りあむ「星井美希ちゃんと八宮めぐるちゃんとのユニット!?」 (116)

りあむ「はぁ……ここが今日から通うレッスンスタジオかぁ」

りあむ「ぼくは自分がアイドルやるより、現地で推しに騒いでる方が好きなんだってば」

りあむ「そりゃ至近距離でアイドルの顔が見れるのは悪くないんだけどさぁ……」

 ガチャッ

めぐる「……あっ!」

りあむ「え?」

めぐる「おはよっ! ねぇねぇ、あなたが346プロの夢見りあむさん?」

りあむ「あ、はい」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1592053486

めぐる「わたしね、283プロの八宮めぐる。はじめまして!」

りあむ「えっあっ、ぼ、ぼくは」

めぐる「わたし他の事務所の人とお仕事するの、はじめてなんだ!」

めぐる「これからよろしくね!」

りあむ(やだぁ! もう帰りたい!)

りあむ(この子、顔はいいけど……陽キャのニオイがする! グイグイ来るし!)

めぐる「プロデューサーには、ここのスタジオに行くように言われたんだけど」

りあむ「ぼ、ぼくもPサマにそう言われてる……」

 ガチャ

美希「おはよ~ございます、なの。あふぅ」

めぐる「わぁぁ! 本物の星井美希ちゃんだ!」

美希「ひゃっ!?」

めぐる「会えてすっごく嬉しいよ~! ね、握手していい!?」

美希「う、うん。いいけど」ギュッ

りあむ(ぬわぁぁ! 羨ましい!よ!)

りあむ(765プロのミキミキと握手!? ぼくなら三万出せる!)

美希「えっと……」チラ

りあむ「あっ、や! ぼ、ぼくなんか見ない方がいいよ、目が腐るから!」

美希「え~、なにそれ? ちょっとヘンな人なの?」

めぐる「こっちは夢見りあむさん! わたしは、八宮めぐるだよ!」

美希「りあむさんと、めぐるさん?」

美希「ミキはね、星井美希だよ! よろしくなの~。アハッ☆」

りあむ(はう……生のミキミキ! 尊い、推せる……)

事務所の垣根を超えてアイドル同士の交流を深めつつ、
互いに切磋琢磨できる環境を作る。
そんな合同企画が、765プロ・346プロ・283プロの手で立ち上がった。

その試金石として選ばれたアイドルが

 765プロ 星井美希(15)
 346プロ 夢見りあむ(19)
 283プロ 八宮めぐる(16)

であった。だが――


りあむ(ミキミキは超有名人。伝説の13人を抱える765プロ、その中でもエース級のアイドル)

りあむ(顔も声も、オマケにカラダもいい。ぼく、もともと激推しだし? 会えただけで死むる……)

りあむ(めぐるちゃんは、アメリカ人とのハーフらしい。あと明らかにコミュ力おばけ)

りあむ(もう二人とも属性盛り盛り。それに比べてぼくがザコすぎて、やむ……)

ハイスペックな二人に囲まれたりあむは、
最初からコンプレックス全開であった。

美希「りあむ……『さん』と、めぐる『さん』って呼べばいいかな?」

めぐる「えぇ~、そんなに歳も変わんないでしょ? めぐるって呼んでよ!」

りあむ「ア、ぼ、ぼくも……」

美希「よかった~。ミキ、いつも『さん』付けなさーいって律子さんに怒られるから」

りあむ(律子さんって、りっちゃんとの絡み!? 超見たいんだが……)

美希「じゃあミキも、ミキって呼んで欲しいの!」

りあむ「あの……『ミキミキ』とかは?」

美希「えっ」

りあむ「あっ」

りあむ(だから! どうして反射的に喋るんだよ、ぼく!)

りあむ(いきなり他事務所の子をあだ名で呼ぶなよ! キモいだろ!)

美希「えっと、別にいいよ?」

りあむ「マジで!?」

りあむ(やったぁぁぁ! ざまーみろオタク共!)

りあむ(ファンの愛称とかじゃなくて! ぼくだけ本人公認だ!よ!)グッ

美希「学校で仲いい友達も、よくミキミキって呼ぶの」

りあむ(ですよね……ぼくだけ特別扱いなわけないよな……)シュン


めぐる「りあむさんって、感情表現豊かそうだよね!」

美希「表情がコロコロ変わって、ミキは面白いって思うな。アハッ☆」

一週間後――


りあむ「ぜ~、は~、ぜ~、は~……」

トレーナー「夢見! 基礎レッスン程度でヘバるんじゃない!」

りあむ「うぇぇ……吐きそ……」

りあむ(やっぱ特別企画ってだけあって、レッスンきっつい! なのに)


美希「…………」キュッキュッ

めぐる「っ……くうっ……!」キュッキュッ


りあむ(……まだこの一週間で、3回くらいしかレッスンやってないのに)

りあむ(ミキミキは、どんなターンやステップも既に余裕だし。ガチの天才じゃん)

りあむ(めぐるちゃんもキツそうだけど、ちゃんとついていってる……)

りあむ(ぼくなんていちばん年上なのに……やむちゃんだよ……)

 パンッ

トレーナー「よし、昼休憩! 午後は13時から再開!」

美希「ありがとうございましたー!」

めぐる「ハァ、ハァ……あ、ありがとうございましたっ」

りあむ「ぜ~は~、ぜ~は~……あ、ありがっ、うぷっ」

トレーナー「おい、吐くならトイレでな」

美希「りあむ、ダイジョーブ?」

りあむ「うっぐ……や、やむけど、だいじょぶ……」

めぐる「ふうっ。そこそこキツいね~」

りあむ(そこそこ!?)

美希「ん~、まあまあってカンジかな。ミキ、なーんでもできちゃうから」

りあむ(二人ともコミュ力おばけの上に、体力おばけ……)

りあむ(天が二物を与えてるよ! 不公平じゃん!)

 モグモグ...

めぐる「ね、このお弁当、すごく美味しくない? ちょっと豪華だし」

りあむ「それだけこの企画が重視されて、金がいっぱい使われてるってことかな」

めぐる「へえ~、そうなんだ?」

りあむ「や、想像だけど? 予算にはお弁当代とか送迎費とかも入ってるだろうし」

めぐる「あ、そっか。そういうのって、あんまり考えたことなかったかも」

りあむ「ぼく、アイドルを外から見てるからさ。そういうこと考えちゃうんだ」

めぐる「外からって……どゆこと?」

美希「ミキ、ちょっとわかるかも。りあむってアイドルっていうか、アイドルのファンみたい」

りあむ「『みたい』じゃなくて、そうなんだよなあ……」

りあむ「元々SNS育ちの、ただのドルオタだったのにさ。Pサマにスカウトされてズルズルと……」

めぐる「ふうん、ほんとにスカウトってあるんだね。わたし、書類選考だったから」

りあむ(めぐるちゃんレベルなら、ほっといてもスカウトされるだろうけど)

美希「ねーりあむ、おにぎり1つ貰っていい?」

りあむ「あ、はい」

美希「えへ、ありがとっ!」

りあむ(うう……笑顔がまぶしい……! 尊みがわかりみ……)

めぐる「ミキはおにぎり好きなの?」

美希「うん、大好き! いちごババロアも好きだけど、やっぱりおにぎりが一番なの!」

りあむ(はいかわいい)

午後――


めぐる『ヒカリのdestination そのしっぽを捕まえたい』

めぐる『見失わないで……』

りあむ「見失わないで~」

トレーナー「夢見! 余計な合いの手を入れるな!」

りあむ「ひい! つ、ついドルオタの魂が……」

めぐる「りあむさん、よくこの曲知ってるね。わたし、あんまり有名じゃないのに」

りあむ(やらしいサイトの広告で流れてたとは言えないでしょ……)

めぐる「りあむさんも一緒に歌う?」

トレーナー「コラ八宮。お前も調子に乗るな」

めぐる「ご、ごめんなさいっ。えへへ……怒られちゃった」

りあむ(めぐるちゃんも、ミキミキに負けず劣らず顔がいい。推せる……)

トレーナー「ふむ。試しに既存曲で、お前たちのポテンシャルを見てみたが」

トレーナー「3人とも、まだまだ伸び代がありそうだ。これは鍛え甲斐があるな」

トレーナー「ユニット用の楽曲が提供されるのも、もう少し先になるという話だし……」

トレーナー「当分はレッスンを中心に進めていくとしよう!」

美希「は~い。も~、ミキはクタクタなの」

めぐる「はぁ、はぁ……あ~、はやくあっついシャワー浴びたいよ~!」

りあむ「――――」チーン

めぐる「りあむさん!?」

美希「死んじゃったの?」

トレーナー「夢見は体力もつけておけ。これからは、よりハードになるからな」

りあむ(まじでか……)

-りあむ自室-


りあむ「もー! 二人とも凄すぎだろ! めっちゃやむ!」

りあむ「特にミキミキ。同じアイドルの立場になると、本当にヤバいって分かる……」

りあむ「なんでもできる天才だと思ってたけど、そんな単純な話じゃなくて」

りあむ「ミキミキは、本当は『努力する天才』なんだよなぁ……」

りあむ「……そういう意味では」

りあむ「尊いアイドルは努力してるってぼくの持論は、やっぱ正しかったんじゃん」

りあむ「……そう考えると、めぐるちゃんもそうかも」

りあむ「スポーツ万能で、学校でもよく助っ人とかしてるらしいけど」

りあむ「持ち前の体力にかまけたりしてない。ぼくらの中で一番マジメに取り組んでるもん」

りあむ「あの二人が……陽キャとかそんなんじゃなくて、輝いて見える本当の理由は」

りあむ「たぶん、ちゃんとそういう努力をしてるから」


りあむ「じゃあ、なーんにもしないでここまで来たぼくって……なんなんだよ……」

二週間後――


りあむ「ひぃ、はぁ……で、ここで回って……あ゛っ!?」

 ガタァン!

りあむ「ひぃ……いたいよう……」

めぐる「りあむさん、大丈夫!?」

美希「ケガしてない? バンソーコーいる?」

りあむ「あ、ありがと……」


りあむ(ぼくたちはトレーナーがいなくても、自主トレはちゃんとやらなきゃいけない)

りあむ(そんなの、普段なら当たり前のことなんだけど)

りあむ(レッスンで腕も脚も腰も限界……もう、体が全然ついてかない……)

りあむ「……ミキミキはさ。余裕そうだけど、しんどくないの?」

美希「すっごくしんどいよ? ミキ、体力ない方だし」

めぐる「えっ、うっそ。全然そう見えないよ?」

美希「ホントなの。ポーズとかもキメるとこはキメるって、メリハリつけてるし」

めぐる「あ、そうなんだ! でもその強弱を付けるのって、もうセンスだよね?」

美希「そっかも。ミキ、そういうのはテキトーにうまくやっちゃうの!」

めぐる「美希~、全然参考にならないよ~」


りあむ(……ぼくには、それもない)

りあむ(才能もない、努力もできない……ガチのクズじゃん……)

めぐる「よし、あとちょっとがんばろっ! りあむさんもいけそう?」

りあむ「………………」





りあむ「もう無理」

美希「え?」

りあむ「ぼくは…………違うんだよ」

めぐる「違うって?」

りあむ「だから! ミキミキやめぐるちゃんとは違うんだ!」

りあむ「ザコメンタルだし! すぐやむし! 体力ないし!」

りあむ「流されるまま来ただけで、モチベーションもないし」

りあむ「なのにオタク共がチョロいから、総選挙でも3位になっちゃって!」

りあむ「ぼくが頑張っても頑張らなくても結果は同じだった! ムダムダの無!なんだよ!」

めぐる「りあむさん……」

美希「…………」

りあむ「実力もないのに! 大きい舞台に駆り出されて、こんな企画まで来ちゃうし!」

りあむ「ぼく如きに、二人と一緒の空気を吸う資格なんて無いんだって!」

りあむ「そりゃさ……仕事が楽しい事もあるよ?」

りあむ「この企画だってミキミキに会えるって、正直期待してた」

美希「…………」

りあむ「でもさ! 楽しいことばっかじゃないじゃん!?」

りあむ「この一ヶ月でぼく、どんだけ二人の足引っ張った!?」

りあむ「正真正銘のクズだろ!? 言ってよ、ぼくが邪魔だって!」

りあむ「やっぱりぼくはただのドルオタだよ! だって、ぼくらしいじゃん!」

りあむ「はぁ……はぁ……ごっ、ごめん」

りあむ「急に発狂して、ドン引き? 引くよね、自分でも引くもん」

美希「……そう。そっか」

美希「りあむは、アイドルなんてイヤイヤやってるんだ」

美希「キラキラしたいとか、みんなに喜んでほしいとか、ないんだね」

りあむ「そうだよ! ぼくは甘やかされたい。チヤホヤされたい」

りあむ「ずっと楽しいことをしてたい。楽をしたいんだよ!」

美希「……あっそ。ミキ、そーゆーのはどうかって思うな」

めぐる「美希……」

美希「アイドルをやる理由って、いろいろあるけど」

美希「ミキが知ってる人は、みんな……ホンキでやってた」

美希「春香も、千早さんも。響も貴音も。律子さんだって」

美希「りあむは、プロデューサーに言われたまま、ムリヤリやってるだけなんだね」

美希「……ちょっとヘンだけど、面白いヒトだなって思ってたのに」

美希「あ~あ……ミキ、ガッカリなの」

美希「……あふぅ」


りあむ「…………」

その日から、りあむはレッスンを休むようになった。

本人はずっと体調が悪いと言い訳をしていたが、
美希と顔を合わせるのが気まずくて、サボっているのは明らかだった。


美希「…………」ソワソワ

めぐる「……りあむさん、今日も来ないね」

美希「えっ」ビクッ

めぐる「…………」

美希「…………」

めぐる「あのね。わたし、あれから考えてたんだけど」

美希「……りあむのコト?」

めぐる「うん。正確には、りあむさんの『言ってるコト』かな」

美希「…………」

めぐる「楽しみたい、楽したい……それっておかしいことかなって」

めぐる「りあむさんってさ。いきなりスカウトされたって言ってたけど」

美希「うん……地下ライブの会場で、346プロのプロデューサーに声かけられたんだって」

めぐる「それって、アイドルを応援してた人が、急にアイドルをやることになったんだよね」

めぐる「でも、周りが好きに囃し立てて、たった1年くらいで総選挙でも上位になって」

めぐる「アイドル業を本気でやるか、考える時間すら無かったんだと思う」

めぐる「今までの自分を変えるコトって、簡単じゃないのにね……」

めぐる「だから……正直混乱してると思うんだ、りあむさん」

美希「…………」

美希「……うん。めぐるの言う通りかも」

美希「それに……ミキもね。あの時はムカーってきて強く言っちゃったけど」

美希「たぶんミキとりあむが、似てるからだと思うの」

美希「えっと、ゴーゾク……なんだっけ?」

めぐる「……同族嫌悪?」

美希「あっ、それなの」

めぐる「うーん、似てるかな? 美希って確かにマイペースだけど……」

めぐる「アイドル活動だけは全力でやってるように見えるよ?」

美希「ううん。似てるのは今のミキじゃなくて」

美希「……アイドル始めたばっかりの頃の、ミキなの」

美希「カモ先生」

めぐる「え? か、カモ?」

美希「カモって、寝たままでもプカーって浮いてるでしょ?」

美希「ミキも、なーんにもしないでトップアイドルになれたらいいなーって」

美希「カモ先生みたいに、楽して生きてたかったの」

めぐる「りあむさんと同じこと言ってる!」

美希「ね。プロデューサーがハニーじゃなかったら、今でもそう思ってたかも」

美希「だからミキ的には、りあむにも変わってほしかったのかな」

美希「でもそれって……ミキの、ただの押しつけだよね……」

美希「ハニーや春香たちにメーワクかけてた頃から、なんにも成長してないの……」

めぐる「そんなことないよ。美希は一番年下なのに、本当に凄いなって思ってるもん!」

めぐる「わたし、ダンスには自信あったのに美希には負けちゃってるし……」

美希「ミキ的にはめぐるも上手だと思うよ?」

めぐる「あはは……それにね、友達や仲間って『迷惑かけていい人』だと思うんだ」

めぐる「学校でバスケとかバレーとか、いっぱい助っ人も頼まれたりして」

めぐる「アイドルとの両立がきついって思ったことも、何度もあるけど」

めぐる「それで友達を嫌いになったことなんて、一度もないよ!」

めぐる「……プロデューサーが、お仕事とかフォローしてくれたからだけどね」

めぐる「りあむさんもその頃のわたし達と同じで、きっと凄く迷ってる」

めぐる「だから周りに迷惑をかけちゃうこともあるかもしれないけど」

めぐる「そういう時に助けてあげられるのが、友達や仲間なんだって思ってる」

めぐる「わたしは真乃と灯織に、そう教えてもらったよ!」

美希「……そっか。りあむも、悩んでるんだよね」

美希「ミキね、めぐるの話を聞いて思ったの」

美希「りあむに謝りたいって。キツイこと言ってごめんねって……」

めぐる「そうだね、そうしようよ!」

めぐる「……あ! でも、りあむさん来なくなっちゃったから、まず会うコトが……」

美希「そっか。電話も出てくれないんだっけ」

めぐる「うん。プロデューサーが家まで行っても、居留守なんだって」

美希「どうしよ……せっかく、謝ろって思ったのに……」

 ガラッ!

765P「話は聞かせてもらった!」

美希「え!? ハニー!?」

346P「夢見さんが休んでいるのに、そのような理由があったとは……」

283P「まったくです。水臭いじゃないか、めぐる」

めぐる「プロデューサーまで……」

283P「どうして俺たちにまで秘密にしていたんだ?」

めぐる「ごめん……アイドル同士の問題だし、アイドルだけで解決するべきかなって」

283P「何を言ってるんだ。プロデューサーとアイドルは一心同体だろう?」

283P「そんな遠慮なんてしなくていい。誰かに言うだけで楽になることもあるんだから」

765P「その通り、美希もだぞ」

美希「……うん。早くハニーに相談した方がよかったの」

346P「みなさん。私の管理不足で、本当に申し訳ございません……」

765P「いえ。アイドルのいざこざやサボりで悩むのは、お互い様じゃないですか」

283P「ウチにもいますよ。『今日のレッスン~、サボっていいですかぁ~』とか言う子が」

346P「しかし、なにもこのような特別企画で」

美希「……ごめんなさいなの。ミキのせいで……」

765P「お前だけのせいじゃない。俺たちも企画の方に注力しすぎて、最近顔合わせも少なかったし」

346P「それに、きっかけは夢見さんのご発言のようですので……お気になさらないでください」

めぐる「でも実際、どうやったらりあむさんに会えるかな?」

283P「電話が通じないなら、家から出たタイミングで押さえるしかないでしょう」

美希「キョーアクハンみたいになってきたの」

765P「しかし、そんな天岩戸のような都合のいいものが……」

346P「…………いえ。あるかもしれません」

めぐる「ほんと!?」

346P「星井さんや八宮さんは、既にご存知かもしれませんが」

346P「夢見さんは『まだ自分でアイドルやるより、応援してる方が好き』というタイプです」

美希「もちろん知ってるの。それでケンカしたくらいだし……」

346P「ですので、つまり――」

二週間後、某アリーナ――


美希『じゃあねなんて言わないで』

美希『またねって言って……』

 ワァァァァァァァ!!

美希「みんなー! 今日もいーっぱい応援してくれて、ありがとうなのー!」

 ウワァァァァァァァァァ!!



りあむ「…………」

りあむ(今日は、ずーっと前から行こうと思ってた、765プロのライブの日)

りあむ(ミキミキとあんなことがあったから、行くかどうか迷ったけど)

りあむ(ドルオタ活動すらしなくなったら、ぼくほんとに何も残んなくなっちゃうし)

りあむ(でも……やっぱりモヤモヤする。ザコメンタルつらいわー、ほんとつらいわー)


響『君まで届きたい 裸足のままで』

響『坂道続いても諦めたりしない』

美希『手に入れたいものを数え上げて』

美希『いつだってピカピカでいたい』

響『わたし shine smile!』


りあむ(ミキミキと響ちゃんの『shiny smile』。顔も歌もいい、しゅき……)

りあむ(……あーあ。ぼくもこないだまで、あの隣にいたんだけどな)

りあむ(ぼくが自分で壊した。自業自得じゃん。ライブ中なのに、ほんとやむ……)

響「みんな、ありがとなー!!」

 ワァァァァァ!!

響「楽しいだろー! 自分たち、カンペキだからな!」

美希「ミキ、ライブ大好き! いろんなものがキラキラしてて、最っ高なの!」

響「そうだよな! そんな美希が、今日は言いたいことがあるんだろ?」

美希「うん! 一度言ってみたかったの。よく春香が言ってるヤツ!」

響「なんだなんだ~?」

美希「すうぅぅぅ......」

美希「みんなぁぁ! 後ろの席まで、ちゃーんと見えてるからねー!」

美希「二階席のみんなも、ちゃーんと見えてるからねー! アハッ☆」

 ウワァァァァァァ!!

美希「………………」ジーッ


りあむ「……ぇあ!?」

りあむ(な、なんかミキミキ、こっち見てね?)

りあむ(いや、ないない! ここ二階席だぞ! ぼくの場所なんて分かんないだろ!)

美希「……あのね。ミキはね」

美希「マイペースで、自分勝手で、周りにメーワクかけちゃうけど」

美希「みんなに助けられたから、ここまで来れたの」

美希「だからミキ的には……今度はミキがみんなを、あなたを助ける番だと思うの」

美希「周りがいろいろ言ってきて、でも簡単には変われなくって」

美希「めっちゃやんでも! プレッシャーにプチッてつぶされそーになっても!」

美希「ミキと……ミキ達と一緒にがんばろ!? 一緒に……夢を見ようよ!」

 ワァァァァァァ...


りあむ(…………)

りあむ「……ミキミキ……」

りあむ「う゛っ……」グスッ

りあむ「う゛ぐぅぅぅぅぅ……!」ポロポロ

めぐる「はい、ハンカチ」

りあむ「あ゛っ、あ゛り゛がと……」ゴシゴシ

めぐる「収まった?」

りあむ「う゛ん……」



りあむ「…………うん?」

りあむ「めぐるちゃん!? なんで後ろの席にいるのさ!」

めぐる「わたし、ずっといたよ?」

りあむ「だから! ぼくの席知ってたんでしょ!? なんで!」

めぐる「……偶然だよ?」

りあむ「なわけないだろ! てかミキミキもあの距離でぼくが見えてたっぽいし!」

めぐる「だってわたし達みんな、仲間だもん!」

りあむ「どんな理由だよ! 仲間全員マサイ族じゃん!」

めぐる「それでね、りあむさん」

りあむ「あ、はい」

めぐる「いま美希が言った通りだけど。わたし達は、今でも待ってるよ!」

めぐる「もちろん、プロデューサーやトレーナーさんも!」

りあむ「……でもぼく、あんなコト言っちゃったし」

めぐる「美希って割り切るタイプだし。戻ってきてくれたらもう気にしないよ」

りあむ「…………」

めぐる「次のレッスン日は明後日だから。来れそうだったら来てほしいな」

めぐる「あ……でも、色んな人から怒られるかもしれないけど」

りあむ「ですよね!」

二日後、レッスンスタジオ――


美希「ごめんなさいなの!」

りあむ「え゛っ」

美希「ミキ……りあむのキモチ、なんにも考えてなかった」

美希「みんなにはそれぞれジジョーがあって」

美希「ミキだって前はそうだったのに、りあむにヒドいこと言って」

美希「オマケに、勝手にガッカリして……」

美希「ホントにごめんなさい!」バッ

りあむ「ちょちょちょ頭上げて! ぼくがいたたまれないから!」

りあむ「ミキミキが謝るってどういう展開だよ! 何があったの!?」

りあむ「――で、そういうことだったんだ」

美希「うん……」

りあむ「それでも悪いのは、先に癇癪起こしたぼくだろ!」

346P「そうですね」

りあむ「Pサマはぼくをもうちょっと労れよ! 甘やかしてよ!」

346P「しかし……です」

346P「夢見さん。私も……大変申し訳ございませんでした」ペコッ

りあむ「え、こっちも……?」

346P「あなたの重圧に気付かないまま、この企画にあなたを選んだのは、私です」

346P「特にレッスンは配慮いただくよう、トレーナーさんにも伝えておくべきでした」

346P「……美城専務にも、たいへんな叱責を受けました」

りあむ「こわっ……」

346P「……あるアイドルに言われたことがあります。『私、アイドル辞める』と」

346P「八宮さんが間に入ってくれなければ……また、過ちを繰り返すところでした」

りあむ「そ、そう? やっぱりぼく悪くない?」

346P「いえ、夢見さんも悪いです」キリッ

765P「逃げる前にまずプロデューサーには相談するべきだったよな」

283P「レッスンに二週間も穴開けて、悪くないは無いだろ」

りあむ「三人揃って責めてくる! ジェットストリームやむ……」

めぐる「……アリーナでも思ったけど、そっちが本当のりあむさんなんだね」

りあむ「え、なにが?」

美希「初めて会ったときと全然違うの。ハキハキで、イキイキしてるってカンジ」

めぐる「そっちの方がりあむさんらしくて、わたしは好きだよ!」

りあむ「え、しゅき……? でへへ……」

美希「喜び方がキタナイの……」

346P「なお夢見さんのサボり癖には美城専務もお怒りでして。明日中に役員室に来るように、と」

りあむ「なんで喜んでる時にそういうこと言っちゃうかな! Pサマは!」


星井美希。八宮めぐる。
そして夢見りあむの本当の挑戦は、ここから始まるのだった。

今回はここまで。ありがとうございました。
残りは今日中に投下します。いま半分くらいです。

再開します

りあむ復帰の翌日、283プロ――


めぐる「――楽曲?」

めぐる「たしか前にトレーナーさんが『もう少し先の話』って言ってたけど」

283P「ああ。各事務所には、まだ世に出ていない曲というのもあって……」

283P「せっかくだから、そういった曲も公表していこうという話になったんだ」

283P「ただウチはともかく、765さんと346さんは本当に曲数が多くてな」

283P「プロデューサー陣で候補曲をリストアップしていたが、結局一ヶ月かかってしまった」

めぐる「そんなにいっぱいあるんだ……」

283P「そして最終的には、ここから三曲に絞らなくてはいけない」

めぐる「三曲……それを歌ったらわたし達、解散なんだよね?」

283P「ああ。この企画はもともと半年程度の予定だからな」

283P「でも逆に、たった三曲に全部の想いを込められるってことだよな」

めぐる「あ、そっか。いいコト言うね!」

283P「765さんや346さんのような大型事務所と交流するなんて……」

283P「こんな機会、二度と無いかもしれないからな。思いっきり楽しんでくれ!」

めぐる「うん! ありがとね、プロデューサー!」

283P(よし、楽しく話せたな)

-レッスンスタジオ-


りあむ「――で、ぼく達にも意見を聞きたいって……?」ゲッソリ

めぐる「うん。ってりあむさん、なんか疲れてない?」

りあむ「午前中ずっと専務に怒られてたから、やみやみのやむちゃんだよ……」

美希「りあむ、ゴメンね……」

りあむ「ミキミキは気にしなくていいって。今回の件はそうでもなかったし」

りあむ「むしろ、過去のサボりを1つ1つ掘り出されてネチネチとさ……」

めぐる「うわぁ」

りあむ「それで……その候補曲のリストっていうのが、これなんだ?」

めぐる「うん。プロデューサーから音源も預かってきたよ」

 パラパラ...

美希「へー。いっぱいあって目移りしちゃうの!」

りあむ「いっぱいすぎるよ! A4用紙で何枚あるんだよ!」

めぐる「三人で手分けして、レッスンの合間とかに少しずつ聴いてこっか?」

美希「さんせーい。ミキ、こんなの家でやったら眠くなっちゃうの」

りあむ「分かる。家には誘惑が多すぎて、何も進まない気がするし……」

めぐる「1人あたり20曲くらいかな?」

りあむ「うひぃ、ちょいやみだよ……」

美希「しかもこれって、全部聴いたことない曲なんだよね?」

めぐる「世に出てない曲っていうくらいだから、たぶん」

 パラパラ...

りあむ「……確かにドルオタのぼくでも、知ってる曲は一つもないなあ」

美希「ミキ的には、ゼッタイすっごく疲れるやつだと思うの……」

めぐる「でも、しょうがないよね」

めぐる「メジャーソングだと、わたし達が歌ってもただのカバーになっちゃうから」

美希「メジャーって、例えばどーゆーの?」

りあむ「ミキミキが歌ってた『M@STERPIECE』とかだよ」

美希「へ? あれってそんなに有名なの?」

りあむ「ドルオタ界隈では曲どころか、バックダンサーまでまとめて有名だ!よ!」

美希「そーなの? めぐるも知ってる?」

めぐる「うん、わたし大好き! 『夢を初めて願って 今日までどのくらい経っただろう』~♪」

りあむ「ほーら尊い……めぐるちゃんのマスピ、フルで聴きてえ……」

美希「こういう歌の話してると、なんか歌いたくなってきちゃうの」

めぐる「そうだ! 今度三人でカラオケ行こ?」

りあむ「え゛っ……カラオケ!? ぼくなんかが、二人と行っていいの!?」

めぐる「えっ、なんでダメなの……?」

りあむ「じゃあぼく、歌ってる二人にオタ芸やるよ! てかやらせて!」

めぐる「別にいいけど、りあむさんも歌おうよ……」

美希「りあむ、またファン目線になっちゃってるの。アハッ☆」

めぐる「せっかくだから、みんなで持ち歌を回しっこしようよ!」

美希「賛成なの! じゃあミキが、めぐるの『虹になれ』歌っちゃおっかな?」

めぐる「りあむさんが、美希の『relations』で」

めぐる「わたしが、りあむさんの『OTAHENアンセム』だね!」

りあむ「ダメだろ! 絶対歌うなよ、絶対だぞ! フリとかじゃなくて!」

めぐる「え、なんで?」

りあむ「めぐるちゃんが汚れちゃうからだよ! わかれ!よ!!」

数日後――


765P「美希、りあむ、めぐる。このあいだ選んでくれた曲なんだけど……」

765P「この三曲、間違いなくお前達が選んだんだよな?」

 美希選 『The world is all one!!』
 りあむ選『Star!!』
 めぐる選『Spread the Wings!!』

美希「えっ? ハニー、なにかダメだった?」

346P「その、夢見さん達は……ご存知だったのですか?」

りあむ「なにがさ? Pサマ」

283P「どの事務所の曲かは、渡したリストには書いてなかったよな」

めぐる「う、うん。たぶん先入観を持たないように、だよね?」

346P「ええ……ということは、すごい偶然ですね」

283P「お前達が選んだ曲はな。各々の所属事務所の曲だったんだ」

めぐる「えっ!?」

美希「ミキ達、フィーリングで選んだだけだよ?」

765P「はは……事務所の色が、アイドルにも曲にも出るってことかな?」

283P「それだけ、プロデューサーとアイドルの距離感が近いんだと思いましょうよ」

346P「ええ、そうですね。これで決裁にかけてみましょう」

283P「そしてお前達が曲を選んでいる間に、ユニット名も決まった!」

めぐる「ホント!? どんなのどんなの?」

765P「ユニット名は、『プログレシブ』だ!」

美希「プログレシブ……カッコイイの!」

346P「皆さんの個性や独特の感性を尊重して、命名しました」

りあむ「なんかナイフの名前とかについてそう。てかどういう意味なの?」

めぐる「日本語だと、進歩的って訳になるのかな」

美希「革新的?っていう意味もあるの」

りあむ「アメリカ生まれのめぐるちゃんはともかく、ミキミキまで!?」

りあむ「年下に学力まで負けてて……さいこーにやむちゃん……」

美希「あ~、ひどいの。ミキ、そんなに成績悪くないよ?」

765P「授業は爆睡なのに成績いいからな、美希は」

美希「アハッ☆ ハニーに褒められちゃったの!」

めぐる「ほ、褒めてるかな……?」

-レッスンスタジオ-


美希「おはようなの……あふぅ」

りあむ「おはよ、ミキミキ。まだ目が起きてない感じだけど」

美希「うん、すっごく眠いの……あれっ、めぐるは?」

りあむ「今日は部活の試合。また助っ人だってさ」

美希「……ねーねー。もしかしてりあむって、ヒマ人さんなの?」

りあむ「急になんだよう。やむぞ? すぐやむぞ、絶対やむぞ、ほ~らやむぞ?」

りあむ「……でも最近、推しに罵倒されるのも悪くないんだよなぁ」

美希「またわけわかんないコト言ってるの」

美希「ミキやめぐるは学校の出席日数とかもあるし、たまにレッスンお休みするけど」

美希「りあむって、いつもスタジオにいるなーって」

りあむ「そりゃあもうおっしゃる通り、ヒマ人だもん」

りあむ「それにサボった分は取り返さないと、またPサマや専務に怒られちゃうし……」

美希「今度は『努力してる』ってカンジ?」

りあむ「ぼくなりにね! ミキミキやめぐるちゃんに比べるとカスだよ!」

りあむ「……てかだいたい、家にいても一人で、あんまやることないしさ」

美希「りあむって一人暮らしなんだね」

りあむ「実質そうかも。両親は仕事で海外。お姉ちゃんはアメリカで画家やってるんだ」

美希「ミキもお姉ちゃんいるよ。菜緒っていうんだけど」

りあむ「ミキミキの姉てことは、ミキミキよりナイスバディ? 推せる!?」

美希「ううん、全然。歳は5つか6つくらい上なんだけど、胸はDしかないの」

美希「ミキがいじわるして横に並んであげると、シュンってなっちゃうんだよね」

りあむ「鬼! 悪魔! ちひろ!」

美希「あっ、いいこと思いついたの!」

美希「胸のサイズ、ミキが86でしょ。めぐるが90で、りあむが95だよね?」

美希「今度は、プログレシブ三人で並んであげるの!」

りあむ「うん、ホントやめたげよ? おねえさま、ぼく以上にやむよ?」

-りあむ自室-


りあむ「今日もちかれた……充実感はあるけど、もっとぼくを労れよな~」

りあむ「あ、そうだ。プログレシブって一般公開されたんだっけ」

りあむ「とりあえずエゴサしよ」ポチポチ

 『期間限定ユニット、プログレシブ結成!』
 『765プロ星井美希、346プロ夢見りあむ、283プロ八宮めぐるの強力ユニット!』

 『財布絞りに来てんなぁ。グッズもCDも買いますけど?』
 『オイオイオイ死ぬわ俺ら』
 『三曲出して終わりとか勿体なさすぎる……』
 
りあむ「そうそう! こういう甘い言葉を待ってるんだよ、ぼくは!」

りあむ「やっぱオタク共はチョロいな! りあむちゃん大勝利!」

りあむ「…………ん?」ポチポチ

 『三人とも乳がでかいだけでは?』
 
 『星井美希が相対的に貧乳で草』
 
 『あの765がこんな企画しか出せないとか、落ちぶれたな』
 
 『うわっ……りあむだけ顔面偏差値低すぎ……?』
 
 『八宮って誰だよ。地下アイドル?』
 
 『そもそも283プロを知らね。876プロで良かっただろ』


りあむ「………………」

りあむ「オタクが……舐めてると潰すぞ……!」


アンチの書き込みや、自分がこきおろされるのはもう慣れた。
「は~、めっちゃやむ!」なんて言いつつも
反射的に言い返して、炎上するのがいつものパターンだった。

しかし、今回は違った。美希やめぐるがバカにされ……

あの二人がどれだけ努力し、日々自分を磨き、ファンの為に頑張っているか。
オタクどもに、尊いアイドル達の何がわかるのか。

ネットの無神経な書き込みに、りあむは普段とは異なる憤りを覚えていた。


りあむ「……やってやる!」

りあむ「全力でレスバだ! ぼくが二人の魅力を存分に語ってやる!」

りあむ(……いや。ちょっと待てよ)

りあむ(うん。そりゃぼく自身が批判されてたら、必死になって言い返すよ?)

りあむ(だから今回は、二人のために)

りあむ(『ミキミキが相対的に貧乳?でかくて揉みごたえあったし!』とか)

りあむ(『地下アイドルはめぐるちゃんほど輝いてないだろ!』とか、反論しようと)

りあむ(……って思ったけど、おいぼく。本当にそれでいいのか?)

りあむ(これ……炎上しないか?)

りあむ(これは、ぼく一人の話じゃない。余計なことしない方がいいんじゃ……)

りあむ(……だからって、仲間をバカにされて黙ってる方がひどくない?)

りあむ(とか言っても、それで炎上して二人に飛び火したら、逆に迷惑じゃん)


りあむ「……どうすりゃいいんだよう……」


夢見りあむの胸中に浮かんだ想い。

仲間を守るため、批判コメやアンチと全力で戦うべきか?
仲間を守るため、あえてスルーするべきか?

二つ我に有り―――

翌日――


りあむ「ミキミキぃ! めぐるちゃぁぁぁん!」ブワァ

めぐる「わっ! な、なに?」

美希「りあむ、ひどい顔だね」

りあむ「また罵倒された! ぼくが可愛くないのはわかってるんだよう!」ダラ-

美希「そーゆー意味じゃないの……」

めぐる「とりあえず、涙と鼻水は拭こっか。ね?」

りあむ「う゛んっ……それより…………ごめ゛ぇぇぇん!!」ダバァ

りあむ「ごめ゛んな゛ざい! じゅみまじぇぇん! ひぃぃ……」

めぐる「ちゃ、ちゃんと説明して? 怖いよ!」

りあむ「うぅ……昨日エゴサしてたらさ? ぼくらへの批判コメを何個も見つけちゃって」

りあむ「ムカつくじゃん!? あいつらテキトーなことばっか書いてさ!」

りあむ「ぼくだけならまだしも、二人のことまで……!」

りあむ「でさ! ぼくは二人より年上で! 力になりたいだろ!」

りあむ「じゃあさ! ミキミキやめぐるちゃんの魅力を語りたくなるじゃん!?」

美希「あっ……」

めぐる「あっ……」



りあむ「なのに、なのに……! ひっく……ぼくっ……えぐぅ……!」ポロッ

りあむ「結局さ! スルーしちゃったんだよぅ……!」ポロポロ

りあむ「二人はぼくを仲間だって言ってくれるのに!」

りあむ「うぐっ……ぼくは何も返してあげられない……ひぃ……!」

りあむ「二人がバカにされてるのに、ひぐっ、見て見ぬフリしてさぁ!」

りあむ「やむっていうか……もうクソすぎて、死にたい……!」

美希「……エライよ、りあむは」

りあむ「ひぅっ……?」

美希「そーゆー声とまっすぐに向き合える人って、凄いと思うな」

美希「ミキの友達にもいるの。曲がった事がキライな子で」

美希「ミキがほっとけばいいのにって思うことにも、がーって噛み付いちゃう」

美希「でもその子は……我那覇響は、そんなところが魅力的だって思うの」

美希「ミキはそーゆーの気にしないけど……」

美希「りあむや響のまっすぐなとこ、きっと大事にした方がいいの」

めぐる「うん。それにああいうのって言い返して言い返されて、キリがないし」

めぐる「りあむさんはそんな気持ちを我慢できて、すごく偉いと思うな」

りあむ「あうぅ……」

めぐる「何よりも、わたし達を守ろうとしてくれたその気持ちが、凄く嬉しい!」

めぐる「だからわたし、りあむさんが……大好きだよ!」

りあむ「アッ」

りあむ(ぼく死んだ)

ライブ前週――


トレーナー「よし、いい出来になってきたぞ」

りあむ「ぜぇ~、はぁ~……もーだめ! やみやみの!や!」

トレーナー「いや夢見、お前の動きも悪くなかった」

トレーナー「346Pに言われて、レッスンを抑え気味にしたのが逆に功を奏したな」

りあむ「え、ほんと……? さすがぼく? えらい?」

トレーナー「ああ。えらいぞ」

りあむ「そうそれ! もっとチヤホヤしてよ! りあむちゃんを!」

トレーナー「ちょっと褒めるとすぐこれだ」

めぐる「りあむさん、おつかれさま! どう、楽しくなってきた?」

りあむ「始めたばっかでゲロ吐きそうだった頃よりはね」

美希「吐きそーっていうか、実際吐いてたの」

りあむ「もう、二人に掃除を手伝わせる時の情けなさ。そりゃぼくも引きこもるって」

めぐる「あはは……でもこんな日々も、あと少しで終わっちゃうんだね」

りあむ「そーなんだよ! もう二人に会えなくなっちゃうんだよ!」

美希「ミキ的には、いつでも765プロに遊びに来ればいいって思うの」

めぐる「嬉しいけど、765プロは有名人が多すぎてちょっと行きづらいかも……」

りあむ「そーそー。美希はその張本人だから、実感ないだろうけどさ」

美希「じゃあミキが個人的に、二人の家に遊びに行くのは?」

めぐる「それなら大丈夫!」

りあむ「ムリムリムリムリムリ」

美希「なんで? お部屋がキタナイの?」

めぐる「もしかして、足の踏み場が無いやつ?」

りあむ「そこまで酷くはないけど、見られたくないものもあるし……」

めぐる「じゃあライブが終わったら、りあむさん家で打ち上げだね!」

美希「その後カラオケもね!」

りあむ「話聞いてよ! たすけて美希めぐる!」

めぐる「えへへ。日本語って難しいね」

りあむ「急にハーフ的なこと言うのやめよ? 『進歩的』とか知ってるのに」

美希「でもめぐるって、あんまり英語喋んなくない?」

めぐる「あー、そういえばそうかも。もう日本での生活も長いからかな?」

りあむ「『ぱーふぇくとぉ!』しか聞いたことないよね」

美希「うん。アピールした時によく言ってるの」

めぐる「わたしってそんなイメージなんだ!? もっと英語使お……」

ライブ当日、某アリーナ――


りあむ「ここって……こないだ、ミキミキや響ちゃんがライブしたとこだよね」

346P「はい。場所が被ったのはまったくの偶然ですが」

りあむ「あのさ。そういえばあの時……なんで、ぼくの座席が分かったの?」

346P「……夢見さん、765プロのホームページでチケットを購入されましたよね」

りあむ「え? そうだけど……」

346P「つまり……私が、あのライブであなたを捕まえることを提案して」

346P「765Pさんが、765プロ経由であなたのチケットの購入情報を得て」

346P「283Pさんが、その後ろの座席を八宮さん用に購入したのです」

りあむ「そんなとこで事務所を超える連携プレー!? 頭の使い方おかしいだろ!」

りあむ「……しかも、座席が分かったとしてもさ? ぼく二階だったじゃん?」

りあむ「ミキミキはガチで、暗くて遠い二階席まで見えてたってことになるけど……」

346P「そう、なりますね」

りあむ「ミキミキ、マジでマサイ族の生まれ変わりか?」

りあむ「はは……でも、ちょっと気が楽になったかも。ありがと、Pサマ」

346P「やはり、緊張されていましたか」

りあむ「そりゃそうだよ……ねえPサマ。ぼく、変われたかな?」

りあむ「本当の意味で、アイドルになれた? あの二人に少しでも近づけたかな?」

346P「それを確かめるためのライブだと、私は思っています」

りあむ「んもー。こういう時くらいスッパリ『そうだ』って言ってよ!」

りあむ「気が利かないなあ、Pサマは。そーゆーとこだぞ?」

346P「も、申し訳ありません……」

346P「ただ、夢見さんの……あの日からの努力と練習は、誰もが知るところです」

346P「だから、今のあなたは『尊い』と思います」

りあむ「ぼ、ぼくが尊い!? 目が腐ってるよ! すぐ病院行こ!」

346P「努力するアイドルは尊く、ファンはそれに惹かれる。あなたの持論です」

346P「その証拠に……余裕があれば、二階のB席中央を見てみてください」

りあむ「や、だからぼくみたいな凡人には見えないってば……」

スタッフ「プログレシブさん、スタンバイお願いしまーす!」

美希「りあむー! そろそろ行くのー!」

りあむ「……もう! なるようにしかならないぞ! 骨は拾ってよ、Pサマ!」

346P「はい。幸運を……祈ります」

ステージ、開幕――

  ワァァァァァァァァァァ!!

めぐる「いくよっ、みんな~!!」

 『Spread the Wings! 行こう!』

 『今、はじまる奇跡!』

めぐる(りあむさん、美希。たった数ヶ月だけど、いろんな事があったね)

めぐる(でもこれからもワクワクすることが、いっぱい待ってる!)

めぐる(わたし達のアイドル人生は、まだ始まったばかりなんだ!)

 『ひとりではできないこと 仲間とならできること』

 『乗り越えられるのは Unity is strength!』


美希(……ミキね。いつも765プロのみんなとばかりお仕事してるから)

美希(新しいコトでキラキラするキモチ、消えそうになってたの)

美希(ミキ、二人のこと……ゼッタイ忘れないよ!)

 『星いっぱい 輝く! 輝く星になれるよ』
 
 『運命のドア開けよう 今! 未来だけ見上げて』


りあむ(このぼくが。輝くとか、未来とか、言っちゃってるよう)

りあむ(でも……こんなぼくでも。クズでも、ザコメンタルでも、才能なくても)

りあむ(アイドルって楽しいじゃん!? ぼく、これからも続けたい……!)

りあむ(…………えっ!?)


あかり「あ! ねぇねぇ、こっち見たんご~!」

あきら「ここ二階席デスよ。見えるわけ……あれ? 見えてる?」

 『私思い込んでいた 微笑みは交わすけれど 泣く時には一人きりだって……』
 
 『だけど今は知ってるよ 涙流す時も』
 
 『キミと キミと 一緒 それが キズナ 私の背中 押している……魔法!』


りあむ「う゛っ……」ブワァ

りあむ「ぞう゛だ……ぼく、一人じゃな゛がっだ……!!」ボロボロ


めぐる(本番中に呟きだした!?)

美希(また涙と鼻水で、顔ぐちゃぐちゃなの……)

ステージ裏――


346P「夢見さん」

りあむ「ごめ゛ん、感極まって……りあむちゃん、さすがに反省……」ズビッ

346P「いえ。良い、ステージでした。聞こえますか、あの声が」


 アンコール! アンコール! アンコール!


りあむ「ほんとだ!? ぼくえらい? 推せる!?」

346P「…………」

りあむ「だからそこで黙るなよう! これだからPサマは!」

美希「ミキ的には、アイドルがあんなキタナイ顔になるのはNGだって思うな」

りあむ「ミキミキが過去最高に辛辣!」

美希「千早さんが『約束』で泣いた時とは大違いだよね、ハニー」

765P「いや、あれと比べたら誰だって負けるよ……」

めぐる「あはは……ねえプロデューサー。真乃と灯織も見ててくれたかな?」

283P「きっとな。でも、まだ終わりじゃないぞ」

283P「アンコールまでやり遂げて、有終の美を飾るんだ!」

めぐる「うん! わたしのこと見ててね、プロデューサー!」

283P(よし、楽しく話せたな)

りあむ(この人たまにドヤ顔するけど、なんでだろ……)

765P「お前達もいけるよな?」

美希「うん。大丈夫だよ、ハニー!」

りあむ「あ……ミキミキ! そういえば、ぼく分かったよ」

りあむ「座席さえ知ってれば、意外と見えるって。ファンの人とかさ」

美希「ち~が~う~! ゼンゼンわかってないの!」

りあむ「えっ」

美希「誰でもは見えないよ? ファンの人たち、凄くいっぱいいるもん」

りあむ「でもぼく、さっき……」

美希「ホントーにちゃんと見えるのは、好きな人や……大事な友達だけ! アハッ☆」

りあむ「えっ、あ、ぼ……ぼく、ミキミキの……友っ……!」ブワァ

美希「もー、泣かないの。ほら行こっ、りあむ!」

りあむ「……うん! 行く、行くよう……!」ズビビ



346P「いい……笑顔です」

765P「めちゃくちゃ汚いけどな……」

そしてライブが大団円を迎え、二週間が過ぎた。
そんなある日の、夢見家―――


めぐる「お邪魔しまーす」

美希「なの!」

りあむ「うわ、ほんとにウチに来やがった!」

めぐる「じゃあ帰った方がいい?」

りあむ「うそうそ、どうせ来たならゆっくりしてって! 滅多に人来ないし!」

めぐる「えへへ、わかってるよ~」

美希「りあむはタブン、かまってちゃんなの」

りあむ「タブンじゃなくてそうなの! 全力でかまって!よ!」

 ジュウウウウウウ... モグモグ...

美希「すっごくおいしいの!」

めぐる「うん。でもなんで餃子なの?」

りあむ「え゛っ、ダメ!? ぼく非リアだし、こういうのよくわかんなくて……」

めぐる「別にいいけど、はじめてのホムパで餃子って珍しくない?」

美希「タコパとかお鍋とか? ミキはおいしければどっちでもいいの」

りあむ「ごめんね、ぼく餃子しか作れないから」

めぐる「逆にすごいね……」

めぐる「自炊とか……しないよね、絶対」

りあむ「ひどっ! でも正解だけど。普段は外食かコンビニ弁当だし」

りあむ「その外食も、牛丼やラーメンばっかりでさ」

美希「うわ~。なんかりあむって、ハニーみたいな生活してるね」

めぐる「ちょっと分かる! わたしのプロデューサーも似てるかも」

りあむ「ぼく、まだ未成年女子なのに……ん゛ぐっ!?」

めぐる「? どったの?」

りあむ「な……なんか変な味する! なにこれ甘っ!」

美希「あれ? おいしくなかった?」

めぐる「美希、具になに入れたの?」

美希「いちごババロア」

りあむ「おい! おいこら!」

めぐる「んむっ!? わ、わたしも甘いやつだ……!」

美希「アハッ☆ なにかな~?」

めぐる「……分かった! チョコレート!」

美希「うん!」

りあむ「うんじゃないが!」

-りあむの自室-


めぐる「うわぁ。アイドルのグッズ、ホントにいっぱいあるねー」

美希「ねぇねぇ、ミキのファーストシングルのCDがある!」

りあむ「ミキミキのはグッズも結構あるよ。駆け出しの頃からファンだもん」

美希「エヘッ、ありがとうなの!」

りあむ「めぐるちゃんのCDも一通り買ったんだ。推せるからね!」

めぐる「だから『ヒカリのdestination』知ってたんだ?」

りあむ(それは別の理由だよ! CDの方が後でごめんね!)

美希「…………?」

めぐる「どしたの美希? 首かしげて」

美希「本棚ね、なんかお医者さんの本が多いなーって」

りあむ「……あぁ……」

美希「お姉ちゃんの? じゃないよね。画家って言ってたもん」

りあむ「ぼくのだよ」

めぐる「え?」

美希「え?」

りあむ「はい出た、『え、こいつが!?』のリアクション! 分かってました!」

めぐる「ご、ごめんね。意外だなって……」

りあむ「……ぼく、本当は看護師になりたかったんだ」

美希「カンゴシ?」

りあむ「ナースとかあるじゃん? 昔は看護婦って言ってたみたいだけど」

りあむ「いっぱしの専門学校にも入学してさ」

りあむ「ぼくらしくもなく、がんばっちゃった時期もあったんだよ」

りあむ「でも、やっぱムリってなって。今はもう行ってないんだよね」

美希「……ミキが言うのもヘンだけど、学校は行った方がいいと思うよ?」

りあむ「正論なんだけど、ぼくってほんとにザコメンタルだから」

りあむ「で、そんな頃に地下ライブに入り浸るようになって。髪もピンクに染めてさ」

りあむ「そこでPサマにスカウトされて、アイドル業も忙しくなっちゃって」

りあむ「夢に見た白衣は『ナース服』じゃなく、『アイドル衣装』として着ることになった」

りあむ「……後は知ってるよね。なーんにもしてないのに総選挙3位って、笑うだろ?」

めぐる「りあむさんも、いろいろ大変だったんだね……」

美希「アイドルの追っかけだけだと思ってたの」

りあむ「ミキミキはもう少し気の利いた言葉とか! またやむから!」

美希「りあむだし、『ま、いっかー』って。アハッ☆」

めぐる「でもりあむさんの新しい一面が見れて、嬉しかったよ!」

りあむ「……めぐるちゃんにそう言われると、もう何も言えねぇ……」

一ヶ月後 346プロ――


りあむ「はぁ……」グテー

あきら「#だれすぎ侍」

りあむ「なにもかも、やる気がしないんだよう」

あきら「合同企画が終わってからも、しばらくは仕事がんばってたのに」

あきら「すっかり元に戻っちゃったんデスね」

りあむ「いやほら。あきらちゃんやあかりちゃんとお仕事するのは楽しいよ?」

りあむ「でもあるじゃん。今まであった物が急になくなると、寂しい的なやつ」

あきら「#喪失感 #虚無感」

りあむ「ほんそれ。はぁ……二人とも、なにしてるのかなぁ」

 ガチャッ

めぐる「呼んだ? りあむさん!」

りあむ「ほわぁ!?」

美希「りあむ、元気だった? やんでない?」

りあむ「ちょちょ、どしたの! なんで二人がいんの、ふひっ」

めぐる「りあむさん、嬉しそう」

あきら「――――」カチーン

美希「……こっちは、りあむのお友達?」

りあむ「同期のあきらちゃん。いきなり生ミキミキはきついよね……わかりみ」

美希「きついってひどいの!」

346P「あっ……みなさん、ここにお揃いでしたか」

りあむ「Pサマ。なにこれどーなってんの? ドッキリ?」

りあむ「――えっ! 第二弾!?」

346P「はい、先日の企画が非常に好評で。先ほど専務の決裁もおりました」

346P「また765プロと283プロからも、同様の打診が来ています」

りあむ「でもPサマ、同じユニットじゃ代わり映えしなくない?」

美希「だから違うコでやるんだって。ミキは、りあむやめぐるとなら全然いいのに」

りあむ「ミキミキがぼくを必要としてくれる……もう死むる……」

美希「りあむのそーゆーとこ見ると、なんだか安心するの。アハッ☆」

めぐる「それでわたし達、今日は第二弾に選ばれた子を連れてきたんだ!」

美希「ねー、入ってきていいよー」

 ガチャ

千早「あの……765プロの、如月千早です」

千早「至らない点も色々ありますが、よろしくお願いします」

りあむ「う゛わ゛あ゛あぁおぇぁ! また超有名な人が来ちゃった!」

千早「私のこと、ご存知ですか?」

りあむ「もちろんだよう! 765プロの歌姫で、ボーカルガチ勢!」

りあむ「『目が逢う瞬間』『蒼い鳥』『約束』全部持ってるよ!」

千早「あ、ありがとうございます」

りあむ「あとね、『おはよう!!朝ご飯』もぼく的には味があって――」

美希「……りあむ、ミキと初めて会った時と全然反応が違うの。つーん」

めぐる「拗ねない拗ねない。有名人オーラに慣れちゃったんだよ、きっと」

あきら「#死」

346P「砂塚さん!?」

めぐる「お友達は耐えられなかったみたいだけどね……」

めぐる「で、うちの事務所からはこの子が選ばれたよ!」

あさひ「283プロの芹沢あさひっす。これからよろしくっす!」

りあむ「あ゛あ゛あ゛、こっちも顔がいい! 283プロって顔がいい子しかいないね!」

めぐる「あさひはすごいんだよ。ダンスも一度見ただけで覚えちゃうし……」

めぐる「路上でダンスしてたところをスカウトされたくらいなんだ」

あさひ「別に普通っすよ? 見様見真似でやってるだけっすから」

りあむ「あれっ。ミキミキと同じニオイを感じる……」

りあむ「それでPサマ。うちの事務所は誰が選ばれたの?」

346P「夢見さんです」

りあむ「…………は?」

346P「ですから、夢見さんです」

りあむ「………………」



りあむ「ぼく?」

346P「はい」

りあむ「なんでさ! ぼくだけ二回目じゃん!?」

346P「星井さんや八宮さんの強い希望がありまして」

りあむ「こらミキミキ! 説明しろ!よ!」

美希「んっとね。ほらミキ、勝手な決めつけでりあむを困らせちゃったよね」

美希「でもそれでミキの悪いところも分かって、すごく成長できたなって思うの」

美希「りあむのお陰で、ファンの目線っていうのもベンキョーできたし」

美希「それって765プロにはいないタイプの、変わった友達ができたからだよね?」

美希「だからミキの尊敬する千早さんにも、りあむのコト知ってほしいなーって」

りあむ「ねぇこれ褒めてんの? ディスってる? ぼく泣いちゃうぞ?」

りあむ「めぐるちゃんもおんなじ理由なの……?」

めぐる「うん! りあむさんって変わってるけど」

めぐる「明け透けで正直で、素直な人だって思ってる」

めぐる「だって『甘えたい、楽したい』って本音を言うアイドル、普通いないよ?」

めぐる「あさひちゃんって飽きっぽいけど、りあむさんには飽きないだろうなって」

りあむ「だからそれ褒めてる? ちょっとイジってるよね?」

めぐる「そういうりあむさんのリアクションも含めて、すごく新鮮なんだよ!」

りあむ「むぐぅぅ……」

あきら「#ドツボにはまる」

りあむ「Pサマ! どうしてぼくを天才と組ませたがるんだよう!」

346P「それは、本当に偶然です……」フッ

りあむ「あ゛あ゛ぁぁぁ! Pサマがぼくを笑った! 滅多に笑わないクセに!」

美希「千早さん、りあむは見てるだけでも楽しいの!」

千早「ええ……愉快な人みたいで安心したわ」

めぐる「あさひちゃんは、きっとりあむさんから努力の大切さを学べるよ」

あさひ「この人からっすか。全然想像できないっすけど……」

りあむ「だろうね、自分でもそう思わないもん! 過大評価なんだって!」


りあむ「……はー! もう!」

りあむ「めっちゃ! やむ!!」


おわり

最後まで読んでくださった方々、お付き合いありがとうございました。
スターリットシーズンの発売で越境SSが増えるといいですね。

>>112
> めぐる「だって『甘えたい、楽したい』って本音を言うアイドル、普通いないよ?」
FTBANZ「呼んだ?」

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