【ノラとと】ネコのお考え「釘バット」【ノラと皇女と野良猫ハート2】 (20)

田中ちゃん「あかりをつけましょぼんぼりに~♪」

明日原「おはなをあげましょもものはな~♪」

ノブチナ「ごにんばやしの…釘バット~♪」

井田「きょうはたのしいひなまつりー!(ロック調)」

ノラ「物騒だなぁ!!」

明日原「ちょっと男子ー! 真面目に歌ってくださーい!」

井田「主犯はノブチナじゃねーか!」

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ノブチナ「歌詞をうっかり忘れてしまったからな。とりあえず頭の引き出しの一番手前を取り出してみた」

ノラ「釘バットしまっておくなよ! せめて木製の普通のやつ!」

ノブチナ「野球少年じゃあるまいし、引き出しの一番手前に木製バットを置くわけがないだろう」

井田「釘バットもねーよ」

ノブチナ「私とて、女の子だ。今日という日を祝われる存在」

ノブチナ「ならばこそ、武器以外のものを引き出しにしまっておきたい!」

ノブチナ「ノーモアウェポン! アイム! ラブウォーリアー!」

ノラ「ゴムでもしまっておけよ」

ノブチナ「この色欲魔神がぁ!!」

ノラ「うおぉぉー!!(吹き飛ばされる)」

 

 

明日原「女の子の日に下ネタとかサイテー!」

黒木「こらこらー! 女の子の日に女の子が暴力振るわない!」

ノブチナ「女の子の日の未知ちゃん、ごめんなさーい!」

黒木「ちょ! そんなこと大声で言わないでくださいよ!」

明日原「未知パイ重そうっすよねぇ」

井田「聞きたくねぇよんなこと」

明日原「ヤンキーは今のうちから学んだといたほうがいいんじゃないっすか? ねぇ、田中ちゃん」

田中ちゃん「ふぇ?」

井田「田中はかんけーねーだろ!」

 

 



シャチ「賑やかですね」

パトリシア「なんの騒ぎ?」

シャチ「今日はひな祭りですから、みなさん集まってパーティーをするんです」

パトリシア「ひな祭りとは何?」

シャチ「今日、3月3日はひな祭りといって、この国では女の子の健やかな成長を祈るための行事があるんです」

パトリシア「もしかして、朝からシャチさんとノラが必死になって飾ってたあの台座と人形は」

シャチ「ノラさんのお母様から買って頂いたひな人形です。ひな祭りの日にはこれを飾るのが古くからの慣習なんです」

シャチ「何年も繰り返し飾っているので大分傷んでしまいましたが」

パトリシア「首がもげそうだわ」

 

 

シャチ「何度も補修してはいるのですが、そろそろ限界かも知れませんね」

シャチ「この家にも女の子が増えましたし、また新しいひな人形を買ってもいいかもしれませんね」

シャチ「ひな祭りは女の子にとって大事な日ですから」

パトリシア「女の子の日……」

パトリシア「あ、そう言えば今日は」

シャチ「どうかしましたか?」

パトリシア「お姉様の誕生日だわ」

 

 



………
……




 

 

ノラ「え? 姉さんの誕生日?」

ノブチナ「なんだと?」

明日原「え、ちょっと! そんな大事なことなんで教えてくれないんすか!」

パトリシア「そんなに大切なことなのかしら」

明日原「大切ですよ! 大切! ね? 田中ちゃん!」

田中ちゃん「一年に一度しかない誕生日ですから、どうせならみなさんでお祝いしてあげたいですね」

パトリシア「あなたたち人間にとってはそうなのね」

パトリシア「私たち冥界人にとっては、命生まれることは祝うことではない。それに正確に言えば、死によって私たちは存在している。誕生とは少し違うわ」

 

 

ノブチナ「生まれていないのに誕生して、存在している……。なんかもう頭が混乱してきたぞ」

明日原「未知パイ、分かりやすく図で説明してくださいません?」

黒木「なんで私に振るんですか! 冥界人の誕生の神秘なんて、どれだけ頭良くたって分かりませんよ!」

ノブチナ「はいさり気なく私はあなたたちと違って頭いいアピール入りましたぁ!」

井田「秀才はこれだからよぉ!!」

黒木「そんなこと、ほんのちょっぴりしか思ってませんよ!」

明日原「ほんのちょっと思ってたんだーショックー」

パトリシア「そんなに難しいことではないのだけれど」

パトリシア「とにかく、姉様は誕生日を祝われても喜びはしないはずよ」

シャチ「種族の違いがあるとはいえ、誕生日を祝われて喜ばないというのは少し悲しい気がしますね」

ノラ「……あれ? そう言えば姉さんは?」

パトリシア「お姉様なら――」

 

 


ルーシア「せいっ! やぁ!(釘バット)」

ルーシア「はァァァッ!!(釘バット)」


ルーシア「ふぅ」


ルーシア「……ん?」




明日原「リアルに釘バット振ってるぅーー!!」

ノブチナ「きょうはたのしいひなまつりーー!!(ロック調)」

ノラ「物騒だなぁ!!」


 

 

ルーシア「初めて手にしたが、意外に釘バットというものは使いやすいものだな」

ルーシア「手軽に扱えるのに、極めて殺傷能力は高い」

井田「殺傷能力とか言うなよ」

ノラ「どこでそんなもの拾ってきたんですか」

ルーシア「犬の散歩中、公園に落ちているのを偶然拾った。周囲には血痕も付着していた」

井田「それ事件じゃね!?」

明日原「なにそれあの公園もういけない!」

ノブチナ「大方どこぞの組の人間がおイタをしたのだろう。私に任せておけ」

明日原「こころづよーい!!」

田中ちゃん「暴力はだめだよ……?」

 

 

ノラ「姉さん、こんな大切な日にそんなもの持ってちゃダメですよ。捨てましょう」

ルーシア「大切な日? 私にとって、妹以外に大切なものなど――……」

ノラ「誕生日、おめでとうございます」

ルーシア「……」

ルーシア「誕生日、か」

ルーシア「お前たち人間は誕生日に祝うそうだな」

シャチ「ええ。美味しいごはんを食べたり、ケーキを食べたり、歌を歌ったりします」

ルーシア「美味しいご飯を食べられるのは素晴らしい」

明日原「素晴らしいんだ」

 

 

ルーシア「しかし私たちにとって誕生日はめでたいことではない。それどころか、私は誕生日を憎んですらいる」

ノラ「どうしてですか?」

ルーシア「私という存在が生まれてしまったことは、パトリシアにとって害でしかないだろう」

パトリシア「お姉様……」

ルーシア「私はお前達妹のことが大切だ。この力でお前たちを守れることに幸せを感じこそするが……」

ルーシア「実際には私はいない方が良かったのではないかと常に思う」

パトリシア「……」

ノラ「そんなこと言わないで下さい」

ルーシア「ノラ……」

 

 

ノラ「姉さんは既にここにいるんですし、生まれてしまったことは素晴らしいことなんですから」

ノラ「パトリシアだって、お母さんだって、姉さんが生まれたことに感謝してるはずですよ」

パトリシア「……その通りだわ、お姉様」

ルーシア「……」

ノラ「それでも、それでも姉さんが誕生日を祝えないというのであれば――……」

ノラ「今日は女の子の日と言うことで祝いましょう!」

ルーシア「女の子の日だと?」

ノラ「今日はひな祭りですから! ひな祭りの日に生まれた姉さんは女の子中の女の子なんですよ!」

ルーシア「女の子中の女の子……」

明日原「ザ・女子!」

ノブチナ「いよ! 女の子!!」

田中「女の子おめでとうございます!!」

井田「意味分かんねーよ」

 

 

ルーシア「……」



黒木「いやでも、女の子に女の子の日って言って嬉しいもんですかね……?」

パトリシア「いえ、効果は抜群よ!」

黒木「え?」


ルーシア「女の子の日」

ルーシア「……」

ルーシア「ふふふ、ははは」

ルーシア「あははっ! 私が女の子の日なんて! そんなもの、似合うわけないだろうー!(笑顔)」



井田「すっげぇ嬉しそうだなオイ!!」


 

 

パトリシア「……姉様は冥界では私のことを守る剣としてしか扱われていなかったから、一人の女の子として見て貰えることが嬉しいのよ」

シャチ「女の子に生まれてきたからには、女の子として生きたいと思うのは当たり前です」

シャチ「沢山、ルーシアさんのことを祝ってあげましょう」

パトリシア「ええ、ありがとうシャチさん」


明日原「姉パイ! お雛様のコスプレしましょ! アタシ持ってきたんで!」

井田「コスプレとか言うなよ」

ノラ「つーかそんなものよく持ってきたな」

ルーシア「む……これを着て素振りをすれば鍛えられそうだな(釘バット)」

明日原「釘バット捨てて! 女の子は討ち入りとかしないから!」

ノブチナ「しないか?」

田中ちゃん「しちゃダメだよ?」

 

 

ノラ「似合ってますよ、姉さん。カワイイです」

ルーシア「な、何を言ってる! 私がカワイイなんてあるわけ!(照れ)」

明日原「カワイイ~! 写メ写メ!」

ルーシア「こ、こら! やめろ! 撮るな!(カメラ目線)」


パトリシア「ノリノリね」

シャチ「ふふ」

 

 



 ***


ルーシア「ノラと皇女と野良猫ハート、2」


 ***



 

 

ルーシア誕もひな祭りも一日遅れでアレですが、また記念に書かせて頂きました。
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。

他にも色々ノラととSS書いてるので、そちらもよろしければ。

 

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