神「この枷を足につければあなたは天界から落ちていき、舞い戻ることは叶いません」
天使「待ってください!何をお考え―――」
ガチンッ
天使「!!!」ズッ
神「あなたがより淫らになるように、神より愛の加護を」
天使「きゃああああぁぁぁぁぁぁ………………」
空に雲が尾を引き、羽と混ざりあう
私は天を仰ぎ、落ちていった。
落ちた場所 ↓1
天使「うう」
深い闇に沈んでいくような感覚の中
地に着いた私は目が覚める
天使「ここは…森?」
辺りを見回すとまばらに木が見えて
そう思ったのも束の間、木と木の間から覗く光景にすぐ気づいた。
天使「高い建物がたくさん…そうか、ここは人間の街…」
どうやら私は、人間の街がすぐ近くに広がる
少し高い丘に落ちたよう。
天使「っ、どうしよう…足枷が重くて飛べない、このままでは人間に見つかってしまう」
突如、主から放たれた言葉
その真意はわからないが、少なくともここはそういう場所なのだと
私は身の危険を感じずにはいられなかった。
ガサッ
天使「ッ―――!!」
背後から草をかき分ける音がした
人間だ
現れた人間 ↓1
私は、目が眩んでしまいそうだった。
お嬢様「そのお姿、天使様…!?」
振り向けざまに目に飛び込んできたのは
乳房。
視界を埋め尽くしてしまうほどのそれに一瞬、理解が遅れてしまったが
すぐさま聞こえた声で、それは紛れもなく人間についていることと
とてつもなく大きな乳房だということが分かってしまった
お嬢様「あっ///あっっ////」
人間は細い声を出しながら、髪と肉を揺らす。
その姿は一糸まとっておらず、私は次第に気を取り戻していき
天使「なんてはしたないっ!」
お嬢様「あああっ♡もうしわけありませんっっ♡」
この罪深き者をどうにかしなければ
天の施し ↓1
人間に歩み寄ろうとしたとき、足を引っ張る感覚に私は自分の身を思い出す。
私は堕天しているんだ
まだ実感も全くなく、なぜこうなったのかも分からないが
私はこの人間にどうすることもできなかった。
天使「っ!全く!」
とにかく、罪が漂うここに少しでもいたくなかった
お嬢様「お待ちください天使様ぁ…わたくしをお許しくださいぃ…」
腕で身体を覆うに覆えず身を震わせるその人間を背に
私はこの場を去った
天使「あの人間から離れたはいいものの、この先も人間の街だ」
翼をしまい、どこか安全な場所を見つけようと街を行く
ずいぶん発展しているようだが、場所のおかげなのかあまり人とは会わないが
天使「ん?あれは」
街を行く中で、ふと目に留まる
天使の目に留まったもの ↓1
向こうから体格のいい青年が歩いてくる
青年「こんにちは!見かけない顔ですね」
天使「…こんにちは」
一見気が良さそうだが、先ほどの痴女といい
落とされたここにいる者たちがどんなものか知れない
しかし一人で闇雲にこの街を歩くのも危ないので
とりあえずはまだまともそうなこの者に頼る他ないか。
天使「私この街に初めて来まして、どこか安静にできるところを知りませんか?」
青年「なるほど、では僕がこの街を案内しましょう。ちょうどいいところを知っていますよ」
案内された場所 ↓1
青年「着きました、ここです」
天使「喫茶店か」
中に入ると、夫婦と思える男女二人だけがカウンターの向こうにいた
他の席には人はいない
夫「やあ、いらっしゃい」
婦「あら、そちらべっぴんさんねえ」
青年「初めてこの街に来たそうで、案内してるんですよ」
どうやら青年と夫婦は顔見知りのようだ
青年「さあどうぞ、せっかくだし奢りますよ」
隣りに座られたが、当然私はお金は持っていないので言葉に甘えるしかない
天使「あ、ありがとうございます」
さて、どうしよう
あまりにも唐突に天界から追放されてしまって、心の整理がつきようにない。
ジャラッ
足につけられた枷
これがある以上、天界に戻ることはできないと言われていたがどうにかならないか
それに、主から想像もできない言葉
天使「私がより…淫らに…」
そこで思い出す
主は私がより淫らになるよう、加護を授けたと
神より愛の加護 ↓1
青年「いま、なんて?」
天使「!いや、なんでもないです」
青年「ん?それは足枷ですか?」
天使「あっ」
しまった、これはややこしいことになった
天使「えっと、これは」
青年「…言いたくなかったら、無理しなくていいよ」
口ごもる私に、何を勘違いしたのか青年はそう言うと
天使「えっ、ちょっ」
私を抱き寄せた
青年「辛い思いをしてきたんだね」
天使「なにするんですかっ」
青年「君の心を癒したい」
そして、青年は私の前髪を撫でるように流す
私は近い顔に嫌な予感がし、カウンターの方を見て助けを求めようとしたが
夫婦は店の奥に行ってしまっている
二人きりの店内でファンファーレが鳴っているような気がして
天使「主よ、まさかこれはあなたの導きですか…!?」
青年「心配しなくていいよ、僕が君を開放してあげるから」
天使「違っ、やめなさい!」
青年は天使の肩に手を置き、顔を引き寄せ―――
天使は青年を ↓1コンマ
偶数 突き放す
奇数 突き放せない
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