クリリン「なるほどねぇ」

悟飯「どう思いますか！？」

クリリン「……うん、そうだな。アホではあるな」

悟飯「ば……バカ？」

クリリン「俺から言わせれば、すごぉ～～～～くアホだ。こんなことで悩むなんてよ」

悟飯「こんなこと……！？　そんなっ！　僕は真剣に！！」

クリリン「真剣であればあるほど、尚更アホだ」

悟飯「……ッ！」

クリリン「まず、最初に言っておく。潜在能力が高いってのは、一つの才能だ。俺たち地球人から言わせれば、どう足掻いても到達できない高みにいる」

悟飯「そ、それは……そうなのかもしれないですけど」

クリリン「悟飯の比較対象は悟空や悟天、つまり、孫一族なんだろ？　わかってるって」

悟飯「……」

クリリン「なぁ、悟飯。お前、ちゃあんと修行したことあるか？」

悟飯「あります！　ありますよ！　クリリンさんだってそれぐらい知ってーー」

クリリン「俺が知ってるのは、“戦いがそれほど好きではない、学者を目指す悟飯”でもある。悟空みたいに戦いが大好きで、365日、24時間修行に明け暮れて生活したいか？」

悟飯「うっ……」

クリリン「悟天は……早熟というか、センスの塊だとは思うぞ」

悟飯「！　やっぱり……！」

クリリン「うーん、だけどなあ、やっぱり潜在能力がないとなあ。センスがあっても伸びしろがあるかは別だろ？」

悟飯「……」

クリリン「なんにせよ、片手間に修行をやってるやつなんてそれまでだ。お前だって、ちゃあんと修行すれば、セルゲームの時みたいに悟空を超えられるかもしれないぞ？」

悟飯「（そうだ……。あのとき、僕は誰よりも強くなった……）」

クリリン「一時的か継続するかは、普段の過ごし方次第だ。学業に専念して修行を疎かにしてたら悟空にあっというまに抜かれちまって当然だろ。あいつもあいつで天才だからな」

悟飯「そっかぁ！　ありがとうございます！」

クリリン「ん？　もういいのか？」

悟飯「はい！　クリリンさんが言ってるのを要約するともっと修行に打ち込めってことですよね！？」

クリリン「短期的じゃなく、な。ライフワークにするんだ。生活の一部に」

悟飯「なるほど……！」

クリリン「悟空のような趣味の域にまで達すれば理想だな」

悟飯「よぉーしっ！　僕もたくさん修行して強くなるぞぉ！」

クリリン「……あー、本気で強くなりたいのか？　悟空を超えるほど？」

悟飯「はい！　セルゲームの時は、一時的とはいえ父さんを超えられたのを思い出しましたから！」

クリリン「あぁ……うーん」

悟飯「？　どうしたんです？」

クリリン「たぶん、もう悟空は超えられないと思うぞ」

悟飯「なっーー！？　なんでですかっ！？」

クリリン「俺たちの強さの基準はなにかわかるか？」

悟飯「？　基準……？　それは、やっぱりーー」

クリリン「気のでかさ＝戦闘力だろ」

悟飯「はい」

クリリン「戦闘力なら、悟空を超えられるかもしれない。でもな、お前は圧倒的に足りないモノがあるんだ」

悟飯「僕に圧倒的に足りないモノ……？　そ、それはいったい！？」

クリリン「センスだよ」

悟飯「セ、センス……？　さっき、悟天にあると言っていた……？」

クリリン「悟空にもある。悟飯、お前に無いのは天性の感なんだ」

悟飯「……ッ！！」

クリリン「よぉ～～く考えてみろ。いくら修行不足といっても、ピッコロや悟空に師事をしてもらいながら、数々の修羅場を潜ってきただろ」

悟飯「……はい」

クリリン「そんでもって、当の本人はZ戦士でイチバンの潜在能力があるときてる。悟飯に悟空や悟天のようなセンスさえあれば、とっくの昔に最強になってたろうよ」