四島列島のスカイウォーカー鎮守府 (40)
あおかなの続編が絶望的だということで心を落ち着かせるために建てました
艦これなのは1の趣味です
~四島鎮守府、執務室~
矢矧「…はい、この書類で終わりね。提督、本日の業務お疲れ様」
提督「ああ、お疲れ様。矢矧ももう上がっていいぞ」
提督(深海棲艦との和平も結んで、仕事が減ったおかげでだいぶ時間が余るようになったな)
提督(そうだ、深海棲艦が発生して以来海が封鎖されたせいでもう長いことアレを触ってないな…今日の業務も終わったことだし数年ぶりに楽しもうかな)
矢矧「そうさせてもらうわ。そうだ、ちょうどいい時間だしよかったら間宮に行かない?」
提督「いや、今日は遠慮しておくよ。ちょっとやりたいことがあってな、この後工廠に行くんだ」
矢矧「工廠に?開発でもするの?」
提督「ちょっと昔の趣味の道具を手入れしようと思ってな」
矢矧「仕事人間のあの提督が趣味?…ちょっと興味あるわね、ついて行ってもいいかしら?」
提督「失礼なやつだな…付いてくるのは構わんが、退屈かもしれないぞ」
矢矧「構わないわ。どうせこの後用事もないもの」
提督「わかった。俺は部屋に戻って道具を取ってから行くから15分後ぐらいに工廠で落ち合おう」
矢矧「わかったわ。それじゃ後でね」
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~提督私室~
提督「さて、俺のグラシュはどこにしまったんだっけか…お、あったあった俺の相棒」
提督(そういえば艦娘は深海棲艦よりも遅れて現れたからFCを知らないのか?和平が結ばれるまではまともな娯楽を楽しむ時間もなかったしな)
提督(この時間ならまだ明石も工廠にいるよな)
提督「ふむ…一応予備と昔に使ってたやつも持っていくか」
~工廠~
矢矧(さて、そろそろ提督も来ると思うけど…提督の趣味ってなんなのかしら?戦争中は艦娘達の相手や読書と音楽を聴いている姿ぐらいしか見たことがないけれど)
明石「あれ、矢矧さん?艤装の調整ですか?」
矢矧「こんにちは、明石さん。実は…(事情を説明)」
明石「へ~、あの提督の趣味ですか。それは確かに気になりますね」
矢矧「でしょう?だから私も間宮よりもこっちを選んだんです」
提督「すまない、待たせたな。明石、少しスペースを借りるぞ」
明石「今日の仕事は遠征中の子達の艤装の調整だけだから好きに使ってください。それよりも提督、私もここで見ていってもいいですか?」
提督「ああ、もちろん。それじゃさっそく始めるかな」ゴソゴソ
明石(機械の靴?一体どんな機能が付いてるのかしら)
矢矧「提督、それは何?」
提督「やっぱり知らなかったか。これはアンチグラビトンシューズ、通称グラシュだ」
明石(アンチグラビトン…反重力?もしかして…いや、そんなまさか)
提督「十数年前、インドの大型ハドロン衝突型加速器による実験でとある粒子が発見された。その粒子は重力に反発する力を持っていて、このアンチグラビトンの発見によってとある画期的な靴が発明されたんだ。」カチャカチャ
矢矧「それがそのグラシュ?っていう靴のこと?」
明石「やっぱり…。提督!もしかしてそのグラシュの機能って…!」
提督「さすがに鋭いな。そう、このグラシュを履くことによって人類は空を飛ぶことが可能になったんだ」ピッピッ
矢矧「はぁ!?いやいや、いくらその粒子が重力に反発する力を持ってるからってさすがに人が空を飛べるわけないでしょう?少し浮くぐらいが限界なんじゃないの?ねえ明石さん?…明石さん?」
明石「反重力…足に発生させるだけじゃ危険すぎる…いえ、体全体をその粒子の膜で覆えば…?でもそれじゃ浮くだけが限界…そうか、重力と反重力を繰り返しで使えばもしかして…」ブツブツ
提督「論より証拠ってな、ちょうど調整も終わったし実際に見せてやるよ。工廠の裏に出よう、明石も行くぞー」
~工廠裏)~
提督「さてと、それじゃあ早速飛んで見せようか。矢矧、よかったら一緒に飛ぶか?」
矢矧「え、遠慮しておくわ。正直、人が空を飛ぶなんてまだ信じられないし、一緒に飛んでもし落ちたりしたらなんて考えると怖いわ」
提督「そうか、残念だな…まあ俺も久しぶりに飛ぶしまずは1人で感覚を思い出すとするかな」
そういって提督は私たちから10Mほど離れると深呼吸を行った。
提督「スゥー...ハァー...(長いこと放っておいてすまなかったな、俺の相棒、蒼燕) よし、行くぞ!」
そして、提督は戦争中には見せることのなかったおもちゃを買ってもらったばかりの少年のような笑顔で「フライ!!!」と叫んだ。
その直後、提督の装着した蒼色のグラシュから綺麗な羽が現れ、提督はまるで1羽の燕のごとく空へ飛び立った。そして、そのまま提督は時折戦闘機の回避運動のようなものも交えながら空を自由に飛び回り始めた。
矢矧「嘘…」
明石「やっぱり!すごい!本当に飛んでる!うわあ、どんなシステムなんだろう、気になるなー!」
提督(ははは、久しぶりだったけど上手く飛べたな。しばらく離れていても体は覚えてくれていたか。…それにしても、ああ、楽しい。楽しいなあ。そうだ、深海棲艦が現れるまで空はこんなにも広くて、自由で、美しかったんだ。俺達は、この空を取り戻せたんだ。今、ようやく実感が沸いた)
提督(8の字、急速上昇、急速旋回…昔のまま動けるな。しかし、もう少し飛ばしたいな)
矢矧(本当に飛んでる…いえ、まるで空を泳ぐ魚のようだわ。それに、とても楽しそう。あの靴を履けば私もあんな風に飛べるのかしら)ドキドキ
提督「矢矧―!明石―!少し辺りを飛んでくる!悪いが20分ぐらい待っててくれ!」
矢矧「え!?ちょっと提督!?…行っちゃった」
本当に人が飛んだという事実と、あまりにも楽しそうに空を飛ぶ提督の姿を見て、茫然としているうちに提督は行ってしまった。
さっきから興奮しっぱなしの明石さんと、私の胸の高揚を残して。
~鎮守府近海~
三日月「皆さん、もう少しで帰投です。気を抜かずに行きましょう」
睦月「三日月は平和になっても堅いにゃしい。もう和平を結んだんだからそこまで気を張らなくても大丈夫だよ」
弥生「睦月…油断して私たちが傷ついたら司令官も傷t…!」ヒュン!
望月「敵艦載機…ではないな。なんかものすごい速さで何か飛んでいったね」
文月「司令官の服っぽかったような気がするよー」
如月「でもさすがに司令官が空を飛ぶわけはないわよねえ」
~弓道場~
加賀「……ッ!……ふぅ」
飛龍「お見事です、加賀さん!流石ですね!」
蒼龍「次は私だね!よ-し…!?」ヒュン!
赤城「今…提督が空をものすごい速さで飛んでいたような…」
加賀・赤城・飛龍・蒼龍「…ないない」
その後、鎮守府では少しの間空を飛ぶ不審者のうわさが流れたという。
提督(楽しすぎてついうっかり近海まで出てしまったな、それにもう20分以上経ってる。もっと飛びたかったがあまり待たせるわけにもいかないし、戻るか)
矢矧「ふーん、FC(フライングサーカス)ね…」
提督が行ってから、グラシュについて調べていると、深海棲艦が現れる前、ここ四島列島ではグラシュを用いたスポーツが盛んだったらしい。動画を見ていると、競技用の衣装らしい服に身を包んだ人たちが激しい空中戦を繰り広げていた。
矢矧「…」ウズウズ
二水戦の旗艦として、仲間たち(主に神通)と戦果を競い、互いを高め合いながら深海棲艦との戦争を駆けた。そして、戦争は終わった。もう鬼や姫といった深海棲艦と争うこともなく、和平の意味さえ理解できない知能の低い個体に備えるだけの日々がやってきた。しかし、軍艦としての本能が戦いを求めている。体が戦いに飢えている。演習だけではこの欲求は満たされない。
提督が戻ってきたのは30分ほど経った頃だった。すまないと遅くなったことを詫びながら歩いてくる提督に、私は詰め寄り―――
「提督!私もグラシュ欲しい!」
と告げるのだった。
需要があれば続けます。続きは書くならリクエスト受けたりして各艦娘のグラシュを創作入れながら独断と偏見で決めてどんなスタイルのスカイウォーカーなのかとかを書いていくつもりです
グラシュ(アンチグラビトンシューズ)
重力に反発する反重力粒子の発見によって開発された夢の空飛ぶ靴。起動キー(例:「飛ぶにゃん」「いくにゃん」「我が翼に蒼の祝福を」)を呼ぶことでメンブレンと呼ばれる反重力粒子の膜で前進が覆われ、空中に浮くことができる。空中を移動する原理はメンブレンを濃くしたり薄くすることで重力と反重力の繰り返しを行って進む(リニアモーターカーに近い)。反重力粒子は物も浮かせられるが300㎏が限界であり、反重力粒子同士で反発しあうので多人数が同時に飛ぶのも無理。ただし、起動前に手をつないでから起動させると二人一緒にメンブレンで包まれ、浮くことが可能であり、これをペアリングという。
FC(フライングサーカス)
深海棲艦発生前に行われていた、グラシュを用いた新興スポーツ。専用のグラシュを用いて、海上に設置された四つのブイ(一辺300m)に沿って時計回りに回りながら、ブイにタッチするか相手の背中にタッチしてポイントを稼ぎ、制限時間内に獲得したポイントが多かった方が勝ち。ブイに触らなければ次の直線にショートカットすることもできるが、その場合は相手と接触もしくは交差しないと次のブイにタッチできない。
スカイウォーカー
FCの選手の総称。スタイルによってタイプが分かれる。
・スピーダー…その名の通りスピードに特化した選手で、主にブイへのタッチでポイントを稼ぐ。
・ファイター…短距離での小刻みな動きを得意とし、主にドッグファイト(空中での背中の取り合い)による背中へのタッチでポイントを稼ぐ。
・オールラウンダー…ファイターとスピーダーの中間。状況に応じた対応が可能。
提督「以上が大まかな説明になる、大体のことは頭に入ったか?」
矢矧「ええ、たぶん大丈夫よ。」
提督「よし、じゃあ細かいところは実戦形式で教えていこうか。まずは俺の予備を貸すから海岸で実際に体験してみよう」
矢矧「やった!早く行きましょう提督!」ピューン
提督「はは、矢矧にも意外と子供っぽいところがあったんだな。…けど、俺の趣味にあんなにも興味を持ってもらえるのは嬉しいな」
明石「提督―。私は放置ですか?」
提督「明石も飛びたいのか?グラシュならまだ予備があるが」
明石「いえ、どちらかというとそのグラシュそのものに興味がありますね。必ず元通りにするので一度バラして調べさせてもらえませんか?」
提督「少し不安だが、明石なら大丈夫か。じゃあこれを貸してやろう。気が済むまで調べていいぞ」
明石「やった!ありがとうございます!じゃあ私も早速調べてくるのでこれで失礼します!」
提督「やっぱりあいつは根っからの技術屋だったな。それに、もしかしたら明石なら…っと、そろそろ行かないと怒られるな」
中途半端な知識だけど、確か女の子達が空飛んで
競い合うスポーツ作品でアニメだと群象の中の人も出てた奴だったかな?
ちょっとしか知らないけど評判メチャ良かった記憶有るのに続編出ないのか
矢矧「あ、やっと来た!遅いわよ提督」
提督「悪い悪い。さて、それじゃさっそく飛んでみようか。といってもまずは浮くところからだな。今日は俺の予備を貸すからまずはグラシュを履いてくれ」
矢矧「かっこいいわね、これが競技用のグラシュ?あなたの今履いている青いのは反対の赤色ベースなのね」
提督「俺が学生の頃使っていた紅燕だ。初期のグラシュの飛燕シリーズのハイエンドモデルで、旧シリーズだが高性能だから今でも愛好者は多いぞ」
矢矧「いいわね、これ。うん、すごく気に入ったわ!」
提督「このよさがわかるか、さすがは矢矧だ。それじゃ次に矢矧の声で音声認識を登録しなおしてと…矢矧、俺がこのボタンを押したら「あーー」と発生してくれ」ピッピッ
矢矧「あーーーー「よし、もういいぞ」 これで終わり?」
提督「ああ、それじゃまずは両足を前後に緩く開いてくれ」
矢矧「ええ」
提督「次に、かかとを軽く浮かせる」
矢矧「こうかしら?」
提督「そうそう。それじゃ心の準備ができたらFLYと言ってくれ、それで起動するから」
矢矧「ようやくね。スゥー…ハァー…。阿賀野型軽巡三番艦矢矧、抜錨する!FLY!」
>>10
続編の発表はされてたんですが制作チームが活動休止・解散になって流れてしまいましたね。アニメもスポ根物で原作と違った毛色ながらも面白かっただけに残念です。
矢矧「わわっ、わあああっ!!!」
高く浮かび上がった矢矧の身体に、風が柔らかく振れて、左右に割れていく。
矢矧「飛んでる、私本当に飛んでるわ!すごい!ってうわわっ!バランスが…!落ちる、落ちる!!」
矢矧は興奮のあまりバランスを崩し、そのまま仰向けになり、お尻からゆっくり落ちた。
矢矧「落ち……って、あら?」
提督「いつの間にか地面に降りてたろ?これもグラシュの機能の一つだ。ほら、手」スッ
矢矧「安全もちゃんと考えられているのね。…ありがとう」
提督「実際に飛んでみて、どうだった?」
矢矧「すごかったわ!いつも海では見上げるだけだった空を、私が飛ぶなんて、信じられない気持ちだったわ!でも、つい興奮しちゃって、すぐにバランスを崩して落ちちゃうなんて、二水戦旗艦の名が泣くわね。次はもっと上手に飛んでみせるわ」
提督「はは、俺も初めて飛んだ時は同じようなもんだったよ」
提督(懐かしい光景だな。初めて空を飛んだ時の感動、もっと高く、上手く飛びたいという気持ち。ああ、やっぱり空はいいよな)
提督「それじゃあ、もう日も落ちたことだし今日はここまでにしよう。続きは明日の仕事が終わってからな」
矢矧「1回しか飛んでないしすぐに落ちたしでなんだか消化不良ね…。でも仕方がないか。提督、明日の仕事は頑張って午前中で終わらせましょう!」
提督「はは、それは矢矧しだいだな。…そうだ、それと矢矧、グラシュのことはまだ他の皆には教えないようにしておいてくれ。もし他の子たちも興味を持ってしまったら大変なことになるだろうからな、俺が」
矢矧「ふふ、そうね。たぶん皆興味を持つと思うわよ。平和になってから皆娯楽に飢えてるしね。特に島風なんかはあのスピードを見たら絶対押しかけてくるわね」
提督「四島はなんにも無いからなあ…唯一福留島にショッピングモールがあるくらいか」
矢矧「しかも最近まで戦争中だったしね。とにかく、グラシュのことはまだ秘密にしておけばいいのね、了解したわ。そうだ、せっかくだし一緒にご飯でもどう?」
提督「そうだな、素敵な女性からのお誘いを断るのも失礼だし、ご相伴に預からせてもらおうか。」
矢矧「あら、褒めても何も出ないわよ。お腹空いたし手っ取り早く済ませたいわね」
提督「それならいいうどん屋を知ってるぞ、そこに行かないか?」
矢矧「いいわね、それじゃあ道案内お願いね、提督?」
提督「ああ、行こうか」
~艦娘寮・阿賀野型の部屋~
矢矧「ただいま」
酒匂「ぴゃん♪矢矧ちゃんおかえり!」
能代「おかえり矢矧、遅かったわね」
阿賀野「提督さんとデートでもしてきたんじゃないの~?我が妹ながらやるなぁ~、このこの!」
矢矧「執務が思ったよりも長引いてね、いい時間だったから一緒にうどん食べてきただけよ。今日は疲れたからもう寝るわね、おやすみなさい」~♪
阿賀野「や、矢矧がご機嫌だなんて…おそろしい」
矢矧「失礼ね…提督に連れて行ってもらった飛魚だしのうどんがとてもおいしかったのよ、とにかく今日はもう寝るから」
能代(これはなにかあったわね…でも阿賀野姉に知られたらめんどくさくなりそうだし黙っていてあげよう)
提督「うん、大分動けるようになってきたな。数時間でこんなに上達するとは思ってなかった、流石矢矧だな」
矢矧「提督の教え方がいいのよ。それに、早くFCをやってみたいからね、根性よ根性」
提督「それじゃあ次はFCに必要な基本的な技を教えていこうか。まずはローヨーヨーだな、艦種は違うが艦娘なら大体わかるんじゃないか?」
矢矧「戦闘機の空中機動のことよね。あれをグラシュを使って人でやるってこと?ということはハイヨーヨーもあるのかしら?」
ローヨーヨー
・降下することで重力を使って加速し、その速度を使って再び上昇する。ざっくりいうとゆるいV字の機動。
ハイヨーヨー
・余った速度を上昇することで高度に変換していったん速度を落とし、そこから降下して再び速度を得る。ざっくりいうとゆるい逆V字の機動。
提督「理解が速くて助かる。とはいっても実際にやるのは意外と難しいから今日はこれをできるようになるまでひたすら繰り返すぞ」
矢矧「わかったわ、燃えてきたわね!」
~次の日~
提督「今日はシザーズを教える。昨日教えたハイヨーヨーとローヨーヨーとシザーズ、この3つを覚えればとりあえずFCはできる。本当はもっとテクニックがあるんだけどな、まずは1回FCをやってみたいだろ?」
矢矧「ええ。シザーズは左右に不規則に繰り返す機動よね?FCではどういった場面で使うの?」
提督「FCでは試合開始直後のファーストブイからセカンドブイまでは接触禁止の純粋なスピード勝負なんだ。で、大体は片方の選手が勝てないと判断するとショートカットしてセカンドブイとサードブイの間で相手を待ち構える。ショートカットしたら相手に接触するか交差しないと次のブイにタッチできないからな、ここまではいいか?」
矢矧「ええ」
提督「するとファーストラインを取った選手は待ち構える選手に向かって飛ぶことになる。そのまままっすぐぶつかると互いに反発してせっかく上げたスピードを殺されて、しかも弾かれるからセカンドブイまでの距離も空く。それではまずいからシザーズなどのフェイントを使って相手をすり抜けるんだ」
矢矧「なるほど…でもすり抜けなくてもそこからドッグファイトにいってもいいのよね?」
提督「ああ。ファイター同士の試合だとそのまま試合終了までドッグファイトをすることも珍しくない。バチバチして派手だから観客も盛り上がるしな。でもさっきも言ったように基礎中の基礎だから使う使わないは別にしてもできるようにはなっておいた方がいいぞ」
矢矧「わかったわ、相手役をお願いできる?」
提督「ああ。満足するまで付き合うぞ」
~1週間後~
矢矧(あれから教えてもらったの以外にもいろいろ調べて必死に練習してかなりスムーズに動けるようになった。そして今日、ようやく試合ができる!執務も前倒しして今日はなし!楽しみだわ!)~♪
?葉「最近ご機嫌すぎて気味が悪いと噂の矢矧さん!皆気になっているみたいですし今日は密着取材しちゃいます!」コソコソ
矢矧「提督、おまたせ!さあ、さっそく試合しましょ!」
青?(ふむふむ、向かったのは海岸ですか。おや、司令官もいますね。それになんだかメカメカしい靴を履いています!)
提督「来たか。まあまずはグラシュを履くところからだろ?ほら、紅燕」
矢矧「ありがとう。ねえ提督、いつまでも提督のグラシュを借りるのも悪いしそろそろ私もグラシュを買いたいわ」
提督「それは試合次第だな。競技用のグラシュはそれぞれ性能が違うからまずはオールラウンダー向けの紅燕を使ってどのスタイルが自分に向いてるかを考えたほうがいいぞ」
矢矧「あら、そうなの?」
提督「任せておけ。それじゃあ早速始めようか。念願の初FCだ」
矢矧「ええ、負けないわよ!」
青葉「(グラシュ?FC?何の話でしょうか?)――「FLY!」…ほぇ?」
青葉「………ファッ!?お、お二人がと、と、と、飛んでるぅぅぅぅぅぅ!?」
青葉(こ、これは大事件です!早く皆さんに知らせないと!青葉、抜錨します!)ダッシュ!
矢矧「?誰かの声が聞こえたような…」←上昇中でよく聞こえなかった
提督「気のせいじゃないか?(衣笠か青葉だろうな…そろそろバレるとは思っていたからな。明石にアレを頼んでおいてよかった)」
提督「始める前に今回のルールを確認しておこう。制限時間は10分、今回は5分で休憩をはさむ。それと俺が使うのはローヨーヨーとシザーズだけだ」
矢矧「むっ…ずいぶんと余裕じゃない。他の技も使えるんでしょ?初心者の私には全力を出すまでもないってことかしら?」
提督「俺だけ技をいっぱい使うのはフェアじゃないだろ?そういうことだ。点差が開きすぎても面白くないだろう?」
矢矧「あなたが挑発するなんて珍しい、よっぽど自信があるみたいね。いいわ、その余裕、すぐになくしてあげる!」
提督「そういうお前こそグラシュ履いて1週間なのにずいぶんと大口をたたくじゃないか。まさか初めてのFCの試合で俺に勝とうなんて思ってないよな?」
提督・矢矧「……」
提督・矢矧「…ふふっ」
提督「駄目だな、俺もひさびさのFC でテンションが変になってるみたいだ」
矢矧「そうね、あなたのそんな嬉しそうな顔、戦争中に見たことないもの」
提督「戦争中は必死だったからな。そうだ、本来は試合の時にはセコンドが付くんだが、今回は皆に内緒にしてるからなしだ」
矢矧「セコンドってなにをするの?」
提督「FCはとにかく高速で動き回るから相手の姿を見失うことも多いんだ。そういうときにセコンドがインカムを使って選手の位置を教えたりする。あとはセコンドが戦術を担当することもある」
矢矧「なるほどね、他にはないかしら?」
提督「ああ、それじゃあ始めよう、スタートの合図はタイマーでいくぞ。1分後にスタートだ、スタートの仕方はわかるな?」
矢矧「ええ!ビデオで確認したわ、ワクワクしてきたわね」
両者は、足を開いて体を前傾に倒した状態で開始の時を待つ。
提督(さて、1週間でどこまで上達した?我が鎮守府トップクラスの軽巡洋艦・矢矧よ)
提督(せめていい勝負ができるくらいにはうまくなっててくれよ? にしても、久しぶりに見たけどこのスタートの体勢ってお尻を突き出す形になるからスタイルのいい女性がやるとものすごくエロいよな…っと、集中集中、まずは様子見だ)
提督は意外とむっつりだった。
矢矧(さっきの挑発、言い方こそ軽かったけどおそらく提督の本心のはず。たった1週間の素人に負けるはずがないと。そう思うのも当然なこと…だけど。だからこそ、提督の鼻を明かしてやりたい。勝つことまでは難しくても、せめて全力を引き出して見せる。――なにより、手を抜かれるなんて、この矢矧のプライドが許さない!)
提督「ああ、そうだ。さっきの手加減の話だが、本気を出してほしければ出させてみせろ。俺が本気でやりたくなるようなFCを見せてくれ」
矢矧「――上等!」
再び静寂が訪れる。まだ鳴らない。
もう3分は経ったように感じられる。それほどまでに2人は集中していた。
そして、2羽の燕が2人の前を横切った時、2人だけの戦いが始まった。
「「―ッ!」」
飛び出したのは2人同時。提督がそのまま直進するのに対し、矢矧はローヨーヨーで加速し、セカンドブイに向かう。
提督(いい反応だ、それにローヨーヨーでの加速もスムーズだ)
提督はセカンドラインへショートカット、そのまま矢矧がセカンドブイにタッチして1点を獲得、タッチの反動を利用してさらに加速する。
提督 0-1 矢矧
提督(まずは頭を押さえるか)
矢矧「……」
矢矧が緩やかに上昇し、それにあわせて提督も上昇。
矢矧「……」スッ
提督(右か?)グッ
提督が矢矧の動きに合わせて前傾して加速した瞬間、「―ふっ!」矢矧は体をひねって左下に旋回、提督は完全に逆方向へと飛行することになった。
提督「へえ、やるじゃないか!」
提督(これなら少し本気でやってもいいかもな、だったらここはショートカットせずに―)
提督はすぐさま体をひねって後を追うが―
矢矧「もらったわ!」
矢矧がサードブイにタッチ、それから数秒遅れて提督がサードブイにタッチする。
提督 0―2 矢矧
矢矧(ショートカットせずに追ってきた?何かの作戦?でも速度は私の方が上。このまま3点目も取れる!)
提督(とでも考えていたんだろう?でも残念だったな、矢矧。俺と初心者のお前じゃ、飛ぶ際に決定的な違いが一つあるんだ)
提督「――行くぞ!」ギュン!
矢矧「なっ!?」
(抜かれた!?どうやって!?提督は基本的な技術しか使わないはず!まさか本気を出してきた!?)
矢矧はそのまますぐさま提督の後を追う。
矢矧「手加減はもう終わったのかしら!?」
提督「―何か勘違いしているようだが、俺がさっき使ったのはただのローヨーヨーだ。ヒントをやると、お前が俺に抜かれたのは、俺とお前の間にFCをやる上で決定的な違いがあるからだ」
矢矧(どういうこと?私と提督の違い…経験?技術?違う、おそらく提督が言っているのはもっと根本的なものだわ。――ダメだわ、考えてもわからない)
矢矧はフォースラインにショートカットし、提督はそのままフォースブイにタッチ。
提督 1-2 矢矧
矢矧「考えてもわからないなら、見る!」バッ
矢矧は提督の正面に構え、頭を押さえようとする。
提督「甘い!」ヒュン!
矢矧「くっ、しまった!――いない!?」
提督は大きくシザーズを行い、矢矧に近づいたところで左へフェイント。矢矧が一瞬釣られてすぐさま体勢を立て直すが、提督はすでにそこにいなかった。
矢矧「上か!」
提督「当たりだ!次のブイももらった!」
提督は一瞬の隙をついて矢矧の真上に上昇、矢矧が気付いた時には加速を始めていた。
矢矧(同じところから加速するなら重力のある提督の方が速い!追いつけない!)
「くっ」
矢矧はファーストラインにショートカット、提督はファーストブイにタッチし、ローヨーヨーで加速。
提督 3-2 矢矧
矢矧(よく見るんだ!やってることは同じ、だったらなんで差が付く?何が違う?このラインは捨てて見極める!)
矢矧は提督よりも上に位置取り、自分を追い越した瞬間に重力を使って加速。提督に張り付いて飛行する。
矢矧(ローヨーヨー、私よりもキレがいいだけじゃない、綺麗だわ。それに、提督が私の前で初めて飛んだ時も――そうか!)
提督(このラインは捨てて俺を観察するつもりか。悪くない判断だが、近づきすぎだ。1つ忘れていないか?ポイントを稼ぐのはブイにタッチする以外にもう1つあるんだぞ!)フッ
矢矧(フェイント!しまった、またかかった!提督はどこ!?)
「―くっ!」
提督を見失って止まった矢矧を電撃音とともに衝撃が襲う。
矢矧(背中を取られた!そうだ、背中を取られてもポイントになるんだった!――でも、おかげでわかった!)
提督 4-2 矢矧
ピーーーーッ!!
提督「休憩だな、いったん降りよう」
矢矧「はぁ、はぁ、……ええ、わかったわ」
いったんここまで。試合展開考えるのが思ったより難しい
あと>>26の点数は正しくは3-2ですね、失礼しました
提督「実際にFCをやってみてどうだ?」
矢矧「思ったよりも難しいわね、それに意外と体力を使うわ」
提督「そうだろう?空を飛ぶと体にかなりの負荷がかかるからな。それで、俺とお前の違いは分かったか?」
矢矧「ええ。姿勢ね?」
提督「そうだ。綺麗な飛行姿勢を保ったまま飛ぶのとそうでない場合には速度と体力の消費に大きな違いが出る。それと、矢矧のローヨーヨーだが、下降から上昇への切り替えが半呼吸速いな。だから十分な加速ができていないんだ」
矢矧「なるほど、気を付けるわ」
提督「おし、それじゃあ再開だ」
矢矧「あ、提督。一ついいかしら?」
提督「?」
矢矧「提督がFC初心者の私といい勝負になるように手加減してくれているのはわかるわ。でも残り5分は本気でやってほしいの」
提督「それは…」
矢矧「大丈夫、自信を失ったりしない。むしろワクワクしてるの。こんなにも熱い世界があったんだって。だから私の知らないことをもっと見せて、私の知らない提督を見せて」
提督「…わかった」
矢矧「ありがとう、それじゃ再開しましょ!」
加古「なー青葉―。提督と矢矧さんが空を飛んでたってホントなのか?ちょっと信じられないんだけどー」
不知火「いえ、少し調べてみたらどうも深海棲艦が現れる前には空飛ぶ靴というのは流行ってたみたいです。しかもそれを使ったスポーツまであったとか」
ウォースパイト「FC、ですね。英国では深海棲艦が現れても行われていました。一度競技中に深海棲艦が襲ってきてからは禁止されましたが」
サラトガ「世界中で有名みたいですね、大会まで開かれるみたい」
青葉から報告を受けた鎮守府の艦娘たちは皆して海岸に向かっていた。
阿賀野「にしても全員見に来るなんて暇し過ぎじゃない?」
青葉「皆娯楽に飢えていますからねー、空を飛ぶなんて面白そうなネタがあれば飛んでいくに決まってます!というか部屋でゴロゴロしてた阿賀野さんに言われても…」
叢雲「最近の矢矧の浮かれっぷりはそのせいだったってことね。…あら、ほんとに飛んでる」
艦娘たちが海岸に到着したころ、提督と矢矧の全力のぶつかり合いが始まろうとしていた。
提督「もう一度ファーストブイからのスタートだ。30秒後にスタートするぞ」
矢矧「ええ、いつでもいけるわ!」
緊張が二人を包む。先ほどとは違う、本気の勝負。しかし、どちらも少年のように目を輝かせている。
提督(…お、やっぱり皆来たか。何人がFCに魅せられるかね?それは俺たち次第か、FCがなぜサーカスと呼ばれるかを見せてやるとしよう)
矢矧(あれ、もうバレちゃったのね。もう少し二人だけの秘密にしていたかったんだけど。でも、今だけは提督と私の二人だけの世界を楽しませてもらうわ)
そして、後半戦が始まった。
両者、先ほどと同じように飛び出した。先ほどと同じように、提督は直進し、矢矧はローヨーヨーで加速する。
矢矧(このままセカンドブイはもらう!)
提督(さて、矢矧。お望み通り本気で行くぞ)
直後、提督が急加速し、一瞬にして矢矧を追い越した。
矢矧(嘘!?急に加速した?これが提督の本気ってことね。燃えてきたわ!)
提督はセカンドブイにタッチし、矢矧はセカンドラインにショートカット。
提督 4-2 矢矧
矢矧(動き方は大体わかってきた。ここは止めてみせる!)
矢矧に接近してきた提督はシザーズ、左右への蛇行を入れる。対して矢矧は左右に視線をやりながらもフェイントに警戒して待ち構える。
矢矧「ここっ!」
提督「うおっと!?」
矢矧が進んでくる提督の頭を押さえかけた。寸前で提督は急上昇してかわしたが、蛇行と急上昇でスピードが落ちる。
すかさず矢矧が提督を追う。
提督(まさか押さえられかけるとは…手を抜いたつもりはないんだが)
矢矧「背中、貰ったわ!」
提督「させるか!」ギュンッ!
矢矧「くっ!またあの急加速!」
矢矧は追うのを諦め、サードラインへショートカット。提督は加速した勢いのままサードブイへタッチ。
提督 5-2 矢矧
矢矧(次はギリギリまで見極める!)
さきほどと同じく、まっすぐに突っ込んでくる提督。違ったのはシザーズを入れずに加速してくること。
矢矧(スピードで振り切るつもりね…させないわよ)
提督「……」
提督はフェイントを入れるが、矢矧は反応しない。
提督(反応しないか、だったら―)
提督は左に旋回、即座に矢矧が反応する。
矢矧「押さえるわ!」
提督「悪いな」
矢矧「嘘ッ!?」
提督は両手両足を広げハイヨーヨー、急上昇した。急激に減速し、矢矧は提督の目の前に背中をさらす形で通過する。
矢矧(背中を取られるっ!)
提督「全力で行くぞっ!」
矢矧「なんのっ!」
提督「なっ!?」
矢矧は両手両足を縮め―
提督「まさか―」
矢矧「はぁっ!」ギュンッ!
空を蹴るかの如く逆方向へと高速で飛行した。
提督(エアキックターンだと!?)
「くっ」スカッ
矢矧の背中をとらえようとする提督の手は空を切った。空振りした提督は矢矧の横を通って前へ流れる。すかさず矢矧は加速し、
矢矧「そこよっ!」
提督の背中に触れた。
提督 5-3 矢矧
提督(初心者の矢矧がエアキックターンなんて大技を使うとは…!)
矢矧(やった!全力の提督からポイントを取った!)
ビデオで一目見てその技に魅せられ、ここ数日ずっと練習した技。練習では成功しなかったが、この土壇場で矢矧は成功させたのだった。
武蔵「…なんだ、あの熱い戦いは」
神通「ええ、本当に。見れば提督は経験がある様子ですが、矢矧さんもよく食らいついています。…私も体が火照ってきてしまいました」
伊勢「おー、すごいね、日向。人があんなに自由に空を飛んでるよ」
日向「ああ、瑞雲だな」
能代「矢矧―!頑張りなさい!」
加古「へぇ、寝てるよりも面白そうじゃん」
島風「提督も矢矧もはっやーい!私も飛びたいなー!」
球磨「球磨の闘争本能がうずくクマ」
2人の戦いは見物していた艦娘たちの心に火をつけていた。このあと艦娘たちはこぞって提督のもとへ押し寄せグラシュをねだるという修羅場が発生するのだが、試合に熱中している提督はまだそのことを知らない。
提督(やるじゃないか、矢矧。だが惜しかったな)
提督はタッチの反動を利用してファーストブイに向かう。
矢矧「逃がさないわよ!」
矢矧は再びエアキックターンでを使ってタッチの反動で後方へ下がった提督を追う。そして、追いついた矢矧が提督の背中に触れようとした瞬間―
提督「……」フッ
矢矧「えっ?」
―提督の姿が消えた。
矢矧(嘘!?提督は!?私の手の先に、提督の背中があったはずなのに!)
提督「……」
提督は海上付近で、垂直状態で飛行していた。前傾姿勢での飛行から、体を起こして急ブレーキをかけたのである。
矢矧(なんであんなところに?だったらこのままブイを狙う!)
矢矧が提督に背を向け、加速するために前傾姿勢を取った瞬間、
提督(背中ががら空きだぞ!)
急ブレーキをかけたはずの提督が、一瞬にしてその距離を縮め、
提督「お望みの全力だぞ」
矢矧「えっ?―きゃあっ!」
矢矧の背中にタッチをしていた。
矢矧は斜め下へ倒れるようにバランスを崩す。
提督 6-3 矢矧
提督(コブラを見るのは初めてか?でも、ここからだぞ!)
コブラ…飛行中に両手を広げながら身を起こしてブレーキをかけた後に、すぐに飛行体制に戻して加速する。首を広げて威嚇するコブラの姿勢に似て入ることから名づけられた。
提督は加速して矢矧を追撃、さらに背中にタッチ。
提督 7-3 矢矧
加古「しかし提督も大人げないな~。矢矧さん初心者なんだろ?本気出しちゃって」
阿賀野「矢矧がお願いしたんじゃない?あの子手を抜かれるの嫌うし」
能代「それで提督も応えたと。じゃなきゃ提督が初心者に全力を出すわけもないわね」
酒匂「うんうん♪それに二人ともとっても楽しそう♪」
五十鈴「確かに笑ってるわね。あんなに激しい試合なのに」
神通「……」ウズウズ
提督「もう1点!」
矢矧「この…!調子に乗らないでっ!」
矢矧はタッチされた反動を利用してエアキックターン。さらに追加点を狙うために下降してきた提督と激しく衝突した。
矢矧「まだまだ!」
衝突で弾けた反動を利用してさらにエアキックターン。衝突の反動で体勢を崩した提督の迫る。そして矢矧の伸ばした手が――
提督「何っ!?」
提督の背に触れる。
提督 7-4 矢矧
サラトガ「Great!1点返しました!」
ウォースパイト「いえ、まだです」
矢矧「―もう、1点!」
さらに反動を利用したエアキックターン。またも提督の背に触れる。
提督「くっ!」
矢矧「まだ行くわよ!」
4回目のエアキックターン。しかし、その手は提督には届かなかった。
提督(エアキックターンは体を丸めてメンブレンの移動を一瞬で変えて急速ターンする技。振り子が摩擦や空気抵抗で制止するのと同じで、方向を変えるごとにスピードは落ちる。見事だったが、繰り返し過ぎたな!)
提督は連続エアキックターンで減速した矢矧の背に素早く回り、その背中にタッチ。
提督 8-4 矢矧
矢矧「くっ、まだまだ!」
―そして、試合終了の合図が鳴った。
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