ゆっくりれいむ「みらいさんはれいむのおさげのなかっ」 (4)

野良になって1週間
ゆっくりれいむは
最悪だった

ショップに居た頃は愛想を振りまいていればある程度は食いつなげた
れいむ種というありがちな種の中ではバッジも得てまずまずの恵まれた環境
だから甘えた
れいむは甘えた
自分が無条件に愛されると勘違いし、自惚れ、思い上がり
環境に甘え
ずるずると堕ちていった

甘味を貪れたのは今は昔
狩り(笑)の得意な番を見つけることも叶わず
しょぼい雑草を食み生きながらえ
しょぼい木の皮を噛り空腹をごまかす日々
そして
そんな毎日のうっぷんやイライラを排泄することも出来ないひもじさに耐えかねた時
プラーっと野良ゆっくりが多くいる公園へ行き
ゴミを寄せ集めて作られた巣のけっかい(笑)を壊してまわるという
たんに人間にとって有害なだけではなく
他ゆっくりにとってもゆっくりしていない日々・・・

今日はれいむが贔屓にしている
「かんっぺきなけっかい」が見つからず
しぶしぶ自身の巣である自販機の裏に戻りかけた時


れいむ(・・・・・)


見つけたのは地域ゆっくりのダンボール


れいむ(ゆふふ・・・このだんぼーるさんでいいよ・・・)

れいむ(ゆふふ・・・・ゆふふふ・・・・)


拾った枝で適当につつく
しかし少し凹む程度
ダンボールを貫く威力などれいむが持ち合わせているはずもない


れいむ(れいむのぷーすぷーすさんにおそれおののくといいよっ・・・!)


存外・・・
れいむは満悦であった
少しでも傷つけられたことに対しての達成感
優越感を憶えていた


れいむ(どーせかいゆっくりにもなれないろくでもないゆっくりだよ・・・)

れいむ(のらをいじめてにんげんからのごはんさんをどくっせんするゆっくり・・・)

れいむ(これくらいのせいっさいはあってとうぜん・・・あくじはめぐりめぐっていまれいむのてでかえっていったんだよ・・・・)


まさしく屑としか言い様がない饅頭である

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悪戯で気分はいくらか晴れたものの
問題は何も解決していない
なまじバッジを取得できる頭だったせいか
自販機の裏まで戻って寝転がった時に考えてしまう


れいむ(・・・・・・ゆっくりできない・・・ゆっくりできないよ・・・・・・)


白玉で出来た目から饅頭の頬を伝う大粒の砂糖水
溢れてくるゆっくりの涙
しかし泣いた所で何も前進しないし好転もしない
幸運の女神はやってこない。やってくるのは蟻だけ・・・
野良ゆっくりにとっては泣くことは致命的


れいむ(ないてどーなるんだよ・・・れいむ・・・!)


バタッバタッ

身を悶えさせ蟻と涙を拭ったときだった


れいむ(・・・おもてにだれかいる・・・にんげんじゃない・・・)


無論、自販機の裏に居を構えると人間はやってくる
人間じゃないなら暖を取りに来たかジュース目当てかのゆっくりである
野良になってかられいむはろくな目にあっては居ない
一匹で苦い道草を齧る日々がその証左
だからこそこの自販機の裏だけは死守しなくてはならなかった


れいむ「なんのようっおらっ・・・!」


そこに居たのは地域ゆっくりのれみりゃであった


れいむ「れ、れみりゃだああああああ!!」

れみりゃ「うー?・・・れいむはこのじはんきにすんでいるれいむ?」

れいむ「うわああああああたべないでええええええええ!!!」

れみりゃ「だまるどー・・・ほんとうにたべられたいのかどー?」

れいむ「っ・・・っ・・・」


あれほど地域ゆっくりへ悪態を吐きながらも
いざ目の前に地域ゆっくり
しかもゆっくりを食べる捕食種がいるとなるとれいむはもうどうしようもない
死を覚悟すると逆に冷静になるのはどんないきもの…なまものも同じ


れいむ「な、なんのようなの、れみりゃ」

れみりゃ「うー☆ れいむはじはんきのまりさをしってるかどー?」

れいむ「・・・まりさ?」

れいむ「あ・・・ああ・・・さいしょにじはんきのうらがあたたかいっておしえてくれた・・・」

れいむ「でもそれだけで・・・いまはもうあってないというか・・・しらないよ・・・」

れみりゃ「・・・・・・うー☆ なかにはいってもいいかど?ここではなしてたらにんげんさんのじゃまになっちゃうどー☆」

れいむ「え・・・いや・・・その・・・」


れいむ(だめだよ!!なかにはいままでこわしたけっかいの・・・)

れいむ(もしもれみりゃのすのけっかいだったら・・・)


れいむ「あーーーそのーーーどこかべつの・・・れいむは・・・えっと・・・」

れみりゃ「うー?・・・じゃあ、れみりゃのすがちかくだからおはなしするどー」


れいむ(・・・・・・・)

れいむ(とりあえずかくしておこう・・・)

実のところ
これは杞憂であった
ゆっくりの性質上、認識外のものは見分けがつかない
れいむが破壊してきたけっかいの残骸も
他のゆっくりから見たらただの枝
それは壊された当ゆっくりでも同じ
れみりゃの結界であってもそうじゃなくても
れいむは何も焦る必要はなかったのである

ただ…
ここで拒否をしたことでれいむは余計に窮地に立たされた


れみりゃ「うー・・・ついてないどー」

れいむ「え・・・?」

れみりゃ「れみりゃのすはかたづけられてたどー・・・」

れいむ「え、ええ・・・!?」

れみりゃ「やっぱり、れいむのすでおはなししたいどー」

れいむ「そ、そんなにさむいかな・・・?じはんきであたたまるひつようはないとおもうんだけ」

れみりゃ「そうじゃないど」

れみりゃ「ゆっくりがにひき、じはんきのまえにただころがってるのがだめなんだどー」

れみりゃ「れみりゃはちいきゆだからいいけど、れいむはつぶされちゃうどー★」

れいむ「・・・・・・」

れいむ「あ・・・えっと・・・・・・くささんたべる・・・?」

れみりゃ「・・・・・・どっちかというとれいむのほうがおいしそうだど」

れいむ「っ!!!」

れいむ(はなしをかえないと・・・たべられちゃうよ!!)

あんこが詰まっているだけの足りない頭で熟考
このときれいむ、ゆっくりにあるまじき高速回転っ・・・!

ひらめく・・・!べつのわだい・・・!

れいむ「な、なんでれみりゃのおうちはかたづけられちゃったの?たいへんだねっ!」

が・・・悪手・・・!
所詮は饅頭・・・!あんこ脳・・・!

れみりゃ「れみりゃのすがきずついてたってきいたどー」

れいむ「!」

ここで自らの甘さに気づくれいむ
しかし話は進みだしている

れみりゃ「こうかんするらしいからつぎはもっといいすになっててほしいどー!うー★」

れいむ「へ、へぇ・・・そうなんだね・・・・きず・・・」

れいむ「・・・・・・そんなことするなんてゆっくりしてないよね・・・」

れみりゃ「だどー・・・・・・」

れみりゃ「・・・・・・・・・」

れみりゃ「・・・・・・・・・・・・・」

れみりゃ「れいむがやったのかど・・・?」

またも悪手・・・失言を重ねてしまう・・・
ここからはもう駄目
何を言ってもこうかいは進むだけ・・・引き返すことはない・・・!

れいむ「な、な、なにをいってるのぉおおおお!!??い、いきなりっ・・・!」

れいむ「わ、わけがわからないこというのはやめてほしいな・・・!」

れみりゃ「れみりゃは・・・・・」

れみりゃ「きずついていた・・・・・といっただけで・・・・きづつけられたなんていってないどー」

れいむ「ち、ちがうよっ!れみりゃはきづつけられたっていってたよ!」

れいむ「あっ」

後ずさった勢いで倒してしまう
さっき片付けたばかりの枝の束
焦る

焦る

焦る

れみりゃにばれないように隠し続けた枝は
れいむの意識からは外れていない・・・!

れいむ「あ・・・・・・いや・・・これは・・・」

言うまでもないがれみりゃにとっては何でもないただの枝
しかしなまじ物覚えの良いれいむにとっては自らを殺す枝

れいむ「ごべんなざい!!みでのどおりでず!!!」

れみりゃ「・・・・・・?」

れいむ「れいむはたしかにいろんなおうちにいたずらしたけどっ!!」

れいむ「けっかいせんもんでっ!!!だんぼーるのおうちにはめもくれずっ・・・!」

れみりゃ「・・・・・・・・なんでしってるんだど?」

れいむ「え・・・・?」

れみりゃ「・・・・・・・なんで・・・れみりゃのすが・・・けっかいじゃなくてだんぼーるだっていってるんだど・・・?」

れいむ「・・・・あ。」

れいむ「あ・・・あ・・・あああああああぁぁぁ・・・・」

れみりゃ、れいむは地域ゆっくり専用のすぃーの迎えで移動することになった
が、れいむの心境は穏やかではない
穏やかで居られるはずもない、さっきの今
ゆっくりにとっても時間経過を感じないほどのジャスト今・・・!

墓穴・・・・
Wで墓穴
Wボケ

れいむ(・・・・・・)

れいむ「・・・えっと・・・」

れいむ「れいむはこれからどうなっちゃうの・・・?かわいいぼでぃでしはらうことになっちゃうの・・・?」

れみりゃ「なにを気持ち悪いこと言ってるんだど?」

れみりゃ「・・・まぁ・・・ほんとうなら・・・そのからだのあんこをすべてしぼりとってるところだど・・・」

れいむ「た、たべられたくはないよっ!!」

れみりゃ「いいど・・・!」

れいむ「えっ・・・?」

予想外の発言に固まってしまう
逃げ切れるはずもないがすぃーから逃げる準備を心のなかでしていた
れいむにとってはその言葉を理解することすら難しかった

れみりゃ「れいむをおそってもゆっくりできないどー・・・」

れみりゃ「それに・・・れいむはいまそれどころじゃないど?」

れいむ「それどころじゃない・・・?」

れみりゃ「うー★」

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