20XX年XX月XX日、

原宿教育学園幕張秀英高等学校。

この日、この高校の地下体育館で秘密裏に行われたひとつの行事がある。



全校生徒より選抜、さらに千葉県下から集められた猛者20名で行われた格闘大会。

大会方式はトーナメント戦、ルールは武器の使用禁止のみ。

己の肉体を使う限り金的だろうが噛みつきだろうが許される。



ファイトマネーは1億円、ただし勝者の総取り。　さらに優勝賞金は100億円。

高校の行事としては馬鹿げているとしか言いようのない額。

しかし真に恐るべきは副賞。　その報酬とは ―






《優勝者には黒木智子またはその弟

黒木智貴を奴隷にする権利が与えられる》

く　ろ　き　と　も　こ
黒　　木　　智　　子　。



現原幕高カーストチャンピオン。

女神と呼ばれた前チャンピオンの卒業後、空席となっていたその座に就いた少女。



2年まで無名だった彼女はその不死身のタフネスと不屈のメンタル、

そして蠱惑的な魅力でライバルを蹴散らしついにトップの座へと登りつめた。



この大会の副賞は彼女、そしてその弟・・・

黒木智貴を奴隷にできる権利 ！



常識で考えればありえないこれらの賞に、

それでもなお千葉県下のつわものたちが喰らいつき

黒木智子争奪最大トーナメントの火ぶたが切って落とされた！






？？？「もがー！　もがーーー！」

？？？「むぐ、むぐっ！　むぐうおおっ！！」

【トーナメント会場】




ｻﾞﾜ　ｻﾞﾜ　ｻﾞﾜ


　ｻﾞﾜ　ｻﾞﾜ　・・・




荻野「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ｼﾞ ｬ ﾘ ｯ




　　ｼ　　ｰ　　ﾝ　　･･･




荻野「みんな･･･」




「史上最強のカップリングを見たいかーーーーーッ」





オ　　オ　　オ　　オ　　オ　　オ　　オ　　オ　　オ　　オ　　ォ　　ｯ

「見たい！　見たいぞーーーー！！」

「見せて！　みせてぇーーーっ！」

「ゆ・り・も・こ！　ゆ・り・も・こ！」



　ウ　オ　オ　オ　オ　オ　オ　オ　オ　オ



「ネモクロ！　ネモクローーーっ！」

「うちもこ！　うちもこをもっと！」

「よしもこ！！」「かともこー！」「ゆうもこ！！！」



　ワ　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア



荻野（私もよ。　わたしもよ、みんな・・・・ッ）

清田「全選手入場・・・！」





「　全　選　手　入　場　で　す　！」

「あの日の笑顔は生きていた！！」

「更なる研鑽を積み親友は甦った！！！」



　オ　オ　オ　オ　オ　オ　オ　オ



「公式ヒロイン！！　田村ゆりだァー！！！」




　ワ　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア




田村（・・・人が多い。うるさい、嫌だ。　でも・・・）

田村（黒木さんを奴隷にするなんて、許せない ―）



　―　ザ　ッ　！



田村（　許　さ　な　い　！　）

「王道ラブコメはすでに私が完成している！！」

「原幕2年　井口朱里だァーーー！！！」





井口「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・止めなくちゃ」

井口「あの人を止めなくちゃ。　でないと・・・！」

「もこっちの奪い合いなら私の歴史が物を言う！！」

「ゆるふわ癒し系正妻　成瀬優だ！！！」





成瀬（・・・もこっち。　智樹くん。　もうちょっとの辛抱だよ）

成瀬（きっと助けてあげるからね！）― ｷ ｯ ！

　ﾊﾞｰﾘトｩｰﾄﾞ
「なんでもありならこいつが怖い！」

「原幕のピュア・ファイター　吉田茉咲だ！」






吉田「ちっ、めんどくせえ」　ｼﾞｬﾘ　ｼﾞｬﾘ



？？（・・・ほら茉咲、行ってやれよ）
　　　　　　　　ﾀﾞﾁ
？？（お前の友達だろ、助けてやんな）



吉田「・・・・・・・・・・・ったく、世話が焼ける」

　　　　　　　 　　ﾄﾞﾗﾏ
「筋書きのない恋愛がしたいからトップカーストに入ったのだ！」

　　　　　ｹﾝｶ
「ガチの恋愛を見せてやる！　岡田　茜！」





岡田「陽菜、あんまり無理すんなよ」

根元「・・・・・・・・・・・」

岡田「わたしがついてる。　黒木は必ず、助けてやるから」

根元「・・・うん」

「アンケート一位こそ最強ヒロインの代名詞だ！！」



　ウ　オ　オ　オ　オ　オ　オ　オ　オ　オ


　　 　　　　ひと
「まさかこの女が来てくれるとは　根元陽菜！！！」



　ワ　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ッ



根元「・・・・・・・・・・・」ｻﾞ　ｻﾞ　ｻﾞｯ・・・

根元（クロを助ける役は、誰にも譲らないよ）



　ワアアアアアア・・・



（田村さんにもあーちゃんにも、加藤さんにだって）

「冥土の土産にビームとはよく言ったもの！！」

「達人の奥義が　いま実戦でバクハツする！！」

「原幕高吹奏楽部　伊藤光だーっ！！！」




伊藤（・・・・・・・・・・・）ｻﾞ　ｻﾞ　ｻﾞｯ ･･･

伊藤（・・・もう、見にまわってなんかいられない）



・・・　ｻﾞ　ｯ　。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　こと
（いますぐにでも止めさせないと、琴美は・・・・・・）

あいしあ
「　戦　　いたいからここに来た！　キャリア一切不明ッ！！！！」

「原幕のダークホース　二木四季だ！！！」





二木「・・・・・・・・・・・」

二木「・・・・・・・・・・・がんばる」

「お姉ちゃんの前でなら私はいつでも全盛期だ！」

「サイコパス妹　里崎希心　フルネームで登場だ！」





里崎「あの人にあの人。　・・・あの人も、気になる」

里崎「お姉ちゃんの友だちって、どんな人なのかな。　ふふふ・・・」

「学級委員の仕事はどーしたッ」

「初期路線の炎　未だ消えずッ！！」

「叱るもけなすも思いのまま！！　委員長だ！！！」





委員長「荻野先生ったら、また無茶なことを・・・」

委員長「黒木さんもちゃんと断ればいいのに」

「特に理由はない！　聖母が強いのは当たり前！」



　オ　オ　オ　オ　オ　オ



「お母さんにはないしょだ！」

「サンタマリア！　加藤明日香が来てくれたーーーー！」



　ワ　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ッ



加藤「・・・・・・・・・・・」

加藤（黒木さんか、智貴くんを奴隷に、か・・・・・・・・・・・）



　オオオオオオ・・・



加藤（ふたりともってのはダメなのかな？　ふふふふふ）

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｶﾗﾃ
「トップカーストで磨いた実戦恋愛！！」

「原幕高のデンジャラス・ライオン　南小陽だ！！！」





南「・・・あいつになんか興味ないけど、わたし抜きでワイワイやるのは許せない」

南「誰が原幕の主役なのか、思い知らせてやる！」

　ｹﾝｶ
「恋愛だったらこの人を外せない！！」

「超A級レズビアン　田中真子だ！！！」





田中（ゆり、吉田さん。　無理しないでね）

田中（わたしだって、頑張るから。　黒木さんを、絶対助けるから）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｹﾝｶ
「超一流ストーカーの超一流の恋愛だ！」

　うしろ
「背　後に立たれてオドロキやがれッ　内笑美莉だ！」



　ワ　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ッ



「うっちー！　がんばれーーーー！」「あなたがイチバンだよーーー！」

「がん・ばれ・うっちー！　がん・ばれ・うっちー！　がん・ばれ・うっちー！」



内「・・・・・・・・・・・」ﾌﾞﾂ ﾌﾞﾂ ﾌﾞﾂ


（奴隷？　キモイ。　ほんとキモい。　正気じゃない）

（あいつを奴隷になんて　好きなようにできるだなんて）

（あんなこともこんなことも好き放題していいだなんて）


内「キモイキモイキモイキモイキモイ・・・・・・・・・・・」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂﾌﾞﾂﾌﾞﾂ・・・

「陰キャラぼっち漫画はこの女が完成させた！！」

「わたモテの切り札！！　小宮山琴美だ！！！」





小宮山（・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・）

小宮山（大丈夫、私は『仕上がった』）

小宮山（もう、誰にも負けない。　・・・）



（あなたにだって！）　ｷ　ｯ　！






成瀬「・・・こみちゃん・・・」

「原幕の女神が帰ってキタっ」



オ　オ　オ　オ　オ



「どこへ行っていたんだ　会長ッ」
　　　　　　　　　　あなた
「わたしたちは　貴　女　を待っていたッ」



ウ　オ　オ　オ　オ　オ　オ



「原幕高前生徒会長　前チャンピオン！」

「今江恵美の登場だーーーーーーッ！！！！」




ワ　　　ア　　　ア　　　ア　　　ア　　　ッ




今江「みんな、ただいまー！」ﾊﾞｯ！




ウ　オ　オ　オ　オ　ワ　ア　ア　ア　ア　ア　ッ

「会長ッ！　会長ーーーーーッ！」「おかえりなさーーーい！」

「待ってた！　待ってたよおーーーーッ」「待ってたんだあぁァーーーッ！」



今江「ごめんねー！　ありがとーーーっ！！」



「「「「　あ　り　が　と　ォ　ォ　ォ　ォ　ォ　ォ　ッ　！！！！！」」」」



　ウオオオオオオオオオオオオオオオッ



「恵ー美！恵ー美！恵ー美！恵ー美！」

「恵ー美！恵ー美！恵ー美！恵ー美！」



今江「・・・・・・・・・・・」 ｼﾞ ｬ ﾘ

今江（・・・・・・・・・・・荻野先生）

荻野「・・・・・・・・・・・」

今江（あなたはいったい、何をなさろうとしているのですか？）

荻野「・・・・・・・ふふっ」 ﾆ ﾔ ﾘ

今江（智子ちゃん・・・・・・・）



　オオオオオオオオオ・・・