咲希「ほなちゃん大好き~っ」穂波「咲希ちゃんたら……」 (30)

咲希「ほなちゃんほなちゃんほなちゃ~ん」
穂波「もう……そんなにくっついてると歩きにくいでしょ?」
咲希「えぇ~……アタシはほなちゃんにくっついてたいのに……」
穂波「危ないし、着いてからにしよう?そうだ、手をこうして……」
咲希「わ、ほなちゃんの手あったかい……えへへ」
穂波「ふふ」

志歩「……まったく。私達もいるってこと、忘れてるんじゃないの?」
一歌「まぁまぁ……でも、こういうのも見慣れてきたよね」
志歩「見慣れてきたも何も、咲希が誰かにくっついてるのなんていつものことじゃん」
一歌「それはそうなんだけど……穂波にするのは何か違う気がしてて」
志歩「……穂波と咲希の間に何かあるってこと?」
一歌「うーん……はっきりとしてるわけじゃないけど……」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1608463231

穂波「ほら、スタジオもうすぐだよ。咲希ちゃん」
咲希「ほんとだ!全然気付かなかった~」
穂波「気付かないって、周り見てなかったの?」
咲希「そ、そんなことないよ?ただ、手が気になって……」
穂波「あっ、ごめんね。嫌だったかな?」
咲希「ううん、違うの……ただ、なんかドキドキしちゃって……」

一歌「だって今日咲希がああしたのって、穂波が来てすぐでしょ?」
志歩「穂波が見えた瞬間に突っ込んで行ってたね」
一歌「そうそう。今の今までずっと離れてないし」
志歩「途中で一回離れそうだったけど、穂波から手繋いでたよね」
一歌「穂波もなんか嬉しそうだし。それに見てよ、二人の手」
志歩「うわ、しっかり指絡めてる……」
一歌「でしょ。あれを見るに、やっぱり……」
志歩「……しかもあれ、指絡めたの穂波からじゃない?」
一歌「え、なんで?」
志歩「だってどう見ても穂波の方が握り方強いじゃん。咲希の手が若干浮いてるし。……多分咲希、その気はあるくせに穂波の意図に気付いてないな」
一歌「あー……というか志歩って、みんなのこと結構よく見てるよね……」
志歩「別に。一緒にいれば嫌でも気付くでしょ」
一歌「ふふ。そっか」

穂波「咲希ちゃん、急に立ち止まってどうしたの?もうスタジオ着いてるよ」
咲希「それは分かってるけど~……」
穂波「もしかして、体調が良くない?」
咲希「あ、ううん。そうじゃないの……ただ……」
穂波「ただ……?」
咲希「やっぱり手だけじゃほなちゃん分が足りないのー!」
穂波「え、えぇ~……?」

一歌「……先入ってよっか」
志歩「そうだね。予約の時間もう少し後だし」
一歌「あ、そうだ。今日志歩に見てほしいところがあって……」
志歩「いいよ。どこ?」
一歌「えっと、譜面譜面…………この辺。昨日一人で弾いてたんだけど、やっぱり意識するほどここで崩れちゃって」
志歩「あぁ……前のスタジオ練でも引っかかってたね、それ。そこはーー」

穂波「ほ、ほなちゃん分……って、何?」
咲希「人間に必要な6大栄養素の一つなの!ほなちゃんは知ってる?」
穂波「あ、もしかして5大栄養素のことかな?タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルだよね」
咲希「そこに新しくほなちゃん成分、通称ほなちゃん分が加わったの!」
穂波「えぇっと……それが足りなくなると、どうなるの?」
咲希「ほなちゃん分が足りなくなると元気がなくなって、本能的にほなちゃんを求めちゃうんだよ……!というわけでほなちゃーんっ」
穂波「わっ、もー……咲希ちゃんがそうしたかっただけでしょ?」
咲希「うー、確かにそうだけどー……嫌だった?」
穂波「ううん、私は嬉しいけど……あんまりそういうこと、他の人に言っちゃダメだよ?」
咲希「……?うん、分かった」

穂波「ほら、早く中に入ろ?一歌ちゃんと志歩ちゃん待たせちゃうよ」
咲希「ぁ……」
穂波「ふふ。くっつくのは練習の後で、ね?」
咲希「……うんっ」
穂波(咲希ちゃんの言う6大栄養素が7大栄養素になっちゃう前に、私のこの気持ちに気付いてほしい……なんて、やっぱりわがままなのかな)
穂波(咲希ちゃんのことだから、他の人にもすぐ同じこと言っちゃいそうだし……どうしようもないけど、焦っちゃうよ……)

ーースタジオ、練習中

志歩「ーーストップ」
一歌「志歩?」
志歩「穂波、今のところで毎回崩れてる。ドラムはリズムキープの要なんだから、しっかり意識して」
志歩「ドラムがズレれば全体がズレる。私も一歌も合わせづらくなるから」
穂波「ご、ごめんっ」
志歩「咲希もさっき間違えてたよね。そこのところはーー」
咲希「ひぃ~!」

一歌「志歩、いつも以上にスパルタ……いや、違うか」
一歌(志歩は多分いつも通りだけど、明らかに二人の調子が悪い。今までこんなに崩れることは無かったし)

一歌「ーー穂波」
穂波「一歌ちゃん……ごめんね、一歌ちゃんはちゃんと出来てたのに」
一歌「それはいいんだけど。穂波、あの後咲希と何かあった?」
穂波「へっ!?咲希ちゃんと?」
一歌「違うの?」
穂波「な、何もないよ?咲希ちゃんと何かあったなんて全然そんなこと……」
一歌「穂波って、咲希のことになると分かりやすい反応するよね。……なんとなく分かってはいたかな」
穂波「え」
一歌「まだ咲希に伝えてないんでしょ?それで焦ってるのかなって思ったんだけど……」
穂波「つ、伝えるって、何を……?」
一歌「穂波が、咲希を好きってこと」

穂波「はぇっ!?……あ、そ、そうだね。好きだよ。うん。友達として、ね?」
一歌「恋人になりたいんじゃないの?」
穂波「そんなこと全然……全然……」
一歌「……穂波?」
穂波「うぅ……」
穂波「…………ぅん」

一歌「……ふふ。隠してるつもりだったんだ」
穂波「バレてるなんて思ってなくて……」
一歌「少なくとも、私と志歩は結構前から気付いてたよ。……咲希は気付いてないと思うけど」
穂波「そっか……」
一歌「……言わないの?」
穂波「言えるわけないよ、こんな気持ち……咲希ちゃんだって嫌だろうし」
穂波「このままだとダメっていうのは分かるの。でも、咲希ちゃんが嫌がることはしたくないから……」

一歌「……好きって言われて嫌な人はいないと思う。それが友情でも、恋愛でも」
一歌「少なくとも咲希は、隠したままよりもちゃんと言って欲しいって思うんじゃないかな」
穂波「……そうやって、すぐに答えが出せる。強いね、一歌ちゃんは」
一歌「そう、なのかな……私は経験がないから、分かってないだけかもしれないし」
一歌「……でも、隠したままなのは良くないって。それだけは分かるよ」
穂波「……」

一歌「穂波も、私も。咲希に言わなかったことで、ずっとバラバラなままだった」
一歌「それに、穂波はこのままじゃダメって思ってるんでしょ?なら、迷うことは何もないはずだよ」
穂波「そうなのかな……言っても、いいのかな……」
一歌「きっと咲希は喜んでくれるよ。喜んでから……一緒に悩んでくれる」
穂波「……うん。……ありがとう、一歌ちゃん」
一歌「頑張って、穂波」
穂波「うん……!」

一歌(これで穂波も、少しは前向きになれたかな。あとは二人きりの時間を作るだけ)
一歌(そうだ、咲希は……)

志歩「ーーで、次はこことここ」
咲希「ふんふん……」
志歩「分かった?じゃ、もう一回ここから……」

一歌(……大丈夫そう?でも一応、咲希からも話を聞いておこうかな)
一歌(くっつく可能性があるか、気になるしね。……もう分かってるようなものだけど)

一歌「志歩、どう?」
志歩「あ、一歌。とりあえずさっき引っかかったところは出来てきた。……そっちは?」
一歌「……多分、大丈夫じゃないかな」
志歩「そう。……咲希、少し休憩ね」
咲希「えっ?」
志歩「じゃ、私は自販機で何か買って来るから。ずっと練習してて喉が渇いたし」
一歌「あ、志歩……」
志歩「ーー私はこういうの向いてないし。後は一歌に任せるよ」
志歩「ついでに次の予約とかしてくるから、ちょっと長引くかもね」
一歌「……!」

一歌(志歩、察し良過ぎ。咲希達に気を遣って……)
一歌(……責任重大だな。でも、私がやらないとね)

咲希「はぁ~……」
一歌「咲希」
咲希「あ、いっちゃん……志歩ちゃんは?」
一歌「喉渇いたから飲み物買いに行くって。次の予約も取って来るみたい」
咲希「そっか……うぅ~、志歩ちゃんに呆れられちゃったかなぁ……」
一歌「……まぁ、呆れられてるのは間違いないかも」
咲希「いっちゃんひどいっ!?」
一歌「あ、演奏の話じゃないから安心して。ーー穂波のところ、行かないの?」
咲希「ほぇ?」
一歌「最近は休憩のたびに穂波にくっついてたでしょ。……ほなちゃん分、だっけ?」
咲希「……き、聞いてたの?」

一歌「……聞かれてないと思ってたんだ」
咲希「うっ……」
一歌「それで、聞かれたくないことを口走ってた咲希は、穂波とどうしたいの?」
咲希「言い方、言い方ぁ~……っ」
一歌「……ふふ、ごめんね。早く穂波のところに行ってあげて」
咲希「い、行ってあげて、って……いっちゃんは?」
一歌「志歩を探して来るよ。あれから結構経ってるのに帰ってきてないから」
咲希「あ、うん。いってらっしゃい……?」

咲希「ほ、ほなちゃ~ん……」
穂波「ど、どっどうしたの咲希ちゃん」
咲希「えっと……」
咲希(「穂波のところに行ってあげて」としか言われてないけど……どうすればいいの……!?)
咲希「ほ、ほなちゃんが疲れてないかなぁ~って……思って……」
穂波「わ、私なら大丈夫だよ?咲希ちゃん」
咲希「そ、そっか……」
咲希(……続かないっ……!)

穂波(……さっき咲希ちゃんと一歌ちゃんが話してたのって、やっぱり……)
穂波(私はまだ心の準備が出来てないのに……そんな勢いだけで告白なんて……)
穂波(咲希ちゃんも何が何だか分かってないみたいだし……あ、困ってる咲希ちゃんも可愛いな……)
穂波(って、何考えてるんだろ私……!こんな時に変なこと考えて……!)

一歌『……好きって言われて嫌な人はいないと思う。それが友情でも、恋愛でも』
一歌『それに、穂波はこのままじゃダメって思ってるんでしょ?なら、迷うことは何もないはずだよ』
一歌『きっと咲希は喜んでくれるよ。喜んでから……一緒に悩んでくれる』

穂波「……!」

穂波(咲希ちゃんに嫌われるかもって思って隠してきたけど……また私は迷っていたのかな)
穂波(……一歌ちゃんと違って、私は咲希ちゃんを信じられてなかった。たったそれだけのこと)
穂波(心の準備なんて、最初からいらなかった。ただ咲希ちゃんを信じて、好きだと伝えるだけ……)
穂波(ーーこんなに簡単なことだったんだ。胸の内がスッと軽くなって、今なら何でも出来ちゃいそう)

穂波「ねぇ、咲希ちゃん」
咲希「は、はいっ!?」
穂波「話があるの」

一歌(一応こっそり覗いてたけど……)
一歌(この調子なら、大丈夫そうかな。寧ろこのまま見続けて、私がいるってバレる方が問題か)
一歌(さて、志歩を探しに行こうかな。少し待ってあげるように言わないと。せっかくだし、待ってる時間であそこのカフェにでも行ってようかな)
一歌(……あとは、穂波と咲希を信じるよーー)

咲希「は、話って……?」
穂波「えぇっと、その……ね」

穂波(迷いはないけど、やっぱり少し恥ずかしい……)
穂波(……こんな時までずるい私を、どうか許して……)

咲希「ーーわぷっ」
穂波「えいっ」
咲希「き、急に抱き締めてどうしたの?」
穂波「ごめんね、こうでもしないと伝えられない気がして」
咲希「……大事な、こと?」
穂波「……うん。とっても大事なこと」
咲希「……ん」
穂波「……ぁ」

穂波(咲希ちゃん、こっちに体を預けてきてる……)
穂波(それだけ、私を信頼してくれてる……のかな。そうだといいなーー)

穂波「私ねーー咲希ちゃんのこと、ずっと好きだったの」
穂波「一緒にいると嬉しくて、でもドキドキして……」
穂波「友達と一緒にいるだけで怖かった私も……咲希ちゃんと一緒にいる時は、すごく楽しかった」
穂波「それで気付いたの。咲希ちゃんは特別だった、って」

咲希「ほ、ほなちゃん……苦しい……」
穂波「あ、ご、ごめんねっ。力入りすぎちゃった……はい」
咲希「……」
穂波「……離れ、ないの?」
咲希「アタシは、こうしてたいな」
穂波「……そっか」

咲希「……さっきのってさ」
穂波「は、はぃっ」
咲希「そういうことで……いいの……?」
穂波「そういうこと……って?」
咲希「だ、だからっ……!好きっていうのは、その……」
穂波「……うん。私の好きは多分、そういう好きだと思う」
咲希「そっか……そうだったんだ……」

穂波「ごめんね。重い、よね……分かってるの」
咲希「……ほなちゃんが、私を好きって……えへへ」
穂波「咲希、ちゃん……?」
咲希「あ、ごめんねっ。嬉しくて、つい……顔がにやけちゃって」
穂波「……イヤじゃ、ないの……?」
咲希「ううん、すごく嬉しいっ。いつか告白してくれないかなーって、思ってたから」
穂波「えっ……!?」

咲希「ーーあ、アタシ今すごく恥ずかしいこと言っちゃってるかな!?……いやでも、本当のことだし……」
穂波「……本当、なの?」
咲希「……うん。アタシも、ほなちゃんのこと……ずっと好きだったみたい」
咲希「おかしいよね。ずっと一緒にいたのに、気付いたのは最近で……」

咲希「ほなちゃんはそんなこと絶対考えてないだろうなーって思って、でも諦めきれなくて……」
咲希「……ほなちゃんの一番近くにいたくて、変なことばかりしちゃった。いっぱいわがまま言っちゃったよね。ごめんね」
穂波「……え、じゃあ、ここに来るまでの間のことも」
咲希「お、思い出させないでよ~!恥ずかしいから……」
穂波「……そう、だったんだ。ふふ」
穂波「ねぇ、咲希ちゃん。……そういうことで、いいんだよね?」
咲希「ふぇ?」
穂波「私にしかあんなことはしないって、思っていいんだよね……?あんなにくっつかれたら、あんなに求められたら……勘違いしちゃうよ……?」
咲希「あぅ……」

咲希「……ぅ」
咲希「……。ほなちゃん以外にあんなこと、出来るわけないじゃん……」
穂波「そっか……そっかぁ~……ふふっ……」
咲希「わ、笑わないでよほなちゃ~んっ」
穂波「ごめんね、別におかしいとかじゃないの。ただ、嬉しかったから……」

穂波「……ね。今、二人きりだよ?」
咲希「……ほなちゃん?」
穂波「周りに誰もいないし、個室だから外からも見られない。咲希ちゃんと私の、二人だけ」
穂波「だから……私だけの咲希ちゃんを、見せて。もっと私のこと、見て……」
咲希「ぁ、ぅ……」
穂波「咲希ちゃんが来ないなら、私からくっついちゃう……よ?」
咲希「……ん」
咲希「……来て……?アタシも、もっとほなちゃんに触れていたいから……」
穂波「ーー咲希ちゃんっっっ」

ーー近くのカフェ

一歌「……あ、これ美味しい。何だっけ?」
志歩「……知らない。飲み物頼んだら付いてきただけだし」
一歌「私たち、あんまりこういうところには来なかったもんね……」
志歩「まぁね。こういう静かな雰囲気のカフェとか、絶対咲希が騒ぎ出すし。……そっちは?」
一歌「ん、ホットココア。たまにはこういうのも良いかなって思って」
志歩「ふーん。咲希と違って、一歌は結構サマになってるんじゃない?」
一歌「まさか。志歩の方がよっぽどそういう感じでしょ?……あ、この味咲希が好きそう」
志歩「……ほんと、一歌って常に誰かのこと考えてるよね」
一歌「今のはふと思っただけだって……あ、でもそろそろ終わる頃かな?」
志歩「言ったそばから……あれから結構経つしね。30分くらい?」
一歌「……少し過ぎてるけど、大体そんなところ。戻ろっか?」
志歩「そうだね。良い感じに落ち着いてくれてると助かるんだけど」
一歌「ふふ……確かに」

ーースタジオ

穂波「……ふふ」
咲希「……ん……むにゃ……」
穂波「もう30分くらい経ってるのに、まだ起きないなんて。よっぽど疲れてたんだね」
穂波「……足音?あ、そっか」

一歌「あ、穂波。咲希、は……」
志歩「……寝てる?」
穂波「うん、30分くらい前からぐっすり。最近あまり眠れてなかったんだって」
志歩「ふーん。……だってさ、一歌」

一歌「だってさ、って……え、早くない?30分前って……私が出ていってから数分しか経ってない……」
志歩「……咲希もそっち側だった、ってことでしょ」
一歌「あ、なるほど……それなら」
穂波「えっと……さっきから、何の話?二人とも」
志歩「これだけ聞いてて分からないとか、もしかして穂波って意外と鈍い?」
一歌「志歩、それはちょっと言い過ぎ……でも、ないかも?」
志歩「ほら」
穂波「ご、ごめん……なさい?」
志歩「そこでなんで謝るの……」
一歌「まぁまぁ。……良かったね、穂波」

穂波「分かるの?」
志歩「分からない方がおかしいでしょ。咲希もちょっとおかしいって一歌言ってたし、大方咲希の方も似たようなことで悩んでたんでしょ」
志歩「一歌のことだから咲希とくっつかなかったことも考えてアドバイスしたんだろうけど……結果的には最初から両想いで、お互い言い合って解決ってところ?」
穂波「……もしかして、覗いてたりした?」
一歌「全然。ほら、『話があるの』の辺りで私は離れたから」
志歩「単に穂波が鈍すぎるだけ。都合良く二人きりの個室で、都合良く私達が帰ってくるのに時間がかかってて、都合良く告白の準備させたんだから」
穂波「え、え?もしかして、二人ともーー」
一歌「咲希のことになると単純っていうか、分かりやすいっていうか……なんだっけ、恋は盲目?」
志歩「練習の時間削ってまで時間作ったんだから。感謝してよ」
穂波「……ありがとう」
志歩「ん。……さて、咲希を起こすか」

穂波「え?も、もう少し寝かせてあげた方が……」
志歩「さっき30分前から寝てたとか言ってたでしょ。それに咲希の寝不足の原因も解決したんだから、帰って寝かせれば済む話。……穂波も今日はバイトないし」
一歌「……司さんに連絡しとこっか。えっと、連絡先……」
志歩「咲希のスマホ見れば分かるんじゃない?」
一歌「あ、そっか。ごめんね咲希、ちょっと借りるね」
穂波「え、えっと……それはまだ早いんじゃないかな……?」
志歩「今までずっと付き合わされたんだからいいでしょこれくらい。ほら寝坊助咲希、起きて」
咲希「んぇ……?ほなちゃん……じゃない……?」
志歩「穂波は向こう。ほら、さっさと練習の続きするよ」
咲希「あ、あっ、ちょっと、揺らさないで~っ」


ーー外
一歌「あ、司さん。星乃です」
一歌「いや、そういう話ではなくて……咲希のことで」
一歌「……多分それです。司さんは聞いてたんですね」
一歌「……はい、無事に……今は練習中です。それでなんですけど、今夜そちらにお邪魔させていただくことって出来ますか?」
一歌「あ、私ではなくて……そうです。ありがとうございます」
一歌「来客用の布団?あ、多分出さない方が良いと思います。だってあの二人ならもうーー」

ーースタジオ

咲希「うぅ……ひどい目に合った……」
志歩「咲希が寝てるのが悪いんでしょ。……あ、一歌。どう?」
一歌「うん、問題なし。あと穂波に、司さんが咲希をよろしくだって」
志歩「そ。というわけで穂波は練習終わって帰ったら、準備して咲希の家ね」
穂波「え、えぇ~……急過ぎるよ志歩ちゃん……」
咲希「え、ほなちゃんが家に来るの?」
一歌「うん。しかも泊まりだって。良かったね、咲希」
咲希「ホント!?嬉しいっ」
穂波「……も、もう……咲希ちゃんてば……」

志歩「……うわ。穂波が見たことないレベルに緩んだ表情してる」
一歌「ふふ。そろそろ練習始めよっか」
咲希「うんっ!頑張るぞーっ」

穂波「……咲希ちゃん」
咲希「なぁに?ほなちゃん」
穂波「お泊まり、楽しみにしてるね」
咲希「……うん!えへへっ」

終わり。プロセカ百合SS文化流行れ。あとほなさきも流行れ。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom