【ちかダイ】花火と私達 (18)

渋にてあげたもののリメイク版です。


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『夏祭り一緒に回りませんか』

私はメッセージを送って息を吐く。

昔の私にはこんなことはできなかっただろう。
あの人にメッセージ一つ送ることすら。

でも私は今、あの人に対してならなんだってできると思う。

そう思いながらあの人からの返信を待った。

私、高海千歌と黒澤ダイヤさんは付き合っている。

ただ、付き合ってから日も短く、そのうえ忙しくて両方の都合が合う日が練習の日しかなかったからデートすらしたことがなかった。

そんなときに思い出したのだ。内浦の夏祭りのことを。

その日は練習も休みで、聞いたところダイヤさんも予定は入っていない。と言っていた。

ただ、Aqours全員で見て回ろうということになっていて、それを梨子ちゃんに相談してみたんだけど…

「じゃあそのためにこっちも動かせてもらうね」

と言っていた。正直嫌な予感がしていたが、それは杞憂だった。ただ皆に大丈夫か連絡していただけらしい。

結果全員満場一致でオッケー。

私はいい仲間をもったなと思った。


早速私はメッセージを送る。

昔ならメッセージを送ることすらできなかったのが今ならダイヤさんとならなんでもできる気がすると思う。なんて大袈裟すぎるかな。

夏祭りが終わったら予備予選まで1週間しかないから夏休みでダイヤさんとデートできる最初で最後のチャンス…とまで考えたとき、ずっと忘れていたこと。すなわち、2人きりで夏祭りを回るってデートではないのかということを思い出した。

だからこのデートは絶対成功させないと。

夏祭り開始1時間前。

私はダイヤさんの家の前にいた。

どこかに待ち合わせて行くよりもダイヤさんの家からなら近いからそこから一緒に行こうということになったのだ。

私はおそるおそるインターホンを鳴らすと

「今いきますわ」

と今一番聞きたかった声が聞こえた。

1分ぐらい経ってダイヤさんが出てきた。そして声を失った。浴衣が凄く似合うのだ。

和風美人という感じではあったけれど浴衣ひとつでここまでひきたつものなのか。そんなことを思っていたらダイヤさんが顔を赤くしていた。

「ゆ、浴衣なら貴女も似合っていますよ///」

どうやら声に出ていたらしい。夏祭りデートなんだから勿論私も浴衣ではあるがダイヤさんほど似合う人もいない気がする。

そんなことを思いながら私達は会場に向かった。

会場に到着して、私達はまずみかん飴を買う。
内浦の夏祭りの個人的名物と言えばこのみかん飴なのだ!

みかん飴を食べながら回るなんて「はしたないですわよ」と言われるから食べ終わってからかな なんか思っているとダイヤさんに声をかけられた。

「意外ですわね」

「意外?」

「みかん飴を食べながらでも回ろうと言ってくると思っていましたので」

「うぐっ」

「あたりみたいですね…じゃあ行きますか?」

「いいんですか? てっきり私…」

「こういう時は別ですわ」

ということで食べながら見て回ることになった。

色々見て回り、みかん飴を舐め終えて私は言う。

「ねえダイヤさん」

「なんですか?」

「手を繋いでもいい?」

「手を?ふふっ。勿論いいですわよ」 

さっき近くに梨子ちゃんと曜ちゃんがいた気がするけど気のせいだろう。

そう思っていると足元でプチッという小さな音が。

見てみると草履の鼻緒が切れていた。

「鼻緒が切れちゃった…どうしよう……」

「ここは少し人が多いですね……人の少ない場所に移動しましょうか」

そう言って私をおんぶして移動し始めた。流石に私も恥ずかしくて抵抗する。

「恥ずかしいってダイヤさん!自分で行けるから!」

「恥ずかしいのは私もですから!」

「大胆だねー。ダイヤったら」

「告白する前の初々しさはどこへ行ったんだろうね」

鞠莉ちゃんと果南ちゃんの声がした気がするけど気のせいだろうか。ダイヤさんは聞こえなかったらしい。

「果南さんと鞠莉さんの声?私には聞こえませんでしたが……」

だから恥ずかしさによる気のせいだと思った。

ダイヤさんは何故か遠くを睨んでいたけどどうしたんだろう。やっぱり私重かったかな……

人の少ない会場の隅についてから、ダイヤさんは鼻緒を直し始めると同時にこんなことを聞いてきた。

「ここから時間はまだ残っていますがどうしますか?」

「屋台いっぱい出てるから回ろう!」

ダイヤさんにも楽しんでもらいたいからね!

「わかりました。鼻緒も直し終わりましたし行きましょう」

そう言って私達はもとの道を歩き始めた。
よーっし楽しむぞー!

私達は花火の開始時間まで射的や輪投げをして楽しんでいた。

ダイヤさんがもの凄く上手くて「これが黒澤家の力……」と驚いていたら「黒澤家は関係ありませんわよ。」と笑顔で返してきたからちょっとドキっとしたりと2人で満喫していた。

そういえば移動してるとき、遠くから「未来ずらー」「ちょっ、ずら丸静かにしなさい!」「一番善子ちゃんが大声出してるよ……」と聞こえた気がして振り返ったけど誰もいなかった。まあ私達以外は全員で行動してるはずだしね。


そして私はダイヤさんのおすすめスポットにいた。他に果南ちゃん鞠莉ちゃんしか知らないらしく教えて大丈夫だったのか?と思っていたら言葉に出ていたようでダイヤさんから一言。

「貴女と見るならここしかないと思っていたので。」

というかそんなこと言われたら恥ずかしいよ……

花火が始まって、私はダイヤさんの隣に座って花火を見ていた。

「綺麗だね。」
「えぇ。」
「まるでダイヤさんみたい。」
「まるで私み……って、んっ!?」

予想通りの反応。やっぱりいつもと違って可愛い。なんて思っていたらダイヤさんの頬にキスをしていた。

「へへ……ついつい……」
「するなら言ってからしてください。私も心の準備が……///」
「じゃあ、キスしてもいい?」
「さっきもしたじゃないですか。まあいいですが……」

承諾をもらったのでダイヤさんの唇にキスをする。

その後、花火の間に私達はずっとキスをしていたのではないか。そう思うぐらい何度もキスをした。

最後の花火がうち上がったあと、突然ダイヤさんが立ち上がる。

「そこにいるのでしょう?果南さん、鞠莉さん」

「え?」

唐突に知り合い2人の名前が出てきて驚いていたら、少し遠くから声が聞こえてきた。

「やっぱりばれちゃってたかー」

「まあでもダイヤがあそこまでシャイニーするなんてねー」

「お黙りなさい。最初から気づいていましたよ」

「えっ???」

じゃあなんで言わなかったの?と続いて言おうとした。だけどダイヤさんが先にそれに答えた。

「すみません。あのムードを壊したくなかったというか……」

「でも気づいた時に凄い形相で睨んできたけどね」

「だけど最後まで言わないとは思っていなかったけどね」

あれを全て見られていたのかと思うと凄く恥ずかしい。

そんなことを思っていたら、後ろから
「ピギッ!?」「ずらっ?」「ヨハッ!?」とよく聞き慣れた声が。

「御愁傷様です……って千歌ちゃん!?」

「まったく…って私はみんなに誘われただけ!」

更に曜ちゃん、梨子ちゃんも出てきた。どうやらAqours全員に見られていたらしい。

とりあえず皆の話を聞いてだいたいの内容を把握した私は少し低い声で皆に言う。

「とりあえず、最初からずっと見ていた と」

「「「「「「「はい。」」」」」」」

「そんな悪い子の皆には……」

「「「「「「「…………」」」」」」」

「私達にアイスを奢ってもらいます!」

「えっ?千歌ちゃん、7つもアイス食べるの?」

「そんなわけないよ曜ちゃん!7人でお金出しあって私とダイヤさんの分2つ買うの!」

そう言っているとダイヤさんがそれに異議を申し立てる。

「すみません。私アイスよりプリンのほうが…」

「ダイヤさんもツッコむところそこなんだね…」

私もアイスじゃなくてもいいからプリンにしよっと♪

「じゃあプリンにしよう!」

「本当にアイスじゃなくていいんですの?」

「ダイヤさんと一緒がいいの!」

「わかりましたわ」

「これは……」

「果南ちゃん?どうしたの?」

「こういう時にダイヤって確か……」

「ではこちらのプリンを頼みますね」

ダイヤさんの見せた画面にあったのは数量限定の最高級抹茶プリン。ダイヤさんも容赦ないな…

「勿論2人分頼みますわよ?」

でもこんなデートもこれはこれでありかな♪  

数日後。2人で仕切り直しのデートをダイヤさんの家でしたのは別の話かな。まあプリン食べただけなんだけどね。

終わりです。
初めてスレ立てしたのでよみにくかったかもしれませんが、最後までありがとうございました

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