【ミリオン】桃子&莉緒「体が入れ替わっちゃった…」 (38)



ー 某所 グラビア撮影1日目 ー


桃子「もう!桃子、またスタッフさんに子供扱いされちゃった!
桃子が踏み台に乗って喋るのが、そんなにおかしいのかな!失礼しちゃう!」 

桃子「……あ、あそこで撮影してる莉緒さん。
わぁ……すっごくダイタンなポーズで男の人をドギマギさせてる!」

桃子「莉緒さん…スタイルも良くって。
オマケにぐらまーだし。それにくらべて桃子は……(ペタペタ」

桃子「む。お兄ちゃん、莉緒さんばっかり構って!
……ちょっとお兄ちゃん!桃子の好きなジュース、買ってきて!今すぐ!」

桃子「(桃子も、莉緒さんみたいオトナの体つきになれば、
子供扱いされなかったり……
お兄ちゃんを……ドキドキさせられるのかな?)」




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莉緒「…とりあえず休憩ね!
ありったけのセクシー、出し切れたと思うけど♪
……あ!桃子またPくんをコキ使ってる!あはは!」

莉緒「いいわね…子供は。Pくんに素直に甘えられて。
大人になればなるほど、誰かに甘えるのって難しくなるのよね…」

莉緒「しかも……あんなにお肌もプルプルで……!スキンケアなしにあのハリは反則よ!反則!」

莉緒「小さいってだけで何やっても可愛く見られて……ちょっとだけ、羨ましいわね……」

莉緒(私も一度だけ、小さくなってもっとPくんに素直に甘えたりしてみたいな…
…なんて!ぜったいムリだけど!)




P「撮影、お疲れ様!2日目もよろしくな!

でもまさか、ふたりとも今日が劇場の掃除当番だなんてな。
撮影の後で疲れてるかもしれないけど、頼むな?」


桃子「はいはい。
お兄ちゃんも、青羽さんに残業しすぎって怒られてるの桃子知ってるんだから。
今日は早く帰ること!いい!?」


P「ああ。そうするよ。
莉緒。よかったら桃子を駅まで送ってやってくれな!
じゃあ!」(スタスタ…


莉緒「わかったわ!
さぁ桃子!やるからにはしっかりやるわよ!」


桃子「言われなくても、ピッカピカにするんだから!」



……




莉緒「ふぅー!かなりキレイになったんじゃない!?」


桃子「とーぜんだよね!桃子が掃除したんだもん!(フンス」


莉緒「ほら!床に映り込むくらいきれいになってるわ。
これなら、明日の定期公演の娘たちも、気持ちよく歌って踊れるわね!」


莉緒「でも桃子、結構遅くなっちゃったけど、親には連絡しなくていいの?」


桃子「…………べつに!桃子は大人なんだし、帰りが遅いくらいでイチイチ連絡しなくていいんだもん」


莉緒「ふーん、大丈夫ならいいんだけど。
さ、着替えて帰りましょ!」





ーー 夢の中 ーー



莉緒「あれ?ここは……。寝たのは覚えてるケド…このボンヤリした空間……夢かしら?」


桃子「あ!莉緒さん!なんで夢の中に莉緒さんがいるの?」


莉緒「桃子!なんか夢とは思えないくらいリアルねぇ…」


???「ふふふ!そのとおり!アタシのチカラで、あんたらを夢の中に呼んだってわけ!」


桃子&莉緒「だれ!?」


劇場の魂「おっと♪アタシは…そうね。
あんたらが普段過ごしてる、765プロライブシアターに宿ってるタマシイ。
さしずめ、『劇場の魂』かしら?
魂ちゃんでいいわよ♪」


桃子「『劇場の魂』って……突然わけわかんないし!」


莉緒「まぁまぁ桃子。
ここは夢よ。夢なんだから自分から名乗ってる以上、
そういうものとしか言いようがないじゃない?」



魂ちゃん「あらん、察しがよくて助かるわぁ!夢に出てきて正解だったわねぇ」





莉緒「で、その魂ちゃんが、私たちに何の用かしら?」


魂ちゃん「それはね……お礼を言いにきたのよ!」


桃子「お礼?桃子たち、あなたになにかしてあげたかな?」


魂ちゃん「してくれたじゃなぁ〜い♪
ピカピカに床を磨いてくれたじゃない!それのお礼♪」


桃子「あ〜……でも、あれくらいみんなやってるんじゃないかな?」


魂ちゃん「そんなことないわー!
昨日の当番の環ちゃんなんか、掃除の途中でこぶんちゃんと遊びに行っちゃったし、
ペアだった茜ちゃんなんかボイコットよ!いつか夢に出てやるんだから!(プンスカ)」


魂ちゃん「ということで、お礼として、あんたらのささやかな願いを叶えてあげようと思ってね♪」


桃子&莉緒「願いを……!?」


魂ちゃん「あーーーー、大丈夫よ!みなまでいわない!
今日1日ぜーんぶ見てたんだから、言わなくてもまるっと伝わってるわ♪
魂ちゃんにお任せあれ♪」


桃子「えっ、ちょっとまって!夢とはいえ急すぎじゃない!?」


魂ちゃん「朝起きてからのお楽しみよ〜!あ、そーれ!」





ーー 翌朝 百瀬宅 ーー

ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ


莉緒?「うーん…なんか聞き慣れない音…(モゾモゾ)」


莉緒?「ふぁーーーー。よく寝た。あれ?目線が高い?んんー?あとなんかムネが、重い?」


莉緒?「いや……っていうか、ここ……どこ!?」




ブブブブブブ!!  ブブブブブブ!!




莉緒?「わっ!(ビクッ)電話?着信相手は……


『周防桃子』……



 桃子から!?」





ー 765プロライブシアター ー




桃子(莉緒)「なんか朝起きたら身体が桃子になってたわ♪」


莉緒(桃子)「ちょっと!莉緒さんこれどうするの!昨日莉緒さんも同じ夢を見たってことはやっぱり劇場の魂の仕業じゃない!」


桃子(莉緒)「まぁまぁ。起きがけに、
『今日の日暮れに劇場の屋上来たら戻れる』って魂ちゃんが言ってたじゃない!」


桃子(莉緒)「なら、せっかくの機会だもの!きょう一日楽しまなきゃ!」



莉緒(桃子)「はぁ〜、莉緒さん楽天家すぎ!」

莉緒(桃子)「まぁ、今日は学校もレッスンも、定期公演もなかったのがよかったけど!」




桃子(莉緒)「それにしても、視点ひくぅーい!!わたし、こんなに大きかったんだぁ!」


莉緒(桃子)「言われてみれば…
莉緒さんの身長、桃子が踏み台に乗ったくらいの視点だよね……
ふふん!なんか強くなった気分!(フンス)」


莉緒(桃子)「それに……(フニフニ)」



(ガチャ)




P「おはよー!桃子と莉緒か………って、りっ莉緒、朝からどこ触ってんだ!」


莉緒(桃子)「おにいちゃ……ぷ、P……くん!え、えっとマッサージだよマッサージ!」


P「マッサージもいいけど、ひと目のつかないところでやってくれな…目のやり場がさ…」



桃子(莉緒)「お兄ちゃん♪お兄ちゃん♪ねぇ!抱っこしてぇー!抱っこ!」


P「な!? 桃子、どどどどうした!?」


桃子(莉緒)「もー!お兄ちゃんがしてくれないなら、桃子からしちゃうもん!えいっ!!」


P「腕に絡んで……はは、弱ったな……今日の桃子は…!」



莉緒(桃子)「(ちょ、ちょっと莉緒さん!桃子、そんなこといわないから!ちゃんと桃子のフリしてよ!)」(コソコソ


桃子(莉緒)「(いいじゃなぁい!ほら、Pくんだって、悪い気はしてないみたいだしぃ!)」(キャッキャ



莉緒(桃子)「(……む!だったら!)」




莉緒(桃子)「お、おに……Pくぅん!み、みて!
ももこ……じゃない!ももせのセクシーポーズ!」(ヤケクソ


桃子(莉緒)「うわ……俯瞰で見るときっつ……(素」


莉緒(桃子) (う、うわー!自分でやってて恥ずかしい!///
莉緒さん、こんなこといつもやってるなんて……!)



P「り、莉緒お前……なんだか今日は、その…妙に色っぽいな…。
そのちょっと恥じらった表情とかも…(ドキドキ」


莉緒(桃子)「え?お兄ちゃん、桃子でドキドキしてくれてる……?」



桃子(莉緒)「うそぉー!!小学生に色気で負けるとかショックなんだけど!!
おにいちゃんのロリコン!!!サイテー!!!」




P「…ええっ!俺が…ロリコン!?な、なんで…!?」(ガビーン




P「……な、なんだかふたりとも妙だな……多くは聞かないケド。
 今日は特にふたりとも予定はなかったな。

 桃子はドラマの役作りと、莉緒は定期公演のダンスの自主練ってところか?」


桃子(莉緒)「まぁそんなところ!さぁお兄ちゃん、青羽さんが呼んでたよ!行った行った!(ムスー」

P「お、おう。ふたりとも練習頑張れな! ロリコン…オレハ…ロリコン…」(ブツブツ




ー 劇場 衣装室 ー



莉緒(桃子)「もー!莉緒さん、ちゃんと桃子やってよ!怪しまれてたよ!」


桃子(莉緒)「まぁまぁ♪ 桃子だって、あのポーズ……ククッ……」


莉緒(桃子)「そ、それはもういいから!それより、電話でお願いした桃子の踏み台とドラマの台本、持ってきてくれた?」


桃子(莉緒)「ええ、持ってきてるわよ!踏み台、ほんとに毎日持ってきてるのね!骨が折れたわ…」
桃子(莉緒)「あと台本、電車の中で読んだけどすごい書き込みね!監督の指示かしら?」


莉緒(桃子)「それもあるけど、役のイメージを思いついただけ書いてるんだ」
莉緒(桃子)「お話全体を知らないと、出番のシーンだけセリフを覚えてても、役が浮いちゃうから」


桃子(莉緒)「それはなんとなくわかるけど、すごいわねぇ桃子!このふせんの量…わたしも見習わなきゃ!」


莉緒(桃子)「とーぜん!桃子、演技のことなら莉緒さんよりずっとセンパイなんだから!
もっと桃子から勉強するといいよ!(フンス」






桃子(莉緒)「……ところで桃子?わたしも朝言ってたアレ、もってきた?」


莉緒(桃子)「持ってきたけど…。(じゃらっ)……こんなに化粧品、使うの?(ドンビキ」


桃子(莉緒)「あったり前でしょ!スキンケアなんか、一事が万事で怠ったら怠ったぶんだけ肌に出るんだから!」
桃子(莉緒)「ホントはスッピンで劇場まで来させたくなかったくらいだし…。ほら、そこに座った座った!」


莉緒(桃子)「別に桃子、今のままでも莉緒さんキレイだと思うけど?」


桃子(莉緒)「あら、あらあら〜?桃子、嬉しいこと言ってくれるわねぇ?(ニヤニヤ」


莉緒(桃子)「ハッ……!べっ、別に。変じゃないってだけ!
…ほらやるなら早くしてよ!台本、読めないし!」

桃子(莉緒)「はいはい♪じゃあお好み通り、軽めにしとくわね?」





……



桃子(莉緒)「できたわ!自分をメイクするなんて変な気分だったわ…」


莉緒(桃子)「わぁ……普段メイクさんにしてもらうのと全然違う!」


桃子(莉緒)「それは撮影用のメイク!メイクってヒト口に言っても、色々あるの!メイクは大人の女の嗜みなのよ♪」


桃子(莉緒)「私は髪先から爪の先まで、毎日少しでもキレイになるように気を配ってるつもり!

そういう小さな努力が、明日の、明後日の、10年後の"キレイ"に繫がるんだから!




その努力もあいつ、気づいてるかわからないケド…(ボソッ」





莉緒(桃子)「ふ、ふーん……」

莉緒(桃子)「ねぇ莉緒さん………身体がもとに戻ってから、

桃子も莉緒さんみたいにメイクすればさ、
皆から大人っぽく……自信あるように、見えたりするのかな?」



桃子(莉緒)「……!」


桃子(莉緒)「……当たり前じゃない!
女の子はね、変わりたいって思ったそのときからメイクをする資格があるんだから♪」

桃子(莉緒)「桃子でもできるお化粧、教えてあげるわ♪…あ、そうだ!あとで一緒に化粧品、買いに行く?」




莉緒(桃子)「…うん! じゃあそのまえに、莉緒さんのダンスの指導、桃子がしてあげてもいいよ♪」





ー 繁華街 ー



莉緒(桃子)「莉緒さんに化粧品選んでもらっちゃった!

メイクも色々教えてもらったし!
逆さにした踏み台一杯になるまで化粧品買っちゃった♪フフッ!」


莉緒(桃子)「……でも莉緒さん遅いなぁ。お手洗いに行ってなかなか帰ってこないや……」




男「……すいません!ちょっと道を聞きたいのですが」


莉緒(桃子)「……えっ!?み、道……ですか?桃子にわかるかな?」


男「ここなんですが…」


莉緒(桃子)「あぁ、そこなら……ここの通りをまっすぐ行って……」


男「……(ジーッ」


莉緒(桃子)「な、なんです?」


男「…いえ、すごくキレイな人だなって」




莉緒(桃子)「……えっ!!///」


男「すいません。実は声をかけたのも道を聞きたいんじゃなくて、近くでお顔を見たくて!」


ナンパ男「そのつぶらな瞳が印象的で、つい話しかけちゃったんです!」


莉緒(桃子)「(さっき桃子がやってみたアイメイク、褒められた!…ちょっと嬉しいかな?)」



ナンパ男「どうか!お茶だけでも!お茶がだめなら連絡先だけでも!!」


莉緒(桃子)「お茶もだけど、連絡先はもっとだめだから!それに、桃子みたいな小学生をナンパするなんて…!」


ナンパ男「小学生ィ…?(まじまじ)

冗談はやめてくださいよ!あなたオトナの女性でしょ?
優雅に男性とお茶をするのなんて、オトナはみんなやっていますよ!」



莉緒(桃子)「……えっ?オトナって……そうなの?」


ナンパ男「そう、そうですよ!さぁさぁ行きましょう!ちょっと酔っちゃうお茶の出るところへ!」



莉緒(桃子)「ま、まって!莉緒さんに連絡を……!莉緒さーーーん!!」





???「待ちなさい!」

ナンパ男「え?」





莉緒(桃子)「あっ!莉緒さん! ちょっと、腕離して!」


桃子(莉緒)「遅くなっちゃってゴメンね。さ、私の後ろにいらっしゃい」


莉緒(桃子)「う、うん…」



ナンパ男「お嬢ちゃん、かわいいね〜!妹ちゃんかな?

お兄さん、お姉ちゃんとちょっとお話があるから、あっちのゲームセンターに行っておいで?」


桃子(莉緒)「あんた、ここらへんによくいるナンパ野郎ね?」
桃子(莉緒)「忘れてるかもしれないけど、何回かアンタに声かけられてるんだから!」



ナンパ男「ええっ!?いや、流石にこれ(指差し)には声かけてねぇよ……ハンザイだろ常識的に考えて!」


桃子(莉緒)「そっ、それもそうね……
でも、こんなヒトに常識を説かれるとか……プッ…」


莉緒(桃子)「むっ…(ムスッ)」




桃子(莉緒)「……おほん!まぁ、あなたの気持ちもわかるわ!でも彼女、嫌がってるし、もうやめにしてくれる?」

ナンパ男「…なぁ頼むよ?
ねぇちゃんマジでタイプなんだって!ほら、こづかいやっから、な?」

桃子(莉緒)「お金じゃ桃子は売れないわねぇ?」







ナンパ男「チッ、わっかんねぇかなぁ!あんまりめんどくさいこと言わせないでくれるかな!?」


桃子(莉緒) ビクッ





桃子(莉緒)(男の人に見おろされて、大声で喋られて……!相手が何倍も大きく感じる……!)

桃子(莉緒)(ちょっと怖い……かな?)」

桃子(莉緒)(でも、引けない!)





莉緒(桃子)「……っ!莉緒さん!コレっ!」(ゴトッ

桃子(莉緒)「……えっ、これは……踏み台!?」

桃子(莉緒)「……そっか!んしょっと!」



ナンパ男「な、なんだ?木箱の上に立って……」




桃子(莉緒) (相手より目線が上になった!これなら…!)

桃子(莉緒)「大声出したって、もう無駄なんだから!」(腕組み




ナンパ男「ん……!か、関係ないし…俺はただ君のお姉ちゃんとちょっとお茶したいだけで…(ゴニョゴニョ」



桃子(莉緒)「んーー!?もっと!!大きな声で!!聞こえるように言ってくれるかなぁ!!??

君、背が低くて聞こえないんだけど!!??」(見下し





通行人達 「ナニアレ……」「オンナノコガオオゴエデ…」「キバコニノッテル…」

ナンパ男「んぐ……人も集まってきた…。もういいよ。わかったよ……邪魔して、悪かったな…」(スタスタ…






桃子(莉緒)「………」
桃子(莉緒)「……ぶはあああ…!つ、疲れたー!」(ヘナヘナー




莉緒(桃子)「莉緒さんっ!大丈夫!?」


桃子(莉緒)「私は大丈夫。気が抜けただけ!それより桃子は!?」


莉緒(桃子)「桃子は大丈夫だよ。それより、ごめんなさい!桃子が、もっとしっかりしてれば…」


桃子(莉緒)「はー……よかった。

まぁ、仕方ないわね。男の人からあんなふうに話しかけられたの、初めてだったんでしょ?

……どう、初めてナンパされた気分は?(ニヤニヤ」



莉緒(桃子)「ほんと、さいあく!

ねぇ莉緒さん。オトナのオンナの人っていつもあんな感じに話しかけられるの?」



桃子(莉緒)「んー、まぁそうねぇ。
いつもかる〜く受け流すんだけどね…。まぁ、美人税ってやつかしら?桃子もいつかわかる日が来るわよ♪」


莉緒(桃子)「わかりたくない…」





桃子(莉緒)「それより……踏み台、ありがとね」



莉緒(桃子)「……桃子、現場のオトナの人からあんなふうに話されるの多いから、分かるんだ」

莉緒(桃子)「あの踏み台は、オトナの人と目線を合わせておはなしするための、今の桃子の大事な『仕事道具』なんだよ♪」



桃子(莉緒)「……大切にしてる理由がよーくわかったわ。

…ふふっ、まさか、私が踏み台に助けられるなんてね。ちょっと見る目、変わっちゃったかも?」





桃子(莉緒)「……さ、もう日が暮れるわ。はやく劇場に戻って、このおままごとを終わらせましょ!」

莉緒(桃子)「……うん!」


ー 劇場 屋上 ー



莉緒(桃子)「うわー、キレイな夕暮れ!」


桃子(莉緒)「ジャストタイミングみたいね!さぁ、出てきなさい!劇場の魂!」




劇場の魂『あらあらー、戻りたいなら夕暮れ時に来てって言ったけど、1日でおしまいなのねー!』


莉緒(桃子)「…!?ど、どこっ!?」


劇場の魂『頭に直接話しかけてんのよー。姿見せんのめんどうだしね』


桃子(莉緒)「やれることは地味にすごいのになんかこの子、雑よね~。

……まぁいいわ。はやくもとに戻してちょうだい!」



劇場の魂『あらーつれない。一応これご褒美のつもりなんだけど……!

どう、ふたりとも。入れ替わった感想くらい聞かせてよ』





桃子(莉緒)「そうねぇ……」

莉緒(桃子)「そうだなぁ……」





桃子&莉緒「「『子供』『大人』って大変だなって!」」






劇場の魂『……ふーん!(ニヤリ)

……まぁ、ちょっとは学びがあったみたいで、なにより!』




劇場の魂『戻るやり方は、両手を繋いで、お互いのおでこをくっつけて、二人で『戻りたい』って願うだけよ♪』




劇場の魂『じゃあ、あたしはこれでオサラバね♪


ここの劇場は、みんなが夢を見る場所。
あんたらも、自分の夢を叶えるために頑張んなさいね!
あたしはいつも、この劇場のどこかで、あんたらを見守ってるからね……』(スーー……





桃子(莉緒)「……だって。さぁ、やりましょ桃子!」(手繋ぎ

莉緒(桃子)「う、うん…」




桃子(莉緒)「………ねぇ、桃子」

莉緒(桃子)「……なに?莉緒さん」




桃子(莉緒)「……戻る前だけど、1つだけ聞きたいの」
桃子(莉緒)「桃子、家でひとりで寂しくない?」



莉緒(桃子)「……!? そっか。朝、見ちゃったんだね」


桃子(莉緒)「ゴメンね。でもご両親、朝からいなくて。

テーブルに『今日も遅くなるからコレでごはんを買ってね』ってお金が置いてあるだけで…」




莉緒(桃子)「……いつものことだし桃子は別に…!ひとりでご飯たべるのなんか、慣れちゃったよ」





莉緒(桃子)「それより、莉緒さんだって寂しいんじゃないの?お酒の空き缶、多くない?
冷蔵庫もビールだらけだったし……!」


桃子(莉緒)「大人になると、お酒を飲んでないとやっていけないことだってあるのよ…。

一人暮らしの、ちょっとした寂しさをビールで忘れるくらい普通なんだから!」





桃子&莉緒「「……」」


桃子&莉緒「「……プッ! あははははは!!」」




桃子(莉緒)「……戻ろっか?」(手ギュッ

莉緒(桃子)「……うん!」(おでこコツン





桃子&莉緒「「(……もとに戻りたい!)」」







ー  翌日  ー





桃子「ちょっとお兄ちゃん、はやくしないと撮影、遅れちゃうよ!莉緒さん、もう現場付いてるって!」


P「おう、今行くぞ!」
P「……ん?(スンスン) この香り……」


桃子「…?どうしたのお兄ちゃん?」

P「桃子……香水つけてるのか?」

桃子「……そうだよ。育たちはすぐに気づいてくれたのに。
お兄ちゃん、今気づいたの?」

P「うっ、すまない…」

桃子「まぁいいけど!

……それで、どうかな?変じゃない…かな?」


P「いや、好きな香りだよ。
よく見たら、うっすらチークも…。
…そうか、桃子もメイクをするようになったのか」






桃子「(クスッ)何言ってるのお兄ちゃん!
『メイクは、オンナのたしなみ』なんだよ♪」




ー 某所 グラビア撮影中 ー



莉緒「撮影も順調に進んで、良かったわね!」


P「そうだな!でも驚いたよ莉緒。あんな雰囲気も出せるんだな!」


莉緒「そうね!ダイタン過ぎたポーズを、ちょっと抑えてみただけなんだけどね」


P「それが好評だったみたいだな!

見せすぎるより、チラ見せのほうがいいときもあるってことさ……」


莉緒「…まぁ私も最近ちょっと思うところもあったしね」


P「…ほう、気になるな」




莉緒「……自分の姿を俯瞰で見て、気がつくこともあるってことよ♪」

P「あはは!なんだそりゃ!」




莉緒「あっ、桃子がこっちをチラチラ見てるわ!行ってあげましょ!」





桃子「あ、お兄ちゃん。
  …と、莉緒さんも!もう撮影終わったの?」



P「いや、休憩中だ。桃子はどうした?」



桃子「もう!どうしたもこうしたもないよ!


今からカメラマンさんと撮影の方針の確認しようとしたら、桃子の大事な踏み台がないんだもん!
お兄ちゃんに預けてたよね?持ってきて!」



P「おっ!そうか、すっかり忘れてた…。えっと、たしか控室だったか……」






桃子「ちょっとおにいーーー」
莉緒「ちょっと、Pくんっ!!あの踏み台を忘れてたの!?ダメじゃない!!」(プンスカ




P「えっ!?な、なんで莉緒が怒るんだ!?」




莉緒「そんなことはどうでもいいの!


あの踏み台はねぇ!桃子にとっても、私にとっても、
すっごく大事なものなんだから絶対忘れたりしないこと!いい!?」




桃子「莉緒さん……!そうだよっ、お兄ちゃん!」





桃子&莉緒「「桃子の大事な踏み台もってきて!今すぐっ!」」







ー 夕方 電車内 ー



ガタンガタン……



P「撮影、お疲れだったな」


莉緒「ええ。でも、桃子は充電切れなのか、私に寄りかかって寝ちゃったわね…」


桃子「スー…スー…」


P「今日も、頑張ってたもんな。

たいしたもんだ。俺が11歳のときはこんなにしっかりしてなかったよ」



莉緒「……ねぇ、Pくん。

もしも…桃子くらいの歳に戻れたら、どうする?」


P「…ああ、育や環と話してるとたまに考えるよ。

俺があれくらいのときはな~んにも考えてなかった気がするなぁ。
遊んでばかりで、仕事の責任なんかなくて。
今戻れたらさぞかし楽しいんだろうな!」



莉緒「…私もね。最近までそう思ってたの!」


P「最近まで?」






莉緒「そう!子供って、今だから無邪気で責任なんかなんにもないように思えるけど、
きっといろんなことを悩んでいたはずよ」



莉緒「今思えば何でもない些細なことも、きっと大問題で!


そのたびに子供ながら悩んで、強がって、不器用でも折り合いつけて… 
そういうかわいい悩みを、私達は忘れてしまっているだけ。
子供は子供で、色々考えていたんじゃないかなって…

そう、思い出したのよね」


P「……驚いた。まるで見てきたみたいに話すんだな」


莉緒「ふふっ、桃子を見てるとちょっとね♪」


P「…じゃあ俺は事務所に戻るから、ここで降りるな。
途中まで桃子と一緒だったな。起こしてやってな」



莉緒「ええ、お疲れ様!また明日ね!」




ガタン…ガタン…




桃子「スー…スー…」


莉緒「……それにしても、ふふっ!お仕事のときはシャキっとしてるのに、

寝てるときはやっぱり可愛いわね。ほら〜、起きないと、ほっぺプニプニしちゃうぞ〜?」(手ワキワキ




桃子「……じゃあ起きてたら、どうする?」


莉緒「えっ、起きてたの!いつから!?」


桃子「んー、お兄ちゃんの小さい頃の話くらいから?

桃子の寝たフリの演技力、すごいでしょ!(フンス」



莉緒「……まぁ別にいいけど、でも聞かれてたと聞いたら、ちょっと照れるわね~」


桃子「…」




桃子「…えっと、桃子もね。莉緒さんになって、ちょっと考えたんだ」


桃子「桃子、カラダだけ大人になれば、仕事もオトナの人とも、うまくいくんだって思ってたんだ。

でも、カラダだけオトナになっても、桃子は、桃子のままだった」



桃子「逆に、莉緒さんは桃子のカラダで、男の人にもあんなに堂々としてて……!


ちょっとだけ…その、カッコいいなって…思った…(ボソッ」






莉緒「……ねぇ桃子。入れ替わってみてから、大人になるの…怖くなったりしなかった?」




桃子「……ぜんぜん!


……そりゃあナンパされるのはイヤだったけど…。
でもそれよりお化粧したり、服がたくさんあったり!もっと楽しみなこと、莉緒さんが教えてくれたから!」



桃子「……桃子、莉緒さんよりもっともっとステキなオトナになるから、覚悟したほうがいいと思うよ!」



莉緒「…まぁ!言ったわねぇ桃子!!


……ふふっ、これは強力なライバル出現ね!わたしも、負けてられないんだからっ!」






人のまばらな夕日の眩しい電車内。


ふたりは楽しそうに笑い合うのだった。









ありがとうございました。
今回は何度も使い古されたネタである入れ替わりネタをひねりもなく書いてみました。
ふたりとも、寂しい夜にたまに電話し合う仲になってくれたら素敵ですよね。


皆様のお暇つぶしになれれば、幸いです。



また、私の過去作のまとめです。
お暇でしたら、ぜひ。
https://www.pixiv.net/member.php?id=4208213

そういう仲の大人がいる先輩っていいね
乙です

>>1
周防桃子(11) Vi/Fa
http://i.imgur.com/PEjYBPq.jpg
http://i.imgur.com/Zmkg4Uw.png

>>2
百瀬莉緒(23) Da/Fa
http://i.imgur.com/sb7102s.jpg
http://i.imgur.com/Bs3RzIe.png

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