エヴァSS
シン・エヴァ劇場版の付け足しです。本編が終わったところから始まります。
前スレ「シン・エヴァ もう一つの終わり」(シン・エヴァ もう一つの終わり - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1661003207/))の一部修正追記版です。前スレ初期投下分がver1.00、追加修正分との差し替え版がver1.11で、これにさらに加筆したものです。
■免責事項■
・よくあるSSの書式、「人物名+セリフ」に加えて、ト書きのようなもの(場面説明)がはさまります。生理的に合わない方はそっ閉じ推奨。
・エヴァ本編の内容に関する部分があるので、本編未見の方もそっ閉じ推奨。
・前スレで動きがなかった人物の動きの追加がメインで大筋は変わりません。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1665411900
===駅のホーム===
マリ「さあ、行こう。シンジくん」
シンジ「うん、行こう!」
手をつないで駆けていくスーツ姿のシンジとマリ
エンドロール
〔終劇〕
:
:
***追加シーン ここから***
=== 海辺の街 ===
髪の長い女性の後ろ姿
ピンク色のスーツ、赤い眼鏡
工場群の煙突の向こうにきらきらと光る水面
眼鏡をかけた斜め後ろからの横顔
ネックレスについた金属の円盤を手のひらに乗せている
(回想)
男性の声「マリ」
優し気な響き
無邪気に笑う幼女の様々な場面
抱き上げる男性の手
男性の顔を触っている小さな手
男性の声「マリ」
男性の目元は見えないが微笑んでいる
男性の声「マリ」
ベッドに横たわる男性の姿
顔に白い布がかけられている
それを見ている幼女の顔
幼女「おとうさん?」
あどけない声
幼女の肩に黒い袖口の大人の女性の手が乗っている
周囲で大人たちのすすり泣きや低い話し声が聞こえる
幼女「おとうさん?」
白い布がかけられた頭部
―― 闇
幼女「おとうさん! おとうさん!」
幼女の泣き声
:
:
女性の斜め後ろの横顔
ペンダントを握り締める
闇
マリの声「お父さん……」
:
:
===ネルフ第二支部 N109棟跡地===
青空、緑の山々
小鳥のさえずり
湖にヴンダーの脱出カプセル群が落着し、ハッチが開いている
砂浜に続く多数の足跡
草の上に座り込んでいるヴンダーの乗員たち
担架に乗せられたけが人もいる
カプセルから運び出した資機材が草地に並べられている
人混みから歩み出すリツコ
リツコ「終わったのね……」
少し目をすがめ、周囲の山々を見る
リツコの悲しげな横顔
リツコ(ミサト……)
マヤの声「副長センパイ!」
振り返るリツコ
リツコ「どうしたの」
クルーたちでごったがえす草地に人だかりができている
開かれたミドリのノート型端末に灯りがともり、ヴンダー乗員たちがそれを囲んでいる
マヤ「マギコピーが何か受信してます!」
リツコ「マギコピー……というか、そのコピーね」
歩み寄るリツコに場所を譲るマヤ
画面に細かいノコギリの刃のように波打つ横線が表示され、その1か所が鋭く立ち上がっている
小刻みに上下する頂点に追随して、数値のラベルが表示されている
リツコ「これは――」
その下のウィンドウに数値や文字の羅列が絶え間なくスクロールしていく
リツコ「――エヴァ初号機?」
険しい顔でリツコの顔を覗き込むマヤ
マヤ「センパイもそう思いますか?」
表情をこわばらせるリツコ
リツコ「まだ……終わっていないというの!?」
顔を見合わせるクルーたち
リツコ「発信源は?」
ヒデキ「第6サーチからです」
リツコ「ニアサー前の遺物か。生き残っていたとはね」
ヒデキ「南極からの信号をリレーしてるようです」
ミドリ「でも、すぐに可視からはずれます!」
リツコ「生きてる衛星を探して、回線を維持して」
ヒデキ「はい」
自分の端末を開きコマンド入力を始めるヒデキ
:
湖に落着した脱出カプセルの外観
暗いカプセル内部
四角い機器ボックスの一隅に緑色のランプが点り、目まぐるしく明滅を始める
:
リツコ「それから、キャリアの干渉パターンからマイナス宇宙での発信源の位置の把握を!」
ミドリ「そんなことできっこないっしょ!」
マコト「いや、できる。こっちに回せ」
リツコ「頼むわ、日向君」
うなずき合って人混みの外へ出て行くマコトとシゲル
端末から顔を上げるヒデキ
ヒデキ「副長、こちらからのコマンドが通りません」
リツコ「送信機のパワーが足りないんだわ」
人垣に混ざっていた高 雄がにやりと笑って後ろを振り返る
高 雄「だ、そうだ」
若い技師「2号から5号の補機バッテリーを1号に繋いでやれば――」
リツコ「すぐやってちょうだい」
高 雄「任せてください。――よし、使えそうな資材を集めろ」
技師たち「はい!」
めいめい、慌ただしく作業にとりかかるクルーたち
立ち上がるリツコ
人々の頭上に広がる青空、緑の山並み
眉をひそめるリツコ
リツコ「……悪い予感がする……」
:
:
===駅前===
笑みを浮かべて走っているシンジ
前を走るマリの後ろ姿
次第に差をつけられていく
先を行くマリを追って、息を弾ませて駆けていくスーツ姿のシンジ
シンジ「マリさん、待っ……」
ドンッ
シンジ「痛っ……」
何かに顔からぶつかり、よろめいて尻餅をつくシンジ
路上に転がるシンジのカバン
シンジ「痛ってー……」
額をさすりながら立ち上がり、駆け出そうとして、また見えない壁に突き当たる
シンジ「うわっ」
見えない壁を手のひらで確かめながら、
シンジ「な……なんだこれ……」
街の風景と見えていたものがシンジを取り巻く書き割りであることに気付く
あたりを見回すシンジ
先ほどまでふつうの街だと思っていた場所が、映画のセットのように見えてくる
道行く人々が静止し、それぞれ切り出しのように平板になっている
シンジ「マリさん! ……えっ?」
駆けていくマリの後ろ姿の形をした切り出しが倒れている
かがみこみ、裏返してみるシンジ
むき出しのベニヤ板に角材の裏打ちがされているだけで、何も描かれていない
シンジ「……どういうこと?」
立ち上がり、ふと視線をあげ息を呑むシンジ
シンジ「あっ」
天井は撮影スタジオのように黒く、ブームが張り巡らされ、照明機材がシンジがいるフロアを照らしている
書き割りの壁の頂部、裏側の足場と思しき場所に立つピンク色のスーツの女性の後ろ姿が見える
シンジ「マリ……さん?」
女性が身をこわばらせ、わずかに頭を巡らせる
マリの横顔
マリ「あり?」
すっと目を細めるマリ
マリ(邪魔が入ったかにゃ?)
シンジの声「マリさん!?」
振り返り、見下ろすマリ
マリ「よっ! シンジ君」
おどけた挨拶
シンジ「マリさん! どうなってるの? これ」
マリ「ああ、うん。えーとね……」
シンジ「ここは……なに?」
シンジの顔を見て少し考えるマリ
マリ「……ゲンドウくんの生まれ故郷」
シンジ「えっ?」
書き割りの海のほうを見晴るかすマリ
マリ「シンジくんのお父さんが、生まれ育った街だよ」
振り返り、街並みとその向こうの工場群を改めて眺めるシンジ
シンジ「ここが?」
マリ「そ」
またマリを見るシンジ
シンジ「で、でも……変だな……」
マリ「え?」
シンジ「だって……こんなに海が近いのに……」
マリ「あー、そっか。君にはわかんないよね」
怪訝な顔でマリを見上げるシンジ
マリ「ここはね、セカンドインパクトが起こらなかった世界なんだよ」
シンジ「セカンドインパクトが……起こらなかった?」
マリ「もっとも、見ての通り、まだ作りかけだけどねー」
シンジ「作りかけ?」
少し後悔したような表情のマリ
頭をかく
マリ「ま、いっか」
眼鏡をなおすマリ
シンジ「!」
驚いて傍らを振り返るシンジ
いつの間にかシンジの横にマリが立っている
第一中学校の屋上で遭遇した時の制服姿に戻っている
スカートのほこりを払う仕草
シンジも14歳の姿、ワイシャツに学生ズボン姿に戻っている
マリ「私は、落とし前をつけなきゃいけないんだよ。私がやったことの」
シンジ「落とし前……って……」
マリ「私のせいなんだよ。全部」
苦し気な表情をシンジに向けるマリ
マリ「セカンドインパクト」
眉をひそめるシンジ
マリ「話せば長くなるけどね……まあ、この際だし」
道路わきのボラードに腰掛けるマリ
マリ「私、天才少女だったんだよ。飛び級で大学入って。言ったっけ?」
首を振るシンジ
(回想)(セピア色)
大学の構内の風景
行きかう学生たち
とある部屋のドアの上、「形而上…」と読める表示を見上げているマリ
マリ「研究を初めてすぐ、私は気づいた。私たちには先がないって」
誰もいない広大な書庫で、白い手袋をはめ、机の上に置かれた古い書物の断片を読みふけるマリ
マリ「『死海文書外典』は、今で言う人類の補完を指し示していた。私たちには、もうそれしかないことを」
書物から呆然と顔を上げるマリ
マリ「その儀式の始まりがセカンドインパクトによる海の浄化」
シンジ「で、でも、それはミサトさんのお父さんが――」
マリ「そ、葛城調査隊」
南極の雪原 カルヴァリーベースの黒光りする建造物
マリ「あれをお膳立てしたの、私なんだよ。論文を書いてね。ただし、核心には触れない。その一歩手前まで」
防寒服を着た人々が巨大な地下空間を動き回っている
マリ「わかる人には『発見』できるようにね。だから、あくまで葛城博士の仕事ってことになってる」
南極大陸を覆いつくす爆炎
シンジ「そんな……」
マリ「そりゃあ、ひどいもんだったよ。それでも、まだ始まりに過ぎなかった」
世界各地の沿岸に押し寄せる高潮
飲み込まれる都市、逃げ惑う人々
遠い目をするマリ
マリ「それから、使徒への備えが始まった。エヴァの開発、パイロットの養成……みんな私が提案したんだよ。本当はね」
ジオフロントの建設風景
マリ「私は……有頂天だった。何もかも、予想した通りだった。このあと何をすればいいか、私には全部わかってた……つもりだった」
天井の低い暗い管制室
制御卓につく研究者たち
液体に浸かったエヴァの素体が窓外に見える
マリ「でも、そんなにうまくはいかなかった。すぐに計画に遅れが出始めて、委員会からも横やりが入るようになってきた」
何か大きな身振りで議論している研究者たち
同じ部屋の隅で端末のキーボードをたたき続けているマリ
スクロールしていくモニタの表示がマリの眼鏡に反射している
マリ「パイロットの調達も問題だらけだった」
ユーロ支部
雪の積もった庭で幼い式波タイプたちと鬼ごっこをするマリ
その一人を捕まえて抱き上げる
笑い転げている幼い式波タイプ
闇――
うなだれるマリの前にスポットライトを浴びた小さな棺が横たわっている
格子状に並んだ多数の式波タイプの顔写真
ひとつ、またひとつと消えていく
シンジ「それじゃあ、アスカは――」
マリ『姫を――アスカをお願い』
マリ「あの子は……最後の希望だった」
力なく笑うマリ
マリ「委員会の査定も厳しくなってきてさ。でも私は間違ってないと思ってたから、何とか形にしようとした。形にしたかった。しまいには、親の遺産にも手を付けて――」
部屋の片隅、ノート型端末にひたすら何かを入力しているマリ
眼鏡にモニタの光が反射している
手を止め髪をかきむしり、力なくうなだれるマリ
首から下げたペンダントを握り締める手が震えている
マリ「そこでユイさんの事故……」
目を見張るシンジ
透明な隔壁の向こう、液体の中でさかさまに浮かぶユイ
窓に手をつき、恐怖の表情でユイのほうを見ている白衣のゲンドウ
マリ「プロジェクトはかろうじて踏みとどまったけど……」
研究室に並ぶ机の一つにうずくまっているゲンドウ
マリ「わかっちゃったんだ。どこまで行っても、これはだめだって。だからあとは――あとは元に戻すしかないんだよ。そのための『ネオンジェネシス』」
息をのむシンジ
マリ「でも、それにはアディショナルインパクトの一歩手前まで行かなければならなかった」
声をあげて泣くシンジを置いて去るゲンドウ
マリ「私がすることは、もう何もなかった。誰がやっても、そこへ行きつくのは、もうわかってた」
デスクにつくゲンドウのシルエット 眼鏡だけが光っている
「人類補完計画」の冊子の表紙
暗い通路に姿を消すマリ
マリ「だから、待つことにしたんだよ」
何本ものチューブがつながれたプラグスーツのようなものを着ている
棺桶のような装置に横たわり、自ら蓋を閉じるマリ
重々しい音とともに闇に包まれる
地吹雪が吹きすさぶ極夜の大地――
:
:
呆然とマリの横顔を見ているシンジ
マリ「ま、実際は冷や冷やもんだったけどねー」
自嘲気味に笑うマリ
マリ「びっくりした?」
申し訳なさそうにシンジを振り返るマリ
マリ「黙ってて悪かったね。でも、それももうすぐ終わりだから」
シンジ「マリさん……」
少女の声「なーるほど、そういうことかあ」
マリ、シンジ「!」
声のほうを振り向くマリとシンジ
二人から少し離れた路上
アイボリーのベストに赤いネクタイ、グレーのスカート姿の少女が腰に手を当ててこちらをにらんでいる
青いショートヘア、赤い瞳、右腕に赤い細い腕時計
シンジ「あ……綾波!?」
少女「はーい、綾波レイでーす!」
にっこり笑い、快活に挨拶をかえす少女
マリ「ちっ……」
マリ(アドバンスドか……)
(回想)
エヴァ・オップファータイプを捕食する8号機
ネオンジェネシスの発動 槍により次々に消えていくエヴァ
はじけて消えたオップファータイプから青い海に投げ出され、
目を閉じたまま膝をかかえて水中で回転しているアドバンスド・アヤナミシリーズ(AA)たち
髪が水中でひろがり揺らめいている
と、目を開き、口から少し泡を吐く
:
またマリをにらむ少女(AA1)
AA1「ようやく冬月先生の言ってた意味がわかったよ」
憮然とした表情のマリ
眼鏡に光が反射し目の表情が見えない
AA1「無責任だよ! あなたは、世界の半分を巻き込んでおいて、結局手に負えなくて……投げ出したんだよ!」
マリ「……君らには関係ないよ」
AA1「関係ある。私たち、みんなセカンドインパクトのあとに生まれたんだから!」
驚いてAA1を見るシンジ
AA1「セカンドインパクトが起きた世界で、生きてきたんだから!」
マリ「あんたたちには――」
AA1「あなたみたいなおばさんの思い通りになんか、されてたまるもんですか!」
マリ「おば――」
ひるむマリ
シンジ「マリさん――」
マリを見るシンジ
シンジ「それが本当のネオンジェネシス? 時間も世界も戻さない……そうだ、僕はただ、『エヴァがいなくてもいい世界』に書き換えるだけだって……でも――」
(回想)
駅のホームにたたずむアスカ、カヲル、レイの面影がある人物たち
シンジ「でも、それじゃあ……僕たちは……どうなるの?」
シンジを見るマリ
シンジ「この世界みたいになったら……僕たちや……もっと後に生まれた人たちは……加持リョウジくんは? 第三村の子供たちは?」
(回想)
第三村に来てから出会った人々
マリ「別に、どうもなりゃしないよ。ちょっと形は変わるかもしれないけど。さっきの君みたいに」
シンジ「みんな、変わっちゃうってこと? あんなふうに? 第三村はどこへ行っちゃうの?」
マリ「シンジくん――」
シンジ「ヴィレのみんなや、僕たちがやってきたことは……それも無かったことになるの?」
浮かんでは消える、第一中学校での日々、エヴァでの戦いの日々
シンジ「マリさんには……どうでもいいことなの?」
マリ「あのさ、今はあんまり細かいことは心配しなくて――」
シンジ「違う気がする」
厳しい表情で足元を見ているシンジ
シンジ「よくわかんないけど……ミサトさんと約束したのとは違うよ、それは」
マリを見返すシンジ
(回想)
ミサトの声「生き残った命を……子供たちを頼むわ、リツコ」
ヴンダーを駆り最後の突撃を試みるミサト
爆発四散するヴンダー
シンジの手の中で回転するヴィレの槍
マリ「でもさ、こういうことなんだよ! 君が望んだ『エヴァのいない世界』っていうのは!」
シンジ「えっ……」
憐れみを含んだ目でシンジを見るマリ
マリ「ぜんぶ、エヴァがあったからこうなったんだ。それをもとに戻すのが……ネオンジェネシス」
シンジ「で……でも!」
うつむき、また顔を上げるシンジ
シンジ「教えて、マリさん。この世界はいったい――あれっ?」
AA1「えっ?」
辺りを見回すシンジとAA1
マリがいない
頭上を振り仰ぐ
いつの間にか、また書き割りの外壁の上に立っているマリ
眼鏡に光が反射している
シンジ「マリさん!」
マリ「急に言われたって、そりゃあ無理ってもんだよね。わんこくん」
指で眼鏡をなおすマリ
マリ「でも、いまにわかるよ。君にもね。――私は仕事に戻るよ」
踵をかえし、書き割りの向こうへ歩み去るマリ
シンジ「マリさん……マリさん!!」
マリがいなくなった書き割りの壁
シンジ「大変だ……」
AA1を振り返るシンジ
シンジ「マリさんを止めないと!」
AA1「えっ?……う、うん。そうだね」
シンジ「でも、どうすれば……」
AA1「それは……え、えーとね――」
人差し指で頬をかき、視線をそらして困ったように笑うAA1
レイの声『碇くん、どこ』
シンジ「!」
身をこわばらせるシンジ
AA1「どしたの?」
きょとんとするAA1
指が止まっている
視線をさまよわせるシンジ
シンジ「綾波……」
AA1「はい?」
レイの声『碇くん、どこ』
シンジ「綾波だ!」
走り出すシンジ
AA1「ちょ、ちょっと! 碇くん!?」
あわてて追うAA1
AA1「待ってよー!」
駅の方に走っていくシンジ
通りには通行人の姿の切り出しが立ち並んでいる
それらを縫って走るシンジ
駅の階段を駆けあがり、連絡通路を駆け抜け、プラットホームに降りるシンジ
立ち止まって息を切らせているシンジ
辺りを見回しながら叫ぶシンジ
シンジ「綾波―!」
レイの声『碇くん、どこ』
シンジ「綾波!」
頭上を見回しながら叫ぶシンジ
AA1「ハァ……ハァ……やっと……追いついた……」
両ひざに両手をおき、息を切らしているAA1
レイの声『碇くん、どこ』
シンジ「ここだ! でも、ここがどこなのか、わからないんだ!」
レイの声『見つけた』
シンジ「えっ?……うわっ!!」
AA1「きゃああっ!!」
駅の北側の空が突然板張りとなってばりばりと砕け散り、巨大な手が突き出される
飛び散る板切れから頭をかばうシンジとAA1
おそるおそる見上げるシンジ
シンジ「あっ」
書き割りに空いた穴の向こうに暗闇が広がり、エヴァ初号機の双眸が光を放っている
シンジ「綾波!? エヴァ初号機!」
同じように空を見上げるAA1
シンジ「どうして? エヴァは……全部消えたはずなのに」
穴から陽光の下に踏み出してくる初号機
巨大な足が舗装を踏みしだき、電話ボックスのガラスが割れる
周囲で湧き上がる悲鳴
驚いて見回すシンジとAA1
切り出しだった人々がいつの間にか生身の人間にもどっている
男性の声「何だあれは!!」
子供の声「お母さーん!」
突然出現した初号機を見上げて、悲鳴を上げ、駅から逃げ出そうとする人々
シンジとAA1の周りを駆け抜けていく
AA1「呪縛……」
初号機を見あげるAA1
背景の穴はいつのまにか消え、普通の風景に戻っている
シンジ「えっ?」
AA1を見るシンジ
AA1「エヴァの呪縛もいっしょに消えたから。それにこの世界」
シンジを見るAA1
AA1「あの人に都合がいい世界だけど――」
シンジ「……それだけじゃない?」
駅舎の上から身を乗り出し、ホームに立つシンジの前に右の手のひらを差し出す初号機
レイ『乗って』
シンジ「う、うん!」
顔を見合わせるシンジとAA1
うなずくAA1
初号機の手のひらにむかって踏み出すシンジ
と、突如、上空から飛来する二又の槍
ロンギヌスの槍に似るが金色に輝いている
その槍が初号機の手のひらを突き破り、轟音とともに地面に突き立てられる
バランスを崩して地面にうつぶせに倒れこむ初号機
地鳴りがし、線路のバラストが飛び散る
シンジ「うわっ!!」
また頭をかばうシンジ
シンジたちの頭上、別の巨大な手が突き立てられた槍の柄をつかむ
ホームの屋根の上、槍の柄をつかんで立つピンク色のエヴァ8号機
マリの声「またあんたか!」
声のほうを振り返るシンジとAA1
線路を挟んだ別のホームにマリが立ち、初号機をにらんでいる
肩をいからせ、爆発しそうな怒りをかろうじてこらえている風
心なしか髪が逆立っている
連絡通路を踏み砕いて駅の反対側から初号機のいるほうへ踏み込んでくる8号機
マリ「あんたたちは、どいつもこいつも――」
初号機の手のひらから槍を引き抜く8号機
マリ「肝心なところで邪魔してくれちゃって!」
起き上がろうとしていた初号機の顎を蹴り上げる8号機
のけぞり、駅裏の街並みを壊して転がっていく初号機
もうもうと上がる土煙
また悲鳴が沸き起こる
遠くから聞こえてくる救急車のサイレンの音
シンジ「綾波!」
マリを振り返り叫ぶシンジ
シンジ「マリさん! やめてよ!」
駅の向こう、槍を地面に刺し、初号機の首元の装甲を左手でつかんで引き起こす8号機
歯をむき出し、右のこぶしを握り締めているマリ
右のこぶしを初号機の顔にたたきこもうと腕を後ろに引きしぼる8号機
マリ「あと少し、そこでおとなしくして……にゃ!」
こぶしが繰り出される寸前、8号機の腕を背後からがっしりとつかむ別の巨大な手
マリ「なっ!」
驚いたように振り向く8号機
エヴァ9号機が8号機の腕をつかみ、こぶしを構えている
シンジのとなり、8号機をにらんでいるAA1
スカートの裾が風にはためいている
AA1「やあっ!!」
こぶしを8号機の顔面に叩き込む9号機
背中から倒れこみ、街並みを壊しながら転がる8号機
AA1「なーるほどね! こうやるんだ」
ボクシングのジャブのようなしぐさをして笑みを浮かべるAA1
足音を響かせて、倒れている8号機に歩み寄る9号機
つかみかかろうとする9号機
AA1「今度は、あんたの好きにはさせないんだから!――きゃあ!」
9号機の足を払う8号機
轟音とともに建物を押しつぶしながら横ざまに転がる9号機
立ち上がる8号機
マリ「調子に――」
9号機を引き起こす8号機
マリ「――乗るなあ!!」
その首を両手で締め上げる
AA1「うぐっ!……」
目をぎゅっと閉じて両手で首から何かを引きはがそうともがくAA1
その首に指の形のくぼみが浮かび上がる
マリ「こうなったら、あんたから先に――」
と、8号機の背中に別の巨大なこぶしが叩き込まれる
倒れこむ8号機と9号機
家屋の屋根材が飛び散る
マリ「うっ!」
折り重なって倒れた9号機と8号機を、10号機が見下ろしている
マリ「!」
さっと振り向くマリ
マリの斜め後ろに別のアドバンスド・アヤナミシリーズ(AA2)が腕組みをして立っている
AA1と同じ制服姿、右腕に青い腕時計
得意げな笑みを浮かべる
AA2「おっ待たせー!」
AA1「げほっげほっ……遅ーい!!」
涙目でまだ喉を抑えているAA1
マリ「あんたは!」ハッ…
マリをはさんで反対側にも、いつの間にか、もう2人のAAたちが立っている
同じ制服、それぞれ黄色と緑の腕時計
4人目のAAだけは、銀ぶち・白いつるのスリムな眼鏡をかけている
立ち上がる9号機
青空を背景に4体のエヴァ・オップファータイプが8号機を囲んで見下ろしている
AA3「碇くんの――」
AA4「――邪魔はさせないんだから!」
4体が一斉にとびかかり、8号機を組み伏せる
マリ「うわっ!!」
ホームの上、もがくように身をよじるマリ
マリ「お前らぁ!!」
怒りをあらわにするマリ
もがく8号機
AA1「碇くん! 早く!」
隣のシンジを見て叫ぶAA1
シンジ「えっ?」
少し離れた場所で立ち上がろうとしている初号機
シンジの前に初号機の左手が差し出される
シンジ「でも、君たちは!?」
AA1「心配ご無用! 今のうちに――きゃああ!」
9号機を押しのけて起き上がる8号機
バランスを崩し駅にほど近い港に仰向けに転がる9号機
水柱があがる
残る3機に頭から抑え込まれる8号機
起き上がろうともがき、オップファータイプを押しのけるが、そのたびに別のオップファータイプがとびかかって抑え込む
工場群やセメントサイロ、停泊していたセメント船などが押しつぶされ、粉塵と炎があがる
AA1「行って!」
シンジ「う、うん!」
初号機の手のひらに乗るシンジ
シンジを左手で包み込み、よろよろと立ち上がる初号機
初号機の体表に付着していたがれきが剥がれ落ち、土煙が上がる
マリ「放せ! 放せよ!」
AA4「碇くん! これを!」
振り返り、包帯のような布で巻かれた棒状のものを初号機の方に投げる12号機
エヴァの腕の長さほどもある
シンジを左手に乗せたまま、飛んできた棒状のものを傷ついた右手でつかむ初号機
槍に貫通された手のひらからL.C.Lが噴き出して辺りにしたたる
シンジ「綾波!」
駅のホームで仁王立ちになり、それぞれのエヴァを必死に操っているマリとAAたち
見えない壁に向かって足を蹴り出す初号機
風景の一部が書き割りとなって砕け散り、破れた穴の向こうに暗がりが広がっている
振り返る初号機
レイの声が響き渡る
レイの声『アドバンスドのひと』
はっとして初号機の顔を見上げるAAたち
表情のない初号機の目がこちらを見ている
レイの声『ありがとう』
一瞬ぽかんとするAAたち
顔を見合わせ、嬌声をあげて笑い合い、いっせいに初号機に向かって手を振るAAたち
AA3「がんばれー!」
AA1「気を付けてねー!!……おっと!」
初号機のほうへ起き上がろうとして、また9号機たちに抑え込まれる8号機
身をかがめて穴をくぐり、暗がりの奥に向かって走り去っていく初号機
マリ「待てよ! わんこくーん!!」
穴が修復されて元の風景に戻っていく
:
:
街の遠望
駅の近くで肉弾戦を繰り広げている5機のエヴァの巨体
悲鳴とサイレンが鳴り響き、街じゅうから火災の黒い煙が立ち上り風にたなびいている
:
:
=== 暗い通路 ===
暗がりを走る初号機
周囲は古い石造りの神殿のような内装の、天井の高い通路
走る初号機の手のひらから身を起こすシンジ
髪が風になびき、シャツの裾がはためいている
初号機の顔を見上げる
シンジ「綾波!」
走る初号機が速度を緩める
最後はふらつきながら立ち止まり、ひざまずく
慎重にシンジを地面におろし、そのまま倒れこむ初号機
握っていた棒状のものが地面に転がる
舞い上がる土埃
思わず顔をかばうシンジ
横たわる初号機の巨大な顔を見るシンジ
シンジ「綾波!」
初号機の首元に駆け寄る
非常スイッチを操作するシンジ
頸椎のカバーが跳ね上がり、エントリープラグが半ばせり出して止まる
:
暗闇
シンジがL.C.Lに飛び込む水音
シンジ「綾波!」
プラグ内、青い非常灯がほのかにともっている
かすかに聞こえるレイのうめき声
インテリアシートにもたれ、右の前腕を左手でおさえ、目を閉じて痛みをこらえているレイ
長く伸びた青い髪、一中の制服姿
駆け寄り、シートの左わきにひざまずくシンジ
シンジ「綾波、だじょうぶ!? 綾波!」
うっすらと目をあけるレイ
レイ「碇くん……よかった」
シンジ「ごめん、綾波。痛いの?」
レイ「へいき。シンクロが切れたから、すぐよくなると、思う……うっ……」
また顔をしかめるレイ
シンジ「綾波……」
目を開け、右腕を押さえていた左手を放し、シンジのほうに差し伸べるレイ
それを見ているシンジ
身を乗り出し、レイの上体をそっと抱きしめる
しばらくして、レイの左手がシンジの背中にまわる
シンジ「ごめん、綾波。僕は、何もわかってなかった」
絞り出すように言うシンジ
レイ「いいの、もう」
顎をシンジの肩に預けて目を閉じるレイ
レイ「これでいいの」
シンジの後ろ髪をなでるレイの手
シンジ「ずっと……こうしていたような気がする」
レイ「うん」
(回想)
第10の使途のコアからレイを引き上げるシンジ
光の中、レイを抱きしめたまま漂うシンジ
時が移ろうに従い、二人の姿勢はそのまま、レイの髪が少し、また少しと伸びていく
シンジ「長いような、あっという間だったような……」
レイ「そうね」
レイの肩でつぶやくシンジ
シンジ「綾波は……みんなと一緒に行っちゃったと思ってた」
(回想)
シンジ「それに、あとでマリさんが迎えに来る。だから、安心して」
レイ「そう、わかった。ありがとう、碇くん」
シンジの肩でつぶやくレイ
レイ「待ってた。心配だったから」
体を離し、身を起こすシンジ
レイの両肩をそっとつかみ、レイの顔を見る
シンジを見ているレイ
微笑むシンジ
シンジ「やっぱり、髪、伸びたね」
レイ「変?」
笑って首を振るシンジ
シンジ「ううん」
真顔に戻るシンジ
シンジ「止めなきゃ。マリさんがやろうとしていることを」
レイ「うん」
レイの肩から手を離し、プラグ内を見回すシンジ
シンジ「とにかく、方法を考えないと。マリさんが行こうとしていた場所がどこなのか――」
レイ「碇くん」
シンジ「ん?」
背後を振り返るシンジ
プラグの内面スクリーンの一隅、音声通話の要求画面が表示されている
目を見張るシンジ
シンジ「ヴンダーの脱出カプセルからだ!」
コンソールで何か操作するレイ
「SOUND ONLY SELECTED」のウィンドウが開く
バリッというノイズがプラグ内に響く
ミドリの声『つながりました!』
ヒデキの声『信じられない……』
リツコの声『時間がないわ。もしもし!? そこに誰かいるの!?』
シンジ「リツコさん!」
リツコ『シンジ君!? 無事なのね!?』
シンジ「はい! あの、綾波もいます」
リツコ『レイが? いえ、その話はあとね。あなたたちは今どこにいるの?』
シンジ「初号機の中です」
レイ「ゴルゴダ・オブジェクトの内部だと思われます。正確な位置はわかりません」
リツコ『やはりね……』
シンジ「リツコさん! あの――」
リツコ『いい? シンジくん、よく聞いて。これから、測位プログラムを初号機にインストールします。それであなたたちが行くべき場所がわかるはずよ」
シンジ「あ、はい」
ふたたび何か操作するレイ
レイ「準備完了」
リツコ『オーケー。送るわよ』
モニタの一角に進捗バーが現れ、100%に向かって伸びていく
シンジ「いつのまにこんな……」
リツコ『あなたたちからの信号そのものがヒントになったのよ。衛星が可視から外れる前に、何とか間に合いそうね』
インストールが終了し、モニタの一角に起動画面が現れる
レイ「起動しました」
起動画面が消え、点群でできた迷路を俯瞰したような表示が現れる
マコトの声『問題なさそうです』
リツコ『よかった。シンジ君、何が起ころうとしているか、私たちにも正確にはわからない。でも、止めなければならない。それだけは確かよ』
シンジ「は、はい!」
レイ「はい」
リツコ『頼んだわよ、二人とも――』
リツコの声が急速に音質低下して途切れ、「NO SIGNAL」の表示が残る
:
:
===ネルフ第二支部 N109棟跡地===
「NO SIGNAL」と表示されたミドリの端末のモニタを囲んでいる面々
背後では緑に覆われた山々と水辺に陽光が降り注いでいる
立ち上がり、南の空を振り仰ぐリツコ
リツコ「頼んだわよ。シンジくん、レイ」
:
:
=== ゴルゴダ・オブジェクト内部 ===
暗い通路の床に横たわっている初号機
そのプラグ内
先ほどのマップ画面に多層状の構造が描き出され、疑似カラーで何らかの信号強度が表現されている
その一角が、最強を表す紫に縁どられた白に明滅している
シンジ「あれかな」
うなずくレイ
レイの顔を見るシンジ
シンジ「綾波、代わるよ」
レイ「うん」
シートを立つレイ
シートに滑り込むシンジ
シンジ「すごいな……本当に初号機そのまんまだ」
左側にせり出し式の小さな補助席を出し、そこに座るレイ
インダクションレバーを握り、目を閉じるシンジ
プラグの内面モニタが何度か極彩色に明滅して外の風景が現れ、シンクロ状態になる
プラグ内が低い作動音で満たされる
シンジ「つっ!……」
思わず顔をしかめて右手をひっこめるシンジ
レイ「大丈夫?」
シンジ「うん……なんとか……」
苦笑するシンジ
シンジ「すごいね、綾波。よく我慢したね」
かすかに得意げな笑みを浮かべるレイ
迷路の表示画面、輝度最強のエリアを囲むように白い円形のカーソルが現れる
同じ画面の離れた場所に現在地を示す赤いカーソルが現れ、2地点を結ぶジグザグの経路が何通りか描き出される
内面モニタに映る外の風景に方角表示が重なる
シンジ「行こう」
レイ「うん」
身を起こす初号機
先ほど落とした棒状のものがからわらに転がっている
布がほどけ、金属光沢の物体が覗いている
刃先が丸く、刃の幅が一様な長剣
樋に複雑な紋様が刻まれている
西洋の処刑人の剣を思わせる形状
少し驚いた顔をするシンジ
シンジ「これは……」
握りの部分を右手で握って拾い上げる初号機
残りの布がほどけて落ち、全体が現れる
シンジ「あの子たち……これを持っていけってこと?」
レイの横顔を見るシンジ
レイ「そうね」
初号機の手に握られた剣をモニタ越しに見つめながらうなずくレイ
剣をたずさえ、立ち上がる初号機
暗がりに向かって歩き出す
小走りになり、やがて全力で走り出す
:
:
=== 第三村 ===
広場を慌ただしくゆきかう人々
一隅でクレーディトのマークをつけた数人と、トウジほか村の大人たち数人が話し込んでいる
南の空を振り仰ぎ、眉をひそめるトウジ
極彩色の模様が地平近くの低い空にかすかにはためいている
:
:
===ゴルゴダ・オブジェクト内部===
何かを探すように歩いている初号機
通路の一隅で立ち止まる
プラグ内、インダクションレバーを握ってシートについているシンジ
左隣の補助席で同じく前方を見つめているレイ
プラグ内壁モニタに映し出されるおぼろな迷路
インダクションレバーに付随するボタンを指で操作するシンジの手
ボタン操作の音にあわせて迷路の立体表示が小刻みに回転する
最大輝度の領域のすぐ近くに現在位置を示すカーソルが明滅している
壁に手をあてて調べている初号機
少し下がって勢いをつけ、足の裏で蹴りつける
轟音とともに分厚い壁面が四角く抜けて前方へ倒れ、その向こうに広い暗がりが現れる
プラグ内、眼下に広がる空間に目を凝らすシンジとレイ
開口部の縁に進み出る初号機
足元から先は急な下り坂になっている
初号機の足が蹴り落した人頭大の石がいくつか斜面を転がり落ちていく
高い天井 巨大なすり鉢状の空間
地表は荒れ果てた岩肌のよう
丸い天井は暗く、星のような無数の弱々しい光点が音もなく瞬いている
プラグ内、画面の輝度が切り替わり、明るく細部が見えるようになる
すり鉢状の地面の中央は盛り上がり、頂部が平らな丘をなしている
別ウィンドウが開き、視野の一部がズームアップされる
中央丘の頂部には、五つの巨大な十字架が不ぞろいに立っている
目を見張るシンジとレイ
シンジ「きっとあそこだ」
レイ「うん」
眼下を見ると、先ほどの壁面材が土煙を上げて転がり落ちていく
かかとを滑らせるようにしてバランスを取りながら坂を下りはじめる初号機
やがて傾斜が緩やかになる
さきほどの壁面材が横たわっている
丘に向かって走りだす初号機
中央の十字架にだけ、白い巨大な人型が磔になっているのが見えてくる
シンジ「あれだ!」
丘の斜面を登り始める初号機
しだいにきつくなる傾斜
傾斜に隠れていったん見えなくなった白い巨人の姿が、丘の縁からふたたび見え始める
うなだれた頭部には仮面がはまっている
以前、ネルフ本部の地下でミサトに見せられたリリスに酷似している
シンジ「まただ……これも僕のイメージなのか?」
丘の頂部は平地になっている
その縁に立ち上がる初号機
エヴァが歩くのにちょうどいい広さの石畳の道が白い巨人の十字架のほうへ続いている
AAから託された剣を握りなおす初号機
プラグ内、インダクションレバーを握ったまま、正面を見据えているシンジ
何かをためらう表情
レイ「どうしたの」
シンジ「僕は……僕にはマリさんを責める資格がないんだ」
シンジの横顔を見るレイ
シンジ「あのとき……綾波を助けてなかったとわかって――」
(回想)
ネルフ本部内
アヤナミレイ(仮)のうつろなまなざし
壁に投げつけられるヘッドフォンステレオ
シンジ「――やりなおしたいって思ったんだ」
プラグスーツの圧着スイッチを押すカヲルとシンジの後ろ姿
シンジ「これでやりなおせる……カヲル君といっしょにネルフ本部の地下に降りたとき……そのことで頭がいっぱいだった」
ネルフ本部の地下
無数のしゃれこうべに埋め尽くされた穴の底に立つ第13号機
シンジ「そうするつもりだったんだ。そうすれば、ミサトさんや、アスカや――」
傍らのレイを見る
シンジ「――綾波を助けられると思って。でも――」
2本の槍を握って浮かぶ覚醒した第13号機のシルエット
空に広がっていく同心円状の極彩色のパターン
シンジ「僕は、もう少しでみんなを……」
顔をそむけるシンジ
シンジ「きょうだってそうだ。綾波が来てくれなかったら、今頃――」
その横顔を見ているレイ
右手をのばし、シンジの左の頬にそっと触れる
びくりと身を縮めるシンジ
レイ「碇くんは、悪くない」
目を開くシンジ
レイを見るシンジ
レイ「悪くない」
寂しげに笑うシンジ
シンジ「ありがとう、綾波」
頬に触れるレイの手に自分の手を重ねるシンジ
シンジの顔を見るレイ
正面に向き直るシンジ
インダクションレバーを握りなおす
シンジ「終わらせよう」
レイ「うん」
マリの声『待ちな、わんこくん!』
シンジ「えっ!?」
振り返るシンジとレイ
振り返る初号機
初号機の下方、いま登ってきた崖の中腹に8号機が立っている
頭の半分と左腕を失い、あちこち装甲が脱落して血まみれの姿
右手に先ほどの槍を携えている
8号機プラグ内、肩で息をしているマリ
マリ「やらせるわけにはいかない」
眼鏡の片方のレンズの縁にひびが入っている
マリ「悪く思わないでよ……ね!」
予備動作もなく初号機に槍を放つ8号機
思わず正面に左手を突き出す初号機
展開されるA.T.フィールドの輝き
フィールドがガラスのように砕け散り、槍が、かばう左腕もろとも初号機の頭部を吹き飛ばす
激しく揺れる初号機プラグ内
シンジ「うわあああ!」
レイ「きゃあああ!」
悲鳴を上げるシンジとレイ
内壁モニタがバチバチと閃光を放って消える
ブラックアウトするプラグ内
広間の反対側の壁に突き刺さる槍
貫かれた初号機の腕と頭部がぶら下がって揺れる
首と左肩の断面から激しく体液を吹き出しながら、どうと地面に倒れる初号機
崖の最後の傾斜を這うように登り、その縁に手をかけて停止する8号機
頸のカバーが開き、エントリープラグが半ばせり出す
プラグから這い出し、8号機の肩を伝って丘の頂部に降り立つ制服姿のマリ
右手に銃を握っている
断面から体液を滴らせている初号機の残骸の横をすり抜け、リリスのほうへ走っていくマリ
リリスの十字架の根元に台座を成す神殿のような建物があり、入り口が黒々と開いている
その前に立ち、リリスを見上げるマリ
マリ「またこいつか……ん?」
リリスの仮面がゆっくりとはがれ始める
マリ「あっ!」
あわてて飛びのき、地面に転がるマリ
仮面が糸を引きながら顔からはがれ、轟音とともにマリがいた場所に落下する
恐ろしげに仮面を見つめているマリ
おそるおそるリリスの顔を見上げる
マリ「ん?」
目をすがめる
仮面の下から現れたのっぺりとした顔が、次第に人の顔のような凹凸をなしていく
同時に、だぶついていた体の線が引き締まっていく
呆然と見守るマリ
:
:
マリのはるか後方、横たわる初号機の残骸、その頸部から半ばせり出したエントリープラグ
ハッチをこじ開け、シンジとレイが助け合いながら這い出してくる
立ち上がってリリスのほうを見上げ、息をのむ
シンジ「あれは……」
中央の十字架に両掌を打ち付けられているリリス
その顔立ちが次第に女性の顔立ちとなり、長い髪が形作られていく
シンジ「人間……マリ……さん?」
リリスが、目を閉じ、首をうなだれた巨大なマリの姿になっていく
:
:
呆然とリリスの顔を見上げているマリ
マリ「何これ……どういうこと……」
首を振るマリ
マリ「ううん、こんな手に乗るか!」
跳び起き、建物の入り口に走るマリ
:
:
=== 神殿のような建物内 ===
息を切らして入ってくるマリ
高い天井の広間
内面のすべてが古びた石造り
正面の石壁、翼を広げた始祖鳥の化石のような巨大な紋様
よくみると背中から6対の禍々しい翼を広げたヒトの姿
マリ「ハァ……ハァ……ここか……『天使の間』!」
首元からペンダントを取り出すマリ
円形のペンダントの縁を親指で抑えると二枚貝のように開く
中に金色の指輪が収められている
指輪の内面には複雑な紋様が刻まれている
銃をブラウスとスカートの隙間に挟み、右手で指輪をそっと摘まみ上げるマリ
再び前方の天使の像を見上げるマリ
マリ「文書のとおりだ……あそこに、これを収めるところが――」
指輪を左手に持ち替え、右手でふたたび銃をとる
ふと、足元に視線を移すマリ
広いフロアの一面に、石造りの細長い箱が並んでいる
蓋のない小さな棺のように見える
立ち尽くし、あたりを見回すマリ
眉をひそめる
マリ「私……ここ、知ってる?……どうして?」ハッ
部屋の向こう、いま入ってきたのとは別の入り口の暗がりで光が揺れ、足音が近づいてくる
さっと振り返り、そちらに銃を向けるマリ
やがて、背の低い人影が歩み入る
人物の背景は半ば透けており、かすかに光にふちどられている
マリ「ホログラム?」
マリの銃口が少し下を向く
防寒着を着込み、ときおり白い息を吐いている短躯の男性
懐中電灯であたりを照らしながら見回している
男性『何ということだ……』
マリ「!」
声を聴き、体をこわばらせるマリ
マリ「……え?」
あたりを見回している男性
光の加減で男性の顔が一瞬浮かび上がる
息をのむマリ
マリ「お父さん……」
ゲンドウの声『そうだ』
マリ「!」
さっと振り返り、銃を向けるマリ
ゲンドウが立っている
かたわらに立つユイ 白衣姿
ゲンドウ『きみの父君……そしてこの調査隊の隊長、真希波博士だ』
マリ「!」
ぎこちなく男性のいるほうを振り返るマリ
マリ「お父さんが……ここへ?……」
マリたちに気づく様子もなく探索を続けている真希波博士
ふと、動きを止める博士
目の前の棺を恐る恐るのぞき込み、息をのむ
顔を上げる博士
真希波博士『誰か! おおーい!!』
調査員の声『はい、先生!』
暗がりに反響する別の男性の声
靴音の響きに続いて懐中電灯の光が現れる
調査員『どうしたんです?……あっ――』
博士の前の棺を覗き込み声を失う
自分の防寒着を脱ぎ始める真希波博士
真希波博士『予備の防寒着をたのむ! それとカイロを……早く!』
調査員『は、はい!』
走り去る調査員
身をかがめて棺の底に両手を差し伸べ、今脱いだ防寒着に包んだ何かを持ち上げる
マリ「!」
博士の腕に、防寒着にくるまれた幼女が抱かれている
まだ1歳くらい、純白のワンピースのような服
すやすやと眠っている
マリ「なにこれ……何なの、ここは――」
ゲンドウ「君が保護された場所だ」
マリ「!」
ゲンドウ「真希波博士は、ここで君を見つけた」
マリ「ちがう! 私は――」
ゲンドウ「ユーロのとある孤児院で真希波博士に引き取られ、養子となった。そういうことになっている」
マリ「うそだ……」
ゲンドウ「ここをだれが、何のために作ったのか、今でもわからない」
調査員『博士! 持ってきました』
幼女を調査員に預け、震えながら予備の防寒服を着込む真希波博士
周囲を見回す調査員
調査員『なんてことだ……これが全部そうですか?』
真希波博士『ああ。しかし、息があるのは、この子だけのようだ』
幼女が収められていた棺の隣
別の棺の底に小さな骸が横たわっている
同様に骸を収めた棺が一面に並べられたフロアの俯瞰
ゲンドウ「彼らは、後に真希波タイプと呼ばれるようになった。君はその生き残りだ。君が外典の記述に素晴らしい洞察を働かせることができたのは、恐らく偶然ではない」
眠っている幼女の顔を覗き込んでいる博士
ゲンドウ「君は委員会を……ゼーレを利用した。しかし、彼らもまた、君の力を利用していたのだ。いや、君自身が運命の一部だった」
唇を震わせて目を見開いているマリ
ゲンドウ「ネオンジェネシスは、存在しない」
マリ「存在……しない?」
ゲンドウ「君がここへ来るには、それが必要だった。それだけのことだ」
言葉を失うマリ
ゲンドウ「人類の補完を行うか否か。選択肢は初めからそれしかなかった。そして――」
部屋を出ていく真希波博士と調査員
ゲンドウ「ここが、最後の選択がなされる場所……君が帰ることを運命づけられた場所だ」
マリ「存在しない……」
力なく床に座り込むマリ
左の手のひらに指輪が載っている
(回想)
冬月「人には“希望”という光が与えられている」
2番艦のブリッジに立つ冬月
その後ろ姿を見ているマリ
声を震わせるマリ
マリ「存在……しない……」
冬月「だが希望という病にすがり、溺れるのも人の常だ」
石棺の並ぶ床を見回すマリ
マリ「同じだ……」
銃を取り落とし、右手で顔を覆うマリ
マリ「人類全てを巻き添えにするのは御免こうむりたいにゃ」
マリ「同じだったんだ……私も……」
すがるような目でユイを見上げるマリ
マリ「ユイさん……」
涙を浮かべて問いかけるマリ
マリ「どうしたら……私は……私はどうしたらいい? ユイさん!」
寂しげな笑みを浮かべてマリの前に膝をつくユイ
額にかかった前髪をそっとかき上げてやる
ユイ「あなたはもう、答えを知っているはずよ、真希波さん」
:
:
=== リリスの前 ===
息を切らせて石畳を走るシンジとレイ
シンジ「あそこだ! マリさんが入っていった――」
《神殿》の入り口が大きくなってくる
シンジ「どうしよう……マリさんを止めないと!」
ふと眉をひそめるシンジ
建物の入り口に人影が現れるのを見て歩度を緩める
声を潜めるシンジ
シンジ「誰か来る!」
薄明りのもとに歩み出るゲンドウ
シンジ「父さん……母さん!」
ゲンドウの後方、神殿の入り口に立つユイ
その傍ら、入り口の柱材に身を預けてかろうじて立っているマリ
シンジ「マリさん……」
シンジの前に立つゲンドウ
ゲンドウ「よく来たな、シンジ」
シンジ「リツコさんが……みんなが助けてくれたんだ」
ゲンドウ「そうか」
口元に、かすかに誇らしげな笑みを浮かべるゲンドウ
ゲンドウ「時間がない。これが最後だ」
マリのほうをみるゲンドウ
シンジたちに気づき、視線を上げるマリ
マリ「シンジくん……」
こちらを見ているシンジとレイ
ユイ「さあ、真希波さん」
ユイの顔を見るマリ
微笑んでいるユイ
あきらめたようにかすかにうなずき、ユイの手のひらに指輪を預ける
シンジたちのほうに歩いてくるユイ
ユイ「シンジ、これを」
指輪を差し出すユイ
その手を見つめるシンジ
唇を引き結ぶ
シンジ「うん」
指輪を受け取り、握り締めるシンジ
ユイの目を見上げるシンジ
うなずくユイ
背後を振り返るシンジ
首のない初号機が横たわっている
初号機に向き直るシンジ
重々しい音とともに、初号機が身を縮め、起き上がろうとする
そちらへ歩き始めるシンジ
続くレイ
身を起こし、傍らに転がっていた剣に手を伸ばす初号機
動くたびに首と左肩の破断面から体液がほとばしる
膝を立て、シンジたちの前に剣の基部を差し出す初号機
歩み寄り、樋の基部、中心線近く、使徒が崩壊した際に現れる光の十字架のような紋様
その中心のくぼみに指輪をはめ込むシンジ
紋様の複雑な溝部が輝き始める
立ち上がる初号機
初号機の足元で、リリスのほうに向きなおるシンジ
右腕をまっすぐ前に伸ばすシンジ
少し遅れてその動きをなぞり、剣を握った右腕を正面に伸ばす首のない初号機
剣先がマリの姿をしたリリスの額にぴたりと据えられる
ふと《神殿》の入り口に目をやるシンジ
座り込み、両腕を地面について体を支え、泣き出しそうな表情で何か言いたげにその様子を見ているマリ
少し後ろめたそうな表情を浮かべるシンジ
その横顔を見ているレイ
シンジに歩み寄り、右腕に手を添える
レイ「碇くんだけで、背負わなくてもいい」
シンジ「綾波……」
シンジの右に寄り添うレイ
レイ「私も、いっしょにする」
左手で、シンジの右手を手のひらから包み込むように握る
レイ「碇くんが背負っているものを、半分、引き受ける」
レイの横顔を見るシンジ
レイ「14年前、碇くんがエヴァ初号機に乗らなかったら……私が乗っていたら……だから――」
微笑むシンジ
シンジ「ありがとう、綾波」
リリスに向き直るシンジとレイ
初号機が掲げる剣が輝き出す
剣の根本から光の筋が伸びあがり、初号機の右手を包むように幾重もの結び目を描き出す
たがいの腕を斜め上に振り上げるシンジとレイ
それにならい、剣を持ち上げる初号機
:
:
=== 丘の広間の入り口 ===
広間の斜面上、初号機が開けた穴の縁に立つ満身創痍の12号機
あちこちの装甲がはがれ、ほぐれた筋繊維のようなものがところどころではみ出している
その掌に乗る3人のAA
手をひさしのように目の上にかざし、見晴るかすAA1
AA1「あちゃー、もう始まってる!?」
AA2「ほんとだ! 急がないと!」
斜面を下り始める12号機
丘の上、リリスの前で剣を振り上げて立つ首のない初号機の後ろ姿が見える
AA3「ねえ、なんか、ケーキ入刀って感じ?」
揺られながら、12号機の顔を見上げ、楽しげに言うAA3
AA4の声『馬鹿言ってないで、しっかりつかまって!』
:
:
=== リリスの前 ===
腕をすうっと振り下ろすシンジとレイ
初号機の輝く剣が振り下ろされ、先端がリリスの顔の正中線をかすめる
正中線に細い光の筋が残る
筋が輝きを増し始め、次の瞬間、強烈な輝きを放つ
シンジ「うっ!」
思わず顔をかばうシンジとレイ
まばゆい光を全身に浴び、初号機の装甲が彗星のように後方に尾を引きながら蒸発し失われていく
黒ずんだ素体だけになった初号機が、轟音とともに仰向けに倒れこみ動かなくなる
リリスの外皮が正中線から水風船のように破裂し、L.C.Lと化して四散する
一同の頭上から降り注ぐL.C.Lの雨
髪や衣類の裾からL.C.Lを滴らせながら立ち尽くすシンジとレイ
L.C.Lの雨が小降りになり、やがて収まる
《神殿》の入り口に歩み寄るシンジ
シンジ「これで……本当に終わったんだね」
ゲンドウ「ああ」
足元でL.C.Lが小さな川となり、地面のくぼみを縫って流れていく
と、低い地鳴りが始まる
あたりを見回すシンジとレイ
:
:
=== 丘の広間 俯瞰 ===
地鳴りとともに、天井や壁面から細かな砂埃が落ち始める
斜面から小石がいくつか転がり落ちる
:
:
===《神殿》の入り口 ===
シンジとレイを見下ろすゲンドウ
ゲンドウ「行け、シンジ、レイ。ここはもう終わりだ」
シンジ「父さん……」
次第に大きくなる地鳴り
倒れたまま動かない初号機を振り返るシンジ
シンジ「でも……どうしよう――」
AAの声『ヘイカノジョ! 乗ってかなーい?』
シンジ「!」
崖の縁から姿を現す12号機の巨体
差し出した左手のひらに乗る3人のAAたち
AA1が快活に手を振っている
ユイ「シンジ」
シンジ「母さん……」
ユイ「真希波さんを」
力なく座り込んでいるマリ
うなずくシンジ
歩み寄るシンジ
シンジ「マリさん」
マリ「行って、シンジくん。いまさら、どの面さげて出て行けって言うの……」
シンジの顔を見ようとせず、力なく首を振る
マリ「どんな顔して、アスカに会えって――」
ユイ「真希波さん」
マリの手を握るユイ
ユイ「生きて、真希波マリさん」
首を振っているマリ
ユイ「生きて。そして、すべてを見届けて。これからのこと、全部。私たちの代わりに」
すすり泣いているマリ
ユイ「あの子の――式波さんのことも」
ユイの顔を見上げるマリ
微笑むユイ
ずり落ちたマリの眼鏡をそっと直してやる
かがんでマリに手を差しのべるシンジ
シンジ「さあ、行こう。マリさん」
観念したようにうつむき、右手を差し出すマリ
マリ「うん……行こう」
その手を握るシンジ
立ち上がるマリ
その左手を握り、力を貸すレイ
ユイの声「レイ」
振り返るレイ
ユイ「はじめまして、レイ」
微笑むユイ
レイ「あなたが……ユイさん」
ユイの顔を見上げるレイ
右手を差し出すユイ
その手を見つめ、おずおずと握るレイ
レイ「はじめまして――」
ふと考えるレイ
レイ「いいえ、初めてじゃない。この感じ、知ってる」
(回想)
青白い光の中、レイを抱きしめて浮かぶシンジ
シンジとレイの髪が揺れている
レイ「ずっと……あなたがそばにいた気がする」
はっとするユイ
ユイ「わたしも……あなたがそばにいた気がする」
感触を確かめるようにユイの右手を握りなおすレイ
レイ「暖かい」
ユイ「会えてよかった」
ユイを見上げるレイ
ユイ「ありがとう、レイ。いままで、ずっと」
微笑んでいるユイ
その顔を見上げているレイ
ユイ「元気でね」
うなずくレイ
レイ「ありがとう」
手をほどくユイとレイ
シンジ「さようなら。父さん、母さん」
ゲンドウ『さらばだ、シンジ』
輝き、薄らいでいくゲンドウとユイ
息をのむシンジ
シンジ「父さん!」
次第に薄らぎ、光の粒子となって消える
シンジ「ありがとう……父さん、母さん」
光の名残を見て立ちつくすシンジ、レイ、マリ
AA1の声「おーい! 急いで急いで!」
声のほうを見るシンジたち
AA1がメガホンのように口に左手を添え、右手をこちらに振っている
その向こう、12号機がひざまずき、初号機の素体からエントリープラグを引き出している
その様子をAAたちが見あげている
そちらへ駆け出すシンジたち
自ら首のエントリープラグを引き抜いて地面に横たえる12号機
引き抜かれたプラグのハッチからAA4が這い出して来る
シンジ「何やってるの?」
立ち上がるAA4
少し傾いていた眼鏡を、すました顔でなおす
親指で後方を指す
AA4「だってあれがないと、出口、わかんないでしょ?」
12号機が初号機のエントリープラグを自らの首元に差し込もうとしている
きょとんとするシンジ
レイに伴われて追いついてくるマリ
AAたちから少し離れた場所で立ち止まり、うつむくマリ
そのようすを見ているシンジ、レイ、AAたち
マリに歩み寄り、まじめくさった顔で値踏みするようにマリを見るAA1
AA1「そういう格好してると、女子高生みたいだね!」
驚いた顔でAA1を見るマリ
不満そうに横を向く
マリ「あ……当たり前でしょ。16のときのままなんだから」
吹き出すAAたち
腹を抱え涙を流して笑っている
笑いをこらえるシンジ
きょとんとしているレイ
マリ「あんたら、笑いすぎ!」
真っ赤になってにらむマリ
AA4「あー可笑しい。――さ、みんな乗った乗った!」
めいめい12号機に向かって歩き出す
シンジの肩をぽんぽんと叩くAA4
AA4「ナビよろしくね、碇くん」
12号機が身をかがめ、一同の前に左手を差し出す
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土煙を上げて斜面を駆け降りていく12号機の後ろ姿
絶え間なく続く地鳴り
天井から落ちてくる大小の瓦礫
突如、12号機の近くの地面が破れ、白い噴気があがる
すり鉢状の地形のあちこちから噴気が上がり始める
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丘の縁、その姿を見守っているゲンドウとユイ
緑色の輝きに縁どられている
後ろから歩いてきた別の人影が、二人の傍らに立つ
振り返るゲンドウとユイ
同様に輝きをまとった、防寒着姿の真希波博士が立っている
ゲンドウ「お久しぶりです、真希波博士。いや――」
博士を見下ろしているゲンドウ
ゲンドウ「――議長」
真希波博士「うん?」
ゲンドウを見上げる真希波博士
いつのまにかバイザーをかけている
真希波博士「ああ、真希波というのは母方の名でな。いや失敬」
いつのまにか黒装束をまとい、伸びた白髪を肩から垂らしている
議長「私は夢を……長い夢を見ていたような気がする」
ゲンドウ「そうかもしれません」
議長がいた場所に赤い紋様が光る黒い石板が浮かんでいる
ゲンドウ「結局、我々が理想とした結末は、どれひとつとしてかないませんでしたな」
真希波博士「そのようだな」
また優しい目をした防寒着姿の男性が立っている
ユイ「あとは……彼らが決めることです」
真希波博士「そのとおりだ」
顔をほころばせる真希波博士
真希波博士「よい。全ては、これでよい」
砂埃を上げながら小さくなっていく12号機の後ろ姿を見送っている3人の人影
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=== ゴルゴタ・オブジェクト内の通路 ===
暗い通路を走る12号機
エントリープラグ内
インダクションレバーを握り、モニタの一隅のマップ表示を時折目でたしかめながらエヴァを駆るAA4
プラグ内部はすし詰め状態
両側の補助席にそれぞれ着くレイとシンジ、その後ろでインテリアシート側面の把手を握ってプラグ内面にじかに座るマリと3人のAA
シンジの後ろにマリ、AA1
レイの後ろにAA2、AA3
通路は絶え間なく地鳴りが鳴り響き、大小の瓦礫が降り注ぐ
突然、12号機の足元の床が崩れ、深い穴が口を開く
滑り落ちる12号機
AA1「きゃあああ!!」
大きく揺さぶられるエントリープラグ内
伸ばした手がかろうじて穴の縁をつかみ、ぶら下がる12号機
プラグ内、ひっくり返っている面々
シンジ「いてて……」
AA1「痛ったーい……」
口々に不満をもらすAAたち
シートからずり落ちて尻もちをついたシンジの前に仰向けにひっくり返っているAA1
はっとシンジの顔を見てスカートのすそを押さえる
シンジを指さして、
AA1「あー! パンツ見たなあ!」
シンジ「み、見てないよ!」
もがいているAAたち
シートの背もたれにつかまり、後ろのマリの様子を見るシンジ
シンジ「大丈夫? マリさん」
マリ「えっ?」
額を押さえて顔をしかめているマリ
マリ「うん、なんとかね」
ごそごそと定位置に戻ろうとするAAたちを見るマリ
AA1「……なに?」
マリ「たくましいね、君たち」
顔を見合わせるAAたち
AA1「あったりまえでしょ?」
にっと笑うAA1
AA1「呪わしきセカンドインパクト後の生まれですから」
きょとんとし、苦笑するマリ
AA4「ほらあ、早く戻りなさい! 出発するよ!」
穴の縁に這い上がり、また駆け出す12号機
:
:
=== ゴルゴダ・オブジェクト外観 ===
濁った色とりどりの雲に覆われた空間
紋様が刻まれた石板のようなもので埋め尽くされた壁
その一角、何度かくぐもった衝撃音に続いて壁面の一部が外に向かって吹き飛び、巨大な足が蹴り出される
穴の縁に手をかけ、身を乗り出す12号機
:
プラグ内
暗い壁にぽっかり空いた四角い穴から空が見えている
一同の顔がぱっと明るくなる
AA1「やった! 出口だー!!」
マリのうしろ、こぶしを突き上げるAA1
:
オブジェクト外観
薄明るい空を背景にゆっくりと回転する巨大な十字架
その壁面の一隅にぽつんと黒い開口部が見える
這い出してきて壁面に立つ12号機
ときどき外壁が震動し、大小の瓦礫が周囲に散らばっていく
:
プラグ内
AA4「どっちに飛び出せばいいの」
マップ画面、構造物の周囲をめぐるように緑色の輝点がゆっくりと回転している
圏界面を表す文字表示
黙ってそれを指さすレイ
シンジ「うん、あれだ!!」
AA4「オーケー……」
プラグ内面モニタの映像、オブジェクトの自転に伴い、背景の雲が移ろってゆく
オブジェクトの長軸方向に向き直る12号機
頸部のカバーが開き、シンジたちが乗ったエントリープラグがシュッとせり出す
それをつかみだす12号機
また揺れるプラグ内
AA1「うわあ~!」
AA4「しっかりつかまって!」
輝点がマップ上でオブジェクト長軸方向にまわってくるタイミングを計るシンジ
インダクションレバーを握って正面をにらんでいるAA4
シンジ「3……2……1……いまだ!」
レバーを勢いよく押し込むAA4
軽やかに助走をつけ、外壁の縁でプラグを投擲する12号機
長軸まわりをゆっくりスピンしながら、灰色の空間を矢のように切り裂いていくエントリープラグ
プラグを投げたあと、糸が切れた操り人形のように力なく外壁の縁にくずれおち、そのまま滑り落ちる12号機
プラグ内、振り返りつぶやくAA4
AA4「さよなら、エヴァ12号機――」
回転する視野の後方、12号機が虚空に落ちていく
AA4「――最後までありがとね」
極彩色の竪穴を上へ上へと突き進むエントリープラグ
上昇していくプラグの上方に、赤紫に波打つ水面のようなものが迫ってくる
マイナス宇宙との圏界面を貫いて飛び出すエントリープラグ
後端のジェットが点火し、急激に加速してさらに上昇する
シンジ「うううう!!」
ガタガタと激しく震動するプラグ内
目をつぶって耐えるシンジたち
氷原のようなL結界面を突き破って飛び出すプラグ
六角形のタイルのような板が舞い散る
後端から灰色の煙の尾を引いて、みるみる加速しながら赤い空へ斜めに昇っていくプラグ
ロケットが燃え尽きて噴射炎が途切れ、そのまま弾道を描いて地平の向こうに小さくなっていく
:
:
オブジェクトの外壁の接合部を縫うように何度も電気火花が駆け抜ける
外壁材が接合部でばらばらに分解し、重心に向かってつぶれていくゴルゴダ・オブジェクト
崩壊に伴って次第に回転が速くなる
さらに縮んでいくオブジェクト
閃光
崩壊するマイナス宇宙
大爆発
南極大陸に屹立する巨大な光の十字 その上にかかる虹
宇宙空間に達する爆炎がゆっくりと変形しながら広がっていき、煙の尾を引いた無数の赤熱した岩塊が弾道を描いて周囲に落下していく
南極大陸周辺の赤く染まった海域につぎつぎに立ち上る巨大な水柱
:
:
=== 浜辺 ===
波の音
打ち寄せる青い波
砂浜に打ち上げられ、半ば水に浸かっている初号機のエントリープラグ
広がったパラシュートがプラグの近くの海面で波にもてあそばれている
プラグ側面のハッチが開いており、内部は浸水している
裸足で波打ち際にたたずむ制服姿のマリ
寄せては返す波がくるぶしを洗っている
右手に握られたペンダントを見つめているマリの後ろ姿
海岸線から少し離れた荒れはてた丘
その上に立つ壊れかけた看板
かろうじて「昭和基…」と読める
晴れ渡る空
内陸のほうには黒々とした巨大な雲の塊があり、時折稲妻がまとわりついている
遠雷がかすかに轟いている
砂浜
目を閉じ、仰向けに横たわるシンジの顔
シンジ「う……」
少しうめいて眉をしかめる
:
:
暗闇
次第に上下に開けていくシンジの視界
髪の長いレイが心配そうにのぞき込んでいる
砂浜に座るレイに膝枕されているシンジ
シンジ「綾波……」
安心したように微笑むレイ
身を起こすシンジ
海岸線を歩いてくるAAたち
手を振っているAA1
立ち上がり、手を振り返すシンジ
と、かすかに響き渡る爆音
上空を見上げるシンジとレイ
マリとAAたちも空を振り仰ぐ
爆音がしだいに大きくなる
近づいてくる数機のティルトローター機
機体にヴィレのマーキング
操縦席で何か後部に向かってしゃべっているスミレ
頭上を通り過ぎるティルトローター機
それをめいめい見送るシンジたち
ローターが巻き起こした風に髪や衣類がはためく
=== ティルトローター機 機内 ===
ローター音に満たされている機内
ヘッドフォンをし、操縦席についているスミレの後ろ姿
振り返って大声で、
スミレ「あそこに降りられそうです!」
操縦席越しに身を乗り出すリツコ
窓越しに砂浜の幅の広い部分が見えている
リツコ「いいわ! お願い!」
後ろで席を立つマヤ
=== 砂浜 ===
上空を旋回して戻ってくるティルトローター機群
その動きをめいめいの位置から見ているシンジたち
機体側面のドアが開き、身を乗り出すリツコとマヤ
笑っている
浜辺で笑顔で手を振っているシンジたちの俯瞰
浜辺に向かって高度を下げていくティルトローター機群
:
:
=== エンドロール ===
スタッフロールと並行して
(音楽 「One Last Kiss」別アレンジ)
ベッドの上 朝
目を開けるアスカ
頭と左目に包帯が巻かれている
ところどころ包帯を巻かれた両手を顔の前にかざしてみるアスカ
ぼんやりと顔をめぐらす
少し離れた台所で何かしているケンスケの後ろ姿
:
第三村の船着き場
航空甲板を備えたオレンジ色の船が沖に停泊している
はしけから降り立つシンジ、レイ、マリ、AAたち
周りに集まってくる村人たち
涙を流しているおばさんもいる
シンジたちの後ろから加わるリツコ、マヤたち
ふと顔を上げるマリ
人並みの向こう、腕組みをしたアスカがこちらをみている
悲しげな顔になるマリ
マリの様子に気づいて、そちらを見るシンジ
問いかけるようにシンジを見るマリ
真顔でマリを見つめ返すシンジ
目を伏せ、アスカの方へ歩き出すマリ
その姿を目で追うシンジとレイ
アスカと相対するマリの後ろ姿
大げさな身振りでアスカを抱き締めるマリ
驚いて抜け出そうとするアスカ
マリの表情を見たのか、もがくのを止める
マリの肩が少し震えている
目を閉じ、大人しく抱きしめられているアスカ
マリの背中を少しさすってやる
その様子を見ているシンジとレイ
後ろで村の女性たちに質問攻めにされているAAたち
:
共同墓地
目を閉じてアヤナミレイ(仮)の墓標に手を合わせるシンジとレイ
立ち上がるシンジとレイ
隣を見る
別のふたつの墓標に静かに手を合わせているリョウジ
墓標の一方には十字のペンダント
その後ろでこうべを垂れているリツコ、マヤほかヴンダーのメンバー
:
第三村 朝
降り注ぐ陽光
操車場広場をあわただしく行き来する人々
:
とあるバラック
数人がかりで据え付けられる大きなガラス製の円筒容器
多くの配線が取り付けられたガラス管にL.C.Lが満たされている
目を閉じてL.C.Lに浸かっているレイ
配線の先、折り畳み机に置かれた端末でモニタを監視しているマヤとリツコ
壁際に並べられたパイプ椅子に腰かけ、順番を待っているラフな服装のAAたち
戸口から恐る恐る覗き込む小学生くらいの男の子たち
その前に腰に手をあてて立ちふさがるアスカの後ろ姿
慌てて逃げていく男の子たち
:
村の学校
子供たちに混じって、席についているAAたちの後ろ姿
伸びをして大あくびをする制服姿のAA1
その額に飛んできたチョークが命中する
不満そうな顔で額をさするAA1
笑う周囲の子供たち
:
棚田
村人たちと並んで稲刈りをしているレイ、AAたち
額の汗をぬぐうレイ
長い髪を束ねてまとめている
作業後の共同浴場で村の女性たちと談笑するレイ、AAたち
:
村外れの荒地
崩れた道路の復旧作業をしている男たち
首からタオルを下げたシンジ、リョウジも混じる
:
村の建物の一室
机を囲む大人たち ケンスケ、トウジも
机に広げられている芦ノ湖周辺の地図を指さし、何かさかんに相談している
:
コア化が消えた緑の山々 日が暮れていく
季節がうつろい、落葉し、雪が積もり、消えていき、また新緑が芽吹く
:
傾いた道路案内標識 直進方向は「新第三東京」「Tokyo III」
標識の下の荒れ果てた舗装路を、車と徒歩で移動していく村人たち
道路わきに立つ機能停止した巨大なL結界阻止装置
悪路に揺られながらゆっくり走るトラック
その荷台ではしゃいでいる子供たち
ザックを背負って歩いていくケンスケとアスカ、マリの後ろ姿
:
夜
野営する人々
揺れる焚火の明かりを囲むように並んだ車両、テント群
子供たちに道具の使い方を教えているケンスケ
それを笑みを浮かべてみているヒカリと、ツバメをおぶったトウジ
黒々と横たわる山々のシルエットの向こうに満天の星空
:
朝
国道の坂を登り切り、峠に立つ人々
あたたかな陽光が降り注いでいる
眼下に視界が開ける
木々が芽吹き始めた芦ノ湖畔を見下ろしている人々
シンジ、レイ、アスカ、マリ、ケンスケ、後ろにAAたち
:
荒れ果てた湖畔
青い湖水から突き出た建物の白い残骸
首と片側の翼が失われた天使の像の上
ワイシャツと学生ズボン姿で腰かけているカヲル
顔を上げ、一同がやってくるはずの方角を見て微笑む
峠道を下ってくる人々と車の列が豆粒のように見える
再び天使の像
誰もいない
:
峠を下る人々の後ろ姿
最後尾、快活に歩きながら、隣を歩くレイを見るシンジ
気づいて微笑み返すレイ
麦わら帽子の下、腰までかかる長い青い髪が風に揺れる
差し出されるシンジの左手
それを握るレイの右手
顔を見合わせ、走り出すシンジとレイ
人と車の列を追い越し、坂を下っていくシンジとレイの後ろ姿
その向こうで芦ノ湖の湖面がキラキラと輝いている
晴れ渡る空 白い筋雲
崩壊した山体からかすかに湯気をたなびかせる富士山と、青く輝く駿河湾
〔終劇〕
:
:
~~~~~~
黒地に画面いっぱいの白い文字「予告」
(予告編BGM)
次々に映し出されるテレビ版、漫画版、新旧劇場版の短いカットに挟まって、
レイ「エヴァンゲリオンのお話は、」
シンジ「ひとまずこれで終わりです」
ヒカリ「長いあいだご視聴いただき、」
トウジ「ほんまに、ありがとさん」
ツバメ「アー」
サクラ「じょうずー!」
アスカ「あたしたちの物語は、」
ケンスケ「まだまだ続いていきますが、」
加持(父)「それはまた、」
カヲル「別の話」
ゲンドウ「ああ、問題な――」
ユイ「あなた!」
マリ「まーまー」
冬月「恥をかかせおって……」
群れを従えたペンペン「クェー」
リツコ「でも、いつかまた、」
ミサト「どこかでお会いすることがあったら、」
マヤ、マコト、シゲル「その時は、」
スミレ、ミドリ、ヒデキ、高 雄「きっと、」
議長、委員たち「ぜひとも、」
アヤナミレイ(仮)を囲んでAAたち「全身、」
トウジ父、加持リョウジ(子)ほか第三村の人々「全霊!」
カントク「全力で、」
(全員集合俯瞰絵)
全員「サービスサービス!!」
(BGM終わり)
〔映倫〕
おしまい
■備忘録
前スレを投下し終わってから、あれも足りないこれも足りないと思い始めて、一度追加修正パッチを投下しましたが、それでも足りなかったので観念して新スレにしました。
(補足)AA4がかけている眼鏡は、(わかるひとはわかると思うけど)某コラボ眼鏡のイメージです。
■過去スレ
〇最近の主な過去スレ(新しい順)
シン・エヴァ もう一つの終わり ※前スレ
シン・エヴァ もう一つの終わり - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1661003207/)
エヴァ Omit Scenes ※テレビ版~旧劇場版の追加シーン
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※Qのあとに書いた新劇場版の結末の妄想
シンジ「エヴァ最終号機?」(Bルート) - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1390831079/)
〇とりあえずのまとめスレのようなもの
「もしも~」のエヴァSSを振り返るスレ
「もしも~」のエヴァSSを振り返るスレ - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1614857995/)
その他、これまでに投下したものは、これらの文中リンクからだいたいたどれると思います。
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