【まちカドまぞく】まぞく開眼!?柑橘少女の必殺魔法!! (53)

アニメ最終話と原作3巻の内容を見て思い付いたシャミカンSSです

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①私の評価、低すぎ…!?



~学校~



シャミ子「……」カキカキ

小倉「シャミ子ちゃんなに書いてるの~?」

シャミ子「果たし状の文面です!以前桃に渡したものは遊びのお誘いと間違われてしまったみたいなので、今度は法に触れない範囲で我が闘志をしっかと表すような内容にしたいのです」

小倉「へぇ、またやるんだ。……うまくいかなくても頑張ろうね、シャミ子ちゃん」

シャミ子「失敗が既定路線なんですか……?」



杏里「おーいシャミ子―。そんなことより来客みたいだよ~」



シャミ子「ほぇ? 誰だろう……ていうか杏里ちゃんまで『そんなこと』扱い!?」

杏里「へーきへーき! 望みが薄くたって、やってみるまで分かんないって!」

シャミ子「また失敗前提だー! もー!」

②傷心タイムリー



シャミ子「お客様とはミカンさんでしたか! こんにちはー♪」

ミカン「ん、こんにちは♪」

シャミ子「今日は転校の手続きか何かですか?」

ミカン「ううん、シャミ子に用があって来たの。急ぎの用事じゃないんだけどね」

シャミ子「桃に伝言するのはダメだったんですか?」

ミカン「まあちょっと、ね。あの子を介すると微妙に気まずいというか……」

シャミ子(気まずい? これはもしや仲裁まぞくとしての力量を試される展開……)ゴクリンコ

ミカン「用事っていうのは、シャミ子が出した『果たし状』のことなのよ」

シャミ子「!!」



シャミ子「みっ、ミカンさんも私の計画が失敗するとお思いで……?」グスッ

ミカン「どうして泣き出すの!?」

③涙腺ゆるゆるミストレス



シャミ子「すみません。今、諸事情で果たし状関連の涙腺がゆるくて……」

ミカン「どんな涙腺よ。ハンカチ貸すから、顔をお拭きなさい?」

シャミ子「ありがとうございます。……ふわぁ、ほのかなレモンの香りがする……」

ミカン「なにか知らないけど、シャミ子なら大丈夫よ。すぐ泣くしメンタル弱そうだけど、何だかんだでがんばり屋さんじゃないの」

シャミ子「私、ミカンさんと会えて本当によかったです……っ!」グスグス

ミカン「いい加減話題を戻していいかしら?」

④不可抗力です(建前)


ミカン「桃から一部始終を聞いたのだけど……このあいだ、シャミ子は戦うつもりで、桃は遊びに行くつもりで待ち合わせしちゃったんでしょ?」

シャミ子「あ、お話とはそっちの果たし状関連でしたか」

ミカン(他の果たし状があるのかしら?)

シャミ子「何かあったんですか? 誤解はされたものの、一応は平和に終わったと思いますが……」

ミカン「実はね、桃があのメッセージを解読しようと悩んでるときに背中を押しちゃったのが私なの。『デートなんでしょ?』ってね」

シャミ子「デッ、デート!!? ま、ままままあ待ち合わせをしてお出かけしたという点ではデ……トと言っても差し支えはないのでしょうか……」

シャミ子「あっ、勘違いするなよ柑橘系魔法少女よ! あれは勘違いから派生しただけで、なにも私と桃は軽々しくデートするような関係ではないぞ!!」

ミカン「まんざらでもない表情で言われても説得力ないわよ!」

⑤同居人の特権



ミカン「とにかく、私が2人のミスマッチを助長させちゃったと思って。ひとこと謝っておきたかったの」

シャミ子「そのくらい別に構いませんよ。……あ、もしかして……」

シャミ子「……桃……私と出かけるの、楽しくなかったんですかね? その……桃、帰った後に不機嫌な様子だったりしましたか?」

ミカン「あ、全くそんなことはないから安心して」

シャミ子「ほっ……」

ミカン「むしろ事あるごとに前髪を撫でつけ、変えたばかりの髪飾りをいじりながら小さく笑ってると思ったら私の視線に気付いて『……ミカン。私の顔になにか付いてるのかな?』ってごまかしてるのを何度も見るしすごく楽しそうよ」

シャミ子「なにその光景! 見たい、見たいです!」

ミカン「シャミ子には感謝しているわ。あんなにウキウキな桃、本当に久しぶりで見ているだけでこっちがニヤニヤしちゃうくらいだもの」

シャミ子「ああどうしましょうっ、桃に喜んでもらえて嬉しいはずなのにミカンさんが羨ましすぎて喜べない! ずるいずるいずるいズルーーーーいっ!」

⑥グイグイ来られると…



ミカン「要するに『ごめんなさい』って言いたかったの。あと、こないだ私の呪いで服をダメにしちゃったのも謝りたくて」

シャミ子「むしろそっちがメイン案件では!?」

ミカン「だから、今度代わりの服をいっしょに買いに行こうかと思って。近いうちに空いてる日はない?」

シャミ子「ふぇっ? お気持ちはありがたいのですが、不慮の事故から服を買ってもらうのはこっちが悪いです」

ミカン「……ま、いいわ。とにかく、近いうちに2人でどこかに出かけましょ? シャミ子が気にするなら割り勘とかで全然構わないから、予定はいかが?」

シャミ子「う、…………今度の日曜日は修行が入っていないので大丈夫です……」

ミカン「よかったぁ♪ じゃあ決まりね。楽しみにしてるわ~♪」



小倉「シャミ子ちゃん、押しに弱いねぇ……」

杏里「あっはっは! 私がセールスマンならいいカモだよ!」

シャミ子「2人ともひどい~!」

⑦持てる者の悩み



杏里「ゆーてさ、素直に甘えればいいじゃん? かわいい服買ってもらいなよ」

小倉「魔法少女って、お金に困ってる感じしないよね。お給料とか、もらえるのかな……?」

シャミ子「ですが、ミカンさんはわざとじゃなかったのに、お金を出してもらうのは気が引けます」

杏里「あー。呪いのせいでダメにしたって言ってたっけ」

シャミ子「立場は違えど自力でどうにもならないモノを背負ってしまった気持ち、私にはよく分かるんです!」



・ご立派なツノ×2による首と肩の痛み
・ぴょこぴょこ尻尾による衣類着用の難化
・ご立派な(略)による寝苦しさ
・宿敵を倒すため修行(筋トレ)漬けの日々
・突然得てしまった変質者(危機管理フォーム)への変身技術……etc.



シャミ子「私には……よく……っ!!」

小倉(切実な思いが伝わってくるなぁ~)

⑧シッポは正直



シャミ子「というわけで柑橘系魔法少女の施しを受けるわけにはいかないのです」

杏里「ちよももとの初遭遇ではパンを施してもらったのにぃ?」

シャミ子「あれはその場の勢いで! ……お腹も減っていたし、つい…………」

小倉「シャミ子ちゃんは欲望に弱いまぞくなんだねえ」

シャミ子「人聞きの悪いことを言わないでください。私だって欲はありますが、我慢できる子なはずです!」

杏里「それじゃー、桃がなんかの理由をつけて『佐田家直売・広告の品・100%赤身牛肉!!』……なんて持ってきてもシャミ子は断るんだ?」

シャミ子「……~~~~~……~~……~」



シャミ子「せ、せっかくのご厚意を無下にはできませんから。理由次第ではそういった施s、お裾分けをいただくのもやぶさかではありませんよ?」ピョコピョコ

杏里「見てみー小倉。牛肉を想像しただけで尻尾がハネまくりだよ」

小倉「シャミ子ちゃんは強欲まぞくさんなんだねぇ」

⑨誰がおばあちゃんよ!



杏里「で、どうするのさ。シャミ子が嫌なら、私から断り入れてあげるよ?」

シャミ子「それは平気です。ミカンさんと買い物しに行くのは普通に楽しいので!」

杏里「あ、そうなんだ」

シャミ子「一緒に映画を見に行ったりもしますし、服屋さんに行くと色んな流行を教えてくれるんです。近頃、良子のために子供向けの服もチェックしてくれるようになったみたいで……」

小倉「おこづかいは大丈夫なの? 出かけたときって、おやつの買い食いとかするでしょ?」

シャミ子「平気です! 確かに我が家のおサイフ事情は決して楽ではありませんが、ミカンさんは……」



『甘いものが食べたいわ。みかん飴持ってきてるけど、シャミ子も要る?』

『昨日、修行で疲れたでしょ? グレープフルーツ切ってきたから小腹が空いたら言って!』

『はいシャミ子! 自家製レモンスカッシュよ!』



シャミ子「施しとかにこだわるのがバカらしいくらい色々分けてくれるんです!」

杏里「あれだな、孫娘をやたら甘やかすおばあちゃんみたいだな!」

⑩逃げ場ナシですか?



シャミ子(そんなこんなで週末を迎えました。朝は8時に起きて目覚めもばっちりです!)

シャミ子「なのにどうして河原で待ち合わせなんですか?」

ミカン「佐田さんから聞いたわ。私にお金を使わせるのは申し訳ないんですって?」

シャミ子「そこじゃないです。普通に買い物へ行くと思って、着ていく服を決めてきたのに!」

ミカン「貴方に激しい動きはさせないから大丈夫よ。それに、」



ミカン(魔法少女フォーム)「ここなら広くて人気も少ないし、ね?」



シャミ子「うわあぁぁ!!? な、なぜ変身するー!?」 

ミカン「え? なぜって……」

シャミ子(……ハッ! も、もしかして……)

⑪ガタブルまぞくの遺言状



シャミ子(気付いてしまった。今この状況は私と桃がミスマッチを起こしたあのときと同じシチュエーション)

シャミ子(『激しい動きはさせない』っていうのも、きっとミカンさんの技の一部なんだ。あの矢を使ってなんかいい感じに私の動きを封じてから仕留める気なんだ……)ガタガタブルブル



『必殺・まぞくの縛り撃ちよーー!!!』

『あば~っ』グサーッ



シャミ子「……こ、拘束はいりません。……せめて、一撃で楽にしてください……っ」スン、スン

ミカン「どうして泣くの!? 楽にしてやる相手なんていないわよ!」

シャミ子「ほ、本当ですか? わたし危機管理フォームで悪あがきしなくていいですか?」

ミカン「悪あがく必要もないわよ!」

⑫余韻に浸らせてよね



ミカン「ときどき思うのだけど、貴方って結構早とちりよね」

シャミ子「えへへ。面目ないです」

ミカン「今日はシャミ子に私の技を見せてあげようと思ってるの。ダメにした服、アナタがお詫びを遠慮するなら別の形でお返ししようと思ったから……」

シャミ子「ミカンさん……いいんですか!?」

ミカン「本当なら絶対ダメなのよ? 闇の一族相手に手の内を晒すなんてね」

シャミ子「え? それなら私、やっぱり……」

ミカン「いいのよ。だって、シャミ子はもう私たちの味方でしょう?」

シャミ子「! ……あ、いや、舐めるなよ魔法少女! 油断している隙に寝首を掻かれても知らんぞ!」

ミカン「もう、素直じゃないんだから。貴方が気にすることなんてないのよ?」

シャミ子「ミカンさん……っ」



シャミ子「では早速お願いします! 通行人に気兼ねしないでドカンとやっちゃってください!!!」

ミカン「切り替えが早いのね!?」

⑬ハラスメントよっ



シャミ子「ミカンさん、私あれが見たいです! 以前口にしていたサン……なんとかの必殺技を!」

ミカン「『サンライズアロー』のこと?」

シャミ子「それです!!!!」

ミカン(うわぁ、めちゃくちゃに目を輝かせてくる……)

シャミ子「あれ見せて見せてやってみせてくださいっ。見たいです私ミカンさんの必殺技絶対見たいぜひ見せてお願いしますやってやってやってー!」グイグイ

ミカン「ちょ、待っ……そんなに激しく押してこないでーーーーー!」



川「ざぱーん」 波「じゃぶーん」 魚「びったーん」



シャミ子「……唐突に川の流れがうねって飛び出してきた魚たちが私の顔面に体当たりしてきましたが、被害は頭部に留まったので服は大丈夫でした。だから泣かないでミカンさん」

ミカン「ごめんなさい! 本当にごめんなさい!!」

⑭見たいものは見たい



シャミ子「今のはがっついてしまった私の責任です。それはそれとして早くミカンさんの必殺技を見せてください」

ミカン「謝りつつも依然押しが強いわね……」

シャミ子「だってだって! 桃たちと会ってから変身姿は何度も見たのに必殺技は一度も見たことないんですもん! 見たいみたい! 魔法少女の必殺技がみたーーーーいぃーーーーーー!」

ミカン「分かった、わかったから。ただ、いきなり必殺技っていうのもなんだし……そうだわ、」

ミカン「シャミ子、あそこを見て。ちょっと遠くに橋が架かってるでしょ?」

シャミ子「ふぇ? ……あ、はい」

ミカン「あの橋の……そうね、真ん中の柱。ちょっとの間、注目しててね」

シャミ子「はぁ。何かあるんですか……?」



ヒュッ …パシンッ



シャミ子「……ぁっ! なにやら蜜柑色の光が弾けてっ?」

⑮デモンストレーション



ミカン「………………」ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ 

シャミ子「あわわ!? こんどは3度同じところで光が弾けた!」

ミカン「……」ヒュヒュンッ、ヒュヒュンッ、パシュッ

シャミ子「2回、2回、大きな光が1回! ……もしかしなくても、今の全部ミカンさんが撃った矢ですよね!?」

ミカン「そうよ。ま、動かない的が相手ならこれくらいはね?」

シャミ子「………………」プルプルプル

ミカン「あら、少し地味だったかしら。安心してシャミ子、次はもっと派手な……」

シャミ子「……しゅごいぃぃ…………っ」

ミカン「……へっ?」

⑯畑違いよ



シャミ子「すごーーーーーーーーい!!」

ミカン「!? あ、ありがとう。喜んでもらえると私も嬉しいわ……」

シャミ子「ミカンさん! 私ああいうのはじめて見ました! スゴイ! カッコいい!」

ミカン「……そ、そう? ……もっと褒めてくれてもよくってよ?」

シャミ子「褒めます褒めます! 一体、どうして今までこんな技を温存してたんですか!?」

ミカン「ま、見せどころがなかっただけよ」ドヤァ

シャミ子「あのあのっ『5,6発くらい早撃ちしても弾痕は1つだけ、実は全部同じ場所に命中していた……』みたいなのってできますか!?」

ミカン「それは……無理だと思う。ずいぶん具体的な要望ね?」

シャミ子「はい! 劇場版ののび太くんリスペクトです!」

ミカン「あの子が撃つのは銃じゃなくて!?」

⑰今まで楽しく話してたのに



シャミ子「でも、ちょっとだけ背筋に冷や汗が流れました。戦慄まぞくです」ゴクリ

ミカン「そう? 地味めの技だったのだけど……」

シャミ子「めちゃくちゃ連射してましたよね。あれが地味って、ミカンさんが想定する敵の耐久力はどれだけですか?」

ミカン「そう単純でもないのよ? まず、動く相手には当てることから苦労するし、上手く撃ってもガードされたりするもの」

シャミ子「そうですか。てっきり、ミカンさんの敵は超耐久の方ばかりかと……」

ミカン「もう、シャミ子ったら早とちりなんだから♪」

シャミ子「あはは。私だけが闇の一族の中でとびっきりの打たれ弱さだと思っていたのも、勘違いみたいでよかったです!」

ミカン「………………」

シャミ子「分かりやすく無言にならないで!!」

⑱イヤミですかミカンさんッッ!!



シャミ子「でもでも、防御力の高い敵を倒すための手段だって当然持ってますよね!?」

ミカン「え? 持ってはいるけど……なんだか、まわりくどい言い方をするのね?」

シャミ子「さ、さて何のことでしょう?」

シャミ子(私から必殺技をねだればハラスメント扱いでまたミカンさんの呪いが降りかかるかもしれない。ここは敢えて向こうからの申し出を待つ頭脳プレーです)クククのク…

ミカン「まあいいわ。とりあえず、強敵を倒す手段が見たいってことでしょ?」

シャミ子「! ミ、ミカンさんが見せてくれるのならば!」

シャミ子(不覚にもワクワクしてきました。ついに"サンライズアロー"の全貌を我が目に……)



ミカン「じゃあ毒矢と追尾矢のどっちから撃つ? あっ、毒は見た目じゃ分かりにくいし追尾矢にしましょうか♪」

シャミ子「そっちじゃないッッ!!」

⑲言ってから気付く恥ずかしさ



シャミ子「す、すみません。思わず取り乱してしまって……」

ミカン(今まで聞いたことないレベルのツッコミさせちゃった……)

シャミ子「単刀直入にお願いしますが、やっぱりミカンさんの必殺技を見せてください!というか、今日私がここにいる理由からしてミカンさんは私に見せる責任があるはず!」

ミカン「うっ……」

シャミ子「大体、桃もミカンさんも何故にそう物騒な考え方なんですかっ。魔法少女は皆わるわるなんですかっ?」

ミカン「わ、悪いことはないでしょ? ただ、その……なんていうか」

シャミ子「なんていうか?」



ミカン「……戦いが日常だったから、合理的な方向に流れてしまっただけよ……」



シャミ子「……!!」



シャミ子「すごいですミカンさん。殺し屋アクション映画みたいなセリフをリアルで初めて聞きました! クールです! カッコいい!」

ミカン「ああああああ!! 恥ずかしいからやめて!」

⑳ロケットスタートですか!?



ミカン「もう。思わず呪いが出るところだったわよ?」

シャミ子(『くしゃみ出るかと思ったー』……みたいなノリで言われても困る)

ミカン「真面目な話、必殺技を撃つよりも、小さな手間で命中率や威力を激増させる仕掛けをする方がラクなのよね」

シャミ子「そこは合理性よりロマンを優先しましょうよ。魔法少女なんですから!」

ミカン「わ、私だってはじめからそんな殺伐としたギミック使おうとは思わなかったわよ……」

シャミ子「……そうですよね。きっと、ミカンさんは戦いを経ていく中で実戦的な考え方を……」

ミカン「ただ、守護天使のミカエルちゃんが"猛毒を使える"っていうからそういうのもアリかな……って」

シャミ子「開始時点で毒まみれ!?」

㉑公開処刑



シャミ子「と、とにかく別の技を見せてくれませんか? こんな話題ばかりだと気が滅入りそうです」

ミカン「……そうね。言い出しっぺは私なんだし、責任とらせてもらうわ」キィィィン

シャミ子「はわ、ミカンさんのボウガンが発光している。オーラを感じます!」

ミカン「さっきと同じところ狙うから見てなさいよ。……すう、はぁ……」



ミカン「受けなさい! 輝く陽光の一閃・『サンライズ』……!」



通りすがりの小学生A「あ、魔法少女だー!」

小学生B「サンライズー!? サンライズー!!」



ミカン「…………やっぱり止めていい?」プルプル

シャミ子「いえ、ここは引けません。ワンモアタイムミカンさん!」

㉒分かりやすくてありがたいわ!



ミカン「私としたことが。シャミ子がノせまくるものだから、久々に口上まで入れちゃったわ」

シャミ子「そういうすばらしいものは恥ずかしがらずにガンガン言ってくべきだと思います」

ミカン「あの、さっきの技は通行人の目を引くからやっぱりナシでいいかしら? ごめんね」

シャミ子「え~……? 見せてほしかったです、ミカンさんのサンライズ……」

ミカン「代わりに『サウザンドアロー』はどう? 一度に沢山の矢を放って相手を"面"で捉える範囲技よ」

シャミ子「ははははは範囲技!!!? なんですかそれ見たいみたいすっごい見たい!!」ピコピコピコ

ミカン(尻尾がすごくハネてるわ。シャミ子、ワクワクしてくれたのね!)

㉓見てる側が心配よ



ミカン「比較的近い相手を想定して撃つ矢だから、さっきの橋じゃなくて川の水面に撃つわね」

シャミ子「ミカンさん、私、今ヤバいです。用途に合わせた技があるという設定だけで興奮できそう! いやしている!」ピコピコピコ

ミカン「それじゃあ行くわよ。――お魚さんビックリさせてごめんなさい――はぁぁっ!」シュンッ



パシュシュシュシュシュッ…    バシャシャシャァン!



シャミ子「ほわぁ~~~~~~!!?」



ミカン「こういう応用も――できるのよっ」バシュッ



シュンシュンシュン……    バッシャァァァアン!



シャミ子「上に放った矢が、シャワーみたいに一気に落ちて!? なんですかこれ新手のイルミネーションか何かですかこれあわわわわはぁぁ~……っ!」ピョコピョコピョコピョコ

ミカン「ちぎれそうなくらい動いてるけど平気なのソレ!?」

㉔現実に目覚めなさい



シャミ子「ミカンさん、率直に言って感動しました。今ここで尻尾の靱帯がちぎれたとしても悔いはありません」

ミカン「尻尾の靱帯なんてあるんだ……」

シャミ子「そこは引っかからなくていいです」

ミカン「シャミ子も撃ってみる? 私の武器、貸すわよ」

シャミ子「!!!! ……本当にいいんですか?」

ミカン「いいわよ。はい、どうぞ」

シャミ子「ふぉぉぉおおおおおお! これが柑橘系魔法少女の……!!」

ミカン「ふふっ。喜んでくれて嬉しいわ♪」

シャミ子「すごいです。装備しただけで攻撃力・射程距離・命中率が上昇したように感じる!」

ミカン「ゲーム世界の住人なの?」

㉕桃色のトラウマ



シャミ子「あの、矢は私が用意するんですか?」

ミカン「そうね。弾のリソースは撃ち手の魔力になるから、魔力不足だと出現しないけれど……修行成果のテストだと思ってやってみたら?」

シャミ子「了解です、やったります!」

ミカン「撃ち方は……そうね。何かしらの強力な念を込めて矢をつがえ、撃つマネをすればイケるはずよ」

シャミ子「強力な念?」

ミカン「なんでもいいから、心に浮かぶ素直な言葉を叫びながら矢を撃ってみて?」

シャミ子「分かりました……」スッ



シャミ子「……『今日の夕飯は』……!」

《そのとき、シャミ子の脳裏にあの日の記憶(こうけい)が蘇った!》



シャミ子『今夜はガッツリしたものが食べたい!!』

桃『そういうのじゃない』

シャミ子『~~~~っ』カッ!



シャミ子「あばばばばぁ!! あ、危ないところでした!」

ミカン「シャミ子!? 急に撃つのを止めてどうしたの?」

シャミ子「な、なんでもありません! そこで見ているがよい、魔法少女!」

ミカン「よくわからないけど分かったわ!」

㉖『一皿100円』の魔力



シャミ子(危ないあぶない。素直な言葉と言われ、またもや食欲に誘われる醜態を晒すところでした)

シャミ子「素直な言葉って、ミカンさんの『サンライズアロー』みたいな技名なんですかね」

ミカン「そうね、厳密に言うと魔力を解放するトリガーとなるワードなんだけど……面倒だし、ただの願望を技名っぽく叫んでもよくってよ」

シャミ子「わかりました。……えっと、んーと」



シャミ子「……クラシズ!」

シャミ子「ハマシズ! カッパー! シスザンマ!!」

シャミ子「…………シースロー!!!」



ミカン(シャミ子、回るお寿司屋さんに行きたいのね!)

㉗勝負強いまぞくになりたい



シャミ子「はあ、ふぅ。あと少しで何かが出そうなんですが……」

ミカン「焦らなくていいわ。リラックスすると素直な気持ちが出てくるはずよ」

シャミ子「そ、そういう風に言われると尚更リラックスできなくなりそう……」カチンコチン

ミカン「ま、まあ中にはプレッシャーを原動力にできる魔法少女もいるから……」

シャミ子「プレッシャー…………そうですねっ、」



通りすがりの会社員(なんだアレ……)

犬の散歩に来た人(あの子どこかで見たような……)

??(……がんばって)

犬「ワンワン!」



シャミ子「頭上からの視線、いやオーディエンスの期待に応えるためにがんばります!」

ミカン「貴方そんなにエンターテイナー気質だったの!?」

㉘ごめんあそばせ



シャミ子「ところでミカンさん、私、思い出したことがあるんです」

ミカン「なに?」

シャミ子「桃と出会ってすぐの頃、似たような流れで魔力を放出したことがあるんです。でも私が未熟なせいか、放ったまりょくが私の方にUターンしてきて……」

ミカン「それで、シャミ子はどうしたの?」

シャミ子「とても痛かったんです、筋肉注射くらいに! ……だから、」

ミカン「シャミ子は必殺技を出したくないの?」

シャミ子「それは出したいです出させてください! でも、魔法少女の前で自爆するのは嫌なんです!」

ミカン「……自爆したとき、シャミ子のまりょくはどんな風に放出されてどういう具合で戻ってきたの?」

シャミ子「ああ、それはこう、」



シャミ子「ぽよぽよっと出てきて、ふわふわって飛び始めたのがふよふよって向こうへ行ったかと思うとぽわわわ~って私を追ってきたので逃げたんですけど追い付かれてちくーっ! ってして……」



ミカン「……フフッ」

シャミ子「あぁ~~! 笑うなぁ~!」

㉙あなたは私が守るもの



ミカン「まあ、当時から間が空いたし再チャレンジしてみたら? 成長した今の貴方なら、案外ちゃんとしたモノが出るかもしれなくてよ」

シャミ子「成長……」

ミカン「とにかく撃ってみましょうよ。苦い思い出で躊躇するのは分かるけど、大丈夫よ」

シャミ子「どうして言い切れるんですか?」

ミカン「だって、シャミ子は私が守るもの。全部私の発案なんだし、この陽夏木ミカンに頼ってくれてよくってよ?」

シャミ子「……~っ」カァッ



ミカン「ちょ、ちょっと! だんまりされると恥ずかしくなるから、何か言ってよ」

シャミ子「……その手の言にはあまり慣れていないものでして……すみませんでした」プシュ~…

㉚魔力を出します、出していきます!



シャミ子「ええい、女は度胸! こうなったらやってやりますよ!」

ミカン「その意気よ!」

シャミ子「よし、それじゃあ向こう岸の土手に魔力をぶつけるイメージで。……はぁぁ~~~」

シャミ子(素直な気持ちを言葉に……私は……)



シャミ子「みんなと! 一緒に、」



シャミ子「おいしいご飯を……食べに行きた~~~い!!」ポッ!



魔力弾「ふわ~ん」



シャミ子「や、やった!見てくださいミカンさん、出ました! 何かが出ましたよ!」

ミカン「いや、魔力よね?」

㉛魔弾再来



魔力弾「~~~」フヨフヨ



シャミ子「やりましたミカンさん! 以前出したものより大きく力強いまりょくになっています!」

ミカン「そ、そうなんだ。シャミ子も成長しているのね……」

ミカン(……思ってたより、大分かわいらしくて弱々しい動きと大きさなのだけど……)

シャミ子「よーし! そのまま土手にぶつかり地面をえぐり取ってしまえー!」

ミカン(言葉が地味に物騒だわ。シャミ子、成長したのが嬉しくて気が大きくなっているのね!)



魔力弾「~~」フヨヨヨヨヨ~

シャミ子「いけー! やれー! そこだー!」



魔力弾「………」ピタッ

シャミ子「飛べー! とべ……えっ?」



魔力弾「……~~」クルリンッ

シャミ子「!!」

㉜守られまぞく



まりょくだま「~~」フヨフヨフヨ

シャミ子「わああああああ! Uターンしてこっち来ないで痛いから~~~!」



まりょくだま「ゴシュジンサマ~」フヨフヨフヨ



ミカン(シャミ子基準で成長してても、まだ未熟なのね。放出された魔力が本体に回帰しようとしているわ)

シャミ子「ミカンさん助けて!」

ミカン(飛ぶ速さもイメージもシャミ子から聞いた話と大差ないわね。これなら……)



ミカン(魔法少女フォーム)「大丈夫よシャミ子! 私の後ろに隠れて、お任せなさい!」

シャミ子「わぁ~~…! ミカンしゃん……!」ピョコピョコピョコ

㉝こんなハズじゃないのに



ミカン「安心して。私の魔力であの弾を撃って相殺するからね」キュイイイン

シャミ子「はい!」

シャミ子(魔法少女のコスチュームがこんなに力強く感じるだなんて……。ミカンさん、ありがとう……)

ミカン「はぁぁっ!」シュッ!



ミカンアロー「シュッ」

まりょくだま「スッ…… ……~~~」フヨヨヨヨ

ミカンアロー「……シュー……ッ」



シャミ子「あれ? 今、私の魔力に当たったはずの矢がすり抜けていったような……」

ミカン「……っ!」

シャミ子「あ、あの。ミカンさん、これ……」

ミカン「! ……だ、だだだ大丈夫よシシャミ子。わ、私が守る……から」

シャミ子(全然大丈夫そうに見えない!)

㉞はわわ系魔法少女



ミカン「あっヤバいわ。呪い出そう……」

シャミ子「やめてミカンさんガマンして! 私のまりょくが戻ってくる~!」



まりょくだま「オウチカエリタ~イ」



ミカン「……このっ!」ヒュンヒュンヒュッ



ミカンアロー×3「シュンッ シュンッ シュンッ……」



シャミ子「ふぎゃ! ま、またすり抜けてますよミカンさ~ん!」

ミカン「はわわわ……」

シャミ子「分かりやすくうろたえないで! あのカッコよかったミカンさんは何処に!」

㉟涙目系魔法少女



ミカン「苦手な近射をがんばって当てたのに……!」プルプル

シャミ子「ミカンさん動揺しちゃダメ! 川面や地面から呪いの兆候が見えています!」

ミカン「そんなこと言われても~っ!」



まりょくだま「ココマデキタヨ~」



シャミ子「ああもう目の前までっ」

まりょくだま「アトスコシダヨ~」

シャミ子「とにかく逃げなきゃ……! あう、うぅぅ……」



シャミ子「ききかんりーーーーー!!!」

㊱出番待ちの呪いたち



シャミ子(危機管理フォーム)「はぁ、はぁっ。変身したはいいものの、逃げ続けるくらいしか役に立ちません~……っ」

まりょくだま「マッテヨ~」

ミカン(なんで消えないの? 触媒が同じだからとか……魔力の性質が近くなって相殺しない? 誘導して特定の物体にぶつければ。……ダメだわきっとすり抜ける! 矢じゃ足りないか、魔力を有した存在が接触して吸収すれば…………)

シャミ子「ミカンさん、ぼーっとしてないで逃げて!」ガシッ!

ミカン「……シャミ子!?」

シャミ子「言ったでしょう! あんなふよふよしてても当たると大変なんですよ! ミカンさんは痛くなっても大丈夫なんですか!?」

ミカン「当たると大変……。……そうだわ!」

シャミ子「へ?」



ミカン「あの弾は私にぶつかればきっと消えるから大丈夫だわ! 安心してシャミ子。筋肉注射のことは分からないけど、ただ痛いだけなら私だって堪えられるわっ」

シャミ子「ミ、ミカンさん……!」



シャミ子「……水面は揺れ小石がやたらと跳ね回りどこからともなく現れた大蛇が私の方をにらんだまま不穏な気配を醸し出してますけど本当に大丈夫なんですか!?」

ミカン「お願い! そこは見て見ぬフリをして!」

㊲普通の注射より痛いの?



ミカン「ここに来たのも、シャミ子が魔力を放ったのも私が元凶よ。『守る』って言ったんだからこれくらい任せなさいよ!」

シャミ子「……っ」

ミカン「ほら、私の後ろに回って。多少のダメージは魔法少女につきものだから、慣れてるわ」

シャミ子「そんなことっ……言わないで……!」

ミカン「かか、覚悟は決めたわよ! 筋肉注射、かかってきなさいなー!」



まりょくだま「~~~~」フヨフヨフヨ



シャミ子「……やっぱりダメ―――――――!!」グイーッ

ミカン「!?」

㊳生々しい言い方ね



ミカン「シャミ子、やめなさい! 腰のあたり抱き着かれたら、動きが……っ」

シャミ子(あれ、体の位置を入れ替えるつもりだったのに動いてくれないっ。ミカンさんの体幹の強さが予想外……! ……えーと、とにかく……)

シャミ子「本当は嫌なのに、痛いの慣れてるなんて言わないでください! 私の産んだまりょくなんだから、責任持って、認知させてください~!」グイグイ

ミカン「変な言い方しないで!? ていうか、そんなに引っ張らないでシャミ子、いい加減、転んじゃ……あっ」ズルッ

シャミ子「えっ?」



回転しながら倒れるミカン… 覆い被さるように追随するシャミ子…
接近するまりょくだま… 慌てるミカン… 襲い来る大蛇… 飛び跳ねる魚たち… 
事態が飲み込めないシャミ子… 更に慌てるミカン… 溢れだす河水… 飛来する謎の鳥たち…
押し倒されたミカン… 押し倒したままのシャミ子… 接近するまりょくだま… 接近する…………



ペシーーーン



シャミ子「あ痛っだあああああああ~~…………!!!?」

㊴予期せぬ来訪者



シャミ子「ひぐぅ~……。採血で血管の通らない場所を注射されたあと針をグリグリされたときくらい痛い…………」

ミカン「シャミ子ぉ……。私、わたし……」グスン

シャミ子「い、いいんです。私がそうしたくてミカンさんを庇ったんですから。ミカンさんだって、私のしたいことをさせようとしてくれただけなんですから……。……謝らないでください」

ミカン「シャミ子、貴方…………なんていい子なの~……!」

シャミ子「ふわぁ!? またもや大蛇や魚たちが……!」



??「きゃあ!」



ミカン「! だ、誰かいるの!?」 

ミカン(呪いに巻き込んじゃダメだわ……! すぅー……はぁー…………落ち着きなさい、私……。…………大丈夫……大丈夫…………)

シャミ子「い、今の声は……!」

㊵新語を生まないで



良子「び、びっくりした。あんなヘビ、今まで見たことない……」

シャミ子「良! どうしてここにいるんですか?」

良子「あ、えと。……私、そっちに近づいても大丈夫……?」

ミカン「だ、大丈夫よ! ……カッコ悪いところを見せて、ごめんなさいね」

シャミ子「良、いつのまに来てたんですか。さっきの騒ぎが耳に入ったとか?」

良子「んーと、なんていうかな……」



良子「同じ学校の子が『あっちで魔法少女がサンライズってる』って話してたから、お姉が桃さんたちと何かしてると思って川を辿ってきたの」



ミカン「"サンライズる"って何よ……!?」プルプル

シャミ子「ミカンさん抑えて!」

㊶直視しがたい現実



良子「お姉が武器を構えて何かしてるあたりから見てたんだ。そのあとは、ミカンさんと訓練か何かしてるのかなって思って、時々カメラで撮りながら眺めてた」

ミカン「そっか。お姉ちゃんと一緒に慌てたところを見せちゃってごめんね」

良子「ミカンさん、変身してるぽかったからいい記録になると思って。……本当は、お姉に反旗を翻して戦ってるのかと思ったんだけど」

シャミ子「戦う?」

良子「あ、うん。……その…………」



良子「お姉、桃さんが言ってた"戦装束"と同じ格好してるし……」



シャミ子(危機管理フォーム)「!!!」カァァァッ

㊷姉妹元気で仲がいい



シャミ子「良子っ! そ、そのカメラに収めたフィルムをお姉ちゃんに渡しなさぁーい!」

良子「だ、だめ~! いい写真いっぱい撮れたのに~!」



ミカン「…………」



シャミ子「もう、良ってば! ミカンさんからも何か言ってください!」

良子「ミカンさんっ。私、これだけはお姉に譲りたくない……!」



ミカン「……ふふっ。くふふふふふ……!」

㊸吉田家には効果ばつぐん!



ミカン「……ねえシャミ子。お昼ごはんまだでしょ? よかったら、これから桃の家に来ない?」

シャミ子「ふぇ。それが良のカメラとどう関係するんですか?」

ミカン「良ちゃんの写真って桃のプリンターで現像してるのよね? 2人であそこに寄って、良ちゃんが撮った写真を見ながら話を続けたら?」



ミカン「今日はなんだか、お昼ごはんを振る舞わせてほしい気分なの。もちろん、良ちゃんもね♪」



シャミ子「え、あ……」

良子「それって、桃さんのお家でお食事のお誘い……ということですか?」

ミカン「ええ。なんなら、お寿司屋さんの出前をとっても構わなくってよ」

吉田姉妹「!!!!!」

ミカン(えっ、なんか凄くギラギラした目で見られてる気が……)

㊹お礼の気持ち



シャミ子「出前って本当ですか? 我が吉田家においてはかなりクリティカルな響きですが!」ピコピコピコ

良子「お姉、魔法少女ってすごいね……!」

ミカン「こ、高級お寿司とかは考えてないわよ? それにまだお昼だし、がっつり食べる想定はしてないのだけど……」

シャミ子「いえ、それでも最の高です! でもミカンさん、どうして……」

ミカン「どうしてって……」



ミカン「…………」



ミカン「……ふふっ。今日、シャミ子と過ごして"私がそうしたくなったから"よ♪」

シャミ子「言葉の意味はよく分かりませんが、すごくありがたいです!」

良子「これがお姉のカリスマあっての業……!? 良、お姉がお姉でいてくれてよかった!!」

㊺すごい一体感を感じる



シャミ子「それでは、私は一度帰っておかーさんに昼食の予定を伝えてきます!」

良子「おかーさんが準備を終えてたら、夜ごはんにお寿司をもらっていいですか?」

ミカン「いいけど……。2人から妙に強い連携を感じるのは気のせいかしら?」

シャミ子「じゃあ良。お姉ちゃんが帰る間に先に桃の家へ向かってください。ミカンさんは良子をよろしくお願いします」

ミカン「分かったわ。桃には私から話を通しておく」

シャミ子「今日は本当にごちそうさまです! それでは~!」

ミカン「ば、ばいば~い……」



ミカン「……じゃ、行きましょうか」

良子「うん♪」

㊻良の言葉に傷付く良心



良子「お姉とミカンさん、今日は何してたんですか?」

ミカン「ん、まあ……良ちゃんの言ってた訓練みたいなものかしら。最後は、ちょっとわちゃわちゃしちゃったけどね」

良子「やっぱり……! お姉は、いつもまっすぐ。ミカンさんや桃さんも、そういうところに憧れて配下になったの?」

ミカン「……そうね、シャミ子はいい子だわ。素直だし、努力家だし……今日だって、あの子に助けてもらったのよ?」

ミカン(配下ってわけでも、ないんだけど。……まあ、いいかしら……)

良子「お姉、頑張ってるんだ。……私は、さっき河原が大変なことになってるのを眺めるだけで何もできなかった」

ミカン「あ、まあ。大変なことが起きたのは私のアレなんで……その……ごめん、気まずくなるから一旦その話はよしてくれる……?」

㊼自作自演はお断りよ!



良子「私、ミカンさんが羨ましい。桃さんたちは戦えるけど、良は子どもで頭脳労働でしか貢献できないから」

ミカン「子どもが頭脳労働している時点で大概凄いわよ?」

良子「ありがとうございます。……これからも、桃さんと一緒にお姉を支えてあげてください。ああいう風に走り回ったり騒いでるお姉を見るのって、なにか新鮮で良も楽しいの!」

ミカン「良子ちゃん……」



良子「そして、ゆくゆくは魔法少女の生き血を奪って一族の解呪を手伝ってください! 良もいっぱい応援するから!」



ミカン「わたし被害者になってない!?」

㊽シャミ子同好会?



良子「ところでミカンさん、『サンライズって』たのってミカンさんですか? お姉と二人きりで何してたんですか?」

ミカン「うぐっ。その動詞、ちょっと心が痛むから控えてもらって構わなくて……?」

良子「あ、ごめんなさい。訓練を勝手に見ていてなんですけど、言いにくいことなら……」

ミカン「そんなことないわよ。でも、まあ、ちょうどいいし話しちゃおうかしら?」

良子「話す?」

ミカン「私とシャミ子の話よ。元は私から誘って、色々あって……シャミ子には助けてもらっちゃったわ」

良子「お姉に!? ……さすがお姉、身を挺して部下を庇う大将の鑑……」

ミカン「ふふふ。桃の家までまだまだ遠いし、ゆっくり話しながら歩きましょう?」





ミカン「大好きなおねーさんの、武勇伝をね♪」

㊾桃色の焦燥



桃「なるほど。それで、良子ちゃんは現像しに来ててミカンはシャワーを浴びてるんだ」

良子「うん。河原の水や泥で、汚れちゃったんだって」

桃「そっか。じゃあ、シャミ子もこれからウチに来るんだね。……ふぅん、そっか……」

良子(桃さん、なんかそわそわしてる……?)

桃「あ、写真出てくるよ。いっぱい撮ったんだね」

良子「うん! お姉もミカンさんも武器を持ってたから、張り切っちゃいました!」

桃「にしても、二人で訓練か。シャミ子に魔力を撃たせたって、一体どんなことを……!?」



・ボウガンを持って力むシャミ子の写真



・なぜか頬を染めている二人の写真



・魔力を出せて喜ぶシャミ子の写真
・やけに慌てているミカンの写真



・ミカンに抱き着くシャミ子の写真



・見切れている散歩中の犬



・シャミ子に押し倒されたミカンの写真



・押し倒した/された状態で昂ぶっている二人の写真



・大蛇と謎の鳥たち
・ポロポロ涙を流すミカン、慰めるシャミ子の写真



桃「……良ちゃん、ちょっとここで待ってて。何かあってもとりあえずジッとしててね」

良子「ん、わかった。桃さん、どうしたの……?」

桃「どうしたっていうか……うん、大丈夫だよ」



桃「ちょっとミカンと"お話し"してくるだけだから」ニコッ

㊿旅立ちの刻



杏里(シャミ子から出前寿司の感動を語られた、その日の放課後でした)



杏里「おっ、ミカンじゃん! おーい、こっちこっちー!」

ミカン「佐田さん!? ……お家のお手伝いかしら?」

杏里「そんな感じだね。こんな夕方に街をふらついて、夕飯のメニューに悩んでるのかな」

ミカン「ううん。私ね、一人暮らしの部屋を探してきたところなの」

杏里「ぇっ、なんで!? ちよももの豪邸で一緒に暮らしてるんでしょ、トラブルでもあったの?」

ミカン「ん、まあ……ね。誤解で起きたことだから、すぐに解決したんだけど……ね」

ミカン「前々から思うところはあったの。桃が悪いわけじゃないんだけど、一人で色々考えたいこともあって……」



ミカン「……私、決めたの! 友達の家から出て、自力で色々考えてみよう……って!」



杏里「…………」

杏里("ぜってー桃となんかあったでしょ"とか、"私らの年で一人ってきつくね"とか、"引っ越し先、決まったらたまに様子見に行ってやろう"とか、色々思うことはあったけど)

杏里(とりあえず、引っ越し前祝いってことで肉を買ってもらえたので快くお別れすることにしておく私でした。めでたしめでたし)





《がんばれミカン 家賃が安すぎる物件は要注意だぞ!》

以上です お読みいただきありがとうございました


シャミカンの距離感が好きです(小並)

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