パワー「ついでに今晩はパンツも穿いとらん!」デンジ「おおっ!?」 (9)

「おう、おう! パ、パパ、パワー!」
「なんだよ、パワ子。こんな夜更けに」

ある日の晩。
オレはバディーである血の魔人、パワーに寝込みを襲われた。

「デンジ! 朗報じゃ!」
「だから、なんだよ。また糞が便器に詰まって流れなくなったのか?」
「それもあるが、そんな些事はともかく、ワシと子作りをしよう!!」

一応、高い理性を持つ魔人と位置付けられているパワーであるが、ご覧の通り、意思疎通を交わすことは困難である。

学校に通ったことのないオレもそれほど教養とやらは持ち合わせていないので、ひとまず、オレはオレにわかる範囲でパワ子を嗜める。

「とりあえず、糞詰まりをどうにかしろ」
「ガハハ! どう頑張っても無理じゃった!」

こいつ、またか。常習犯すぎる。
パワ子の糞は頑固で一度詰まるとしぶとい。
時間が経つと取り返しがつかなくなるので、仕方なく、深夜のトイレ掃除をしようと布団から身体を起こすと。

「む? 何故起きる? いいから寝てろ!!」
「ぐえっ!?」

クロスチョップとボディプレスの合わせ技によって、オレはパワ子に押し倒された。

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「なにすんだ! 重いんだよ、お前は!!」
「ワシと子作りをする気はないのか!?」

子作り。子作りねぇ。
誰が? オレと、パワ子が?
またまた。そんなご冗談を。

「んなことより、糞詰まりを解消するのが先決だ。そこをどけ」
「ガハハ! 口ではつれないことを言っとるが、身体は正直なようじゃのう!」

そんな、馬鹿な。
くっ。静まれ、オレのチェンソー。
相手はパワ子だぞ。

胸パッドで、糞詰まりで、胸パッドだぞ。

「ガハハ! ひとつ良いことを教えてやろう! ワシは寝る時はブラを外す派じゃ!」
「マジですか……?」

そう言えば重なりあった胸と胸に伝わるこの突起めいた感触は。まずい。トキトキする。

「ついでに今晩はパンツも穿いとらん!」
「おおっ!?」

なにが、おおっ!? なのだろうか。
しかし、ここは盛り上がるべき場面であると、少ない教養を基に判断した。

「ひれ伏せ、デンジ! 今宵は寝かさん!」
「お、お手柔らかに……」

オレはすっかり抵抗力を失った。
もはや、詰まった糞などどうでもいい。
今はただ、天井の染みを数えるのみ。

「さあ! 股を開くがいい!!」
「えっ?」

あれ、おかしいな。
股を開くのはてめぇじゃねーのか。
さてはこいつ、子作りを理解してないな。

「パワ子。お前、子作りってどうやってするのか知ってる?」
「当たり前じゃ! 要はウヌを孕ませれば良いわけじゃろ? 簡単、簡単! ガハハハハ!!」

ダメだ、こいつ。早くなんとかしないと。

「オレは男なので孕みません」
「む? ワシに抵抗するつもりか?」
「物理的に無理です」

オレには教養がないので、生物学だのなんだのをパワ子に教えてやることは出来ない。
しかし、出来ないものは出来ないのだ。
それはわざわざ教えるまでもないことだ。

「なんじゃ、つまらんの! デンジに子を産ませてその子の血を吸えば永久機関が完成してノーベル賞かと思ったのに!!」
「いや、いろいろダメだろ、その発明は」

なんて悍しい発想をするんだ、この魔人は。
まあ、元は悪魔なので仕方あるまい。
ともあれオレはなるべくわかりやすく諭す。

「いいか、パワ子。我が子の血は吸うな」
「む? 何故じゃ?」
「そりゃあ、自分の子供は大切だからだ」
「ニャーコみたく?」
「ああ、そうだ。たぶん……」

力強く断言したいのはやまやまだが、いかんせんオレにも育児の経験はなかった。
だけど、この血に飢えた魔人にとってのニャーコのように、オレにもポチタが居た。

ポチタ。
オレの初めての友達。
悪魔なのに妙に人懐こくて。
チェンソーなのに犬みたいに鳴いていた。

「む? どうした、デンジ」
「……なんでもねーよ」

亡きポチタは今、オレの胸の中にいる。

「どうしたデンジ。目にゴミが入ったか?」
「ぐすっ……だから、なんでもねーって」

ポチタのことを思い出すと、泣けてくる。
それはオレがまだ人である証だった。
悲しみと嬉しさの狭間に、人は涙する。
正直、親に借金を押し付けられたオレには、我が子の大切さなんてわかる筈もねーけど、それでもポチタは大切だった。
そんな複雑な人間の胸中は魔人のパワ子には理解し難い感情であったらしく、首を傾げながらおもむろに。

「んっ……美味じゃな」

赤い舌を伸ばしてオレの頬を滴る涙を舐め取ると、血の魔人は満面の笑みで舌鼓を打つ。
頬に伝わった粘膜の生々しい感触によってオレの涙は引っ込み、また胸がトクトクする。

「おお? またチェンソーが元気になったぞ! ガハハハハ! やはり、孕みたいのじゃろ?」
「バカ、逆だ」
「む?」

勢いというのは恐ろしいもので、すっかり萎えかけたチェンソーは息を吹き返して、股間のポチタに導かれるまま身を起こして、今度は逆にオレがパワ子を押し倒した。

「おおっ! なるほど! この手があったか!」
「うるせーよ」

頼むから、そんな反応はやめてくれ。
せっかくその気になったのに萎える。
ともあれ、ようやく股を開くのは自分であることをパワ子は理解したように思われたが。

「よし! デンジとワシ、どちらが先に孕むのか勝負じゃ! さあ、さあ! いざ、尋常に!」

うわぁ。やっぱ、尋常じゃねーよ、こいつ。

「む? なんじゃ、その白けた顔は」
「見ての通り、白けた」
「ならば、ワシの勝ちじゃな! ガハハハ!」

オレは負けた。パワ子に勝てる男はいない。

「じゃ、オレは寝るから糞は流しとけよ」

これは敗北ではない。戦略的撤退だ。
パワ子のペースに付き合うと疲れる。
せめて夢の中でマキマさんに癒されようと思って寝直そうとすると、パワ子が寄り添い。

「デンジ。ワシに触れてみろ」

背後からそう囁き、オレの手をパワ子は自らの臀部に導いた。女の尻は、柔らかかった。

「さっきの涙のお礼に、揉ませてやる」

それはそれは、律儀なこって。ありがてぇ。

「ひと揉みだけじゃぞ?」

たったひと揉みかぁ。
こんなことならもっと涙をやれば良かった。
ともあれ、このひと揉みに全霊をかける。

「お前、マジでノーパンなのな……」
「ガハハ! ワシは嘘は吐かん!!」

パワ子はマジでノーパンだった。
スベスベで、サラサラで、フワフワだった。
オレはこれまで、女の魅力は胸に集約されていると思い込んでいたが、間違いだった。

尻、いいじゃん。むしろ、最高。
パワ子は胸パッド入りの魔人である。
しかし、尻パッドは入っていなかった。
尻に突起物はない。だからこそ素晴らしい。
いつまでも撫でていたい。だが、ひと揉み。

そう、ひと揉み。
尻に這う、この指先で全てを掴み取る。
そんな思いを込めて、文字通り、鷲掴むと。

ビチャ。

「ん?」
「フハッ! 尻を拭うのを忘れとったわ!!」

いやあああああああああああああっ!?!!

「~~~~~~~~~っ!?!!?!!」
「フハッ! フハハハッ!! その顔っ!!」

声にならない思いが、叫びとなって。
こみ上げる、この気持ちはなんだろう。
悪い、ポチタ。オレ、汚れちまったよ。

「おう! デンジ! ワシの糞を食えっ!!」
「誰が食うかっ!!」
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

この糞悪魔。ふざけんな。くせぇんだよ。

「おまっ……お前な! 糞したら拭け!!」
「嫌じゃ! 尻穴が痛くなるじゃろ!!」
「最低限だ! 最低限、拭いてくれ!!」

オレは間違っているか? 否。オレは正しい。

「じゃあ、今度ワシが糞をしたら……」

オレは正しい。何にも間違っていないのに。

「デンジがワシの尻を拭いてくれる?」
「……悦んで」

最後の最後で、オレは人の道を踏み外した。


【パワーは自分が可愛いことを理解してる】


FIN

>>7の「フハッ! 尻を拭うのを忘れとったわ!!」を見て、あれ?ってなって
>>8の「フハッ! フハハハッ!! その顔っ!!」で気づいた


本当途中までの文章ウメーわwwwwww

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