ミリシタTCの少女星梨花と妖精未来を応援する的なやつです
続編もすぐあがると思います
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1545215295
星梨花「村の外ってどうなってるんだろう……?」
彼女の名前は星梨花。
実は、彼女は生まれてからまだこの村を出たことがない。
両親の許しを得るまではこの村から出ることは許されていないからだ。
生まれてからずっとこの村にいては、大概のものはもう見慣れてしまった。
今日一日ずっと村の中を探検していた星梨花は、村の東端にある小高い丘に身を投げ出していた。
丘の上からは村の外が僅かに見える。
村から出る一本の道はうねりながら先へと伸び、右手に見える山の裏側へと続いていた。
左手には広大な森が広がっており、その中は暗くてよく見えない。
星梨花「行ってみたいなぁ……」
星梨花はそう呟きながら体を起こし、大きく伸びをする。
だが、外に行ってもやることがあるわけでもないし、第一に両親に何と言われるか……。
星梨花「そろそろ晩ご飯の時間だ。帰らなきゃ」
星梨花はいつもと変わらぬ足取りで丘を下っていった。
翌日、星梨花は一つの仕事を任された。
家の暖炉に使う薪がそろそろなくなりそうだというので、森の中に入って取ってきて欲しいというものだ。
森といっても、昨日見たものではなくて、村に隣接する小さな木立のような場所のことだ。
けれど、星梨花にとっては村の中でも少し外れたこの場所に行けるのは滅多にないことだ。
よほど楽しみなのだろう、彼女は満面の笑みを浮かべて家を飛び出した。
薪拾いに木立までやってきた彼女はせっせと仕事をした。
手ごろな大きさの木の棒を集めては籠に入れていく。
一時間と経たないうちに持ってきた籠はいっぱいになった。
いっぱいになった籠を持って自宅に帰り、中身を空にしてまた木の枝を集める。
それを幾度か繰り返せば、村からすぐ行けるところにはもう木の枝は落ちていないほどになっていた。
星梨花「うーん、どうしよう」
薪は十分な量が集まっていた。
だからもう木の枝を拾いに木立の中へ入る必要はない。
だが、昨日の未練も残っていたのか、星梨花は再び木立に足を踏み入れた。
もう少し非日常を味わいたくなったのかもしれない。
星梨花の足取りは軽く、彼女はどんどんと木立の奥へと進んでいく。
徐々に生えている木の本数も増え、差し込む太陽の光は弱くなる。
暗くて足元もよく見えなかった星梨花は、足元にぽっかりと空いた穴に気づかずに足を突っ込んでしまった。
そしてバランスを崩し、穴の中へと滑り落ちてしまった。
ミライ「えーっと、これはここにしまって……うん、だいたい片付いたかな」
彼女の名前はミライ。
おとぎの国の新人妖精だ。
人間界からの入口で、やってきたお客様の案内役をしている。
といってもまだ見習いでミスも多いのだが。
ミライ「よーし! 片づけ終わったー!!」
そう叫んだ瞬間だった。
人間界と通じる穴から一人の女の子が落ちてきた。
その振動で、片づけた部屋のものは再び床に散乱した。
ミライ「……あぁー! そんなぁ……」
ミライは落胆のあまり座り込んでしまった。
先輩妖精「ミライ、部屋の片づけ終わったかー……ってなんだこれは!」
ミライ「せんぱぁい……せっかく片づけたのに、さっきの揺れで……」
先輩妖精「あぁ……わかったから、とりあえず落ち着け、な?」
ミライ「ううっ……」グスン
先輩妖精「久しぶりのお客様だ。ミライ、案内してみろ」
ミライ「ええっ、私がですか!?」
先輩妖精「そうだ。そろそろお前も一人前の妖精になってもらわないと困るしな」
ミライ「わかりました! 行ってきまーす!!」
ミライは勢いよく部屋を飛び出し、お客様のもとへ向かった。
星梨花「ううっ……」
落ちた穴の先には柔らかな腐葉土のクッションがあった。
おかげで怪我には至らなかったが、少しお尻が痛む。
手のひらで痛む部分をなでながら辺りを見回すと、
そこには目を疑うような光景が広がっていた。
不自然に湾曲した大木に見たこともない果実がぶら下がっており、
その大木を中心に色とりどりの屋根が並んでいた。
これがうわさに聞いていた、村の外にあるという「マチ」なのだろうか?
星梨花「ここはいったい……?」
上手く事態を飲み込めない星梨花に追い打ちをかけるように
蝶々ほどの大きさの虫が星梨花のもとへやってきた。
星梨花「虫……? でも見たことない」
虫?「虫じゃないよ! 私はミライ! このおとぎの国の妖精なの!」
星梨花「……妖精、ですか?」
ミライ「うん! だから何かわからないことがあったら何でも私に聞いてね!」
妖精と名乗るその生体は胸らしき部分をポンと叩いた。
よく見るとなかなかに可愛らしい出で立ちをしている。
星梨花「えっと、じゃあ……まず、ここはどこですか?」
ミライ「ここは『おとぎの国』だよ! 私達妖精が暮らす場所なの!」
星梨花「なるほど、そうなんですか! それで、
私が住んでいる村に戻るにはどうすればいいんですか?」
ミライ「えっ? うーん……そうだなぁ…………」
ミライはその場で考え込む。
「ムラ」というのは、おそらく人間界のことなのだろう。
で、そこに「戻る」、と……。
ミライ「ごめん! わからない!!」
星梨花「ええっ! そんなぁ……」
星梨花は悲しそうな顔を浮かべた。
このままでは泣き出してしまうかもしれない。
ミライ「で、でも! 私に任せてくれたら絶対に大丈夫!
ここから帰れる方法もきっとわかるから!」
星梨花「本当ですか……?」
ミライ「うん! だから泣かないで……?」
ミライの決意に満ちた眼差しを見た星梨花は、
目元を服の袖で拭い、力強く立ち上がった。
星梨花「……はい! わかりました!! これからよろしくお願いします!」
ミライ「うん! よろしくね!」
こうして、星梨花とミライのおとぎの国での冒険は始まった。
今日の分はここまでです。
こんな感じで日ごとにちょっとずつ進めていこうと考えています。
明日も多分更新していると思うのでよろしくお願いします。
迷い込んだ系の話でいくか、期待
http://i.imgur.com/LQb3bO0.jpg
一旦乙です
>>1
少女役 箱崎星梨花(13) Vo/An
http://i.imgur.com/pqyoGkJ.jpg
http://i.imgur.com/S9SORxq.jpg
妖精役 春日未来(14) Vo/Pr
http://i.imgur.com/ZpFI1nN.jpg
http://i.imgur.com/m6ybn3S.png
画像載せていただいた方ありがとうございます!
今日分の更新をしていきます
ミライ「ふーん、じゃあ星梨花ちゃんが『ムラ』を出るのは初めてなんだ!」
星梨花「はい! だから、不安な半面、ちょっと楽しみなんです!」
先程までの不安を感じさせないほど、
星梨花は楽しそうに町までの道のりを歩いていた。
どうやら馬が合うのだろう、
星梨花とミライが打ち解けあうのにそう時間はかからなかった。
ミライ「ところで、星梨花ちゃん、お腹すかない?」
星梨花「そういえば……お昼ご飯をまだ食べてませんでした!」
ミライ「やっぱり! じゃあとっておきのお店に連れて行ってあげる!」
ミライは星梨花を先導して街へと下りていく。
その後ろを追いかけるように星梨花は歩を速めた。
街へ降りてくると、そこには妖精たちの日常が広がっていた。
いや、正確には妖精を連れた人々の暮らしと言うべきだろう。
市場には多くの農作物と海産物が並び、街の人は思い思いにその品物を買っていく。
広場は多くの人で賑わい、まるでお祭りの最中であるかのような雰囲気だった。
星梨花「うわぁ、凄いですね! 人がいっぱいです!」
ミライ「ここは街の中心部だからね! 昼間も夜もこんな感じだよ」
そう言いながらミライは目的地に向かって飛んでいく。
が、星梨花はそういうわけにもいかない。
ましてや村の外に出たことのない彼女にとって、
人込みというのは最大の障壁だった。
星梨花「ふぅ……やっと到着しましたね……」
目的の店に着いた時には、星梨花はだいぶ疲弊していた。
朝の薪拾いから始まりずいぶんと長い距離を歩いていたし無理もないだろう。
ミライ「よし、じゃあ入ろっか」
一方のミライはまだ元気が有り余っているらしい。
初めての案内役として張り切りすぎているのだろう。
ただ、いくら元気があっても、人間用に作られたドアを
妖精のミライが開けることは出来ない。
疲れた星梨花の手を煩わせるのも申し訳がないが、
これに関してはどうしようもない。
ミライは申し訳なさそうに星梨花を見つめた。
星梨花「……ああ! 私が開けないと入れないですもんね! ごめんなさい!」
ミライ「あ、うん、ごめんね……」
星梨花はミライに精一杯の笑顔を返しながらドアを開けた。
乾いたドアベルの音が聞こえてくる。
店員「いらっしゃいませ……って、見かけない顔ね。新しい子?」
ミライ「おばさん! お久しぶりです!」
店員「って、あら、ミライちゃんじゃない!
元気にしてた? 最近来てくれないから心配してたのよ~」
ミライ「ごめんなさい! 最近入口の門番の仕事をしていて……」
店員「あらそうなの? ってことはその子はやっぱり新しく来た子?」
ミライ「はい! 『星梨花ちゃん』です!」
店員「そうなの? よろしくね、星梨花ちゃん」
星梨花「あっ、はい! よろしくお願いします!」
店員さんに一礼した星梨花とミライは店の一番奥の席に座った。
といっても、ミライはテーブルの上に羽根を下ろしているというのが正しい表現なのだが。
店員「で、注文はどうする? ミライちゃんはいつものやつ?」
ミライ「はい! 今日はちょっと大盛りで!」
店員「わかったわ。星梨花ちゃんはどうする?」
星梨花「えーっと……何のメニューがあるんですか?」
店員「そうねぇ、今の季節だったらイチゴのショートケーキなんかがおすすめよ!
あとはチーズケーキなんかもあるわね。
他にもシュークリームとかクッキーもあるわよ!」
星梨花「あの……お菓子以外にはないんですか?
ママに『ご飯の時におやつを食べてはいけません!』って言われてて……」
星梨花がそう言うと、店員さんは首を傾げた。
店員「えっ? ご飯には食べたいものを食べればいいのよ。
お菓子でも何でも、自分の好きなものを食べるのが幸せなことよ?」
星梨花「……そうなんですか、そうですよね!
じゃあ私、イチゴのショートケーキとシュークリームでお願いします!」
店員「はーい、ちょっと待っててね」
そう言って店員さんは厨房の方へ下がっていった。
ミライ「ここの生クリームは美味しいから大丈夫だよ!
牛乳の質もいいし、何よりくちどけが柔らかいの!」
ミライはまだ食べていない生クリームの味を想像しながら口角を緩ませていた。
そんな嬉しそうなミライを見て、星梨花も幸せな気分になった。
星梨花「本当ですか!? 楽しみです!!」
しばらくすると、星梨花とミライのもとへ注文した品物が運ばれてきた。
店員「はい、星梨花ちゃんにはショートケーキとシュークリーム。
で、未来ちゃんはいつもの『搾りたて生乳の生クリーム』ね!」
ミライ「やったー! いただきまーす!」
ミライはお猪口ほどの器に盛られた生クリームを
小さなスプーンで掬っては舐めていく。
一方の星梨花は、ショートケーキの上に乗っている真っ赤なイチゴを頬張った。
星梨花・ミライ「「おいしーい!!」」
店員「でしょ? 最近牛乳の出来が良くて、お客さんにも大好評なの!」
星梨花「ほんとにおいしいです! 村では食べたことない味です!」
店員「あらほんと? それは良かったわ」
店員さんと談笑を始めた星梨花とは対照的に、
ミライは無言で生クリームを口に放り込んでいく。
もう口の周りが雪でも被ったかのように白くなっていた。
星梨花「ミライさん、生クリームついてますよ」
星梨花はそう言って、テーブルの恥にある紙ナプキンを一つ取り、
ミライの口を優しく拭いた。
ミライ「もごごごご……ありがとう、星梨花ちゃん」
今日の分はここまでです。キリが悪くてすみません。
明日も今日と同じぐらいの時間帯に投げると思いますのでよろしくお願いします!
(ミライちゃんのうっかりはもう少し待っていてください)
本日分の更新ですが、ミリシタイベントの初動が終わり次第上げると思いますのでよろしくお願いします!
それではぼちぼち今日の分投げていきます
今日は長めに投げようと思います
星梨花「ケーキもシュークリームも美味しかったです!」
店を出た星梨花とミライはゆっくりと街の中心部へ戻っていた。
星梨花の手には先ほどの店で貰ったクッキーの入った袋が握られている。
星梨花「さっきのお店の人も優しい方ですし、私、
この街が好きになっちゃいました!」
ミライ「ほんと? よかったー! 女の子だしやっぱり甘いものは外せないよね!」
星梨花「はい! ところで、私達はどこに向かっているんですか?」
ミライ「それはねー、なんと! 私の家です!」
星梨花「『ミライさんのお家』ですか?」
ミライ「うん! 今日は色々あって疲れたと思うし、
家でゆっくりおしゃべりしたいなーって!」
星梨花「わかりました! 行きましょう!」
街の中心にある広場を抜け、山肌に沿った坂道をゆっくりと登っていく。
五分ほどしたところで未来は地面に降り立った。
ミライ「はい! ここが私の家だよ!
狭いけどゆっくりしてね!」
星梨花「あ、あの…『狭い』というか、
私じゃ入れないような……」
ミライの隣にある植木鉢ほどの大きさの建造物らしき何か、
まさかこれが家なのだろうか……。
よく見ると、周囲にはこれに似たようなものが立ち並んでいる。
このあたりはどうやら妖精の住宅地になっているらしい。
ミライ「……あーっ! ホントだ! 忘れてた!!」
ミライは頭を抱えこんだ。
ミライ「人間界からのお客様が来たら、まずは……えーっと……」
ミライは、手元に広げたメモらしきものを目で追っている。
ミライ「えーっと、『役所に行って申請』?
『やくしょ』ってどこだろう……?」
星梨花「うーん……あっ! あれじゃないですか?」
そう言いながら星梨花は今来た道を少し戻ったところにある建物を指さした。
レンガ造りの一際大きい建物の最上部にはシンボルらしきマークが掲げられている。
ミライ「あ、ほんとだ、ありがとう! 一緒に来て!」
ミライは再び羽を広げ、目的の建物へと飛び立った。
ミライがカウンターの前で役所の人と手続きを済ませている間、
星梨花は椅子に腰かけ、この街の案内情報などが
掲載されているパンフレットを読んでいた。
この世界のことを知りたいというのはあるけれど、
その一方で村に帰る方法も見つけなければならない。
その助けとなるような情報はないものか……。
星梨花は紙面の隅から隅まで目を通した。
ただ、残念なことにこれといった情報は得られなかった。
この世界の絶景スポットと美味しそうなお店の場所を記憶して、
星梨花はパンフレットを閉じた。
ミライ「星梨花ちゃーん、ちょっと来てー」
ミライからの呼びかけに応じ、星梨花はカウンターに向かった。
ミライ「ここにね、名前とか書いてほしいんだって!」
そう言ってミライは一枚の紙を見せてくれた。
何やらよくわからない文字が並んでおり、最下段に署名の欄がある。
星梨花「これは何の紙なんですか?」
ミライ「なんかね、これ書かないとお家借りれないんだって!」
星梨花「そうなんですか? じゃあ書きますね!」
星梨花は何の疑いも持たずに紙に名前を書いた。
それを係員が奥に持っていき、代わりに何かの鍵を持ってきた。
係員「それではこれで手続きは終了です。
これが家の鍵ですのでお持ちください」
星梨花「ありがとうございます!」
係員「あと家の場所を書いた地図もお渡ししておきますね。
これからよろしくお願いします!」
星梨花「はい! お願いします!」
ミライ「ここが家みたいだね」
星梨花とミライは、街の中心にある広場から少し脇道に入った場所に立っていた。目の前には少し年季の入った木造の建物が鎮座している。
星梨花「二人で暮らすには少し大きい気がします……」
家らしきその建物は村にある星梨花が暮らす家と大きさが変わらないように見える。向こうでは両親を含めた三人で暮らしていたし、そう思うのも自然な反応だ。
ミライ「まぁ、とりあえず中に入ってみようよ!」
興奮を抑えきれないミライにそそのかされるようにして、星梨花はゆっくりとドアの鍵を開けた。
家の内装はずいぶんと華やかだった。
キッチンには大小様々な調理器具が保管されているし、
ダイニングテーブルには花柄のテーブルクロスが掛けられ、
その真ん中には色鮮やかな花が生けられている。
リビングルームには大きなソファに足置きまで完備されているし、
お風呂も広くて開放感のある造りになっている。
星梨花「うわぁ、いいお家ですね!」
ミライ「ほんと、ひろーい!」
身体が小さいミライにとってはこの家は
コンサートホールのような広さに感じられるのかもしれない。
嬉しそうに部屋の中を飛び回っている姿は何とも微笑ましいものがあった。
星梨花「それで私、色々聞きたいことがあるんですが……」
ミライ「ん? なになに?」
星梨花の声を聞いたミライは、
星梨花が座っているダイニングテーブルの椅子の
ちょうど向かい側の位置にちょこんと降り立った。
星梨花「ミライさんって、もしかして『うっかりさん』ですか?」
ミライ「ええーっ! そんなことないよ!」
星梨花「でも手続き? も忘れてましたし、そうなのかなって思って……」
ミライ「い、いや……そういうわけじゃないんだよ!
今日はたまたま忘れちゃってただけで、
いつもはもっとしっかり者なんだから!」
星梨花「そうなんですか? 頼りにしてますね!」
ミライは、結論から言えばおっちょこちょいだ。
つまり「うっかりさん」というのは何も間違った評価ではない。
ただ問題があるとすれば、ミライ自身はそのことに気づいていないということだろう。
ミライ「じゃあ、私からも質問していいかな?」
星梨花「はい! 何ですか?」
ミライ「星梨花ちゃんが言ってる『ムラ』ってどんなところなの?」
星梨花「村ですか? うーん、そうですねぇ……
この街よりもずっと狭いですけど、いいところだと私は思います!」
ミライ「そうなんだー! なんで?」
星梨花「みんな優しいからです!
昨日はお隣に住んでるおばさんがシチューのおすそ分けに来てくれましたし、
一昨日は村のみんなで豊作祈願のお祭りもやりました!」
ミライ「すごいね! なんでか分からないけど、
ここにいる人達ってそういうことやらなくてさー、
私もやってみたいなぁ」
星梨花「じゃあ、私が村に戻る時に一緒に来ませんか?
きっとミライさんにもいい村だって言ってもらえると思います!」
ミライ「うん! 行きたい!」
星梨花「じゃあ、早く帰れる方法を探さないといけませんね!」
ミライ「よーし、頑張るぞー!!」
星梨花・ミライ「「おー!!」」
そこで突然、ミライのお腹が鳴った。
ミライ「えっ?」
星梨花「もしかしてもうお腹すいちゃったんですか?」
ミライ「うん、そうみたい……」
星梨花「生クリームだけだったらそうなっちゃいますよね……
わかりました! 今から市場に行って食材を買ってきます!」
ミライ「えっ、ほんと?」
星梨花「はい! やっぱりご飯はちゃんと食べないといけないんです!
任せてください! ママのお手伝いとかはやってるのでお料理はちょっとだけ得意なんです!」
ミライ「やったー! 一緒に行こ?」
星梨花「はい!」
星梨花とミライは二人並んで家を出た。
ミライ「ぷはぁ~。食べた食べた~」
星梨花「美味しかったですか?」
ミライ「うん! 白身魚の……ムニエル? もバターの味がふんわり広がるし、
すっごく美味しかった! もうお腹いっぱいで食べられないよ~」
星梨花「うふふっ、喜んでもらえたみたいでよかったです!」
ミライ「お腹いっぱいになったし眠くなっちゃったね」
星梨花「はい! でも先にお風呂に入らないと……」
ミライ「あ、私はいいよ。羽根が濡れちゃうと困るし」
星梨花「そうですか、そうですよね! じゃあお風呂入ってきますね!」
ミライ「いってらっしゃ~い」
星梨花を送り出したミライは、ベッドの横にあるクッションまで飛び、
羽根をたたんで寝転んだ。
ミライ「ここから帰る方法……かぁ……」
正直、皆目見当がつかない。
未来自身、この街から出たことがないのだ。
霧の中を手探りで進んでいくような途方もない試行錯誤が必要かもしれない。
でも、それよりは……。
ミライ「誰か知ってる人に聞いてみるのが一番かも!」
ミライ「私が知ってる人だと……入口にいる先輩とかかなぁ……」
ミライ「よし! 明日早速行ってみよう!」
星梨花「お待たせしちゃってすいません。今上がりましたー!」
髪の所々に水滴をつけた星梨花がお風呂から帰ってきた時には、
すでにミライは夢の中だった。
星梨花「もう寝ちゃってたんですか……」
ミライの寝顔を確認した星梨花は、ミライの横にあるベッドに潜り込んだ。
星梨花「ミライさん、おやすみなさい」
ゆっくりと閉じたその瞼の裏で、果たして星梨花はどんな夢を見ているのだろうか。
今日の分は以上です。
次の更新なのですが、週末は忙しくておそらく更新できないと思うので、
月曜日のこのぐらいの時間帯になると思います。
ミリシタのイベント頑張りましょう!
待ってくれていた方がいたら、お待たせしました!
今日の分の更新をやっていきます
星梨花「ケーキもシュークリームも美味しかったです!」
店を出た星梨花とミライはゆっくりと街の中心部へ戻っていた。
星梨花の手には先ほどの店で貰ったクッキーの入った袋が握られている。
星梨花「さっきのお店の人も優しい方ですし、私、
この街が好きになっちゃいました!」
ミライ「ほんと? よかったー! 女の子だしやっぱり甘いものは外せないよね!」
星梨花「はい! ところで、私達はどこに向かっているんですか?」
ミライ「それはねー、なんと! 私の家です!」
星梨花「『ミライさんのお家』ですか?」
ミライ「うん! 今日は色々あって疲れたと思うし、
家でゆっくりおしゃべりしたいなーって!」
星梨花「わかりました! 行きましょう!」
街の中心にある広場を抜け、山肌に沿った坂道をゆっくりと登っていく。
五分ほどしたところで未来は地面に降り立った。
星梨花「ケーキもシュークリームも美味しかったです!」
店を出た星梨花とミライはゆっくりと街の中心部へ戻っていた。
星梨花の手には先ほどの店で貰ったクッキーの入った袋が握られている。
星梨花「さっきのお店の人も優しい方ですし、私、
この街が好きになっちゃいました!」
ミライ「ほんと? よかったー! 女の子だしやっぱり甘いものは外せないよね!」
星梨花「はい! ところで、私達はどこに向かっているんですか?」
ミライ「それはねー、なんと! 私の家です!」
星梨花「『ミライさんのお家』ですか?」
ミライ「うん! 今日は色々あって疲れたと思うし、
家でゆっくりおしゃべりしたいなーって!」
星梨花「わかりました! 行きましょう!」
街の中心にある広場を抜け、山肌に沿った坂道をゆっくりと登っていく。
五分ほどしたところで未来は地面に降り立った。
誤爆しました、すいません。
翌日、星梨花とミライは街の入口にある先輩妖精のもとを訪れていた。
ミライ「せんぱーい、ちょっと相談があるんですけどいいですか?」
先輩妖精「ああ、ミライか。それに星梨花ちゃんも、どうしたんだ?」
星梨花「実は私、この街から帰る方法を探してて……」
ミライ「先輩、分かりませんか……?」
星梨花とミライが尋ねると、先輩妖精は苦い顔をした。
先輩妖精「……うーん、それはなぁ……」
ミライ「それは?」
先輩妖精「……すまん! やっぱり教えられん!!」
星梨花「ええーっ!?」
先輩妖精「いや、本当に申し訳ないんだが、その手の情報はトップシークレットなんだ。
この街でも知っているのは俺みたいな管理者か、かなりのお偉いさんだけだと思うぞ」
ミライ「えーっ、そんなぁ……」
ミライ「どうしようか……?
あの感じだと誰も教えてくれなさそうだよね……」
帰宅した星梨花とミライは鍋をつつきながら今後の計画を相談していた。
星梨花「そうですね……
やっぱり自分たちで調べるしかないのでしょうか……?」
ミライ「だとしたら相当時間かかっちゃうかも……」
星梨花「何かそういう情報が載っている本とかでもあればいいんですけど……」
ミライ「……あっ! 本だ!」
星梨花「えっ? どうしたんですか?」
ミライ「私、一回だけ先輩の個室に入ったことがあって、
その中は本でいっぱいだったの!
もしかしたら、あの中に帰る方法が書いている本があるかも!」
星梨花「本当ですか?」
ミライ「うん!
でも、そのまま『本読ませてください!』って言ってもダメそうだし……」
星梨花「じゃあ、作戦を立てましょう!」
~次の日~
星梨花は先輩妖精のもとへ向かっているらしい。
ただ昨日とは状況が少し違うようだ。
両翼のツインテールを暴れ馬のごとく揺らしながら、
全力疾走で坂の上へと走ってきたのだ。
先輩妖精「お、おはよう星梨花ちゃん……って、
どうしたんだい? ずいぶんと慌てて」
星梨花「あの、実は……
ミライさんがいなくなっちゃったんです!」
先輩妖精「えっ、ミライが?」
星梨花「はい! 昨日寝るまでは一緒だったのに、
朝起きたらいなくて……家中探しても見当たらなくて…………」
先輩妖精「本当か!?
まったく、どこいったんだ! 探すのを手伝うよ」
星梨花「ありがとうございます!
多分街のどこかにいると思うんですけど……」
先輩妖精「よし、行こう!」
星梨花は先輩妖精を引き連れて、街までの道のりを駆けていった。
ミライ「星梨花ちゃん、いってらっしゃーい!
さて、作戦実行だね」
星梨花と先輩妖精を見送った後、ミライは近くの岩陰から姿を現した。
今なら先輩の本は漁り放題だ。
ミライ「お邪魔しまーす」
ミライは先輩の部屋に足を踏み入れた。
壁一面の本棚には様々な厚さの本がぎっしりと詰められている。
ミライ「うーん、どこだろう?」
それらしいタイトルの物を探しながら、
未来は本棚の前をあっちこっち飛び回っている。
ミライ「あっ、これかな?」
そう言いながらミライは一冊の本を手に取った。
タイトルには「出入国管理者心得」と書いてある。
ミライ「うーん、どれどれ?」
本の中身は文字ばかりで埋まっていた。
パラパラとページを捲っていくと、何やら見覚えのある地図があった。
ミライ「あっ、これ、この街の地図だ……」
その地図の端、この街の東端の丘からずーっと行った先に星印が付いている。
ここに、この街から抜け出す出口があるらしい。
ミライ「なるほどなるほど……」
それからさらに読み進めてみると、
どうやらこの出口を通る際には何の警備もないらしい。
それどころか出口の周辺には何もない荒野が広がっているだけのようだ。
ミライ「じゃあ、なんで先輩は話してくれなかったんだろう?」
ミライは次のページへと目を移す。
そこには、ミライが予想だにしていなかった事実が書かれていた。
その夜、ミライは苦悩していた。
星梨花に今日仕入れた情報をどこまで伝えたらいいのか、分からなかった。
現状は「不確定な情報が多かったから、明日からまたちょっと調べてみる」
と伝えてはいるが、それだけではもたなくなるのは時間の問題だ。
それに何より、もう先輩の家の蔵書を漁りに行くことは出来ない。
今日の「迷子」の件で、「妖精が一人でほっつき歩くんじゃない!」と
こっぴどく注意されたし、もう同じ手は通用しないだろう。
それに何より、もう先輩の本を読む必要はない。
出口の場所も帰り方も分かったのだ。
一晩悩み続けて、ミライは結論を出した。
最後に知った「あの情報」だけは、今は言わないでおこう。
そう心に決めた。
それから数日後、焼き立てのトーストに
いちごジャムを塗る星梨花に対し、ミライは口を開いた。
ミライ「あのね、星梨花。ちょっといい?」
星梨花「はい、何ですか?」
ミライ「実は、この街から帰れる方法がわかったの!」
星梨花「えっ? 本当ですか?」
ミライ「うん!
ここからずっと東に行ったところにある洞窟を通っていけば、
元の世界に戻れるみたい!」
星梨花「本当ですか!? ありがとうございます!」
ミライ「この街のお土産をいっぱい持って帰ろう!」
星梨花「はい!」
家を飛び出した二人は、市場に行ってそれぞれ思い思いの品物を買った。
この街の職人さんが作ったらしいネックレス、
昨日の夕食後のデザートに食べた、ここにしかない美味しい果物。
それを星梨花が背負っているリュックサックに詰め込めば、
たちまちパンパンになってしまうほどに買い込んだ。
ミライ「よし、それじゃあ行こっか!」
星梨花「はい!」
リュックサックの紐をしっかりと握りしめ、星梨花は東へと歩き始めた。
ミライはその斜め後ろをついていく。
星梨花「ここがその洞窟ですか?」
ミライ「うん、そうみたい」
市場から一時間ほど歩いて、星梨花とミライは目的の洞窟の前に着いた。
星梨花「やっと、村に帰れるんですね!」
ミライ「私も、星梨花ちゃんが住んでいる『ムラ』に行けるのが楽しみだよ!」
星梨花「はい! 行きましょう!」
星梨花は確かな足取りで洞窟へと足を踏み入れた。
二つの影が暗い洞窟の中へと吸い込まれていく。
洞窟の中で、星梨花とミライは他愛もない話をたくさんした。
星梨花が両親の話をすれば、
ミライは先輩妖精との馴れ初めを聞かせてくれた。
ミライが生クリームを好きな理由を語れば、
星梨花は母親が作ってくれるという美味しいお菓子の話を返した。
そうしているうちに洞窟の先に光が見え始めた。
あれが出口なのだろうか。
星梨花「ミライさん! あそこが出口みたいです!」
待ちきれなかったのだろう、星梨花は出口に向かって駆けだしていった。
やがて彼女は光の下へと辿り着く。
星梨花「あっ、ここって!」
洞窟の先には木立が広がっていた。
間違いない、ここは村の近くで星梨花が迷い込んだ場所だった。
星梨花「ミライさん! 私、村に帰ってこられました!!」
そう言いながら星梨花は後ろを振り向いた。
だが、ミライの姿は、どこにもなかった。
今日の分の更新はここまでです。初っ端に誤爆してしまってごめんなさい。
全部「ポチー」してしまった自分が悪い。
明日の更新で最終回となる予定です。
時間は今日より少し早めになると思いますのでよろしくお願いします。
今から更新していきます
星梨花「ミライさん! ミライさん!」
星梨花は慌てて辺りを見渡す。
しかしそこには、ミライどころか先程まであったはずの洞窟すら、
影形が跡形もなく消え去っていた。
星梨花はへなへなと地面に座り込む。
それからしばらくの時間が経って、星梨花は自分の家に帰ることにした。
ここにいたって何か出来るわけでもない。
それにパパやママはきっとすごく心配しているだろう。
謝罪の言葉を考えながら、星梨花はゆっくりと玄関のドアを開けた。
ママ「あら、星梨花。おかえり」
星梨花「ママ!」
ママ「薪拾いご苦労様。これで当分の間は大丈夫ね!」
星梨花「えっ?」
ママ「もうお風呂沸いてるから、先入っちゃいなさい」
星梨花「うん……」
星梨花は首を傾げながらお風呂場へと向かった。
どうやら、この村では時間が経過していなかったらしい。
おとぎの国に迷い込んだあの日も、おとぎの国から帰ってきた今日も、
実は同じ一日だったというわけだ。
お風呂にゆっくりと浸かり、
久しぶりのママの手料理をお腹いっぱい食べ、
星梨花は自室へと引き返した。
数日離れただけなのに、この部屋にどこか懐かしささえも感じた。
星梨花「あっ、そういえば……」
向こうの街で買ったお土産のことをすっかり忘れていた星梨花は、
リュックサックの中身を広げた。
その中には、様々なお土産に紛れて見覚えのない封筒が転がっていた。
星梨花「ん? 何だろう?」
封筒をひっくり返してみると、
中からは可愛らしいデザインの髪留めが落ちてきた。
しかも、どうやらそれだけではなく、手紙も同封されているらしい。
星梨花は、そっと手紙を取り出し、手のひらの上で広げた。
星梨花ちゃんへ
この手紙を開いてくれてありがとう。
無事に「ムラ」に帰れたんだね!
そしておそらくだけど、
私は星梨花ちゃんとはお別れしちゃっていると思います。
「一緒に帰ろうね!」って言ってくれた約束、
破っちゃってごめんなさい。
実は、妖精にはルールがあって、
自分のパートナーになった人が人間の世界に帰ったら、
妖精は姿を消さなければいけないんです。
そして、一度この街から出た人間は、
二度とこの街には帰ってこられないんです。
だから、私と星梨花ちゃんはもう、本当に「お別れ」なんです。
でも、私は星梨花ちゃんにはこのことを黙ってました。
ごめんなさい。
でも、ちゃんと私なりの理由があって、
星梨花ちゃんには言わないことにしていました。
私は、星梨花ちゃんは村に帰った方がいいと思ったんです。
星梨花ちゃんと会えないよりも、
星梨花ちゃんが帰れなくて困っているほうが、
私にとっては辛いことだったんです。
私が星梨花ちゃんと過ごした時間は、いつも楽しくて、最高の宝物だよ!
私は星梨花ちゃんのことを忘れません。
だから、星梨花ちゃんも私のことを忘れないでいてくれると嬉しいな。
追伸
一緒に入れた髪留めは、私からのプレゼントです。
星梨花ちゃんに似合っているといいな。
ミライ
その夜、星梨花は涙が枯れるまで泣いた。
一晩中、枕に顔をうずめて泣いた。
充血した瞳の赤は、徐々に決意の色へと変わっていった。
翌朝、星梨花は朝食の席で両親に話を切り出した。
星梨花「私、『マチ』に行きたい!!」
最初、両親は面食らったような顔をした。
そして当然のように星梨花の意見を一蹴しようとした。
だが、星梨花の熱意に押し負け、週末に街へ連れていくことを約束してしまった。
そして迎えた週末の朝――
星梨花とその両親は、街へと続く道を歩いていた。
その左手には、星梨花が佇んでいた小さな丘も見える。
星梨花はようやく、その向こう側の世界へと一歩を踏み出したのだ。
ママ「あら? そういえば星梨花、見慣れない髪留めしてるわね。そんなの持ってたかしら?」
星梨花「ううん、持ってなかったよ」
ママ「じゃあそれはどうしたの?」
星梨花「拾ったの。秘密の場所で」
ママ「綺麗な色してるわね。大切にしなさい」
星梨花「うん!」
星梨花の足取りは軽かった。
丘を過ぎると道は緩やかに右へ曲がっている。
星梨花とその両親を朝日が優しく包み、星梨花の髪留めは煌びやかに輝いていた。
終わりです。最後まで読んでいただきありがとうございます。
最後の方、駆け足な展開になってしまってすみません。
年内の副業が忙しくなりそうなので、このあたりで話を畳むことにしました。
これからも少女星梨花と妖精未来を応援していきますので、
皆様にお力添えいただければこれ以上の本望はございません。
依頼出してきます
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