絵里「ん~よく寝た~」 (73)
絵里「ん…んん…ふぁ~。よく寝た~」
ちゅん ちゅん
絵里「鳥さんおはよう、なんてね。ふふっ、良い天気ね」
穂乃果「おはよう!」
凛「絵里ちゃんおはようにゃ~」
希「えりち、おはよう。朝からナイスジョークやね!」
絵里「…どうやって私の部屋に入ったの?」
穂乃果「黙って入った訳じゃないよ。亜里沙ちゃんが入れてくれたんだよ」
絵里「なんか約束してたっけ?」
凛「してないから誘いに来たんだにゃ」
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絵里「へ~そうなの」
希「この後予定なんかないやろ?」
絵里「悪いけどこの後二度寝する予定があるのよ。それじゃあ、おやすみ」
穂乃果「え~さっき鳥さんに挨拶してたのに?なんのおはようだったの?」
凛「おはようからおやすみまでが早すぎるにゃ~」
絵里「……」
穂乃果「無視…」
凛「絶対に起きてるのに」
絵里「…」
凛「完全に無視だにゃ」
希「ん~逆に子守唄でも歌ってあげようか?」
穂乃果「子守唄?」
希「風が揺れ~てる 波が歌って~る 俺は今日も歩い~てる」
絵里「…」
希「砂を掴んで その熱さ確かめ~て この季節を感じ~てる」
絵里「…」
希「Ah~フォーエ…」
絵里「曲のチョイス!!!」
穂乃果「起きた!希ちゃんの歌で起きた!ポケモンの笛みたい!」
絵里「そりゃあ起きるわよ。あんな曲を耳元で歌われたら」
希「あんなって名曲やんか」
絵里「そう言う事を言ってるんじゃないわよ。子守唄に適した歌ではないでしょって言ってるの」
凛「絵里ちゃん、起きたら鳥さんに挨拶しなくてもいいの?」
絵里「……いいのよ。一日に何度も挨拶したらしつこいでしょ?」
凛「確かに」
穂乃果「ね~絵里ちゃん。完全に目が覚めたでしょ?穂乃果より遅く起きるなんて末代までの恥だよ?」
絵里「じゃあ、穂乃果はなんなの?」
凛「なんで、そんな頑なに布団から出たくないの?何か隠してるの?もしかして…お漏らししちゃった?ねえ?布団に地図を描いちゃったかにゃ~」
絵里「次言ったらぶっ飛ばすわよ」
凛「じ、冗談です」
穂乃果「絵里ちゃんの口からぶっ飛ばすなんて言葉を聞くとは思わなかった」
希「物騒やなぁ。えりち」
穂乃果「穏やかに行こうよ」
絵里「あなた達がそうさせてるのよ」
希「ん~どうしても静かに眠りたい?」
絵里「眠りたい。と言うよりも帰って欲しい」
希「じゃあ…おやすみのキスをしてくれたらええよ!」
穂乃果「おおっ!ガラスの花園が展開されるぞ~」
凛「大胆にゃ」
絵里「なんでそんな事……いいわよ。する?」
希「え?」
絵里「ほら、早く。こっち来て」
希「え…いや…あの…穂乃果ちゃん!凛ちゃん!これ以上はえりちに悪いから今日は大人しく帰ろうか。じゃ!」
穂乃果「え?ちょっと」
凛「希ちゃん?」
絵里「ふっ、勝った」
01
絵里「何してんの?」
穂乃果「おうコラ!絢瀬絵里だな?あーん?」
絵里「はい、そうです。それじゃ」
穂乃果「え?ちょっと待てよ。何すんなり通ってくれちゃってんの?」
絵里「はあ。何の遊び?」
穂乃果「ああん?遊び?何調子くれちゃってんの?」
凛「お~高坂?どうしたにゃ?」
穂乃果「こいつがジョートーかましてくれてよ」
凛「へ~面白れぇじゃん。やってやろうぜ、高坂」
穂乃果「いっちょ俺等のハンパじゃねぇって所を見せてやるぜ」
絵里「何を言ってるか全然理解出来ないんだけど。現代語で喋ってくれる?」
希「二人共そこまでや!」チャリンチャリン
穂乃果「なっ!お前は…」
凛「音ノ木坂の東條希!」
絵里「じゃあ、あなた達はどこの誰なのよ」
穂乃果「くっ、そのバイク…本物の東條希…」
絵里「自転車はバイクって言わないのよ」
希「女一人によってたかって随分とカッコいい真似をしてるみたいやな」
穂乃果「う、うるせぇ」
希「ウチの女に手を出そうとした事…後悔させたるからな」
絵里「いつ私は希の女になったのよ」
希「そんなん、ずっと前からえりちはウチの物や」
絵里「あのねぇ。私は物じゃないし、束縛する様な人は願い下げなの。それじゃあ、私は帰るから」
希「あれ?なんか…ウチ、振られた?」
穂乃果「絵里ちゃんはノリがいいのか悪いのか分かんないよね」
02
ピンポーン
絵里「はーい」
ガチャ
凛「やっ!」
穂乃果「おはよう」
希「迎えに来たよ。今日は朝からえりちと遊ぶと良い事があるってカードが言ってたんよ」
絵里「たまにはカードの言う事も疑ったら?」
希「ええ?そんなにウチ等と遊びたくないの?」
絵里「そうじゃなくて…今日は家でゆっくりしようと…」
穂乃果「タピオカ食べに行こうよ!」
絵里「人の話聞いてる?今日はゆっくりしたいって」
穂乃果「え~タピオカ!」
絵里「あのね…タピオカって凄い並ぶのよ」
穂乃果「いいよ、別に。ねえ?」
希「そうやなぁ。ウチはええよ。ありよりのありやな」
絵里「なしよりのなしよ」
穂乃果「ええ?ダメ?」
絵里「ダメよ」
凛「タピオカの為に凛も並ぶのはちょっとなぁ」
穂乃果「まさかの裏切り。ラーメンの為には並ぶのに」
凛「並ぶ価値があるもん。ラーメンは」
穂乃果「い~じゃん。タピオカだって並ぶ価値あるよぉ」
絵里「せっかくの休みに並ぶのは嫌でしょ」
希「ウチは練習の後の方が嫌やけど」
凛「凛はラーメンの為なら練習で疲れてても行列に並ぶにゃ!」
穂乃果「徹夜でゲームの為に並ぶ人だっているんだよ!」
絵里「だからいいよとはならないの!私は嫌なの。それにタピオカってそんなに美味くないじゃない」
希「まあなぁ」
穂乃果「そうなの?」
絵里「知らないのに誘ってるの?」
穂乃果「知らないからこそ誘ったんだよ」
絵里「じゃあ教えてあげる。あれはそんなに美味しいくない。並んでまで食べる程のものではない」
穂乃果「じ、じゃあ何であんなに流行ってるのさ」
絵里「それは…えっと…容器がオシャレとかそんな理由でしょ?穂乃果には必要ないじゃない」
穂乃果「なんで!?なんで必要ないと思ったの?」
絵里「別にそういうの興味ないでしょ?」
穂乃果「まあ…」
絵里「お小遣い無駄にするだけだから。やめときなさい。ね?」
穂乃果「じゃあ、そうするよ。絵里ちゃん家で遊ぶ事にする」
希「そうやな。えりちん家なら並ぶ必要ないしな」
凛「その通りにゃ~」
絵里「あ~残念だけど…もう閉店なのよ。じゃ」
ガチャ
穂乃果「まだ朝なのに…閉店早っ!?」
03
キーンコーンカーンコーン
絵里「ねえ…着替えたいからそこどいてくれない?」
穂乃果「絵里ちゃん今日練習終わったら映画観に行こうよ!」
絵里「練習の後に?」
希「夜だとリバイバル上映がやってて料金が安いんよ」
絵里「リバイバル上映って昔の名作をって事でしょ?何を観に行くのよ?」
凛「スピード2!」
絵里「私はパスで」
凛「何で?」
絵里「練習の後は疲れてるでしょ?早く帰って休むの。明日に響くわよ?」
穂乃果「明日の事は明日考えるよ」
絵里「それで失敗するんじゃない。バカな事言ってないでちゃっちゃと着替えて全員揃う前に体操を終わらせておきましょう」
穂乃果「準備体操は皆んなでやろうよ」
絵里「じゃあ、練習の準備くらい」
凛「もう終わってるよ。絵里ちゃんが来る前に」
希「ウチ等はやる事はちゃんとやってるんよ」
穂乃果「そう。やる事をやってからこう言う事してるの」
絵里「あっそう。でも映画は行かないわよ」
穂乃果「何で!?」
絵里「理由はさっき言ったわ。同じ事は二度言いません」
穂乃果「そんなぁ。絵里ちゃんのいけずぅ」
絵里「何とでも言いなさい」
穂乃果「金髪!」
凛「ポニーテール!」
絵里「だから何よ…」
穂乃果「何とでも言えって言うから」
絵里「感覚で喋り過ぎなのよ」
穂乃果「ね~一生のお願いだから」
絵里「穂乃果ちゃんには一生のお願いが何回あるのかな~?昨日海未にも言ってなかった?」
穂乃果「だから…あれは海未ちゃんにだもん」
絵里「だとしても…二日連続で一生のお願いを使うってどうなの?」
穂乃果「目的の為には手段を選んでられない」
絵里「そうまでしてどうして行きたいの?絶対につまらないわよ」
凛「観てからいいなよ!」
絵里「観たことあるからいってるのよ!」
凛「そうなの?」
穂乃果「面白いよ?」
絵里「いや…つまらないわよ」
希「ぶっちゃけ映画の内容なんてどうでもいいんよ。ウチは映画館のあの雰囲気が好きなだけだから」
穂乃果「え?そうなの?」
絵里「意見がバラバラじゃない…少しはまとめなさいよ」
希「意見はまとまってるよ。三人共映画館に行きたいです」
絵里「却下」
穂乃果「即答…」
絵里「即答よ。も~いいから早く屋上に行きなさいよ」
穂乃果「え~」
絵里「って言うか他のみんなはまだなの?」
凛「かよちんは委員会で遅れるよ」
希「にこっちと真姫ちゃんはもう屋上に行ってるんやない?」
穂乃果「海未ちゃんとことりちゃんは………あれ?」
希「どしたん?」
穂乃果「今日…生徒会?」
絵里「やる事やってないじゃない」
04
絵里「天気ね~。お布団干しちゃおうかしら」
凛「それがいいと思うよ」
希「ウチも干してくれば良かったなぁ」
穂乃果「絵里ちゃんの布団って凄くいい匂いがするよね」
希「オークションに出品してみる?」
穂乃果「法に触れないかな?」
希「法はともかくバレたら退学かもしれんね」
絵里「毎度の事ながら…どうして家にいるのかしら?」
希「毎度の事ながら亜里沙ちゃんが入れてくれたんよ」
絵里「敵は身内にいるって訳ね」
希「ウチ等も身内みたいなもんやんか」
絵里「だから敵じゃない」
穂乃果「敵なんて寂しい事言うなぁ」
絵里「人の布団をオークションに出品しようとする人間は敵でしょう…どう考えたって」
希「仕方ないんや。焼肉の為には必要な犠牲だから。取り敢えず写真撮っていい?写真を付けて出品するから」
絵里「絶対に嫌」
穂乃果「誰も本気でやるなんて言ってないよ」
絵里「だとしてもそう言う発想が出てくるだけで信じられないわよ。全く。で?何しに来たの?」
凛「絵里ちゃん!野球やろうよ!」
絵里「やらないわよ」
凛「なんで!?」
絵里「逆に何でやると思ったの?」
凛「野球楽しいし」
穂乃果「絵里ちゃん。私達も凛ちゃんに押しかけられて野球やる事になったんだよ。別に乗り気じゃないからね」
絵里「凛が言い出しっぺなのね」
凛「絵里ちゃんもやろうよ」
絵里「他の人を当たればいいじゃない」
凛「もう当たったよ。皆んな何かにつけてやってくれないの。絵里ちゃんが頼みの綱なの」
穂乃果「そう言う事なんだよ」
絵里「良いわよ。仮にやるとして…」
穂乃果「え?やるの?」
絵里「どこでやるのよ?ここら辺の公園は球技は禁止でしょ?って言うか4人じゃ出来ないし」
凛「練習は出来るよ」
絵里「何の為の練習をするの?」
凛「上手くなる為に」
絵里「野球を?」
凛「サッカーじゃないのは確かだよ」
穂乃果「そりゃあね。野球の練習してもサッカーは上手くなったりはしないからね」
希「誰でも分かる事やんな」
絵里「もう…あなた達と会話すると疲れてくる」
凛「ストレス溜まって来た?」
絵里「溜まって来たって言ったら?」
凛「じゃあ、予定を変更してバッティングセンターに行くにゃ!スカッとするよ!」
絵里「結局野球じゃない」
05
ことり「はい、これ絵里ちゃんの分だよ」
絵里「ありがとう、ことり」
花陽「ことりちゃんが作ったケーキは凄く美味しいよね」
絵里「そうねぇ」
ことり「えへへ。そう言ってもらえると私も嬉しいな」
絵里「ふふっ。なんか…あなた達二人と一緒にいると…平和で平和で…凄く良いわ」
ことり「え?そ、そう?」
穂乃果「その言い方だと他のメンバーに難ありみたいだよ」
凛「そうにゃ、そうにゃ!」
希「相方に向かって酷い言い様やなぁ」
絵里「現れたわね。三馬鹿with希。一人欠だけど」
ことり「絵里ちゃん…三馬鹿って…」
花陽「にこちゃんは居ないのに言われるなんて。可哀想だよ」
希「花陽ちゃん。にこっちの事なんてえりちは一言も言ってないよ」
花陽「へ?」
ことり「花陽ちゃん…」
絵里「まあ、花陽の言ってる事は間違ってないわ。にこの事だから」
ことり「にこちゃん何にも悪い事してないのに」
穂乃果「いや、ことりちゃん。私達も何もしてないよ?」
凛「そうだよね?なんかしたみたいな」
絵里「するじゃない、あなた達はいつも」
穂乃果「まあいいや。今は絵里ちゃんよりも目の前のケーキが…」
ことり「ちゃんとあるよ。皆んなの分」
穂乃果「本当?やったぁ」
凛「今日は大人しくケーキを食べるにゃ~」
希「毎回ことりちゃんにケーキを作って来て貰えば二人も大人しくなるんやない?」
絵里「確かに。その手があったかも」
ことり「プレッシャーだなぁ」
06
絵里「チェッチェッコリ~チェッコリサ~」
穂乃果「ご機嫌だね」
凛「元気で羨ましいにゃ」
希「えりちが元気だとウチもめっちゃ嬉しいわ」
絵里「あなた達…生える様に現れるわね」
穂乃果「絵里ちゃんに用があって探してたんだよ」
絵里「ごめんなさい。私は用がないから!失敬!」
穂乃果「ストップ!ストップ!ちょっと付き合ってよ」
絵里「どうせくだらない事でしょ?」
凛「図書室で催眠術の本を借りて来たから試させてよ」
絵里「やだ」
凛「なんで?」
絵里「どうして私なのよ」
希「だって、穂乃果ちゃんや海未ちゃん相手にやっても簡単に掛かってしまいそうやろ?えりちは何か掛かりにくそうやから張り合いあるやん?」
絵里「何よそれ」
穂乃果「待って!私って掛かりやすそうなの?」
凛「三人いて二人掛かりやすそうな二年生組って…凄いよね!」
穂乃果「何が?どう言う意味で凄いの?」
希「という事でえりち」
絵里「どう言う事よ?」
希「催眠術やろ?」
絵里「やらない」
穂乃果「悪い様にはしないよ?」
絵里「信用出来ないセリフね」
希「穂乃果ちゃん。そんなセリフで騙されるのは真姫ちゃんくらいやって」
絵里「真姫だって引っかからないわよ。舐めすぎよ」
穂乃果「ね~いいじゃん。絵里ちゃ~ん」
絵里「……分かった」
穂乃果「え?いいの?」
凛「言ってみるもんだね」
絵里「そのかわり、やるなら早くしてちょうだい」
希「ん~…ウチがやってもアレやし?穂乃果ちゃんやる?」
穂乃果「やる!じゃあ、絵里ちゃん!この五円玉をジッとみてて」
絵里「五円玉…今時催眠術で五円玉使うって…」
穂乃果「行くよぉ~あなたは意識が段々と遠のいていきます~」
絵里「意識が…遠のく…」
穂乃果「そう。意識が…遠のく」
絵里「…………」
希「おおっ!成功したんやない?」
凛「穂乃果ちゃん凄いにゃ!」
穂乃果「なんか…簡単に出来たね。さて、こっからどうしようか」
凛「ん~そうだねぇ」
絵里「隙を見せたわね」ダッ
穂乃果「え?」
絵里「そんな素人の催眠術に引っかかる訳ないでしょう。簡単に騙されちゃって…じゃあね!」
穂乃果「なっ!?」
希「フリだったんや」
凛「絵里ちゃんの方が一枚上手だったにゃ」
06
07
絵里「じゃあ、私はこれで。失礼しました」
がちゃ
絵里「ふう」
穂乃果「あっ!絵里ちゃん!」
凛「本当だ!」
絵里「あら?今日は練習午後からでしょ?」
穂乃果「そう言う絵里ちゃんこそ」
凛「何してるの?」
絵里「ん~?ちょっと図書室に用があってね。そしたら、たまたま担任の先生に会って頼まれ事をって訳」
穂乃果「ふ~ん」
絵里「あなた達は?」
穂乃果「どうする?絵里ちゃんに相談しようか?」
凛「でも多分冷やかされるからやめとこう」
絵里「冷やかさないわよ。にこじゃあるまいし」
希「お~い」
絵里「希?」
穂乃果「希ちゃん!」
希「おっ、えりちも二人に呼ばれたん?」
絵里「いえ…私は…何があったのよ?」
穂乃果「いや、大した事ではないんだけどね」
希「二人共この間の学力テストの点が悪くて呼び出されてたんだよね?」
穂乃果「ちょっ、希ちゃん」
絵里「何よそれ?聞いてないんだけど。海未は知ってるの?」
希「ウチが呼び出されたって事は…ねえ?」
絵里「なるほどね。怒らない人を選んだのね」
穂乃果「ま、まあ。学力テストは成績に反映される訳じゃないし?」
凛「そうだよね?ただ…凛と穂乃果ちゃんは特別に来週追試をしてくれるって…何の為の追試なのか分からないけど…やらなくていいのに」
絵里「それだけあなた達の学力に問題があるって事じゃない」
希「学年の違う二人をまとめて面倒みてくれるんやから特別待遇やね」
絵里「全く…遊んでばっかりいるからよ」
穂乃果「もう来週まで時間がないんだよね」
凛「変な点数取ったら多分…あれ…先生怒ってたよね?」
絵里「待って?そんなに酷い点数を取ったの?」
穂乃果「だって~。凄い難しかったんだよ?ね?習ってないのいっぱい出たし」
凛「本当にゃ!授業の内容はこんな時全然使えないにゃ」
穂乃果「厳しいよね…人生と言うのは…」
絵里「自業自得じゃない」
希「そうやなぁ」
絵里「言っておくけどね。あなたにも責任はあるのよ?希!」
希「ええ?ウチも?」
絵里「当たり前。普段から甘やかして一緒にふざけてるんやから」
希「だってμ'sはムチが強いからウチくらい優しくしてあげないとね?」
凛「ムチって海未ちゃんの事だよね?」
穂乃果「だね」
絵里「無知はあなた達二人よ」
穂乃果「それ字が違くない?」
絵里「何でもいいけど。しばらくの間遊ぶのは…ん?」
希「どしたん?」
絵里「いえ…向こうの方に見覚えのあるツインテールが居たんで」
希「おっ!仲間が増えそうやん!よかったね!」
08
絵里「よしっ!綺麗になったわ~!」
ガチャ
穂乃果「誰か居るかな~」
凛「誰かしらいるよ」
希「おっ!えりちが居るやん」
絵里「げっ!?」
穂乃果「げって…まだ何もしてないけど…」
絵里「今日は雨だし生徒会の仕事もあるから部活はお休みのはずだったけど?何しに来たのかしら?って言うか穂乃果も仕事あるんじゃないの?」
穂乃果「今日は何か…予算の下組がどうとかで…えへへ」
絵里「成る程…そう言う事」
凛「絵里ちゃんこそ何してるの?練習ないのに部室で」
絵里「部室の掃除をしてたのよ。こんな日でもないと出来ないでしょ?」
穂乃果「え?一人で?」
絵里「真姫と花陽も手伝ってくれてるわ。二人は今借りて来た用具を返しに行ってる所」
希「そうなんや。ウチにも声かけてくれたら良かったのに」
絵里「ホームルーム終わってすぐに何処か行っちゃったじゃない」
凛「かよちんと真姫ちゃんに声が掛かってて…凛…疎外感を感じるにゃ…二人も何も言ってなかったし…」
絵里「真姫と花陽は部室に来たのよ」
凛「あっ!そっか!凛もすぐに教室から出てったから!」
穂乃果「二人共良かったね!」
絵里「と言う事で綺麗にしたから今日はこのまま回れ右で」
穂乃果「え?なんで?」
絵里「だって散らかすじゃない」
穂乃果「散らかさないよ!」
絵里「だとしてもよ」
穂乃果「だとしてもなの?」
絵里「だとしてもなの。所で気になっていたんだけど…そのサイコロは何?」
穂乃果「あ~これね」
凛「凛達は今TRPG?って奴をやってたんだよ!」
絵里「TRPG?」
希「そう!校舎をフィールドにしてな!」
絵里「へ~…で?それでどうして部室に入って来たの?」
穂乃果「そう言う指示が出たから。ね?」
絵里「成る程。じゃあ、ここは行き止まりだから」
希「いや、部室の中で出くわした人がボスって事なんで…二人共!ラスボスが現れたぞぉ!」
穂乃果「出たなぁ!大魔王エリーチカ!」
絵里「誰が大魔王よ」
凛「うわぁ。大魔王が怒ったにゃ」
絵里「くっ、話の通じない…」
希「穂乃果ちゃん!早くサイコロを振って」
穂乃果「うん。行くよ」
コロコロ
凛「あっ!6が出たにゃ!」
希「って事は…穂乃果ちゃんは賢者だから…この場合は…」
絵里「つきあってられないから!賢者だかなんだか知らないけど」
穂乃果「…いや、違うね。私は賢者なんかじゃない。そう!!私を呼ぶなら大魔導士とでも呼んでくれ」
絵里「いや、知らないけど」
穂乃果「くらぇぇ」
コテン
穂乃果「ゲフッ…」
絵里「何がしたいのよ…一人で勝手に転んで…」
穂乃果「くぅぅぅ。痛い~」
凛「穂乃果ちゃん…アイドルが出しちゃいけない声出してたよ」
希「大魔導士が聞いて呆れるやん」
絵里「はあ…結局そうやって暴れるんだから」
希「さて、次はえりちの番な」
絵里「は?」
凛「はい!サイコロ!」
絵里「え?ちょっと」
希「早く振らないと」
絵里「え?え?」
凛「何がでるかにゃ、何がでるかにゃ~、タラタラッタタラタラ~」
絵里「えいっ!」
穂乃果「絵里ちゃんってハッキリとえいって言うタイプなんだね」
希「穂乃果ちゃんもそのタイプやん」
穂乃果「希ちゃんこそ」
凛「あ~!!絵里ちゃんも6が出たにゃ~」
希「な、なんやって!!?」
絵里「6だと何だって言うのよ…」
凛「えっとね~、ボスが6を出した場合は…」
ガサゴソ
凛「はじめて○○した話!縮めてはじまる~」
絵里「………………はあ?」
凛「いや、だからはじまる…」
希「えりち!!ちゃんとサイコロの指示に従わないとルール違反やん」
穂乃果「そうだよ!穂乃果達もちゃんとやって来たんだから!」
絵里「知らないわよ!あなた達が勝手に作ったルールにどおして従わなきゃいけないのよ」
希「世の中みんな誰かが作ったルールに従って生きてるんよ?えりちだけやないからな?」
絵里「そう言う事いってるんじゃないんだけど…」
希「はあ。えりち…ワガママやなぁ。じゃあもう一回だけサイコロ振り直していいよ」
絵里「いや…別に…そもそもいいんだけど。やらなくて」
穂乃果「何が出るかな~何が出るかな~」
絵里「……えい」
穂乃果「おおっ!」
希「また6や!」
凛「はじまる…」
ガチャ
絵里「あっ…」
真姫「な、何やってるのよ絵里…綺麗にしたそばから」
花陽「真姫ちゃん。多分だけど絵里ちゃんは巻き込まれたんだと思うよ」
09
絵里「さてと、今日はトコトン勉強しよう」
ピンポーン
絵里「……」
ピンポンピンポーン
絵里「……」
ピンポンピンポンピンポーン
絵里「ダメよ。どうせ穂乃果達なんだから」
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン
絵里「くぅ…あくまでも私の邪魔をするのね」
ガチャ
絵里「うるさいのよ!!!」
穂乃果「うわっ!?出てくるなりイキナリ怒鳴った」
希「なんだ、やっぱりいるやん」
凛「ね~」
絵里「あの…人がこんだけ無視しようとしてるんだから大人しく帰ろうと思わないかな?」
希「うん。ここで帰ったら女がすたるやん」
絵里「意味わからないんだけど」
希「どうして分からないかなぁ」
絵里「どうしてはこっちのセリフよ。何しに来たのよ」
穂乃果「何しにって昨日約束したじゃん」
絵里「誰が?」
穂乃果「ちゃん絵里が!」
絵里「記憶にないんだけど」
凛「え~覚えてないの?」
絵里「悪いけど。全然」
希「人の話をちゃんと聞かないでテキトーに相槌うってるからいけないんよ」
絵里「え?あの…話作ってない?」
穂乃果「作ってないよ!なんて事言うのさ!」
穂乃果「
絵里「そう…じゃあ、ごめんなさい。本当に申し訳ないんだけど今日はダメなの。急用が出来ちゃって」
希「急用?えりちが?」
絵里「どう言う事よ?」
凛「絵里ちゃんって休みの日用事とかあらの?」
絵里「あの…私ってそんなに暇そうに見える?」
凛「ん~…」
絵里「悩まないでよ…」
希「で?急用って何?」
絵里「え?」
希「急用って何なん?それくらい教えてよ。約束してたんやから」
絵里「それは…」
希「それは?」
絵里「最近疎かになりがちな勉強をしようと」
穂乃果「え?勉強をする為に約束を破るの?」
凛「嘘でしょ?凛達と遊ぶのと勉強どっちが大切なの?勉強なんていつでも出来るのに…」
絵里「いつでも出来ないから疎かになりがちなのよ」
穂乃果「私なんて疎かになりがちになってもうだいぶ経つよ?10年くらいかな」
絵里「自信満々に言われても困るんだけど」
希「えりち。えりちが言いたい事は分かるよ。確かに勉強は大切や。それは間違いない」
絵里「そ、そうでしょう?なんか随分と聞き分けが良くてビックリしたけど…」
希「けどな。それだけやないやろ?大切な事は。えりちはそれを音ノ木坂で教わったはずや」
絵里「私が?」
希「よく動きよく学びよく遊びよく食べてよく休め!人生を面白おかしく張り切って過ごせ。ウチ等の胸にそう刻まれてるはずや」
穂乃果「そうだよ絵里ちゃん!まさに音ノ木坂流だよ!」
絵里「ごめん。知らないんだけど」
穂乃果「じゃあ今知ったでしょ?」
絵里「だからと言って勉強しなくていい理由にはならないでしょ」
凛「でも、本当に勉強のし過ぎて無理するのは良くないと思う」
希「そうやなぁ。頑張る事の美しさって言うのは教えてくれるけど逃げる事の大切さって言うのは割と誰も教えてくれよね。きっと…時には逃げる事も大事なのに」
穂乃果「うん。そうだね」
絵里「…分かったわ」
希「えりち!分かってくれたん?」
絵里「ええ。確かに逃げる事も大切だわ。だから…私はあなた達から逃げる。サヨナラ!!!」ガチャン
穂乃果「あ~逃げられた!」
10
絵里「よしっ!今日こそは勉強するわ!結局こないだは家に入れてしまったし…」
ピンポン
絵里「…」
ピンポン
絵里「…」
ピンポン
絵里「…」
ピンポーン
絵里「…」
ピンポーン
絵里「私はよく耐えたわ」
ピンポーン
ガチャ
絵里「しつこーーーい!しつこいわよ!!!!何度も何度もなん…ども…」
真姫「あっ、ご、ごめん」
絵里「え?真姫?」
真姫「あの…家の中…物音がしたからきっと居るはずだって…しつこかった…?」
絵里「そうじゃないの。てっきり穂乃果達かと思って」
真姫「そうなんだ」
絵里「うん。あの…今日はどうしたの?まさか…また穂乃果達に私の家に集合とか言われた?」
真姫「ううん。違うの」
絵里「そうなの?」
真姫「うん。たまたま用事があって近くに来たから」
絵里「来たから?」
真姫「絵里…何してるかなって思って…」
絵里「うちに来たの?」
真姫「うん。イキナリ訪ねたりして…迷惑…だった?」
絵里「そうだったのね。まさか、真姫が来て迷惑だなんて。あり得ないわ」
真姫「本当?」
絵里「ええ。実は今勉強をしようと思ってた所なの。もし良かったら教えてくれない?真姫なら三年生の範囲でも余裕でしょ?」
真姫「…仕方ないわね。ふふっ、私は厳しいわよ?」
絵里「お手柔らかに頼むわ。さあ、上がって」
ガチャン
完
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