未来「もうビックリですよぉー！ところで今の星梨花の言葉って方言か何かですか？」

星梨花「博多弁だよ！」

未来「博多というと…福岡の言葉？」

星梨花「うん、さっきは『未来ちゃん、この“おっとっと”とってるの？私、これ好きなんだ！』って言ったんだ！」

千早「そして私が『箱崎さんは“おっとっと”が好きなのね！さっき春日さんが食べていたからとってるんじゃないの？』って言ったのよ」

未来「なーんだ、そういうことだったんですね！」

千早「それにしても箱崎さんが博多弁を話すなんて珍しいわね。どうしたの？」

星梨花「今度、ドラマで博多弁を話す人を演じるんです…福岡なんて縁もなければ行ったこともないのにどうしてでしょう？」

千早「中の人の関係かしら？」

星梨花「“中の人”ってなんですか？」

千早「ごめんなさい、ちょっとしたジョークよ」

星梨花「そういえば、こんなことがあったんです！」

未来「どんなこと？」

星梨花「それが先日、事務室でね…」

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ーー
ーーー


-事務所-


星梨花『小鳥さん！あの、お願いがあるんですけど…』

小鳥『星梨花ちゃん、どうしたの？』


ｶﾞﾁｬｯ


伊織『ただいま』

星梨花『ちょっと“おかして”もらっていいですか？』

小鳥『ピヨッ！？』

伊織『はあ！？』

小鳥（◯して…だと？純真無垢で穢れの“け”の字も知らない、あの星梨花ちゃんが！？）

星梨花『あの、ダメ…ですか？』

小鳥『えっと…どこで？』

星梨花『ここです。広いからいいかなって！』

小鳥『それは“広いから邪魔にならない”ってこと？』

星梨花『そうですよ！』

小鳥（この流れはやっぱり……！？いや、ダメよ小鳥！いたいけな少女にそんなコトしたら今に天罰が下るわ！それこそ社会から抹殺されてしまう…。）

小鳥（しかし当の本人がそれを望んでいるんだし…そうよ、これは合法よ！事務員最高！765プロ万歳！！）

小鳥『・・・。』

星梨花『あの、小鳥さん？』

小鳥（暴走モード）
『……ああごめんなさいねちょっと考え事してたのよさあ今から二人でオトナの階段登るわよ』ﾊｱﾊｱ

星梨花『え？…え？』

小鳥（暴走モード）
『初めは痛いと思うけど我慢してね慣れればこっちのものだから』ﾊｱﾊｱ

星梨花『あの小鳥さん、なんで近づいてくるんですか…？』

小鳥（暴走モード）
『ウフフ…。だって“おかして”ほしいんでしょう？だったら近づかないとダメじゃないのグヘヘ』ﾊｱﾊｱ

伊織『ストーーーーーーーーーーップ！！！』

小鳥『ピヨッ！？』ﾋﾞｸｯ

星梨花『い、伊織さん！？』

伊織『はぁ、はぁ、ふぅー…。まずはぁ小鳥！その腐った脳みそ、何とかしなさい！！』

小鳥『心外な！頭は至って正常よ！？』

伊織『卑猥な発言しといてどこが正常なのよ！この変態！ド変態！！変態大人！！！』

小鳥（ありがとうございます！！）

伊織『星梨花も星梨花よ！お…お…◯して……なんて…// アイドル以前に女性として恥ずかしくないの！？』

星梨花『え？方言で“荷物を置かせて”って言ったんですけど…何か変でしたか？』

伊織『方言ですって！？』

星梨花『はい、博多弁では“置かせて”を“置かして”と言うんです！“ここに置かしてもろうてよか？”って感じで！』

伊織『そ、そう…』

小鳥『ん？…ということは星梨花ちゃん、福岡では小さい子も“おかしてー”とか言うの？』

星梨花『育った環境にもよるでしょうけど、使う子もいると思いますよ』

小鳥『福岡…。ああ、なんて素晴らしい場所なの……！？妄想が捗るわあー！』

伊織『アンタは黙ってなさい！』

小鳥『それはさておき、伊織ちゃんは星梨花ちゃんの「おかして」発言でナニを想像したの？』（ゲス顔）

星梨花『私も気になります！』

伊織『そ、それは…その……///』

小鳥『おやおや？顔が赤くなってきましたねえ。いったいナニを想像したのかなー？』（ゲス顔）

星梨花『伊織さん、教えて下さいよ！』ｷﾗｷﾗ

伊織『うるさいうるさいうるさーい！アンタ達には絶対教えないんだからっ！」ｶｵﾏｯｶ

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星梨花「あの時、小鳥さんや伊織さんは何を想像したんでしょう…？未だに不思議です」

千早「箱崎さん、あまり深く考えない方がいいわよ。特に音無さんがその時考えていたっていうのは本当にロクでもないことだから」

星梨花「そうですか…？」

未来「そ、それはともかく！博多弁の意味や使い方についてもっと教えてください！！興味が出てきました！」

千早「分かったわ。じゃあ少しだけ教えてあげる」

星梨花「お願いします！」

千早「そうね…まず博多弁の基本といえば、やはり『～たい』と『～ばい』かしら」

未来「それは聞いたことがあります！たしか語尾につけるんですよね？」

千早「ええ。どちらも標準語の『～だよ』に相当する言葉なのだけど、その定義が難しいのよね」

千早「例えるなら『俺は男たい！』が『俺は男です！』で、『俺は男ばい！』が『俺は男だ！』みたいな感じ？」

千早「うーん……あまり上手く表現できないのだけども、『～ばい』のほうがより強い言い方になるのかしらね」

星梨花「へえ、意外と難しいんですね…！」

千早「微妙な使い分けがね…。使い分けといえば『～らしい』を意味する『～げな』、『～ごたあ』もそうね。だけどこれは簡単よ？」

千早「『～げな』というのは誰かから聞いたこと（伝聞）を、そして『～ごたあ』は自分で見聞きしたこと（様相）を表すときに使うの」

星梨花
「なるほど！つまり『今日は会議があるげなよ』と言ったら“今日は会議だ”と誰かから聞かされたってことで、『今日は会議があるごたあよ』と言ったら“今日は会議だ”という情報をすでに自分で持っていたってことですね！」

千早「その通り！箱崎さんはなかなか賢いわね」

星梨花「えへへ…♪」

未来「むぅー…星梨花だけ褒められるのも不公平です！千早さん、私にも何か問題を出してください！！」

千早「分かったわ、じゃあ次にいきましょう。次は『～している』に相当する『～しよる（しとる）』と『～していた』に相当する『～しよった（しとった）』よ」

千早「まず『～しよる』から。これは現在進行形を表すの」

千早「例えば、私が社長にいま何をしているのか聞かれてそれを博多弁で答えるとするじゃない？」

未来「はい」

千早「この場合は『２人に博多弁ば教えようとです』…と、こうなるのよ」

星梨花「へえー！」

千早「次に『～しよった』。これは過去を表すの」

未来「ふむふむ」

千早「突然ですがここで春日さんに問題です！」

星梨花「本当に“突然”ですね！？」

千早「私が社長にさっきまで何をしていたのか聞かれてそれを博多弁で答える場合、なんと言えばいいでしょうか！？」

未来「千早さんはさっきまで何をしていたんですか？」

千早「レッスンを受けていたわ」

未来「分かった！『レッスンを受けよりました』ですね！？」

千早「惜しい！『レッスンば受けよりました』が正解ね」

未来「ええっ！なんで！？」

千早「まだ言ってなかったけど、博多弁では接続詞の『～を』が『～ば』になるのよ」

未来「そうなんだ…」

千早「だけどほとんど正解みたいなものじゃない！すごかー！！」

星梨花「すごか…。『すごい』って意味ですね！そういえば、たしか福岡にそんな名前のカードがありませんでしたか？」

千早「ええ、“SUGOCA（スゴカ）”。JR九州が発行している交通系ICカードね」

千早「福岡では形容詞の『～い』が『～か』に変わるのよ。辛いは『辛か』、甘いは『甘か』というふうにね」

千早「ただし酸っぱいは例外で、これは『酸（す）いか』になるの。面白いでしょう？」

未来「西瓜？酢イカ？それとも“Suica（スイカ）”！？……関東人が聞いたらどれを指すのかごっちゃになって分からなくなりますね！」

千早「余談だけど福岡にはもう一つ、同じく博多弁が由来の『はやかけん』っていう交通系ICカードがあるの。市営地下鉄を運営する福岡市交通局が発行しているわ」

未来「はやかけん？」

千早「ええ、『はやか』は速い、『けん』は『～だから』という意味で直訳すると『速いから』だけど、福岡市交通局は“速くて優しくて快適な券”が名前の由来だと説明しているわ」

星梨花「優しい？」

千早「人と環境に優しいってことだそうよ」

未来「そう言われると理解できますけど、いきなりだとなんかいまいちピンときませんね」

星梨花「確かにそうだね」

千早「とりあえずはこんなところかしら。箱崎さん、春日さん。どうだった？」

星梨花「ありがとうございます！とっても勉強になりました！」

未来「なかなか面白かったです、ありがとうございました！また教えて下さいねー！」

千早「ありがとう、そう言ってもらえて嬉しいわ。またいつかやるわね！」

星梨花「はい、楽しみにしてます！」


【完】

以上で終わりです。

もとがドラマシアターに投稿したものなのでかなり短かったですがいかがでしたでしょうか？
もし反響があるようでしたら第２弾もやろうかなとも考えています。

ここまでお読み頂きありがとうございました！

読むまでもちょ、じゃなくて星梨花は福岡市出身だと思ってた
箱崎だし

>>18
星梨花自身は東京出身ですね！
ちなみに東京にも「箱崎」という地名があるようです

千早が出てくるのはなぜか72キロポストがある千早駅のせいか

>>20
福岡県内の地名およびJRの駅名繋がりでこの３人を選定しました

未来→福岡県春日市（春日駅）
星梨花→福岡市東区箱崎（箱崎駅）
千早→福岡市東区千早（千早駅）

ちなみに３駅とも鹿児島本線にある駅です