武内P「346ドームより、まりなーず対しゅがはーずの一戦をお送りしております」 (32)

武内P「実況は私、武内。解説は闘将高垣でお馴染み、高垣楓さんです」

楓「好きな言葉はビールかけです」

武内P「現在、7回が終わって依然両チーム無得点です。高峰、ヘレン両先発の壮絶な投手戦が繰り広げられています」

楓「世界レベルですね。メジャーでも通用しそう」

武内P「この熱戦の行方は果たしてどうなるのか、勝負は8回に突入します」

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武内P「8回表、しゅがはーずの攻撃です」

楓(好きな飲み物はお酒です)ゴクゴク

武内P「この回先頭の前川選手ですが……これまでの3打席、いずれもデッドボールを受けています」

楓「かわいそう」

武内P「1人の選手が1試合で受けたデッドボールの記録は、らいおんずのタケノウチ選手とたいがーすのセキモト選手の3ですので、すでにトップタイを記録しています」

楓「記録更新に期待が膨らみますね」

武内P「……前川選手、心なしか震えているようです」

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武内P「ボール! ボールです! スリーボールノーストライク! 高峯投手、前川選手相手にストライクが入りません!」

楓「のあちゃん、みくちゃんと相性悪いですよね」

武内P「そうですね……高垣さんの仰る通り、この2人は通算で13打席の対戦があり、デッドボールが13という結果です」

楓「不吉ですね」

武内P「ある意味前川選手キラーの高峰投手ですが……ここからカウントを整えられるでしょうか」

マウンド上



麻理菜(サード)「大丈夫? 今度ぶつけたら流石に乱闘になるわよ」

のあ「え、ええ……問題ないわ……多分」

拓海(ファースト)「その時はアタシの出番だな」

のあ「……心強いわ」

アナスタシタ(セカンド)「ノア……ミクの時だけは……некомпетентность……使い物になりません」

のあ「……あの子がバッターボックスに立つと眩しすぎて目を開けていられないの……」

杏(キャッチャー)「ってかなんで杏がキャッチャーなのさ」

夏樹(ショート)「ダメだこりゃ……」

武内P「内野陣から声をかけられた高峰投手、今一度呼吸を整え、じっと前川選手を睨みます」

楓「みくちゃん泣いてますよ」

武内P「高峰投手もなにか……悲しそうな顔をしています……」

楓「これは見物ですね」

武内P「ええ、そうですね。……高峰投手、振りかぶって第4球、投げたっ!」

楓「あっ」



バキィッ!



武内P「デ……デッドボォォォル!!!」

武内P「高峰投手が投じた第4球目はなんと! 前川選手のトレードマーク! ネコミミ型ヘルメットを粉々に粉砕してしまいました!」

楓「これが本当のアイデンティティの崩壊ですね」


場内アナウンス「おめでとうございます。前川みく選手、デッドボール記録更新です」


武内P「高峰投手、帽子を取って謝ります……しかし、これは退場でしょう」

楓「あ、あれ見てください」

武内P「はい? ……お、おぉっーと! しゅがはーずベンチから佐藤選手が飛び出してきました! 乱闘でしょうか!?」


心「高峰テメー☆」ドドドドド

武内P「佐藤選手、高峰投手に一目散に向かって行きます!」

楓「心さん、腰のケガでスタメンから外れてましたよね」

武内P「はい。……その割りには随分……」

楓「元気そうですね」

武内P「佐藤選手、高峰投手に詰め寄っています……」

楓「」ゴクリ

武内P「緊迫して参りました……! まりなーず対しゅがはーず……あぁっと!?」

楓「わっ!」

武内P「あっー!佐藤選手、高峰投手に殴りかかりました!」

楓「ああ~」

武内P「……ん? ……いえ、当たっていません! 高峰投手、紙一重で避けていましたっ……!」

楓「アイドルですからね。顔は駄目だよボディーボディー」

武内P「ボディーもまずいと思いますが……。はぁとアタックは空振りに終わりましたが……今にも乱闘が起ころうか、という一触即発な雰囲気です」

楓「拓海ちゃんウズウズしてますよ。うづうづじゃなくて」

武内P「まりなーずの沢田選手が今、佐藤選手を宥めています」

楓「そういえば麻理菜さんと心さんって、同じ高校の出身なんですよね」

武内P「そうですね。有名なエピソードとして、寮のお風呂場で一緒にサーフィンごっこをしていたら、当時の先輩、現在はアベンジャーズで指揮を執る安部菜々監督に怒られたというのがあります」

楓「らみれすみたいですね」

武内P「と……そうこう話している間に選手達は若干落ち着きを取り戻し始めた模様です」

楓「でも、心さんはまだ納得してないみたいですね……」

武内P「佐藤選手も現在ケガに苦しんでいる状態ですから、デッドボールにはナーバスになっているのでしょうか、沢田選手にそこをどけと言っているようです」

楓「麻理菜さんもちょっと面倒くさそうにしてますね」

心「」プンスカプンスカ


武内P「佐藤選手、怒りが収まりません。未だマウンドに詰め寄っています」

楓「……あれ? 麻理菜さんが退きました」

武内P「えっ……? ……本当ですね。沢田選手、佐藤選手を行かせてもいいという判断なのでしょうか」

心「」ズカズカ


のあ「……」


心「」ズカズカ


麻理菜「」ガシッ


心「?」

武内P「なんでしょうか……? 沢田選手、佐藤選手の肩を掴み……あっーーー!?」

楓「あら」

武内P「沢田選手、油断した佐藤選手を背後からマウンドに組み伏せました……!」

楓「説得が通じないから力ずくできましたね」

武内P「向井選手、沢田選手の行いにドン引きしていますっ!」

楓「汚いですけど、これが大人のやり方なんですよね」

武内P「佐藤選手、マウンド上で沢田選手に馬乗りにされてしまいましたっ……!」

楓(マウンドでマウント……85点)

友紀「沢田選手、まさかアレをやる気!?」

武内P(誰……!?)

楓「あら、ユッキちゃん。こんばんわ」

友紀「こんばんわ、楓さん!」

武内P「お、お知り合いですか?」

楓「こちら居酒屋で仲良くなった、野球とお酒が大好きな姫川友紀ちゃんです」

友紀「よろしくね!」

武内P「は、はぁ……よろしくお願いします……」

武内P「ところで……姫川さん。アレとはなんでしょうか?」

友紀「沢田選手はアレをやる気だよ……! 伝説のプロレス技……!」

武内P「伝説のプロレス技……?」

友紀「その名も……犯サーフィン!!!」

武内「犯サーフィン……!?」

楓「堽サーフィン……? それは一体……?」

友紀「相手に馬乗りになって、急所を責めまくる荒業だよ……!」

楓「なんだか物騒ですね」

武内P「……あ、あっー!た、高垣さん、見て下さい……! 佐藤選手が……!」

楓「……ああ、麻理菜さんにぐちゃぐちゃにされてますね……」

友紀「これが犯サーフィン……!」

武内P「とんでもない事が起こりました、まりなーず対しゅがはーず! 味方のデッドボールにエキサイトした佐藤選手、沢田選手にめちゃくちゃにされています!」

楓「これは教育に良くないですね」

武内P「佐藤選手、沢田選手の責めに苦しそうに喘いでいますっ……!」

友紀「いや、気持ちよさそムグッ」

楓「それ以上はいけない」

武内P「これが高垣さんの言うところの、顔は駄目だよボディーボディーという事なのでしょうか!」

楓「…………」

友紀「セクハラだよそれ」

武内P「大変失礼致しました」

友紀「あれ? なんか前川選手の様子が変じゃない?」

武内P「前川選手ですか……? おおっと前川選手、一塁ベースコーチに付く多田コーチに股間を擦り付けています」

楓「教育に良くなかったみたいですね」

友紀「ま、猫だし多少はね?」

武内P「いつから野球はキャットファイトになったのでしょうか……! 本日の346ドーム、荒れに荒れています……!」

友紀「おっ、うまいこと言うね。座布団一枚!」

武内P「ありがとうございます」

楓(私も言おうと思ったのに……)

武内P「ご覧ください、まりなーず内野陣、完全に崩壊しています。高峰選手とアナスタシア選手と木村選手。前川選手と多田コーチの絡みを見て血の涙を流しています」

楓「失恋ですかね」

友紀「これ遺恨試合なの?」

武内P「沢田選手は未だ佐藤選手を攻め続け、向井選手は顔がひきつっています! ドン引きです!」

友紀「これが大人のやる事かよ……って顔してるね」

楓「杏ちゃんに至っては寝てますよ」

武内P「そして外野3人期待の若手。辻野選手、砂塚選手、夢見選手ですが……」

友紀「3人で固まって震えてるね」

楓「お気の毒に……」

武内P「……まだ入団から数ヶ月の3人には、あまりにもショッキングな光景である事でしょう……これはひどい……」

武内P「……お? お? なんでしょうか!? 更にはライトスタンドに巨大なサークルが出現しています!」

楓「サークルモッシュですか?」

武内P「いえ……そのサークルの中心には禍々しいオーラを纏った女性が佇んでいるようです……何者でしょうか」

楓「近寄りがたいですね」

友紀「あー……みゆみゆだあれ」

武内P「ご存知なのですか?」

友紀「うん。佐藤選手の追っかけで、美人で愛が重いことで有名なんだー」

楓「愛で人を殺せそうですね」

武内P「しかし収集がつきません346ドーム! なんという混沌、なんというカオス!!!」

友紀「……でも! 他国にないこの球場全体のお祭り感! これが日本のプロ野球の醍醐味だよね!」

楓(違うと思います)

武内P「……それにしても……現在この映像は中継されているのでしょうか……不安に駆られます……」

楓「そういえばそうですね……。もしかして、テレビには[しばらくお待ち下さい]って出てるのかもしれないですね」











しばらくお待ち下さい









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ちひろ「放送席、放送席! ヒロインインタビューです!」


楓(略してヒロインイン)


ちひろ「今日のヒロインは、12回裏に興水投手から劇的なサヨナラホームランを放った、沢田麻理菜選手です!」


オォー! パチパチパチ


麻理菜「どうも」

ちひろ「沢田選手、見事なホームランでしたね!」

麻理菜「ありがとう。幸子ちゃんの絶望的な顔が可愛かったわ」

ちひろ「8回には、エキサイトする場面も見られましたが……」

麻理菜「あれは心があまりにもしつこいから、仕方なかったのよ」

ちひろ「あの回は、一時テレビ中継がストップするというアクシデントがありました」

麻理菜「そうだったの? ……ちなみ心の弱点は[ピー!]とか[ピー!]だから、もし絡まれたらそこを責めていけばいいわ!」

ちひろ「は……? さ、沢田選手、言葉を選んでください……」

麻理菜「他には[ピー!]とか[ピー!]も……」



武内P「…………」

楓「…………」

友紀「…………」

ピー! ピー! ピー! ピー!



武内P「…………」

楓「…………」

友紀「…………」

武内P「……えー……現在ヒロインインタビューの途中ですが、放送を終了とさせていただきます。実況は私、武内。解説は高垣楓さんでお送り致しました。それでは、さようなら」

友紀「」フリフリ






その後、2週間の出場停止処分を下された沢田選手は、リハビリ中の佐藤選手のもとへおもむき、共に丘サーフィンに興じたという。




『勝手に戦え! まりなる VS. しゅがは』



キャスト:


沢田麻理菜 佐藤心

武内駿輔 高垣楓 姫川友紀

高峰のあ 双葉杏 向井拓海

アナスタシア 木村夏樹

辻野あかり 砂塚あきら 夢見りあむ

ヘレン 前川みく 多田李衣菜 興水幸子

安部菜々 三船美優 千川ちひろ



演出: 白坂小梅

脚本/監督: 速水奏





【完】










※本作品はデッドボールを推奨するものではありません。

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