右京「特警?」竜馬「特命?」 (365)
相棒×ウインスペクターのクロスSSになります
とりあえず注意点
相棒側は相棒役が神戸さん、官房長も健在
ウインスペクター側が原作3話位の時期の設定になるので
ファイヤースコードもギガストリーマーも出ません。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1376235902
第1話 「特命と特警」
~警視庁~
特命係の一室
早朝、特命係の杉下右京警部は紅茶を片手に帝都新聞の朝刊を読んでいる最中であった。
そこへ職場の唯一の同僚が遅れて出勤してきた。
神戸「お早うございます。」
彼は神戸尊、階級は警部補。
以前は警察庁に所属していたがとある事情により現在は特命係に在籍している。
右京「お早うございます、ところであまりこんな事は言いたくもないのですが
キミが特命係に転属されてから僕よりも早く出勤した事がありませんね。
まぁ特命係は暇だからいいですけど上司よりも遅く出勤とは正直感心しませんねぇ…」
神戸「ゴホン、お言葉ですが出勤時間を守れているので職務上の問題には影響はありません。
それに僕が朝に弱いのは素行の問題ではなく健康上の問題ですので。」
右京「まったくキミはいつも一言二言多いですね、たまにはちゃんと反省してみては如何ですか?」
神戸「ですから…おや、その新聞は今朝の朝刊ですね。何々…」
そこには一面を大きく
―お手柄!警視庁特別救急警察隊!!―
と書かれていた。
神戸「どうやらあちらはまたご活躍だったようですね。」
右京「えぇ、警視庁特別救急警察隊、またの名を特警ウインスペクター、
発足以来目覚ましい活躍をなさっているようですよ。」
神戸「捜査活動と人命救助を両立させた新組織、まだ発足されて一ケ月程度で
もうこれほどの活躍とは…
新組織が優秀なのか、それとも現在の日本がそれだけ危険なのかどちらと見るべきでしょうかね?」
右京「さぁ、僕にはわかりかねますね…」
角田「よ、暇か?」
隣の部屋から現れた男性…
彼は特命係の隣にある、警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策第5課長の角田六郎
いつも特命係の部屋にコーヒーを淹れに来たり雑談をしに来たりしている。
神戸「お早うございます、コーヒーなら淹れたてのが出来てますよ。」
角田「おぉ!気が利くねぇ、それよりさっき廊下で騒いでたけど事件だってよ!」
右京「事件?」ピクリッ
角田「何でも都内のマンションで殺人事件があったとか…
それで見つかった仏さんなんだが妙な死に方をしてたんだってさ。」
神戸「そりゃ大変ですね、けど妙な死に方って?」
角田「俺もチラリと聞いただけなんだが死因は絞殺らしいが仏さんの首の骨が
粉砕されるくらいとんでもない腕力だったらしいて話だ!
おっかねえよな…」
神戸「そりゃ酷い…ですってよ杉下さん、…あれ?杉下さん?」
角田「警部殿なら…ほれ、もう外に行っちまってるぞ。」
神戸「もうあの人は…それじゃ行ってきます!」
角田「あぁ留守番は任せろ、それと捜一の連中には俺から情報聞いた事は内緒にしてくれよ!」
~都内某マンション~
被害者の部屋
伊丹「うへぇ、酷い死に方だな…」
芹沢「えぇ、直視出来ないっすよ…これシーツ被せときましょう。」
米沢「わかりました、それでは…」ガバッ
ブオン!!
伊丹「うん?随分と騒がしい車の排気音だな、暴走族でもいるのか?」
芹沢「まさか朝っぱらですよ、おまけにこんなに警察官がいる場所に近づく暴走族なんて…」
三浦「おいお前たち、無駄口を閉じろ!来たんだよ!」
伊丹「何だよ、どうかしたのか?」
芹沢「来たって何が来たんですか?」
三浦「噂の警視庁特別救急警察隊だよ!」
ザッザッザッ
ガシャン ガシャン ガシャン
三浦の言う通り警視庁特別救急警察隊がやって来た。
現れたのは一人の黒ジャンを着た青年と2体のロボットであった。
竜馬「失礼します、警視庁特別救急警察隊隊長の香川です。」
ウォルター「同じくサポートドロイドのウォルターと…」
バイクル「バイクルだがね、よろしくだや。」
伊丹「なんじゃありゃ!?」
芹沢「黒ジャンのお兄ちゃんと変なロボットが…」
伊丹「おいおい…アンタら何しに来たんだ!?」
竜馬「我々も今回の捜査に加わるようにとの命令が下ったので。」
ウォルター「私たちも捜査に参加します。」
バイクル「ワシらに任してちょ!」
伊丹「お前ら…現場を舐めてるんか…おい…」
三浦「待て待て、ちょっとお前らこっちに来い!」
部外者が現れ、思わずキレそうになった伊丹だが三浦が止めに入り事情を説明した。
三浦「今回の連中との捜査は上も了解済みだ、大人しく従え!」
伊丹「ふざけんな!あんな舐めた格好で捜査だ?笑わせんじゃねえ!」
芹沢「そうっすよ、連中は人命救助だけやってりゃいいじゃないっすか!
何で捜査にまで参加させるんですか?」
三浦「だから上の命令なんだよ、ただでさえ最近は警察の心象が悪いんだ。
そこで新組織の連中に活躍させて、世間の心象を良くしようって魂胆なんだろうよ…」
伊丹「たく上は現場を何だと思ってんだ!俺はそんなふざけた指示には従わねえぞ!」
三浦「ちなみにあの隊長の若造だが…階級が警視正だとよ…俺らよりも4階級も上だ。」
芹沢「警視正ってウチの中園参事官と同じ階級じゃないっすか!?」
伊丹「……」スタスタ
芹沢「ちょっ…先輩!短気はダメっすよ!?」
三浦「そうだ、抑えるんだ伊丹!」
慌てて止めに入ろうとするが伊丹の行動は二人の予想をはるかに超えていた。
伊丹「どうも~♪私捜査一課の伊丹と申します、どうぞどうぞ捜査なさってください♡
おい芹沢、この方々にお茶をお出ししろ!」スマイル全開
竜馬「え…いや…あの…御構い無く…」
三浦「伊丹…」
芹沢「先輩…見損ないましたよ…」
伊丹「黙れ!警察は階級が絶対なんだ!!」
右京「確かに警察は階級制度が絶対ですよね。」
神戸「けど僕たち皆さんに一度も敬意を払われた事が無いんですけど?」
三浦「これはこれは警部殿…」
伊丹「今度は特命かよ…」
芹沢「今日はまた早いご到着ですね。」
竜馬「失礼ですがあなた方は?」
右京「我々は…」
伊丹「こちらは警視庁でも特別暇で命じられればなんでもする係、
略して特命係のお二人でございます。」
神戸「酷い紹介ですね…」
バイクル「そんな部署があるんかいな?」
ウォルター「おかしい、私の電子頭脳には記載されていないぞ?」
竜馬「特命係…そういえば以前聞いた事あるような…」
右京「それよりも捜査状況はどうなっているのですか?」
伊丹「おっと…そうだった、ガイシャの身元は?」
芹沢「被害者は米村○二、仕事はシナリオライターでアニメや特撮番組の
脚本を書いてるそうです。」
神戸「死因は?」
米沢「死因ですか、それならガイシャを見た方が手っ取り早いですな。」バサッ
先ほどあまりにも酷い死体を隠すために覆われていたシーツが外された。
被害者の死体は首の骨を粉々に粉砕されており、おまけにその圧力で眼球が飛び出す寸前
とあまりにも残酷な殺され方をしていた。
神戸「うっぷ…」ダッ
バイクル「あんでまぁ、一人出て行ってもうたで?」
竜馬「彼大丈夫なんですか?」
右京「お気になさらず、彼は死体が苦手でして。
ところで米沢さん、現場から犯人を特定できる品は発見されましたか?」
以前まどマギとウインスペクターを含めた全メタルヒーローのクロスを書いた人かな?
期待。
米沢「それが何も…被害者の首元を締め付けた犯人の手形の痕の指紋も取れませんでしたし
部屋の中も被害者以外の指紋はありませんでしたね。
今現在わかっているのは犯人が片手で人間の首を粉砕出来るほどの握力を持った、
怪力の持ち主だという事ですかね…」
右京「片手ですか?」
米沢「ハイ、片手ですね。
この手形の後ですが…どう見ても右手のみで締め付けられています。
両手ではなく片手で…」
右京「…」
神戸「うげぇ…杉下さん、何かわかった事でもあるんですか?」
右京「犯人が両手ではなく片手で被害者の首を粉砕した、あり得ますかね?」
神戸「うぇ…勘弁してください、さっき朝食べたモノ全部出してきちゃったんですから…
それに子供相手ならともかく片手で大の男の首を目玉が飛び出るまで粉砕するなんて正直人間業じゃないでしょ…」
右京「そうですね、ひょっとしたら犯人は人間ではないかもしれませんねぇ…」
竜馬「…」
伊丹「それで被害者の死亡推定時刻は?」
米沢「昨夜の22時~0時過ぎといったところでしょうかな。
マンションの防犯カメラで確認取れましたが被害者が21時55分頃に帰宅する
映像が映ってましたから合っているはずですよ。
ちなみに防犯カメラにはその前後に犯人らしき人物は映っていませんでした。」
伊丹「それでガイシャを殺しそうな人間は?」
三浦「ガイシャは殺される前に仕事仲間と次の仕事の打ち合わせをしていたそうだ。
ちなみに打ち合わせしてた仕事仲間はその後飲みに行ってたのでアリバイがある。」
伊丹「となると怨恨の線は薄いか?」
米沢「怨恨ですか…それでしたら私に心当たりがあるのですが…」
伊丹「何だ、言ってみろ。」
米沢「ではちょっと…こちら亡くなった被害者のPCなんですがね、
こちらの掲示板に…ほら、ビッシリと!」
芹沢「何すかコレ?」
米沢「不特定の人間がネットを通じてアニメや特撮番組について
意見や議論を言い合う掲示板ですな。
かくいう私もこちらで何度か書き込んだりもしてますが…」
伊丹「それでこの掲示板が何だというんだ?」
米沢「ここを見て頂ければよろしいかと…」
伊丹「何々…米○正二を罵るスレッド?何だこの内容は!?」
『○村死ね!』
『クソ脚本乙!』
『もう脚本なんか書くな!』
『今日お前を殺す!』
芹沢「他にも口には出せないほど酷い文章がありますね…」
伊丹「それで何でガイシャはこんなに文句書かれてるんだ?」
米沢「実はこの仏さんはヲタクの人間にはかなり有名な方でして…
カオスな脚本ばかり書いててそれでファンの受けが最悪なくらい悪い方でしてな…」
伊丹「だからってここまで罵るモノなのかおい…」
米沢「伊丹刑事、ヲタクを馬鹿にしてはいけません。
特に特撮大好きな特ヲタ、アニメ声優大好きな声ヲタ、この二大ジャンルの恐ろしさと来たら…
以前とある女性声優さんに彼氏が発覚しただけで大炎上になりましたからそれだけ彼らは恐ろしいモノなのですよ…」
伊丹「馬鹿言うな!ひ弱なヲタクに大の男の首を片手で粉砕できるほどの力があるわけねーだろ!
よし、もう一度被害者の周辺で怨恨の線が無いか関係者を調べに行くぞ。」
芹沢「はい!」
三浦「それじゃ我々はこれで。」
捜一トリオは関係者の聞き込みに行き現場には特命係とウインスペクターが残った。
米沢「そうですか…やはりこの線は無しですかね?」
右京「いえ、そうでもありませんよ。」
神戸「何か気づきましたか?」
右京「このスレッドの最後の書き込み『今日お前を殺す!』ですが
コレ、書き込み時間が死亡推定時刻と一致しませんか?」
神戸「死亡推定時刻が昨夜の22時前後、それに対してこの書き込み時間は…
同じく昨夜22時ちょうど?確かに偶然とは考えられませんね。」
右京「少し調べてみる必要がありますね。」
神戸「とりあえずこのIPアドレスの身元を割り出してみましょうか。」
竜馬「それなら…ウォルター、頼んだぞ。」
ウォルターはPCに接続し書き込みのIPアドレスを調べた。
ウォルター「イエッサー、カチャカチャ 終わりました、書き込みをした人間の住所が判明しました。」
そして彼らは書き込みをした人間の家に聞き込みに行った。
~高級マンション~
ウォルター「このマンションですね。」
バイクル「さっきのマンションよりも高そうだで!」
右京「さて、行きましょうか。」
竜馬「その前に…あなた方はおここでお引き取りください。」
右京「それは何故でしょうか?」
竜馬「特命係、以前噂で聞いた事ありますけど…
確かあなた方は警視庁陸の孤島と呼ばれる…その失礼ですが窓際部署の方ですよね。
そんなあなた方が捜査をする権限は無いはずですが。」
バイクル「窓際部署?」
ウォルター「なるほど、だから私の電子頭脳にはインプットされていなかったのか!」
神戸「どうします杉下さん、痛いとこ突かれちゃいましたよ?」
右京「確かに我々には正式な捜査は出来ません、が…」
竜馬「が?」
右京「我々特命係は一応サイバー犯罪を取り扱う生活安全部に所属しています。
参考人はネットの掲示板に犯行声明を書いていました。
つまり参考人は掲示板に犯行声明を出したという事は被害者に対してPCでの脅迫行為を行った、
我々が捜査したところで職務上の問題は無いという事ですよ。」
神戸「コレ一応理屈は通ってますよね、まぁ香川さん。
この人に口勝負を挑んだら勝ち目はないですしここは仲良く事情聴取に行きましょう。
大丈夫ですよ、邪魔なんかしませんから。」
右京「えぇ、我々はあくまでお手伝いをしていると、思って頂ければそれで結構です。」
バイクル「なんや、妙に言いくるめられた感がするがな…」
ウォルター「隊長…どうしましょうか?」
竜馬「…わかりました、けど聴取の方は我々が行いますのでそれでよければ…」
ドーン
ゴオオオオオオ
しかし聞き込みに行こうとマンションに入ろうとした途端轟音と共に、
マンションから火災が発生したのだ。
竜馬「爆発だと!?」
神戸「そんな馬鹿な…何故…?」
右京「そんな事よりも今は住民の避難を!」
竜馬「火災は我々が何とかします、あなた方は例の書き込みをした人の
部屋に行ってください!」
右京「わかりました、それでは神戸くん行きましょう!」
神戸「この煙の中をですか…って杉下さんすぐに行かないでくださいよ!」
特命係の二人が参考人の部屋に乗り込みに行くのと同時に
竜馬はウインスコードの車内に乗り込みある言葉を叫んだ。
竜馬「「着化!!」」
ウィィィィィ
その瞬間ウインスコードの車内は紅く光り彼の身体はクラステクターという
紅く輝くメタルスーツに包まれた。
………
母親「キャァー!」
子供「助けてー!」
逃げ遅れた母子が助けを求めていた、そこへ特命係の二人が現れた。
神戸「大丈夫ですか!」
右京「しっかりしてください!」
子供「お母さん…」
母親「……」
神戸「ダメですね…母親は気絶しています、一旦戻りましょうか?」
右京「いえ…参考人の方の部屋もこの近くです、せめて参考人の部屋を訪ねてからでも遅くはないでしょう!
僕は母親を持つからキミは子供の方を頼みます!」
神戸「お言葉ですが、早く処置しないと母親は命が…ってまたいなくなってるし!
お嬢ちゃん、僕と一緒に付いてきて!」
子供「うん…」
~参考人の部屋~
神戸「ゴホッゴホッ!このマンションで一番火の出が酷いですね…
まさか火元はここでは…?」
右京「どうやら…そのようですね…ゴホッゴホッ…
この部屋の住人は何処にいるんでしょうか?」
―「うわぁぁ!?すまなかった、だから助けてくれ!」
―「……」
―「わかったよ…だから命だけは!」
いきなり犯人らしき人物に部屋の住人が襲われている現場を目撃する右京と神戸だが…
神戸「どうやらあの大男が犯人らしいですけど…」
右京「困りましたね、まさか犯人がいるとは予想していませんでした。
てっきりもう逃げたものかと思ってました…」
神戸「杉下さんにしては杜撰な発想ですね。
しかしこの男の風貌は…見るからに怪しすぎる…」
神戸の言う通り男は黒のロングコート、それにニット帽、そして全身を包帯で包んでと
その姿はまるで怪人ともいうべきシルエットであった。
大男「……」
―「おい…何をする?や…やめろ!」
ブンッ
大男は住人を特命係の二人に目掛けて放り投げた。
右京「神戸くん住人の方を!」ダッ
神戸「わかってます!」バッ
ガシッ
なんとか投げ飛ばされた住人をキャッチしたが大男が徐々に迫って来ていた。
神戸「やっぱり僕の言う通りに母親と子供を外に連れ出すべきでしたね。」
右京「えぇ…キミの判断はいつも正しい…」
神戸「まぁ…杉下さんが母子連れ出さずに住人の部屋に来てなかったら…
この住人は間違いなく死んでたから…そうも言えないんですけどね…」
大男「……」スッ
大男が特命係の二人の首を掴もうとしていた、しかし…
―「デイトリックM-2ショックウェイブ!」ドシュン
バチッ
大男「!」
颯爽と現れた男が二人のピンチを救った、その男とは…
ファイヤー「特警ウインスペクター隊長ファイヤー!貴様を現行犯逮捕する!!」
神戸「ウインスペクター隊長ファイヤー?」
右京「どうやら間に合ったようですね…」
ファイヤー「この場は私に任せてあなた方は避難してください!」
右京「それではここはお言葉に甘えて、神戸くん行きますよ!」
神戸「はい、わかりました!…ってこの住人太ってて滅茶苦茶重たっ!?」
そして火災現場の部屋に残ったファイヤーは大男と一騎打ちに挑んでいた。
ファイヤー「とぉっ!」ドガッ
大男「……」ガッ
格闘戦を挑んだファイヤーだが拳を満足に当てても大男はビクともしなかった。
ファイヤー「馬鹿な…クラステクターを装着した人間の拳だぞ!
並の人間なら吹っ飛ぶのに…こいつ何者だ!?」
大男「……」カッ
ファイヤー「うわぁぁぁ!」
大男に捕まれファイターは隣の部屋まで投げ飛ばされた。
大男「……」カツコツ
ファイヤーを倒したと思いその場を去ろうとする大男、しかし判断は間違っていた。
ファイヤー「うおおおお!」
大男「!?」
ドガァッ!!
ファイヤーは渾身の力を込めた拳を大男に命中させた、これにはたまらず大男も吹っ飛ばされてしまった。
ファイヤー「よし、これで…何!」
さすがのファイヤーも驚いた、大男はまだ動こうとしているのだから…
ファイヤー「こいつ…人間なんかじゃない、うん…何だ?
顔の包帯が取れて…そんな馬鹿な…こいつの正体は!?」
大男「……」ダッ
謎を残しつつ大男はすぐに現場から遠ざかった。
それから数分後―――
バイクルとウォルターの消火活動により火災は沈静化した。
そして建物の中から先ほど大男と戦闘を行っていたファイヤーが出てきたのだ。
ウォルター「隊長、お疲れ様です。」
バイクル「火災はワシらが頑張って食い止めたがね!」
プシューッ
ファイヤーのヘルメットのロックが解除されジョイント部分から水蒸気が漏れ出し
ヘルメットを取り出した。
中から汗だくになった竜馬の顔が出てきた。
竜馬「ぷはぁー!」
神戸「うわぁ…暑そう…」
右京「香川さん、犯人は?」
竜馬「すみません逃げられました、しかし現場にはこれが…」
そう言って竜馬が手から取り出したモノ、それは…
現場に残されたのはファイヤーが殴った際に破いた大男の包帯だけであった…
続く
とりあえずここまでです。
>>17
何故わかったし!
ちなみに書き込みをした参考人の名前が
いいのが思い浮かばなかったので募集したいと思います。
どなたかよろしければ書き込んでください
>>44
わかるわい!こんな独特の組み合わせ(誉め言葉)でSSが書けるのはアンタ位だよ!
前作のまどマギ×ウインスペクターの前日譚にあたるのかな?
あ、あといくら賛否両論ある人物であくまでも伏せ字によるパロディにすぎないとしても、
実在の人物をモデルにしたキャラを殺っちゃうのはいい気分しない人もいるかもしれんから気を付けた方がいいと思うよー。
まあとにかく乙!続きに期待。
第2話「それぞれの事情」
特警ウインスペクターとは、平和を愛し、友情を信じ、
人の命を守る為犯罪に立ち向かう、「警視庁特別救急警察隊」のことである!
ナレーター:政宗一成
遡る事数時間前
~警視庁~
特警ウインスペクター本部
正木「みんなよく集まってくれた。」
彼は正木俊介、この特警ウインスペクターの本部長であり、
またこの新組織を創設した男でもある。
竜馬「お呼びでしょうか本部長。」
正木「うむ、都内で奇妙な変死体が発見された。
まだ現場からの報告だけだが状況を見るにもしかしたら我々が対処せねばならん
事件になるかもしれん。
竜馬、今回の捜査はお前に一任する、全員心して掛かってくれ!」
竜馬「了解!バイクル、ウォルター出動だ。」ダッ
ウォルター「了解。」
バイクル「任せてちょ!」
正木「それから実はもうひとつ別件があってな…」
竜馬「?」
それから現在…
~警察病院~
ここ警察病院にて収容された参考人の男をウインスペクター、特命係による
合同の聞き込みを行っていた。
竜馬「では鳴滝さん、もう一度聞きます。
あなたは今回の事件に対して何も知らないと?」
鳴滝「あぁそうだよ、書き込みはしたのは認める。
しかしあんな大男には…正直心当たりがない…」
右京「…」
神戸「書き込みはお認めになるという事は、あなたには威力業務妨害罪が成立しますが…」
鳴滝「黙れ!アンタらはヤツの作品を観てないからわからないんだ!?
あんなふざけた作品作ったヤツは死んで当然だろ!!」
ちなみに彼が言ってる作品とは仮免ライダーシリーズという特撮番組である。
何年も続いている長期シリーズであり…
原作者は『とあるヒーロー』をモデルに描いたというがその詳細は定かではない。
バイクル「アンタなぁ…人がひとり死んでんねんで!
それやのに当然ってどういう事だがね?」
鳴滝「と…とにかく私は悪い事をしたとは思ってはいない!
あんな掲示板で冗談を書いたくらいで罰せられてたまるか!?」
神戸「残念ですが今はその冗談を書いたくらいで罰せられちゃうんですよね。」
竜馬「これ以上話してもろくに答えてはくれないだろう。
しょうがない、今日のところは引き上げるか。」
右京「その前に僕からもひとつよろしいでしょうか?」
鳴滝「な…何だ?」
右京「僕と神戸くんがあなたの部屋には行った時の事です。
『うわぁぁ!?すまなかった、だから助けてくれ!』
『わかったよ…だから命だけは!』
あなたは確かにこう仰いましたよね。」
鳴滝「そ…それが何だというんだ!?」
右京「『助けてくれ』…あの極限状態で命乞いをするのはわかります、しかし…
『すまなかった』…ここがわかりません、何故犯人に対して謝る必要があるんでしょうか?」
ウォルター「そういえば…」
バイクル「言われてみれば謝る必要なんてないわな!」
右京「次に…『わかったよ…だから命だけは!』と仰いましたね。
この言葉通りなら、『何か』をする、だから命だけは助けてくれ!…と
そう僕には解釈してしまうのですがね…」
竜馬「なるほど、そういう解釈が出来るわけか…
どうなんですか鳴滝さん?」
鳴滝「だから…私は…」
この尋問で一気に鳴滝を追い詰めようとしたがすぐに状況は一変した。
タイミング悪く捜一トリオが現れたのだ。
伊丹「ハイ警部殿、そこまでですよ!」
三浦「あとは我々がやりますのでどうぞお引き取りください。」
神戸「ちょっと待ってくださいよ!」
ウォルター「そうです、あと少しで何か喋ってくれるところだったのに…」
芹沢「だとしてもこの人犯人じゃないですよ。
同僚の方に聞き取りしましたが犯行時間のあった時間は職場で仕事してたのが
確認取れました。」
神戸「なるほど、書き込みは携帯端末から行われたと…
それならわざわざ自宅のPCを使う必要はありませんからね。」
バイクル「じゃぁ何でこの人狙われたんだがね!?」
伊丹「それは我々で調べますので、彼はこちらで保護します。
だから特命さんとそれと特警さんもどうぞお引き取りください!」
こうして伊丹たちは参考人の鳴滝を本庁に連れて行かれてしまった。
神戸「まったく…これじゃ肝心の話が聞けませんね。」
右京「それにしても何故捜査一課が被害者とはいえこんなにも迅速に
彼の身柄を保護するのか気になりませんか?」
神戸「まさか彼が要人だとでも?」
右京「そこまでは…しかしまだ事件は終わってないのは確かですよ。」
ウォルター「隊長、我々はどうしましょうか?」
竜馬「とりあえず参考人の鳴滝氏の身柄は本庁で保護される事になったわけだし
一応安全は確保された。
僕らは他の線を調べよう!」
バイクル「他の線って何かあったかいな?」
右京「なるほど、犯人が唯一犯行現場に残した包帯の布切れですか。
それに何か特定出来るものは無いか調べるわけですね。」
竜馬「えぇ、ここに来る前に鑑識の人にお渡ししてありましたからたぶんもう
分析が進んでいるかも…
ってあなた方はいつまで付いてくる気ですか!?」
右京「いつまでとはおかしな事を仰いますね、事件はまだ終わってないのですよ?」
竜馬「しかしあなた方が捜査する書き込みの件は既に捜査一課の人たちが
参考人として保護しているわけですよ、もうあなた方の捜査は終わったじゃないですか!?」
右京「とはいえ、我々も一度首を突っ込んだ事件を…ハイ、そうですかと納得出来ないのですよ。」
竜馬「しかし…」
神戸「まぁ落ち着いて、僕らも意外と役に立ちますので連れて行って損は無いですよ。」
ウォルター「ですがあなた方にだって本来の職務があるでしょう…」
右京「ご心配なく、特命係は暇ですから。」
~警視庁鑑識係~
米沢「鑑識の結果、包帯からは血液等の付着物は検出されませんでしたね。」
竜馬「馬鹿な…ファイヤーの拳を受けて血すら出なかったというのか…
やはりあいつは…」
神戸「?」
米沢「しかし代わりに面白いものが発見されましてね。」
右京「というと?」
米沢「微量ながら金属質の付着物が検出されました。
それも驚いた事にコレはただの金属ではなく…かなり特殊な金属でして…
NASAで使われているモノらしいんですよ。」
右京「ほう…なるほど、それは興味深い…」
竜馬「…失礼、ちょっと報告が…」
バイクル「隊長どうしたんじゃろ?」
ウォルター「きっと本部長にここまでの捜査状況を報告しているんだろう。
しかし何故そんな特殊な金属が犯行現場にあったのだろうか?」
右京「そうそう、米沢さん。
お借りしてた落語のCD、ありがとうございました。」
米沢「あぁ、適当にその辺に置いておいてください。」
神戸「やはり参考人の鳴滝さんにお話を伺うべきですよ。
せめて彼の職場だけでも聞いておけばよかったのに…」
米沢「おや?皆さんはまだご存じではなかったのですか?
彼は…」
右京「なるほど、そうでしたか。おや…」
右京は偶然か故意か竜馬の連絡のやり取りをチラリと覗いていた。
竜馬「ええ…はい…やはりこの件にはアレが関わっているようで…
それで参考人は…じゃぁもしかして犯人の狙いは!?…わかりました、失礼します。」
右京「終わりましたか?」
竜馬「えぇ…」
神戸「それじゃ次はどうしましょうか?」
右京「勿論聞き込みですよ、鳴滝さんの職場に。」
ウォルター「彼の職場とは?」
竜馬「それは…警視庁電子工学研究所だ。」
~警視庁電子工学研究所~
神戸「なるほど、彼はここの職員だったんですね。
だから捜査一課が迅速な対応で彼の身柄を保護したわけですか。」
バイクル「ここに来るのも久しぶりだがね!」
ウォルター「ああそうだな、私たちがロールアウトして以来だからな!」
右京「おやおや、お二人はここが初めてではないのですか?」
竜馬「我々ウインスペクターの装備品の数々はこの警視庁電子工学研究所で
開発されていますからね。
言ってみればここはウインスペクターの故郷みたいなところですよ!」
5人が雑談を交わしていると事情聴取を行う相手が現れた。
朝比奈「お待たせしました、鳴滝の上司の朝比奈と言います。」
竜馬「朝比奈さん、ご無沙汰しています。」
朝比奈「香川くんこそお変わりないようで何よりですよ。」
右京「杉下です。」
神戸「神戸です、さっそくですが鳴滝さんについてお聞きしたいのですが…」
朝比奈「彼は優秀な人間ではあるのですが…その…人格面に問題があって…
いい年齢してやれアニメだの特撮だの騒いでいた人間ですからな…」
竜馬「鳴滝さんと親しい同僚の方はいないのですか?」
朝比奈「私の知る限りでは…彼自身もあまり周りと溶け込めるタイプではなかったようですし…」
右京「失礼ですが、鳴滝さんはこちらではどのようなお仕事を?」
朝比奈「すみません、その件に関しては守秘義務があるので教えられないのです。」
神戸「守秘義務が課せられるほどの仕事に携わっているという事は…
彼が包帯男に狙われる理由は恐らくその仕事に関する情報を得るためでしょうか?」
右京「ですがそうなると○村さん殺しはどう説明しましょうか。
彼には職場でのアリバイがあるのですからね。」
竜馬「そうだ、彼のデスクを見せてもらえますか?」
朝比奈「わかりました、けどPCの研究情報は予めこちらでチェックしましたので
閲覧は出来ませんが了承してください。」
右京「わかりました。」
彼らは鳴滝のデスクに案内された、そこはアニメグッズや特撮関連の品が散乱していた。
バイクル「うはぁ、酷い状態だがね…」
ウォルター「これで仕事ができるのか?」
朝比奈「まぁ…私生活には問題があるが仕事は出来る方だったのでね…
我々も多少の事は目を瞑っていたのだが…」
右京「それではさっそく拝見します。」
ガサゴソ
竜馬「ちょっと杉下さん!あなた令状も無しに何をしてるんですか!?」
神戸「すいません、あの人引き出しとかあるとつい中身を見ちゃう癖がありまして…
大目に見てやってくださいね♪」
バイクル「それ立派な犯罪だで…」
ウォルター「私たちだってここまではしないですよ…」
右京「おや…これは?」
神戸「どうかしましたか?」
右京「メモを発見しました、内容が…」
―RからNへ―
Zはまだか?
神戸「RからNへ?これだけじゃわかりませんね。」
右京「R…N…Z…Nというのは恐らく鳴滝さんのイニシャルNという事でしょう。
しかしRとZとは一体…」
竜馬「R…Z…まさか…」
朝比奈「香川くん!」
神戸「何か心当たりでも?」
竜馬「い…いえ、別に…」
右京「どうやら鳴滝さんは職場からも書き込みをしていたようですね。
彼のPCにそのログが残っていますよ。」
竜馬「ちょ…ちょっと…だから無断でそんな事はしないでください!」
ウォルター「まぁまぁ隊長、それで何かわかった事は?」
右京「これです。」
『米○も気に入らないが井○敏樹も同じくらいダメだ!あいつも○してやる!』
ウォルター「これは昨夜以前の書き込みですね、まさか今度はこの人が…」
竜馬「念のためだ、一応この○上さんという人に連絡を取ってみよう。」
ウォルター「それでは私が…」
ウォルターが連絡を取る間、右京は少し竜馬に問い質そうとしていた。
右京「香川さん、いい加減話していただけますか?」
竜馬「な…何の事でしょうか?」
右京「とぼけなくてもいいです…あなたが先ほどから何かを隠している事はわかりますよ。
僕の知り合いにも一人嘘のつけない人間がいますからね…」
………
同時刻
サルウィン国にて
亀山「へっクション!」
美和子「こんな熱帯国で風邪!?」
………
竜馬「教えるわけにはいきません、これは上から守秘義務が課せられていますから…」
朝比奈「…」
神戸「ですけどね、その所為で人が殺されているんですよ?」
竜馬「それでも簡単には教えられないんですよ!!」
思わず竜馬は大声を上げてしまった…
さすがの右京と神戸もそれ以上は追及しなかった。
それほどまでにこの事件には何かとんでもない事が関わっているのはわかったのだから。
ウォルター「隊長、井○さんは今日職場に顔を見せていはいないそうです。
一応自宅の住所は教えてもらいましたが…」
竜馬「わかった、直ちにそこへ向かおう!」
右京「神戸くん、我々も行きますよ。
それとこのメモを鑑識の米沢さんに一応連絡しておいてください。」
神戸「はいはい。」
~井○宅~
竜馬「○上さん、警察の者です。開けてもらえますか?」ドンドン
バイクル「留守かいな?」
―「チクショウ!離しやがれ!!」
ウォルター「誰かの声が!」
右京「裏に回ってみましょう!」
そこには目下捜索中の大男が中年男性を取り押さえているところであった。
井○「この!何しやがんだ!?」
大男「……」
竜馬「貴様!」
右京「神戸くん!取り押さえますよ!」
神戸「ハイ!」
大男「……」ブンッ
しかし大男はいきなりその剛腕を振るい迫りくる右京と神戸を投げ払った。
バイクル「今度はワシらが相手じゃ!」
ウォルター「大人しくしろ!」
ガシッ
大男「……」
ドガッ
バイクル、ウォルター「「うわぁー!?」」
竜馬「サポートドロイドの二人ですら吹っ飛ばしただと!
井○さんあなたを保護します、急いでこちらへ!」
ブオン!
竜馬は襲われた○上氏を連れ急遽ウインスコードで避難した。
井○「助かっ…けどありゃ一体何なんだ!?」
竜馬「それは…うん…何だあの車は?まさかあれは!?」
ブロオオオオオ
後ろから近づいてくる暴走車、その運転席には例の大男が運転していた。
竜馬「こうなれば…!」
キキッ
竜馬は方向を変え近くにある廃ビルへ入った。
大男「……」
竜馬「来るか…ならば…着化!!」
ウィィィィィ
ガシャン ガシャン
○上「えぇ!アンタヒーローだったのか!?」
竜馬はウインスコードで着化を完了させると車内から降りて大男と対峙した。
ファイヤー「答えろ!貴様の目的はなんだ!?」
大男「……」
大男はファイヤーの言葉に耳を貸さなかった、そればかりか襲い掛かってきた。
ファイヤー「くっ!」
ドガッ
ドゴッ
ファイヤーと大男の攻防戦が始まった。
一進一退、両者とも実力が均衡して中々決着がつかない状態が続いた。
ファイヤー「不味いな、このままの状態が続いけばこちらが不利だ。
こちらには着化タイムリミットがある、それを過ぎたら…」
しかし戦いは思わぬ展開に決着がついた。
ファイヤーは突如反対方向から攻撃を仕掛けられたのだ。
ファイヤー「ぐぁぁ!?」ドサッ
大男「……」
ザッザッザッ
ファイヤ「ヤツが近づいてくる、ダメだ…身体が動かない…やられる!」
ファイヤーは思わず死を覚悟した、しかしそうはならなかった…
ウォルター「デイトリックM-2レーザーパルス!」
ドガンッ
大男「!」
バイクル「バイスピア!」
ズバッ
大男「!?」
右京「どうやら間に合ったようですね!」
神戸「香川さん大丈夫ですか!?」
右京たちがファイヤーのピンチに駆けつけてくれたのだ。
ファイヤー「私は大丈夫…それよりも井○さんを早く安全な場所へ…」
右京「わかりました、神戸くん!」
神戸は井○を自分のGT-Rに乗せようとしたが…
ドガァァァァァァァァン
突如大爆発が発生した。
ファイヤー「爆発だと!」
右京「神戸くん!大丈夫ですか?神戸くん!?」
右京は神戸の無事を確認しようと彼の名前を叫んだが返事がなかった。
バイクル「ギャァァァ!」
ウォルター「うわぁぁぁぁ!」
先ほどの爆発をモロに喰らったバイクルとウォルターも吹っ飛ばされていた。
ファイヤーが二人の下に駆けつけようとしたが…
大男「……」
ファイヤー「貴様!何だ…誰かを担いでいる?あれは神戸さん!?」
右京「神戸くんを離しなさい!」
大男「……」
しかし右京の言葉を無視しバイクルとウォルターを担ぎ大男はそのまま逃走してしまった。
ファイヤー「待てー!」
ゴオオオオオ
ファイヤーはすぐにでも後を追うつもりだったがこの火災を放っておく事は出来なかった。
右京も生身の身体、この炎の中を無理にでも行けば自身の身も危ないため行く事が出来なかった。
ファイヤー「くっ!」
右京「悔しいのはわかります、しかし今あなたがしなければならないのはそんな事ではないでしょう!」
ファイヤー「ハッ!わかっています、マルチパックファイヤーバージョン!」
シュゥゥゥゥゥゥ
その後ファイヤーの迅速な消火活動で大事には至ら無ずに済み井○氏も無事で
一応の人的被害は出なかった。
しかし警視庁の職員一名と最新鋭のサポートドロイド2体が連れ去られるというある意味最悪な事態が起きてしまった。
~警視庁~
内村刑事部長の部屋
そこに右京と竜馬の二人が呼び出されていた。
呼び出された二人を待っていたのは二人の男たちであった。
一人は刑事部の刑事部長である内村刑事部長。
もう一人は捜査一課の指揮を行う中園参事官の二人であった。
内村「「大馬鹿者ォォォォォォォォォ!!」」
内村部長の怒号が部屋中に響いた、特命係が勝手をすれば毎度の事であるが
今日は特別酷かった。
内村「何度言ったらわかる!特命係は捜査をするなと口を酸っぱくして言ってるだろうが!」
竜馬「待ってください、杉下警部は何も悪くはありません!」
中園「香川隊長、警視庁が開発した最新鋭のサポートドロイドが2体も強奪されたんだぞ!
キミも反論出来る立場でない事は承知していると思うが!」
内村「幸いあの廃ビルは近々取り壊される予定で人がいなかったし被害者の
○上氏も辛うじて無事であったが…
現職の警察官と最新鋭のサポートドロイドが犯人に連れ去られただなんて失態を
マスコミに報道されねばならんとは胃の痛くなる話だ!」
中園「まったくもってその通りです!部下の失態は貴様ら直属の上司の責任でもある!
それ相応の処分は覚悟しておけ!!」
二人はさすがに何も言えなかった、実際目の前で起こった出来事に対処できなかったのだから…
しかしそんな二人に助け船を出す人物がいた。
コンコン
―「失礼します。」ガチャ
内村「あなたは!」
中園「正木本部長!それに大河内監察官まで!どうしてこちらへ!?」
正木「私の部下があなたに処分されると聞かれたら飛んできて当然でしょう。」
大河内「それに警察官の処分を下すのはこの私です…
お二人に勝手な処分をされては困ります。」
内村「しかしこの二人は処分されて当然の事をしたのですよ…
なんらかの処分を下さないと他の警察官に示しがつきません!」
正木「ではこういうのはどうだろうか。
この事件の犯人を上げなければ二人は懲戒免職というのは?」
中園「そんな馬鹿な事を!
いくら正木本部長といえどそんな勝手な事がまかり通るわけが!?」
大河内「許されます、ウインスペクターの人事は全て正木本部長が担っています。
つまり全ては正木本部長次第です。」
内村「むっ…いいでしょう、必ずホシを上げられればの話ですがね…」
正木「お任せください、必ず!」
~花の里~
右京はそこで夕食をすませていた。
たまき「あら?今日はお酒はよろしいんですか?」
右京「この後また仕事に戻らなければいけませんので。」
たまき「ところで今日は神戸さんは?」
右京「彼は…」
―「……」
―「……」
―「……」
右京「おや?表が随分賑やかですね。」
たまき「本当だわ、団体さんだったらどうしましょうか?」
ガラッ
大河内「お邪魔します。」
たまき「まぁ、大河内さん。」
竜馬「本部長、僕にはこんなところで油を売っている暇は…」
正木「まぁ落ち着け、こういう時はこういった場所で冷静になるのが一番だ。」
右京「おやおや、あなた方まで…」
竜馬「杉下さん!何故あなたがここに?」
大河内「ここは杉下さんの行きつけのお店だからですよ。
杉下さん、率直に聞きたい…神戸は無事なのでしょうか?」
右京「恐らく命の保証はされているでしょう、もし神戸くんを殺す気なら
連れ去ったりはしないでしょうからね。」
大河内「ふぅ…それだけ聞けたら結構、私は仕事に戻ります。」ガラッ
正木「もう帰ってしまったか、せっかちな男だ。
ところで私にはビールを一本。」
たまき「はい。」
竜馬「あの…本部長…」
正木「グビッ、そういえば二人はもう顔見知りだったのだな。
紹介しよう、彼は杉下右京、警視庁でも一番の優れ者だ。」
竜馬「優れ者って…そんな人が何故窓際の特命係に?」
右京「それはあまり詮索してほしくはありませんが…」
―「それはね、僕の責任かしら。」
竜馬「あなたは小野田公顕官房長!?」
小野田「正木さん、それに香川さんお久しぶりですね。
マスコミへの発足発表以来かしら?」
正木「こちらこそご無沙汰しています。」
竜馬「失礼ですが先ほどの官房長の責任だという意味は?」
小野田「それはですね…」
それから小野田は特命係が出来た経緯を竜馬に話した。
かつて自分と右京が組んで外務省公邸人質監禁・篭城事件に対処するために、
プロジェクトチーム「緊急対策特命係」を結成し事態に当った事を。
しかし小野田の判断ミスにより警察、人質と死傷者が出てしまい事態は最悪な形で
決着がついてしまった…
小野田「その後僕は杉下に全ての責任を負わせてしまい杉下は窓際の特命係に…
僕はというと警察庁に戻り順調に出世していったわけですよ。」
竜馬「お二人にはそんな過去が…」
小野田「ちなみに僕はその後も何度も杉下を警察庁に戻そうとしたのですが頑として
言う事を聞いてくれなくてね…」
右京「僕には窓際の特命係が性に合っていますから。」
小野田「ホラ、すぐに僻む。
ちなみに正木さんからの要請でウインスペクターに杉下と神戸さんも入れる予定だったんですけどね。」
竜馬「それは本当ですか!?」
小野田「えぇ、FRSセンターの事はご存じ?」
竜馬「確か顔認識システムを運用した巨大監視システムだとか…
しかしそれは計画段階で破棄されたと聞きましたが。」
小野田「まぁ諸事情がありましてね、けどその計画を潰すにはあまりにも勿体ないと
思いまして、
正木さんの犯罪捜査と人命救助を目的とするレスキューポリスプロジェクトに二人を参加
させようとしたんですが…
ご覧の通り、杉下も神戸さんも二人揃って特命係が好きだから拒んでしまってね…
ホトホト困っているんですよ。」
右京「たまきさん、お茶漬けを。」
たまき「あら、もうお帰りですか?」
右京「どうも僕には居心地が悪くなってしまいましたからね。」
たまき「あらあら、そういうところが子供ですねぇ…」
右京「それでは失礼します。」
正木「その前に言っておきたい事があります。
先ほどホシを上げなきゃ二人はクビと言ってしまいましたが実際私にそんな権限はありませんよ。」
右京「ではあれは…ただの脅し?」
正木「ハッタリにしては上出来でしょう。」
右京「ええ、おかげで再就職をせずにすみます。」ガラッ
竜馬「本部長…僕はその…」
正木「竜馬…私は言ったはずだぞ、この件はお前に一任するとな!」
竜馬「!」ガラッ
たまき「あら、お若い方も出て行かれましたね。」
小野田「それじゃ残った我々で一杯やりましょうか。」
正木「そうですな。」
………
花の里から出た竜馬は先ほど一足先に出た右京をすぐさま追っていた。
竜馬「杉下さん待ってください!」
右京「どうかしましたか?」
竜馬「今から話す事は僕の独断です!それでいいですか?」
右京「えぇ、構いませんよ。」
竜馬「僕は犯人の正体を知っています。
いえ正確に言えば犯人と同じモノを知っているんです!」
右京「犯人ではなく犯人と同じモノとはこれまた妙な言い方ですね。
まるで犯人が人間ではないみたいな…」
竜馬「あなたも薄々は気付いているはずだ、サポートドロイド2体を吹っ飛ばすほどの
怪力の持ち主が人間でない事くらいは…」
右京「それでは犯人は…」
竜馬「僕はこの前ヤツの包帯の下の顔を見ました、あいつの顔は…
コレだったんです。」
そう言って竜馬は一枚の写真を出した、それは人間の顔に半分ロボットの顔をした
人物の写真であった。
右京「この写真は…?」
竜馬「こいつの正体はR24、ウインスペクターが初めて解決した事件の犯人の写真です。
そしてあの時僕が見た犯人の顔はこいつとそっくりだったんです!!」
続く
とりあえずここまで
偶然にも更新時間が相棒再放送と重なってしまった…
第3話「恨み深き者たちの復讐」
~東京拘置所~
―「ヒック!グスッ!チクショウ…チクショウ…」
そこで今日も枕を濡らしながら一人の老人が今日も悔し涙を流していた。
彼の名は北条晴臣、かつては特命全権大使に任命されていたほどのエリートであったが
かつて杉下右京が特命係に送られる原因となった大使館人質籠城事件の被害者であり…
事件から15年後、特命係により彼が部下を射殺したのが暴かれ彼は逮捕された。
しかしそれにも懲りずに司法取引により保釈を認められ古城で一生を終えるはずが、
特命係に復讐をしようと犯罪に手を染めてしまい再び逮捕されてしまった。
北条「許さねえ…許さねえぞ杉下右京!
オメェだけは俺がくたばる前に絶対に復讐してやる!!」
―「まったくいい加減にしてくれんかね。
こっちはアンタの汚い泣き声の所為でろくに眠れやしないんだ。」
北条「だ…誰だ!どこにいる!?」
―「ここだよ、ここ。」ガチャッ
北条「ドアが…何だお前は!?」
―「フン、やはり私の事なんて覚えてないか。いいから早く出ろ、ここから出してやる。」
北条「へっへっへ、まぁ出られるなら何でもいいや。
けどなこれだけは覚えておけ、俺を呼ぶ時は『閣下』と呼べ!!」
―「今のお前さんが閣下と呼べる形かい?
まぁいい、さっさと行くぞ閣下さん。」
………
~警視庁~
ウインスペクター本部
右京「ジルコナイト21?」
竜馬「そうです、鳴滝氏が携わっていた研究は警視庁電子工学研究所が開発している
ウォルター、バイクルの兄弟機であり新型サポートドロイドであるブライアンに
装備される装甲の開発なんです。」
右京「なるほど、捜査一課の方々が迅速に保護をした理由がコレだったわけですね。」
竜馬「えぇ、まだ開発段階の合金です。
下手に軍需産業に出回ればそれだけで脅威な存在になるでしょう。」
右京「なるほど、これでひとつ謎が解けました。
鳴滝氏の下へ行きたいのですが彼の居場所は分かりますか?」
竜馬「それなら…」
本部から出ようとした右京と竜馬だがそんな右京の視線はクラステクターの修理を行う
野々山に向けられた。
野々山「な…何でしょうか?」
右京「失礼、珍しいもので。
ところでクラステクターの修理お忙しいようですね。」
野々山「えぇ、けどそんなに酷い損傷でもないのですぐに終わりますよ。
ちょっと背中を撃たれた程度でしたからね。」
右京「背中をですか?」
野々山「それが何か?」
右京「…」
~捜査一課~
取調室
右京「おやおや、こちらに居ましたか。」
鳴滝「あ…アンタらは…」
竜馬「犯人もまさか彼をこんなところに隠しているとは思っていないでしょうからね。」
伊丹「こんなところで悪うございましたね!」
三浦「警部殿、それに香川隊長もここに来られては困ります。
捜査一課でさえここに彼を隠しているのはごく一部の人間しか知らない事なんですから…」
芹沢「あの…聞き出すなら早くしてください、参事官がすぐ来ちゃうんで…」
伊丹「コラ芹沢!」
右京「では1分だけ、鳴滝さん。
あなたのデスクから見つかったメモですが内容は
『―RからNへ― Zはまだか?』とありました。
『N』はあなた、鳴滝さんの事です。残りの『R』とはかつてウインスペクター隊が
解決した事件のアンドロイドR24の事、そして残る『Z』とは…ジルコナイト21
そうあなたが開発に携わっているジルコナイトのスペルであるzircoの『Z』から取られたものですね。」
竜馬「つまり彼は…R24にジルコナイト21の情報を流していたと…何故そんな事を?」
右京「恐らくですが彼は交換殺人ならぬ、交換犯罪を持ちかけたのではないでしょうか?」
伊丹「交換犯罪?」
右京「つまり鳴滝さん、あなたがジルコナイト21の情報を流す代わりに
R24には○村氏や井○氏の殺害を命じていた、そう考えればあなたは自分の手を汚さずに
犯罪を犯せるとそう考えたわけですね!」
竜馬「しかしR24と協力関係であったなら何故ヤツは鳴滝さんの命を狙おうとしたんですか?」
右京「それはこの書き込みの所為でしょうね。」
竜馬「書き込み?」
右京「この『今日お前を殺す!』の書き込み、恐らく犯人は想定してなかったのでしょうね。」
鳴滝「…」
右京「この書き込みさえなければ我々はあなたを疑わずにすんだ。
しかしあなたは実際こうして犯行時刻内に殺人予告の書き込みを行ってしまい
我々に目を付けられた。
だからR24はその前に自分と既に接触をしたあなたを殺さなければいけなくなった。
こういう事ですよ。」
竜馬「今の話が全部本当なら…鳴滝さん…あなたは…」
鳴滝「あぁそうだよ!私はジルコナイトの情報と引き換えにヤツらに殺人の依頼をした!
だがまさか私が殺されるとは思わなかったんだ!?」
伊丹「元はと言えばお前の所為だろ!ふざけた事言ってんじゃねえ!!」
三浦「伊丹、抑えろ!」
右京「鳴滝さん、あなたの軽率な行動の所為で人が死んでいるのですよ!
警察に籍を置く人間として恥を知りなさい!!」
鳴滝「くっ!」
竜馬「それでR24は今どこに?」
鳴滝「知るか!いつも連絡は相手の方から一方的に送られてきていたんだ。
私はその指示に従ったまでだ…」
これ以上の情報は鳴滝から引き出す事は出来なかった。
取引相手のR24も鳴滝を警戒するために必要以上の情報を与えなかったのだろう。
しかし事態は急転する。
中園「大変だぞお前たち!たった今拘置所から脱走が…」
伊丹「脱走!?」
芹沢「一体誰が…」
中園「それがだな…って杉下!それにウインスペクターの香川!
貴様ら何故ここにいる!?」
右京「そんな事よりも誰が脱走したのですか?」
中園「かつてお前が逮捕した北条晴臣だ…」
右京「なんですって!?」
中園「それともうひとり…」
竜馬「!」
>>1は現行で別のクロス書いてたりする?
>>116
今朝暴れん坊将軍のSSを書き終わったばかりです。
~東京拘置所~
捜査一課が駆けつけたが既に脱獄した北条晴臣の姿はどこにもなかった。
伊丹「たく…ここを脱走しやがるとはな…」
三浦「浅倉検事以来だな。」
芹沢「それにしてもまんまと逃げられるなんて看守は何してたんすか?」
三浦「防犯カメラにダミーの映像を流していたらしい、用意周到なこった…」
右京「香川さん、どちらに行かれるのですか?」
右京はある場所へ行く竜馬を尋ねた。
竜馬「…」
竜馬が辿り着いた場所は先ほどの北条晴臣の収監場所よりも厳重な場所であった。
そこへ恐る恐る入るが中は無人であった。
竜馬「やはりいないか…」
右京「香川さん、ここに入っていた人物が…」
竜馬「黒田鬼吉、R24の開発者でありかつてはNASAに勤務するほどの優れた科学者だったのですが…
道を踏み外し、我々ウインスペクターに逮捕された男です。」
右京「その彼が北条氏の脱走を手引きしたと?」
竜馬「そうなりますね。
しかし何故あの二人が共謀を図ったのかがわからないのですが…」
右京「ではその辺の事情に詳しい人に尋ねてみましょうか。
ちょうど近くにいますしね。」
竜馬「ハァ…一体誰の事ですか?」
~面会室~
―「よう杉下くん、久しぶりだな!」
右京「ご無沙汰しています。」
竜馬「杉下さん…この人はまさか!」
右京「はい、先の法務大臣にして元衆議院議員、しかしNGOでの汚職が発覚し
現在は拘置所に拘留中の瀬戸内米蔵議員です。」
瀬戸内「たく…そんな説明いらねえよ。
杉下くん、こっちのお若いのは誰なんだい?」
竜馬「初めまして瀬戸内議員、特警ウインスペクター隊長の香川です。」
瀬戸内「ウインスペクター?あぁ一応新聞は見てるから知ってるが
こんなお若いのが隊長やってるとは思わんかったよ。
そんで…まさか俺にこの若いのを紹介しに来ただけじゃないんだろ?」
右京「ハイ、既にご存知かと思いますが北条晴臣が脱走しました。」
竜馬「脱走に手を貸した者は黒田鬼吉という男です。
二人に何か接点はありますか?」
瀬戸内「詳しい事は知らんが…北条を逃がす理由には心当たりがあるぜ。」
右京「それは一体何でしょうか?」
瀬戸内「恐らく金だ、だが金と言ってもヤツの資産じゃねえ。
外務省時代、ヤツは公金横領をしたのは知っているだろう。
だがな、その後俺や小野田くんたちで捜査してもヤツの財産から横領した額の金が
いくら探しても出てこなかったんだ。
北条を逃がす理由は俺にはそれしか考えられねえな…」
右京「なるほど、お金ですか。」
竜馬「しかしお金ならR24を使って銀行強盗でもなんでもすれば手に入るのに…
わざわざ一癖も二癖もある北条氏を脱獄させてまで調達するほどのモノなんですか?」
瀬戸内「お若いの、これは世間には公表されちゃいないんだが…
北条が横領した金は恐らく1兆近くと言われている、まぁそんなに横領されたら
政府の信用に関わるから公表は一切してないから一部の人間しか知らんが…
その黒田という男は何処かで嗅ぎつけたんだろう。」
竜馬「1兆円の横領金、なるほど北条氏を否が応でも脱獄させたわけだ…」
瀬戸内「あともうひとつなんだが…確か北条がアメリカの大使時代にヤツとその黒田って
科学者が会っていたのをチラリと見たような気がするが…
まぁ俺にはそれ以上の事はわからんな。」
右京「結構です、とても参考になるお話でした。」
瀬戸内「なぁに、またこの暇な年寄りの相手にいつでも遊びに来いよ。
歓迎するぜ♪」
右京「えぇ、近いうちにまた…」
そう言い残し右京と竜馬は拘置所を後にした。
とりあえずここまで
続きは夜書きます
しかしここまで書いた感じだとウインスペクターと相棒両方とも
それなりに知っている人間じゃないと付いていけない展開になってしまった…
~火災のあった廃ビル~
竜馬「ここはバイクルとウォルター、それに神戸さんが連れて行かれた廃ビル。
ここがどうかしたんですか?」
右京「香川さん、あなたはここで大男と交戦していた。間違いありませんね?」
竜馬「ハイ、それは確かです。」
右京「あなたと大男…まぁつまりR24ですが二人は正面を向きあって戦っていた。
それなのに…あなたは背後を撃たれていた。」
竜馬「ハッ!まさか他にも共犯がいると…」
右京「えぇ、そうなりますね。」
竜馬「その共犯は黒田…いや違うはずだ、ヤツが脱獄した時間は
拘置所でもバイクルたちが捕らわれた後だと確認されいる…」
右京「そう、つまり黒田や我々を襲ったR24の他に共犯者がいるという事なんですよ!
そして香川さん、あなたのクラステクターに付いていた弾痕の後から計算して…
犯人は…そう、ちょうどこの位置から狙い撃ったようですね。」
竜馬「ちょうど僕には死角の位置か…うん?これはまさか…」
右京「下足痕ですね。」
竜馬「至急鑑識を呼ばないと!」
右京「待ってください、どうせお呼びするなら…」
~???~
北条「ここは一体何処なんだ?狭くて汚ねぇ場所だな!」
黒田「私の隠れ家だよ、狭くて汚くて悪かったな。」
北条「俺を脱獄させた理由は見当がついてる、お前…俺が横領した金が目当てなんだろ?」
黒田「話が早くて助かるよ。
まぁアンタがすぐに応じてくれるとはこちらも手土産を用意してある。」
北条「手土産だぁ?」
………
~再び廃ビル~
倉石「何故俺を呼んだぁ?」
彼は倉石義男、刑事部鑑識課検視官で倉石班の班長でもある男だ。
敏腕検視官ではあるがその一癖ある性格の所為で上の人間から疎まれいる。
杉下「すみませんねぇ、なるべく内密に調べてほしかったので
この件にあまり関わってないあなたが適任だと思いましてね。」
竜馬「それで鑑識の結果は?」
倉石「あの下足痕だが…靴のサイズは28cmと通常の成人男性だが…」
竜馬「…だが?」
倉石「問題は靴の方だ、あの靴は…」
竜馬「じゃぁこれは犯人のモノじゃないと…」
倉石「だがここはまだ捜査の手が付いてねえんだろ、なら…」
右京「どうやら僕の勘が当たったようですね。
倉石さん、どうもありがとう。香川さん行きますよ!」
竜馬「行くって何処へ?」
右京「警視庁です!」
二人はウインスコードに乗り込み警視庁へ向かおうとするが右京は車内である事を言った。
右京「北条晴臣がこの件に関わっているのであれば、神戸くんの身に危険が迫っているでしょうね。」
竜馬「それはどういう事ですか?」
右京「恐らく黒田は北条が大人しく金を渡すわけがないと思い、特命係の人間を拉致して
少しご機嫌を取ろうとしているのでしょう。」
竜馬「そんな…いくら犯罪者でも北条氏は各国の大使を務めた一角の人物ですよ!」
右京「僕はこれまで二度も北条と関わり彼の性格を知っています。
とてもしぶとく陰湿な性格の持ち主です、事実彼は裏切った部下を平然と殺してました。
いざとなれば拷問くらいやってのけるでしょうね…」
竜馬「……とにかく急ぎましょう!」
ブオン!
ウインスコードのアクセルを踏み一路警視庁へと急行した。
~???~
北条「ほう、俺を逮捕しやがったクソッタレ特命係の一人を捕まえただと?」
黒田「あぁ、そいつを煮るなり殺すなりしていいから金の場所を教えてくれ。
そいつはこの扉の向こうにいる。」
北条「ハッハッハ!でかした!これであいつらに復讐できらぁ!!」ガチャッ
北条「杉下!亀山!久しぶりだな!この北条晴臣閣下がお前らに復讐しに来たぜ!!」
神戸「どうも初めまして、特命係の神戸尊です。」
………
北条「誰だお前ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
続く
とりあえずここまで
昨日の夜書くはずが朝になってしまいすんません。
ちなみに臨場の倉石さんを何気に友情出演しています。
彼は検視官だから死体もないのにこんなことで呼ぶとかおかしくね?
とかそんなツッコミは無しで…
乙です。
倉石さんを登場させたのなら、彼と米沢さんの絡みというのも読んでみたいな。
この世界は一体全体どれだけの作品が融合してるんだよ…wwwwww
第3話 「真相」
~警視庁鑑識係~
ここに右京は捜一トリオを連れ事件の真相を語ろうとしていた。
右京「どうも米沢さん、お邪魔します。
おや、落語のCD置いておいてまだ聞かれてませんか?」
米沢「あぁ…忙しくて…ところでみなさんお揃いでどうなされましたか?」
伊丹「知らねえよ!杉下警部が事件の謎が解けたってんで呼ばれただけだ!」
三浦「というか何でここに人を集めてんですか?」
芹沢「もしかして犯人に関する証拠品が出たとか?」
米沢「それなら私の耳に入っているはずですが…そんな情報はありませんな?」
右京「証拠品というよりも犯人自身を見つけたと言った方が正しいでしょうね。」
………
~???~
その頃北条と黒田はある事で言い争っていた。
北条「テメェ…俺を舐めてるのか!?こいつが特命係だと?
俺も特命係の事は一応知ってるがあいつらはな杉下と亀山の二人しかいねえ窓際部署なんだぞ!
こんなヤツ見た事もねえよ!
特命係を捕まえたとか言っておきながら本当は適当なヤツ捕まえてでっち上げようとしたんだろ!?」
黒田「馬鹿な、確かにこいつは特命係のはずじゃ…」
神戸「えぇ、僕も特命係なんですよ。
貴方の事は資料で知ってます、北条晴臣閣下。
以前は各国の大使を歴任しましたが特命係に二度も逮捕され拘留中の身だったはずですよね。」
北条「フン、よく知ってるじゃねえか。それでテメェは何者なんだよ?」
神戸「ですから先ほどから言ってるように特命係の神戸ですってば。
僕は亀山さんの後任で配属されましてね、あぁ…そうそう…
亀山さんはもう警察を辞めてますよ。現在はサルウィン国でボランティアをしてるとか…」
北条「警察を辞めてサルウィンだぁ?あいつバカだねぇwww
あの国は政府が腐りきってんだぜ、ボランティアしたって無駄だってのによぉ!!」
神戸「お言葉ですが…亀山さんを馬鹿にするほど現在のあなたの状況は立派なものでは
ないと思いますけどね…」
北条「なにぃ?うるせえ!」ドガッ
神戸「ぐふっ!」
思わず怒りを露わにした北条はその矛先を神戸に向け彼を足蹴にした。
黒田「そこまでにしておけ、こいつが特命係なのは確かだ。
持ってた警察手帳にもそう載っている。
事情がどうあれ特命係のひとりは捕えた、今度はこっちの言う事も聞いてもらうぞ!」
北条「フン、まぁいい!
こいつを使って杉下右京に復讐するまでだ、おい!すぐに移動するぞ!」
黒田「移動だと…まさか金の隠し場所に行く気か?」
北条「そうだ!場所はなぁ…」
その頃別室に捕らわれているバイクルとウォルターは…
バイクル「ウォルター、大丈夫だがね?」
ウォルター「あぁ…なんとかな、それにしてもここは一体…」
二人は頑丈な扉で閉ざされた部屋に監禁されていた。
そんな二人は部屋のすみに注目する、そこには顔を袋で被せられ同じく拘束されいる人物がいて
二人がこの部屋に連れられる前からいたのだ。
―「……」
バイクル「なぁ…この人大丈夫なんかいな?」
ウォルター「わからん、とにかくこの袋を取ってみようか…」ガバッ
―「う…うぅ…」
バイクル「大丈夫じゃて!しっかりしてや!」
ウォルター「ちょっと待てバイクル、この人は…」
………
~再び警視庁鑑識課~
三浦「つまり警部殿は犯人がわかったという事ですか?」
右京「まだ確証はありませんがね。」
伊丹「一体誰なんですか!」
芹沢「そうですよ、勿体ぶってないで教えてください!」
右京「では順を追って説明しましょう。
そもそもこの事件の犯人は一人で犯行を行っていたわけではありません。
この事件は複数の犯人がいなければ実行不可能なのです。」
伊丹「つまり共犯…それってつまり脱獄した黒田って科学者と…」
三浦「北条晴臣の事じゃないんですか?」
右京「いいえ、あの二人の脱獄は神戸くんたちが拉致された後ですのでそれ以前から
関わっている者がいるはずです。」
芹沢「それは一体誰なんですか?」
右京「ここで注目すべきは第二の事件、鳴滝さんの自宅マンションの火災ですが…
考えてみてください、犯人がわざわざあの掲示板のチェックをすると思いますか?」
伊丹「掲示板のチェック?」
右京「そう、我々が指摘をしなければ誰も気付かなかったはずです。犯人でさえね…
それなのに我々は気付いてしまった、だから仕方なく鳴滝さんを殺さざるを得なくなった。」
芹沢「それが何だというんですか?」
右京「ここでひとつ疑問が浮かび上がります、犯人は何故我々が掲示板の書き込みに気付いたのを知っていたかです。
あの掲示板に気付いた直後に鳴滝さんは襲われています。
つまり…最初の事件現場にこの事を知らせた共犯者がいたのですよ!」
伊丹「バカな!ありえねえ!?」
三浦「そうですよ警部殿!あの時現場には警察以外の人間しかいなかったんですよ!」
芹沢「ちょ…ちょっと待ってください!それじゃまさか犯人は…」
右京「そうです、あの時事件現場に居た警察関係者の中に犯人がいるのです!」
伊丹「まさか警部殿は…俺たちの事を疑って…」
三浦「冗談じゃありませんよ!」
芹沢「そうっすよ!俺らそんな腐った真似しませんからね!」
右京「いえ、あなた方は例の書き込みに気付く前にマンションから出て行かれていた。
よってあの段階では知る事が出来なかったはずなので犯人からは除外します。」
伊丹「何だ、驚かせやがって…」
芹沢「一瞬疑われてるのかと思いましたよ…」
三浦「ですが…それだと犯人は?」
米沢「もしやあの時現場にいたウインスペクターの香川隊長が犯人では?
ちょうどここにいませんしな!」
伊丹「そういえばあの若造…警部殿とくっついて行動してたはずなのにいねえな?」
芹沢「じゃあ香川隊長が犯人!?」
三浦「それじゃさっそくこの事を一課に報告しないと!」
この場にいない竜馬を犯人と決め付けた捜一トリオたちはすぐに
本部に戻り彼を指名手配しようとした。
しかしそんな中誰かが思わず笑っていた…
右京「プッ…フフフ…」
米沢「警部…何がおかしいんでしょうか?」
右京「いえ、香川さんが犯人というのがどうにもねぇ…
彼が犯人なわけありませんよ。」
伊丹「それじゃ誰だというんですか?」
右京「もうひとりいるじゃないですか、僕の掲示板の指摘を聞いた人間が…」
そして右京はこの場である人物に指を刺した。
その人物こそ右京が言った共犯者であった。
三浦「バカな…お前が…」
芹沢「嘘でしょ…そんなわけが…」
伊丹「警部殿…これは一体どういう事なんですか!?」
右京「どうもこうもありませんよ、共犯者は米沢さん!あなたです!!」
そう、右京が指を刺した人物はあの時現場で右京たちとともに行動していた
鑑識の米沢であったのだ。
米沢「いくら警部でも言っていい事と悪い事がありますよ!
私が共犯者だなんて…」
右京「いいえ、あなたが共犯者なら合点が行くんですよ。
まず最初の犯行現場であなたは我々に例の掲示板の存在を教えた。
普通の人間ならこんなふざけたサイトに書き込みをした人間の中に犯人がいるわけない
という先入観を我々に植え付けた。
事実伊丹刑事たちはその件を無視し、すぐに他の線を調べようとしていました。」
伊丹「そういえば確かに米沢があの掲示板教えたんだよな。」
三浦「あぁ、だが俺たちはありえないと言ってその線を無視した、警部殿の仰る通りだ…」
右京「次に井○氏が襲われた事件、その前に僕は神戸くんにお願いしてはあなたに
鳴滝氏のデスクから発見したメモを鑑識に渡してもらいました。
ちなみに神戸くんはこの時あなたに我々が井○氏の下を尋ねると口を滑らしたのでしょう。
そしてあの大男を○上氏の自宅へ行かせて、あなたは例の廃ビルで僕らを待ち伏せしていた。
ここまでで何か間違っているところはありますか?」
米沢「ま…待ってください、私がその廃ビルへ行ったという証拠はあるんですか?」
右京「あります、これを見てください。」
右京はある一枚の証拠写真を出した、それは廃ビルでの下足痕の写真であった。
三浦「この下足痕が何か?」
右京「これを他の鑑識の方に確認してもらいました、問題はこの靴です。」
米沢「その靴がどうか…ハッ!?」
右京「そう…この靴跡ですが、実はこの靴…鑑識課で支給されている靴なんですよ。」
伊丹「鑑識課の靴!じゃぁやはり米沢が…」
芹沢「でも…その下足痕…鑑識が調べた時に付けたものなんじゃ…」
三浦「いや…あの廃ビルは火災があった所為で倒壊の恐れがあるから
今は立ち入り禁止にしてある、勿論鑑識の捜査はまだ手を付けていないはずだ。」
伊丹「じゃぁその下足痕は本当に米沢の…おいお前…足元を見せてみろ!」
米沢「ま…待ってくださいみなさん!
そもそも何故私がこんな事をしでかなさきゃいかんのですが!?
私には動機が無いんですよ…」
右京「動機…ですか?」
米沢「そうです、動機です!」
あくまで犯人でないと白を切る米沢、だが右京の推理はそれすらも見抜いていた。
右京「そもそも…あなた本当に米沢さんなんですか?」
伊丹、芹沢、三浦「「え!?」」
伊丹「何言ってんですか警部殿!こいつはどう見たって米沢じゃないですか!?」
芹沢「そうっすよ、警部だって米沢さんとは長い付き合いじゃないですか!」
米沢「わ…私が米沢でないなんて警部も冗談がお好きですなぁ、ハッハッハ♪」
右京「僕の知っている米沢さんなら…大好きな落語のCDをこんな無造作に
置いておくとは思えないのですがねぇ…」
米沢「うっ…」
三浦「確かに米沢のヤツは無類の落語好きですが…いくらなんでもそんなのが証拠になるわけが…」
右京「証拠はすぐに来ますよ。」
伊丹「は?」
ドンッ!
―「入るぞ!!」
その時鑑識課のドアを思い切り蹴破りいきなりこの場に乱入してきた男が現れた。
伊丹「誰だお前は!邪魔だから出て行け!」
―「あ゛ぁ!?」
芹沢「ちょ…先輩…この人は!?」
右京「倉石検視官、依頼していたモノは終わりましたか?」
倉石「あぁ、終わったぁ。」
三浦「倉石ってまさかあの…」
芹沢「鑑識課の倉石班の倉石警視ですよ!」
伊丹「く…倉石警視ってあの型破りで有名な…
つぅか警視だと!し、失礼しました警視殿!?」
倉石「お前は鑑識の米沢かぁ?」ガッ
米沢「ハ…ハイ…そうですが…なんでしょうか?
ていうか…痛っ…何で髪を引っ張るんですか!?」
倉石は突如やって来て米沢の髪を引っ張りある事を確認していた。
倉石「実はなぁ、ここにいる人使いの荒い警部さんに頼まれて
お前の毛根をDNA鑑定したんだがよぉ…
お前の髪…これ人間の髪じゃねぇぞ?」
伊丹「ハァ?」
芹沢「それってつまりカツラって事じゃ?」
米沢「し…失礼な事言わないでください!」
倉石「いいや、今確認したが一応カツラじゃなく地毛っぽいぞ。
一体どういう事だぁ?お前…俺の知ってる米沢とは、違うなあ!」
右京「米沢さん、いえ…米沢さんらしきあなた…僕は先ほど
あなたが米沢さんではないと言いましたが…そもそもあなた人間じゃありませんね。」
伊丹「ちょ…ちょっと警部殿…な…何を言ってるんですか?」
右京「あの大男の正体はR24というかつてウインスペクターが最初の事件で遭遇した
アンドロイドと同型機のモノでした。
そんなモノの共犯が人間だというのが、僕には違和感がありました。
しかし同じくアンドロイドなら辻褄が合うのですよ!
もしあなたがまだ自分が人間だと言い張るのなら病院に行きレントゲン検査でも行いましょうか?」
米沢R24「……」
急に不気味に米沢は口を紡ぎ出した、それから彼の身体から妙なモーター音が
鳴り出してきたのだ
キリ キリ キリ
米沢「……」
芹沢「ちょっと…何かやばくないですか?」
三浦「あきらかにおかしいぞ…」
伊丹「おい…止まれ!」
右京「どうやら正体を現したようですね、R24…いえそれの同型機さん!」
米沢「………」
ザッザッザッ
伊丹「何だこいつ近づいてきやがる!?」
芹沢「うわぁー!来るな!」
倉石「おいおい!何だってんだ!?」
三浦「け…警部…どうすれば…!」
右京「安心してください、既に備えは万全です!
ファイヤー、お願いします!!」
ファイヤー「了解!」バッ
その時前もって鑑識課の部屋に隠れていたファイヤーが姿を現した。
ファイヤーはすぐさま米沢に扮したR24を拘束しようとした。
ファイヤー「行くぞ、クラッパーアンカーユニット!」
ギュルギュルギュル
米沢R24「!?」
クラッパーのワイヤーに拘束され米沢R24は身動きが取れなくなってしまった。
ファイヤー「よし、今だ!デイトリックM-2溶解ビーム!」
ドシュンッ
米沢R24「…」ガクッ
ファイヤーは米沢R24の機能を溶解ビームを使い停止させ、
急いでウインスペクター本部に運んでいた。
竜馬「ふぅ…」
ファイヤーの着化を解除させ竜馬は右京と前もって打ち合わせをして
あの場に潜んでいた事を説明した。
伊丹「じゃぁ…俺らはつまり囮だったと?」
右京「そういう事ですかね。」
三浦「警部さん…こういう事は前もって説明してくれないと困りますよ!」
竜馬「すみません、どうしてもヤツを逃がすわけに行かなかったので…
バレるわけにはいかなかいし誰にも教えられなかったんです。
それよりもみなさん酷いじゃないですか!僕を犯人扱いして!?」
芹沢「す、すいません…」
伊丹「いや…アレは米沢に化けたロボットの言った事でして…」
三浦「アレ?お前が率先して言ってなかったか?」
そんなやり取りはさて置き、倉石は右京にある事を尋ねていた。
倉石「じゃぁアンタは俺が米沢を調べる前に大体の見当はついていたわけか。」
右京「えぇ、ですが確証がないので動けなかったので。
そこであまり見識のない倉石検視官に依頼をお願いしたのですよ。」
倉石「まったく喰えない男だ、悪いが俺はここで退散するぜ!
もう俺の仕事は終わったみたいだしなぁ…」
伊丹、芹沢、三浦「「倉石検視官!お疲れ様でした!!」」
そう言って倉石は自分の班のデスクへと戻っていった。
残ったメンバーはウインスペクター本部にあるスーパーコンピューターマドックスにより
先ほど鹵獲した米沢R24のデータを調べていた。
マドックス『データノカイセキガオワリマシタ、コノアンドロイドハ
アナタタチニシンソウヲアバカレルマエニダレカトレンラクヲトッテイマス。』
伊丹「なんだと!」
竜馬「マドックス、その時の状況はわかるか。」
マドックス『リョウカイ、オンセイデサイセイシマス。』
マドックスは米沢R24のデータからその時の状況を音声で再生した。
ザ…ザザ…了解、合流場所は……セントラルシティ…
米沢R24「…ピッ…ガ…ガ…」ジ、ジジ…
ドガン
伊丹「な…何だ!いきなり頭が爆発したぞ!?」
右京「恐らく敵に解析された時のための機密保持で爆破したんでしょう。
規模が最小限で助かりました。」
竜馬「マドックス、データの解析はどうなった?」
マドックス『サキホドノオンセイノサイゲンガセイイッパイデシタ。』
竜馬「セントラルシティ、そこにヤツらが現れるのか…」
右京「恐らく捕らわれの神戸くんたちもそこにいるはず、急ぎましょう!!」
続く
とりあえずここまで
右京さんの推理に何か矛盾した点があっても
できればあまりツッコまないであげてください…
>>137-138
相棒と臨場ならコラボしてもおかしくはないかなと
両作品ともテレ朝ドラマですしどちらも映画化までしてますし…
>>139
さぁ、でも前作と違ってこれ以上増えないと思いますよ…たぶん…
前のまどマギのSSに影響されて相棒見始めた俺が通ります
相棒については全然詳しくないんだけど最初から見続けた方がいいんだろうか、それともオススメの話とかありますか?
>>176
それならシーズン9のボーダーラインなんてどうでしょうか
ちなみにこのSSを見るならとりあえずシーズン1の最終話、シーズン4の1話、シーズン7の1話、
シーズン8最終話を見てくだされば「あぁ、ここはそうなのか」とかわかります。
第4話 「運命の交錯」
~???~
バイクル「うおりゃぁー!」
ドガーン
ウォルター「ようやく外に出られたか、米沢さん!しっかりしてください!」
米沢「う…うぅ…」
自力で脱出したバイクルとウォルターは、
下着姿の半裸状態でボロボロになっている米沢を担ぎ、
ウインスペクター本部と連絡を取っていた。
ウォルター「こちらウォルター、ウインスペクター本部!
応答願います!」
バイクル「ウォルター!あそこを見るとね!」
ウォルター「なっ!あれは!?」
二人の視線は車でこの場を去る黒田と北条の姿があった。
そして人質となった神戸もそこにいた。
ウォルター「あいつら…追うぞバイクル!」
バイクル「だがのぅ…米沢さんをこのままにしといたらまずいんちゃうか?」
米沢「わ…私の事はいいから犯人を…」
ウォルター「わかりました、よし!犯人を追うぞ!」
バイクル「おう!」
その頃黒田と北条も脱出したバイクルとウォルターの光景を車から眺めていた
北条「おいあいつら出てきてるぞ!どうすんだ!?」
黒田「問題ない、こんな事もあろうかと…」ポチッ
ドガァァァァァン
黒田「爆弾を仕掛けておいた、さぁセントラルシティへ行くぞ!」
北条「ふひゃひゃひゃひゃひゃ!た~まや~♪」
こうして黒田と北条は爆炎に背を向け車で去り、辺りには
北条貴臣の馬鹿笑いが暫く続いた…
………
それから数時間後バイクルとウォルターは業火の火災現場を脱出し
竜馬たちと合流した。
竜馬「二人とも、よく無事でいてくれた。」
バイクル「せやけどな、隊長…」
ウォルター「申し訳ありません、犯人に逃げられ神戸さんも依然捕まったままです。」
右京「本物の米沢さんは先ほど病院に搬送されました、命の心配はないそうです。」
バイクル「ホッ、よかったわぁ!」
ウォルター「安心してる場合じゃないぞ、犯人たちを一刻も早く見つけないと!」
右京「では香川さん、行きましょうか。あの場所へ…」
竜馬「ハイ、セントラルシティへ!」
セントラルシティ
ここは近未来型のニュータウンとして新たに都市開発された街である。
一見のどかで平和な街だが数年前から『ある問題』を抱えていた…
~セントラルシティ署~
ここに特命係、特警ウインスペクター、捜査一課、の面子が揃っていた。
竜馬「ここがセントラルシティ…この街のどこかに
黒田と北条が潜伏しているんですね!」
バイクル「さっさと探し出してやるがね!」
ウォルター「あぁ、人質の神戸さんも助けなければいけないしな!」
右京「ところで…まさかあなた方捜査一課まで付いてくるとは思いませんでしたが…」
伊丹「警視庁にスパイを潜入させられて捜査一課が黙っているわけないでしょう!
この事件は我々が絶対にホシを上げてみせますよ!」
三浦「そうですよ、仲間の警察官である米沢がやられたんです。
黙って見てるわけにはいきませんよ!」
芹沢「そういう事なんで俺たちも協力させてもらいますよ!
ところで何でこの街の所轄に寄ってんですか?」
右京「どこの街でも何か異変があればまず警察が動きを察知していると思いましてね。
それでこちらの署に寄ったまでですよ。
さぁ、行きますよ。」
右京たちがセントラル署に入ろうとした時どこからともなく彼らを呼ぶ声が聞こえてきた。
―「杉下さ~ん!」
右京「おや?僕を呼ぶ声がしますね?」
竜馬「杉下さんはここの署に知り合いの方がいらっしゃるんですか?」
右京「いえ…この街に来たのは今回が初めてですからいないはずなのですがね…」
―「す・ぎ・し・た・さ~ん!!」ブンブンブン
バイクル「なんちゅうバカデカい声だがね…」
ウォルター「これでもかという程アピールしているぞ…」
竜馬「あの…間違いなく杉下さんに向かって手を振っている人がいるんですけど…」
気になって捜一トリオの三人も見てみると…
伊丹「おい…嘘だろ…何であいつがここにいるんだ…」
三浦「そういえば前にまたやらかしたもんだから
内村部長がどこかの所轄に飛ばしたって言ってたな…」
芹沢「じゃぁ…あの人が飛ばされた所轄ってここだったんですか?」
ウォルター「あの…みなさん…彼と知り合いなんですか?」
芹沢「一応知り合いといえば知り合いなんだけど…」
伊丹「あいつと関わるとろくな事がねえんだよ…」
竜馬「なんだか曰くつきの人なんですね…」
右京もしらばっくれる振りをするのも限界だと思い観念してその人物の名を呼んでみた…
右京「こんなところで会うとは奇遇ですね、陣川くん。」
陣川「ハイ!ご無沙汰してます、杉下警部!!」
彼は陣川公平、階級は警部補。
一応伊丹たちと同じく捜査一課に所属しているが経理担当で、
基本捜査には参加できない立場にある。
…だが未だに刑事になろうという夢を抱いており、常に事件が起こるたびに
右京たち特命係を巻き込んでいるトラブルメーカーである。
そんな彼が何故このセントラル署にいるのかと言うと…
右京「それでキミは何故ここにいるんですか?」
陣川「ハイ!この街に出没する『バイオロン』という組織を倒すために
僕は本庁から派遣されたのです!」
芹沢「本当はまた指名手配犯を無関係の人間と間違えて誤認逮捕しちゃったらしいんですよ…」
伊丹「毎度毎度よくやるな、ところで『バイオロン』ってなんだ?」
バイクル「そりゃ一体なんじゃね?」
右京「『バイオロン』…『セントラルシティ署』…あぁ、思い出しました。
確か数年前からこの街にバイオロンという犯罪組織が暗躍している噂を警視庁内で
何度か耳にしています。」
芹沢「そういえば本庁でも噂話を何度か耳にしましたけど、それって本当にいるんですか?
警視庁内じゃただの都市伝説だって言われてますよ。」
竜馬(そういえば以前…ウインスペクター発足前の研修で
バイオロンに対抗するプロジェクトの名前を聞いたな。あれは確か…)
―「バイオロンは存在するわ!」
竜馬があるプロジェクトを思い出そうとした時、一人の女性が現れた。
陣川「洋子さん!」
洋子「陣川くん、こんなところで油を売ってないで田村くんのとこに行ったらどうなの?
確かあなたは今日セントラルシティ病院の方へ経理の用事があったはずでしょ!」
彼女の名は片桐洋子、セントラルシティ署の女刑事で男勝りな面があり行動派なタイプだ。
目下の悩みは最近配属された経理の陣川ともう一人のドジな後輩刑事が悩みの種だったりする…
陣川「ま…待ってください洋子さん!その前に紹介したい人がいるんです!」
洋子「紹介したい人?」
陣川「コホン、こちらは僕が尊敬する杉下警部。」
右京「どうも、杉下です。」
陣川「それでこちらが捜査一課の人たち。」
伊丹、芹沢、三浦「「省略すんな!!」」
陣川「それでこの人たちが…誰だっけ?」
バイクル「知らんのかい!?」
ウォルター「それなら無理に紹介しないでください!」
竜馬「我々は特警ウインスペクターです、ある事件を追ってここまでやってきました。」
陣川「特警ウインスペクターってあの有名な!?よろしく、特命係第三の男!陣川公平です!!」
伊丹「何が第三の男だ、勝手な事ほざいてんじゃねえよ…」
芹沢「シッ!聞こえますよ!」
洋子「ところで…事件を追ってきたと言いましたが…」
右京「では手短にお伝えします、東京拘置所から脱獄した黒田鬼吉と北条晴臣という
二人組が現職の警察官を一名人質にこの街のどこかに潜伏しています。
この街の何処かに彼らが隠れている場所をご存じありませんか?」
陣川「脱獄って偉いこっちゃ!大事件じゃないですか!
何でそんな大事件が報道されてないんですか!?」
芹沢「相手は一応人質を連れているんですよ、万が一人質に何かあったらやばいから
こっちも秘密裏に動いてるんですよ!」
洋子「そんな脱獄犯だなんて…バイオロンでさえ大変だっていうのに…」
陣川「大丈夫ですよ洋子さん!僕に任せてもらえればバイオロンだろうが脱獄犯だろうが
お縄に掛けててみせますからね!」
洋子「それが一番不安なのよ…」
伊丹「確かにな…」
芹沢「ですよね…」
三浦「それで何か心当たりはありますかね?」
洋子「ごめんなさい、私にはちょっと…」
村松「おいお前ら、何をしている!バイオロンが出たんだぞ!」
村松清志郎、若くしてセントラルシティ署の捜査課長代理であるが
実はかなりのおっちょこちょいでそのレベルは陣川とタメを張れるほどでもある。
洋子「清志郎…それが…本庁の方が来て…」
洋子は村松に黒田と北条の脱獄の一件を話すが…
村松「なんという事だ!バイオロンだけじゃなく脱獄犯だと!
なんてこった!これじゃこの街は終しまいだ!?」
芹沢「落ち着いて!まだそうと決まったわけじゃないんだから!」
洋子「清志郎!弱気にならないで!」
右京「北条晴臣の縁のある場所でもいいのです、何処かありませんかね?」
村松「うん…待てよ、北条晴臣?その人って確か…
セントラルシティ病院の出資者の名前じゃなかったか?」
右京「それです!」
伊丹「あの北条が病院に出資?ありえないだろ…」
三浦「あのドケチな男がなぁ…」
右京「だからこそ盲点なのでしょう、人は意外な場所に大事なモノを隠しますからね。」
村松「そんな事よりバイオロンだ…どうしたら…」
動揺する村松を目にする一行、バイオロンの脅威を知らない彼らだがそれでも
ここまで動揺するとなるとただ事ではない事がヒシヒシと伝わってくるのは間違いなかった。
そこで竜馬はある提案をした。
竜馬「杉下さん、僕たちウインスペクターはセントラル署と合同で
バイオロンの対処に当ります。
後から絶対に駆けつけますので黒田と北条の方はあなた方にお任せしてもいいですか?」
右京「わかりました、それでは二手に別れましょう。」
ウインスペクター、洋子たちはバイオロンの方を、右京と捜一トリオは病院の方へと
それぞれ急行した。
~セントラルシティ病院~
そこにひとりの儚げな、少女が入院していた。
少女は心臓の病で床に臥せっており普通ならば学校生活を送る多感な時期を、
病院の中で過ごしていた。
少女「ハァ…」
ガチャ
少女「!」
―「驚かせてすまない、ところでキミひとりかい?」
そこにひとりの青年が現れた、彼はセントラル署の田村直人刑事。
今日は訳あってこの病院に訪れていた。
直人「実は同僚の人と後で合流するはずだったんだがその人がまだ来なくてね。
暇だったんでちょっと病院内をうろついてたんだよ。」
少女「そ、そうなんですか…」
直人「ところで可愛い三つ編みだね、自分でやってるのかい?」
少女「えぇ、最初はお母さんにやってもらったんですけど…
お母さん毎日はお見舞いに来れないので自分で覚えて…
私…いつまで入院してなきゃいけないんだろ。
早く学校に行ってお友達とかたくさん作りたいのに…」
直人「そっか、身体…早く良くなるといいね。
うん?外が妙に騒がしいな、ひょっとして…」
直人は自分の待ち合わせしている人物が来たと思い部屋を後にする。
直人「それじゃ知り合いが来たようだから行くね。
騒がしちゃってゴメンよ。」
少女「いえ…あの…また来てくれますか?」
直人「あぁ!また来るよ!」
直人は少女と再会を約束し病室を後にした。
その頃病院の入り口前では右京と伊丹たち、ついでに陣川が病院に入ろうとしていた。
伊丹「でっけぇ病院だな、あのドケチの閣下がよくこんな病院をおっ建てたもんだぜ。」
三浦「この病院、出資されてるだけあって色んな外科手術が可能だとさ。
心臓外科、脳外科、なんでもござれだ。」
右京「そういえば陣川くん、キミは確か僕たちが来る前に、
この病院に来る用事があったんじゃないのですか?」
陣川「えぇ、同僚の田村くんが先に来てるはずなんですが…」
直人「陣川さん!まったく…遅いですよ、何をやってるんですか?」
陣川「いやぁ、ちょっと立て込んでてね。
紹介します、彼が待ち合わせしてた田村直人くんです。」
直人「あの陣川さん、この人たちは?」
右京「初めまして、特命係の杉下といいます。
手短に説明しますのでよく聞いてください…」
右京が直人に事情を説明している頃、病院の防犯カメラから彼らを見ていた者たちがいた。
そう…それは勿論この二人…
北条「ヒッヒッヒ!ついに来やがったな、杉下ぁ!
見てろよ、これからテメェのそのスカしたツラを凹ましてやるからな!」
黒田「その下品な笑い声はやめてくれないか、気が散ってしょうがない…」
北条「うるせえ!誰のおかげでそいつを改造する金が手に入ったと思ってんだ!!」
北条と黒田は一足早くこの病院についてすぐに
地下に隠してある一兆円もの金が入った金庫から金を取り出し
さっそくR24の改良を行っていた。
黒田「そんな事よりも思ったよりも早くヤツら嗅ぎつけて来たな。
どうやら警視庁内に潜入させていたR24はやられてしまったようだ。」
北条「たく…頼りにならねえな、そのガラクタ本当に大丈夫なのか?」
黒田「心配するな、警視庁電子工学研究所から手に入れたジルコナイトの精製法で
R24の装甲をジルコナイト21で覆っている。
これで憎きウインスペクターのファイヤーだって倒せるはずだ!」
北条「まぁいい、さてと次はお前だ!」
そう言うと北条は人質として拉致して手縄に繋がれている神戸に目を向けた。
神戸は人質になってからずっと北条に暴行されすっかり衰弱していた。
神戸「…」
北条「どうやら口答えする気力も失せたか。
さて、お前をなぁ…杉下の目の前で殺してやるよ!」
神戸「…」
北条「実はな、俺は以前にも警察の人間を殺してんだよ。
後で聞いたがよ、そいつは以前杉下の部下だったヤツなんだってよぉwww
つまりだな、あの野郎は二度も俺に部下をぶっ殺されるわけよ!
そうなりゃ杉下はもう警察にいられなくなる、不名誉にクビにされて
最期までケチのついた生き地獄を送るだろうよ!」
神戸「…」
北条「チッ、何も言いやしねえか。こいつ死んでんじゃねぇだろうな?」
神戸「……お生憎様、まだ生きてますよ。」
北条「あ゛ぁ!?」
既に衰弱したと思った神戸だがまだ意識がしっかりしてた事に北条は怒りを感じた。
神戸「あなたの人質籠城事件での警官殺しの自白、しっかりとこの耳で聞きました。
裁判では僕が証言台に立ちますのでどうぞご安心ください。」
北条「デメ゛ェ!ふざけんなぁぁぁぁぁ!!」
怒り狂った北条は再び神戸を暴行しようとするがそれをヒラリと避けられてしまう。
神戸「いやぁ、あれだけ隙を見せてくれたんですからね。
こんな安いロープの手縄くらい簡単に切る時間はタップリありましたよ。」
北条「ヂィグジョォォォォォォォ!!」
神戸「怒らない、怒らない、それじゃ失礼しますよ♪」ダッ
神戸は北条の魔の手を交わし素早くその場を脱出していった。
残った北条は怒りが収まらず彼を殺そうとしていた。
北条「おい!そのガラクタはまだ動かねえのか!」
黒田「無茶を言うな、作業を終わらせるにはあと30分はかかる。」
北条「30分だぁ…そんな悠長な事してたら杉下がここを嗅ぎ付けちまうぞ!?」
黒田「落ち着け、もう1体のR24を貸してやる。
それで連中を足止めしてこい。」
北条「ケッ!人を扱き使いやがって!
まあいい、杉下!それに神戸とか言ったな!覚悟しやがれ!!」
………
その頃直人は右京から全ての事情を聞いていた。
直人「なんですって、脱獄犯がこの病院に!?」
右京「えぇ、まだ確証がありませんが恐らく…」
ドオオオオオオオオン
その時病院内で爆発が発生した、右京たちがすぐに病院内に駆けつけると
そこには北条貴臣がR24を引き連れ病院内を我が物顔で大暴れしていたのだ。
―「キャー!助けて!」
―「死にたくないよ!」
北条「愚民どもが!この閣下に殺される事を光栄に思いやがれ!ハッハッハ!!」
右京「閣下!!」
北条「おぅ!ついに現れたか、杉下右京!」
杉下「このような愚かな行為はすぐにやめなさい!」
北条「黙れぇ!俺はテメェらに復讐するまで死んでも死にきれねぇんだよ!!」
ドガガガガガガ
北条は自身が持っていた銃を手当たり次第乱射して入院患者たちを恐怖に貶めていた。
右京たちも乱射する弾に当たらないように隠れるのがやっとの状況である。
右京「伊丹さん、あなた方は入院患者の避難を!
気を付けてください、ここには絶対安静の患者がいるので避難も慎重に!」
伊丹「わかりました、行くぞ!」
三浦「おう!」
芹沢「はい!」
陣川「僕も行きます!」
伊丹たちは右京の指示の下すぐに患者たちの避難に当ったが右京と同じく
その場に男がひとり残っていた。
右京「田村くん…でしたか、キミは行かないのですか?」
田村「そういう訳にもいきません、あの銃を乱射している男の後ろの病棟には
重い病気を患っている少女が入院しているんです!
なんとかしてあの子を助けないと…」
その頃少女の病室では…
少女「な…何だろう?さっきからお外が騒がしいんだけど?」
ガサゴソ
少女「キャッ!だ…誰!?」
神戸「シッ!静かにして、俺は怪しい者じゃないからね。
今この病院に凶悪犯が現れて病院が大変な事になっているんだ。
だから急いでここから脱出しないと!」
少女「そんな…けど私…先生から絶対安静だって言われてて…」
神戸「わかった、俺がおんぶしてあげるからそれでここから出よう!」
神戸は少女をおんぶして少女の病室を出ようとするが、運の悪い事に
そこでR24と北条に遭遇してしまった…
神戸「ゲッ!?」
北条「テメェ…こんなとこにいやがったか!
まずはテメェから血祭りにあげてやるよ!オラァ!!」
神戸「ぐぁっ!」
少女「イヤァァァァ!」
北条は神戸をR24に取り押さえさせ自身は少女に銃を突き付けて
今にも殺そうとしていた。
右京「待ちなさい!」
右京は神戸と少女の危機を見過ごせずついに北条たちの前に出てきた。
北条「杉下ぁ!やっと出て来たな!」
しかし右京は無策で前に出てきたわけではなかった、
出てきた右京は北条にある推理を話そうとした。
右京「閣下、僕を撃つのならどうぞご自由にしてください。
しかしそれはこれから語る僕の推理を聞いてからにして頂きたい!」
北条「推理だぁ?」
右京「閣下、あなたは何故ご自分が黒田と一緒に脱獄出来たかご存知ですか?」
北条「あいつはガラクタ作るのに俺の金が必要だったから俺を逃がす必要があった。
それだけの事だろう。」
右京「いいえ、そうではありません。
あなたと黒田はアメリカで以前に一度だけお会いしているのですよ!」
北条「なんだと?」
疑問を浮かべる北条に構う事無く右京は推理を続けてみせた。
右京「これはウインスペクターの資料で知った事ですが…
かつて10年以上も前にあなたは黒田と出会っていた。
それは研究の出資をあなた経由で政府にお願いするためだったと聞いています。」
北条「ほぅ…そんな事があったのか…」
右京「ですがあなたはそんな黒田の願いを聞き入れず、更には
黒田の研究を大勢の人の前で酷評してみせた。
あなたは自分の都合の悪い事は忘れっぽい性格ですからね。
どうせ僕に言われるまで忘れていたでしょうが…」
北条「ハン!そんな事憶えてねえよ!」
右京「それから現在、運命の悪戯かそれとも必然かあなた方は拘置所で
再会し共謀して犯罪を犯している。
これは偶然かと思いますか?」
北条「……何が言いたい?」
右京「黒田という男…
資料で事件の動機を読んだ限りではあなたと同様嫉妬深い男だと思います。
そんな彼があなたと仲良く共謀しているとは僕には思えない…
つまり…黒田は最初からあなたを裏切る予定なのですよ!」
北条「俺が裏切られるだぁ?そんな事があるわけ…」
R24「……」ガッ
北条「な…何だ?何をしやがる!?うぎゃぁぁぁぁ!!」
ガッシャーン
少女「キャァッ!」ガクッ
神戸「あぁ…北条が…」
右京「R24に掴まれて外に放り出されてしまいましたね…
まぁここは1階ですから死んではいないでしょう。」
R24「……ザ…ザ…ザザ…」
―『あの目障りな男ともこれでようやくおさらばだ。
ところで…どうやらここにはウインスペクターはいないようだな。』
北条を投げ飛ばしたR24から聞き覚えのない男の声が流れてきた。
その声に右京と神戸は心当たりがあった。
神戸「この声は?」
右京「なるほど…あなたが黒田鬼吉ですね、声はR24を中継して喋っているわけですか。」
黒田『そうだ、ヤツの横領金は全額回収した。もう北条なんぞどうでもいい!
私たちは直にここを去る、暫くの間この娘と刑事さんを人質に時間稼ぎをさせてもらおう。』
神戸「クッ…杉下さん、ダメです…この子さっきのショックで気絶してます…」
右京「あなたの目的は…ウインスペクターへの復讐…それは間違いありませんね!」
黒田『そうだ、ヤツらも北条同様私に恥を掻かせてくれた。
そんなヤツらを絶対に許すもんか!』
右京「そんなあなたは警視庁電子工学研究所でジルコナイト21の存在を知り、
鳴滝さんを使い情報を得た。」
黒田『あぁ、コレがあればウインスペクターなんて恐れる必要さえない!』
右京「なるほど…それだけ聞ければ充分…田村くん今ですよ!」
直人「ハイ!」ダッ
ガシッ
R24「!?」
直人「今のうちです!その子を連れて早く逃げて!」
神戸「あ…あぁ…よいしょっと!」
突如R24の死角から現れた直人がR24を押さえ込みその隙に神戸が少女を抱き抱え
右京の下まで辿り着いていた。
右京「神戸くん、その子は大丈夫ですか?」
神戸「えぇ、気絶しているだけですから。それより彼は…」
右京「それは先ほど…」
(回想)
数分前…
右京「北条は人質を取っています、彼がいつ人質に危害を加えるかわかりません。」
直人「ならこのまま黙って見過ごすわけには!」
右京「えぇ、僕もそのつもりです。
ところでキミ、あの少女をなんとしてでも助けたいですか?」
直人「当然じゃないですか!!」
右京「ならば僕の指示に従ってください、僕が北条の前に出て行って隙を作ります。
その間にあなたは彼らの死角に回り込みチャンスが来たら彼らを押さえ込んでください!」
──────
────
──
右京「…とこういうわけですよ。」
神戸「なるほど、しかし生身の人間がロボット相手じゃきついんじゃ?」
R24「……」ドゴッ
直人「ぐはっ!?」ドサッ
R24「……」
ガシャン ガシャン ガシャン
右京「田村くん!?」
神戸「あぁ…こっちに近付いてくる!」
R24は押さえ込んでいた直人を振り払い右京たちのところへ近づこうとしていた。
だが…
ガシッ
R24「?」
R24の背中を掴む手があった、恐る恐るその手の主を見ると…
直人「ハァ…ハァ…」
黒田『バカな…普通の人間なら全治三ヶ月くらいの怪我だぞ、何故立ってこれる!?』
直人「その人たちを傷つけさせるわけにはいかない!」
………
~セントラルシティ市街~
同じ頃ウインスペクターはバイオロンが出現した現場まで急行していた。
―「バイオロンが出たぞ!」
―「助けてー!」
―「びぇぇぇぇぇぇ!ママー!?」
そこは既に戦場と化していた。
逃げ惑う人々が悲鳴を上げ、助けを求める声が辺りに響いていたのだから…
竜馬「酷い光景だ…」
バイクル「人々が逃げ惑う先に誰かおんねんんで!」
ウォルター「あいつらは!?」
ザッザッザッ
黒装束を着た戦闘員マスクを従い左右に女性マーシャ、カーシャを二人従い
サングラスを掛け外人のボス格の男がいた。
この男こそ数多くのバイオノイドを生みそして束ねるバイオロンの首領
ドクター・ギバその人である。
ドクターギバ「フハハハハ!暴れろ!暴れろ!この街の人間どもを恐怖に陥れるのだ!!」
ドガーン ドカーン
―「うわー!」
―「きゃー!」
―「俺の家がー!」
洋子「バイオロン…なんて事を…」
竜馬「おのれ…許さん!待てバイオロン!!」ザッ
竜馬はバイオロンの首領であるドクター・ギバの前に姿を現した。
ドクター・ギバ「何だ、貴様は?」
竜馬「これ以上人々を傷つける事は許さん!」
ドクター・ギバ「フン、ただの人間がほざきおって!
お前なんぞに何が出来る?」
竜馬「出来るさ、お前たちからこの街の人々を守るくらいはな!」
ウォルター「隊長やりましょう!」
バイクル「よっしゃー!やってやるがね!」
ドクター・ギバ「フン、返り討ちにしてくれる!やれマッドガルボ!!」
マッドガルボ「ハッ!
貴様らなんぞ『ヤツ』を倒す前哨戦にしか過ぎんが…これも命令だ、死ね!!」
バイクル「なんやあいつ?男っぽいのに女の声しとるで!」
ウォルター「あの厳つい姿で女性…想像できんな…
ところで『ヤツ』とは誰の事だ?」
マッドガルボ、通常のバイオノイドを軽く上回る戦闘力を誇るバイボーグ戦士。
その姿は一見男性に見えるが人格は女性ともとれる。
マッドガルボ「喰らえ!バイオバズーカ!」
ドガーン
マッドガルボは竜馬たちにバイオバズーカを放った。
それにより辺り一面が火の海に包まれた。
ドクター・ギバ「フン、偉そうな口を叩きおって愚か者が!」
ブオン!!
やられていなかった、バイオバズーカが放たれる直前に竜馬はウインスコードに乗り込んでいた。
竜馬「今度はこちらからだ、行くぞ!着化!!」
そして同じ頃セントラルシティ病院では…
黒田『こいつ…R24の攻撃を喰らい立ってこれるとはただの人間じゃないな!?』
直人「そうだ、僕は貴様らのような悪人から人々を守るために甦った…
うおおおおおおおお!!」
その瞬間、直人は雄叫びを上げると同時に身体は光に包まれた。
その光景を目にした右京はある事を思い出す。
右京「もしや彼は…」
神戸「杉下さん知っているんですか?!」
右京「以前聞いた事があります、警視庁秘密調査室統括責任者の柳田警視監が
五十嵐健三博士の協力を得て進めた、対バイオロン用兵器製造計画「JIBAN PROJECT」!」
神戸「まさか彼はその唯一の被験者!?」
同時刻、それぞれの場所で悪に対抗する者たちが名乗りを上げた。
ジバン「警視庁秘密捜査官警視正、機動刑事ジバン!!」
………
ファイヤー「警視庁特別救急警察隊、特警ウインスペクター隊長ファイヤー!!」
ファイヤー&ジバン「「お前たち絶対に許さんぞ!!」」
………
黒田『機動刑事ジバンだと…まるでウインスペクターのファイヤーみたいな恰好をしおって…やれR24!』
R24「……」ブン
ガッ
R24はジバンに向け拳を放ったがその拳はジバンにより簡単に受け止められた。
ジバン「今度はこちらの番だ!マクシミリアンスティック、ディスクローズショック!」
バシーン
R24「!?」バチバチ
ジバン「トァッ!」ドガッ
ガシャーン
ジバンは病院の被害を食い止めるためにキックを放ちR24を外に叩きだした。
R24「ガ…ガガ…」
神戸「さっきの攻撃でヤツは行動不能ですね。」
右京「倒すなら今ですよ!」
ジバン「ハイ!マクシミリアンソード、ジバンエンド!!」
ザシュッ
R24「……」ドサッ
ドガーン
勝負は一瞬で決まった、ジバンのマクシミリアンソードによりR24は一刀両断に
切断され爆破した。
黒田『R24を倒したか、まぁいい…こちらはその間に脱出できた。
私はこの街の廃工場にいる、ウインスペクターどもにそう言っておけ!』
ジバン「こいつ…まだ…マクシミリアンガン!」ドンッ
残骸となったR24のスピーカーから黒田はそうメッセージを残していた。
その頃ファイヤーも…
ファイヤー「トォッ!」
マッドガルボ「デァッ!」
二人は激しい攻防戦を繰り広げていた。
バイクル、ウォルターもマスクたちを蹴散らしていた。
バイクル「バイスピア!」
ウォルター「デイトリックM-2レーザーガン!」
マスク’s「「ギャァッ!?」」
ドクター・ギバ「ヤツらの姿…色は違うがまるでジバンの姿に酷似しているな…
しかし肝心のジバンが来てないとはどういう事だ?」
さすがのドクター・ギバもジバンが別の場所で他の敵と戦っているとは、
把握出来てはおらずジバンが来ないのなら意味がないとその場から去ってしまった。
ドクター・ギバ「マッドガルボ、お前はジバンのデータを使いパワーアップした身だ。
だがそいつらはジバンではない、お前も直ちにそこを去れ!」
洋子「ドクター・ギバ…逃げたわね…」
マッドガルボ「恐れながら、こんなジバン擬きの3人組程度…私の力があれば
簡単に捻り潰してみせます!」
ファイヤー「舐めるな、俺たちは救助を目的に作られているから
戦闘力はジバンに劣るかもしれんが…人を守る心はジバン以上だぁぁぁぁぁ!!」
ファイヤーはクラステクターのパワーを全開にし紅く輝いていた。
ファイヤ「マックスキャリバー!」
マッドガルボ「剣の勝負か、面白い…受けて立ってやる!」
………
ファイヤーがマックスキャリバーを出したと同時に
マッドガルボも自らの鋭い水晶状の剣を取り出した。
二人は対峙したまま動かなかった、いや動けないのだ。
迂闊に動いた方が負ける…どちらも肌でそれを感じていたのだから…
ジャリッ
ファイヤーがわずかに足を動かした、マッドガルボはその動きを見逃さなかった。
マッドガルボ「フハハハ、どうやら辛抱出来なかったようだな…喰らえ!!」ダッ
マッドガルボはファイヤーよりも一早く動き斬撃を叩き込もうとした。
ファイヤ「マックスキャリバーレーザーソード!!」
ズバッ
ファイヤー「…」
マッドガルボ「…」
勝負は一瞬で決まった。
ウォルター、バイクル「隊長!」
洋子「ファイヤー!」
3人はファイヤーの身を案じたがその心配は要らなかった。
マッドガルボ「グフッ…まさか貴様が最初に動いたのは…」
ファイヤー「あぁ、お前の油断を誘うためだ。」
マッドガルボ「ククク、やるじゃないか…
だが私はこんなとこでやられるわけにはいかないのでな、一旦引かせてもらう…」
洋子「マッドガルボ!待ちなさい!」
マッドガルボ「片桐洋子、ジバンに伝えておけ!
我々バイオロンと貴様の最終決戦も近々行われるだろう、その時勝利するのは
我々バイオロンなのだとな!!」シュンッ
そう言い残しバイオロンたちは引き上げてしまった。
ファイヤー「いなくなったか。」
洋子「バイオロンとの最終決戦…ジバン…」
バイクル「ところでジバンって誰の事だがね?」
ウォルター「さぁ?」
ファイヤー「ここはもう大丈夫だな、私たちは病院の方へ急ぐぞ!」
一方病院の方では…
ジバン「杉下さん、それに神戸さん、大丈夫でしたか?」
右京「えぇ、なんとか。」
神戸「それよりもお医者さんを呼ばないと、この子の容体を見てもらわないといけません!」
右京「キミもですよ、思ったよりも北条たちにこっ酷くヤラれてますね。」
神戸「ハハ、まったく…あの爺さんやり過ぎですよ。」
―「うおおおおおおぃ!杉下ぁぁぁぁぁ!!」
突如怒鳴り声を上げた人物、それは先ほどR24が病棟から吹っ飛ばした北条であった。
彼はガラスの破片で血塗れになっていたがそれ以外の外傷は無く、
今まさに怒りの頂点に達していた。
北条「どいつもこいつも俺をコケにしやがって…俺を誰だと思ってやがる!?」
右京「前科二犯、いえ今回のも合わせれば三犯になりますかね。
脱獄犯北条貴臣容疑者です。」
北条「ちげぇぇぇぇよ!?
俺は各国の大使を務めたエリート中のエリート…北条貴臣閣下さまだぞ!!!!!」
神戸「その姿はどう見ても凶悪犯にしか見えませんけどね。」
神戸の言う通り最早北条の姿は怒り狂った形相、汚い身形、
とてもではないが各国の大使を歴任したエリートには見えなかった。
北条「黙れ…黙れ…黙れぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
ドガガガガガガ
神戸「こいつ…まだ銃を…」
北条「ハァハァ…まずはガキを殺す、次に神戸…最後に杉下…お前を殺す!!」
ジバン「!」
右京「殺すなら僕からにしなさい、しかし…この少女と神戸くんは殺させませんよ!」
神戸「杉下さん…そんな!?」
北条「面倒だ、全員まとめて殺してやる!!」
ガガガガガガガ
北条は怒りに身を任せ右京たちに向かい銃弾を放った、しかし…
シュゥゥゥゥゥ
ジバン「…」
神戸「スゴい…銃弾を全部防いだ!」
右京「田村くんが我々を身を挺して守ってくれたのですよ。」
北条「このガラクタ野郎…そこを退け!杉下たちに当らねえだろ!!」
ジバン「マクシミリアンガン!」ドゥッ!
バシッ
北条「痛てぇ!?」
ジバンの攻撃により北条は手から銃を弾かれてしまった。
それからジバンは電子手帳を取り出しある条文を読み上げる。
ジバン「対バイオロン法
第1条:機動刑事ジバンは、いかなる場合でも令状なしに犯人を逮捕することができる。
第2条:機動刑事ジバンは、相手がバイオロンと認めた場合、自らの判断で犯人を処罰することができる。
場合によっては抹殺することも許される。
第3条:機動刑事ジバンは、人間の生命を最優先とし、これを顧みないあらゆる命令を排除することができる
第5条:人間の信じる心を利用し、悪のために操るバイオロンと認めた場合、自らの判断で処罰することができる。」
北条「何を言ってやがる?どうせ逮捕すんだろ?早くしやがれってんだよ!」
神戸「この…全然反省してませんね…それどころか開き直ってるし!」
右京「…」
右京は何故このタイミングでジバンが対バイオロン法を読み上げるのかに疑問を感じていた。
しかしジバンはそんな右京の疑問にお構いなく条文を読み続けた。
ジバン「第6条:子どもの夢を奪い、その心を傷つけた罪は特に重い。
第9条:機動刑事ジバンは、あらゆる生命体の平和を破壊する者を、
自らの判断で抹殺することが出来る。」
右京「!?」
北条「は?」
神戸「え~とつまりこれって機動刑事ジバンはバイオロンになら
何をしてもOKっていう法律ですか?」
右京「いえ…それだけではありません、彼は…」
北条「訳のわかんねぇ事言ってねえで早く逮捕しろ!
こっちは大人しく捕まってやるんだぞおら!」
北条「訳のわかんねぇ事言ってねえで早く逮捕しろ!
こっちは大人しく捕まってやるんだぞおら!」
ジバン「…」ジャキッ
ドンドンドンドンドン
北条「うぎゃぁぁぁぁ!?」
ジバンは北条の足元にマクシミリアンガンを乱射させ北条を恐怖に震え上がらせた。
北条「な…何だ!日本の警察官がこんな事していいと思ってんのか!?」
神戸「一体彼は何をしているんですか!?」
右京「あの条文の通りですよ、彼はあらゆる生命に危害を加える者は抹殺することが出来るんですよ!
それがたとえ人間でも…」
神戸「なんですって!」
北条「あわわ…お…俺が悪かった、許してくれ…
欲しい物は何でもくれてやる!言ってみろ、金か?名誉か?女か?」
ジバンはそんな北条の命乞いに耳を貸さずにある事を尋ねた。
ジバン「…貴様は何の罪もない少女を殺そうとした、その事に何も罪悪感を感じないのか?」
北条「バカかテメェは?俺は大使閣下さまだぞ!
そんな死にかけの雌ガキ一匹と俺の命、秤にかければどっちが優先かわかんねえのか!?」
ドシュンッ!
北条「あわわ…」ダラリッ
ジバンのマクシミリアンガンが北条の頬っぺたを横切った、幸い皮膚一枚切る程度の
軽症ですんだが今度は間違いなく命中させる気でいた。
ジバン「このゲスめ!お前はバイオロンと同じく許しておけん!!」
北条「え?なに?俺何か悪い事言った!?」
ジバン「こいつ…ギリッ!」
ジバンは最早堪えることが出来ず北条に引き金を引こうとするが寸前でそれは阻止された。
右京「そこまでです!その銃を置いてください。」
ジバン「杉下さん!しかしこいつは…」
右京「わかっています、彼が許されない悪人だという事は…
しかし彼をこの場で殺してしまってはそれまでなのです。
北条の所為で人生を狂わされた人たちはたくさんいます、そういった人たちのためにも
彼の罪を裁判で白日の下に晒すのです!!」
ジバン「…あなたは甘い…甘過ぎる人だ…フンッ!」ドガッ
神戸「あぁ…北条にパンチを…あんなの当たったら北条死んじゃいますよ!」
右京「いえ、大丈夫ですよ。」
右京の言う通りジバンのパンチは北条の顔面を逸らしその真横に命中していた。
顔面に当ったと思った北条は思わずその場で失禁してしまった。
北条「……」ジョロロロロ
神戸「あちゃ~、これは酷い…」
ジバン「それでは私はこれで、バイオロンが出たそうなのでこの場で失礼します。
あとはお任せしてよろしいですか?」
右京「えぇ、こちらは問題ありません。」
ジバン「それでは…」
ジバンはその場を去ろうとするが去り際にある事を右京に告げた。
ジバン「杉下さん…ありがとうございます。
あなたのおかげで僕は…道を踏み外す事はなかった…」ダッ
ブオン!!
そしてジバンはレゾンに乗り込みバイオロンが待つ戦場へと向かって行った。
そんなジバンと入れ替わりで先ほど患者たちの避難誘導をしていた伊丹たちが駆けつけてきた。
伊丹「警部殿、大丈夫でしたか…ってこいつは北条貴臣!?」
芹沢「お二人が捕まえたんですか?」
三浦「それにしてもこいつ小便垂らして泡吹いて気絶してるぞ。
一体何があったんだ?」
神戸「杉下さん、今の事みんなに話しましょうか?」
右京「よしましょう、ジバンの存在は秘密にしておいた方が良さそうですから。」
陣川「ところで田村くんは何処に行ったんですか?」
右京「あぁ…彼なら…トイレ…ですかね?」
陣川「まったくあいつはバイオロンが現れるといっつも何処かいなくなるんですよ!
あの臆病者め!今日という今日はたっぷり説教してやりますよ!!」
神戸「正義の味方って大変なんですね。」
右京「そのようですね…」
ウインスペクターが駆けつけたのはそれから数分後の事であった。
続く
とりあえずここまで
長くなってしまいましたが陣川君は動かしやすくて助かります。
一応補足説明
ジバン側は時期的に大体50話辺りのドクター・ギバやマッドガルボと対決する前になりますね
陣川くんどうやって出そうかなと思いましたがそのまま出すくらいなら…
いっその事左遷させた方がいんじゃねと思いセントラルシティ署に配属させちゃいました。
ちなみにセントラルシティをニュータウンの設定にしてしまいましたが
ジバン本編ではそんな設定は無いのでこのSSオリジナルの設定になります。
ジバンはデカレンジャーとタメ張れるほど容赦ないなw
個人的にはジャンパーソンやブルースワットも出して欲しいけど時系列的に無理か…つーか警察が主役のヒーローって減ったよね…。
>>251
子供にとっても作る側にとっても、
お巡りさんが正義のヒーローとは結び付かなくなっちゃったんじゃね
刑事ドラマも警察だけど、一般的な組織からははみ出してるような人達ばかりだし
クウガ、アギト辺りの警察が好きだった
第5話 「決着」
~セントラルシティ廃工場~
合流したウインスペクターと特命係は黒田がいると思われるこの廃工場にまでやってきた。
ちなみに捜査一課は先ほど逮捕した北条貴臣を本庁に連行するために、病院で別れる事になった。
ブロロロロ キッキッ
ウインスコードから降りた竜馬は廃工場一帯を見まわしていた。
竜馬「ここにヤツがいるのか…」
ウォルター「上空から確認しましたが人の気配はありませんね。」
右京「恐らく何処かに隠れているのでしょう、みなさん油断なさらないように。」
神戸「そうですよ、油断するとこういう目に…痛たたた…」
ウォルター「神戸さん大丈夫ですか?」
バイクル「無理せんとき、犯人はワシらで逮捕したるきにな!」
神戸「ご冗談を、ここまで一方的にやられたままじゃ性に合いませんからね。」
右京「キミ…意外と性格が直情型なんですね。」
神戸「そういう風に言われるのは初めてですね、さぁ行きましょう!」
sageてしまいましたすみません。
一行は廃工場内に潜入するがやはり人気は感じなかった。
神戸「本当に黒田はいるのでしょうか?黒田が嘘をついたのでは?
例えば逃走時間を稼ぐためにとか…」
右京「その可能性はあります、しかし僕には彼があのままオメオメと
逃げるとは到底思えないのですがねぇ…」
竜馬「同感です、ヤツは以前タンクローリーを使い警察やマスコミを振り回した男です。
そんなヤツがこのまま引き下がるとは僕にも…」
―「フン、わかった様な口を言いおって…」
ドンッ!
突如巨大な扉が閉じられウインスペクターと特命係を分断させた。
そして閉ざされたウインスペクター側の構内から男が二人現れた。
一人は勿論黒田鬼吉…
黒田「久しぶりだなウインスペクター、会いたかったぞ!」
竜馬「黒田!」
そしてもう一人は…
ガシャン ガシャン ガシャン
竜馬「R24…」
黒田「こいつはただのR24じゃない、ジルコナイト21で装甲を覆いパワーアップした…
そうだな、R24改とでも呼ぼうか。」
R24改「……」
竜馬「R24改だと!?」
黒田「ククク、こいつで貴様らに勝負を挑むまでだ!
そう…正々堂々と対決してやる、どうだ…文句なかろう?」
竜馬「正々堂々?笑わせるな!ここに閉じ込めたのは僕を着化させないためだろう!」
ガンガン
バイクル「ダメだで隊長!この扉…ワシらの力でもビクともせんわ…」
ウォルター「時間を掛ければなんとかなるかもしれませんが扉が壊れるまで敵が待ってくれるかどうか…」
パワータイプのバイクルが叩いても破けない扉…そして目前の敵であるR24改…
ウインスペクターはかつてない危機に見舞われていた。
黒田「その通りだ、私はそんな扉が破れるまで待つ気はない。やれR24改!」
R24改「……」
ガシャン ガシャン ガシャン
ウォルター「ヤツが近づいてくる…」
バイクル「じゃけど…隊長はクラステクターが使えんとね!」
竜馬「そんな事を言っている場合じゃない…二人とも、行くぞ!」
その頃、外の方では…
神戸「ダメですね、全然開かない…」ガチャガチャ
右京「バイクルくんですら開けられないのですから我々の力では無理でしょうね。」
神戸「だからといってこのまま手を拱いているわけには…いきませんよね?」
右京「当然です、なんとしても香川さんを着化させなければいけません。
そうしなければこちらの勝ち目はないのですからねぇ。」
神戸「しかし廃工場のくせにセキュリティが生きているとは…
これじゃ蟻の子一匹入れませんよ。」
右京は廃工場の周辺を見まわしてある策を思いつく。
右京「ではここはひとつ、少々荒っぽい事になりますがやってみましょうか。」
神戸「?」
………
竜馬「喰らえ!」
ダンダンダンダン
バイクル「バイスピア!」ブン
ウォルター「ディスライダーアタック!」
ガキィンッ!!
竜馬のオートマグ、バイクルのバイスピア、ウォルターのディスライダー、
今のウインスペクターが総力を上げR24改に挑んでいた、しかし…
R24改「……」
竜馬「効いてないだと!?」
黒田「当然だ、ジルコナイト21を使っているんだ!その程度の攻撃が通用するわけがなかろう!
今度はこちらの番だ。」
R24改「……」バッ
ドンドンドン
バイクル「あかんで!ヤツの手からビームが撃たれてもうた!」
竜馬「ウォルター!ディスライダーで防ぐんだ!」
ウォルター「了解、ディスライダーシールドモード!」
ウォルターはディスライダーをシールドモードにして全員を守るように展開させた。
黒田「フン、無駄な事を…
R24改は装甲だけではなく出力もパワーアップしている、そんな盾で防ぎきれるものか!」
黒田の言う通りウォルターのディスライダーシールドでは威力を防ぎきれず
竜馬、バイクル、ウォルターの3人は吹っ飛ばされてしまった。
竜馬「ぐはっ!」ドサッ
バイクル「ギャッ!」ドテッ
ウォルター「うぐっ!」バタッ
R24改の攻撃を受け倒れる竜馬たちウインスペクター、その光景を見た
黒田は邪悪な笑みを浮かべながら勝ち誇っていた。
黒田「フハハハハ、もう立てないとは情けないな。こんなのはまだまだ小手調べだぞ!」
竜馬「おのれ…黒田!せめて着化さえ出来れば…」
ウォルター「しかし…ウインスコードは外に…」
バイクル「あの黒田が…外に出してくれるわけないがね…」
その時だった。
ブオン!!
ブオン!!
黒田「うん?この車の排気音は何だ?」
ウォルター「これはウインスコードの排気音?」
バイクル「特命さんたちがウインスコードを持ってきてくれたんだがね!」
竜馬「しかし壁が…まさかウインスコードで壁を突き破る気か?いけない!
あの壁の堅さからしてウインスコードで体当たりすれば壊れるのはウインスコードの方だ!?」
こちら外では…
右京「それでは行きますよ。」
神戸「けどこれ…本当に大丈夫なんですか?」
右京「黒田はこの廃工場の施設を利用してウインスペクターとの対戦舞台を用意していた。
しかし服役していた黒田にそんな余裕があるとは思えない…
つまりここは施設を利用した突貫的な舞台、完全な密室なわけがありません。」
神戸「それでこのジェットコースターのコースみたいなのを用意したと…
お言葉ですが、正直無茶苦茶ですね。
こんな非常時じゃなければ絶対に賛成なんかしませんよ…」
右京「そんな事より僕はキミの運転の方が心配です。
いつもの荒っぽい運転をして発射台コースから落っこちないようにしてくださいよ。」
神戸「再度お言葉ですが…舐めないでください!
これでも伊達にGT-Rに乗っていませんからね!!」
ブオオオオオオ!
黒田「フン、どうやら本当に突っ込んでくるらしいな。バカめ、無駄な事を…」
竜馬「やめるんだ!杉下さん!神戸さん!」
彼らは確かに突っ込んできた、しかし現れた場所は扉からではなかった。
ウインスコードに乗った右京たちが現れたのはなんと…
ドガシャァァァァン
竜馬「天井からウインスコードが現れた!」
黒田「なんだと!あの車は空を飛べるのか!?」
ウォルター「ウインスコードにそんな機能はないはずだが…」
バイクル「どういうこっちゃ!?」
ドシーン!
空から降ってきたウインスコードは無事着地し中から右京と神戸が出てきた。
ガラガラガラ
ちなみにR24改はウインスコードが天井から突っ込んだ際の天井の瓦礫に
埋もれてしまった。
R24「ガ…ガガ…」
黒田「おのれR24が…許さんぞ貴様ら!!」
右京「みなさんご無事のようですね、さぁ香川さん急いで車の中へ!」
神戸「超特急で車を届けに来たんです、僕らの頑張りを無駄にしないでください!」
竜馬「ハ…ハイ!ところであなたたちはどうやってここに?」
神戸「それはですね…」
右京「この工場を見まわした限りですと屋根の構造はそれほど強固に出来てはいません。
それなら車一台分の重量でいきなり押せば屋根を壊して入れるはずだと思いましてね。」
竜馬「なんと無茶な事を…」
右京「僕たちは香川さんに着化させるべくこちらにウインスコードを送るため、
この廃工場内にある鉄板などの資材を利用し竜馬たちの閉じ込められている場所へ
行くべく簡易な発射台コースを作ったのですよ。
僕たちの考える突入コースはこうでした、簡易な発射台コース作りそこから
ウインスコードを発進させ屋根から室内に侵入するといった方法です。」
神戸「あとは香川さんのウインスコードをお借りして、
僕のドライビング・テクニックを駆使してこの建物の中に侵入したわけです。」
右京「正直この計画は神戸くんの運転が不安要素でしたがなんとか上手くいって幸いでした。」
神戸「そこで僕の事ディスるのやめてもらえますかね…」
ウォルター「まったく…よく上手くいきましたね。」
バイクル「正直呆れるわな…」
特命係がウインスペクターにここまでの侵入経緯を説明してたがこの場に一人だけ
それに怒りを感じていた人物がいた、勿論この男である…
黒田「おのれ…おのれ…おのれ!せっかく上手く行っていたのに下らん邪魔をしおって!
起き上がれR24改!こいつらを倒すのだ!」
竜馬「そうはさせん、今度はこちらの番だ!着化!!」
ウィィィィィィ
ウインスコードの車内が紅く輝き中からクラステクターを装着したファイヤーが出てきた。
ファイヤー「特警ウインスペクター隊長ファイヤー!黒田鬼吉、お前の悪事もこれまでだ!!」
黒田「ほざくな!殺れ、R24改!!」
R24改「……」
ガシャン ガシャン ガシャン
ファイヤー「ヤツが来るぞ、ウォルター、バイクル、まだ戦えるな!」
バイクル「まかせてちょ!」
ウォルター「当然です!」
ファイヤー「デイトリックM-2、レーザーガン!」
ドン ドン
黒田「そんな豆鉄砲が喰らう訳なかろうに。」
ファイヤー「そうかな、あの短時間の間に全体をジルコナイト21で覆えるわけがない。
そこを探すんだ!」
ウォルター「ありました、ヤツの頭部の眼球部分…あそこだけジルコナイトではありません!」
ファイヤー「よし、全員でその部分を狙うんだ!」
R24改「!」ダッ
弱点を察知されたR24改は先手を打とうとファイヤーたちに襲い掛かってきた。
神戸「ファイヤー危ない!」
ファイヤー「そう何度も痛い目に合ってたまるか、うおおお!」ドガッ
ファイヤーのパンチがR24改に命中、R24改はその拍子で倒れてしまった。
R24改「……」ドサッ
黒田「何をしているR24改!早く立たんか!」
この瞬間をウインスペクターは逃さなかった、R24改が倒れたと同時に彼らは
R24改にデイトリックM-2の銃口を向けていた。
ファイヤー、バイクル、ウォルター「「デイトリックM-2レーザーパルスガン!!」」
ドンドンドンドンドンドンドンドン
デイトリックM-2から発射されたレーザーがR24改の頭部に集中して攻撃された。
この威力に耐えきれずR24改の頭部は爆発を起こした。
ボンッ
シュゥゥゥゥ
R24改は頭部を破壊され首から白い煙が上がり始める。
黒田「あ…あぁ…私のR24改が…私の…科学の…最高傑作が…」
右京「何が最高傑作ですか!」
黒田「な…なんだと!R24改は私の力で生み出した最高傑作だ!
貴様なんぞに何がわかるというんだ!?」
右京「あなたは今回の事件で警視庁電子工学研究所からジルコナイト21の研究を盗み、
北条が隠した横領金を横取りするなど全て他人の物を横取りしただけじゃありませんか!
そんなあなたが科学者を名乗る資格などありません!!!!」
黒田「くっ!」
神戸「言っておきますけど、もう逃げられませんよ。
あなたの手駒のR24改は倒されて僕らに取り囲まれているんです。
無駄な抵抗はせずに大人しく逮捕されてください!」
バイクル「ふぅ…これで一件落着だがね。」
ウォルター「あぁ、黒田はもう逃げ道がないしな、我々の勝利だ。」
誰もがこの事件は解決した、そう思った矢先であった。
R24改「……」ブオン
ギ…ギギ…ギギ…ガシャン!
ファイヤー「何だ?R24改が動き出しているだと!?」
黒田「ハハハハハ!どうやらR24改はまだ生きていたらしいな!
殺せ!この場にいる連中全員を殺すんだ!!」
R24改「……」
黒田「ど…どうした?は…早くやらないか!」
R24改「……」バキッ
黒田「ぐはっ!な…何故だ?何故私の命令を聞かないんだ!?ハッ!まさか…」
R24改は再起動はしたものの作り手である黒田を殴り飛ばし無作為に暴れ出していた。
バイクル「ど…どういうこっちゃ!?」
右京「恐らく先ほどの頭部の攻撃、あれが原因だったのでしょう。」
ファイヤー「まさか頭部にあった制御装置が壊された影響でヤツは暴走状態に陥ったと!」
右京「そういう事になりますね。」
神戸「まったく冗談じゃありませんよ!これならまだ正常の方がマシじゃないですか!」
R24改「ギ…ギギ!!」
ドガァァァァァァン
バイクル「さっきよりも威力のあるビームを撃ってきたがね!」
ウォルター「ヤツめ!制御が効かなくなった事により出力を最大限に撃ちこんでくるとは!
これでは迂闊に近づけないぞ…」
ファイヤー「なんとかならないのか…」
右京「こうなればR24改のエネルギー切れを待つしかありませんが…」
神戸「こういう時は開発者に問い質すのが一番ですよ、ちょうどあそこにいますし…
っていない!?」
ウォルター「何処に行った!」
黒田「ハァハァ…」コソコソ
黒田はこの隙を突き用意しておいた隠し通路でこの場を脱出しようとしていた。
バイクル「あの男!隠し通路で逃げようとしちょるわ!」
ファイヤー「待て、黒田!こいつをどうすれば止められるんだ!?」
黒田「し…知るか…そんな暴走した状態じゃもう手に負えるわけがないだろ!
それにエネルギー切れを狙うならやめておけ。
そいつはもしもの異常事態になった時に備えて自爆装置を組み込んであるからな!
この辺り一帯が爆炎に包まれるだろうよ!
タイムリミットはあと5分だ、それまでになんとかする事だ!ではさらばだ諸君!!」ダッ
そう言い残し黒田は隠し通路から姿を消してしまった。
ファイヤー「あと5分以内に自爆するだと…」
ウォルター「ちょうど隊長の着化タイムリミットと同じ時間だ。」
バイクル「それまでにどうにかせんと…」
神戸「この際ですから逃げるのはどうでしょうか?
どうせここは人気の無い場所、R24改が自爆するには打って付けの場所ですよ。」
ウォルター「なるほど、確かに。隊長するに脱出しましょう!」
ファイヤー「そうだな、ここなら被害も少ないし我々も急いで脱出を…
ちょっと待て、何だか外が騒がしいぞ!?」
右京「これはひょっとして…」
ファン ファン ファン
ファン ファン ファン
しかしその時この辺りにパトカーのサイレンが鳴り響いていた。
ファイヤー「バカな!何でこんなに警察車輌が集まってくるんだ!?
ここに来る前に危険だから近づかないようにと近隣の警察に言っておいたはずなのに…」
神戸「まさか黒田が警察に通報してここまで誘導したのでは?」
ウォルター「それはあり得ますね…黒田め…なんて事を…」
だがこの事態を引き起こしたのは黒田ではなく…
陣川「「あーテステス…ただいまメガホンのテスト中。
す・ぎ・し・た・さ~ん!応援を引き連れて来ましたよ!!
さぁ、これでどんな凶悪犯も一網打尽ですからね!!!!!」」
なんと先ほど別れた陣川が、要らぬお節介をしてセントラルシティ署のパトカーを
全台出動させていたのだ。
洋子「ねぇ、陣川くん…本当に来ちゃって大丈夫なの?
ウインスペクターの香川さんから危険だからここには来ないようにって注意されてるはずだけど…」
陣川「安心してください洋子さん!
本当に危険ならこの僕の応援を必要としてるはずです!
それならば僕らだって手を拱いてないで彼らの加勢に加わるべきですよ!!」
洋子「一応理には適っているけど…陣川くんが言うと何故か不安になるわ。
おまけに…」チラリ
村松「本庁で指名手配の脱獄犯を俺が逮捕すれば出世間違いなしだぜ!
ここはなんとしても犯人を捕まえてやる♪♪」
洋子「ハァ…直人はいつもみたく何処かいなくなっちゃうしウチの署って
ろくな男がいやしないわ…」
ファイヤー「…」
ウォルター「…」
バイクル「…」
神戸「……生まれて初めて人を思いっきりぶん殴りたいって思いました。」
右京「奇遇ですね、僕もですよ。」
ファイヤー「と…とにかく外と連絡を取らなくては…彼らが危ない!」
R24改「ガ…ガガガ…ガ!!」ジャキン
ブンッ
バイクル「ひぃっ!剣を出して攻撃してきたがね!」
右京「このまま手を拱いているわけにも行きませんね、ウォルターくん!
空を飛べるキミならこの天井から出て外にいる彼らに逃げるよう警告することが出来るでしょう!」
ウォルター「わかりまし…」
R24改「ガァッ!」
ドシュンッ!
ファイヤー「ダメだ!飛んだら狙い撃ちされるぞ!」
バイクル「ダメだわ…八方塞だがね…」
神戸「さすがに今度ばかりは…もう…」
さすがに落胆する一同、だがそんな彼らに救いの手が差し向けられた。
―『応答せよ!こちらウインスペクター本部だ!』
ファイヤー「特警手帳から連絡が入っている…こちらファイヤー、どうしたのですか?」
正木『私だ、朝比奈博士に問い合わせたんだが黒田が盗用したジルコナイト21のデータは
まだ未完成だったらしい、つまり金属としては不完全な物質なんだ!』
ファイヤー「なんですって!」
右京「どうやら光明が見えてきましたね。」
ウォルター「というか隊長、連絡が繋がるならそれで外にいる彼らと連絡すれば…」
R24改「ギ…ギギギギギギ!!」
バチッ バチッ バチッ
正木『な…だ!…ど…した…応…答し…ザ…ザザ…』
ファイヤー「本部長…本部長!しまった、ヤツめ…妨害電波を出したんだな。」
右京「これで外との連絡を絶たれてしまいましたね…」
バイクル「このウォルターのバカたれ!言わんかったら気付かれんかったのに!」
ウォルター「す…すまん…」
神戸「まぁまぁ、そんな事言っても何も始まりませんよ。
ところでジルコナイト21がまだ未完成なら…」
右京「えぇ、僕たちにもまだ勝ち目があります!
みなさん、これから我々特命係とウインスペクターの共同戦線を張りたいのですがよろしいですか?」
バイクル「何を言ってるがね!」
ウォルター「もうとっくに張っているじゃないですか!」
ファイヤー「残り時間3分を切りました。
私たちウインスペクターとあなた方特命係、力を合わせこの場を切り抜けましょう!!」
右京「それでは僕の指示に従ってください、まずは……
その後……そして……という訳です。」
ウォルター「またなんと無茶な事を…」
バイクル「アンタ…インテリさんの癖してやる事が無茶苦茶だがね。」
ファイヤー「だがこんな状況下ならこの作戦が一番効果的だ。
杉下さん、この作戦乗らせて頂きます!!」
右京「フフ、それでは作戦開始と行きましょう。」
ウォルター「それでは私たちの武器を!」
バイクル「ちゃんと大事に扱ってちょよ!」
ウォルターとバイクルのディスライダーとバイスピアが右京たちに手渡され、
右京の指示による作戦が開始された、まずは特命係の二人がR24改の前に出てくる。
R24改「ギ…ギギギ!」
右京「敵が撃ってきましたよ、さぁ神戸くんお願いします。」
神戸「わかりましたよ、ウォルターくんから借りたこのディスライダーで
防ぐ!」ガキンッ
R24改「グ…ギギ…」
ドンドンドン
R24改は連射に切り替えるために威力を絞って撃ってきたので、
なんとかディスライダーのシールドで受け止められていた。
しかし威力を振り絞ってもさすがにレーザー攻撃を生身の人間が受けるのはかなりの
衝撃であった。
神戸「正直この作戦で一番貧乏くじ引いてるの僕だと思うんですけど…」
右京「そんな事はありませんよ。」
神戸の愚痴を軽く聞き流し、右京たちはR24改との距離2mまで近づいた。
神戸「ここまで近づけましたがこの後どうする気ですか?」
右京「僕がバイクルくんのバイスピアを使いR24改の剣を振り払うんですよ。」
神戸「ハッ!?あっちはロボットですよ、生身の人間相手じゃ無理に決まってます!」
右京「キミは心配しなくて結構ですよ、まぁ見ててください、僕は強いんですから。」
そう言うと右京はバイクルのバイスピアを構えR24改と対峙した。
R24改も武装を剣に切り替え右京に襲い掛かろうとする。
しかし…
ガッ ガキィンッ
どちらもやられたわけではない、しかしR24改は自分の手元を見てみると…
R24改「!?」
神戸「R24改の剣が無くなっている!一体どこに?」
ヒュルヒュルヒュル ドスッ
なんとR24改の剣は空中を舞っており、それが地面に突き刺さったのだ。
状況がまったく理解できない神戸はさすがに混乱する。
神戸「い…一体何が起きたんだ?」
右京「巻き技ですよ、キミも剣道をやっているなら知っているでしょう。」
神戸「巻き技って…相手の竹刀を右上から押さえつける様にして、
そのまま手首をくるりと回し相手の竹刀を跳ね除ける技ですよね…
そんなのロボット相手に有効なんですか!?」
右京「人間だろうがロボットだろうが基本動作は同じですからねぇ。
力で勝てないのなら技で勝つ、どんな勝負でも言える事ですよ。」
神戸「ハハッ、やっぱスゲえなこの人…」
バイクル「それじゃ次はワシらの番だがね!」
ウォルター「お二人とも、下がってください!」
R24改は特命係の二人に気を取られて気付かなかったが、右京たちが正面から
来る隙をついてバイクルとウォルターが背後から近付いていた。
バイクル、ウォルター「「マルチパック、ファイヤーバージョン、パワー全開!!」」
シュゥゥゥゥゥゥ
マルチパック、ファイヤーバージョンは消火剤で攻撃力はないがバイクルたちが
パワー全開で放っている事でR24改の背中は急激に冷え始めた。
R24改「ガ…ガ…ガガ…!?」
ウォルター「よし、ヤツの動きが鈍くなってきたぞ!」
バイクル「あとちょっとだがね!頑張るちょうよ!!」
バイクルとウォルターによりR24改の背中は完全に氷漬けの状態となった。
そしてこの瞬間に勝負が決まる!
バイクル「よっしゃー!完全に凍ったがね!」
ウォルター「今です隊長!」
ファイヤー「あぁわかった!マックスキャリバー、パルスガン!」
ビシュゥンッ!
R24改「ギャァッ!?」
ファイヤーは先ほどバイクルとウォルターが凍らせた背中部分に撃ちこんだ。
すると無敵のはずのジルコナイト21製の装甲に亀裂が走った。
神戸「こ…これはどういう事ですか?
いくら未完成のジルコナイト21でもあんな亀裂が出来るなんて…」
右京「どんな金属でも急激な温度変化に合うと脆くなります。
ましてやR24改のジルコナイト21は未完成です、それならばこの手は
有効だと思いましてね…」
神戸「な…なるほど、そこまで考慮しての策でしたか。」
右京「さぁ止めを、ファイヤー!」
ファイヤー「マックスキャリバーレーザーソード!!」
ズバッ
R24改「ギ…ギギギギ…ガ…ガガガガ…ガ…ガ…」ドサッ
ファイヤーのマックスキャリバーを喰らいまるで壊れたラジオみたいな雄叫びを上げ、
R24改はその場に倒れこんだ。
そしてファイヤーはR24改に埋め込まれた自爆装置を急いで取り外した。
ファイヤー「R24改の自爆装置だ、こいつを捨てなきゃいけないが…」
神戸「周辺には警察車輌がいます、かといってどこか遠くへ捨てるにはもう時間が…」
右京「やむを得ないですね、ウォルターくん!キミのディスライダーをお借りしますよ!」
ウォルター「一体何をするのですか?」
右京「この爆弾を空に捨てるのです!
そのためにキミのディスライダーに爆弾を括り付けて空中に運ぶんですよ!!」
ウォルター「そ…それじゃ…私のディスライダーが…」
バイクル「今はそんな事言うとる場合じゃないだがね!」
ガチャガチャ
ファイヤー「杉下さん、ディスライダーに爆弾の設置完了しました!」
右京「では爆弾を空中へ、ウォルターくん頼みます!」
ウォルター「わかりました、空高く飛んで行け!!」ブンッ
ゴォォォォォ
爆弾を括り付けたディスライダーが空へと打ち上げられた。
同じ頃その光景を外にいる陣川たちも目撃していた。
陣川「おや?建物から何か飛んでいきましたね。」
洋子「一体何かしら?」
村松「も…もしかしてミサイルなんじゃ!…みんな伏せろ!?」
村松の指示によりその場にいた警官たちが地面に伏せた、しかし陣川のみが…
陣川「ハッハッハッ!大袈裟ですよ村松課長代理、そんな事あるわけないですよ♪」
…と言って堂々と立っていた。
だがこの時の村松の判断は正しかった、数秒後この場で陣川のみが痛い目を見るのだから…
一方建物の中にいるウインスペクターと特命係は上空を飛んでいる爆弾を見上げていた。
ファイヤー「爆破まで残り10秒!」
神戸「このまま何も無ければいいのですが…」
この場にいる全員がこのまま安全に爆破してくれればと祈っていた。
しかし事態はそう簡単には行かなかった。
バイクル「ちょ…なんだかディスライダーが落っこち始めてきたがね!?」
ウォルター「しまった、ディスライダーは私からエネルギーを供給している…
その私から離れたのでエネルギー切れを起こしたのか!」
右京「爆破まで残り3秒だというのに…」
神戸「これじゃ地面に落下して被害が!?」
ファイヤー「くっ!こうなればマックスキャリバーのパルスガンで撃ち落とすしかない!」
ウォルター「無茶です、マックスキャリバーのパルスガンにあんな遠距離を撃ち抜く
精密な射撃機能はありません!」
ファイヤー「このまま何もしないよりはマシだ!」
右京「ファイヤーの言う通りですね、お願いします!」
ファイヤー「たぁっ!」
ファイヤーは少しでも距離を絞るため空高くジャンプする。
ファイヤー「マックスキャリバー、パルスガン!!」
バイクル、ウォルター「「隊長!」」
上空のディスライダーを狙い撃つファイヤー、
バイクルとウォルターはファイヤーに視線を釘づけにしていたが
右京と神戸は反対方向からやってくる存在に気付いた。
ゴォォォォォ
右京「おや?あれは…」
神戸「もしかしてさっきの…」
右京「えぇ、機動刑事ジバンですよ!」
ジバン「杉下さん、さっきの借りを返しに来ましたよ!」
そう、上空より機動刑事ジバンがダイダロスで空を飛びながらファイヤーとは
反対方向から現れたのだ。
ジバンは状況を把握したのかある武器を取り出していた。
ジバン「オートデリンガーファイナルキャノン!!」
ズバァァァァァァン
マックスキャリバーのパルスガン、そしてジバンのオートデリンガーファイナルキャノンを喰らい爆弾を括り付けた
ディスライダーは空中で大爆発を起こした!
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
村松「ほ…本当にミサイルだった!伏せててよかった…」
洋子「清志郎の言う通りにして正解だったわ…って!」
陣川「うわぁぁぁぁ!?」ゴチンッ
―「ぐはっ!?」
洋子「陣川くんだけ吹っ飛ばされてる…おまけに誰と当たってるし…」
………
シュタッ
プシューッ
先ほどディスライダーを狙い撃つためにジャンプしたファイヤーが着地し、
ヘルメットを脱いだ。
着化タイムリミットギリギリで事件は解決されたのだ。
竜馬「ぷはーっ!」
ウォルター「お疲れ様です、隊長。」
バイクル「やったがね!爆弾は空で爆発して被害は0だがや!」
竜馬「しかしあの時僕だけじゃなく、別方向から誰かがディスライダーに
攻撃を撃ちこんだように思えるんだが…」
神戸「あぁそれなら…」
神戸はジバンの事を竜馬たちに話そうとしたがジバンは既にその場にいなかった。
神戸「あ…あれ?いなくなってる…?」
右京「まぁいいじゃないですか、きっと僕たちと同じく人々を守ってくれる存在が
協力してくれたという事だけわかっていれば充分ですよ。」
竜馬「それもそうですね、さぁ外に出ましょう!」
バイクル「けど黒田には逃げられたがな、どうすんだがね?」
右京「すぐにでも近隣の警察に緊急指名手配しなければなりませんが…おや?」
神戸「外が騒がしいですね、何かあったんですかね?」
全員が外に出ると外の警官たちは妙に慌しくなっていた。
その騒ぎの元は先ほど大声を上げメガホンで叫んでいた陣川だった。
さすがに一言文句を言ってやろうと近付いたが…
陣川「杉下さん…それにウインスペクターのみなさんご無事で何よりです…」
竜馬「そんな事よりあなた…何故ここに来たんですか!
危険だから近づかないようにと言っておいたはずですよ!?」
洋子「やっぱり…けど怒るのは後にしてもらえますか。
彼…さっきの爆風で吹っ飛ばされて傷だらけになってしまいまして…」
陣川「ハハ、ところで先ほど僕が爆風で吹き飛ばされてしまい工場から出てきた老人と
ぶつかってしまいましてね、僕はこんな状態で動けないので謝っておいてもらえますか?」
「「老人…まさか!?」」
全員が工場から出てきたという老人を見た、老人は気絶し意識を失っていたが
それは間違いなく先ほど一足先に逃げた黒田であった。
竜馬「な…何で黒田がここに?」
右京「恐らくあの通路から外に出ようとして偶然吹っ飛ばされてきた陣川くんと
ぶつかってしまったのでしょう。
不運が重なりましたね。」
陣川「あの…民間人に危害を加えてしまって…僕左遷されちゃうんでしょうか?」
右京「陣川くん、キミは本当に悪運の強い男ですね。
左遷どころかお手柄ですよ、近々警視庁に戻れるかもしれませんよ!」
陣川「え?本当ですかヤッター!!!!
あ、けど…そうなると洋子さんと離れ離れに…ヤダー!!!!」
洋子「いいからもう警視庁でも何処でも行きなさい、面倒な男の世話なんて御免よ!」
こうして事件の首謀者である黒田は無事逮捕され事件は幕を閉じたかに見えたが…
続く
とりあえずここまで
たぶん次回で最後になります。
ちょっと補足、右京さんの巻き技はシーズン5の剣聖の話で
やっていたのでこのSSでも取り上げてみました。
>>251
ボタン押して遠くの裁判所で5分も時間かけないスピード裁判…
情状酌量すら許されないとか宇宙最高裁判所の判決は厳し過ぎる…
>>252
一番新しい警察官のヒーローは主役じゃないですが仮面ライダーアクセルですかね。
オーズの後藤さんは番組終わってから刑事に復職してるからちょっと違うし…
>>253
クウガの警察は好きでしたがアギトの警察は…
終盤アンノウンを支持する警察上層部はさすがに困ります…
最終話 「納得のいかない解決」
一週間後…
~特命係~
右京「これ手に入れた落語のチケットです。」
米沢「いやぁ、退院祝いをしてくれるとはありがたいものですなぁ♪」
角田「思ったよりも軽症で済んでよかったじゃねぇか、もしかしたらお前死んでたかもしれないんだぞ。」
米沢「まったくですな、自分でもよく生きていられたと思いますよ。」
監禁され暴行を加えられていた米沢は病院から無事に退院して鑑識課の職務に復帰していた。
神戸「それにしてもひとつ疑問が残ります。
あのロボットはいつから米沢さんに化けていたんでしょうか?」
米沢「私が最初の事件現場で一人で鑑識の道具を用意していた際に襲われたんですよ。
その後気絶してしまい衣服からメガネまで全てを追剥ぎに合ってしまいましてね…」
右京「鑑識課の人間に化ければ捜査情報を知り放題ですからね、
おまけに鑑識で得られる捜査情報を自分の都合で捻じ曲げる事も出来ますから、
想像しただけで恐ろしいモノですよ…」
米沢「もしかしたらこの警察内部にも人間の皮を被ったロボットがいるのかもしれませんな…」
神戸「ハハハ…やめてくださいよ、こんな事件の後じゃ洒落にもなりませんから…」
バイクル「その人間じゃない刑事がここにいるだがね。」
ウォルター「どうも。」
竜馬「ご無沙汰しています、杉下さん。」
角田「ウ…ウインスペクター!?俺生で見るの初めてだよ…」
右京「おやおや、ウインスペクターのみなさん。お揃いでどうしましたか?」
竜馬「今回の事件…あなた方特命係がいなければ解決出来なかった…
それについてウインスペクター一同お礼を申し上げようと思いまして。
杉下さん、それに神戸さん、どうもありがとう!」
ウォルター「本当にあなた方のおかげです。」
バイクル「アンタらには助けられてばっかりだがね。」
神戸「いやぁ、それほどでも♪」
右京「お礼を言われる必要なんてありませんよ、僕たちはいつものように勝手に動いたまでですから。」
伊丹「どうもぉ、お邪魔しますよ…って香川警視正!?」
三浦「特警さんも来てたんですか!」
芹沢「こんちは~♪」
ウインスペクターとの話し合いの最中に伊丹たち捜査一課が現れた。
特命係を毛嫌いする彼らが何故来たかというと…
神戸「捜査一課のみなさんまで…どういったご用件でしょうか?」
伊丹「一応ご報告にね、先ほど黒田と北条は別々の拘置所に移送されました。
連中は前よりも厳重な牢獄に閉じ込めさせておきましたからもう脱走はありえんでしょう。
しかしあれだけデカいヤマだったのに逮捕してみれば犯人は爺さん二人だけ…
とてもじゃないが納得いきませんよ。」
三浦「本来なら組織包みの犯罪規模なのにそれを実質二人でやってのけたんだ。
おまけにロボットが警視庁の職員に化けていたとは、正直俺たちの常識の範疇を超えた事件だったな…」
右京「ウインスペクターのような近未来の警察が出来たように
それと同時に近未来の犯罪も多発する、まさに警察と犯罪者のイタチゴッコですねぇ。」
竜馬「確かにそうかもしれませんね、しかし僕たちは例えイタチゴッコだろうが
負けるわけにはいきません。」
右京「えぇ、僕らが負ければ犯罪者がのさばるのですからね。絶対に負けられませんよ!」
芹沢「ちなみに陣川さん、今回の事件で『一応』功績が認められて本庁に戻って来たそうですよ。
…と言ってもまた捜査一課の経理ですけどね。」
伊丹「正直あいつはあのままセントラルシティ署に残ってくれりゃよかったんだが…」
三浦「それじゃ我々はこれで。」
伊丹「あまり現場でウロチョロしないでくださいよ。」
伊丹は嫌味を言い残し捜一トリオは特命係の部屋を後にした。
角田「まったく素直じゃないねぇ。」
神戸「そういえば僕…陣川さんって人とちゃんと会ってませんでしたね。」
右京「そう焦らなくても今度機会があれば改めて紹介しますよ。」
神戸「いや…焦ってませんから。」
竜馬「それでは我々もこの辺で失礼します。」
ウォルター「では。」
バイクル「またねぇ。」
右京「みなさんちょっと待ってください。」
竜馬「何でしょうか?」
右京「今夜暇なら花の里へ来てもらえますか、そこで改めて親睦会でも開こうかと思いましてね。」
神戸「いいですねそれ!」
竜馬「わかりました、今夜事件が無ければ是非行きますよ!」
プルルルルル
右京「おや…失礼、電話が。もしもし杉下ですが、はぃ?」
竜馬「僕も呼び出しが…ハイ、何でしょうか?」
~花の里~
そこに一足早くバイクル、ウォルター、それに神戸が到着していた。
たまき「神戸さん聞きましたよ、犯人に捕まってたんですって。
無事に助かってよかったですね。」
神戸「えぇ、おかげさまで♪ところで…」
ウォルター「神戸さん、どうかしましたか?」
バイクル「良いお店だわなぁ、ワシこういうお店好きだがね!」
神戸「彼ら二人、店に入れて大丈夫ですか?」
神戸はさすがにバイクルとウォルターを店に入れて大丈夫かと聞いたが…
たまき「右京さんや神戸さんのお知り合いの方なら大歓迎ですよ♪」
…と返されてしまった。
神戸「杉下さんもスゴいけどたまきさんも相当だよな…」
ガラッ
たまき「いらっしゃい、右京さん、それと…お若い方は香川さんでしたっけ?」
右京「たまきさん、今晩は。」
竜馬「どうもお邪魔します。」
遅れて右京と竜馬が到着した、しかし二人ともどこかやるせない表情をしていた。
神戸「あの…何かあったのですか?」
右京「実は僕と香川さんは先ほど官房長に呼ばれたのですが…」
(回想)
~警察庁官房長室~
小野田「今回もお手柄だったそうね、ところで閣下なんですけど…
再々逮捕された所為なのか以前みたいな高圧的な態度ではなく妙にオドオドするように
なってしまいましたけど…何か心当たりはある?」
右京「それでしたらセントラルシティ署の田村刑事にお礼でも言っておいてください。」
小野田「セントラルシティ署の田村刑事…?ああなるほど、そういう事ですか。」
竜馬「田村刑事って誰の事ですか?」
右京「それで閣下が横領していた1兆円はどうなりましたか?」
小野田「無事回収できましたよ、これで政府の官僚が1兆円も隠していたなんてみっともない
事実を世間に公表せずにすみました。」
竜馬「官房長は横領の件を世間に公表しないのですか?」
小野田「公表してどうしろというんですか?
張本人の閣下は人質籠城事件での犯行を神戸さんの前で自供して次の裁判で刑が確定するでしょう。
1兆円の横領なんて日本政府の信用問題に関わります。」
竜馬「し…しかし!」
右京「その代わり北条貴臣の横領に関わった人間を秘密裏に処分する。
あなたのやりそうな事です。」
竜馬「しょ…処分って…」
小野田「安心してください、何も暗殺しようってわけじゃありませんよ。
左遷、懲戒免職、よくてそんなところでしょう。」
竜馬「…」
小野田「それと警視庁電子工学研究所の鳴滝さんは近々懲戒免職にします。」
竜馬「なっ!彼は殺人教唆で罪に問われるはずでは!?」
小野田「彼は警視庁の最新技術の知識を得ている男ですからね。
無闇に何処かの犯罪組織に、その情報を流さないようにと司法取引をしました。
よって鳴滝氏を罰する必要はありません。」
竜馬「そんな…納得が出来ません…」
小野田「しなくてもいいですよ、処分の内容に代わりはありませんから。」
竜馬「杉下さんは納得しているんですか?」
右京「この人の独断は今に始まった事ではありませんからね、もう慣れっ子ですよ。」
小野田「そういう事です。」
右京「まぁ…慣れたからといって納得したわけではありませんがね…」
そんな話の最中に官房長室のドアをノックする音が聞こえてきた。
コンコン
正木「小野田さん、失礼します。」
竜馬「本部長、どうしてこちらへ?」
竜馬は問いかけようとしたが正木は不機嫌な顔で小野田にある事を問い詰めた。
正木「小野田さん、ブライアンの件…アレはどういう事ですか!」
右京「ブライアンというとウインスペクターに投入される新型サポートドロイドの事ですよね。
それがどうかしたのですか?」
正木「先ほど警視庁電子工学研究所の朝比奈博士から聞いたのですが、
ブライアンがアメリカのFBIに引き渡されるそうですね、一体どういう事ですか!?」
小野田「そうか、本当なら僕の口から話す予定でしたけど先に聞いちゃいましたか…」
竜馬「なっ!ブライアンは警視庁で運用されるはずですよ、それが何でアメリカに?」
小野田「警察庁の甲斐峯秋警視監…知ってる?」
竜馬「いえ、存じませんが…」
小野田「だよねぇ…」
正木「確か次の人事で警察庁次長と噂されている男の事では?」
右京「…」
小野田「その甲斐さんがアメリカの警察機関と今以上の関係を持ちたいらしくてね。
警視庁の最新技術で開発したサポートドロイドのブライアンをアメリカに送る事になりました。
言っておきますけど…コレね…僕も預かり知らぬところで勝手に決められてたの。」
右京「つまり、甲斐さんの独断…という事でしょうか?」
小野田「そういう事になりますね。」
竜馬「バカな…そんな事になれば警視庁が開発したジルコナイト21の情報が他国に漏れてしまうんですよ!
そうなれば外国の軍需産業にジルコナイト21の情報が伝わるのも時間の問題じゃ…」
右京「R24改のジルコナイト21は不完全だったため対処出来ましたが、
完成したジルコナイト21を装備した敵が現れれば今度はどうなる事か…
正直想像もしたくありませんよ。」
小野田「ですから、先ほど警視庁電子工学研究所に命じてウインスペクターの新装備の開発を命じました。
とりあえず暫くしたら香川さんの下に新マシンが、それとジルコナイト21を上回る
新装備も出来るはずですからどうかご安心ください。」
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右京「…と先ほど官房長に言われました。」
神戸「黒田と北条は捕まったが1兆円の横領は公表せず
ジルコナイト21の情報も他国に漏れるとは…上は僕らがやった事を全部無駄にする気ですか?」
竜馬「ただ…官房長もブライアンの件は本当に知らなかったみたいで、
その甲斐警視監を次の人事で次長ではなく地方の本部長に任命して飛ばすらしいですけど…」
右京「おまけに彼が毛嫌いしていて同じく警察に務めている交番勤務の息子さんを嫌がらせだとか言って
近々刑事に昇格させるとか言ってましたが…」
神戸「警察のお偉方がそんないい加減な人事をしていいんですか?」
右京「まぁそれは冗談だと官房長は言ってましたが実際どうなんでしょうかね?」
バイクル「ブライアンのヤツ…アメリカに行ってしまうんか…
あいつ朝比奈博士の娘の夏美ちゃんと仲良うしとったのになぁ。」
ウォルター「確か助手の広崎さんの娘のゆかりちゃんとも仲良かったしな。
寂しくなるだろうに…」
竜馬「アメリカに配備となればあの国の治安上人殺しも命令されるんだろうな。
まったくせっかくの警官ロボが人殺しの道具として活用されるなんて…」
右京「人間でもロボットでも命は命です、それを軽んじるとは許される事ではありませんよ。」
空気が重くなる店内、一応親睦会だというのに全然盛り上がらず痺れを切らしたたまきが
会話を切り出した。
たまき「いやだわ、みなさんせっかく集まったのに暗いお話になってしまいましたねぇ。」
右京「仕方がありません、全ての事件が円満解決というわけではありませんから。
しかし僕はようやく彼らに合わせる顔が出来ました。」
神戸「僕の証言で人質籠城事件の犯罪を立証出来るからですか?」
右京「えぇ、あの事件で無念に散っていった被害者の方々に良い報告が出来ます。」
竜馬「…十数年越しの解決か…刑事の職業って大変ですよね。」
右京「何を仰るのやら、これからはあなたたちがその第一線で頑張るんですよ。」
神戸「僕たち暇な特命係と違ってあなた方お忙しい特警はもっと大変なんですから、
しっかりしてくださいよ!」
竜馬「それでしたらお二人も特警に来てはどうですか?お二人なら大歓迎ですよ。」
ウォルター「そうですね、あなた方もどうでしょうか?」
バイクル「ワシらと一緒に捜査しぃや!」
右京「それはご遠慮しておきます。」
神戸「なんてったって僕らは…」
右京、神戸「「特命係が性に合ってますから。」」
右京「ですがみなさんが困った時はいつでも言ってください。
僕らは助力を惜しみませんよ。」
神戸「特命係はいつも暇ですからね。」
竜馬「えぇ、その時はよろしくお願いします。」
こうして彼らは花の里で一晩飲み明かしていた。
それから一ケ月後…
~特命係~
神戸「そういえば病院で北条の人質になった少女ですけど近々他の病院に転院するそうですよ。」
右京「転院?確かあの病院も心臓外科の手術が可能なはずでしたが…」
神戸「なんでもあの病院、例の1兆円を隠すために職員がかなりの賄賂を北条から
受け取っていたそうです。
その事が明るみになった所為で病院は閉鎖され、患者たちも他の病院に移されるとか…」
右京「その所為で入院患者がとばっちりを受けたわけですか。」
神戸「まったくあんな小さな子が病院をたらい回しされるなんて可哀想な話ですよ。」
右京「迷惑を被るのはいつも一般市民の方々ですからね、僕たちに出来る事は
あの子の手術の無事を祈る事くらいですが…
そういえばまだあの少女の名前を聞いてませんでしたけど名前は何というのですか?」
神戸「待ってください、名前は確か…随分珍しい名前だなコレ…
あけ…み…『暁美ほむら』という名前ですよ。
それと転院先ですけど…群馬県の『見滝原市』だそうです。」
右京「群馬県…『見滝原市』…確か関東の地方都市でもかなり栄えている街だと聞いてます。」
神戸「確かここ数年で大発展した街だとか、けど治安が不安定だって噂がありますから
正直病気がちな女の子が入院する街としてはどうかと思いますけど…」
二人が話しているとそこにいつもの来訪者が現れる、しかし何故か焦り気味であった。
角田「よ、暇か。ていうか事件だぞ!事件!」
神戸「じ…事件って?」
角田「都内で火災事件だ!
今消防が駆けつけて消火作業をしてるが火の勢いが止まらなくて大変だってよ!」
神戸「へぇ、それは大変ですねぇ。
…だそうですよ、杉下さん…ハイいませんよね、わかってます僕も行きますからね!」ダッ
角田「頑張れよ~!留守番はいつものように俺に任せろ~!」
右京たちが現場に行こうと神戸のGT-Rで現場に急行中に、
同じく現場に急行中のウインスコードで駆けつける竜馬たちウインスペクターを目撃する。
右京「おや、ウインスペクターのみなさんも出動ですか。」
神戸「まぁ僕たちが行くわけですから彼らに出動要請があってもおかしくはないでしょうからね…」
竜馬「SPカードイン、着化!!」
ウインスコードにSPカードを装填した直後ウインスコードが変形し、ファイヤースコードとなった。
同時に竜馬もクラステクターを装着しファイヤーとなり現場に急行する。
右京「なるほど、アレが官房長の言ってた新マシンですか。」
神戸「どうかしましたか?」
右京「いぇ、どんなに最新の科学が世に出回ろうとも結局は使い手の思い次第だと
そう思ったまでですよ。」
神戸「ハァ?」
右京の言葉を疑問に思う神戸、そして事件現場には到着し作業を開始する
ファイヤー、ウォルター、バイクル、の3人の姿があった。
ウォルター「隊長火災現場にはまだ何人か取り残されています!」
バイクル「ワシらすぐに中に入って助けにいくだがね!」
ファイヤー「さぁ行くぜ!俺たちの出番だ!!」
事件は結局彼らの納得のいかない形で終わってしまった、しかし彼らは立ち止まらない。
既に次の事件が待っているのだから。
終わり
エピローグ
カチャカチャ
警察庁のとある一室、そこで神戸尊は一人あるレポートを作成していた。
内容は以下の通りである。
―レポート作成者、神戸尊―
あのR24改が起こした事件に関わった者たちの事を、これより時系列に沿って
レポートに纏めたいと思う。
機動刑事ジバン:我々が彼と会った直後、ジバンはバイオロンとの最終決戦に赴いたらしい。
その際、彼の上司である警視庁秘密調査室統括責任者、柳田誠一氏とハリーボーイが
バイオロンの本拠地を突き止めるがそれと同時に基地をバイオロンに爆破され両名とも死亡。
バイオロンの首領、ドクター・ギバと対決しジバンの勝利に終わる。
なおこの際、人質になっていたジバン(田村直人)の妹、五十嵐まゆみは無事保護される。
バイオロン事件が全て解決した後、田村直人刑事の消息は一切不明となった。
妹のまゆみへの置手紙では旅に出たと言うらしいがそれ以外の詳細は不明。
上層部は田村刑事を一応休職扱いにしているらしい。
鳴滝氏:事件の直後行方を晦ます、拘束中にダイエットをしたらしく
事件前とは随分スリムな体型になったらしい。
彼の目撃情報は幾つかあるが、『門矢士』なる青年を追いかけ回しているというがその詳細は定かではない。
小野田公顕:元警察職員による警視庁立てこもり事件が発生、その直後に
警視庁幹部一掃の人事を図り警察庁を警察省への格上げを目論んでいたが、
その直前に彼が懲戒免職にした警視庁幹部にナイフで刺され死亡。
金子文郎警察庁長官曰く、この結果は双方痛み分けらしいとの事である、まったく冗談ではない…
ちなみに小野田官房長は亡くなる直前、とある事件により死刑宣告を受けた
『赤いカナリア』元幹部の本多篤人を政治家の片山雛子の協力を得て超法規的措置により
秘密裏に釈放する準備を進めていた。
ブライアン:事件より数か月後メンテナンスのために日本へ一時帰国したがその際に
アメリカのFBIにより大幅な改造をされた形跡があり、完全な戦闘用ロボットにされていた。
改造の際に、セーフティシステムが取り外され安全面に不備が出ていた。
その不安が的中し警視庁電子工学研究所の朝比奈博士の元助手である広崎雄一の手により
ブライアンは暴走、これを対処するためにウインスペクターが出動したがまったく歯が立たなかった。
そこでウインスペクターの正木本部長と朝比奈博士はブライアンに対抗するため
以前から小野田官房長の勧めで開発中だった新武器ギガストリーマーを実戦に投入。
これによりブライアンの殲滅に成功した。
ちなみに事件を起こした広崎はこの後、
ウインスペクターのスーパーコンピューターマドックスをクラッキングするが、
自身が作ったスーパーコンピューターの手に掛かり死亡する。
黒田鬼吉:刑務所を脱獄し再々度ウインスペクターへの復讐を目論む。
その際に過去に自分が開発した精神治療用の器具を転用し都内の広域に凶暴化電波を発信、
都内をパニックに陥れた。
我々警察は超音波遮断装置で一応難を逃れ暴動を起こしている市民の鎮静化に務めた。
ウインスペクターは黒田の持つ凶暴化電波発信装置の破壊に成功、黒田はアジトの
自爆装置により死亡。
ちなみに彼は死亡前に逮捕しようとした正木本部長の前であるやりとりがあったようで
その影響もあり正木本部長のウインスペクターに代わる『新組織』の行動理念を植え付けたらしい。
甲斐峯秋:彼はあまり今回の件には関わっていないが一応記述しておく。
一度はブライアンの件で小野田官房長によりお灸を据えられ
地方の県警に飛ばされたがその後の人事で警察庁次長に就任、警察庁No.2の実力者となった。
杉下さんに興味津々らしいが当の杉下さんは鬱陶しいとか言っていた。
彼に関してはこれ以上書く事はない。
次にこの事件に深く関わった特命係と特警ウインスペクターについての事を記載する。
神戸尊:自分事であるが一応書いておこうと思う。
偶然にもクローン人間の製造に成功したという噂を聞き、私は昔自分の所為で冤罪を被った
城戸充を生き返らせるのではないかと淡い期待を抱いた。
しかしクローン人間の製造の噂を流した嘉神隼斗は死亡、犯人はクローン人間をお腹に宿した
被害者の妹である嘉神茜が犯人であった。
当初杉下さんはこの犯罪を明らかにする気でいたが…
それは同時にクローン人間の存在を公にする事であり、そうなれば
クローン人間の子供は間違いなく化け物扱いされると私は危惧した。
この件により私と杉下さんは意見が対立、私は最終手段として命を懸け杉下さんの説得を決行。
その結果、杉下さんの説得には成功するが…
被害者である嘉神隼斗の人物像を変人として歪めたまま、記録に残してしまう事になってしまった。
それだけでなく私は杉下さんの信条すら踏み躙ってしまい特命係からの移動願いを出したくらいだ。
だがその必要はなかった、かつては元警視庁副総監であり、
上記の警視庁立てこもり事件の真犯人で閉職に追いやられた長谷川宗男の根回しにより
私は彼と同じ警察庁長官官房付への人事異動が決まり特命係を去る事になった。
杉下右京:上記の事件後休職しイギリスのロンドンに渡る。
ちなみにその期間中に私はある事件の解決のため彼に助力を請うがそれはまた別の話…
その後イギリスのロンドンから帰国する際に香港で遭遇した事件である刑事と出会い、
帰国後、その刑事は後に特命係に配属され杉下さんの新相棒として現在奮闘しているらしい。
面白い事に新相棒は上記の甲斐次長のご子息である甲斐享だとか…
運命の悪戯とは本当に恐ろしいモノだと痛感する出来事だ。
最後に特警ウインスペクター
香川竜馬:R24改の事件後も数多くもの事件を解決。
それにより功績を認められICPOからの招聘要請により、
世界的な救急警察組織の先鞭として近々フランスへ出向する事になった。
これによりウインスペクターに代わる新組織発足のため現在その準備が着々と進められている。
神戸「以上レポート作成終了っと。」
レポートの作成を終わらせ一息つけようとした神戸の前に一人の男が訪ねてくる。
大河内「神戸、何をしている。
さっさと来い、今日は『新組織』のメンバーの顔合わせをするんだぞ。」
神戸「すみません、忘れてました。
どうも特命係に居た所為なんでしょうか、のんびりしてしまって…」
大河内「さっさと特命ボケを直すんだな、仕事に支障をきたされたら敵わん。」
神戸「はぁ~い、ところで『新組織』じゃなく組織名で呼ぶべきじゃないですか。
正木本部長もそろそろ良い名前付ければいいのに。」
大河内「『ソルブレイン』…」
神戸「え?」
大河内「新組織の名だ、正木本部長は『特救指令ソルブレイン』と名付けたそうだ。」
神戸「なるほど、ソルブレインですか。良い名前ですねぇ♪」
~警視庁警視総監室~
同時刻、正木本部長はある男に呼び出されていた。
コンコン
正木「失礼します。」
―「よく来たな、風…いや正木!」
彼は本郷猛警視総監、この警視庁のトップの人間である。
そして正木本部長とは旧知の仲の間柄だ。
本郷「仕事の方はどうだ、順調か?」
正木「えぇ、新組織もメンバーが決まってウインスペクターもフランスへの出向が
認められて恐いくらい順調ですよ。
ところで私を呼んだ理由は何ですか?まさかこんな世間話をするためじゃないでしょう?」
本郷「まったく相変わらず真面目な男だな、実はちょっと厄介な事件が発生してな。
まだマスコミはおろか他の捜査機関にすら公表していない。
関係者に至っては全員箝口令を敷いたくらいなんだからな。」
正木「それはまた大事ですね…何が起きたのですか?」
本郷「ある地域限定で自衛隊、米軍駐屯地、おまけにヤクザの事務所の銃器が丸ごと
消失する事件が発生した、これをウインスペクター単独で捜査してほしい。」
正木「ある地域と言いましたね、場所は何処ですか?」
本郷「場所は群馬県見滝原市だ!」
ほむら「誰か助けて…」竜馬「着化!」へ続く
長々となりましたがこれで終わりです。
前作ほむら「誰か助けて…」竜馬「着化!」の前日談として書きました。
とりあえず一言
>>46
ネタバレよくない!
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