【モバマス】心「プロデューサー、あのさ」 P「?」 (105)

心「........!」

ザワザワ

P「?」

ザワザワ

P「今なんて?」

心「....」

心「こんなこと乙女に二度も言わせるんじゃねえよ☆」

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P「いやいや」

P「マジで」

心「よろしく♪」

P「おいおい」

心「それじゃ」スタスタ

P「ちょっと待って!?これマジなやつ!マジなやつだから!!!」

P「ということがあったんですよ」

ちひろ「はぁ....」

P「初めから説明すると」

P「昨日の夜、いきなり佐藤から居酒屋に誘われたんで行って」

P「いつものようにグダグダ飲んでたんですよね」

P「で、お互いいい感じに酔ってきたなってとこで」

P「突然真面目な顔になった佐藤がなーんか言ったっぽいんすよ」

ちひろ「....」

P「ただ居酒屋って結構騒がしいでしょ?」

P「聞こえなかったんですよ」

P「聞き返したら妖艶に微笑みながらさっさとタクシー拾って帰っちゃって」

P「あれって何言ってたんだろうなーって」

ちひろ「....」

P「結局いくら考えてもわからなかったんですけど」

P「佐藤はタクシー拾ってさっさと帰っちゃうし、雰囲気的にまた聞き返すのもアレだし」

P「今の話聞いて、あいつが何言ってたかわかりますか?ちひろさん」

ちひろ「告白でしょ」

P「....」

P「やっぱり?」

ちひろ「分かってて聞いてたんですね」

ちひろ「新手の惚気やめてくださいよ」シラー

P「いやでもね、本当に何言ってるかさっぱり聞こえなかったし」

P「会話の前後だけで判断するには危険すぎるじゃないですか~」

ちひろ「....」

ちひろ「でも告白でしょ」

P「そうなんですけど....」

P「確信をもってそうと言えないと踏み出せない内容じゃないですか~」

P「これで俺が」

P『よし佐藤、俺と付き合ってくれ!』

P「って勇気を振り絞っていった時」

心『は?いきなり何言ってんの?』

P「とか言われたら俺仕事やめますよ?」

ちひろ「確かに職業柄デリケートな話題ではあると思いますよ?」

ちひろ「そうでなくても恋愛関係なので気持ちはわかります」

ちひろ「でももし本当に告白だったとしたらどうするんですか?」

ちひろ「勇気を振り絞って告白して」

ちひろ「Pさんの返事を今か今かと待ってるんですよ?」

P「それはそうかもしれませんけど....」

ちひろ「心細さで潰れそうになっているアイドルを放置するつもりですか!」

ちひろ「あなたはそれでもプロデューサーですか!」

P「ぐぅの音も出ない」

P「ちひろさんの言う通りですね」

P「自分のメンツなんて気にしてる場合じゃありませんでした」

ちひろ「分かったらさっさと答えを言ってきてあげてください」ニコ

P「ちひろさん、ありがとうございます!」ダッ

ちひろ「いえいえ」

ダダダダダッ

ちひろ「全く、世話の焼ける人ですねー」ヤレヤレ

P「佐藤!!!!!」ダダダダッ

心「うわっ!?」

P「ハァ....ハァ....」

心「プロデューサー?」

P「ハァ....昨日の返事を....」

P「....伝えに来た!!!」

心「!?」

P「お前の独特のキャラクター」

P「胸焼けするくらいのぶりっ子」

P「それに年齢が合わさることで生まれる痛さ」

心「え、なんではぁといきなりディスられてんの?」

P「あとめちゃくちゃカワイイ顔とすげーメリハリのあるスタイル」

心「今度はセクハラしてきた」

P「全部が大好きなんだ」

心「!?」

心「え、え?」

P「お前と一緒なら」

P「いつまででも楽しく元気にいられると思う」

P「佐藤、いや心」

P「俺と付き合ってほしい」

心「」

心「」

心「」

心「ってことがあって....」

菜々「....」

菜々「?」

菜々「あの、はぁとちゃん、えーっと....」

菜々「もう一度だけいいですか?」

心「さっき」

菜々「うん」

心「事務所の廊下で」

菜々「はい」

心「プロデューサーに」

菜々「ええ」

心「....」

心「....告られた////」

菜々「え゛え゛ぇ゛ぇ゛っっっっっ!!!?!?!??!?!??!」ビクビクッ

心「ちょ、パイセンうるさいって....」

菜々「いやだって....え゛゛゛っ!?!?!?!?!?!??!」

菜々「突然過ぎませんか!?」

心「そうなのそうなの」

心「昨日いつも通り2人で飲みに行ってぇ~」

菜々「いつも通り?2人きりで?」

心「え、うん」

菜々「ぁー....なるほど....」

心「それで適当に飲んで食べて~」

心「酔っぱらって別れて~」

心「....そしたら昨日の今日でさっき告白されちゃった////」

菜々「....」

菜々「それって、昨日酔っぱらったはぁとちゃんが何か言っちゃったんじゃないですか?」

心「え~?」

菜々「だって、さっきの話を聞く限りだと」

菜々「明らかにプロデューサーは何かに対する答え、返事って言い方でしたよね?」

心「ん~、言われてみれば確かに....」

菜々「それに仕事には真面目に取り組むプロデューサーが」

菜々「何のきっかけもなく」

菜々「白昼堂々事務所の廊下で自分の担当アイドルに告白するとは思えないような?」

心「パイセンに言われれば言われるほどそんな気がしてきた....」

菜々「まあそれはそれとして」

菜々「はぁとちゃんはなんと答えたんですか?」

心「いや~いきなりだったからびっくりしちゃって....」

菜々「しちゃって?」

心「ダッシュで逃げてきた☆」

菜々「えぇ....」

心「☆」テヘ

菜々「それじゃあ」

菜々「質問を変えます」

菜々「プロデューサーのことをどう思ってるんですか?」

心「ぇ、ぇぇ....?」ポリポリ

心「べ、別にはぁとにとってプロデューサーはプロデューサーだし....」

心「仕事仲間のことをそういう風には見られないから....」

菜々「....」

菜々「今まで何回くらい」

菜々「プロデューサーと2人きりでご飯を食べたりお酒を飲んだりしましたか?」

心「....」

心「....何回とかは、わかんないくらい」

菜々「....」ジー

心「....」

菜々「....」ジー

心「あわよくば食ってくれないかなって思ってましたぁ!!!!!!」

菜々「初めから正直に言ってくださいよー」

心「だって、なんか改めて言うの恥ずかしくてぇ....////」

菜々「結局はぁとちゃんは」

菜々「プロデューサーに告白されて」

菜々「満更でもないんですよね?」

心「....」

心「////」ポッ

心「で、でもはぁとはアイドル....」

心「ファンを裏切るなんて....」

菜々「はぁとちゃん!」

菜々「ファンが応援してくれているのは"アイドル"の佐藤心であって」

菜々「1人の人間、1人の女の子、はぁとちゃんではありません!」バーン

心「それは無理があるような....」

菜々「はぁとちゃんはファンにファンタジーを与えるアイドルですけど」

菜々「年齢的にはそろそリアルを見た方がいいと思いますし....」

心「パイセン突然生々しいこと言うなよ☆」

菜々「せっかくのチャンス」

菜々「今エゴイストにならなくていつなるっていうんですか!」

心「パ、パイセン....!」ガシッ

菜々「はぁとちゃん....!」ガシッ

心「お先に失礼します!」

菜々「ななな菜々は17歳ですから!!!」

心「パイセンこそ現実見た方がいいぞ♪」

菜々「」

ちひろ「どうでしたか?」

P「....」

P「逃げられました」

ちひろ「????」

ちひろ「昨日告白されたんですよね?」

ちひろ「そしてそのアンサーをしたんですよね?」

P「その通りですよ」

P「なんで逃げられたんでしょうね」

ちひろ「私の予想が正しいならそんなことは起こり得ないはずなんですけど....」

P「俺は昨日、一体何を言われたんだ....」

楓「昨日がどうかしたんですか?」

P「あ、通りすがりの楓さん」

ちひろ「通りすがりの楓さん、昨日偶然Pさんたちと同じ居酒屋で飲んでいた、なんてことは....」

ちひろ「ないですよね」アハハ

楓「ええ、私もあのお店にいましたよ」

ちひろ「いたんかい」

P「いつまで、いつまでいたんですか!」

楓「プロデューサーと心さんが入ってきてから」

楓「出ていくまで、でしょうか」

ちひろ「なっが」

P「えぇっ!?」

P「それならもしかして....」

P「佐藤が俺に何を言ったのかも聞こえてたりしません?」

楓「私もお酒が入っていたのでうろ覚えですけど確か....」

P「っ....」ゴクリ

心『払っといて☆』

楓「だったかと」

P「」

ちひろ「それってまさかただの....」

P「飲み食い逃げ」

ちひろ「別れ際の妖艶な微笑みは....」

P「タダ酒に上機嫌」

ちひろ「....」

P「ちひろさんに騙された」

ちひろ「だ、騙したなんて人聞きの悪いこと言わないでください!」

P「もしちひろさんの推測通りだったら」

P「俺の告白を前にして全力ダッシュなんてしますか?」

ちひろ「ぅっ....」

P「....」

P「1人で勝手に盛り上がって勘違いして....」

P「的外れもいいところなのに無駄に情熱的な告白しちゃって....」

P「もうお婿に行けない」シクシク

ちひろ「そもそも!プロデューサーさんだって最初」

P『やっぱりぃ、告白ぅ?ってやつなんすかね~』ニヤニヤ

ちひろ「って言ってたじゃないですか」

P「あ、酷い!今確実に誇張捏造しまくりでしたよね!」

P「俺そんな下卑た顔で言ってないですよ!」

ちひろ「いーえ言ってました!」

ちひろ「それに私は騙してなんかいません!」

ちひろ『でもそれって確証がないですよね?』

ちひろ『もし勘違いだったらどうするんですか?』

ちひろ「って言ってましたー!」

P「あまりにも酷すぎる!それ言ったの俺じゃないですか!」

P「ちひろさんが早く返事しろ!って煽るから俺は行ったんですよ!」

ちひろ「そんなこと言ってません!」ポカポカ

P「なんで嘘つくんですか!」ポカポカ

楓「どっちもどっち」

楓「というのが」

楓「この喧嘩に対する見解です」ウフフ

続きます

P「はぁ....」

P「これからどうやって働いていけばいいんだよ....」

P「....」

P「配置転換申し出てみるかぁ....?」

P「そうでもしないとやってられないわ....」チラ

心「....」ジー

P「おわっ!?」

心「....よっ」

P「....おう」

心「....」

心「さっきのことなんだけど」

P「(だよなぁ)」

心「はぁと、いきなりすぎてビックリしちゃってさ....」

心「ごめんね、逃げて」

P「いや、全然いいよ」

P「(むしろ逃げてくれたから間違いに気づけたし)」

P「むしろ突然人目につく場所で告白されたら逃げるのが普通だって」

心「....」

心「....ううん」

心「せっかくプロデューサーがあんなに頑張ってくれたのにはぁとは....」

P「や、その話なんだけどさ」

P「あれ、俺の勘違いだったわ」

心「....」

心「ん?」

心「ごめんちょっと意味がよく分からないんだけど?」

P「いや俺さ」

P「昨日居酒屋でお前に告白されたと思ってて」

P「その返事のつもりでさっきのアレがあったんだけど」

心「?????」

心「どゆこと?」

P「お前そんなことしてないんだろ?」

心「???」

心「うん?たぶんしてないんじゃない?」

P「....」

P「はぁ~....だよなぁ....」

P「そういうことなんだよ」

P「モテない男が勝手に勘違いして盛り上がって大げさな告白までしちゃったってこと!!!」

P「ほんっとうに申し訳ない!!!」

P「担当アイドルに対して色気出しちゃってプロデューサーとしては情けない限り!」

P「もし気持ち悪かったなら遠慮なく担当替えを上の方に言っといてくれ!!!」

P「お前の顔見てると色々思い出して恥ずかしくなってくるからこの辺で!それじゃ!」

ダダダダダダッ

心「??????????」

心「??????????????????」

心「....」トボトボ

菜々「あ、はぁとちゃん!おかえりなさい!」

菜々「ちゃんと言えましたか?」

心「....言おうとしたんだけど」

菜々「え?言ってないんですか?」

心「言う前に」

心「フラれた」

菜々「」

菜々「そ、それは何かの間違いじゃ....?」

心「....」

心「なんかね」

心「プロデューサーの勘違いだったんだって」

菜々「勘違い!?」

菜々「そんなわけないじゃないですか!」

菜々「あんなに熱烈なラブコールを送っていて勘違いなはずありません!!!」

心「....」

心「....パイセン」

菜々「はぁとちゃん!これは何かの間違いです!」

菜々「今すぐプロデューサーのところへ行って真意を確かめましょう!」

心「....」

心「今はちょっと1人にして....」ショボン

菜々「!」

心「おねがい....」

菜々「....」

菜々「しません!!!!!!!」バーン

心「えぇぇぇぇ................」

菜々「菜々は!」

菜々「こんな状態のはぁとちゃんを1人にできるほど」

菜々「恐ろしい人間じゃないんです!!!!」

心「....」

心「....人間?」

菜々「?」

心「ウサミン星人じゃないの?」

菜々「かかか体はウサミン星人でも心は人間ってことです!!!!!」アワアワ

心「....ぷっ」クスリ

心「そっか、パイセンは誰よりも人間らしい宇宙人だったんだ」

菜々「そのとぉ~りです!!!」

菜々「菜々こそ、宇宙全土を見回してもそうはいない」

菜々「人間ファーストなウサミン星人なんです!!!!!!!」バーン

心「ふふっ、パイセンサンキュー」

心「身体を張ったギャグのおかげでちょっと落ち着いたかも」

菜々「ギャグじゃないですよぉ~」アタフタ

心「って感じで」

菜々「うーん....」

心「どう思う?」

菜々「確かにはぁとちゃんは告白の返事を言えてはいませんけど」

菜々「=フラれた、というわけじゃないと思いますよ?」

心「そうかな....」

菜々「そもそも」

菜々「はぁとちゃんは昨日告白をしていないし」

菜々「さっきも返事を遮られてしまったので結局言えていません」

心「うん....」

菜々「プロデューサーの発言からも分かるように」

菜々「相手ははぁとちゃんの好意をそもそも認識していないことになるんです」

心「言われてみれば確かに....」

菜々「好意を向けられていない相手をフるなんてことは」

菜々「そもそもありえないんですよ」

心「!」

菜々「つまり」

心「つまり....?」

菜々「はぁとちゃんはフラれていません!!!!!」バーン

心「....」

心「....そっか」

心「よかった♪」

菜々「うんうん」ニコ

心「....」

心「....うう、よかった」グスン

菜々「はぁとちゃん、こんな時くらい泣いてもいいんですよ」ニコニコ

心「パイセンってちょくちょく母性が溢れ出してるよね」

菜々「ここはナナの胸に飛び込んでくるところでは!?」

心「そんなことしたらまた腰か膝か首か肩の爆弾が爆発しちゃうぞ☆」

菜々「そうそう最近満身創痍で階段を下りるのも怖いんですよ~」

菜々「ってそんなことないです!」

菜々「しかし」

菜々「プロデューサーさんの話とはぁとちゃんの話」

菜々「どこをどう聞いても全くかみ合いませんね~」

心「まー事の発端が居酒屋でお酒飲んでた時だし」

心「酔っ払い2人がまともな話するはずもないか~」

心「あんまり覚えてないけどね~」

菜々「....」

菜々「それで」

菜々「はぁとちゃんはどうするんですか?」

心「どうって?」

菜々「まさかこのまま何も行動を起こさずに終わる」

菜々「なんて言いませんよね?」

心「えぇ....?」

心「なんかもうはぁとこれ以上動きたくないんですけど~」グッタリ

菜々「忘れていませんか?」

心「何を?」

菜々「先ほどのプロデューサーの言葉では」

菜々「はぁとちゃんに告白をしたのは勘違いが原因と言ってました」

心「うん、何をどう間違えたのかは知らないけどそういうことみたい」

菜々「ですが」

菜々「告白の内容はどうですか?」

心「内容?」

菜々「はぁとちゃん曰く、相当に熱の入った告白だったんですよね?」

心「ん////」テレ

心「それは、まあ....////」テレテレ

菜々「勘違いをした結果の告白だったのは間違いありませんが」

菜々「その内容は否定されていないんじゃないですか???」

心「....」

心「えー....?」

心「でもそれなら、あんなに全否定した挙句足早に去っていく?」

菜々「その行動ははぁとちゃんに向けたというより」

菜々「プロデューサー自身が恥ずかしさに耐え切れなくなったからじゃないですか?」

菜々「実際そういうようなことも言ってたんですよね?」

心「最後の方にチラッとね」

菜々「ほら、やっぱりフラれてないじゃないですか~」

菜々「よかったですね!」

心「そうかなあ....」

菜々「....」

菜々「まだまだ心の靄が晴れないはぁとちゃんのために」

菜々「ナナ、秘策を考えました!」

心「えー、パイセンそれ大丈夫なの?」

菜々「任せてください!」

菜々「これでコトの真相は全て明らかになります!」

菜々「ついでにプロデューサーとはぁとちゃんの仲も修復!」

菜々「それどころか明日にはゴールインもありえます!」

心「いやそれは無理でしょ」

菜々「可能です!」

菜々「たぶん!」

心「そこは嘘でもイケるって言わないと」

P「」

P「」

ちひろ「Pさん」

P「」

P「」

ちひろ「Pさん!!!」

P「?」

P「なんすか?」

ちひろ「心ここに在らず、といった様子ですね」

P「....」

P「色々ありましたから....」

ちひろ「主人公気分で黄昏るのは結構ですけど」

ちひろ「仕事はしてください」

P「はぁ....まあ確かにそうですね....」

P「一応極々僅かな給料は貰ってるしその分くらいは働くか....」

ちひろ「その辺は話の主題がズレるので自重してください」

P「ブラックばんざーい」

ちひろ「もう....しっかりしてくださいよ!」

P「あははー....」

ちひろ「まったく....」

ちひろ「あれ?」

ちひろ「ちょっとPさん」

P「なんですか?」

ちひろ「入り口のドアの下に封筒が落ちてますよ?」

P「はぁ、そうですか」

ちひろ「そうですか、じゃないでしょ!」

ちひろ「大事な書類かもしれませんし早く取ってきてください!」

P「遠いよぉ....」

ちひろ「あなたの席から数メートルですよ!そのくらいは働いてくださいよ!」

P「はぃはぃ....」

スタスタ

P「よっこいしょっと....」

P「んーなになに....」

P「『果たし状』?」

ちひろ「は?」

ちひろ「ふざけてる暇があるならさっさとこっちに渡してください」

P「はい」スッ

ちひろ「えーっと....」

ちひろ「『果たし状』....」

ちひろ「....これは」

ちひろ「果たし状ですね」

P「でしょ?」

ちひろ「中身も見てみますね」

ちひろ「....」

プロデューサーへ
 
 今夜 昨日の居酒屋にて待つ

          しゅが~はあと

ちひろ「だそうです」

P「えぇ....」

P「果たし状で差出人のところにがっつり自分のサイン書く奴います?」

ちひろ「分かりやすくていいじゃないですか」

P「それはそうですけど」

P「....」

ちひろ「....」

ちひろ「絶対行くんですよ」

P「え゛っ!?」

ちひろ「もう色々こんがらがって絡み合ってややこしいんですよ!」

ちひろ「よく分かりませんけどせっかく向こうから誘ってくれてるんですから!」

ちひろ「いい加減に全部決着つけてきてください!!!」

P「....」

P「....マジすか」

ちひろ「大マジです!!!!」

P「....」

P「怖いなぁ....」

続きます

P「....」

P「来てしまった....」

P「当然ちひろさんに言われずとも来るつもりではあったんだが....」

P「うーむ....」

P「....」モジモジ

ガラガラ

心「....」ジー

P「ひぇっ....」

心「....」

心「おっそいじゃ~ん!!!!!」バシバシ

心「こぉんなにか弱い乙女をいつまで待たせるわけぇ~????」バシバシ

P「も、もう出来上がってらっしゃる!?」

心「待たせた罰は高くつくからね~!」ケラケラ

P「お、おう」

P「(ちょっと面食らったけど)」

P「(よく考えればいきなりシリアスモードで始まるよりはマシか....)」

心「プロデューサーが遅いからさぁ~」

心「ちょ~っとだけ味見しちゃったぞ☆☆☆」テヘ

P「お前、どんだけ飲んでんだよ....」

心「飲まなきゃやってられないっしょ~!」

P「はぁ、まあいいけどさ」

P「あ、すいません、生ビールジョッキ中で」

心「はぁとも~」

P「お前は水でも飲んどけって」

心「いやですぅ~乾杯するんですぅ~」

P「お前もう乾杯終わらせてがぶ飲みしてんじゃねえか!」

心「乾杯は何度やっても乾杯だからセフセフ」

心「う~かんぱぁ~い!!!」

P「いやまだ頼んだの来てないから」

心「なんだよ付き合い悪いぞ~♪」グビグビ

P「コイツ....(呆れ)」

心「ね~まだ~?まだ~?」

P「待てって」

P「お、来た来た」

P「はい、じゃあかんぱ」

心「かぁんぱぁ~い!!!!!!」ゴン

P「かんぱーい」コツン

心「んっ....んっ....」ゴクゴク

心「あぁ~~~~~~!!!!!!!!」プハ

P「これ何の乾杯なんだよ」

心「開始の合図」

P「お前はもう中盤戦だろ」

心「プロデューサーが来る前に飲んだ分はこれでリセットされました!」

P「内臓狂ってるぞ」

心「ピンピンしてるも~ん」グビグビ

P「おいおい、さすがにペース早すぎるんじゃないか」

心「....」

心「誰のせいでこんなことになってると思うんじゃ~い!!!!」バシバシ

P「???」

P「うーん....」

P「やたら働かせるのに全然給料くれないうちの会社のせい?」

心「全然違う!」

心「いや違わないか」

心「でも今回は違う!」

P「えー違うのか」

P「じゃあパワハラが物凄いちひろさん?」

心「それはプロデューサー相手の時だけっしょ」

P「ですよねー」

P「うーん....」

P「俺?」

心「当たり前でしょ」

P「知ってた」

P「いやもうね」

P「昼のことは誠に申し訳ない」

P「俺みたいなモテた経験のない男には」

P「些細な勘違いでも宝くじに当たったような多幸感を得ちゃうんだよ」

P「あの時の俺はトリップしていたと言っても過言ではない」

心「いやそういうことじゃ、なくてさ」

P「?」


P「俺のことをセクハラ野郎って糾弾する話じゃないのか?」

P「そのつもりで来てるし甘んじて受け入れるつもりなんだけど」

心「それはもういいから」

P「そりゃよかった」

心「はぁとが聞きたいのは!」

P「聞きたいのは?」

心「き、聞きたいのは」

P「うん」

心「................」

心「っ~~~~~!!!!」

バン!

心「昼間に言ってたことは本当なのかってこと!!!」

P「....」

P「....それ聞く?」

心「....うん」コクリ

P「....」

P「今はもう退勤後だから」

P「プロデューサーという立場ではなく俺個人として語ることを許してくれ」

心「昼間思いっきり言ってたじゃん」

心「プロデューサーの立場で」

P「それは忘れて」

P「正直に言うと」

P「俺はお前のことめちゃくちゃ可愛いと思うし」

P「あとエッチだと思う」

P「これが見た目の評価」

心「本人の目の前でよくそんなこと言えるなー」

P「これが、迷惑をかけてしまったお前の望みなら」

P「俺はそれに従うまでだ」

心「別にセクハラまがいの言葉をかけて欲しいわけじゃないんだけど」

P「次に性格」

P「まずその色物キャラが痛可愛いと思うし」

P「実はその裏には、弛まぬ努力によって得たアイドルとしての土台があるところも好き」

P「あと年下たちの面倒見がいいところとかチクチクが上手なとことか」

P「端々に感じる包容力がいいと思う、すっげーいい女だなって」

心「....」

P「でもそんなにいい女なのに」

P「一緒に飲みに行ったら何も意識せずに自然体で飲んで食って話せて」

P「最高に楽しい時間を過ごせるところが一番好き」

心「....」

P「いや一番好きとかないわ」

心「?」

P「今言ったことも」

P「今言ってないことも」

P「お前のこと何もかも全部大好きなんだよ、俺は」

心「....」

心「....誰もそこまで言えなんて言ってないのに」プイ

P「お?お?照れてんのか?んん?どうした佐藤?」ニヤニヤ

心「....なんでプロデューサーの方が強気なの」

P「俺にはもう失うものは何もない」

P「結論を言っておこう」

P「俺はお前のことがめっちゃ好きだし昼間に言ったことは全て本心だ」

P「よろしくぅ!!!!」バーーーーン

心「....」

P「お?お?照れてんのか?んん?どうした佐藤?」ニヤニヤ

心「....なんでプロデューサーの方が強気なの」

P「俺にはもう失うものは何もない」

P「結論を言っておこう」

P「俺はお前のことがめっちゃ好きだし昼間に言ったことは全て本心だ」

P「よろしくぅ!!!!」バーーーーン

心「....」

心「あの、はぁとも」

P「うおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」グビグビグビグビ

グビグビグビグビグビグビグビグビ

グビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビ

グビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビ

P「ぷはあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」プハァ!

心「何してんの....?」

P「お前ばっかり酔っぱらってるのはフェアじゃないからな!」

P「俺もこれでベロンベロンに酔っぱらって」

P「聞きづらいこと全部聞いてやる!!!!!!」

心「」

P「洗いざらい話してもらおうか」

心「ベテラン刑事になってるぞ....」アハハ

続きます

P「で、どうなのよ」

心「どうって?」

P「俺のことどうなのよ」

心「....」

心「あーもうしつこい!」

P「そりゃしつこくもなるさ」

P「良くも悪くも」

P「俺の人生を変えるかもしれないからな」

心「....」

心「今日、あんな形でいきなり告白されて」

心「正直すっごいびっくりした」

P「俺もびっくりしたわ」

心「俺もて」

心「んでさ」

心「あの後色々考えたり、人と話したりして」

心「今まで考えてこなかった」

心「見つめてこなかった自分の気持ちが整理出来たんだよね」

P「....つまり?」

心「....」

心「....はぁとも同じ気持ちってこと」

P「」

P「それってもしかしなくても俺と???」

心「....」

心「////」コクリ

P「....い」

P「いやったあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」ガッツポ

心「ちょっと!騒ぎ過ぎだって!!!」

P「皆さん聞いてください!!!!!」

P「ただ今を持ちまして私と彼女は」

P「お付き合いを始めることになりました!!!!!!!!!」

心「待て待て待て!!!!!!」

心「プロデューサー!ここ居酒屋!公共の場!」

心「はぁとはアイドル!スキャンダルNG!!!!!」

P「....なるほど」

P「そういうことなら」ヒョイ

心「ひゃっ////」

P「逃げるしかないな!!!」ダッ

心「プロデューサー!」

P「あ、お代はここ置いときますね」

心「こんなことしたら余計目立っちゃうから!」アタフタ

P「芸能人たるもの顔を売ってなんぼだ!」ダダダッ

心「だからってこの歳でお姫様抱っこで街を徘徊はさすがに」

P「恥ずかしいか?」

心「....」

心「恥ずかしいって言おうと思ってたけど」

心「実は結構楽しい☆」

P「だろ~?」

心「ん」コクリ

P「このままお前んちまで送ったるわ~!」

心「無理すんな~」

P「無理でした」

心「呆れるほど正直だなー」

P「勘違いしないでよねっ!」

P「決して佐藤が重いってわけじゃないんだからねっ!」

P「俺の肉体が慢性的な運動不足によって急激に衰えていただけなんだからねっ!」

心「ツンデレ風に老いを宣言するの新しいわ」

P「たぶん調子に乗ってこのまま続けてたらナナってた」

心「パイセンのこと動詞扱いすんのやめろ」

P「いやーしかし」

P「やらかしたな」

心「気が合うじゃん、はぁともそれ言おうと思ってた♪」

P「いやはや酔うというのは恐ろしい」

心「2人して年甲斐もなくはしゃいじゃってさー」

心「ま、はぁとは全然酔ってなかったんだけど」

P「えー?お前じゃあ素面であんな恥ずかしいこと言ってたの?やだー!」

心「だって!昼のこともあったし!」

心「プロデューサーの告白がなくてもはぁとからするつもりだったし....////」

心「緊張を紛らわそうと思っていくら飲んでも」

心「ぜんっぜん酔えないんだもん!」

P「お前、案外可愛いところあるな」

心「自分の彼女に対して案外っておかしいっしょ!」

P「かくいう俺もお前と同じ理由で全然酔えなかったから」

P「最初から今の今まで完全に素面だけど」

心「よくそれで人のことバカにできたな....」

P「たまにはこういうのもいいじゃん?」

心「....それもそっか」

P「まーそういうことだからさ」

P「これは酔った結果の一夜の過ちじゃなく」

P「完璧に、少しの狂いもない俺の本心だってことを」

P「どうしても伝えたかったんだ」

心「....あんなにはしゃいできたのに」

心「最後はキッチリ締めるなんてズルい」

心「でもその誠意に免じてお返し」

P「....」

心「はぁとも大好きだよ」チュッ

心「これからもよろしく」

P「....」

心「////」

P「....」

P「さすがにアイドルが路チューはマズくね?」

心「」

~翌朝~

P「おはざーす」

ちひろ「ちょっとPさん!!!」

P「あ、ちひろさーん聞いてくださいよ~」

P「昨日」

ちひろ「全部知ってます!」

ちひろ「居酒屋で心ちゃんに大胆公開告白した後お姫様抱っこで逃亡」

ちひろ「その後裏路地で路チューからのホテルへGOだったんですよね!」

P「なんで知ってんすか!?」

P「というかラストだけ間違ってますよ?」

ちひろ「....ラストだけ」

ちひろ「つまりそれ以外は全て真実なんですね?」

P「うっ....」

P「まあそういうことになりますね....」

ちひろ「はぁ....」

P「どうしたんですかそんなに疲れた顔して」

P「朝からそんなんじゃ幸せが逃げちゃいますよ~」アハハ

ちひろ「あ?」ギロリ

P「ひっ....」

ちひろ「なにも知らないんですね」

P「?」

ちひろ「公開告白の現場となった居酒屋に某週刊誌の記者がいたらしくて」

ちひろ「来週発売の号にアイドルの大スキャンダルとして記事が載ってしまうらしいんですよ!」

P「」

P「え?マジすか?」

ちひろ「マジです」

P「ということはつまり....?」

ちひろ「上からのお達しがありました」

ちひろ「しばらく謹慎だそうです」

P「」

ちひろ「これで会うのは最後になるかもしれませんね」

ちひろ「さようならPさん」

P「ぉぉ....ぉぉ....」

P「という夢を見たのさ」

ちひろ「夢オチなんてサイテー」

P「しかしそうならなくてよかったわー」

ちひろ「いや、週刊誌にすっぱ抜かれた時点で本当はアウトなんですからね?」

ちひろ「というか謹慎まで全部実話ですし」

P「反省してマース」

P「今回はなぜか炎上しなかったからなー」

ちひろ「それどころかSNSや匿名掲示板が祝福一色に染まるなんて」

菜々「それもこれもはぁとちゃんの人徳ですかねー」

心「あの3人とも」

心「気、使わなくていいから」

菜々「き、気なんて使ってませんよー」アセアセ

心「アイドルのスキャンダルなのに祝福ムードなのは完全に年齢のせいだから」

心「わかってるから」

ちひろ「そんなことないと思いますよ?」

ちひろ「アイドルだってその人柄やキャラクターによって世間の反応も変わってくると思いますし」

P「まあ1番は年齢だと思うけどな」

心「気を使うなとは言ったけどそこまで言えとも言ってないぞ?」カチン

P「女心は難しいなあ....」

ちひろ「しかし2人とも」

ちひろ「本当に付き合ってるのかってくらい何も変わりませんね」

P「まあ俺たち元々腐れ縁みたいなもんですから」

P「付き合ったからって何が変わるわけでもないですよ」

心「そそ、2人とも30台が見えてきたくらいの年齢だし」

心「恋愛関係になったからって浮かれるようなこともないよね」

P「落ち着いた大人のお付き合いっていうやつですよ」

菜々「こういう自然体なお付き合い、なんとも2人らしいですね~」ニコニコ

ちひろ「告白直後2人揃って散々浮かれポンチだったのが原因で」

ちひろ「週刊誌にすっぱ抜かれたのはどこの誰でしたか?」ニッコリ

P・心「「反省してマース」」

菜々「あはは....」

ちひろ「はいはい形だけの反省会はその辺にして」

ちひろ「次の現場に行って下さーい」

P「お、本当だ」

P「いくぞ佐藤」

心「はーい」

菜々「いってらっしゃーい」

スタスタ

ちひろ「....」

菜々「....」

ちひろ「いつまで苗字呼びなんでしょうかねー」

菜々「そうですねぇ....」

菜々「名字が変わるまで、と予想してみます!」

ちひろ「いや、もしかしたら苗字が変わってからも....」

菜々「な、ないとは言い切れない....」

ちひろ「何はともあれ、まだしばらくは事務所にいてくれそうでよかったです」

菜々「応援したい気持ちと、はぁとちゃんにいなくなって欲しくない気持ちが入り混じってます....!」

ちひろ「私たちは応援してる場合じゃないんですけどね」

菜々「う゛っ................」ゲボ

P「さっき言われたけど」

P「俺たち何も変わってないよなぁ」

心「まーねー」

心「でもさ、これはこれでいいんじゃない?」

心「なんていうか、はぁと達らしいっていうか」

P「一理ある」

P「俺たちが目指すのは節度ある大人のお付き合い!」

心「でも一たび居酒屋に入ると?」

P「....」

P「お酒が止まらない☆」

心「同上☆」

P「ま、俺たちは俺たちのペースで行こうや」

心「いいこと言うじゃん♪」

P「それはそれとして」

P「今晩どう?」

心「恋人をディナーに誘う言葉とは思えないぞー」

P「場所はいつもの居酒屋」

心「行く」

P「やっぱ佐藤最高だわ」

心「プロデューサーもな☆」

【完】

最後までお付き合いいただきありがとうございました
たまにはゆったりとした話を書くのも楽しいなと思いました
しゅがは最高、大好きです

過去作ともども、これからもよろしくお願いします

このSSが読者の方の人生の糧に少しでもなれば幸いです

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