―家

智代子「ふぅ……みんなの分は確保できたけど」

智代子「なんであんなに混んでいたのかなぁ……」

智代子「テレビでも見るか」ﾎﾟﾁｯ



TV『それでー、彼にわざわざ日曜日に会いたいって言えないじゃないですかー』

TV『だからー、明日学校で何気ないふりをして渡すんですよー』



智代子「そっか……普通の人は会って渡したいって思っても、意中の人だけ呼び出すことになるから意識しちゃってなかなかできないんだよね」

智代子「漫画とかでも呼び出す自体がドキドキのイベントだしね」

智代子「だから、今日中に準備したくて混んでいたんだ……」

智代子「……私なんて、プロデューサーさんやみんなと日曜日に普通に会えるからなぁ」

智代子「渡せる曜日なんて意識したこと…………」



智代子「あれ？」

智代子「そういえば、昔は友達やお父さんや弟にあげる分以外作ったことがないんだよね」

智代子「そっかそっか……ならそうだよね。仕方がないよね」

智代子「よーし、明日はプロデューサーさんやみんなにとびっきりのチョコを作ってあげよう！」

ﾄﾞｷｯ

智代子「……」

智代子「や、やだ……わ、私って意識しちゃってる？」

智代子「だってプロデューサーだよ。プロデューサーさん」

智代子「ただの一番身近な男の人……なだけだよ」

智代子「なのに、なんでチョコを作るって考えただけで……」

智代子「うぅ……意識し過ぎだよぉ」

智代子「……」

智代子「チョコアイドルなのに、チョコで悩むなんて……」



智代子「プロデューサーさんの……せいなんだからね」

智代子「絶対に責任取ってもらうようなチョコを作っちゃうんだから！」



智代子「あ」



智代子「せ、責任って、そんな意味じゃないんだからね！」///

智代子「違うから！違うんだから！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

智代子「も、もう寝ちゃおう！」

智代子「おやすみなさい」ﾓﾌﾓﾌ









智代子「……」

智代子「ね、寝れない……」

智代子「やっぱりプロデューサーさんのこと……」

智代子「違うもん！そんなんじゃないからぁ！」

智代子「それに……凛世ちゃんみたいに常日頃からアピールしているわけじゃないし」

智代子「夏葉ちゃんみたいに、日々努力してるわけじゃないし」

智代子「果穂みたいに純粋で可愛いわけじゃないから」

智代子「こんな……普通の子からチョコ貰っても嬉しくない……よね」

ﾂｩｰ

智代子「あ、あれ……」

智代子「なんで……涙が」

智代子「私……泣いてるの？」

智代子「……」

智代子「……」

智代子「……」



智代子「もう！」ｶﾞﾊﾞｯ

智代子「こうなったらヤケだ！絶対においしいっていってもらえるチョコを作るんだから！」

智代子「えっと……レシピレシピっと」

ﾁｭﾝﾁｭﾝ



智代子「どうしよう……」ﾄﾞﾝﾖﾘ

智代子「いろいろ見ていたから、一睡もできなかったよぉ……」

智代子「こんなに悩むなんて初めてだよ……」

智代子「うぅ……プロデューサーさんのせいだからね。……絶対に、うん」

智代子「こうなったら、今日学校でみんなに渡す分をプロデューサーさんにもあげて」

智代子「バレンタイン当日にも渡すんだから！」

智代子「覚悟してよね、プロデューサーさん！」

智代子「恋する女の子はわがままでいじっぱりで……そして」



智代子「最強で無敵なんだから！」



―この後、学校で寝てしまい事務所に慌てて行った為、チョコのことを忘れてしまう智代子であった

おしまい