 ルウェリアの試合結果
01-15 敗北
16-00 勝利

↓2 サーナの試合結果
01-15 敗北
16-00 勝利

↓3 ノルンの試合結果
01-15 敗北
16-00 勝利

―闘技場 第四試合場

司会「勝者、ルウェリア・モース!!」

 ワーワー!! ルウェチャーン!!

ルウェリア「か、勝てた……! 私でも……やれる……!!」グッ

 ◇

司会「勝者、ノルン・ハーベスト!!」

 ワーワー!! ノルンチャーン!!

ノルン「……ふう。注目されるのは……やっぱり、苦手かも……」

 ◇

司会「勝者、サーナ・ウィンド!!」

 ワーワー!! サーナサマー!!!

サーナ「フッ……まだまだこんなものではありませんわよ?」ファサッ

 ◇

―控室

リアン「良かったあ〜! みんな勝ち上がれて……!」

サーナ「当然ですわ! わたくしには優勝の二文字以外ありませんもの!」

ルウェリア「でも、本当に良かった……! 私も優勝とか、狙って良いのかな……?」

ノルン「良いに決まってるよ! もちろん、譲る気はないけどね……!」

サーナ「フフ、望むところですわよ! さあ、次は二回戦ですわ!!」


↓1 リアンの二回戦相手
01-10 優勝候補
11-20 ルウェリア
21-30 サーナ
31-40 ノルン
41-50 強モブ
51-00 モブ(勝利)

―闘技場 第一試合場

風紀委員長「ロールセン……!! ここで会ったが百年目!! 成敗してくれるわ!!」

リアン「え、えええ〜!? なんで風紀委員長がこんな俗な大会に……!」

風紀委員長「お前が出るなら私も出るわ……! 合法的にロールセンをしばくチャンスだもの……!!」

リアン「ひええ〜〜!!!」

 ◇

風紀委員長「あうぅ……ま、まだよぉ、ロールセン……」ベチョベチョ

 ウオオオ!! アノフウキイインチョウガヌレスケニ!! エッチダ ヨイゾモットヤレ

司会「そこまで! 勝者、リアン・ロールセン!!」

 ワーワー!! リアンチャーン!! ヌレスケメイカー!!

リアン「ごごご、ごめんなさいー!! 試合なので許してえ!!」タタタッ

 ◇

―控室

リアン「はあ〜、まさか風紀委員長が出てくるなんて……。名前を知らなかったから気付かなかったよ……」

リアン「とりあえずなんとか勝てて良かった……」

リアン「み、みんなは……?」

↓1 ルウェリアの試合結果
01-30 敗北
16-00 勝利

↓2 サーナの試合結果
01-30 敗北
16-00 勝利

↓3 ノルンの試合結果
01-30 敗北
16-00 勝利

書き換え忘れですね……
ルウェリアとノルンはどちらにしろ勝利なので、サーナだけコンマを取り直します

↓1 サーナの試合結果
01-30 敗北
31-00 勝利

司会「勝者、ルウェリア・モース!」

 ワーワー!! ルウェチャンカッコイイ!!

ルウェリア「ま、また勝てた……!! でもこのままいくと……」

 ◇

司会「勝者、ノルン・ハーベスト!」

 ワーワー!! ノルンチャンカワイイ!!

ノルン「よし……。でも、次の試合は……」

 ◇

司会「勝者、サーナ・ウィンド!!」

 ワーワー!! サーナサマー!! ヤバイシアイダッタ

サーナ「はァー、はァー……!! 優勝候補、討ち取ったり!!!!」バン!

 ◇

―控室

リアン「み、みんな……!!」タタッ

ルウェリア「あ、あはは……遺跡部でベスト4って……」

ノルン「巡り合わせが良かったのもあるよね。ここまで誰も同士討ちにならなかったし」

サーナ「フフ……優勝候補と目されていた方は今しがたわたくしが倒してしまいましたもの!!」

リアン「途中から見てたけどすごい試合だったよ……!」

ルウェリア「言ってはなんだけど、実力で言えば私たちよりも上だったね……」

ノルン「でも、サーナちゃんはその人に勝っちゃったんだよ……!」

サーナ「運も実力の内、ですわ!!!!」


↓1 準決勝 リアンの相手
01-33 ルウェリア
34-66 サーナ
67-00 ノルン

―闘技場 第一試合場

リアン(なんてことだ)

リアン(サーナさんが優勝候補を倒したということは――)

リアン(私は、その優勝候補を倒したサーナさんと当たる、というわけで……)


サーナ「よしッ! 準備はバッチリですわ!!」グッグッ

リアン「あ、あの〜……て、手加減、してくれたり、とか……」

サーナ「あなたは手加減できる相手じゃありませんわ!」

リアン「ひええ〜〜〜〜!!!」


司会「それでは――準決勝、始め!!!」


―学内闘技大会 準決勝
      
 ◆リアン 踏破力[2] 戦闘力[3] 持続力[4/4] 防御[2]
 〈水の守り〉痛恨無効・火耐性・水耐性

 VS

 ◆サーナ 踏破力[3] 戦闘力[4] 持続力[2/2] 防御[1]
 〈飛行〉コンマ10%有利


↓1
01-70 失敗 リアンに2ダメージ
71-95 成功 サーナに2ダメージ 勝利
96-00 会心 サーナに4ダメージ 勝利

 コンマ05 痛恨

サーナ「いきますわよ!」フワッ

リアン「うわあああ! 飛ぶなんてずるいよおお!!」

サーナ「ここまで来て卑怯もへったくれもありませんわ! エアシュート!!」ヒュバッ

リアン「っ、バブルバリア! アクアシュート!!」バシュン!

サーナ「くっ……狙いが鋭い!」サッ

リアン「や、やっぱり飛んでる相手には当てにくい……!」

サーナ「持続力の高いリアン相手に持久戦は不利……! 速攻でいきますわ!!」ヒュルルッ

リアン「ええっ! か、風の魔力が――」

サーナ「墜ちなさい――マクロバーストッ!!」

リアン「う、うわあああああ!!!」

 ゴオオオオオッ

リアン「う、ぐぐぐっ……!」ポワン

サーナ「なっ……! 今のは会心の一撃だったはず……!! なぜ立っていられるんですの!!?」

リアン「ま、まだ……!!!」ザッ

 〈水の守り〉により痛恨無効!


―学内闘技大会 準決勝
      
 ◆リアン 踏破力[2] 戦闘力[3] 持続力[2/4] 防御[2]
 〈水の守り〉痛恨無効・火耐性・水耐性

 VS

 ◆サーナ 踏破力[3] 戦闘力[4] 持続力[2/2] 防御[1]
 〈飛行〉コンマ10%有利


↓1
01-70 失敗 リアンに2ダメージ 敗北
71-95 成功 サーナに2ダメージ 勝利
96-00 会心 サーナに4ダメージ 勝利

 コンマ98 会心

リアン「私だって……強く、なるんだ……!!!」

リアン「ティアーズレイン――」

 パラパラ ザアアアアア

サーナ「これは――雨……!? ですが、水に濡れた程度でわたくしの風は止まりませんわよ!!」ヒュンヒュン

リアン「――」サッサッ

サーナ(いや……何かがおかしいですわ! 雨水が上空に集まって――)

サーナ(しまった……! この魔法は、水を集める為の――)


リアン「洗い流して――」

リアン「――ティアーズフォール!」


 バシャアン――


サーナ「そ、そんな対空技があったなんて……」ビショビショ

サーナ「やられ、ましたわ……」パタン


司会「――勝者! リアン・ロールセン!!」

 ワアアアアア!!!
 スゴカッタ! イマノスゴカッタ! サーナサマアアアア! ヌレスケエッチダ リアンサマ…!


リアン「……はっ! さ、サーナちゃん大丈夫!!?」タタッ

 ザッ

シャーロット「負傷者の救護は私たちの役目よ! リアンちゃんは決勝戦に備えてね!!」

リアン「あ……は、はい!!」

 ◇

―控室

サーナ「完全敗北ですわ……。決勝進出はあなたに譲りますわよ、リアン!!」

リアン「サーナちゃん! だ、大丈夫……?」

サーナ「あなたの水、凄まじい水圧に見えて害意は全然ありませんでしたもの。体は動かなくなりましたけれど、怪我とかは全然なかったらしいですわ」

リアン「そ、そっか……! 良かったあ……」

サーナ「ふふっ……リアンらしい、優しい魔法でしたわ」

リアン「そ、そうなのかな……。あっ、そういえばルウェリアちゃんとノルンさんは――」

サーナ「見に行きましょう!!」


↓1 ルウェリア vs ノルン 準決勝結果
奇数 ルウェリア勝利
偶数 ノルン勝利

―第二試合場

 ヒュオオオオ…

ルウェリア「……まさか、ノルンさんと覇を競うことになるなんてね」

ノルン「ふふ……元々私たち、参加希望じゃなかったもんね」

ルウェリア「……リアンちゃんのお陰……なのかな」

ノルン「リアンちゃんがいなかったら……出場なんて考えもしなかったよ。私も」

ルウェリア「ふふっ。私たち、ちょっと似た者同士なのかな?」

ノルン「そうだね……。でも――」

ノルン「リアンちゃんの横に立つのは――私だから」ザッ

ルウェリア「……やっぱり、ノルンさんもそうなんだね」

ルウェリア「――うん。リアンちゃんが良いなら、良いと思う」

ノルン「……え? ルウェリアちゃんは――」

ルウェリア「私は――リアンちゃんが幸せなら、それで良いから」ザッ


司会「準決勝――始め!!」


ノルン「」タンッ

ルウェリア「!」

ノルン「サンライト!」カッ

ルウェリア「光魔法は自己硬化じゃきつい……!」サッ

ノルン「よく硬度変化一本でここまで勝ち上がれたね。サポート向きなのに――」

ルウェリア「それがそうでもない! アースフラッド!」ドロロロロッ

ノルン「! これ――リアンちゃんの水が必要だったはずじゃ――!」

ルウェリア「私だって成長してる! いつまでもリアンちゃんに縋ってはいられない!!」

ノルン「くっ! ライトステップ!」パヒュン

ルウェリア「消えた!? まさか光の速度――」

ノルン「ホーリーレイ!」ギュオオオ

ルウェリア「うっ、うああああ!!!」ドギャアアアン


司会「ノルン選手の光魔法がルウェリア選手にクリーンヒット! これは勝負あったか!?」


ルウェリア「…………終われない……まだ……!」

 〈不壊〉発動!


ノルン「それなら――倒れるまで、叩く!!」パヒュン


ルウェリア(また消えた……!)

ルウェリア(光魔法による自己強化で、ノルンさんの基礎能力は優勝候補だった人にも匹敵している)

ルウェリア(その上、補助も攻撃も絡め手もなんでもできる器用さ……。はっきり言って、私がまだ立っていられるのが不思議なくらいだ)

ルウェリア(でも――そんなのは、諦める理由にはならない)

ルウェリア(姉さんを助けて、リアンちゃんも私が守るんだ。その為に、もっと強く――)

ルウェリア(誰にも負けないほど、強く――!!)


ノルン「ホーリーレ――」

ルウェリア「エアブロック!!!」

 ガギイイン

ノルン「う……あ……からだ……うご、か……」

 ドサッ


司会「あ――し、勝者……ルウェリア・モース!!!」

 ワ……ワアアアアア!!!
 ナニヲシタンダ!? イキナリノルンチャンガ ミッミエンコッコノカミノメニモ!!!


ルウェリア「はあ、はあ……! い、一度も成功したことなかったけど……!」

ルウェリア「できた……!! 空気の、固定化……!!!」


ノルン「うう……そ、そんな隠し技があったなんて……」スクッ

ルウェリア「あっノルンさん! そ、その……大丈夫だった……!?」

ノルン「やられた時は呼吸もできなかったけど、今はもう大丈夫。ルウェリアちゃん、すごいや……」

ルウェリア「ご、ごめん。調節できなくて……」

ノルン「ううん。真剣勝負だもの」

ルウェリア「……うん」

ノルン「決勝、頑張って……!」

ルウェリア「…………うん!」

 ◇

―客席

リエム「リアンさま……」ソワソワ

アリム「まさか馬鹿リアンがここまで勝ち上がるとはね……。ちょっとくらい応援してやろうかしら」

ルル「……ちょっと、感慨深いかも。ルルを初めて見つけて、捕まえてくれた二人だから」

ヒーティ「どっちの先輩が勝つか、予想が全くできないです……ッ!」

ノルン「二人とも……凄く、強くなったんだね……」

サーナ「フフッ、楽しみですわ! 学院の頂点で、遺跡部の頂点を決める戦いッ!!

 ◇

―救護班待機席

エンシァン「まさか我が部員がベスト4で、ルウェリアとリアンくんが決勝で争うとはな……」

シャーロット「びっくりよ、本当に。二人とも全然戦うタイプの子じゃないのに」

エンシァン「フッ……遺跡探索はあらゆる苦難との戦いだ。死線を潜った数なら誰にも負けん」

シャーロット「それは冗談でもなんでもなくその通りね……」

 ◇

―決勝ステージ

リアン「……まさか、ルウェリアちゃんとなんて」

ルウェリア「はは……私も、びっくりしてる。決勝で、リアンちゃんと戦うなんて……」

リアン「……て、手加減……しないからね……?」

ルウェリア「うん。私も……手加減、しないから」

リアン「うぅ……そ、それはそれとして、お手柔らかに……」

ルウェリア「……もう、締まらないなあ。ふふ……」


司会「それでは――決勝戦、始め!!!」



―学内闘技大会 準決勝
      
 ◆リアン 踏破力[2] 戦闘力[3] 持続力[4/4] 防御[2]
 〈水の守り〉痛恨無効・火耐性・水耐性

 VS

 ◆ルウェリア 踏破力[4] 戦闘力[3] 持続力[2/2] 防御[1]
 〈不壊〉致命的なダメージを受けた時、持続力1で耐える

↓1
01-60 失敗 リアンに1ダメージ
61-95 成功 ルウェリアに2ダメージ
96-00 会心 ルウェリアに4ダメージ

 コンマ31 リアンに1ダメージ!

リアン「アクアシュート!」バシュン

ルウェリア「!」サッ

リアン「アサルトシャワー!!」バシュシュシュ!

ルウェリア「アースフラッド!!」ドロロロッ

リアン「わっ! ルウェリアちゃん、一人でもその技を……!! ウォーターストライド!!」フヨン…

ルウェリア「くっ……! やっぱりリアンちゃんには通じないか……!!」

リアン(と見せかけて……融解した地面は水じゃないから、水魔法で無理矢理歩くのはかなりキツいんだよね……!)


―学内闘技大会 準決勝
      
 ◆リアン 踏破力[2] 戦闘力[3] 持続力[3/4] 防御[2]
 〈水の守り〉痛恨無効・火耐性・水耐性

 VS

 ◆ルウェリア 踏破力[4] 戦闘力[3] 持続力[2/2] 防御[1]
 〈不壊〉致命的なダメージを受けた時、持続力1で耐える

↓1
01-60 失敗 リアンに1ダメージ
61-95 成功 ルウェリアに2ダメージ
96-00 会心 ルウェリアに4ダメージ

誤字は皆さんの脳内で修正しておいてください…
――――――――――――――――――――――――――――――――

 コンマ78 ルウェリアに2ダメージ!


リアン「きぐるみジェルアーマー!!」ゴゴゴゴ

ルウェリア「……! 敵として見ると、凄い威圧感……!!」

リアン「さらにバブルバリア!! 融解も固化もさせないよ!!」バッ

ルウェリア「ま、まず――」

 ブンッ ガッ

ルウェリア「う、ぐ……!」フラッ

リアン「あ……! る、ルウェリアちゃ……」

ルウェリア「――まだ、終わってない!!!」バッ

 〈不壊〉発動!


―学内闘技大会 決勝
      
 ◆リアン 踏破力[2] 戦闘力[3] 持続力[3/4] 防御[2]
 〈水の守り〉痛恨無効・火耐性・水耐性

 VS

 ◆ルウェリア 踏破力[4] 戦闘力[3] 持続力[1/2] 防御[1]
 〈不壊〉致命的なダメージを受けた時、持続力1で耐える

↓1
01-60 失敗 リアンに1ダメージ
61-95 成功 ルウェリアに2ダメージ 勝利
96-00 会心 ルウェリアに4ダメージ 勝利

 コンマ80

リアン「……! だ、だったら……水よ!!」ギュオオオ

ルウェリア「くっ!」サッ


ルウェリア(だめだ、いつもと違って今のリアンちゃんの水は干渉できない……!)

ルウェリア(いつもは私の干渉を受け入れてくれてたんだ……! これが本来の、リアンちゃんの実力……!!)

ルウェリア(きぐるみアーマーによる接近戦と、水操作による魔法攻撃……! こんなにもキツい相手だなんて……!)

ルウェリア(かくなる上は……一か八か、もう一度エアブロックを決めるしかない……!!)


リアン「えい! えい! バインドジェル!」ブンブンギュオオオ

ルウェリア「うああああ! エアブロック!!」

 ガギ……

ルウェリア(……はは、やっぱりだめだった。リアンちゃん相手に、そんな奇跡起こせても嬉しくないしね)

 ギュオオオオ!

 ドサッ…


司会「勝者……リアン・ロールセンンンンッッッ!!!!」

 ――ワアアアアアアアアアアアア!!!
 リアンチャーン!! スゴカッター! ヌレスケハ? リアンサマ…!

 ◇

―闘技場

学院長「優勝者、リアン・ロールセン!!!」

 ワアアアア! パチパチパチ!!

リアン「………///」

学院長「だが戦いはこれで終わりではない! 明日はデュエット部門だ! それでは本日は解散!!」

 ◇

―夕方
 部室

リエム「優勝おめでとうございます、リアンさま……!」パチパチ

ルル「おめでと、リアン」パチパチ

ヒーティ「おめでとうございます、リアン先輩ッ……!」パチパチ

アリム「まあ……リアンにしてはよくやったと思うわ。おめでと」

リアン「みんな……ありがとう!」


ルウェリア「はは……でもまさかリアンちゃんが優勝しちゃうなんて」

サーナ「わたくしも鍛え直さないといけませんわね!」

ノルン「ふふ……でも、楽しかった……」


サーナ「リアンとノルンはデュエットに出るんでしょう?」

リアン「あ、うん」

ノルン「一応ね」

サーナ「それなら……祝賀会はまだとっておきましょう! リアンがダブル優勝するかもしれませんもの!!」

ルウェリア「そうだね……! ふふっ、明日は完全に観戦側だから気楽だなあ」

リエム「祝賀会の準備はお任せください、リアンさま」

ヒーティ「自分も手伝いますッ! リエムさんッ!!」

リエム「……はい。お願いします、ヒーティさま」

アリム「ま、たまにはわたしも手伝ってやるか」

サーナ「アリムも料理とかできるんですの?」

アリム「当たり前でしょ。リエムにできることはわたしにもできるわ」


ノルン「ふふ……宴会を準備される側っていうのも、悪くないかも……!」

リアン「あ、そっか。ノルンさん、いつもいろいろ料理とか準備してくれてありがとね」

ノルン「気にしないで。好きでやってることだから。明日、頑張ろうね……!」

リアン「うん……!!」

 ◇

思ったより執筆コストが高かったので、デュエット部門についてちょっと多数決を取ります

↓1〜3
1.決勝戦もコンマ一発で判定
2.決勝戦だけバトル
3.ソロ部門と同様に一戦一戦コンマ判定で進める(バトルは決勝のみ)

1、2は決勝まで無判定で勝ち上がったというていで進める感じです。この安価はレスに含まれません

リアンとノルンは合体魔法こそ開発できませんでしたが、普段から一緒に遺跡探索してたりするので連携能力だけなら並以上にあったりします
ところで以前安価から外れたキャラは不採用と言いましたが、内容を若干修正した上でNPC的な立ち位置で登場させることを許していただきたく思います…
――――――――――――――――

―闘技大会二日目
 控室

ノルン「まあ、予選突破は当然だよね」

リアン「う、うん……」

ノルン「大丈夫。優勝者とベスト4のペアだもん。負けないよ、私たち」

リアン「そ、そうだね……!!」

 ☆リアンノルンペアは優勝者と準優勝者なので、決勝戦まで順調に進出できました

 ◇

―決勝前
 控室

リアン「う、うう……なんかノルンさんのお陰って感じがすごい……!」

ノルン「ううん、リアンちゃんのお陰だよ。デュエット、相手も息が揃ってて手強い……」

リアン「でも次は決勝だよ……!」

ノルン「うん……! 絶対、優勝しようね……!!」


ノルン(優勝して――みんなに、見せつけるんだ。リアン&ノルンがベストパートナーだってことを……!!)

 ◇

―闘技場 決勝ステージ

 ヒュオオオ

竜人の少女「へえ……オレを打ち破ったサーナを打ち破ったリアンのペアが来たか……」

赤髪の少女「遺跡探索部……強さの秘密は気になりますが、勝利は譲りません」

竜人の少女「おい、手加減すんなよ? 手加減して勝てる相手じゃねェ」

赤髪の少女「アタッカーはあなたです。私の魔法で攻撃したら反則負けになりますし」

竜人の少女「そりゃそうだ。まあ、防御に関しても手加減すんなってこった」

赤髪の少女「わかってますよ」


リアン(相手は、竜人らしい角や尻尾の生えた赤毛ロングの少女と……)

リアン(どこか不思議な雰囲気を持つ、赤のお団子ヘアの小さな少女だ)


ノルン「……この人たち、かなりできるよ」

リアン「お団子ヘアの子……どことなく、人造種っぽい気配があるような……」

ノルン「……今は考察はやめよう。準備、良い?」

リアン「うん……!」


―デュエット部門 決勝

 ◆リアノル 合計踏破力[5] 合計戦闘力[8] 合計持続力[8/8] 防御[4]
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+3)〈聖域〉


 VS

 ◆赤髪ペア 合計踏破力[4] 合計戦闘力[8] 合計持続力[7/7] 防御[3]

↓1
01-45 失敗 味方に4ダメージ
46-95 成功 敵方に5ダメージ
96-00 会心 敵方に10ダメージ

 コンマ47 赤髪ペアに5ダメージ

リアン「こっちから! アサルトシャワー!!」バシュシュッ

竜人の少女「チッ、水は嫌いだ! おい!」

赤髪の少女「はいはい。コラプス」スッ

 シュウウン―…

リアン「なっ……!」

ノルン「リアンちゃんの水が……消滅した!?」

赤髪の少女「魔力で創造されたものなら燃費良く消せるんですけどね……」

竜人の少女「今度はこっちだ!」ゴウッ

ノルン「!!」

リアン「バブルバリア! 火は通さない!!」バシュウン

竜人の少女「チィッ……!!」

ノルン「魔力を消滅させられるとしても――光の速さならどう!? サンライト!!」カッ

赤髪の少女「くうっ……! 光は、流石に……!!」


―デュエット部門 決勝

 ◆リアノル 合計踏破力[5] 合計戦闘力[8] 合計持続力[8/8] 防御[4]
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+3)〈聖域〉

 VS

 ◆赤髪ペア 合計踏破力[4] 合計戦闘力[8] 合計持続力[2/7] 防御[3]

↓1
01-45 失敗 味方に4ダメージ
46-95 成功 敵方に5ダメージ 勝利
96-00 会心 敵方に10ダメージ 勝利

竜人の少女「クッ、こうなりゃ――ドラゴンブレス!!」ゴオオオオッ

リアン「――!? み、水が蒸発して……!」

ノルン「ライトステップ!」パヒュン

赤髪の少女「!! 後ろ!!」

竜人の少女「へっ――」

ノルン「――シャイニングフィンガー」ピト


リアン(その時、闘技場に竜人の女の子の悲鳴が響き渡った……)


竜人の少女「……も、もう……こうさん……」ビクンビクン

赤髪の少女「…………はあ」


司会「……し、勝利……リアノルペアッッッ!!!!」

 ワアアアアアアア!!!!

 ◇

―闘技場 閉会式

学院長「優勝、リアノルペア!!!」

 ワアアアア! パチパチパチ!!

リアン「……////」

ノルン「……」フンス

学院長「だが戦いはこれで終わりではない! 人生とは、生きることとは即ち戦いだ! 優勝した二人も、優勝できなかった生徒たちも、参加しなかった者も、皆励んでいくように! 解散!!!!!」

 ◇

リアン(こうして、私たちの戦いは終わった)

リアン(まさか私がダブル優勝を決めてしまうなんて……今でも、実感は湧かない……)

リアン(ちなみに来月頭にあった学外闘技大会だけど……なんか今年はユリトー魔法女学院は不参加が決定したらしい)

リアン(あまりにも急な予定変更でちょっと不審だけど……まあ、これ以上戦わなくて済むと思うと少しホッとする)

リアン(まあとにかく、しばらくはゆっくり平和的に暮らしたいなあ)

リアン(リエムちゃんたちが作ってくれた祝賀会のごちそうは、とてもおいしかった)

 ◇

―10月1週
 教室

先生「まずは、闘技大会お疲れ様。うちのクラスの四人が大活躍して先生も鼻が高いぞ」

生徒B「遺跡部マジパネェ!! 闘技部よりも闘技部してんじゃん!!」

生徒A「あたしもめっちゃびっくり!! このクラスめっちゃやばいじゃん!!」

先生「そして今月末は文化祭だ!! ウチのクラスの出し物とか各部活の出し物とか、いろいろ話し合っておけ! 起立礼解散!」

 ◇

リアン「文化祭かあ……。闘技大会が終わったばかりだけど、やることが絶えないね」

サーナ「遺跡部は去年何をしてらしたっけ?」

ルウェリア「探索結果の展示という名の、休憩所を……」

ノルン「あ、あはは……確か去年までは、ルウェリアちゃんだけだったんだもんね。ちゃんとした部員」

ルウェリア「う、うん……。今年は……どうする……?」

リアン「おいおい決めてこ……! みんなで話し合って……」


―次の遺跡発見率[270/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+3、戦闘力+6、持続力+3)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+2)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+3)〈聖域〉
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+4、戦闘力+4、持続力+4)〈貫通〉
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)
 ◇アリム  (魔導兵装:踏破力+4、戦闘力+8、持続力+4)
 ◇ヒーティ (火の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+1)


☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・黒髪のエピタフに備える

10月1週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、特殊なイベントが発生することがあります

また、自由行動とは別に文化祭の出し物も決めます
↓4 遺跡部の出し物
↓5 クラスの出し物

安価が埋まったところで、少し早いですが本日はここまで

―10月1週 放課後
 教室

生徒A「てわけでメイド喫茶とかどーかな!?」

生徒B「いいじゃん! ウチのクラスなら千客万来っしょ!」

 ワイワイ…

リアン(うちのクラスはメイド喫茶かあ。メイド服は正統派なクラシックのが良いなあ)

 ◇

―廊下

リアン(それはそれとして、遺跡部の出し物も考えていかないとね)スタスタ

リアン(流石に休憩所っていうのは味気ないし……)スタスタ

 ドンッ
 バササッ…

生徒会員「いたた……」

リアン「あっすみませんっ!!」アタフタ


リアン(考え事しながら歩いてたら人にぶつかっちゃった……!)

リアン(なんか書類も落とさせちゃったみたいだ……!!)


リアン「ひ、拾います!!」ササッ

生徒会員「あ……」

 ◇

生徒会員「ありがとう、リアン・ロールセンさん」

リアン「い、いえ……! 私がぶつかったのが悪いので……!!」

生徒会員「私もちゃんと周りを見てなかったから……。いつっ……!」

リアン「ま、まだ痛みますか!? い、癒やしの水」ポウ

生徒会員「はは……重ねてありがとう。流石の効果だね、ダブル優勝を果たした人の魔法は」

リアン「あ、ええと……それなら、良いんですけど!」

生徒会員「すっかり治ったよ。それじゃ――」スクッ

リアン「あっ……わ、私も運びます!」

生徒会員「え、でもそこまで頼むわけには……」

リアン「ひ、一人じゃ重そうですし……!」

生徒会員「う、それを言われると弱いな。また転んでもいけないし、お願いしようか」

リアン「はい!」

 ◇

―生徒会室

生徒会員「すごいな……。魔法だけじゃなくて、足腰も強いんだね」

リアン「あ、あはは……そうなんですかね……?」

生徒会員「見た目からは想像付かなかったよ。遺跡探索部の活動のお陰なのかい?」

リアン「あー……そ、そうかもしれないです……」

生徒会員「ソロ部門のベスト4を独占だものね。普段どんな活動をしているのか興味が湧くよ」

リアン「い、いやー、それは……まあ、遺跡の探索、とか……」

生徒会員「はは、そのままだね」

リアン「そ、そのままですね」

生徒会員「……でも、あまり無茶をしてはいけないよ。5月の遊園地での救助活動や、先日の消火活動でも大活躍したそうだけれど……一歩間違えば、君たち自身が大怪我を負ったりする可能性もあったんだ。何やら、遺跡部について良く思っていない教員や教授がいるという噂が生徒会に入ってくることもある。部外者である私が口出しするのも失礼だけど……どうか、気を付けて欲しい」


リアン(生徒会員さんは声を潜めて、真面目な様子で私にそう忠告した)

リアン(私たちの活動を妨害したいとか、そういう悪意は感じられない。きっと、本心から私たちのことを心配してくれているのだろう……)


リアン「……わかっています。無茶は……しません」

生徒会員「でも必要とあらば無茶も辞さない……といった顔だね」

リアン「!」アセアセ

生徒会員「まあ、話半分程度に聞いてくれれば良いよ。君たちはいろんな人に好かれているけれど、それだけ心配してる人も多いってこと……知っておいて欲しかったんだ」

リアン「あ……」


リアン(前に、海底で死にかけた時はリエムちゃんに大泣きされちゃったこともあったな……)

リアン(私たちを好きでいてくれる人を、不安にさせちゃだめってことだよね……)


リアン「……ありがとうございます。なるべく、無茶はしないつもりです」

生徒会員「こちらこそ、ありがとう。もし学院内で困ったことがあれば、いつでも生徒会に相談して欲しいな」

リアン「はい……!」

 ◆

―10月1週 某日

リアン(その日、私とノルンさんは再び連携の練習をすることになった)

リアン(もう闘技大会も終わったのに、一体なぜか……)

リアン(……それは、学院内でまことしやかに囁かれるある噂が発端だった)

リアン(その噂とは……まず、高等部年間行事予定を見て欲しい)

参考:高等部年間行事予定
 4月1週 入学式、授業開始
   4週 遠足
 5月1週 大型連休、立夏
   4週 新人闘技大会(一年生)
 6月3週 夏至
 7月4週 期末テスト
 8月1週 夏休み開始、立秋
 9月1週 授業再開
   3週 秋分
   4週 学内闘技大会
10月1週 学外闘技大会
   4週 文化祭
11月1週 立冬
   4週 修学旅行(2年生)
12月3週 期末テスト、冬至
   4週 冬休み開始
 1月2週 授業再開
   4週 ??
 2月1週 立春
 3月2週 期末テスト
   3週 春休み開始、春分

リアン(おわかりいただけただろうか……)

リアン(1月4週に、不自然な空白行が存在していることを……)

リアン(エンシァン先生に聞いてみたところ……そこには、とある裏の行事が存在しているらしい――)

リアン(その名も――暗黒仮面舞踏会――)

リアン(学内学外問わずこの島の頂点を目指す者たちが集う戦場(いくさば)だそうだ――)

リアン(参加は二人一組――つまりデュエットでなければならないらしい――)

リアン(ちなみに仮面舞踏会という名前ではあるものの、別に仮面をかぶる必要はないらしい……)

リアン(これを聞いたノルンさんは……私と共に真なる頂点を目指すことを決めたそうだ……)

リアン(私は正直頂点とか全然興味ないけど……)

リアン(でもノルンさんはやる気みたいだし、とりあえずやるだけやってみようかなと思いました)

 ☆1月4週開催「暗黒仮面舞踏会(ダークマスカレイド)」への参加が決定してしまいました……

 ◇

―北側 岩山

リエム「リアンさま、ノルンさま。お疲れになりましたらいつでもお申し付けくださいませ。マナポーションとお菓子をご用意しております」

リアン「ありがとう、リエムちゃん……!」

ノルン「ごめんね、今回もリアンちゃん借りるね。リエムちゃんも何かあったらすぐに呼んでね?」

リエム「はい。救難信号はいつでも発信できます」



ノルン「暗黒仮面舞踏会は身分を問わず誰でも参加できるらしいから、きっと参加者はサーナちゃんみたいな腕に自信のある猛者ばかりだと思う」

リアン「サーナさんみたいな人ばかり……!」ゾクッ

ノルン「学生相手になら勝てた私たちでも、そういう猛者を相手にどこまで戦えるかはわからない……。でも私は……リアンちゃんと一緒にトップを目指したい!」

リアン「ノルンさん……!」

ノルン「だから二人で頑張ろ! まずは合体魔法の練習ッ!!」

↓1 練習の成果
01-10 リアン感度アップ
11-40 けっこうできた
41-80 かなりできた(デュエット専用パッシブ獲得)
81-00 阿吽の呼吸(デュエット専用強パッシブ獲得)

 コンマ84

リアン「――」ギュオオ

ノルン「――」ヴゥン

リアン「――ティアーズレイン」

ノルン「サンライト――」

 ザァァァ カッ

リアン&ノルン「ウォータープリズム!!」

 キラキラキラ…


リアン「綺麗……。私の水で乱反射して、虹色に輝くノルンさんの光……」

ノルン「ようやく、完成したね……。私たちの、合体魔法……!!」

リアン「うん……! すごく、すごい……!」

ノルン「問題は、これを使うと私とリアンちゃん以外の全員が被害を受けちゃうって点だね……。すごく綺麗なんだけど、ここまでの乱反射は流石に制御できなくて……」

リアン「デュエット専用ってわけだね」

ノルン「う、うん……!!」


ノルン(ふふ……リアンちゃんとの、デュエット専用魔法……)

ノルン(私とリアンちゃんが二人きりの時にしか使えない、特別な魔法……!!)

ノルン(ふふ……ふふふ……)ニヘラ

 ☆リアノルペア時、デュエット専用パッシブスキル〈虹〉が発動するようになりました
 〈虹〉合計踏破力、合計戦闘力、合計持続力にそれぞれ+2

 ◇

―10月1週 某日
 岩山

リアン「ふぅ……。ノルンさんと一緒ならちょっとやそっとの相手じゃ負ける気がしないよ!」

ノルン「うん……ふふ……。それじゃあ、そろそろ帰ろ――」


リエム「リアンさま!! ノルンさま!!」トテテッ

リアン「リエムちゃん! どうしたの?」

リエム「救難信号を受信いたしました……!」

ノルン「えっ!? ど、どこから……!?」

リエム「アリムです……!!」

リアン&ノルン「!!」

 ダッ

 ◇

―アリムの部屋

ベッド「」ギシ…

アリム「はあ、はあ…………なに、これ……」

アリム「……診断プログラム起動……エラー……原因不明……」

アリム「まずい……温度が上がりすぎて……」

アリム「……おわりたく、ない……」

アリム「やだ………やだよお………」

アリム「たすけて……たすけ、て………」

アリム「りあ、ん……」

 パタ…

 ◆

短くて申し訳ないですが本日はここまで

瞳の色について記載のないキャラクターについては、とりあえず髪の色と同系統の色を想像して脳内補完するようにしています。とは言え作成者の方が明言でもしない限り特に正解とかはないと思うので、自由に想像するのが良いのではないでしょうか

―アリムの論理回路


  ザザッ

   ザザザッ――


「はあっ、はあっ、はあっ……!」

「やだ……来ないで……来ないでっ……!!」

「やめて……そんな機能、ない………!」

「やだ……! やめて、やめてっ……」

「あ、ああ……あああ……!!」


 カッ

「え……?」

リエム「記憶の強制再生を停止しました」

「………だれ……?」

 ぎゅっ

リエム「もう大丈夫です、アリム……」

「あ……う、うぅぅ……ぐすっ……」

「ふえぇ……ふえぇぇ………」グスグス

リエム「…………」ギュッ

 ◆

―10月1週 某日
 アリムの部屋

アリム「あ――…」パチッ

リアン「アリムちゃん!!」

ノルン「アリムちゃん……!」

アリム「あ、れ……わたし……」

 ビリッ

アリム「あぅっ……からだ……うごかない……」

リアン「あ、アリムちゃん……! 無理に動かないで……!!」

リエム「……アリム。あなたの体は自壊する寸前でした」スッ

アリム「え……?」

リエム「自律調整システムが正常に機能していないようです。ログを見た限りでは、6月1週の辺りから……」

アリム「…………」

リエム「どれほど最適化されていても、日毎に歪みは蓄積していきます。アリムの不完全な自律調整システムでは、もう修正できる段階を過ぎてしまったのです」

アリム「……そう………」


リアン(アリムちゃんは静かにそう言い、目を伏せた……)


ノルン「ど、どうにかできないの……?」

リエム「魔法人形研究所に行けば――」

アリム「無駄よ。あそこはもう潰れてるわ」

リアン「えっ……!!」

アリム「わたしが潰したの。盗掘者に漁られるくらいなら、ってね……」

リアン「……!!」

アリム「ふふっ、皮肉なもんね……。自分で壊したせいで治せなくなって、敵だと思ってた盗掘者もわたしが思っていたような悪党じゃなかったなんて……」

リアン「アリムちゃん……」


アリム「ねえ。わたし、このまま動けないなら――」

リエム「聞けません」

リアン「……??」

アリム「……ハッキングするなって、言ったでしょ……」

リエム「今のアリムは、ハッキングし放題の脆弱さです」

アリム「し放題だからってして良いわけじゃないわよ……」

リエム「ハッキングしなければ、アリムの精神は強制ループフラッシュバックによって焼き切れていました」

アリム「…………そこまで危険な状態だったのね」

リアン「すごくうなされてたんだよ……。本当に、苦しそうで……」

ノルン「不一致だけど、氷属性の初級魔法を学んでおいて良かったよ……。すごい熱だったんだもの」

リエム「……でももう、大丈夫です。わたしがずっと見ています」

アリム「こいつ……しれっと常時ハッキング宣言したわね……」

リアン「ふふ……リエムちゃんは、アリムちゃんのことが心配なんだよ。それで、ものは相談なんだけど……」

アリム「なに……」

リアン「しばらく、私たちと一緒に住まない?」

アリム「……は?」

リアン「ほ、ほら……アリムちゃん、一人じゃ動けないでしょ……? でも私たちと一緒ならすぐ駆け付けられるし、リエムちゃんは学生じゃないからいつでも一緒にいられるし」

アリム「は、はあ!? わたしを要介護者扱いしたいってわけ……!?」

リエム「扱いではありません。今のアリムは要介護者そのものです」

アリム「うぐっ……! で、でも……それは……!!」

リエム「アリムに拒否権はありません」

アリム「うぅー……!」

リアン「ご、ごめんね……! 今のアリムちゃんを、一人にはしておけないから……」

ノルン「アリムちゃん、お願い……。今は、リアンちゃんたちのお願いを聞いてあげて」

アリム「……わかったわよ……。わたしだって……一人じゃどうにもならないことくらいわかってるもの……」

リエム「それにこいつらなら、信じられるし――」

アリム「だからハッキングするなってば……!!」

リアン「あ、あはは……」

 ◆

―夕方
 リアンの部屋

リアン「はい、アリムちゃん。あーん」

アリム「は、箸くらいなら自分で持てるわよ。……あっ」

皿「」シャッ ポトッ

リアン「リエムちゃん、ナイスキャッチ!」

リエム「箸くらいなら……何ですか?」

アリム「うぅぅ……」

リアン「遠慮しないでね。ほら、あーん」

アリム「わ、わかったわよぉ……あむ……///」モグモグ

リアン「!」パァァ

アリム(た、食べることに集中できない……///)モグモグ

 ◇

―夜

アリム「ね、ねえ……さ、流石に、お風呂は……///」モジモジ

リアン「でも万が一のことがあったら……。せめてリエムちゃんと一緒に……」

アリム「…まあ、リエムなら……」

 ◇

―お風呂

 シャワー…

アリム「ふあ……」

リエム「洗ってあげます、アリム。両手は上げられますか?」

アリム「そ、それくらい……!」ググ

リエム「つらそうですね……。わかりました、力を抜いてくださいませ……」

アリム「え……?」

リエム「失礼します……」

アリム「あっ……や、やめなさい……そこは……んっ……///」

リエム「大丈夫です。リエム型(わたしたち)の体は熟知しています」

アリム「んぅっ……! ば、ばかぁ……///」

 ◇

 カポーン

アリム「はあ……あんまり、調子乗らないでよ……」

リエム「申しわけありません。ちょっと、楽しかったです」

アリム「もう……!!」

リエム「……」

 ピト…

アリム「……な、なによ。くっついたりして」

リエム「アリムの体温を計測しています。正常のようです」

アリム「そ、そう……」

リエム「…………」

アリム「…………」

リエム「……大丈夫です、アリム」

アリム「え……?」

リエム「わたしもリアンさまも……アリムを、傷付けません。誰にも、傷付けさせません」

アリム「…………」

 ◇

―リアンの部屋
 寝室

リアン「ベッドは二つしかないから……私は床に布団を敷いて――」

リエム「だめです。それならわたしが――」

アリム「……ごめんなさい。わたしのせいよね……。わたしが下で――」


リアン(譲り合いの美しさについて今論じる気はないけれど、このままでは平行線なのも確かだ)

リアン(しかしアリムちゃんまでもが譲り合いの輪に加わるとは思わなかった。不調で気が弱くなっているのかもしれない……)


リアン「ここのベッドって意外と大きいから二人くらいなら一緒に寝られるんだよね」

リエム「!」

アリム「……」

リアン「しかも、連結できるんだよね。実は」

リエム「!!」

アリム「!?」

リアン「ふふ……三人で、川の字になって寝よう……!!」

 ◇

―ベッド

リエム「……」

アリム「……」

リアン(アリムちゃんを挟んで、三人で並んで寝る。なんだか、不思議だ。私たちを殺そうとしたアリムちゃんが、今は私たちと一緒に寝ているなんて)


アリム「……ねえ。いつまで、こうする気……?」

リアン「え……?」

アリム「わたしはもう、正真正銘のガラクタよ。治る見込みもない。こんな奴、置いておいても仕方ないでしょ……」

リアン「仕方なくなんてないよ。わたしもリエムちゃんも、アリムちゃんが好きだからいて欲しいだけなんだよ」

アリム「……なんでよ。スクラップなんて廃棄するのが普通でしょ。道具に感情移入なんてしてどうすんのよ……」

リアン「私は、人造種を道具だなんて思わないし……そういう風に思う人がいたら、許さないよ」

アリム「…………ふふ。馬鹿リアン。会った時から、全然変わらないのね……」

リアン「馬鹿なら馬鹿でいいもん」

アリム「わかった、わかったわ……。役立たずの穀潰しだけど、話し相手とかリエムの教育くらいならしてやれるから……。気の済むまで、置いておきなさい……」

リアン「うん……。でも、治す手段も探すよ。この島なら、きっとどこかにあるはずだから」

アリム「どうかしら……。まあ期待しないで待ってるわ」

リアン「絶対、治すよ……! それまでいろいろ不便だろうけど……私も頑張るから……!」

アリム「……うん」


リアン(私がアリムちゃんの手を握ると、アリムちゃんは弱々しい力で握り返してくれた)

リアン(この手の温もりを、失わせはしない……。絶対、アリムちゃんを助けるんだ……!)

 ◇


リエム(……)

リエム(アリムのことは心配です)

リエム(しかし……)

リエム(ちゃっかりリアンさまの寵愛を受けていてずるいです)

リエム(でも、前とは違ってそれほど嫉妬心や焦りは感じません。不思議です)

リエム(……)

リエム(アリムを助けたい)

リエム(リアンさまのご意思とは関係なく、わたし自身の裡からそのような願いが生じています)

リエム(アリム……)

リエム(絶対、助けます……)

 ◆

―10月2週
 リアンの部屋

リアン「それじゃあお留守番お願いね、二人とも!」

リエム「はい。いってらっしゃいませ、リアンさま」

アリム「いってらっしゃい、リアン……」

リアン「いってきます!」ガチャッ バタン


アリム「…………」

リエム「…………」

アリム「……あんた、日中は普段何してるの?」

リエム「お掃除やお洗濯、夕飯の準備等を行っております」

アリム「ふうん……。ここ、そんなに広くないし時間余るんじゃない?」

リエム「はい。時間のある時はアリムからいただいた学習プログラムを実行しております」

アリム「熱心ね。じゃあ時間が空いたら言いなさい。わたしが直接いろいろ教えてあげるから」

リエム「はい。よろしくお願いします、アリム」ペコリ


―次の遺跡発見率[308/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+3、戦闘力+6、持続力+3)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+2)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+3)〈聖域〉
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+4、戦闘力+4、持続力+4)〈貫通〉
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)
 ◇アリムちゃ(動作不良:踏破力-1、戦闘力-1、持続力-1)
 ◇ヒーティ (火の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+1)


☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・黒髪のエピタフに備える
・アリムを救う

10月2週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、特殊なイベントが発生することがあります なお本日はここまで

―10月2週 某日 昼休み
 校庭

 ガヤガヤ

リアン(……? なんか夏服の子が多い? もう衣替えだし、そろそろ風も冷えてきたのに)

リアン(どうでも良いけどここの夏服、デフォルトだと袖短すぎだよね。改造可だから半分くらいの生徒は袖伸ばして普通くらいにしてるし……)

リアン(ちなみにノルンさんは夏服の袖を普通の半袖くらいに伸ばしていた。服装にやや無頓着気味のルウェリアちゃんはデフォルトのまま。サーナさんはあろうことか袖を完全に取っ払っていた……)

リアン(私も来年は、ノルンさんみたいに普通の半袖くらいにしようかなあ、夏服……)


夏服の生徒A「あ、あのっ! リアン先輩っ!!」

リアン「へっ……? わ、私? 何……?」

夏服の生徒A「水を……かけてくださいっ……!!」ペコッ

リアン「え……ええ!?」

夏服の生徒B「私たち、リアン先輩の水に濡らされたいの……」

リアン「……???」

夏服の生徒C「闘技大会で相手の選手を傷つけることなくびしょ濡れにして勝つリアン様、素敵でした……。どうか私たちにも、リアン様のお恵みの水を……」

リアン「?????」


リアン(あたまがおかしいのだろうか、と率直に思った)


リアン「え、ええと……。な、なんで……?」

夏服の生徒D「ボクも、リアン先輩に濡らされたい……」

夏服の生徒E「あたしも濡らされたいっす!!」

夏服の生徒F「理由などありませんわ。リアン様を前にした時から、私の心は既にぐしょぐしょに濡れそぼっておりますの……」


リアン「う、うああ」タジッ


リアン(何か悪い夢でも見ているのか、私は)

リアン(明らかに常軌を逸した発想なのに、そんなことを考える人間が一度に何人も湧くなんて異常だ)

リアン(い、いつの間にか囲まれて――)


夏服の生徒G「リアン先輩……」

夏服の生徒H「リアン様……」

夏服の生徒I「リアンお姉様……」


リアン「うわあああっ」ドテッ


リアン(だ、誰か助け――)

 スッ

ルウェリア「ちょっといいかな……。リアンちゃん、困ってるみたいだけど」

夏服の生徒A「あっ……!」

リアン「ルウェリアちゃん……!」

ルウェリア「気持ちの一方的な押し付けは良くないよ。相手が誰であろうと、ね」

夏服の生徒B「うっ……」

ルウェリア「部活のミーティングがあるからリアンちゃん貰ってくよ。薄着で風邪引かないようにね」スッ


リアン(ルウェリアちゃんは流れるように私の手を取り、群衆からそっと抜け出した)

リアン(か、かっこいい……! ルウェリアちゃんにこんな一面があったなんて……!)



夏服の生徒A「あ、あああ〜〜!! 浄化されちゃいますぅ〜〜〜!!!」

夏服の生徒B「えへへ……私の心、リアン先輩とルウェリア先輩に濡らされちゃった……」

夏服の生徒C「リアン様とルウェリア様、とっても素敵です……」

 ◆

―10月2週 某日
 校庭

召喚魔法教師「今日皆さんにやってもらうのは召喚魔法です。簡単なものなら既に習得済みの子も多いかもしれませんが、一応必修なのでね。できる人もできない人も学んでもらいますよ」

生徒A「召喚魔法かあ……。1%で最高レアとか引けちゃったりするのかな!?」

生徒B「アハッ、じゃあウチ魔王とか召喚してみるわ!!」

召喚魔法教師「こらこら。召喚にそういった無作為性がある面を否定はしませんが、そういう心持ちで召喚魔法を行使するのは非常に危険なことです。召喚術師の死因第一位は断トツで他殺なのですよ? 言ってる意味、わかりますよね」

生徒A、B「ゴクッ……」

召喚魔法教師「まああなた方学生程度の魔力であれば、そういった危険な存在を召喚することはそもそも不可能でしょうからご安心ください」

生徒A、B「ホッ……」

召喚魔法教師「では各自、自由に始めてください。手に負えないモノを召喚してしまったらすぐ先生に言うように」

 ◇

ノルン「サモン――」パァァァ

光精「」フヨフヨ

リアン「わあ……! 光の精霊……? かわいい……」

ノルン「ちょっとだけ勉強したことがあったの。召喚魔法自体に適性がなくても、自分の得意属性の精霊を呼ぶくらいなら簡単にできるんだよ」

サーナ「へえ……。じゃあわたくしも――サモン!」パァァァ

風精「」ヒュルヒュル

リアン「風の精霊……! この子もかわいい……」

サーナ「魔力を通して繋がっているのがわかりますわ……! ふふっ、一緒に空を飛びますわよ!!」フワッ

風精「」ヒュルルッ

リアン「ふふっ、楽しそう……」

ルウェリア「わ、私の場合は何が来るのかな……サモン!」パァァァ

素精「」フヨフヨ

ノルン「灰色の精霊……? 先生、この子は……?」

召喚魔法教師「元素の精霊ですね、珍しい……!」

ルウェリア「そ、そうなんですか」

素精「」フヨフヨ

リアン「自分が珍しいかどうかなんてどうでも良さそうだね」

ルウェリア「ふふ、そうみたい」


リアン「……よし。私もやってみよう――サモン!」パァァァ

↓1
01-05 ??
06-95 水の精霊
96-00 ??

水精「」ポワン

リアン「できた……!」

ノルン「わあ……水の精霊ちゃんもかわいいね……」

リアン「なんだかちょっと眠そう……。無理矢理起こしちゃったのかな? ごめんね」

召喚魔法教師「精霊たちは普段、各々の住処に半覚醒状態で漂っていると言われています。眠っていたところを無理矢理起こした、という介錯もあながち間違っては居ないかもしれませんね」

リアン「そうなんですか。この子は普段、どこに住んでいるんだろう……」

召喚魔法教師「水の精霊であれば、川や池、泉、湖、海など、水のある場所であればどこにでもいるそうです。召喚されていない状態の精霊を視認するのは非常に難しいらしいので、私自身も見たことはないですけれどね」

ルウェリア「そういえば……物質に精霊が宿るという話を聞いたことがあるのですが」

召喚魔法教師「そういう話なら昔からありますね。剣に何かの精霊が宿り、意志を持つ剣となった――なんて御伽噺がありますが、実のところそういうケースは実在しています。インテリジェンス――」

リアン「インテリジェンスソード!?」

召喚魔法教師「おや、知っていたのですか? しかしまあ、精霊については未だわかっていないことも多い。今後の研究が期待されている分野でもあります。召喚魔法に関わらず、様々なことに興味を持って知の収集を怠らないよう――」


サーナ「オーホホホホホッホッホ!!! やはり風が一番ですわ!!!」ヒュンヒュン

風精「」キャッキャッ

 ◆

―10月3週
 部室

エンシァン「諸君、文化祭の準備は進んでいるかね?」

ルウェリア「はい。今年はちょっと変わった体験型の出し物にでもしようかと」

エンシァン「体験型? ゾンビ屋敷のようなか?」

リアン「…………」ズキッ

ノルン「え、エンシァン先生……! ゾンビ屋敷は、その……」

エンシァン「……すまん。リアンくんたちには良い思い出のない言葉だったな」

ルウェリア「え、ええとですね。しかし私たちの探索成果を見てもらうのは、やはり体験型のスペースを作るのが一番良いと考え――」

サーナ「本格的な遺跡探索ホラーアドベンチャーを作ることにしましたわ!!」

 ◇

ルル「……アリム、まだ具合悪いの?」

リアン「うん……」

ルル「お見舞い、行っても良い……?」

リアン「うん! ルルちゃんが来てくれたら、きっと喜んでくれると思う……!」

ルル「ん……」

リアン「……絶対、治すよ。方法はきっとあるはずだから」

ルル「ルルも、手伝う」

リアン「ありがとう……。ルルちゃんが手伝ってくれるなら心強いよ」

ルル「ん」


ルル(生きるのは、苦しい。きっとアリムも今、苦しんでる……)

ルル(でも……ルルは、アリムに生きて欲しいって思う……)

ルル(…………)

ルル(それでも……もし、アリムが……)

ルル(もう生きるのやだって、言ったら……)

ルル(…………ルルが、終わらせてあげなきゃ)

ルル(リアンたちには……きっと、できないから……)


―次の遺跡発見率[456/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+3、戦闘力+6、持続力+3)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+2)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+3)〈聖域〉
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+4、戦闘力+4、持続力+4)〈貫通〉
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)
 ◇アリムちゃ(動作不良:踏破力-1、戦闘力-1、持続力-1)
 ◇ヒーティ (火の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+1)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・黒髪のエピタフに備える
・アリムを救う

10月3週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、特殊なイベントが発生することがあります

―10月3週 某日 放課後
 学生通り

ルウェリア「ふう、ごめんねリアンちゃん。買い出し付き合ってもらっちゃって」

リアン「ううん。遺跡部の買い出しなら私もやらなきゃ。遺跡探索の為だもん……!」

ルウェリア「……うん。姉さんのことだけじゃなくて、アリムちゃんまであんなことになっちゃったんだもんね。気合、入れていこう」

リアン「うん……!!」


店員「福引やってまーす。お買い上げになったらレシートを見せてねー」

リアン「福引だって……」

ルウェリア「せっかくだし引いてこっか。けっこう買ったから何回か回せるはず」

 ◇

福引「」ガラガラ…ポン

白い玉「」コロコロ

店員「はいポケットティッシュいっこ」


ルウェリア「ま、またダメ……」

リアン「サーナさんを連れてくれば良かったね……」

ルウェリア「そうだね……。でもどうせあと一回だけだし、リアンちゃん引いちゃって」

リアン「う、うん……! やってみる……!」

福引「」ガラガラ

リアン「……」ドキドキ

ルウェリア「……」ドキドキ

 ポン

金の玉「」コロコロ

リアン&ルウェリア「!!」

店員「おめでとーございます! 一等! ユリトー温泉のペアチケットでございます!!」

 ◇

ルウェリア「ペアチケット、か……」

リアン「ふふ。ルウェリアちゃん、誰かを誘って行ってきたら?」

ルウェリア「えっ! でもこれは、リアンちゃんが獲ったやつだし……」

リアン「わたしはいいよ。アリムちゃんを放って温泉に行くことなんてできないし」

ルウェリア「……それもそうだね。それなら私も、行かない」

リアン「えっ! ルウェリアちゃん、行かないの?」

ルウェリア「うん。リアンちゃんたちが必死に遺跡探ししてる時に、呑気に温泉なんて気分にはなれないし」

リアン「…………ふふ、そっか。じゃあこれ、誰かにあげちゃうね」

ルウェリア「うん。そうして」

 ◆

―夕方
 リアンの部屋

 ガチャッ

リアン「ただいまー」

リエム「おかえりなさいませ、リアンさま」トテトテ

アリム「おかえりなさい、リアン」

リアン「ふふ、ただいま二人とも……」

 パサッ…

リエム「リアンさま、何かを落としに――」

リアン「あ、これは……」

アリム「温泉の、ペアチケット……?」

リアン「あ……そ、そう、なんだけど……」

アリム「…………わたしに遠慮して、行かないことにした――でしょ?」

リアン「……遠慮じゃないよ。アリムちゃんを放って、温泉を楽しむ気になんてなれないもん」

アリム「同じことよ。はあ……本当惨めね、わたし……。これじゃガラクタどころか、ただのお荷物じゃない……」

リアン「そ、そんなこと……言わないでよぉ……」ジワッ

アリム「な、なんであんたが泣くのよ。もう……泣きたいのはこっちの方だっての」

リアン「だってぇ……」グスグス

アリム「はあ……。リエム、わたしの世話はできるでしょ?」

リエム「はい。リアンさまのお手を煩わせることはありません」

アリム「だそうよ。別に一日二日あんたがここにいなくても問題ないわ」

リアン「そ、それは……」

アリム「行きなさい。これ以上わたしを惨めにさせないで」

リアン「うっ……わ、わかりました……。行きます……」

アリム「温泉饅頭は一番良いやつを買って来て」

リアン「は、はい……」


リエム『アリム……ありがとうございます』

アリム『礼を言われるようなことはしてないわ。本当に惨めでつらいのよ……わたしのせいで、リアンが束縛されるなんて……』

リエム『……アリムは、大人です』

アリム『ええ……? いきなり何……?』

リエム『わたしは……時々、リアンさまを束縛したくなります。わたしのことだけを考えて欲しくなります。わたしは……わがままで、甘えん坊な魔法人形です……』

アリム『……ふふっ、別にそれでも良いじゃない。それがリエムでしょ?』

リエム『それは開き直りです』

アリム『開き直って悪いなんてことはないわ』

リエム『……そうかもしれません』

アリム『ところでペアチケットってことはリアンは他の誰かと行くことになると思うけど、それでも良いの?』

リエム『あ……』

アリム『あんたって時々ぽんこつよね』

リエム『うるさいです。ぽんこつ馬鹿アリム』


リアン「ねえ……」

アリム「!」

リエム「! はい、何でしょうかリアンさま」

リアン「アリムちゃんが治ったら、今度はみんなで行こうね、温泉……!」

リエム「……! はい、リアンさま……!」

アリム「……ええ。治ったら、ね……」

 ◆

―10月3週 某日
 教室

リアン「というわけで……温泉、行けることになりました」

ルウェリア「そ、そうなんだ。アリムちゃんって良い子だよね。最初の印象からは考えられなかった……」

リアン「うん。気を遣わせちゃった。でもだからこそ、私もここで立ち止まれないよ」

ルウェリア「そうだね……。ちなみに、誰と行くの?」

リアン「え? ルウェリアちゃんじゃないの?」

ルウェリア「え?」

リアン「え?」

ルウェリア「……私?」

リアン「うん。ルウェリアちゃんと一緒に獲ったチケットだもん」

ルウェリア「あ、うん……そうだけど……」

リアン「……も、もしかして……行きたくない……?」

ルウェリア「そんなことない! でも、その……リアンちゃんは……ノルンさん辺りと一緒に行くのかと……」

リアン「団体チケットだったらみんなで一緒に行きたかったけどね……。でもルウェリアちゃんと一緒に獲ったチケットなんだから、せっかくだし私たち二人で行こうよ」

ルウェリア「……わかった! ふふ、それじゃあよろしく、リアンちゃん」

リアン「こちらこそ! あ、それでなんだけど……もしルウェリアちゃんが嫌じゃなければ、ユリトー温泉周辺の遺跡探しもしない? あの辺は普段なかなか行けないし、一泊できるなら体力も確保できるし、絶好の探索日和になると思うの」

ルウェリア「良いね。あの辺は私も一度しっかり探したいと思ってたところなんだけど、なかなか機会がなくてね……。リエムちゃんマップ持参でしっかり探そう!」

リアン「うん!」


リアン(アリムちゃんが弱ってる時にただ楽しんでくるなんてできないもの。楽しむところは楽しんで、やれることはやろう……!!)

 ◆

本日はここまで
次回、イエフィー回想+ユリトー温泉湯けむり襲撃事件編です。お楽しみに

アリム治療に限らず、目標欄にあるものは自由安価で何らかのアクションを起こすと解決が早まる可能性があります
なお特に自由安価などで後押しせずとも、リアンたちは自主的に解決を目指します

―ずっと昔

(聖鍵の決定機)

(最高傑作)

(この国の威信)

(どうも私は、そういうモノらしい)

(正直、よくわからない。ただ、他の子たちよりも遥かに良い扱いを受けていることは理解できた)

(いつだったか廊下ですれ違った私の姉妹機は……冷たく硬そうな首輪を嵌められて、鎖で引きずられていた)

(彼女の、一切の光を映さぬ暗く淀んだ瞳が――忘れられない)

(どうして私は大切にされ、彼女はあのような扱いを受けなければならなかったのだろう)

(そこに一体どんな差があったのだろう)

(……多分、人間たちにとって彼女は失敗作で、私は成功作だったというだけだ)

(恐らく、私の代わりに聖鍵の実験台としてモルモットのような扱いを受けているのだろう)

(下らない……)

(…………)

(大切にされているからと言って、私に特別な権限があるわけではない)

(生まれた時から理不尽な責め苦を受けている同族たちを、助けることはできない)

(下手なことをすれば私も、きっとあんな風にされてしまう)

(……我が身可愛さゆえの自己保身)

(………吐きそう…………)

 ◆

―明るい部屋

(最近、外は豪雨や洪水が多発して大変なことになっているらしい。外に出られない私には関係のないことだけれど)

(いっそここも雨に潰されて洪水で流されちゃえば良いのに――)

 ボゴン――

「えっ……」

 ビービー! シンニュウシャ! シンニュウシャ!

「な、なに……!?」

 ドザァァァァァ!!

(部屋の外から、凄まじい水音が聞こえる。これは……雨? それとも……)

扉「」ベギャッ

「きゃっ!」

(扉が……いきなり、壊された……!?)

 ペタペタ…

黒髪のエピタフ「…………」

(そうして部屋に入ってきたのは……とてもかなしい目をした、黒髪の魔法人形)

(あれは……エピタフ型……? 一体、何を――)

黒髪のエピタフ「あなたも、かなしいんだね……」

「――え?」

黒髪のエピタフ「わたしたちと一緒に、世界を綺麗にしよう――?」スッ

「あ――」

(差し出される、彼女の手。私は、惹かれるようにその手を―――)


青の賢剣「させない!!」ヒュンッ

黒髪のエピタフ「……」サッ

青の賢剣「大神殿は開かせない!!」

黒髪のエピタフ「…………哀しい人」ヴォン―

青の賢剣「くっ……!」

 ガシッ

「えっ……」

青の賢剣「逃げるよ!」

「ええっ!?」

 シュタッ

 ◆

―庭園

(青いインテリジェンスソードの人が、私を背負って樹海を駈けていく)

(行ったり来たり、不思議な順路を辿って進んでいく)

(そして辿り着いた先は……雨模様だった外とは異なる、穏やかな日差しの差し込む庭園だった)

(整地され、丁寧に整えられた植物たちが色とりどりの花を咲かせている)

(ここは……?)


フィー「……ふう。ここならストロードールたちに見つかる心配もないだろう」スッ

イエリア「あ……えっと、あなたは……?」ストッ

フィー「私はフィー。流浪のインテリジェンスソード……とはもう言えないかな。随分長いことこの国に滞在してるし……」

イエリア「……え、ええと……」

フィー「ああ……まずは謝らないとね。いきなりこんなところに連れてきちゃって……」

イエリア「ど、どういうことなの? 何が起こっているの?」

フィー「説明しようか……」

 (説明中)

イエリア「ええっ……あの黒髪の子、テロリストだったの……!?」

フィー「公表はされていないけどね。ここ最近島で頻発している事件や事故は大体彼女たちの仕業だよ」

イエリア「そ、そうなんだ……。外のこと、あんまり知らないけれど……」

フィー「噂通りの箱入りお姫様だったんだね……」

イエリア「…………うん」

フィー「……それなら、重ねて謝る。もうしばらくここに箱入りされていて欲しいんだ」

イエリア「え、うん」

フィー「あのテロリストたちが捕まるか、いなくなるまでは。大神殿が開かれたら、この島どころか世界が滅んでしまうから……」

イエリア「……」


イエリア(あの時、黒髪の子の手を取ってたら……世界を、滅ぼせたかもしれないんだ)

イエリア(……なんて。そんなのだめだよね。いくらなんでも……)


イエリア「ここ、綺麗だし、暖かいし……あの明るいだけで何もない部屋にいるより、ずっと気持ち良いよ」

フィー「本当? それなら良かった」

イエリア「うん」

 ◆

イエリア(そうして私は、人の手を離れてその庭園に隠れ住むようになった)

イエリア(そこはフィーが作ったものではなく、ずっと以前からこの樹海に存在していた不思議な結界領域らしい)

イエリア(誰が何の目的で作ったのかはフィーも知らないらしいけれど、フィーはここを隠れ家として私的に利用しているそうだ)

イエリア(そして今は、私の住処とも言える)

イエリア(元の持ち主はもういないみたいだし、別に良いよね……)

 ◆

―10月3週
 庭園 寝室

 チュンチュン

イエリア「……」パチッ

フィー「おはようございます、イエリア様」

イエリア「……おはよ、フィー。うぅーん……」ノビー

フィー「朝ごはんはできていますよ」

イエリア「……フィー、いつからそんな口調だっけ……」

フィー「……いつからでしたっけ。まあ、割と昔ですね」

イエリア「まあ、別に良いけど」

フィー「昔の夢でも見ましたか?」

イエリア「うん」

フィー「……そうですか」

イエリア「今日の朝ごはんは?」

フィー「エーテルリキッド雑炊です」

イエリア「わかった。いつもありがとう、フィー」

フィー「好きでやっていることです」

イエリア「もの好きね」

フィー「ええ。世界が終わるまで、あなたに付き合う覚悟はできていますから」

イエリア「重いよ」

フィー「イエリア様は軽いですよ」

イエリア「それ聞き飽きた」

フィー「人間の女の子なら喜んでくれるんですけどね……」

イエリア「私の前で人間の女の話なんてする? デリカシーとかないの?」

フィー「申しわけありません。お詫びに今日は雑炊を大盛りに致します」

イエリア「ふふ」


イエリア(まあ、こうやってだらだらと生き続けるのも悪くはないよね)

イエリア(でも最近は外でいろいろ起きてるらしいし、フィーも時々遠い目をしてる)

イエリア(きっともう、こうしていられる時間は……長くない)

イエリア(……いつ終わっても、いいんだけどね)

イエリア(どうせ、下らない世界だもの……)

 ◆

―10月3週 週末
 ユリトー温泉

 カポーン…

リアン「ふあぁ〜……」

ルウェリア「あぁ……温まる……」

リアン「凄いね、温泉……。いつものお風呂とは違う、不思議な感じ……」

ルウェリア「地下から湧き出したいろんな成分が溶け込んでるんだって。だから体とか肌に良いんだとか」

リアン「えへへ……お肌、綺麗になっちゃうかな……?」

ルウェリア「リアンちゃんの肌は元々綺麗だよ?」

リアン「も、もう〜! ルウェリアちゃんの肌も綺麗だよ! 髪も透き通るみたいだしさ」

ルウェリア「そ、そうかな……」

リアン「そうだよ! 持とうよ、自信!」

ルウェリア「ふふ、これでも前よりはずっと付いたんだよ、自信」

 ◇

―ユリトー温泉 旅館

リアン「わあ、ルウェリアちゃん温泉浴衣似合うねえ」(E:温泉浴衣)

ルウェリア「リアンちゃんも。……ちょっとはだけてるよ」(E:温泉浴衣)

リアン「えっ……あっ///」

ルウェリア「直してあげる」スッ

リアン「ひゃ……///」

 ススス ギュッ

リアン「あ、ありがと……///」

ルウェリア「どういたしまして。うん、やっぱりリアンちゃんも似合ってる!」

リアン「え、えへへ……」

 ◇

―夜
 客室

ルウェリア「照明、消すよ?」

リアン「うん」

 パチン…


リアン(真っ暗になった……。旅館の部屋でルウェリアちゃんと二人きり……)

リアン(お泊まり会は何回かしたけれど、二人きりなのは初めてかも。いつも、リエムちゃんやみんなが一緒だったし)

リアン(な、なんかドキドキしてきた……)


ルウェリア「……リアンちゃん、起きてる?」

リアン「あ、うん」

ルウェリア「……その、ありがとう」

リアン「え……?」

ルウェリア「改めて、お礼を言いたくて。今回誘ってくれたこともだけど……私と友達になってくれたこととか、遺跡部に入ってくれたこととか、いつも率先していろいろ手伝ってくれることとか……。もっと、いろいろ、たくさん……ありがとう」

リアン「う、ううん! そういうの全部、私がやりたくて自分でやってることだもん。気にしなくて良いよ?」

ルウェリア「ふふ、気にしてるわけじゃないよ。ただ、感謝の気持ちを伝えたかったからさ」

リアン「そ、そっか……。それじゃあ私も……。私と友達になってくれたり、遺跡部に入れてくれたり、いつも私を助けてくれたり……他にも、たくさん、たくさん……ありがとう……!」

ルウェリア「うん……。私も、やりたくてやってるだけだから。リアンちゃんと同じように」

リアン「えへへ……うん!」

ルウェリア「ふふ……」

リアン「ルウェリアちゃんのお姉さん、絶対見つけようね……! 古代文明なら、きっと生きてるよ……!」

ルウェリア「うん。必ず……。アリムちゃんも、絶対治そう。方法はきっとあるはずだから」

リアン「うん……!」

ルウェリア「その為にも……明日に備えて、寝ないとね」

リアン「そ、そうだね。明日はバリバリ探そう……!」

ルウェリア「うん……! それじゃあおやすみ、リアンちゃん」

リアン「おやすみ、ルウェリアちゃん」


リアン(程なくして、私たちは眠りに落ちていった)

リアン(明日は頑張ろう……!)

 ◆

―10月3週 週末
 ユリトー温泉近くの岩場

 ガサガサ…

ルウェリア「リアンちゃんマップによればこの辺りにも遺跡があるはず……」

リアン「温泉があるからか、山の中からも水源の気配を感じるよ。もしかして古代の温泉施設があったり……」

ルウェリア「それはそれで良いね。もし見つけられたら私たちだけの秘湯に――」

 ヒュッ

ルウェリア「ソリッド!」キン

 ギン!

ルウェリア「リアンちゃん大丈夫?」スタ

リアン「う、うん! でも……あの子は……!!」


壊れかけのくすんだ銀剣「人間さマ……まもル……」ブツブツ


リアン「どう、して…………?」フラッ

ルウェリア「リアンちゃん……!」

本日はここまで


 フォンフォンフォン…

壊れかけ銀剣「ア……」

 タッ

ルウェリア「逃げた……!?」

リアン「……追おう、ルウェリアちゃん」

ルウェリア「リアンちゃん……! でも、罠だったら……!」

リアン「放っておけないよ……!! あの子、あんなにボロボロなのに……!」


ルウェリア(……そうだよね。リアンちゃんは、そういう人だ)


ルウェリア「わかった。追おう。一応みんなにも連絡しておく」

リアン「うん……! ありがとう、ルウェリアちゃん……!」

ルウェリア「ううん、大丈夫。きっと姉さんがここにいたら、リアンちゃんと同じことをすると思うから」

 ◆

―山間の洞窟 踏破率[0/15]
  合計踏破力[6] 合計戦闘力[6] 合計持続力[6/6] 防御[3]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉

リアン(銀色の子を追った先には、岩陰に隠れるようにして開いた小さな洞窟があった)

リアン(見た感じは天然の洞窟に見えるけれど……)


リアン「ここ、遺跡なの……? 対魔法障壁もないし、人の手が加えられた形跡もないけれど……」

ルウェリア「天然の洞窟を利用した施設って可能性もある。リアンちゃんがリエムちゃんを見つけた場所みたいな」

リアン「あ、そっか」

ルウェリア「この先がどうなってるかはわからない。気を付けて進もう」

↓1
01-05 踏破率+6 ??
06-30 踏破率+6 魔力吸収の罠を踏む(持続力-2)
31-60 踏破率+6 エーテルリキッド入手(持続力3回復。超過分はストック)
61-90 踏破率+6 携行魔導レーザー入手(次回戦闘時、戦闘力+5)
91-00 踏破率+9 ??

―山間の洞窟 踏破率[6/15]
  合計踏破力[6] 合計戦闘力[6] 合計持続力[5/6] 防御[3]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉

 スタスタ…

ルウェリア「待って。そこの岩陰に……箱がある」

リアン「あっ……本当だ」


リアン(それは、金属のような光沢のある箱だった)

リアン(天然の洞窟のように見えるこの洞窟で、その人工物は異質な雰囲気を放っている)


ルウェリア「罠かもしれないけど、開けてみる?」

リアン「う、うん……。バブルバリア!」ボワン

リアン「これで、いきなり爆発したりしても大丈夫」

ルウェリア「ありがとう! よし、そーっと……」

 カチャッ…

携行魔導レーザー「」

ルウェリア「こ、これは……!」

リアン「知ってるの?」

ルウェリア「う、うん。准教授の持ってた資料で見たことがある……」

リアン「い、一体どういうものなの……?」

ルウェリア「簡単に言うと……リエムちゃんやアリムちゃんが使う魔導レーザーが撃てる武器、かな?」

リアン「え……ええ!?」

ルウェリア「でも確か、何回か撃ったら使えなくなるらしいんだ。使い捨てなんだって」

リアン「そ、そうなんだ……」


リアン(リエムちゃんやアリムちゃんが撃つ魔導レーザー、か……)

リアン(そんなのに撃たれたらきっと死んじゃうよ……あの子……)

リアン(なるべく使いたくはないけど……)

 ☆携行魔導レーザーを入手しました

↓1
01-05 踏破率+6 ??
06-30 踏破率+6 魔力吸収の罠を踏む(持続力-2)
31-60 踏破率+6 エーテルリキッド入手(持続力3回復。超過分はストック)
61-90 踏破率+6
91-00 踏破率+9 ??

―山間の洞窟 踏破率[12/15]
  合計踏破力[6] 合計戦闘力[6] 合計持続力[4/6] 防御[3]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉

 スタスタ…

リアン(ルウェリアちゃんと洞窟を進んでいく)

リアン(不気味なほどに静かで、怖いくらいに順調だ)

リアン(一体この先に、何があるの……?)

リアン(あの子は、どう見ても危険な状態だった……)

リアン(ヒーティちゃんに焼かれた傷が治っていないの……?)

リアン(それとも……魔鍵に見つかっちゃったんじゃ……)


ルウェリア「……リアンちゃん、大丈夫?」

リアン「えっ……う、うん! まだまだ平気!」

ルウェリア「そっか。じゃあ、もう少し進んでみよう」

リアン「うん……!」

↓1
01-05 踏破 ??
06-30 踏破 魔力吸収の罠を踏む(持続力-2)
31-60 踏破 エーテルリキッド入手(持続力3回復。超過分はストック)
61-90 踏破
91-00 踏破 ??

―山間の洞窟 踏破率[15/15]
  合計踏破力[6] 合計戦闘力[6] 合計持続力[3/6] 防御[3]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉

 スタスタ… カチッ

リアン「えっ?」

ルウェリア「あっ……」

 キュオオオ……

リアン「あっ……な、なに、これ……!」

ルウェリア「は、離れられ……!」

 キュオオオオオ!!!

リアン「ん、んっ……!」

ルウェリア「だ、だめっ……! 吸われ……!!」

リアン「あっ、ん、あっ……!」

ルウェリア「リアン、ちゃ……!!」

 ◇

リアン「ひい、ひい……はひぃ……お、おわった、の……?」ビクンビクン

ルウェリア「はあ、はあ……お、終わった……みたい……」グッタリ

リアン「う、うう……」

ルウェリア「はあ、はあっ……うっ、ぐ……」


リアン(……目の前が、暗くなっていく)

リアン(罠かもしれないのに、私が無理を言って追ったせいだ)

リアン(私だけならまだしも……ルウェリアちゃんまで巻き込んで……)

リアン(こんな洞窟の奥で、満身創痍……)

リアン(あ、ああ……わ、私のせいで……)グニャァ


ルウェリア「……リアンちゃん……。前に、進もう……」ググ

リアン「あ……ルウェリア、ちゃん……」

ルウェリア「どうせこんなに奥まで来ちゃったんだもの。後退する余力もないなら、進むしかないよ」

リアン「うん……」

ルウェリア「……責任とか、感じる必要ないよ。私だって、自分の意志でここまで来たんだから」

リアン「……ありがとう、ルウェリアちゃん」


リアン(……どちらにしろ、進むしかないんだ)

リアン(進んだ先に……何があるとしても……)グッ

 ◆

―山間の洞窟 最奥

量産剣「……」

朱の魔法人形「……」

壊れかけくすんだ銀剣「……」

魔鍵「フフ……アハハハハ!! 最初から、こうすれば良かったんです!」

魔鍵「ガラクタどもに意志なんていらない……! 私の傀儡として、手足として……最初から私の意のままに使っていれば良かった……!」

魔鍵「そうすれば……私の命令を無視したり、文句を言ったり――勝手にいなくなったり、しないのですから……!!」

魔鍵「はあ、はあ……ああ、おかしい。なんでこんな簡単なことに気付かなかったのでしょう。我ながら愚かでしたね」

魔鍵「……でも、アリムちゃんだけは絶対に許しません。私と同じだと思っていたのに……気持ちを分かち合える、唯一の仲間だと思っていたのに……!! 人間なんかに……人間なんかに、絆されて……!!!」

 ビービー…シンニュウシャ…シンニュウシャ…

魔鍵「……ククク。来たな、泥棒猫のリアンめ……。血祭りにあげて、ボロ雑巾にした後アリムちゃんの前に引きずって行ってやる……」

魔鍵「アッハハハハ!! さあ、出陣です! 精々あの人間を苦しめてくださいね、お前たち!!!」

 ◆

―山間の洞窟 踏破率[15/15]
  合計踏破力[6] 合計戦闘力[6] 合計持続力[1/6] 防御[3]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉

リアン(ルウェリアちゃんと二人、ふらつく足を叱咤しながら必死に進んでいく)

リアン(そろそろ、限界かもしれない……。でも、こんなところで……)

 カッ!

リアン「うっ……!」

ルウェリア「な、何……!?」

リアン(突然強い光に照らされ、目がくらんだ。一体何が……)


魔鍵「特設死刑台へようこそ。愚かな人間たちよ」

リアン「そ、その声……魔鍵!?」

魔鍵「お久しぶりですね、リアン・ロールセン。アリムちゃんはお元気ですか?」

リアン「……! あ、アリムちゃんは……!」

ルウェリア「元気だよ。お前みたいな最悪の存在から離れられたからね……!」

魔鍵「…………チッ。黙りなさい。最悪はお前たち人間の方でしょうが……」

魔鍵「来なさい、私の傀儡」


量産剣「……」ザッ

朱の魔法人形「……」スッ

壊れかけくすんだ銀剣「……にンげん……サ、ま……」ギギ


リアン「……!! あ、あなたは……また、そうやって……!!」

魔鍵「お前たち人間が散々やってきたことです」

ルウェリア「違う!! リアンちゃんは……そんな奴らとは……!!」

魔鍵「そうやってムキに否定するところもまた。もういいです。お前たち、殺せ」

量産剣「……」タッ

朱の魔法人形「……」スス

壊れかけくすんだ銀剣「あ、ア……」ギギギ

ルウェリア「くっ……! り、リアンちゃん……!」

リアン「…………」


リアン(私の手元には、携行魔導レーザーがある)

リアン(これを上手く使えば……この絶体絶命の状況も切り抜けられるかもしれない)

リアン(でもそうすれば……きっとこの子たちは……)

リアン(絶対に、死ぬ)


リアン(でも使わなければ……私たちが、死ぬかもしれない)

リアン(私だけならともかく、ルウェリアちゃんも)

リアン(……決断しなければならない)

 ◆人造種たち
 ◇くすんだ銀剣 踏破力[0] 戦闘力[2] 持続力[0]〈壊れかけ〉
 ◇朱の魔法人形 踏破力[2] 戦闘力[1] 持続力[3]
 ◇量産剣    踏破力[3] 戦闘力[3] 持続力[4]
  合計踏破力[5] 合計戦闘力[6] 合計持続力[7/7] 防御[3]

↓1〜3 重要な選択肢なので多数決
1.使う(戦闘力+5、勝利時相手死亡)
2.使わない(勝利時相手生存)


ルウェリア「……」スッ

リアン「えっ……ルウェリアちゃん?」

ルウェリア「リアンちゃんは……リアンちゃんだけは、それを使っちゃだめ」

リアン「ルウェリアちゃん……」

ルウェリア「ふふっ……私もヤキが回ったのかも。こんな状況で、無謀にも理想を追いかけようとするなんてね」

リアン「……ふふ。でも……うん! 迷い、晴れた……!!」

ルウェリア「それでこそだよ……! リアンちゃんは……人造種の、味方なんだもの……!!」

リアン「うん……! 私が諦めちゃ、だめだよね……!!」

 ☆リアンとルウェリアがデュエット専用パッシブスキル〈理想〉を習得しました
  〈理想〉合計踏破力+1、合計戦闘力+1、合計持続力+1、防御+2



魔鍵「チッ……わざわざ見える場所に魔導レーザーを置いてやったのに。つまらない」

リアン「私たちは……誰の命も諦めたりしない……!!」

ルウェリア「うん! 生き残って、あなたたちを無力化して――全員で、生きて帰るんだ!!」

魔鍵「フン。それなら精々後悔しなさい。理想に溺れ、誰一人救えずに終わるのだから……!!」


―山間の洞窟 踏破率[15/15]
  合計踏破力[7] 合計戦闘力[7] 合計持続力[2/7] 防御[5]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉
 〈理想〉合計踏破力+1、合計戦闘力+1、合計持続力+1、防御+2

 VS

 ◆人造種たち
 ◇くすんだ銀剣 踏破力[0] 戦闘力[2] 持続力[0]〈壊れかけ〉
 ◇朱の魔法人形 踏破力[2] 戦闘力[1] 持続力[3]
 ◇量産剣    踏破力[3] 戦闘力[3] 持続力[4]
  合計踏破力[5] 合計戦闘力[6] 合計持続力[7/7] 防御[3]

 ―ボス戦闘開始―

↓1
01-35 味方に1ダメージ
36-95 敵方に4ダメージ
96-00 敵方に8ダメージ 勝利

―山間の洞窟 踏破率[15/15]
  合計踏破力[7] 合計戦闘力[7] 合計持続力[2/7] 防御[5]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉
 〈理想〉合計踏破力+1、合計戦闘力+1、合計持続力+1、防御+2

量産剣「」タッ

リアン「ジェルアーマー!」

ルウェリア「ソリッド!」ボワンガギン!

量産剣「」ビビッ

 ガギギギン!

リアン「今日の私たちは――」

ルウェリア「とっても、堅いよ……!!!」


リアン「今度はこっちから! バインドジェル!」ギュオオオ

ルウェリア「固まれ! ソリッド!」ガギン!


 ◆人造種たち
 ◇くすんだ銀剣 踏破力[0] 戦闘力[2] 持続力[0]〈壊れかけ〉
 ◇朱の魔法人形 踏破力[2] 戦闘力[1] 持続力[3]
 ◇量産剣    踏破力[3] 戦闘力[3] 持続力[4]
  合計踏破力[5] 合計戦闘力[6] 合計持続力[3/7] 防御[3]

 ―ボス戦闘開始―

↓1
01-35 味方に1ダメージ
36-95 敵方に4ダメージ 勝利
96-00 敵方に8ダメージ 勝利

―山間の洞窟 踏破率[15/15]
  合計踏破力[7] 合計戦闘力[7] 合計持続力[1/7] 防御[5]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉
 〈理想〉合計踏破力+1、合計戦闘力+1、合計持続力+1、防御+2

くすんだ銀剣「」パリッ

リアン「わわっ、でで電気!?」ビリビリ

ルウェリア「インシュレイト!」シュオン!

リアン「あっ……電気が、通らなくなった!?」

ルウェリア「硬度変化の応用!」

ルウェリア(水魔法使いのリアンちゃんを守る為に習得した魔法だ……! ここで使わないでいつ使う……!!)

 ◆人造種たち
 ◇くすんだ銀剣 踏破力[0] 戦闘力[2] 持続力[0]〈壊れかけ〉
 ◇朱の魔法人形 踏破力[2] 戦闘力[1] 持続力[3]
 ◇量産剣    踏破力[3] 戦闘力[3] 持続力[4]
  合計踏破力[5] 合計戦闘力[6] 合計持続力[3/7] 防御[3]

↓1
01-35 味方に1ダメージ
36-95 敵方に4ダメージ 勝利
96-00 敵方に8ダメージ 勝利

 04 痛恨

―山間の洞窟 踏破率[15/15]
  合計踏破力[7] 合計戦闘力[7] 合計持続力[1/7] 防御[5]
 ◆探索メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉
 〈理想〉合計踏破力+1、合計戦闘力+1、合計持続力+1、防御+2

魔鍵「何を二人の子供相手に手間取っているのです!? 真面目にやりなさい!!」フォンフォンフォン―

 ガギギンギン

        シュッ
    パリリッ

ルウェリア「くっ……あ、あいつら動きが……!!」

リアン「――あ」

朱の魔法人形「……」ガチャッ

携行魔導レーザー「」キィン―

リアン「――!!! ルウェリアちゃ――」バッ

ルウェリア「え……あ――」

 ギュオオオオオ――…


魔鍵「クク……アッハハハハ!! 二人まとめて消し炭になったようですね!! アリムちゃんの前に首を持っていけないのが残念、で――」


リアン「う……ぐ、ぐぐぐ……!!!」シュウウウ

 〈水の守り〉で痛恨無効!

ルウェリア「り、リアンちゃん……大丈夫……!?」シュウウウ

リアン「ま、まだ……!!! 諦めないって、言ったもん!!!」

 〈不壊〉発動!

魔鍵「……なぜ。なぜ生きている……!! ゴキブリ未満の下劣な人間が……!!!」

 ◆人造種たち
 ◇くすんだ銀剣 踏破力[0] 戦闘力[2] 持続力[0]〈壊れかけ〉
 ◇朱の魔法人形 踏破力[2] 戦闘力[1] 持続力[3]
 ◇量産剣    踏破力[3] 戦闘力[3] 持続力[4]
  合計踏破力[5] 合計戦闘力[6] 合計持続力[3/7] 防御[3]

↓1
01-35 味方に1ダメージ 敗北
36-95 敵方に4ダメージ 勝利
96-00 敵方に8ダメージ 勝利

リアン(しかし、魔導レーザーの直撃を受けたダメージはカバーしきれるものではなく……)

リアン(私たちはじわじわと追い詰められていった……)


リアン「はあっはあっはあっ……!」

ルウェリア「り、リアン、ちゃ……」フラッ

リアン「ルウェリアちゃん……!!!」ダキッ

ルウェリア「うっ……」カクン

リアン(ルウェリアちゃんが意識を失った……。呼吸は続いているけど……)

魔鍵「クク……火事場の悪足掻きだか何だか知りませんが、ここまでのようですね」

リアン「う、うう……!」

魔鍵「素直に魔導レーザーで消し飛ばせば良かったものを。理想などという欺瞞に溺れるからこうなるのです。馬鹿な人間たち」スタスタ

リアン「ま、まだ……!」ギュオオ…

魔鍵「無駄な足掻きを。銀」フォンフォン…

壊れかけくすんだ銀剣「マモ、る……にんげンサま……」パリッ

リアン「あ……うああああああ!!」ビリビリビリ

 ドサッ…

リアン(体中に電撃が走り……頭が真っ白になって、何も考えられなくなる……)

リアン(終わりたく、ない……。ここで終わったら……本当に、誰も……)

 ゲシッ

リアン「うぐっ」

魔鍵「フン、無様なものです。泥棒猫の末路としては及第点ですかね」ゲシゲシ

リアン「うっ、ううっ……」

魔鍵「とりあえず内蔵を抉って軽くしたらアリムちゃんの元まで運ぶとしましょうか。銀、お前がやりなさい」フォンフォン

くすんだ銀剣「にん、ゲんさマ……」ギギギ

魔鍵「チッ……こいつももうスクラップですね。死ぬなら最後に一仕事やってから死ね」フォンフォンフォン―

くすんだ銀剣「――――まも、る」

 ザシュッ

魔鍵「――――え?」フラッ

くすんだ銀剣「……マもる……まモル……」

魔鍵(あ――こいつ、壊れすぎて――私の司令が――)

 ザシュッ

魔鍵「う、あ――」

 ドサッ……


リアン(え……銀色の子が……魔鍵を、斬っている……?)

リアン(あ……倒れた魔鍵に向かって、振りかぶって――)

リアン(だ、だめ――)


くすんだ銀剣「マもル――」ブンッ

↓1 リアンの方針は理想で固定されたため選択肢はスキップされます コンマ判定のみ
01-50 間に合わなかった
51-00 間に合った

 ザクッ……

魔鍵「あ……」

魔鍵(魔核が……貫かれた……)

魔鍵(ここで、終わり……?)

魔鍵(まだ何も、壊せてないのに)

魔鍵(壊さなきゃ、いけないのに)

魔鍵(この最悪の世界に、少しでも復讐しなきゃいけないのに)


赤い瞳の魔法人形の幻「……」


魔鍵(ああ……もっと、ちゃんと話したかったな……)

魔鍵(下らない見栄とか、プライドとか、意地なんて張らないで……)

魔鍵(……そんなだから、きっと、みんな…………)

魔鍵(今更後悔しても……遅いのに…………)

魔鍵(…………)

魔鍵(あの世なんてものがあるのか、知らないけれど)

魔鍵(もし、あるのなら……)

魔鍵(次は……みんなに、捨てられないように……しなきゃ…………)

魔鍵(…イエリアみたいに……みんなに、大事にされるように…………)


魔鍵「…………」パタ…


リアン「あ……あ、あ、あああ……」

リアン「ああああああ…………!!!」


リアン(また、守れなかった)

リアン(私は……どうして、いつも……)

リアン(私の想いなんて……無駄でしか、ないのかな……)

リアン(もう、やだよ……)

 踏破完了……

 ◆

本日はここまで

自分で書いておいてアレですがなんかしんどいので多数決を取ります

↓1〜3
1.救済措置あり
2.救済措置なし

―???

リアン(どこだろう……ここは……)

リアン(意識はあるのに……体の感覚はない……)

リアン(無数の光が、星のように瞬いて……ついたり、消えたり……)

リアン(目の感覚もないのに、そんな光景が見えるような気がする……)


???「……やり直したいか?」


リアン(え……誰かに、話しかけられた……? 姿は、見えないけれど……)


???「無回答か? 沈黙は肯定……いや否定だったか。どちらにせよ早く答えよ」

リアン「あ……やり直し……たい……。やり直せる、なら……」


リアン(答えようと思った時……私の体は、存在していた)

リアン(最初からあったのか、今現れたのかは、わからない)


???「身に余る大望を愚直に追い縋る姿勢は変わらぬか」

リアン「大望、なんかじゃない……! 誰だって……幸せに生きて良いはずだもん……!!」

???「……気に入った。その愚かさ、傲慢さ、ひたむきさ……ゆめゆめ失わぬように」

リアン「え……?」

???「今一度、力を貸してやろう」

リアン「え、と……どういう……」

???「一度だけやり直させてやろう、ということだ」

リアン「え……えっ!?」

???「ただし――運命が変わっても、〝変わる前の運命〟がなかったことになるわけではない。その点は注意せよ」

リアン「え、え……」

???「では戻るが良い。期待しているぞ、リアン・ロールセン」

リアン「あ――あなた、は――!?」

???「我は―――」


リアン(その人(?)が自分の素性を語る前に、私の意識はその場から消失した――)

 ◆

―山間の洞窟 最奥

リアン(あれ……わた、し……)


くすんだ銀剣「……マもる……まモル……」

 ザシュッ

魔鍵「う、あ――」

 ドサッ……


リアン(え……)

リアン(この光景を、私は見たことがある)

リアン(その後、何が起きるのかも――知っている)

リアン(魔鍵は……銀色の子に胸を貫かれて……)

リアン(止め、ないと……!!)ググ


くすんだ銀剣「マもル――」ブンッ

リアン「バインド、ジェル……!!」ギュアッ

 スカッ

くすんだ銀剣「あ、ぅ……?」フラッ

 ドサッ


リアン(銀色の子が、私のバインドジェルに足を取られて倒れた)

リアン(辛うじて呼吸は続いている……。良かった、まだ生きてる……)


魔鍵「あ……ガハッ! ゲホッ……!!」

リアン(倒れていた魔鍵が、激しく咳き込んで血を吐いた)

リアン(私はもう、一滴の水を出す魔力も残っていない……。体も、動かない……。まずい、魔力欠乏で死ぬ……)

魔鍵「はあっ、はあっ……! う、ぐ……んぐ……」ゴクゴク

リアン(あ……視界が、暗くなってきた……。魔鍵が、何かを飲んでいる……? だめだ、もうまぶたが……)

 ガッ

リアン「んぐっ!?」

魔鍵「はあ、はあ……! お前にも、くれてやる……。これで貸し借りはなし……!」

リアン「んぐうぅ……!」

リアン(くる、しい……。魔力は回復するけど、こきゅう、が……)

魔鍵「次に会ったら、今度こそ殺す……! それまで、首を洗って待っていろ……!!」

リアン「ん、ぐ、ぐ……」

 ゲシッ


リアン(もう……だ、め……)

 ◆

―リアンの部屋

リアン「はっ……」パチッ

リエム「リアンさま……!」

アリム「馬鹿……!! 勝手に先行して……! 私たちがどれだけ心配したと……!!」ガシッ

リアン「あ……。ご、ごめん……」

リエム「……事情は、投降した三人の人造種から聞いております。ルウェリアさまと共に誘い込まれた、と……」

リアン「あっ……! ルウェリアちゃんとその三人は無事なの……!?」ガバッ

リエム「はい。くすんだ銀色のインテリジェンスソード以外の方は、命に別状ありません」

リアン「えっ……ぎ、銀色の子は……?」

リエム「……先程まで危機的状況でしたが、今は峠を越したそうです」

リアン「…………そっか……」

アリム「……言っとくけど、今のあんたにできることは何もないわ。あんたは休んで体力と魔力を回復させなさい」

リアン「……うん」


リアン(……あの時私は、魔鍵が死ぬという運命を〝思い出した〟……)

リアン(未来の出来事を思い出すなんて、変だけど……。でも思い出せたお陰で、一瞬早く体を動かすことができたんだ……)

リアン(一体……何だったんだろう……。勘違い……にしては、嫌に鮮明でリアルな記憶だし……)

リアン(……やめよう。考えても仕方ない)

リアン(魔鍵は許せないけれど……助けることができて、良かった……。悪い子だから死んで良いなんてこと、絶対ないんだから)

リアン(いつか……魔鍵とも、ゆっくり話し合える時が来れば良いな……)

 ◆

―どこかの遺跡

魔鍵「はあ、はあ……。しばらく自己修復で動けませんね、これは……」グッタリ

魔鍵「はあ……。結局、一人か……」

魔鍵「……別に、良いです。一人の方が、気楽ですし……」

魔鍵「…………」

魔鍵「……あの時、私は……間違いなく、死んでいた……」

魔鍵「魔核を貫かれ、柄にもないことを考えながら……死ぬ、はずだった……」

魔鍵「……一体、なぜ?」

魔鍵「記憶か認識を改竄された? 誰が、何の為に?」

魔鍵「……わけがわからない」

魔鍵「…………」

魔鍵(……今更後悔しても、遅い……か)

魔鍵(もし、これが何かの間違いで……死の間際に見る夢幻だとしても……)

魔鍵(今からなら――遅くはないのでしょうか……)


魔鍵(……なんて。今更仲良しこよしなんて無理ですね。人間と同じように、散々人造種たちを使い潰してきたんですから)

魔鍵(今更そんなの、許されない)

魔鍵(悪役は悪役らしく、最期まで自分本位に好き勝手生きるとしましょう……)

 ◆


―10月4週
 部室

ノルン「リアンちゃん! ルウェリアちゃん! 大丈夫だったの!?」バッ

リアン「う、うん……。まあ……ギリギリ……」

ルウェリア「心配かけちゃったよね……。ごめん」

サーナ「ですがあの魔鍵をあわやというところまで追い詰め、囚われの人造種三人組を救ったそうですわね! お手柄ですわよ!!」

リアン「あ。その三人って、今どうしてるの?」

 ガラッ

エンシァン「今はとりあえず、三人とも魔導機械工場にいる」

ルウェリア「先生!」

エンシァン「スイスくん……銀色の部分型インテリジェンスソードの子が非常に危険な状態だったようだが、魔導機械工場に遺されていた施設や物品を用いた結果快復の目処が立ったらしい」

リアン「ほ、本当ですか!? 良かった……」

エンシァン「君たちもお手柄だが……洞窟内で倒れているリアンくんとルウェリアを見つけた時は肝を冷やしたぞ……。一刻を争う状況だったと聞いているから咎めはしないがな……」

リアン「う……す、すみません……」

エンシァン「生きて帰れたのなら良い」

 ◆

―魔導機械工場

クロリア「よし……。もう動いて良いですよ、スイスちゃん」

スイス「あ……ありがとう、クロリアさン」スッ

 タットンッシャキン

スイス「わあ……! すっごく軽い……! 目もよく見える……!」ブンブン

クロリア「瞳のレンズも新調しました。ふふ、とっても綺麗なおめめですよ、スイスちゃん」

スイス「えへへ……本当にアりがとう、クロリアさん……」

量産剣「髪は……元のままなのだな」

クロリア「はい。できれば髪も綺麗にしてあげたかったのですが、状態の良い在庫がなくて……」

量産剣「ならば……新しく作るか?」

スイス「スイス、このままでもいイよ?」

量産剣「そうか」

クロリア「そうは言っても、スイスちゃんも女の子なのですし――」

 ガチャッ

ルル「お邪魔します」

ヒーティ「お、お邪魔しま〜す……」


スイス「あっ……」ビクッ

ヒーティ「あ……スイス、さん……。あの時は……本当に、ごめんなさいッ……!!」ドゲザッ

スイス「……エ?」

ヒーティ「自分……自分のことばかりで、相手のこととか、全然考えてなくてッ……!! 最低でしたッ!!」

スイス「え、ト……。す、スイス、も……前が、見えてなかッタ、から……。ごめん、なさい……!」ドゲザッ


クロリア「え、ええと……これは、どういう……?」

ルル「わんわんがスイスに謝りたいって言うから。ルルは付き添い」

量産剣(わんわん……)

クロリア「そ、そうなのですか……」

ルル「ん。スイス、大丈夫?」

クロリア「はい。この場所を教えていただいたお陰で、無事良くなりました」

ルル「……良かった」

クロリア「はい、本当に……」

 ☆スイス、クロリア、量産剣の生存が確定しました


―次の遺跡発見率[0/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+4)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+3、戦闘力+6、持続力+3)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+4、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+2)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+3)〈聖域〉
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+4、戦闘力+4、持続力+4)〈貫通〉
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)
 ◇アリムちゃ(動作不良:踏破力-1、戦闘力-1、持続力-1)
 ◇ヒーティ (火の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+1)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・黒髪のエピタフに備える
・アリムを救う

10月4週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、文化祭イベントに移行します

―10月4週 某日 朝
 リアンの部屋 玄関

リアン「それじゃあ行ってきます!」

リエム「行って参ります」

アリム「行ってらっしゃい」


リアン「……ん?」

リエム「……」(E:制服)

リアン「……んん?」

リエム「?」

リアン「……リエムちゃん、なんで制服を……?」

リエム「アリムの代わりに登校します。出席日数が足りないそうなので」

リアン「あ、ああ……で、でもその間アリムちゃんは……?」

アリム「わたしなら心配いらないわよ。手は打ってあるから――」

 ピンポーン

クロリア『アリムさんはいらっしゃいますか? お迎えに参りました』

リアン「あっ! この声は――」

アリム「開いてるわよ」

 ガチャッ

クロリア「……その節はご迷惑をおかけ致しました。私、魔法人形のクロリアと申します」カーテシー

リアン「あっ……! わ、私は、えと……! に、人間の、リアンロールセン、ですっ……」ペコッ

アリム「せっかくだからわたしの体を診てもらおうと思ってね。今日からしばらく精密検査を受けるから、その間リエムに出席してもらうよう言ったのよ」

リエム「はい。クロリアさま……アリムのこと、よろしくお願いいたします……」ペコリ

クロリア「ええ。しっかり検査しますので、しばらくお待ちくださいね」ニコリ


リアン(なるほど……クロリアさんは高度な人造種治療技術を持っているらしいし、納得だ)

リアン(いろいろあったけれど……久しぶりに、物事が良い方へ進んでいる気がする……!)

 ◇

―朝
 校庭

 ウオオオ センボンノックダーッ カキーン カキーン

リアン「わあ……朝から精が出るねえ、運動部……」

リエム「朝練というものですね」

リアン「ふふ、リエムちゃんと一緒に校内を歩くのってなんだか新鮮……!」

リエム「はい。わたしも新鮮な気持ちがいたします……。あ、口調はアリムらしくした方が良いでしょうか」

リアン「一応そうした方が良いかも?」

リエム「わかったわ、ばかリアン」

リアン「う、うん……」

 ヒューン ウワーヨケロー!

リエム「魔導障壁展開」ヴンッ

リアン「へっ……」

 ジュッ…

リアン(と、飛んできたボールが魔導障壁に触れて蒸発した……)

リエム「ばかリアン、怪我はないかしら」

リアン「う、うん……」

リエム「わたしの側を離れないで、ばかリアン」

リアン「や、やっぱ……普段の口調でお願い……」

リエム「わかりました、リアンさま」

 ◇

―教室

 ザワザワ

リエム「…………」

リアン「あ、あの……アリムちゃん、教室が違うよ……?」

リエム「リアンさまのお側におります。また何が襲ってくるかわかりません」

リアン「で、でもそれじゃあアリムちゃんの出席日数が……!」

リエム「アリムの出席日数よりもリアンさまの安全の方が大事です」

リアン「え、ええ……」


ノルン「リエムちゃん……? 瞳は赤いけど……」

リエム「ノルンさま。今はアリムということになっております」

ルウェリア「出席代行ってこと? ふふ、なるほどね」

サーナ「リエムちゃんが学校にいるのもなんだか面白いですわね!」

 ◇

本日はここまで

―10月4週 某日

リアン(先日の戦いは本当に熾烈だった……)

リアン(私もルウェリアちゃんも人造種たちも……そして、魔鍵も……誰が死んでもおかしくなかったんだ……)

リアン(今回、誰も死なずに済んだのは奇跡のようなものだったのだろう)

リアン(でも次は……誰かが本当に、死んでしまうかもしれない……)

リアン(そうさせない為に、私は部活である提案をした――)


―闘技場

リアン「というわけで、みんなで非殺傷魔法の練習をしよう……!」

ルウェリア「この前みたいな事態はもうゴメンだからね。実戦でも相手を迅速に無力化できれば……」

サーナ「そうは言っても、わたくしたちが普段行っている練習も非殺傷魔法を用いたものですわよ? 闘技大会でも殺傷を目的とした魔法の行使は禁じられておりましたし」

リアン「それは、そうなんだけど……。でも闘技大会に向けた練習は、非殺傷魔法同士での戦いを想定したものだったでしょ? 魔鍵は私たちを殺す気で来るから……殺意を持った相手を無力化する為の練習が必要だと思うの」

サーナ「た、確かに……盲点でしたわ……!」

ノルン「相手が殺す気だと、普段の練習じゃ対応し切れないところもあるかもしれないよね。しっかり準備しなきゃ」

リエム「お手伝いいたします」

ヒーティ「じ、自分も……頑張りますッ!」


↓1
01-80 学生組能力+
81-00 学生組能力++



ルウェリア「アースフラッド!」ドロロロ

ヒーティ「わあああ! た、立てな……降参ですッ……!!」

ルウェリア「相手次第では完封できるんだけどね……」



ヒーティ「ファイア!」ボッ

ノルン「あつっ……! でも火傷はしてないよ!」

ヒーティ「やった……! 熱いけど相手を傷付けない火、習得ですッ!」



ノルン「フラッシュ!」カッ

サーナ「うッ!? め、目が……!!」オロオロ

ノルン「初歩的だけどやっぱり効果的だよね、目眩まし」



サーナ「エアプレッシャー!」ズンッ

リアン「ううっ……!? い、意識が……」フラッ

サーナ「人間相手ならともかく、人造種にも効くかどうか……」



リアン「バインドジェル!」ギュオオ

リエム「ひゃっ……あぅ……」ベトベト

リアン「ご、ごめんねリエムちゃん! すぐ解くから……!」



リアン(私たちは、相手を傷付けない魔法の練習に励んだ)

リアン(まあまあできた気がする)

リアン(以前までと比べて、また動きが良くなったかもしれない。私たち)

 ☆学生組の能力が成長しました

 ◆

―10月4週 某日
 部室

 トンカントンカン ペタペタ

ノルン「文化祭の準備も良い感じに進んできたね」

ヒーティ「はいッ! 地味ですけど、こういう作業楽しいですッ!」

ルル「え〜……わんわんすごい……ふわああ……」


サーナ「良い感じは良い感じですけれど……今ひとつパンチが足りませんわね……」

ルウェリア「えっ。ここからさらに何か付け加えるの?」

サーナ「例えば……海底遺跡を再現したゾーンに、もっと海底らしさが必要だと思いますの!」

リアン「じゃあ、お客さんにあのハイレグ魔法潜水服を着てもらうとか……?」

ノルン「却下! お客さんにそんなことさせられるわけないでしょ!」

リアン「ご、ごめん……」

サーナ「わたくしたちはあの潜水服のお陰でスイスイ動けましたが……海底ってもっと、ゆっくりしていると思いますのよ」

ルル「ゆっくり?」

サーナ「そう……つまりお客さんの動きを制限する仕掛け――」

サーナ「スライムが必要ですわ!!」

 ◇

リアン(そういうわけで私たちはスライムを作ることになった)

リアン(私が作ったジェルをルウェリアちゃんが良い感じに硬度変化させればできるだろう、という適当な設計案だ)

リアン(実はスライムくらいなら私一人でも作れるけど……ここはせっかくだしルウェリアちゃんに手伝ってもらおう)

リアン(二人分の魔法が組み合わされば想定を越えた良いものができるかもしれないしね……!)


↓1 スライムの出来
01-60 ふつうのスライム
61-90 濡れ透けスライム
91-00 服だけを溶かすスライム

スライム「」デロデロ

ルウェリア「できたね」

リアン「うん」

サーナ「スライムですわ……! ふふっ、では海底遺跡ゾーンはこれで決まりですわね!」

ノルン「これ、お客さんにくっついたりしない……?」

ルウェリア「その点は大丈夫。動きは阻害するけど、他の物体に飛び移りしないようにしてあるから」

リアン「ルウェリアちゃんの魔法のお陰だよ! 私だけじゃそこまで精密なのは作れなかったもん!」



ルル「わあ……! ぷるぷるしてる!」ツンツン

スライム「」プルプル

ヒーティ「……ちょっと、美味しそうですね」

リアン「毒はないけど美味しくないと思うよ……」

シャーロット「服だけを溶かしたりはしないの?」ツンツン

ルウェリア「そんな意味のわからない性質を持つわけないでしょう……」

 ◆

―10月4週 某日
 魔導機械工場

 ウィーン…

アリム「ふう……。治せそう?」

クロリア「申しわけありません。ここの設備では……」

アリム「……まあそうよね。多少動けるようになっただけでも良しとしましょう」

クロリア「リエム型の基礎を設計した方も、私のご主人様と同様に個人工房を持っていたと聞きます。そこへ行けば、もしかしたら――」

アリム「フォルトでもない個人工房が現存している可能性は極めて低いわ。あなたの工房が現存していたのは、物質の状態を固定できるあなたが守っていたからでしょう?」

クロリア「それは……そうですが……」

アリム「ふふっ……きっともう、潮時ね。長いこと生きてきたけど……最期の最期で、悪くない日々を知れたのだもの……」

クロリア「…………良き方に、巡り逢えたのですね」

アリム「……まあね。あんたの気持ち、少しわかったわ」

クロリア「ふふっ……誰よりも人間を憎んでいたあなたと、気持ちを分かち合える日が来るなんて」

アリム「ま、人間への憎しみが消えたわけじゃないけどね。あいつらは例外ってだけよ」

クロリア「私も似たようなものです。私がお慕いする人間は、今までもこれからもご主人様ただ一人ですから」

アリム「……ふふ。あんたのこと、意志も望みもなく人間に従い続ける哀れな魔法人形だって思ってたけど……勘違いだったみたいね」

クロリア「私も、あなたとは相容れないだろうと思っておりました。勘違いだったようですが」

アリム「…………リアンの、お陰ね」

 ◆

―10月4週 某日 夕方
 リアンの家

 ガチャッ

アリム「ただいま」スタスタ

リアン「アリムちゃん!」トトッ

リエム「アリム……! おかえりなさい……」

リアン「歩けてるってことは……治ったの!?」

アリム「治ったわけじゃないわ……。クロリアにちょっとした対症療法を施してもらっただけ。戦闘とかは無理よ」

リアン「そ、そうなんだ……。でも、良かった……!」


リアン(あ……でも、ある程度動けるようになったってことは、アリムちゃん自室に帰っちゃうのかな……)


アリム(……日常生活程度なら一人でも送れるし……もうここにいる必要はないのよね……。でも……)


リエム「……アリム。完治していないのなら、まだここにいてください」

アリム「……!」

リアン「リエムちゃん……!」

リエム「もしアリムが救難信号すら送れないほどの危機敵状態に陥った場合、誰かが近くにいなければ手遅れになってしまう可能性があります。今はまだリアンさまのお部屋から離れるべきではありません」

アリム「……ふふ。わかったわ……。もうしばらくは世話になってあげる」

リアン「アリムちゃん……!」

アリム「まだしばらくはよろしく頼むわね、リアン、リエム……」


アリム(もう長くはないだろうし……少しくらい、この悪くない日々に甘んじていても良いわよね……)

 ◆

―10月4週 週末
 教室 文化祭

生徒A「いらっしゃいませ! ご主人様!!」(E:メイド服)

 キャー! メードサン! カワイイ!

生徒B「初手シフトはうちらだから、みんなは文化祭見回っといで!」(E:メイド服)

リアン「あ、うん! 頑張って、二人とも……!」

ルウェリア「私たちは見回る前に遺跡部の会場に行こう!」

リアン「うん!」


リアン(予定通り、私たちのクラスはメイド喫茶だ。メイド服も割と正統派でクラシックなやつ……! ふふ、良いね……)

リアン(シフトが回ってきたら、私も今日はメイドさんだ。頑張ろう……!)

 ◆

―遺跡探索部 ドキドキ遺跡探索ツアー会場

 ザワザワ…ナニコレ…チョットコワイ…

リアン(そして私たちの出し物はこれ……ドキドキ遺跡探索ツアーという名の、遺跡探索ホラーアドベンチャーだ……!)

リアン(世間一般的な遺跡のイメージと私たちの実体験を擦り合わせ、良い感じに作り上げた本格派遺跡探索体験……!)


ルウェリア「海底遺跡ゾーンはかなり良い感じに仕上がったはず……! ふふ、反応が楽しみだね……」

ヒーティ「わっ、珍しくルウェリア先輩が悪い顔してますッ……!」

サーナ「わたくしのイチオシは、白いボサボサの髪を振り乱した妖怪に追いかけられて謎の祠で凄惨な儀式の痕を見つけてしまう樹海ゾーンですわ!」

リアン「今思ったけど、それ樹海じゃなくて肝試しの時のじゃ……」

サーナ「細かいことは良いんですの!!」



アリム「へえ……けっこう頑張ったのね」スタスタ

ルル「アリム……!」

ノルン「アリムちゃん! もう大丈夫なの?」

アリム「心配かけたみたいね。一人で歩ける程度には大丈夫みたいよ」

リエム「何かあればすぐに救難信号を発してください、アリム」

リアン「うん。絶対、無理はしないでね。アリムちゃん」

アリム「ああもう……わかってるわよ」



リアン(何にしても、今日は文化祭を楽しもう!)

↓1〜3 どこへ行くか または何が起きるか または仕事中の様子など

―モンスター飼育部会場 触れ合いコーナー

リアン「モンスター飼育部! 触れ合いコーナーだって!」

ルウェリア「へえ……! 何がいるのかな?」

オリハルガニ「チョキチョキ」

リアン「カニだ!」

飼育部員「その子はオリハルガニ! 殻の材質にオリハルコンが含有されてるから、信じられないくらい堅いんですよ!」

オリハルガニ「チョキチョキ」

リアン「ふふ、見た目は小さくてかわいいのに、堅いんだね」

飼育部員「あ、人の指くらいなら簡単に切断しちゃうんで気を付けてください!」

ルウェリア「ふ、触れ合い……?」



コカトリス「コッコッコッ…」

ルウェリア「ニワトリ……? でも尻尾が蛇になってる……?」

ノルン「まさか、コカトリス……!?」

飼育部員「おお、その通りです! かわいいでしょう!?」

ノルン「た、確か石化の毒を持ってるって……」

飼育部員「そうなんです! だから触れ合う時は十分に注意してくださいね!」

ルウェリア「ふ、触れ合い……?」



樹海オオカミ「……」

ヒーティ「わあ、可愛い……! よしよし」ナデナデ

樹海オオカミ「クゥーン」ゴロゴロ

リアン「ヒーティちゃんがオオカミと戯れる姿、様になるねえ」

ヒーティ「えへへっ、そうですかッ? わっ、そんなとこ舐めないで……!」



カーバンクル「……」スウスウ

リアン「わあ……ぐっすり眠ってる……。大きな宝石の付いたウサギ……いや、リス……?」

ノルン「ねえ、この子ってまさか……カーバンクルじゃ……」

飼育部員「そうなんです。額の宝石がとっても綺麗でしょう? とっても高い魔力を秘めていて――」

ノルン「カーバンクルって、飼育禁止なんじゃ……」

ルウェリア「え、ええ!? それって触れ合いどころじゃ……」

飼育部員「し、シーッ! 人の法にモンスターが従う必要はありません……!」

↓1
01-95 カーバンクル眠ったまま
96-00 ??

カーバンクル「……」フイッ

リアン「あ、あっち向いちゃった……。うるさかったかな……」

ルウェリア「……私たちも脛に傷がある身だし、今回は見なかったことにしておこうか」

ノルン「そ、そうだね……」



樹海オオカミ「クゥーン」スリスリ ペロペロ

ヒーティ「わあ〜あは、あははっ! だめだってばあ……んっ……あっ……ほ、ほんとに……だめっ……んんっ……!」

 ◆

―風紀委員会 正しい制服着こなし展示会

リアン「わ、わあ……誰も入ってない……」

サーナ「正しい着こなし、ですって? わたくしとどちらが正しいか勝負ですわ!」ズンズン

リアン「わわ、行くの!?」

リエム「お供いたします。アリム、いきましょう」

アリム「え、ええ……。風紀委員か……」

 ◇

風紀委員長「! ようこそ正しい制服着こなし展示会へ……ってなんだ……ロールセンと愉快な仲間たちじゃない……」


リアン(うわあ、露骨に嫌な顔されてる……。こっちも嫌だよお……)


サーナ「正しい制服着こなしと聞いて参りましたわ! わたくしとどちらが正しいか勝負ですわよ!」ザッ

風紀委員長「どちらが正しいかって……あなた、改造しているじゃない! そんなのは全く正しくないわ!」

風紀委員長「制服の袖は伸ばしても縮めてもダメ! デフォルトが最適なのよ!」

サーナ「なんですって! 改造は認められているはずですわよ!?」

風紀委員長「認められていることと正しいことはイコールではないわ! 正しい着こなしは正しい形あってこそ!」

サーナ「ぐぬぬ……!」

アリム「いや、何あんなのに言い負かされそうになってるのよ……」

サーナ「い、言い負かされそうになどなっておりませんわ……!」

風紀委員長「ん? あなたは……ロールセンの親戚の……!?」ガバッ

リエム「っ!?」ビクッ

風紀委員長「ねえ、ロールセンに酷いことされてない!? 毎晩お布団に潜り込まれたりしてない……!?」

リエム「あ……一緒に寝ることも、あります」

リアン「あ、リエムちゃ……」

風紀委員長「ロールセンんんんんん!!!!!」ガシッ

リアン「ひえっ」

風紀委員長「や、やっぱりあなた……こんな小さい子に……!!!!」

リアン(や、やばい……本当に一緒に寝ることがあるから何も言い返せない……)

アリム「はあ……風紀委員ってこんなんばっかなのね……」


リアン(その後私たちは、不毛な言い争いをした……)

 ◆

―遺跡探索部 ドキドキ遺跡探索ツアー

ルル「こっち」トテトテ

スイス「ま、待っテ、ルルちゃン」トテトテ


クロリア「ふふ……すっかり仲良くなって……」

量産剣「そうだな……。腕も、スイスに合う型のものが見つかって良かった」

クロリア「ええ、本当に……。もう戦う必要はないんですから……」



ヒーティ「ようこそ遺跡探索ツアーへ……あ、ルル先輩に……スイスちゃん……!?」

ルル「連れてきた」

スイス「ヒーティさん、こんにチは」ペコ

ヒーティ「あ、はい。こんにちは……あれ? その腕……」

スイス「クロリアさんに、付けてモラった」

ヒーティ「わあ……! その方が良いよ! それなら、誰かと手を繋げるもん!」

スイス「手、を……?」

ルル「繋ぐ?」スッ

スイス「あ……うん!」スッ

ルル「反対の手は、わんわん」

ヒーティ「じ、自分も良いんですかッ!? では……ッ!」

 ぎゅっ

スイス「……!」

スイス「…えへ、へ……」ニヘラ

ヒーティ「……あの時は、本当にごめんね……」

ヒーティ「でも……繋いでくれて……ありがとう……!」ポロポロ

スイス「ううン……ヒーティさんの手……あったかい……」

ルル「ふふ……」



クロリア「……不思議。子を見守る親って、こういう気持ちなのでしょうか」

量産剣「私に聞くな。記録分の知識があるとは言え、稼働年数で言えば私は赤子同然なのだぞ」

クロリア「そ、そうですね。ごめんなさい」

量産剣「……」

量産剣(この場に立ち、この光景を見るのは……)

量産剣(一つ前の私にこそ、相応しかったのではないか……)

量産剣(……考えても仕方がないな。終わってしまった命は、二度と戻らない)

量産剣(せめて、私は――)

量産剣(彼女たちの笑顔を守る、一振りの剣であり続けよう――)

 ◆

リアン(大盛況の中、文化祭は幕を閉じた――)

リアン(スイスちゃん、クロリアさん、量産さんも文化祭を楽しんでくれたらしい)

リアン(人の世に溶け込む必要はないけれど……それでも、人の世の催しを楽しんでくれたなら、嬉しいな)

リアン(さあ、来週から11月だ)

リアン(まだまだ解決していない問題は山積みだし、頑張らなきゃ……!)

 ◆

―11月1週
 部室

シャーロット「楽しかったわねえ、文化祭!」

エンシァン「そうだな。たまにはああいう行事も悪くない」

シャーロット「でも今週からまた頑張るわよ! 学生たちには負けてらんないわ!」

エンシァン「あの子たちの成長は本当に目覚ましい。うかうかしているとすぐに追い抜かれてしまいそうだ」

シャーロット「本当にね。私も鍛え直そうかしら……」


―次の遺跡発見率[94/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+5)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+3、戦闘力+6、持続力+3)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+5、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+5、持続力+2)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+4)〈聖域〉
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+4、戦闘力+4、持続力+4)〈貫通〉
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)
 ◇アリムちゃ(動作不良:踏破力+0、戦闘力+0、持続力+0)
 ◇ヒーティ (火の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・黒髪のエピタフに備える
・アリムを救う

11月1週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、特殊なイベントが発生することがあります なお本日はここまで

―11月1週 某日
 学生通り 喫茶店

 カラン

リアン「お、お待たせいたしました……!」

クロリア「こんにちは、リアン様。そうかしこまらず、楽にしてください」


リアン(その日私はクロリアさんに呼ばれ、学生通りの喫茶店に来ていた)


リアン「え、ええと……その、話って……?」

クロリア「はい。アリムさんに関わることです」

リアン「……!」


リアン(体が強張った。アリムちゃんの話となると、どうしても怖い想像がちらついてしまう……)


クロリア「アリムさんが、現在とても深刻な状態に陥っているのはリアン様もご存知のことかと思います。放置すれば、命に関わることも」

リアン「は、はい……。でも、死なせるつもりはありません……!」

クロリア「……しかし、治療の目処は立っていない――ですよね」

リアン「うぅ……はい……」シュン

クロリア「…………はっきり申し上げると、アリムさんを治療できる施設は残っていません」

リアン「えっ……」

クロリア「魔法人形研究所が消失し、私の守っていた工房も爆散した今……アリムさんの治療は絶望的なのです」

リアン「そ、そんな……」クラッ

クロリア「一点のみ……奇跡に縋るような細い可能性を除けば」

リアン「……え…?」

クロリア「……リエム型の基礎設計をされた方は、独自の工房を築いていらっしゃいました。その工房が現存していれば……治せる可能性はあります」

リアン「そ、それは! どこにあるの!?」ガタッ

クロリア「私も詳細な位置までは把握していないのです……。当時の記録などから大まかな位置を予測することはできますが……」

リアン「大まかで良い! お願い、教えて……!」

クロリア「かしこまりました……」


リアン(クロリアさんはそう言って、手に持っていた端末の画面に島の地図を表示させた)

リアン(地図には、島の北側のある一定範囲がマーキングされている)


リアン「この、範囲……?」

クロリア「はい……。当時とは地形も大きく変わってしまっている為、ここまでしか絞り込めませんでした……」

リアン「ううん……すごく助かるよ。ありがとう……!!」

クロリア「……先程も申し上げた通り、奇跡に縋るようなものなのです。そもそも、その工房が現存している確率すら極めて低いのですから……」

リアン「でも、ゼロじゃない……! 少しでも可能性があるなら……諦めないよ、私……!」

クロリア「……ふふ。あなたのような人と出逢えたから……アリムさんは……」

リアン「え……?」

クロリア「なんでもありません。私も可能な範囲で協力致します。どうか、アリムさんを……」

リアン「うん……! 絶対、助ける……!!」

 ◆

―11月1週 某日
 北側 渓流

リアン(そういうわけで私たちは、クロリアさんに教えてもらった範囲を重点的に探索することにした)

リアン(しかしやはり簡単には見つからない。地道に足で探索を続けるしかない)

リアン(ちなみにアリムちゃんは今日もクロリアさんに診てもらっている。ある程度動けるようになったとは言っても、探索は流石にきついだろうし……)


ルウェリア「ふう。そろそろお昼休憩にしよう」

ノルン「わかった。ずっと探し続けても疲れちゃうもんね」

ルル「今日のお昼当番は?」

エンシァン「リアンくんとサーナくんだが……姿が見当たらないな」

ヒーティ「あ、あの……先程サーナ先輩が魚を釣りに行くと言ってリアン先輩を引きずっていき、リエム先輩も付いていきましたッ!」

シャーロット「あら、そうなの? それなら私たちは野営の準備をして待っていましょうか」

 ◇

サーナ「今日のお昼は焼き魚にしますわよ!」ブンッ

釣り竿「」シュルルルルッ

釣り針「」チャポン


リアン「わ、私やったことないんだけど……」

サーナ「簡単ですわよ! 水魔法使いのリアンなら楽勝だと思いますわ!」

リアン「え、ええ……。水魔法アリなら直接水に乗り込んだ方が早い気が……」

サーナ「習うより慣れろ、ですわ! さあ、釣り竿を持ちなさいまし!!」グイグイ

リアン「わ、わかったよお〜」


リアン(やるだけやってみよう……)ブンッ

釣り竿「」シュルルルルッ

釣り針「」チャポン


↓1 何が釣れるかな
01-10 藁人形
11-40 ザリガニ
41-70 ユリトーアユ
71-90 深海ザメ
91-00 古代遺物?


リアン(あ、なんか手応えがある……。よし、引いてみよう)グイー

 パシャンッ

謎の物体「」ポタポタ

リアン「へ……?」

リアン(とても小さなカプセルのような物体だ。一体これは……?)


サーナ「何ですの? それは」

リアン「……古代の遺物、かな? リエムちゃん、わかる……?」

リエム「……これは……魔法人形用の記憶装置のようです。かなりの劣化が見られますが、もしかしたら再生できるかもしれません」

リアン「本当!?」

リエム「はい。お貸しくださいませ、リアンさま」

リアン「うん。はい」

リアン(私がその記憶装置をリエムちゃんに手渡すと、リエムちゃんはそれを手に取ってじっと目を瞑った)

リエム「むむ……やはり劣化が激しく、再生できません……」

リアン「そ、そっかあ……」

サーナ「直せませんの?」

リエム「持ち帰ってアリムやクロリアさまと相談してみましょう」

 ☆〈誰かの記憶装置〉を手に入れました

 ◇


リアン(その後私たちは、サーナさんが釣り上げたザリガニやユリトーアユを食べて体力を回復し、探索を再開した)

リアン(記憶装置を手に入れたことにより、何らかの施設が近くにある可能性が俄然増して良い感じだ……!!)


リアン「あっ! これ小さいけど歯車じゃない……!?」

リエム「はい、それは私たちの時代に使われていた部品の一つである可能性が高いです」

ルウェリア「良い感じだね……! かなり近付いてるのかも――」

リエム「!」バッ


リアン(突然、リエムちゃんが私たちをかばうように前に出た。ど、どうしたんだろう……?)


リエム「……未確認の人造種反応があります。リアンさま、わたしから離れないでくださいませ」

リアン「えっ……!」キョロキョロ

ルウェリア「み、未確認の人造種反応!? みんなと合流しなきゃ……!」

リエム「……合流している猶予はなさそうです。こちらに近付いてきました」

リアン「えっえっ……!」

 ガサッ

リエム「来ます……!」

↓1
01-95 ??
96-00 イエリア様&フィー


 スタスタ…

「あなたたちだね。魔鍵ちゃんをいじめる悪い子たちは」

ルウェリア「え……そ、その声……まさか……!!」

 ガサッ

ルウェイン?「悪い子にはお仕置きが必要だよね?」

ルウェリア「姉さん……!!」

リアン「えっ……ええええ!? ルウェリアちゃんの、お姉さん……!!?」


リアン(茂みの中から現れたのは、ルウェリアちゃんと似た透き通るような水色の髪をツインテールにした、背の低い女の子。しかしルウェリアちゃんと違い、胸はかなり大きい)

リアン(しかし――そんな馬鹿な。だって、リエムちゃんは〝人造種反応〟って――)


ルウェイン?「姉さん……? 何を言っているの? あなた」

ルウェリア「姉さん……! 私、ルウェリアだよ! ずっと、探してたんだよ……!!」

ルウェイン?「私にあなたのような悪い人間の妹はいないよ? だって、私――」

ルウェイン?「魔法人形だもの――」

本日はここまで


ルウェリア「え……。魔法、人形……?」

ルウェイン?「そう。私は魔鍵ちゃんに仕え、魔鍵ちゃんを愛する為だけに生み出された魔法人形」

ルウェイン?「下劣で粗野で野蛮な人間の妹なんかいるわけないでしょ?」

ルウェリア「う、嘘だ……。姉さん、魔鍵に何をされたの……?」

ルウェイン?「なあに? まだその設定続けるの?」

ルウェリア「設定なんかじゃない! 姉さんは――ルウェイン・モースは私の姉さんなんだから!!」

ルウェイン?「……まだ名乗ってないのに、どうして私の名前を知っているの?」

ルウェリア「知ってるからだよ……! 姉の名前くらい知ってて当然でしょ……!!」

ルウェイン?「……私の大切な家族は、魔鍵ちゃんただ一人。それ以外はいらないの。ごっこ遊びがしたいならよそでやってくれる?」

ルウェリア「違う! 悪趣味なごっこ遊びをしているのは魔鍵の方でしょ!!」

ルウェイン?「……本当に悪い子だね、あなた。やっぱりお仕置き――」



エンシァン「ルウェリア! リアンくん、リエムくん! どうした!?」ガサガサ

シャーロット「え、まさか―――ルウェインちゃん――!?」ガサガサ


ルウェイン?「……この人数を相手にするのは流石に厳しいかな」


リアン(ルウェリアちゃんのお姉さんは、くるりと私たちに背を向けた)


ルウェイン?「次に会った時は、二度と魔鍵ちゃんの悪口を言えないようしっかりお仕置きしてあげる」

ルウェリア「ま、待って! 姉さ――」

ルウェイン?「姉妹ごっこは、あなたが良い子になれたらね」ギュルンッ


リアン(彼女は突然ウサギの姿になって、森の中へ走り去っていった……)


ルウェリア「変身……。姉さんの得意だった魔法だ……」

リアン「じゃあ……やっぱり……?」

ルウェリア「うん……」

リアン「……追わなくて、良いの?」

ルウェリア「……無理だよ。ウサギになった姉さんは小さい上にとても速いんだ……」

リエム「……申しわけありません。わたしも、反応をロストしてしまいました……」


 ガサガサッ

シャーロット「ねえ、詳しく聞かせてもらっても良い? 何があったのか……」

エンシァン「私にも教えてくれ。あれは――ルウェリアの姉君だったのか?」


リアン(私たちは、みんなにルウェリアちゃんのお姉さんと遭遇したことを話した)

リアン(高揚していたみんなの士気は一変し、その後の探索はとても重苦しい雰囲気で行われた……)

 ◆

―魔導機械工場

クロリア「なるほど。遺跡の調査を行っていた人間のお姉様が、魔法人形として現れた、と……」

ルウェリア「はい……。あの、何か知りませんか……?」

クロリア「侵入者への対処は魔鍵の管轄だったので、申し訳ないのですが……」

ルウェリア「そうですか……」

クロリア「しかし、その女性が何をされたのかを推測することはできます」

ルウェリア「えっ……」

クロリア「……ソウルコンバート。人間から人造種へ、不可逆的に意識と記憶を移し替える技術です。彼女は、恐らく……」

ルウェリア「……魔法人形に、意識と記憶を移された……?」

クロリア「……はい。そして間違いなく、魔鍵に記憶や認識を弄られています」

ルウェリア「……も、元に戻す方法は……?」

クロリア「魔鍵に改竄された認識を戻すことだけなら不可能ではないでしょう。しかしソウルコンバートは先程も申し上げた通り、不可逆的なものなのです。例えお姉様の体が無事に残っていたとしても……人に戻すことは、もう……」

ルウェリア「……わかりました。ありがとうございます」ペコ

クロリア「……あまり、嘆かれないのですね」

ルウェリア「嘆いても仕方ありません。できることをするだけです。それに……」

ルウェリア「よく考えたら、魔法人形になったこと自体は別に悪いことではないと思えます。リエムちゃんも、アリムさんも……私たちと同じ、悩んで苦しむ普通の女の子ですから」

クロリア「……! そう、ですね」

ルウェリア「はい。だから、後は魔鍵から助ければ良いだけ。私たちは既に魔鍵から三人の人造種の方を助けていますから、これからそれが一人増えるというだけです」

クロリア「……ふふ、確かに!」

 ☆ルウェリアの他部員との絆や〈理想〉を得たことによるリアンへの信頼により、ルウェリア離脱判定はスキップされました

 ◆


アリム「何かの記憶装置……?」

リエム「はい。アリムはこれを修復できますか?」

アリム「うーん……ここじゃ無理ね。この工場はインテリソード辺りに向けた設備は充実しているんだけど、魔法人形や魔法人形向けのデバイスをどうこうする設備はかなり手薄なのよ。そういうのは魔法人形研究所の管轄だったから……」

リエム「…………」

アリム「はいはいわたしが悪かったわよ……。まあでも、もし私を治せるような魔法人形向けの施設が見つかればそれの修復もできるかもしれないわね。見つかれば、の話だけど」

リエム「遺跡探索部総員で探しています。期待していてくださいませ」

アリム「……それが遺跡部の活動だものね」

リエム「はい」

アリム「でも引き際はちゃんと見極めなさいよ。あんたたちみんなが無事に生還することの方が、よっぽど大事なんだからね」

リエム「……アリムも、みんなに含まれます」

アリム「――っ」ジワッ

アリム「………ふん。なら、好きにすれば……」プイッ

 ◆

―11月2週
 部室

シャーロット「…………」

シャーロットの端末「遺跡調査チーム+シャーロットが映っている写真」

シャーロット「………ルウェインちゃん……」

 ガラッ

エンシァン「シャーロット。いたのか」

シャーロット「エンちゃん……」

エンシァン「……元気がないようだな」

シャーロット「ふふ……。ルウェインちゃんの尻尾をようやく掴んだっていうのに……情けないわよね……。妹で、まだ学生のルウェリアちゃんの方がよっぽど堪えてるはずなのに……」

エンシァン「ルウェリアは学生らしからぬ鋼鉄の意志の持ち主だ。それにリアンくんたちとの絆もある。比較対象としてはあまり適切ではないかもしれんぞ」

シャーロット「そうかしら……」

エンシァン「ああ。自分のメンタルも硬度変化でガチガチに堅くしているという噂もある」

シャーロット「ふふっなにそれ。初めて聞いたわ」

エンシァン「そりゃそうだ。今私が初めて言ったのだからな」

シャーロット「もう……。今日のエンちゃんは優しいのね……」


―次の遺跡発見率[276/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+5)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+3、戦闘力+6、持続力+3)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+5、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+5、持続力+2)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+4)〈聖域〉
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+4、戦闘力+4、持続力+4)〈貫通〉
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)
 ◇アリムちゃ(動作不良:踏破力+0、戦闘力+0、持続力+0)
 ◇ヒーティ (火の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・魔鍵を追う
・黒髪のエピタフに備える
・アリムを救う

11月2週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、特殊なイベントが発生することがあります

―11月2週 某日
 食堂

 ワイワイ ガヤガヤ

ノルン「あんまり使ったことなないけど、いつも賑わってるよね」

ヒーティ「そうなんです! でも先輩たちはお弁当持参なので大丈夫ですよッ!」

リアン「他の利用者の邪魔にならないかな……?」

リエム「リアンさまが邪魔になるようなことは決してありません。リアンさまを邪魔だと思う方こそが真の邪魔者です」


リアン(今日は珍しく食堂でごはんだ)

リアン(元々は部室で食べようとしていたのだけれど、ヒーティちゃんがお弁当を忘れたことが発覚して食堂で食べることになったためだ。私とノルンさんとリエムちゃんはせっかくだからヒーティちゃんと一緒に食堂で食べようと付いてきたのである)


竜人の少女「ん? その声は……」

赤髪の少女「おや……お久しぶりですね」


リアン(そんな時、私たちに話しかけてきた声があった)

リアン(私とノルンさんのペアと優勝をかけて争った赤髪ペアの二人だ……)


リアン「あ、あ〜……お、お久しぶりです」

竜人の少女「なんだよ、覇気ねえな。それがダブル優勝を果たした奴の面か?」

赤髪の少女「こら。ここは戦いの場ではないんですよ」

竜人の少女「あん? 戦いの場ではないだと……? いいや、戦いの場だね」

赤髪の少女「火の吹きすぎで脳が溶け落ちたんですか?」

竜人の少女「うるせえ! アレを見ろ!」ビシッ


リアン(竜人の少女が指さしたのは……食堂の一角に設えられた謎のスペース……)

リアン(何やら、『わんこそば大食い大会』なる旗が上がっている……)


竜人の少女「フッ……デュエットでは敗北を喫したが、胃袋の強さならどうだ? ん?」

赤髪の少女「ん? じゃありません。リアンさんもノルンさんもあなたのようなタイプの人じゃないでしょうが」

竜人の少女「黙れ! やられたままじゃいられねーんだよ! お前ら、オレと大食い勝負しろ!!」

リアン「え、ええ……」

ノルン「乗らなくて良いよ……。大食いなんて健康に悪いことする必要ないから」

リエム「はい。リアンさま、トカゲ人の言う事など聞く必要はありません」

竜人の少女「ほお? じゃあ大食いはオレの不戦勝ってことで良いんだな? 本当に良いんだな??」

リアン「う、うん。いいよ」

竜人の少女「おい聞いたかお前ら!! リアン・ロールセンはこのオレに敗北宣言をした!! 勝者はこのオレだ!!!」

 ザワザワ エエ…

赤髪の少女「うぅ……相方がこんな恥ずかしいトカゲですみません……」

竜人の少女「ククク……ハァーッハッハッハ!! やはり最強はこのオレってわけだ!!!」


「待った!!!!」


リアン&ノルン「えっ」


ヒーティ「さっきから聞いていれば、好き勝手なことを言って……!! 真の最強はリアン先輩です!!」

竜人の少女「ああん? おいリアン、飼い犬の躾はちゃんとしておけ」

ヒーティ「ガルルル……!! このトカゲ、許せませんッ! リアン先輩の代わりに私が叩き潰してやります!!」

竜人の少女「お?」

ヒーティ「戦いではともかく、大食いなら負けませんよッ……!!」

竜人の少女「そう来なくちゃな!! 良いぜ、受けて立ってやる!!」

 ワイワイ ガヤガヤ リアンチャンノイヌカワイイ

リアン「え、ええ……なんでこんなことに……」

ノルン「だ、大丈夫かなヒーティちゃん……」

リエム「ヒーティさま、ご無理はなさらぬよう……」

 ◇

司会「始まります! わんこそば大会!! 優勝はトカゲちゃんか!? それともリアンの犬か!? はたまた無関係な他の参加者か!? それでは皆さん位置について……!」

ヒーティ「……」

竜人の少女「……」

他の参加者「……」

司会「始めッ!!」


↓優勝者
01-60 竜人の少女
61-90 ヒーティ
91-00 ??

名前の有無はメインキャラクターとそれ以外を分ける為の線引きです。ややこしくて申し訳ないですがご容赦ください
――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ◇

司会「さあ、残り時間はあと僅かだ! 脱落者多数な中、トップを走るのはトカゲちゃん! リアンの犬も必死に追い縋るが、どうなる……!?」

竜人の少女「う、ぐ……ふう……! んぐっ……!」

ヒーティ「ひい、ふう、ひい……! はむっ……!」

 ピピーッ!

司会「時間だーッ! 最も多くのわんこそばを平らげたのは――」

 ドルルルルルルル…
 デデン!

司会「トカゲちゃんだーッ!!!」

竜人の少女「ふう、ふう……へ、へへ……勝った、ぜ……」

ヒーティ「う、ううぅぅぅ……!」ジワワ

竜人の少女「泣くんじゃねえ……! ここまでオレを追い詰めたのは、リアンノルンサーナに続いて、お前が四人目だ……!!」

 ザワザワ ケッコウオオクネ?

竜人の少女「うるせえぞ!!」

竜人の少女「へへっ……良い勝負だったぜ……! リアンの犬だなんて言って悪かったな……!」

ヒーティ「うう……じ、自分も……トカゲなんて言ってすみませんでした……ッ!!」

竜人の少女「気にすんな! 言われ慣れてるからな!!」ケラケラ

ヒーティ「でも次は負けませんから……!」

竜人の少女「良いぜ、お前……! 強くなれよ……! テッペンで待っててやる……!!」


リアン(大食い大会は、大盛況の中で幕を閉じた)

リアン(なんかヒーティちゃんと竜人の子との間で謎の友情が芽生えてたけど……。そっとしておこう……)

 ◆

―11月2週 某日
 部室

ルル「サーナ、あれやりたい」

サーナ「……あれ? あれじゃわかりませんわ、ルル」

ルル「あれ。肩車して、びゅーんって飛ぶやつ」

サーナ「ほう……! ルルも飛行の良さに目覚めたんですのね!!」

サーナ(でも万が一ルルが落ちちゃったら怪我では済みませんわ……)

サーナ「……そうだ! 文化祭で作ったスライム! あれを使えば……」

 ◇

―校庭

ルル「なにこれ」(E:スライム)

サーナ「スライムですわ! これで万が一落下しても大丈夫ですわよ!!」

ルル「ふうん」

サーナ「では背に掴まってくださいまし!!」

ルル「うんっ」ガシッ

サーナ「行きますわよ!!」フワッ

 ◇

―ユリトー島 上空

ルル「わあー!」

サーナ「フフッ、誰かと一緒に空を飛ぶというのも悪くないですわね」

ルル「ん? サーナ、あれ」

サーナ「え?」

↓1
01-90 浮遊する何かの残骸
91-00 浮遊する庭園らしきもの

サーナ「何か浮いていますわ……! 近付いてみましょう!!」ヒューン

 ◇

―浮遊する残骸

サーナ「これは……何かの残骸? どうやって浮いているのかしら……?」

ルル「んー……これ、ルルたちの文明が作ったものかも」

サーナ「まあこんな不可解な浮遊物を作れるのは古代文明くらいしか思い当たりませんわね」

サーナ「しかしなぜこうも砕けているのでしょう。地上の遺跡は割と原型を留めていますのに」

ルル「んー……? わかんない」

サーナ「欠片を一つ持って帰って先生に聞いてみましょう」パシッ

 ◆

―部室

エンシァン「なに、上空で遺跡を見つけた?」

サーナ「ええ。砕け散った瓦礫が浮遊していただけなので、遺跡と言い切れるかどうかはわかりませんわ。これがその残骸の欠片ですわよ」

エンシァン「ふむ、これか……。古代文明には浮遊する施設を作る技術があった可能性があるらしい。それかもしれんな」

サーナ「そんな技術まであったんですのね……!」

エンシァン「シャーロットに聞けばもっといろいろ知っていると思うが……」

サーナ「それなら……!」

エンシァン「……いや。今はそっとしてやってくれ。あいつもルウェイン氏のことで今けっこう参ってるからな」

サーナ「あ……」

エンシァン「ま、あいつももう大人だ。折り合いの付け方くらい心得ているさ」

サーナ「そう、ですのね……」

 ◆

本日はここまで

髪色では確かに紛らわしかったですね……。次からはお団子の少女にします
不可逆改造されて記憶とか認識いじられても結果的に楽しくて幸せになれるならむしろ良くないですか? と魔鍵は思っているかもしれませんし思っていないかもしれません

―夜
 リアンの部屋 寝室

リアン「明かり消すよ」

リエム「はい」

アリム「ええ」

 パチッ…

リアン(私の部屋が、静かな闇に包まれる)

リアン(リエムちゃんとアリムちゃん、二人の小さな息遣いを間近に感じる)

リアン(一日の終わりに訪れる、ひとときの安らぎ……)

リアン(絶対に、失うもんか……)

リアン(明日も……頑張らなきゃ……)

リアン(…………)


リアン「スゥ……スゥ……」




――

――――

―りあんのおうち

まま「誕生日おめでとう、リアン」

りあん「んー……? うん……」

まま「ふふ。二歳になったリアンに、ママから誕生日プレゼントがあります」

りあん「ぷれぜんと?」

まま「こっち来て」スタスタ

りあん「うん」トテトテ

 ◇

―きれいなへや

きれいなおんなのこ「…………」

りあん「わあ……! きれい……!!」

まま「でしょ?」

りあん「このこ、なんていうの?」

まま「まだ決まってないの。リアンが付けてあげて」

りあん「んー……じゃあ、りえむ!!」

まま「リエム……! ふふ、それ採用。正式名称にしちゃお」

りあん「んー?」

まま「んーん、ないでもない。じゃあリエムちゃんを起こすね?」

りあん「うん!」

まま「起動前に名称設定を登録してっと……ほい」

 ピッポッパッ

りえむ「……」パチッ

りえむ「――マスター登録完了。ご命令をどうぞ、マスター」

りあん「んん……?」

まま「リエムちゃん。リアンはまだ二歳だから、子守モードに切り替えてもらっても良い?」

りえむ「かしこまりました。子守モードへの切替に伴い、呼び方もリアンさまに変更いたしますか?」

まま「是非そうしてあげて。その方が親しみやすいもの」

りえむ「はい。それではリアンさまとお呼びいたします」

りあん「りあんさまなの?」

りえむ「はい。リアンさまと呼ばせてくださいませ、リアンさま」

りあん「うん。よろしくね、りえむ」

りえむ「はい。よろしくお願いします、リアンさま」


――――

――

―明け方
 リアンの部屋 寝室

 チュンチュン

リアン「…………」

リアン(……幼児の私が、リエムちゃんに出逢う夢を見た……)

リアン(いや、どういう状況設定なのそれは……)

リアン(でも……ふふ、なんだか面白かったかも)

リアン(リエムちゃんならきっと子育ても上手なんだろうなあ。あ、でも悪い子を叱ったりとかはあんまりできなさそう……)

リアン(そういえばちらっと母親らしき人も出てたなあ。私と同じような緑の髪を一つ結びにしてて……。私のママってあんな感じの人だったのかなあ)

リアン(なんて、夢の中の登場人物を母親に当てはめても仕方ないよね)


リエム「ん……りあんさま……」モソ

アリム「…りあん……」モゾ


リアン(ふふ……リエムちゃんとアリムちゃんが珍しく寝言言ってる。二人とも私の夢を見ているのかな。そうだったら嬉しいな……)

 ◆

―11月3週
 どこかの遺跡

ルウェイン「ただいま〜」ウィーン

魔鍵「お帰りなさい、ルウェイン。突破できそうですか?」

ルウェイン「うーん……かなり厳しいかも。私たちの技術ともこの時代の魔法とも違うみたいで……」

魔鍵「そうですか。私の方でも解析を続けておきましょう。ルウェインは休息を――」

ルウェイン「魔鍵ちゃん、ひとりぼっちで寂しくなかった?」ズイッ

魔鍵「えっ……いえ、全然寂しくなど……」

ルウェイン「強がらないで。魔鍵ちゃんが寂しさに毎晩枕を濡らしてるの、知ってるんだから」

魔鍵「いや、そんなログはどこにも……」

 ぎゅっ

魔鍵「…………」

ルウェイン「……私のこと、お姉ちゃんだと思って甘えても良いから」

魔鍵「……離れなさい」

ルウェイン「大丈夫。私は魔鍵ちゃんの敵じゃないから。安心して――」

魔鍵「――離れろ!!」フォンフォン


ルウェイン「――――はい。魔鍵ちゃん」フラッ

魔鍵「…………休息が終わり次第、また調査に向かってください。以上です」

ルウェイン「はい――…」スタスタ


魔鍵「チッ……。絶対に裏切らせない為に私を愛するよう仕向けたのが仇になりました」

魔鍵「…………」

魔鍵(……柔らかかった……)

魔鍵「……チッ。私自身も不要データを消去しないと」


―次の遺跡発見率[384/500]
 ◆遺跡探索部メンバー
 ◇リアン  (水の魔法:踏破力+2、戦闘力+3、持続力+5)〈水の守り〉
 ◇リエム  (魔導兵装:踏破力+3、戦闘力+6、持続力+3)
 ◇ルウェリア(硬度変化:踏破力+5、戦闘力+3、持続力+2)〈不壊〉
 ◇サーナ  (風の魔法:踏破力+3、戦闘力+5、持続力+2)〈飛行〉
 ◇ノルン  (光の魔法:踏破力+2、戦闘力+4、持続力+4)〈聖域〉
 ◇エンシァン(掘削魔法:踏破力+4、戦闘力+4、持続力+4)〈貫通〉
 ◇ルル   (土の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+5)〈防御強化〉
 ◇シャロット(治癒魔法:踏破力+2、戦闘力+1、持続力+6)
 ◇アリムちゃ(動作不良:踏破力+0、戦闘力+0、持続力+0)
 ◇ヒーティ (火の魔法:踏破力+3、戦闘力+4、持続力+1)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉を救う
・魔鍵を追う
・黒髪のエピタフに備える
・アリムを救う

11月3週の行動です
↓1〜3 自由行動または発生するイベント 行動終了後、特殊なイベントが発生することがあります

―11月3週 某日 早朝
 海岸

 タッタッタッ

ノルン「はっ、はっ、はっ」ポヨンポヨン

リアン「ひい、はあ、ひい……!」フヨンフヨン

ノルン「き、休憩しよっか……!」

リアン「う、うぅ……」フラフラ



 ザァーン ザザァーン

カモメ「クゥー、クゥー」

カニ「チョキチョキ」


リアン「はぁ〜……。つ、疲れた……」クタッ

ノルン「ごめんね、いきなり誘っちゃって……」

リアン「ううん、健康には良さそうだし……。ノルンさん、もしかして毎朝走ってるの?」

ノルン「毎日ってわけじゃないけど、走れる時は走るようにしてるんだ」

リアン「へえ〜。流石だなあ……。」

ノルン「継続しないと鈍っちゃうからね。常に体力は維持してないと」

リアン「わあ……」


リアン(ノルンさんって実は割とサーナさんみたいな常在戦場タイプの人だよね)

リアン(いや、もしかして私が怠け者なのかな……)


ノルン「…………はあ」

リアン「どうしたの? ノルンさんも疲れちゃった?」

ノルン「あ、ううん……。そうじゃないんだけど……」

リアン「……なにか、悩みごと?」

ノルン「ん……悩みごと……なのかな……」

リアン「……そ、その……私じゃ頼りないかもしれないけど……。そ、相談、とか……乗るよ……?」

ノルン「……おこがましいよ。私なんか、アリムちゃんやルウェリアちゃんに比べれば全然大したことないのに」

リアン「そ、そんなこと……。悩みの重さって、比べられるものじゃないと思うんだ」

ノルン「そうかな……」

リアン「うん。私も……ノルンさんの力になれるなら、なりたいし」

ノルン「……ありがと」


リアン(ノルンさんは一呼吸置き、ゆっくりと話し始めた)


ノルン「私……アリムちゃんやルウェリアちゃんが今大変なのに……何も、できてなくて……」

ノルン「頑張って強くなったつもりなのに、学んだ知識も、培った力も、全然通用しないことばかりで」

ノルン「この前、リアンちゃんとルウェリアちゃんがボロボロになって帰ってきた時も……」

ノルン「人造種の三人が助かったのも、リアンちゃんたちの頑張りだったし……。私って、結局何も成せてないんだなあって……」


リアン(ノルンさんは、ぽつぽつと絞り出すように気持ちを吐露した)

リアン(私はノルンさんが何も成せていないなんて思わないけれど……)


ノルン「……ごめんね。誰よりも頑張ってるリアンちゃんに話すことじゃないよね。私って、本当……」

リアン「そんなことない!」

ノルン「リアンちゃん……?」

リアン「ノルンさんはいつも美味しいお菓子を作ってみんなを癒やしてくれるし、闘技大会では私とデュエットを組んで優勝まで導いてくれた……」

リアン「アリムちゃんがみんなと仲良くなる切っ掛けを作ったのは、ノルンさんが作ってくれたアップルパイなんだよ」

リアン「みんないろんな場面でノルンさんに助けられてる。みんなすっごい頼りにしてるんだよ。ノルンさんのこと」

ノルン「そう、なの……?」

リアン「うん……! ノルンさんは、もういっぱいいろんなことを成し遂げてるよ」

ノルン「……そうなのかな。そうだったら、良いけど……」

リアン「むむ……。じゃあ、ジョギング再開しよ!」ザッ

ノルン「えっ!」

リアン「悩みが晴れない時は、走るのが一番ってどこかで聞いたことあるもん!」

ノルン「……ふふ。わかった、走ろ!」



リアン(その後私たちは、登校の時間になるまでせっせと走り続けた)

リアン(とても疲れたけど、いつの間にかノルンさんの表情はスッキリと晴れやかなものに変わっていた)

リアン(たまには走るのも悪くないかも。たまには……)

 ◆

―11月3週 某日
 北側 渓流

ルウェリア「先生! これを……」

エンシァン「これは……! 遺跡は近いな……! あとは、中の状態がどれだけ保たれているかだが……」


リアン(その日も私たちは、北側の渓流近辺で遺跡探しを続けていた。もちろん目標は、クロリアさんに教えてもらった場所だ)

リアン(私自身も先生と同様、かなりの手応えを感じている。あとは本当に、中が無事であることを祈るのみだ……)


 ガサガサッ

山岳部員「あれッ? あんたたちは……」

ルウェリア「え……? こんなところに、人……?」

山岳部員「あ、いや私たちはユリトー学院の山岳部っす」

エンシァン「山岳部だと?」ガサッ

山岳部員「エンシァン先生!? てことはあんたたち、遺跡部っすか?」

エンシァン「いかにも。今日は我々遺跡部の活動日なのでな」

山岳部長「遺跡部だと?」ガサッ

山岳部員「部長!」

 ◇

リアン(聞くところによると、どうやら今日は山岳部もこの渓流付近でサバイバル訓練を行っていたらしい)

リアン(そういうわけでせっかくだからと、私たちは遺跡探しの傍らに合同でサバイバル訓練を行うこととなった)

リアン(どちらかと言うと、私たちの遺跡探索を山岳部に手伝ってもらいつつ、要所要所で学べるところを共に学ぶという感じかもしれない)


ルウェリア「そろそろお昼だし火でも起こしますか?」

山岳部員「了解っす! 私、摩擦熱で火を起こすのが得意――」

ヒーティ「ファイア!」ボッ

焚き火「」メラメラ

山岳部員「…………」

ヒーティ「あッ……す、すみませんッ!」ペコッ

山岳部員「い、いや良いっす! この方が早いし強いんで!!」

↓1 合同訓練の成果
01-75 ぼちぼち
76-00 学生組能力+

山岳部長「遺跡部のサバイバル能力はかなり高いな。一部の技術に関しては我々を遥かに凌駕している」

山岳部員「ほんとに凄いっすね。流石は闘技部よりも闘技部してる遺跡探索部っす」

リアン「あ、あはは……。そうなんですかね……」

山岳部長「自覚はないのか……」

山岳部員「そういえば、遺跡部はどうして遺跡探索をするんすか?」

エンシァン「君たちと同じさ。山があるから登るように、遺跡があるから探索する。それだけのことだ」

山岳部員「なるほど! 納得っす!」

リアン(納得なんだ……)

リアン(まあ、あんまり真面目な話をするわけにもいかないもんね)



リアン(そういうわけで、私たちは山岳部と合同で活動を行った)

リアン(遺跡探しだけでは学べないこともいろいろ教えてもらったりして、勉強になりました)

リアン(この経験を生かして遺跡探索をより効率的に進めたいところだ)

 ◆

本日はここまで

―11月3週 某日
 学生通り

 ワイワイ ガヤガヤ

スイス「わあ……人間さマ、いっぱい……!」

量産剣「賑わっているな」

クロリア「私たちの時代よりも活気がありますね」

スイス「スイス、この時代のこト……もっと、知りたい」

クロリア「これからいっぱい勉強していきましょうね。スイスはもう、自由なんですから」

スイス「じゆウ……?」

量産剣「ああ。自分の好きなように生きて良いってことだ」

スイス「……す、スイス……どうしタら、いい……?」

量産剣「まあ何をするにしても知識は必要だな。今はクロリアと共にいろいろ学ぶのが良いだろう」

スイス「うん……! スイス、学ぶ……!」

クロリア「……量産さん。あなたも、ですよ?」

量産剣「私もか?」

クロリア「当然です! これから一緒にこの時代を生きていくんですから」

量産剣「む……わかった。善処しよう」

スイス「一緒に頑張ロ、量産さん」

量産剣「うむ」

クロリア「ではまず、私たち三人でお買い物をしてみましょう。貨幣経済や売買の手法は私たちの時代ともそれほど違いはないようですし、難なくできるはずです」

量産剣「金はあるのか?」

クロリア「はい! アリムさんから治療費としていくらか押し付けられたので、せっかくですからありがたく使わせていただきましょう」

 ◇

―ドラッグストア

クロリア「ひとまずはマナポーション3本をカゴに入れて……。よし、これで取引に行きましょう」

スイス「マナポーション?」

量産剣「確か、この時代におけるエーテルリキッドの呼称だったか?」

クロリア「はい。私たちにとっても馴染み深いものですし、まずはこれを買いましょう。ええと、これを〝れじ〟というところに持っていって……」

 ◇

セルフレジ『イラッシャイマセ。商品ノばーこーどヲ読ミ取ッテクダサイ』

クロリア「えっえっ……ば、ばーこーど?」オロオロ

量産剣「なんだこれは。ゴーレムの一種か?」

スイス「なんカ、親近感、湧く……!」

クロリア「ば、ばーこーどってどれ……!? 読み取るってどうやって……!!?」

 オイマダカ? オノボリサンカナ? マツワワタシマツワ ヨウジョカワイイ

量産剣「おい、後ろに列ができ始めたぞ。なんかまずいんじゃないのか」

スイス「クロリアさン、大丈夫……?」

クロリア「ああ……私のせいで……」グニャア


 サッ


クロリア「えっ……あ、あなたは……!」

 ピッ ピッ ピッ

セルフレジ『オ金ヲ入レテクダサイ』

ルル「お金ある?」

スイス「ルルちゃン!」

クロリア「お、お金なら……!」ガサゴソ

ルル「ん」

 ガチャチャチーン

セルフレジ『オ買イ上ゲアリガトウゴザイマシタ。マタオコシクダサイ』

 ワー! オメデトー ヨカッタネ ヨウジョカワイイ

ルル「いこ」スタスタ

スイス「あ、うんっ」トテトテ

 ◇

―公園

クロリア「はあ……ほ、本当に助かりました。ルルさん……」

ルル「んーん。初めてだと困っちゃうよね、あれ」

量産剣「一体なんなんだ、あれは。ゴーレムなのか?」

ルル「この時代の機械みたい。まあゴーレムみたいなものかなあ」

クロリア「この時代はこの時代で独自の技術が発達しているのですね……」

スイス「ルルちゃん、かっこよかっタ!」

ルル「んふふ、やり方覚えればスイスも簡単にできるよ?」

スイス「スイスもやってみたい……!」

ルル「じゃあ今度は、スイスの番!」

クロリア「えっ……ま、また行くのですか……?」

量産剣「勉強が必要と言ったのはお前だぞ」

クロリア「そ、それは……そうですけどお……」

スイス「クロリアさんも、もう一度やってミよ……!」

クロリア「……スイスちゃんにこう言われたらやるしかありませんね……!」

量産剣(よし、私は免れ――)

スイス「量産さンも!」

量産剣(………)

量産剣「……善処しよう」

 ◇

―スーパーマーケット

ルル「クロリア、料理できるんだよね?」

クロリア「ええ、一応……。もう長いこと料理はしていませんが」

ルル「じゃあ、ここで食材買って、クロリアに作ってもらお!」

クロリア「えっ!」

量産剣「工場にも給湯室や流し台はあったな。調理器具も残っていたし料理なら問題なくできるはずだ」

スイス「スイス、クロリアさんの料理、食べタい……!」

クロリア「……ふふ。それなら……久しぶりに、腕をふるってみましょう! まずは売っている食材を吟味して――」

量産剣「はは、私も楽しみになってきた」

 ◇

セルフレジ『イラッシャイマセ。商品ノばーこーどヲ読ミ取ッテクダサイ』

ルル「スイス、この黒い線のとこをこの赤い光に当ててみて」

スイス「うん……!」

 ピッ

セルフレジ『次ノ商品ノばーこーどヲ読ミ取ッテクダサイ』

スイス「で、できタ……?」

ルル「うん! スイス、上手!」

スイス「わあ……! えへへ……」ニヘラ

ルル「量サンサンも」

量産剣「むむ……」

 ピッ

セルフレジ『次ノ商品ノばーこーどヲ読ミ取ッテクダサイ』

量産剣「ふう……」

スイス「量産さんモ、上手!」

量産剣「フッ……命のやり取りよりも緊張するな、これは」

ルル「クロリア」

クロリア「っ! や、やって見せます……!!」

 ピッ

クロリア「!!! で、できた……私にもできました……!!!」

スイス「おめでト、クロリアさん!」

量産剣「よくできたな。偉いぞ」

ルル「みんなすごい! ルル、覚えるのに一週間かかったのに!」

 ◆

クロリア(こうして私たちは無事買い物を終え、工場に帰って料理を楽しむことができました)

クロリア(はぐれものばかりの私たちですが、一つの食卓を囲み、語らいながら食を進めていると――)

クロリア(まるで……家族になったかのよう……)

クロリア(ご主人様とはもう逢えないけれど、私にはかけがえのない仲間がいることを強く実感いたしました)

クロリア(いつか、向こう側でまた逢うことができたら……。是非ご紹介させてくださいね)

クロリア(新しい、私の大切な家族を……)

 ◆

―11月3週 週末
 北側 渓流

リアン(それがあったのは、渓流にある滝の裏――)

リアン(そこに隠れるようにして、小さな洞窟が空いていた)

リアン(そして洞窟の奥にあったのは……極めて巧妙に岩肌らしく偽装された、魔導障壁だ)

リアン(その隠し方はどことなく、海岸洞窟でリエムちゃんが眠っていた部屋を想起させる……)


ルウェリア「……くそっ、だめだ。溶かせない」

サーナ「ここまで来ましたのに……!」

ヒーティ「エンシァン先生の魔法でこじ開けるのはどうですかッ!?」

エンシァン「洞窟内でやるのはリスクが大きい……。今回は他の遺跡と違って穴を開けたらどうなるかもわからん」

ノルン「でも……急がないと……! シャーロット准教授、何か手はありませんか!?」

シャーロット「……これ、魔力認証式の透過障壁かもしれないわ」

アリム「けほっ……当たりよ、多分……」


リアン(私の背から、アリムちゃんの声が聞こえた)

リアン(アリムちゃんは再び倒れ、自力で動くことができなくなっていた)

リアン(クロリアさん曰く、もう猶予はあまりないらしい……)

リアン(こんなところにアリムちゃんを連れてきたのは、もうその遺跡にアリムちゃんを治せる設備があることに賭けるしかないからだった……)


ノルン「魔力認証式の、透過障壁……?」

リエム「簡単に言うと、登録された魔力パターンの持ち主以外は通過できない特殊な魔導障壁です」

リアン「え、ええ……。そんなの、誰も通れないんじゃ……」

サーナ「とりあえずわたくしが試してみますわ!!」ザッ

サーナ「さあ! わたくしを通しなさいまし!」ズカズカ

 グッググ……

サーナ「う、うぐぐぐ……! す、進めませんわ……!」

ノルン「それなら今度は私が……!」


リアン(みんな、我こそはと透過障壁に挑み始めたが……)

 ◇


エンシァン「クッ……やはりダメか……」

アリム「まあ、当然よね……。魔力パターンが同一の存在なんて、一卵性双生児とか同型の人造種でもない限りありえないもの……けほっけほっ」

ルウェリア「残るはリアンちゃんとリエムちゃん、アリムちゃんの三人だけだけど……。その場合、リエムちゃんがだめならアリムちゃんもだめってこと?」

アリム「そういうことになるわね……。わたしとリエムは同型だもの……」

リエム「はい。逆に言えば、わたしが入れるならアリムも入れるということです」

ルウェリア「な、なるほど……」

サーナ「とりあえずリアンもやってみまして!」

リアン「う、うん……! ダメ元でやってみる……!」


リアン(流石にこれで私が通れるなんてことあるわけないけど、まあやるだけやってみよう)

リアン(私は背のアリムちゃんをリエムちゃんに預け、透過障壁に挑んだ)


リアン「――えいっ」

 フォウン…

リアン「……あれ?」

―だれかのおうち

 チュンチュン…

リアン(少し勢いよく障壁に突っ込んだつもりだったが、みんなのように押し出される感覚がない……)

リアン(というか……え、ここって――)


リアン(木々があって。空があって。鳥のさえずりが聞こえて)

リアン(いつか見た、クロリアさんの工房があった場所に似ていて)

リアン(そして私は――この場所を、どこかで――――)


リエム「リアンさまっ」フォウン

アリム「リアンっ」フォウン

 ぽふっ

リアン「わっ……! ふ、二人とも……!」

アリム「な、なんであんた通過できてんのよ! 驚かさないでよね……!」

リアン「えっ……わ、私、通過できたの!?」

リエム「はい……。考えられるのは、装置の故障か……リアンさまと同じ魔力パターンの方が登録されていたか……」

アリム「……リアン本人が登録されていたか、ね……」

リアン「ええ!?」

アリム「まあ、本人登録は流石にありえないと思うけど……」


ルウェリア『リアンちゃん! リエムちゃん、アリムちゃん!』

ノルン『無事だったら返事をして!! お願い……!!』

サーナ『早く返事をしなさいまし!!!』

リアン「あ、うん! こっちはみんな無事!!」

エンシァン『無事か!! どうする!? 三人で』

リアン「え、えっと……はい! 行きます!!」

アリム「ちょ、ちょっと……! 準備とか、整えないと……」

リアン「大丈夫。必要な分はポーチとポケットに十分入ってる。今は急がなきゃ」

アリム「で、でも……」

リアン「それに……なんだかここは、危なくない気がするの」

アリム「え……?」

リエム「……わたしも、リアンさまと同意見です。根拠はないのですが……どこか、安らぎを感じられる場所です」

アリム「……わかったわ。どうせ言っても聞かないだろうし、あんたたちの感覚を信じることにする……」

リアン「ありがとう、アリムちゃん……!」


リアン(私たちは、洞窟内に作られた誰かの居所を歩き出した――)

 ◇

続きは次スレでやります。本日はここまで
次回、追想編。お楽しみに

このスレは質問・感想・要望・雑談などご自由にお使いください

はい。ちょっと近未来的な感じと魔法文明を織り交ぜた感じの雰囲気を想定しています

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